M当初鋼,M当初油,M当初材料 ={p1×D1+p2×D2+……+pm×Dm}×k×
相 模 x x x 共 工 事 標 準 請 負 契 約 約 款
第26条第5項(単品スライド条項)運用マニュアル
(営繕工事版)
令和4年11月相 模 原 市
目 次
第1章 総論 | ······ | 1 | |
1-1 相模原市公共工事標準請負契約約款第26条 | ······ | 1 | |
(スライド条項)の考え方 | |||
1-1-1 | スライド条項及び単品スライド条項の導入経緯 | ······ | 1 |
1-1-2 | スライド条項の趣旨 | ······ | 1 |
1-1-3 | 全体スライド条項、インフレスライド条項と単品 | ······ | 2 |
1-1-4 | スライド条項の関係 昭和55年の特約条項と平成20年の運用方針の違い | ······ | 2 |
1-2 対象工事 | ······ | 3 | |
1-3 対象品目 | ······ | 3 | |
1-3-1 対象品目の選定の考え方 | ······ | 3 | |
1-3-2 スライド額の算定の対象とする品目 | ······ | 4 | |
1-3-3 変動額の確認 | ······ | 5 | |
1-3-3-1 変動前の対象材料の単価 | ······ | 5 | |
1-3-3-2 変動後の対象材料の単価 | ······ | 6 | |
1-4 対象工事費の考え方 | ······ | 6 | |
1-5 スライド額算定 | ······ | 7 | |
1-5-1 スライド額算定の方法について | ······ | 7 |
1-5-2 出来高部分払いを行った場合の対象数量について
1-6 全体スライド条項及びインフレスライド条項併用時の特例
第2章 鋼材類
2-1 対象材料
2-1-1 対象材料の考え方
2-1-2 その他市場単価の扱い等
2-2 対象数量
2-3 受注者への確認事項
2-4 単価(実勢価格の算定)
2-4-1 変動前の価格の決定方法
2-4-2 変動後の実勢価格の決定方法
2-4-3 変動後の実勢価格の決定方法
2-5 購入価格の評価方法
2-6 変動額の算定
2-7 計算例
第3章 燃料油
3-1 対象材料
3-2 対象数量
3-2-1 対象数量の考え方
3-2-2 対象数量の算定方法
3-2-3 その他
······12
······12
······15
······15
······15
······15
······16
······17
······21
······21
······22
······22
······22
······22
······23
······24
······24
······24
······24
······25
······25
3-3 受注者への確認事項
3-4 単価(実勢価格の算定)
3-4-1 変動前の価格の決定方法
3-4-2 変動後の実勢価格の決定方法
3-4-3 変動後の実勢価格の決定方法
3-5 購入価格の評価方法
3-6 変動額の算定
3-7 算出例
3-7-1 機材運搬に係る燃料油の算出方法
第4章 その他の主要な工事材料
4-1 対象材料
4-1-1 対象材料の考え方
4-1-2 その他市場単価等
4-2 対象数量
4-3 受注者への確認事項
4-4 単価(実勢価格の算定)
4-4-1 変動前の価格の決定方法
4-4-2 変動後の実勢価格の決定方法
4-5 購入価格の評価方法
4-6 変動額の算定
第5章 請求等手続き及び提出様式
5-1 請求時期
5-2 協議の手続き
5-3 既済部分検査
5-4 部分引き渡しにかかる指定部分の取扱い
(参考資料)
単品スライド条項にかかる実施フロー及び様式
······25
······26
······26
······27
······28
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······29
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······30
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······32
······33
······33
······34
······34
······34
······36
······36
······37
(注)本資料の取扱いについて
本マニュアルは、単品スライド条項の運用について発注者の認識の共有化を図るため、相模原市が発注する営繕工事を念頭に、一般的な考え方を整理したものである。
今後、運用マニュアルを改定する場合は、その都度公表する。
第1章 総論
1-1 相模原市公共工事標準請負契約約款第26条(スライド条項)の考え方
1-1-1 スライド条項及び単品スライド条項の導入経緯
・昭和24年の建設業法の制定に伴い、昭和25年の標準請負契約約款の策定当初から、第25条(現在の第26条)に物価の変動等による請負代金額の変更(いわゆるスライド条項)が規定された。
・現在の第26条第5項の単品スライド条項は、昭和56年に標準請負契約約款に追加。
・本市では、平成19年3月に行った工事請負契約書の全面改正の際に単品スライド条項を追加し、同年4月1日以降の契約に使用している。
・ 昭和24年の建設業法の制定により建設工事における請負契約関係の片務性の排除と不明確性の是正が明文化されたことに伴い、昭和25年の建設工事標準請負契約約款(昭和47年改正により公共工事標準請負契約約款に改称)制定時より、物価の変動等による請負代金額の変更(いわゆるスライド条項)が規定された。
・ その後、規定の明確化や変更が行われ、昭和47年以降は、いわゆる「全体スライド条項」と「インフレスライド条項」が規定されていた。しかし、昭和54、55年にかけて、第二次オイルショックが発生した際、賃金や物価の水準は全体としてはさほどの上昇もなく落ち着いて推移したものの、一部の石油関連資材価格の高騰により建設工事の円滑な実施が危ぶまれる状態に見舞われた。このような物価状況は当時の約款では必ずしも想定されていなかったことから、昭和55年にこのような状況に対応するための暫定措置として工事毎に「特約条項」を設けて対応した。
・ 現在の第26条第5項(いわゆる「単品スライド条項」)は、昭和56年にこの「特約条項」が一般化され、公共工事標準請負契約約款に規定されたものである。なお、平成7年までは、特別な要因、主要な工事材料及び請負代金額の算定方法について、設計図書で具体的に指定する旨が規定されていたが、あらかじめ設計図書で指定することは不可能であるとして、現在はその規定は削除されている。
1-1-2 スライド条項の趣旨
・受注者と発注者とは対等との考えの下、片務性を解消するため、受注者のみに合理的な範囲を超える価格の変動を負担させないとの基本的考え方である。
・ 建設工事は、工期が長期にわたるため、その間の事情の変更に左右されることもあるが、通常合理的な範囲内の価格の変動は契約当初から予見可能なものであるとして請負代金額を変更する必要はないというのが基本的な考え方である。しかし、通常合理的な範囲を超える価格の変動については、契約当事者の一方のみにその負担を負わせることは適当でなく、発注者と受注者で負担を分担すべきものであるとの考え方の下、標準請負契約約款第26条が規定されているものである。
1-1-3 全体スライド条項、インフレスライド条項と単品スライド条項の関係
・全体スライド条項は、請負契約後1年を経過した後に賃金水準や物価水準が変動した場合、インフレスライド条項は、日本国内において急激なインフレ-ション又はデフレーションといった短期的で急激な変動が生じた場合の中間修正的な変更であるのに対し、単品スライド条項は特定の主要な工事材料の価格が著しく変動した場合の精算的な変更である。
・ 全体スライド条項は、請負契約後1年を経過した後に賃金水準や物価水準が変動した場合、インフレスライド条項は、日本国内において急激なインフレ-ション又はデフレーションといった短期的で急激な変動が生じた場合の中間修正的な変更であり、直接工事費の変更に連動して諸経費等の変更を含むものである。
・ 一方、単品スライド条項は、特定の主要な工事材料の価格が著しく変動した場合の精算的な変更である。すなわち、対象となる材料価格の変動のみが請負代金額変更の要素となるものであり、材料費の変動に連動して共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更を行うものではない。
・ また、単品スライド条項は企業の規模を問わずあらゆる工事を対象とするものであることから、受注者の負担割合は標準請負契約約款の第30条の「天災不可抗力条項」に準拠し、建設業者の経営上最小限度必要な利益までは損なわれることがないよう定められた「請負代金額の1%」を採用したものである。
・ なお、全体スライド条項は、1年以上の長期間にわたる工事を対象とする規定であり、比較的大きい建設業者が受注していることが前提になっていることから、受注者の負担すべき割合を「請負代金額における残工事費の1.5%」としている。また、インフレスライド条項は、単品スライド条項と同様に、受注者の負担割合は標準請負契約約款の第30条の「天災不可抗力条項」に準拠し、建設業者の経営上最小限度必要な利益までは損なわれることがないように定められた「請負代金額における残工事費の1%」を採用したものである。
1-1-4 昭和55年の特約条項と平成20年の運用方針の違い
・平成20年の運用は、条項制定時の議論、当時の社会状況や公共事業を取り巻く状況を踏まえ、改めて対象材料や受注者負担を決定したものである。
・ 昭和55年当時は、工事請負契約書の規定がなかったため、対象材料の価格変動の大小を問わず、工事で使用する主要な材料の多くを対象とし、これらの変動分の総額が工事の規模に応じて定められる一定額(概ね工事費の1%)を超過したときは、変動額の
3/4を発注者が負担することとして、請負代金額の変更を行うこととしたものである。
・ 平成20年の運用に当たっては、中央建設業審議会の議論を経て定められた標準請負契約約款の規定の趣旨や、その当時の社会状況や公共事業を取り巻く状況を適切に踏まえ、見直しを行った。対象材料については価格変動の大きい鋼材類と燃料油のうち、請負代金額の1%以上変動している品目に限定しているものであり、変動額の大小にかかわらず多くの材料を対象とした昭和55年の特約条項とは自ずと考え方が異なるものである。
・ また、受注者負担について、昭和55年の特約条項は変動額の1/4としていたが、
標準請負契約約款第29条(天災不可抗力条項)(現在の第30条)における考え方との整合性を図るため、一般的な建設業者が負担する割合として請負代金額の1%を定めたものである。
1-2 対象工事
・残工期が2か月以上ある全ての工事を対象とする。
・ 単品スライド条項の請求は、当該請求の際に残工期(部分引渡しに係る工事部分の残工期を含む)が2か月以上ある場合に限り、行うことができる。
1-3 対象品目
1-3-1 対象品目の選定の考え方
・対象品目は、鋼材類、燃料油、その他の主要な工事材料とする。
・各対象品目の対象材料については、受注者から請求があった材料の中から受発注者間で協議の上決定する。
・ 標準請負契約約款の第26条第5項に、「主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、契約金額が不適当となったとき」とされていることから、公共工事において使用している頻度の高い主要な材料を対象とする。
・ これは、通常合理的な範囲を超える価格の変動分を、受注者のみの負担とするのは適切ではないという考え方の下、単品スライド条項の趣旨を適切に踏まえたことによるものであり、価格変動がある材料全てが単品スライド条項の適用対象とはならない点に留意が必要である。
・ なお、対象となる材料については、受注者から請求があった材料の中から受発注者間で協議の上決定するものであり、請求のない材料まで対象とする趣旨ではないことにも留意が必要である。
・ 異形鉄筋やH形鋼等の鋼材類や生コンクリート等の構造躯体を構成する材料をはじめ、内外装仕上材類、設備機器類、外構材類等と非常に多品目の材料が使用されており、その使用量も異形鉄筋等の大量に使用される材料から少量のみ使用される材料もあり、非常に多岐にわたる。また、建築工事と設備工事、新築工事と改修工事、外装改修と内装改修の違い等、工事内容の相違により使用される主要な工事材料の構成も工事毎に大きく異なる。
・ 以下に、営繕工事において使用される主要な工事材料と品目分類を例示する。
1-3-2 スライド額の算定の対象とする品目
・各工事においてスライド額の算定の対象となるのは、品目毎の変動額(増額分又は減額分)が対象工事費の1%を超える品目とする。
・ 個々の工事において、工事の総額に及ぼす影響が現に大きいことが必要条件となり、品目毎の変動額が対象工事費の1%を超える場合について、その品目をスライド額の適用対象とする。
・ つまり、鋼材類、燃料油、その他の主要な工事材料の変動額の合計額が対象工事費の
1%を超えるものを適用対象とするのではなく、鋼材類を例にとれば、その変動額だけで対象工事費の1%を超えている場合には鋼材類が適用対象材料になるという趣旨である。
・ なお、「品目毎」とは、鋼材類、燃料油、その他の主要な工事材料で区分し、具体的な品目の分類は1-3-1によるものとする。
1-3-3 変動額の確認
1-3-3-1 変動前の対象材料の単価
・変動前の価格を算出するための単価は、原則として設計時点における単価とする。
・ 設計時点における単価は、予定価格を算出する際に用いた単価とする。予定価格を算出する際の単価とは、予定価格内訳書に記載された材料単価及び記載された単価に含まれる材料単価をいう。予定価格を算出する際の単価を、材料単価の視点から分類すると以下のとおり。
・ 材料単価
工事において使用する材料や機器類等に対応する単価。物価資料の掲載価格や製造業者からの見積り等を参考にその材料単価が決定される。予定価格内訳書における本単価を設計時点における単価とする。
・ 「材料費+労務費等」単価
単位施工当たりに必要となる材料費や労務費等が一括して含まれた単価。一般的には、「公共建築工事標準単価積算基準」による標準歩掛りに基づく複合単価や物価資料に掲載される市場単価が該当する。設計時点における単価は以下のとおりとする。
・ 標準歩掛りに基づく複合単価
歩掛りは、材料や労務といった各要素と単位施工当たりの所要量から構成されている。この歩掛りに、要素毎の単価を乗じて複合単価を算定することになるため、複合単価に含まれる材料費を把握することが可能である。
・ 市場単価
市場単価は、単位施工当たりに必要となる材料や労務等に係る費用が一括された単価として物価資料に掲載されている。一括された単価であるため、材料費のみ、抽出することは困難である。当該材料単価について市場単価方式へ移行する前の歩掛り等を参考に、前述の複合単価と同様の手法により、設計時点における単価として算出することが考えられる。なお、市場単価については、四半期毎に発行される物価資料に掲載されるため、調査段階と掲載の時間差が生じることなどに留意する必要がある。
・ 労務費
単位施工当たりに必要となる労務費等が主となる単価。単品スライド条項においては、工事において使用する材料の価格変動がその対象となることから、予定価格内訳書における本単価は対象外。
1-3-3-2 変動後の対象材料の単価
・変動後の価格を算出するための単価は、原則として設計時点の単価と同一の手法に基づく単価とする。詳細は、2-4-2、3-4-2、4-4-2によるものとし、対象材料の購入日や購入回数等を加味した単価とする。
1-4 対象工事費の考え方
・請負代金の部分払をした工事における「対象工事費」は、当該工事の全体工事費から当該部分払の対象となった出来高部分又は工事現場に搬入済みの工事材料若しくは製造工場等にある工場製品(以下「出来高部分等」という。)に相応する工事費相当額を控除した額とする。
・ 出来高として既に部分払いを行った部分については、特段の条件がない限り、発注者と受注者との間で数量及び金額について合意を完了しているものであることから、単品スライド条項の請求対象となる工事においても、その部分まで遡って単品スライド条項を適用できないことに変わりはない。
・ ただし、通常は、対象材料の価格の変動により契約金額が不適当となることが判明する時点、すなわち、工事がかなり進捗した時点で単品スライド条項の適用請求を行うこととなるのが一般的であるため、単品スライド条項の適用請求までの間に部分払いが行われることもあり得る。このような場合に対処するため、今後部分払いを行う際には、発注者又は受注者の要請に基づき、部分払いを行う部分についても今後の単品スライド条項の請求対象とすることができることとしている。(「第5章 請求等手続き及び提
出様式」によるものとする。)
・ また、部分引き渡しを行う部分についてはその部分に係る精算を完了させる必要があることから、その部分のみを一つの工事として扱い単品スライド条項を適用することとなる。その際の対象工事費は部分引き渡しを行う部分に係る工事費となるが、部分払いを既に行っている出来高部分(特段の規定を設けたものを除く)が請求対象外となるのは、通常の工事と同様である。
・ このような考え方は、対象工事費だけでなく、スライド額の算定の対象とする数量についても適用される。
1-5 スライド額算定
1-5-1 スライド額算定の方法について
・「スライド額」とは、材料価格の変動に伴う変動額のうち、対象工事費の1%を超える額とする。
・それぞれの品目毎の変動後の金額は、実勢価格に基づき算出した額と実際の購入金額とのどちらか低い方とする。ただし、受注者が実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類を示し、実際の購入金額が適当な購入金額であると認められる場合にあっては、実際の購入金額が実勢価格に基づき算出した額よりも高い場合でも、実際の購入金額とする。
① スライド額算定式(実勢価格)
・ 1-3により対象となった鋼材類、燃料油、その他の主要な工事材料のそれぞれの品目毎の請負代金の変更額(以下「スライド額」という。)の算定は、主要な工事材料に該当する各材料(以下「対象材料」という。)の単価等に基づき、次式により行う。
S増額※ =(M変更鋼-M当初鋼)+(M変更油-M当初油)+(M変更材料-M当初材料 )- P×1/100 S減額※ =(M変更鋼-M当初鋼)+(M変更油-M当初油)+(M変更材料-M当初材料 )+ P×1/100
※ 税抜き額を万円未満切り捨てとする
M当初鋼,M当初油,M当初材料 ={p1×D1+p2×D2+……+pm×Dm}×k×
(1+消費税及び地方消費税の税率/100) M変更鋼,M変更油,M変更材料 ={p'1×D1+p'2×D2+……+p'm×Dm}×k×
(1+消費税及び地方消費税の税率/100)
S増額:スライド額(増額変更の場合) S減額:スライド額(減額変更の場合)
M変更鋼,M変更油,M変更材料:価格変動後の鋼材類、燃料油又はその他の主要な工事材料の金額
M当初鋼,M当初油,M当初材料:価格変動前の鋼材類、燃料油又はその他の主要な工事材料の金額
p:2-4、3-4、4-4の規定に基づき算定した設計時点における鋼材類、燃料
油又はその他の主要な工事材料に該当する各材料の単価
p':2-4、3-4、4-4の規定に基づき算定した価格変動後における鋼材類、燃料油又はその他の主要な工事材料に該当する各材料の実勢価格
D:2-2、3-2、4-2の規定に基づき鋼材類、燃料油又はその他の主要な工事材料に該当する各材料について算定した対象数量
k:請負比率 P:対象工事費
契約金額 :
契約金額 :
※ 対象となる品目の考え方は1-3-2 スライド額の算定の対象とする品目による。
② 実際の購入金額がM変更鋼、M変更油又はM変更材料を下回る場合について
・ 受注者が、2-5、3-5、4-5の規定に基づき、各対象材料を実際に購入した際の代金額を品目毎に合計した金額(消費税等相当額を含む。)を算定し、これら実際の購入金額がM変更鋼、M変更油又はM変更材料を下回る場合にあっては、上記①のスライド額算定式の規定にかかわらず、M変更鋼に代えて受注者の鋼材類の実際の購入金額を、M
変更油に代えて受注者の燃料油の実際の購入金額を、M変更材料に代えて受注者のその他の主
要な工事材料の実際の購入金額を用いて、上記①のスライド額算定式によりスライド額を算定する。
・ なお、実際の購入金額が採用される場合に請負比率を乗じないのは、既に請負比率が乗じられた契約金額の範囲内で受注者が購入したものにまで請負比率を乗じるのは適当ではないとの考えによるものである。
③ 実際の購入金額がM変更鋼、M変更油又はM変更材料を上回る場合について
・ 受注者が鋼材類、燃料油又はその他の主要な工事材料について、実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類を示し、実際の購入金額が適当な購入金額であると認められる場合にあっては、実際の購入金額がM変更鋼、M変更油又はM変更材
料を上回る場合であっても、上記①のスライド額算定式の規定にかかわらず、M変更鋼
に代えて受注者の鋼材類の実際の購入金額を、M変更油に代えて受注者の燃料油の実際の購入金額を、M変更材料に代えて受注者のその他の主要な工事材料の実際の購入金額を用いて、上記①のスライド額算定式によりスライド額を算定する。その際、M当初鋼に代えて受注者の鋼材類の当初想定した金額を、M当初油に代えて受注者の燃料油の当初想定した金額を、M当初材料に代えて受注者のその他主要な工事材料の当初想定した金額を用いるものとする。
・受注者の当初想定した金額とは、入札時に想定していた金額を示し、証明書類として③イに示された書類を提出するものとする。ただし、本マニュアルの9ページ(大幅に乖離している場合の確認時の留意事項)により、追加提出を求める場合、提出された「①当初取り交わした書面」に示された金額を入札時に想定していた金額として取り扱う。なお、提出された想定金額が設計時点における金額より安価の場合は、設計時点における金額を適用するものとする。
・ なお、実際の購入金額が採用される場合に請負比率を乗じないのは、上記②と同様である。
・ この場合におけるスライド額算定の手順は以下のとおりとする。
(参考フローは別紙-1参照)ア 受注者からの申し出
・ 受注者は実際の購入金額により価格変動後の金額を算定することを希望する場合は、対象品目及び対象材料を発注者に申し出るものとする。その際、受注者は対象材料毎に実際の購入金額の単価が実勢価格の単価(請負比率考慮)を上回ることを確認するものとする。
・ 受注者から申し出があった場合、発注者は対象材料の当該地域における価格上昇の状況やその原因等について受注者から情報提供を求めるものとする。
イ 実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類
・ 実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類は、購入実績を証明する書類に加え、原則として、当該地域での市場取引価格が確認できる2社以上の見積りとする。その際、実際の購入先の見積りは含まないものとする。
・ 受注者の当初想定した金額を確認するための資料は下記による。
・ 想定した金額が確認できる契約書等(当初金額算定時に契約を行っていない場合は、見積書とする。なお、見積書を提出する場合は、様式-8の証明
書を添付する。)
・ 当初想定した金額が確認できる契約書等(見積書)の提出が困難な場合は、実際の購入金額が確認出来る書類が提出されていても、実勢価格にて価格変動後の金額を算定するものとする。
<実際の購入金額の見積りの留意事項>
・ 見積りの提出は、工期内の代表的な月(1か月以上)とし、工事全期間の提出は要しない。
・ 見積りの有効期間は、実際の購入金額の単価と比較するため、実際に「現場に搬入された月又は購入した月」を含むものとする。
・ 見積りは取引価格による金額として提出を要請する。
・ 設計価格として提出された見積書については、市中における取引状況等(実勢価格帯)の確認のため、様式-8の証明書を提出する。(設計価格とは、
「公表価格」又は「希望小売価格」をいう。)
・ 地域条件や工事材料の性質等で購入先以外から見積りを徴することができない場合や、購入先を含まない見積りが1社となる場合は、メタサーチサイト等により、当該材料の取扱業者等の所在地により近隣で対応可能な業者が限られることを確認した上で、実際の購入先への注文時の見積りも含めるものとする。(「近隣」については、生コンクリートを例にすると、日平均気温が25度以上の場合は運搬時間が1時間半以内の地域とする等、工事材料の性質に応じて設定する。)
ウ 価格変動後の金額の算定
<第1段階>
・ 受注者から提出された見積りから地域の材料価格の傾向と実際の購入金額での検討を行うことの妥当性を確認する。
・ 具体的には、対象材料毎に実際の購入金額の単価と2社以上の見積り単価を比較し、実際の購入金額が最も安価であることを確認する。
・ 確認にあたっては、材料が現場に搬入された月又は材料を購入した月のうち、代表的な月(1か月以上)の単価で確認する。
・ 第1段階において、実際の購入金額が最も安価であることを確認した材料は第2段階に移行する。実際の購入金額が最も安価とならない材料については、実勢価格にて価格変動後の金額を算定するものとする。
<第2段階>
・ 材料毎に工事全体期間を対象に実際の購入金額の単価と実勢価格の単価(請負比率を考慮)を比較して実際の購入金額の妥当性を確認する。
・ 妥当性の目安は、実勢価格の単価(請負比率を考慮)+30%とする。
(確認時の留意事項)
・ 複数の月に現場へ搬入・購入した場合の実勢価格の単価(請負比率を考慮)は、各搬入月の単価を搬入・購入月毎の搬入数量で加重平均した単価とする。実際の購入金額の単価についても同様に購入単価を搬入・購入月毎の搬入数量で加重平均した単価とする。
・ 実勢価格の単価は以下のとおりとする。
・鋼材類:「現場に搬入された月」の物価資料の価格
(請負比率考慮)
・燃料油:「購入した月の翌月」の物価資料の価格
(請負比率考慮)
・その他主要な工事材料:鋼材類に準じるものとするが、燃料油のように
契約と購入がほとんど同時期に行われる材料については燃料油に準じる
・ 実際の購入金額の単価が、実勢価格の単価(請負比率を考慮)+30%以内である場合は、実際の購入金額の単価は概ね材料価格の上昇傾向と合致していると判断し、実際の購入金額にて価格変動後の金額を算定するものとする。
・ なお、実勢価格の単価(請負比率考慮)の+30%は発注者として妥当性を確認するためのものであり、+30%を超えても妥当性が確認されれば採用可能とし、受注者から提出された証明書類の金額が実勢価格に対し大幅に乖離している場合は、発注者は特別に考慮すべき価格変動要因がないかを確認する。
(大幅に乖離している場合の確認時の留意事項)
・ 営繕工事においては、見積書は設計価格として提出されることが多く、官側が取引価格の実態を把握して、取引価格が適正かどうかを判断することは困難な状況である。よって、実勢価格に対して大幅に乖離している場合の確認において、単品スライドは資材の急激な高騰を受けた清算的な変更の趣旨から、下請側(納入メーカー)の請求に基づいた価格上昇分の費用が、関係法令に基づいた元請と下請の契約書類において、明確に確認できることを判断の基準とするものとする。
・ 追加提出を求める書類
【建設業法の下請契約に基づく場合】
・建設業法第19条に基づく書面
① 当初取り交わした書面(見積書は不可)
② 急激な資材価格の高騰を受け変更を行った際の書面
※ 書面に示された請負代金の額が確認できる明細を合わせて添付するものとする。
※ ②の書面について、契約書等の提出が困難な場合は、見積書を提出する。見積書の場合は、様式-8の証明書を提出する。
【下請代金支払遅延等防止法に基づく契約の場合】
・下請代金支払遅延等防止法第3 条に基づく書面
① 当初取り交わした書面
② 急激な資材価格の高騰を受け変更を行った際の書面
・ 発注者による確認の結果、証明書類の金額の妥当性を確認できない場合は、実勢価格によりスライド変動額を算定するものとする。
・ 追加提出された証明書類を発注者にて確認した結果、証明書類の金額の妥当性を確認できない場合は、実勢価格によりスライド変動額を算定するもの
とする。
エ 減額変更の場合
・ 発注者が減額変更を請求した場合で発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときも同様の取扱いとする。
1-5-2 出来高部分払いを行った場合の対象数量について
・既済部分について出来高部分払いを行っている場合は、当該既済部分払いの対象となった出来高部分に係る数量を除いた数量を設計数量とする。
・ 出来高部分に係る数量の算出方法は、次のいずれかとする。
① 出来高部分について再積算を実施して出来高に該当する金額を算出した資料より、出来高部分に該当する数量を算出。
② 部分払い対象となった契約代金相当額と契約代金額との割合に、対象数量を乗じることで概算的に数量を算出。※1
※1:部分払い時の支払い額は、出来高に該当する契約代金相当額の9割以下とされており、「部分払い時の支額=部分払い対象となった契約代金相当額」ではないので注意すること。
1-6 全体スライド条項及びインフレスライド条項併用時の特例
・全体スライド条項及びインフレスライド条項のみによるスライド額を算定の上で、その対象とはならない価格上昇を単品スライド条項で反映することは可能。
・全体スライド条項及びインフレスライド条項と単品スライド条項とを併用した期間においては、単品スライド条項の変動前の単価は全体スライド条項及びインフレスライド条項の適用日の単価を用いるものとし、単品スライド条項に係る受注者負担は求めない。
・単品スライド条項の発動の可否を判断するために1%を乗じる対象工事費には、全体スライド条項及びインフレスライド条項のスライド額を含む。
・ 全体スライド条項及びインフレスライド条項は、材料価格を含む物価や賃金等の変動に伴う価格水準全般の変動について対応するものであることから、単品スライド条項の適用となっている材料を含めて、まず全体スライド条項及びインフレスライド条項によるスライド額を算出することが基本となる。その上で、全体スライド条項及びインフレスライド条項との重複を防止するため、全体スライド条項及びインフレスライド条項の対象とした数量については、変動前の単価を全体スライド条項及びインフレスライド条項の適用日の単価として単品スライド条項のスライド額を算出することとなる。
・ また、全体スライド条項及びインフレスライド条項と単品スライド条項とをそれぞれ単独で考えれば、前者においては請負代金額における残工事費の1.5%又は1%、後者においては対象工事費の1%、それぞれで受注者の負担が生じることとなる。両スライドのルールをそのままそれぞれ適用した場合には、受注者にリスクを重複して負担させることになり、結果的にリスク負担が過大なものとなる。
・ このような過大なリスク負担を回避するため、単品スライド条項のみが適用される期
間においては当該期間の工事費の1%を受注者の負担とするが、全体スライド条項及びインフレスライド条項と単品スライド条項が併用されている期間においては、全体スライド条項及びインフレスライド条項の適用により受注者が負担する請負代金額における残工事費の1.5%又は1%をもって既に単品スライド条項に係るリスク負担がなされているとの考え方に基づき、単品スライド条項に係る1%分の負担を求めないこととした。(全体スライド時には1.5%の受注者負担、インフレスライド時には1%の受注者負担を適用し、単品スライドでは受注者負担を考慮しない。)
・ ただし、1-4で述べたように、単品スライド条項に係る対象工事費は基本的には最終的な全体工事費であるため、単品スライドの適用可否を判断するために1%を乗じる対象工事費は、全体スライド条項及びインフレスライド条項に係るスライド額を含む変更後の総価とする。
契約金額
契約金額
契約金額
当初の契約金額
第2章 鋼材類
2-1 対象材料
2-1-1 対象材料の考え方
・H形鋼、異形鉄筋、厚板、鋼xx、鋼管杭、鉄鋼二次製品、配管用鋼管等、鋼材を主材料として構成されている材料及び鋼材スクラップを対象にする。(1-3-1参照)
・ただし、鋼材類を構成材料の一部とする製品(鋼製建具やコンクリート二次製品)等や、価格変動の要因が鋼材とは異なる非鉄金属材料は、品目としての鋼材類には含めない。(1-3-1参照)
・ 鉄鉱石や石炭等の原材料の高騰を要因として、鋼材の価格が短期間で急激に変動することがあり得ることから、鋼材を主材料として構成されている材料を対象としたものであり、具体的には、いわゆる鋼材類(H形鋼、異形棒鋼、厚板、鋼xx、鋼管杭等)のほか、鉄鋼二次製品、配管用鋼管、スクラップ等を対象とする。
・ しかしながら、鋼材類を一部に含むコンクリート二次製品等については、その中に含まれる鋼材類に係る部分のみを分離して価格を算出することが困難であることから、対象材料とはしない。(しかしながら、設計図面に配筋図等が明記されているなど、その必要数量が明らかになっており、かつ、単価・購入価格、購入先及び搬入時期が証明されること等により変動額の妥当性が客観的に評価できれば、対象材料となる可能性が排除されるものではない。)
・ なお、非鉄金属(アルミニウム、鉛、金、銀、銅、ニッケル等)は価格変動の要因が鋼材のそれとは異なることもあり、単品スライドの対象とする場合は鋼材類には含まず、
「その他の主要な工事材料」として整理するものとする。
・ 1-3-1の分類について、疑義がある場合は、受発注者間で協議の上決定する。
2-1-2 その他市場単価の扱い等
① 市場単価
・鋼材類に関係する市場単価は、下表のとおりである。
・ 下表「取扱い」欄が①の市場単価については、施工手間のみの市場単価のため、単品スライド条項との関連はない。
・ 下表「取扱い」欄が②の市場単価については、単位施工当たりに必要となる材料や労務等に係る費用が一括された単価として物価資料に掲載されている。一括された単価であるため、材料費のみ、抽出することは困難である。ただし、設計図書により材料仕様や鋼材使用数量等が明確に把握できる場合は、その材料数量については対象とすることができる。この場合、市場単価に代えてその材料の実勢価格を変動前、変動後の価格として変動額を算出するものとする。なお、購入価格、購入先及び購入時期が証明されることが必要であるのは、市場単価以外の場合と同様である。
② 賃料・損料(リース料金)等の取扱い
・鋼材類の賃料・損料についても対象とすることができる。
・ リース契約の鋼材類についても、同一要因による鋼材の価格上昇に伴って、リース料や不足弁償金の上昇があり得ることから、購入する場合と同様に対象とすることとする。なお、一度リース契約を結んだものは契約途中でその価格が変更されることはないため、当該材料のリースを始めた月の価格とする。また、複数の月でリースを開始している場合は、他の材料と同様にその数量に応じて加重平均することにより算出した単価に設計数量を乗じることなど、当初及び変更後の価格の設定については注意が必要である。
2-2 対象数量
・対象数量は、原則として発注者の予定価格内訳書の数量を対象とする。予定価格内訳書の異形鉄筋やH形鋼等の数量については、加工によるロス等を加味した所要数量となっているが、当該数量を対象数量とする。なお、この場合においては、同一科目内に計上されている「スクラップ」についても適切に処理する。
① 予定価格内訳書に数量の記載がある場合の取扱い
・ 対象数量について、受注者が購入価格、購入先及び購入時期について、証明できない場合は、当該材料はスライドの対象としない。
・ 予定価格内訳書の数量は契約上の数量ではないが、受注者の数量疑義に対して適切に協議を行う取組として、入札時積算数量書活用方式を適用し数量を協議の対象として手続きを行っていることから予定価格内訳書の数量を対象数量として取り扱うものとする。
・ 入札時積算数量書活用方式を適用しない発注工事においては、対象数量の取扱いを受発注者の協議により決定する。
・ 予定価格内訳書の異形鉄筋やH形鋼等の数量については、加工によるロス等を加味した所要数量となっているが、当該数量を対象数量とする。
・ なお、積算上、異形鉄筋等については、ロス分を含む所要数量で材料費を計上し、ロス分を除いた設計数量で加工・組立費用を計上している。鋼材と同一科目内に計上されている「スクラップ」については、所要数量から設計数量を差し引いた差分の一部をスクラップとして売却する費用となっている。異形鉄筋数量については、所要数量を対象数量とすることを原則としていることから、スクラップも対象材料として売却金額の上昇分を計算に含めることにより、変動額を適切に設定することが必要である。よって、発注者は受注者に対してスクラップについても対象材料とするよう申し
入れるものとする。協議が成立しない場合は、対象数量の設定方法の見直し(例えば、ロス率が見込まれる所要数量を、ロス率を見込まない設計数量とする等)や、スクラップを対象材料として単価の適切な設定(スクラップの単価は、実勢価格の工期の平均値と、受注者が当該工事に該当するとして一部提出したスクラップの売却単価の最大値との高い方の値)などの措置を講じる。
② 予定価格内訳書に一式で計上されている数量の取扱い
・ 予定価格内訳書に一式で計上されている仮設工事などを対象とする。仮設工事などについて受注者からの請求があった場合は、予定価格内訳書の数量を対象数量とすることを基本とする。
証明された数量と対象数量の考え方
証明数量<予定価格内訳書の数量 → 当該材料は対象材料とならない
予定価格内訳書の数量<証明数量 → 対象材料。対象数量は予定価格内訳書の
数量
注) 証明数量:受注者から証明された数量
③ 減額変更する場合の取扱い
・ 減額変更する場合において、発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定する場合は、発注者の予定価格内訳書の数量を対象数量とする。
・ 発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときの数量の取扱いは上記①、②に準じるものとするが、証明数量が予定価格内訳書の数量を下回る場合
(証明数量<予定価格内訳書の数量)は、発注者の予定価格内訳書の数量を対象数量とする。
④ その他
・ 既済部分払いを行っている場合は、当該既済部分払いの対象となった出来高部分に係る数量を除いたものを設計数量とする。
・ 予定価格内訳書の数量に含まれる鋼材スクラップの売却益(マイナス控除額)については、対象品目に合わせて単品スライドの対象として取り扱うものとする。なお、鋼材スクラップの売却益については検収が困難であることから、実勢価格での算定を基本とし、実際の売却額とはしない。
2-3 受注者への確認事項
・鋼材類は、材料の取引形態に照らし対象数量全量の搬入等の時期、購入先、単価・購入価格を確認することが可能であるため、それが証明できる納品書、請求書、領収書の提出を受注者に求めること。
・増額変更において、必要な書類が提出されないなど具体的な証明がなされない場合は、その材料は単品スライド条項の対象材料としない。
・減額変更において、異議申し立てがない場合や、異議申し立てがあり必要な書類が提出されないなど具体的な証明がなされない場合は、発注者が算定したスライド額を契約金額の変更額とする。
・ただし、鋼材類を実際に購入した際の単価及び購入先を証明する書類を受注者が提出し難い事情があると認められる場合においては、当該対象材料の搬入等の月及び数量を証明する書類の提出を求めるものとする。
① 基本事項
・ 単品スライド条項は、対象とする材料が当初の想定と比べ、実際に購入した時期に著しく価格が変動したために契約金額の変更をしようとするものであるため、この条項に基づくスライド額の算定に当たっては、実際の購入時期や購入価格が受注者に証明されることが前提となる。
・ このため、材料の取引形態に照らし数量、価格等の入手実態が明確な鋼材類については、対象数量全量の搬入等の時期、購入先及び購入価格を証明する書類として、納品書、請求書、領収書の全てを提出してもらい、購入実態を的確に把握することが必要である。(ミルシートは鋼材類の品質を証明する書類であり、当該工事で購入した材料の数量等を証明できない場合があるが、当該工事の数量、納品時期が証明できる場合は、納品書に替えることができる。)
・ 下請企業等が購入している場合は、その企業の書類(納品書、請求書、領収書)で問題ないが、施工体制台帳等で当該企業がその工事に従事していることを別途確認すること。
・ 必要な証明書類が提出されない場合や提出された書類の信憑性がない場合など、現場への搬入時期等を確認できない材料は単品スライド条項の対象材料としない。これは、品目毎に実勢価格を用いて算出した変動後の価格と実際の購入価格のどちらか安い方の金額を採用することとしているが(1-5-1参照)、鋼材については購入価格と数量を証明することが可能であるため、実際の購入価格が安い場合でも書類の提出を義務付けることによって、スライド額が実際よりも高いものとなることを回避する意味がある。ここでいう材料とは規格毎の材料という意味であり、搬入時期等を確認できない材料があったとしても規格が異なる他の材料まで単品スライド条項の対象材料としないという趣旨ではない。
・ ただし、例えばメーカー等から鋼材類を購入する際に購入先との基本契約で購入価格を漏洩しない旨を契約条項として設定している場合など、実際に購入した際の単価及び購入先を証明する書類を受注者が提出し難い事情があると認められる場合においては、購入先や単価等の証明書類を省略し、当該対象材料の搬入等の月及び数量を証明する書類の提出を求めるものとする。この場合、実際に購入した際の単価は、搬入等した月の実勢価格(対象材料を複数の月に現場へ搬入等した場合にあっては、搬入した月毎の実勢価格を搬入した月毎の搬入数量で加重平均した価格)を用いてスライド額を算定することができる。
② 予定価格内訳書に一式で計上されている仮設工事等の取扱い
・ 予定価格内訳書に一式で計上されている仮設工事等に対する請求があり、かつ、受注者の実際の施工が発注者の想定と異なる場合は、受注者の施工に必要となった材料の搬入時期を証明する書類をもって証明できることとする。
③ 鋼材類の「搬入」の取扱い
・ 鋼材類の「搬入」とは、工事現場に直接搬入される場合のみならず、工場に直接搬入される場合もあるが、その場合の搬入時期は工場に搬入される時期とする。
④ 減額変更する場合の取扱い
・ 減額変更する場合においては、施工計画書に定められている計画工程xxの発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定することとするため、受注者に対し、受注者が対象材料を実際に購入した際の数量、単価及び購入先並びに当該対象材料の搬入等の月を証明する書類の提出は求めないものとする。
・ ただし、発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときは、発注者は受注者に対し、受注者が対象材料を実際に購入した際の数量、単価及び購入先並びに当該対象材料の搬入等の月を証明する書類の提出を求めるものとする。
2-4 単価(実勢価格の算定)
2-4-1 変動前の価格の決定方法
・変動前の価格を算出するための単価は、設計時点における単価とする。
・ 設計時点における単価は、予定価格を算出する際に用いた単価とする。設計変更を実施した場合も同様に変更金額を算出するために用いた単価とし、新規工種については発注者の指示時点の単価とする。
・ 一般的に受注者は、自らが当初想定した金額を根拠に単品スライド条項を請求するものと考えられるが、受注者の想定した金額の妥当性を客観的に証明することは実態上困難であることから、変動前の価格は原則として発注者の設定した金額とするものである。
2-4-2 変動後の実勢価格の決定方法
・価格変動後の価格の算定に用いる実勢単価は、対象材料が現場に搬入された月の物価資料の価格とする。
・物価資料に掲載されていない材料は、当初積算時の類似単価の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、別途考慮する。
① 物価資料等により実勢価格を設定する場合
・ 鋼材類の販売形態は、「ひも付き」といわゆる「店売り」に区分され、それぞれ毎に物価資料等に掲載されている。
・ ひも付きの鋼材類の場合、一般的に鉄鋼メーカーから現場や工場に納入される2か月前に概ね購入契約が行われていることから、その結果は現場に搬入された月と同月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
・ 一方、店売りの場合は、納入の概ね1か月以上前に購入契約は完了しており、その結果は現場に搬入された月と同月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
② 特別調査や見積り等による場合
・ 当初積算が特別調査や見積りによる材料など、既存の物価資料に価格が掲載されていない場合は、過去の価格に遡って特別調査や見積りを実施することが困難であるこ
とから、当初積算時の類似資材の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、発注者による見積りの徴収、近隣工事における資材の調達状況の確認、また、特別調査により単価設定している場合は特別調査を行った調査機関への問い合わせを行う等により、別途考慮する。
③ 減額変更する場合の取扱いについて
・ 減額変更する場合において、発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定する場合は、施工計画書に定められている計画工程xxの情報に基づき当該対象材料の搬入等の月及び月毎の搬入数量を設定する。
2-4-3 変動後の実勢価格の決定方法
・月毎の搬入数量に応じて加重平均して算出した価格に、対象数量を乗じて算出する。
・ 価格変動後の価格を算定する場合には、各月毎の数量が必要となるが、購入時期までを拘束していない設計書の性格上、発注者は対象数量の月毎の内訳を想定することが困難である。このため、受注者が実際に材料を購入した状況に応じ、複数の月に現場に対象材料が搬入された場合については、加重平均により平均的な単価を決定し、対象数量を乗じて、変動後の価格を算出することとする。
・ このような手法を採用するのは、対象数量と購入数量が同じであればどちらの数量を用いても結果に変わりはないが、対象数量と購入数量が異なる場合でも的確に変動後の価格を算出できるようにするためである。
2-5 購入価格の評価方法
・対象材料における購入数量が対象数量と同数の場合は、実際の購入金額とする。
・購入数量が対象数量より多い場合は、「実際の購入金額×対象数量÷購入数量」で算出する。
・予定価格内訳書の数量に記載がなく、施工上必要となる鋼材等については、対象としない。
・ 鋼材類については、対象材料となる場合は、対象数量より多い数量の搬入時期等が証明された場合である。対象数量と購入数量が同数の場合の購入金額は受注者が実際に購入した金額とする。しかし、購入数量が対象数量より多い場合は、実際の購入金額のうち、スライド額の算定の対象にできる対象数量にかかる部分のみを購入したと考えた場合の金額である。
2-6 変動額の算定
・1-5の算定式に基づき、変動額を算出する。
2-7 計算例
(請負比率95%の工事の場合)
設計単価(円) | 70,000 |
設計図書の数量(t) | 100 |
令和●年4 月 | 令和●年5 月 | 令和●年6 月 | |
各月の実勢価格(円) | 74,000 | 78,000 | 83,000 |
購入時の価格(円) | 71,000 | 75,000 | 78,000 |
購入時の数量(t) | 20 | 30 | 50 |
○ 価格変動前の金額:M当初鋼
= 設計時点の実勢価格×対象数量×請負比率×(1+消費税率) 70,000×100×0.95×1.1=7,315,000
○ 価格変動後の金額:M変更鋼
= 搬入月の実勢価格(加重平均)×対象数量×請負比率×(1+消費税率)
74,000×20+78,000×30+83,000×50
20+30+50
×100×0.95×1.1=8,328,650
○ 実購入額:M変更鋼 (71,000×20+75,000×30+78,000×50)×1.1=8,327,000
※ この場合は、価格変動後の金額M変更鋼は、実購入額を採用
○ 変動額M変更鋼-M当初鋼=8,327,000-7,315,000=1,012,000
第3章 燃料油
3-1 対象材料
・ガソリン、軽油、混合油、重油、灯油とする。
・該当する材料は、ガソリン、軽油、混合油、重油、灯油の5材料とする。例えば、潤滑油など燃料油でないものは対象材料とはしない。
3-2 対象数量
3-2-1 対象数量の考え方
・発注者の設計数量(V)を基本とする。
・設計数量(V)に含まれていない、現着単価で設定されている資材や機械の運搬に要する燃料についても、その数量の妥当性が客観的に確認できるものは対象数量とすることができる。
① 発注者の設計数量(V)にカウントされている数量(発注者の設計数量(V)内)
・ 燃料油については予定価格内訳書に明示していないが、発注者の積算において、現場場内の建設機械や場外への運搬のためのダンプ等が稼働する際に必要な燃料油等の費用として単価に含み、計上されている。
・ 数量(V)は、予定価格内訳書における、燃料油の費用が含まれる単位面積当たり単価を構成する燃料油数量と、当該単価に対応する内訳書数量を乗じた数量とする。
② 発注者の設計数量(V)にカウントされていない数量
・ 現場に搬入される資材(現着単価で設定されている骨材・生Co・As合材等)や機械等(建設機械・仮設材等(積算上、共通仮設費(率計上部分を含む)として計上されているものを含む)の運搬過程において燃料油が使用されている。この場合、燃料油の価格が分離できない構成で現着の単価や運搬費に含まれているため、対象数量とするためには、その中から燃料油に係る価格等の妥当性について発注者が客観的に確認できることが必要である。つまり、この数量については、価格等の妥当性が証明されることを条件としており、発注者の設計数量(V)に含まれている数量とは異なり、証明されないものは対象数量とならない。
○ 発注者の数量(V)内
① 現場場内建設機械(場外への運搬ダンプ等を含む)及び建設機械運搬車両に使用した燃料類
○ 発注者の数量(V)外
② 現着単価で設定されている各種資材(骨材・生Co・As合材等)の運搬に要した燃料類
③ 建設機械等(建設機械・仮設材等)の運搬及び分解・組立に要した燃料類
③ 減額変更する場合の取扱い
・ 減額変更する場合において、発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定する場合は、発注者の数量を対象数量とする。
3-2-2 対象数量の算定方法
・ 使用した燃料油のうち、主たる用途分については、受注者から購入時期や購入先、購入価格等を確認できる書類の提出がなされるものと考えられる。しかしながら、燃料油の使用形態は、非常に多岐にわたる機械で使用されるものであり、発注者の数量(V)の全数量に対して証明書類を求めるのは現実的ではないことから、発注者の数量(V)内としてカウントされている数量については書類による証明がなくとも単品スライド条項の対象数量とすることができる。
○ 発注者の数量(V)内の①のうち、主たる用途に用いた数量として、受注者からの証明がなされた数量(V1)
※ ただし、証明された数量(V1)が数量(V)を超えている場合は、 V1=数量(V)とする。なお、この場合、V2=0
○ 発注者の数量(V)内の①のうち、主たる用途以外に用いた数量として、受注者からの証明がなされなかった数量(V2)
※ V2は受注者の算出した概算数量でよい。
ただし、【V1+V2≦設計数量(V)】の範囲内の数量とする。
○ 発注者の数量(V)外の②・③の燃料油数量(V3)
・対象数量と受注者の購入数量(証明がなされた数量)を比較し、購入数量が小さい場合は購入数量を対象数量とする。
※ 対象数量の算定方法については、受発注者の協議により決定するものとする。
3-2-3 その他
・ 既済部分払いを行っている場合は、当該既済部分払いの対象となった出来高部分に係る数量を除いた数量を対象数量とする。
3-3 受注者への確認事項
・受注者は、請求しようとするスライド対象材料毎に、3-2-1の対象数量の区分(①
~③)毎に購入数量・購入価格等に係る書類を提出することが必要。
・増額変更において、必要な書類が提出されない場合など具体的な証明がなされない場合は、対象とはならない。
・減額変更において、異議申し立てがない場合や、異議申し立てがあり必要な書類が提出されない場合など具体的な証明がなされない場合は、発注者が算定したスライド額を契約金額の変更額とする。
① 発注者の数量(V)内の燃料油(現場内建設機械(場外への運搬ダンプ等を含む)及び建設機械運搬車両に使用した燃料油)
・購入した燃料類の「購入数量・単価・購入価格・購入時期・購入先」、及び「購入数量を使用した建設機械と実施工程上の整合性」を証明する書類
・なお、やむを得ない理由により証明書類が提出できない「主たる用途以外に用いた数量(V2)」については、対象材料計算総括表 [様式-3-1]
・ この「主たる用途以外に用いた数量」とは、そもそも燃料油は非常に多岐にわたる機械で使用されているものであり、全数量について書類の提出を求めることは現実的ではないため、厳格に用途毎の数量の証明を義務付けることを意図したものではないことに留意されたい。このため、そもそも受注者として保存すべき書類として扱っていなかったため保存していない等のやむを得ない理由で書類が提出できない場合は、対象材料計算総括表を提出してもらうことでよい。
・ 現場内建設機械において、軽油引取税の課税免除の対象となる重機に使用した燃料油の単価については、課税免除価格となっているか確認を行う。
② 発注者の数量(V)外の現着単価で設定されている各種資材(骨材・生Co・As合材等)の運搬に要した燃料油
・購入した資材毎に「購入数量・購入価格・出荷元・搬入時期」、及び「運搬費のうち燃料代」を証明する書類 [様式-3-2]
③ 発注者の数量(V)外の建設機械等(建設機械・仮設材等)の運搬及び分解・組立に要した燃料油
・運搬した機材毎に「運搬機械・出荷元・運搬時期・運搬距離」、及び「運搬費用」、
「運搬費のうち燃料代」を証明する書類 [様式-3-3]
④ 減額変更の場合の取扱いについて
・ 減額変更する場合においては、施工計画書に定められている計画工程xxの発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定することとするため、受注者に対し、上記
①~③の提出は求めないものとする。
・ ただし、発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときは、発注者は受注者に対し、上記①~③の提出を求めるものとする。
3-4 単価(実勢価格の算定)
3-4-1 変動前の価格の決定方法
・変動前の価格を算出するための単価は、原則として設計時点における単価とする。
・ 設計時点における単価は、原則として予定価格を算出する際に用いた単価とする。設計変更を実施した場合も同様に変更金額を算出するために用いた単価とし、新規工種については発注者の指示時点の単価とする。設計変更を行った場合、特に燃料油は、同じ材料でも複数の時点の単価が設定されている場合が多いので注意が必要である。
・ 鋼材類の場合と同様に、原則、変動前の単価は発注者の想定した単価とする。
3-4-2 変動後の実勢価格の決定方法
・証明書が提出された対象数量に関する価格変動後の価格の算定に用いる実勢単価は、対象材料を購入した翌月の物価資料の価格とする。
・証明書が提出されていない場合には、工事期間の平均値(工期の始期が属する月の翌月から工期末が属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均)とする。
① 基本事項
・ 燃料油は、鋼材類とは異なり、契約と購入がほとんど同時期に行われるものであるため、現場で購入した翌月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
・ ただし、対象材料の購入が工期末の月の場合、当該月の物価資料の価格を実勢価格とするものとする。
対象数量と単価の決定方法について
発注者の設計数量 (V) | 発注者の設計数量外 | 単価の決定方法 (P’) | |
証明書類の提出により、証明された数量 | 対象数量①の(V1) ※ 実際の証明数量が設計数量以上の場合 :V1=V | 対象数量②・③ (V3) | 各月の購入数量と実勢価格による加重平均とする。 |
やむを得ない理由により証明書類が提出されない数量 | 対象数量①の(V2) V2=V-V1 ※ 実際の証明数量が設計数量以上の場合 :V2=0 | 契約の翌月から工期末の前々月までの実勢価格の平均とする。 |
※ 実勢価格:購入月の翌月の「物価資料等」の価格
② 減額変更の場合の取扱いについて
・ 減額変更する場合で、発注者が有する情報では購入月毎の購入数量が判断できない場合にあっては、工期の始期が属する月の翌月から工期末が属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格とする。
3-4-3 変動後の実勢価格の決定方法
・発注者の数量内の証明された対象数量(V1)及び発注者の数量外の資材や機材等の運搬に係る実際の燃料油に係る対象数量(V3)にそれぞれ毎の購入数量に応じて加重平均処理された単価を乗じたものと、証明されていない対象数量(V2)に工事期間中の平均単価を乗じたものとを合計して、変動後の実勢価格を決定する。
・ 燃料油について、3-2のとおり様々な対象数量の設定方法があるため、その数量に応じて設定した単価をそれぞれ毎の数量に乗じて合計額を算出する。
・ なお、V1、V2、V3が混在する場合、それぞれの数量にあたる価格を加重平均し、対象数量を乗じて算出することと同意義である。
3-5 購入価格の評価方法
・証明された購入数量が、3-2-2の対象数量(V1及びV3)以上であった場合は、実際の購入金額のうち、対象数量分のみの金額とする。
・証明されなかった数量(V2)については、3-4-2に基づき、発注者と同様に、工事期間の平均価格(契約の翌月から工期末の前々月までの実勢価格の平均価格)に V2を乗じた額とする。
・ 受注者によって証明された購入数量が対象数量より多い場合は、実際の購入金額のうち、スライド額の算定の対象にできる対象数量のみを購入したと考えた場合の金額を購入金額とすることは、鋼材類と同様である。
・ 証明されなかった数量については、受注者もその単価を明確に把握しているとは言い難いため、単価は発注者が設定する手法と同等の手法にて算出することとする。
3-6 変動額の算定
・1-5の算定式に基づき、変動額を算出する。(鋼材類と同様)
3-7 算出方法
3-2-2に記載したとおり、算出した資材や機材等の運搬に係る燃料油の合計値(V
3)よりも、該当する資材や機材等の運搬に係る実際の燃料油の購入数量の方が少ない場合は、V3は実際の購入数量とする。
3-7-1 機材運搬に係る燃料油の算出方法
・共通仮設費率に含まれる運搬費 ・・・・・ 単品スライド条項対象
・積上げ項目による運搬費 ・・・・・ 単品スライド条項対象
① 重建設機械の分解、組立及び輸送に要する費用標準歩掛り等を基に算出する。
第4章 その他の主要な工事材料
4-1 対象材料
4-1-1 対象材料の考え方
・アスファルト類、コンクリート類等の鋼材類、燃料油以外の主要な工事材料を対象とする。主要な工事材料について原材料、生産主体及び機能・使用部位といった観点から品目毎に分類を行う。(1-3-1参照)
・ 主要な工事材料について、1-3-1の品目分類に基づき、工事毎に対象材料を受発注者間の協議により決定するものとする。
4-1-2 その他市場単価等
① 市場単価
・鋼材類以外の市場単価は、下表のとおりである。
・ 下表「取扱い」欄が①の市場単価については、施工手間のみの市場単価のため、単品スライド条項との関連はない。
・ 下表「取扱い」欄が②の市場単価については、単位施工当たりに必要となる材料や労務等に係る費用が一括された単価として物価資料に掲載されている。一括された単価であるため、材料費のみ、抽出することは困難である。ただし、設計図書により材料仕様や使用数量等が明確に把握できる場合は、その材料数量については対象とすることができる。この場合、市場単価に代えてその材料の実勢価格を変動前、変動後の価格として変動額を算出するものとする。なお、購入価格、購入先及び購入時期が証明されることが必要であるのは、他の材料の場合と同様である。
4-2 対象数量
・鋼材類以外の主要な工事材料についても、原則、発注者の予定価格内訳書の数量を対象とする。
・予定価格内訳書に一式で計上されている工種は、発注者の予定価格内訳書を対象数量とすることを基本とする。
① 基本事項
・ 鋼材類以外の主要な工事材料についても、原則、発注者の予定価格内訳書の数量を対象数量とする。この数量について受注者が購入価格、購入先及び購入時期について証明できない場合は、当該材料はスライドの対象としない。
証明された数量と対象数量の考え方
証明数量<予定価格内訳書の数量 → 当該材料は対象材料とならない
予定価格内訳書の数量<証明数量 → 対象材料。対象数量は予定価格内訳書の
数量
注) 証明数量:受注 者から証明された数量
② 予定価格内訳書に一式で計上されている工種の取扱い
・ 予定価格内訳書に一式で計上されている工種については、発注者の予定価格内訳書の数量を対象数量とすることを基本とする。なお、任意仮設等は受注者が必ずしも発注者が想定した工法で実施せず、使用する材料の種類や数量が発注者の想定と異なっていることが通常あり得る。このような工種について受注者からの請求があった場合も同様とする。
③ 材料の数量(重量)が明示されていない場合の取扱い
・ 予定価格内訳書の数量として、対象面積等としては示されているが、材料の数量(重量)が示されていない場合の取扱いは下記による。
・ 公共建築工事標準単価積算基準(以下「単価基準」とする。)に示されている標準歩掛りから数量(重量)を算出することを基本とする。
・算定例
(アスファルト混合物の重量)
単価基準 表A1-21 表A1-21-2より再生密粒度アスファルト 車道部3cmの場合
100m2 あたり、7.24t の使用量より
0.0724t/m2×予定価格内訳書に示されている対象数量を乗じて算出する
④ 減額変更する場合の取扱い
・ 減額変更する場合において、発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定する場合は、発注者の予定価格内訳書を対象数量とする。
・ 発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときの数量の取扱いは上記①~③に準じるものとするが、証明数量が予定価格内訳書の数量を下回る場合
(証明数量<予定価格内訳書の数量)は、発注者の設計数量を対象数量とする。
⑤ その他
・ 既済部分払いを行っている場合は、当該既済部分払いの対象となった出来高部分に係る数量を除いたものを設計数量とする。
4-3 受注者への確認事項
・鋼材類以外の主要な材料も、基本的に材料の取引形態に照らし対象数量全量の搬入等の時期、購入先、単価・購入価格を確認することが可能であるため、それが証明できる納品書、請求書、領収書の提出を受注者に求めること。
・増額変更において、必要な書類が提出されないなど具体的な証明がなされない場合は、その材料は単品スライド条項の対象材料としない。
・減額変更において、異議申し立てがない場合や、異議申し立てがあり必要な書類が提出されないなど具体的な証明がなされない場合は、発注者が算定したスライド額を契約金額の変更額とする。
① 基本事項
・ 単品スライド条項は、対象とする材料が当初の想定と比べ、実際に購入した時期に著しく価格が変動したために契約金額の変更をしようとするものであるため、この条項に基づくスライド額の算定に当たっては、実際の購入時期や購入価格が受注者に証明されることが前提となる。
・ このため、材料の取引形態に照らし数量、価格等の入手実態が明確な材料については、対象数量全量の搬入等の時期、購入先及び購入価格を証明する書類として、納品書、請求書、領収書の全てを提出してもらい、購入実態を的確に把握することが必要である。
・ 下請企業等が購入している場合は、その企業の書類(納品書、請求書、領収書)で問題ないが、施工体制台帳等で当該企業がその工事に従事していることを別途確認すること。
・ 必要な証明書類が提出されない場合や提出された書類の信憑性がない場合など、現場への搬入時期等を確認できない材料は単品スライド条項の対象材料としない。これは、品目毎に実勢価格を用いて算出した変動後の価格と実際の購入価格のどちらか安い方の金額を採用することとしているが(1-5-1参照)、基本的に購入価格と数量を証明することが可能であるため、実際の購入価格が安い場合でも書類の提出を義務づけることによって、スライド額が実際よりも高いものとなることを回避する意味がある。ここでいう材料とは規格毎の材料という意味であり、搬入時期等を確認できない材料があったとしても規格が異なる他の材料まで単品スライド条項の対象材料としないという趣旨ではない。
・ なお、鋼材類については、独自の商慣行に基づき、やむを得ない場合は一部証明書類の提出の省略を規定しているが、その他の主要な工事材料について、同等の事情があると認められる場合は、同規定を準用することができる。
② 予定価格内訳書に一式で計上されている工種の取扱い
・ 予定価格内訳書に一式で計上されている工種に対する請求があり、かつ、受注者の実際の施工が発注者の想定と異なる場合は、受注者の施工に必要となった材料の搬入時期を証明する書類をもって証明できることとする。
③ 材料の「搬入」の取扱い
・ 材料の「搬入」とは、工事現場に直接搬入される場合のみならず、非鉄金属などのように工場に直接搬入される場合もあるが、その場合の搬入時期は工場に搬入される時期とする。
④ 減額変更する場合の取扱い
・ 減額変更する場合においては、施工計画書に定められている計画工程xxの発注者が有する情報に基づき変動後の価格を算定することとするため、受注者に対し、受注者が対象材料を実際に購入した際の数量、単価及び購入先並びに当該対象材料の搬入等の月を証明する書類の提出は求めないものとする。
・ ただし、発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときは、発注者は受注者に対し、受注者が対象材料を実際に購入した際の数量、単価及び購入先並びに当該対象材料の搬入等の月を証明する書類の提出を求めるものとする。
4-4 単価(実勢価格の算定)
4-4-1 変動前の価格の決定方法
・変動前の価格を算出するための単価は、原則として設計時点における単価とする。
・ 設計時点における単価は、原則として予定価格を算出する際に用いた単価とする。設計変更を実施した場合も同様に変更金額を算出するために用いた単価とし、新規工種については発注者の指示時点の単価とする。
・ なお、一般的に受注者は、自らが当初想定した金額を根拠に単品スライド条項を請求するものと考えられるが、受注者の想定した金額の妥当性を客観的に証明することは実態上困難であることから、変動前の価格は原則として発注者の想定した金額とする。
4-4-2 変動後の実勢価格の決定方法
・アスファルト類やコンクリート類等、契約と現場搬入の時期に差がある材料の価格変動後の価格の算定に用いる実勢単価は、鋼材類の変動後の実勢価格の決定・算出方法
(2-4-2、2-4-3)に準じて対象材料が現場に搬入された月の物価資料の価格とする。
・これ以外の主要な工事材料においても、鋼材類に準じるものとするが、燃料油のように契約と購入がほとんど同時期に行われる材料については、燃料油の変動後の実勢価格の決定・算出方法(3-4-2、3-4-3)と同様に対象材料を購入した翌月の物価資料の価格とする。
4-5 購入価格の評価方法
・対象材料における購入数量が対象数量と同数の場合は、実際の購入金額とする。
・購入数量が対象数量より多い場合は、「実際の購入金額×対象数量÷購入数量」で算出する。
・ 対象材料となる場合は、対象数量より多い数量の搬入時期等が証明された場合である。対象数量と購入数量が同数の場合の購入金額は受注者が実際に購入した金額そのものとする。しかし、購入数量が対象数量より多い場合は、実際の購入金額のうち、スライド額の算定の対象にできる対象数量にかかる部分のみを購入したと考えた場合の金額である。
4-6 変動額の算定
・1-5の算定式に基づき、変動額を算出する。(鋼材類と同様)
第5章 請求等手続き及び提出様式
5-1 請求時期
・工期末の2か月前までに請求を行う。
・なお、上記の請求を行った場合は、請求日に関わらず、工事開始日以降に調達した品目についてスライドの対象となる。
・ 単品スライド条項の請求は、工期内で必要な協議期間及び契約変更手続きに要する期間が確保できるよう、工期末の2か月前までを原則とする。
・ 協議開始から協議終了までの期間として14日間を確保することが一般的であるが、工期末の直近で請求があった場合など十分な協議期間が確保できないことも考えられることから、協議期間については、受発注者協議の上、適切に措置する必要がある。
5-2 協議の手続き
・単品スライド額の算定にあたって、「対象工事費・対象数量」は、「最終的な全体工事費・予定価格内訳書の数量」をもって行うことが原則であることから、協議開始日までに、単品スライド分を除く精算変更(全体スライド及びインフレスライドを含む)をすること。(原則)
・その後、受発注者協議の上で単品スライド額を確定し、契約により最終契約金額を確定させる。
・ しかしながら、最終的な数量の確定までに期間を要する場合などこれによりがたい場合も想定されるが、その場合は、受注者や主管課とも十分調整の上実施すること。
5-3 既済部分検査
・既済部分検査時に、要請がある場合、単品スライド条項を適用することができる旨を記載するものとする。
・ 材料単価の価格変動に伴って、当該工事の契約金額が不適当となる恐れがある場合は、既済部分検査請求と、同時又は事前に、工事請負契約書第26条第5項の請求を行うことで、当該検査の出来高部分も条項適用対象とできる。
・ 既済検査を実施する場合は、出来高部分の確認を発注者に請求する際、その旨を「請負工事既済部分検査結果通知書」に併せて記載する。(様式-7)
・ また、発注者は既済部分検査結果通知書に単品スライド条項の請求対象となる旨を記載する。(様式7-1)
・ なお、その場合、以降の工事は単品スライド条項の請求対象となる。(それ以降の既済部分検査結果通知書に単品スライド条項の請求対象となる旨を記載する)
5-4 部分引き渡しにかかる指定部分の取扱い
・部分引き渡しを行う「指定部分」は、指定部分の工期の2か月前までに請求。
・ 部分引き渡しを行う指定部分については、その部分のみを対象に単品スライド条項が適用されるため、指定部分の工期2か月前までに単品スライド請求を行う。
契約金額Pの確定
( 参 考 ) 全 体 スライド、単 品 スライド及 びインフレスライドの違 い
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