Contract
2023 年 9 月 29 日
各位
株式会社 三十三銀行
xx荷役株式会社との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、xx荷役株式会社(社長:xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2023年9月29日 |
(2) | 融資金額 | 100百万円 |
(3) | 期間 | 5年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名
(2) 所在地
(3) 事業内容
xx荷役株式会社
xxxxxxxxxxxx00xx0
当社は、1988年に設立され、貨物自動車取扱事業を主として全国の運搬事業者をはじめとした各企業との物流の架け橋を担ってきた運送会社。
現在では、顧客からの要望の変化と物流のグローバル化の進展に伴い、自社車両の増車、倉庫業務、荷物の積み付け作業など、基本方針の「顧客満足の向上」「安全・迅速・丁寧高品質なサービス」「人材育成・従業員のスキルアップ」とともに、経営理念の「迅速・確実・安全。厚い信頼と確かな実績。」を掲げ、
顧客に柔軟で高品質なサービスの提供を行っている。
(4) 従業員数
(5) 資本金
(同社のトラック)
298名(2023年7月末時点)
10百万円
(実習生の働く様子)
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面・
社会面
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
・2030年までに3名の特定技能外国人を受け入れる。 (2023年7月末時点での特定技能外国人数:0名、 2023年7月末までの技能実習生受入人数:40名)
・2030年までに新たに女性従業員を2名雇用する。 (2023年7月末時点での女性従業員数:15名)
経済収束(ポジティブ)、雇用(ポジティブ・ネガティブ)、移動手段(ポジティブ)
・2030年までに九州地方への輸送を100%中継輸送にて行う体制を構築する。
(2023年7月末時点:愛知~福岡間の輸送の内、約40%を広島営業所を中継拠点とする中継輸送に切り替え済み)
(2) 社会面 教育(ポジティブ)
・2030年まで年間5件以上、外国人実習生のフォークリフト免許取得支援に取り組む。
保健・衛生(ポジティブ・ネガティブ)、教育(ポジティブ)
・2030年まで労働災害事故の発生0件を維持する。 (2023年7月末までの過去10年間の発生件数:4件)
(3) 環境面 大気(ネガティブ)、気候(ネガティブ)
・年間5回以上エコドライブに関する講習を実施する(外部講習への参加を含む)。
(2023年9月期:7月末現在2回実施)
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行 担当部署担当者 | ソリューション営業部xx | |
連絡先 | 059-354-7144 | |
(2) 三十三総研 | ||
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | xx |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以上 |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2023 年9月 29 日株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、xx荷役株式会社に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、xx荷役株式会社の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響及びネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及び ESG ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた
「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.xx荷役株式会社の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営方針と事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 12
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPI とSDGs との関連性 15
4-1.経済面、社会面(ポジティブ)
4-2.経済面、社会面(ポジティブ、ネガティブ)
4-3.社会面(ポジティブ)
4-4.社会面(ポジティブ、ネガティブ)
4-5.環境面(ネガティブ)
4-6.その他 KPI を設定しないインパクトについて SDGs との関連性
5.サスティナビリティ管理体制 20
6.モニタリング 20
7.総合評価 20
1.評価対象の概要
企業名 | xx荷役株式会社 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2023 年9月 29 日 ~ 2028 年9月5日 |
2.xx荷役株式会社の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxxx 00-0 |
従業員数 | 298 名(2023 年7月末現在) |
資本金 | 10 百万円 |
業種 | ・一般貨物自動車運送業 ・自動車運送取扱事業 ・荷役作業請負事業 ・損害保険代理店 |
沿革 | 1988 年3月 xx荷役株式会社設立 自動車運送取扱業・損害保険代理店事業を開始 1998 年3月 一般貨物自動車運送事業を開始 2005 年8月 xx営業所開設 ISO 14001 取得 2006 年9月 九州営業所開設 2007 年9月 四日市営業所 物流センター開設(敷地面積 1,000 坪) 2008 年5月 九州営業所 鞍手町に移転 2009 年3月 本社営業所 xx市舳越町に移転 2010 年5月 福岡営業所 物流センター開設 7月 グリーン経営認証取得 2013 年2月 九州営業所 福岡センター開設 xx市に集約、移転、福岡営業所に名称変更 2014 年1月 本社営業所 G マーク(安全性優良事業所)取得 2月 広島営業所開設 2015 年3月 滋賀営業所開設 2016 年8月 xx物流センター開設(敷地面積 1,600 坪) 2019 年1月 四日市営業所 G マーク(安全性優良事業所)取得 |
事業所名 所在地 | |
本社営業所 | xxxxxxxxxxxx 0-0 |
xx物流センター | xxxxxxxxxxxx 000 |
xx営業所 | xxxxxxxxxxxxx 00-0 (㈱アイシンxx物流センター内 2F) |
四日市営業所 | xxxxxxxxxx 0000-0 |
滋賀営業所 | xxxxxxxxxxxxxxxxx 0000-0 |
広島営業所 | xxxxxxxxxxx 0-0-000 |
福岡営業所 | xxxxxxxx 000-0 |
<本社営業所>
事業拠点
2-2.経営方針と事業内容
【基本方針】
【経営理念】
【事業内容】
xx荷役株式会社(以下、xx荷役)は、1988 年に設立され、貨物自動車取扱事業を主として全国の運搬事業者をはじめとした各企業との物流の架け橋を担ってきた。
現在では、顧客からの要望の変化と物流のグローバル化の進展に伴い、自社車両の増車、倉庫業務、荷物の積み付け作業など、基本方針の「顧客満足の向上」「安全・迅速・丁寧高品質なサービス」「人材育成・従業員のスキルアップ」とともに、経営理念の「迅速・確実・安全。厚い信頼と確かな実績。」を掲げ、顧客に柔軟で高品質なサービスの提供を行っている。事業の具体的な内容については次頁以降の通り。
運送サービス
自動車部品や一般貨物など、あらゆる荷物を連携会社とのネットワークを活かし、効果的な運送を構築し、豊富な経験を活かした確かな業務で多様な要望に応えている。
本社を愛知県xx市に構え、三重県、滋賀県、広島県、福岡県など西日本を中心に営業所を設置してお
り、自社で広域に運送できることが特徴である。
また、愛知県に本社を置くことからトヨタ自動車関連のマフラーやボディなど、自動車部分品の配送割合が高く、トヨタ自動車の一次下請業者の工場と西日本各地の自動車工場を往来する配送ルートを有している。
<配送可能エリア>
<同社のトラック>
2-3.サスティナビリティに関連する活動
【広域な輸送網の構築】
愛知県(xx市、みよし市)をはじめ、三重県、滋賀県、広島県(広島市、東広島市)、福岡県と西日本の広域に拠点を有している。広域な輸送網の強みとドライバーの労働環境整備等が評価され、トヨタ自動車関連の自動車部品配送を任されるなど、取引先からの信頼を得ており、自動車部品の安心・安全な配送を通じて、消費者の満足度向上に貢献している。
【従業員教育による労働災害事故の発生抑制】
本社営業所にナスバネット(運転適性診断)を設置し、初任診断や一般診断に活用するだけでなく、従業員の教育資料として危険予知訓練や安全運転の意識向上に活用することで、労働災害事故の発生を抑制する取り組みを行っている。また、ドライブレコーダーによる過去の事故映像を用いて定期的に注意喚起を行うほか、フォークリフト作業における基本作業体感訓練や事業所ごとの安全定着・確認パトロールなどを実施し、労働災害事故の発生抑制に注力している。こうした取り組みにより、同社の本社営業所、四日市営業所において「G マーク(安全性優良事業所)※1」の認定を取得しており、輸送の安全の確保に積極的に取り組んでいる。
※1G マーク(安全性優良事業所)とは、国土交通省が推進する認定制度であり、利用者が安全性の高い事業所を選びやすくする等の観点から、輸送の安全の確保に積極的に取り組んでいる事業所を認定する制度である。国が貨物自動車運送の秩序確立のために指定した機関(全日本トラック協会)が 38 の評価項目を設定し、同機関内の安全性評価委員会において認定す
る。本事業は、2003 年7月から開始され、26,940 事業所(全事業所の 31.2%)、703,668 台(全事業用トラックの 49.7%)が認定を受けている(2021 年3月現在)。
【従業員の資格取得支援】
トラックへの商品の積み込み、積み下ろしの際必要なフォークリフト免許をはじめ、大型自動車免許や運行管理者、整備管理者などの資格取得に際して、取得費用の全額を同社が負担し、支援している。主な取得支援資格及び取得者数は以下の表の通りである。また、技能実習生にもフォークリフト免許の取得を促進しており、今後も毎年5名以上の取得を目標に掲げている。
資格名 | 取得者数 |
大型自動車第一種運転免許 | 180名 |
フォークリフト免許 | 260名 |
玉掛け免許 | 15名 |
xxxx・xxxx運転士免許 | 15名 |
整備管理者 | 20名 |
運行管理者 | 35名 |
<主な取得支援資格及び取得者数(2023 年7月末時点)>
【2024 年問題への対応】
2024 年問題とは、働き方改革関連法により 2024 年4月以降、トラックドライバーの時間外労働
に年 960 時間の上限が設定されることで生じる諸問題の総称を指す。具体的には長時間労働が常態化しているトラックドライバーの待遇改善を図ることを目的としており、ドライバーの労働時間に罰則付きで上限が設置されるため、管理者である運送事業者の収益環境の悪化並びにドライバーの収入減少および離職、荷主の輸出コスト増加に伴う商品価格の上昇などにより、社会インフラとしての物流システムや経済動向に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
そうしたなか、同社では 2024 年問題を意識した従業員(特にドライバー)にとって働きやすい職場環境への整備を進めている。特に、2030 年までに九州地方への輸送を 100%中継輸送にすることを目標に掲げている。従来は、九州地方への輸送を 1 名のドライバーが対応し、1 往復の運行に2日間要することで、他のニーズをロスすることによる逸失利益の発生や復路の車両積載率の悪化による採算性の低下、長距離輸送に従事するドライバーの車中泊を伴う拘束時間の長期化などが課題となっていた。そこで中継輸送を導入することで、各ドライバーの業務は中継拠点までの運行となり、宿泊を伴わず働けるほか、運行ロスの削減や採算性の向上が期待できる。このため、同社では西日本広域に有する事業所の中継拠点としての整備や、荷主や協力会社等との交渉を図り、中継輸送の体制構築を進めていく方針である。2023 年7月末時点では、愛知~福岡間の輸送の内、約 40%を広島営業所を中継拠点とする中継輸送に切り替えている。
また、ドライバー離職をゼロにすることを目指して、顧客への運賃増額交渉を行い、その結果を従業員の給料やボーナスの増額に反映させる計画を立てている。
【有給休暇の取得推奨】
厚生労働省が発表した「令和4年就労条件総合調査の概要」によると、2021 年の運輸業、郵便業における年次有給休暇の労働者1人平均取得日数は 10.4 日である。それに対して、同社では閑散期などのスケジュールを勘案して積極的に有給休暇取得を促すことで、直近の 2022/9 期の従業員1人平均有給休暇取得日数は年間 16 日と高い水準を維持している。
【勤怠管理システムの導入による事務負担の軽減】
従業員の適正な労働時間把握のために、独自の勤怠管理システムを構築しており、トラックドライバー特有の荷待ち時間等を含めた勤務時間の管理だけでなく、事務作業の効率化により担当者の事務負担の軽減にも貢献している。
【地元雇用の推進】
愛知県をはじめ、西日本の広域に営業所を有する同社では、各地での地元雇用を実施しており、各地域の雇用に貢献している。
【ダイバーシティ経営の推進】
(1)外国人労働者の受入れ積極化
過去よりベトナムやインドネシアなど東南アジア諸国からの技能実習生を受入れており、フォークリフト免許や日本語検定などの技能の習得、寮の整備による日本での生活のサポートなどを実施してきた。これまでに受入れた技能実習生は合計 40 名に上る。
日本は、人材の確保が困難な一部の産業xxxにおける人材不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を労働者として受け入れる新たな在留資格「特定技能」を 2019 年4月に創設し
<実習生の働く様子>
た。2023 年9月現在、「特定技能」の受入れは、「介護」「ビルクリーニング」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」「建設」「造船・舶用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」
「飲食料品製造業」「外食業」の 12 業種に限られている。
「特定技能」における受入れ可能分野に運送業は含まれていないものの、今後運送業において受入れが可能となれば、積極的に受入る予定であり、体制の整備を進めていく。
また、2019 年に経済産業省が実施している「国際化促進インターンシップ事業」に参加し、ベトナムから1名のインターンシップ生の受入れを実施した。インターンシップ生はエクセルを使ったコスト管理表の作成やベトナムの市場調査などに携わり、日本の物流業界のノウハウや業務に触れることができるほか、同社従業員もダイバーシティの考えを養成し、共通の言語を持たない方とのコミュニケーションを図る貴重な経験となった。
(2)女性従業員の活躍推進
女性ドライバーや女性作業員の積極採用を推進しており、2023 年7月末時点でドライバー15 名、作業員 15 名、事務員 10 名の合計 40 名の女性従業員が様々な職種で活躍している。産休や育休を取得しやすい体制を整備していることは当然ながら、女性従業員同士で連絡・相談ができる体制を構築しているほか、現場リーダーとして1名登用しており、今後は女性管理職の増加にも注力していく予定である。
【従業員の健康診断受診の推奨】
全従業員に対して法定(年間1回)を上回る年間2回の健康診断を同社が費用を全額負担し受診を促進するなど、従業員の健康問題に配慮した体制が整備されている。
【CO2 排出量の少ない環境優良車の利用】
最新規制適合ディーゼル車や低排出ガス認定車(「自動車 NOx・PM 法※2」に適合した車両)などの低公害車を積極的に 導入しており、全車両において環境に配慮した車両を利用している。なお、長期規制や新短期規制などの古い規制に適合している車両から、最新の規制に適合した車両へxx切り替えを行っている。また、全車両にデジタルタコグラフを設置し、速度、走行距離、燃料消費量などを適正に管理することで、「公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団」が認証機関と
なっているグリーン経営認証を取得しており、2020 年には継続 10 年目のxx表彰を取得している。
<グリーン経営認証登録証>
※2自動車 NOx・PM 法とは、自動車から排出される窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)の抑制のために制定された、大気汚染防止法の特別措置法である。自動車から排出される NOx の削減を目的として、1992 年、関東や関西地方の大都市圏を対象に「自動車 NOx 法」が制定されたが、自動車の交通量増大等により目標とした二酸化炭素(CO2)の環境基準達成が困難になったことや、ディーゼル車から排出される PM による健康への悪影響が懸念されたことから改 正され、「自動車 NOx・PM 法」となった。
ディーゼル車排出ガス規制区分 (形式の色別記号) | 【本社】保有台数 | 【四日市】保有台数 | 【滋賀】保有台数 | 【広島】保有台数 | 【福岡】保有台数 | ||
① | 平成30年規制適合車 (低燃費かつ低排出ガス認定車) (4JE,4KF,4NE,5JE,6JE,他) | 6 | 15 | ||||
② | 平成28,30年規制適合車 (2RG,2DG,2KG,2PG,3KE,3KF,他) | 15 | 16 | 4 | 3 | 3 | |
ポスト新長期規制 | ③ | 平成21,22年規制適合車 (低燃費かつ低排出ガス認定車) (TKG,TPG,TRG,QKG,QPG,QRG,QKF,XXX,他) | 25 | 10 | 15 | 21 | 8 |
④ | 平成21,22年規制適合車 (SKG,LKG,SDG,LDG,LKF,QDG,QDF,LDF,SPG,他) | 15 | 2 | 1 | 5 | ||
新長期規制 | ⑤ | 平成17年規制適合車 (低燃費かつ低排出ガス認定車) (BKG,NKG,PKG,CKG,DKG,他) | 10 | ||||
⑥ | 平成17年規制適合車 (AKG,BDG,NDG,PDG,CDG,DDG,ADG,ADF,他) | 7 | |||||
新短期規制 | ⑦ | 平成16年規制適合車 (超低PM排出車) (PJ,PK,PL,PM,PN,PP,PQ,PR) | |||||
⑧ | 平成16年規制適合車(KS) | 2 | |||||
⑨ | 平成15年規制適合車 (超低PM排出車) (PA,PB,PC,PD,PE,PF,PG,PH) | 1 | |||||
⑩ | 平成15年規制適合車 (車両総重量3.5t超のKR) | ||||||
➃ | 平成15年規制適合車 (KQ,車両総重量3.5t以下のKR) | ||||||
⑫ | 平成14年規制適合車(KP,KM,KN) | ||||||
長期規制 | ⑬ | 平成11年規制適合車(KL) | 2 | ||||
⑭ | 平成10年規制適合車(KJ,KH) | ||||||
⑮ | 平成10年規制適合車(KK) | 1 | |||||
⑯ | 平成9年規制適合車(KE,KF,KG ) | ||||||
短期規制以前 | ➃ | 平成6年規制適合以前 (KC,KD,KA,KB,Y,W,X,U,S) | |||||
⓪ | 型式不明 | ||||||
合計 | 78 | 28 | 26 | 29 | 26 |
<NOx・PM 法 規制適合車保有台数(2023 年7月末現在)>
<現在(2023 年7月末時点)の所有車両一覧>
・大型車 180 台(4軸低床アルミウィング車、4軸低床平ボディ車、11t 幌ウィング車)
・中型車 30 台(アルミウィング車・幌ウィング車)
・小型車6台(2t バン車5台、1t 平ボディ車1台)
・フォークリフト 20 台
【排気ガス・CO2 削減を意識したエコドライブの実施】
大気汚染などの環境への影響に配慮したエコドライブに関する講習を実施し、ドライバーへの意識付けを実施している。エコドライブ講習会は年2回実施しているほか、別途年2回開催している定期安全講習会においてもエコドライブについての内容を盛り込み、ドライバーがエコドライブに触れる機会を頻繁に提供している。また、エコドライブに関する内容を班会議のテーマとして盛り込み、班ごとに目標、行動計画の策定、進捗状況の確認を毎月実施することで、全社的にエコド ライブを推進している。
【ガソリン・燃料等の適正な取扱い】
本社営業所でガソリン・燃料等を適正に取扱い、土壌への影響は最小限に留めている。ガソリンタンクの定期検査を毎年実施し、劣化している部品が見つかれば交換しているほか、毎週月曜日に同営業所の排水溝を掃除するなど、外部に影響が出ないよう適正に管理している。
【タイヤのリサイクル】
使用済みのタイヤをリトレッドタイヤ(再生タイヤ)として再利用することで、資源の効率化、廃棄物の削減に貢献しており、同社の所有するトラックの約 50%がリトレッドタイヤを使用している。また、タイヤのローテーションやタイヤ交換は全てプロの専属業者に一任し、燃費向上タイヤ(エコタイヤ)などを使用することで、燃費の向上や廃棄物の削減に貢献している。
【交通安全啓発パレード】
地域の警察署や近隣の同業者と連携して、パトカーや白バイ、トラック等の運行パレードを毎年開催し、地域の人々へ交通安全に対する意識向上を目的とした啓発運動を実施している。
<交通安全啓発パレードの同社トラック>
【交通安全教室による地域教育への貢献】
地域の小学生に向けて、警察署と共同で定期的に交通安全教室を開催し、小学生のトラックの危険認知度を体感してもらうとともに、トラックドライバーへの関心や興味を持ってもらいxxの職の選択肢の幅を広めてもらうなど、地域教育にも貢献している。
【産学連携プロジェクト】
2018 年に設立 30 周年を迎え、愛知学泉短期大学との産学連携により、「作業服リニューアルプロジェクト」を立ち上げ、同大学の学生が制服のデザインを考案した。その中で選ばれたデザインを同社の制服に採用した。このように地域を盛り上げ、学生にとっての学習の機会を提供するなど、地域貢献活動にも取り組んでいる。今後も、同社の周年等のタイミングで同様のプロジェクトを計画している。
【エコキャップ運動】
自社で使用済みのペットボトルを定期的に回収し、プラスチック回収業者を通して認定 NPO 法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」へ寄付している。ペットボトルのキャップをリサイクルすることで、環境負荷の 低減と世界の子どもたちのワクチン接種に貢献してい る。同社の経営理念にある「地域社会へ貢献」するという取り組みは、従業員に浸透しており、自発的に事務職の職員でエコキャップ運動の取り組みを継続している。
【学校への寄贈】
近隣の小学校へ書籍を寄贈し、質の高い教育の提供に貢献している。過去から書籍寄贈を継続し、近隣の矢作北小学校では同社の社名が入った『大洋文 庫』という、寄贈した書籍が並べられたコーナーが設置されている。書籍の寄贈は今後も継続して実施していく予定である。
また、2021 年には岡崎市内の盲学校へ食料品 4,860 食を寄付するなど、地域貢献活動を継続的に実施している。
<学生が考案したデザイン>
<エコキャップ運動 受取報告書>
<書籍寄贈に対する感謝状>
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
本ファイナンスでは、大洋荷役の事業について、国際標準産業分類における「道路貨物運送業」「貨物運送取扱業」として整理した。その前提のもとでの UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「包摂的で健全な経済」「雇用」「移動手段」に関するポジティブ・インパクト、「保健・衛生」「雇用」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉 | ||
包摂的で健全な経済 | 地元雇用の推進 | 愛知県をはじめ、西日本広域にわたる営業所 |
毎の地元雇用を推進 | ||
ダイバーシティ経営 | 外国人労働者の受入れ、女性従業員の活躍 | |
の推進 | 推進など、ダイバーシティ経営を推進 |
経済収束 | 広域な輸送網の構築 | 愛知県をはじめ、特に西日本地域の広域に拠点を有する輸送網を構築しており、輸送にお ける地域格差の縮小を実現 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉保健・衛生 | 交通安全啓発パレード | 地域の警察署や近隣の同業者と協力し、地域の人々へ交通安全に対する意識向上を目的に啓発運動を実施 |
教育 | 従業員教育による労働災害事故の発生抑制 | ナスバネット(運転適性診断)を用いて初任診断・一般診断だけでなく、教育資料として活用し、危険予知訓練や安全運転意識の向上を図り、事故防止に注力 |
従業員の資格取得支援 | 大型自動車第一種運転免許やフォークリフト免許、運行管理者など、各種資格取得にかかる費用を同社が全額負担するなど、従業員の資格取得を支援 | |
交通安全教室による地域教育への貢献 | 地域の小学生に向けて、定期的に警察署と連携し交通安全教室を開催し、地域教育に貢献 | |
雇用 | 地元雇用の推進 ダイバーシティ経営の推進 | ≪包摂的で健全な経済を参照≫ ≪包摂的で健全な経済を参照≫ |
移動手段 | 広域な輸送網の構築 | ≪経済収束を参照≫ |
〈ネガティブ〉保健・衛生 | 従業員の健康診断受診の推奨 | 従業員全員に対して年2回の健康診断の受診を同社が全額負担して促進 |
従業員教育による労働災害事故の発生抑制 | ≪教育を参照≫ |
雇用 | 2024 年問題への対応 | 2024 年問題を意識した従業員にとって働きやすい職場環境を整備 |
有給休暇の取得推奨 | 従業員の有給休暇取得について管理職が積極的に取得を促し、高い有給休暇取得率を維持 | |
勤怠管理システムの導入による事務負担の軽減 | 従業員の適正な労働時間把握のために、独自の勤怠管理システムを構築しており、ドライバー特有の勤務時間への対応だけでなく、事務作業の効率化により担当者の事務負担の 軽減、正確な労働時間管理を実現 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ネガティブ〉大気 | 排気ガス・CO2 削減を意識したエコドライブ の実施 | 大気汚染に配慮したエコドライブ講習などの実施によるドライバーへの意識付けを実施 |
土壌 | ガソリン・燃料等の適 正な取扱い | 各拠点におけるガソリン・燃料等の危険物の 適正な取扱いを実施し、土壌への影響を軽減 |
資源効率・安全性 | タイヤのリサイクル | 使用済みタイヤをリトレッドタイヤとして再利用することで、資源の効率化、廃棄物の削減に 貢献 |
気候 | CO2 排出量の少ない環境優良車の利用 | 最新規制適合ディーゼル車や低排出ガス認定車などの低公害車を積極的に導入しており、環境に配慮した事業活動を実施 |
排気ガス・CO2 削減を意識したエコドライブ の実施 | ≪大気を参照≫ | |
廃棄物 | タイヤのリサイクル | ≪資源効率・安全性を参照≫ |
なお、インパクト分析ツールで発出したネガティブ・インパクトのうち、同社のインパクトと特定しなかったものについては、以下記載の理由に基づく。
同社の事業活動において、生物多様性と生態系サービスにネガティブなインパクトを与える事象は発生していないことから、「生物多様性と生態系サービス」については同社のネガティブ・インパクトとして特定しない。
4.測定するKPI とSDGs との関連性
大洋荷役は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面、社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 雇用 | |
取組、施策等 | 【ダイバーシティ経営の推進】 ・外国人労働者の受け入れ、女性従業員の活躍推進など、ダイバーシティ経営を推進していく。 | |
借入期間における KPI | ・2030 年までに3名の特定技能外国人を受け入れる。 (2023 年7月末時点での特定技能外国人数:0名、 2023 年7月末までの技能実習生受入人数:40 名) ・2030 年までに新たに女性従業員を2名雇用する。 (2023 年7月末時点での女性従業員数:15 名) | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人 種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての |
人々の能力強化及び社会的、経済的及び 政治的な包含を促進する。 |
4-2.経済面、社会面(ポジティブ、ネガティブ)
特定インパクト | 経済収束雇用 移動手段 | |
取組、施策等 | 【広域な輸送網の構築】 ・広域にわたる各営業所の強みとして、ドライバーの労働環境整備等が評価され、取引先からトヨタ自動車関連の自動車部品配送を任されるなど信頼を得ており、自動車部品の安心・安全な配送につなげ、消費者の満足度に寄与していく。 【2024 年問題への対応】 ・2024 年問題を意識した従業員にとって働きやすい職場環境を整備することを目的に、各営業所を中継拠点として整備し、従業員の時間外労働を抑制していく。 | |
借入期間における KPI | ・2030 年までに九州地方への輸送を 100%中継輸送にて行う体制を構築する。 (2023 年7月末時点:愛知~福岡間の輸送の内、約 40%を 広島営業所を中継拠点とする中継輸送に切り替え済み) | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 |
4-3.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 教育 | |
取組、施策等 | 【従業員の資格取得支援】 ・大型免許やフォークリフト、運行管理者、安全衛生など、各種資格取得にかかる費用を同社が全額負担するなど、従業員の資格取得支援を継続していく。 | |
借入期間における KPI | ・2030 年まで年間5件以上、外国人実習生のフォークリフト 免許取得支援に取り組む。 | |
関連するSDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-4.社会面(ポジティブ、ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 教育 | |
取組、施策等 | 【従業員への教育研修の実施】 ・ナスバネット(運転適性診断)を用いて初任診断・一般診断だけでなく、教育資料として活用し、危険予知訓練や安全運転意識の向上を図り、事故防止に注力している。 | |
借入期間における KPI | ・2030 年まで労働災害事故の発生0件を維持する。 (2023 年7月末までの過去 10 年間の発生件数:4件) | |
関連するSDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 |
4-5.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 大気 気候 |
取組、施策等 | 【排気ガス・CO2 削減を意識したエコドライブの実施】 |
・大気汚染に配慮したエコドライブ講習などの実施によるドラ イバーへの意識付けを継続していく。 | ||
借入期間における KPI | ・年間5回以上エコドライブに関する講習を実施する(外部講習への参加を含む)。 (2023 年9月期:7月末現在2回実施) | |
関連するSDGs | 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 |
その他、同社がインパクトとして特定した項目の中で KPI として目標を設定しなかったものについては以下の通りであり、引き続きそれぞれの取り組みを確認していく。
4-6.その他KPI を設定しないインパクトについて SDGs との関連性
事業活動 | 関連するSDGs のターゲット | SDGs の ゴール |
〈社会面〉 交通安全啓発パレード | 3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。 | |
交通安全教室による地域教育への貢献 | 4.5 2030 年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓 練に平等にアクセスできるようにする。 | |
従業員の健康診断受診の推奨 | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を 促進する。 | |
有給休暇の取得推奨 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一 労働同一賃金を達成する。 | |
勤怠管理システムの導入による事務負担の軽減 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一 労働同一賃金を達成する。 |
〈環境面〉 ガソリン・燃料等の適正な取扱い | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 | |
タイヤのリサイクル | 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大 幅に削減する。 | |
CO2 削減率の高い環境優良車の利用 | 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度 機能を改善する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
大洋荷役では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、大竹昭宏社長を最高責任者とし、大竹雄介取締役本部長をはじめとする本社営業部が中心となって日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGs の 17 のゴール・169のターゲットとの関連性について検討を行った。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間において、大竹昭宏社長と本社営業部を中心に KPI の達成状況を定期的に確認・協議を行うなど、推進体制を構築し、各部署において実行していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 大竹 昭宏 |
管理責任者 | 取締役本部長 大竹 雄介 |
担当部 | 本社営業部 |
6.モニタリング
本件で設定した KPI の進捗状況は、大洋荷役と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十
三銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPI の達成を支援する。
7.総合評価
本件は UNEP FI の「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。大洋荷役は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に
努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行及び三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する大洋荷役から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した
「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 研究員 内田 誠弥
〒510-0087
三重県四日市市西新地 10 番 16 号第二富士ビル4階
TEL:059-354-7102 FAX:059-351-7066
第三者意見書
2023 年 9 月 29 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 大洋荷役株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省のESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が大洋荷役株式会社(「大洋荷役」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、大洋荷役の持ちうるインパクトを、 UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析 を行った。
この結果、大洋荷役がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である大洋荷役から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト 担当アナリスト
梶原 敦子 川越 広志
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026