Contract
財産法の基礎2 第13回 請負契約(1)・講義資料
01 雇用契約・請負契約・委任契約・準委任契約・寄託契約には、役務の提供として共通性がある。
[超基本]
02 雇用契約には、指揮命令に従った従属的な労働力の有償提供に特色があり、請負契約・委任契約・準委任契約・寄託契約などの役務提供が債務者の独立した判断によるのと対照的である。[超基本]
03 請負契約では、仕事結果を給付することが債務内容であり、報酬も結果に対して支払われる。これに対して、委任・準委任契約は、債務者の独立性・専門性・裁量性が請負契約よりも比較的高く、結果の実現に向かって努力することが債務内容であり、努力に対して報酬が支払われる。
04 有形の結果を生じない場合には、債務者の行為を給付内容とするため、請負契約ではない。
05 レストランで食事をする場合の客とレストラン経営者との間の契約や、スーパーマーケットでその店で作られたお惣菜を購入する契約は、製作物供給契約であり、請負契約の要素が含まれる。
06 請負契約に関する法規制には、建設関係を中心とする特別法が多く、約款によって標準的な規律が行われているため、民法の規定は重要性が乏しい。
07 特別の規定や特約がなければ、請負報酬の支払いは後払いである。[超基本]
08 下請契約は、常に請負契約である。[超基本]
09 下請負契約が締結されている場合、下請負人は、元請負人に対しても注文者に対しても、下請負代金を請求できる。[超基本]
10 受領遅滞についての債務不履行説に立たなければ、注文者には、完成した仕事の目的物を引き取る義務はない。
11 請負契約の解除は、遡及効を有しないから、注文者は、たとえば自己所有の更地上に途中まで行われた建築工事を撤去して更地に戻せという請求はできない。[やや難]
12 請負契約の工事完成予定期日に工事の一部が未完成であった場合、注文者は、契約全部を解除することができる。[やや難]
13 請負契約で、仕事完成予定期日が到来していない段階では、注文者は請負人に債務の不履行があった場合でも、債務不履行を理由として契約を解除することはできない。[難]
14 注文者は、請負人に債務の不履行がなくても、請負人が仕事を完成していない限り、理由を要することなく、請負契約を解除することができる。この場合、損害賠償金の提供が解除権行使の要件である。
15 建物の建築請負契約において、仕事が完成する直前に大地震が起きて工事中の建築物が倒壊した場合、請負人は、建物を再築しなければならず、余分に要した費用の分担を注文者に求めることはできない。
16 建物の建築請負契約において、仕事が完成する直前に大地震が起きて工事中の建築物が倒壊した場合、再築が予定期日に間に合わなかった請負人は、注文者に対して、新築住宅への入居が遅れたことにより必要となった仮住まいの賃料などの遅延損害について、賠償責任を負う。[超基本]
17 建物の建築請負契約において、仕事が完成する直前に大地震が起きて工事中の建築物が倒壊し、かつ、地盤が歪んだためにその土地にはもはや計画した建物が建てられる状況でなくなった場合、請負人は、請負報酬請求権を失う。[超基本]
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2011/11/11
財産法の基礎2 第13回 請負契約(1)・講義資料
18 建物の建築請負契約において、仕事が完成する直前に大地震が起きて工事中の建築物が倒壊した場合、注文者は、損害を賠償することなく、契約を解除することができる。[難]
19 養殖池の堤防補修工事の請負契約において、仕事が完成する直前に下請人の過失によって堤防が決壊し、池中の養殖鰻が逃げ出した場合、請負人は、瑕疵担保責任の規律に基づいて損害賠償をする義務を負う。
20 建築請負契約において新築工事中のxx物が「建物」になるのは、請負工事が完成した時点である。[やや難]
21 請負の瑕疵担保責任の性質は、契約責任説によれば、債務不履行責任の特則であり無過失責任であるが、不可抗力による免責の余地は存在する。権利保全のための短期の期間制限がある点も瑕疵担保責任の特色として重要である。[難]
22 建築請負契約において、工事が完了して引き渡された建物の柱の耐震強度が不足していた場合、注文者は、請負人に対して、柱を耐震強度をみたしたものに取り替えることまたは建物全体を補強することを求め、あるいは契約を解除することができる。
23 雨漏りの補修工事が完了して引渡しが終わった後になお雨漏りがして、室内にあった家具が傷んだ場合、工事を請け負った工務店は、再補修に要する費用相当額はともかく、無過失の瑕疵担保責任を理由として注文者の家具の修補または買い替えに要する費用相当額まで賠償する責任はない。[やや難]
24 完成した建物の引渡しを要する建築請負契約において、引き渡された建物全体に大規模な手抜き工事が発覚した場合においても、注文者は、契約を解除することはできないが、他の建築業者に当該建物を建替えさせるのに必要な費用相当額を損害賠償として、請負人に請求することはできる。
25 X鉄道会社がY建設会社にトンネル工事を発注し、工事が完成して引き渡された。6年経過後に、このトンネル工事に重大な手抜きが行われていて、強度に不安があることが発覚した。Xがこの手抜きの事実を発見してから10年以内であれば、Yは、Xからの補強工事の請求を拒むことができない。[超基本]
26 X道路公団がY建設会社に橋の建設を発注し、工事が完成して引渡しがされた。その12年後に、この橋が突然落下し全壊した場合、Xは、この事故から1年内であれば、Yに対して、橋の再建築に要する費用相当額を賠償として請求することができる。[超基本]
27 請負の瑕疵担保責任の存続期間は、特別法による異なる規律がない限り、当事者の合意により伸縮することができる。これに対して、請負人が請負目的物のいかなる瑕疵についても担保責任を負わないとする旨の特約は無効である。[やや難]
28 XがYにブロック塀の建築を依頼し、塀が完成して引渡しがされた後に、突然の大地震でこの塀が倒壊してしまった。この場合も、Xは、Yに対し、請負代金を支払わなければならない。
29 XがYにブロック塀の建築を依頼し、塀が完成して引渡しがされる前に、突然の大地震でこの塀が倒壊してしまった。この場合、Xは、請負代金を支払う必要がない。[やや難]
30 請負工事の瑕疵に基づき、注文者が請負人に対する損害賠償債権を有していて、これと残代金債務とを相殺した場合、相殺の遡及効により、残額につき相殺適状時以降に遅延損害金が付される。[やや難]
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