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暗号資産交換業に係る利⽤者の管理及び説明に関する規則
(2018 年 7 ⽉ 30 ⽇ 制 定)
(2018 年 10 ⽉ 23 ⽇ ⼀部改正)
(2020 年 4 ⽉ 24 ⽇ ⼀部改正)
第1章 総則
(⽬的)
第1条 本規則は、会員の⾏う暗号資産関連取引(暗号資産関連デリバティブ取引を除く。以下同じ。)について、会員と取引する利⽤者の管理及び利⽤者への説明等の業務に関し、会員が遵守すべき事項を定めることを⽬的とする。
(開始基準)
第2条 会員は、利⽤者との間で暗号資産関連取引を開始するための基準を定め、当該基準に照らして利⽤者との取引の開始の可否を判断しなければならない。
2 前項に定める取引開始基準は、取引内容、利⽤者の属性、取り扱う暗号資産の特性、利⽤者の投資経験、利⽤者からの預り資産その他会員において必要と認める事項について定めなければならない。
3 会員は、法定代理⼈の許可なく、未xx者である利⽤者との間で、暗号資産関連取引を⾏ってはならない。
4 会員は、取引を判断する能⼒に⽋けると認められる利⽤者との間で、暗号資産関連取引を⾏ってはならない。ただし、xx後⾒⼈など当該利⽤者の⾏為を代理する者の指⽰等に従い取引を⾏う場合を除く。
5 会員は、⾼齢者との間で暗号資産関連取引を⾏う場合には、当該⾼齢者の取引に対する理解及び知識、判断⼒その他取引を適切に⾏うために確認を要する事項を確認の上、⾼齢者の能⼒に応じた取引を提供しなければならない。
(取引限度額等)
第3条 会員は、暗号資産関連取引を⾏うにあたり、利⽤者が取引によって⽣じた損失により⽣活の維持が困難な状態に陥るおそれのないように、あらかじめ利⽤者との取引限度額⼜は保有限度額を定め、当該利⽤者による取引の適正な管理に努めなければならない。
(資⾦の事前預託)
第4条 会員は、暗号資産の交換等の取引を⾏う場合には、原則として顧客の注⽂を成⽴させるときまでに、利⽤者から約定代⾦の全額⼜は受け渡す暗号資産の全量の預託をうけなければならない。
2 会員は、暗号資産信⽤取引を⾏う場合には、原則として顧客の注⽂を受付けるときまでに、取引に必要とする保証⾦の預託を受けなければならない。
3 会員は、代表取締役が承認した場合に限り、前 1 項の規定にかかわらず、信⽤⼒その他⾃らが定める条件を満たした顧客との取引については、当該顧客から、預託
⾦の⼀部⼜は全額を受けることなく、取引を⾏うことができる。
(取引時確認等)
第5条 会員は、協会が別に定める「暗号資産交換業に係るマネー・ローンダリング及びテロ資⾦供与対策に関する規則」に従い、利⽤者の取引時確認その他マネー・ローンダリング及びテロ資⾦提供防⽌対策に係る業務を適正に⾏わなければなら
ない。
2 会員は、協会が別に定める「暗号資産交換業に係る反社会的勢⼒との関係遮断に関する規則」に従い、反社会的勢⼒との取引を排除しなければならない。
3 会員は、個⼈情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)、⾦融分野における個⼈情報保護に関するガイドライン、⾦融分野における個⼈情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針その他関係法令等に従い、利⽤者から取得した個⼈情報を適切に管理しなければならない。
第 2 章 ⼝座開設⼿続き等
(利⽤者⼝座の開設)
第6条 会員は、利⽤者と継続的に⼜は反復して暗号資産交換業に係る取引を⾏う場合には、当該取引を⾏う利⽤者ごとに取引に係る基本契約を締結し、取引⼝座を開設しなければならない。
2 前項の⼝座は、原則として1利⽤者につき1⼝座とする。
(利⽤者情報の整備等)
第7条 会員は、前条第 1 項に規定する取引⼝座に対し、利⽤者について、次の各号に掲げる区分に従い、以下各号に定める事項を利⽤者情報として取得し、保管なければならない。
(1)⾃然⼈の場合イ ⽒名
ロ 住所及び連絡先ハ ⽣年⽉⽇
ニ 職業
ホ 取引⽬的
ヘ ⾦融資産の状況
ト 暗号資産交換業に係る取引の経験
チ その他会員が必要と認める事項
(2)⾃然⼈以外の場合イ 名称
ロ 所在地及び連絡先ハ 設⽴年⽉⽇
ニ 事業の内容
ホ 取引⽬的
ヘ 資産・負債の状況
ト その他会員が必要と認める事項
2 会員は、利⽤者⼝座を設けて取引を⾏う利⽤者以外の利⽤者と暗号資産関連取引を⾏う場合には、会員が別途定める事項を利⽤者情報として記録し、これを保管しなければならない。
3 会員は、利⽤者情報の更新に努めなければならない。
4 会員は、前三項により知り得た秘密を他に洩らしてはならない。
5 利⽤者情報の保管期間は、利⽤者との取引が終了した後、10 年間とする。第3章 書⾯の交付等
(契約締結前書⾯の交付)
第8条 会員は、利⽤者との間で暗号資産関連取引を開始するに先⽴ち、暗号資産交換業者に関する内閣府令(平成 29 年内閣府令第 7 号)(以下「府令」という。)第 22条第1項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
2 会員が、利⽤者との間で資⾦決済に関する法律(平成 21 年法律第 59 号)(以下
「法」という。)第 2 条第 7 項において定義される暗号資産の交換等に係る取引を⾏う場合は、取引を開始するに先⽴ち、府令第 22 条第1項各号の事項に加え、同条第
2 項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
3 会員が、利⽤者のために暗号資産の管理を⾏う場合は、管理を開始するに先⽴ち、府令第 22 条第1項各号の事項に加え同条第3項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
4 会員が、利⽤者との間で暗号資産信⽤取引を⾏う場合は、取引を開始するに先⽴ち、府令第 22 条第1項各号及び第 2 項各号の事項に加え、府令第 25 条第1項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
5 会員は、暗号資産交換業に係る取引(暗号資産信⽤取引を除く。)に係る基本契約を締結する場合には、同契約の締結に先⽴ち、府令第 22 条第4項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
6 会員は、暗号資産信⽤取引に係る基本契約を締結する場合には、同契約の締結に先⽴ち、交換業府令第 22 条第4項各号の事項に加え、同府令第 25 条第 2 項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
7 会員は、暗号資産信⽤取引に係る基本契約を締結する場合には、同契約の締結に先⽴ち、府令第 22 条第4項各号の事項に加え、府令第 25 条第 2 項各号の事項を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
8 会員は、契約締結前書⾯の内容を変更(ただし、軽微な変更を除く。)した場合には、その都度、変更後の内容を記載した書⾯を利⽤者に交付しなければならない。
(契約書の交付)
第9条 会員は、利⽤者との間で暗号資産関連取引を⾏うにあたっては、あらかじめ契約を締結の上、利⽤者に対して、当該取引に係る契約書(取引約款を含む。)を交付しなければならない。
(説明書の交付)
第 10 条 会員は、利⽤者との間で暗号資産関連取引を開始するに先⽴ち、第 21 条から第
24 条までに掲げる説明事項その他利⽤者が取引を⼗分に理解し、合理的に判断するために必要となる情報を取りまとめた説明書を、契約締結前書⾯とともに利⽤者に交付しなければならない。
(その他の情報提供)
第 11 条 会員は、当該会員が取り扱う暗号資産について、利⽤者が暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換を⾏うに際し、次の各号に定める区分に従い、以下各号に定める事項を、明瞭かつ正確に認識できるよう継続的に表⽰しなければならない。
(1) 会員が利⽤者からの委託等を受けて暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換を成⽴させる場合、当該委託等に係る暗号資産についての次に掲げる事項
(当該事項がない場合にはその旨)
イ 当該会員が利⽤者からの委託を受けて成⽴させる当該暗号資産の売買における最新の約定価格
ロ 協会⼜は協会が指定する者が公表する最新の参考価格
(2) 会員が相⼿⽅となって暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換を⾏う場合、当該暗号資産についての次に掲げる事項(当該事項がない場合にはその旨)
イ 当該会員が提⽰する当該暗号資産の購⼊における最新の価格ロ 当該会員が提⽰する当該暗号資産の売却における最新の価格ハ (1)イに定める最新の約定価格
ニ (1)ロに定める最新の参考価格
(3) 会員が、その⾏う暗号資産交換業に関し暗号資産の借⼊をおこなう場合
イ 会員による暗号資産の借⼊れは暗号資産の管理に該当せず、当該会員が借り⼊れた暗号資産は法第 63 条の 11 第 2 項の規定により当該会員の暗号資産と分別して管理されるものではないこと
ロ 利⽤者は法第 63 条の 19 の 2 第 1 項の権利を有するものではないこと
2 会員は、その⾏う暗号資産の交換等について利⽤者に複数の取引の⽅法を提供する場合においては、利⽤者の暗号資産の交換等に係る注⽂について、暗号資産の種類ごとに、最良の取引の条件で執⾏するための⽅針及び⽅法を定めて第 20 条第 2項に従って公表し、実施するとともに、次の各号に定める場合において、以下各号に定める情報を書⾯の交付その他適切な⽅法で速やかに(ただし第 2 号に定める情報については、利⽤者から求められた⽇から 20⽇以内に)利⽤者に提供しなければならない。
(1) 利⽤者からの委託等に係る暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換をしないで、⾃⼰がその相⼿⽅となって当該委託等に係る暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換を成⽴させたとき
イ かかる暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換が成⽴したこと
ロ かかる暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換が、本項柱書に規定する
⽅針及び⽅法に適合する理由
(2) 利⽤者の暗号資産の交換等に係る注⽂を執⾏した後、3 か⽉以内に当該利⽤者から求められたとき
イ 当該注⽂の執⾏が本項柱書に規定する⽅針及び⽅法に適合する理由
ロ 当該注⽂に係る暗号資産の種類、数量及び売付け、買付け⼜は他の暗号資産との交換の別
ハ 受注⽇時並びに約定⽇時及び執⾏の⽅法
(受領書の交付)
第 12 条 会員は、暗号資産関連取引に関し、利⽤者から⾦銭⼜は暗号資産を受領したときは、当該⾦銭等の受領を確認した⽇の翌営業⽇までに、利⽤者に対して、府令第 22 条第 5 項各号の事項(暗号資産信⽤取引を⾏う場合には、府令第 25 条第 3 項に定める事項を含む。)を記した書⾯を交付しなければならない。
2 会員は、利⽤者から、交付を受けた⾦銭⼜は暗号資産の受領の確認を求められた場合には、速やかに当該受領の有無を確認し、当該結果を利⽤者に対して書⾯により通知しなければならない。
(出⾦等の通知)
第 13 条 会員は、利⽤者からの指⽰⼜は暗号資産関連取引に係る契約に従い、利⽤者が会員に預託した⾦銭を出⾦し、⼜は暗号資産を払い出し若しくは第三者に送付(以下、本条において「出⾦等」という。)したときには、当該出⾦等の開始後、速
やかに、利⽤者に対して当該出⾦等を⾏った⽇時及びその⾦額⼜は数量並びに送
⾦を⾏った第三者に関する情報を書⾯により通知しなければならない。
(約定の通知)
第 14 条 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引が成⽴した場合には、利⽤者に対して、速やかにその結果を書⾯により通知しなければならない。
2 会員は、成⽴した暗号資産交換業に係る取引の取引⽇、取引⾦額、決済⽅法、約定レート、取引種別(⾃⼰、媒介、代理、取次の別)その他開⽰が必要な取引内容を、利⽤者に対して書⾯により通知しなければならない。ただし、取引内容等に照らして取引種別が明らかな場合、利⽤者に対して取引種別を通知することは要しない。
(不⾜額等の通知)
第 15 条 会員は、暗号資産信⽤取引を⾏う場合に利⽤者から預託された保証⾦が、当該利
⽤者との間で成⽴した暗号資産信⽤取引を維持するために必要とする額に不⾜する事態が⽣じた場合には、不⾜する額⼜は数量及びその預託期限を、速やかに利⽤者に対して書⾯により通知しなければならない。
2 会員は、「暗号資産信⽤取引に関する規則」第6条に基づき、利⽤者が追加保証
⾦(同条第2項に定める意味をいう。以下同じ。)を預託する必要が⽣じた場合には、利⽤者に対し、当該追加保証⾦を預託する必要がある旨及びその預託額並びに預託期限を、書⾯により速やかに通知しなければならない。
(取消し等の通知)
第 16条 会員は、前条に基づき利⽤者に通知した預託期限までに利⽤者からの追加保証⾦の預託が無く、利⽤者との間で成⽴した暗号資産交換業に係る取引の取消し⼜は利⽤者の保有する建⽟の清算を⾏う場合には、利⽤者に対して、当該取消し⼜はロスカット取引の結果を書⾯により利⽤者に通知しなければならない。
(取引報告書の交付)
第 17条 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引に係る基本契約を締結した場合には、3⽉を超えない期間ごとに、利⽤者に対して、府令第 22 条第 6 項に定
める事項(暗号資産信⽤取引を⾏う場合には、同第 25 条第 4 項に定める事項を
含む。)を記した取引報告書を交付しなければならない。
2 会員は、あらかじめ取引報告書を交付する時期を定めなければならない。
(年間報告書の交付)
第 18 条 会員は、利⽤者に対して、年間の取引状況及び実現損益並びに年末⽇時点の預託資産の評価額及び評価損益の状況その他利⽤者の納税⽀援に資する情報(会員の知り得る情報に限る。)を記載した年間報告書を交付するよう努めなければならない。
(交付⽅法)
第 19 条 会員は、本章に定める書⾯による交付⼜は通知を⾏う場合には、当該書⾯による交付⼜は連絡を⾏った記録の保管に努めなければならない
2 会員は、本章に定める書⾯による交付⼜は通知を⾏う⽅法に代えて、当該書⾯に
記載すべき事項を電磁的⽅法により交付⼜は縦覧に供することができる。
3 会員は、利⽤者⼝座を設けて⾏う取引以外の取引を利⽤者と直接対⾯して⾏う場合には、第 8 条に規定する契約締結前書⾯の交付に代えて、当該書⾯に記載すべき情報を対⾯時に利⽤者が確認することができる状態で備え置くこととすることがで
きる。
(公表措置)
第 20 条 会員は、暗号資産の交換等に係る取引を⾏うにあたり、暗号資産の交換等に伴い当該会員⼜はその利害関係⼈と利⽤者の利益が相反することにより利⽤者の利益が不当に害されないよう、当該会員の⾏う暗号資産の交換等に関する情報を適正に管理し、かつ、当該暗号資産の交換等の実施状況を適切に監視するための体制を整備する⽅針を定めて、公表しなければならない。
2 会員は、その⾏う暗号資産の交換等について利⽤者に複数の取引の⽅法を提供する場合においては、利⽤者の暗号資産の交換等に係る注⽂について、暗号資産の種類ごとに、最良の取引の条件で執⾏するための⽅針及び⽅法を定めて、公表しなければならない。
3 会員は、他⼈のために暗号資産の管理を⾏うにあたって、暗号資産を移転するために必要な情報の漏えい、滅失、毀損その他の事由に起因して、法第 63 条の 11 第 2 項の規定により⾃⼰の暗号資産と分別して管理する利⽤者の暗号資産で当該利⽤者に対して負担する暗号資産の管理に関する債務の全部を履⾏することができない場合における、当該債務の履⾏に関する⽅針(当該債務を履⾏するために必要な対応及びそれを実施する時期を含む。)を定め、公表しなければならない。
4 会員は、府令第 37 条第2項の規定により(1)に規定する書類に添付して⾦融庁⻑官に提出した貸借対照表(関連する注記を含む。)及び損益計算書(関連する注記を含む。)を公表しなければならない。
第4章 説明事項
(暗号資産の性質に関する説明)
第 21 条 会員は、利⽤者との間で暗号資産の交換等に係る取引を開始するにあたって、当該暗号資産の性質に関し、次に掲げる事項を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) 暗号資産は、本邦通貨⼜は外国通貨ではないこと
(2) 暗号資産の価値の変動を直接の原因として損失が⽣じるおそれがあるときは、その旨及びその理由
(3) 暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使⽤することができること
(4) 取り扱う暗号資産が、特定の者によりその価値が保証されていない場合は、その旨⼜は特定の者によりその価値が保証されている場合は、当該者の⽒名、商号若しくは名称及び当該保証の内容
(5) 取り扱う暗号資産の概要及び特性
(6) 暗号資産の移転の仕組みの破たんその他の理由により無価値となる可能性があること。
(7) 需要⼜は供給の不⾜により売買が円滑に⾏えない場合があること。
(8) 国・地域における法令その他の規制により、当該国・地域において利⽤⼜は保有が制限されることがあること。
(9) 暗号技術を⽤いて移転を記録する暗号資産の場合、暗号化されたデータを復号するための情報を喪失した場合には、他者に移転することができず、その価値が失われること、及び、当該情報を他者に知られた場合には、利⽤者の意思に
関わらず移転されるおそれがあること。
(10) 会員が盗難その他の理由により利⽤者から預託された暗号資産を紛失し、利
⽤者への補てんを⾏わなければならない事態が⽣じた場合、会員の財政が破た
んし、利⽤者に⼗分な補てんを⾏うことができない可能性があること。
(11) 災害、公衆回線の通信障害、暗号資産の価値移転記録の仕組みにおける記録処理の遅延その他会員の管理し得ない事情により⽣じた利⽤者の逸失利益について、会員はその責を負わないこと。
(12) 前各号以外に暗号資産の性質に関し参考となると認められる事項
(取引内容の説明)
第 22 条 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、次の各号に掲げる区分に従い、次に掲げる事項を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) 取引の態様法第2条第7項各号の⾏為(①暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換、②①の⾏為の媒介、取次ぎ⼜は代理、③①⼜は②の⾏為に関する利⽤者の⾦銭の管理、④他⼈のための暗号資産の管理)のいずれかに該当する
⾏為については、その旨。いずれにも該当しない⾏為については具体的内容。
(2)取引⽅式
イ 競争売買取引
a 競争売買取引である旨
b 会員による利⽤者との間の取引(会員が取次先をして⾏わせる取引を含む。)の実施の有無及び実施する場合にはその理由、利⽤者との利益相反の防⽌策
c その他競争売買取引の内容に関し参考となると認められる事項(取引の約定の仕組みを含むがこれに限られない。)
ロ マーケットメイク⽅式
a マーケットメイク⽅式取引である旨
b マーケットメイカーの名称、所在地、主たる事業
c 価格表⽰⼜は約定におけるマーケットメイカーの優先順位
d 会員がマーケットメイカーになることの有無及びなる場合にはその理由、利⽤者との利益相反の防⽌策
e その他マーケットメイク⽅式取引の内容に関し参考となると認められる事項(約定の仕組みを含むがこれに限られない。)
ハ 店頭取引
a 店頭取引である旨
b xxな取引価格を提⽰・約定するための⽅針及び仕組み
c カバー取引の実施⽅針
d 主要なカバー取引先に関する情報
e その他店頭取引の内容に関し参考となると認められる事項
ニ 約定を通じて利⽤者と会員との間に利益相反が⽣ずるおそれがある場合にはその旨及び利益相反を防⽌⼜は軽減を図るために講ずる措置の内容
(3)注⽂受付及び約定処理に係る⽅針
イ 注⽂若しくは約定に対する値幅⼜は数量制限のルールを有する場合にはその旨及びその内容
ロ 取引価格の急変を防⽌するための措置を講じる場合にはその旨及び措置の内容
ハ 注⽂受付及び約定処理の順序その他約定に関する基本的な事項
ニ 約定に関し例外措置を講じる場合にはその旨及びその概要
ホ 取引を⼀時中断し、再開する際の注⽂受付、約定処理及び取引価格の決定に係る⽅法
(4)⼤規模なブロックチェーンの分岐現象への対応
イ ⼤規模な分岐の発⽣に係る情報の利⽤者への伝達⽅法
ロ ⼤規模な分岐の発⽣時の対応⽅針 a 業務の⼀時停⽌措置の有無
b 業務の⼀時停⽌措置を講ずる場合の判断基準
c 業務の⼀時停⽌措置を解除する場合の判断基準
d 業務の⼀時停⽌及び停⽌を解除する場合の利⽤者への連絡⽅法
e 業務の⼀時停⽌時及び再開時における利⽤者における注意事項
ハ 分岐に伴い新たな暗号資産(以下「新暗号資産」という。)が発⽣した場合の対応⽅針
a 利⽤者への新暗号資産の付与に関する基本⽅針
b 利⽤者への新暗号資産の付与における前提条件
c 現物取引以外の取引における権利調整に係る⽅針
d 新暗号資産を付与しない場合の新暗号資産の取扱⽅針
e 新暗号資産を付与する場合の利⽤者への連絡⽅法⼜は付与しなかった場合の利⽤者への結果報告の⽅法
(5) スリッページに関する事項
イ スリッページ(システム上⽣じる発注と約定との時間差等を原因として、利
⽤者が発注時点に認識していた価格と異なる価格で約定が成⽴することをいう。)が発⽣する場合には、その旨及びスリッページの発⽣原因となる仕組みの概要
ロ スリッページの発⽣により利⽤者に不利となる事象が⽣じる場合にはその旨及びその内容
(6) ⼿数料等に関する事項
イ 会員との取引により利⽤者が⽀払う⼿数料等の料率⼜は額及びその⽀払の
⽅法
ロ ⼿数料等に相当する額の⼀部⼜は全部が取引価格に含まれている場合にあってはその旨及びその額が取引価格に占める割合
2 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、利⽤者財産の安全管理に係る次の各号に掲げる事項について、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) 利⽤者財産の安全管理に係る概要
(2) 利⽤者財産の安全管理に係る業務に要する設備及び⼈員並びに当該業務の運
営⽅法
(3) 第三者をして利⽤者財産の安全管理に係る業務を⾏わせる場合には、その旨及び当該第三者の名称及び所在地並びに当該第三者による安全管理の概要
(4) 利⽤者財産の安全管理のために特別な措置を講じている場合には、その旨及び
当該措置の内容
3 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、利⽤者が預託する資産の額を上回る損失を被ることを予防するための措置を講じている場合には、その旨及び当該措置の内容を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
4 会員は、利⽤者との間で暗号資産信⽤取引を開始するにあたって、ロスカット取引に関する次の各号に掲げる事項について、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) ロスカット取引が強制的に執⾏された場合にあっても、利⽤者が預託する資産の額を上回る損失が発⽣することがある場合にはその旨
(2) 価格の配信が停⽌し再開される場合において停⽌前と再開後の価格が異なるなどにより強制的にロスカット取引が発⽣する可能性があること及び当該ロスカット取引により発⽣する損失の額が利⽤者の預託した資産の額を上回るおそれがある場合にあってはその旨
5 会員は、利⽤者との間で暗号資産信⽤取引を開始するにあたって、利⽤者の実預託額が維持すべき保証⾦の⾦額を下回ったときには利⽤者に対して追加の保証⾦を求める制度を設けている場合には、その旨及び当該制度の内容を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
6 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、利⽤者による注⽂を他の暗号資産交換業者等に取り次ぐ場合には、次の各号に掲げる事項を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) 取次先の名称及び所在地
(2) 取次先が複数ある場合にはその旨及び取次先の選定⽅針
(3) 会員と取次先の関係が利⽤者との取引に対して利益相反関係を⽣じさせる場合には、その旨及び当該取次先と会員との関係
7 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、利⽤者を代理して取引を⾏う場合には、次の各号に掲げる事項を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) 注⽂する相⼿⽅の名称及び所在地
(2) 注⽂する相⼿⽅が複数ある場合にはその旨及び発注先の選定⽅針
(3) 会員と注⽂する相⼿⽅との関係が利⽤者との取引に対して利益相反を⽣じさせる場合にはその旨及び当該注⽂する相⼿⽅と会員との関係
(苦情受付・紛争解決等に関する説明)
第 23 条 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、次の各号に掲げる事項の他、利⽤者の苦情の受付並びに利⽤者との取引により⽣じた紛争の解決に関する事項を利⽤者にあらかじめ説明しなければならない。
(1) 苦情への対応及び紛争の解決に向けた会員の基本⽅針
(2) 会員への連絡⼿段として、次に掲げる事項
イ 苦情を受け付ける担当部署の名称⼜は担当責任者の⽒名ロ 当該部署の所在地⼜は責任者の勤務地
ハ 苦情受付に⽤いる電話番号
ニ 電⼦メールその他の電磁的媒体によって受け付ける場合においては当該電磁的媒体へのアクセスの⽅法
ホ 苦情受付時間
(3) 会員が利⽤する ♙DR の名称及び連絡⽅法
(4) 協会における利⽤者の苦情受付の⽅法
2 会員は、⾃らの責に帰すべき事由により利⽤者に与えた損害について、会員が⼀切その責任を負わないかのような誤認を⽣じさせる説明を⾏ってはならない。
(禁⽌事項の説明)
第 24 条 会員は、利⽤者との間で暗号資産交換業に係る取引を開始するにあたって、次の各号に掲げる⾏為を⾏ってはならない旨を、あらかじめ利⽤者に説明しなければならない。
(1) ⾦融商品取引法第 185 条の 22 第 1 項各号、同法第 185 条の 23 第 1 項、同法第 185 条の 24 第 1 項各号及び同条第 2 項各号に規定する⾏為。
(2) 架空の名義⼜は他⼈の名義など本⼈名義以外の名義で⾏う取引
(3) 暗号資産情報利⽤取引(「暗号資産交換業に係る暗号資産関係情報の管理体制の整備に関する規則」第 15 条第2項に定めるものをいう。)
(4) その他不適正な取引として会員が定める取引
(5) 会員が利⽤者情報として取得する情報に関し、虚偽⼜は故意に誤った情報を申
告すること。
第 5 章 業務管理
(責任者の設置)
第 25 条 会員は、本規則に定める内容を遵守するため、その責任者を定め、利⽤者との取引管理及び利⽤者への説明に関する業務を適正かつ確実に⾏うための体制を整備しなければならない。
(交付書⾯等の確認)
第 26 条 前条に規定する責任者は、以下に定める各業務を担当する者を選定の上、その業務の実施状況を定期的に検証し、モニタリングしなければならない。
(1) 本規則により利⽤者に交付する書⾯(第 18 条に基づいて電磁的⽅法により提供する場合には、当該電磁的記録を含む。以下同じ。)を作成する業務
(2) 本規則により利⽤者に交付する書⾯の内容の適切性などを確認する業務
(3) 本規則により利⽤者に交付する書⾯を利⽤者に提供する業務
(交付書⾯等の訂正)
第 27 条 会員は、本規則により利⽤者に交付する書⾯⼜は提供する情報に誤りがあった場合には、速やかにこれを訂正し、利⽤者に伝達しなければならない。
2 会員は、本規則により利⽤者に交付する書⾯⼜は提供する情報に誤りを発⾒した場合には、当該利⽤者との暗号資産交換業に係る取引に与えた影響を検証しなければならない。
3 会員は、前項の検証の結果、誤った情報の提供等が利⽤者との暗号資産交換業に係る取引に影響を与えたものと判断した場合には、不祥事件として、当該事象を協会に対して届け出なければならない。
(交付書⾯の管理)
第 28 条 第 28 条会員は、本規則により利⽤者に交付する書⾯について管理簿を設け、管理番号を付した上で、その使⽤を開始した時点から保管しなければならない。
2 前項の書⾯の保管期限は当該書⾯の使⽤を終了した時点から 5 年以上としなけれ
ばならない。ただし、法令その他の規則により本条に規定する期間を超えて保管することが必要な場合には、当該法令その他の規則に従うものとする。
3 前 2 項における保管の⽅法については、電磁的記録として保管することができる
ものとする。
第 29 条 会員は、本規則により利⽤者に交付する書⾯の内容⼜は提供する情報の内容に関し、利⽤者から説明を求められた場合には、これに誠実かつ迅速に応えなければならない。
第 6 x x⽤暗号資産の管理を⾏う暗号資産関連デリバティブ取引を⾏う会員の遵守事項
(代⽤暗号資産の預託を受けた場合の遵守事項)
第 30 条 暗号資産関連デリバティブ取引を⾏う会員が、保証⾦として暗号資産を代⽤(以下「代⽤暗号資産」という。)する場合、かかる代⽤暗号資産を顧客のために管理する⾏為は本規則の規定における「暗号資産交換業に係る取引」に含まれるものとして、本規則を適⽤する。
附則
この規則は、2018 年 10 ⽉ 24 ⽇から施⾏する。
附則(2020 年 4 ⽉ 24 ⽇決議)
この規則は、2020 年 5 ⽉ 1 ⽇から施⾏する。
「暗号資産交換業に係る利⽤者の管理及び説明に関する規則」に関するガイドライン
(2018 年 7 ⽉ 30 ⽇ 制 定)
(2018 年 10 ⽉ 23 ⽇ ⼀部改正)
(2020 年 4 ⽉ 24 ⽇ ⼀部改正)
第 1 条関係
本規則において「会員」とは定款第 8 条第 1 項第 1 号に規定する第⼀種会員を指します。
第 2 条第 1 項、第 2 項関係
取引開始基準は、例えば暗号資産でもそれぞれリスク度が異なることから、リスクク
ラスを中⼼に基準を設けることも有効です。
リスク度 1 | リスク度 2 | リスク度 3 | |
年齢 | |||
経験 | |||
資産 | |||
所得 | |||
利⽤⽬的 |
利⽤者から取引の申し込みがあった場合には、利⽤者カードに記録する情報と申込のあった取引により、上記の基準に照らして適合しているか判定して、取引の可否を決定します。
なお、基準に適合しないものの、取引することが適当であると判断する利⽤者については、そうした利⽤者との取引を開始するための⼿続を規定し、これを⾏うことができます。ただし、この場合には、第 25 条に規定する責任者が利⽤者と個別に連絡し、決裁するなど慎重に対応するほか、特別な取扱いをする理由、取引を認めることとする判断が合理的であることの説明を記録・保管し、かつ、実際の取引において懸念する事態が
⽣じていないことの事後確認を⾏う必要があります。
第 3 条関係
取引限度額等の管理は、所定の期間内の累計取引⾦額を基準とする⽅法や利⽤者の暗号資産保有額を基準とする⽅法、さらには所定の期間内の累計損失額をもって代替する
⽅法などが考えられます。信⽤取引など利⽤者が会員に預託する保証⾦額を上回る損失を⽣ずるおそれのある取引については、利⽤者の暗号資産保有額と累計損失額の2⽅⾯から限度額基準を定め管理することが最適な⽅法の1つと考えます。取引限度額等は、利⽤者に個別に設定することも、⼀律に設定することも可能です。 ただし、⼀律に設定する場合には、損失許容量が最も⼩さい利⽤者に対しても⼗分安全な⽔準に設定しなければなりません。取引限度額等に達した利⽤者については、状態が回復するまでの期間、新たな取引を⾏わず、暗号資産保有額の整理のための取引のみを⾏うこととするなど、実効性を伴った取引限度額の管理を⾏う必要があります。
第 4 条関係
利⽤者との間で継続的に⼜は反復して⾏う取引については、前もって所定の⾦銭⼜は 暗号資産を徴求するものとします(保証⾦として利⽤者に預託を求める場合を含みます)。実店舗で⼀⾒の利⽤者を相⼿に売買⼜は交換を⾏う場合には、通常は、取引の成⽴と同 時に決済することとなるため、本条に定める事前預託のルールは適⽤されませんが、会 員が先に現⾦あるいは暗号資産を利⽤者に渡した後に、利⽤者から現⾦あるいは暗号資 産を受け取るような場合には、受け取りの遅延等により⽣ずるリスクを適切に管理する 必要があります。また、⼤⼝利⽤者や⼤量の暗号資産を保有する利⽤者などと個別に契 約し、取引を⾏う場合であって、本条に定める事前預託のルールが適⽤されない場合に も、未済によるリスク管理を適切に⾏わなければなりません。
第 6 条第 2 項関係
暗号資産の交換等に係る取引と暗号資産関連デリバティブ取引を別の⼝座管理体系として管理する場合には、同⼀利⽤者の情報を効率的に検索し加⼯することができるように、双⽅の⼝座を、紐づける措置を講ずる必要があります。措置の仕⽅はシステムに拠らなくとも構いませんが、売買審査や利⽤者に提供する年間報告などへの対応も考慮する必要があります。 なお、他の会員から利⽤者⼝座の管理を受託する会員は、⾃社の利⽤者⼝座とは区分して管理する必要がありますので、⾃社の利⽤者である者と同じ⼈物が委託側の利⽤者 であった場合であっても、双⽅の⼝座を紐付けて管理する必要はありません。(利⽤者情報保護の観点からは、紐付けないことがむしろ適当とも考えられます。)
第 7 条第1項関係
取得した利⽤者情報の記録・保管⽅法は、書⾯である必要はなく、電磁的記録として保管しても⽀障はありません。
なお、「職業」及び「事業の内容」に関し、暗号資産に関連する業務に従事する⾃然
⼈⼜は法⼈の場合には、「暗号資産交換業に係る暗号資産関係情報の管理体制の整備に関する規則」第 2 条第 2 項に規定する「情報取得者」に該当する場⾯も想定されることに留意する必要があります。
第 7 条第 1 項第2号ト関連
会員は、「マネー・ローンダリング及びテロ資⾦供与対策に関する規則」に基づいて利⽤者スクリーニングを⾏う必要があるところ(第 10 条)、利⽤者が法⼈などの⾃然⼈以外の場合には、当該法⼈等の実質的⽀配者のスクリーニングが可能な程度の情報の取得・保管が必要であることから、例えば、実質的⽀配者に係る本⼈特定事項を取得・保管することが考えられます。
第 7 条第2項関係
会員は、「マネー・ローンダリング及びテロ資⾦供与対策に関する規則」に基づいて利⽤者スクリーニングを⾏う必要があり(第 10 条)、また、同規則第 15 条 3 項に定める取引について取引時確認を⾏う必要があることを踏まえ、利⽤者⼝座を設けない取引に関しても、上記スクリーニングや取引⾦額・頻度へのコントロールのほか、同規則第 15 条第3 項に定める取引への該当性の検知が可能な程度の情報を利⽤者情報として取得し、これを保管する必要があります。
第 7 条第 3 項関係
利⽤者情報は最新の情報をもって管理する必要があります。このため、利⽤者の更新の申出をいつでも受け付けられる環境を整えることが好ましいものと考えます。なお、少なくとも年 1 回、利⽤者に情報の更新を依頼し、情報の最新化に努める必要があります。
第 8 条関係
本条に定める契約締結前書⾯は、府令第 22 条及び第 25 条に基づき、暗号資産交換業者が暗号資産交換業に係る取引を開始するに先⽴ち利⽤者に提供することが求められる情報を記載した書⾯です。府令第 22 条及び第 25 条は、利⽤者に提供すべき情報を、開始する取引の種類に応じて定めていますので、本条各項においてもそれに対応した規定を置いています。
本条第 1 項乃⾄第 3 項における説明内容は、府令第 22 条第 1 項乃⾄第 3 項の定めに
よります。府令第 22 条第 2 項の規定は暗号資産の交換等を⾏わない暗号資産交換業者に
ついて、同条第 3 項の規定は暗号資産の管理を⾏わない暗号資産交換業者について適⽤
がありません。したがって、暗号資産の交換等を⾏わない会員は、本条第 2 項の書⾯を
交付する必要はなく、暗号資産の管理を⾏わない会員は、本条第 3 項の書⾯を交付する必要はありません。
暗号資産の販売に続けて当該暗号資産の管理を⾏う場合など複数の取引を提供する場合には、内閣府令第 22 条第2項及び第 3 項の規定に従って、各取引の内容や条件に応じた事項を記載した書⾯を交付しなければなりません。
第 8 条第 1 項関係
府令第 22 条第 1 項 3 号の「当該取引の内容」は本規則第 22 条第 1 項各号に掲げる事項によりほぼカバーされますので、本条の書⾯では本規則第 10 条の説明書⾯に記載されている当該事項を参照する旨の記載で⾜ります。
府令第 22 条第 1 項 4 号に基づき説明する事項として、例えば、暗号資産の発⾏者や管理者等の破綻による暗号資産の消失・価値減少リスク、暗号資産に表⽰される権利に係る債務者の破綻による当該権利の毀損リスク、暗号資産交換業者の破綻による預託した暗号資産の返還を受けられないリスクなどがあります。
第 8 条第 4 項関係
府令第 25 条第 1 項第 1 号に規定する「暗号資産信⽤取引について利⽤者が預託すべき保証⾦の⾦額及びその計算⽅法」として説明すべき事項として以下の事項があります。
・利⽤者から預託を受けた保証⾦の額が相場の変動等により変動すること及びその計算⽅法
・当該保証⾦等の額の変動により必要額より不⾜した場合に追加で預託しなければならない保証⾦に関する事項
府令第 25 条第 1 項第 2 号に規定する「暗号資産信⽤取引に関する損失の額が前号の保証⾦の額を上回ることとなるおそれがあるときには、その旨及びその理由」として説
明すべき事項として、以下の事項があります。
・ロスカット取引が⾏われる場合であっても、相場の急激な変動により保証⾦の額を上回る損失が⽣じることとなるおそれがある場合にはその旨
・保証⾦の全部⼜は⼀部として暗号資産を代⽤する場合において、当該暗号資産の価値の下落に伴い、保証⾦の額が減少することによって当該保証⾦の額を上回る損失が
⽣じることとなるおそれがあるときは、その旨
府令第 25 条第 1 項第 3 号に規定する「弁済の期限」として説明すべき事項として、ロスカット取引が⾏われた場合における暗号資産信⽤取引の信⽤供与に係る債務の弁済期限があります。
府令第 25 条第 1 項第 4 号に基づき説明すべき事項として、以下の事項があります。
・ロスカット取引に関する取決めが設けられていること及びその内容
・カバー取引の相⼿⽅及びその概要
・所定の期限までに追証が預託されない場合に、暗号資産信⽤取引が強制的に決済されるときは、その旨及び当該強制決済によって損失が⽣じることとなるときは、その旨
・暗号資産信⽤取引の決済によって利⽤者が取得した⾦銭⼜は暗号資産の全部⼜は⼀部が当該暗号資産信⽤取引の信⽤供与に係る債務の担保となる場合には、その旨
第 11 条関係
本条第 1 項は府令第 23 条第 2 項第 1 号に規定する情報提供義務に対応する規定であ
り、本条第 2 項は、府令第 23 条第 2 項第 2 号に規定する情報提供義務に対応する規定です。
第 11 条第 1 項関係
本項に定める事項の表⽰にあたっては、当該事項について利⽤者が明瞭かつ正確に認識できるよう、利⽤者が暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換を⾏うに際しての取引ページ等にわかりやすく表⽰する必要があります。
ただし、協会のウェブサイト等において、本項第 1 号ロの最新の参考価格が表⽰されている場合は、協会のウェブサイト等へのリンクを利⽤者が暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換を⾏うに際しての取引ページ等に表⽰する⽅法により、当該最新の参考価格を表⽰することができます。
なお、本条は、暗号資産の交換等を⾏わない会員には適⽤されません。
第 11 条第 2 項関係
「利⽤者に複数の取引を提供する場合」としては、以下のような場⾯があります。
・⾃⼰がその相⼿⽅となって暗号資産の交換等を⾏う取引とともに、利⽤者から暗号資産の交換等の媒介に係る委託を受けて⾏う取引を提供する場合
・利⽤者から暗号資産の売買⼜は他の暗号資産との交換の取次ぎに係る委託を受けて
⾏う取引を提供する場合において、複数の取次先が存在するとき
・複数のマッチング取引の場を提供する場合
・処理速度や⼿数料等の異なる複数の取引を提供する場合
最良執⾏の⽅針及び⽅法については、原則として暗号資産の種類ごとに定める必要がありますが、当該⽅針及び⽅法が共通する暗号資産については、最良執⾏の⽅針及び⽅法をまとめて策定することも可能です。
第 12 条関係
本条は、郵送による⽂書交付を想定しており、翌営業⽇までに⽂書を発送する必要があります。⼀⽅、電磁的⽅法による交付⼜は情報提供の場合には、郵送に伴う事務が⽣じないことから、受領を確認ししだい、速やかに利⽤者に情報提供されることが好ましいものと考えます。 なお、暗号資産は、ブロックチェーン上に記録されたことをもって受領確認としますが、ブロックチェーンの記録処理が円滑に⾏われていない状況が発⽣することを鑑みるに、ブロックチェーンへの記録申請が確認できた時点で利⽤者に経過報告を⾏うことにより、利⽤者の不安が和らぐ効果もあることから、そうした措置を施すことは、利⽤者保護に適った好ましい⽅法であると考えます。また、フォークの発⽣などに伴いブロックチェーン上の移転記録化を改めて⾏う必要が⽣じた場合などにおいては、受領確認が相当程度、遅延することもあり得ます。このような場合には、確認未了の状態にあること及びその理由、現在の進捗状況などの情報を適宜利⽤者に提供することは、利⽤者の安⼼感を⾼める効果が期待できる優れた⽅法であると考えます。カード決済を利⽤した取引においては、カード会社から利⽤承認を確認した時点をもって受領確認とするものとします。この場合、利⽤者がカード会社との決済を失念しないように、決済予定⽇を記載し通知することは好ましい⽅法の1つと考えられます。
第 13 条関係
送付する第三者が通知対象となっているのは、送付指定した相⼿先に会員が適切に送付したかを利⽤者が確認することができるようにするためであり、具体的には利⽤者が指定した送付先のアドレス等の情報を通知することを想定しています。
第 14 条第 1 項関係
本条の通知とは、約定の都度、速やかに利⽤者に伝達する情報であり、第 17 条に規定する取引報告書とは異なるものです。ただし、約定の都度、取引報告書を利⽤者に交付している場合には、本条の通知を⾏っているものとみなすことができます。
第 14 条第 2 項関係
取引の種別について、取引契約等により、取引種別が⼀に定まっている場合であって、その旨が 取引契約等において明⽰されている場合には、約定の通知の取引種別を省略することができます。
第 18 条関係
国内に居住する個⼈の利⽤者に対しては、1 ⽉ 1 ⽇から 12 ⽉ 31 ⽇までを 1 年間とする年間報告書を交付します。法⼈の利⽤者については、利⽤者が指定する期間をもって年間とし、報告書を交付するものとします。
第 20 条第 1 項関係
公表する利益相反管理⽅針には、会員の業務の内容・特性・規模等を勘案した上で、利益相反のおそれのある取引の類型、、利益相反管理の⽅法、利益相反管理体制及び利益相反管理の対象となる利害関係⼈の範囲がわかりやすく記載されなければなりません。
公表の⽅法は、店舗での掲⽰・閲覧やホームページへの掲載等が考えられます。
第 20 条第 2 項関係
「利⽤者に複数の取引の⽅法を提供する場合」の例については、第 11 条第 2 項のガイドラインを参照してください。
第 20 条第 3 項関係
「債務の履⾏に関する⽅針」として、以下の事項について定め公表しなければなりません。
・当該債務の履⾏の⽅法
・当該債務の履⾏の時期
・当該債務の履⾏の⽅法が⾦銭による場合には、弁済額の算定の基準⽇及び⽅法
第 21 条関係
本条は、法 63 条の 10、府令第 21 条に規定される暗号資産の性質等についての説明
義務に対応する規定です。
本条に基づく説明は、協会が公表する暗号資産の概要説明書記載の内容を参考として
⾏います。
本条第 12 号の事項としては、例えば、取り扱う暗号資産の⽤途、総発⾏量及び発⾏可能な数量に上限がある場合はその上限、流通状況等があります。
第 22 条第 1 項関係
本条第 1 項各号に掲げる事項のうち、該当しない項⽬については、記載する必要はありません。
第 22 条第 1 項第 2 号ロb、ハ d 関係
マーケットメイク⽅式取引の場合、マーケットメイカーの提⽰する価格の信頼性が、利⽤者が市場を選択するときの重要な判断材料となります。店頭取引においては、暗号資産交換業者がポジションリスクを適切に管理するに⾜るカバー取引先を有していること、及びカバー取引先が適正なカバーレートをもって暗号資産交換業者とのカバー取引を⾏っているのかが、利⽤者の取引業者選択において、重要な情報となりうるため、これら事項の説明を求めるものです。
第 22 条第 1 項第 2 号ニ関係
店頭取引の場合、店頭取引の場合はもとより、マーケットメイク⽅式取引においても
会員⾃⾝がマーケットメイカーとなる場合、競争売買取引においても会員が⾃⼰勘定を
⽤いて取引に参加する場合には、利⽤者との間に利益相反関係が⽣じ、利⽤者が⼀⽅的に情報劣位におかれることとなりますので、そのような利益相反関係を適切に管理する
仕組みを設け、その仕組みについて説明することは、健全な市場育成にとって極めて重要と考えられます。 本号ニにおいては、当該取引を約定するにあたって⽣じうる利益相反の内容をまず明らかにした上で、かかる利益相反を防⽌⼜は軽減するために講じられている措置について、本規則第 11 条第 1 項に基づく価格に関する情報提供、第 20 条第
1 号に基づき公表されている利益相反管理体制、同条第 2 号に基づき公表されている最良取引条件により執⾏するための⽅針等を適宜参照しつつ、当該取引に即して説明することが求められます。
第 22 条第 4 項、第 5 項関係
本規則第 8 条第 4 項に基づく契約締結前書⾯に記載された事項を適宜参照し、当該書
⾯に記載されていない点について説明してください。
第 22 条第 6 項関係
本項における取次先については、登録暗号資産交換業者以外の業者(例えば、外国において暗号資産交換業を営む者等)もありうることから、暗号資産交換業者等としています。
第 22 条第 6 項第 2 号、第 3 号、第 7 項第 2 号、第 3 号関係
本規則第 20 条第 1 号に基づき公表されている利益相反管理体制、同条第 2 号に基づき公表されている最良取引条件により執⾏するための⽅針等を適宜参照しつつ、当該取引に関する説明を⾏って下さい。
第 30 条関係
本規則は、暗号資産関連デリバティブ取引を除く暗号資産関連取引に関する利⽤者の管理及び利⽤者への説明について会員が遵守すべき事項を定めるものです。「暗号資産関連デリバティブ取引を⾏う会員が当該取引に関して⾏う顧客の管理及び顧客への説明に本規則は適⽤されず、「暗号資産関連デリバティブ取引に係る利⽤者の管理及び説明に関する規則」が適⽤されます。しかし、会員が暗号資産関連デリバティブ取引において代
⽤暗号資産の預託を受けた場合、当該代⽤暗号資産を顧客のために管理する⾏為は、法第 2 条第 7 項第 4 号に規定する「他⼈のために暗号資産を管理すること」として暗号資産交換業に係る取引となり、「暗号資産関連デリバティブ取引を除く暗号資産関連取引」に含まれることになります。従って、当該代⽤暗号資産の管理に関する顧客の管理及び顧客への説明は、当該暗号資産関連デリバティブ取引に関する顧客の管理及び顧客への説明とは別に、本規則の適⽤を受けることになります。
附則
このガイドラインは、2018 年 10 ⽉ 24 ⽇から施⾏する。
附則(2020 年 4 ⽉ 24 ⽇決議)
このガイドラインは、2020 年 5 ⽉ 1 ⽇から施⾏する。