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土 木 設 計 業 務 等 委 託 契 約における設計変更ガイドライン
平成 28 年4月1日
仙台市設計基準策定委員会
目 次
1 ガイドラインの目的 1
2 設計変更の基本 1
3 設計変更が不可能なケース 2
4 設計変更が可能なケース 2
5 設計変更手続きフロー 5
(1)設計変更の手続き(全般) 5
(2)土木設計業務等委託契約書第18条(条件変更等)関係の手続き 6
(3)契約書第19条(設計図書等の変更)関係の手続き 8
(4)契約書第20条(業務の中止)関係の手続き 9
6 設計変更が可能なケースの具体例 10
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の例 10
(2)設計図書の表示が明確でない場合の例 10
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違する場合の例 11
(4)発注者が必要であると認め、設計図書の内容を変更する場合の例 11
(5)業務中止の場合の例 12
7 設計変更に関する留意事項 13
(1)発注者及び受注者に共通する留意事項 13
(2)発注者の留意事項 13
(3)受注者の留意事項 13
8 関連事項 14
(1)「設計図書の点検」の範囲 14
(2)「設計図書の点検」の範囲をこえるもの 14
(3)既存設計等の誤りに関する取扱い 14
(4)指定・任意の正しい運用 15
9 その他 16
(1)xx設計等業務委託契約書抜粋 16
(2)共通仕様書抜粋【設計業務】 19
(3)円滑な設計変更に向けて 21
1 ガイドラインの目的
道路、河川、下水道、公園などの様々な社会資本の最適な整備・維持管理を実現するためには、それらに資する測量・調査・設計の業務(以下「業務委託という。」)の適切な履行が重要となります。また、適切な業務委託成果を確保するためには、地形・地質・天候などの現場条件や環境、さらには地元・関係機関との協議等を考慮のうえ、合規性を満たしつつ安全性・経済性を追求していくことが求められます。
業務委託は、発注者が業務の基本的な方針を明確に示し、受注者はその方針に基づき、自らの技術力や応用力を発揮して取り組むなど、発注者と受注者が協働することで高品質な成果品を作成することができます。また、良好な受発注者間の協働環境をつくるためには、発注時における適正な条件明示のみならず、履行条件の変化に伴う適切な設計変更を行うことが重要となります。
本ガイドラインは、土木設計業務委託等契約書を踏まえた設計変更の対象事項、必要な手続き、及び発注者と受注者の役割分担などを明確にし、受発注者が相互に理解しておくことで設計変更の円滑化及び適正化を図ることを目的としております。
2 設計変更の基本
業務委託の履行は、土木設計業務等委託契約書第1条で規定する設計図書に基づき履行しなければなりませんが、やむを得ない事情により設計図書と履行条件に差異が生じた場合、受注者が独自に判断して履行を続けることはできませんので、その旨を直ちに調査職員に通知し、その確認を請求しなければなりません。
調査職員は受注者と立ち会いの上で直ちに調査を行い、その結果第 18 条第 1 項各号の事実が確認され、発注者が必要と認めるときは設計図書を訂正又は変更し、その結果、業務委託料や履行期間に変更が生じる場合は契約変更を行います。
3 設計変更が不可能なケース
次のような場合においては、原則として設計変更はできません。ただし、災害等緊急時はこの限りではありません。(契約書第26条「臨機の措置」)
①設計図書に条件明示されていない事項において、発注者と「協議」を行わず、受注者が独自に判断して業務を実施した場合。
②発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で業務を実施した場合。
③「承諾」で実施した場合。
④設計業務等委託契約書に定められている所定の手続きを経ていない場合(契約書 第 18 条~25 条)
⑤書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
4 設計変更が可能なケース
次のような場合においては設計変更が可能です。
【土木設計業務等委託契約書第17条
(設計図書と業務内容が一致しない場合の修補義務)】
受注者が実施した業務の内容について、発注者が修補を請求した場合において、当該不適合が発注者の指示によるとき、その他発注者の責めに帰すべき事由による場合
⇒発注者は、自らの指示により不適合が生じたと判断される場合には、必要に応じ、履行期間又は業務委託料を変更するとともに、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
【土木設計業務等委託契約書第18条(条件変更等)】
①図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合。
②設計図書に誤謬又は脱漏がある場合。
例)条件明示に、「設計に必要な調査は、別業務で実施済み」と記載があったが、行われていなかった場合 等
③設計図書の表示が明確でない場合。
例)設計図書の表示が抽象的な表示で、実際の業務の実施に当たって判断し得ない場合 等
④設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違する場合。
例)自然的条件:設計する橋梁の架橋地点の川幅、地すべりにおける地表の条件・変動量・水深・地下水位、地質調査における支持層の位置など
人為的条件:現地調査のための立入条件や準拠すべき技術基準など
⑤設計図書に明示されていない履行条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合。
例)自然生態上の貴重種の発見や新たな施行条件とならざるを得ない地元関係者からの要求 等
【土木設計業務等委託契約書第19条(設計図書等の変更)】
発注者から設計図書等の変更に係る指示の変更内容を通知した場合。
例)事業計画変更や関係機関等との協議結果による計画法線、設計工法変更 等
【土木設計業務等委託契約書第20条(業務の一時中止)】
①受注者の責に帰すことができない自然的又は人為的事象により、作業現場の状態が著しく変動し、受注者が業務を一時的に継続できないと認められる場合。
②発注者が、必要に応じて業務の中止内容を受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止する場合。
⇒発注者は必要に応じて履行期間又は業務委託料を変更する。また、受注者から業務の続行に備えるための増加費用の負担について発注者に協議が行われた場合や受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用の負担を行う。
【一時中止の増加費用を負担することができる場合の例】
①調査箇所の立入了解が得られず、業務ができない場合。
②設計図書と調査箇所の施行条件が相違し、業務の継続が不適当又は不可能となった場合。
③関連する他の業務等の進捗が遅れたため、当該業務等の続行を不適当と認めた場合。
④環境問題や地元要望により、当該業務の続行が不適当と認めた場合。
⑤天災等により調査器具等に損害を生じ若しくは現場の状態が変動したため、業務を継続できなくなった場合。
⑥第三者及びその財産、受注者、使用人等並びに調査職員の安全確保のため必要と認めた場合。
【土木設計業務等委託契約書第21条(業務に係る受注者の提案)】受注者から技術的提案がなされ、発注者が認めた場合。
⇒設計図書等において、受注者から技術的又は経済的に優れた代替方法その他、改良事項の提案がなされ、発注者が当該業務の履行において必要と認め、業務の変更・追加を通知した場合。
【土木設計業務等委託契約書第22条(受注者の請求による履行期間の延長)】
受注者の責めに帰することができない事由により履行期間内に業務を完了できない場合。
⇒発注者は、必要に応じ履行期間を延長しなければならず、その理由が発注者の責めに帰すべき事由による場合は、必要に応じ業務委託料を変更するとともに、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
【受注者の責めに帰することができない事由の例】
①関係機関との協議が未了または協議遅延により方針の決定が遅れたことにより履行期間に影響を与えた場合。
②調査箇所の立入了解に時間を要したり、他発注の地質調査の遅れなどにより履行期間に影響を与えた場合。
③既往成果の設計に不備が多く、発注者による見直しにより業務開始までに時間を費やした場合。
④設計に必要な地質データが不足しており、発注者による追加調査に伴い業務が遅延した場合。
【土木設計業務等委託契約書第23条(発注者の請求による履行期間の短縮等)】発注者が特別な理由により履行期間を短縮する必要がある場合。
⇒発注者は、必要に応じ業務委託料を変更するとともに、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
【特別な理由の例】
①何らかの理由による一部業務の取りやめ変更に伴い、必要最低限の履行期間に見直す必要がある場合。
②供用開始の前倒しに伴い、早期に工事を発注する必要が生じ、当初履行期限よりも前倒しで成果品が必要となった場合。
【その他】
受注者が行うべき「設計図書の点検」の範囲を超える作業を実施する場合
⇒共通仕様書(設計業務 第 1104 条、測量業務 第 104 条、地質・土質調査業務 第 106 条)の「設計図書の支給及び点検」は、既存成果の応力計算や図面の修正まで求めるものではない。
5 設計変更手続きフロー
(1)設計変更の手続き(全般)
土 木 設 計 業 務 等 委 託 契 約 の 締 結
設計図書と業務内容が一致しない場合の修補義務
(第 17 条)
条件変更等
(第 18 条第 1 項)
業務の一時中止
(第 20 条)
設計図書等の変更
(第 19 条)
受注者の提案
(第 21 条)
履行期間の延長
(第 22 条)
履行期間の短縮
(第 23 条)
不適合が発注者の指示、その他発注者の責めに帰すべき事由によるとき
設計図書の点検
(受注者)
発注者が履行期間または業務委託料の変更を必要と認めたとき
受注者が業務の続行に必要な費用
発注者が設計図書の変更を必要と認めたとき
発注者が履行期間の変更を必要と
認めたとき
点検結果の通知
(受注者)
必要な場合
内容の確認
(発注者)
発注者は、設計図書の変更または訂正を行う場合は、「設計図書(又は仕様書)の変更」又は「業務の全部又は一部の中止」を通知する。
【必要に応じて、履行期間の変更若しくは業務委託料の変更を行う。】
第 24 条「履行期間の変更方法」の協議・決定
第 25 条「業務委託料の変更方法等」の協議・決定
変更契約
(2)土木設計業務等委託契約書第18条(条件変更等)関係の手続き
受注者 発注者
◎土木設計委託等契約書第18条第1項の次の各号のいずれかに該当する事実を発見
1 図面,仕様書,現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない
2 設計図書に誤謬又は脱漏がある
3 設計図書の表示が明確でない
4 設計図書の自然的又は人為的な履行条件が実際と相違する
5 設計図書にない履行条件について予期することのできない特別な状態が発生
発注者に通知,確認請求(§18-1※)
通知,確認請求書
立会い請求(§18-2)
※「§18-1」は,「土木設計業務委託等契約書第18条第1項」を意味し,以下同じ。
応じない
立会
応じる
発注者のみ
受注者立会
調査(§18-2)
意見(§18-3)
受注者の意見を聴く(§18-3)
調査結果とりまとめ(§18-3)
(受注者が執るべき措置の指示を含む)
不可能
14日以内通知
可能
意見(§18-3)
受注者の意見を聴く(§18-3)
(やむを得ない理由があるとき)
通知期間延長(§18-3)
調査結果通知(§18-3)
【次ページへ続く】
【前ページからの続き】
調査結果
調査結果の通知内容において,比較検討等を 伴う業務内容の追加・変更を行う指示が行われた場合は,追加・変更となる概略業務量(人工数と期間)を発注者に提示すること。
不要
変更訂正が必要か
必要 変更無し
※発注者は,追加・変更を行う場合には,業
務内容を明確にし,設計変更の取扱いについても適正に明示すること。
履行期間または業務
委託料の変更が必要か
(§18-5)
不要
必要
変更無し
履行期間の変更
(§24)
業務委託料の変更
(§25)
設計図書の変更,訂正(§18-4)
調査結果通知(§18-3)
通知期間延長(§18-3)
【設計図書の訂正又は変更(§18-4)により受注者に損害があった場合】
損害の請求
通知
損害内容は
設計図書の訂正又は変更に起因するものか
(§18-5)
起因しない
起因する
負担無し
費用を負担
(3)契約書第19条(設計図書等の変更)関係の手続き
受注者 発注者
「設計図書」または
「業務に関する指示」 の変更が必要になった場合
変更内容を受注者に通知
変更内容
履行期間または業務 不要委託料の変更が必要か
必要 変更無し
履行期間の変更
(§24※)
業務委託料の変更
(§25)
※「§24」は,「土木設計業務委託等契約書第24条」を意味し, 以下同じ。
【設計図書等の変更(§19)により受注者に損害があった場合】
損害の損害 通知
起因しない
損害内容は設計図書等の変更に起因するものか
起因する
負担無し
費用を負担
(4)契約書第20条(業務の中止)関係の手続き
受注者
発注者
①以下により受注者が業務不可能と認められるとき
(§20-1※)
・第三者所有地の所有者等から土地立入りの承諾が得られない
・自然的,人為的な事象で作業現場の状態が 著しく変動(受注者に帰責事由がない場合)
②発注者が必要と認めるとき(§20-2)
中止内容
受注者に中止内容を通知
※「§20-1」は,「土木設計業務等委託契約書第20条第1項」を意味し,以下同じ。
①業務の全部または一部を中止しなけれ ばならない(§20-1)
②業務の全部または一部を中止できる
(§20-2)
履行期間または業務 不要委託料の変更が必要か
(§20-3)
必要 変更無し
履行期間の変更
(§24)
業務委託料の変更
(§25)
業務続行に備えるため 不要の増加費用が必要か
(§20-3)
負担無し
必要
費用を負担
上記の変更に伴う受注者への損害
及ぼさない
受注者に損害を及ぼしたか
及ぼした
負担無し
費用を負担
6 設計変更が可能なケースの具体例
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の例
(土木設計業務等委託契約書第 18 条第1項第 2 号)
条件明示する必要があるにもかかわらず
①設計条件に関する
②現地条件に関する
③検討項目が一式計上となっており、検討範囲の
条件明示がない場合
受注者
発注者
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により履行期間または業務委託料を定める。
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更や履行期間・業務委託料の変更を行う。
※当初積算の考え方に基づく条件明示を行う。
「土木設計業務等委託契約書第 18 条(条件変更等)第1項第 2号」に基づき、その旨を直ちに調査職員に通知する。
(2)設計図書の表示が明確でない場合の例
(土木設計業務等委託契約書第 18 条第1項第 3 号)
①検討数量が一式計上となっており、数量
②打合せ協議は明示されているが、回数
が不明確な場合
受注者
発注者
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により履行期間または業務委託料を定める。
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更や履行期間・業務委託料の変更を行う。
※当初積算の内容に基づき数量等の必要事項を明示する。
「土木設計業務等委託契約書第 18 条(条件変更等)第1項第 3 号」に基づき、その旨を直ちに調査職員に通知する。
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違する場合の例
(土木設計業務等委託契約書第 18 条第1項第 4 号)
設計図書に明示された
①地形条件(川幅、地表形状など)が現地
②水深・地下水位などが現地
③現地調査のための立入条件が実際
④地質調査結果の支持層の深さが実際
と一致しない場合
受注者
発注者
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により履行期間または業務委託料を定める。
調査の結果、その事実が確認された場合は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更や履行期間・業務委託料の変更を行う。
「土木設計業務等委託契約書第 18 条
(条件変更等)第1項第4 号」に基づき、条件明示(当初積算の考え)と現地条件が一致しないことを直ちに調査職員に通知する。
(4)発注者が必要であると認め、設計図書の内容を変更する場合の例
(土木設計業務等委託契約書第 19 条)
○設計図書に明示された
①条件について、検討範囲や数量を変更する場合
②検討業務等について、業務内容や業務遂行条件が大幅に変更になる場合
(契約後に判明した条件変更等により、やむを得ず検討業務の入れ替えを行う場合など)
○設計図書に明示されていない検討業務や要求する成果等を追加する場合
発注者
受注者
「土木設計業務等委託契約書第 19 条
(設計図書等の変更)」に基づき、業務内容の追加・変更の内容を明確に指示書で通知し、設計変更の取扱も適切
に明示する。
指示内容を確認し、内容に疑義がある場合は、速やかに確認をする。なお、打合せ簿の受理後、概略業務量(人工数と期間)を
発注者に提示する。
※発注者からの指示は、書面で行うものとするが、緊急を要する場合その他の理由により口頭によ る指示等を行った場合は、口答指示をした業務 内容について書面に記載し、7日以内に交付し なければならない。
※基本的に、原契約との関連が薄い業務の追加は行わないものとする。
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により履行期間または業務委託料を定める。
※当初設計図書の内容及び発注者からの指示・追加項目の履行途中において、発注者からの追加の変更指示に伴い生じた最終の成果とされない途中段階の検討業務についても、検討資料を成果とし設計変更の対象とする。
※設計変更に係る業務委託料は、標準積算基準によるものとするが、業務内容を十分に精査し、必要に
応じて見積りを徴収するなど適切に算出すること。
(5)業務中止の場合の例
(土木設計業務等委託契約書第 20 条第1項)
受注者の責めに帰することができないものにより作業現場の状態が著しく変動したため、受注者が業務を行うことができないと認められる場合の手続きです。
業務を行うために必要な土地への立入ができない場合
・土地への立入りが承諾されないために業務が行えない場合
・埋蔵文化財の調査及び処理を行う必要が生じた場合
・反対運動等の妨害活動があった場合
自然的もしくは人為的な事象により業務を行うことができない場合
・豪雨、地震、火災等により地形等の物理的な変動があった場合
・妨害活動を行う者による作業現場の占拠及び著しい威嚇行為があった場合
※単に暴風等の受注者に帰責事由のない自然的又は人為的な事象が生じただけでは不十分であり、現に業務ができないと認められる状態にまで達していることが必要である。
※発注者の技術基準の改正や関連協議に伴い業務内容の見直しが行われる場合もあり、土木設計業務等委託契約書第 20 条第 2 項の規定により発注者が必要と認めるときは一時中止を行うことができる。
受注者
発注者
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が業務を行うことができない
「土木設計業務等委託契約書第 20 条(業務の中止)第1項」により、発注者は業務の全部又は一部を原則として一時中止しなければならない。
共通仕様書「業務計画書」(設計業務 第 1111 条第 3 項、測量業務 第 110 条第 3
項、地質・土質調査業務 第 112 条第 3項)に基づき、今後履行すべき概略業務量(必要期間)及び業務中止期間中の作業現場の管理計画について検討し、変更業務計画書を発注者へ提出。
発注者から記載内容の再検討を求められた場合には、内容を見直し再提出する。
一時中止の指示
(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
発注者は、現場管理上、必要な範囲の変更計画となっていることを確認し、変更業務計画書を受理。(必要に応じ再検討を求める。)
変更業務計画書に基づいた業務の実施。
受理した変更業務計画書に基づき、必要に応じて履行期間及び中止期間中の作業現場維持費用の設計変更を実施。
7 設計変更に関する留意事項
(1)発注者及び受注者に共通する留意事項
設計業務等の委託契約は、発注者及び受注者が対等な立場でそれぞれの役割分担を適切に行った上で履行されるものであり、設計変更内容についても両者が合意し契約を締結することが不可欠です。
・設計変更を行う必要が生じた場合など、必要な指示、協議等を書面で行う。
(契約書第 2 条第 1 項)
・緊急やむを得ない事情がある場合には、発注者及び受注者ともに指示、協議等を口頭で行うことが出来るが、7 日以内に書面で交付しなければならない。
(契約書第 2 条第 2 項)
・設計変更後の業務委託料や履行期間は、受注者と協議の上、決定する。
(契約書 24 条、第 25 条)
(2)発注者の留意事項
設計業務等の履行は設計図書に従い行われるため、発注者は、受注者が業務の目的に沿った適切な履行ができるように、必要な履行条件を明示した設計図書を作成する義務があります。
また、業務履行中に変更の必要が生じた場合には、受注者に対して書面により適切な指示を速やかに行わなければなりません。
(3)受注者の留意事項
受注者は、業務の目的を達せられるよう履行する義務があり、そのため業務の履行にあたって発注者の意図、設計図書、現場条件などを確認する必要があります。
数量・仕様書等の設計図書の変更が必要な場合は、その旨、発注者と協議を行い、発注者の書面による指示に従い業務を実施する(独自での判断で実施しない)。
8 関連事項
(1)「設計図書の点検」の範囲
受注者が行うべき「設計図書の点検」の範囲は、以下のとおりです。
設計図書の内容に係る整合性がとられているかどうかの確認
①数量計算書と仕様書の内容の整合確認
②図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書の内容の整合確認
設計図書記載内容の作業現場の状態・履行条件(実際の作業現場の状態・履行条件が一致しているかなど)の確認
①適用すべき諸基準と整合した業務内容となっているか
②設計図書と現地が整合しているか
③既存業務の成果、適用すべき諸基準の取違いの不備はないか
④既存業務の調査結果等が適切か、調査不足は生じていないか
⑤業務条件確定のための関係機関協議は実施済みか、もしくは実施済み内容が明示されているか
(2)「設計図書の点検」の範囲をこえるもの
・「設計図書の点検」の範囲をこえるものとしては、以下のものなどが想定され、このような場合は、発注者がその費用を負担します。
・なお、受注者は照査の範囲を超える事象と判断した場合、その対応について発注者と協議する必要があります。
①応力計算を伴う既存成果の照査
②関係機関協議結果と既存成果の照査
③設計計算と図面(配筋詳細など)の照査
(3)既存設計等の誤りに関する取扱い
・設計図書の点検において、既存業務の成果品に誤り等があることが発見された場合、受注者は速やかにその事実を発注者に報告しなければなりません。
・上記報告を受けた場合に発注者は、既存業務の受注者に対して成果品の欠陥及び
その原因について調査を指示し、事実関係の確認を行うものとします。その結果、誤りが先発受注者の責にある場合は、契約図書に基づく『瑕疵担保』請求を求めるものとし、速やかに修正させ、修正後の成果品を後発受注者へ提示することとします。
なお、誤りの原因が発注者の責による場合は、その費用は発注者が負担するものとします。また、その場合の修正を、先発・後発どちらの受注者に行わせるかは、修正の内容及び効率的な業務の推進等を考慮のうえ、適切に判断するものとし、責任の所在を明確にしないまま費用負担も行わずに、安易に後発業務の受注者に修正を行わせることは、厳に慎まなければなりません。
(4)指定・任意の正しい運用
・指定・任意については、土木設計業務等委託契約書第1条第4項に定められているとおり、適切に扱う必要があります。
・「指定」とは、設計図書のとおり作業を行うものです。
・「任意」とは、受注者の責任において自由に作業を行うものです。
・土木設計業務等委託契約書第1条第4項には、「受注者は、この契約書若しくは設計図書に特別の定めがある場合又は前項の指示若しくは発注者と受注者との協議がある場合を除き、業務を完了するために必要な一切の手段をその責任において定めるものとする。」と明記されています。
・発注者は、指定・任意にかかわらず、当初明示した条件が変更となった場合には、設計変更を行う必要があることから、履行条件明示をできるだけ明確に行い、設計変更に対応できるようにすることが必要です。
指定・任意の考え方
x x | 任 意 | |
設計図書 (履行方法等の条件) | 履行方法等について具体的に指定します(契約条件として位置づけます)。 変更をする場合は、発注者の指示または承諾が必要です。 | 履行方法等について具体的には指定しませんので受注者の任意で変更可能ですが、業務計画書の修正、提出等は必要です。 |
履行方法の変更がある場 合の設計変更 | 設計変更の対象とします | 設計変更の対象としません |
当初明示した条件の変更 に対応した設計変更 | 設計変更の対象とします | 設計変更の対象とします |
天災不可抗力に対する対応 | いずれの場合でも契約書の規定によって処理をしますが、 「手戻り額」は設計積算の根拠としたものを対象として算定します |
ただし、任意であっても、設計図書に 示された履行条件と実際の作業条件が 一致しない場合は変更できます。
発注者(調査職員)は任意の趣旨を踏まえ、適切な対応が必要。
※任意における下記のような対応は不適切であり、必要がある場合は、条件明示において指定すること。
・調査業務等において、条件明示に具体的な手法を指定していないのに、○○で積算しているので、「○○以外での調査は不可」との対応。(現地作業に係るもの)
・新たな手法(解析・分析方法や構造計算プログラム)等の活用について受注者から提案があった場合に、「積算上の手法で実施」するよう対応。(机上作業に係るもの)
任意については、受注者が自らの責任で行うもので、履行方法等の選択は、受注者に委ねられている。(変更の対象としない)
履行方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
9 その他
(1) 土木設計等業務委託契約書抜粋
第1条(総則)
1 発注者及び受注者は、この契約書(頭書を含む。以下同じ。)に基づき、設計図書
(別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この契約書及び設計図書を内容とする業務の委託契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
4 受注者は、この契約書若しくは設計図書に特別の定めがある場合又は前項の指示若しくは発注者と受注者との協議がある場合を除き、業務を完了するために必要な一切の手段をその責任において定めるものとする。
第2条(指示等及び協議の書面主義)
1 この契約書に定める指示、請求、通知、報告、申出、承諾、質問、回答及び解除(以下「指示等」という。)は、書面により行わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、緊急やむを得ない事情がある場合には、発注者及び受注者は、前項に規定する指示等を口頭で行うことができる。この場合において、発注者及び受注者は、既に行った指示等を書面に記載し、7日以内にこれを相手方に交付するものとする。
第9条(調査職員)
2 調査職員は、この契約書の他の条項に定めるもの及びこの契約書に基づく発注者の権限とされる事項のうち発注者が必要と認めて調査職員に委任したもののほか、設計図書に定めるところにより、次に掲げる権限を有する。
一 発注者の意図する成果物を完成させるための受注者又は受注者の管理技術者に対する業務に関する指示
二 この契約書及び設計図書の記載内容に関する受注者の確認の申出又は質問に対する承諾又は回答
三 この契約の履行に関する受注者又は受注者の管理技術者との協議
四 業務の進捗の確認、設計図書の記載内容と履行内容との照合その他この契約の履行状況の調査
第17条(設計図書と業務内容が一致しない場合の修補義務)
1 受注者は、業務の内容が設計図書又は発注者の指示若しくは発注者と受注者との協議の内容に適合しない場合において、調査職員がその修補を請求したときは、当該請求に従わなければならない。この場合において、当該不適合が発注者の指示によるときその他発注者の責めに帰すべき事由によるときは、発注者は、必要があると認められるときは、履行期間又は業務委託料を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
第18条(条件変更等)
1 受注者は、業務を行うに当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 履行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違すること。
五 設計図書に明示されていない履行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
【「(1)xx設計等業務委託契約書抜粋」の続き】
2 発注者は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対して執るべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後14日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ、受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果により第1項各号に掲げる事実が確認された場合において、発注者は、必要があると認められるときは、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、必要があると認められるときは、発注者は、履行期間若しくは業務委託料を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
第19条(設計図書等の変更)
1 発注者は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書又は業務に関する指示(以下この条及び第21条において「設計図書等」という。)の変更内容を受注者に通知して、設計図書等を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは履行期間若しくは業務委託料を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
第20条(業務の一時中止)
1 第三者の所有する土地への立入りについて当該土地の所有者等の承諾を得ること ができないため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって、受注者の責めに帰することができないものにより作業現場の状態が著しく変動したため、受注者が業務を行うことができないと認められるときは、発注者は、業務の中止内容を直ちに受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、業務の中止内容を受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により業務を一時中止した場合において、必要があると認められるときは履行期間若しくは業務委託料を変更し、又は受注者が業務の続行に備え業務の一時中止に伴う増加費用を必要としたとき若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
第21条(業務に係る受注者の提案)
1 受注者は、設計図書等について、技術的又は経済的に優れた代替方法その他改良事項を発見し、又は発案したときは、発注者に対して、当該発見又は発案に基づき設計図書等の変更を提案することができる。
2 発注者は、前項に規定する受注者の提案を受けた場合において、必要があると認めるときは、設計図書等の変更を受注者に通知するものとする。
3 発注者は、前項の規定により設計図書等が変更された場合において、必要があると認められるときは、履行期間又は業務委託料を変更しなければならない。
第22条(受注者の請求による履行期間の延長)
1 受注者は、その責めに帰することができない事由により履行期間内に業務を完了することができないときは、その理由を明示した書面により発注者に履行期間の延長変更を請求することができる。
【「(1)設計等業務委託契約書抜粋」の続き】
2 発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、履行期間を延長しなければならない。発注者は、その履行期間の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、業務委託料について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
第23条(発注者の請求による履行期間の短縮等)
1 発注者は、特別の理由により履行期間を短縮する必要があるときは、履行期間の短縮変更を受注者に請求することができる。
2 発注者は、この契約書の他の条項の規定により履行期間を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、延長する履行期間について、受注者に通常必要とされる履行期間に満たない履行期間への変更を請求することができる。
3 発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは、業務委託料を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
第24条(履行期間の変更方法)
1 履行期間の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が履行期間の変更事由が生じた日(第 22 条の場合にあっては発注者が履行期間の変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては、受注者が履行期間の変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
第25条(業務委託料の変更方法等)
1 業務委託料の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が業務委託料の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
3 この契約書の規定により、受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者と受注者とが協議して定める。
第26条(臨機の措置)
1 受注者は、災害防止等のため必要があると認めるときは、臨機の措置をとらなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、受注者は、あらかじめ発注者の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りでない。
2 前項の場合においては、受注者は、そのとった措置の内容を発注者に直ちに通知しなければならない。
3 発注者は、災害防止その他業務を行う上で特に必要があると認めるときは、受注者に対して臨機の措置をとることを請求することができる。
4 受注者が第1項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において、当該措置に要した費用のうち、受注者が業務委託料の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については、発注者がこれを負担する。
(2)共通仕様書抜粋【設計業務】
第1編共通編第1章総則
第1104条 設計図書の支給及び点検
※測量業務 第104条、地質・土質調査業務 第106条
1.受注者からの要求があった場合で、調査職員が必要と認めたときは、受注者に図面の原図若しくは電子データを貸与する。ただし、共通仕様書、各種基準、参考図書等市販されているものについては、受注者の負担において備えるものとする。
2.受注者は、設計図書の内容を十分点検し、疑義のある場合は、調査職員に書面により報告し、その指示を受けなければならない。
3.調査職員は、必要と認めるときは、受注者に対し、図面または詳細図面等を追加支給するものとする。
第1120条 条件変更等
※測量業務 第119条、地質・土質調査業務 第121条
1.契約書第18条第1項第5号に規定する「予期することのできない特別な状態」とは、契約書第29 条第1 項に規定する天災その他の不可抗力による場合のほか、発注者と受注者が協議し当該規定に適合すると判断した場合とする。
2.調査職員が、受注者に対して契約書第18条、第19条及び第21条の規定に基づく設計図書の変更または訂正の指示を行う場合は、指示書によるものとする。
第1121条 契約変更
※測量業務 第120条、地質・土質調査業務 第122条
1.発注者は、次の各号に掲げる場合において、設計業務等委託契約の変更を行うものとする。
(1)業務内容の変更により業務委託料に変更を生じる場合
(2)履行期間の変更を行う場合
(3)調査職員と受注者が協議し、設計業務等施行上必要があると認められる場合
(4)契約書第 30 条の規定に基づき委託料の変更に代える設計図書の変更を行った場合
2.発注者は、前項の場合において、変更する契約図書を次の各号に基づき作成するものとする。
(1)第1120条(測量業務 第119号、地質・土質調査 第121条)の規定に基づき調査職員が受注者に指示した事項
(2)設計業務等の一時中止に伴う増加費用及び履行期間の変更等決定済の事項
(3)その他発注者または調査職員と受注者との協議で決定された事項第1122条 履行期間の変更
※測量業務 第121条、地質・土質調査業務 第123条
1.発注者は、受注者に対して設計業務等の変更の指示を行う場合において履行期間変更協議の対象であるか否かを合わせて事前に通知しなければならない。
2.発注者は、履行期間変更協議の対象であると確認された事項及び設計業務等の一時中止を指示した事項であっても残履行期聞及び残業務量等から履行期間の変更が必要でないと判断した場合は、履行期間の変更を行わない旨の協議に代えることができるものとする。
3.受注者は、契約書第22条の規定に基づき、履行期間の延長が必要と判断した場合には、履行期間の延長理由、必要とする延長日数の算定根拠、変更工程表その他必要な資料を発注者に提出しなければならない。
4.契約書第23 条に基づき、発注者の請求により履行期限を短縮した場合には、受注者は、速やかに業務工程表を修正し提出しなければならない。
【「(2)共通仕様書抜粋【設計業務】」の続き】
第1123条 一時中止
※測量業務 第122条、地質・土質調査業務 第124条
1.契約書第20条第1項の規定により、次の各号に該当する場合において、発注者は、受注者に書面をもって通知し、必要と認める期間、設計業務等の全部または一部を一時中止させるものとする。
なお、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的または人為的な事象(以下「天災等」という。)による設計業務等の中断については、第1132条(測量業務 第131条、地質・土質調査 第133条)臨機の措置により、受注者は、適切に対応しなければならない。
(1) 第三者の土地への立入り許可が得られない場合
(2) 関連する他の業務等の進捗が遅れたため、設計業務等の続行を不適当と認めた場合
(3) 環境問題等の発生により設計業務等の続行が不適当または不可能となった場合
(4) 天災等により設計業務等の対象箇所の状態が変動した場合
(5) 第三者及びその財産、受注者、使用人等並びに調査職員の安全確保のため必要があると認めた場合
(6) 前各号に掲げるものの他、発注者が必要と認めた場合
2.発注者は、受注者が契約図書に違反し、または調査職員の指示に従わない場合等、調査職員が必要と認めた場合には、設計業務等の全部または一部の一時中止をさせることができるものとする。
3.前2項の場合において、受注者は屋外で行う設計業務等の現場の保全については、調査職員の指示に従わなければならない。
第1132条 臨機の措置
※測量業務 第131条、地質・土質調査 第133条
1.受注者は、災害防止等のため必要があると認めるときは、臨機の措置をとらなければならない。また、受注者は、措置をとった場合には、その内容をすみやかに調査職員に報告しなければならない。
2.調査職員は、天災等に伴い成果物の品質および履行期間の遵守に重大な影響があると認められるときは、受注者に対して臨機の措置をとることを請求することができるものとする。
(3)円滑な設計変更に向けて
契約図書等に係る疑義については、下記により解決しておくことが、スムーズな設計変更に繋がることになります。
入札前
・発注者は、設計図書について、適切な条件明示がなされているか、設計書と図面に矛盾がないか等を良く確認し、適正な設計図書の作成に努めなければならない。
・発注者は、入札参加者が契約書、設計図書及び現場条件等に疑義がある場合に提出する質問書に対して、受注者にとって入札条件の確認機会であることを十分に認識し、不明確な条件明示とならないように適正に回答しなければならない。
履行中
・発注者は、当初設計において適切な条件明示の徹底を図る必要があるが、履行中における適切な設計変更を行うためには、打合せ協議において、履行条件の共通理解を十分に図ることが重要である。