Contract
工 事 請 負 契 約 に お け る設計変更等ガイドライン
【 総 合 版 】
平成30年3月
1
x x 町
○ は じ め に
平成26年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下「改正品確法」という。)の基本理念に「設計図書に適切な施工条件を明示するとともに、必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと。」など、発注者の債務を明確化する諸規定が整備されたところである。
発注者は、工事を円滑かつ適切に実施するため、工事施工上の制約となる施工条件を仕様書等に明示し、発注者と受注者の役割分担を明確にするとともに、施工条件が変わった場合の措置を明確にする必要がある。
こうした背景のもと、本ガイドラインは、設計変更の対象事項や必要な手続きなどを明らかにすることにより、受発注者間の変更手続きが円滑かつ適切に行われるよう、設計変更に関する指針として作成したものである。
2
なお、本ガイドラインは国土交通省関東地方整備局の「工事請負契約における設計変更ガイドライン」及びxx県の「土木工事請負契約における設計変更等ガイドライン」に準拠している。
目 次
Ⅰ.設計変更ガイドライン
1.設計変更ガイドライン策定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
2.設計変更が不可能なケース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 |
3.設計変更が可能なケース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 |
4.設計変更手続きフロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 9 |
5.設計変更に関わる資料の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 10 |
6.条件明示について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 11 |
7.仮設等の「指定」・「任意」の使い分け ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 13 |
Ⅱ.工事一時中止に係るガイドライン(案)
1.工事一時中止に係るガイドライン制定の背景 ・・・・・・・・・・・・・ 15
2.工事の一時中止に係る基本フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
3.発注者の中止指示義務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
4.工事を中止すべき場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
5.中止の指示・通知 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
6.基本計画書の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
7.工期短縮計画書の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
8.請負代金額又は工期の変更 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
9.増加費用の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
10.増加費用の設計書及び事務処理上の扱い ・・・・・・・・・・・・・・・ 28
3
参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
Ⅰ.設計変更ガイドライン
1.設計変更ガイドライン制定の背景
(1)土木請負工事の特性
土木工事においては、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の中で完成させるという特殊性を有している。
また、当初積算時に予見できない事態に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
(2)発注者・受注者の留意事項
発注者は設計積算にあたり、関係機関との調整、住民合意、用地確保、法的手続などの進捗状況を踏まえ、現場の事態に則した施工条件の明示等により、適切に設計図書を作成し積算内容との整合を図るよう努める。
受注者は、工事の着手にあたって設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」し進めることが重要である。
(3)適切な設計変更の必要性
公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下「品確法」という。)の基本理念に、
「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」と規定されている。
また、『変更増額の範囲は、「請負金額の30パーセント」を超えない範囲とする。これを超える場合、現に施工中の工事等と分離して施工することが困難な場合を除き、別の契約として締結する。』とされているが、変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこととする。
(4)ガイドライン制定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要があることから、設計変更ガイドラインを制定する。
なお、この設計変更ガイドラインは、一般的な考え方を示すものである。
2.設計変更が不可能なケース
(1)下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
ただし、契約書第27条(臨機の措置)については別途考慮する。
①.設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
②.発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
③.「承諾」で施工した場合
④.工事請負契約書及び仕様書等に定められている所定の手続きを経ていない場合
⑤.正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
◆承諾: 受注者自らの都合により施工方法等について監督職員に同意を得るもの
⇒ 設計変更不可
◆協議: 発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの
⇒ 設計変更可能
3.設計変更が可能なケース
(1)下記のような場合においては設計変更が可能である。
①.仮設において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった事態が現地で確認された場合。(ただし、所定の手続きが必要。)
②.当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合。
③.所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
④.受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
⑤.受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で、協議により必要があると認められるとき。
(2)設計変更にあたっては下記の事項に留意し受注者へ指示する。
①.当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」にあたる。
②.当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約書第 20 条に基づき書面で行う。(規格の妥当性、変更対応の妥当性を明確にする。)
③.設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
④.発注者は、概算金額を指示書へ記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載することとする。
⑤.記載する概算金額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
(3)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き(契約書第 19 条第 1 項第 2 号)
受注者は、xxxx、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工
をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
受 注 者
発 注 者
「契約書第 19 条(条件変更等)
第 1 項第 2 号」に基づき、その旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第 4 項、第 5 項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条
件明示)
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
(4)設計図書の表示が明確でない場合の手続き(契約書第 19 条第 1 項第 3 号)
設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。
この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
受 注 者
発 注 者
「契約書第 19 条(条件変更等)
第 1 項第 3 号」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第 4 項、第 5 項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条
件明示)
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
(5)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き(契約書第 19 条第 1 項第 4 号)
自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無等である。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
受 注 者
発 注 者
「契約書第 19 条(条件変更等)
第 1 項第 4 号」に基づき、条件明示と現地が一致しないことを直ちに監督職員に通知
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第 4 項、第 5 項に基づき、必要に応じて設計図書
の訂正・変更
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※施工条件と実際の工事現場が一致しない場合とは
ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない場合
エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(6)工事中止の場合の手続き(契約書第 21 条)
受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き。(工事一時中止に係るガイドライン参照)
受 注 者
発 注 者
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない
受注者は、土木工事共通仕様書 1-1-13 第 3 項に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
「契約書第 21 条(工事の中止)
第 1 項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則とし
て一時中止しなければならない。
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発 注者の義務)
受注者からの中止事案の確認請求も可。
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
基本計画書に基づいた施工の実施
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
承諾した基本計画書に基づき、設計変更を実施
※受注者の責に帰することができないものとは
ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合。
イ.警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合。
ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合。
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合。
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合。カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合。
キ.工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合。
ク.設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合。
ケ.埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合。
(7)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
①.現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
②.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
③.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
④.構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
⑤.構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
⑥.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲をこえるものとして扱う)。
⑦.構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
⑧.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
⑨.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
⑩.「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
⑪.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
⑫.舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず共通仕様書「路面切削工」「切削オーバーレイ工」「オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる) 。
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出、工事施工のための詳細図及び完成図(完成図書)については、受注者の費用負担によるものとする。
(8)受注者からの請求による工期の延長(契約書第 22 条)
受注者は、天候の不良(天災等)、関連工事の調整協力、その他受注者の責に帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受 注 者
発 注 者
「契約書第 22 条(受注者の請求
による工期の延長)第 1 項」に基づき、その理由を明示した書面により監督職員に通知
協議
発注者は第 2 項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められる
ときは変更を行う。
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※受注者が工期延長変更を請求できる事例は
ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合。
イ.設計図書に明示された関連工事等との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合。ウ.その他受注者の責に帰することができない事由により工期の延長が生じた場合。
(9)発注者の請求による工期の短縮(契約書第 23 条)
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受 注 者
発 注 者
受注者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得
る。
協議
発注者は、「契約書第 23 条(発注者の請求による工期の短縮等)第 1 項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求。
受注者及び発注者は第 24 条、第 25 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※発注者が工期短縮変更を請求できる特別な理由とは
ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合。イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合。
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合。
4.設計変更手続きフロー
受 注 者
発 注 者
契約書第19条第1項第1号~5号に該当する事実を発見
通知し確認を請求
【第19条第1項】
受注者:立会い
発注者:直ちに調査の実施
【第19条第2項】
※受注者からの確認請求を受領後概ね7日以内を目処に調査終了予定日を受注者へ通知
意 見
調査結果のとりまとめ
調査終了後14日以内にその結果を通知(とるべき措置がある場合、当該指示を含む)
【第 19 条第 3 項】
受 理
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更<発注者が行う>
・設計図書の訂正【第1号】
・工事目的物の変更を伴う設計図書の変更【第2号】
【第 19 条
第 4 項】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
<発注者と受注者とが協議して発注者が行う>
・工事目的物の変更を伴わない設計図書の変更【第 3 号】
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算書等の変更設計
図書の作成
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更
【第19条第5項】
協議 ①工期の変更【第24条】 ②請負代金額の変更【第25条】
5.設計変更に関わる資料の作成
・設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
(1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して契約書第 19 条第 1 項に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
受 注 者
発 注 者
契約書第 19 条第 1 項に該当する事実を発見
現地と設計内容の違いについて、確認できる資料を書面で提出
資料を確認
(この資料の作成費用は設計変更の対象としない)
(2)設計変更に必要な資料作成
契約書第 19 条第 1 項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、
契約書第 19 条第 4 項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
①.設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
②.設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③.発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④.書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤.増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
受 注 者
発 注 者
設計変更が必要な内容について、受発注間で確認
必要な資料の作成について協議し、発注者が受注者に具体的な作業を指示
設計変更に関わる資料を作成し提出
資料を確認
(この資料の作成費用は設計変更の対象とする)
6.条件明示について
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
なお、条件明示等に不足が生じないよう、「条件明示について」(平成 14 年 3 月 28 日
国官技第 369 号通知)等を参考として活用するなど記載漏れがないようチェックすること。
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1.他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期。 2.施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法。 3.当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期。 4.関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲。 5.余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期。 6.工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。 又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間。 7.設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数。 |
用地関係 | 1.工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期。 2.工事用地等の使用終了後における復旧内容。 3.工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 4.施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 |
公害関係 | 1.工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容。 2.水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間。 3.濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容 (処理施設,処理条件等)。 4.工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲等。 |
明示項目 | 明示事項 |
安全対策関係 | 1.交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間。 2.鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容。 3.落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容。 4.交通誘導員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容。 5.有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、 その内容。 |
工事用道路関係 | 1.一般道路を搬入路として使用する場合 (1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等。 (2)搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容。 2.仮道路を設置する場合 (1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間。 (2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 (3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容。 |
仮設備関係 | 1.仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等。 2.仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法。 3.仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容。 |
建設副産物関係 | 1.建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件。 2.建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容。 3.建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場等の処理条件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件。 |
工事支障物件等 | 1.地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等。 2.地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工事内容及び期間等。 |
薬液注入関係 | 1.薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等。 2.周辺環境への調査が必要な場合は、その内容。 |
明示項目 | 明示事項 |
その他 | 1.工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等。 2.工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等。 3.支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡期間等。 4.関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 5.架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件。 6.工事用電力等を指定する場合は、その内容。 7.新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容。 8.部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期。 9.給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等。 |
7.仮設等の「指定」・「任意」の使い分け
【自主施工の原則】
仮設・施工方法その他工事目的物を完成させるために必要な一切の手段については、その責任の所在を明らかにする必要から、原則として受注者が定めるものとされている。(契約書第 1 条第 3 項)
【指定】
工事目的物を施工するための施工条件として仮設・施工方法等を発注者が予め決定する必要がある場合に、設計図書に条件として明示したものを「指定」と言う。
【任意】
工事目的物を施工するための仮設・施工方法等は、「自主施工の原則」により、受注者の責任で実施しなければならない。「指定」以外は「任意」と言う。
【留意事項】
①.仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
②.発注者(監督職員)は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応をするように注意が必要。
※任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・標準歩掛かりではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。
ただし、任意であっても、当初積算時の条件と現地条件に変更がある場合は、設計変更を行う。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に 指定する | 施工方法等について具体的に 指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等の 修正及び提出は必要) |
施工方法の変更が ある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない |
条件明示の変更に 対応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 ・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |
Ⅱ.工事一時中止に係るガイドライン(案)
1.工事一時中止に係るガイドライン制定の背景
(1)工事発注の基本的考え方
工事の発注に際しては、地元設計協議、工事用地の確保、占用事業者等協議、関係機関協議等を整え、適正な工期を確保し、発注を行うことが基本となる。
(2)工事発注の現状
円滑かつ効率的な事業執行を図るため、工事の発注時期の平準化に努めているところであるが、一部の工事で各種協議や工事用地の確保が未完了な場合においてもやむを得ず条件明示を行い、発注を行っている。
(3)現状における課題
各種協議や工事用地の確保が未完了な状態で発注を行った工事や工事の施工途中で
受注者の責に帰することができない事由により施工ができなくなった工事については、工事の一時中止の指示を行わなければならない。
しかし、一部の工事において一時中止の指示を行っていない工事も見受けられ、受注者の現場管理費等の増加や配置技術者の専任への支障が生じているといった指摘があるところである。
(4)ガイドラインの策定
これらの課題を踏まえ、受発注者が工事一時中止について、適正な対応を行うためガイドラインを策定するものである。
2.工事の一時中止に係る基本フロー
受 注 者
発 注 者
工事発注
工事施工不可要 因 の 発見
工事施工不可要 因 の 発見
必要に応じて工事一時中止「協議」
工事の一時中止を検討
中止の対象となる工事内容、工事区域、中止期間の見通し及び工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本的事項を指示する
中止の必要あり
【発注者の中止指示義務】
【工事を中止すべき場合】
【基本計画書の作成】
基本計画書の提出
・工事中止に伴う増加費用※
・必要工期
工期短縮が
「協議」
工期短縮の要請「協議」
工期短縮必要
中止の指示・通知
【工事中止の通知】
工事再開通知
可能である
工期短縮が可能
【工期短縮計画書の作成】
工期短縮計画の提出
・工期短縮に伴う増加費用※
工期短縮不可の場合、その旨を「回答」
「協議」
【増加費用の考え方】
・工事短縮の必要性判断
工期短縮不要
請負代金・工期の変更
変更が必要
工事請負代金・工期変更の検討
【請負代金額又は工期の変更】
標準積算に
中止期間 3 ヶ月以内
中止期間が 3 ヶ月を超えるなど、標準積算によりがたい
増加費用は
よりがたい場合は、別途見積による積み上げ積算とする。
標準積算 見積積算
一時中止にかかる費用計上の他、工期短縮を行った場合は、それに必要な費用を適
受 発 注 者 x x 議
切に計上する。
契 約 変 更
工事完成
※記載する概算費用は、参考値であり変更契約時点の費用を拘束するものではない。
3.発注者の中止指示義務
受注者の責に帰することができない事由により工事を施工できないと認められる場合には、発注者が工事の全部又は一部の中止を速やかに書面にて命じなければならない。受注者は、工事施工不可要因を発見した場合、速やかに発注者と協議を行う。発注者
は、必要があれば速やかに工事中止を指示する。(契約書第 21 条)
受注者の帰責事由によらずに工事
の施工ができないと認められる場合
発注者は、工事の中止を受注者に命じ、工期又は請負代金額等を適正に
確保する必要がある
受注者は、工事を施工する意志があ
っても施工することができず、工事が中止状態となる
このような場合に発注者が工事を中止させなければ、中止に伴い必要とされる工期又は請負代金額の変更は行われず、負担を受注者が負う
こととなる
契約書第 17 条に規定する発注者の
工事用地等確保の義務、第 19 条に規定する施工条件の変化等における手続と関連する
このことから、発注者及び受注者の十分な理解のもとに適切に運営されることが望まれる
注)1 工事の一時中止期間における、xx技術者及び監理技術者の取り扱いについては以下のとおり。
・工事を全面的に一時中止している期間は、専任を要しない期間である。
・受注者の責によらない理由により工事中止又は工事内容の変更が発生し、大幅な工期延期となった場合は、技術者の途中交代が認められる。
【監理技術者制度運用マニュアル:国土交通省総合政策局】
※大幅な工期延期とは、契約書第 50 条(受注者の解除権)第 1 項第 2 号を準拠して、「延期
期間が当初工期の 10 分の 5(工期の 10 分の 5 が 6 月を超えるときは、6 月)を超える場合」を目安とする。
4.工事を中止すべき場合
受注者の責に帰すことができない事由により工事を施工できないと認められる場合は、「①工事用地等の確保ができない等のため受注者が工事を施工できないと認められるとき」と「②暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって受注者の責に帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるとき」の2つが規定されている。(契約書第 21 条)
また、上記の2つの規定以外にも、発注者が必要があると認めるときは、工事の全部又は一部の施工を一時中止することができる。
※一時中止を指示する場合は、「施工できないと認められる状態」にまで達していることが必要であり、「施工できないと認められる状態」は客観的に認められる場合を意味する。
①.工事用地等の確保ができない等のため工事を施工できない場合
○発注者の義務である工事用地等の確保が行われないため(契約書第 17 条)施工できない場合
○設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため(契約書第 19 条)施工を続けることが不可能な場合・・・等。
②.自然的又は人為的な事象のため工事を施工できない場合
○「自然的又は人為的事象」は、埋蔵文化財の発掘又は調査、反対運動等の妨害活動も含まれる。
○「工事現場の状態の変動」は、地形等の物理的な変動だけでなく、妨害活動を行う者による工事現場の占拠や著しい威嚇行為も含まれる。
5.中止の指示・通知
発注者は、工事を中止するにあたっては、中止対象となる工事の内容、工事区域、中止期間の見通し等の中止内容を受注者に通知しなければならない。(契約書第 21 条)
また、工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本事項を指示することとする。
【発注者の中止権】
①.発注者は、「必要があると認められる」ときは、任意に工事を中止することができる。
※「必要があると認められる」か否か、中止すべき工事の範囲、中止期間については発注者の判断。
②.発注者が工事を中止させることができるのは工事の完成前に限られる。
【受注者による中止事案の確認請求】
①.受注者は、受注者の責に帰すことができない工事施工不可要因を発見した場合は、工事の中止について発注者と協議することができる。
【工事の中止期間】
①.受注者は、中止期間が満了したときは、工事を再開することとなるが、通常、中止の通知時点では中止期間が確定的でないことが多い。
このような場合、発注者は、工事中止の原因となっている事案の解決にどのくらい時間を要するか実現可能な計画を立て、工事を再開できる時期を通知する必要がある。
②.発注者は、施工を一時中止している工事について施工可能と認めたときに工事の再開を指示しなければならない。
③.以上のことから、中止期間は、一時中止を指示したときから一時中止の事象が終了し、受注者が工事現場に入り作業を開始できると認められる状態になったときまでとなる。
6.基本計画書の作成
(1)工事を中止した場合において、受注者は中止期間中の工事現場の維持・管理に関する基本計画書を発注者に提出し協議する。
(2)実際に施工着手する前の施工計画作成及び測量等の準備期間中であっても、現場の維持管理は必要であることから基本計画書を提出し、受発注者間で協議する。
(3)基本計画書の作成にあたっては、再開に備えての方策や一時中止に伴い発生する増加費用等について受発注者間で確認し、双方の認識に相違が生じないようにする。
(4)一時中止期間の変更や工事内容の変更など基本計画書の内容に変更が生じる場合受注者は変更計画書を作成し、受発注者間で協議する。
【記載内容】
①.基本計画書作成の目的。
②.中止時点における工事の出来形、職員の体制、労働者数、搬入材料及び建設機械器具等の確認に関すること。
③.中止に伴う受注者側の工事現場の体制の縮小と再開に関すること。
④.工事現場の維持・管理に関する基本的事項。
⑤.工事再開に向けた方策。
⑥.工事一時中止に伴う増加費用※及び算定根拠。
⑦.基本計画書に変更が生じた場合の手続き。
※指示時点で想定している中止期間における概算金額を記載する。一部一時中止の場合には、概算費用の記載は省略できる。
【管理責任】
①.中止した工事現場の管理責任は、受注者に属するものとする。
②.受注者は、基本計画書において管理責任に係る旨を明らかにする。
7.工期短縮計画書の作成
(1)発注者は一時中止期間の解除にあたり工期短縮を行う必要があると判断した場合は、受注者と工期短縮について協議し合意を図る。
(2)受注者は、発注者からの協議に基づき、工期短縮を行う場合はその方策に関する工期短縮計画書を作成し、発注者と協議を行う。
(3)協議にあたっては、工期短縮に伴う増加費用等について、受発注者間で確認し、双方の認識の相違が生じないようにする。
【記載内容】
①.工期短縮に必要となる施工計画、安全衛生計画等に関すること。
②.短縮に伴う施工体制と短縮期間に関すること。
③.工期短縮に伴い、新たに発生する費用について、必要性や数量等の根拠を明確にした増加費用を記載。
【工期の変更】
①.受注者は、発注者からの承諾を受けた工期短縮計画にのっとり施工を実施し、受発注者間で協議した工程の遵守に努める。
②.工期短縮に伴う増加費用については、工期短縮計画書に基づき契約変更を行う。
8.請負代金額又は工期の変更
(1)工事を中止した場合において、「必要があると認められる」ときは、請負代金額又は工期が変更されなければならない。
※「必要があると認められるとき」とは、客観的に認める場合を意味する。
(2)中止がごく短期間である場合、中止が部分的で全体工事の施工に影響がない等例外的な場合を除き、請負代金額及び工期の変更を行う。
【請負代金額の変更】
①.発注者は、工事の施工を中止させた場合に請負代金額の変更では填補し得ない受注者の増加費用、損害を負担しなければならない。
②.増加費用
○工事用地等を確保しなかった場合。
○暴風雨の場合など契約の基礎条件の事情変更により生じたもの。
③.損害の負担
○発注者に過失がある場合に生じたもの。
○事情変更により生じたもの。
※増加費用と損害は区別しないものとする
【工期の変更】
①.工期の変更期間は、原則、工事を中止した期間が妥当である。
②.地震、災害等の場合は、取片付け期間や復興期間に長期を要す場合もある。
③.前記のことから、取片付け期間や復興に要した期間を含めて工期延期することも可能である。
9.増加費用の考え方
(1)本工事施工中に中止した場合
【増加費用の範囲】
①.増加費用等の適用は、発注者が工事の一時中止(部分中止により工期延期となった場合を含む)を指示し、それに伴う増加費用等について受注者から請求があった場合に適用する。
②.増加費用として積算する範囲は、工事現場の維持に要する費用、工事体制の縮小に要する費用、工事の再開準備に要する費用、中止による工期延期となる場合の費用、工期短縮を行った場合の費用とする。
【工事現場の維持に要する費用】
①.中止期間中において工事現場を維持し又は工事の続行に備えて機械器具、労働者又は技術職員を保持するために必要とされる費用等。
②.中止に係る工事現場の維持等のために必要な受注者の本支店における費用。
【工事体制の縮小に要する費用】
①.中止時点における工事体制から中止した工事現場の維持体制にまで体制を縮小するため、不要となった機械器具、労働者又は技術職員の配置転換に要する費用等。
【工事の再開準備に要する費用】
①.工事の再開予告後、工事を再開できる体制にするため、工事現場に再投入される機械器具、労働者、技術職員の転入に要する費用等。
【中止により工期延期となる場合の費用】
①.工期延期となることにより追加で生じる社員等給与、現場事務所費用、材料の保管費用、仮設諸機材の損料等に要する費用等。
【工期短縮を行った場合の費用】
①.工期短縮の要因が発注者に起因する場合、自然条件(災害等含む)に起因する場合の工期短縮に要する費用等。
②.工期短縮の要因が受注者に起因する場合は増加費用を見込まないものとする。
※本工事とは、工事目的物又は仮設に係る工事
(2)工期短縮を行った場合(当初設計から施工条件の変更がない場合)
【増加費用の考え方】
①.工期短縮の要因が発注者に起因するもの ・・・・ ≪増加費用を見込む≫
・工種を追加したが工期延期せず当初工期のままとした場合。
②.工期短縮の要因が受注者に起因するもの ・・・・ ≪増加費用は見込まない≫
・工程の段取りにミスがあり、当初工程を短縮せざるを得ない場合。
③.工期短縮の要因が自然条件(災害等含)に起因するもの・≪増加費用を見込む≫
・想定以上の悪天候により、当初予定の作業日数の確保が見込めず工期延期が必要であるが、何らかの事情により、工期延期ができない場合。
・自然災害で被災※を受け、一時作業ができなくなったが、工期延期をせず、当初工期のまま施工する場合。
※災害による損害については、契約書第 30 条(不可抗力による損害)に基づき対応。
【増加費用を見込む場合の主な項目の事例】
①.当初昼間施工であったが、工種追加により夜間施工を追加した場合は、夜間施工の手間に要する費用。
②.パーティー数を増加せざるを得ず、建設機械等の台数を増加させた場合に要する費用。
③.その他、必要と思われる費用。
※増加費用の内訳については、発注者と受注者で協議を行うものとする。
(3)中止に伴う増加費用の算定
【増加費用の算定】
①.増加費用の算定は、受注者が基本計画書に従って実施した結果、必要とされた工事現場の維持等の費用の明細書に基づき、費用の必要性・数量など受発注者間で協議して行う。
②.増加費用の各構成費目は、原則として、中止期間中に要した費目の内容について積算する。
③.再開以降の工事にかかる増加費用は、従来どおり設計変更で処理する。
④.一時中止に伴い発注者が新たに受け取り対象とした材料、直接労務費及び直接経費に係る費用は、該当する工種に追加計上し、設計変更により処理する。
【増加費用等の構成】
①.中止期間中の現場維持等に要する費用は、工事原価内の間接工事費の中で計上し、一般管理費等の対象とする。
直接工事費
純工事費
工事原価
共通仮設費
工事価格
間接工事費
現場管理費
※
請負工事費
一般管理費等
消費税相当額
中止期間中の現場維持等の費用
+
工期短縮により増加する費用
※一時中止に伴う本支店における増加費用を含む
②.標準積算により算定する場合、中止期間中の現場維持等に関する費用として積算する内容は、積上げ項目及び率項目とする。
≪積上げ項目≫
◇直接工事費、仮設費及び事業損失防止施設費における材料費、労務費、水道光熱電力等料金、機械経費で現場維持等に要する費用
○直接工事費に計上された材料(期間要素を考慮した材料)及び仮設費に計上された仮設材等の中止期間中に係る損料額及び補修費用
○直接工事費、仮設費及び事業損失防止費における項目で現場維持等に要する費用
≪率で計上する項目≫
◇運搬費の増加費用
○現場搬入済みの建設機械の工事現場への搬出又は工事現場への再搬入に要する費用
○大型機械類等の現場内小運搬
◇安全費の増加費用
○工事現場の維持に関する費用
※保安施設、保安要員の費用及び火薬庫、火工品庫の保安管理に要する費用
◇役務費の増加費用
○仮設費に係る土地の借り上げ等に要する費用、電力及び用水等の基本料金
◇営繕費の増加費用
○現場事務所、労働者宿舎及び火薬庫等の営繕損料に要する費用
◇現場管理費の増加費用
○現場維持のために現場へ常駐する社員等従業員給料手当及び労務管理費等に要する費用
注)・標準積算は工事全体の一時中止(主たる工種の部分中止により工期が延期となった場合を含む)に適用し、維持工事のうち経常的な工事である場合、及び一時中止期間が3ヶ月を超える場合は適用不可
・標準積算によりがたい場合は、別途、見積による積上積算とする。
【増加費用の積算】
①.増加費用は、原則、工事目的物又は仮設に係る工事の施工着手後を対象注)に算定することとし、各適用積算基準の「工事の一時停止に伴う増加費用等の積算」にて積算する。
ただし、中止期間3ヶ月※以内は標準積算により算定し、中止期間が3ヶ月を
超える場合、維持工事のうち経常的な工事である場合など、標準積算によりがたい場合は、受注者から増加費用に係る見積を求め、受発注者間で協議を行い増加費用を算定する。
※標準積算の適用範囲は、積算基準策定時に検証したケースが3ヶ月程度までであることから、「中止期間3ヶ月以内」としている。
※見積を求める場合、中止期間全体にかかる見積(例えば中止期間4ヶ月の場合、
4ヶ月分の見積)を徴収する。
注)増加費用の算定(請負代金額の変更)は、施工着手後を原則とし、施工着手前の増加費用に関する受発注者間のトラブルを回避するため、契約図書に適切な条件明示(用地確保の状況、関係機関との協議状況など、工事着手に関する条件)を行うとともに、施工計画打合せ時に、現場事務所の設置時期などを確認し、十分な調整を行うこと。
(4)契約後準備工着手前に中止した場合
①.契約後準備工着手前とは、契約締結後で、現場事務所・工事看板が未設置、材料等が未搬入の状態で測量等の準備工に着手するまでの期間をいう。
②.発注者は、上記の期間中に、準備工又は本工事の施工に着手することが不可能と判断した場合は、工事の一時中止を受注者に通知する。
【基本計画書の作成】
契約書第 16 条第 2 項に「受注者は、確保された工事用地等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない」とある。
このことから、受注者は必要に応じて、工事現場の維持・管理に関する基本的事項」を記載した基本計画書を発注者に提出し、承諾を得る。
【増加費用】一時中止に伴う増加費用は計上しない。
(5)準備工期間に中止した場合
①.準備工期間とは、契約締結後で、現場事務所・工事看板を設置し、測量等の本工事施工前の準備期間をいう。
②.発注者は、上記の期間中に、本体工事に着手することが不可能と判断した場合は、工事の一時中止を受注者に通知する。
【基本計画書の作成】
受注者は、「工事現場の維持・管理に関する基本的事項」を記載した基本計画書に必要に応じて概算費用を記載※した上で、その内容について発注者と協議し同意を得る。
※概算費用は、請求する場合のみ記載する。
※概算費用は、参考値であり変更契約時点の費用を拘束するものではない。
【増加費用】
○増加費用の適用は、受注者から請求があった場合に適用する。
○増加費用は、安全費(工事看板の損料)、営繕費(現場事務所の維持費、土地の借地料)及び現場管理費(監理技術者もしくは主任技術者、現場代理人等の現場従業員手当)等が想定される。
○増加費用の算定は、受注者が「基本計画書」に基づき実施した結果、必要とされた工事現場の維持等の費用の「明細書」に基づき、費用の必要性・数量など受発注者が協議して決定する。(積算は受注者から見積を求め行う。)
10.増加費用の設計書及び事務処理上の扱い
(1)増加費用の設計書における取扱い
①.増加分費用は、中止した工事の設計書の中に「中止期間中の現場維持等の費用」として原契約の請負工事費とは別計上する。
ただし、設計書上では、原契約に係る請負工事費と増加分費用の合算額を請負工事費とみなす。
(2)増加費用の事務処理上の取扱い
①.増加分費用は、原契約と同一の予算費目をもって、設計変更の例にならい、更改契約するものとする。
②.増加分費用は、受注者の請求があった場合に負担する。
③.増加分費用の積算は、工事再開後速やかに受発注者が協議して行う。
参 考 資 料
◎増加費用の費目と内容
増加分費用の各費目に係る積算の内容は次のとおりとする。
(1)現場における増加分費用【積上又は率により計上】イ 材料費
①.材料の保管費用
工事を中止したために、元設計の直接工事費に計上されている現場搬入済の材料を、発注者が倉庫等(受注者が工事現場に設置したものを除く。)へ保管する必要があると認めた場合の倉庫保管料及び入出庫手数料。
②.他の工事現場へ転用する材料の運搬費
工事を中止したために、元設計の直接工事費に計上されている現場搬入済の材料を、発注者が他の工事現場等に転用する必要があると認めた場合の当該材料の運搬費。
③.直接工事費に計上された材料の損料等
元設計において期間要素を考慮して計上されている材料等の中止期間に係る損料額及び補修費用。
ロ 労務費
①.工事現場の維持等に必要な労務費
中止後の労務費は、原則として計上しない。
ただし、トンネル、潜函等の特殊な工事において必要な作業員を確保しておくべき特別の事情があるため、発注者と受注者の協議により工事現場に労務者を常駐させた場合にはその費用。
②.他職種に転用した場合の労務費差額
工事現場の保安等のために、発注者と受注者の協議により工事現場に常駐させた、トンネル、潜函工などの特殊技能労務者が職種外の普通作業等に従事した場合における本来の職種と、従事した職種の発注者の設計上の単価差額の費用。
ハ 水道光熱電力等料金
工事現場に設置済の施設を工事現場の維持等のため、発注者が指示、あるい
は発注者と受注者の協議により中止期間中稼動(維持)させるために要する水道光熱電力等に要する費用。
二 機械経費
①.工事現場に存置する機械の費用
現場搬入済の機械のうち元設計に個別計上されている機械と同等と認められるものに関する次の費用。
a 工事現場の維持のため存置することが必要であること、又は搬出費及び再搬入費(組立て、解体費を含む。)が存置する費用を上回ること等により、発注者が工事現場に存置することを認めた機械等の現場存置費用(組立て、解体費、管理費を含む。)。
b 発注者が工事現場の維持等のため必要があると認めて指示した機械の運転費用。
ホ 仮設費
①.仮設諸機材の損料
現場搬入済の仮設材料、設備等のうち、元設計において期間要素を考慮して計上されているものと同等と認められる仮設諸機材の中止期間に係る損料及び維持補修の増加費用。
②.新たに必要となった工事現場の維持等に要する費用
元設計には計上されていないが、中止に伴う工事現場の維持等の必要上、発注者が新たに指示しあるいは発注者と受注者の協議により発注者が必要と認めた仮設等に要する費用。(補助労力・保安要員費を含む。)
へ 運搬費
①.工事現場外への搬出又は工事現場への再投入に要する費用
中止時点に現場搬入済の機械器具類及び仮設材等のうち発注者が元設計に計上されたものと同等と認めたものを一定の範囲の工事現場外に搬出し又は一定の範囲から工事現場に再搬入する費用。
②.大型機械類等の現場内運搬
元設計に計上した機械類、資材等のうち、工事が中止されたために、新たに工事現場内を移動させることを発注者が指示しあるいは発注者と受注者の協議により発注者が必要と認めた大型の機械、材料、仮設物等の運搬費用。
ト 準備費
別費目で積算している現場常駐の従業員又は労務者をもって充てる通常の準備作業を超える工事現場の跡かたづけ、再開準備のために諸準備・測量等で,発注者が指示しあるいは発注者と受注者の協議により発注者が必要と認めたものに係る準備費用。
チ 事業損失防止施設費
仮設費に準じて積算した費用。
リ 安全費
①.既存の安全設備に係る費用
中止以前に工事現場に設置済の安全設備等のうち、原則として元設計において期間要素を考慮して計上されているものと同等と認められる、安全設備等の中止期間に係る損料及び維持補修の費用。
②.新たな工事現場の維持等に要する安全費
元設計には計上されていないが、中止に伴い、工事現場の安全を確保するため、発注者が新たに指示しあるいは発注者と受注者の協議により発注者が必要と認めた安全管理に要する費用。(保安要員費を含む。)
ヌ 役務費
①.プラント敷地、材料置場等敷地の借上げ料
元設計において期間要素を考慮して計上されているものと同等と認められるプラント敷地及び材料置場等の敷地の中止期間に係る借上げ、解約などに要した増加費用。
②.電力水道等の基本料
元設計において期間要素を考慮して計上されているものと同等と認められる電力・用水設備等に係る中止期間中の基本料。
ル 技術管理費
原則として増加分費用は計上しないものとする。
ただし、現場搬入済の調査・試験用の機器、技術者等で元設計において期間要素を考慮して計上されているものと同等と認められるものがある場合には、仮設費に準じて積算した費用。
ヲ 営繕費
中止以前に工事現場に設置済みの営繕施設のうち元設計において期間要素を考慮して計上されたものと同等と認められる営繕施設の中止期間に係る維持費、補修費及び損料額又は営繕費、労務者輸送費を一体化して直接工事費等に対する割掛率で計上している工事における中止期間中の維持費、補修費、損料額及び労務者輸送に要する費用。
ワ 労務者輸送費
元設計が、営繕費、労務者輸送費を区分して積算している場合において発注者と受注者の協議により工事現場に常駐する労務者及び近傍の工事現場等に転用させると認められた労務者を一括通勤させる場合の通勤費用。
力 社員等従業員給料手当
中止期間中の工事現場の維持等のために、発注者と受注者の協議により定めた次の費用。
①.元請・下請会社の現場常駐の従業員(機械,電気設備の保安に係るものを含む。)に支給する給料手当の費用。
②.中止時点に現場に常駐していた従業員を工事現場の維持体制に縮小するまでの間に従業員に支給する給料手当の費用。
③.工事現場の維持体制から再開する体制に移行するまでの間、工事現場に常駐する従業員に支給する給料手当の費用。
ヨ 労務管理費
①.他の工事現場へ転出入する労務者の転出入に要する費用
中止によって遊休となった労務者のうち、当該工事現場に専従的に雇用された労務者(通勤者も含む。)を一定の範囲に転出又は一定の範囲から復帰のため転入するのに必要な旅費及び日当等の費用。
なお、専従的に雇用されていた者とは元請会社直庸又は専属下請会社が直接賃金を支給しており、かつ当該工事現場に相当長期間の契約で常駐的に雇用されていることが貸金台帳等で確認できるような者(以下「専従的労務者」という。)
(通勤者も含む。)とする。
②.解雇・休業手当を払う場合の費用
発注者と受注者の協議により適当な転入工事現場を確保することができないと認めた専従的労務者を解雇・休業するために必要な費用。
夕 地代
現場管理費の内、営繕費に係る敷地の借上げに要する費用等として現場管理費率の中に計上されている地代の中止期間中の費用。
レ 福利厚生費等
現場管理費の内、現場従業員に係る退職金、法定福利費、福利厚生費、通信交通費として現場管理費率の中に計上されている費用の中止期間中の費用。
(2)本支店における増加分費用
中止に係る工事現場の維持等のために必要な受注者の本支店における費用。
(3)消費税相当額
現場及び本支店における増加分費用に係る消費税に相当する費用。