Contract
日本の建設活動の参入障壁と進出障壁、 そして、その間にある建設コスト関連の諸問題
建設産業史研究会・講演
2018.5.18
xxxx
(立命館大学・客員教授)
(建築社会システム研究所・所長)
(民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会・委員長)
講演 要旨
はじめに
(自己紹介と本日の講演の意図)
参入障壁と進出障壁、そして建設コスト関連諸問題世界の潮流と日本の滞留、その問題のいくつか
おわりに
(なにをはじめているか)
はじめに
(自己紹介と本日の講演の意図)
0 28 29
31
30
2
4 25
34
35 3
5
32 33
29 30
建設産業の現状と課題
(兆円)
(千業者、万人)
90 900
80
建設投資のピーク 84.0兆円(1992年度)就業者数:619万人 業者数:531千業者
800
70
就業者数のピーク
685万人(1997年平均)
56 54 52
就業者数
700 ピーク時比
▲28.18%
60
47 45
44 48
許可業者数のピーク
600千業者(1999年度末)
600
就業者数
492万人
(2016年平均)
42 37
50
49
43
37 36 33
39
40
33
29 30 30 3
29 28
31
34
31 31
6
30
25
25 2
500 許可業者数
ピーク時比
▲22.6%
400 許可業者数
465千業者
(2016年度末)
300
24
22
20
200
32
33
33 34 32 30
10
18 19 20 20 20 20 19 19
23 24 26
29
28
26 23 21
19 18 17 17 18 18 19 20
23 23 22 22
100
12 15
建設投資ピーク時比
▲38.3%
建設投資
51.8兆円
0
0
(年度)
出典:国土交通省「建設投資見通し」・「建設業許可業者数調査」、総務省「労働力調査」
注1 投資額については2013年度まで実績、2014年度・2015年度は見込み、2016年度は見通し注2 許可業者数は各年度末(翌年3月末)の値
注3 就業者数は年平均。2011年は、被災3県(岩手県・xx県・xx県)を補完推計した値について2010年国勢調査結果を基準とする推計人口で遡及推計した値
○ 建設投資額はピーク時の1992年度:約84兆円から2010年度:約42兆円まで落ち込んだが、その後、増加に転じ、
2016年度は約52兆円となる見通し(ピーク時から約38%減)。
○ 許可業者数(2016年度末)は約47万業者で、ピーク時(1999年度末)から約23%減。
○ 建設業就業者数(2016年平均)は492万人で、ピーク時(1997年平均)から約28%減。
21 23
民間投資額(兆円)政府投資額(兆円)就業者数(万人)
許可業者数(千業者)
熊本地震
東日本大震災
新潟県xxx地震
十勝沖地震
阪神・淡路大震災
三陸xxx沖地震北海道東方沖地震北海道南西沖地震
xxx中部地震
○建設業就業者: 685万人(H9) → 498万人(H22) → 500万人(H27)
○技術者
: 41万人(H9) → 31万人(H22) → 32万人(H27)
○技能労働者 : 455万人(H9) → 331万人(H22) → 331万人(H27)
建設業就業者の現状
技能労働者等の推移
建設業就業者の高齢化の進行
30%減
(%)
37.0
(万人)
35.0
33.6 34.27 34.26
800
その他
販売従事者
管理的職業、事務従事者技術者
33.0
32.2 32.5
33.1 33.8
32.8
31.3
655 663670 662 657
685
31.0
30.2
700
604 619
640
25 24 24 31 24 23 20
24 653 632618
604
技能労働者
29.0
29.4
28.2 28.4
588
26 29 29
600
26 26 27
31 32 34 20
19
584
568
28.1
28.528.6 28.7 29.2
28.86
25
27
33 32 19
559 552
27.0
26.5
24 22
22
131 133
127 128
34 17 14
537
27.9
27.0
131
35 34 14 17
517 502 505 500
503
25.6
127 128
128 126
498
124
499 8
24.8
116
32 31 15
25.0
23.3 24.5
24.8 26.0
500
31 14
7 8 9
10
23.6
118 127
42 43 43 43 42 42
41
114
113
23.2
23.5 23.8 23.523.1
23.9
29 13
30
22.8 24.124.22.9 22.8
24.6
000 000 000
29 32
29 30 28
23.0 22.8
42
103
21.6 21.6 21.9
22.2 23.7 22.3
23.4 222.33.1 23.2
23.7 23.5 23.7
23.1 21.5
29 33
36
39 37
36
100
203..91 221.23.3
94 98 98 96 98 99
21.7
20.9
400
34 32 31 31
21.0 20.9
21.8
20.2
30
21.1
22
21.6
20.2
19.7
32 31 31 32 27 28 32
21.0
19.4
19.0
20.5
20.5
19.8
18.6
19.6
300
19.1
技能労働者
200
399 408 420 433 438
442
455 434 432 432 415 414
401 385
17.0 17.9 18.4
16.8
15.0
18.3
全産業(29歳以下)
17.7
17.8
17.5 17.3
16.7
395
約110万人が
16.1
16.6
16.4
16.2
381 375
370
15.5
358 342 331 334 335 338 341 331
15.0
13.0
100
離職の可能性
13.8
13.0 12.8
11.0
11.6 11.8
11.1 10.2 10.7 10.8
9.0
0
H2年H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10H11 H12 H13 H14H15 H16 H17 H18H19 H20 H21H22 H23 H24 H25H26 H27
出典:総務省「労働力調査」(暦年平均)を基に国土交通省で算出
(※平成23年データは、東日本大震災の影響により推計値。)
H2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
(年)
出典:総務省「労働力調査」を基に国土交通省で算出
建設業:29歳以下は約1割
全産業(55歳以上)
建設業:約3割が55歳以上
○ 建設業就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題。
※実数ベースでは、建設業就業者数のうち平成26年と比較して
55歳以上が約4万人減少、29歳以下は同程度(平成27年)
労働生産性の推移
2017 建設業ハンドブック(一般社団法人日本建設業連合会)
施工時期の平準化
取扱注意
件
12,000
工事稼働件数の推移
H26
H28
H29
10,000
○2カ年国債の活用 H27-28:約200億円 H28-29:約700億円 H29-30:約1,500億円
3.5倍
2.1倍
8,725
8,000
6,950
6,758
7,598
7,167
6,000
5,793
5,870 約1.2倍
4,000
新規契約件数 1-3月合計
2,700件
新規契約件数 1-3月合計
3,604件
工事完了件数新規契約件数稼働件数 4~6月期
年度平均
2,000
約1.3倍
0
-2,000
○国土交通省所管事業において、平準化に向けた計画的な事業執行を推進するよう通知
(H27.12.25)
○国の取組も参考に、平準化を推進するよう、総務省とも連携して、自治体に通知
(H28.2.17、H29.2.10 等)
○早期発注等により平成29年1~ 3月の新規工事契約件数は、前年同時期に比べて約1.3倍になる見込み
-4,000
H29は契約見込み
H27
○ 公共工事は予算制約などから、第1四半期(4~6月)に工事量が少なく、偏りが激しい。このため、施工時期を平準化し、年間を通して工事量を安定化を図る。
○ H29年度は2ヶ年国債の規模を倍増(約700億円→約1,500億円)するとともに、当初予算において初めてゼロ国債(約1,400億円)を設定。
のピーク
997年平
数のピーク
1999年度
34
31
24 25
2
26
45 44 4
29 30
建設産業の現状と課題
(兆円)
(千業者、万人)
90 900
80
建設投資のピーク 84.0兆円(1992年度)就業者数:619万人 業者数:531千業者
800
70
就業者数
685万人(1
均)
56 54 52
就業者数
700 ピーク時比
▲28.18%
8
60
許可業者
600千業者(
末)
600
42
就業者数
492万人
(2016年平均)
50
49
43
37 36
500 許可業者数
ピーク時比
▲22.6%
40
39
31
30
400
28
29
30 30
28 29
33
31
許可業者数
465千業者
(2016年度末)
30
300
24
22
20
? 200
29
32 34 33 35 35 33 34
32
28
10
12 15
19 20 20 20 20 19 19
24 26
26 23
23
19
20
100
建設投資ピーク時比
▲38.3%
建設投資
51.8兆円
0
0
(年度)
出典:国土交通省「建設投資見通し」・「建設業許可業者数調査」、総務省「労働力調査」
注1 投資額については2013年度まで実績、2014年度・2015年度は見込み、2016年度は見通し注2 許可業者数は各年度末(翌年3月末)の値
注3 就業者数は年平均。2011年は、被災3県(岩手県・xx県・xx県)を補完推計した値について2010年国勢調査結果を基準とする推計人口で遡及推計した値
○ 建設投資額はピーク時の1992年度:約84兆円から2010年度:約42兆円まで落ち込んだが、その後、増加に転じ、
2016年度は約52兆円となる見通し(ピーク時から約38%減)。
○ 許可業者数(2016年度末)は約47万業者で、ピーク時(1999年度末)から約23%減。
○ 建設業就業者数(2016年平均)は492万人で、ピーク時(1997年平均)から約28%減。
17
17
19
18
18
18
18
21
21
22
22
23
23
23
25
47
9
25
民間投資額(兆円)政府投資額(兆円)就業者数(万人)
許可業者数(千業者)
30
31
30
32
33
33
37
建設産業戦略会議2012
建設産業戦略会議2011
建設産業政策2007
建設産業政策大綱
建設産業政策会議2017+10
参入障壁と進出障壁、
そして建設コスト関連諸問題
1.標題の意図するところ
■1980年代から90年半ばまで急激に日本の建設投資が伸びた時期
→米国を筆頭に日本の建設市場への参入を試みた多くの外国企業が感じた「参入障壁」
→「日本の建設産業を守った建築生産システム」
■その後急速に市場が縮小して海外市場に進出せざるを得ない現在
→その進出がままならない日本の建設企業の混迷
→まるで自らが生ぜしめたがごとくの「進出障壁」となってそびえ立っているように見える
■この間に顕在化しつつあるいくつかの問題について検討してみよう
2.主要国建設市場の20年間の変化
■主要国の建設活動比較表が3つ
表1:1995年の「建設産業政策大綱」に掲載された1993年の諸表表2:2000年の建設業ハンドブックに掲載された1998年の諸表表3:2017年の建設業ハンドブックに掲載された2015年の諸表
■以下での関心事
①名目GDP(兆円)
②建設投資額(兆円)
③対GDP比(%)
→主要国のうち比較対象国は日本、米国、英国、韓国
→3つの建設活動比較表における4か国の建設市場の変化を検討
表1~表3において端的にいえること
①名目GDP(兆円)
→1990年代後半は米国が日本の2倍程度、英国のそれは1/3程度、韓国のそれは1割程度で
2015年には米国が4倍、英国は2/3程度、韓国が3割程度。
※日本の名目GDPの成長のみが鈍化していることが分かる。
②建設投資額(兆円)
→建設投資額でも、4か国比較では名目GDPと似た傾向を示すが、ここで特筆すべきことは、1980年代
後半から1990年代に掛けて世界の建設市場の1/4は米国の市場が占め、日本の市場も1/4を占め、残余の国で1/2の市場を占める時期があったということ。
※日本の建設投資の減少とそれに伴う世界市場での占有率の低下が顕著である。
③対GDP比(%)
→表1で日本は20.3%、米国10.4%、英国7.6%、韓国23.5%、表2で日本は14.0%、米国7.7%、英国4.3%、韓国22.1%、表3で日本9.5%、米国8.0%、英国9.2%、韓国14.6%
→建設投資の対GDP比は、インフラ整備等の投資が必要な開発途上国(Developing Country)で高く、先進国(Developed Country)ではインフラ整備等が進んでいるため対GDP比は相対的に低い。
※特異なのは日本で、後者に該当しながらも高い対GDP比を維持してきた。
要因は住宅建設市場の活況等、しかし「政府投資」、「民間住宅投資」の減少が長期化するに伴って、
他の先進国と同様に維持修繕工事への移行、ならびに海外市場への展開が必然のこととなりつつある。
日本の建築生産システムの特徴
伝統的日本の建築生産システムの特徴
-相互信頼に基づく簡略化された商習慣
・口頭ベースでの契約、黙約
建築主
・文書化されない契約条項の存在
-元請・下請に共通する要求水準の理解
・工期を守る
・美しく仕上げる
・必要ならば残業する
-各熟練工のプロ意識
・OJTでの職業訓練
・安くとも最大限の努力を払う/払ってしまう
⇒これらは無意識に、あるいは気質として持ち合わせている)
⇒よく言われる空気のようなもの・・・ないと困るが、あっても意識しない
▼これらの日本の建築生産システムをうまく活用するノウハウを持っていることが有能なゼネコン、品質確保ができる所以
準委任契約
請負契約
設計者
ゼネコン
売買契約
下請負契約
専門家
専門家
サブコン
資機材
供給者
売買契約
雇用契約
労働者
労働者
メーカー
3.1980年代後半から1990年代に掛けて外国企業が感じた日本の建設市場の
参入障壁とは何であったか
海外現場経験からみた日本の建設業と建築生産システム(著者は京xxxx元留学生、現在MCS会長)
①建設費が海外より高い
②契約書の認識が低い、契約書の確認に関心がない
③設計変更が異常に多い
④赤字工事を発生させない
⑤どんな価格でも同じ高品質の建物
⑥品質第一、コスト第二
⑦込み込み(筆者注:予算が図面上のどこまでを含んでいるかの発注者側の回答例)
4.日本企業の海外建設市場への進出障壁は何か
①どの国でも外国人労働者が圧倒的に多い
②FIDICでは一方的変更、片務的条項の追加等が多く、その問題はthe engineerとかコンサルタントの存在に起因する。日本は契約、約款に疎い
③関係者間に相互信頼はない。信頼は契約で担保されることを自覚すべき
④日本は本格的進出でなく、スポット的であり、戦略的に活動していない
⑤技能労働者調達(技能者制度は不存在が大半) は下請企業任せが中心しかし、現場での技能労働者の確保は品質的にも利益確保の面でも重要
⑥シンガポールでの経験は重要
⑦英国のPM企業はかなり安定した中東感を持ち、自らが得意とするマネジメントビジネスでは契約行為の内容、取りうる戦略に精通しており、戦略を
持って取り組んでいることが推察できる
⑧信頼と契約とビジネスの使い分け
⑨M&A、フィービジネス等 一式請負からの脱却は可能か
委任契約
5.参入障壁と進出障壁の処方箋
6.参入障壁/進出障壁の認識から見える建設コストに係る変化の兆し
①公共工事設計労務単価
②工事請負契約約款第4条における法定福利費の明示
③オープンブック方式
④コントラクトマネジャー(Contract Manager)の存在
日本の建設活動の参入障壁と進出障壁の理解、そして、それらに係る日本の諸制度と建設活動の変更、徐々にその研究 と実践の必要性と可能性が高まってきているように感ずる。
世界の潮流と日本の滞留
(Step by step とSkip by skip)その問題のいくつか
①建設産業の生産性向上
②技能労働者/基幹技能者
③躯体図考
④発注契約方式の多様化
⑤品質確保
建築家・技
術者の誕生
一式請負を前提にした法制度
建築基準法、建築士法、建設業法、労働安全衛生法
あいまいな分業化
まとめて請ける
書面契約・専門分化
歴史の流れ
・系列
・黙約
・相互依存
・貸し借り
(図2参照)
・独立
・契約
・組み合せ
・清算
建築生産システムの変遷イメージ図
基本的価値と付加価値の分離供給
役割分担型の
発注方式
棟梁型の
発注方式
基本的価値と付加価値の一体的供給
建設産業の生産性向上とは
いくつかの概念
2.1 労働生産性と検討レベル
2.2 工業化
2.3 Buildability・・・・・英国
2.4 Constructability・・・・・米国
(Step by step と Skip by skip)?
①建設産業の生産性向上
(1)労働生産性と検討レベル
■労働生産性=付加価値/就業者数
■検討レベル
(2)
22
(3)日本における第一次の生産性向上
1.1970年代後半から1980年代
2.近隣問題、埋文等による着工遅れ
3.設計者を巻き込んだ大幅な設計変更
4.複合化工法、優秀な技術者・技能者の存在
5.生産設計・・・・設計側か、施工側か
(4)日本における第二次の生産性向上
1.優秀な技能労働者の不足
2.多様な発注・契約方式・・・設計と施工の連携と発注者参加
3.シンガポールは稚拙な統合型BIMから徐々に前
進→中国への移動→世界の工場→サプライチェーン
4.日本のスタンドアローン的BIMでよいか
5.設計の完全な自由から合理的な自由へ
6.在来木造住宅とプレハブ住宅の違いとの関係
7.究極の設計施工一貫システムによる建築と手作り設計と施工の分離システムの比較
8.新展開の発想へ(Step by step と Skip by skip)?
(Step by step と Skip by skip)?
②技能労働者/基幹技能者
既存制度を踏まえた技能労働者の将来像(例)
当面目指すべき技能者体制
現場の施工体制
将来のものづくり体制
現場の施工体制
作業所長
作業所長
xx xx
xx
xx
係員
係員
係員
係員
係員・統括基幹技能者
職長
基幹技能者
職長
基幹技能者
技能者 技能者
技能者 技能者
登録基幹技能者制度での課題
• 技能工/技能者と技術者
• 職長(会)と登録基幹技能者の整理
• xx技術者要件の一つとしての登録基幹技能者
• 元請と下請、あるいはマネメントのGCと工事のSC
• GCの係員と統括基幹技能者そして統括施工管理者
• 技能者の派遣禁止と技術者の派遣ビジネス
• いずれにせよ、重層下請構造の簡素化
• Contractorとconstructorの違い
③躯体図考(躯体図からBIMへ)
日本と他国の違い
①設計と施工の役割分担
②設計者、GC、SCの能力と守備範囲
appendix 1: だれがいつdrawing Xを描くか appendix 2: BIMはいかにdrawing Xとなじむか
Case 1 | Case 2 Singapore Singapore Japan Singapore | Case 3 | Case 4 | ||
building site | Japan | Singapore | Singapore | ||
nationality | AR | Japan | U.S.A. | Singapore | |
GC | Japan | Japan | Japan+Sin | ||
SC | Japan | Singapore | Singapore |
係員 係員
あるプロジェクトにおける関与者の国籍
・設計と施工が分離された建築プロジェクト
・CASE1は建設場所、プロジェクト関与者がすべて日本
・CASE3は建設場所、SCがシンガポール、ARはアメリカ、GCは日本
・CASE4はJVでGCに日本が入っているだけ
Case1: Project in Japan AR: Japanese, GC: Japanese
AR drawings GC drawings
SC drawings
設計者の図面
平面
詳細図
Y2
施工図
①平面詳細図(Detail) ②3rd Storey- 2/2 (Extract) ③GC ➃1:100
コンクリート躯体図
①Unit Bath Shop Drawing ②仕様図(Spec)(Extract) ③SC
➃1:10
Y1
構造設計者の図面
①躯体図(Kutaizu) ②3rd Storey(Look up) 2/2(Extract)③GC ➃1:100
Legend
①Drawing’s Type ②Drawing’s Name
③Drawing’s Producer ➃Scale in A3 size
①Structural ②3rd Storey Column & Wall, 4th Storey Beam (Extract) ③ Architect ➃1:200
①Structural ②Column List, Beam List (Extract) ③Architect
➃1:50 and others
①Architectural ②3rd Storey Detail (Extract) ③Architect ➃1:100
①Architectural ②3rd Storey (Extract) ③Architect ➃1:400
Case3: Project in Singapore AR: U.S.A., GC: Japan
AR drawings GC drawings SC drawings
設計者の図面
A
施工図
一般にGCは図面
を描かない
B
①Precast Concrete Shop Drawing ②6th Storey Precast Beam & Hollow Core Installation Layout Plan (Extract) ③Specialty Contractor ➃1:250
構造設計者の図面
Specialty Contractor (Formwork, Reinforcement bar, Concrete)
①Kutai-zu ②Data Center 6th Storey Concrete Body Plan (Part 1 of 4) (Extract)
③Main Contractor ➃1:100
①Structural ②Structural Data Center 6th Storey Framing Plan (Extract) ③Architect ➃1:200
①Architectural ②Architectural Data Center 6th
Storey Plan (Extract) ③Architect ➃1:200
①Structural ②2nd to 7th Typical Storey (Extract)
③Architect ➃1:100
①Aluminum Formwork Shop Drawing ②Typical Shell Plan (Extract)
③Specialty Contractor+Revised by Main Contractor ➃1:100
Case4: Project in Singapore
AR: Singapore, GC: Singapore & Japan (JV)
AR drawings
GC drawings
SC drawings
設計者の図面
GCは図
面を描かない
施工図
①Architectural ②2nd to 7th Typical Storey (Extract)
③Architect ➃1:100
Revise
構造設計者の図面
Typical Project in U.K.
AR drawings GC drawings SC drawings
構造設計者の図面
GCは図
面を描かない
設備設計者の図面
・図面の完成度は高い
・意匠、構造、設備の図面間の調整は
Architectの責任で行われる
施工図
設計者の図面
“だれがいつdrawing Xを描くか?”
• Drawing Xは平面詳細図、断面詳細図、コンクリート躯体図などからなる。
• 日本ではDrawing XをGCが描き、他の国では ARもしくはSCが描き、描かない場合もある。
• 日本のGCは、他の国の工事においても
結果として,
次のようなことがいえる。
“だれがいつdrawing Xを描くか?”
• Drawing Xは平面詳細図、断面詳細図、コンクリート躯体図などからなる。
• 日本ではDrawing XをGCが描き、他の国では ARもしくはSCが描き、描かない場合もある。
• 日本のGCは、他の国の工事においても
Drawing Xを描く。
• ARやSCがDrawing Xを描くか否かは法制度と ARやSCの能力に依存している。
• “いつ描くか”は“誰が描くか”に依存している。
設計者の図面
施工図
構造設計者の図面
施工図
設備設計者の図面
施工図
設計チーム
専門工事業者チーム
D設r計aw詳in細g図X
調整関係図
設計/施工図書
間での調整を必要としているか?
だれがいつdrawing Xを描くか
スタンドアローン型のBIMとサプライチェーン型のBIM
1.BIMは国際的に開発・利用が活発化している。
2.その世界標準はモジュラー型の建築生産システムになじむBIM。
3.Drawing Xをゼネコンが描き、設計チームと専門工事業者チームの間に立って図面の調整をし、また設計チーム内の意匠、構造、設備の設計者間の調整を総合図作成として担当する日本の体制は、明らかにインテグラル型の建築生産システムである。
4.したがって、日本で進んでいるBIMは基本的に各社独自の取り組み による、いわばスタンドアローンであり、インテグラル型のBIMである。
5.スーパーゼネコンの例を挙げれば、各社の年間工事高が1兆円~2兆円という規模であり、xxの建設投資総額が2兆円~3兆円であることに照らして考えると、各社ともにスタンドアローンで十分に成り立つ市場を有しており、xxが国を挙げてBIMに取り組んでいることとは好対照である。
Drawing Xを描く。
• ARやSCがDrawing Xを描くか否かは法制度と ARやSCの能力に依存している。
• “いつ描くか”は“誰が描くか”に依存している。
スタンドアローン型のBIMと
サプライチェーン型のBIM(つづき)
6.しかし、モジュラー型のBIMが目指すのは、情報の共通化であり、製品・部材の標準化であり、流通システムの合理化である。BIMに関してサプライチェーンマネジメントが強調されるのはそのためである。
7.したがって、xxのような市場規模が小さな国、市場規模が大きくとも国際化が進んでいる国では、国を挙げてのBIM、あるいは国際市場をにらんでのBIMであり、このことがモジュラー型のBIMが有する特質と一致してい
8.一方で、国内市場が大きく、また、スタンドアローンのBIMが独自開発できるスーパーゼネコンが存在し、かつ国際化が進んでいない国で
は、国際的BIM化の流れに乗ることができるのか疑問である。
9.もちろん、日本の強みを生かし、“高品質な建築生産システムの成果物”を世界に発信する戦略も必要であり、伸ばすべきことであるが、そのためにはスタンドアローンのBIMではなく、インテルグラル型のBIMでありながらも、“国を挙げてのBIM”、あるいは“国際市場をにらんでのBIM”を伸ばしていくことが喫緊の課題であろう。
(Step by step と Skip by skip)?
④発注契約方式の多様化
多様化のこれから
① 専門分化・分業化には、一方で全体を統合する理念と役割が必要 PMRの必要性
② 発注・契約方式ごとに、建築主のみならずプロジェクトに関係する主体の役割と責任の移転/配分方法が明確に規定された契約約款の整備
建築主、受託側双方にとって、多様な建築プロジェクトの発注・契約方式の選択肢をデザインすることが必要
設計と施工の連携とは?
企画
発注者の役割
基本
設計
実施
設計
工事監理/監理
工事施工
設計と施工の分離
るように思える。
企画
設計と施工の連携とは?
企画
基本
設計
実施
設計
工事監理/監理
設計と施工の連携(1)
工事施工
設計と施工の連携とは?
企画
基本
設計
実施
設計
工事監理/監理
設計と施工の連携(2)
工事施工
設計と施工の連携とは?
企画
基本 実施
設計 設計
工事監理/監理
設計と施工の連携(3)
工事施工
設計と施工の連携とは? 企画 基本 実施 設計 設計 工事監理/監理 工事施工 | ||
設計施工一括/JV/ Consortium |
設計と施工の連携とは?
企画
基本設計
実施
設計
工事監理/監理
Turnkey/PackageDeal/IPD?
工事施工
たとえば、
PFIにおけるGCの立ち位置・その位置での役割
発注・出資側
工事側
出資側GC
SPC
工事側GC
演ずる場所:海外、大都市、地方都市、・・・
出所:国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン 説明資料
日本におけるPPPの整理
• 公共発注者が事業を行なう上でPPPのどの手法を使うのか意思決定をフローで表す。
純粋公共工事
BTO
PFI
BOT
PPP ①型 DBO
指定管理者
②型
包括的民間委託
③型
証券化
建設生産のしくみ全体(発注者~技能労働者まで)
公共工事では
コンセッション
発注者
「日本の建築プロジェクトの契約・発注に関して思うこと」
1.いろいろな段階での発注者とその役割
2.それを受ける側の組織の多様さ
3.つまりは.多様な発注・契約方法とその守備範囲
4.それらは法制度の制約と契約によって規定される
5.如何に考えるか
(Step by step と Skip by skip)?
⑤品質確保
品質確保のしくみの概念図
法規範
: 建築基準法・ 建築士法・建設業法等
準規範
: 各種標準・ 契約約款等
プロジェクトごとの計画
: プ ロジェクトごとに作られる
契約書・設計図書・施工図等
技術者/技能者の持つ技術/技能
さらにいえば、
制度規範と技術規範
品質確保のしくみの細部例(鉄筋工事)
それを躯体図でどう反映するか |
GC自らは鉄筋に関してどのような場合に図面を描くか |
描かない場合はどのような指示を鉄筋業者にし、何を確認しているか |
鉄筋業者は何を基に(参照図面)どのような図面を描くか |
鉄筋図を描くか、加工帳か |
それらの鉄筋図、加工帳は専門工事業者の誰が確認し、 GCの誰が確認するか |
加工は誰がするか |
間違いなく出来たことの確認は誰がするか |
GCはいつどのように確認するか |
組み立ての位置決めは誰がどのようにするか |
その妥当性をGC、工事監理者がどのように確認するか |
組立後、間違いなくできたことの確認は鉄筋工、専門業者、 GC、工事監理者がどのように、どの程度確認するか |
それを躯体図でどう反映するか |
GC自らは鉄筋に関してどのような場合に図面を描くか |
描かない場合はどのような指示を鉄筋業者にし、何を確認しているか |
鉄筋業者は何を基に(参照図面)どのような図面を描くか |
鉄筋図を描くか、加工帳か |
それらの鉄筋図、加工帳は専門工事業者の誰が確認し、 GCの誰が確認するか |
加工は誰がするか |
間違いなく出来たことの確認は誰がするか |
GCはいつどのように確認するか |
組み立ての位置決めは誰がどのようにするか |
その妥当性をGC、工事監理者がどのように確認するか |
組立後、間違いなくできたことの確認は鉄筋工、専門業者、 GC、工事監理者がどのように、どの程度確認するか |
責任施工という用語
鉄筋を例に考察
施工プロセス
加工プロセス
設計プロセス
継ぎ手/定着方法はどうか
配筋図で納まりは描くか、いかに扱うか
構造図でどこまで描くか、鉄筋量を図面にどう反映するか
発注者確認
設計者確認
(工事)監理者確認
(工事)監理プロセス
ゼネコン確認
サブコン確認
サブコン作業
ゼネコン作業
設計図書作成
発注者要求
鉄筋を例に考察
法制度
?
設計図書
法技制術度指針契約約款
標準類
設計図書施施工工図図書書
技術指針 SD/SF
?
技術
技術技能
知識
経験
経験
意思
技能
?
契約約款
技能
法制度
継ぎ手/定着方法はどうか
配筋図で納まりは描くか、いかに扱うか
構造図でどこまで描くか、鉄筋量を図面にどう反映するか
SC: E
係員
(下請負契約)
トロ詰めほころびモデル
チェックせず
施工計画書
指示せず
技術者に指示あり 施工要領書
SC: D 番頭
(下請負契約)
社内
チェックせず 検
査
指示せず
トロ詰め不良
チェックせず
技能としての常識あり
指示せず
外壁からの漏水
F 職人
(雇用契約)
処置せず
建設事故、ほころびモデル
施工者
下請
(工事請負契約)
監理技術者
係員
所長 GC: C
者
工請
xx
検査
指示せず
チェックせず
Ar: B' 一級建築士
(委任契約)
工事監理者
竣工
チェックせず
Ar: B 一級建築士
(委任契約)
設計詳細にコンクリー ト一体の断面図あり
設計者
チェックせず
事業計画書
CL: A
発注者
維持管理
引渡し
工事
施工者選定
設計
企画/
設計者選定
品質確保の要点
発注者
設計者 PM CM
(工事)監理者元請
下請孫請
・
・職人
・
・
人力
理屈/理論機械
タイミング
インセンティブ
IT/BIM
革新
・・・
(Step by step と Skip by skip)?
いつ(When)、どこで(Where)、 だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」
( )
( )
案
①大学・団体・企業 共同・委託研究契約 ②立命館大学
②’建築社会システム研究所
アドバ
イザー
③異業種連携プロジェクト ならびにそのマネジメント
共同研究組織
研究 コン 社会
活動 サル 貢献
※①~④の検討事項
①大学・団体・企業が共同・委託等研究の相手方
②立命館大学(MOTセンター内に建築社会システム研究所(5月28日設立)
□研究活動(研究活動の継続)
調査研究受託、共同研究、研究指導
□事業支援コンサル活動
・増改・修繕支援人的ネットワーク(建築士、技術者、発注者、・・・)構築
・PM/CMアドバイス
・諸外国との人的、技術的交流支援
□社会貢献活動
➃野帳場社会システム事業
・維持保全事業支援
➃’町場社会システム事業
・地域密着増改事業支援
➃”発注者支援協力事業
・DM/PM/CM事業支援
➃”’専門工事団体支援事業
・職人育成・処遇改善事業支援
➃ ””国際技術協力事業
・国際共同ワーク事業支援
・政府関係委員、民間(旧四会)約款委員会委員長、民間組織役員等
中国、ベトナム、タイ、韓国、台湾、xx等
③今後の中心的研究課題「日本の建設市場縮小に呼応した国内建設関連産業の市場整備と価東値南転ア換ジア中心
による国際競争力の再構築」
④④’④”④’”④””各種事業支援アドバイザー
2017.5.28 古阪
おわりに
(なにをはじめているか)
今後の社会貢献活動について
1.異業種連携研究
テーマ:日本の建設市場縮小に呼応した国内建設関連産業の市場整備と価値転換による国際競争力の再構築
• 場所:立命館大学茨木キャンパス(建築社会システム研究所)
2.国際会議の継続
テーマ:失敗した建築プロジェクトにおけるPMRの存在と果たした役割、そして成功例の紹介
• 日 時:2017年11月17、18日
• 会 場:立命館大学茨木キャンパス
• 参加国:日本、中国、韓国、台湾、xx、英国、米国
• 参加は自由
62
■周辺国への思いと戦略・戦術
• 様々な依頼が来る
・建築プロジェクトの品質、安全等をどう安定させるか
・設計施工一貫の設計と工事ができる人材
・日本の品質確保、技能者の質の向上はいかに
・BIMの講演をしてほしい
• どんな資源があるか
・同済大学、華中科技大学、xx大学、重慶大学等xxなネットワークがある
・多くの留学生を育て、前線で活躍している
・「建築生産」の中国版を出版している
• 何が出来そうか
・中国での設計と施工の連携、マネジメントに関する教育
・種々のコンサルビジネス(かつての留学生の集結)
• 東南アジア(タイ、シンガポール、ベトナム等)でのネットワークとその稼働
トピック的に
ストックマネジメント
• 現在のメインテナンス市場は草刈り場
・戸建てでは建築士の資格、建設業許可を要しない工事が大半。いかに健全なしくみが構築・稼働することができるか
・集合住宅/マンションでは、不透明な商取引が多くなっているとの伝聞情報がある
• 維持管理研究の開始頃の原点に戻ると、
・現状の建物/施設のデータ収集・・・積算とLCC
・・・昔の堂宮大工の系譜⇒図面を持っていることが次の修繕への道
・・・現在はどうか⇒バルーン等の活用も含めて図面作成・保存それによる積算数量算出、写真からの数量概算
• 今後への取り組み
・すでに挙げた「多様な入札契約方式モデル事業」
・契約図書、契約書/契約約款等ストックマネジメントに向けたしくみづくり
・民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会では関連の約款を作成・普及活動中
おわりに
• 発注者は本来の責任と義務を果たしているか
• 設計者は本来の責任と義務を果たしているか
• 監理者は本来の責任と義務を果たしているか
• GCは本来の責任と義務を果たしているか
• SCは本来の責任と義務を果たしているか
• 職人は本来の責任と義務を果たしているか
おわりに
• 発注者は正当な権利を主張 しているか
• 設計者は正当な権利を主張 しているか
• 監理者は正当な権利を主張 しているか
• GCは正当な権利を主張 しているか
• SCは 正当な権利を主張 しているか
• 職人は正当な権利を主張 しているか
おわりに
応分の負担と応分の利益:特定の主体だけが利益を享受してはならない
透明性が確保されて、実態が世に出れば、各種の片寄りは徐々になくなる
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
本来の責任と義務を果た
• 発注者は正当な権利を主張 しているか
• 設計者は正当な権利を主張 しているか
• 監理者は正当な権利を主張 しているか
• GCは正当な権利を主張 しているか
• SCは 正当な権利を主張 しているか
• 職人は正当な権利を主張 しているか
日本の建設活動の参入障壁と進出障壁、 そして、その間にある建設コスト関連の諸問題
建設産業史研究会・講演
2018.5.18
xxxx
(立命館大学・客員教授)
(建築社会システム研究所・所長)
(民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会・委員長)
ご清聴ありがとうございました