Contract
令和5年8月23 日庁議資料x x 部
区における公契約条例の基本的考え方について
1 概要
区が締結する契約等(以下「公契約」という。)において、業務に従事する労働者の労働環境の整備を推進し、公共工事や公共サービスの品質の確保等を図るため、公契約条例
(以下「条例」という。)の制定に向けて準備を進めているところである。
具体的には、先行自治体の取組について情報を収集するとともに、関係団体からの意見聴取を行いながら、庁内の文京区契約改善推進委員会にて検討を行っている。
これまでの検討を踏まえ、現時点の区における基本的な考え方を整理する。
2 先行自治体の取組状況
・条例の適用範囲については、一定の金額(予定価格等)以上の契約又は指定管理協定を対象としており、各区の実情に応じて特定の契約等に限定している。
・条例の対象となる契約等については、工事又は製造の請負契約、業務委託契約及び指定管理協定のそれぞれに適用範囲を定めている。
・労働報酬下限額の勘案基準については、工事請負契約では、農林水産省及び国土交通省が定める公共工事の工事費の積算に用いるための労務単価(以下「公共工事設計労務単価」という。)を基に勘案しており、委託契約等については、区の職員給与や会計年度職員給与、地域別最低賃金を勘案基準としているところが多い。
・受注者に求める提出物には、労務台帳と労働環境報告書(チェックシート方式)の2つに大別されるが、近年は、受注者の事務負担等を考慮して後者が採用されている。
3 関係団体からの意見聴取等
≪これまでの主な意見≫
〇労働者団体関係者
・賃金条項を設け、実効性がある条例にしてほしい。
・条例は、発注者と受注者との間の契約(合意)に基づくものであるべきだ。
・検討に当たっては、事業者団体との調整を行うこと。
・事業者に求める報告書については、直近ではチェックシート方式が採用されている。
〇事業者団体関係者
・事業者の事務負担等に配慮してほしい。
・不誠実な事業者の参入を排除し、ダンピング受注等を防止する必要がある。
・条例の施行後、最初は混乱するかもしれないが、徐々に慣れていくしかない。
・賃金が高ければ品質が良いとは限らないのではないか。
・地方に工場がある事業者では、地域別最低賃金で雇用しているところもある。
4 基本的考え方
⑴ 賃金条項を設け、受注者は労働者に対して区長が定める額(以下「労働報酬下限額」という。)以上の賃金等を支払わなければならないこととする。
⑵ 受注者には、労働者に対する賃金等の支払状況や労働条件等に関する事項の報告を求めることとし、その報告書については、受注者の事務負担の軽減に配慮したものとする。
⑶ 工事又は製造の請負契約、業務委託契約及び指定管理協定ごとに適用範囲を設ける。ただし、条例で定める基本方針や受注者の責務等については、全ての公契約を対象とする。
⑷ 工事又は製造の請負契約における労働報酬下限額を決定するに当たっては、農林水産省及び国土交通省が定める公共工事の工事費の積算に用いるための労務単価を基に勘案する。
⑸ 労働報酬下限額その他必要な事項について審議するために 区長の附属機関として審議会を設置する。
なお、審議会については、学識経験者、事業者団体関係者及び労働者団体関係者の委員で組織することを想定している。
5 今後のスケジュール(予定)
令和5年9月 議会報告「条例の基本的考え方について」令和6年2月 議会報告「条例の骨子等について」
3月 パブリックコメントの実施
6月 条例案を議会に上程
※ 令和7年4月1日以降に締結する契約等に適用する。