Contract
ぐんま版消費者教育教材
3
契約とは
群馬県 生活こども部 消費生活課
令和3年9月改訂
1
契約って何?
消費者力クイズ①
契約って何?
次のうち契約は
どれでしょう?
2
②バスに乗る
①友達と約束をする
いいよ
飲み物を買う
④映画を見る
3
明日映画見に行こうよ
③
②バスに乗る
①友達と約束をする
いいよ
飲み物を買う
④映画を見る
4
明日映画見に行こうよ
③
契約=法的な責任をともなう約束
申込みと承諾 意思表示の合致
【売り手】
契約の成立 【買い手】
消費者庁イラスト集より 5
消費者力クイズ②契約はいつ成立するの?
次のうちどの時点で契約が成立するでしょう?
①
これください
②
100円になります
③
100円をわたす
④
飲み物をわたす
6
消費者庁イラスト集より
正解は②です
客が申込み→
←店員が承諾
①
これください
②
100円になります
意思が合致
• 申し込みと承諾の意思表示が合致した時点で契約が成立するので、正解は②です
消費者庁イラスト集より 7
お互いの意思が合致すると・・
契約書がなくても
口頭でも契約は成立します
8
契約が成立すると・・
お互いに契約内容を守る義務一方的にやめることはできない
9
契約書をやぶり捨てても、契約はなくなりません
契約書
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消費者力クイズ③
スポーツ用品店でスニーカーを買った。家に帰って、よく考えたら違う商品
がよかった。翌日、商品とレシート
を持ってお店に行けば返品してもらえる?
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申込みと承諾
契約の成立
×
正解は
• 違う商品がよいという自分の勝手な理由だけでは、売買契約をやめて、返品することはできません。
• お店によっては、返品を受け付けているところもありますが、サービスのひとつでありお店が必ずやらなければならないことではありません。
12
契約が成立すると・・
だ
から
お互いに契約内容を守る義務一方的にやめることはできない
契約する前にしっかりと
考えることが大切!
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取り消し
契約をやめられる場合もあります
解約
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どんなとき?
①当事者双方が契約をやめることに合意したとき
②相手が約束を守らないとき
(契約違反があった)
③だまされたり、脅されたりして契約したとき
④商品が最初からこわれていたとき [契約不適合責任]
15
15
⑤告げられた誤った情報を信じて契約してしまったとき〔不実の告知〕
⑥不利になることを言われなかったとき
〔不利益事実の不告知〕
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良い眺めでしょう (そのうち前に高層マンション建っちゃうけど)
⑦必ず値上がりすると言われたとき
〔断定的判断の提供〕
確実に値上がりしますよ
(本当は確実かどうかわからないけど…)
⑧使いきれないほどたくさんのものを契約させられたとき〔過量契約〕
⑨お願いしても帰ってくれなかったとき
〔不退去〕
⑩帰りたいのに、帰らせてくれず勧誘されたとき〔退去妨害〕
買わないから、
帰って!
契約したくない
帰りたい!
⑪若者が不安をあおられたとき・就職セミナー商法等〔不安をあおる告知〕
このままだと就職できないよ!
講座受けて!
⑫好きと思わせて勧誘されたとき・デート商法〔好意の感情の不当な利用〕
僕がデザインしたジュエリー買って!
買ってくれないともう会えないよ
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⑬高齢者等が不安をあおられたとき
〔判断力低下の不当な利用〕
⑭霊的なことで怖がらせて勧誘されたとき•霊感商法〔霊感等による知見を用いた告 知〕
この健康食品を買わないと、もっと持病が悪くなるよ
水晶を買わないと結婚できない
⑮契約前なのに強引に代金を請求されたとき〔契約締結前に債務の内容を実施〕
物干し竿は
お客様の希望の長さに合わせて切った
ので、買ってください
⑯未xx者が保護者や親権者の同意なく契約したとき
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⑰訪問販売•電話勧誘販売•エステや学習塾•マルチ商法等でクーリン•グオフ期間内に契約をやめると書面で伝えたとき
「クーリング•オフ」とは
訪問販売•電話勧誘販売•継続的なサービス(エステ•学習塾など)•連鎖販売取引(マルチ商法)などで契約したとき
契約書面を受け取ってから、一定期間内に契約解除通知を書面で送ることで、無条件で契約を解除できる制度。
※クーリング•オフできる販売方法は限定されている。
→店舗購入、インターネット通販は、対象外!
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【解説】
3 契約とは
①6~7頁 「消費者力クイズ② 契約の成立」
「お金を払う」「飲み物を受け取る」時点で契約が成立すると考える方が多くいます。契約 が成立すると、消費者には「お金を払う義務」「商品を受け取る権利」が発生します。
②8~10頁 「契約の成立」
実際の相談では、契約をなかったことにしようと、消費者が商品を受取拒否したり、契約書を破り捨てたりする事例もありますが、これではトラブルは解決はしません。
契約が成立すると簡単にはやめられないという意識を持ち、契約をする前に情報を収集してしっかり考えることがトラブルの未然防止に繋がります。
③11~12頁 「消費者力クイズ③ 店舗購入の返品」
自身の経験から、レシートがあれば返品できると考える方が多いですが、店舗購入では売主は返品に応じる義務はありません。
④14~18頁 「契約をやめられる場合」
契約には法的拘束力があり、いったん成立すると一方的に止めることができません。しかし、状況によっては「契約の取り消し」や「解約」ができる場合もあります。自己判断で諦めず、消費生活センターに相談することも大切です。
「契約を取り消す」と、契約は初めからなかったことになります。受け取った商品が手元に残っていればそれを返し、使ってしまって残っていない場合には返す必要がありません。
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⑤15頁 「①当事者双方が契約をやめることに合意したとき」
契約当事者間の合意により契約を解除
⑥15頁 「②相手が契約を守らないとき(契約違反があった)」
債務不履行による契約解除(民法541条、542条)。イラストは、期日に履行されないと困る契約の解除(民法541条1項4号)
⑦15頁 「③だまされたり、脅されたりして契約したとき」
詐欺や脅迫による契約取消(民法96条)
⑧15頁 「④商品が最初からこわれていた〔契約不適合責任〕」
商品が最初から壊れていた場合、修理や交換などを求めたにもかかわらず、売主が対応しない場合、契約を解除することができる(民法562条)。
➃16頁 「⑤告げられた誤った情報を信じて契約してしまったとき〔不実の告知〕」
重要事項について事実と異なることを告げた(消費者契約法4条1項1号)。
⑫16頁 「⑥不利になることを言われなかったとき〔不利益事実の不告知〕」
消費者の利益になる旨を告げながら、重要事項について不利益となる事実を故意に告げなかった、重大な過失によって告げなかった(消費者契約法4条2項)。
⑧16頁 「⑦必ず値上がりすると言われたとき〔断定的判断の提供〕」
将来における変動が不確実な事項について確実であると告げた(消費者契約法4条1項2号)。 21
➃16頁 「⑧使い切れないほどたくさんのものを契約させられたとき〔過量販売〕」
消費者にとって通常の分量を著しく超えることを知りながら、消費者を勧誘し、契約させた(過量契約)(消費者契約法4条4項)。
⑫17頁 「⑨お願いしても帰ってくれなかったとき〔不退去〕」
退去するように告げたのに事業者が退去しなかった(消費者契約法4条3項1号)。
⑬17頁 「⑩帰りたいのに、帰らせてくれず勧誘されたとき〔退去妨害〕」
消費者の退去を事業者が妨害した(消費者契約法4条3項2号)。
⑭17頁 「➃若者が不安をあおられたとき・就職セミナー商法等〔不安をあおる告知〕」
社会生活上の経験の乏しい消費者の抱いている不安をあおって、契約が必要と告げた(消費者契約法4条3項3号)。
⑮17頁 「⑫好きと思わせて勧誘されたとき・デート商法〔好意の感情の不当な利用〕」
消費者が抱いている恋愛感情等につけ込んだ(消費者契約法4条3項4号)。
⑯18頁 「⑬高齢者等が不安をあおられたとき〔判断力低下の不当な利用〕」
高齢者の方や病気により判断力が低下している方の不安をあおる(消費者契約法4条 3項5号)。
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➃18頁 「⑭霊的なことで怖がらせて勧誘されたとき・霊感商法〔霊感等による知見を用いた告知〕」
霊感等の特別な能力により、消費者の不安をあおり、契約すれば不安が解決すると言われた(消費者契約法4条3項6号)。
⑱18頁 「⑮契約前なのに強引に代金を請求されたとき〔契約締結前に債務の内容を実施〕」
契約を結ぶ前に行ったことを理由に、強引に代金を請求された(消費者契約法4条3項7号)。
⑲18頁 「⑯未xx者が保護者や親権者の同意なく契約したとき」
社会経験の少ない若者を悪質商法などから保護するために、未xx者の契約は法定代理人(保護者)の同意が必要で、法定代理人の同意を得ずにした契約は取り消すことができる(民法5条1項、2項)。(本教材「4 未xx者契約の取り消し」参照)
⑳19頁 「➃訪問販売・継続的なサービス・連鎖販売取引等でクーリング・オフ期間内に契約をやめると書面で伝えたとき」
訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供、連鎖販売取引などで突然勧誘され、慎重に考える時間の無いまま契約してしまった場合、一定期間内に証拠の残る方法で通知を送れば、無条件で申込の撤回や、契約の解除ができる。
(本教材「5 クーリング•オフ」参照)
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