印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象と なります。課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、末尾の印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額 などによって異なってくるものもあります。そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を...
平成22年10月
印 紙 税 の 手 引
印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となります。 課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、末尾の印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもあります。 そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成しました。よくお読みになって、参考にしてください。 印紙税について、お分かりにならないことや、更に詳しくお知りになりたいことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)でお尋ねください。 なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、その文書をご持参ください。 国税庁ホームページでは、印紙税に関する法令解釈通達、質疑応答事例などを掲載しています。申告や届出に際し必要な様式をダウンロードすることもできます。 また、印紙税に関する質問については、タックスアンサー(よくある税の質問)もご利用ください。 【 国税庁ホームページ xxx.xxx.xx.xx 】 | ||
印紙税申告(書式表示、一括納付)もe-Taxで e-Taxを利用すれば、税務署に出かけなくても、オフィスからインターネットを利用して印紙税の申告(書式表示用及び一括納付用)や納税ができます。 詳しくは巻末及びe-Taxホームページをご覧ください。 【 e-Taxホームページ xxx.x-xxx.xxx.xx.xx 】 | ||
収入印紙は、郵便局、郵便切手類販売所又は印紙売りさばき所で購入しましょう。 |
※ この手引は、平成22年10月1日現在適用されている法令に基づいています。
国 税 庁
この社会あなたの税がいきている
〔 目 次 〕
第1 x x
Ⅰ 課税範囲
1 課税文書に関する基本的事項 1
2 文書の所属の決定 2
3 契約書 5
4 記載金額 7
Ⅱ 納税義務者、納付方法等
1 納税義務者等 11
2 印紙税の納付方法 12
Ⅲ 課税文書の作成とみなされる場合
1 手形の作成とみなされる場合 14
2 通帳等の作成とみなされる場合 14
3 追記等が課税文書の作成とみなされる場合 14
4 通帳等への付け込みであっても契約書等の作成とみなされる場合 14
5 国等と共同作成した課税文書について単独作成とみなされる場合 15
Ⅳ 過誤納金の還付等 15
Ⅴ 過 怠 税 15
第2 課税文書の取扱い
1 不動産等の譲渡、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡、消費貸借、運送に
関する契約書 (第1号文書) 16
2 請負に関する契約書 (第2号文書) 18
3 約束手形又は為替手形 (第3号文書) 19
4 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは
受益証券発行信託の受益証券(第4号文書) 20
5 合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書(第5号文書) 20
6 定款 (第6号文書) 20
7 継続的取引の基本となる契約書 (第7号文書) 21
8 預貯金証書 (第8号文書) 22
9 貨物引換証、倉庫証券又は船荷証券 (第9号文書) 22
10 保険証券 (第10号文書) 22
11 信用状 (第11号文書) 22
12 信託行為に関する契約書 (第12号文書) 22
13 債務の保証に関する契約書 (第13号文書) 22
14 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書 (第14号文書) 22
15 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書 (第15号文書) 23
16 配当金領収証又は配当金振込通知書 (第16号文書) 23
17 金銭又は有価証券の受取書 (第17号文書) 24
18 預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行若しくは無尽会社の作成する掛金通帳、
生命保険会社の作成する保険料通帳又は生命共済の掛金通帳(第18号文書) 26
19 第1号、第2号、第14号又は第17号文書により証されるべき事項を
付け込んで証明する目的をもって作成する通帳 (第19号文書) 26
20 判取帳 (第20号文書) 26
※ 印紙税法基本通達 別表第2 重要な事項の一覧表 27
第3 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に
係る税率の特例(第1号の1文書、第2号文書関係)
1 税率の特例制度の概要 28
2 軽減税率の適用となる契約書の具体的な範囲 28
3 軽減税率の適用とならない契約書等 30
※ 印紙税額一覧表 31~32
第 1 x x
Ⅰ 課 税 範 囲
1 課税文書に関する基本的事項
(1) 課税文書とは
印紙税が課税されるのは、印紙税法別表第1(以下「課税物件表」といいます。)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(以下「課税事項」といいます。)を証明する目的で作成されたもののうち、次に説明する「非課税文書」に該当しない文書をいいます。
(注) 課税物件表に掲げる文書の号別、種類などについては、末尾の「印紙税額一覧表」を参照してください。
(2) 非課税文書とは
非課税文書とは課税物件表に掲げられている文書のうち、次のいずれかに該当する文書をいいます。
① 課税物件表の非課税物件欄に規定する文書
② 国、地方公共団体又は印紙税法別表第2に掲げる者が作成した文書
③ 印紙税法別表第3の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成した文書
④ 特別の法律により非課税とされる文書
【印紙税の課否判定】
(3) 課税文書に該当するかどうかの判断
① 文書に記載されている個々の内容について判断します。
例えば、契約書のような文書は、その形式、内容とも作成者が自由に作成することができますから(契約自由の原則)、その内容には様々なものがあります。
印紙税の課否判定は、その文書の全体的な評価によって決めるのではなく、その文書の内容として記載されている個々の事項のすべてについて検討し、その個々の事項の中に一つでも課税物件表に掲げる課税事項となるものが含まれていれば、その文書は課税文書となります。
② 単に、文書の名称又は呼称およびその形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて判断します。
実質的な意義の判断は、その文書に記載又は表示されている文言、符合などを基礎として、その文言、符合などを用いることについての関係法律の規定、当事者間の了解、基本契約又は慣習などを加味し、総合的に行います。
例えば、売掛金の請求書に「了」、「済」などと表示してあり、その「了」、「済」の表示が売掛金を領収したということの当事者間の了解事項に基づくものであれば、その文書は売上代金の受取書(第17号の1文書)に該当します。
(4) 他の文書を引用している文書の判断
原則として、引用している部分はその文書に記載されているものとしてその文書の記載内容を判断することとなります。
ただし、記載金額及び契約期間については、その文書に記載されているもののみに基づいて判断することとなります(第1号文書、第2号文書又は第17号の1文書については、記載金額に係る特例があります(10ページ:(12)記載金額の特例を参照))。
(5) 仮契約書や仮領収書等
仮契約書や仮領収書であっても、課税事項を証明するものは課税文書になります。
この取扱いは、後日、正式な契約書や領収書が作成されるか否かにかかわりません。
2 文書の所属の決定
印紙税は、課税物件表の第1号~第20号文書に対して課税されます。
したがって、第何号文書に該当するかの判定(所属の決定)は、非常に重要です。
具体的には、「印紙税法別表第1課税物件表の適用に関する通則」及び「印紙税法基本通達」に規定されていますが、基本的な内容として以下のとおり例示します。
(1) 単一の事項のみが記載されている文書
その記載されている事項が、第何号文書に該当するか判断します。
例えば、一の文書に土地の売買契約とか金銭の受取事実など単一の事項のみが記載されているものについては、次のとおりその文書の所属する号が決まります。
(例1)土地の売買契約書 ⇒ 第1号の1文書
(例2)売上代金の受取書 ⇒ 第17号の1文書
(2) 2以上の事項が併記又は混合記載されている文書
それぞれの記載事項について所属を判定した上で、以下に例示する一定のルールに従って最終的な所属を決定します。
① 第1号又は第2号文書と第3号から第17号までの文書とに該当する文書(ただし、②又は③に該当する文書は除かれます。) ⇒ 第1号(又は第2号)文書
(例1)不動産及び売掛債権の譲渡契約書(第1号の1文書と第15号文書)⇒第1号の1文書
(例2)請負工事の内容とその代金の受領事実を記載した契約書(第2号文書と第17号の1文書)
⇒ 第2号文書
② 第1号又は第2号文書で契約金額の記載のないものと第7号文書とに該当する文書
⇒ 第7号文書
(例) 継続する物品運送についての基本的な事項を定めた契約書で契約金額の記載のないもの
(第1号の4文書と第7号文書) ⇒ 第7号文書
③ 第1号又は第2号文書と第17号の1文書とに該当する文書のうち、売上代金に係る受取金額(100万円を超えるものに限ります。)の記載があるものでその金額が第1号若しくは第2号文書についての契約金額(その契約金額が2以上ある場合には、その合計額)を超えるもの又は第1号若しくは第2号文書についての契約金額の記載のないもの
⇒ 第17号の1文書
(例) 売掛金800万円のうち600万円を領収し、残額200万円を消費貸借の目的とする旨が記載されている消費貸借及び金銭の受取書(第1号の3文書と第17号の1文書)
⇒ 第17号の1文書
④ 第1号文書と第2号文書とに該当する文書(ただし、⑤に該当する文書は除かれます。)
⇒ 第1号文書
(例) 機械製作及びその機械の運送契約書(第2号文書と第1号の4文書)⇒ 第1号の4文書
⑤ 第1号文書と第2号文書とに該当する文書で、その文書にそれぞれの契約金額が区分記載されており、第2号文書についての契約金額が第1号文書についての契約金額を超えるもの⇒ 第2号文書
(例) 機械製作費200万円及びその機械の運送料10万円とが区分記載されている請負及び運送契約書 ⇒ 第2号文書
⑥ 第3号から第17号までの2以上の号に該当する文書(ただし、⑦に該当する文書は除かれます。)⇒最も号数の少ない号の文書
(例) 継続する債権譲渡についての基本的な事項を定めた契約書(第7号文書と第15号文書)
⇒ 第7号文書
⑦ 第3号から第16号までの文書と第17号の1文書とに該当する文書のうち、売上代金に係る受取金額(100万円を超えるものに限ります。)の記載があるもの
⇒ 第17号の1文書
(例) 債権の譲渡契約書にその代金200万円の受取事実を記載したもの(第15号文書と第17号の1文書) ⇒ 第17号の1文書
⑧ 第1号から第17号までの文書と第18号から第20号までの文書(通帳等)とに該当する文書(ただし、⑨、⑩又は⑪に該当する文書は除かれます。)
⇒ 通帳等(第18号~第20号文書)
(例) 生命保険証券兼保険料受取通帳(第10号文書と第18号文書) ⇒ 第18号文書
⑨ 第1号文書で契約金額が10万円を超えるものと第19号又は第20号文書とに該当する文書(第19号又は第20号の通帳等に、契約金額10万円を超える第1号の課税事項の付け込みをしたもの(14ページ:Ⅲの4参照)も含まれます。) ⇒ 第1号文書
(例) 契約金額が500万円の不動産売買契約書とその代金の受取通帳(第1号の1文書と第19号文書) ⇒ 第1号の1文書
⑩ 第2号文書で契約金額が100万円を超えるものと第19号又は第20号文書とに該当する文書(第19号又は第20号の通帳等に、契約金額100万円を超える第2号の課税事項の付け込みをしたもの(14ページ:Ⅲの4参照)も含まれます。)⇒ 第2号文書
(例) 契約金額が150万円の請負契約書とその代金の受取通帳(第2号文書と第19号文書)
⇒ 第2号文書
⑪ 第17号の1文書で売上代金の受取金額が100万円を超えるものと第19号又は第
20号文書とに該当する文書(第19号又は第20号の通帳等に、100万円を超える売上代金の受領事実の付け込みをしたもの(14ページ:Ⅲの4参照)も含まれます。)
⇒ 第17号の1文書
(例) 下請前払金200万円の受領事実を記載した請負通帳(第17号の1文書と第19号文書)
⇒ 第17号の1文書
⑫ 第18号文書と第19号文書とに該当する文書 ⇒ 第19号文書
(例) 預貯金通帳と金銭の受取通帳が1冊となった通帳(第18号文書と第19号文書)
⇒ 第19号文書
3 契 約 書
不動産の譲渡に関する契約書などの「契約書」には、印紙税が課税されます。
このような印紙税の課税の対象となる「契約書」はどのようなものか、以下で説明します。
(注)課税物件表に掲げられている「契約書」のみが課税の対象となります。したがって、例えば委任契約書などは、課税物件表に掲げられていませんので印紙税は課税されません。
(1) 契約書とは
文書の名称のいかんにかかわらず、契約当事者間において契約(その予約を含みます。)の成立(成立、更改、変更又は補充の事実)を証明する目的で作成される文書をいいます。
契約書…契約証書、協定書、約定書、覚書その他名称のいかんを問わず、契約の当事者の間において、契約(その予約を含みます。)の成立、更改、内容の変更や補充の事実(以下、これらを「契約の成立等」といいます。)を証明する目的で作成される文書をいいます。
したがって、解約合意書など、契約の消滅の事実のみを証明する目的で作成される文書は課税されません。
また、念書、請書など契約の当事者の一方のみが作成する文書や契約の当事者の全部あるいは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解や商慣習に基づき契約の成立等を証明する目的で作成されるものも契約書に含まれます。
契約書についての主な用語の意義については、次のとおりです。
① 「契約」とは、二以上の当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為をいい、一般的に一方の当事者の申込みに対し他方の当事者が承諾することにより成立します。
② 「契約の予約」とは、本契約を将来成立させることを約する契約をいいます。
なお、予約契約書は、その成立させようとする本契約の内容に従って課税文書に該当するかどうかを判断します。
③ 「契約の更改」とは、契約によって、既にある債務を消滅させて新たな債務を成立させることをいいます。
(例) 請負代金支払債務を消滅させて、新たに土地を給付する債務を成立させる契約書
⇒ 第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書)
なお、更改契約書は、新たに成立する債務の内容に従って課税文書に該当するかどうかを判断します。
④ 「契約の内容の変更」とは、既にある契約(原契約)の同一性を失わせないで、その内容を変更することをいいます。
また、「契約の内容の補充」とは、原契約の内容として欠けている事項を補充することをいいます。
なお、変更契約書又は補充契約書は、印紙税法基本通達別表第2に掲げる一定の重要事項を変更又は補充するものだけが課税されます(27ページ:重要な事項の一覧表参照)。
(例1) 報酬月額と契約期間の記載がある清掃請負契約書(第2号文書と第7号文書に該当し、所属は第2号文書となる。)の報酬月額を変更する契約期間の記載がない契約書
⇒ 第7号文書
(例2) 報酬月額と契約期間の記載がある清掃請負契約書(第2号文書と第7号文書に該当し、所属は第2号文書となる。)の報酬月額を変更する契約期間の記載がある契約書
⇒ 第2号文書
(注) 原契約書が2以上の号に該当する場合において、当該2以上の号の重要な事項を変更(補充)する変更(補充)契約書は、それぞれの号に該当することになり、前記2(2)により所属を決定します。
(2) 契約書の写し、副本、謄本等
写し、副本又は謄本等であっても、契約の成立等を証明するものは課税文書に該当します。
一つの契約について同一の契約書が数通作成される場合であっても、それぞれの文書が課税文書となります。
実際の取引においては、契約書に写し、副本、謄本などと表示される場合がありますが、このような場合でも、①契約当事者の署名があるもの、押印があるもの、②xxや原本などと相違ないことの契約当事者の証明があるもの、③写し、副本、謄本であることの契約当事者の証明のあるものは、契約の成立等を証明するために作成されたものと認められますから、契約書に該当します(いずれも文書の所持者のみが署名、押印、又は証明しているものを除きます。)。
なお、契約書を複写機でコピーしたもので、上記のような署名、押印又は証明のないものは、契約書になりません。
(3) 契約当事者以外の者に提出する文書
契約当事者以外の者に提出することが明らかなものは、課税文書に該当しません。
契約当事者以外の者(例えば、監督官庁、融資銀行など当該契約に直接関与しない者をいい、消費貸借契約における保証人、不動産売買契約における仲介人など、その契約に参加する者は含まれません。)に提出又は交付する文書であって、その文書に提出先若しくは交付先が記載されているもの又は文書の記載文言からみて契約当事者以外の者に提出若しくは交付することが明らかなものについては、課税文書に該当しないものとして取り扱われます。
(4) 申込書等と表示された文書
① 申込書等と称する文書は、一般的には課税文書には該当しません。
申込書、注文書、依頼書など(以下「申込書等」といいます。)は、一般的には契約の申込み事実を証明する目的で作成されるものですから、契約書とはなりません。
② 申込書と称する文書であっても、契約の成立を証する文書は課税文書となります。
具体的には、おおむね次の基準に該当するものは契約書となります。
(イ)契約当事者間の基本契約書、規約、約款などに基づく申込みであることが記載されているもので、その申込みにより自動的に契約が成立することとなっている場合の申込書等
(ロ)相手方契約当事者の見積書などに基づく申込みであることが記載されている申込書等
※(イ)及び(ロ)に該当する文書でも、別に契約書を作成することが文書上明らかにされている場合には、契約書にはなりません。
(ハ)契約当事者双方の署名又は押印があるもの
4 記 載 金 額
印紙税は、例えば、受取金額が3万円未満の受取書(領収書)は非課税とするなど、一定金額未満の零細な取引に係るものを非課税としています。
また、請負契約書など文書の種類によっては、契約金額(記載金額)に応じて印紙税額が異なる場合があります。
したがって、その文書に記載された契約金額(記載金額)をどのように算定するかは非常に重要なことです。ここでは、この記載金額について説明します。
(1) 記載金額とは
その文書により証明する事項に係る金額として、その文書に記載された金額をいいます。
記載金額………契約金額、受取金額など、その文書により証されるべき事項に係る金額(以下「契約金額等」といいます。)としてその文書に記載されている金額をいいます。
(注) 第1号、第2号及び第17号の1文書については、その文書に金額そのものが記載されていないものでも、他の文書を引用しているなど記載金額のある文書となる場合があります。
(10ページ:(12)の①及び②ハ参照)
(2) 一の文書に同一の号の記載金額が2以上ある場合
一の文書に同一の号の課税事項の記載金額が2以上ある場合には、これらの金額の合計額がその文書の記載金額となります。
(例) 1通の請負契約書に A 工事200万円、B 工事300万円と記載しているもの
⇒ 記載金額500万円の第2号文書
(3) 一の文書に2以上の号の課税事項が記載されている場合
一の文書に2以上の号の課税事項が記載されている場合の記載金額の計算は、それぞれ次によります。
(例) 不動産と売掛債権の譲渡契約書に不動産700万円、売掛債権200万円と記載したもの
(第1号の1と第15号の課税事項)⇒ 記載金額700万円の第1号の1文書
① 2以上の号の記載金額がそれぞれ区分して記載されている場合は、その所属することとなる号の記載金額がその文書の記載金額となります。
② 2以上の号の記載金額がそれぞれ区分して記載されていない場合は、その記載されている合計金額がその文書の記載金額となります。
(例) 不動産と売掛債権の売買契約書に不動産と売掛債権合計900万円と記載したもの
⇒ 記載金額900万円の第1号の1文書
(4) 予定金額などが記載されている場合
(例)
1 記載された契約金額等が予定金額又は概算金額である場合 ⇒ その予定金額又は概算金額
(例) 予定金額250万円と記載したもの概算金額250万円
約 250万円
〃
〃
⇒
⇒
⇒
記載金額250万円
〃
〃
250万円
250万円
2 記載された契約金額等が最低金額又は最高金額のいずれか一方である場合
⇒ その最低金額又は最高金額
3 記載された契約金額等が最低金額と最高金額の両方である場合 ⇒ 最低金額
(例) 50万円から100万円までと記載したもの ⇒ 記載金額50万円
50万円を超え100万円以下と 〃 ⇒ 記載金額50万1円
予定金額などが記載されている場合は、その記載された予定金額、概算金額、最高金額又は最低金額が、その文書の記載金額となります。
(例) 最低金額250万円と記載したもの | ⇒ | 記載金額250万円 |
250万円以上 〃 | ⇒ | 〃 250万円 |
250万円以下 〃 | ⇒ | 〃 250万円 |
250万円超 〃 | ⇒ | 〃 250万1円 |
250万円未満 〃 | ⇒ | 〃 249万9,999円 |
最高金額250万円 〃 | ⇒ | 〃 250万円 |
(5) 契約金額の一部が記載されている場合
(例) 請負契約書に、「A 工事100万円。ただし、附帯工事については実費による。」と記載したもの ⇒ 記載金額100万円の第2号文書
契約金額の一部が記載されている場合は、その記載された一部の契約金額が、その文書の記載金額となります。
(6) 外国通貨により表示されている場合
(例) 契約金額は、10,000米ドルと記載したもの ⇒ 記載金額85万円
※ 平成22年10月に作成した文書の場合、平成22年10月中において適用される基準外国為替相場(1米ドル=85円)により本邦通貨に換算します。
記載金額が外国通貨により表示されている場合は、文書作成時の基準外国為替相場又は裁定外国為替相場により本邦通貨に換算した金額が、その文書の記載金額となります。
(注) 基準外国為替相場及び裁定外国為替相場は、日本銀行のホームページ(xxx.xxx.xx.xx)で確認することができます。
(7) 単価、数量などにより計算できる場合
(例) 物品加工契約書にA商品・単価500円、数量10,000個と記載したもの
⇒ 記載金額500万円(500円×10,000個)の第2号文書
その文書に記載された単価及び数量、記号その他により記載金額を計算することができる場合は、その計算により算出した金額が、その文書の記載金額となります。
(8) 変更契約書の記載金額
契約金額を変更する変更契約書の記載金額は、それぞれ次によります。
① 変更前の契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更金額が明らかである場合
その変更契約書について、変更前の契約金額の記載されている契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、その変更契約書に変更金額(変更前の契約金額と変更後の変更金額の差額、すなわち契約金額の増減額)が記載されている場合(変更前の契約金額と変更後の契約金額の双方が記載されていることにより変更金額を明らかにできる場合を含みます。)
イ 変更前の契約金額を増加させるものは、その増加額が記載金額となります。
(例) 土地売買契約変更契約書に、
1 平成○年○月○日付土地売買契約書の売買金額1,000万円を100万円増額すると記載したもの
2 平成○年○月○日付土地売買契約書の売買金額1,000万円を1,100万円に増額すると記載したもの
⇒ 上記の1、2のいずれも記載金額100万円の第1号の1文書
(注)自動更新の定めのある契約書(例えば、第2号文書に該当する保守契約書や清掃請負契約
書など)について、自動更新された後の期間の単価(月額単価など)を変更する契約書を作成する場合がありますが、この場合、自動更新後においては変更前の契約金額の記載されている契約書がないことになりますから、この取扱いの適用はなく、下記②の取扱いになります。
(例) 当初の契約期間が平成22年4月1日から平成23年3月31日であり、月額保守料金が100万円であるエレベータ保守契約書(第2号文書に該当するもの)で、双方異議がない場合には更に1年延長することとされているものについて、自動更新後の平成
23年4月1日から平成24年3月31日の間の月額保守料を120万円とする契約書の場合
⇒ 記載金額1,440万円(120万円×12月)の第2号文書
ロ 変更前の契約金額を減少させるものは、記載金額のないものとなります。
(例) 土地売買契約変更契約書に、平成○年○月○日付土地売買契約書の売買金額を100万円減額すると記載したもの又は売買金額1,000万円を900万円に変更すると記載したもの
⇒ 記載金額のない第1号の1文書
② 上記①以外の変更契約書
イ 変更後の契約金額の記載があるもの
(例) 土地売買契約変更契約書に、
1 当初の売買金額1,000万円を100万円増額(又は減額)すると記載したもの
2 当初の売買金額を1,100万円(又は900万円)に変更すると記載したもの
⇒ 上記の1、2のいずれも記載金額1,100万円(又は900万円)の第1号の1文書
変更後の契約金額が記載されているもの(変更前の契約金額と変更金額の双方が記載されていることにより変更後の契約金額が計算できるものも含まれます。)は、その変更後の契約金額が、その文書の記載金額となります。
ロ 変更金額のみが記載されている場合
(例) 土地売買契約変更契約書に、当初の売買金額を100万円増額(又は減額)すると記載したもの ⇒ 記載金額100万円の第1号の1文書(減額も同じ)
変更金額だけが記載されているものは、その変更金額が、その文書の記載金額となります。
(9) 交換契約書の記載金額
交換を内容とする契約書の記載金額は、それぞれ次によります。
① 交換対象物の双方の価額が記載されている場合
交換される不動産などの対象物双方の価額が記載されている場合は、いずれか高い方
(等価交換のときはいずれか一方)の金額が、その文書の記載金額となります。
(例) 甲の所有する土地(価額1,000万円)と乙の所有する土地(価額1,100万円)とを交換し、甲は乙に100万円を支払うと記載したもの ⇒ 記載金額1,100万円の第1号の1文書
② 交換差金のみが記載されている場合
交換差金のみが記載されている場合は、その交換差金がその文書の記載金額となります。
(例) 甲の所有する土地と乙の所有する土地とを交換し、甲は乙に100万円を支払うと記載したもの ⇒ 記載金額100万円の第1号の1文書
(注) 交換される不動産の価額が記載されていない場合には、記載金額のない契約書(第1号
の1文書)となります。
(10) 消費税及び地方消費税の金額が区分記載されている場合の契約書、領収書
⇒ 上記の1~4のいずれも記載金額1,000万円の第2号文書
消費税及び地方消費税の金額(以下「消費税額等」といいます。)が区分記載されている場合又は税込価格及び税抜価格が記載されていることによりその取引にあたって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、「建物売買契約書」などの第1号文書、「工事請負契約書」などの第2号文書、「領収書」などの第17号文書について、その消費税額等の金額は記載金額に含めないこととされています。
(例) | 請負契約書において、 | |
1 | 請負金額1,050万円 | 税抜価格1,000万円 消費税額等50万円 と記載したもの |
2 | 請負金額1,050万円 | うち消費税額等50万円 と記載したもの |
3 | 請負金額1,000万円 | 消費税額等50万円 計1,050万円 と記載したもの |
4 | 請負金額1,050万円 | 税抜価格1,000万円 と記載したもの |
(注) なお、この取扱いは、手形(第3号文書)、債権譲渡又は債務引受けに関する契約書(第
15号文書)には適用されません。
(11) 消費税額等の金額のみが記載された金銭又は有価証券の受取書
消費税額等のみを受領した際に交付する金銭又は有価証券の受取書については、記載金額のない第17号の2文書として取り扱われます。したがって、その受領した消費税額等の金額にかかわらず、印紙税額は一律200円です。
ただし、受領した消費税額等が3万円未満の場合は、非課税文書に該当します。
(12) 記載金額の特例
(例) 工事注文請書に「請負金額は貴注文書第××号のとおり」と記載されていて、注文書に記載された請負金額が500万円となっているもの ⇒ 記載金額500万円の第2号文書
① 第1号文書(不動産譲渡契約書、運送契約書等)又は第2号文書(請負契約書等)で、その文書に、具体的な契約金額の記載がないものであっても、その文書に契約金額又は単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(課税文書に該当するものは除きます。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において契約金額を明らかにすることができるときは、その金額がその文書の記載金額となります。
② 第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)については、その税率の適用に関して、次のような特則があります。
イ 金銭又は有価証券の受取書の記載金額を、売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができるときは、売上代金に係る金額のみが記載金額となります。
(例) 物品の販売代金500万円、貸付金の返済金(元本)300万円と記載したもの
⇒ 記載金額500万円の第17号の1文書
(注) 非課税文書である「記載された受取金額が3万円未満の受取書」であるかどうかの判断
は、売上代金に係る金額とその他の金額との合計額により行います。
ロ 金銭又は有価証券の受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができないときは、その金額がその受取書の記載金額となります。
(例) 物品の販売代金と貸付金の返済金(元本)、合計800万円と記載したもの
⇒ 記載金額800万円の第17号の1文書
ハ 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書に、受取金額の記載のある文書(有価証券、請求書、支払通知書など)を特定できる事項(例えば、約束手形の発行者の名称、発行 の日、記号、番号、その他の事項の一以上の事項)の記載があり、当事者間においてそ の売上代金に係る金額を後日においても明らかにすることができる場合には、その明ら かにすることができる金額がその受取書の記載金額となります。
(例) 平成○年○月○日の販売代金として平成○年○月○日付請求書の金額を受領した旨の記載があるもの(請求書の金額300万円) ⇒ 記載金額300万円の第17号の1文書
(13) 「無償」又は「0円」と記載された契約書等の取扱い
契約書等に「無償」又は「0円」と記載されている場合は、その契約書等には、契約金額の記載がないものとされます。
Ⅱ x x x x 者 、 納 付 方 法 等
1 納税義務者等
(1) 納税義務の成立及び納税義務者
印紙税の納税義務は、課税文書を作成した時に成立し、課税文書の作成者が、その作成した課税文書について印紙税を納める義務があります。
(2) 課税文書の作成とは
課税文書の作成とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙などに課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。
したがって、課税文書の「作成の時」は、その行使の態様によりそれぞれ次のとおりになります。
行 使 の 態 様 | 作成の時 | 例 示 | |
1 | 相手方に交付する目的で作成される課税文書 | 交付の時 | 手形、株券、出資証券、社債券、預貯金証書、貨物引換証、倉庫証券、船荷証券、保険証券、配当金領収証、受取 書、請書、差入書 |
2 | 契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税 文書 | 証明の時 | 各種契約書、協定書、約定書、合意書、覚書 |
3 | 一定事項の付け込みを証明す ることを目的として作成される課税文書 | 最 初 の 付 け 込みの時 | 預貯金通帳、その他通帳、判取帳 |
4 | 認証を受けることにより効力 が生ずる課税文書 | 認証の時 | 定款 |
5 | 本店に備え置くことが義務付 けられている課税文書 | 本 店 に 備 え 置く時 | 新設分割計画書 |
(3) 課税文書の作成者とは
課税文書の作成者は、原則として、その文書に記載された作成名義人ですが、法人などの役員又は従業員がその法人などの業務又は財産に関して作成したものについては、役員又は従業員が作成名義人となっていても、その法人などが作成者となります。
なお、委任に基づく代理人が、委任事務の処理に当たって作成する課税文書については、次のとおりとなります。
① 代理人名義で作成する文書は、その文書に委任者の名称が表示されていても、代理人が作成者となります。
② 委任者の名義のみが表示されている文書は、その委任者が作成者となります。
(4) 共同作成者の連帯納税義務
一の課税文書を2以上の者が共同して作成した場合には、その2以上の者は、その作成した課税文書について、連帯して印紙税を納める義務があります。この場合、そのうちの1人がその課税文書に係る印紙税を納めたときは、他の者の納税義務は消滅します。
なお、この共同作成者の連帯納税義務については、過怠税の納税義務(15ページ:Ⅴ過怠税参照)についても同様です。
2 印紙税の納付方法
(1) 収入印紙による納付(原則)
印紙税を納付する場合には、原則として、課税文書に収入印紙(以下、単に「印紙」といいます。)をはり付ける方法により行います。この場合には、自己又はその代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名で、その課税文書と印紙のxxとにかけて、判明に印紙を消す必要があります。
(2) 税印押なつによる納付(特例)
課税文書の作成者は、税印押なつ機を設置している税務署(全国で118署)の税務署長に対し、課税文書に相当の印紙をはり付けることに代えて、金銭であらかじめ納付の上、税印を押すことの請求をすることができます。
(3) 印紙税納付計器の使用による納付(特例)
課税文書の作成者は、印紙税納付計器(国税庁長官の指定を受けている計器で納付印が付
いているものをいいます。)をその設置しようとする場所の所在地の所轄税務署長の承認を受けて設置した場合には、相当の印紙をはり付けることに代えて、あらかじめ納付した金額を限度として、印紙税納付計器によりその課税文書に課される印紙税額に相当する金額を表示した納付印を押すことができます。
(4) 書式表示による納付(特例)
課税文書を作成しようとする場合において、その課税文書が毎月継続して作成されるなど、一定の条件に当てはまるものであるときは、課税文書を作成しようとする場所の所在地の所 轄税務署長の承認を受け、相当の印紙をはり付けることに代えて、金銭でその課税文書に係 る印紙税を納付することができます。
書式表示の承認を受けて課税文書を作成した場合には、課税文書の作成の時までにその課税文書に一定の表示をすることが必要であり、また、毎月その月中(特定の日に多量に作成されることとされている課税文書については、その特定の日)に作成した課税文書に係る課税標準数量及び納付すべき税額などを記載した印紙税納税申告書を、その翌月末日までに承認を受けた税務署長に提出するとともに、その期限までに納税申告書に記載した納付すべき印紙税を納付しなければなりません。
【書式表示等の書式】
印紙税申告納付につき
税務署承認済
縦15 ミリメートル以上横17 ミリメートル以上
印紙税申告納付につき
税務署承認済
縦17 ミリメートル以上横15 ミリメートル以上
(5) 預貯金通帳等に係る一括納付(特例)
特定の預貯金通帳等については、その預貯金通帳等を作成しようとする場所の所在地の所轄税務署長の承認を受け、金銭でその預貯金通帳等に係る印紙税を一括して納付することができます。
この一括納付の特例の承認を受けるためには、承認を受けるための申請書をその年の2月
16日から3月15日までの期間内に税務署長に提出する必要があります。これにより承認を受けた者は、毎年4月1日現在における預貯金通帳等に係る口座の数を基礎として計算した課税標準数量及び納付すべき税額などを記載した印紙税納税申告書を、4月末までに、承認を受けた税務署長に提出するとともに、その期限までに納税申告書に記載した納付すべき印紙税を納付しなければなりません(表示の方法は、書式表示の場合と同じです。)。
印紙税申告(書式表示用、一括納付用)は、e-Tax
(国税電子申告・納税システム)がご利用いただけます。
詳しくは、e-Tax ホームページをご覧ください。
Ⅲ 課税文書の作成とみなされる場合
印紙税の納税義務の成立の時は、課税文書の作成の時とされています。この課税文書の作成とは、課税文書となるべき用紙に、課税文書によって証されるべき事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいますが、次の場合には、課税文書の作成があったものとみなされます。
1 手形の作成とみなされる場合
約束手形や為替手形を、手形金額を記載しないままで振り出したり、引き受けたりした後に、手形金額が補充される場合には、その補充をした者が、その補充をした時に、手形を作成した ものとみなされます。
2 通帳等の作成とみなされる場合
通帳や判取帳(以下「通帳等」といいます。)を1年以上継続して使用する場合には、その通帳等を作成した日から1年を経過した日以後最初の付け込みをした時に、新たにそれらの通帳等が作成されたものとみなされます。
したがって、通帳で例えると、数年間使用することとしている駐車場の使用料の受取通帳に 毎月の使用料の受領事実を付け込む場合は、最初の付け込みの時に400円の印紙をはり付け、以後1年経過するごとに新たに400円ずつ印紙をはり付ける必要があることになります。
3 追記等が課税文書の作成とみなされる場合
ある一の文書に、その後更に課税事項を追加して記載した場合又は通帳等として使用するための付け込みをした場合には、その追記又は付け込みをした者が、その追記又は付け込みをした時に、その追記又は付け込みをした事項を記載した課税文書を新たに作成したものとみなされます。
4 通帳等への付け込みであっても契約書等の作成とみなされる場合
通帳等に、不動産などの譲渡に関する契約書、地上権若しくは土地の賃借権の設定若しくは譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書、請負に関する契約書、又は売上代金の受取書によって証されるべき事項の付け込みがなされた場合で、その事項に係る記載金額が次のような金額となるときは、その事項については、通帳等への付け込みではなく、その事項の属する第1号、第2号又は第17号の1文書の新たな作成があったものとみなされます。
(1) 不動産などの譲渡に関する契約書、地上権若しくは土地の賃借権の設定若しくは譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、又は運送に関する契約書により証されるべき事項について10万円を超える金額
(2) 請負に関する契約書により証されるべき事項について100万円を超える金額
(3) 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書により証されるべき事項について100万円を超える金額
5 国等と共同作成した課税文書について単独作成とみなされる場合
国、地方公共団体又は印紙税法別表第2に掲げる者(以下「国等」といいます。)が作成した文書は、非課税文書に該当します。
また、国等と国等以外の者とが共同して作成した文書については、次のようになります。
(1) 国等又は公証人が保存するものは、国等以外の者が作成したものとみなされ、課税対象になります。
(2) 国等以外の者(公証人を除きます。)が保存するものは、国等が作成したものとみなされ、非課税となります。
Ⅳ 過誤納金の還付等
印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙をはったときや課税文書に所定の印紙税額を超える収入印紙をはったり、税印押なつ又は印紙税納付計器の使用により納付した印紙税の還付や充当を受けようとする場合は、文書の種類、納付税額、過誤納税額などの所要事項を記載した
「印紙税過誤納確認(充当)申請書」(3部複写)と過誤納となっている文書を、過誤納となっている文書を作成した日から5年以内にその印紙税の納税地の所轄税務署長に提出し、印紙税の過誤納の事実の確認手続きを経て、還付(充当)を受けることになります。
なお、収入印紙は、登録免許税の納税や国に対する各種の手数料等にも用いられますが、例えば、登録免許税を納付する際、所定の税額を超える収入印紙をはってしまったような場合などには、登録免許税法の規定により還付等を受けることになります。
【参考】収入印紙の交換制度(郵便局)
金額の異なる収入印紙を誤って購入してしまったような場合には、『印紙をもつてする歳入金納付に関する法律』及び『収入印紙及び自動車重量税印紙の売りさばきに関する省令』に基づき、郵便局において他の収入印紙に交換する制度が設けられています。郵便局の窓口において、交換する収入印紙と交換手数料(交換しようとする収入印紙
1枚当たり5円の手数料)を提出して他の収入印紙と交換する手続が必要です。
※ 収入印紙を現金に交換することはできません。
※ 文書等にはり付けた収入印紙の交換を郵便局に請求するため、その収入印紙のはり付けが印紙税の納付のためにされたものではないことの確認を受けようとする場合には、「印紙税法第14条不適用確認請求書」と確認を受けようとする文書を、最寄りの所轄税務署長に提出し、確認を受けることになります。
なお、白紙、封筒等にはり付けたもので、客観的に見て課税文書でないことが明らかな場合には、この税務署長の確認を受けることなく、郵便局で交換することができます。詳しくは、最寄りの郵便局にお尋ねください。
Ⅴ 過 怠 税
印紙による納付の方法によって印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち不納付税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されることとなります。また、はり付けた印紙を所定の方法によって消さなかった場合には、消されていない印紙の額面金額と同額の過怠税を徴収されることとなっています。
ただし、課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出書(印紙税不納付事実申出書)を提出した場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について、前記の過怠税についての決定があるべきことを予知してなされたものでないときは、その過怠税は、その納付しなかった印紙税の額とその
10%に相当する金額との合計額(すなわち不納付税額の1.1倍)に軽減されます。
なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されませんのでご注意ください。
第 2 課 税 文 書 の 取 扱 い
1 不動産等の譲渡、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡、消費貸借、運送に関する契約書 (第1号文書)
(1) 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
不動産………土地及びその定着物をいい、このほか、法律の規定により不動産とみなされるもの並びに鉄道財団、軌道財団及び自動車交通事業財団が含まれます。
無体財産権…特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。
船舶 船舶法第5条に規定する船舶原簿に登録を要する総トン数20トン以上の船
舶及びこれに類する外国籍の船舶をいいます。
営業 営業活動を構成している動産、不動産、債権、債務などを包括した一体的な
権利、財産としてとらえられるものをいいます。
〔実例〕
①売買契約書、売渡証書
不動産の売買に当たって、当事者間で売買契約書を作成し、後日、所有権移転登記の際に更に売渡証書を作成する場合がありますが、いずれも不動産の譲渡に関する契約書に該当します。
②不動産交換契約書
不動産と不動産又は動産との交換契約書は、不動産の譲渡に関する契約書に該当します。
③共有不動産の持分の譲渡契約書
共有の不動産についてその持分を他の共有者又は第三者に譲渡することの契約書は、不動産の譲渡に関する契約書に該当します。
(注) 不動産の譲渡に関する契約書のうち、一定の要件を満たすものについては、印紙税の軽減税率が適用されます(28 ページ:2の(1)参照)。
(2) 地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
地上権………他人の土地(地下又は空間を含みます。)に工作物又は竹木を所有するなどのために、その土地を使用することを内容とする物権をいいます。
土地の賃借権…土地の賃貸借契約により設定される権利で、貸借人が賃貸人の土地(地下又は空間を含みます。)を使用収益することを内容とするものをいいます。
〔実例〕
土地賃貸借契約書
土地の賃貸借契約書は、土地の賃借権の設定に関する契約書に該当します。この場合の契約金額は、権利金、更新料その他名称のいかんを問わず、契約に際して相手方当事者に交付し、後日、返還されることが予定されていない金額のすべてをいいます。
したがって、返還されることが予定されている保証金、敷金などや賃貸料は、契約金額には該当しません。
(3) 消費貸借に関する契約書
消費貸借……当事者の一方(借主)が、相手方(貸主)から金銭その他の代替性のある物を受け取り、これと同種、同等、同量の物を返還する契約をいいます。
〔実例〕
①限度(極度)貸付契約書
あらかじめ一定の限度までの金銭を貸し付けることを内容とする限度(極度)貸付契約書は、消費貸借に関する契約書に該当します。
このような契約書のうち、一定の金額に達するまで貸し付けることとしているものは、その一定の金額が記載金額となり、一定の金額の範囲内で貸付けを反復して行うこととしているものは、その一定の金額は記載金額とはなりません。
②債務承認及び弁済契約書
限度貸付契約又は根抵当権付金銭消費貸借契約などに基づく既存の債務金額を承認し、併せてその返還期限、返還方法などを約することを内容とする契約書は、消費貸借に関する契約書に該当します。
なお、その契約書に債務金額を確定させた原契約書が他に存在することを明らかにしているときは、その債務承認金額は記載金額とはなりません。
③借受金領収証
借主が借受金を受領した際に作成する借受金領収証で、借受金の受領事実とともに、償還期限又は利率などを併せて記載するものは、消費貸借に関する契約書に該当します。
④建設協力金や保証金等の定めのある建物賃貸借契約書等
貸ビル業者などが、ビルなどの賃貸借契約又はその予約契約を締結する際などに、賃借人から一定の金銭を受け取り、賃貸借期間などに関係なく、一定期間据置後、一括又は割賦償還することを約するものは、消費貸借に関する契約書に該当します。
⑤貸付決定通知書等
金銭の借入申込みに対して貸し付けることを決定し、その旨を記載してその申込者へ交付する貸付決定通知書などと称する文書は、消費貸借に関する契約書に該当します。
(4) 運送に関する契約書(用船契約書を含みます。)
運送契約……委託により当事者の一方(運送人)が物品又は旅客の場所的移動を約する契約をいいます。
用船契約……船舶又は航空機の全部又は一部を貸し切り、これにより物品又は旅客を運送することを約する契約をいいます。
なお、裸用船契約書は用船契約書に該当しません(船舶の賃貸借契約であり不課税文書となります。)。
〔実例〕
①運送引受書、送り状、運送貨物受取書
運送業者が貨物の運送の依頼を受けた際、その引受けの証として荷送人に交付する運送引受書、送り状などと称する文書は運送に関する契約書に該当します。また荷送人に交付する貨物受取書で、貨物の個数、重量、運賃、積地及び揚地など具体的な運送契約の成立を記載証明したものも、運送に関する契約書に該当します。
②定期用船契約書
定期用船契約書は、契約金額の記載の有無により運送に関する契約書又は継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)に該当します。
2 請負に関する契約書(第2号文書)
請負………当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約することによって成立する契約をいい、講演、警備、機械保守、清掃などのような無形的な結果を目的とするものも含まれます。
このほか、公認会計士の監査契約、民間放送会社と広告主又は広告代理業者との間の広告などの契約も請負契約に該当します。
また、請負には、職業野球の選手、映画・演劇の俳優、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、映画・演劇の監督・演出家・プロデューサー、テレビジョン放送の演 技者・演出家・プロデューサーなどが、その者としての役務を提供することを内容とす る契約を含みます。
請負に関する契約書か物品の譲渡に関する契約書(不課税文書)又は不動産の譲渡に関する契約書(第1号の1文書)かの区別については、おおむね次によります。
① 注文者の指示に基づき一定の仕様又は規格などに従い、製作者の労務により工作物を建設することを内容とするもの ⇒ 請負に関する契約書
(例) 家屋の建築、道路の建設、橋りょうの架設
② 製作者が工作物をあらかじめ、ある一定の規格で統一し、これにそれぞれの価格を付して注文を受け、その規格に従い工作物を建設し、供給することを内容とするもの
⇒ 不動産の譲渡に関する契約書又は物品の譲渡に関する契約書(物品の譲渡に関する契約書の場合は不課税文書)
(例) 建売住宅の供給(不動産の譲渡に関する契約書)
③ 注文者が材料の全部又は主要部分を提供(有償、無償を問いません。)し、製作者がこれによって一定物品を製作することを内容とするもの ⇒ 請負に関する契約書
(例) 生地を提供しての洋服仕立て、材料支給による物品の製作
④ 製作者の材料を用いて注文者の設計又は指示した規格などに従い、一定物品を製作することを内容とするもの ⇒ 請負に関する契約書
(例) 船舶、車両、機械、家具等の製作、洋服の仕立て
⑤ あらかじめ一定の規格で統一された物品を、注文に応じ製作者の材料を用いて製作し、供給することを内容とするもの ⇒ 物品の譲渡に関する契約書(不課税文書)
(例) カタログ又は見本による機械、家具の製作
⑥ 一定の物品を一定の場所に取り付けることにより所有権を移転することを内容とするもの ⇒ 請負に関する契約書
(例) 大型機械の取付け
ただし、取付行為が簡単であって、特別の技術を要しないもの
⇒ 物品の譲渡に関する契約書(不課税文書)
(例) 家庭用電気器具の取付け
⑦ 修理又は加工することを内容とするもの ⇒ 請負に関する契約書
(例) 建物、機械等の修理、塗装、物品の加工
〔実例〕
①加工承り票等
百貨店などが顧客の持参した生地によって洋服の仕立てを引き受けた際に作成する
「加工承り票」などは、洋服の仕立てという仕事の完成を約したものですから、請負に関する契約書に該当します。
②宿泊申込請書等
旅館業者などが顧客から宿泊の申込みを受けた場合に、宿泊年月日、人員、宿泊料金などを記載し、その申込みを引き受けた旨を記載して顧客に交付する「宿泊申込請書」などは、請負に関する契約書に該当します。ただし、御案内状などと称し、単なる案内を目的とするものは、課税文書には該当しません。
③保守契約書
エレベーターの保守契約書は、エレベーターを常に安全に運転できる状態に保つこと、つまり仕事の完成を目的としたものですから、請負に関する契約書に該当します。また、コンピューター、コピー機、火災報知機などの保守契約書も同様です。
④広告契約書等
広告主と放送会社又は新聞社との間で作成されるコマーシャル放送契約書又は新聞広告契約書は、コマーシャル放送又は新聞広告という仕事の完成を目的としたものですから、いずれも請負に関する契約書に該当します。
(注) 建設工事の請負に関する契約書のうち、一定の要件を満たすものについては、印紙税の軽減税率が適用されます(29 ページ:2の(2)参照)。
3 約束手形又は為替手形(第3号文書)
手形要件の全部又は一部を記載しないで発行する白地手形については、金額白地のものを除き、振出人(振出人以外の者が作成した白地手形については、その作成者)が他人に交付する時に約束手形又は為替手形を作成したことになります。
また、振出人の署名を欠く白地手形で、引受人又はその他の手形当事者(例えば保証人)の署名なつ印のあるものについては、引受人又はその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。
なお、金額白地の手形(手形金額の記載のない手形)は、振出しのときには印紙税はかかりませんが、その手形に後で金額を記入したときに手形を作成したものとみなされ印紙税が課されます。
この場合の手形の作成者(納税義務者)は、手形の振出人ではなく、その手形に金額を記入した者です。
4 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券(第4号文書)
株券に課される印紙税の税額は、払込金額の有無によって次の算式で計算した金額を基に判断することになります。
○払込金額がある場合
一株についての払込金額×その株券の株数
○払込金額がない場合
資本金の額+資本準備金の額(注)2
×その株券の株数
発行済株式の総数(注)1
(注)1 「発行済株式の総数」には、新たに発行する株式数を含みます。
2 「資本金の額」と「資本準備金の額」は、直前の定時総会で承認され、法律上確定している最終の貸借対照表の額(合併等の企業再編があった場合には合併等の日の額)を用いて差し支えありません。
3 投資法人の発行する投資証券も同様の取扱いとなります。
社債券には、会社法上の社債券のほか、相互会社の社債や特別の法律により設立された法人の発行する債券(例えば、農林中央金庫、商工組合中央金庫などの発行する農林債、商工債券など)も含まれます。また、出資証券には、投資法人の発行する投資証券も含まれます。
〔実例〕
①予備株券
予備株券は、単に株券用紙ですから印紙税は課されませんが、これに所要事項を記載の上、株主に交付すれば、その交付のときに株券が作成されたことになります。
②合併存続会社等が訂正して発行する株券及び譲渡制限の旨を記載する株券
合併の際に旧株式会社の株券を訂正のうえ使用するとき又は発行済みの株券に譲渡禁止の条項を追記し株主に交付するときは、新たな株券を作成したことになり、課税されることになります。
5 合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書(第5号文書)
「合併契約書」は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社及び相互会社が締結する合併契約を証する文書のみが課税文書になります。
また、「吸収分割契約書」及び「新設分割計画書」は、株式会社及び合同会社が吸収分割又は新設分割を行う場合の吸収分割契約を証する文書又は新設分割計画を証する文書のみが課税文書になります。
6 定款(第6号文書)
定款は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社の設立のときに作成する定款の原本が課税になります(これらの会社以外の法人の設立の際に作成する定款は課税の対象とはなりません。)。
具体的には、公証人の認証を要することとされている株式会社及び相互会社の定款は、 公証人が保存するもののみが課税の対象となります。また、公証人の認証を要しない合名会社、合資会社及び合同会社の定款については、会社に保存する原本が課税の対象となります。
7 継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)
継続的取引の基本となる契約書………特定の相手方との間において継続的に生ずる取引の基本となる契約書のうち、次に掲げるものをいいます(その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものは、除かれます。)。
なお、継続的取引の基本となる契約書に該当しないものであっても、その記載されている内容により、例えば、運送に関する契約書(第1号の4文書)や請負に関する契約書(第2号文書)に該当する場合が多くあります。
① 特約店契約書のように、営業者(注) の間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する複数取引を継続して行うため、その取引について、共通する基本的な取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約書
(注)ここでいう営業者とは、17号文書の非課税規定における「営業」(24 ページ:17金銭又は
有価証券の受取書「非課税文書」参照)を行う者をいいます。
② 代理店契約書のように、両当事者(営業者には限りません。)間において、売買に関する業務、金融機関の業務、保険募集の業務又は株式の発行若しくは名義書換えの事務を継続して委託するため、その委託する業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定める契約書
③ 銀行取引約定書のように、金融機関から信用の供与を受ける者と金融機関との間において、債務の履行について包括的に履行方法その他の基本的事項を定める契約書
④ 信用取引口座設定約諾書のように、金融商品取引業者又は商品取引員とこれらの顧客との間において、有価証券又は商品の売買に関する複数取引を継続して委託するため、その取引に共通して適用される取引条件のうち、受渡しその他の決済方法、対価の支払方法又は債務不履行の場合の損害賠償の方法を定める契約書
⑤ 保険特約書のように、損害保険会社と保険契約者との間において、複数の保険契約を継続 して行うため、これらの保険契約に共通して適用される保険要件のうち、保険の目的の種類、保険金額又は保険料率を定める、いわゆるオープンポリシーの契約書
〔実例〕
①商品売買基本契約書
商品のメーカーと卸売店との間において、ある商品の単価は今後1年間10,000円とする旨を記載した文書は、継続的取引の基本となる契約書に該当します。
②貨物運送契約書
物品の販売会社と運送会社との間において、地方に販売する物品の運送はすべてその運送会社に委託することとし、運送料は毎月末に締め切り翌月10日に支払うことを約した文書は、継続的取引の基本となる契約書に該当します。
③下請基本契約書
機械器具の部品の製造を継続して下請に出す場合に、その部品の名称、規格、製作単価などの取引条件を記載した契約書は、継続的取引の基本となる契約書に該当します。
④貨物の保管及び荷役の契約書
物品の販売会社と運送会社との間において、物品の販売会社の所有する物品の保管及び荷役についての契約書に、保管料及び荷役料の支払方法を記載した場合には、保管についての事項は物品の寄託契約として課税事項となりませんが、荷役についての事項は請負契約の課税事項となりますから、契約金額の記載のあるものは請負に関する契約書に、契約金額の記載のないものは継続的取引の基本となる契約書に該当します。
8 預貯金証書(第8号文書)
銀行その他の金融機関等で法令の規定により預金又は貯金業務を行うことができる者が、預金者又は貯金者との間の消費寄託の成立を証明するために作成する免責証券である預金証書又は貯金証書をいいます。
なお、労働基準法や船員法の規定により、預金を受け入れた場合に作成する勤務先預金証書も第8号文書(預貯金証書)に該当します。
9 貨物引換証、倉庫証券又は船荷証券(第9号文書)
貨物引換証、倉庫証券又は船荷証券は、記載事項が法定されていますが、記載事項の一部を欠くものであっても、貨物引換証などに類似する効用を有するものは、貨物引換証などに含まれます。なお、倉庫証券には農業倉庫証券、連合農業倉庫証券は含みません。
10 保険証券(第10号文書)
保険証券とは、保険者が保険契約の成立を証明するため、保険法その他の法令の規定により保険契約者に交付する書面をいいます。
保険証券には、保険証券としての記載事項の一部を欠くものであっても、保険証券としての効用を有するものも含まれます。
11 信用状(第11号文書)
信用状とは、銀行が取引銀行に対して特定の者に一定額の金銭の支払をすることを委託する支払委託書をいいます。
12 信託行為に関する契約書(第12号文書)
信託行為に関する契約書とは、信託法第3条第1号に規定する信託契約を証する文書をいい、信託証書も含まれます。
13 債務の保証に関する契約書(第13号文書)
(主たる債務の契約書に併記するものは除かれます。)
債務の保証………主たる債務者がその債務を履行しない場合に、これを履行することを第三者が債権者に対し約することをいいます。
課税文書とならない「主たる債務の契約書に併記するもの」………例えば、消費貸借証書に
「債務者が返済期限までに返済することができなかったときは、保証人において全額弁償します。」と記載した場合がこれに当たります。
なお、主たる債務の契約書に該当しない文書に保証契約の事項を記載したもの(例えば、契約の申込書に併記した保証契約など)は、債務の保証に関する契約書に該当します。
14 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書(第14号文書)
寄託……相手方のために、ある物を保管することを約してその物を受け取ることによって成立する契約をいいます。
なお、第14号文書に該当するのは、保管する物が金銭又は有価証券の寄託に関する契約書に限られますから、物品の寄託に関する契約書は課税されません。
〔実例〕
〔実例〕
①預り証等
銀行などの金融機関が、預貯金として金銭を受け入れた場合に、預貯金証書又は預貯金通帳を作成する前に一時的に作成する預り証、入金取次票などと称する文書は、金銭の寄託に関する契約書に該当します。
なお、預貯金として金銭を受け入れる場合に作成する文書でも、「受取書」、「領収証と称する文書で、受領原因として単に預金の種類が記載されているものは、金銭の受取書(第17号の2文書)に該当します(受託文言、口座番号、預金期間など寄託契約の成立に結びつく事項が記載されているものは、金銭の寄託に関する契約書に該当します。)。
②現金自動預金機等から打ち出される紙片
現金自動預金機等を利用して預金を行う場合において、預金の預入れ事実を証明するため、その現金自動預金機等から打ち出される預入年月日、預入額、預入後の預金残額及び口座番号などの事項を記載した紙片は、金銭の寄託に関する契約書に該当します。なお、顧客にあらかじめ専用のとじ込み用表紙を交付しておき、利用の都度現金自動 預金機から打ち出される預入年月日、預入額、預入後の預金残額、口座番号及びページ数その他の事項を記載した紙片をxxその専用のとじ込み用表紙に編てつすることとしているものは、その全体を預金通帳(第18号文書)として取り扱うこととされていま
す。
③勤務先預金明細書
勤務先預金について、預金通帳の発行に代え、一定期間中の個々の預金取引の明細を記載して預金者に交付する勤務先預金明細書は、金銭の寄託に関する契約書に該当します。
ただし、預金者にとじ込み用の表紙を交付しておき、xx編てつすることとしている場合は、その全体が預金通帳(第18号文書)として取り扱われます。
なお、個々の取引内容でなく、一定期間中の受入金及び払戻金の合計額並びに残額のみを記載した預金残高通知書は、課税文書に該当しません。
④敷金預り証
アパートなどの貸借に当たり、家主や不動産業者などが借主に交付する敷金の預り証は寄託に関する契約書には該当せず、金銭の受取書(第17号の2文書)に該当します。
15 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書(第15号文書)
債権譲渡………債権をその同一性を失わせないで旧債権者から新債権者に移転することをいいます。
債務引受け……債務をその同一性を失わせないで旧債務者から新債務者に移転することをいい、旧債務者が引き続き債務者の地位にとどまる重畳的債務引受けもこれに含まれます。
16 配当金領収証又は配当金振込通知書(第16号文書)
配当金領収証…配当金領収書その他名称のいかんを問わず、配当金の支払いを受ける権利を表彰する証書又は配当金の受領の事実を証するための証書をいいます。
配当金振込通知書…配当金振込票その他名称のいかんを問わず、配当金が銀行その他の金融機関にある株主の預貯金口座その他の勘定に振込済みである旨を株主に通知する文書をいいます。
17 金銭又は有価証券の受取書(第17号文書)
金銭又は有価証券の受取書………金銭又は有価証券の引渡しを受けた者が単にその受領事実を証明するために作成し、その引渡者に交付する証拠証書をいいます。
したがって、「受取書」、「領収証」、「領収書」、「レシート」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したもの、さらに、お買上票などと称するもので、その作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証するものであるときは、ここにいう金銭又は有価証券の受取書に該当します。
売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書………売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書は第17号の1文書となり、記載金額に応じた印紙税が課税されます。
この場合の「売上代金」とは、「資産を譲渡し若しくは使用させること(資産に係る権利を設定することを含みます。)又は役務を提供することによる対価(手付けを含みます。)」をいいます。
したがって、例えば、借入金、保証金、割戻金、配当金、保険金、損害賠償金など は、何らかの給付に対する反対給付ではありませんから、売上代金には該当しません。
②ポスレジから打ち出される領収書等
非課税文書………記載金額が3万円未満の受取書及び営業に関しない受取書は非課税となります。
この場合の「営業」とは、一般通念による営業をいうものであり、おおむね営利を 目的として同種の行為を反復継続して行うことをいいます。 したがって、個人である商人の行為や、営利法人の行為は営業となりますが、祭祀、宗教、慈善、学術、技芸などの公益を目的としたいわゆる公益法人は、営利を目的と するものではありませんから、その行為は営業には該当しません。 また、営利法人(会社)にも公益法人にも当たらない私法人(特別法によって法人となることを認められた法人)については、法令の規定や定款の定めによって利益金の配当や剰余金の分配をすることができることとなっている法人が、その出資者以外の者に対して行う事業は営業となります。なお、その出資者がその出資をした法人に対して行う営業は、印紙税の課税の対象となる営業から除かれています。 〔実例〕 ①仮領収書 仮領収書と称するものであっても、それが金銭等の受取事実を証明するために作成されたものであれば、後に本領収書を作成することの有無にかかわらず金銭又は有価証券の受取書に該当します。 |
一般小売店や現金問屋等において使用する POS システムの端末(いわゆる「ポスレジ」)から打ち出される帳票で、販売代金を受領した際に顧客へ交付するものは、領収書、仕切書、納品書等その名称のいかんにかかわらず、金銭の受取書に該当します。 ③商品券等の有価証券による支払を受けたの際の領収書 商品代金の受取に当たり、商品券又はプリペイドカードにより支払を受けた際の領収 書は、金銭又は有価証券の受取書に該当します。 |
④クレジットカードによる支払を受けた際の領収書
クレジットカードにより支払を受けた際の領収書は、信用取引により支払を受けるものですから、クレジットカードによる支払であることが明らかにされているものは金銭の受取書に該当しません。
⑤デビットカードによる支払を受けた際の領収書
デビットカードにより支払を受けた際に発行する領収書は、金銭の受取書に該当します。なお、デビットカード取扱店が顧客あてに交付する「口座引落確認書」で、単に口座からの引き落とし事実のみを通知するものは、金銭の受取書に該当しません。
⑥受取金引合通知書、入金記帳案内書
店員が得意先に出張し、店主の代理として金銭を受領する場合に受取書を交付したり、通帳や判取帳にその事実を記載して、後日さらに店主が発行する受取金引合通知書や入金記帳案内書などを作成する場合がありますが、いずれも金銭の受取書に該当します。
⑦振込済みの通知書
債務者から自己の預貯金口座に金銭の振込みがあった場合に、債権者から債務者に預貯金口座への入金があった旨を通知する「振込済みのお知らせ」などと称する文書は、金銭の受取書に該当します。
⑧入金通知書、当座振込通知書
銀行が被振込人に対し交付する入金通知書、当座振込通知書、当座振込報告書などは、課税文書に該当しません。ただし、被振込人あてのものであっても、振込人に対して交付するものは、金銭の受取書に該当します。
⑨医師、弁護士等の作成する受取書
医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、xxx・xxxxx・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、薬剤師及び獣医師等並びに弁護士、弁理士、公認会計士、計理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等が、その業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱われ、非課税となります。
⑩医療法人が作成する受取書
医療法第39条に規定する医療法人は、剰余金の配当をしてはならないこととされており、いかなる者との取引についても営業者とならないため、作成される金銭等の受取書は、営業に関しない受取書に該当し、非課税となります。
なお、営利法人組織の病院等又は営利法人の経営する病院等が作成する受取書は、営業に関しない受取書には該当せず、非課税文書にはなりません。
➃税理士法人が作成する受取書
税理士法人は、法令の定めにより利益金の分配等をすることができるものに該当します。したがって税理士法人が出資者以外の者に交付する受取書は、営業に関しない受取書には該当せず、非課税文書にはなりません。
18 預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行若しくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳又は生命共済の掛金通帳(第
18号文書)
銀行等が行う預金者又は貯金者との間における預貯金の受払い等を連続的に付け込んで証明する目的で作成する通帳、信託会社が信託契約者との間における継続的財産の信託関係を継続的に付け込んで証明する目的で作成する通帳、銀行又は無尽会社が掛金契約者又は無尽掛金契約者との間における掛金又は無尽掛金の受領事実を連続的に付け込んで証明する目的で作成する通帳、生命保険会社が保険契約者との間における保険料の受領事実を連続的に付け込んで証明する目的で作成する通帳又は生命事故共済に伴う掛金通帳などが該当します。
19 第1号、第2号、第14号又は第17号文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもって作成する通帳(第19号文書)
〔18の通帳(第18号文書)に該当するものは除かれます。〕
第19号文書………第1号、第2号、第14号又は第17号文書によって証されるべき事項を継続又は連続して特定の当事者の一方から相手方に対し、一定の事項を付け込んで証明する目的で作成する通帳をいいます。
したがって、第1号、第2号、第14号又は第17号文書によって証されるべき事項以外の事項を付け込み証明する通帳は、ここにいう通帳には該当しません。
〔実例〕
①消費貸借通帳
会社が従業員に金銭を貸し付けるに当たり、従業員ごとに口座を設けて貸付けの事実を継続又は連続して付け込み証明する通帳は、ここにいう通帳に該当します。
②請負通帳
発注会社が受注会社との間の請負契約の成立を継続又は連続して付け込み証明する請負通帳は、ここにいう通帳に該当します。
③寄託通帳、預り通帳
証券会社が顧客から売り委託を受けた有価証券について、その預り事実を継続又は連続して付け込み証明する通帳は、ここにいう通帳に該当します。
④金銭受取通帳
売掛金、家賃、地代などの受取事実を継続又は連続して付け込み証明する通帳は、ここにいう通帳に該当します。
⑤入金取次帳
金融関係の外務員が預金としての金銭を受け入れる場合に、その受入事実を連続的に付け込み証明するための入金取次帳は、ここにいう通帳に該当します。
20 判取帳(第20号文書) |
判取帳………第1号、第2号、第14号又は第17号文書により証されるべき事項につき2以上の相手方から付け込み証明を受ける目的をもって作成する帳簿をいいます。 |
印紙税法基本通達 別表第2 重要な事項の一覧表
印紙税法基本通達第12条《契約書の意義》、第17条《契約の内容の変更の意義等》、第18条
《契約の内容の補充の意義等》及び第38条《追記又は付け込みの範囲》の「重要な事項」とは、おおむね次に掲げる文書の区分に応じ、それぞれ次に掲げる事項(それぞれの事項と密接に関連する事項を含む。)をいいます。
1 第1号の1文書 第1号の2文書のうち、地上権又は土地の賃借権の譲渡に関する契約書 第15号文書のうち、債権譲渡に関する契約書 | 5 (1) | 第7号文書 令第26条《継続的取引の基本となる契約書の範囲》各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる要件(21 ページ:7①~⑤参 | |||
(1) | 目的物の内容 | 照) | |||
(2) | 目的物の引渡方法又は引渡期日 | (2) | 契約期間(原契約の基本契約書を引用し | ||
(3) | 契約金額 | て契約期間を延長するものに限るものと | |||
(4) | 取扱数量 | し、当該延長する期間が3か月以内であ | |||
(5) | 単価 | り、かつ、更新に関する定めのないものを | |||
(6) | 契約金額の支払方法又は支払期日 | 除く。) | |||
(7) | 割戻金等の計算方法又は支払方法 | ||||
(8) | 契約期間 | 6 | 第 12 号文書 | ||
(9) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | (1) | 目的物の内容 | ||
(10) | 債務不履行の場合の損害賠償の方法 | (2) | 目的物の運用の方法 | ||
(3) | 収益の受益者又は処分方法 | ||||
2 第1号の2文書のうち、地上権又は土地の賃 借権の設定に関する契約書 | (4) 元本の受益者 (5) 報酬の金額 |
(1) 目的物又は被担保債権の内容
(2) 目的物の引渡方法又は引渡期日
(3) 契約金額又は根抵当権における極度金額
(4) 権利の使用料
(5) 契約金額又は権利の使用料の支払方法又は支払期日
(6) 報酬の支払方法又は支払期日
(7) 信託期間
(8) 契約に付される停止条件又は解除条件
(9) 債務不履行の場合の損害賠償の方法
(6) | 権利の設定日若しくは設定期間又は根抵当権にお | 7 第 13 号文書 | ||
ける確定期日 | (1) | 保証する債務の内容 | ||
(7) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | (2) | 保証の種類 | |
(8) | 債務不履行の場合の損害賠償の方法 | (3) | 保証期間 | |
(4) | 保証債務の履行方法 | |||
3 | 第1号の3文書 | (5) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | |
(1) | 目的物の内容 | |||
(2) | 目的物の引渡方法又は引渡期日 | 8 | 第 14 号文書 | |
(3) | 契約金額(数量) | (1) | 目的物の内容 | |
(4) | 利率又は利息金額 | (2) | 目的物の数量(金額) | |
(5) | 契約金額(数量)又は利息金額の返還(支払)方 | (3) | 目的物の引渡方法又は引渡期日 | |
法又は返還(支払)期日 | (4) | 契約金額 | ||
(6) | 契約期間 | (5) | 契約金額の支払方法又は支払期日 | |
(7) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | (6) | 利率又は利息金額 | |
(8) | 債務不履行の場合の損害賠償の方法 | (7) | 寄託期間 | |
(8) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | |||
4 | 第1号の4文書 | (9) | 債務不履行の場合の損害賠償の方法 | |
第2号文書 | ||||
(1) 運送又は請負の内容(方法を含む。) 9 (2) 運送又は請負の期日又は期限 契約 | 第 15 号文書のうち、債務引受けに関する 書 | |||
(3) | 契約金額 | (1) | 目的物の内容 | |
(4) | 取扱数量 | (2) | 目的物の数量(金額) | |
(5) | 単価 | (3) | 目的物の引受方法又は引受期日 | |
(6) | 契約金額の支払方法又は支払期日 | (4) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | |
(7) | 割戻金等の計算方法又は支払方法 | (5) | 債務不履行の場合の損害賠償の方法 | |
(8) | 契約期間 | |||
(9) | 契約に付される停止条件又は解除条件 | |||
(10) | 債務不履行の場合の損害賠償の方法 |
第 3 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る税率の特例
1 税率の特例制度の概要
租税特別措置法第91条の規定により、平成9年4月1日から平成23年3月31日までの間に作成される次の①及び②の契約書の税率は、印紙税法に定める税率(本則税率)にかかわらず、下表の軽減税率によることとされています。
① 不動産の譲渡に関する契約書(第1号の1文書)
⇒ 軽減税率の適用あり
⇒ 軽減税率の適用なし
② 建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成される請負に関する契約書(第2号文書)
記 載 金 額 | 税 率 |
1千万円超 5千万円以下 | 1万5千円 |
5千万円超 1億円以下 | 4万5千円 |
1億円超 5億円以下 | 8万円 |
5億円超 10億円以下 | 18万円 |
10億円超 50億円以下 | 36万円 |
50億円超 | 54万x |
x x 税 率 | 軽 減 額 |
2万円 | 5千円 |
6万円 | 1万5千円 |
10万円 | 2万円 |
20万円 | 2万円 |
40万円 | 4万円 |
60万円 | 6万円 |
なお、軽減税率が適用されるのは、次の①及び②の要件をいずれも満たすものに限られます。 |
① 記載された契約金額が1,000万円を超えていること |
② 平成9年4月1日から平成23年3月31日までの間に作成されるものであること |
2 軽減税率の適用となる契約書の具体的な範囲 (1) 不動産の譲渡に関する契約書(第1号の1文書) |
土地や建物などの不動産の譲渡(売買、交換等)に関する契約書に限られます。 したがって、第1号の1文書となるものであっても、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは |
航空機又は営業の譲渡に関する契約書は、軽減税率の適用はありません。 また、同様に地上権又は土地の賃借権の譲渡等に関する契約書(第1号の2文書)、消費貸借に関する契約書(第1号の3文書)及び運送に関する契約書(第1号の4文書)も軽減税率の適用はありません。 |
(例) 平成22年10月1日に作成した契約書で、 1 土地3,000万円、建物2,100万円〔うち消費税額等100万円〕、 |
合計5,100万円と記載した「土地建物売買契約書」 |
(記載金額5,000万円の第1号の1文書、印紙税額1万5千円) |
2 定期借地(貸借)権3,000万円と記載した「定期借地権譲渡契約書」 |
(記載金額3,000万円の第1号の2文書、印紙税額2万円) |
(2) 建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成される請負に関する契約書(第2号文書)
軽減措置の対象となる請負に関する契約書は、建設工事に係るものに限られますが、ここ でいう「建設工事」は、具体的には土木建築に関する工事で、次のものをいいます。 |
(建設工事の種類(建設業法第2条第1項、同法別表)) |
土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、ほ装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事 |
のxx、機械器具の製造又は修理などの請負契約書は、軽減税率の適用はありません。 (例) 平成22年10月1日に作成した契約書で、 |
⇒ 軽減税率の適用あり |
(記載金額5,000万円の第2号文書、印紙税額1万5千円) |
⇒ 軽減税率の適用なし |
(記載金額5,000万円の第2号文書、印紙税額2万円) |
(3) 同じ号に係る他の課税事項が併記された契約書 ① 不動産の譲渡に関する契約書に、第1号文書に係る他の課税事項が併記されたもので、合計した契約金額が1,000万円を超えるものは、軽減税率が適用されます。 (例) 平成22年10月1日に作成した契約書で、 建物840万円(うち消費税額等40万円)、定期借地(賃借)権500万円、 |
したがって、上記建設工事に該当しない工事や、建築物等の設計、建設機械の保守、船舶
1 請負金額5,250万円(うち消費税額等250万円)と記載した建物建築請負契約書
2 請負金額5,250万円(うち消費税額等250万円)と記載したビル設計請負契約書
合計1,340万円と記載した「定期借地権付建物売買契約書」
⇒ 軽減税率の適用あり
(記載金額1,300万円の第1号の1文書、印紙税額1万5千円)
② 建設工事の請負に関する契約書に、建設工事以外の請負に係る事項が併記されたもので、合計した契約金額が1,000万円を超えるものは、軽減税率が適用されます。
(例) 平成22年10月1日に作成した契約書で、
建物設計請負金額210万円(うち消費税額等10万円)、建物建築請負金額945万円(うち消費税額等45万円)、合計1,155万円と記載した「建物設計及び建築請負契約書」
⇒ 軽減税率の適用あり
(記載金額1,100万円(消費税額等55万円は記載金額から除かれます。)の第2号文書、印紙税額1万5千円)
(4) 他の号に係る課税事項が併記された契約書
土地売買及び建物建築請負契約書(第1号の1文書と第2号文書とに該当します。)のように、2以上の複数の号に該当する契約書は、いずれか一の号にその所属を決定することとなります(2 ページ:2の(2)参照)。
このような場合は、いずれか一つの号に所属を決定した後に、その契約書が軽減税率の適用となる契約書に該当するかどうかを判断することとなります。
(例) 平成22年10月1日に作成した契約書で、
土地金額7,000万円、請負金額4,200万円(うち消費税額等200万円)合計1億1,200万円と記載した「土地売買及び建物建築請負契約書」
⇒軽減税率の適用あり
(記載金額7,000万円の第1号の1文書、印紙税額4万5千円)
3 軽減税率の適用とならない契約書等
(1) 記載された契約金額が1,000万円以下の不動産譲渡契約書及び建設工事請負契約書は、軽減税率の適用はありませんから、本則の税率により課税されます。
(2) 不動産の譲渡又は建設工事の請負に係る契約に関して作成される文書であっても次のものは、軽減税率の適用はありません。
① 不動産の譲渡代金又は建設工事代金の支払のために振り出す約束手形(第3号文書)
② 不動産の譲渡代金又は建設工事代金を受領した際に作成する金銭又は有価証券の受取書
(第17号の1文書)
平成 22 年 10 月現在
印 紙 税 額
番号 | 文 書 の 種 類 | 印紙税額(1通又は1冊につき) | 主な非課税文書 |
1 | 1不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書 (注)無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。 (例)不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など 2地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書 (例)土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など 3消費貸借に関する契約書 (例)金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など 4運送に関する契約書 (注)運送に関する契約書には、用船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び運送状は含まれません。 (例)運送契約書、貨物運送引受書など | 記載された契約金額が 1万円以上 10万円以下のもの 200円 10万円を超え 50万円以下 〃 400円 50万円を超え 100万円以下 〃 1千円 100万円を超え 500万円以下 〃 2千円 500万円を超え1千万円以下 〃 1万円 1千万円を超え5千万円以下 〃 2万円 5千万円を超え 1億円以下 〃 6万円 1億円を超え 5億円以下 〃 10万円 5億円を超え 10億円以下 〃 20万円 10億円を超え 50億円以下 〃 40万円 50億円を超えるもの 60万円 契約金額の記載のないもの 200円 | 記載された契約金額が1万円未満のもの |
上記の1に該当する契約書のうち、「不動産の譲渡に関する契約書」で、記載された契約金額が1千万円を超え、かつ、平成9年4月1日から平成23年3月31日までの間に作成されるものは、印紙税額が軽減されています。 | 記載された契約金額が 1千万円を超え5千万円以下のもの 1万5千円 5千万円を超え 1億円以下 〃 4万5千円 1億円を超え 5億円以下 〃 8万円 5億円を超え 10億円以下 〃 18万円 10億円を超え 50億円以下 〃 36万円 50億円を超えるもの 54万円 | ||
2 | 請負に関する契約書 (注)請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。 (例)工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など | 記載された契約金額が 1万円以上 100万円以下のもの 200円 100万円を超え 200万円以下 〃 400円 200万円を超え 300万円以下 〃 1千円 300万円を超え 500万円以下 〃 2千円 500万円を超え1千万円以下 〃 1万円 1千万円を超え5千万円以下 〃 2万円 5千万円を超え 1億円以下 〃 6万円 1億円を超え 5億円以下 〃 10万円 5億円を超え 10億円以下 〃 20万円 10億円を超え 50億円以下 〃 40万円 50億円を超えるもの 60万円 | 記載された契約金額が1万円未満のもの |
契約金額の記載のないもの 200円 | |||
上記の「請負に関する契約書」のうち、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるもので、記載された契約金額が1千万円を超え、かつ、平成9年 4月1日から平成23年3月31日までの間に作成されるものは、印紙税額が軽減されています。 | 記載された契約金額が 1千万円を超え5千万円以下のもの 1万5千円 5千万円を超え 1億円以下 〃 4万5千円 1億円を超え 5億円以下 〃 8万円 5億円を超え 10億円以下 〃 18万円 10億円を超え 50億円以下 〃 36万円 50億円を超えるもの 54万円 | ||
3 | 約束手形、為替手形 (注)1手形金額の記載のない手形は非課税となりますが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。 2振出人の署名のない白地手形(手形金額の記載のないものは除きます。)で、引受人やその他の手形当事者の署名のあるものは、引受人やその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。 | 記載された手形金額が 10万円以上 100万円以下のもの 200円 100万円を超え 200万円以下 〃 400円 200万円を超え 300万円以下 〃 600円 300万円を超え 500万円以下 〃 1千円 500万円を超え1千万円以下 〃 2千円 1千万円を超え2千万円以下 〃 4千円 2千万円を超え3千万円以下 〃 6千円 3千万円を超え5千万円以下 〃 1万円 5千万円を超え 1億円以下 〃 2万円 1億円を超え 2億円以下 〃 4万円 2億円を超え 3億円以下 〃 6万円 3億円を超え 5億円以下 〃 10万円 5億円を超え 10億円以下 〃 15万円 10億円を超えるもの 20万円 | 1記載された手形金額が10万円未満のもの 2手形金額の記載のないもの 3手形の複本又は謄本 |
①一覧払のもの、②金融機関相互間のもの、 ③外国通貨で金額を表示したもの、④非居住者円表示のもの、⑤円建銀行引受手形 | 200円 | ||
4 | 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券 (注)1出資証券には、投資証券を含みます。 2社債券には、特別の法律により法人の発行する債券及び相互会社の社債券を含むものとする。 | 記載された券面金額が 500万円以下のもの 200円 500万円を超え1千万円以下のもの 1千円 1千万円を超え5千万円以下 〃 2千円 5千万円を超え 1億円以下 〃 1万円 1億円を超えるもの 2万円 (注) 株券、投資証券については、1株(1口)当たりの払込金額に株数(口数)を掛けた金額を券面金額とします。 | 1日本銀行その他特定の法人の作成する出資証券 2譲渡が禁止されている特定の受益証券 3一定の要件を満たしている額面株式の株券の無効手続に伴い新たに作成する株券 |
一 覧 表 10万円以下又は10万円以上……10万円は含まれます。
10万円を超え又は10万円未満……10万円は含まれません。
番号 | 文 書 の 種 類 | 印紙税額(1通又は1冊につき) | 主な非課税文書 |
5 | 合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書 (注)1会社法又は保険業法に規定する合併契約を証する文書に限ります。 2会社法に規定する吸収分割契約又は新設分割計画を証する文書に限ります。 | 4万円 | |
6 | 定 款 (注)株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社の設立のときに作成される定款の原本に限ります。 | 4万円 | 株式会社又は相互会社の定款のうち公証人法の規定により公証人の保存するもの以外のもの |
7 | 継続的取引の基本となる契約書 (注)契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除きます。 (例)売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書など | 4千円 | |
8 | 預金証書、貯金証書 | 200円 | 信用金庫その他特定の金融機関の作成するもので記載された預入額が1万円未満のもの |
9 | 貨物引換証、倉庫証券、船荷証券 (注)1法定記載事項の一部を欠く証書で類似の効用があるものを含みます。 2倉庫証券には農業倉庫証券及び連合農業倉庫証券は含みません。 | 200円 | 船荷証券の謄本 |
10 | 保険証券 | 200円 | |
11 | 信 用 状 | 200円 | |
12 | 信託行為に関する契約書 (注)信託証書を含みます。 | 200円 | |
13 | 債務の保証に関する契約書 (注)主たる債務の契約書に併記するものは除きます。 | 200円 | 身元保証ニ関スル法律に定める身元保証に関する契約書 |
14 | 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書 | 200円 | |
15 | 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書 | 記載された契約金額が1万円以上のもの 200円 契約金額の記載のないもの 200円 | 記載された契約金額が1万円未満のもの |
16 | 配当金領収証、配当金振込通知書 | 記載された配当金額が3千円以上のもの 200円 配当金額の記載のないもの 200円 | 記載された配当金額が3千円未満のもの |
17 | 1売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書 (注)1売上代金とは、資産を譲渡することによる対価、資産を使用させること(権利を設定することを含みます。)による対価及び役務を提供することによる対価をいい、手付けを含みます。 2株券等の譲渡代金、保険料、公社債及び預貯金のxxなどは売上代金から除かれます。 (例)商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書など 2売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書 (例)借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書など | 記載された受取金額が 100万円以下のもの 200円 100万円を超え 200万円以下のもの 400円 200万円を超え 300万円以下 〃 600円 300万円を超え 500万円以下 〃 1千円 500万円を超え1千万円以下 〃 2千円 1千万円を超え2千万円以下 〃 4千円 2千万円を超え3千万円以下 〃 6千円 3千万円を超え5千万円以下 〃 1万円 5千万円を超え 1億円以下 〃 2万円 1億円を超え 2億円以下 〃 4万円 2億円を超え 3億円以下 〃 6万円 3億円を超え 5億円以下 〃 10万円 5億円を超え 10億円以下 〃 15万円 10億円を超えるもの 20万円 受取金額の記載のないもの 200円 1通につき 200円 受取金額の記載のないもの 200円 | 次の受取書は非課税 1記載された受取金額が3万円未満のもの 2営業に関しないもの 3有価証券、預貯金証書など特定の文書に追記した受取書 |
18 | 預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳 | 1年ごとに 200円 | 1信用金庫など特定の金融機関の作成する預貯金通帳 2所得税が非課税となる普通預金通帳など 3納税準備預金通帳 |
19 | 消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳 (注)18に該当する通帳を除きます。 | 1年ごとに 400円 | |
20 | 判 取 帳 | 1年ごとに 4千円 |
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