「JICA 海外協力隊の派遣前訓練に関する合意書」の内容について
2024 年 8 月
青年海外協力隊事務局
「JICA 海外協力隊の派遣前訓練に関する合意書」の内容について
(日系社会青年海外協力隊訓練生、日系社会海外協力隊訓練生、日系社会シニア海外協力隊訓練生用)
派遣前訓練の受講にあたり、「JICA 海外協力隊の派遣前訓練に関する合意書」(別添)に署名を頂くことになります。派遣前訓練においても、改めて本合意書に関する説明を行いますが、訓練生の皆様に前もって合意書の内容を理解していただくために、派遣前訓練までにこの解説のご一読をお願いします。
(1)合意書とは
合意書とは、JICA(甲)と派遣される予定の訓練生(乙)との間で合意を形成する契約文書のことです。XXXX と訓練生は、この文書に署名を行うことにより、法律的な拘束力を持つ合意を相互に結ぶことになります。
(2)合意書の内容
① 目的(第1条)
派遣前訓練の定義と訓練生に期待される取り組みについて規定しています。
日系ボランティア事業が「中南米地域における日系人社会及び当該地域の住民を対象とした協力活動」によって、開発途上地域の経済及び社会の発展又は復興に寄与し、国際協力の促進に寄与するものである旨記載されています。
② 場所等(第2条)
派遣前訓練の場所と期間を規定しています。
③ 合意書の有効期間(第3条)
この合意書が効力を有する期間を定めています。すなわち、派遣前訓練期間が合意期間となります。
ただし、著作権、個人情報の保護、守秘義務、寄稿等の届出、氏名等の公開、公用旅券の管理、取消手数料の負担、手当返還義務及び広報活動への協力については、派遣前訓練終了後も効力を有することを規定しています。
④ 課題等提出(第4条)
訓練生は、派遣前訓練中、JICA の課す課題等について誠意をもって取り組み、指定された日までにJICA に提出することを規定しています。
⑤ 著作権(第5条)
派遣前訓練期間中に訓練生が提出した課題等の著作権は、JICA に帰属します。また、著作者人格権、すなわち、著作者の氏名の表示(非表示)を求めたり、著作物の内容の改変、加筆又は削除を行わないよう(同一性の保持)求めたりする権利について も、行使しないことを派遣前訓練生にお願いしています。
⑥ サイバーセキュリティ等(第6条)
訓練生が、JICA が別に定める「独立行政法人国際協力機構サイバーセキュリティ対策に関する規程」、「サイバーセキュリティ対策実施細則」及び「JICA 役職員等のソーシャルメディアの私的利用に関するガイドライン」に同意し、遵守することをお願いしています。
⑦ 個人情報保護(第7条)
訓練生は、JICA の保有する個人情報を目的外で使用すること又は第三者に提供すること等の禁止、また使用の後のJICA への返却や廃棄について規定しています。
⑧ 守秘義務(第8条)
訓練生は、派遣前訓練中に知り得たXXXX 又は受入予定国政府機関等の秘密を、外部に漏らしてはならないことを規定しています。
⑨ 寄稿等の届出(第9条)
第7条及び第8条を担保するため、訓練生はJICA 海外協力隊事業に関する寄稿、出版、講演等を実施しようとするときは、予めJICA に届出が必要であることを規定しています。
⑩ 法令に基づく情報公開請求への対応(第10条)
JICA は、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(平成 13 年法律第 140 号)に基づき、第三者から情報開示請求があった場合には、当該情報を開示する法律上の義務を有しています。こうした観点から、第三者から情報開示請求があった場合にはJICA としては、訓練生の氏名、出身都道府県・市区町村、受入予定国、予定される任地・配属機関、職種及び派遣期間については、公開することを規定しています。
⑪ 不名誉な行為の禁止(第11条)
訓練生が、受入予定国又は国民を侮蔑する言動を行う等、JICA 海外協力隊全体の不名誉となるような行為をすることを禁じています。
⑫ 公用旅券管理(第12条)
訓練生が、公用旅券を受領した場合の、善良なる管理者としての責任に基づき管理す
る義務を規定しています。
⑬ その他の禁止行為等(第13条)
訓練生が訓練期間中に禁止されている行為を定めています。具体的には以下の項目です。
1)民間企業等に所属し、労務を提供し、対価として報酬を得ること。
2)派遣前訓練又は海外協力活動に支障を来す恐れがあると JICA が判断する活動をすること。
3)この合意書に定める違反行為、禁止行為のほか、合意書別紙「事由」に掲げる行為を行うこと。
⑭ 損害に対する責任(第14条)
訓練生の故意または重大な過失により、XXXX 又は第三者が損害を受けた場合に訓練生が負担する損害賠償責任を定めています。ただし、XXXX にも責任があると判断される場合には、責任範囲は、両者協議して決めることとなります。
⑮ 損害賠償(第15条)
訓練生がJICA に対して、金銭の返還を所定の期限までに行わない場合は、所定の遅延利息が生じることを定めています。現時点では、財務省の告示に基づき、年 3%となっています。
⑯ 非違行為等に対する措置(第16条)
訓練生が本合意書に定める義務に違反する行為、禁止行為等を行った場合、JICA は、訓練生に対して「警告」または「厳重注意」あるいは「合格取消」等の措置を行うことがあります。(合意書別紙の内容を参照)
⑰ 合格取消等(第17条)
以下に定める事由がある場合には、JICA は訓練生の選考試験合格を取り消し、訓練中止等の措置をとることができる旨を規定しています。また、以下の1)、4)、6)に該当する場合、または以下の1)、4)、6)に準ずるやむを得ない事由がある場合には、 JICA は一定期間JICA 事業への参加停止等の措置を講じることができます。
1)訓練生が本合意書の規定や訓練所の諸規則に違反したり、訓練の秩序を乱す場合
2)JICA が訓練生の健康上の理由で活動が困難と判断した場合
3)派遣前訓練の成績が低く、JICA が受入国での活動が困難と判断した場合
4)訓練生が故意又は過失により、JICA に損害を与えた場合
5)日本国政府及び受入予定国政府との間の合意による派遣中止、受入予定国政府による受入拒否、受入予定国及び周辺国の非常事態の発生等により、派遣が困難と XXXX が判断した場合
6)訓練生が本合意書の別紙「合意書解除」に掲げる項目に該当する行為を行った場合
7)訓練生の自己都合による場合
8)前の各号に準ずるやむを得ない事由がある場合
⑱ 手当等(第18条)
JICA は、内部規程にもとづき、訓練生に対し国内手当及び旅費を支給することを規定しています。
また、訓練生が自己都合による訓練辞退や不正行為で訓練中止等となった場合もしくは訓練を修了したものの自己都合により派遣を辞退した場合は、国内手当及び旅費、訓練に要する経費の全部または一部を返還していただきます。
なお、訓練生が自己都合による訓練辞退や不正行為で訓練中止等となった場合もしくは訓練を修了したものの自己都合により派遣を辞退した場合で、航空券等の取消手数料等の費用が発生したときには、JICA は訓練生に対し当該費用の請求をすることができます。
⑲ 国民の国際協力に関する理解増進等への協力(第19条)
JICA 海外協力隊事業は社会からの関心が高く、マスコミ等外部への情報提供の機会も多いことから、氏名、出身都道府県市区町村、受入国、任地、配属機関、派遣職種及び派遣期間の項目については、本合意書をもって情報を公開することに同意をいただいています。
なお、出身都道府県市区町村とは、地方公共団体の最小単位を意味します。例とし て、出身住所が神奈川県xx市xx区の場合、地方公共団体の最小単位はxx市ですので、JICA から外部に提供するのはxx市までとなります。
⑳ 災害補償等(第20条)
派遣前訓練中及び派遣前訓練のための旅行期間において、何らかの災害に遭われた場合、JICA の内部規程に基づき、災害補償を行います。ただし、国家公務員又は地方公務員の方が、公務出張又はいわゆる「派遣法」に基づき参加される場合には、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法により補償を受けることになります。
(21)紛争の解決方法(第21条)
この合意書が、日本の法律によって解釈されること及び裁判による解決が必要な場合には、訓練生の住所にかかわらず、その訴訟の目的の価額に応じ、東京地方裁判所又は東京簡易裁判所のいずれかで裁判を行うことを定めています。
(22)合意外の事項(第22条)
本合意書は、訓練生とJICA の関係の基本的な事項を定めておりますので、合意書に
記載されていない詳細な事項については、JICA の海外協力隊に関する内部規程及び派遣前訓練の際に配布される「JICA 海外協力隊ハンドブック」によることが定められています。
なお、こうしたJICA の文書に定めのない事項については、両者が誠意を持って交渉して定めることとなっています。
以上