Q2-2. 台湾企業と技術供与契約を締結する場合の留意点について教えて下さい。
Q2-2. 台湾企業と技術供与契約を締結する場合の留意点について教えて下さい。
技術提携に関する契約書の類型は技術支援契約(技術サービス契約ともいう)、技術合作(提携)契約、技術授権契約などよく見受けられます。台湾では技術提供あるいは授権に関する権利義務事項に関して特段の法律規定はないので、紛争を避けるために、契約当事者双方のニーズに応じて取引内容を充分に契約の中に反映することが重要となります。また、xx取引委員会が発布した「xx取引委員会の技術授権協議案件の処理原則」(xxxx://xxx.xxx.xxx.xx/xxxxxxxx/xxxx/xxx/xxxXxxxxx.xxxx?xxxx000&xxxxxx000)の技術授権協議の禁止事項という規定を守る必要があり、xx取引法(独占禁止、不当競争に関する法令)に違反せぬよう注意しなければなりません。
日台間の技術支援取引において、日系企業は主に技術提供側となるため、以下は技術供与者の観点から注意すべき事項を参考までにまとめます。
1. 技術内容
技術内容、仕様や規格など、特許技術であるか専門技術(know-how)であるかを明確に定義する必要があります。
2. 技術提供の方式
技術提供の方法を明記する必要があります。例えば、書面(あるいは電子方式)提供、電話コンサルティング、技術者派遣、協力業者の支援、器具の提供(どちらがコストを負担)などの方法があります。
3. 技術授権範囲
通常、非専属授権が多く、また技術授権を引受ける者は第三者に移転あるいは再授権(関連会社を例外とする規定が可能)することができまないとする契約が多く見受けられます。授権範囲には期間、地域などの制限以外に、さらに提供する技術内容(技術ソースコード、配布(distribution)あるいは書類)ごとに授権することが可能です。
4. 対価
よく見受けられる対価の計算方法は以下のとおりです。また組み合わせることもできます。
(1) 固定金額:技術供与を受ける者は一定期間内に一括もしくは数回に分けて(契約締結時や技術支援完成時など)固定金額を支払います。
(2) 技術供与を受ける者の売上高(あるいはその他推算可能な金額)の一定比率で計算するパターン:金額計算のベース(技術使用に直接関連がある商品など)、パーセンテージを固定するかどうかを明記します。
(3) 件数による報酬計算:当該技術を使用して製造された商品の数量に基づき、一定金額を支払う
か、総数に応じて件数ごとの金額を調整するかのパターンがあります。
5. 租税負担:
台湾の税法規定により、台湾会社が外国会社に対してロイヤルティや技術サービス報酬を支払う際には 20%所得税の源泉徴収を行わなければなりません。当該税金の負担者は、受取側ですが、場合によってはその負担の帰属で当事者間で争いになることもありえますので、負担者をどちらにするかも明記した方が確実です。例えば、契約に定める金額を手取り額とする場合は、支払側で当該金額をグロスアップ(gross up)し、契約書の所定金額と同額の金額を送金することとなります。
6. 技術者の派遣
技術者が台湾に入国して技術指導を行う場合、顧問料、出張実費、ビザ関連費用、保険料などはど
ちらが負担するかを明記する必要があります。技術サービス料が定額の場合、派遣する技術者の経歴、人数、時間などを記載した方が確実です。技術供与者がトレーニングを提供する場合、トレーニングを
実施する場所、時間数、相手方の当該トレーニングの参加者数、または関連費用を自社負担にするかを明記するほうが望ましいといえます。
7. 検証
対価の計算方式が技術供与を受ける者の売上高もしくは件数などとリンクしている場合、技術供与者は相手方の関連帳簿の検証権を確保すべきです。また、検証の結果と相手方から提出した報告の数字と一定比率の差額が発生した場合は、当該検証費用は技術供与を受ける者の負担とすることがよく見られます。
8. 技術提携の製品、技術供与を受ける者の改良改善
技術提携を行い、新技術となった場合の当該技術、または技術供与を受ける者が当該技術を利用して改良あるいは改善した物品の所有権(特許申請権利を含む)の帰属や授権方式および請求方法を明記する必要があると考えられます。
9. 機密保持義務
技術供与を受ける者には当該技術内容の情報の機密保持義務を厳守させるべきです。また必要限度内の従業員、代理人にのみ開示し、当該人員も同様な機密保持義務を負うようにすべきです。
10. 第三者の特許権利不侵害および賠償
技術供与者が提供した技術に関して、「第三者の特許権不侵害」を保証する場合と、保障をしない場合とがあります。「第三者の特許権不侵害」を保証する場合、技術供与者は特許権侵害訴訟の主導権を持つ以外に、技術供与を受ける者に対する賠償責任の金額上限を設定することが好ましいです。
11. 契約期間
契約期間は期限付きあるいは無期限(当事者が契約継続を停止する意思がない場合、契約は自動的に更新される)どちらでも可能です。双方当事者は毎年ロイヤルティあるいは技術サービス報酬の金額もしくは比率を検討可能とすることもできます。
12. 契約終了後の取扱
契約終了後、技術供与を受ける者は技術商品の在庫の処理、技術説明を含む書面あるいはその他書類、器具などを返還するかどうかを明記した方が確実です。
13. 紛争解決方法
一国の法律のみ準用できます。また、訴訟か仲裁かの方式を採用する場合、原告が被告の所在国に起訴あるいは仲裁提起する必要があると考えられます。
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