Contract
xx大学xx研究所病院 治験標準業務手順書 |
第 18 版 2021 年 4 月 1 日作成 |
目次
第1条 本手順書は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という)(昭和 35 年法律第 145 号)、「医薬品の
臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 9 年厚生省令第 28 号)、「医療機器の
臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 17 年厚生労働省令第 36 号)及び「再
生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年厚生労働省令第
89 号)、並びに関連法規・通知等(以下「GCP 省令等」という)に基づいて、当院における治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順を実施医療機関の長が定めるものである。
2 本手順書は、医薬品/医療機器/再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請(以下「承認申請」という)の際に提出すべき資料の収集のために行う治験(企業主導治験及び医師主導治験)に対して適用する。
3 本手順書中に記載した GCP 省令等の条文は、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令とし、医療機器の治験の場合には、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令中の該当する条文に、再生医療等製品の治験の場合には、再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令中の条文に読み替える。
4 製造販売後臨床試験に対しては、GCP 省令第 56 条に準じ、「治験」等を「製造販売後臨床試験」等と読み替えることにより、本手順書を適用する。
5 医療機器の治験の場合には、「被験薬」を「被験機器」、「治験使用薬」を「治験使用機器」、「副作用」を「不具合」、「治験薬管理者」を「治験機器管理者」、「治験薬概要書」を「治験機器概要書」、「治験薬提供者」を「治験機器提供者」と読み替えて本手順書を適用する。
6 再生医療等製品の治験の場合には、「被験薬」を「被験製品」、「治験使用薬」を「治験使用製品」、「副作用」を「不具合」、「治験薬管理者」を「治験製品管理者」、「治験薬概要書」を「治験製品概要書」、「治験薬提供者」を「治験製品提供者」と読み替えて本手順書を適用する。
7 本手順書に基づき発生する書式は、特段の注釈のある場合を除き、「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」」に関する通知中の該当する書式を指す。また、これら書式の作成等に係る運用は、当該通知に準ずる。
8 本手順書中、医師主導治験の場合は、治験依頼者に関する記述を適用しない。
9 本手順書中に付随する治験の実施の詳細については、必要に応じて別途マニュアルを定める。
第2条 実施医療機関の長は、GCP 省令等の規定に従い、治験を適切に実施できる体制を整備しなければならない。
第3条 実施医療機関の長は、事前に治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リストを了承する。実施医療機関の長は了承した治験分担医師・治験協力者xxxを治験責任医師及び治験依頼者に提出する。
2 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施しようとする者に、治験審査委員会での審査に必要な資料等を該当する書式とともに提出させる。提出資料は治験審査委員会の手順書に従う。
第4条 実施医療機関の長は、治験の実施を了承する前に、前条第 2 項に定める資料を、該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験実施の適否について治験審査委員会の意見を求める。
2 実施医療機関の長は、治験審査委員会から治験の実施を承認する旨の報告を受けた場合は、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定を、治験依頼者及び治験責任医師に、該当する書式を用いて通知する。
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会から何らかの修正を条件に治験の実施を承認する旨の報告を受けた場合は、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定を、治験依頼者及び治験責任医師に該当する書式を用いて通知するとともに、治験依頼者及び治験責任医師に治験実施計画書等修正報告書及び当該関連資料を提出させ、修正内容を確認する。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会から治験の実施を却下する旨の報告を受けた場合、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定を、治験依頼者及び治験責任医師に、該当する書式を用いて通知する。この場合には実施医療機関の長は治験の実施を了承することはできない。
5 医師主導治験の場合は、第 2 項から第 4 項の「治験依頼者及び治験責任医師」を
「自ら治験を実施する者」と読み替える。
6 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者より、治験審査委員会の審査結果を確認するために、審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じること。
第5条 企業主導治験において、実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき治験の実施を了承した後、実施医療機関の長又は実施医療機関の長が選任した者と治験依頼者間で契約を締結する。また、治験依頼者が業務の全部又は一部を委託する場合には、治験依頼者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者で合意の上、開発業務受託機関及び実施医療機関の二者の契約としても差し支えないものとする。契約書の記載事項は GCP 省令等の規定に従う。治験責任医師は、当該契約内容を確認する。
2 治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合には、前条第 3 項に基づき、実施医療機関の長がその修正を確認し、了承した後でなければ、前項の契約締結はできない。
3 契約書の内容を変更する場合には、第 1 項に準じて変更契約を締結する。
第6条 実施医療機関の長が治験の実施に関わる業務の一部を委託する場合には、GCP 省令等で規定された事項を記載した契約書により当該業務を受託する者との契約を締結する。また、当該受託者が委託した治験業務を遂行しうる要件を満たしていることを保証するとともに、実施された治験業務及び作成されたデータの信頼性を保証する措置を講じる。
第7条 実施医療機関の長は、実施中の治験の治験期間が 1 年を超える場合は、少なくとも年 1 回、治験責任医師から、該当する書式を用いた治験の実施状況の報告をうける。
2 実施医療機関の長は、前項において治験責任医師より入手した書式を治験審査委員会に提出し、当該治験の継続等についての意見を求める。
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会が、実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験を中止又は中断させるとともに、企業主導治験の場合には治験の契約を解除する。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき、当該治験の継続について指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 5 項を準用して取り扱うものとする。
5 医師主導治験において、実施医療機関の長は、モニターよりモニタリング報告書、監査担当者から監査報告書の提出があった場合は、当該文書を該当する書式とと
もに治験審査委員会へ提出し、当該実施医療機関における治験の実施の適切性について意見を求める。
第8条 実施医療機関の長は、治験期間中、治験審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は治験責任医師から、当該文書の全てを該当する書式とともに速やかに提出させる。
2 実施医療機関の長は、前項の資料を入手した場合には、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験の継続の可否について意見を求める。
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき該当する変更について、指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 5 項を準用して取り扱う。
第9条 実施医療機関の長は、治験責任医師より被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由により、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱を記載した文書を入手した場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し意見を求める。
2 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 5 項を準用して取り扱う。
3 企業主導治験において、実施医療機関の長は、治験依頼者へ前項に定める通知をした場合には、治験依頼者より当該逸脱に関する検討結果を記載した文書を入手し、治験責任医師に提出する。
第10条 実施医療機関の長は、治験責任医師より、文書にて、重篤な有害事象に関する報告(医療機器及び再生医療等製品の治験の場合には、重篤な有害事象及び不具合に関する報告)を受けた場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験の継続の可否について意見を求める。
2 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき、指示・決定を通知する際は第 4 条第 2 項から第 5 項を準用して取り扱う。
第11条 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者より法第 80 条の 2 第
6 項に規定する事項について報告を受けた場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験の継続の可否について意見を求める。なお、治験安全性最新報告概要及び国内重篤副作用等症例の発現状況一覧において副作用
等症例の発現がなかった場合は、治験審査委員会に通知する。
2 企業主導治験において、実施医療機関の長は、予め治験依頼者及び治験審査委員会等と合意が得られている場合、治験依頼者が、GCP 第 20 条第 2 項、第 3 項に関する通知を、治験責任医師・実施医療機関の長に加え、当該治験の審査に関わる治験審査委員会に直接通知することを認める。
3 医師主導治験において、実施医療機関の長は、予め自ら治験を実施する者及び治験審査委員会等と合意が得られている場合、自ら治験を実施する者が、GCP 第 26条の 6 第 2 項に関する事項を、治験責任医師・実施医療機関の長に加え、当該治験の審査に関わる治験審査委員会に直接通知することを認める。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 5 項を準用して取り扱う。
第12条 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から、該当する書式 により、治験を中断し、若しくは中止する旨の通知を受けたとき又は治験依頼者 から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは自ら治験を実施する者 から申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかにその 旨及びその理由を同書式を用いて治験責任医師及び治験審査委員会等に通知する。
2 実施医療機関の長は、治験責任医師が、治験を中止又は中断した旨を該当する書式により報告してきた場合には、速やかにその旨及びその理由を治験審査委員会及び企業主導治験においては治験依頼者に、同書式を用いて通知する。
3 実施医療機関の長は、治験責任医師が該当する書式により治験の終了を報告してきた場合は、治験審査委員会及び企業主導治験においては治験依頼者に、その旨及びその結果の概要を同書式を用いて通知する。
4 実施医療機関の長は、意見を聴いた治験審査委員会が治験を継続して行うことが適切でない旨の意見を述べたときは、治験を中止する。
5 実施医療機関の長は、意見を聴いた治験審査委員会が実施医療機関において当該治験が適切に行われていない又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、治験を中止させることを含め、適切な措置を講じる。
第13条 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が実施させるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れる。この際、実施医療機関の長は、求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する。
2 実施医療機関の長及び治験審査委員会の設置者は、治験依頼者による治験審査委
員会の監査の受け入れについて、事前に治験依頼者と合意する。
第14条 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、治験審査委員会を設置することができる。
2 実施医療機関の長は、自らが治験審査委員会を設置する場合、治験審査委員会の委員を指名し、治験審査委員会と協議の上、治験審査委員会の運営に関する手順書、委員名簿及び会議の記録及びその概要を作成する。
第15条 実施医療機関の長は、自らが治験審査委員会を設置する場合、治験審査委員会の業務の円滑化を図るため、その運営に関する事務及び支援を行う者を指名し、治験審査委員会事務局を設置する。
第16条 実施医療機関の長は、GCP 省令第 27 条第 1 項第 1 号から第 8 号に掲げる治験審査委員会より治験ごとに適切な治験審査委員会を選択し、調査審議を依頼する。
2 実施医療機関の長は、前項の治験審査委員会の選択にあたり、以下の点に留意する。
1) 当該治験審査委員会の設置者が GCP 省令等に定める要件を満たしている
2) 当該治験審査委員会の構成等が GCP 省令等に定める要件を満たしている
3) 治験の開始から終了に至るまで、一貫性のある調査審議を行うことができる
4) 以下の事項を適切に判断できる
(ア) 実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができるか否か
(イ) 緊急時に必要な措置をとることができるか否か
(ウ) 治験責任医師および治験分担医師(以下「治験責任医師等」という)が当該治験を実施する上で適格であるか否か
(エ) その他調査審議の対象となる治験が倫理的及び科学的に妥当であるか否か、及び当該治験が当該実施医療機関において実施又は継続するのに適当であるか否か
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見を聴くにあたり、治験を行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させるために必要があると認めるときは、第 1 項の治験審査委員会の承諾を得て、当該専門的事項について
他の治験審査委員会(専門治験審査委員会)の意見をあわせて聴くことができる。なお、専門治験審査委員会は、治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項を十分に審議できるものであること。
4 実施医療機関の長は、前項の規定により専門的事項について他の治験審査委員会の意見を聴くに当たっては、少なくとも以下の点を考慮すること。
1) 本条第1項に規定する治験審査委員会が、調査審議の対象となる治験の実施又は継続の適否について調査審議を十分に行うに足りる専門性を有しているか否か。
2) 上記 1)において専門性が不足している場合、不足している専門性は外部から科学的な意見を聴くことのみにより補完されるものであるか否か、外部から倫理的妥当性についての意見も含めて聴くことにより補完されるものであるか否か。
3) 上記 1)において不足している専門性について、例えば、治験審査員会の委員に新たに専門家を加える等の方法により補完することはできないか。
4) 上記 1)において不足している専門性を補完する方法として上記 3)において考慮したものは、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行うことができるものであるか否か。
5) 上記 1)において不足している専門性を補完する方法として上記 3)において考慮したものが、他の治験審査委員会に特定の専門的事項についての調査審議を行わせることである場合には、当該他の治験審査委員会と治験審査委員会の間で無用な審議の重複を避ける一方で、必要な情報は共有するといった適切な役割分担と連携が可能であるか否か。
5 実施医療機関の長は自らが設置した治験審査委員会以外の治験審査委員会に意見を聴くときは、当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿を予め入手しなければならない。
6 実施医療機関の長は、本条第 3 項の規定により、審議を依頼した専門治験審査委員会が意見を述べたときは、速やかに当該意見を本条第 1 項の規定により調査審議を依頼した治験審査委員会に報告する。
第17条 実施医療機関の長は、治験審査委員会(当該医療機関の長が設置した治験審査委員会及び当該医療機関を有する法人が設置した治験審査委員会を除く。)に調査審議を依頼する場合には、予め、文書により当該治験審査委員会の設置者との契約を締結する。契約書の記載事項はGCP 省令第 30 条の 2 の規定に従う。
2 実施医療機関の長は、専門治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会及び当該医療機関を有する法人が設置した治験審査委員会を除く。)
の意見を聴く場合には、予め、文書により当該専門治験審査委員会の設置者との契約を締結する。契約書の記載事項は GCP 省令第 30 条の 6 の規定に従う。
第18条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなければならない。
1) 治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有する。
2) GCP 省令等を熟知し、これを遵守できる。
3) 治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験使用薬の管理に関する手順書等に記載されている治験使用薬の適切な使用法に十分精通している。
4) 合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能である。
5) 合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有する。
6) 治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できる。
第19条 治験責任医師は以下の事項を行う。
1) 教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうることを証明する最新の履歴書(必要な場合には治験分担医師の履歴書)を実施医療機関の長に提出する。また、企業主導治験においては治験依頼者にも提出する。
2) 治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験分担医師及び治験協力者のリストを作成し、予め実施医療機関の長に提出し、その了承をうける。また、企業主導治験においては治験依頼者にもリスト(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書)を提出する。なお、実施医療機関の長の了承を受けた時点から業務を分担して差し支えないが、治験分担医師については治験審査委員会による審査が必要となる。
3) 治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験使用薬や各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督する。
4) モニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れ、これらの者の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する。
5) 治験実施計画書について、当該治験を実施することの倫理的および科学的妥当性を十分検討する。企業主導治験の場合は、治験依頼者から提供される治験実施計画書案、最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書及びその他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し合意する。
6) 被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる説明文書を作成する。作成にあたっては、GCP 省令等の規定を遵守すること。
7) 医師主導治験の場合には、厚生労働大臣に治験の計画を届け出たのち、医薬品医療機器等法で定められた所定の期間を経過するまで被験者を治験に参加させない。
8) 治験実施前及び治験期間を通じて治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにする。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに実施医療機関の長に提出する。
9) 治験審査委員会が治験の実施又は実施中の治験の継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定が該当する書式で通知された後に、その指示・決定に従って治験を開始又は継続をすること。又は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、既に承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定が該当する書式で通知された場合には、その指示・決定に従うこと。
10) 被験者となる者の選定にあたり、人権保護の観点から、治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験への参加を求めることの適否を慎重に検討する。同意の能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。また、社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、当該者の同意が自発的に行なわれるよう十分な配慮を払う。
11) 被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により、治験実施計画書に従わなかった場合を除いて治験実施計画書を遵守し治験を実施する。
12) 治験使用薬は承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用する。また、治験使用薬の正しい使用方法を各被験者に説明、指示し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認する。
13) 治験審査委員会等の継続審査を受けるために、該当する書式を用いて治験の
実施状況を、年 1 回又は当該治験審査委員会等の求めに応じそれ以上の頻度で実施医療機関の長に報告する。
14) 治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、実施医療機関の長及び、企業主導治験においては治験依頼者に、速やかに該当する書式を用いて報告する。
15) 実施医療機関で重篤な有害事象が発生した場合は、直ちに実施医療機関の長 に該当する書式で報告するとともに、企業主導治験においては治験依頼者に、医師主導治験においては治験薬提供者、他の実施医療機関の治験責任医師に 報告する。この場合、治験薬提供者、治験依頼者、実施医療機関の長又は治 験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められた場合はこれに応じる。
16) 治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、その内容を点検し、問題がないことを確認したときに、記名押印又は署名する。治験分担医師が作成した症例報告書については、その内容を点検し問題がないことを確認したときに、記名押印又は署名する。症例報告書の変更又は修正の場合も同様とする。
17) 作成した症例報告書を、企業主導治験においては治験依頼者に提出するとともに写しを保存する。医師主導治験においては、自ら治験を実施する者が適切に保存する。
18) 症例報告書の変更又は修正にあたり、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した手引きに従う。
19) 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは、原資料と矛盾しないものであること。原資料とのなんらかの矛盾がある場合には、その理由を説明する記録を作成し、企業主導治験においては治験依頼者に提出するとともに写しを保存する。医師主導治験においては、自ら治験を実施する者が適切に保存する。
20) 医薬品の承認申請に用いるために治験の中間報告書が作成される場合、症例報告書を点検し、内容を確認した上で、記名押印又は署名する。
21) 治験が何らかの理由で中止又は中断された場合、あるいは自らが治験を中断し、又は中止した場合は、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、その他必要な措置を講じる。また自ら治験を中断し、又は中止した場合にあっては実施医療機関の長にその旨及びその理由を、該当する書式により報告する。
22) 治験を終了したときは、実施医療機関の長にその旨及びその結果の概要を、該当する書式により報告する。
第 20 条 治験責任医師等は、被験者を治験に参加させるときは、予め治験審査委員会で承認された説明文書を用いて、被験者となるべき者に適切な説明を行い、その自由意思に基づき文書により同意を得る。この際、治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者に質問する機会を与え、かつ、当該質問に十分に答える。また、治験責任医師等は、双方(治験協力者が補足的な説明をしている場合は、当該治験協力者も含む)が署名又は記名押印した同意書の写し及び説明文書を被験者に手交する。
2 治験責任医師等は、被験者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難である場合には、その治験の目的上やむを得ない場合に限り、代諾者の同意をもって、当該被験者を治験に参加させることができる。代諾者からの同意取得手順は、第 1 項の「被験者」を「代諾者」と読み替えてこれに従う。なお、治験責任医師等は、代諾者と被験者との関係を示す記録を残すとともに、被験者となるべき者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者となるべき者からも文書で同意を得る。
3 治験責任医師等は、説明文書を読むことができない被験者又は代諾者に対しては、立会人を立ち会わせた上で説明及び同意取得を行う。この場合、治験責任医師等は立会人からも同意文書に記名押印または署名を得る。なお、立会人は治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
4 治験責任医師等は、被験者又は代諾者に治験への参加又は継続を強制したり、これらの意思決定にあたり不当な影響を及ぼしてはならない。また、被験者又は代諾者へ第 1 項の説明をする際に、被験者又は代諾者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師等、治験協力者、実施医療機関並びに治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句を用いてはならない。
5 治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認する。
6 治験責任医師は、第 5 項の情報が得られた場合で、かつ、改訂する必要があると認めたときには、速やかにこの内容に基づき説明文書を改訂し、治験審査委員会の承認を得る。また、治験責任医師等は、説明文書の改訂が承認されたのち、これを用いて速やかに被験者から再同意を得る。同意の手順は本条第 1 項~第 4 項に準じる。
7 治験責任医師等は、被験者に対する直接の臨床的利益が予測されない非治療的な内容の治験の場合、同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし、GCP 省令等に例外として規定されている場合を除く。
8 治験責任医師は、第 7 項のただし書きに該当する場合、GCP 省令等の規定に従ってその旨が明記された治験実施計画書が治験審査委員会で審議された上で治験の実施が承認され、治験審査委員会の承認文書上に同意を得ることが困難な者を被験者とすることを認める旨が記載されていることを確認する。
9 治験責任医師等は、緊急状況下における救命的治験のうち、GCP 省令等に規定されている条件を満たすものに限り、被験者及び代諾者の同意を得ずに当該被験者を治験に参加させることができる。なお、この場合にあっても、被験者又は代諾者に対し、可能な限り速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続等について同意を得る。
第21条 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負う。
2 治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師等は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨伝える。
3 治験責任医師等は、被験者に他の主治医がいるか否か確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせる。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師等は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払う。
第22条 治験責任医師等は、企業主導治験においては、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認、医師主導治験においては、治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例:医療機関の名称・診療科名の変更、医療機関の所在地又は電話番号の変更、モニターの変更等)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師等は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらず全て記録する。
3 治験責任医師は、逸脱した行為のうち被験者の緊急の危険を回避するためその他 医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかったものについてのみ、該当する書式に、逸脱又は変更の内容と理由を記載し、直ちに実施医療機関の長
と、企業主導治験においては治験依頼者に提出する。
4 企業主導治験において、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療 上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審 査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行った場合は、前項の文書とともに、治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を可能な限 り早急に治験依頼者並びに実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治 験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び 実施医療機関の長を経由して治験依頼者の合意を得る。
第23条 治験使用薬の管理責任は、実施医療機関の長が負うものとする。
2 実施医療機関の長は、実施医療機関の全ての治験使用薬を適正に管理させるため、治験薬管理者を選任する。なお、治験薬管理者は必要に応じ、治験薬管理担当者を指名し、治験使用薬の保管・管理を行わせることができる。
第24条 治験薬管理者は、GCP 省令等とともに、企業主導治験においては治験依頼者が作成した、医師主導治験においては自ら治験を実施する者が作成した若しくは入手した、又は治験薬提供者から提供を受けた治験使用薬の取扱い及び保管・管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って、次の各号に掲げる業務を行う。
1) 治験使用薬の受領とそれに対する受領書の発行(医師主導治験においては、治験使用薬の入手方法に関する記録の作成を含む)
2) 治験使用薬の在庫管理(保管・管理及び払い出し)及び治験機器の保守点検
3) 治験使用薬の保管・管理及び払い出しに関する記録の作成
4) 被験者毎の使用状況の把握とその記録の作成
5) 未使用治験使用薬(被験者からの未使用返却治験使用薬、使用期限切れ治験使用薬、欠陥品を含む)の治験依頼者又は手順書に定めるものへの返却又はそれに代わる処分
6) 治験実施計画書に従って、規定された量の治験使用薬が被験者に使用されていることの確認
2 治験薬以外の治験依頼者が交付しない治験使用薬であって、実施医療機関が在庫として保管するものの中から使用する治験使用薬については、実施医療機関にお
いて定められた取扱い、保管、管理、処方等に係る手順等に従い対応すること。
第25条 実施医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指名し、治験事務局を設置する。また、自らが設置した治験審査委員会がある場合、治験事務局は治験審査委員会事務局を兼ねることができる。
2 治験事務局は実施医療機関の長の指示により、次に掲げる業務を行う。
1) 治験の契約に係る手続き等の業務
2) 治験の実施に必要な手順書を作成すること。
3) 治験審査委員会の審査の対象となる文書(GCP 省令第 32 条第 1 項及び第 2項参照)及びその他の通知又は報告が、治験依頼者等から実施医療機関の長に提出された場合には、それらを治験審査委員会等に提出する。当該文書が追加、更新又は改訂された場合にも同様とする。
4) 治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示、決定に関する通知文書を作成し、治験責任医師等に伝達すること。
5) 記録の保存
6) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援。例えば、実施医療機関内の治験に関与する部門との連携、治験責任医師等の履歴書等の管理、治験依頼者への文書の発送等
第26条 実施医療機関の長は医療機関内において保存すべき治験の実施に係る文書又は記録の保存責任者を指名する。なお、記録保存責任者は必要に応じ、記録保存担当者を指名し、治験の実施に係る文書又は記録の保存を行わせることができる。
2 治験責任医師は、治験期間中、治験の実施に係る文書又は記録を実施医療機関の長の指示に従って保存する。なお、これらの文書又は記録は治験終了後、第 1 項の記録保存責任者に移管する。但し、治験責任医師及び実施医療機関の長は、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師及び実施医療機関が作成した全ての治験に係る文書又は記録の管理権限を保持する。
3 原データは、帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性及び完全性を満たすこと。原データを変更した場合、その過程をさかのぼることができるとともに、変更前
の記載内容を不明瞭にしない。
4 実施医療機関の長又は治験の記録の保存責任者は、医療機関において保存すべき文書又は記録が本手順書第 27 条第 1 項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じておくものとする。
第27条 実施医療機関の長は、医療機関において保存すべき文書又は記録を、1) 又は 2) のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について、それぞれと協議するものとする。
1) 当該被験薬に係る製造販売承認日(開発の中止若しくは治験の成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には、その通知を受けた日から 3年が経過した日)
2) 治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
2 製造販売後臨床試験における記録の保存期間は、再審査又は再評価が終了する日
(医療機器では使用成績評価が終了する日)までとする。ただし、医薬品医療機器等法第 23 条の 25 第 3 項(医薬品医療機器等法第 23 条の 26 第 5 項において読み替え適用する場合に限る)に規定する資料を収集するために行った再生医療等製品の製造販売後臨床試験については、製造販売の承認を受ける日又は製造販売後臨床試験の中止もしくは終了後 3 年が経過した日のうちいずれか遅い日。なお、製造販売後臨床試験依頼者から特に申し出があった場合の保存期間及びその方法については、製造販売後臨床試験依頼者と協議の上、定めるものとする。
第28条 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。
2 実施医療機関の長は、企業主導治験において治験依頼者から提供された資料その他の情報及び治験の結果得られた情報について、事前の文書による承諾なしに第三者に開示・提供・漏洩してはならない。
第29条 本手順書の改廃は、xx大学病院臨床試験センター・xx大学xx研究所病院研究部・xx大学メディカルセンター治験管理室・xx大学東洋医学総合研究所 EBM センターで協議し、実施医療機関の長の承認を得るものとする。なお、組織名称の変更が生じた場合は、変更後の組織名称に読み替えるものとする。
附則(施行期日)
本手順書は、 1999 年 11 月 1 日より施行する。
改訂 1 2000 年 2 月 18 日
改訂 2 2000 年 9 月 7 日
改訂 3 2004 年 12 月 16 日
改訂 4 2006 年 5 月 12 日
改訂 5 2007 年 8 月 27 日
改訂 6 2008 年 4 月 1 日
改訂 7 2009 年 4 月 1 日
改訂 8 2009 年 7 月 1 日
改訂 9 2010 年 10 月 1 日
改訂 10 2011 年 11 月 22 日
改訂 11 2012 年 4 月 1 日
改訂 12 2012 年 5 月 1 日
改訂 13 2013 年 4 月 1 日
改訂 14 2014 年 7 月 24 日
改訂 15 2015 年 5 月 1 日
改訂 16 (xx総第 2018‐00556 号) 2018 年 5 月 1 日
改訂 17 (xx総第 2019‐12531 号) 2020 年 4 月 1 日
改訂 18 (xx総第 2021‐00602 号) 2021 年 5 月 1 日
以上