中国は 1993 年に憲法を修正して社会主義市場経済体制に移行し、2001 年 12 月にはWTO に加盟し、世界経済の中に進出した。1992 年以後、同国 GDP の平均年率が 10%に迫る経済成長を維持し、経済発展に伴う木材需要が世界第2の木材消費大国となっている。
はじめに
全国木材組合連合会は 18 年度の合法性・持続可能性証明木材供給事例調査事業に係わる国別調査事業のうち、中国の実態調査を木材利用推進中央協議会に委託した。木材利用推進中央協議会は契約に基づいて調査計画を立案し、中国における調査について、中国林業科学研究院(国際部、林業科技信息研究所及び木材工業研究所)をカウンターパート機関にして、平成 18
年 9 月~19 年 2 月に共同で調査研究を行った。
中国は 1993 年に憲法を修正して社会主義市場経済体制に移行し、2001 年 12 月にはWTO に加盟し、世界経済の中に進出した。1992 年以後、同国 GDP の平均年率が 10%に迫る経済成長を維持し、経済発展に伴う木材需要が世界第2の木材消費大国となっている。
2005 年における中国の木材需要は 3 億 2570 万m3、総供給量は 3 億 2590 万m3 であるが、国
内自給量は 2 億 443 万m3(木材自給率:62.73%)で、1 億 2147 万m3(木材・製材 7246.51 万 m3、林産製品:原木換算で 4900 万m3)を世界各国・地域からの輸入に依存している。このため、輸入相手国・地域の森林環境に対する圧力が懸念されている。中国は、公式には「中国には木材・林産物の輸入に対する厳格な管理手続があり、関連国内法に基づき、国家林業局、商務部、税関総署が共同で、木材・林産物の輸入に対する管理を行い、不法行為を取り締まっている」ことを表明している(人民網日本語版 2007 年 4 月 18 日)。他方、中国は木材製品の輸出大国でもあり、輸出先が米国、EU 諸国、日本など環境先進国であるため、これらの相手国からは、原料木材・製品についての合法性証明に関する懸念、要望が出されている。
合法性供給事例調査を開始する時点で、中国においては、未だ、森林認証制度および木材の合法性認証制度が実施されていないことは知られていた。このため、本調査では、制度構築状況を明確にするとともに、日本側からは分かり難い中国の森林・林業・木材産業の現状について正しく理解出来るように、対象・項目を設定して調査を行った。
中国林業科学研究院をカウンターパートに選定した理由は以下の通りである。
同研究院は中国における国家レベルの総合的な研究組織で、林業科技信息研究所を中心に 同国では最も早い 1995 年から森林認証制度に係わる研究調査を開始し、成果を蓄積するとともに、国家林業局の森林認証制度検討組織及びWWF 等のNGO と共同で同国における認証制度構築に努力し、指導力を発揮してきた。また、同院は中国の森林・林業・木材産業界に対して強い影響力をもつ機関である。木材利用推進中央協議会側の担当者は、1990 年台初頭から同研究院と研究交流し、また、JICA「中国人工林木材研究計画」プロジェクト(2000~2005 年)に携わり、相手機関と密接な交流があったためである。
調査報告書のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅸ章の調査については、林業科学研究院林業科技信息研究所副所長王登挙博士が、また、Ⅳ、Ⅴ,Ⅵ,Ⅶ,Ⅷ章は、同院国際部部長xxx教授が責任を持って担
当した。中国側調査結果は中・日2カ国で作成され、日本語への翻訳はxxx博士、同院木材工業研究所副研究員xxx女士、中国国家林業局国際部日本課xx軍課長が担当した。
調査研究の全体計画、報告書全体の取り纏め、加筆、要約は木材利用推進中央協議会x xx博士(専務理事・中国林業科学研究院客員教授)が行った。
調査に携わられた関係者のご苦労に深甚なる謝意を表するとともに、この調査報告書が今後の中国の森林・林業・木材産業の理解に役立ち、さらに、日中間の木材及び木材製品貿易の良好な発展に貢献できるようせつに希望する。
平成 19 年 3 月
全国木材組合連合会会長
xxxxx
目 次
Ⅰ.中央、地方の森林にかかる法制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1.土地所有制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.森林所有制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.造林及び森林経営管理制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(1)行政管理機関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(2)林業発展計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3)xxx林・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(4)森林経営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 4.林業重点プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(1)天然林保護プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(2)「三北」とxxxx流域などの重点防護林建設プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・7
(3)退耕還林還草プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(4)環北京地域の砂漠化防止プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(5)野生動植物保護及び自然保護区建設プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(6)重点地区のxx樹xx用材林基地建設プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 5.林業改革の最新動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(1)国有林管理体制改革の事例――吉林森林工業グループ・・・・・・・・・・・・・・・8
(2)集体林権限制度改革の事例・・・福建省、江西省・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
Ⅱ.木材生産、加工、輸出輸入に関わる法制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 1.森林伐採管理制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(1)伐採更新管理規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(2)森林伐採限額管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(3)年度木材生産計画管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(4)伐採許可証管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 2.木材運輸管理制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.木材経営加工管理制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
4.木材輸出輸入管理制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(1)木材輸出管理規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(2)木材輸入管理規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
Ⅲ.森林経営、木材生産、流通に関わる税制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 1.農業特産税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
2.企業所得税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3.増値税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
4.xxxx・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
5.簡単再生産維持資金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
6.林業保護建設費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
7.植物検疫費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
8.市場管理費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
9.その他の税費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
10.木材輸入輸出関税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
Ⅳ.森林資源、木材生産基盤及び木材貿易の実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 1.森林資源の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
2.木材生産基盤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
3.木材貿易事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
(1)原木貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
(2)製材貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
(3)木質ボード貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
(4)家具貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
(5)パルプ、紙・紙製品貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
Ⅴ.木材流通に関わる市場形成と商業制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 1.業界の規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
2.取引方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
3. 商業制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 4.ロシア材の中国市場における流通とそれに関与する部分・・・・・・・・・・・・・・・・30
(1)一級木材市場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(2)二級木材市場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
(3)三級木材市場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
Ⅵ.木材加工業の現状と原料調達、製品販売及び輸出実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
1.木材加工業の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
(1)生産量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
(2)製品の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
(3)品質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
(4)生産コスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
(5)生産規模について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
2.木材工業原料の調達状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
(1)原料供給と製品販売の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
(2)木材・木材製品供給の主な問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
(3)木材原料需給の矛盾を解決するための対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
3.林産物市場の現状と予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
(1)製材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
(2)木質ボード類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
(3)家具・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
(4)紙類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
Ⅶ.違法伐採問題への行政の対応、NGO や消費者の取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・44
1.違法伐採に対する中国政府の態度と対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
(1)関連法律と法規の制定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
(2)森林執法機構の設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
(3)税収と経済的手段・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
(4)国際交流と協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
(5)グリーン調達政策の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
(6)業界の信用制度の確立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
(7)木材の監督管理システムの整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
2.違法伐採に対する非政府組織の態度と行動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
(1)森林認証事業の積極的展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
(2)関連の科学研究プロジェクトの展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
(3)調査研究活動の積極な展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
3.違法伐採に対する企業の態度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
4.違法伐採に対する一般消費者の態度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
Ⅷ.森林経営認証、CoC 認証の現状と問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
1.背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
2.森林認証の展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
(1)政府主導の森林認証体系づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
(2)民間組織による森林認証の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
3.森林認証の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
(1)FSC・CoC 認証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
(2)PEFC・CoC 認証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
(3)森林管理(FM)認証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
(4)認証機関・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
4.今後の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
(1)有利な条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
(2)制限要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
(3)今後の展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
Ⅸ.合法性証明制度に対する関係者の対応及びその問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
報告書概要
付属資料 1 関係法律・条例・規則等 (別添)付属資料 2 資源・統計データ等 (別添)
調査報告概要
第 1 章では、中華人民共和国憲法、xxx、xxx実施条例等による森林所有、森林管理に関わる中央、地方の森林に関わる法制度を取り上げた。
中華人民共和国の基本経済制度は社会主義公有制で、即ち全人民所有制及び労働大衆集団所有制である。これに対応して、土地も社会主義公有制を採り、全人民所有制及び労働大衆集団所有制を含む。即ち、中国の土地には二種類の所有形式しかない。一種は全人民所有で(国 有)、もう一種は集団所有である。森林の所有形態も同様で、小面積の農民の自留地、自留山を除いて、国有林及び集体林に属する。森林の経営は国の土地利用基本計画により規定されており、森林の使用権が、国務院直属の国家林業局を頂点とした各段階の行政政府の許認可により、国有企業集団、企業体、農民へ、50 年ないし70 年契約によって、請負経営の許可が与えられる。
xxxでは森林を 5 種類に分類しており、5 年ごとに行われる全国森林調査で最新の第 6 次調査では、現存の森林面積 1.75 億ha のうち、防護林 5474.63 万 ha、用材林 7862.58 万 ha、経済林 2139.00 万ha、薪炭林 303.44 万ha、特殊用途林 638.02 万ha となっている。これらは生態公益林と経済用材林の2 種類に分けて、前者は保護を優先し国からの補助を与え、後者に対しては市場経済的な手法を大幅に導入した経営を行う分類経営が取られている。森林保護には、xxx、森林管理条例、自然保護区条例、野生動植物保護法、森林防虫害防治条例、森林防火条例等の厳格な法制度が適用される。
国有林は総面積 7334.33 万 ha(全森林面積の 41.9%)で、東北地域(黒竜江、吉林など)、西南地域(雲南、四川など)と西北の一部地域(陝西、xx、xxなど)に分布し、国土の生態系安全システムの基本的な骨組みであるとともに、重要な木材生産基地でもある。経営管理機関(国有林森林工業グループ、国有林業局、国有林場など)で、国有林区は森林開発、建設の単位であるとともに、生活社会単位でもある。現在、国有林区の改革が進められている。
集体林は 9944.37 万 ha(全森林面積の 56.8%)を占め、生態保護と林産物供給の役割を果たす。農村或いは村が作った集体林経営組織である郷村林場及び農家の請負経営林がある。
国家林業局は、2001 年以来多数のプロジェクトを整理し、6 大林業プロジェクトに再編成した。これらは第 10 次、11 次「国民経済と社会発展に関する 5 カ年計画」の中に組み入れられ、実施されている。①天然林保護プロジェクト、②三北及びxxxx流域などの重点保護建設プロジェクト、
③退耕還林還草プロジェクト、④北京・天津を取りまく地域の砂漠化防止プロジェクト、⑤野生動植物及び自然保護区建設プロジェクト、⑥重点地区xx樹多収穫用材林基地建設プロジェクトである。このうち、木材供給に直接関係するのは①と⑥のプロジェクトである。①はxxx流域などの大洪水をきっかけに、1998 年から試験的に始まり、正式な実施期間は2001-2010 年で、主要な目標は 1991 万m3 の木材生産量を減じ、9438 万ha の天然林を保護し、1267 万ha の生態公益林を造成し、森林伐採と木材生産に従事していた 74 万人の林業労働者を転職させることである。また、⑥は、天然林に対する木材生産圧力を軽減するため、等降水線 400mm 以東の条件にあった地域で、2015 年までに 1335 万 ha のxx樹多収穫用材林を造成することで、毎年 1.3 億 m3 の木材を提供する。これにより国内需要の 40%をまかない、既存の森林資源による木材生産と合わせ
て、国内の木材需要を基本的にバランスを取る政策である。
2005 年から中国は国有林体制の改革と、集体林に関わる権利体制の改革を進めている。
第 2 章では木材生産、加工、輸入に関わる法制度を扱っている。
中国では森林伐採に関して、森林伐採・更新の管理、森林伐採の定額(限度量、上限枠)管理、年度ごとの木材生産計画管理、伐採許可管理制度などの厳しい管理制度を設けている。
これらの管理は「森林伐採更新管理規定」、「xxx」(29 条、30 条、32 条)、「森林管理条例」(28条、31 条、33 条)等で規定が設けられ、手続きが決められている。
木材の運輸には「木材運輸管理制度」があり、全ての運輸段階で運輸証明書の付帯が義務づけられ、主要な林区には木材運輸検査ステーションが設けたれ、チェックされる。
木材業に携わるためには「xxx施行条例」(34 条)で行政府による「木材経営加工許可」の必要性が規定され、違反した場合の罰則も設けられている。木材の輸出入管理に関しては「対外貿易法」、「貨物輸出入管理条例」、「税関法」などで手続きが規定されているが、禁止貨物を除いて、木材の輸出入は正式手続きさえしておれば、企業や個人はそれに従事できる。
第3 章では森林経営、木材生産、流通に関わる税制を扱っている。税体系は主に2 つの部分か
らなる。第 1 部分は税収で、他の 1 部分は費用徴収である。木材生産に関わる税収の主たるもの
は農業特産税であるが、農民の所得格差の緩和措置として 2004 年を境に、農業税とともに廃止されている。その他の税・徴収費目として企業所得税、増値税、育林基金、簡単再生産維持資金、林業保護建設費、植物検疫費、市場管理費など様々な名目で、地方行政府において林業上の税費が徴収されている。木材及び木材製品の輸出入には「木材輸入輸出関税」が「関税条例」、「貨物輸入輸出管理条例」により徴収される。輸入関税には最恵税率と普通税率の 2 種類があり、原木、製材、古紙、紙・パルプなどの低次加工製品の最恵税率はゼロで、木炭、合板類などは 4-12%、木製工具などは16%、額縁20%である。輸出入増値税は、原木で13%、木製品は17%である。省政府によっては税率の優遇策を採用してる例もある。
第 4 章は中国の森林資源、木材生産基盤及び木材貿易の実態を取り扱った。
中国は北から南へかけて、針葉樹林、針・広葉樹混交林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、降雨林、マングローブ林が分布している。第 6 次全国森林調査(1999-2003 年)では、現存森林面積
1.75 億ha、国土面積に対する森林率 18.21%、xxx蓄積量 136.18 億m3、森林蓄積は 124.56 億 m3 である。世界のxxxでは、中国の森林面積は第 6 位、人工林面積は 5325.73 万 ha(蓄積量 15 億 m3)で第 1 位。一人あたりの森林面積は 0.132ha、世界平均の 4 分の 1 で、世界水準の 61.52%、134 位、一人あたりの森林蓄積量は 9.42 m3 で、世界平均の 6 分の 1 以下 126 位である。中国において林業用地面積は 2.83 億ha あるが、その内訳は有林地面積 1.69 億ha、xx地
面積 599.96 万 ha、潅木林地面積 4529.68 万 ha、未成林植林面積 489.36 万 ha、苗畑面積 27.09万 ha である。有林地面積のうち、林分面積は 14278.67 万 ha で、84.48%を占め、経済林が 2139.00 万ha(12.66%)を占め、xx 484.26 万ha(2.86%)である。そのうち人工林面積は 5325.73
万 ha で、有林地面積の 31.51%を占めている。
全国におけるxxx蓄積量は 132 億 5935.60 万 m3、その中で森林としての蓄積量は 120 億
9763.68 万m3、xx地の蓄積量 1 億 2816.39 万m3、散生木林地の蓄積量 7 億 1032.94 万m3、四傍植林(注:道路、河川、耕地、集落等の周辺への植林を指す)による蓄積量、3 億 2322.59 万 m3になる。消費構造別の限額枠では、商品材用 1 億 5769.7 万 m3(歩留まりは 9982.8 万 m3)、非商品材用 9045.8 万m3 となる。森林のタイプ別による伐採限額は、天然林 9121.4 万m3、人工林 1 億 5694.1 万 m3(このうち産業用林としては 5422.9 万 m3 がある)。生産管理政策として「北休、南用、西冶、xx」が取られている。
中国の木材貿易は、2005 年度には林産品貿易の総額が 383.18 億ドルに達した。輸出入額共に増加し、建国以来、林産品の輸出入貿易において初めて輸出超過となった。前年度より貿易総額は 18.51%伸長し、輸出額がはじめて 200 億ドルを超え(増加率 29.36%)、輸入額は 176.27億ドル(増加率 7.87%)で、輸出超過額は 30.64 億ドルとなった。中国の林産品貿易体制と政策は林産品貿易の発展に有利な方向に向っている。
2005 年度の各種原木輸入量は、2937 万m3 で、金額にして 32.44 億ドルで、2004 年度比、輸入量で 11.91%、輸入額で 15.66%増加した。この内ロシア材が 2003 万m3 を占める。製材品輸入量は 597.3 万 m3 で、金額は 15.08 万米ドル、ロシアからの製品が 105.7 万m3 で 1 位を占めた。
第 5 章は木材流通に関わる市場形成と商業制度の調査を行い、製品に関する国家基準 GB,業界基準、取引方式、商業制度及びロシア材輸入を例に、中国の木材市場制度(1 級、2 級、3級)を述べた。
第 6 章は木材加工業の現状と原料調達、製品販売及び輸出実態を取り扱った。
2005 年における中国の木材需要は 3 億 2570 万 m3、総供給量は 3 億 2590m3 であるが、国
内自給量は 2 億 443 万 m3(木材自給率:62.73%)で、1 億 2147 万 m3(木材・製材 7246.51 万 m3、林産製品:原木換算で 4900 万m3)を世界各国・地域からの輸入に依存している。
中国の木材工業は内外の需要に対応する投資の増大により急激に成長し、木質ボードのうち合板の生産量は 2515 万m3、繊維版生産量 2061 万m3 で世界第 1 位となっている。急速に木材工業の発展がみられるが、一方で、森林資源の不足、産業構造の不合理、品質・生産技術の後れ等様々な矛盾が指摘される。
第 7 章では違法伐採問題への行政の対応、NGO や消費者の取組みの現状について調査した。中国政府は一貫して国際条約と関連責任を履行し、違法伐採と木材の違法輸入に反対し、徹底的にそれを打撃する態度を表明している。
木材管理の強化、違法伐採行為の防止のために、国内の森林に対しては、中国政府は一貫した法律と法規の制定を行い、違法伐採の概念、範囲及び量刑と処罰につき明細な規定を定めている。«中華人民共和国xxx»、«中華人民共和国xxx実施条例»、«中華人民共和国刑法»などに規則と罰則が規定され、木材及び木材製品の伐採から輸送、加工、輸出入貿易等の
各段階で健全な法律と法規により厳しくコントロールされている。これらの規定を違反する場合、罪の軽重により刑事責任を追及することになる。
国際的には、中国政府は二国間、多国間の国際交流と協力に積極的な姿勢を見せており、違法伐採抑制のため、木材生産国に協力し、«国際熱帯木材協定»等関連の国際協定と協議を真剣に履行し、2000 年には中ロ間で「ロシア極東地域における森林資源の合同開発と持続経営に関する政府間協定」締結、2002 年にインドネシアと林業部門間の協力協議署名で「違法伐採とその取引の抑制」に合意した。中国政府はアジア FLEG で共同声明、また北東アジアとヨーロッパ FLEG にも参加している。中国はヨーロッパの首脳と第8次中国とヨーロッパサミットで«中欧サミット合同宣言»(2005 年 9 月北京)「アジア地域での違法伐採行為を共同協力で打撃する」ことに合意。中ロ総理第 10 次定期的会合で「森林資源の開発利用を更に強化し、違法伐採と違法取引の抑制力を更に強める」のに合意(2005 年 11 月)した。これらの政府間協力事業により中国政府は木材の違法伐採と違法取引を強く食い止め、国際木材貿易の秩序を維持しようとしている。
中国政府はグリーン調達政策により 2007 年 1 月 1 日から中央と省レベル(計画単一配列市
を含む)の予算部門において先だって実施し、2008 年 1 月 1 日から全国に適用するという。当該政策は現在その木材の産出先が持続経営の森林からなのか、合法伐採による木材なのか等についてはまだ及んでいないが、中国政府は政府の調達政策を通じて環境諸問題に対応する態度表明することになる。
中国木材流通協会は、政府の社会信用システムと企業信用制度建設政策に積極的に参加し、業界内において「中国木材業界合格供給者の評価」と「中国木材業界企業の信用評価」といった事業を展開しようとしている。これには企業の木材総合利用率、企業の木製品素材出先の合法度、持続経営された林地からの素材であるか否か、森林認証と生産販売監督管理による承認があるか否か、企業が植林等の公的事業にどれだけの貢献を有するか等の内容を評価の指標に入れ、信頼性のある企業と優良製品の育成において大きな作用を発揮することを期待している。
・違法伐採に対する各組織の態度と行動
中国の非政府組織としては「世界自然基金」、「グリーンと平和組織」、「地球の友」、「自然の友」、「中華環境保護基金」、「全地球環境研究所」、「グリーン北京(緑色北京)」、「グリーンネット
(緑色網絡連盟)」、「北京地球村環境文化センター」等があるが、これらの NGO 団体は木材の違法伐採と違法取引にはっきりした態度を表明し、その行為と対策としてそれぞれ異なるけれども、違法伐採と関連取引の抑制と防止という目標で一致している。
・森林認証事業の積極的展開
2001 年 5 月、世界銀行と世界自然基金連盟 WWF(政府間組織の世界銀行の参加による政府間組織の色彩が一部ある)の助成により非公式森林認証作業グループが設立され、中国で森林経営認証と生産販売監督管理チェーン認証を積極的に推し進めている。当該連盟の助成で FSC 中国国家イニシアチブが既に発足し、これが FSC 中国森林認証作業グループである。
全地球環境研究所(NPO 団体)が、2004 年 3 月に北京で発足した。その林業案件としては林業分野での責任ある行為の促進、特に、海外から木材を輸入する中国企業に対する森林管理責任、森林の復旧とCDM システム及び生物多様性協議保護に関する案件が主体になるが、それ
によって違法伐採行為を減少させ、中国での木材企業の海外開発行為を整頓させることに努力している。
グリーンピースは1997 年に香港で事務所を設立して以降、北京でも連絡事務所を設立した。世界の木材違法伐採及び関連取引に大量の仕事を行ってきた。調査研究活動を通じてレポートに纏め、そして非常に誠意ある意見と提案をおこなっている。
違法伐採に対する企業の態度として、中国の企業界では合法木材の購入が重要視されてきており、官・民ベースの世論監督と地球規模の環境保護意識の向上、及び木材製品輸入国からの環境保護に対する要求も促進作用がある。欧米等環境保護に敏感な国に林業製品を輸出する企業が市場の要求と激しい競争に迫られ、森林認証、特に CoC、FSC を取得することはやむをえず、「中国森林と貿易ネットワーク」などの合法木材使用の運動に参加し始めている。
一般消費者も砂嵐の多発等で、森林に対する違法伐採に注目し、多くの消費者には合法伐採及びその木材製品を優先的に購入する態度が表明されている。ただ、消費者は価格の点などから購入意欲と購入行為をまだ完全に結び付けていない。実際購入の際に購入された木製品が必ずしも合法の森林からのものだと思わないのは現状であろう。
第 8 章では森林経営認証、CoC 認証の現状と問題点を調査した。
・政府主導の認証体系つくり:
2000 年モントリオールプロセス以後、2001 年 3 月、国家林業局に森林認証処が設置され、7月に中国森林認証指導グループが成立し、国家的な森林認証プロセスが正式にスタートした。
2001 年 8 月、中国国家認証認可監督管理委員会(CNACA)設置、2002 年 8 月に全国認証認可部局間連絡会議発足、国家林業局は森林認証の担当部門となった。2003 年 9 月に「中華人民共和国認証認可条例」が公布され、11 月1日実施開始、これにより、全国統一した認証認可管理制度が確立され、認証認可が法制の軌道に乗った。同「条例」では「認証認可活動は、国務院認証認可監督管理機関の統一監督・管理のもとで、各関係部門が共同で推進する」と規定しており、上述した部門の役割分担に法的な根拠を提供した。
2003 年に出された「林業の加速的な発展に関する中共中央、国務院の決定」(9 号文献)で「森林認証を積極的に展開し、いち早く国際的なレールに乗せる」と明記した。2004 年度から財務省は森林認証推進の財政措置を行い、森林認証の研究、教育、普及、体系作りをスタートした。
第一の基準づくりは、国家林業局森林認証処の主導で、中国林業科学研究院、北京林業大学などで構成されるチームで「中国森林認証基準」の制定に着手(2002 年 1 月)、2004 年 6 月に草案を完成し、指導グループの審査を受け、部門基準として国家林業局の最終的な批准を待っているところである。同「基準」は、主に FSC と PEFC の基準を参考にしたもので、国家の法律・法規の枠組み、森林所有権、地域コミュニティと労働者の権利、森林経営計画、営林生産、生物多様性保護、環境への影響、森林保護、森林モニタリングなど9 つの原則、45 の基準、118 の指標からなっている。
また、「中国加工・流通過程の管理認証基準」の制定も 2004 年 11 月から始まり、2005 年 12月に草案が完成しており、現在、指導グループに提出して審査を待っているところである。これも FSC と PEFC の CoC 認証基準を参考に制定したもので、認証体系の管理、原材料の管理、生産
コントロールと記録、ラベリング管理、領収書管理と販売記録など 5 つの部分、13 項目、28 条からなっている。
第二は認証モデルの樹立で、2006 年からの2年間で国家林業局森林認証処は黒竜江省、xxx、浙江省、福建省、広東省、四川省で6つのモデル林を選び、試験的に森林認証を行うことにしている。選択されたモデル林の所有形態は国有林、農村集体林、企業林などがあり、経営目的としては木材生産林と非木質林産物生産林が含められている。最近、2007 年の6つのモデルも既に確定した。認証モデルを設置する主な目的は、これを通じて認証基準を検証し、認証に係わる人材を育成し、実践と経験を積み重ねることである。
第三は認証機構の育成である。2006 年1月に国家林業局森林認証処、中国林業科学研究院、国際xxネットワークセンター、浙江省林業庁の関係者による森林認証機構促進委員会が設立され、数回にわたる検討の結果、中国林業科学研究院で中国初の認証機構「xx認証センター(仮称)」を創設することにした。現在、促進委員会事務局によって申請資料の準備や資金の調達など創設の準備が着々と進められている。また、国家認証認可監督管理委員会も森林認証の推進を 2006 年の重点工作としており、認証機構の創設を積極的に支持している。
(1)FSC・CoC 認証:1998 年に、中楊木業有限会社(広東・深せん)が FSC の CoC 認証を取得し、中国初の CoC 認証取得企業となった。2006 年末現在、全国(香港、マカオ、台湾を含む) 221 社が FSC の CoC 認証を取得した。これらの企業はほとんど外資系企業(外資或いは合資企業)で、製品では小型家具が主流である。大部分は香港、広東省、浙江省、江蘇省、福建省などに集中している。
(2)PEFC・CoC 認証:2006 年末で、全国で PEFC の CoC 認証を取得した企業は3社。木材加工と紙・パルプ企業が主流となっている。
(3)森林管理(FM)認証:
近年、外国から輸入した認証材の価格が割高なため、多くのFSC加工・流通過程管理認証取得企業は視線を国内に移し、原料林の確保に踏み出すようになった。特に B&Q、IKEA、 HomeDepotなど中国に進出した外国の大型家具販売業者は中国国内で認証材を求めようとしている。こうした中で、森林管理(FM)認証もますます注目を集めた。2006 年までに、全国で 5 件の FM 認証が行われ、約 45 万haの森林が FSC の認証を取得した(表 8-2)。PEFC は中国での FMを行っていない。
Ⅰ.中央、地方の森林にかかる法制度
1.土地所有制
中華人民共和国の基本経済制度は社会主義公有制で、即ち全人民所有制及び労働大衆集団所有制である(「中華人民共和国憲法」第六条)。これに対応して、土地も社会主義公有制を採り、全人民所有制及び労働大衆集団所有制を含む。即ち、中国の土地には二種類の所有形式しかない。一種は全人民所有で(国有とも言う)、もう一種は集団所有である。
「憲法」第 9 条では、「鉱山、河川、森林、山岳、草原、荒地、浜等の自然資源は、すべて国有、即ち全人民所有に属する。法律の規定により集体所有の森林、山岳、草原、荒地、砂浜は除外される」と規定している
「憲法」第 10 条では、「都市の土地は国有に属し、農村と都市郊外の土地は法律で定めた国有土地を除き、すべて集体所有に属する。住宅敷地、自留地、自留山」1)は集体所有に属する」と規定している。
中国は土地の用途別管理制度を実行する。土地利用の総合計画は国家により編制し、土地の用途を規定する。土地は農用地、建設用地と未利用地に分けている。農用地とは直接に農業生産に使う用地で、耕地、林地、xx、農業水利用地、養殖水面などを指す。建設用地とは建築と構造物を建てるための用地を指し、都市と農村の住宅及び公共施設用地、工業、鉱業用地、交通、水利施設、観光地、軍事施設などの用地を含む。未利用地とは農用地と建設用地以外の土地を指す。土地を使用する機関及び個人は土地利用総合計画にしたがって土地を使用なければならない。土地の所属権及び用途を変更する場合、法律に従って土地変更登録手続きをしなければならない(「中華人民共和国土地管理法」第四条、第 12 条)。
林地、草原、水面などの所有権及び使用権の確定は、それぞれ「中華人民共和国xxx」、「中華人民共和国草原法」及び「中華人民共和国漁業法」にしたがって扱う。
全人民所有土地、即ち国家所有土地の所有権は国務院が国家を代表して行使し、具体的には県2)以上の地方土地行政機関で行う。国有土地は機関、企業或いは個人に請負わせて農業、林業、畜産業、漁業生産を行うことが出来る。国有土地を使用する機関、企業、個人は法律に従って県以上の人民政府で登録し、「国有土地使用権証明書」を取得し、使用権を獲得しなければならない(「中華人民共和国土地管理法実施条例」第五条、第 15 条)。
農村集団所有の土地は村集団所有に属すれば、村の集団経済組織或いは村民委員会により経営管理する。郷(鎮)集団所有に属すれば、郷(鎮)の集団経済組織により経営管理する。農村集団所有の土地は本集団の構成員に請負わせ、農業、林業、畜産業、漁業などを行うことが出来る。また、本集団以外の機関、企業と個人に請負わせ、農業、林業、畜産業、漁業を行 うことも出来る。農村集団所有の土地については県以上の人民政府が登録し、土地所有権の証明書を発行し、使用権を確認する(「中華人民共和国土地管理法」第 10 条、第 11 条、第 14
条、第 15 条)。
2)中国の行政制度は中央機構と地方機構に分かれ、行政地方は、省級地方(22 省、4 直轄市、5 民族自治区)、地級地方(331、自治州、地級市、計画単列市を含む)、県級地方(2126、(内蒙古の旗、県級市、地方都市の直轄区を含む)、郷級地方(郷、民族郷、鎮を含む)の 4 レベルがある(憲法第 30 条)。
耕地の請負期限は 30 年で、xxの請負期限は 30 年から 50 年、林地の請負期限は 30
年から 70 年である。特殊な林地の請負期限は、国務院林業行政部門の許可を得て延長するこ
とも出来る(「中華人民共和国農村土地請負法」第 20 条)。
2.森林所有制
森林は土地に依存する自然資源で、森林の所有制は土地所有制によって定められる。したがって、中国の林地所有形式も 2 種類しかない。一種は国有制で、もう一種は集団所有制で
ある。「中華人民共和国xxx」第 26 条では、「国家所有と集団所有のxx、荒地は集団や個人に請負わせて造林することが出来る」と規定している。即ち、公民個人は林地所有権を享有することが出来ないが、請負の形式で林地の使用権を獲得することが出来る。
「xxx」第3 条では、「森林資源は国家所有とし、法律の規定で集団に所有するものは除外する。即ち、国有土地の森林資源は国有に属し、集団所有土地の森林資源は集団所有に属する。ここで言う森林資源は、森林、林木、林地及び森林、林木、林地に依存して生存する野生動物、植物及び微生物を含む(「中華人民共和国xxx実施条例」第 2 条)。
林木の所有権は多種の形式を持つ。国有企業、機関、団体、軍隊が営造したxxは、営造する機関により経営し、国家の規定に従って林木の収益を支配する。集団所有のxxは、その集団が所有する(「xxx」第 27 条)。
公民個人は森林の所有権を享有することができないが、林木の所有権を享有することができる。農村住民の住宅の周り、自留地、自留山に植栽した林木は個人所有とする。集団或いは個人が請負った国有及び集団所有のxx、荒地で造林する場合、その林木は請負う集団或いは個人が所有する「xxx」第 27 七条)。
「xxx実施条例」第 3 条では、「国は法律に従って森林、林木及び林地の登録、証明書制度を採る」と規定している。
「xxx実施条例」第 4 条では、国有森林、林木及び林地の登録、証明について次のように規定している。①国務院が定めた国有重点林区(注:林区とは森林資源が比較的集中しており、林業が主
要産業となる地域を指す)の森林、林木及び林地を使用する機関は、国務院の林業行政管理部門に
登録申請を提出し、登録手続きを履行し、森林、林木、及び林地使用権及び林木所有権を確認してもらい、証明書を発行してもらわなければならない。②行政区域を越えた国有森林、林木、及び林地を使用する機関或いは個人は、その上級の人民政府の林業管理部門に登録申請を提出し、登録手続きを履行し、森林、林木、及び林地使用権を確認してもらい、証明書を発行してもらわなければならない。③その他の国有森林、林木及び林地を使用する機関或いは個人は、県以上の地方人民政府の林業管理部門に登録申請を提出し、登録手続きを履行し、森林、林木とび林地使用権及び林木所有権を確認してもらい、証明書を発行してもらわなければならない。④使用xx確定の国有森林、林木及び林地についは、県以上の人民政府によって登録し管理する。
「xxx実施条例」第五条では、集団所有の森林、林木及び林地の登録、証明について次のように規定している。
①集団所有の森林、林木及び林地は、所有者から県人民政府の林業管理部門に登録申請を提出し、登録手続きを履行し、森林、林木、林地の所有権を確認してもらい、証明書を発行してもらわなければならない。
②集団(機関、団体、企業)或いは個人所有の林木は、所有者から所在地の県人民政府 の林業管理部門に登録申請を提出し、登録手続きを履行し、xxの所有権を確認してもらい、
証明書を発行してもらわなければならない。
③集団所有の森林、林木及び林地を使用する団体(機関、団体、企業)或いは個人は、県人民政府の林業管理部門に登録申請を提出し、登録手続きを履行し、森林、林木、及び林地使用権を確認してもらい、証明書を発行してもらわなければならない。
3.造林及び森林経営管理制度
(1)行政管理機関
国務院の林業主管部門は全国林業を主管し、県以上の地方人民政府の林業主管部門は本地域の林業を主管する。郷レベルの人民政府には専門(或いは兼職)の管理担当者を配置し、当該地域の林業行政管理を担当する(「xxx」第 10 条)。
国家林業局は国を代表して林業行政管理権限を行使する最高の林業主管部門である。その内には植樹造xx、森林管理司、野生動植物保護司、森林公安局、政策法規司、発展計画と資金管理司、科学技術司、国際xxx、人事教育司等の 9 の行政部門が設置されている。
また、国家林業局には、国有林場と林木種苗総ステーション、xx林業管理総ステーション、林業基金管理ステーション、木材産業管理弁公室、森林病虫害予防ステーション、絶滅に瀕する種輸入出管理ステーション、天然林保護プロジェクト管理センター、三北防護林建設局、xxx下流地域防護林プロジェクト管理弁公室、退耕還林(草)プロジェクト管理弁公室、防xx沙弁公室、野生動植物保護建設プロジェクト管理弁公室、xx樹多収穫用材林基地建設プロジェクト管理弁公室、植物新品種保護弁公室、森林防火弁公室など、単一の行政管理の役割を果たす部門が設置されている。
合法的木材供給システムに最も密接な関係をもつ管理機関は、木材産業管理弁公室である。その主要な任務は、①全国木材産業と国務院によって確認された重点国有林区の管理を指導する。②木材(竹を含む。以下同)経営、加工に関する方針、政策、法規、規程及び全国木材産業発展戦略、計画と生産力配置の策定に参与し、またそれを監督・実施する。③木材産業政策、重大技術経済政策の制定及び木材産業構造の調整に参与し、全国での森林資源の総合利用の向上を促進する。④全国の木材生産、供給、販売状況を分析し、木材及び木材製品の輸出入の調節、指導を担当する。⑤全国の各種の所有形態の木材経営加工企業に対する管理、指導を行い、企業の行為を規範する。各地域の林業行政主管部門を指導して、その地域の木材経営加工企業に対する監督と管理を行う。⑥木材及びその他の林産品市場の建設と運営を指導し、木材経営加工業のxxな競争秩序を維持する。⑦木材産業の安全生産と労働衛生を指導する。⑧関係のある産業協会を指導する。
各省(自治区、直轄市)には林業庁(局)が設置され、各県には林業局が設置され、それぞれの人民政府を代表して森林、林業、木材産業の行政管理権限を行使する。また、省、県の林業庁、林業局の内部部門の設置は基本的に国レベルの林業行政管理機関と対応している。郷レベルの人民政府には林業ステーションだけが設置されている。
(2)林業発展計画
「xxx」第 16 条では、「各級人民政府は本地域の林業長期計画を制定しなければならない。その計画には発展目標、林種比例、林地保護利用計画、植樹造林計画という四つの内容を含むべきである」と規定している。
「xxx実施条例」第13 条では、「全国の林業長期計画は国務院林業主管部門とその他の関係部門の協力のもとで編成され、国務院の批准を経てから実施される。各地方の林業長期計画は県以上の人民政府の林業主管部門とその他の関係部門の協力のもとで編成され、当該人民政府の批准を経てから実施される。下層の林業長期計画はその上級の林業長期計画に基づいて編成される」と規定している。
(3)植樹造林
各級の人民政府は、植樹造林計画を制定し、地域の実情に応じて本地域における森林率の目標を確定する。植林に適応する国有のxx荒地については、林業主管部門及びその他の主管機関によって植林活動を組織する。植林に適応する集体所有のxx荒地については、農村の集団組織によって植林を組織する。植林に適する国有と集体所有のxx荒地は、団体或いは個人に請け負わせて植林することができる。鉄道、道路の両側、川の両側、湖とダムの周辺は、その主管部門により適地適樹の原則に沿って植林を組織する。鉱山、機関、学校、軍隊用地及び農場、牧場、漁場経営区は、その使用部門により植林を行う(「xxx」第26 条)。石炭、製紙などの部門は石炭と製紙などの生産量に基づいて一定の割合で資金を
支出し、坑木やパルプなどの原料林の造林に充てる(「xxx」第 8 条)。
1981 年に全国人民代表大会が出した「全人民義務植林運動の展開に関する決定」の規定により、11 歳以上になる中華人民共和国の公民は、老、弱、病、障害者を除き、毎年、一人当たり 3—5 本の義務植樹、或いは相当する労働量の育苗、森林管理、保護などの緑化任務
が義務付けられている。統計によれば、この義務植樹制度を実施してから 25 年の間に、全国
で植樹活動に参加した累計人数は 104 億人以上に達し、累計で約 492 億本が植樹された。
「xxx実施条例」第 25 条では、造林の活着率管理について次のように規定している。県の人民政府は当該行政区域内における当年度の植林状況について検査・確認する。国が特別認定した乾燥、半乾燥地域を除き、活着率が 85%に達していない造林地は、年度造林完成面積に算入してはいけない。
(4)森林経営
● 森林分類経営
「xxx」第四条では、森林を以下の 5 種類に分類している。①防護林:防護を主要目的とする森林、林木と灌木を指し、水源涵養林、水土保持林、砂防林、農地と牧場保護林、護岸林、護路林などを含む。②用材林:木材生産を主要目的とする森林、林木を指し、竹材の生産を主要目的とするxxを含む。③経済林:果物、食用油料、飲料、調味料、工業原料と薬材などの生産を主要目的とする林木を指す。④薪炭林:燃料の生産を主要目的とする林木を指す。
⑤特殊用途林:国防、環境保護、科学実験などを主要目的とする森林と林木を指し、国防林、実験林、母樹林、環境保護林、風景林、名勝古跡と革命記念地の林木、自然保護区の森林を含む。
第 6 回全国森林調査の結果によると、全国の防護林は 5474.63 万 ha で、用材林は 7862.58 万 ha、経済林は 2139.00 万 ha、薪炭林は 303.44 万 ha、特殊用途林は 638.02 万 haとなっている。
xxxに入ってから、中国は森林分類経営制度を実施し始め、上述した 5 種類の森林を生態公益林と経済用材林という二種類に分け、そのうち、防護林、特殊用途林は生態公益林に属し、用材林、経済林、薪炭林は経済用材林に属する。この二種類の森林に対して異なる管理政策を講じる。経済用材林に対しては、徐々に政策を緩め、市場的経営を実行し、生態公益林に対しては保護を優先し、国から一定の補償を与える。2001 年3 月に、「国家公益林の
確認方法(暫行)」が国家林業局によって公布されて、全国範囲で生態公益林の確認を展開してきた。
● 森林の生態補償
森林分類経営制度を順調に推進するために、中国は森林生態補償制度を設立した。 2001~2003 年に、財政部と国家林業局は 11 省の 685 県と 24 の国家級自然保護区を選んで森林生態補償モデルを設立し、中央財政から毎年 10 億元の資金を投入し、2 億畝(注:ムー、土
地面積の単位。1 ムーは 1/15ha、0.0667 アール)に及ぶ重点防護林と特殊用途林に対して森林生態補償
を行った。また、広東省、福建省、浙江省などの地域でも地方財政から一定の資金を出資し、地方公益林に対する補償を行った。
2004 年 12 月に、財政部と国家林業局は「中央森林生態效益補償基金管理弁法」を公布した。これを以って全国的な森林生態補償基金制度は正式にスタートした。中央財政からの投資は毎年 20 億元に増加し、補償を受けた林地面積は 4 億畝に達した。中央森林生態補償基
金の平均的な補償基準は1畝あたり毎年 5 元である。
● 国有林の経営主体
国有林は中国林業を構成する重要な部分であり、総面積は約 7334.33 万 ha で、全国森林面積の 41.9%を占めている。国有林は主に東北地域(黒竜江、内蒙古、吉林など)、西南地域(雲南、四川など)と西北の一部地域(陝西、xx、新疆など)に分布している。国有林は国土の生態安全システムの基本的な骨組みとして重要な役割を果たすと同時に、重要な木材生産基地でもあり、経済の発展と人民生活水準の向上に大きな貢献をしてきた。
国有林は特定の経営管理機関(国有森林工業·林業グループ、国有林業局、国有林場など)によって経営管理されている。現在、全国で合わせて 4 つの大型国有森林工業(林業)グループ(大興安嶺、黒竜江、内蒙古、吉林)、135 の国有xx林業局、20 の重点営林局、4466の国有林場がある。国有林区は森林の開発と建設をすると同時に、生活と社会的な施設の整備も行ってきた。今は、すでに公安、検察、裁判、文化教育、医療衛生、郵政通信、道路、商品と食料供給などの基礎施設が含まれた林区地域社会になっている2)。
これらの国有林経営主体はその所属関係から見ておおよそ 3 種類に分けられる。第一種は中央に直轄するもの(例えば大興安嶺林業グループ)で、第二種は中央に隷属し省に管理されるもの(例えば、黒竜江、内蒙古、吉林国有森林工業グループ)で、第三種は地域に隷属するもの(例えば、省に属する国有森林工業林業局と地区、県に属する国有林場)である。
● 集体林の経営主体
集体林は中国林業の重要な部分であり、生態保護と木材などの林産物供給の役割を果たしている。現在、全国の集体林の面積は 9944.37 万ha で、全国森林面積の 56.8%を占めている。集体林の経営管理は二つ方式がある。その一つは、農村の郷或いは村が作った集体林経営組織である郷村林場によって集中的に経営管理される方式である。全国で約 8 万箇所の郷村林場がある(2005 年)。もう一つは、農家に請け負わせて分散的に経営管理する方式である。
● 森林経営計画
「xxx」第 16 条では、「国有林業企業と自然保護区は林業長期計画に基づいて森林経
営案を編成し、上級主管部門の確認を経て実施する。林業主管部門は農村集団と国有農場、牧場、工鉱企業などを指導して森林経営案を編成させる」と規定している。
● 森林保護
「xxx」第 19 条では、「各級の人民政府は関係部門を組織し、森林保護の体制を作り、森林保護を遂行する。必要に応じて大きな林区における森林保護の施設を整備し、森林保護の体制を強化する。林区の末端組織に対しては森林保護公約の締約を推進し、公約の履行状況を監督する。森林保護の責任範囲を画定し、専職または兼職の森林保護員を配置する」と規定している。
林区の社会治安を維持し、森林資源を保護するために、国は林区に森林公安機関(森林公安局或いは派出所)を配置する。森林公安機関は国務院の林業主管部門から授権された権限範囲内で行政処罰権を行使する(「xxx」第 20 条)。
国は武装森林警察部隊を配置し、森林火災の予防と消火を担当する(「xxx」第20 条)。
各級の人民政府は森林火災の予防と消火を確実に遂行しなければならない(「xxx」第 21条)。具体的な管理規定は国務院の林業主管部門によって制定する(「森林防火条例」を参照)。
各級の林業主管部門は森林病虫害の防止の責任を負う(「xxx」第 22 条)。林業主管部門は林木種苗の検疫対象を規定し、疫区と保護区を指定し、林木種苗を検疫する(「森林病虫害防治条例」を参照)。
国務院林業主管部門と省、自治区、直轄市の人民政府は、各自然地帯の典型的な森林生態系を持つ地域、珍奇動植物が成長・繁殖する地域、天然熱帯雨林地域、その他の特殊な保護価値のある天然林地域において、自然保護区を指定し、保護管理を強化すべきであると規定している(「xxx」第 24 条)。
国務院林業主管部門は「中華人民共和国自然保護区条例」に基づいて「森林と野生動物類型自然保護区管理弁法」を制定し、国務院の批准を経て実施する。自然保護区以外の珍奇樹木と林区内の特殊な価値のある植物資源に対しては、真剣に保護すべきである。省、自治区、直轄市林業主管部門の許可を受けていない場合には、これらの珍奇樹木と特殊価値ある植物資源を伐採・採集をしてはならない(「xxx」第 24 条)。
国家保護名簿で定めた野生動物に対しては狩猟を禁止する。特殊の用途で狩猟する場合は、「中華人民共和国野生動植物保護法」と「中華人民共和国xx野生動物保護実施条例」の規定に従って許可手続きを履行する(「xxx」第 25 条)。
4.林業重点プロジェクト
1978 年の「三北」防護林体系建設プロジェクトが開始されて以来、中国では約 20 種の生態建設を中心とした林業プロジェクトが実施された。しかし、プロジェクト数の増加につれて、各プロジェクト間の配置や内容の重複などの問題も顕在化してきた。これらの問題を克服するために、2001 年、国家林業局はこれまでに実施した重点プロジェクトを六大林業重点プロジェクトに統合した。六大林業重点プロジェクトは、既に国の「国民経済と社会発展に関する五ヵ年計画」(第 10 次及び第 11 次)に組み込まれ、国務院の批准を得ている。木材供給に直接に関係するプロジェクトは天然林保護プロジェクトと重点地区のxx樹豊産用材林基地建設プロジェクトである。各プロジェクトの概要は以下の通りである。
(1)天然林保護プロジェクト
主な内容は、xxx流域、黄河xx流域の天然林伐採は全面的に禁止し、東北、内蒙古などの重点国有林区の木材生産量を大幅に減し、その他の地域の天然林を保護することである。プロジェクトは 1998 年から実験的に始まり、正式な実施期間は 2001-2010 年である。主要な目標は、年間 1991 万m3の木材生産量を減し、14.15 億畝の天然林を保護し、1.9 億畝の生態公益林を造成し、森林伐採と木材生産に従事していた 74 万人の林業労働者を転職させることである。
(2)「三北」及びxxxx流域などの重点防護林建設プロジェクト
「三北」(東北、華北、西北地域を指す)地域、沿海地域、xxや淮河流域、太行山地域、xx地域と洞庭湖、番陽湖、xxxx流域の防護林建設を含む。プロジェクトの目標は、 2010 年までに 3.4 億畝を造成し、10.78 億畝の森林を有効に保護することである。
(3)退耕還林還草プロジェクト
退耕還林還草プロジェクトの主な内容は、勾配25 度以上の斜面農地について、農耕を止め、その土地を森林或いは草原に回復させることである。これらの斜面農地の使用者(農家)に対しては、国から食料補助(xx流域及びxx地域 150kg/畝、黄河流域及北方地域 100kg/畝)、基本的な生活補助(20 元/畝)と造林苗木補助(50 元/畝)を与える。プロジェクトの目標は、2010 年までに、3.4 億畝の水土流出の深刻な土地、3.4 億畝の砂漠化土地をコントロールし、xxと黄河に流入する土砂量を 2.6 億t/年減少させる。
(4)北京を取巻く地域の砂漠化防止プロジェクト
首都周辺地域の風砂被害の問題を解決するため、北京、天津、xx、内蒙古、xxなど 5 省(自治区、直轄市)の 75 県(旗、区)において、植林xxや工事措置を通じて、砂漠化を防止し、2010 年までに林草被覆率を今の 6.7%から 21.4%に向上させる。
(5)野生動植物保護及び自然保護区建設プロジェクト
主として野生動植物種の保護、自然保護、湿地保護などの問題を解決する。2010 年までに、パンダなど 10 種類の重点野生動植物及び森林、荒漠地、湿地など 30 種類の重点生態系
を保護し、自然保護区の新規建設を通じて、国土面積に占める自然保護区の割合を 16.14%
にする。
(6)重点地区のxx樹多収穫用材林基地建設プロジェクト
生態環境の建設と保護を促進し、天然林に対する木材生産の圧力を減軽するために、 400mm 等降雨線以東の、自然条件と立地条件が比較的良好で、水土流出と生態環境に影響を及ぼさない地域において、xx樹多収穫用材林基地を建設する。目標としては、2015 年までに 1333 万ha のxx樹多収穫用材林を造成する。これによって、毎年約 1.3 億m3 の木材を提供することができ、国内需要量の約 40%を満たせる。これとともに、既存森林資源の木材生産量を加えると、国内の木材需給は基本的にバランスを取れると予想される。
5.林業改革の最新動向
2005 年から中国は二つの重要な林業改革を推進し始めた。第 1 は国有林管理体制の改
革で、第 2 は集体林に関わる権限制度の改革である。
(1)国有林管理体制改革の事例――吉林森林工業グループ
1970 年代の改革開放以来、中国の国有林地域では色々な改革を推進してきたが、計画経済時代の伝統的な森林経営管理体制は依然として変わっていない状態である。主な問題点としては、所有制構造がすべて国有で、単一であること;行政と企業が一体となり、森林工業グループは企業でありながら、政府を代表して森林資源管理の権限を行使していること;企業が学校、病院、警察などの費用を支出しており、社会的な負担が重く、活力が欠けること、などが挙げられる。国有森林の管理方式を模索するため、xxx森林工業グループは全国で率先して改革の試みを行った。その具体的なやり方は以下のとおりである。
①国有資本を木材加工企業から撤廃すること。70 社あまりの木材加工企業について、株式改革、売り払い、破産などの手段を通じて、国有資本を全面的に撤廃し、森林経営と木材産業の分離を実現した。
②社会的な機能を地方政府に移行させること。これまでに森林工業グループに属していた
50 校の学校、24 の公安・検察・裁判所を地方政府に移行させ、企業の負担を大幅に軽減した。
③付属施設を民営化させたこと。森林工業グループに属していた 75 の建築、水道、電気、電信、ホテル、商業などの付属施設について、条件が成熟したものは民営化させ、資産が多く民営化の条件が整っていないものは株式改革を行い、今後における国有資本の撤廃に条件を作った。
④職員の労働契約関係を変換させたこと。グループに所属する 13.8 万人の職員について
はすべて労働契約関係を変換させた。そのうちの 3.7 万人の国営職員(国が正式に雇用したもの)が資産、或いは現金補償を与える方式で労働契約関係を解除し、新しい民営企業に就職した。5.4 万人の非国営職員(正式職員の家族などもとの林業局が内部的に雇用したもの)が協議方式で労働契約関係を解除され、4800 人あまりが地方に移転した。改革後、グループの在職人員は 3.9 万人に縮減した。
⑤グループ全体を株式企業に改造したこと。資産の再配置と株式改革を通じて、森林工業グループを国の独資企業から、国が65%の株を持ち、内部職員が35%の株を持つ株式有限会社に移転させた。
(2)集体林権限制度改革の事例 ———— 福建省、江西省
1980 年代初期には、農村における家族請負制の推進に伴って、農村の集体林に対して
「xxxxx定、自留山の画定と林業生産責任制の確定」を主要内容とする「三定」政策を実施した。それによって家族経営を主とした集体林の経営体制が形成され、農民に一定の生産自主権を与えた。しかし、当時の歴史的背景の制限から多くの問題点を残した。①「xxx主」という状況が多く、山とxxxの内容が合わず、面積や境界の記載が混乱し、xxxを巡る争いが相次いだ。②多くの山林・林木は所有者が既に変わったにもかかわらず、その変更手続きを未だに履行していない。③林木の伐採制限が厳しく、農家の森林資源に対する実質的な処置権が奪われ、農民の自主的な経営ができない。④かなりの山林は依然として村に所管され、集団的に経営されているため、農家はその経営利益を得られない。⑤林業に関わる税収と費用
の徴収が重すぎで、林業の経営収益が低い。こうした問題は、農民の森林を経営する積極性を抑制し、林業生産力の発展に悪影響を与えている。このために、2005 年から国家林業局は一部の地域において集体林権限制度改革を実験的に行った。今年からは全国的に展開させると計画している。この改革は「第 11 次五ヵ年計画期」(2006-2010)の重点活動とされている。
江西省における集体林権限改革の主なやり方は次のとおりである。
①権限を明確にすること。農家の自留山については長期的に使用させ、相続も認める。
「三定」によって既に農家に請け負わせた責任山については、その請負関係を安定させ、請負期限を 30-70 年に延ばし、責任山の林木の所有権は農家所有とし、請負期間において相続を認める。「三定」の時に農家に分けられていない山林については、今回すべて農家に請け負わせる。農家が請け負った公益林については、公益林という性格を変更してはならず、国と地方から一定の補助金を与える。異議のある山林については、まず協議して問題を解決してからその使用権を確定する。既に使用権が移転された山林については、まず整理整頓し、政策に照らしてその移転契約を完備させる。
②税費を軽減すること。農業特産税の徴収を停止し、各種の不合理的な費用徴収を取り締まる。育林基金の徴収基準を低くすると同時に、徴収した基金の分配について省と県に割合を低減し、郷の割合を向上させる。木材・竹材生産を従事する企業と個人の自用xxxx竹に対して、増値税を免除し、しばらくの間は所得税を免除する。
③経営の活発化を図ること。「国営木材公司」だけに木材・竹材の経営権限を与えるやり方を廃止し、木材・竹材の独占的な経営体制を打破する。木材・竹材加工企業に対する政府の価格制限を緩和し、平等的な価格競争体制を確立する。伐採指標(伐採目標枠)の配分においては、公示制度を導入し、農家の申請によって即時に農家に伐採指標(伐採目標枠)を与える。
④権限の移転を制度化させること。森林資源に関わる権限の移転制度を整理し、公開、xx、xx的な移転秩序を確立する。
福建省集体林権限改革の主なやり方は次のとおりである。
①権限を明確にすること。すべての林木を株式化して、家族又は数家族の連合体に分配し、或は人口、家族を単位として均等に分配して請け負わせ、集体林の所有権と林地の使用権を家族、家族連合体又はその他の経営主体に与える。
②経営の活発化を図ること。請負、賃貸、株式、有償譲渡など多種多様な方式を通じて、農家を主体とするミクロ経営構造を確立し、山林の経営権に関する制限を緩和する。
③林木の処置権を農家に与える。商品用材林の伐採制限を緩和し、伐採許可の手続を簡素化し、農家の自主的な森林経営、木材生産体制を確立し、生産と販売の有効な連結を図る。
④請負者の收益権を確保すること。集体林に関わる税収、徴費を減少し、森林経営に対して政府の干渉を最低限にする。
Ⅱ.木材生産、加工、輸出輸入に関わる法制度
1.森林伐採管理制度
中国では、森林伐採に対して厳しい管理制度を設けており、その中には森林伐採更新の管理、森林伐採の定額管理(伐採量限度枠)、年度毎の木材生産計画管理、伐採許可管理などが含まれる。これらの制度は中国における国産材の合法性と持続性を評価する重要な根拠でもある。
(1)伐採更新管理規定
「森林伐採更新管理規定」の第 8 条では、用材林の主伐方法は択伐、皆伐と漸伐であり、中幼齢林の多い複層異齢林では択伐を採用しなければならないと規定し、そして択伐の度合いは伐採する前の林木蓄積の 40%以下とし、伐採後林分の樹冠閉鎖率は 0.5 以上に保つとする。過熟単層林、あるいは中幼齢林の少ない異齢林では、皆伐を実施し、その面積は5ha を超えないと規定している。勾配が緩やかで、土壌が肥沃で更新しやすいところでは、その面積は 20ha まで拡大することができるとする。一方、天然更新力のある過熟単層林では漸伐を実施し、xxの伐採に当たっては健康な母竹を残して、その本数はヘクタールあたり 2000 本以上に達 しなければならない。
「森林伐採更新管理規定」の第 9 条では、保育と更新のための伐採しかできない森林を以下のように限定している。①大型ダム、湖の周りのxxや湖岸から 150m 以内のxxの森林、水路沿い護岸林。②大きな川の両岸から150m 以内の森林及びその支流の両岸から50m 以内の森林。この範囲で山があれば、初めての山脊を境とする。③鉄道両側から 100m 以内、幹線道路の両側から 50m 以内の森林。この範囲で山があれば、初めての山脊を境とする。④森林が分布する上限以下 150m から 200m 以内の森林、⑤急な傾斜地と裸露地に成長している森林。
防護林と特種用途林のうちの国防林、母樹林、環境保護林、風景林に対しては、保育または更新のための伐採以外は、伐採してはならない。特種用途林のうちの名勝古跡や革命記念地における林木、自然保護区の森林に対しては、伐採を禁止する(「xxx」の第 31 条)。
一方、国家林業局「天然林伐採を厳格に管理することに関する意見」(2003)では、天然林に対する大面積的な皆伐を厳格に抑え、天然林を人工林分に転換させることを禁止すると明記している。国家林業局「人工用材林の伐採管理に関する意見」(2003)では、人工林に対する伐採は生態環境や水土保持などへの影響を考慮しなければならないとし、伐採後において水土流失や生態破壊をもたらしやすい地域では、水土保持などの措置を採らなければならない。その上、勾配 15 度以上の林地で育成された工業用原料用材林や一般人工用材林に対しても皆伐面積が5ha を超えてはなられない、と規定する。
伐採を行う組織や個人は、人工更新や人工促進天然更新などの方法によって、伐採の当年または翌年に更新造林を完了しなければならない(「森林伐採更新管理規定」の第 14 条)。更新造林の基準は以下のとおりである。①人工更新の場合は当年の活着率が 85%以上、3年後の保存率が 80%以上になること、②人工促進天然更新や補植の場合も人工更新の基準を満たさなければならないこと、③天然更新の場合は、皆伐跡地で残る母樹がヘクタールあたり 3000 本以上、或いは幼苗が 6000 本以上であると同時に、その均等率が 60%以上になること
(「森林伐採更新管理規定」の第 15 条)と定めている。
(2)森林伐採限額管理
限額(伐採量限定枠)とは、年間伐採の限定量のことを指す。中国ではこの森林伐採限額管理制度によって全国の森林伐採を管理している。
「xxx」第29 条では、「国は用材林の消費量が成長量を超えない原則に従い、森林の年間伐採量を厳格に制限する。国有森林と林木については、国有林経営管理企業、農場、工場などを単位とし、集団所有や個人有の林木については、県を単位として年間伐採限定量(限額)計画を制定する。各省、自治区、直轄市の林業主管部門はxxx地域の伐採限額計画を纏め、同級の政府の審査を経て、国務院に提出する。国務院の批准がなければ伐採限額計画を実施してはならない」と規定している。
伐採限額計画は5年ごとに制定する「(xxx実施条例」の第 28 条)。
また、国家林業局「天然林伐採を厳格に管理することに関する意見」(2003)では、天然林と人工林の伐採限額を別々に編成し、管理しなければならないと規定し、人工林伐採限額を用いて天然林を伐採してはならないと強調している。
国務院に批准された伐採限額は、伐採限額指標という形で各省に下達される。各省の林業主管部門は計画に従ってこの指標を各事業体(国有林)と県(集体林)に配分する。この伐採限額は年度ごとに許可される伐採量の上限であり(胸高直径5cm 以上の林木を伐採する最大の蓄積)、その中には伐採の総限定額と分類の限定額(人工林、天然林、公益林、用材林、樹種、地域など)を含む。また、伐採限額指標を絶対に突破してはならないし、伐採限額指標のない伐採行為は違法伐採になる(第 11 次五ヵ年計画期における各地域の伐採限額について審査意見に関する国家林業局の通達、2006 年)。
(3)年度木材生産計画管理
森林伐採限額管理制度と関連して、中国は年度木材生産計画制度を実施している。「xxx」第 30 条では、「国は年度木材生産計画を統一的に編成する。年度木材生産計画は国務院に批准された年間伐採限定額を超えてはならない」と規定している。
森林、林木を伐採し、それを商品として販売するすべての木材は、国の年度木材生産計画に組み入れなければならない。農民が自家の自留山で薪炭材を伐採する場合や、自留地と住宅の周りに植栽された少量の個人所有の林木を伐採する場合は除外される(「xxx実施条例」第 29 条)。
木材生産計画を超えて森林、林木を伐採する場合は、乱伐とみなし、その法律上の責任を追及する(「xxx実施条例」第 39 条)。
(4)伐採許可証管理
「xxx」第 32 条では、伐採許可証の管理について以下のように規定している。①林木を伐採するにあたり、伐採許可証を申請し、許可証で定めた事項で伐採しなければならない。農民が自留地や住宅周りで少量の林木を伐採する場合は除外される。②国有林業企業、機関、団体、軍隊、学校、その他の国有企業と事業体が林木を伐採する場合は、所在地の県以上の林業主管部門に伐採申請を提出し、伐採許可証を発行してもらう。③鉄道や道路沿いの護路林、都市や町にある林木を伐採する場合は、それぞれの主管部門に伐採申請を提出し、伐採許可証を発行してもらう。④農村集団所有の経済組織が林木を伐採する場合は、県の林業主管部門に伐採申請を提出し、伐採許可証を発行してもらう。⑤農民が自留山や請け負った山で
林木を伐採する場合は、県の林業主管部門、或いは林業主管部門が委託した郷、鎮人民政府に伐採申請を提出し、伐採許可証を発行してもらう。⑥以上の規定はxxの伐採にも適用する。
重点国有林区の伐採許可証は、国務院の林業主管部門から直接に発行する(「xxx実施条例」第32 条)。外資を利用して育成した用材林の伐採限額は、国務院が批准した年間森林伐採限額の枠内で単独の項目を設け、その伐採許可書は省(自治区、直轄市)の林業主管部門から発行する(「xxx実施条例」第 33 条)。
伐採許可証を審査・発行する機関は、国務院から批准された年間伐採限額を超えて伐採許可証を発行してはならない(「xxx」第 33 条)。
国有林業企業が伐採許可証を申請する時には、伐採地域の調査または設計に関わる書類を提出しなければならない。その他の企業や事業体が伐採許可証を申請する時には、伐採の目的、場所、林種、森林の状況、面積、蓄積、伐採方法と更新方法などを記載した書類を提出しなければならない。「伐採更新管理規定」に違反した事業体に対しては、その違反作業を完全にやり直すまでに、伐採許可証の発行機関はその許可証を回収し、伐採を停止させることができる(「xxx」第 34 条)。
「xxx実施条例」第 30 条では、伐採許可証を申請する時には、伐採しようとする林木の所有権証明書或いは使用権証明書を提出すると同時に、以下の書類を提出しなければならないと規定している。①国有林業企業の場合、伐採地域の調査または設計資料や前年度の伐採、更新に関する審査報告書など、②その他の企業や事業体の場合、伐採の目的、場所、林種、森林の状況、面積、蓄積、伐採方式と更新方法などを明記した書類、③個人の場合、伐採の場所、面積、樹種、本数、蓄積、更新時間などを明記した書類。
「xxx実施条例」第 31 条では、以下のような場合は、伐採許可証の発行を拒否すると規定している。①防護林や特種用途林に対する非保育的または非更新的な伐採、或いは封山育林地域の林木を伐採する場合、②前年度において伐採後の更新造林を完成していない場合、
③前年度において、深刻な乱伐、森林火災や森林病虫害が発生し、それに対して何らかの予防措置も採らなかった場合。
上述した「xxx」や「xxx実施条例」の規定から分かるように、以下の場合は、伐採許可証を申請しなくても良い。①竹材生産を目的としないxxの伐採、筍の採取;②農家の自留山での薪炭材の採取;③農家の自留地や住宅回りでの小量な林木(個人所有)の伐採。
伐採許可証は森林伐採を行う時の法的な根拠であり、伐採許可証には伐採面積、蓄積
(本数)、樹種、伐採方法、伐採時間、更新の期限などを明記しなければならない。伐採を行う事業体或いは個人は、伐採許可証で規定された伐採面積、蓄積(本数)、樹種、伐採時間などに従って伐採作業を実施しなければならない。更に、更新造林の面積(或いは本数)は、伐採面積(或いは本数)より少なくなってはいけない(「xxx」第 35 条)。
2.木材運輸管理制度
中国では、林区から木材を運び出す場合、国が統一的に調達した木材を除き、林業主管部門から発行された運輸許可書を持たなければならない。林業主管部門は伐採許可書を取得し、伐採許可書の規定事項にしたがって伐採し、林区から運出しようとする木材に運輸証明書を発行する(「xxx」第 37 条)。
主要林区には木材検査ステーションを設立し、木材運輸検査を担当する。ただし、木材運輸検査ステーションの設立にあたっては、省、自治区、直轄市人民政府の許可が必要である
(「xxx」第 37 条)。
国家統一調達木材を林区から運出する場合は、物資主管部門から交付された木材調達通知書を提出しなければならない。非国家統一調達木材を林区から運び出す場合、県以上の人民政府の林業主管部門から発行された木材運輸許可書を持たなければならない。運送会社や個人は、木材運輸許可書を持たない木材の運送を引き受けてはならない(「xxx実施条例」第 35 条)。
重点林区の木材運輸許可書は、国務院の林業主管部門が発行する。その他の木材運輸許可書は、県以上の地方人民政府の林業主管部門が発行する。木材運輸許可書は木材運輸の起点から終点までの全行程において有効であり、許可書と貨物は同行しなければならない
(「xxx実施条例」第 35 条)。
木材運輸許可書を申請する時には、以下の証明書類を提出しなければならない。①木材伐採許可書或いはその他の木材の合法性を証明できる書類;②木材検疫証明書;③省(自治区、直轄市)人民政府の林業主管部門が規定したその他の書類。以上の条件に合う場合、県以上の人民政府の林業主管部門は申請を受理してから3日間以内に木材運輸許可書を交付すべきである。県以上の人民政府の林業主管部門は、当年度の木材生産計画で定めた木材生産量に従って運輸許可材積の総量をコントロールし、計画量をオーバーして木材運輸許可書を発行してはならない(「xxx実施条例」第 36 条)。
合法的な木材運輸許可書がなければ、木材検査ステーションはその運輸する木材を没収し、県以上の人民政府の林業主管部門に請求して、法律に基いて処置することができる(「xxx実施条例」第 37 条)。
「xxx実施条例」第 44 条では、違法な木材運輸について、以下のような罰則を規定している。
①木材運輸許可書を持たずに木材を運輸する場合、県以上の人民政府の林業主管部門はその不法運輸した木材を没収すると同時に、貨物の所有者に不法運輸した木材の総価値の 30%以下の罰金を科することができる。
②運輸した木材の量が木材運輸許可書に記載された運輸許可量を超える場合、県以上の人民政府の林業主管部門はその超過分の木材を没収することができる。
③正当な理由がなく、運輸した木材の樹種、材種、規格が木材運輸許可書に記載されたものと一致しない場合、県以上の人民政府の林業主管部門はその一致しない部分の木材を没収することができる。
④偽造或いは変造した木材運輸許可書を使用した場合、県以上の人民政府の林業主管部門は不法運輸した木材を没収すると同時に、没収した木材の総価値の 10%~50%の罰金を科することができる。
⑤木材運輸許可書を持たない木材の運送を引き受ける運送会社や個人に対しては、県以上の人民政府の林業主管部門はその運賃を没収すると同時に、運賃の1~3倍の罰金を科することができる。
また、「xxx」や「xxx実施条例」に基いて、各地方も当地域の実情に応じて具体的な規定を出している。例えば、「木材運輸管理問題に関する黒竜江省人民政府の通知」では、以下のように規定している。
①木材運輸許可書に適用する木材の種類には、原木、製材、薪材、木片、小規格材、xx竿、雑木竿及び合板などを含む。
②木材運輸許可書を申請するときには、植物検疫証明書を提出するほかに、下記に証明書類を提出しなければならない。a)村が自分で生産した木材を販売する場合は、林木伐採許可証明書、育林費を納めた領収書、木材購入者の職場の紹介状を提出する。b)個人が家のまわ
りに植えた樹木を伐採し販売する場合は、郷(鎮)林業ステーションの証明書を提出する。c)国有林場が生産した木材を販売する場合は、販売領収書、木材購入者の職場の紹介状を提出する。d)木材経営・加工企業が国有林業局、国有林場などの部門から木材を購入する場合は、木材経営許可書、購入領収書、職場の紹介状を提出する。e)輸入材の運輸許可書を申請する場合は、国産材と同じ証明書類を提出するほかに、輸入材の税関通関申告書と職場の紹介状を提出する。
③木材の運輸は等級別で管理する。省内での木材運輸を許可する「省内木材運輸許可書」については地区(市)政府の林業主管部門に統一して管理し、県の林業主管部門を委託して証明書を発行する。省外への木材運出を許可する「省外木材運輸許可書」については、省の林業主管部門が統一して管理し、地区(市)の林業主管部門に委託して証明書を発行する。「省外木材運輸許可書」は国が統一して印刷し、「省内木材運輸許可書」は省の林業庁が統一して印刷する。
④鉄道、道路、水路などの運輸企業は、木材運輸許可書を持たない木材の運送を引き受けてはならない。各級の林業主管部門は法律に基いて、駅、埠頭、貨物置き場、木材市場に対する監督と検査を強化しなければならない。運輸許可書を持たない木材の運輸を発見すれば、法律に基いて厳しく処置し、運送を引き受ける企業の責任を追及する。木材検査ステーションは、法律に基いて責任を履行し、正常な木材流通秩序を維持しなければならない。
「四川省木材運輸管理条例」では、木材運輸は一つの列車(船)に一通の許可書を発行するとし、木材運輸許可書はその有効期間内に一回しか使えないとしている。また、汽車或いは船で大量の木材を運送する場合は、同じ出発と終点、同じ出発時間、同じ貨物所有者、同じ運輸手段であれば、一通の運輸証明書を発行すると規定している。
3.木材経営加工管理制度
「xxx実施条例」第34 条では「林区において木材業を経営(加工を含む)するには、県以上の人民政府の林業主管部門の許可を得なければならない。ここでいう木材とは、丸太、製材、竹材、木材チップ及び省、自治区、直轄市が定めるその他の木材を指す。木材経営企業や個人は「伐採許可証」のない木材或いはその他の由来不明な木材を購入してはならない」と規定 している。
「xxx」第 43 条では、「盗伐の木材であると知りながら、それを購入する違法行為に対して、林業主管部門によってその違法経営の停止を命令し、違法に購入した盗伐、乱伐木材或いはその販売収入を没収し、これと同時に違法に購入した木材の価値の1-3倍の罰金を課することができる。犯罪になるものは、その刑事的責任を追及する」規定している。
「xxx実施条例」第 40 条では、「本条例の規定を犯し、許可を得ずに勝手に林区で木材業を経営(加工を含む)する者に対しては、県以上の人民政府の林業主管部門によってその経営する木材及び経営収入を没収し、これと同時に違法収入の2倍以下の罰金を課することができる」と規定している。
また、2006 年に下達した「木材経営、加工の監督と管理の強化に関する国家林業局の通達」では、木材経営、加工に存在する問題を指摘し、具体的な措置を指示した。その概要は以下のとおりである。
近年、わが国の木材経営、加工業は大きな発展を遂げたが、これと同時に多くの問題も出ている。これらの問題を無視してはならない。一部の地方は木材経営、加工産業に関する計画も立てておらず、管理とコントロールが不足し、森林資源の数量と生産力を考えずに、木材経営、
加工工場を勝手に許可している。これによって正常な林業生産、流通秩序を撹乱し、森林資源の過度な消耗をもたらし、森林資源の安全を脅かしている。さらに、少数の木材経営、加工工場は違法木材の販売拠点となっている。以上の問題について、国家林業局は次のような措置を採るように要求する。
①県以上の地方林業主管部門は、本地域の森林資源状況、森林伐採限度額及び木材供給能力を考慮し、木材経営加工業の発展計画を早急に制定し、産業の配置、工場の数量と規模などを合理的に確定し、木材経営加工業の発展と森林資源の保護の両立を図る。県レベルの木材経営加工業発展計画は上級林業主管部門に、また、省レベルの木材経営加工業発展計画は国家林業局に提出して認定を受ける。国有重点林の木材経営加工業発展計画は所在地域の国有森林工業(林業)経営管理部門によって制定し、国家林業局の審査を受ける。
②各級の林業主管部門は、法律に従って木材経営加工企業の新設を慎重に審査し批准しなければならない。重点国有林地域における木材経営加工企業の新設については所在地域の国有森林工業(林業)経営管理部門、或いは国家林業局が委託した部門によって審査・批准する。
③木材経営加工企業を新設するには、以下の条件を満たさなければならない。a)合法的な木材供給ルートを有し、木材供給源がその経営加工規模と相応しいこと。b)本地域の木材経営加工業発展計画に符合すること。c)その経営加工規模に相応しい生産場所と施設を有すること。d)その経営加工規模に相応しい従業員と木材検査員を有すること。e)国家と地方の関係法律、法規、制度を遵守し、違法経営加工などの不良記録がないこと。
④年間 5 万立米以上の木材を消耗する加工企業を新設し、或いは拡大建設する場合、
省林業主管部門の批准を得なければならない。年間 10 万立米以上の木材を消耗する加工企業を新設し、或いは拡大建設する場合、省林業主管部門の批准を得て、国家林業局に報告しなければならない。
⑤各省の林業主管部門は、本地域の実情に従って、木材経営加工企業の審査基準、権限、手順及び申請書類など具体的な規定を制定しなければならない。
以上の通達にしたがって、各地の林業主管部門は当該地域の木材経営、加工管理に関する規定を制定した。
例えば、「貴州省木材経営管理弁法」では、木材加工、経営に関して以下のように規定している。
①本省行政区域内に木材経営加工に従事する企業と個人は、本「弁法」を遵守しなければならない。本「弁法」でいう木材は、原木、製材、竹材、木材チップ、木炭と胸高直径が 5 センチ以上の林木を指す。
②県以上の人民政府の林業主管部門は、xxx区域内における木材経営加工の管理と監督責任を負う。その他の関係行政部門は各自の責務範囲内で、林業主管部門と協力して木材経営加工の管理と監督をする。
③木材経営加工に従事する企業と個人は、県以上の人民政府の林業行政主管部門に申請を提出し、「木材経営加工許可証」を取得しなければならない。農民が合法的な木材を利用して少量の農具、家具を加工したり、家を建てたりする場合は、この規定から除外される。
④県以上の人民政府の林業行政主管部門は、申請を受け入れてから 20 日以内に審査を完了しなければならない。所定条件を満足し、本地域の木材経営加工計画に符合するものには、「木材経営加工許可証」を発行する。
⑤農民が自家の自留地や家周りにある個人所有の樹木を伐採して、市場で販売する場合は、郷(鎮)の林業ステーション或いは村の村民委員会からの証明書を取得しなければならない。
⑥工商行政管理部門及び林業行政主管部門は、木材取引市場に対して監督・管理しなければならない。あらゆる企業や個人が合法的な証明書を持たない木材を経営、加工してはならない。
4.木材輸出輸入管理制度
(1)木材輸出管理規定
「中華人民共和国対外貿易法」第 9 条では、「貨物の輸入・輸出に従事する対外貿易の経営者は、国務院の対外貿易主管部門或いはその委託機関に登録手続きをしなければならない。登録手続きを履行していないものに対しては、税関はその輸入・輸出貨物の通関手続きをしない」と規定している。すなわち、今の中国では木材の輸出企業に特別な制限がなく、正式に登録手続きをしておけば、あらゆる企業或いは個人も木材を輸出することができる。
「対外貿易法」第 16 条では、「不足する物質の国内供給を確保するため、或いは枯渇する恐れのある自然資源を有効に保護するため、国は特定物質の輸出を制限し、或いは禁止することができる」と規定している。
また、「xxx」第 38 条では、「国は、珍貴樹木及びその製品等の輸出を禁止、或いは制限する。輸出を禁止、制限する珍貴樹木及びその製品等のリストは国務院林業主管部門とその他の関係部門と協力して策定し、国務院の批准を経て実行する。上述した輸出制限の珍貴樹木及びその製品等を輸出する場合は、所在地域の省、自治区、直轄市人民政府林業主管部門の審査を経て国務院林業主管部門の批准を得なければならない。税関は国務院林業主管部門の批准文書を依拠して通関させる」と規定している。
「中華人民共和国貨物輸入輸出管理条例」では、輸出貨物を禁止輸出貨物、制限輸出貨物と自由輸出貨物に分類している。この規定にしたがって、今までに、中国では既に3回の「禁止輸出貨物リスト」を公布した。その中では、12 種類の原木丸太と木材を原料とした木炭を含めている(付録を参照)。
(2)木材輸入管理規定
「対外貿易法」第 11 条では、「国は一部の物質の輸出入について国営貿易管理とする。国営貿易管理とされる物質の輸出入業務は、国が指定した企業だけが経営権を有する。国営貿易管理物質と指定企業のリストは国務院対外貿易主管部門とその他の関係部門が協力して策定・変更・公布する」と規定している。
この規定に基づき、1998 年 12 月以前では、木材輸入は統一経営方式をとっており、「中国土畜産進xxx公司」に所属する「中国木材進xxxx」が総代理として国家の計画内木材の輸入及び地方と部門の木材輸入を担当していた(「木材輸入管理弁法」のxxに関する税関総署通知)。1998 年 12 月 1 日から、木材輸入の指定経営管理を廃止し、対外貿易資格を持つ企業であれば、自主的に木材を輸入することができるようになった(木材輸入の指定経営管理の廃止に関する対外貿易経済合作部の通知)。
「対外貿易法」第16 条では、「人類の健康と安全の保護、動物・植物の生命と健康、環境などを保護するために、国は関係する貨物の輸入を禁止或いは制限することができる」と規定し、また第 26 条では「わが国が締結している国際条約や協定の規定により、国は関係する貨物の国際貿易を禁止或いは制限することができる」と規定している。
「中華人民共和国貨物輸出入管理条例」第2章では、輸入貨物を自由輸入貨物、制限輸
入貨物と禁止輸入貨物と分類している。具体的には、①大多数の貨物は自由輸入貨物に属し、制限されない。②貨物輸入の実状を把握するために、国務院対外経済と貿易主管部門及びその他の経済管理部門が定める一部の自由輸入貨物については「自動輸入許可管理」方式をとる。③数量的に制限される制限輸入貨物については、輸入量配分管理(配額管理)方式をとる。
④その他の制限輸入貨物については、「輸入許可証管理」方式をとる。⑤特定貨物の輸入については国営貿易と指定企業経営という管理方式をとる。⑥禁止輸入類に属する貨物を輸入してはならない。木材及木材製品のなかで、合板類は上述した②に適用し、丸太、製材などはすべて①の規定に適用する。
「対外貿易法」第 22 条では、国は輸入・輸出貨物について原産地管理を講じると規定して
いる。さらに、「輸出入貨物原産地条例」第 11 条では、「輸入貨物の受取人は『中華人民共和国税関法』の規定に従って輸入貨物の税関申告手続きをする時、本条例で定めた原産地基準に基づいて輸入貨物の原産地を誠実に申告しなければならない。一回の輸入貨物に異なる原産地の貨物を含む場合は、分別して原産地を申告しなければならない」と規定し、また、第14 条では、「税関は輸入貨物の原産地を審査・確定する時、貨物の受取人に当該貨物の原産地証明文書を提出させることができる。必要がある時には貨物輸出国(地区)の関係部門に依頼し当該貨物の原産地を確定することができる」としている。
「税関法」第 24 条では、「輸入貨物の受取人、輸出貨物の差出人は税関に誠実に申告し、関係する輸出許可証或いは輸入許可証などの証明書類を提出しなければならない」
と規定し、「対外貿易法」第 34 条では、「対外貿易活動のなかで、輸出・
輸入貨物の原産
地標記を偽造、変造し、または原産地証明書、輸入許可証、輸出入量の配分証明証及びその他の証明書類を偽造、変造してはならない」と規定している。
Ⅲ.森林経営、木材生産、流通に関わる税制
中国の林業税制体系は特定な歴史状況の中で形成されたものである。総じて言えば、主に二つの部分からなっている。第 1 の部分は税収で、第 2 は費用徴収である。中国では普通、この両者を合わせて林業税費と言う。税収には、農業特産税、増値税、企業所得税などがあり、費用徴収には、育林基金、簡単再生産維持資金、森林保護建設費、検疫費、市場管理費などがある。長期以来、中国の林業税費はかなり高い割合を維持しており、地域間の格差も大きい。かつて、一部の地域で木材販売に関わる税費は販売価格の 70%という高率になったこともある。高額の税費は、林業を経営する農民の積極性を抑圧し、林業発展の制約要因ともなっていた。近年、国は一連の改革策を打ち出し、林業税費を大幅に低減した。また、WTO 加盟にともなって、木材貿易に関わる税制も変わりつつある。
1.農業特産税
農業特産税の総称は農業特産農業税という。これは食料生産を確保するために設けた税種である。1983 年 11 月に国務院が下達した「農林特産収入の税収に関する若干の規定」において、園芸収入、林木収入、淡水養殖収入などを「農林水産特産税」の徴収対象と規定した。
1994 年 1 月、国務院は「農業特産税に関する規定」を公布し、農林水産特産税と製品税、工商税の中の農、林、牧、水産品に関わる税目を合併し、農業特産税と改称した。その中では、農業特産税の納税主体を農業特産品の生産者と購入者とし、全国統一の税目はタバコ、園芸産品、水産物、林産物、牧畜産品、食用菌、貴重食品など 7 種類で、税率は 8%-31%と規定した。また、各地方政府は本地域の実情に応じて独自の税目を設けることもできる。さらに、「農業特産税の徴収についての具体的な事項に関する財政部の通知」([94]xx字第 7 号)では、
「原木、原竹を生産する企業と個人、原木、原竹を購入する企業と個人に対し、ともに 8%の税率で農業特産税を徴収する」規定した。この規定によって、木材生産と買い付けという二つの段階でそれぞれ 8%の農業特産税を徴収することになり、両者を合わせた税率は 16%にのぼり、さらにその 10%の地方付加税率を加えると、実質の税率は 17.6%になる。
2001 年 4 月、天然林保護プロジェクトの実施を支持するために、財政部と国家税務総局は、国有森林工業企業の原木に対して生産と買い付け段階でそれぞれ 5%の税率で農業特産税を徴収するという優遇政策を打ち出した。これによって、農業特産税の税率は若干低下したが、二つの段階での二重徴税の問題は依然として解決されていない。
2004 年6 月に、財政部、国家税務総局は「タバコ以外の農業特産税の廃止に関する通知」
(財税[2004]120 号)を下達し、木材などの林産物に対する農業特産税の徴収を全面的に廃止した。
2.企業所得税
企業所得税は企業の所得(経営收入の所得と非経営收入の所得)に対する税種である。経営収入とは生産収入を指し、非経営收入は資産売り払い、銀行利息、株収入などを指す。農
業特産税の納税企業の利潤所得に対しては 33%の企業所得税を徴収する。営利の少ない企業を扶助するために、前年度の納税所得が 3 xx未満の企業に対しては 18%の税率で徴収し、所得が 3-10 xxの企業に対しては 27%の税率で徴収し、10 xx以上の企業に対しては 33%の税率で徴収する。また、農業、養殖業、林産物低次加工業及び国が定めた辺境の貧困国有林場の収入に対しては企業所得税を免除する。林木の種子と苗木生産の収入も免税の範囲に入れられている。
3.増値税
増値税は商品生産、流通とサービス業の各段階に生産財に対して徴収する税種である。増値とは課税対象が生産、経営活動の過程で創出した新しい価値を指す。生産企業の増値とは企業の販売収入から各種の原材料とその他の費用を引いた余剰を指す。流通部門の増値とは販売価格から入荷価格とその他の費用を引いた差である。増値税の徴収は、1993 年 12 月
31 日に国務院が公布した「中華人民共和国増値税暫行条例」に依拠するが、国務院が批准し、財政部と国家税務総局が下達した「林業の税収問題に関する通知」(財税字[1995]第 3 号)では、林業に対して以下のような優遇政策を講じるとした。①企業(或いは個人)が自分の生産した原木、原竹を原材料として利用した場合は増値税を免除する。②「三剩物」(伐採、製材及び加工余剩物)及び小径薪材を原料とする総合加工利用の産品に対しては増値税を全額返還する。
③種子、苗木の輸入及び非営利目的の野生動・植物xxの輸入に対しては輸入段階の増値税を免除する。
4.育林基金
育林基金は森林資源の回復、育成と保護のために設けた林業生産性徴収費用である。計画経済時代では、中国の国有林経営主体は二つの類型に分けられていた。国有森林工業局の主な任務は森林伐採と木材生産で、国有営林局の主な任務は造林と営林であった。営林局の造林、営林資金の不足を解決するために、「林を以って林を養う」という考え方で、森林工業局の木材販売収入から一定の割合で育林基金を徴収し、営林局に充てる。現在の徴収基準は、東北・内蒙古国有林区では、木材販売収入の 26%の割合で、xx地域の集体林区では木・竹材販売価格或いは所定基本価格の 12%で徴収する。上述した育林基金の由来から見ると、農村の集体林や個人所有の林木の販売収入から育林基金を徴収することは明らかに理屈を欠いている。最近、福建省、江西省などの地域では集体林権限制度改革の過程で育林基金の徴収基準を低下させ、農民の負担をある程度低減した。しかし、育林基金の全面的な廃止、或いは農民(実際の育林者)への全額返還までは至っていない。また、国有林経営管理体制改革の進展につれて、国有林の木材販売に対する育林基金の徴収も本来の意義を失うと予想される。
5.簡単再生産維持資金
簡単再生産維持資金(通称「維簡費」)も育林基金と同様に国有林を対象に設けた徴収費
用である。森林伐採と木材生産に必須な林道などの基礎施設を建設し、木材生産を維持していくために、森林工業局の木材販売収入から一定の割合で簡単再生産維持資金徴収し、国の基本建設計画に組み込む。1993 年の新しい会計制度が実施されてから、この資金は国の基本建設計画に組み込まれなくなり、国有林業管理局や地方林業主管部門に移行され管理されるようになった。現在の徴収基準は地域間に差があるが、平均的には1m3 の木材に 10 元以内の維持管理費を徴収している。また、集体林地域も国有林と同じ基準で維持管理費を徴収し、林道建設に充てている。
6.林業保護建設費
1994 年、国務院の批准で林業保護建設費は国家計画委員会と財政部の「行政事業性徴費項目リスト」に載せられ、徴収規準は1m3 の木材に 5 元である。徴収対象は農村経済組織や農民個人以外の木材販売業者と林業主管部門の許可を得て、林区で木材を購入する木材経営企業である。林業保護建設費は林業管理部門によって徴収し、予算外資金として管理される。主に森林保護、森林防火、中・幼齢林保育、林道建設などに充てられる。因みに、福建省では既に 2003 年 8 月 1 日から林業保護建設費を廃止した。
7.植物検疫費
林業管理部門が木材販売価格の 2‰で徴収する。
8.市場管理費
工商管理部門が木材市場での取引額の 1%で徴収する。
9.その他の税費
上述した8種類の統一税費以外にも、いろいろな林業税費がある。徴収部門は林業管理部門以外に税務、工商、都市管理などがある。税費種類は地域によって異なるが、営業税、不動産税、印紙税、教育付加費、都市建設費、工商管理費、森林資源補償費(木材を省外に販売する場合)、森林病虫害防止費、検尺費などが一般的である。
10.木材輸入輸出関税
「中華人民共和国輸入輸出関税条例」第3 条によると、「中華人民共和国輸入輸出税則」、
「中華人民共和国入境物品輸入税税率表」及び関税の税目、税則番号と税率は国務院によって策定される。
「関税条例」第 5 条では、「輸入貨物の受取人、輸出貨物の差出人、入境物品の所有人は、関税の納税義務者である」と規定している。
「関税条例」第 9 条では、「輸入関税には最惠国税率、協定税率、特惠税率、普通税率、関税配額税率等税率を設け、輸入貨物に対しては一定期限内において暫定税率を採ることができる。輸出関税には輸出税率を設け、輸出貨物に対しては一定期限内において暫定税率を採ることができる」と規定している。
「関税条例」第 36 条では、「輸入輸出貨物の関税は、価額方式と数量方式或いは国が定めたその他の方式で計算し徴収する」としており、その計算式は以下のとおりである。
価額方式の計算式:納税額=貨物价格×関税税率数量方式の計算式:納税額=貨物数量×単位税額
「2007 年中国税関輸入輸出関税税率税則(木材及木材産品)」から見ると、中国税関で輸入、輸出木材に対して徴収する税種は主に関税、増値税と消費税という 3 種類である。
輸入関税には最惠税率と普通税率の二種類があり、丸太、製材、古紙、紙パルプなどの低次木材段産品の最惠税率既にゼロになっており、木炭、合板類などの加工品の最惠税率は 4-12%で、木製工具などの税率は 16%である。額縁などの制品の税率は最も高く、20%となっている。輸出禁止の木材を除き、木材の輸出関税税率すべてゼロになっている。輸入・輸出増値税は基本的に二つの税率を設けており、丸太の税率は 13%で、木材制品の税率は 17%である。輸入・輸出消費税の税率はすべてゼロとなっている。
また、「貨物輸入輸出管理条例」第 59 条では「国は輸出信用保険、輸出信貸、輸出税返還、対外貿易発展基金などの措置を講じて、対外貿易の発展を促進する」としている。この規定に従って、これまでに中国は木材製品の輸出に対して輸出税返還の優遇政策を講じていたが、最近では、国内の森林資源を保護するために、2006 年 9 月 15 日から木炭、枕木、針葉樹材製品と一部の木材低次加工製品の輸出税返還を取り消し、家具やその他の木材製品の輸出税返還率を低減した(元の 13%から 11%に低減)。
また、報道によれば、黒竜江省の黑河税関では、木材の輸入増値税について半額徴収の優遇策を採っている。関税と消費税がともにゼロで、増値税税率が 13%であるから、半額徴収後の総合税率は 6.5%となる。
Ⅳ.森林資源、木材生産基盤及び木材貿易の実態
1.森林資源の現状
中国は地域的に広く、自然の気候条件が複雑で、植物の種類が多く、森林資源が豊かで、森林タイプも多様で、地域的分布の特徴が明らかである。中国大陸は北部から南部にかけて森林の主要タイプとして、針葉樹林、針葉樹と広葉樹の混合林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、季節雨林と降雨林といった順に相次いでおり、独特で多種多様な森林景観を構成している。半世紀余りの森林造成事業によって、中国の林業はかなり大きな発展を見せた。6 大林業重点プロジェクトの実施と全国民義務植樹事業の展開により、中国の森林面積、質、森林の蓄積量及び森林率は明らかに高められてきた。第6 次全国森林資源継続調査結果の統計(1999-2003)によると、中国では現存の森林面積 1.75 億 ha、森林率 18.21%、xx蓄積総量 136.18 億 m3、森林蓄積は 124.56 億 m3 である。
地域的特徴によって、中国の森林は五つの主要林区に区分できる。第 1 は東北・内蒙古林区で、主としてxxx、吉林、内蒙古の大半或いは一部をカバーしている。当該林業区の森林面積 3778 万ha、森林蓄積量 31.56 億m3 である。第 2 は南西部xx林業区であるが、主として雲南、四川、チベットの一部が含まれる。当該林業区の森林面積は 3911 万 ha、森林蓄積量
49.13 億 m3 である。第 3 は東南部丘陵林業区である。主として江西、福建、浙江、安徽、湖北、湖南、広東、広西、貴州、四川の全部或いは一部が含まれる。当該林業区の森林面積は 5358万 ha、森林蓄積量 21.03 億 m3。第 4 は北西部xx林業区である。主として新疆の天山山脈とアルタイ山脈、甘粛省の祁連山山脈、xxx及び子午嶺、陝西省の秦嶺、xxxの森林地域が含まれる。当該林業区は森林面積 479 万 ha、森林蓄積量が 4.90 億 m3 である。第 5 は熱帯林業区で、主に、雲南、広西、広東、海南、チベットの全部或いは一部が含まれる。この林業区の森林面積は 1030 万 ha、森林蓄積量が 9.03 億 m3 である。中国のxx面積は 484.26 万 haあるが、主に福建、江西、浙江、湖南、広東、四川、安徽、湖北、重慶等の 10 省(自治区と直轄市)に分布している。FAO 報告«2003 世界の森林状況»の分析によれば、中国の森林面積はロシア、ブラジル、アメリカ、カナダ、コンゴに次ぎ第 6 位である。中国での人工林面積は 5325.73万 ha で、世界第 1 位、その蓄積は 15 億 m3 ある。
取りまとめて言えば、第 6 次全国森林資源継続調査結果では、第 5 次(1993-1998)の結果に比べ、その総量は持続的に増加し、森林の質は絶えず向上され、その構成が徐々に合理的な良い態勢が現れてきたといえる。
(1)森林面積は持続的向上。森林面積が 1596.83 万 ha 増え、森林率は 16.55%から
18.21%に 1.66 ポイント上昇。
(2)森林蓄積量の安定的な増加。森林の蓄積量は 8.89 億 m3 増加した。年平均では 1.78億 m3 の増加があった。そのうち、人工林の蓄積量は 4.90 億 m3 で、年間 0.96 億 m3 増加した。それは森林蓄積増加量の 55.07%を占めており、人工林蓄積量の向上が明らかになった。
(3)改善しつつある森林の質。林分ha当たりの蓄積量は2.59 m3 増加し、84.73 m3に達し、 ha 当たりの本数は 72 本増加した。広葉樹林と針・広混合林の面積割合は 3 ポイント増え、中齢
林と近熟林面積の割合が 2.99 ポイント向上した。
(4)林種の構成は徐々に合理化。保安林面積 5474.63 万 ha、特殊用途林の面積 638.02
万 ha となり、両者の合計は林分面積の 42.81%を占めている。保安林と特殊用途林面積の割合が 21 ポイントした。これにより、木材生産をメインとする林業から、生態建設をメインとする林業への歴史的転換期において、その成果が現れ始めたと見なすことができる。
(5)成果が顕著な非公有制林業。全国の非公有制所有の森林面積は 30.32%で、現在で
は、未成林植林地の中で非公有制の割合が既に 41.14%に達しており、林業所有制の形式と投資構成が徐々に多元化しつつある証拠となっている。
森林資源に対する保護や経営上で既に成果が見られたとはいえ、中国の森林資源は不利な面があることをはっきりと認識しなければならない。
第1はその総量が不足していることである。中国の森林率は世界平均水準の 61.52%に相当し、世界の 130 位に位置つけられている。一人当たりの森林面積は 0.132ha で、世界平均レベルの四分の一にも及ばず、世界 134 位。一人あたりの森林蓄積量は 9.42m3 で、世界平均レベルの六分の一にも達しておらず、世界 126 位である。
第2に、森林分布がアンバランスある。東部地域の森林率は比較的高く、国土面積の 34.27%を占めるが、西部地域では 12.54%である。特に国土面積が 32.19%を占める北西部5省での森林率は僅か 5.86%しかない。
第3に、森林の質が高くないことである。全国の平均林分蓄積量は 84.73 m3/ha で、世界平均レベルにほぼ等しい 84.86m3/ha である。(世界の平均蓄積量:99.5 m3/ha)。
第4はxx構成が合理的ではないことである。幼齢、中齢林面積が林分面積全体に占める割合は 67.85%に達している。人工林の経営レベルが比較的低く、樹種が単一的であるという問題が顕著で、人工林の林分蓄積量は僅か 46.59 m3/ha に過ぎなくて、天然林における 95.87 m3/ha というレベルに及ばない。植林樹種の選択については、xxではコウヨウザンとバビショウ、北方ではカラマツとポプラといったモデルがまだ継続している。
2.木材生産基盤
中国において林業用地面積は 2.83 億ha あるが、その内訳は有林地面積 1.69 億ha、xx地面積 599.96 万 ha、潅木林地面積 4529.68 万 ha、未成林植林面積 489.36 万 ha、苗畑面積
27.09 万 ha である。有林地面積のうち、林分面積は 14278.67 万 ha で、84.48%を占め、経済林が 2139.00 万 ha(12.66%)を占め、xx 484.26 万 ha(2.86%)である。そのうち人工林面積は 5325.73 万 ha で、有林地面積の 31.51%を占めている。
全国におけるxxx蓄積量は 132 億 5935.60 万 m3 であるが、そのうち、森林としての積量は 120 億 9763.68 万 m3、xx地の蓄積量 1 億 2816.39 万 m3、散生木林地の蓄積量 7 億 1032.94 万 m3、四傍植林(注:道路、河川、耕地、集落等の周辺への植林を指す)による蓄積量、3 億
2322.59 万 m3 になる。中国国家林業局の規定によれば、2006-2010 年の期間に、森林伐採限額(限定量枠)は年間 2 億 4815.5 万 m3 であるが、そのうち、伐採タイプ別では、主伐 1 億
1743.7 万 m3、保育伐採 5624.1 万 m3、更新や生産性の低下した林分の改善及びその他の伐採 7447.7 万 m3 である。消費構造別の限額枠では、商品材用 1 億 5769.7 万 m3(歩留まりは 9982.8 万 m3)、非商品材用 9045.8 万 m3 となる。森林のタイプ別による伐採限額は、天然林
9121.4 万m3、人工林 1 億 5694.1 万m3(このうち産業用林としては 5422.9 万m3 がある)。地域別に見ると、東部地域で商品用材の年間限額がある程度緩和されたけれども、西部地域では天然林の年間伐採限額が更に厳しくなった。他方、南部地域では産業用材の年間伐採枠は大幅に増加され、北部地域では年間伐採限額が顕著に減額された。(注:中国ではこのような林業の
政策方針を「北休、南用、西冶、xx」と呼称している)。
中国製紙協会の資料によれば、2004 年度には、中国には生産量 10 万トン/年以上の紙パルプメーカーが 99 社ある。年間生産量で最も多いメーカーは、xxx晨鳴紙業で、年間販売
額 85.75 億元、利益が 13.46 億元になる。地域的に見ると、紙製品を年間 100 万トン以上生産し
ているのは 10 省で、山東、浙江、広東、福建、江蘇、xx、xx、湖南、福建、安徽、四川であ
る。年間生産量で最多の省は 997 万トン、販売額 565.84 億元である。
中国の家具メーカーに関する関係資料では、全国に家具メーカーは 5 万社以上あるが、企
業の大半は小規模で、年間売上高 3 億元を超える企業は極めて少数で、同 1-3 億元の企業数は 10%以下、同 1 億以下の企業が大部分で、それらの競争力は弱い。
3.木材貿易事情
中国では林産品の輸出入貿易が高速に発展してきており、輸入より輸出の伸び率が高い。輸入超過が縮小され、輸入材の価格が上昇している。林産品の輸出入はアジアと欧米市場に集中しているが、アジア市場の比率は下がり、欧米市場の割合が上昇している。中国の林産品貿易は、基本的に国内の経済成長と国民の生活需要を満足させているが、それと同時に、家具やフローリング等の製品を大量に輸出して、国際競争に参加している。2005 年度には、中国の林産品貿易の総額が 383.18 億ドルに達した。輸出入額共に増加し、建国以来、林産品の輸出入貿易において初めて輸出超過となった。前年度より貿易総額は 18.51%伸長し、輸出額がはじめて 200 億ドルを超え(増加率 29.36%)、輸入額は 176.27 億ドル(増加率 7.87%)で、輸出超過額は 30.64 億ドルとなった。中国の林産品貿易体制と政策は林産品貿易の発展に有利な方向に向っている。
(1)原木貿易
2005 年度においても、原木輸入は引き続き増加しており、各種原木 2937 万m3 を輸入した。輸入額は 32.44 億ドルで、2004 年度比、輸入量で 11.91%、輸入額で 15.66%増加した。そのうち、針葉樹材の原木輸入量 1827 万m3、輸入額 13.88 億ドル、広葉樹材の原木輸入量 1110 万 m3、輸入額 18.56 億ドルとなった。原木輸出は連続下降していたが、2005 年度は初めて上昇傾向が見られ、輸出量 0.69 万 m3 で(前年度比+12.43%)、輸出額 204 万ドル(前年度比+ 4.13%)となった。
2000-2005 年の期間、原木輸入態勢は総体的に上昇する方向にあったが、輸入量は
1361.2 万 m3 から 2937 万 m3 に増加し、伸び率は 1.42 倍と増加速度は緩やかであった(図 4-1参照)。2002 年度の増加速度が最大で、前年度の 1686.3 万 m3 ら 2433.3 万 m3 に年間伸び率は 44.30%となった。しかし、2003 年度からと 2004 年度にかけて、その増加は量、金額とも緩やかに低下し、それぞれ 4.62%、3.10%であった。2005 年度には増加度がまた上昇し、年間伸び率は 11.91%となった。
輸出量は、2 億 6711 万 m3 から 6900 万 m3 へと、74.17%低下した。
2005 年度における中国の原木輸入相手国は、ロシア、マレーシア、ニューギニア、ミャンマー、ニュージランド、ガボンの順であった。2004 年度に比べ、ミャンマー4 位、ニュージランドは 2004年度 7.55%から 3.18%へと若干低下を示し、3 位から 5 位になった。ニューギニアは 4 位から 3位に上昇したとは言え、輸入量では 2004 年度の 5.41%から 5.00%に下回った。ロシアとマレーシアが 2000 年度以来原木輸入相手国として 1 位と 2 位の順位は変わらなかった。
3500.0
104m3
3000.0
2500.0
2000.0
1500.0
1000.0
500.0
0.0
2937.0
2433.3
2545.6
2624.4
1686.3
1361.2
2000
2001
2002
2003
2004
2005
図 4-1 原木輸入量の推移(2000~2005 年)
104m3
2500
68.20 %
60.86
2000
64.84
2003.0
56.441701.6
70
60
51.981480.841436.77
43.57
50
1500
42.47 40
1000
876.57
30.99
430.5
593.1
30
500
21.27
20
94.93
159.12
0
10
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
Sum of l og i mpor t Pr opor t i on
図 4-2 ロシアからの原木輸入量の推移(1997~2005 年)
近来、中国はロシアからの原木輸入量が急激に増加している(図 4-2 参照)。2002 年度の輸入量は 1480.84 万 m3、増加速度が最も早く、2001 年度に比べて 68.94 ポイント増加し、全中国の原木輸入量におけるロシア材の割合が、2001 年度 51.94%から 2002 年度には 60.86%に上昇した。2003 年度の輸入量は、2002 年度に比較して 3.0 ポイントの低下し、全量にしめる割合は 56.44%に下回ったが、中国の原木輸入相手国としては最大であった。2004 年度のロシア原木輸入量は 1701.6 万 m3 で、全原木輸入量の 64.84%を占め、2003 年比 8.4 ポイントの増加。 2005 年度は、ロシア原木輸入量 2003.0 万m3 で、全原木輸入量の 68.20%を占め、他国を圧倒した。このように、中国の原木輸入はロシアへの依存度がいっそう強まっている。
(2)製材貿易
2005 年度における、各種製材品の輸入量は 597.3 万m3 で、輸入額は 15.08 億ドルに達しており、2004 年度より量で 0.5%減、金額で 8.70%増加となった。そのうち、針葉樹製材品の輸
入量は 188 万 m3、輸入額 3.17 億ドル、広葉樹製材品の輸入量は 409m3、輸入額 11.91 億ドルである。製材品輸出は61.5 万m3、2004 年度比25.68%増で、輸出額2.79 億ドル、2004 年度比、 26.72%増となった。
2000-2004 年の期間、中国の主要製材品の輸入相手国としては、インドネシア 1 位を維持したが、輸入総量は減少した。2000 年度 29.30%から 2004 年度 15.88%に低下し、2005 年度は更に 12.1%に減少し、順位も 4 位となった。対照的にロシアの製材品輸入量が急激に増加し、 2003 年度 4 位、2004 年度 3 位、2005 年度には 1 位となった。タイ及びアメリカからは、2004 年度にそれぞれ 2 位、4 位となり、2000 年度以降、両国からの輸入量が着実に増加し、タイは 5.20%から 13.34%、アメリカは 9.00%から 12.93%に上昇した。2005 年度にはアメリカが更に 2位に上がり、輸入総量に占める割合は 14.3%になった。タイは 2005 年度 3 位で、輸入総量の
12.8%であった。カナダは 2004 年度に初めて 5 位に上がり、輸入総量の 7.26%を占めた。マレーシアとドイツは年々下り坂にある。
輸出については2000-2004 年の期間、中国製材品の主要輸出相手国は日本及び韓国で、 2003 年度を除けば 70%以上の製材品が日本向け、韓国向けは 10%程度であった。2003 年度以降、対外輸出相手国に変化が起こり、アメリカ、イギリス、カナダも中国の貿易相手国となったが、特にアメリカが 2003 年度には製材品全輸出量の 25.48%を占めた。
中国はロシアから製材品輸入を安定して増加させてきた。(図4-3 参照)。1997-2000 年の期間はその増加速度は遅かったが、2001 年度にそれが加速され、30.84 万m3 の製材品が輸入され、全国製材品輸入総量の7.64%を占め、2000 年比95.81%の増加となった。2002 年度の輸入量は 55.16 万m3、全国製材品輸入総量の 10.22%を占め、2001 年度より 78.86%の増加となった。2003 年度は 2002 年度とほぼ等しく、製材品輸入総量に占める割合は若干低下したけれども、2004 年度に再度増加傾向が見られ、製材品輸入総量の13.34%と、2003 年度より輸入量を 42.78%増加させた。2005 年度は引き続き増加し、製材品輸入総量の 17.70%を占め、2004年度の輸入量より 31.96%の伸び率であった。
104m3
150
%
18
17.70
120
15
90
105.7
13.34
10.18 80.1
10.22
12
9
60
55.2
7.64
30.8
56.1
6
30
4.33
3.77 15.8
8.2
3
0
1.10.84 1.2
0.72
0
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
Sum of sawnwood i mpor t Pr opor t i on
図 4-3 ロシアからの製材輸入量の推移(1997~2005 年)
(3)木質ボード貿易
● 合板
2005 年度の各種合板輸入量は 58.4 万 m3、輸入額 2 億 7589 万ドルで、2004 年度より
それぞれ 25.13%、28.21%減少した。合板の輸出量は 554 万 m3、2004 年度 430.55 万 m3
より 28.67%増加し、輸出額は 183607 万ドルで、2004 年度 124994.1 万ドルより 46.89%増加した。輸入に比べ輸出の増加速度がいっそう速いことが明らかである。
2000 年度以降、インドネシアは中国の合板輸入最大国を維持してきたが、輸入率において若干の変化があった。数年来 2、3、4 位はマレーシア、韓国、日本であったが、その輸入率において、激しい変動もあった。
2004 年度における合板輸出の主要相手国・地区は、アメリカ、日本、韓国、中国台湾、イギリスの順位である。中でも、アメリカ、日本、韓国は三年間連続で 1、2、3 位を占めた。アメリカに対する輸出率が年々上昇する傾向が見られ、2000 年度 13.20%が、2004 年度には 33.54%へと上昇した。
● ファイバーボード
2005 年度、中国のファイバーボード輸入量は 67.7 万 m3 で、2004 年度 116.12 万 m3 比
41.70%下回った。輸入額は 2 億 2926 万ドルで、2004 年度 2 億 7272.5 万ドルより 15.94%下がった。2005 年度の輸出量は 96.5 万m3 で、2004 年度の 50.9945 万m3 より 89.24%増加し、輸出額は 3 億 9616 万ドルで、2004 年度の 1 億 2512.1 万ドルに比し、216.62%の伸び率となり、輸出増加が輸入を大きく上回っている。
2002-2004 年期間、中国のファイバーボード主要輸入相手国はマレーシアが 1 位で、継続して増加趨勢にあり、輸入総量に占める割合は、2000 年度 11.60%から 2004 年度 24.28%に上昇した。
● パーティクルボード(PB)
2005 年度の各種 PB 総輸入量は 3.1 万 m3 で、2004 年度 73.8 万 m395.80%と急減、輸入額は 834 万ドルで、2004 年度 1 億 2319.7 万ドルより 93.23%減少した。輸出量は 0.5 万m3 で、
2004 年度の 13.0751 万 m3 より 96.18%下回り、輸出額は 183.9 万ドルと 2004 年度の 2139.4万ドルより 91.40%減少した。輸入・輸出ともに、中国における PB の流通は明瞭な減少傾向を示し、特に輸出量の下落幅が大きい。
2000 年度以降、タイが中国の PB 輸入主要国 1 位で、輸入率も増加趨勢にあり、2004 年度には 33.09%になった。
(4)家具貿易
2005 年度に中国で家具の輸入個体数が 73 万個で、2004 年度 85.19 万個体より 14.31%下回った。輸入額は 6874.5 万ドルで、2004 年度 7270.6 万ドルより 5.45%下がった。輸出については 1 億 4937 万個体で、2004 年より 15.02%低下した。輸出額は 46 億 5783 万ドルで、2004年度より 10.93%下がった。家具の輸出入取引について初めての下降現象となったが、輸入より輸出の減少幅が大きい。
2002-2004 年の期間、中国家具の主要輸入相手国としてはドイツが1位で、2002 年度には最高になり、輸入全体の 25.14%を占めた。2003 年度と 2004 年度に若干の下降があったけれども、2000 年度より増加した。2 位はイタリアである。2001-2004 年の中国の家具主要輸出相手国に変化は無かったが、アメリカ、中国香港、日本、イギリスの順位であった。
(5)パルプ、紙・紙製品貿易
● パルプ
2005 年度において、中国のパルプ輸入量は 1345 万トンで、2004 年度より 86.42%の増加率が見られ、輸入額は 67 億 3209 万ドルあった。2004 年度に比べて 90.89%(付表 17-18)の伸び率となった。パルプ輸出は 2005 年 4.7 万トンで、2004 年度の 30 倍となり、輸出額は 3565
万ドルで、2004 年度 82.5 万ドルより 42 倍上昇した。パルプの輸出貿易が急激に増加し、特に
輸出量及び輸出額が大幅に増えた。
2000-2005 年の期間において、中国のパルプ輸入主要相手国はでカナダ、インドネシア、ロシアの順位であった。
● 紙・紙製品
中国における紙・紙製品の貿易は全体的に見て輸出が先行する。2000-2004 年の期間で中国の紙・紙製品輸入にあまり変化はなく、500 万トン前後が維持された。輸出では増加傾向が見られ、26.3 万トンから 57.7 万トンに上昇した。また、中国ではここ数年来古紙の輸入量も増加傾向にある。2005 年度の中国の紙輸入相手としては、中国台湾、アメリカ、韓国の順、2004 年度では日本 1 位、アメリカ 2 位であったが、2000-2003 年期間はその順位に時々変化があった。中国の古紙の輸入の主要相手として、アメリカ、日本、中国香港の順位である。
2000-2004 年期間、中国の紙・紙製品の輸出主要相手国は中国香港、アメリカ、日本の順であった。
Ⅴ.木材流通に関わる市場形成と商業制度
1.業界の規格
木材が流通販売されるためには、様々な国家規格や業界規格がある。貯蔵、包装、販売等につき、それぞれの国際規格と決まりがある。例えば、原木検査・表示は GB/T144-1995 の規格に(注:GB は中国国家規格である国家標準=Guojia Biaozhun の頭文字)、パーテイクルボードの表示や包装、輸送では GB/T4897 規格、ランバーコアの表示、包装、輸送、貯蔵は GB/T5849 の規格、化粧板の包装、輸送、貯蔵については GB/T7911 規格、合板の標識、包装、輸送、貯蔵は GB/T9846.7 の規格に符合すべきものである。
2.取引方式
販売にあたって、主として生産者と販売者とは直接面会して行なうことで、市場の形式は主として大型木材取引センター、港と駅、木材専用市場、大型木材及び製品展示会と取引会、国際貿易がある。湾岸で販売する場合家族式経営が多く、取引が携帯電話で行い、荷物を確認した以上、輸送するよう携帯電話で連絡する。湾岸から直接荷卸まで輸送するのにトラックの運転手に聞けば分かる。林木専用市場――海外調達――ある特定の場所(会社に入らない)で販売するか、或いは会社に入って(会社というのは販売の拠点だけである)販売する。ユーザーは会社或いは特定の場所で買い付けすることになる。
3.商業制度
2006 年に中国は木材製品の税収政策を三回調整した。その調整内容が主として消費税の徴収、輸出税金返還率の調整、部分製品輸出入の制限、輸出税の徴収という四つの部分からなる。これは中国政府が木材原木輸入への励まし、木材資源商品輸出へのコントロール、森林資源への保護という目的の現れである。税収政策の調整は中国木製品業界の産業構成を更に調整し、産業の集中度と全体競争力を向上させる。原木及び木製品に関する政策と調整後の政策ガイドラインとしては、原木や製材品のような資源型の加工度の低い製品の輸入を中国はゼロ関税の輸入政策で支援している。一方、輸出に対しては、枠の制限で厳しく抑制され、木製フロア材のような資源を多く消耗する木製品に中国国内で販売する場合、5%の消費税を課することになる。輸出にあたり、国が課せられた増値税の税金返還を実行せず、加えて 10%の輸出税を課することになる。これは国が木製品の消費抑制という政策的ガイドを表明している。総合的に利用された木材製品の種類に属する強化フロア材の輸出にあたり、輸出税金返還政策を享受するが、税金の返還率が若干下がる。国内販売の場合、5%の消費税を課せず、合板と木製の窓枠、木製のドアもこのように対応することになる。小径材を利用して生産されたファイバーボードとパーティクルルボード等に対しは、輸出に際して、元の税金返還率 13%の政策を維持することになり、下げられなかった。竹製のフロア材も同じように対応することになる。
4.ロシア材の中国市場に於ける流通とそれに関与する部分
ロシア材の中国市場における流通に関しては、基本的に三つの流通の節目となる部分が存在する。即ち、一、二、三級市場を経由して初めて、最終的に消費者へ届く。そのうち、一次市場は主として国境に設置され、例えばスイフンガ、满州里とニレンホト(二連浩特)のそれはこの一級市場である。二次市場は主に規模の大きい木材集散地の市場を指し、大都会と交通便利な地域に設置されている。例えばxxxのxx市、遼寧省の大連、江蘇省の太倉などの港町にある。三級市場とは大型木材集散地に近い小型木材小売市場を指し、主に県の下のxx(注:xx=中国の行政単位で、省・直轄市-県-郷・鎮の階層)或いは大型木材集散地周辺に設置する(図 6 参照)。
4.1 一級木材市場
一級市場におけるロシヤ材を取り扱う企業の殆どはロシア材を直接に輸入するが、それぞれ異なる購入方法でロシアにおいて木材を獲得する。これについての調査では、中国企業のロシヤ材輸入は以下の三種類の方式に区分される。一つはロシアで林地を買収して、その買収した森林の伐採権を獲得し、そこで自社による木材伐採を手がけ、伐採した木材を国境(一級市場)まで運搬して販売する。もう一つはロシヤ国内で林地を購入しないで、何ヵ所かの木材調達場所だけを設置し、常駐する駐在員によって地元で木材を購入して、中国国内まで配送する。第三のやり方については一と二を兼ねた方法で、ある程度の面積の林地伐採権を獲得しながら、同時に地元で必要により購入する。全体的に見れば、ロシア材輸入貿易に従事する中国の企業の規模は殆ど大きくはないし、資金の制限もある。従って、ロシアで森林を購買出来る企業はかなり少ない、現時点の状況から見ると、やはり、現地で木材を購入する企業の方が比較的多数である。
ロシアで森林を購入したスイフンガ友誼木業有限公司総経理の説明では、同社のロシア国内での木材伐採は、ロシア林業関係機関の規定した伐採方式――帯状皆伐――を厳守しながら、その伐採作業を進め、さらに、これは天然更新に対して有利となるため、伐採帯間に一定の距離を残す。それとともに、伐採許可を得た樹種しか伐採しない。さもないと地元政府は外国への木材運搬を禁止する。
2級木材卸売市場:
各省都・都市
1級木材卸売市場:
スイフンガ、マンシュウリ、ニレンホト
3級木材小売市場:
2級市場周辺地区
3級木材小売市場:
大中型木材消費都市
3級木材小売市場:
2級市場周辺地区
最終ユーザー(建築工事組織、家具および木製品企業・個人)
2級木材卸売市場:
主要木材集散地
図 4-4 ロシア材流通コース
同社の木材伐採作業は、大体、地元のロシア人に任せてやり遂げる。山での木材伐採も担当し、また伐採された木材もxxにある貯木場まで運搬させる。これらの作業にかかるコストは大体 12$/m3 になる。現地聞き取りによれば、中国から労働者を雇用するより地元のロシア人を使う方が割合気楽だし、また掛かる費用も比較的少ないという。
ロシア国内においてロシア産木材買収を主とする多数の中小企業では、ロシアに置いてある長期駐在員事務所に依存して、現地で木材を買収し、中国国境まで運搬する。これらの企業の木材買収先は、ロシアの現地にある木材伐採会社或いは貿易会社である。例えばスイフンガ市に存立する三峡経貿有限公司も比較的大型企業に属し、この公司はロシア国内で7つの事務所を設立し、長期駐在員約 50 人が駐在して、彼らは木材の買収、トラックに木材を積み・配送などの活動を手がけている。
現在、中国へ輸入されるロシア材はロシアの天然林からのものが主力であるが、その中には持続可能な森林から伐採されたものがどれぐらいあるか、どれぐらい違法伐採になるか
については、中国国内で判断することはなかなか難しいことである。こうした統計に関する難しさについて、主に二つの原因がある。一つは、ロシア側では伐採許可を与える森林の全てに持続可能な経営“認証”を求めるか否か、さらに、ロシア国内において森林伐採と貿易に取り組んでいる全ての企業に対して、厳格な監査・管理システムが形成されているかどうか、などのことについては、中国国内では調査が出来ないこと。また、中国の企業側から、彼らが行っている海外での木材買収あるいは木材伐採に関する実情を調査しようとすれば、これも相当困難なことである。なぜならば、これらの会社のロシア駐在員は、木材を買収する場合、買収される木材そのものの伐採起源さえもはっきり分からないし、それに違法伐採材だと分かっても、会社自身の商業利益を求めることに駆られて、これを事実としてオープンにして承認したくない。調査者の判断によれば、ロシア材の輸入貿易に従事している会社の多数は小規模の私営企業であり、しかも従業員の資質は高くないし、生態環境を保護する意義への認識も全面的に足りないと言っても過言ではない。それに、現時点の中国国内において、未だxxな “森林認証”制度は実施されていない。現在、中国では、伐採限額制度(天然林伐採禁止にともなう伐採量制限制度)のみが実行されている。しかしながら、伐採限額を超える伐採に対して、依然として完全に取り締まりがなされてはいない。だから、これらの企業が木材経営活動を行う時に“木材の伐採元”を殆ど気にしないことは、恐らく、相当、普遍的に存在していると考えられる。こうした状況分析に基づけば、輸入ロシヤ材中には、必然的に、違法伐採が含まれているに違いないと思われる。しかしその量がどれほどか、どの程度の割合になるか等については推定することができない。
一級市場の主要な特徴としては卸売りのみを取り扱い、小売業務は行わない。鉄道車両単位(車両当たり約 65-70m3 積み)として卸売りを行う。取引活動も、直接、駅において行う。運材列車は駅に着くと、そこに駐在する木材購買人員たちは直ちに駅まで我勝ちに殺到して木材を確かめるとともに、貨物所有者との取引きを決める。国境(一級木材市場)に長期駐在する木材購買人員は、殆ど国内各地域にある木材流通を行う二級卸売り業者であり、彼らは一級木材市場で購買した木材をその場で、直ちに鉄道を通じて直接に国内の主要な木材集散地まで輸送して、その市場において卸売販売する。近年来、国境地帯に於いて木材加工企業の建設が急速に増大するに伴って、ある一部の企業の場合では、ロシア国内の木材を直接輸入するほかに、同時に、ロシアの現地で木材の買付けを行う。その交易の仕方は基本的に外地の会社と同様である。
既述したように、中国のロシア材輸入は、主に、スイフンガ、満州里およびニレンホトの3カ所の国境鉄道に集中する。これらの地域は最終消費区でないが、それぞれがロシア材取扱量の最も大きい一級木材市場である。この三つの地域の地理的条件の違いと加工能力の違
いによって、それぞれの木材市場の木材流通先や輸出製品もある程度の区別が存在している。
スイフンガ市場:ここはロシア材輸入量の最も多いところであり、その木材市場の規模も
全国一番である。2004 年におけるスイフンガを経由のロシア材輸入量は、原木および製材は、それぞれ、591.7 万m3 と 10.11 万m3 で、全国総輸入量の 34.8%および 12.6%を占める。ここの一番重要な特徴はロシア広葉樹材の輸入量が割りに大きいことである。スイフンガ税関の統計に基づき、2004 年 1-6 月の期間における各種広葉樹材のみの輸入量も 88 万 m3 に達し、これは同期におけるxxx輸入量(273 万m3)の 32.5%を占め、これと逆に、針葉樹材は、ただ、 67.5%占めたのみである(表7参照)。2004 年における中国全体のロシア産広葉樹材原木の輸入量は221.5 万m3 である。表6の統計によって概算すると、ここだけの広葉樹材原木の輸入量は全国のそれの約 79.3%を占めた。これは、中国のロシア広葉樹材輸入総量の 80%近くもスイ フンガを通って輸入されたともいえる。
スイフンガのもう一つの特徴は木材加工業も相当進んでいることである。現在、半数近くの輸入材がここで加工されるし、だからこそ、ここから配送される木材の約半分は製材品と見ても良い。例えば、異なるサイズの角材、集成材、フローリングの半製品と無垢材家具(針葉樹材キッチン用テーブル・椅子が主力)である。輸入された原木の 50%前後しか内陸部へ販売されない。初歩的な調査によって、同地の市場から運び出される木材は主に東北(大連を主とし)、華北及び華東沿海地域へ流通し、ごく少量のものは、遠く内陸部とその他の地域に販売される。大連に輸送される木材はそれぞれの製材品に加工されて、一部の製材品は外国に向けて販売される。
満州里市場:この市場のロシア材輸入量は、スイフンガ市場に次いで、全国二番目にある。2004 年には 580.🡪 万 m🡪 のロシア材を輸入した。その内原木は 545.🡪 万 m🡪、製材 🡪4.99万 m🡪、それぞれロシア材輸入量全体の 🡪4.1%と 4🡪.7%を占めた。現在、この市場での木材加工業はまだ開始さればかりの段階にあり、加工能力の限界もある。従って、ここから運び出す木材は依然として原木が主力である(大体 90%を占める)。多量な木材を東北、華北、華東と華中などの地域へ販売し、僅か少量なものを華南と華西に仕向ける。
(図 4-5 参照)。原木は 545.3 万m3、製材 34.99 万m3、それぞれロシア材輸入量全体の 34.1%と 43.7%を占めた。現在、この市場での木材加工業はまだ開始段階にあり、加工能力の限界もある。従って、ここから運び出す木材は依然として原木が主力である(大体 90%を占める)。多量の木材が東北、華北、華東、華中などの地域へ販売され、僅か少量なものを華南と華西に仕向けられる。(図 4-5 参照)。
ニレンホト市場:この三つの市場のなかで、この市場のロシア材輸入量は、最も少ない。
2004 年に、この市場から輸入されたロシア産原木は 220.9 万 m3、製材 10.92 万 m3 になり、それぞれロシア材総輸入量の 13%と 13.6%占める。この国境市場の場合は、輸入原木の大部分
表 4-1 2004 年上半期における スイフンガから輸入したロシア材樹種別統計
樹種 | 輸入量(m3) | % | 輸入金額($) | % |
キハダ | 14 | 0.00 | 770 | 0.00 |
欧州アカマツ | 791 | 0.03 | 125417 | 0.05 |
カエデ | 849 | 0.03 | 67980 | 0.03 |
xx | 884 | 0.03 | 253168 | 0.10 |
満州クルミ | 2433 | 0.09 | 284744 | 0.12 |
朝鮮五葉松 | 30783 | 1.13 | 2714377 | 0.12 |
ニレ | 63343 | 2.32 | 6172951 | 2.55 |
ポプラ類 | 87835 | 3.22 | 5135725 | 2.12 |
モミ類 | 100 021 | 3.67 | 6790993 | 2.81 |
シナノキ | 141441 | 5.19 | 17473949 | 7.23 |
シラカバ | 167104 | 6.13 | 11150207 | 4.61 |
モンゴリナラ | 193211 | 7.08 | 38598765 | 15.96 |
ヤチダモ | 228699 | 8.38 | 43070000 | 00.00 |
xxxxxx | 000000 | 00.00 | 00058045 | 10.57 |
カラマツ | 607834 | 22.28 | 36988906 | 15.30 |
トウヒ類 | 726092 | 26.62 | 47442653 | 19.62 |
合計 | 2727671 | 100 | 241833313 | 100 |
針葉樹であり(モンゴリマツ、トウヒ類、カラマツを主とし、それぞれが輸入全体量に占める割合は、75%、16%、4.7%)、その他はごく小量のカバ類だけである(全部でも5.6 万m3 しかない。約 2.5%を占める)。ニレンホトの木材加工業はまだ開始たしばかりの段階にあり、それ故、販売される木材を主に原木で引き取っている。この市場は内モンゴルの西部に位置し、中国の西北地方と西南地方に相対的に近いために、木材の殆どを列車に積み込んで、直接、包頭(パオトウ)、銀川、蘭州、西寧、西安および西南地方(四川省と重慶市)などの地域へ運送され、ただ、少量なものだけをxxと北京へ販売する。
4.2 二級木材市場
二級市場は全国各地に分布する大型木材集散地を指す。こうした木材集散地は各省にあり、しかも、大体、省政府所在地である都市に設置されている。しかし、幾つかの省に跨る超大型木材集散地も設置され、これはxxxxx木材市場と大連木材市場である。
ロシア輸入木材 17.8176 百万 m3
32.57%
1級
木材卸売市場
14.84%
33.48%
20.99%
30.69%
2級
木材
卸売市場
遼寧省
(主に大連)
xxx
(主にxx)
xx
その他各省
3級
木材小売
:市場
当地
当地
当地
当地
其他省
其他省
其他省
其他省
最終需要者
满洲里
図7 満州里を経由する輸入ロシヤ材の貿易流通先
図 4-5 満州里を経由する輸入ロシア材の交易フロー図
xx木材市場 この市場は鉄道の京沪線(北京―上海)とxx線との交差点に位置し、xxxとxxxの二省に跨るところにある。xx駅は北京鉄道局に属する南側の大きな駅として、北方材を南方へ運輸する際に必ず経由する地であるからこそ、過去の計画経済の時代においても、ここは既に、魯(山東)、豫(xx)、冀(xx、蘇(江蘇)、浙(浙江)をカバーする大型木材(原木)集散地になっていた。改革開放前のxxはわが国の東北産木材の集散地であったが、東北材の伐採量が削減された後、現在は、ロシア材(約 90%占める)の主要な集散地になっている。
xxx木材集団総公司魯xxx及びxxxx木材取引市場も、xxxに所属する原木経営を主とする大型国有企業であり、その市場は交通の便利な清州市区に位置し、敷地面積 320 ムー(21.3ha)以上、ジブクレーン、トラッククレーン、(高脚ジブクレーン)、橋形クレーン、積載機、大型電子秤などの現代的な設備、ローダーなども揃えて、全ての作業も機械化が実現されている。市場に 1417 メートルの専用鉄道線を敷設し、年間の貨物取扱量は 100 万 m3以上を達成すると推定される。ユーザーを募るために、同市場ではユーザーに経営と生活用建物及び貯木場を無償で提供しており、またユーザーのために経営業務に関する各種証明
書、鉄道による列車運材に必要なインボイスなどの手続きを行っている。現在、この市場にはxxx内外の木材経営をおこなうユーザーが全部で 200 社ほどある。公司の責任者の説明によれば、同市場の 2002 年の木材取扱量は、既に、130 万m3 に達成しており、年間の税収は
597.4 xxを実現し、同市場に集まる木材はほぼ、全国土の半分をカバーしている(図1.2参照)。
同じく現地説明によれば、xxxxx市には、大小含めて 13 の木材(原木)市場があり、これらの市場では年間の木材取扱量は 150 万 m3 ぐらいである。そのうち、xxx州木材取引市場では全体量の約 50%前後を占める。xxx州木材取引市場以外では、中国xx木材取引市場もxx市にあって、比較的規模の大きい木材取引市場に属する。この市場はxx市木材総公司に所属する国有企業であり、その業務範囲は、ほぼ省に属する木材市場と同じである。市場の敷地面積は 10 万m3、その中に 450m の鉄道専用レールを敷設し、年間の木材取扱量は 50 万 m3 に到達するとみられる。2002 年と 2003 年の取引量の実績は、それぞれ、24万m3 と 28 万m3 である。その他に 11 の木材市場は、規模が比較的小さく、月に 8-10 車両の木材を取扱う市場規模である。
xx木材市場の場合では卸売りのみを行い、小売業務は行わない。最近、ガソリン代が値上がりしたのに加え、トラックで運ぶ際も制限重量以上に積載できず、短距離運輸のコストも大幅に上昇した。このような情勢のもとで、もともと二級市場から木材を調達していた商社やユーザーの場合も経営コストを下げるために、直接、一級市場から木材を購入するようになっている。従って、ここ2年来、二級市場における木材取引量が次第に減少している趋勢である。
※大連木材市場 東北遼東半島のxxに位置し、中国北方最大の不凍港でもある。こ
この鉄道はスイフンガと満州里国境に直接繋がっている。水・陸輸送で木材を直接に華東と華南などの経済発達地域まで販売可能である。以前の計画経済時代でも、大連は東北地方における重要な木材集散地であったが、当時は取り扱う木材は殆ど国産材であった。ここ数年来、東北産木材の伐採量が継続的に減量されるなかで、次第にロシア産木材の取り扱いを主とするように移り変わったってきた(約 80%を占める)。この市場は 1995 年に本格的に設立され、当時の一つの市場から、現在の三つの市場に拡大された。市場にはもともとは 9 通の専用鉄
道レールが敷設されていたが、現在は 7 通の専用レールに整備され、約 400 企業の木材業者がここで木材取引を行っている。現地関係者によれば、2000 年までは同市場には、年間2.5 万輛の木材が到達したけれども、これは(部分製材を含め)約150-170 万m3 の木材に相当した。近年になって、他の二級市場や幾つかの大型企業が、直接、スイフンガと満州里における木材購入量が、年々、増加しているので、大連市場への木材入荷量が減少する局面になっている。地元の業界内の関係者は、現在、年間の木材到達量は 100 万 m3 前後であり、約 1/3 が減少したと推断している。また、大連へのロシア産木材は鉄道やトラック輸送以外に、少量の
水運もある。即ち、ロシア極東港で木材を船積みにして直接大連に運ぶ。しかし多量にはならない。年間わずか 10 数万 m3 前後しか輸送されていない。
大連市場がxx木材市場と異なるのは、加工業が進んでいて、到達した木材の相当部分をここで加工し、その製品(家具、床、回縁など)と低次加工品(製材、集成材、表面オーバレイ単板など)は水路を通じて華東、華北及び華南などの地域へ販売され、相当量のものが海外へ輸出されている。不完全な統計によれば、2004 年に大連から輸出された各種サイズの製材は、それぞれ、上海へ約 40 万m3、山東へ約 20 万m3、寧波へ約 15 万m3 に達する。毎年、量は少ないものの、大連に到達したロシア原木が、地元で加工しないまま、直接に船積みされ華東、華北などの港湾都市へ販売される。
4.3 三級木材市場
三級木材市場は、直接、最終ユーザーへ向けた小型小売市場であり、その規模は更に小さく、そして、相当零細である。そのうちの多数は二級市場付近の各県政府所在地(鎮)にあり、一部は、直接、二級市場に結びついて、そこで卸売り兼小売を行う。三級木材市場の場合は、一般的に簡単な受注加工業務を代理しているが、加工用の設備が粗末なので、各種の未加工品用の原料の加工等を行っており、乾燥及び製材の表面仕上げなどの付加価値加工ができていない。
Ⅵ.木材加工業の現状と原料調達、製品販売及び輸出実態
1.木材加工業の現状
木材加工業は木材と木質材料を原料として、機械的あるいは化学的に加工して、その製品は依然として木材の基本的な特性を維持している産業である。主として製材、繊維板及び木材製品の加工・製造工業などがある。多くの外資、合資、民営の木材加工・生産企業が相次いで投資、参入し、合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)などを主体とする木材加工産業を形成した。2005 年、全国の人造木質ボードの生産高は、6,393 万 m3 に達したが、そのうち、合板の生産量は 2,515m3 で、前年比 19.84%増大、繊維板の生産量 2,061 万 m3 は、前年比 32.05%増加した。
中国の木材工業は数量から見れば、2010 年までは、木材製品の消費量が自国の生産量を上回る。製品の種類から見入れば、世界で生産される製品は中国でも同様に生産されているが、高付加価値のボード類の発展は遅くれている。品質から見れば、中国の高級なボード類の品質は、まだ、国際的な先進的水準に達していない。中国の木材工業における企業生産の製品コストは高く、生産規模は小さい。WTO 加入後、木材製品の輸入量と外国の木材先進企業の参入が増加し、国内企業はその挑戦に直面している。中国の木材工業は中・高級な製品開発を行うべきで、製品の品質を高め、企業の規模を拡大しなければならない。
(1)生産量
中国における木材製品の消費量は生産量を上回る。原料の利用率は低く、製品の種類は少なく、科学技術の占める割合が低い。FAO の予測によると、2010 年までに中国の木質ボード生産量は 3,138 万m3、消費量は 4,189 万m3 に達し、1,042 万m3 不足する。既に 1998 年から、中国は天然林保護プロジェクトの実施を開始し、生態保護重点地区の林地に区分されると、区域内の森林伐採を完全に停止し、大幅な伐採量の減量調整が行われてきた。2000 年には、木材の産出量は 1997 年の 3,355.5 万m3 から 1755.4 万m3 まで減量させた。これは増大する中国の需要に対して矛盾を来たし、木材製品輸入量の急速な増加と国外の先進的な企業の中国への投資を促進した。
(2)製品の種類
統計資料に依れば、中国の合板、パーティクルボード、繊維板の生産高は世界のトップにある。製品の種類で見れば、世界で生産されるボード類は中国でも同じように生産されているけれども、ただ、OSB(配向性ストランドボード)、内装用の製材品、家具用ランバーコア、木質ボードの二次加工製品などは、発展が比較的遅れており、発展速度は緩慢である。中国の木材製品の付加価値加工は小さく、この市場は国外の発達した国に容易に席巻されることになる。
(3)品質
市場調査及び関係資料によれば、中国木材工業の伝統的製品、すなわち、製材、合板、ハードボード、MDF、パーティクルボードなどの品質は外国製品より悪くなりえず、しかも、既に国際水準とほとんど差はない。新しく発展してきた製品である内装用、家具用表面化粧合板、 OSB、高級フローリングなどの製品は、まだ、国際的な先端水準には達しておらず、また、かな
りの開きがある。
(4)生産コスト
市場調査によると、中国企業の大部分は国有企業であるため、人員は多く、仕事量に比し人員過剰で、生産効率は低く、コストは国外の同類製品より高くて、価格競争力が不足している。
(5)生産規模について
現在、中国には1万に近い数の木材加工企業があって、全国各地に分布している。平均生産規模は 3000 m3/年で、先進国の 5%に満たず、その製品の次元は低く、木材の総合利用率も低いもので、品質に差があり、コストも高い。WTO 加入後、中・下等木材製品の消費需要は下降し、中・高級品の国産品の市場は萎縮し、これにより、大部分の製品の品質が劣り、価格が高い製品を生産する中小木材企業は淘汰させられる。木材工業は資金、技術集約型産業で、そのため、規模が大きければ競争力がより大きくなる。
2.木材工業原料の調達状況
中国は世界で人口の最も多い国で、経済発展も最も早い国家の一つであり、木材製品に対する需要の市場ポテンシャルは巨大である。同時に中国は木材が不足している国で、木材の生産量と森林資源蓄積は多方面の需要を満たすにはxxxに及ばない。生態建設を強化し森林資源を適正に保護するという前提下で、適切に木材生産品の生産供給と需要の間の矛盾を解決することは、中国の経済社会的な発展において必ずうまく処理しなければならない重要な課題である。
(1)原料供給と製品販売の概況
推計の分析に依れば、近年、中国の木材及び加工製品の年間消費量は原木換算で 1.5億 m3 程度で、1981 年の 7,500 万 m3 に倍造し、消費量は年平均約 400 万 m3 ずつ徐々に増加している。木材の消費は主として建築業及び内装業、家具製造業、パルプ・紙製造業、及び工業・農業用材等に向けられている。全部の商品木材の供給源の中で、中国の計画伐採内での木材生産量は約 5,000 万 m3(2001 年における商品木材の計画生産量は 5,036 万m3)、輸入した木材及び加工製品(原木、製材、木質ボード、紙・パルプ等を含む原木換算量)は2,000 万m3余(20001 年は約 7,700 万 m3)、その他の 2,000 万 m3 余は計画外の木材生産である。これより分かるのは、ここ 2 年来、木材供給総量内で、輸入材料が既に半分以上を占めていることだ。現在、中国では圧倒的多数の商品の供給が重要を上回る状況の下で、木材・木材製品は疑いもなく何種類かの需要が供給を上回る数少ない商品の一つである。
木質ボード工業の発展は中国の木材・木材製品の不足という矛盾を解決するために積極的な作用を発揮した。中国の木質ボード生産量は、2000 年に 2,002 万 m3、2001 年に 2,111 万 m3、2002 年に 2,930 万m3、2004 年に 4,553 万m3、2004 年 5,446 万m3 で、2005 年までに 6,393万m3 まで到達し、この 5 年間で、中国の木質ボード生産量は 3 倍以上に増大した。推計ではコンゴとも中国のムク質ボードの生産量は引き続き増加する可能性があり、需給とも旺盛な態勢を表している。一般的に言って、2m3 の木材は(その中、かなりの大きな部分は伐採と加工における残材・端材とされているが)、1m3 の木質ボードを生産できると言うけれども、しかし 1 m3 の
木質ボードは 2~4 m3 の木材使用量に相当する。この意味から言って、木質ボード工業の発展は、木材・木材製品の需給の矛盾、森林資源と生態環境の矛盾を緩和し、持続可能な発展を促進するために、突出した作用を発揮した。
(2)木材・木材製品供給の主な問題点
● 木材需給の矛盾は激化しつつあること
中国の森林資源はそれ自身多くはなく、その上、森林資源の不足は木材の運輸の困難と市場構造のアンバランスをもたらし、進んで、木材のコストと木材の有効な供給に影響している。中国の経済的発展と森林資源の不足に伴って、中国は天然林保護政策と厳しい伐採量制限制度の実行を始めたため、木材の需給の矛盾はいっそう激しさを増し、中国の木材供給・需要の欠乏は年々増加し、2004 年には 1.09 億m3 に達し、2000 年に比べ、202%増加した。推計では、 2015 年、中国の建設用材の需要量は 4.8 億 m3 になり、不足分は 1.9 億 m3 に達する。
● 森林資源の蓄積の不足が深刻であること
中国の森林資源総量は大変不足しており、中国の森林カバー率は世界の平均の 61.52%に総投資、世界の 130 位にある。一人あたりの森林面積は 0.132m2 で、世界平均の 1/4 にも当たらなくて、世界の 134 位にある。しかも森林の質は高くなく、林木の樹齢構成は合理性を持たず、人工林経営の水準も高くなく、樹種構成の単一なことはまた、厳しい状況にある。林地の消失は依然非常に厳しいものがあり、第 6 次森林調査の期間に 1,010.68 万 ha の森林が用途改変されたり、非林業用地に占用され、全国の有林地が非林業地へ転用された面積は 369.69 万 ha に達し、年平均 73.94 万 ha になる。これで分かることは、中国が木材加工に利用できる森林資源は雀の涙ほどであることだ。
● 林業の産業構造が不合理であること
森林資源の育成における産物に多様性がないこと:ここ数年来、中国は一連の強力な行政施策をとっているため、中国の森林資源は良好な増加の趨勢にある。しかしながら、資源構造の多様化問題はそれとは正反対で、木材利用法の多様化、利用範囲や開発潜在力の拡大に伴って、資源構造は単一化の趨勢にあり、多様化の程度は低下している。例えば、用材樹種は単純で、コウヨウザン、松ばかりが多くなり、多様な樹種の全面的な育成が軽視されている。
● 森林資源の育成が盲目的であること
森林資源の育成では生産期間が長期であり、市場の変化に適応して方向を切り替える敏捷性が比較的乏しく、木材マーケットに対して必要とされる長期にわたる予測ができないという難しさがある。その他に、中・短期の経済林の造成においても、分析を加えないまま盲目的に追従し、実施面で遅れ、技術の上で模倣し、市場の変化に追随できない状況である。
● 林産工業のリーダーシップが不足していること
現在、林産工業の規模は小さく、バラバラで、生産品目が重複するなどの欠陥があり、しかも、往々にして、必要に応じた資源配分が不足して、生産量・技術水準ともに低い傾向にある。このため、林産工業が地域の主導的な産業になることは限られており、産業を引っ張っていくリーダーシップを果たしていない。
● 林産工業の発展に対する科学技術の貢献率が低いこと
現在、大部分の林産工業はまだ労働集約型の産業で、多くの林産工業は労働力を組織、利用し監理する側面では相当の経験を持っているが、科学技術を重視し、導入する点で大きく立ち後れている。即ち、管理的立場にある人員科学・文化的素養が高くなくて、労働者の平均的な技能レベルが比較的低いことである。ひいては、生産において、経験に頼り、試行錯誤の段階にあり、技術規格を採用せず、殆ど技術革新が無く、進歩は僅かで、製品は単一、モデルチェンジが遅く、厳格な品質検査もない状態である。責任ある専門技術者がいないこと、雇用す
る体制が欠如しているためである。
● 林業の第 3 次産業(サービス業)が立ち遅れていること
以前は林業に於ける第 3 次産業(サービル業)は、すべて、地位に従属するものであって、
独立の産業として全く経営管理されていなかった。現在、林業の第 3 次産業は日増しに社会の
需要が増加し、広く発展する見通しがある。林業の第 3 次産業を開拓させるか否かは、林業の産業構造をよりよくする重要な選択肢である。
(3)木材原料需給の矛盾を解決するための対策
需給予測の研究によると、2015 年までに、中国の木材需要量は 3.3~3.4 億m3 に達する。中国の森林資源の現状および人工林材供給基地の建設状況から見て、もし現在の木材輸入量が維持とするなら、2015 年には、総供給量は1.96 億m3 となり、供給量の不足はいっそう大きくなる。
中国の森林資源がまだ豊富でない状況下に、国外から適正な量の木材輸入を行って、国内需要の不足を補うことが必要である。しかしながら、過度に輸入に依存し、さらに輸入量を増加させることは、既に、国際市場での供給力の制約を受け、また、国家の外貨バランスの制約を受けることになる。長期的視点から現実的ではない。このため、中国の木材加工原料の需給矛盾を解決するため、以下の対策が有効だと考えられる。
第一は、人工林木材供給基地建設計画を加速させることである。第二は、積極的に国外の森林資源を開発すること。
第三は、全体計画を上手に案配し、強い優れたものを選び、国産材偉業会の規範化を促進し、秩序を維持し、健全な発展を持続することである。全国の木材業界の計画を制定し、木材加工プロジェクトと原料木供給林基地の建設を適切に配置するという原則に従って、木材業界の発展を統一的に計画し、木材生産能力の配置を合理的に調整する。経済、行政、法律の手段を通じて、断固として、設備が立ち後れ、資源浪費が深刻で、製品の質が劣悪で、環境汚染が深刻な家内工業的な木材加工企業を淘汰する。同時に、競争力のあるものを優遇する原則に立って、企業の再編を促進し、一定以上の規模の企業群の形成に力を注ぎ、先導的な力のある大中型企業集団を育て上げなければならない。関連部門が協力しあって木材加工業の技術的改造のための投資を強化し、技術改良のための借款のxx補給の問題を解決して、企業の新商品開発の能力向上を促して、実力を大きくのばし、日増しに増大する WTO 加入後の国際社会に於ける激烈な競争にたいし対応力を強化することが大切である。
第四は、木材経営加工のマーケットの秩序の規範化し整理することである。現在、木材加工魚に経営の中で、特に、小規模の合板企業が非常に多く、森林資源の浪費を行い、品質の低劣な木材製品が市場に溢れて、正常な市場の秩序を破壊している状況を早急に解決しなければならない。
3.林産物市場の現状と予測
近年、中国の林産品貿易の発展は迅速で、基本的に国内経済の発展と市民生活の需要を満たすのみでなく、大量の家具、フローリングなどの林産品を輸出し、国際競争に積極的に参加している。中国の生産する木製品は品質が信頼でき、価格は欧米や日本の製品より安価であるため、一貫して国際市場の愛顧と歓迎を受けている。2006 年、中国の木材品工業の発展は依然とし相当迅速で、中国の輸出する合板、繊維板及び木製家具の総額の上昇幅は、輸
入木材原料の上昇幅よりもかなり大きい。中国の労働力コストと土地価格の安さの優位性によって、国際資本の木材加工産業への流入はとどまらない。中国の木材加工工業は世界の木材産業の連関の中で、“加工基地”の位置づけはますます明らかになっている。現在、中国の木質ボード生産は世界の第 1 位にあって、2005 年における家具輸出は 130 億ドルに達しており、
それによりイタリアを上回って、世界第 1 位の家具輸出大国となっている。
林産品の対外貿易は急速な増加を維持し、中国林産品の国際競争力を高めただけでなく、中国林産業のレベルアップを促進し、さらに、中国林業の全面的な発展の重要な力量を発揮し、林業経済の主要な成長点の一つになった。林産品の生産量、輸出量と外貨獲得額の増加に伴って、原料の需要量の増加が進み、現地に於ける人々のxx樹林と貴重用材林の造成が積極的になり、農業構造の調整が推進された。林産品輸出が急速に成長し、一部の地方政府の財政収入と農民の収入増加がもたらされ、就業機会をもたすことになった。
(1)製材
近年、針葉樹製材の輸出は急速に増加し、広葉樹製材の輸出は大幅に減り、製材の総輸出量は減少した。その主要な原因は、第 1 に、国内の木材供給量の成長が軽減し、し、輸入木
材に依存することになった;第 2 に、輸入木材の輸送力が緊迫しており、輸送費が値上げされ、
木材価格が上昇し、そのため、市場の需要に対して抑制力が働いた。第 3 に、政府がマクロコントロールを実施し、建設投資の加熱を圧縮し、建築用資材の需要が減少した。
(2)木質ボード類
中国の木質ボード類の輸出は倍増し、合板の輸出量は大幅に増加した。2005 年中国の合板輸出量は 554 万m3に達した。合板の大量な出の主要が原因は以下の通り;第1に、中国の合板企業は製品の品質レベルを向上させた。第2に、原料の価格が、国際市場における合板価格が上昇したけれども、中国の合板の主要な原料は自国産木材で、特に大量の国産ポプラ材を芯材に使用しており、国際市場に於ける木材価格の上昇の影響が相対的に小さいこと、それによって中国産合板を使用することは、国際市場において、価格競争力で大変優勢にある。国内市場の需要、原料の由来、コスト投入、品質保証等の各種要素から見て、合板輸出の展望は開けており、潜在力は巨大である。現在及び今後における国民経済の急速な発展は、これからも、合板市場における需要の強力な牽引力に拍車をかける。この他、近年国産合板は品質において明確な向上が見られ、国際市場に於ける競争力はさらに一層強まっている。
(3)家具
中国の国産家具は価格の上で明確な優位性を持っているだけでなく、その品質上でも、また、強力な国際競争力を有している。今後数年間の中国家具工業の輸出は以下の趨勢を提示している。①家具工業は、今後、15%程度の速度で伸びる、②国際競争に積極的に参加し、国際競争の挑戦を受けることは中国の木材工業が直面する必然的趨勢である、③中国産家具の大量な輸出につれて、貿易領域の摩擦が一層激化し、中国の家具輸出構造の変化を促す、④有名ブランドは今後ますます家具マーケットの主導的な力量を発揮し、ブランド競争、サービス競争を一層重視するように促進し、ブランド戦略が大勢を占めるようになる。
(4)紙類
2005 年、紙類の輸出は急速に増加し、貿易の逆格差が一層拡大した。今後数年、紙類の関税は下方調整の可能性があるけれども、中国の紙製品マーケットの全体は、輸出増加、輸
入下降の趨勢にある。
統計によれば、2005 年、中国は主要林産品の輸出では、木製家具の輸出が今までにも依然外貨を獲得する最大な林産品であり、輸出量の増加も引き続き拡大している;紙及びダンボール、木製品、合板、籐・草・葦とその加工品の輸出による輸出額については、それぞれ国家外貨収入の第二位―第五位に位置する;合板、繊維板の輸出は引き続き増大傾向にあり、もう国際競争力のあるものになっている;木質ボードとパーティクルボードの輸出量は引き続き減少傾向を辿っている。輸出地域構造については、中国における輸出木質林産品の 60%は夫々アメリカ(37.60%)、日本(13.11%)、香港(10.17%)、イギリス(5.17%)、カナダ(3.17%)を主とする。木質林産品輸入はロシヤ、アメリカとインドネシア市場を主とし、そして、インドネシアなどのアジア市場を経由して、ロシヤとアメリカ市場に移転する。
以上の分析のように、産業全体から言えば、中国全体ではただ規模拡大の第一歩しか踏み出さないと言ってもいい、その製品の品質、トレード・マーク、技術的と効果なども先進国との差が非常に多きい。
中国経済建設、木材資源状況及び木材需給実情を調査するとともに、国際木材市場及び貿易事情を考察することによって、今後の中国産林産物の販売と輸出の動向は以下のように予測できる。
①木製品の価格は徐々に上昇し、貿易赤字は漸減傾向にある。
②巨大な森林資源を消耗する丸太、製材、合板と木質パルプなどの輸出量の少ない実情をある程度緩和させる。
③林産業の発展と毎年外資参入の増大に伴って、紙と家具などの高付加価値製品輸出量は日増しに増える。
④木炭輸出禁止対策を実施してから、中国の木炭も、段々、多量輸入、少量輸出傾向になりつつある、これは国内森林資源保護への圧力をある程度緩和させている。
⑤関税削除、認証などのグリーン障壁を多く設けるため、対外貿易摩擦も相次いで発生し、高付加価値木材加工品の取引も更に激しくなり、木材経営による利益も漸減していく。
⑥中国林産品の国際市場への輸出量は大幅に拡大すると同時に、反ダンピング、補助金反対、違法伐採、闇取引などによって起こすトラブルがよく発生し、それに国内木材加工企業は、依然として、規模が小さい、技術開発力が弱い、付加価値の高い品質の加工性が低い、国際貿易への参入力の低下などの問題が存在している。これらの問題に対して、早急に政策面での指導とバックアップが必要であるだろう。
Ⅶ.違法伐採問題への行政の対応、NGOや消費者の取組み
森林、特に天然林に対する過度の乱伐と違法取引は主にアジアのインドネシア、ミャンマー、アフリカのカメルーン、ザンビア、コンゴ、北アメリカのメキシコ及びヨーロッパのロシア等の国が取り上げられるが、一部の国ではそれが心を痛めるほど非常に厳しい。全世界で木材の違法伐採による取引額が毎年凡そ 100-150 億ドルに至ると推定され、世界各国政府と関係組織及び消費者による共通の努力が必要で、着実な対応策によりそれを徹底的に排除しなければならない。
1.違法伐採に対する中国政府の態度と対策
中国政府は一貫して国際条約と関連責任を履行し、違法伐採と木材の違法輸入に反対し、徹底的にそれを打撃することを表明している。それゆえ、関連の国々がその国での木材伐採管理を強化し、根源から違法伐採と木材の違法取引を取り締まるよう要望している。
過去、何年間かの努力により、中国国内では現時点での木材取引が既に順調な発展態勢となっており、違法取引の実態は非常に少ない。但し、あらゆる原因により中国の一部地域で小規模な木材違法伐採事例は存在し、林業行政部門もずっとこの違法伐採行為を食い止める努力を行っている。
(1)関連法律と法規の制定
木材管理を強化し、違法伐採行為を防止するため、中国政府は一貫した法律と法規を制定し、違法伐採の概念、範囲及び量刑と処罰について明細な規定を定めている。
«中華人民共和国xxx»の規定では、森林と木材伐採に当たり、林業主管部門が承認した上で交付する伐採許可証を必ず受けなければならない。木材の輸送に当たっては、林業主管部門によって交付された輸送許可書類を必ず携行する。木材及びその製品の貿易に際しては、輸出承認書類、承認された輸入証明書を持参することが必要であり、また、貴重樹種とその製品及び派生物の輸出禁止、或いは制限がある。それの規定に違反し、違法伐採や貴重樹種の破壊することは、法律にのっとり刑事責任が追及される。
«中華人民共和国xxx実施条例»では、違法伐採に対する経済上の処罰が詳細に規定されており、«中華人民共和国刑法»にも違法伐採行為に対する詳細な刑罰規定が定められている。«最高裁判所による森林資源破壊刑事案件の審理に対する対応詳細法律若干問題の解説について»においては、違法伐採行為による樹種、数量等に対する量刑の根拠及び対応の罪名と処罰が具体的に規定されている。
これらの法的処置により、中国では、木材及び木材製品が伐採から輸送、加工、輸出入貿易等の各段階で健全になるよう厳しくコントロールされている。これらの規定に違反した場合は、罪の軽重により刑事責任が追及されることになる。
(2)森林執法機構の設立
«xxx»と関連する法律法規が着実に執行され、違法伐採行為を食い止めるために、中国国家林業局には森林公安局が設置されている。その主要な職能としては、全国の森林公安機構の林業行政執法事業を指導すること、森林及び野生動物資源の違法犯罪行為を防止する
ための統一的行動と排除事業の調整及び組織化を行うこと、森林資源の破壊と国家重点保護野生動物資源への重大な侵犯行為に対する監察及び処理、森林地域での総合的な治安行政を指導することである。各レベルの地方林業行政部門と公安機構においては、森林公安機構或いは森林警察機構が設立されており、これらの職能は、所管エリアでの具体的な事務を担当して、法律によって森林に関連する違法行為を食い止めることである。また、各レベルの林業行政部門に所属する木材査察ステーションは、輸送中の木材に関連する証明書や許可証を審査し、違法伐採の木材を取り 、森林公安機構に重大侵犯案件の真相追求に協力しているが、これは林業機構の末端に位置する行政執法部門であり、県以上の地方林業行政主管部門より指導される組織である。
(3)税収と経済的手段
中国政府は法律法規と行政手段を取り扱うと同時に、税収政策及び経済的処罰対策も制定して、木材の違法伐採行為を間接的に抑制することに努力している。森林資源に対する消耗性の多い木製品に対しては消費税の徴収を課し、木材に対する需給の低下や木材供給全般の減少によって、木材の違法伐採行為の発生を間接的に押さえ込もうとしている。
2006 年 4 月 1 日から、木製フローリング、生産工程の改善された木製複合フローリング、割り箸の国内販売に対して 5%の消費税を課することになったが、木材の加工余剰物を原料にして生産された強化フローリング製品、合板、木製窓枠の販売に対しては、消費税を徴収しないことになった。消費税の徴収により、これらの木材製品への需給を減少し、需給量を低下させ、これによって違法木材の消費市場をある程度縮小し、間接的に違法伐採行為を抑制しようとしている。
(4)国際交流と協力
中国政府は、二国間、多国間の国際交流と協力に積極的な姿勢を見せており、違法伐採抑制のため、木材生産国に協力して«国際熱帯木材協定»等、関連の国際協定と協議を真剣に履行している。2000 年 11 月、中国とロシア両国総理の間でロシア極東地域における森林資源の合同開発と持続経営に関する政府間協定を結んだ。2002 年にインドネシアと林業部門間の協力協議が署名され、違法伐採とその交易の抑制に合意した。中国政府はアジア森林執法管理非公式大臣級会議(Asia FLEG)に参加し、「緊急対策を採り、林業違法と林業犯罪、特に違法伐採、そしてそれに関連する違法取引、腐敗と法律規定による消極的影響を食い止める」の共同声明を発表した。中国政府は、また、北東アジアとヨーロッパの森林執法管理プロセス
(E-FLEG)にも参加した。中国はヨーロッパの首脳と、2005 年 9 月、北京で第八次中国・ヨーロッパサミットを開催、«中欧サミット合同宣言»が達成され、双方の宣言において「アジア地域での違法伐採行為に対し共同協力で打撃する」ことに合意した。中国とロシアの首脳は、2005 年 11
月、北京における中ロ総理第 10 回定期的会合で「森林資源の開発利用を更に強化し、違法伐採と違法取引の抑制力を更に強める」ことに合意した。
これらの政府間協力事業によって、木材の違法伐採と違法取引を強く防止し、国際木材貿易の秩序を維持しようとする中国政府の姿勢が明らかになる。
(5)グリーン調達政策の実施
中国政府関係による物資調達量は巨大であるため、政府がグリーン調達制度を実施することにより、強力なテコとなって、グリーン産業の発展とグリーン消費市場の形成を促進するxxが期待できる。また、政府がグリーン調達政策により適切な方向性を示すことで、生態環境
保護、環境友好型社会形成に導くための非常に有効な道筋と手段となる。政府自身が、国内で最も大きな木材消費者として、木材及び林業製品の調達を行うことにより、その製品の供給者に大きい影響をあたえ、同時に、他の木材消費者の消費傾向も影響を与えることができるので、違法伐採及び違法取引を食い止める有力な対策の一つとなる。
中国政府の定めたグリーン調達政策により、2007 年 1 月 1 日から、中央と省レベル(計画
単一配列市を含む)の予算部門において先ず実施し、2008 年1 月1 日から全国に広げる。当該政策が、現在、その木材の産出先が持続経営の森林からなのか、合法伐採による木材なのか等についてまでは、まだ、及んでいないが、中国政府の調達政策を通じて環境諸問題に対応する態度表明となる。この政策の実施も販売者が合法木材と林業製品の購入にある程度促進され、同時に、生産者の木材合法伐採行動も促される。
最近、研究機構の一部は、政府が適切な時期に政府のグリーン調達政策の範囲を拡大し、認証された林業製品を政府のグリーン調達政策に入れることによって、木材の違法伐採と森林の持続経営を促進することを政府機関と協議している。
(注:計画単列市とは、その都市の国民経済と発展計画を国家計画の中で単独に編成することができる戦略的に重要な都市で、省レベルの計画単位とみなされる 。1983 年以来14都市があったが、現在で深セン、大連、xx、寧波、廈門が指定されている)
(6)業界の信用制度の確立
中国政府より提出された市場経済秩序の整頓と整備、現代的市場経済の社会信用システムの確保という方針で、社会信用システム作りの目標と事業が更に明確された。また、社会信用システムの樹立と確保をおこない、道徳による支持、財産権をベースに、法律による保障といった社会信用制度を形成することは、現代的市場システムを作り出す必要条件で、市場経済秩序を整備するxx的な政策でもある。
中国木材流通協会は、社会信用システムと企業信用制度の樹立に積極的に参加し、業界内において、「中国木材業界合格供給者の評価」と「中国木材業界企業の信用評価」といった事業を展開しようとしている。それにより、企業の木材総合利用率、企業の木製品素材産出先の合法度、持続経営された林地からの素材であるか否か、森林認証と生産販売監督管理による承認があるか否か、企業が植林等の公的事業にどれだけの貢献を有するか等の内容を評価の指標に入れ、信頼性のある企業と優良製品の育成において大きな作用を発揮することを期待している。この事業の実施により、木材の違法伐採を抑制することに対し、更にその力と効率が強められることが期待される。
(7)木材の監督管理システムの整備
中国で木材の監督管理システムは森林資源と生態環境の保護と利用を目的としており、森林整備、木材伐採、木材の生産、流通及び消費等の分野での監督管理を強化することは木材の節約と木材代替品を造る先端技術の普及、資源節約型と環境友好型の社会作りに必要なことである。この中に木材の伐採と流通輸送分野において書類による管理方式を取り入れており、年間森林伐採制限枠、木材生産計画と伐採許可証制度を徹底的に執行する。そして伐採作業規定、合理的生産、伐採制限枠及び許可証、産地証明書、輸送許可証と領収書との査察制度、許可証の無い木材伐採と乱伐を法律による処罰等の一連の制度により、木材の出先と流通の監督管理を強化して、それなりの成果も収めた。木材の加工、製品の包装、品物の荷積みと荷卸、生産品の輸送、商品の販売、生産品の消費等における監督管理制度は更に整備する必要がある。
政府としては計画作成、法規と基準の整備、政策によるガイド、技術によるバックアップ、
広報教育、マスコミへの正確なガイド及び組織とリーダーシップにおいて木材の監督管理システムをうち立てるために対策を取ろうとしている。研究機構の一部が研究に取り組み、政府が行政施策へ組み入れるために、全過程における木材監督管理システムの制定に努力している。
2.違法伐採に対する非政府組織の態度と行動
中国で関連の国際非政府組織としては世界自然基金、グリーンと平和組織、地球の友といったものがあり、中国国内の非政府組織としては自然の友、中華環境保護基金、全地球環境研究所、グリーン北京(緑色北京)、グリーンネット(緑色網絡連盟)、北京地球村環境文化センター等が取り上げられる。これらのNGO 団体は木材の違法伐採と違法取引にはっきりした態度を表明し、その行動と対策としてはそれぞれ異なるが、違法伐採と関連取引の抑制と防止という目標で一致している。
(1)森林認証事業の積極的展開
環境保護NGO 団体の一部は中国で森林認証の発展を積極的に推し進め、第三者の独立で認証された木材の合法性と森林経営の持続性の判明により国内外の違法伐採を食い止めようとしている。2001 年 5 月、世界銀行と世界自然基金連盟(政府間組織の世界銀行の参加による政府間組織の色彩が一部ある)の助成により非公式森林認証作業グループが発足されたが、中国で森林経営認証と生産販売監督管理チェーン認証を積極的に推し進めている。該当連盟の助成で FSC 中国国家イニシアチブが既に発足されたが、即ち FSC 中国森林認証作業グループである。
(2)関連の科学研究プロジェクトの展開
全地球環境研究所は中国で非政府で収益性の無い団体で、2004 年 3 月に北京で発足されたものである。それの主旨としては市場をガイドにして環境問題を解決することで、社会と環境及び経済に多面的効果を求め、持続発展を実現させることである。それの目標としては、経済と環境及び社会要素に対する総合的評価により、環境問題を解決することにある。実施される案件としては、主に生物多様性の保護、農村での持続的発展、中国政府及び民間での能力向上、エネルギー効率及び地球気候の温暖化、国際機構と協力した能力xxxがある。その林業案件としては、林業分野での責任ある行為の促進、特に海外から木材を輸入する中国企業に対する森林管理責任、森林の復旧と CDM システム及び生物多様性協議保護に関する案件が主体になるが、それで違法伐採行為を減少させ、中国での木材企業の海外開発行為を整頓化させるのに努めている。
(3)調査研究活動の積極な展開
グリーンピースは世界的なNGO 団体で、地球、環境及び生物各種の安全及び持続発展を使命としている。本部がオランダのアムステルダムにあり、40 カ国に事務所を設けている。1997年にグリーンピースが香港で事務所を設立した以降、北京でも連絡事務所を設立した。世界の木材違法伐採及び関連取引に大量な仕事を行ってきた。調査研究活動を通じてレポートに纏まり、そして非常に誠意の持つ意見と提案が提出された。
具体的には:
1)世界各国政府に対する提案:
①各国政府は«生物多様性条約»の枠組み内で必ず法律効力を有する国際協議を作り上げることにより、違法伐採と関連した林業製品の取引を打撃し、森林執法の強化により、森林資源の持続管理、利用と取引を確保する。
②各国政府は地球規模の保護区ネットワークを必ず作り上げることであるが、大面積で人間の手を加えたことの無い原始森林も入れ、そして保護区造成過程において原住民の賛成獲得を含む現地の利益対象とコミュニテーに十分な意見を求める。
③先進国は国民一人当たりの林業製品の使用を必ず減少させるが、発展途上国も持続の続かない消費と成長モデルを必ず拒否することである。
2)中国政府に対する提案:
①中国と他の国とは有効の法律と対策を制定し、違法及び持続の続かない伐採を取り止め、違法と持続の続かない行為による木材と林業製品及びそれによる加工製品の輸出入を禁ずる。
②政府と企業はグリーン買い付け政策の制定と実施をし、違法と持続の続かない伐採による林製品の購入を禁じ、そしてその購入に当たり FSC の認証を通ったような持続経営出先の林業製品を優先的に考慮する。
3)林業製品の消費国政府に対する提案:
①関連の政府機関は違法木材の取引に対し必ず調査を行い、違法木材取引の規模、流通及び参与した企業と個人を硬く評価する;
②違法伐採と関連取引がそれぞれ違った政府機関に及んだ以上、関係した政府機関(林業局、商務部、税関、外交部)は機関を乗り越えた協力が必要である。
③二国間、多国間の国際協力に積極的に進出し、そして国内で関連した対応策を取ることにより、違法伐採と関連した木材の取引を絶える。
④輸入国は必ず林業製品供給国の税関と協力し合い、輸出入データーと書類データーの情報交換により林業製品の追跡システムと他の方法を作り、違法伐採による木材の取引、偽造の輸出入書類と木材密売犯罪行為を食い止める。
⑤関連の政策を通じて企業と個人に環境にやさしい木材の代替製品の利用を励み、木製品とパルプ製品のリサイクル利用を推し進める。6)林業製品の生産国が森林管理の能力強化を欧米日等の先進国は二国間協力の方式で対応すべきである。
4)林業製品の生産国政府に対する提案:
①森林管理を強化することであるが、それは関連法律の完備、執法能力の強化と森林犯罪行為に対する処罰を強めることを含む。
②腐敗問題の厳しい国において森林管理の強化と腐敗行為への打撃とを結びつくべきである。
③森林を生活の頼りにするコミュニテーの造成といった環境とコミュニテーとも有利な林業プロジェクトに協力する。
④二国間、多国間の国際協力に進出し、輸出国との輸出入データーと製品書類データーの情報交換により木材の追跡システムと他の方法を作り出し、違法木材の輸出、偽造の輸出書類、木材の密売犯罪行為を食い止める。
5)林業製品生産企業に対する提案:1)林業製品生産企業は有効の生産販売監督管理システムを必ず作り上げ、それで木材の合法伐採と持続経営の森林からの産物を保証する。2)林業製品協会は関連政策の制定と実施をし、メンバーの違法木材の売買と違法木材による製品の生産を禁ずる。
6)消費者に対する提案:
①関係機構(会社、学校など)と個人消費者は木製品とパルプ製品の消費量を減少すべき
で、特に一人当たり消費レベルの高い国と地域がそうである。
②消費者は木製品とパルプ製品のリサイクルをできるだけ利用し、或いは再生製品(再生紙など)と FSC の認証を得た製品を購入すべきである。
3.違法伐採に対する企業の態度
中国の企業界では合法木材の購入が重要視され、そして木材の違法伐採と取引を抑制するのに対策を採り、良い社会創りや企業の知名度の向上、木材製品輸出量の増加を念頭している。勿論、官ベースと民間ベースからの世論監督と地球規模の環境保護意識の向上及び木材製品輸入国からの環境保護に対する要求もその促進作用が起きた。欧米等環境保護に敏感の国に林業製品を輸出する企業が市場の要求と激しい競争に迫られ、森林認証特に生産販売監督管理チェーン認証を貰うことはやむをえないことで、第三者独自で証明した持続経営の森林から来た合法伐採による木材を購入する。企業の一部が中国森林と貿易ネットワークのような違法伐採行為を拒否する行動にも積極的に参加した。当該ネットワークは全地球の森林と貿易ネットワークという団体が行った中国での具体的行動である。全地球森林と貿易ネットワークという団体は世界自然基金の提唱でスタートされたもので、全地球で責任感のある林業製品の購入を推し進め、林業製品メーカーに取引フラットを作り上げ、商業情報の交流や商品の販売促進を旨としている。合法による伐採木材及び木材製品を使用する企業に生産コストが増やされることで、木材の違法伐採に対する抵抗策に非常に関心度が高い。違法伐採で採れた木材のコストが安く、木材取引市場に大きなショックを与え、全地球の木材及び木材製品取引の市場価格を平均 7%-16%低下させ、法律に準ずる企業の発展にメリットが無い。このため、国際会議や国際セミナーに参加して違法伐採対策を議論する。2006 年 3 月 8-11 日、香港で違法伐採抵抗のために専門的に開催されたセミナーもそうである。
4.違法伐採に対する一般消費者の態度
ここ数年来中国では砂嵐が多発で、森林が環境保護の重要性を一般の木材消費者は分かるようになり、それで森林への違法伐採に注目してそれを反対している。更に数多くの消費者は対等価格の元で合法伐採及びその木材製品を優先的に購入する態度が表明された。但し、経済等各方面の原因により消費者はそれの購入意欲と購入行為をまだ完全に結び付けていない。実際購入の際に購入された木製品が必ずしも合法の森林からのものだと思わないのは現状であろう。
Ⅷ.森林経営認証、COC認証の現状と問題点
1.背景
1992 年の地球サミット以来、森林問題は地球規模の環境問題の一つとして注目されるようになり、持続可能な森林経営(SFM)という新しい理念が提唱された。森林認証は、既定の基準・指標と公認の手順にしたがって第三者機関による客観的な評価を行い、対象森林の経営状況を認証する制度であり、持続可能な森林経営を促進する市場的なアプローチとして、1990年代から発足した。わずか十数年間で、森林認証は当初の発想から森林所有者、木材業者、流通販売業者、消費者等に広く認められ、世界的な制度として急速な発展を遂げた。2005 年までに、60 以上の国で2.75 億ha の森林が認証され、数千の認証製品に認証マークが付けられている。
中国は世界最大の途上国であり、林業大国でもある。責任ある国としては、地球の生態環境に対して貢献しなければならない。森林認証を促進することは、中国の生態環境保護に重要であるのみならず、持続可能な開発を推進するという国際社会に対する中国政府の承諾を履行し、国際的な地位を高めることにも繋がる。
林業は国土の生態安全保障、地域経済発展など多重の役割を果たしている。xxxに入ってから、中国は生態建設を中心とする林業発展戦略を確立し、従来の木材生産重視から森林の有する多様な機能の発揮へと、基本方針を転換した。しかし、「改革開放」を国の基本路線として20年以上堅持してきた中国では、あらゆる分野で市場経済化しており、持続可能な森林経営を実現するためには、従来の計画経済的な手段ではもはや困難になりつつある。こうした中で、市場メカニズムを取り入れた森林認証は重要な選択肢になる。
近年、天然林禁伐政策の実施によって中国の木材輸入量は急増している。一方では、 WTO 加盟にともなって林産物輸量は年々増えており、とくに家具などの木材製品の輸出量の伸びが急速で、その輸出額は 1990 年の 5000US$ら 2004 年の 101.67 億 US$に増加した。その内に、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本への輸出額は全体の約 80%を占めている。違法伐採問題が厳しく問われる中で、消費者の環境意識が高い欧米や日本等における自国の市場シェアを確保するために、森林認証はますます重要になってきている。
2.森林認証の展開
(1)政府主導の森林認証体系づくり
以上のような国内、国際的な状況を踏まえ、特に 2000 年に北京で開かれたモントリオール
プロセス第 12 回交渉会議を経て、中国政府は森林認証を持続可能な森林経営を推進する手段として重視するようになった。2001 年3 月、国家林業局に森林認証処が設置され、7 月に中国森林認証指導グループが成立し、これらをもって国家的な森林認証プロセスが正式にスタートした。
2001 年 8 月、中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)が設置され、2002 年 8 月に全
国認証認可部局間連絡会議が発足し、国家林業局は森林認証の担当部門としてその一員となった。2003 年 9 月に「中華人民共和国認証認可条例」が公布され、11 月 1 日をもって実施し始め、これで全国統一した認証認可管理制度が確立され、認証認可が法制の軌道に乗った。同
「条例」では「認証認可活動は、国務院認証認可監督管理機関の統一監督・管理のもとで、各関係部門が共同で推進する」と規定しており、上述した部門の役割分担に法的な根拠を提供した。
また、2003 年に出された「林業の加速的な発展に関する中共中央、国務院の決定」においても、「森林認証を積極的に展開し、いち早く国際的なレールに乗せる」と明記した。このために、 2004 年度から中央財政は森林認証推進の予算を設け、森林認証の研究、教育、普及、体系作りなどに当てることになった。
こうした一連の動きは、森林認証の展開に有利な条件を与えた。中国森林認証指導グループは、持続可能な森林経営の推進と林産物の市場競争力の向上を目的とし、国際的な認証基準・指標を参考にしながら中国の国情にふさわしい独自の森林認証体系を創設立するという基本方針を固めた。具体的には三つのステップをとって穏健に進めていくとした。
第一は基準づくりである。国家林業局森林認証処の主導で、中国林業科学研究院、北京林業大学などの研究機関が参加している。「中国森林認証基準」の制定は 2002 年 1 月から着 手し、2004 年 6 月に草案を完成し、指導グループの審査を受け、部門基準として国家林業局の最終的な批准を待っているところである。同「基準」は、主にFSC とPEFC の基準を参考にしたもので、国家の法律・法規枠組み、森林所有権、地域コミュニティと労働者の権利、森林経営計画、営林生産、生物多様性保護、環境への影響、森林保護、森林モニタリングなど 9 つの原則、45の基準、118 の指標からなっている。
また、「中国加工・流通過程の管理認証基準」の制定も 2004 年 11 月から始まり、2005 年
12 月に草案が完成しており、現在、指導グループに提出して審査を待っているところである。これもFSC とPEFC のCoC 認証基準を参考に制定したもので、認証体系の管理、原材料の管理、生産コントロールと記録、ラベリング管理、領収書管理と販売記録など 5 つの部分、13 項目、28条からなっている。
第二は認証モデルの樹立である。2006 年からの 2 年間で国家林業局森林認証処は黒竜江省、xxx、浙江省、福建省、広東省、四川省で 6 つのモデル林を選び、試験的に森林認証を行うことにしている。選択されたモデル林の所有形態は国有林、農村集体林、企業林などがあり、経営目的としては木材生産林と非木質林産物生産林が含められている。最近、2007 年の
6 つのモデルも既に確定した。認証モデルを設置する主な目的は、これを通じて認証基準を検証し、認証人材を育成し、実践経験を積み重ねることである。
第三は認証機構の育成である。2006 年 1 月に国家林業局森林認証処、中国林業科学研究院、国際xxネットワークセンター、浙江省林業庁の関係者による森林認証機構促進委員会が設立され、数回にわたる検討の結果、中国林業科学研究院で中国初の認証機構「xx認証センター(仮称)」を創設することにした。現在、促進委員会事務局によって申請資料の準備や資金の調達など創設の準備が着々と進められている。また、国家認証認可監督管理委員会も森林認証の推進を 2006 年の重点工作としており、認証機構の創設を積極的に支持している。
(2)民間組織による森林認証の推進
民間組織は森林認証の提唱者であり、促進普及者でもある。中国の森林認証の推進においても民間組織は大きな役割を果たしてきた。1990 年代後半から、数多くの民間組織は中国林業科学研究院、中国社会科学院、北京林業大学などの研究機関や地方森林経営部門、木材加工企業などと共同で色々な助成プロジェクトを立ち上げ、森林認証導入の可能性と手法の検
討、知識と理念の普及、人材育成、モデルづくり、基準・指標の本土化、認証体制の確立などに努めた。特に環境保護に積極に取り組む世界自然基金会(WWF)が最初から中国の森林認証を促進する先頭役を果たしてきた。
1999 年、WWF と中国国家林業局が共同で森林認証国際シンポジュウムを開き、森林認証の理念を政府関係者や研究者に紹介した。
2001 年 5 月に、世界銀行、WWF、FORD 財団等の助成で中国森林認証非正式ワーキング・グループが成立した。同ワーキング・グループは政府関係者、NGO、木材加工企業、マスメディア、貿易会社の代表 28 人からなり、主な活動は中国における森林認証の可能性や戦略について検討することである。2003 年に「わが国における森林認証の推進に関する建言」を国家林業局に提出した。
2002 年からの 3 年間で WWF は、中国東北・内蒙古で責任ある林業促進プロジェクトをスタートさせ、主な内容は保護価値の高い森林の判定、合法的な森林経営と貿易、森林認証の宣伝などであった。
2005 年に WWF のグローバル森林と貿易ネットワークの一部として「中国森林と貿易ネットワーク」(CFTN)が完成した。これはWWF(香港)とWWF(中国)がお共同で援助したプロジェクトで、主に中国市場(香港と台湾を含む)に向けている。その目標は、貴重で絶滅に瀕する森林生態系の管理の改善を促進し、中国及びその木材原材料供給国での違法伐採を抑制することである。WWF のグローバル森林と貿易ネットワークの経験から、CFTN の成立は、中国企業にその製品の合法性を証明する土台を築いた。これまでに、CFTN には 9 社の会員、10 名の貿易パートナー、2 名の森林管理パートナーが加盟している。毎年に、中国、ロシア、アフリカ、ヨーロッパ、北米、南米などからの 200m3 ほどの原材料を購入・販売している。
2005 年、WWF の助成で「中国東北内蒙古地域に適応した FSC 認証基準」が完成し、2005年 4 月に黒竜江省友好林業局とxxx白河林業局で 42.5 万 ha の国有林と 6 つの企業が SGSの審査を受け、FSC 認証を取得した。
2006 年 3 月、WWF の助成で「FSC 中国ワーキング・グループ」が成立し、FSC の更なる発展を実現する体制が整った。同ワーキング・グループは政府部門、研究機関、大学、産業協会、森林経営部門、木材加工企業、NGO、マスメディアなどからの 107 人で構成され、環境、社会、経済という三つのサブグループに分けている。主な活動は認証基準の制定、研究会やトレーニング、認証情報の提供、各種の出版物の編纂、森林認証理念の宣伝と知識の普及などを通じて森林認証を全面的に進めることである。
これまでに編集、翻訳した出版物には、「森林認証基準と指標ツールブック」(CIFOR 助成)、
「FSC 森林認証ガイドブック」(イギリス駐中国大使館助成)、「道探る-多方参加による森林認証基準制定ワーキンググループのシリーズ・ツール」(WWF 助成)及び定期的に発行する「森林認証通訊」などがある。
こうした一連の助成プロジェクトは、中国での森林認証の展開に積極的な役割を果たした。主な成果は次のように要約できる。①研究成果を提言書の形で政府に提出することで、政府の森林認証に対する重視を呼びかけたこと。②シンポジュウムやフォーラムの開催、宣伝資料の散布、マスメディアの報道によって森林所有者、企業界および一般国民の森林認証に対する認識を高めたこと。③色々なトレーニングを通じて、数百人の関係者が講習を受け、数十名の准審査員が育成された(正式の国家認証体系がいまだに確立されていないため、審査員として認定されていない)こと。④各種のガイドブックを出版することで、森林認証の複雑な手順を分かり易く整理し、今後の認証活動に基本的な手法を確立したこと。⑤定期誌(非正式)やホームページなどを通じて国内外の認証動向を提供したこと。⑤森林認証モデルを樹立することで、今後の全面的な展開に手本を示したこと。
3.森林認証の現状
政府および民間の積極的な推進によって、ここ数年間、中国の森林認証、特に加工・流通過程の管理認証は急速な展開を見せた。
(1)FSC・CoC認証
中国における森林認証の原動力は市場(特に国際)からの圧力である。多くの企業は自社の市場シェアを確保し、新しい市場を開拓するために森林認証を重視するようになったわけである。1998 年に、中楊木業有限会社(広東・深せん)が FSC の CoC 認証を取得し、中国初の CoC 認証取得企業となった。それからは、CoC 認証取得企業数が年々増加し、2006 年末までに、全国(香港、マカオ、台湾を含む)で既に 221 社が FSC の CoC 認証を取得した(図 8-1)。
これらの企業はほとんど外資系企業(外資或いは合資企業)で、製品には小型家具が主流である。原材料はほとんど外国から輸入しており、製品も欧米市場にだしている。認証企業の所在地から見ると、その大部分は香港、広東省、浙江省、江蘇省、福建省など経済が発達した地域に集中している(表 8-1)。
221
126
80
55
28
35
1
7
14
250
(認定取得企業数)
200
150
100
50
0
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
( 年 度)
図8-1 SFC・ CoC認証取得企業数の推移
表8-1 SFC・CoC認証取得企業の地域分布
地域 | 広東 | 浙江 | 香港 | 江蘇 | 上海 | 福建 | 吉林 | xx | 遼寧 | 天津 | 安徽 | 四川 | 黒竜江 | xx | 云南 | 湖北 | マカオ | 台湾 | 合計 |
件数 | 61 | 58 | 21 | 19 | 16 | 12 | 8 | 6 | 5 | 4 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 220 |
(2)PEFC・CoC認証
2006 年末まで、全国で PEFC の CoC 認証を取得した企業は 3 社で、具体的には、上海財納福諾有限公司(Chinafloors Timber (Shanghai) Co., Ltd.)、芬欧匯川(常熟市)紙業有限公司
(UPM-Kymmene (Changshu) Paper Industry Co., Ltd.)とxx(香港)有限公司(Antalis (Hong Kong) Ltd.)である。木材加工と紙・パルプ企業が主流となっている。
(3)森林管理(FM)認証
近年、外国から輸入した認証材の価格が割高なため、多くの FSC 加工・流通過程管理認
証取得企業は視線を国内に移動し、原料林の確保に踏み出すようになった。特に B&Q、IKEA、 HomeDepottなど中国に進出した外国の大型家具販売業者は中国国内で認証材を求めようとしている。こうした中で、森林管理(FM)認証もますます注目を集めた。2006 年までに、全国で 5件の FM 認証が行われ、約 45 万 ha の森林が FSC の認証を取得した(表 8-2)。PEFC は中国での FM を行っていない。
表8-2 FSC・FM認証を受けた森林の概要
企業名 | 所有形態 | 森林種類 | 森林面積 (ha) | 取得時間 | 認証機関 |
浙江省臨安市国営昌 化林場 | 国有林 | 人工林 | 940 | 2002 年 | SmartWood |
広東省xx林業発展 有限公司 | 社有林 | 人工林 | 5337 | 2003 年 | SmartWood |
xxx省友好林業局 | 国有林 | 天然林 | 242983 | 2005 年 | SGS |
xxx白河林業局 | 国有林 | 天然林 | 190470 | 2005 年 | SGS |
北京市八達嶺林場 | 国有林 | 天然林 | 2900 | 2006 年 | GFA |
この 5 件の FM 認証においては、xx林業発展有限公司を除き、ほかの 4 件はすべて国際組織や外資系企業の援助を受けている。FM 認証を受けた森林の所有形態には、かつて中国の重要な木材産地であった東北地方の国有林業局、xx地域の国有林場及び近年発展した企業所有の原料基地林など、中国の主要な森林所有形態を含めており、重要なモデルでもある。また、森林の種類も天然林と人工林があり、認証モデルとしてはかなりの代表性を持っている。北京市八達嶺林場の認証事例は生態公益林認証の初の手本であり、重要なモデル効果を果たしている。ちなみに、2006年にはxxx省の東方xx場が FSC・FM 認証の予備審査を終えており、新疆ウイグル自治区の喀什怡美木業有限公司も FSC・FM 認証の申請を出している。
FSC・CoC 認証の速い伸びに比べて、FM認証が遅れている原因は、主に四つあると思われる。第一は低い木材価格に対して認証にかかる費用が高すぎで、中国の一般森林経営者が耐えられないこと、第二は言葉の問題もあって外国の認証担当者と十分な交流ができないこと、第三は国産材の品種や質が輸出型加工業者の要求に合わないこと、第四は森林経営者と木材加工業者の間で有効な連携と交流体制ができていないことである。
(4)認証機関
以上に見てきたように、中国国内の認証体系がまだ確立されていないため、今までの森林認証はすべて外国の認証機関が実施したものであった。各認証機関の件数を見ると、221件の FSC・CoC 認証のうち、SGSC が 171 件、SmartWood が 14 件、GFA が 13 件、CU が 12 件、 SCS が 10 件、BV が 1 件となっており、5 件の FSC・FM 認証では、SmartWood が 2 件、SGS が 2 件、GFA が 1 件であった。SGS は中国で支社を設置したため、圧倒的な優位性をもっている。
3 件の PEFC・CoC 認証はすべて SGS が実施したのである。
しかし、外国の認証機関による認証は費用が高く、十分な交流ができない欠点があり、とくにSM認証を受けた森林経営企業から苦情が出ている。この点から見ても中国国内の認証機
関を早急に育成することが喫緊の課題である。
4.今後の方向性
中国の森林認証はここ数年間で順調に展開してきたが、xxを展望すると、決して楽観ではなく、有利な条件と不利な制限が並存していると言わざるを得ない。
(1)有利な条件
有利な条件としては、以下のようなことが挙げられる。
第一は政府の支持である。90 年代以来、中国は天然林保護や退耕還林など多くの生態建設プロジェクトを実施し、大きな成果を収めた。今、これらのプロジェクトで保護、新植された森林をどのように経営・管理するかが大きな課題となっている。国家林業局が策定した「林業発展に関する第十五回五ヵ年計画」(2006-2015)では、完備した生態系と発達した産業を構築するという目標をたてた。森林の持続可能な経営を促進し、林産業の健全な発展を図り、市場競争力を高める有効な手段として、森林認証は政府関係部門に重要視され、確実に推進しようとされている。国家認証認可監督管理委員会も国家森林認証体系の樹立を支持している。
第二は国際市場のニーズである。森林認証の世界的な進展にともなって、多くの木材製品販売業者(小売、卸売り)が認証材製品を優先的に購入する許諾をしている。例えば、中国各地で50 以上の家具店をもつヨーロッパ著名な家具販売業者「B&Q」は、輸入品については認証材製品のみを購入しており、中国国内製品についても徐々に購入条件を厳しくする方針を出している。中国で多数の店を持つ IKEA(スウェーデン)も 1999 年から「販売する製品が使用した木材は少なくとも原始林や保存価値の高い森林からのものでないこと」という経営方針を発表しており、2000 年から熱帯材については必ず FSC の認証を取得したものとした。国産材を主な原料源としている中国国内の木材加工業者も欧米や日本の市場で立脚しようとすれば、こうした国際的な潮流に順応しなければならないと思われる。
第三は良い基礎ができたことである。ここ数年間で、政府や民間組織の努力によって、森林認証に関する理論研究、基準と指標づくり、理念の宣伝と知識の普及、人材育成、モデルの樹立などの面で確実に進み、より良い基礎を作ったと言える。また、中国では発足したばかりであるが、世界的にみれば森林認証はすでに十数年の実践を経ており、貴重な経験を積み重ねてきた。これは、中国の森林認証にとって良い参考になり、これらの経験を活用すれば森林認証を円滑に推進することができる。
(2)制限要因
主な制限要因としては、以下の3点が挙げられる。
第一は、国内市場のニーズ不足である。中国では、膨大な人口に急速な経済発展が加わって、林産物の需要量は非常に大きい。しかし、全体的にみれば、消費者の環境意識は依然として低く、特に広大な農村地域ではまだ質を追求する段階に入っておらず、価格しか考えていないのが現状である。したがって、国内市場に向いている大多数の企業にとって、認証を受けても現実の利益になれないので、認証の原動力が不足している。これは中国の森林認証にとって最大な制限要因である。
第二は経営管理能力の制限である。中国は 30 年以上も計画経済体制を堅持した。改革・開放してから二十数年経った今でも、森林の所有権、経営権を中心とした管理経営体制が決着
していない。国家林業局が国有林管理経営体制の改革や農村集体林の請負経営権の改革を 2006 年の重点活動としたのもこの所以である。したがって、森林経営者の経営意識や管理水準は普遍的に低い。とくに農村集体林については経営計画さえ立てていない例も少なくない。このような水準はFSCなどの認証基準にかなりの差がある。また、木材加工企業にしても、少数の大型企業を除けば、大多数の企業は近代的な企業管理になっていない。これらの企業が認証を取得するまでには多大な努力が必要であろう。
第三は社会的な信用水準の制限である。信用は現代市場経済の魂であり、認証制度の基本でもある。認証は第三者の客観性とxx性を強調しており、どちらかの一方に誠実性を欠けても認証は成立できなくなる。しかし、転換期にある中国では、贋物の取締りを中心とした品質管理に精一杯で、市場的な信用度は未だに低い。このまま森林認証を推し進めると、認証の権威性、健全性を損なう恐れもある。農業分野のグリーン食品や有機食品ラベリングで現れた問題は有力な反面教材である。したがって、森林認証を全面的に推進するには、まず社会的な信用管理体制を強化する必要がある。
(3)今後の展望
中国の森林認証は依然として初期段階にあり、全面的に森林認証を展開させる条件は未だに成熟しておらず、近いうちに大規模な森林認証は期待できない。しかし、条件の良い一部の地域と企業で認証を実施することは可能であり、これと同時に将来の全面的な発展に環境整備を進めるべきである。今後、中国独自の森林認証体系も徐々に完備していくし、国内の認証機関も出てくるが、現存の国際的な認証体系とどのように融合し、相互の認可を実現するかは、大きな課題である。
Ⅸ.合法性証明制度に対する関係者の対応及びその問題点
国際的な違法伐採問題への取り組みに貢献するため、日本政府は2006 年4 月から、森林の伐採時点の合法性などが確認された木材及びそれを原料とした木材製品などを優先的に購入する制度を導入した。この制度は政府機関が木材関連製品を購入する場合には優先的に使用することを義務付けたものであり、地方政府には義務付けはないが、購入にあたって努力義務が課せられている。また、民間企業の調達などにも広がることを提唱する。
合法性証明制度を確実に推進するために、違法伐採総合対策推進協議会は主要輸入国の関係者に「日本に木材・木材製品を輸出される方々へ」を発表し、林野庁は「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン(2006 年2月 15 日)」を作成し公表した。
日本国内では、関係業者や団体等は既に自主的な行動規範を作成しており、日本独自の森林認証体系も確立されたため、国産材の合法性、持続性証明は比較的に容易であり、その効果も明らかである。輸入材については、これまでにインドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、ロシアなど 4 カ国にある 5 つの民間機関が合法性、持続性証明機関として日本政府に認められている。
中国は日本の主な木材製品輸入相手国の一つである。しかし、これまでには、木材生産、運輸、加工、流通など各段階において、伐採と運輸段階だけに対して厳格に監督・管理されており、一部の地域を除き、大部分の地域では木材加工、流通段階に対して有効な監督・管理措置がない状況である。このために、消費者は購入した木材の由来や伐採状況などの情報を殆ど知らないわけである。したがって、今の段階では、日本の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」は、中国からの輸入品に適用し難いと言わざるを得ない。また、そのなかでどのような問題点が存在するかについても言えない。
実際に中国では、殆ど木材関係者は日本の「木材・木材製品合法性、持続可能性証明制 度」をまったく知らない状況である。一部の海外向けの木材製品加工会社や木材貿易会社は、この制度を少し知っているというが、現段階では、中国の輸出企業に対して具体的な規定やタイムテーブルなどが定めていないので、これらの企業は今後の進展を見守っている様子で、実質的な対応措置を講じていない。日本と貿易関係を持たない企業は、「木材・木材製品合法性、持続可能性証明制度」をほとんど注目せず、対応措置も採っていない状況である。
しかし、長期的に見ると、日本の「木材・木材製品合法性、持続可能性証明制度」の推進につれて、日本へ木材と木材製品を輸出しようとすれば、「合法性、持続可能性証明書」を要求されることはもう避けられない。中国の木材生産、加工、流通及び貿易関係者は、この新しいチャレンジに積極的に対応しなければならない。
日本を含む国際社会の違法伐採問題への取り組みが益々強まる中で、中国の学術団体や民間団体も動き出し、木材追跡監督・管理制度の改善、森林認証の推進、グリーン購入政策の実施、企業信用評価制度の確立などの提言を政府に提出している。中国政府も違法伐採問題や木材・木材製品合法性証明を重視する姿勢を示しており、法制度の整備と改善につれて、中国の木材・木材製品合法性証明は現実のものになり、日本の合法性、持続性証明制度に対応できるようになると期待される。
奥付
林野庁補助事業
合法性・持続可能性証明木材供給事例調査事業
中国における合法性証明制度の実態調査報告書
2007年(平成19年)3月
社団法人全国木材組合連合会
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