Contract
事業者を相手方とする受注型企画旅行契約にかかる旅行業約款のポイント
1 適用対象となる契約
○ 「事業者」との間で締結する受注型企画旅行に関する契約(約款1条1項)
〔具体例〕企業の招待旅行、懸賞旅行、教育旅行等
○ 「事業者」の定義は、消費者契約法上の「事業者」と統一(約款2条6項)。
2 取消料の合意
○ 標準旅行業約款では、取消料の金額を予め定め、消費者保護の観点から、取消料を増額する旨の合意の効力を認めていない。
○ しかし、契約相手方が「事業者」である場合、消費者と異なり交渉力の格差や情報の質・量の格差はなく、当事者間の合意を制限する必要がない。そこで、契約相手方が事業者である場合に限り、取消料に関する合意の効力を認めることとした。
(事業者の解除権)
第十七条 事業者は、いつでも「受注型企画旅行契約の部」の別表第一に定める取消料を当社に支払って受注型企画旅行契約を解除することができます。(中略)ただし、当社が事業者との間で、次項に定める特約を結ん だときは、事業者は、当該特約に基づく取消料を支払わなければなりません。
2 当社は、第一条第二項の規定にかかわらず、事業者との間で、取消料の額について特約を結ぶことができま す。ただし、当該特約に基づく取消料の総額が「受注型企画旅行契約の部」の別表第一に定める取消料の額を超え、かつ、事業者と旅行者との間の契約その他の合意により、旅行者が、本契約に基づく当該旅行者にかかる旅行代金を基礎として同別表第一により算出される取消料の額を超える額の取消料又は違約料を負担することとなっている場合、当該特約は無効とします。なお、当社が、受注型企画旅行契約締結時点で、旅行者が当該超過分を負担することを知らず、かつ、知らなかったことについて過失がない場合、事業者は、当該特約の
無効を主張することはできません。
○ ただし、旅行に参加する個人が、増額分の取消料を負担することとなっている場合、消費者保護の観点から、原則、合意は無効とした。
3 その他標準約款との相違点
○ 標準旅行業約款では、「契約当事者」と「旅行参加者」を区別せず「旅行者」と定義しているが、事業者が契約当事者となる教育旅行や招待旅行では「契約当事者
(事業者)」と「旅行参加者(個人)」が異なるため、条文の適用関係が不明確。
○ そこで、本約款では、条文の適用関係を明確にするため、契約当事者を「事業者」、契約に基づき旅行に参加する者を「旅行参加者」と定義し、約款全体の当事者に関
する文言を調整。
以 上