Contract
価格等調査業務標準委託約款
(総則)
第1条 本業務委託約款は、委託者(以下「甲」という。)及び受託者(以下「乙」という。)が、乙が不動産の鑑定評価に関する法律第
3条第1項又は第2項に定める業務として価格等調査業務(不動産の価格又は賃料を文書又は電磁的記録に表示する調査に関する業務をいい、以下「本件業務」という。)を行うにあたり締結する契約(以下「本契約」という。)について必要な事項を定めるものである。
(契約の成立)
第2x xが乙に対して依頼書を提出して依頼し、乙がそれを承諾したときに、依頼書兼承諾書(以下「本契約書」という。)記載の内容で本契約が成立する。
(業務の目的と範囲等の確定)
第3条 乙は、甲に対し、本契約締結時に、国土交通省が定める「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」に基づき確定した「業務の目的と範囲等の確定に係る確認書(以下「確認書」という。)」を交付しなければならない。なお、調査等により確認書記載の事項に変更が生じたときには、乙は、変更事項に対応して変更された確認書を再度交付するものとする。
(責務)
第4条 甲及び乙は、日本国の法令を遵守し、xxを重んじ、誠実に本契約を履行する。
2 甲及び乙は、乙が本件業務を遂行するにあたり、次に掲げる責務を遵守しなければならない。
(1) 甲は、乙に対して、本件業務を遂行するために必要となる資料、情報等を遅滞なく提供し、現地調査が支障なく行われるよう協力しなければならない。また、本件業務が証券化対象不動産に係る場合であって、甲がエンジニアリング・レポートを別途依頼する場合には、発注後すみやかにその仕様を乙に開示しなければならない。
(2) 甲は、乙に対して、専門職業家としての独立性や客観性を損なう恐れのある働きかけを行ってはならない。
(3) 乙は、本件業務を、社団法人日本不動産鑑定協会の会員であって、かつ、本件業務が証券化対象不動産に係る場合には同協会が実施する証券化研修等を修了している不動産鑑定士に担当させなければならない。
(4) 乙は、善良なる管理者の注意義務をもって本件業務を遂行し、本件業務の成果として鑑定評価書等を作成し、甲又は甲の指定する者に対して交付しなければならない。
(5) 乙は、本件業務の内容、進捗状況等について甲から説明を求められたときは、誠意をもって対応しなければならない。
(免責事項)
第5条 甲は、本件業務の特性を鑑み、次に掲げる事項について了承する。
(1) 対象不動産の権利関係、契約関係の確認及び物的状況の調査は、登記記録及び同付属地図並びに甲が乙に提供した資料に基づいて行われるものであり、その事実関係、内容等について乙が明示的又は黙示的に保証するものではないこと。
(2) 対象不動産の確認は、目視の範囲において外観から調査するものであり、土壌汚染、地下埋設物、埋蔵文化財、アスベスト、建物内部に存在する瑕疵等については、鑑定評価書等に記載するもの以外はそれらがないものとしていること、かつ、将来それらの存在が判明したとしても乙が責任を負うものではないこと。
(3) 本件業務の結論として提示する鑑定評価額等は、現実の取引価格及び将来において成立する取引価格等を保証するものではないこと。
(地位の承継)
第6条 甲は、あらかじめ乙の承諾を得て、その地位を承継することができる。
(業務種類の変更)
第7条 乙は、業務開始後の調査等により必要が生じた場合には、甲の承諾を得て、本契約の業務の種類を変更することができる。
(業務の納期の変更)
第8条 乙は、やむを得ない事由がある場合には、甲の承諾を得て納期を延期することができる。
(再委託)
第9条 乙は、本件業務の全部(対象不動産が複数ある場合には各対象不動産ごとに全部か一部かを判断する。以下同じ。)を一括して第三者に再委託してはならない。なお、本件業務の一部を第三者に再委託するときは、再委託の前に詳細を示して、甲の承諾を得なければならない。
2 前項の規定は、乙がコピー、ワープロ、印刷、製本等の軽微な業務を再委託しようとするときには、適用しない。
(業務の完了)
第 10 条 本件業務は、xが甲に対して、鑑定評価書等の成果報告書を交付することにより完了する。ただし、業務完了後であっても、乙は、甲に対して、本件業務の内容に関する正当な問い合わせに対応しなければならない。
(委託報酬の支払い)
第 11 条 本件業務の委託報酬は本契約書に定める額とする。ただし、乙の業務遂行にあたって、本契約成立時に予測できない事情が生じた場合には、甲乙協議の上、委託報酬を増減することができる。
2 甲は、前項の委託報酬を、本契約書に定める時期に、乙の指定する方法で支払うものとする。
(鑑定評価書等の取扱い)
第 12 条 甲は、鑑定評価書等の全部又は一部を、第3条で定める確認書に記載する目的および利用方法以外に使用してはならない。ただし、あらかじめ文書等で乙の承諾を得た場合にはこの限りではない。
(秘密保持)
第 13 条 乙は、不動産の鑑定評価に関する法律第 38 条に基づき、甲の承諾がある場合又は正当な理由がある場合を除き、本件業務を遂行するにあたって知り得た秘密(以下「本件秘密情報」という。)を第三者に漏らしてはならない。
2 前項の正当な理由には、以下の事項が含まれるものとする。
(1) 甲より開示されるまでに既に乙が本件秘密情報を保有していたとき
(2) 本件秘密情報が甲より開示されるまでに既に公知であったとき
(3) 乙が甲より本件秘密情報の開示を受けた後、乙の責めによらずに公知となったとき
(4) 乙が法令により本件秘密情報を開示する義務を負うとき、又は法律上権限ある官公署により当該情報の開示を命じられたとき
(5) 第9条に基づき、再委託を行ったとき
(個人情報の取扱い)
第 14 条 乙は、本件業務に関して知り得た個人情報を、本件業務以外に使用してはならない。
(甲による合意解約)
第 15 条 甲は、いつでも、甲乙協議の上、本件業務の終了した部分に相応する委託報酬額を支払って、本契約を解約することができる。
(乙による合意解約)
第 16 条 乙は、次の各号に該当するときは、本契約を解約することができる。
(1) 天災その他不可抗力により本件業務の履行ができないと認められる時
(2) 対象不動産の確認が困難な場合等、本件業務の履行ができないと認められる時
(3) 甲の行為により本件業務の履行ができないと認められる時
(4) 甲が本契約の解約に同意した時
2 乙は、本件業務の開始後において、前項の規定により本契約を解約した時は、本件業務の終了した部分に相応する委託報酬を請求することができる。
(契約の解除)
第 17 条 甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、その違反により契約の目的を達成できないことが明らかとなったと認められる時には、本契約を解除することができる。
(損害賠償)
第 18 条 甲又は乙は、債務不履行により損害が生じた場合には、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 乙が前項の損害賠償責任を負う場合、乙が本件業務を行うにつき善意でかつ過失がないときは、前項の規定にかかわらず、本件業務の委託報酬額の2倍をその責任限度額とする。
(損害保険のxx)
第 19 条 乙は、業務の遂行にあたり、可能な限り賠償責任保険を付するものとする。
(裁判管轄)
第 20 条 本契約に関する紛争については、日本法に準拠するものとし、その専属的合意管轄裁判所は、 地方裁判所とする。
(その他)
第 21 条 本契約に定めのない事項は、法令、慣習に従い甲乙誠意を持って協議するものとする。
社団法人日本不動産鑑定協会(平成 21 年 9 月 1 日作成)