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店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託に関する規則
平成23年 2月17日制定平成24年12月20日改正令和 3年 6月10日改正
(目 的)
第1条 この規則は、金融・資本市場に対する投資者からの信頼を確保するため、店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託について、適正な商品開発・開示資料作成の徹底を図り、自ら設定する投資信託の受益証券の募集若しくは私募の適正化を図り、もって投資者の保護を図ることを目的とする。
(店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託の定義)
第2条 この規則において、「店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託」とは、金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号、以下「金商法」という。)第2条第 20 項に規定するデリバティブ
取引若しくは商品先物取引法(昭和 25 年法律第 239 号)第2条第 15 項に規定する商品デリバティブ取引又はこれらと同様の効果を有する方法により償還又は利金の条件を定め組成された債券のうち、次のいずれかに掲げる(当該債券が国債証券であるもの、及び当該債券の発行体又は当該債券が単一の法人の信用状態を参照する仕組みの債券であるときにおける当該法人の信用状態の悪化により次のいずれかに掲げるものに該当する場合を除く。)仕組債で運用することにより当該仕組債と同様の商品性を有することとなる投資信託又はこれと同様の効果を有することとなる投資信託をいう。
イ 償還価格が額面の額を下回る可能性のあるもの(償還価格の変動率を発行時から償還まで特定の指標又は価格(以下「基準指標」という。)の変動率にあらかじめ定めた倍率(1倍又はマイナス1倍に限る。)を乗じて得た数値に一致させるよう設計されたものを除く。)又は自動的にデリバティブ取引の権利行使が行われること等により、他の有価証券で償還される条件があるもの
ロ 発行時に利金が確定しておらず、償還金が払込通貨と同じ通貨で支払われないもの(金利の変動率を金利指標の変動率に一致させるよう設計されたものを除く。)
ハ 発行時に利金が確定しておらず、利金が払込通貨と同じ通貨で支払われないもの(金利の変動率を金利指標の変動率に一致させるよう設計されたものを除く。)
ニ 条件により利金が0又は極めてそれに近い水準になるもの(金利の変動率を金利指標の変動率に一致させるよう設計されたものを除く。)
(直接募集等に関する通則)
第3条 投資信託委託会社(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和 26 年法律第 198 号)第2条
第 11 項に規定するものをいい、以下「委託会社」という。)及び金融商品仲介業者(定款第4条第1項第1号に掲げる金融商品仲介業者をいう。以下同じ。)は、委託会社が設定する委託者指図型投資信託の受益証券のうち、新たな投資信託の受益証券の取得の勧誘に当たっては、当該投
資信託の特性やリスクを十分に把握し、当該投資信託に適合する顧客が想定できないものは、取得の勧誘を行ってはならない。
2 委託会社及び金融商品仲介業者(以下「委託会社等」という)は、委託会社が設定する委託者指図型投資信託の受益証券の募集若しくは私募及びその他の業務に関し、重要な事項について、顧客に十分な説明を行うとともに、理解を得るよう努めなければならない。
(勧誘開始基準)
第4条 委託会社等は、顧客(個人に限り、特定投資家(金商法第2条第31項に規定する特定投資家(同法第34条の2第5項の規定により、金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年府令第 52号、以下「金商業等府令」という。)第53条第1号又は第2号に掲げる契約の種類について特定投資家以外の顧客とみなされる者を除き、同法第34条の3第4項(同法第34条の4第6項において準用する場合を含む。)の規定により、金商業等府令第53条第1号及び第2号に掲げる契約の種類について特定投資家とみなされる者を含む。)をいう。以下第5条、第6条において同じ。)を除く。以下本条において同じ。)に対し、委託会社が設定する「店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託」の受益証券の取得の勧誘(当該取得の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話により行うもの並びに当該取得の勧誘の要請をしていない顧客に対し、委託会社の本店、その他の営業所又は事務所において行うものに限る。)を行うに当たっては、勧誘開始基準を定め、当該基準に適合した者でなければ、当該取得の勧誘を行ってはならない。
(注意喚起文書の交付等)
第5条 委託会社等は、委託会社が設定する「店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託」の取得に係る契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該顧客(特定投資家を除く。以下本条及び次条において同じ。)に対し、注意喚起文書を交付しなければならない。ただし、取得に係る契約の締結前1年以内に当該顧客に対し当該投資信託と同種の内容の投資信託の取得に係る注意喚起文書を交付している場合及び当該顧客が金商法第15条第2項第2号の規定により目論見書の交付を受けないことについて同意している場合はこの限りでない。
2 前項に規定する注意喚起文書には、次に掲げる事項を明瞭かつ正確に表示しなければならない。
(1)リスクに関する注意喚起
(2)業務規程第12条第2項及び第13条第2項に基づき本会が委託する苦情・紛争解決業務を行う特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センターによる苦情処理及び紛争解決の枠組みの利用が可能である旨及びその連絡先
3 委託会社等は、顧客と投資信託の取得に係る契約を締結しようとするときは、あらかじめ、顧客の知識、経験、財産の状況及び契約を締結する目的に照らして当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による前項各号に掲げる事項の説明を行わなければならない。
4 注意喚起文書を交付した日(この項の規定により注意喚起文書を交付したものとみなされた日
を含む。)から1年以内に当該注意喚起文書に係る投資信託と同種の内容の投資信託の取得に係る契約の締結を行った場合には、当該締結の日において注意喚起文書を交付したものとみなして、第1項ただし書きの規定を適用する。
(顧客からの確認書の徴求)
第6条 委託会社等は、顧客と委託会社が設定する「店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託」の取得に係る契約を締結しようとするときは、当該顧客が次に掲げる事項を理解し、当該顧客の判断と責任において当該取得の勧誘に応じて買付けを行う旨の確認を得るため、当該顧客から当該取得に関する確認書を徴求するものとする。
(1)第3条第2項の重要な事項の内容
(2)契約により想定される損失額(中途売却(解約)した場合の売却(解約)額(試算額)を含む。)を踏まえ、当該顧客が許容できる損失額及び当該想定される損失額が当該顧客の経営又は財務若しくは資産の状況に与える影響に照らして、当該顧客が取引できる契約内容であること。
(電磁的方法による書面の交付等)
第7条 委託会社等は、第5条に規定する注意喚起文書の交付等に代えて、当該注意喚起文書に記載すべき事項について金商業等府令第56条、第57条に定める電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該委託会社は、当該注意喚起文書の交付等を行ったものとみなす。
2 委託会社等は、第6条に規定する確認書の徴求に代えて、当該確認書に記載すべき事項について金商業等府令第57条の3に定める電磁的方法により提供を受けることができる。この場合において、当該委託会社は、当該確認書を徴求したものとみなす。
(対象となる基準指標)
第8条 店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託について、対象となる基準指標は、投資者が新聞、情報端末、委託会社のホームページ、取扱い販売会社からの情報提供等により入手可能なものに限り使用するものとする。
(名称制限)
第9条 店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託について、投資信託の名称(投資信託の愛称を記載する場合には愛称を含む。)には、例えば、「元本確保型」「条件xx本確保型」「リスク低減型」「リスク限定型」等、以下の要件に該当する名称は用いないこととする。
(1)投資信託の元本及び利回り又は元本と利回りのどちらかが保証されているかの如き誤解を与えるおそれのある名称
(2)元本欠損のおそれが少ないかの如き誤解を与えるおそれのある名称
(3)基準価額の変動リスクが低いかの如き誤解を与えるおそれのある名称
(販売会社への商品説明の強化等)
第10条 委託会社は、店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託については、当該投資信託の
販売会社への商品説明について、より一層の強化に努めるものとする。
2 委託会社は、店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託については、過去に自己が設定した類似の投資信託に関して販売会社へ寄せられた苦情についての情報を収集し、その情報分析を実施するとともに、その分析結果を踏まえ、新たに設定される商品に関する改善や改良等、投資者の苦情を踏まえた商品組成の強化に努めるものとする。
(店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託のうち、特定のものの開示等の特例)
第11条 店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託のうち、細則に定めるものの開示等については、本規則のほか細則の定めによるものとする。
* 細則第2条
(細則)
第12条 この規則の施行に関し、必要な事項は細則で定める。
(その他)
第13条 この規則に定めのない事項については、理事会の決議をもって定めることができるものとする。
(所管委員会への委任)
第14条 理事会は、この規則に関する細則の改正について、自主規制委員会に委任することができるものとする。
2 自主規制委員会は、委任された事項に関し決定(理事会が必要と認めるものに限る。)を行った場合は、速やかに理事会にその内容を報告するものとする。
附 則
1.この規則は、平成 23 年4月1日から実施する。
2.委託会社は、この規則の施行日以後に投資信託の取得に係る契約を締結しようとする場合にあって、この規則の施行日前に、当該顧客に対し、施行日後の第5条の例により注意喚起文書を交付しているときには、当該顧客に対し、同条の規定により注意喚起文書を交付したものとみなす。
附 則
この改正は、平成 25 年1月4日から実施する。
附 則
この改正は、定款改正に係る主務官庁の認可の日(令和3年7月1日)から実施する。
*改正条項は、次のとおりである。
第3条第1項及び第2項、第4条、第5条第1項~第3項、第6条、第7条第1項及び第2項