(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000002.html)に掲載予定です 。
国 不 建 推 第 2 6 号令 和 4 年 8 月 2 日
建設業者団体の長 殿
国土交通省不動産・建設経済局建設業課長
( 公 印 省 略 )
発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインの一部改正について
建設業法において、契約当事者は、各々対等な立場における合意に基づいて、契約締結及 びその履行を図るべきものとし、不当に低い請負代金の禁止、不当な使用資材等の購入強制 の禁止など契約の適正化のために契約当事者が遵守すべき最低限の義務等を定めていますが、これらの規定の趣旨が十分に認識されていない場合等においては、法令遵守が徹底されず、 建設業の健全な発展と建設工事の適正な施工を妨げるおそれがあります。
公共工事、民間工事にかかわらず、法令遵守は、受発注者双方が徹底を図らなければならないものであり、「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」(平成23 年8月策定。以下「受発注者ガイドライン」という。)を策定し、その周知に努めてきたところです。今般、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策(令和4年4月26日原油 価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)」において、現下の原材料費等の高騰の状況を踏まえた新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等の一環として、建設業における適正な請負代金の設定や適切な工期の確保等について政府全体で取り組むこととされたこと、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)」において、令和8年の約束手形の利用廃止に向けた取組を促進する閣議決定されていること、下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号)に基づく振興基準(令和
4年7月29日改定)において、約束手形をできる限り利用しないよう努めること及びサプライチェーン全体で約束手形の利用の廃止等に向けた取組を進めることとされていること、宅地造成等規制法の一部を改正する法律(令和4年法律第55号。通称「盛土規制法」)が令和4年5月27日に公布されたことなどから、「建設業法令遵守ガイドライン」(平成 19 年6月策定)のほか、受発注者ガイドラインについても所要の改訂を行いました。
貴団体におかれましては、受発注者ガイドラインの改訂の趣旨及び内容を了知の上、傘下の建設業者に対し、その周知と適正な契約締結及びその履行が徹底されるようよろしくお願いするとともに、引き続き建設業者の法令遵守の推進が図られますよう指導方併せてお願いします。
なお、受発注者ガイドラインは、国土交通省のホームページ
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxxx/xxxxx/xxxxx_xxxxx_xx0_000000.xxxx)に掲載予定です。
発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン改訂新旧対照表
(朱色傍線部分は変更部分)
改 正 (令和 4 年 8 月) | 現 行 (令和 3 年 7 月) | 備 考 |
はじめに (略) | はじめに (略) | |
1.見積条件の提示等(建設業法第20条第4項、第20条の2) | 1.見積条件の提示等(建設業法第20条第3項、第20条の2) | |
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】 ①~②(略) 【建設業法上違反となる行為事例】 ③~④(略) | 【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】 ①~②(略) 【建設業法上違反となる行為事例】 ③~④(略) | |
上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第20条第4項に違反するおそれがあり、③のケースは、同項に違反し、④のケースは、同項及び第20条の2に違反する。 | 上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第20条第3項に違反するおそれがあり、③のケースは、同項に違反し、④のケースは、同項及び第20条の2に違反する。 | |
建設業法第20条第4項では、発注者は、建設工事の請負契約を締結する前に、下記(1)に示す具体的内容を受注予定者に提示し、その後、受注予定者が当該工事の見積りをするために必要な一定の期間を設けることが義務付けられている。これは、請負契約が適正に締結されるためには、発注者が受注予定者に対し、あらかじめ、契約の内容となるべき重要な事項を提示し、適正な見積期間を設け、見積落し等の問題が生じないよう検討する期間を確保し、受注予定者が請負代金の額の計算その他請負契約の締結に関する判断を行うことが可能となることが必要であることを 踏まえたものである。 | 建設業法第20条第3項では、発注者は、建設工事の請負契約を締結する前に、下記(1)に示す具体的内容を受注予定者に提示し、その後、受注予定者が当該工事の見積りをするために必要な一定の期間を設けることが義務付けられている。これは、請負契約が適正に締結されるためには、発注者が受注予定者に対し、あらかじめ、契約の内容となるべき重要な事項を提示し、適正な見積期間を設け、見積落し等の問題が生じないよう検討する期間を確保し、受注予定者が請負代金の額の計算その他請負契約の締結に関する判断を行うことが可能となることが必要であることを踏 まえたものである。 |
(1)見積りに当たっては工事の具体的内容を提示することが必要
(1)見積りに当たっては工事の具体的内容を提示することが必要
建設業法第20条第4項により、発注者が受注予定者に対して提示しなければならない具体的内容は、同法第19条により請負契約書に記載することが義務付けられている事項(工事内容、工事着手及び工事完成の時期、工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときはその内容、前金払又は出来形部分に対する支払の時期及び方法等(8ページ「2-1 当初契約」参照))のうち、請負代金の額を除くすべての事項となる。
建設業法第20条第3項により、発注者が受注予定者に対して提示しなければならない具体的内容は、同法第19条により請負契約書に記載することが義務付けられている事項(工事内容、工事着手及び工事完成の時期、工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときはその内容、前金払又は出来形部分に対する支払の時期及び方法等(8ページ「2-1 当初契約」参照))のうち、請負代金の額を除くすべての事項となる。
見積りを適正に行うという建設業法第20条第4項の趣旨に照らすと、例えば、上記のうち「工事内容」に関し、発注者が最低限明示すべき事項としては、
①工事名称
②施工場所
③設計図書(数量等含む)
④工事の責任施工範囲
⑤工事の全体工程
⑥見積条件
⑦施工環境、施工制約に関する事項
が挙げられ、発注者は、具体的内容が確定していない事項についてはその旨を明確に示さなければならない。施工条件が確定していないなどの正当な理由がないにもかかわらず、発注者が、受注予定者に対して、契約までの間に上記事項等に関し具体的な内容を提示しない場合には、建設業法第20条第4項に違反する。
また、建設業法第20条の2により、発注者は、当該建設工事に関し、
① 地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象
② 騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象
が発生するおそれがあることを知っているときは、請負契約を締結するまでに、受注予定者に対して、必要な情報(例えば、地盤
見積りを適正に行うという建設業法第20条第3項の趣旨に照らすと、例えば、上記のうち「工事内容」に関し、発注者が最低限明示すべき事項としては、
①工事名称
③施工場所
③設計図書(数量等含む)
④工事の責任施工範囲
⑤工事の全体工程
⑥見積条件
⑦施工環境、施工制約に関する事項
が挙げられ、発注者は、具体的内容が確定していない事項についてはその旨を明確に示さなければならない。施工条件が確定していないなどの正当な理由がないにもかかわらず、発注者が、受注予定者に対して、契約までの間に上記事項等に関し具体的な内容を提示しない場合には、建設業法第20条第3項に違反する。
また、建設業法第20条の2により、発注者は、当該建設工事に関し、
① 地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象
② 騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象
が発生するおそれがあることを知っているときは、請負契約を締結するまでに、受注予定者に対して、必要な情報(例えば、地盤
に関するボーリング調査結果報告書、土壌汚染調査報告書、既存 に関するボーリング調査結果報告書、土壌汚染調査報告書、既存
建物の建築図面、近隣住民との工事に関する協定書・要望書など、 建物の建築図面、近隣住民との工事に関する協定書・要望書など、
発注者が認識している情報)を提供しなければならない。発注者が把握しているにも関わらず必要な情報を提供しなかった場合、建設業法第20条第4項及び第20条の2に違反する。
発注者が認識している情報)を提供しなければならない。発注者が把握しているにも関わらず必要な情報を提供しなかった場合、建設業法第20条第3項及び第20条の2に違反する。
(2)~(3) (略) (2)~(3) (略)
(4)予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要 (4)予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要
建設業法第20条第4項により、発注者は、以下のとおり受注予定者が見積りを行うために必要な一定の期間(下記ア~ウ(建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第6条)を設けなければならないこととされている。
ア 工事2件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上
イ 工事1件の予定価格が500万円以上5,000万円に満たない工事については、10日以上
ウ 工事1件の予定価格が5,000万円以上の工事については、15日以上
建設業法第20条第3項により、発注者は、以下のとおり受注予定者が見積りを行うために必要な一定の期間(下記ア~ウ(建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第6条)を設けなければならないこととされている。
ア 工事2件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上
イ 工事1件の予定価格が500万円以上5,000万円に満たない工事については、10日以上
ウ 工事1件の予定価格が5,000万円以上の工事については、15日以上
上記期間は、受注予定者に対する契約内容の提示から当該契約の締結又は入札までの間に設けなければならない期間である。そのため、受注予定者が所定の見積期間満了を待たずに見積書を交付した場合を除き、例えば、4月1日に契約内容の提示をした場合には、アに該当する場合は4月3日、イに該当する場合は4月
12日、ウに該当する場合は4月17日以降に契約の締結又は入札をしなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、イ及びウの期間は、5日以内に限り短縮することができる。
上記の見積期間は、受注予定者が見積りを行うための最短期間であり、より適正な見積が行われるようにするためには、とりわけ大型工事等において、発注者は、受注予定者に対し、余裕を持った十分な見積期間を設けることが望ましい。
また、上記見積期間については、追加工事等に伴う見積依頼に
上記期間は、受注予定者に対する契約内容の提示から当該契約の締結又は入札までの間に設けなければならない期間である。そのため、受注予定者が所定の見積期間満了を待たずに見積書を交付した場合を除き、例えば、4月1日に契約内容の提示をした場合には、アに該当する場合は4月3日、イに該当する場合は4月
12日、ウに該当する場合は4月17日以降に契約の締結又は入札をしなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、イ及びウの期間は、5日以内に限り短縮することができる。
上記の見積期間は、受注予定者が見積りを行うための最短期間であり、より適正な見積が行われるようにするためには、とりわけ大型工事等において、発注者は、受注予定者に対し、余裕を持った十分な見積期間を設けることが望ましい。
また、上記見積期間については、追加工事等に伴う見積依頼に
おいても同様に適用されるため、留意すること。
なお、国が一般競争入札により発注する公共工事については、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第74条の規定により入札期日の前日から起算して少なくとも10日前(急を要する場合には5日までに短縮可能)に公告しなければならないとされており、この期間が上記ア~ウの見積期間とみなされる。
おいても同様に適用されるため、留意すること。
なお、国が一般競争入札により発注する公共工事については、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第74条の規定により入札期日の前日から起算して少なくとも10日前(急を要する場合には5日までに短縮可能)に公告しなければならないとされており、この期間が上記ア~ウの見積期間とみなされる。
2.~4.(略) 2.~4.(略)
5.原材料費等の高騰・納期遅延等の状況における適正な請負代 金の設定及び適正な工期の確保(建設業法第19条第2項、第
19条の3、第19条の5))
(新設)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
原材料費、労務費、エネルギーコスト等(以下「原材料費等という。)の高騰や資材不足など発注者及び受注者双方の責め
に帰さない理由により、施工に必要な費用の上昇、納期の遅延、 工事全体の一時中止、前工程の遅れなどが発生しているにもかかわらず、追加費用の負担や工期について発注者が受注者からの協議に応じず、必要な変更契約を行わなかった場合
(新設)
上記のケースは、建設業法第19条第2項に違反し、第19条 の3又は第19条の5に違反するおそれがある。
(新設)
(1)原材料費等の高騰や納期遅延が発生している状況において は、取引価格を反映した適正な請負代金の設定や納期の実態を踏まえた適正な工期の確保のため、請負代金及び工期の変更に関する規定を適切に設定・運用することが必要
(新設)
原材料費等の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や納期
の実態を踏まえた適正な工期の確保のため、請負契約の締結に当 たっては、公共工事標準請負契約約款第26条(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)(いわゆるスライド条項)及び第22条(受注者の請求による工期の延長)又は民間建設工事標準請負契約約款(甲)第31条(請負代金額の変更)及び第30条(工事又は工期の変更等)(電力・ガス、鉄道等の民間企業の工事の請負契約においては公共工事標準請負契約約款を使用)を適切に設定・運用するとともに、契約締結後においても受注者から協議の申出があった場合には発注者が適切に協議に応じること等により、状況に応じた必要な契約変更を実施するなど、適切な対応を図る必要がある。
なお、発注者・受注者間におけるこれらの対応は、元請負人・ 下請負人間の適正な請負代金の設定及び適正な工期の確保に当たっても重要であること、下請中小企業振興法(昭和45年法律第
145号)に基づく振興基準(令和4年7月29日、以下「振興 基準」という。)において、建設など見積り及び発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、期中に原材料費等のコストが上昇した場合であって、下請事業者からの申出があったときは、親事業者は、期中の価格変更にできる限り柔軟に応じるものとするとされていることについても留意しなければならない。
(2)発注者が受注者との協議や変更契約に応じない場合は「不 当に低い請負代金の禁止」や「著しく短い工期」に違反するおそれ
(新設)
建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)により禁 止される行為は、当初契約の締結に際して不当に低い請負代金を強制することに限られず、契約締結後に原材料費等が高騰したにもかかわらず、それに見合った請負代金の増額を行わないことも含まれる。
このため、原材料費等が高騰している状況において、発注者が、 自己の取引上の地位を不当に利用して、受注者側からの協議に応じず、必要な変更契約を行わなかった結果、請負代金の額がその
建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない 金額となっている場合には、同条に違反するおそれがある。
また、建設業法第19条の5(著しく短い工期の禁止)により 禁止される行為は、当初契約の締結に際して著しく短い工期を設定することに限られず、契約締結後、原材料等の納期の遅延など受注者の責めに帰さない理由により、当初の契約どおり工事が進行しない場合等において必要な工期の変更を行わないことも含まれる。
このため、資材不足等により原材料費等の納期遅延が発生して いる状況において、その工期が、注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間となっている場合には、同条に違反するおそれがある。
なお、建設業法第19条の6において、国土交通大臣又はxx 府県知事は、発注者が同法第19条の3又は第19条の5の規定に違反している事実があり、特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して必要な勧告をすることができ、発注者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができると規定している。
適正な請負代金の設定については、10ページ「2.書面によ る契約締結 2-1当初契約(5)、(6)」、14ページ「2-2追加工事等に伴う追加・変更契約(3)」を参照。
適正な工期の確保については、17ページ「3.著しく短い工 期の禁止」、15ページ「2.書面による契約締結 2-3工期変更に伴う変更契約(1)、(2)、(3)」を参照。
不当に低い請負代金については、19ページ「4.不当に低い 請負代金」を参照。
6.指値発注(建設業法第19条第1項、第19条の3,第20条第4項)
5.指値発注(建設業法第19条第1項、第19条の3,第20条第3項)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①~③(略)
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①~③(略)
【建設業法上違反となる行為事例】
④~⑤(略)
【建設業法上違反となる行為事例】
④~⑤(略)
上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがある。また、④のケースは同法第19条第1項に違反し、⑤のケースは同法第20条第4項に違反する。
上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがある。また、④のケースは同法第19条第1項に違反し、⑤のケースは同法第20条第3項に違反する。
指値発注とは、発注者が受注者との請負契約を交わす際、受注者と十分な協議をせず、又は受注者との協議に応じることなく、
指値発注とは、発注者が受注者との請負契約を交わす際、受注者と十分な協議をせず、又は受注者との協議に応じることなく、
発注者が一方的に決めた請負代金の額を受注者に提示(指値)し、 発注者が一方的に決めた請負代金の額を受注者に提示(指値)し、
その額で受注者に契約を締結させることをいう。指値発注は、建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を締結する。)を没却するものである。
その額で受注者に契約を締結させることをいう。指値発注は、建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を締結する。)を没却するものである。
公共工事においては、入札公告などから入札期日の前日まで一定の期間を設け、また、発注者が積算した予定価格の範囲内で応札した者の中から受注者を決めるのが一般的であり、当初契約時においては、①から⑤までのようなケースは生じにくいものと考える。しかし、発注者は、歩切りをして予定価格を設定することや、歩切りした予定価格による入札手続の入札辞退者にペナルティを課すなどにより、歩切りをした予定価格の範囲内での入札を実質的に強いるようなことは、厳に慎む必要がある。また、変更契約は、入札手続を経ることなく、相対で締結されることから、発注者が請負代金の増額に応じないなどのケースが生じるおそれがあり、建設業法第19条の3違反とならないよう留意が必要である。
公共工事においては、入札公告などから入札期日の前日まで一定の期間を設け、また、発注者が積算した予定価格の範囲内で応札した者の中から受注者を決めるのが一般的であり、当初契約時においては、①から⑤までのようなケースは生じにくいものと考える。しかし、発注者は、歩切りをして予定価格を設定することや、歩切りした予定価格による入札手続の入札辞退者にペナルティを課すなどにより、歩切りをした予定価格の範囲内での入札を実質的に強いるようなことは、厳に慎む必要がある。また、変更契約は、入札手続を経ることなく、相対で締結されることから、発注者が請負代金の増額に応じないなどのケースが生じるおそれがあり、建設業法第19条の3違反とならないよう留意が必要である。
(1)指値発注は建設業法に違反するおそれ (1)指値発注は建設業法に違反するおそれ
指値発注は、発注者としての取引上の地位の不当利用に当たるものと考えられ、請負代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(19ページ「4. 不当に低い発注金額」参照)に満たない金額となる場合には、受注者の当該発注者
指値発注は、発注者としての取引上の地位の不当利用に当たるものと考えられ、請負代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(19ページ「4. 不当に低い発注金額」参照)に満たない金額となる場合には、受注者の当該発注者
に対する取引依存度等の状況によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。
発注者が受注者に対して示した工期が、通常の工期に比べて短い工期である場合には、工事を施工するために「通常必要と認められる原価」は、発注者が示した短い工期で工事を完成させることを前提として算定されるべきである。
発注者が通常の工期を前提とした請負代金の額で指値をした上で短い工期で工事を完成させることにより、請負代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(19ページ「4.不当に低い発注金額」参照)を下回る場合には、建設業法第19条の3に違反するおそれがある。
また、発注者が受注者に対し、指値した額で請負契約を締結するか否かを判断する期間を与えることなく回答を求める行為については、建設業法第20条第4項の見積りを行うための一定期間の確保に違反する(5ページ「1.見積条件の提示等」参照)。
更に、発注者と受注者との間において請負代金の額の合意が得られず、このことにより契約書面の取り交わしが行われていない段階で、発注者が受注者に対し工事の施工を強要し、その後に請負代金の額を発注者の指値により一方的に決定する行為は、建設業法第19条第1項に違反する(8ページ「2.書面による契約締結」参照)。
に対する取引依存度等の状況によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。
発注者が受注者に対して示した工期が、通常の工期に比べて短い工期である場合には、工事を施工するために「通常必要と認められる原価」は、発注者が示した短い工期で工事を完成させることを前提として算定されるべきである。
発注者が通常の工期を前提とした請負代金の額で指値をした上で短い工期で工事を完成させることにより、請負代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(19ページ「4.不当に低い発注金額」参照)を下回る場合には、建設業法第19条の3に違反するおそれがある。
また、発注者が受注者に対し、指値した額で請負契約を締結するか否かを判断する期間を与えることなく回答を求める行為については、建設業法第20条第3項の見積りを行うための一定期間の確保に違反する(5ページ「1.見積条件の提示等」参照)。
更に、発注者と受注者との間において請負代金の額の合意が得られず、このことにより契約書面の取り交わしが行われていない段階で、発注者が受注者に対し工事の施工を強要し、その後に請負代金の額を発注者の指値により一方的に決定する行為は、建設業法第19条第1項に違反する(8ページ「2.書面による契約締結」参照)。
(2)(略) (2)(略)
7.不当な使用資材等の購入強制(建設業法第19条の4)
(1)~(6)(略)
6.不当な使用資材等の購入強制(建設業法第19条の4)
(1)~(6)(略)
8.やり直し工事(建設業法第19条第2項、第19条の3)
(1)~(4)(略)
7.やり直し工事(建設業法第19条第2項、第19条の3)
(1)~(4)(略)
9 支払(建設業法第24条の3第2項、第24条の6) 8.支払(建設業法第24条の3第2項、第24条の6)
【望ましくない行為事例】
【望ましくない行為事例】
①~③(略)
①~③(略)
上記①から③のケースは、いずれも発注者が受注者による建設業法第24条の6違反の行為を誘発するおそれがあり、望ましくない。
(1)請負代金の支払時の留意事項
請負代金については、発注者と受注者の合意により交わされた請負契約に基づいて適正に支払われなければならない。請負代金の支払方法については、原則として当事者間の取り決めにより自由に定めることができるが、本来は工事目的物の引渡しと請負代金の支払は同時履行の関係に立つものであり、民間約款等においても、その旨が規定されている。また、発注者から受注者への支払は、元請下請間の支払に大きな影響を及ぼすことから、少なくとも引渡し終了後できるだけ速やかに適正な支払を行うように定めることが求められる。
更に、実際には、特に長期工事の場合等、工事完成まで支払がなされないと、受注者及び下請負人の工事に必要な資金が不足するおそれがあるため、民間工事標準請負契約約款の規定に沿って前払金制度あるいは部分払制度(いわゆる出来高払制度)を活用するなど、迅速かつ適正な支払を行うことが望ましい。
(2)(略)
(3)請負代金を手形で支払う場合の留意事項
建設業法第24条の3第2項では、元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないとされている。
上記①から③のケースは、いずれも発注者が受注者による建設業法第24条の6違反の行為を誘発するおそれがあり、望ましくない。
(1)請負代金の支払時の留意事項
請負代金については、発注者と受注者の合意により交わされた請負契約に基づいて適正に支払われなければならない。請負代金の支払方法については、原則として当事者間の取り決めにより自由に定めることができるが、本来は工事目的物の引渡しと請負代金の支払は同時履行の関係に立つものであり、民間約款等においても、その旨が規定されている。また、発注者から受注者への支払は、元請下請間の支払に大きな影響を及ぼすことから、少なくとも引渡し終了後できるだけ速やかに適正な支払を行うように定めることが求められる。
更に、実際には、特に長期工事の場合等、工事完成まで支払がなされないと、受注者及び下請負人の工事に必要な資金が不足するおそれがあるため、振興基準において、建設など見積り及び発 注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、親事業者は、前払い比率及び期中払い比率をできる限り高めるよう努めることとされていることも踏まえ、発注者からの支払いにおいても、民間工事標準請負契約約款の規定に沿って前払金制度あるいは部分払制度(いわゆる出来高払制度)を活用するなど、迅速かつ適正な支払を行うことが望ましい。
(2)(略)
(3)請負代金を手形で支払う場合の留意事項
建設業法第24条の3第2項では、元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないとされている。
また、建設業法第24条の6第3項では、受注者が特定建設業者であり下請負人が資本金4,000万円未満の一般建設業者である場合、下請代金の支払に当たって一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形(例えば、手形期間が120日超の長期手形)を交付してはならないとされている。
発注者から受注者への支払方法は、元請下請間の支払に実質的
また、建設業法第24条の6第3項では、受注者が特定建設業者であり下請負人が資本金4,000万円未満の一般建設業者である場合、下請代金の支払に当たって一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形(例えば、手形期間が120日超の長期手形)を交付してはならないとされている。
発注者から受注者への支払方法は、元請下請間の支払に実質的
な影響を与えかねないことから、発注者は、上記の趣旨を踏まえ、 な影響を与えかねないことから、発注者は、上記の趣旨を踏まえ、
受注者に対する請負代金の支払は、できる限り現金によることが望ましく、手形で支払う場合にも、同条の趣旨を踏まえ、長期手形を交付することがないようにすることが望ましい。
また、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の趣旨に鑑み、下請代金の支払に係る考え方を改めて整理した、「下請代金の支払手段について」(令和3年3月31日20210322中庁第2号・公取企第25号。以下「手形通達」という。)において、次のとおり下請取引の適正化に努めるよう要請されているため、「建設業法令遵守ガイドライン」(令和4年8月)において、元請負人はこの点についても留意しなければならないとされていることについても併せて留意することが望ましい。
受注者に対する請負代金の支払は、できる限り現金によることが望ましく、手形で支払う場合にも、同条の趣旨を踏まえ、長期手形を交付することがないようにすることが望ましい。
また、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の趣旨に鑑み、下請代金の支払に係る考え方を改めて整理した、「下請代金の支払手段について」(令和3年3月31日20210322中庁第2号・公取企第25号。以下「手形通達」という。)において、次のとおり下請取引の適正化に努めるよう要請されているため、「建設業法令遵守ガイドライン」(令和3年7月)において、元請負人はこの点についても留意しなければならないとされていることについても併せて留意することが望ましい。
<参考>
〇下請代金の支払手段について(令和3年3月31日2021
0322中庁第2号・公取企第25号)
(略)
<参考>
〇下請代金の支払手段について(令和3年3月31日2021
0322中庁第2号・公取企第25号)
(略)
記 記
親事業者による下請代金の支払については、以下によるものとする。
親事業者による下請代金の支払については、以下によるものとする。
1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
2 手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。当該協議を行う際、
1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
2 手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。当該協議を行う際、
親事業者と下請事業者の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に検討できるように、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストを示すこと。※
3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。
4 前記1から3までの要請内容については、新型コロナウイルス感染症による現下の経済状況を踏まえつつ、おおむね3年以内を目途として、可能な限り速やかに実施すること。
※ 割引料等のコストについては、実際に下請事業者が近時に割引をした場合の割引料等の実績等を聞くなどにより把握する方法が考えられる。
親事業者と下請事業者の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に検討できるように、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストを示すこと。※
3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。
4 前記1から3までの要請内容については、新型コロナウイルス感染症による現下の経済状況を踏まえつつ、おおむね3年以内を目途として、可能な限り速やかに実施すること。
※ 割引料等のコストについては、実際に下請事業者が近時に割引をした場合の割引料等の実績等を聞くなどにより把握する方法が考えられる。
併せて、手形通達によって要請されている取組に加えて、振興 基準において、約束手形をできる限り利用しないよう努めること及びサプライチェーン全体で約束手形の利用の廃止等に向けた取組を進めることとされていること、手形等のサイトの短縮について(令和4年2月16日20211206中庁第1号・公取企第
131号)において、xx取引委員会及び中小企業庁が、おおむ ね令和6年までに、60日を超えるサイトの約束手形、一括決済方式及び電子記録債権を、下請代金支払遅延等防止法上「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提として、同法の運用の見直しの検討を行うこととしていること、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)」において令和8年の約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進する旨閣議決定されていること、金融業界に対し、令和8年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討するよう要請されていること等を踏まえ、建設業界においても、発注者も含めて関係者全体で、約束手形の利用の廃止等に向けて、前金払等の充実、振込払い及び電子記録債権への移行、支払サイトの短縮等の取組を進めていくよう努めることが重要であることについても留意しなければならない。
また、手形通達によって要請されている取組に加えて、「成長戦 略実行計画(令和3年6月18日閣議決定)」において、約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進することとされていること等を踏まえ、建設業界においても、発注者も含めて関係者全体で、約束手形の利用の廃止等に向けて、前金払等の充実、振込払い及び電子記録債権への移行、支払サイトの短縮等の取組を進めていくよう努めることが重要であることについても留意しなければならない。
10.関係法令
10 -1 独占禁止法との関係について
9.関係法令
9-1 独占禁止法との関係について
不当に低い発注金額や不当な使用資材等の購入強制については、建設業法第19条の3及び第19条の4でこれを禁止しているが、これらの規定に違反する上記行為は、私的独占の禁止及び
xx取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第19条で禁止している不xxな取引方法の一類型である優越的な地位の濫用にも該当するおそれがある。優越的地位の濫用に関して、xx取引委員会は、平成22年11月
30日、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(以下「考え方」という。)を示している。
この「考え方」のうち、本ガイドラインと関係のある主な部分は以下のとおりである。
不当に低い発注金額や不当な使用資材等の購入強制については、建設業法第19条の3及び第19条の4でこれを禁止しているが、これらの規定に違反する上記行為は、私的独占の禁止及び
xx取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第19条で禁止している不xxな取引方法の一類型である優越的な地位の濫用にも該当するおそれがある。優越的地位の濫用に関して、xx取引委員会は、平成22年11月
30日、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(以下「考え方」という。)を示している。
この「考え方」のうち、本ガイドラインと関係のある主な部分は以下のとおりである。
①「1.見積条件の提示等」、「2-1 当初契約」、「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」、「2-3 工期変更に伴う変
①「1.見積条件の提示等」、「2-1 当初契約」、「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」、「2-3 工期変更に伴う変更
更契約」及び「4.不当に低い発注金額」に関しては、「考え方」 契約」及び「4.不当に低い発注金額」に関しては、「考え方」第
第4の2(3)に掲げる「その他経済上の利益の提供の要請」、第4の3(4)に掲げる「減額」及び第4の3(5)に掲げる
「その他取引の相手方に不利益となる取引条件の設定等」
4の2(3)に掲げる「その他経済上の利益の提供の要請」、第4の3(4)に掲げる「減額」及び第4の3(5)に掲げる「その他取引の相手方に不利益となる取引条件の設定等」
②「6.指値発注」に関しては、「考え方」第4の3(5)アに掲げる「取引の対価の一方的決定」
②「5.指値発注」に関しては、「考え方」第4の3(5)アに掲げる「取引の対価の一方的決定」
③「7.不当な使用資材等の購入強制」に関しては、「考え方」第
4の1に掲げる「購入・利用強制」
③「6.不当な使用資材等の購入強制」に関しては、「考え方」第
4の1に掲げる「購入・利用強制」
④「8.やり直し工事」に関しては、「考え方」第4の3(5)イに掲げる「やり直しの要請」
④「7.やり直し工事」に関しては、「考え方」第4の3(5)イに掲げる「やり直しの要請」
⑤「9.支払」に関しては、「考え方」第4の3(3)に掲げる「支 ⑤「8.支払」に関しては、「考え方」第4の3(3)に掲げる「支
払遅延」 払遅延」
なお、発注者が独占禁止法第2条第1項に規定する事業者でない場合(公的発注機関の場合)には、建設業法第19条の6第1項において、国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者が同法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)又は第19条の4
(不当な使用資材等の購入強制の禁止)の規定に違反している事実があり、特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して必要な勧告をすることができると規定している。
なお、発注者が独占禁止法第2条第1項に規定する事業者でない場合(公的発注機関の場合)には、建設業法第19条の6第1項において、国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者が同法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)又は第19条の4
(不当な使用資材等の購入強制の禁止)の規定に違反している事実があり、特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して必要な勧告をすることができると規定している。
10 -2 社会保険・労働保険(法定福利費)等について
(略)
9-2 社会保険・労働保険(法定福利費)等について
(略)
10 -3 建設工事で発生する建設副産物について
建設現場では、土砂、コンクリート塊等の再生資源や産業廃棄 物(以下これらを「建設副産物」と総称する。)が発生する。建設現場で発生した廃棄物混じりの土砂等は、建設現場等で土砂等と廃棄物に分別することが必要であり、分別された廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第1
37号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づき適正な処理を 行うことが必要である。
廃棄物処理法では、事業者は、その事業活動に伴って生じた廃 棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないと規定がされており、建設工事では原則として、発注者から直接建設工事を請け負った受注者が適切な処理を行う排出事業者としての義務を遵守する必要がある。
また、廃棄物が混じっていない土砂等(廃棄物と分別後のもの を含む。)は、資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)に基づき、発注者から直接建設工事を請け負った受注者のもと、他工事での利用など、再生資源としての利用を促進する必要がある。
したがって、建設現場から発生する建設副産物を他工事や再資 xx施設、処分場等に運搬するための経費や、その処理に要する
(新設)
経費は、建設業者が義務的に負担しなければならない費用であり、
建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」 に含まれるものであることに留意が必要である。
受注者は、下請負人から提示された見積書の内容も踏まえ、建 設副産物の適正処理に要する経費を適正に見積り、発注者に交付する見積書に明示すべきである。
発注者は、受注者から交付された建設副産物の適正処理に要す る経費が明示された見積書を尊重しつつ、建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で受注者との契約交渉をしなければならない。
なお、受注者の見積書に建設副産物の処理に要する経費が明示 されているにもかかわらず、発注者がこれを尊重せず、当該経費相当額を一方的に削減したり、当該経費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、受注者の当該発注者への取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。
また、建設副産物の処理等に要する経費について、契約締結後 の状況により予期せぬ変更が生じた場合にも、発注者と受注者が協議の上、適切に変更契約を行い請負代金に反映することが必要である。追加的に発生した建設副産物の処理等に要する費用を受注者に負担させ、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合にも、受注者の当該発注者への取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。