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海外企業との契約交渉のポイント
2019年7月31日名取法律事務所
代表弁護士 xx xx
I. 契約は絶対(と考えた方が良い)
1.完全条項の存在
(1)当事者の任意(自由意思)と内容の完全な理解(専門家の助言)に基づいたものであるー誤解・錯誤・理解不十分等の抗弁不可
(2)契約書締結以前の口頭・文書のやり取りは失効する・無効となるー契約書に添付・引用ない限り
(3)条件の変更は、権限を有する代表者の記名・押印ある文書によって
のみ可能ーside letter (unauthorized commitment) の排除
(4)条件の網羅ー「誠実に協議」と曖昧にしない
2.相手方の対応
(1)契約書が全て
(2)関係性を優先しない(してくれない)
(3)裁判所の対応ー基本的に契約条件通りの判断(日本の裁判所と違う)
II. 契約交渉の準備
1.現地法弁護士は必要?
(1)法令・慣習・司法制度等は、国によって違う
(2)税務・会計の専門家の必要あることも
(3)日本の弁護士でNY/CA州法の資格を併有する者は?
(4)日本の弁護士を併用するメリットは?
2.方針決定
(1)何を目指すか?(リターンとリスクの度合い)
(2)No Go(交渉中止・断念)の基準を明確にする
3.相手方の精査(Due Diligence)
(1)社会的(腐敗度)・財務的信用力
(2)技術力(知財権を含む)
(3)守秘義務契約(NDA)の締結
III. 重要な契約条項
1.責任制限(LoL – Limitation of Liability)
(1)損害の種類(横軸)ー直接・間接、現実、通常・特別、逸失利益等
(2)責任の程度(縦軸)ー青天井、契約金額(のXX%、XXか月分)等
(3)その他の除外ー目的適合性、故意・重過失、離脱の自由等
2.個人情報(Privacy)
(1)GDPR (General Data Protection Regulation)
3.知財権(Intellectual Property Rights)
(1)帰属 ー 開発者? 委託者? 既存の権利は? 無償の使用権付与は?
(2)残留情報(Residual)
(3)侵害ないことの保証はできるか?
III. 重要な契約条項(続き)
4.安全保障(貿易管理)
(1)禁輸国・個人への輸出禁止
5.譲渡制限
(1)契約・事業・資産譲渡
(2)親会社変更(Change of Control)
6.言語ー何語が優先?
7.準拠法・規則
8.紛争処理
(1)裁判? 仲裁?
(2)管轄 ー第三国?
IV. まとめ
1.契約(書)の重要性を認識
2.事前準備が最重要
(1)怠ると取り返しがつかない(後の祭り)ー コスト・労力も莫大となる
(2)(真の)専門家の活用が必要
3.戦略的発想
(1)リターンとリスクは見合い(low risk・high returnはない)
(2)自らが決めるー外部専門家はあくまでadviser、頼り過ぎはxx
(3)何を守って何をあきらめるかを戦略的に決める
(4)遠慮は不要ー相手方にも、自身のadviserにも