・平板載荷試験を 1 箇所実施していることから、位置及び結果についてチェックしたが、位置はボーリングデータ採取場所の近辺であり、結果は長期許容支持力(300k N/㎡)を超えており、適正である。
実 施 対 象 工 事
調査日 平成29年12月13日・14日
○ 平成29年度 富士市xxxまちづくりセンター改築主体工事
1 所 管 課 市民部 まちづくり課・建設部 施設保全課
2 | 契 | 約 金 | 額 | 324,000,000円(設計金額 330,048,000円)平成29年6月14日契約 |
3 | 工 | 期 | 平成29年6月15日から平成30年5月31日まで | |
4 | 受 | 注 | 者 | xx建設株式会社 |
5 | 工 | 事 概 | 要 | xxxまちづくりセンターは、現在の位置に昭和 56 年4月に公民館として開館し、その後平成2年3月に増築工事により、中会議室及び大会議室の拡充を行ったが、旧施設は建物延べ床面積が 498 ㎡と狭小であり建物及び設備の老朽化も進行していることから、改築計画を進めたものである。 |
工事場所 | xxxxx 00 番1 |
工事内容(規模・構造・面積等)
ア | 敷地面積 | 2,809.53 ㎡ |
イ | 建築面積 | 687.70 ㎡ |
ウ | 延床面積 | 1,197.70 ㎡ |
(1階:640.97 ㎡、2階: 556.73 ㎡) | ||
エ | 構造規模 | 鉄筋コンクリート造/ 直接基礎(地盤改良工法)、地上2階建て |
6 工事進捗状況 実施 27.0% 計画 29.0%(平成 29 年 11 月末日時点)
7 調 査 結 果
書類調査における所見
工事関係書類について調査した結果、工事監理に必要と思われる書類等の記録及び保管については、よく整理されていることが理解できる。その都度提示された書類を調査し、疑問点は関係者に質問するとともに、当該工事の計画・調査・設計・仕様・積算・契約・施工管理・監理(監督)・試験・検査等の各段階における技術的事項の実施状況について調査した。その結果は、統括的には概ね良好と判断された。
なお、特に留意すべき個々の事項については、以下の各号に示す通りである。
1)工事着手前における留意事項
ア 計画全般に関係する書類について
・富士市市民部まちづくり課、建設部施設保全課及び財政部契約検査課各職員から、当該工事の事業目的と工事決定に至る経緯について説明を受けた。
・現在の施設は昭和 56 年4月に公民館として建てられ、その後増築工事により会議xxの拡充を行ったが、建物規模も狭小であり、建物及び設備の老朽化も進行していることから、改築計画を進めて新たな拠点施設の実現に向けて整備する事業である。関係各位による事前協議及び施設の充実を目指して、xxxまちづくりセンター建設委員会を設置し、地域の人たちと繰り返し検討を重ね、地区からの要望も取り込んだ建替え事業であり、明確な方針が感じられる。
・地元住民に対しては、xxx地区住民の意見を広く反映し検討を行う場として建設委員会を計5回開催し、施設の規模・配置・xx面計画等に対する事業計画に関する合意を得ており、評価できる。委員の構成はまちづくり協議会・まちづくりセンター利用者・まちづくり協議会長から委嘱された者のほか、事業主管課・事業担当課職員・センター長も参加しており、事業への熱意が感じられる。実施設計を経て、可能な限りの検討・検証を加えながら、将来に向けて市民の安心かつ安全に地域活動に寄与するための施設整備に注力してきたことが理解できる。
・施工計画上の工事用動線については、場内外共に固定しており、工事車輌の頻度に応じて、適宜ガードマンの配置を実施している。地域住民に対しても、全工期を通じて仮囲い(H 2000、一部既存フェンス活用)を設置し、工事の進捗状況を常時通知しており、第三者災害への防止措置を講じている。
・事業決定に至る手続きについて確認したが、「第五次富士市総合計画」に含まれており、建築工事に対する計画通知関係書類の他、計画実施に必要な事前協議及び申請等については、適切に実施しており、妥当である。
・交通に影響を及ぼす恐れのある場合を含めて、警察との協議について質問したところ、工事期間中の工事車輌の資機材の搬出入に対する監視体制を取り入れるとともに、必要に応じた安全対策を取り込んでおり、適正である。
・関連工事相互間の調整について確認したが、当該敷地内における新築工事であ り、施設規模から分割発注方式となっており、毎週火曜日午後1時 30 分より、事業主管課、工事担当課の担当職員、受注者により、定例会議を実施して工程 等の調整を行っていた。また、全体会議終了後に各工種の分科会を実施してお り、実施記録からも監査時点での問題点は見当たらない。
・設計段階より、工事コストの縮減については、積極的に関与しており、イニシャルコスト・ランニングコストの2点で、維持管理費の低減・メンテナンスフリーを中心に具体的に縮減策を立案し実施設計に生かされている事は、評価できる。
イ 設計内容に関する書類について
・敷地測量・地盤調査・インフラ等の埋設状況等を含む事前調査に基づいて既存施設の解体・撤去を行うとともに、給排水・電気の接続状況を確認する他、土壌汚染のチェック及び土質データに基づいて地耐力の確認を行い、部分的な地盤改良で処理したことは、評価できる。
・仕様書・設計図面及び明細書は、実施設計業務委託仕様書・特記仕様書の他、公共建築工事積算基準及び建築基準法関係規程により品質・性能要求、形状寸法等が明示され作成されているので、適正である。なお、計画及び設計に対する基準・規定については、以下に準拠している。
公共建築工事標準仕様書(建築編) 建築物解体工事共通仕様書・同解説建築工事標準詳細図
地盤調査報告書等
・設計基準・設計資料等の基準・規定としては、法基準以外に施設の規模等について「地区まちづくりセンター施設整備についての基準」というものが作成されており、設計基準・仕様の統一が図られており評価できる。
・地形上、雨水対策についての検討もされたが、当該敷地は過去の実績からも浸水区域外とのことで、新設する施設及び規模についても既存敷地内であり、処理能力・排水ルートに特段の問題点は見当たらない。
・現場発生材の処理方法については、特記仕様書に記載されているとともに、現場において廃材の分別収集が実施されており、リサイクルを意識した姿勢が見られる。廃棄物処分に対するマニフェストについては、施工計画書により事前届出に従い、適正に進められていることを、各種許可証の写しが適切であることを確認しているとの説明であり、妥当である。
・シックハウス対策については、一般居室については全熱交換器・換気扇で計画され、全て 24 時間換気システムを採用するとともに、施工完了時にパッシブ型採取機器による測定で、あらかじめ設定された測定箇所に対してホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン等、厚生労働省環境衛生基準により測定し、安全性を確認するとのことであり、適正である。
・耐震設計の考え方・留意点については、公共施設であることから、施設の重要度並びに地域防災計画等による社会的ニーズに対応して耐震安全性の分類(Ⅰ)で実施し、安全係数 1.50 を加算しており、適正である。
・バリアフリー法への対応については、2,000 ㎡未満の為、努力義務ではあるが「静岡県福祉のまちづくり条例」に適合するよう設計を行っており、適正である。
・外部(外壁・屋根・窓等)からの熱の侵入、拡散を防止する対策として、屋根には押出成形断熱材を打込み、外壁面には発泡ウレタン吹付を行う他、窓ガラスは複層硝子仕様を採用しており、効果的である。
ウ 積算に関係する書類について
・積算内容の照査については、担当・xx・総括監督員により手続きは適切に行われており、基準(静岡県建築工事積算基準)も示されており適正である。但し、記録がないことから引継書として書式を統一し、照査の流れを明確にすることも可能であり留意されたい。
・「単価」については、静岡県建設資材等価格表の他、定期刊行物及び業者見積りにより決定し、「歩掛」については静岡県建築工事積算基準及び工事歩掛要覧に準拠しており、適正である。
・業者見積りについては、静岡県建設資材等価格表・積算標準単価表・建設資材定期刊行物・公表価格にない項目について実施し、採用単価の決定は3者以上の見積りを徴収し、下限値をベースとして実績及び市場価格を考慮して価格設定を行っているとの説明であり、妥当である。
エ 契約に関する書類について
・入札参加業者(9者)の見積り期間は、平成 29 年4月 20 日から平成 29 年5月9
日迄の実日数 11 日間であり、規模・内容から妥当である。また、質疑については、1者から7件出されたとのことで問題は見当たらない。
・前払金について確認したが、当該物件は受注者が前払金保証として東日本建設業保証㈱との保証証書を提示することにより、富士市契約規則により、適切に処理されていることが判り、適正である。
・工事の履行保証については、富士市契約規則に準拠して、受注者があいおいニッセイ同和損害保険株式会社により、市と保証委託者(受注者)の工事請負契約による債務不履行により生ずる損害金に対する支払いを保証しており、その保証証書を提出させており、妥当である。
・受注者に対しては、工事の継続及び作業員並びに第三者に対する安全を担保する為、事業主として請負業務加入保険(建設工事保険・労働災害保険・賠償責任保険・火災保険等)の状況を積極的に確認しており評価できる。
・当該工事は「建設リサイクル法」に基づき、「建設リサイクルデータ統合システム(CREDAS)」の登録対象工事であるので、システムの活用について質問したが、発生材抑制及び再利用の検討を実施し、工事間利用の可能性も事前にチェックしており、リサイクル計画書の中で再資源化も検討する上で有効に活用しており、妥当である。
・資格審査事務は書類等により適正に行われており、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づく参加資格及び名簿についても公表されており、妥当である。落札者の決定及び公示についても適正に処理されていると判断できる。
・追加契約あるいは設計変更に対する積算手続きについて確認したが、大幅な変更がなかったとのことであり、いずれも富士市建設工事請負契約約款に基づいて処理されており、適正である。
・予定価格・調査基準価格及び最低制限価格の算定・秘密保持の方法について確認したが、「富士市契約規則」に基づき、適正に行われたとの報告があった。また、入札及び開札については、同規則に基づき適正かつxxに処理され、記録は同規則に基づき入札経過調書を作成し保管されており、適正である。
2)工事着工後における留意事項
ア 施工管理に関係する書類について
・総合仮設計画図については、基本的項目については良く表現されているが、基礎工事・躯体工事・仕上工事・外構工事と変化する仮設状況をその都度修正することが必要であり、場内入場者に対する案内図でもあるため、カラーにより判り易く識別出来るように、現場事務所・作業動線・安全通路・揚重方法・仮設電気・仮設給排水・各種施設等を明示したものを、共通の場に掲示することが望ましい。
・工事の進捗状況については、関連工事との調整や事業者・監督員・受注者との定期的協議により効率よく進められており、工事監査時点では順調に推移していることが判った。一方で全体実施工程表については、主体となる建築工程に設備工程が併記されており、関連工事に対する把握及び調整が行われていることが評価できる。更に工程に合わせて工事重点実施項目や安全管理項目、工程上の節目についても適切に記載されており、受注者の努力が感じられる。
・全体実施工程に対して月間・週間工程表作成時に工程上のズレを確認し、適切に表現しており有効であり理解できる。
・全体実施工程表や総合仮設計画図を目につき易い場所に掲示し、施工に対する現状を関係者全員に周知させるとともに、工程上のマイルストーンや個々の工事項目の進捗状況を点検し把握した上で、工程上の遅延チェックに対する改善策をその都度明示させることが、統括管理責任者(現場代理人)としての責務であり留意されたい。
・「建設廃棄物」の収集運搬・中間処理・最終処分に対する契約については、契約書の写し・マニフェスト等により確認し、適切に処理されている。
・施工要領書、各種試験・検査及び諸官庁等への届出については、事前に提出予定リストとして提出させ内容の確認を行っており評価できるが、提出日(受領 日)及び承認者の欄がないことから、双方向の確認として十分とは言えず改善の余地がある。
・施工体制台帳の内容について確認したところ、定期的に報告と確認がなされているとのことであったが、仕上工事が追い込みに入ると、短期の応援作業員も増員される可能性もあり、安全対策上の観点から、新規入場者教育はもとより、日々の作業員に対する監視と指導が引き続き重要である。
・現場の安全管理、特に安全巡視・安全教育については、朝礼・災害防止協議会・定例会議・新規入場教育を通じて指導するとともにKY活動・安全パトロール・店社パトロール等で記録も行われており、評価できる。
・現場周辺住民等への工事災害防止対策等について確認したところ、着工前の事前調査と記録を行っており、一方、工事期間中の騒音・振動対策及び塵埃対策についても、低騒音重機の使用・散水養生等も含めて実施しており、近隣住民との良好な関係を維持しているようで評価できる。
・工事記録写真は、施工順序に従って管理されており妥当であるが、隠蔽部分の対象となる配筋検査の記録写真については、むしろ別ファイルとした上でキープランを添付し、記号仕分けすることで、容易に識別し確認できる整理が望ましいので、助言した。また、将来の検索が必要な場合を想定し、容易に検索確認の出来る市販ソフトも活用されていることから、竣工時提出書類について検索方法を協議し、記録保存の立場から検討されたい。
・建設廃材の分別・処分及び手続きについて確認したが、関係法令、リサイクル計画等に基づいての書類等のチェックにより、適切に行われていることが確認された。分別については、敷地上の制約はあるものの 5 種に分別収集しており、評価できる。
イ 施工監理(監督)に関係する書類について
・検査調書等検査の立会い及び記録については、「富士市建設工事監督検査実施要覧」の監督検査基準・規程・約款に基づいて行っており、書類及び立会い記録写真等で検証し、その妥当性を確認した。
・「監理業務分掌区分」については、富士市建設工事監督規程等で記載されている監督業務分担表を採用しており、適正である。しかしながら工事監理業務については、個別案件毎に工事内容や施工難易度に応じて発注者側として検討し、必要な業務の仕分けをより具体的かつ明確に示すことが有効であり留意されたい。
・設計に対する業務委託契約及び仕様書等について質問したが、設計業務委託契 約を締結し、運用されているとの回答であった。また、仕様書等は四会連合協 定建築設計・監理等業務委託契約のものを参考に作成しているとの説明であり、適正である。
・工事について設計図書通りに施工されているかという点を質問したが、契約後の設計変更については、受注者と協議の上、相互に承認されていることを除い
て、設計書通りに施工されているとの回答があった。
ウ 試験・検査等に関係する書類について
・監督及び検査・検収・立会いについては、担当監督員によりいずれも厳正に実施されており、記録も適正に保管されている。
エ 維持管理業務について
・竣工後の維持管理基準及び保守点検基準に対する整備状況については、富士市として独自のもの(「富士市公共建築物維持保全マニュアル」)を作成しており、中長期的な維持保全計画は「富士市公共建築保全計画」に基づき、工事や不具合データ等を管理し計画的に修繕・保全を行う予防保全事業の実施を図っているとの説明であり、適切な維持管理体制を構築出来ており評価できる。但し、長期的視点及び経済性を考慮して、実施部門への教宣によるマニュアルの共有化を図るとともに、建築資材・設備機器に対する品質・技術・性能については日々改善されており、定期的に基準等の見直しも必要である。
現場施工状況調査における所見
本調査時点における施工出来高は 11 月末現在によると計画 29%、実施 27% との説明であり、工程的にはほぼ順調に進捗しているが、2階立上りの型枠建込み中であり、年末に向けて躯体コンクリート打設完了が待たれる状況下で、気象的に影響が見られることから、工程的にはまだ厳しいものがあり、今後は防水工事・外装仕上工事を中心に、内装仕上及び電気・機械設備の為の資機材の搬入や作業員の増員が見込まれ、本格的な仕上の最盛期を迎えることになる。
従って、既に施工を完了した低層部コンクリート躯体に対する施工状況を検査しながら、今後の建具取付・内外装仕上・設備工事に対する課題や運用開始を前提とした予測し得る問題点にも言及することで、事業目的をより明確に位置付け、かつ監査の意義を高めることに繋がればと考えるものである。
なお、特に留意が望まれる個々の事項については、下記に示す通りである。
1)現場施工状況における留意事項ア 現場施工状況について
・建設業法で規定されている確認済証・建設業許可票・労災保険成立票・施工体系図等の掲示は、適切になされていた。
・躯体工事が進められている段階で、工事打合せ記録・工事記録写真・検査記録等で施工状況をチェックしたが、安全及び品質管理に対するしっかりとした姿勢が感じられる。現在の工事進捗状況等から判断して、施工業者の統括管理が徹底しているものと判断した。作業員達の巡視者に対する挨拶もきちんとしており、安全巡視及び安全教育等の活動を通じて施工業者の努力が生かされてお
り、評価できる。
・労働安全衛生法第 88 条第2項他の届出について、監督職員に確認したところ、型枠支保工について届出がなされており、適正である。
・足場は、「手すり先行工法に関するガイドライン」に則って施工されている。
・掘削土については場外処分するとともに、埋戻土については流用土を活用し、 バイブロランマーで 30 ㎝毎に締め固めて転圧したということである。ちなみに、将来への沈下の恐れについては、埋戻し部分が車輌等の通行帯にかかる部分で 確実に締め固めが出来ていない場合に影響が考えられるので、南側駐車部分の 舗装工事に着手する前に再チェックが望ましい。
・土工事中の雨水・湧水の処理については、湧水は発生していないとのことである。また、雨水については敷地内に自然浸透により排水したとの説明であり、適正である。
・地業方法は、地質調査による支持層の確認及び工法の比較検討により、近隣への影響の少ない工法として地盤改良(改良深さ、H= 500)を選定したとのことであり、土質状況から判断して適切である。
・基礎構造は、地盤改良を行い布基礎を採用し、支持地盤はG L-1.45mである。地盤改良後に実施した地耐力の確認試験による結果は規定値をクリアーしており、次工程に進んだとの説明であり、適正である。
・平板載荷試験を 1 箇所実施していることから、位置及び結果についてチェックしたが、位置はボーリングデータ採取場所の近辺であり、結果は長期許容支持力(300kN/㎡)を超えており、適正である。
・配筋検査については受注者自主検査後に監督員立会い検査を行い、全て検査記録と写真の保管が整備されており、適正である。しかしながら、工事記録写真とともに時系列毎にファイルされており、検索方法に手間がかかるので、配置プランによる識別方法を助言した。
・圧接部検査については第三者による超音波探傷試験にて、打設前に行いその場で合否の確認をしており、不合格箇所は無かったと記録されており、妥当である。
・1階外壁立上り部分と基礎との間の打継ぎ目地については、目地部分の欠損やジャンカ等も見られるので、型枠脱型後の外壁の打継ぎ目地・耐震用スリットについて立会い確認の上、適切に対処されたい。また、外壁部分の梁型の天端にクレーター状の穴も多く、梁型の出隅部分でジャンカも見られるので、コンクリート補修に対する適切な処理方法を事前に検討し、要領書として承認することが望ましい。
・生コンプラントは、xxxxレミコン㈱xxレミコン工場を採用しており、 JIS規格かつ(適)マーク使用承諾工場である。
・生コンプラントからの運搬所要時間は約 30 分であり、問題はない。大量の打設時には現場内待機時間に留意することが大切であるが、躯体部分のコンクリート打設も残っており、パラペット立上りや段差部分の浮かし型枠による施工もあることから、打設手順・方法に留意し、適切なコンクリート打設を行うことが求められる。
・骨材の産地・種類については、砂・砂利とも富士川産を使用しており、各種試験データも規定内となっている。アルカリ骨材反応及び塩分量についても、配合計画書を確認し合格となっている。
・生コンの単位水量については、基礎及び躯体部分は 178kg/ であり、上限 185kg/ をクリアーしており、妥当である。但し、階高のある躯体や配筋量の多い構造体については、コンクリートのワーカビリティを考慮することが望ましい。
・供試体の採取については、コンクリート打設時に荷卸し地点にてランダムで3台の運搬車から採取し、現場水中養生の後、供試体は全てxxxxレミコン㈱xxレミコン工場の試験室において管理・試験を行っている。試験結果は打設箇所・材齢順に整理し強度上の問題はなかったとのことである。
・現場調査時点では、基礎及び1階廻りのコンクリート躯体(柱・梁・壁)部分に目立った不具合箇所も特に見当たらないが、外壁の打継ぎ箇所を含めて内壁側への漏水チェックは必要であり、将来において万が一発生した瑕疵(構造的欠 陥・漏水等)に対する因果関係を検索し易くするための手法として記録することが望ましい。
・外部に用いるシーリング材については、部位別材種について確認したが、外装建具廻りは変成シリコーンであるが、躯体打継ぎ目地・誘発目地等についてはポリウレタン系シーリングと特記仕様書に記載があるので、接着試験及びメー
カー側の「試験成績書」により早期に確認することが望ましい。
・防水保証については屋上部分の塩ビシート防水(厚 1.5、遮熱仕様、非歩行)については 10 年保証を確認しているが、低層部屋xx・バルコニー等に使われてい
る塗膜防水(ウレタン系、X-2)についても 10 年保証となっているので、施工要領書及びメーカー保証書により確認されたい。
・陸屋根部分についての排水落し口の落葉等によるつまりが発生した場合の処置について質問したが、鋳鉄製ルーフドレーンに網等で防護することやオーバーフロー管の設置も有効であり、保守点検で対応するとの回答も含め検討されたい。
・外壁仕上に弾性吹付防水(耐候型Ⅰ種、アクリル系、ゆず肌仕上)が採用されており、高耐候性フッ素樹脂光触媒コーティングとの併用について、実績・性能保証も含めて、材料選定をどのように行ったかをチェックしたが、現在、施工要領書は提出されていないとの説明であり、メーカー及び材料名を決定する段階で、適否の確認をすることが望まれる。
・床材及び框として、御影石が仕様として設定されていたことから、その材種の適性についてチェックしたが、床材としての御影石張りは樹脂系のグラニット張りに変更したとの説明であり、メンテナンス対応からも有効であり適切な判断である。
・内外部床 300 角タイル(Ⅰ類、無釉)については、日本建築学会の推奨値に従い
滑り抵抗値 0.49 程度のものを採用するとの説明であり、妥当である。また、外
装壁タイル 45 二丁掛(Ⅰ類、施釉)に対する耐候性・xx対策については、下地コンクリートの補修・水分チェック・接着剤の施工前清掃・オープンタイム及び目地の確認等を検討し、確認することで対応するとのことであり、適正である。
・外部スロープ床に使われる 100 角タイル(Ⅰ類、無釉)については、滑り抵抗値
0.55 程度として検討するとの説明であり、適正である。
・製材完了時または現場搬入時の木材に対する含水率検査は、監督員が立合い加工材種に応じてその適合性を確認することが望ましい。
・大会議室や多目的室内部の腰壁に、プラスターボード及び合板下地の上に化粧材として桧板(富士桧)xx目透し張り(H= 1100)が使われるが、乾燥収縮による歪みや変形防止、或いは防腐・防蟻処理についてはどのように対策を講じてあるかを、具体的にチェックし承認されたい。
・木製巾木(富士桧、H=75,90)及び木製カーテン BOX(富士桧、厚 25、150×120)の無垢材使用による施工については、冬場でもあり乾燥養生材(含水率 18% 以下)であることを立ち合い確認し、固定方法や施工中の湿度についても十分考慮することで、ソリや歪みを防止することが可能であり検討されたい。
・地震で天井の崩落等が発生しないよう、下地補強の他、天吊り空調機等の重量物の落下を防止するための措置については、国交省による標準仕様(耐震・特 定・改良型天井)もあり、天井仕上前に確認されたい。また、天井内部のふところが深い箇所については、ブレース補強等の横振れや縦振れを防止する対策が必要であり、併せて再確認することが望ましい。
・2階屋上のパラペット頂部にアルミ手摺が取付けられるが、固定方法・耐風強度・漏水対策について未確認との説明であるので、施工要領書とともに取付け方法に対する検討・確認を行い承認されたい。
・外部階段部分のスチール製手摺については、防錆対策として耐候性塗料とのことだが、材質的にフッ素樹脂塗料との説明であり、施工要領書でも確認されたい。
・外装建具(アルミ製建具及びスチール建具等)に対する耐風圧性・気密性・水密性の確認について質問したところ、カタログ及び製作図の段階で検討し、承認しており、製品検査時の製品証明書でも確認するとのことであり、適正である。
・外装アルミ建具に複層ガラスが採用されていることから、その運用について確認したが、自動ドアを除いて全てのアルミ建具に使用するとの説明であり、熱効率を活用した判断であり、適切である。
・多目的室に天井収納間仕切として電動シャッターがあり、その用途・目的及び性能について確認したところ、建設委員会における地元要望により、多目的室の貸出しを半分ずつで利用することを想定しており、妥当である。
・外部廻りにDP塗装が採用されているが、納まり的に基礎部分の一部が露出する恐れもあり、材料の選定とともに使用部位についてデザイン上の検討をすることが望ましい。
・外部廻りに外装薄塗材E(砂壁状吹付)が仕様設定されており、品質・性能及び施工実績について尋ねたが、工期的に未着工であり、今後提出される材料承認願により確認するとのことである。材質的に紫外線や酸性雨によるコンクリート劣化を抑制し、美観を維持し大気汚染を防ぐ環境配慮型が有効であり、経年
劣化に対するメーカー保証も含めて確認することが望ましい。
・外壁の内側に対する断熱材吹付けが先行した場合、建具及び設備配管取付が遅れて施工することになり、建具廻りに吹付けの不具合が発生することが多くなるので、内壁面仕上前に補修用としての断熱材充填が完了していることをチェックするよう留意されたい。
・内装材・接着剤には、VOC放散量の小さいF☆☆☆☆を選定し、メーカーカタログと材料検査時に確認するとともに、工事完成時に提出される安全データシートにより再確認することが望ましい。
・ビニール系床シート(エポキシ接着熱溶接工法)が使われるため、その用途・目的について確認したところ、施工要領書も未提出であり、材料承認も未了とのことであるが、早期に材種選定を行い、用途・目的に合致することを確認されたい。
・天井裏及び壁の一部に断熱材(グラスウール、24kg/ 、厚 100)が敷込まれるが、その用途・目的に対する性能チェックについては、省エネ申請に基づき省エネルギー計算を行っているとの説明であり、適正である。
・床部分のOAフロア(H= 100)に対する材料の選定については、比較検討も含めて現在検討中とのことであり、将来のレイアウト変更に対応した材種が望ましいので、留意されたい。
・大型鏡が2か所設置されるが、耐震対策としての固定方法・強度については検討していないとの説明であるが、鏡自体の重量もあることから、下地補強による滑落防止対策を検討し、承認することが求められる。
・防煙垂壁(H= 500)が採用されているが、地震時の滑落防止として下地への固定強度の他、落下防止用ワイヤーの検討も必要であり留意されたい。
・新築に伴い、敷地内からの汚水及び雨水・雑排水に対する排水容量のチェックと既設インフラ設備の処理能力については、下水道部局との協議により、排水経路・勾配等を考慮し、xxを大きくしたとのことで、適正である。
・外構部分のアスファルト舗装及びコンクリート舗装下地に対する路盤の施工に再生クラッシャランの使用が規定されており、施工手順・圧密度等の品質性能基準について確認したが、施工要領書も未承認であるとの回答であり、表層の鋤取り部分も多く発生し、発生土による埋戻しもあることから、舗装工事着手
前に、再度締め固め状態を確認することが望ましい。
・解体撤去に伴い発生した建設廃棄物については、「静岡県建設リサイクルガイドライン」等に基づいて、発生量の削減・現場での分別・再利用等により、工場現場外への搬出の抑制に努めるとの説明であり、適正である。
イ 安全管理状況について
・現場の仮囲いは、既存フェンスにメッシュシート貼り及び単管パイプ下地にメッシュシート貼りにより設置されている。建地補強用の控え柱も鋼管パイプで緊結されており、適切で安全である。一方で将来の外構工事を控えて本設のネットフェンス設置と仮設用仮囲いの取外し時点で、外部から第三者の侵入防止策を事前に検討することが望ましい。
・場内への出入口ゲート周辺及び、外周廻りの公道を通行する工事車輌についても、制限速度を遵守しており、監視員も常時配置されていることから、施工業者の姿勢が評価できる。
・仮設電気引き込みの為の分電盤に対する開閉状況及び管理者による定期点検も実施されており、適正である。
・労働安全衛生法第 88 条第2項に対する届出はないが、現場における足場架設状況については、足場つなぎも低層部分のみであり、上階への足場歩行には揺れが大きく、パイプによる補強が必要である。更に今後の作業の中で、外壁仕上げのための下地処理や、塗装工事も残っており、躯体との隙間養生を先行することで、上下作業の安全性を確保し、落下防止に心掛けることが求められる。
・外部足場には、飛散防止用のシートが張られているが、強風対策として部分的に緊結不備もあり、足場に対する制限過重表示もないので、常時点検しながら是正することが望ましく、注意した。
・工事安全打合せファイルを点検したが、書式・項目については工夫が見られ、日常管理の中で指示・点検・確認のプロセスが徹底しており、評価できる。また店社パトロールに対する指摘事項と改善及び記録についても有効かつ適切に実施されており、受注者の姿勢が評価できる。
・現場事務所が離れていることから、出入口部分に、来訪者に対する案内看板(あるいは配置図)を掲示させ、不用意な場内立入りによる事故対策にも配慮するとともに、場内については安全看板・安全標識・作業通路・安全通路等の標識等の掲示を指導することが望ましい。
その他の所見
当該施設は、富士市が進める地域を支えるまちづくり事業の一環として、「第五次富士市総合計画」により方針決定されており、地域行政の拠点として、生涯学習活動の振興を図り、地区住民と行政の協働によるまちづくりを進めるための施設として建て替えるものである。既存施設については竣工後 36 年が経過し、途中増築等もあるものの建物及び設備の老朽化が著しく、建物規模も今日的要求に満たさないこともあり、新たに用地を確保し新築する運びとなった。計画当初から、施設に対する規模・需要に十分な検討・検証を行っていることが、設計及び仕様書に反映されている。
設定された工事コスト・工程の中で、品質・性能に対する最大限の努力をすることで事業者に対する信頼を得るとともに、将来に向けて地域のまちづくりセンターとして貢献できるものであり、残された工期の中で積極的に工事監理することが望ましい。
施工途上における工事監査ではあるが、工程的にも順調に推移しており、設計デザインにふさわしい施工品質の実現の為にも、無事故無災害は当然として、将来に瑕疵や品質上のトラブルを発生させないよう、監督員は受注者とのさらなる緊密な連携を図りながら、高品質な地域拠点施設の実現に邁進されることを願うばかりである。
とりわけ、週間・月間工程の中で、見直しされる実施工程に対し関係者全員によるxxxxとその達成に向けて、監督員による強いリーダーシップが求められるとともに、作業所を統括管理する現場代理人による、更なる努力が期待されるものである。この度の工事監査を振り返り、事業担当者・監督員・受注者との間に当該事業に対 する協調体制が感じられ、特段の問題点は見られないが、残された工事工程の中で可能な限りの品質・性能の向上を目指して、更なる改善・指導等を助言したので、ステ
ップアップの布石となれば幸いである。