Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
資料6
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
請負契約とその規律
1.請負の意義
○「請負」とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約である(民法§632)。
・「仕事」とは労務の結果により発生する結果をいい、有形・無形を問わない。
・「完成」とは労務によってまとまった結果を発生させることをいい、原則として自由に履行補助者や下請負人を使うことができる。
・「報酬」は必ずしも金銭による必要はなく、また、仕事の目的物の引渡と報酬の支払いは原則として同時履行の関係に立つ。
2.請負の成立
○請負契約は諾成契約であり、何らの様式を必要としない。
3.請負契約の例
○請負契約には、建設工事のほか、造船契約、運送契約、クリーニングの契約、洋服の仕立て契約等が存在する。
4.請負人の義務、責任、権利
○請負人の仕事完成義務
①適当な時期に仕事に着手し、契約に定められた仕事を完成しなければならない。
・仕事に着手しないとき、又は約定の期日までに仕事を完成しないときは、注文者は、債務不履行を理由に契約を解除できる
(民法§541)。
②履行補助者を使用した場合には、それらの行為についても注文者に責任を負わなければならない*。
③仕事を完成した後には、その完成物を注文者に引き渡さなければならない。
④目的物が不可抗力によって滅失又は毀損した場合の危険負担(増加費用等の発生した損害の負担)は、請負人の負担とされている(約款において注文者負担とされている)。
*履行補助者の位置づけ(xxx 「民法 第二部(債権各論)」より)
・下請負が許されているときは、下請負人は元請負人の履行代行者または履行補助者であるから、下請負人の故意過失につき元請負人は責任を負う。
・下請負が利用されても、注文者と元請負人との法律関係は何ら変更を受けず、注文者と下請負人との間には、直接の法律関係は生じない。
※仕事を完成する義務があるものの、注文者の指図がなければその手法は問われない
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4.請負人の義務、責任、権利(続き)
○請負人の担保責任
①仕事の目的物に瑕疵がある場合には注文者は原則として瑕疵修補請求権、損害賠償請求権及び契約解除権(土地の工作物については解除は不可)を有する(民法§634、§635)。
②担保責任の存続期間は、土地の工作物の場合、普通の工作物は5年、石造等の堅固な工作物は10年(民法§638。ただし約款によって修正されている)。
○請負人の権利
注文者が破産手続き開始の決定を受けたときは、契約の解除をすることができる(契約解除によって生じた損害賠償は、破産管財人が契約解除をした場合の請負人のみが請求可能)(民法§642)。
5.注文者の義務、責任、権利
○注文者の義務
報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならない(報酬支払義務)(民法§632、§633)。
○注文者責任
注文者の請負人に対する注文や指図について過失があったときは、注文者は、請負人が第三者に加えた損害を賠償しなければならない(民法§716ただし書)。
○注文者の権利
注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、発生した損害を賠償して、いつでも契約を解除することができる(民法§641)。なお、損害賠償の範囲は逸失利益を含む。
6.請負契約と売買契約における印紙税の取扱い
○印紙税法においては、その契約が請負であるか売買であるかによって、適用される税率が異なる。この点、請負であるか売 買であるかの判断基準は、契約当事者の意思が、仕事の完成に重きをおいているか、物の所有権移転に重きをおいているかによって判断することとされている。しかしながら、具体的な取引においては、必ずしもその判別が明確なものばかりではないことから、その判別が困難な場合には、次のような基準で判断することとされている。
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(例) ・請負契約に該当するものと認められるもの・・・注文者の指示に基づき一定の仕様又は規格等に従い、製作者の労務によって工作物を建設することを内容とするもの(注文住宅の建築、橋梁の架設等)
・売買契約に該当すると認められるもの・・・製作者が工作物をあらかじめ一定の規格で統一し、これにそれぞれの価格を付して注文を受け、当該規格に従い、工作物を製作し、供給することを内容とするもの(建売住宅の供給等)
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請負(民法) | 建設工事の請負契約(建設業法) | ||
目的 | 労務の成果の給付(仕事の完成) | 建設工事の完成(建設業法§2②) | |
定義 | 当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する(民法§632) | 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約(建設業法§24) | |
位置付け | 契約自由の原則に基づき最小限の事項を規定 | 契約自由であるものの、建設工事を適切に請け負う上で建設業者が遵守すべき事項を規定(遵守しないことを理由として契約そのものが無効であるとする強行規定はなし) | |
契約の成立 | 両当事者の合意のみによって成立 ※口約束も効力を有する | 一定の重要事項を記載した書面の交付義務(建設業法§19①) ※契約の成立要件ではない | |
契約履行の過程・方法 | 規定なし | 適正施工を図る等の観点から、一括下請負の禁止(建設業法§22)、技術者設置義務 (建設業法§26①)等の加重要件あり | |
報酬の有無 | 報酬あり(民法§632) | 報酬あり(建設業法§24) | |
報酬支払時期 | 目的物引渡しと同時(民法§633) | 契約書毎に記載(建設業法§19①Ⅺ) ※注文者から支払を受けた場合の下請への支払規定(建設業法§24の3①)、特定建設業者の下請への支払規定(建設業法§24の5①)あり ※工期途中での解除の場合、発注者が出来形部分に相応する請負代金を支払う義務 (公共約款§50①、甲約款§36①、乙約款§24⑥、下請約款§35③) | |
前払金 | 規定なし | 注文者の前払金を想定した規定あり(建設業法§19①Ⅳ、§21、§24の3②) ※公共工事における前払金に関する各種規定あり(公共約款§34等) | |
途中段階で必要となった費用の負担 | 規定なし | 契約書毎に記載(建設業法§19⑤) ※設計変更等があった場合の発注者による請負代金額の変更規定等 (公共約款§25、甲約款§32、乙約款§22、下請約款§20)あり | |
債務不履行時の損害賠償責任 | 損害賠償請求権あり(民法§415) | 契約書毎に記載(建設業法§19①ⅩⅢ) ※解除に伴う違約金や損害賠償の規定あり (公共約款§47②、甲約款§34①、乙約款§24①、下請約款§35⑤ 等) | |
瑕疵担保責任 | 瑕疵修補請求権(+損害賠償請求権)あり (民法§634①②) | 契約書毎に記載(建設業法§19①Ⅻ) ※工事目的物に瑕疵がある場合の瑕疵修補請求権及び損害賠償請求権に関する規定あり (公共約款§44、甲約款§29、乙約款§19、下請約款§33) | |
委任契約 | ||
定義 | 仕事の完成に対して対価を支払う契約(民法§632) | 法律行為をすることを相手に委託する契約(民法§643) ※法律行為でない事務を委託する場合は、準委任契約として、委任の規定を準用 |
報酬請求の根拠 | 仕事の完成 | 一定の事務の処理 (仕事の完成の有無にかかわらない) |
成果実現の危険 | 請負者が負担 | 委任者が負担 |
発注者解除 | 損害を賠償した上でいつでも契約を解除することができる(民法§641) | いつでも契約を解除することができる(民法§651①) ただし、相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、相手方の損害を賠償しなければならない(民法§651②) |
建設工事は、仕事完成義務の観点からは請負契約である。他方、片務性の是正のため、報酬の支払時期等注文者に一定のリスク負担を求めていることや、受注者が注文者の技術者等の指導に従うこと等を踏まえれば、一部、準委任的な性質を帯びているとする考え方もある。
【請負契約と判断された例】
請負と委任の相違
○コンピュータープログラムの製作を目的とする契約において、完成はしなかったがソフトウェア業者から報酬請求がなされた事案
→判決:契約上、ソフトウェア業者はプログラムの完成義務を負っており、本件契約は請負契約と解される。よって、プログラムを作成できなかったソフトウェア業者は代金請求権を有しない
【委任契約と判断された例】
○清掃会社とビル管理会社とのビル清掃契約において、契約期間満了前にビル管理会社が契約を解除した事案
→判決:契約の継続的な性質に照らせば、本件契約は請負契約ではなく準委任契約と解され、委任の規定が適用される。委任契約では、委任者側はいつでも契約を解除できることから、清掃会社による損害賠償請求は認められない
【参考:浄化槽法における規定】
第10条第3項 浄化槽管理者は、浄化槽の保守点検を・・・浄化槽の保守点検を業とする者の登録制度が設けられている場合には当該登録を受けた者に、・・・又は浄化槽の清掃を浄化槽清掃業者に委託することができる。
第28条第4項 浄化槽工事の注文者は、・・・・・・その浄化槽工事の請負契約を解除することができる。 4
○建設業法第24条において、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、「委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の請負契約とみなす」旨が規定されている。
○これは、現実に締結される契約は、建設工事の完成を目的としているものであっても、必ずしも請負という 名義を用いていない場合があることから、本法の適用の対象を明確にし、脱法行為を防ぐために設けられたものである。
○本条により、委託、雇用、委任その他如何なる名義を用いるもので有ろうと、実質的に報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約はすべて建設工事の請負契約とみなされ、このような行為をする者に対しては、本法の規定が適用される。
(参考)
○建設工事を請負契約によって完成することを営業とする者のみを対象と致しますときは、実際は業態において本来の請負と差異はないにもかかわらず委託等の名義によって工事を行い故意にこの法律の適用を免れる者の生じる虞もあり、不適当と認められますので、斯る場合を防止することを意図した
ものであります。 (建設業法制定当時の質疑応答資料から抜粋)
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○ 約款とは、契約に定められた契約当事者xxの具体的な権利義務関係を定めた条項をいう。
○ 建設工事においては、契約内容に不確実性(金額や工期、天災等)があり、また、契約者の一方に片務性が生じうる可能性がある。
このため、契約関係の明確化、適正化と片務性を解消すべく、建設業法第3章において、契約の書面主義をはじめとした請負契約の適正化のための規定を置いている。
○ 加えて、請負契約の当事者間の具体的な権利義務関係の内容を律するため、建設業法第34条第1項に規定される中央建設業審議会においては、建設業法の制定当時より、建設工事の標準請負契約約款を作成し、その実施を勧告している。※勧告先:公共発注者(国、地方公共団体、JR、電気・ガス会社等)、建設業団体、民間建築関係団体
・公共工事標準請負契約約款
・民間建設工事標準請負契約約款(甲)及び(乙)
・建設工事標準下請契約約款
○ また、民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会や、建設業団体(日建連、xx等)も、約款を含めた各種の契約書を策定しており、実際の契約に用いられている。
【建設業法に定められる請負契約の内容と公共約款での規定の対比(一例)】
建設業法 | 公共工事標準請負契約約款 |
第19条第1項第5号 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め | 第19条 発注者は、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。(発注者による設計変更) |
第20条第1項 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事をx xできないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに受注者に通知して、工事の全部又は一部 | |
の施工を一時中止させなければならない。(発注者による工事の中止) 6 |
第1条 総則
第2条 関連工事の調整 第3条 請負代金内訳書及び工程表
第4条 契約の保証
第5条 権利義務の譲渡等 第6条 一括委任又は一括下請負の禁止
第7条 下請負人の通知第8条 特許xxの使用第9条 監督員
第10条 現場代理人及びxx技術者等 第11条 履行報告
第12条 工事関係者に関する措置請求
第13条 工事材料の品質及び検査等 第14条 監督員の立会い及び工事記録の整備等
第15条 支給材料及び貸与品 第16条 工事用地の確保等
第17条 設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等
第18条 条件変更等 第19条 設計図書の変更
第20条 工事の中止
第21条 受注者の請求による工期の延長 第22条 発注者の請求による工期の短縮等
第23条 工期の変更方法 第24条 請負代金額の変更方法等
第25条 賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更第26条 臨機の措置
第27条 一般的損害
第28条 第三者に及ぼした損害
第29条 不可抗力による損害
第30条 請負代金額の変更に代える設計図書の変更 第31条 検査及び引渡し
第32条 請負代金の支払い
第33条 部分使用 第34条 前金払及び中間前金払
第35条 保証契約の変更第36条 前払金の使用等第37条 部分払
第38条 部分引渡し 第39条 債務負担行為に係る契約の特則
第40条 債務負担行為に係る契約の前金払[及び中間前金払]の特則
第41条 債務負担行為に係る契約の部分払の特則 第42条 第三者による代理受領
第43条 前払金等の不払に対する工事中止 第44条 瑕疵担保
第45条 履行遅滞の場合における損害金等
第46条 公共工事履行保証証券による保証の請求 第47条 発注者の解除権
第48条
第49条 受注者の解除権第50条 解除に伴う措置
第51条 火災保険等 第52条 あっせん又は調停
第53条 仲裁
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第54条 情報通信の技術を利用する方法第55条 補則
※公共約款を受け国土交通省が作成している契約書においては、下請の
社会保険加入義務や談合に係る違約金を課す等の追加的規定を置いている
CM方式とは
発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。
段階 | 業務内容 |
設計段階 | ①設計候補者の評価、②設計の検討支援、③設計VE、等 |
発注段階 | ①発注区分・発注方式の提案、 ②施工者の公募・評価、③工事価格算出の支援、➃契約書類の作成・アドバイス等 |
施工段階 | ①施工者間調整、②工程計画作成・管理、③施工図チェック、 ➃品質管理チェック、⑤コスト管理等 |
ピュア型CM
CMRが、設計・発注・施工の各段階において、マネジメント業務を行う方式
発 注 者
アットリスク型CM
左記のマネジメント業務を加えて、CMRが施工に関するリスクを負う方式
発 注 者
C M R
設計
マネジメント
施工
マネジメント
設計
C M R
マネジメント
施工
※業務内容は発注者のニーズによって取捨選択
建設コンサルタント 建設会社
建設会社 建設会社
建設コンサルタント 建設会社
建設会社 建設会社
期待される効果
海外での活用事例
多様な建設生産・管理システムの形成による発注者の選択肢の多様化コスト構成の透明化とそれによる適正価格の把握
発注プロセスの透明性の確保とステークホルダー(株主、納税者等)への説明責任
設計・発注・施工の各段階における民間のマネジメント技術の活用品質管理の徹底
発注体制の強化(発注者内技術者の量的・質的補完)品質・技術に優れた施工者の育成(特に専門工事業者)マネジメントのフィービジネスとしての確立
→建設企業の活動領域の拡大の促進(建設工事の上流・下流、PFI、 PPP等)、建設企業にとってノウハウの提供による収入源の確保
○アメリカ
民間工事では1960年代より活用されており、一般的に広く普及、工事の発注方式として主要な方式の一つとなっている。公共工事でも採用されている。
○イギリス
民間工事では一般的に広く普及、公共工事でも活用されている。
○フランス・ドイツ
民間工事では一部活用されている。
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CM方式における発注者とCMRとの契約には、以下のように工事請負契約と類似する点が見られる。
(例)
○ アットリスク型CMの場合、CMRが施工に係るリスク(最大保証金額を超えた場合の超過分について、CMRが負担)を負うことがある。
※危険負担について請負人が負担することとされていることとの類似性
○ CMRが建設会社(専門工事業者)と直接工事請負契約を締結した場合、発注者と建設会社との間に契約関係は生じず、CMRが発注者に対し建設会社の保証人的責任を負うことがある。
※建設会社が下請(履行補助者)に相当することとの類似性
⇒建設工事を目的とする観点で、工事請負契約と共通しているCM方式について、どのように扱うべきか。
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規律 | 公共工事 | 民間工事 | |
受注者に対する規律 | 建設工事の見積り | ・見積りの努力義務及び注文者から請求があった場合の提示義務(業法§20) | ・見積りの努力義務及び注文者から請求があった場合の提示義務(業法§20) |
下請代金の支払 | ・請負代金の支払を受けてから1月以内に、下請に対して下請代金を支払う義務(法§24の3) | ・請負代金の支払を受けてから1月以内に、下請に対して下請代金を支払う義務(法§24の3) | |
下請負人に対する指導 | ・下請負人が当該工事の施工に関し法令の規定に違反しないよう指導する義務(業法§24の6) | ・下請負人が当該工事の施工に関し法令の規定に違反しないよう指導する義務(業法§24の6) | |
監理技術者の配置要件 | ・4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)の下請契約を締結する場合(業法§26Ⅱ) | ・4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)の下請契約を締結する場合(業法§26Ⅱ) | |
xx技術者・監理技術者の専任要件 | ・公共性のある施設・工作物又は多数の者が利用する施設・工作物で、契約金額が3,500万円以上(建築一式工事は 7,000万円以上)の場合(業法§26Ⅲ) | ・公共性のある施設・工作物又は多数の者が利用する施設・工作物で、契約金額が3,500万円以上(建築一式工事は 7,000万円以上)の場合(業法§26Ⅲ) | |
一括下請負の禁止 | ・全面禁止(入xx§12) | ・共同住宅の新築以外の工事で、発注者から書面による承諾を得たときは、一括下請負が可能(業法§22) | |
施工体制台帳の作成、備置き | ・全ての工事において作成、備置きが必要(入xx§15) | ・特定建設業者(※)のみ作成、備置きが必要(業法§24の 7) | |
経営事項審査の受審 | ・事業年度ごとに受審義務(業法§27の23) (各発注者の入札参加資格要件に位置付けられている) | ・義務無し | |
許可行政庁による指導、助言、勧告 | ・許可行政庁から建設業者に対して指導、助言、勧告が可能 (業法§41) | ・許可行政庁から建設業者に対して指導、助言、勧告が可能 (業法§41) | |
許可行政庁による公取への措置請求 | ・不当に低い請負代金で契約を締結し、独禁法違反と認められるときは、公取に対して独禁法に基づく措置を請求することが可能(業法§42) ※過去の発動事例無し | ・不当に低い請負代金で契約を締結し、独禁法違反と認められるときは、公取に対して独禁法に基づく措置を請求することが可能(業法§42) ※過去の発動事例無し |
※特定建設業者・・・4,000万円以上(建築一式工事にあっては6,000万円以上)の下請契約を締結する事業者10
規律 | 公共工事 | 民間工事 | |
発注者に対する規律 | 契約内容の明示 | ・書面の交付義務(契約当事者双方の義務) (業法§19) | ・書面の交付義務(契約当事者双方の義務) (業法 §19) |
不当に低い請負代金の禁止 | ・自己の取引上の地位を不当に利用した、原価に満たない金額での請負契約締結の禁止(業法§19の3) →違反した場合、許可行政庁による勧告(業法§19の5) | ・自己の取引上の地位を不当に利用した、原価に満たない金額での請負契約締結の禁止(業法§19の3) →勧告規定無し (ただし、発注者が建設業者の場合は、業法§41により、必要な助言指導が可能) | |
発注見通しや入札契約の課程の公表 | ・公表義務(入xx§4~§8) | ・義務無し | |
発注者による入札金額の内訳の提出 | ・内訳を記載した書類の提出義務(入xx§12) | ・義務無し | |
受注者が欠格事由に該当する場合の許可行政庁への通報 | ・通報義務(入xx§11) | ・義務無し | |
発注者の責務 | ・予定価格の適正な設定 ・適正な予定価格に沿った速やかな契約締結 ・最低制限価格の設定 ・適正な工期の設定 ・適切な設計図書の変更及び請負代金の額又は工期の変更 ・施工状況の確認及び評価の実施 (品確法§7各号) ・監督や検査の実施(会計法§29の11、地方自治法§234の2) | ・義務無し | |
その他 | 前払金の支払い | ・会計法、地方自治法に基づき、発注者は原則4割の前払金を支払 ・前払保証法に基づき、前払保証会社が保証 | ・前払金の支払は任意 ・前払保証会社による保証は無し |
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他法令における規律の例
宅地建物取引業法 (昭和27年法律第 176号) | ・自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限(法§33の2) ・取引態様の明示義務(法§34) ・媒介契約時の書面交付義務等(法§34の2) ・重要事項の説明義務(法§35) ・当事者としての契約時の書面交付義務(法§37) |
特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号) | 【訪問販売について】 ・訪問販売における氏名等の明示(法§3) ・契約を締結しない旨の意思表示をした者に対する勧誘の禁止等(法§3の2) ・訪問販売における書面交付義務(法§4、§5) ・不実のことを告げる行為の禁止等(法§6) ・契約の申込みや意思表示の取消等(法§9~§9の3) |
割賦販売法(昭和 36年法律第159号) | 【割賦販売について】 ・割賦販売条件の表示等(法§3) ・契約締結時の書面交付義務(法§4) |
消費者契約法(平成12年法律第61号) | ・事業者の行為で誤認した際の契約申込み、承諾意思表示の取消し(法§4) ・事業者の損害賠償の責任を免除する条項は無効である旨(法§8) ・消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効(法§9) |
・消費者の利益を一方的に害する条項の無効(法§10) 12 |
新たに検討すべき規律
担い手確保や働き方改革、生産性向上、消費者保護といった政策的要請を踏まえ、建設工事に関して受発注者間で備えるべき規律にはどのようなものが考えられるか。
(例)
○ 担い手確保や働き方にも配慮した適正な工期や請負代金額の設定、それを実現するための責務
○ 消費者保護の観点から、発注経験がほとんどない個人発注者等への説明する責務
○ 生産性向上の観点から、発注者が用意する設計図書の密度や受注者からの問い合わせへの対応
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