Contract
工事請負契約に係る
設計・契約変更ガイドライン(案)
令和元年8月
広島県
本ガイドラインは,建設工事請負契約約款(以下「契約約款」という。)により,契約の変更をする場合の対応について,発注者及び受注者の事務処理の参考となるよう策定した。
1-1-1 設計変更及び契約変更の基本原則
工事の施工は,設計図書に基づいて施工すべきであるが,やむを得ず当初設計に差異を生じた場合に設計変更及び契約変更を行う。
1-1-2 設計変更と契約変更
「設計変更」とは,工事の施工にあたり設計図書の内容の変更に係るもの。
「契約変更」とは,設計変更に伴う請負代金額の変更又は工期の変更の決定に基づく契約の変更を行うもの。
1-1-3 契約変更の範囲
設計表示単位に満たない設計変更は,契約変更の対象としない。
一式工事については,受注者に設計図書において設計条件又は施工方法を明示したものにつき,当該設計条件又は施工方法を変更した場合のほか,原則として契約変更の対象としない。
変更見込金額が請負代金額の 30%を超える工事は,現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き,原則として,別途の契約とするものとする。
【基本事項】(ただし契約約款第 26 条(臨機の措置)での対応の場合はこの限りではない。)
1.設計図書に条件明示のない事項において,発注者との「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合。
2.発注者と「協議」を行っているが,発注者からの回答前に施工を実施した場合
3.「承諾」で施工した場合。
4.契約約款・土木工事共通仕様書(以下「共通仕様書」という。)に定められた所定の手続き
(契約約款第 18 条~24 条,共通仕様書 1-1-1-13~1-1-1-15)を経ていない場合。 5.正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)場合。
【基本事項】
1.仮設(任意仮設を含む)において,条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に,受注者の責によらず,工事着手出来ない場合。
3.所定の手続き(「協議等」)を行い,発注者の「指示」によるもの。
4.受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
【留意事項】
設計変更・先行指示にあたっては次の事項に留意する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認して,設計変更「協議」にあたる。
2.当該事業(工事)での変更の必要性を明確にする。(規格の妥当性,変更対応の妥当性(別途発注ではないか)を明確にする。)
3.設計変更に伴う契約変更の手続きは,その必要が生じた都度,遅滞なく行うものとする。
3-1-1 設計図書に誤謬又は脱漏がある場合[契約約款第 18 条第 1 項 2 号]
受注者は,xxx上,設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり,発注者は,それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また,設計 図書に脱漏がある場合には,受注者としては,自分で勝手に補って施工をつづけるのでは なく,発注者に確認して,脱漏部分を訂正してもらうべきである。
(事例)
設計図書に示されている施工方法では,条件明示されている土質に対応できない。
図面に記載されている材料の規格が間違っている。
図面に使用材料の規格が記載されていない。
一式工事について,設計図書に設計条件又は施工方法に係る必要事項が記載されていない。
3-1-2 設計図書の表示が明確でない場合[契約約款第 18 条第 1 項 3 号]
設計図書の表示が明確でないことは,表示が不十分,不正確,不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても,受注者が勝手に判断して施工することは不適当である。
(事例)
材料の使用量が共通仕様書の記載と特記仕様書の記載とが異なる。
土質柱状図は明示されているが,地下水位が不明確。
水替工の記載はあるが,作業時,常時など運転状況の記載がない。
用地買収が未了との記載はあるが,着工見込み時期の記載がない。
3-1-3 設計図書と実際の工事現場が一致しない場合[契約約款第 18 条第 1 項 4 号]
自然的条件とは,例えば,掘削する地山の高さ,埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状,地質,湧水の有無又は量,地下水の水位,xxxの除去すべき物の有無のことである。
また,人為的な施工条件の例としては,地下埋設物,地下工作物,xx(捨)場,工事用道路,通行道路,工事に関係する法令等が挙げられる。
(事例)
設計図書に明示された土質や地下水位が工事現場と一致しない。
設計図書に明示された地盤高が工事現場と一致しない。
設計図書に明示された地下埋設物の位置が工事現場と一致しない。
設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない。
手続きにより行った設計図書の訂正・変更で,現地条件と一致しない。
[条件変更等(設計図書の照査)のフロー]
【第 18 条第 2 項】
受注者の立会いの上調査
(ただし,受注者が立会いに応じない場合には,受注者の立会いを得ずに行うことができる。)
発注者 受注者
【第 18 条第 2 項】
第 18 条第 1 項に該当する事実を自ら発見
↓
【第 18 条第 2 項】
第 18 条第 1 項に該当する事実を発見
監督職員へ通知(提出)し確認を求める
↓提出(通知)
←立会
↓
【第 18 条第 2 項】
受注者の意見を聴いて,調査結果のとりまとめ
←意見
【第 18 条第 3 項】
調査終了後 14 日以内に結果を受注者に通知
(措置を指示する必要があれば指示を含む)
↓
通知 →
← 受理
↓
【第 18 条第 4 項】
必要であると認められるときは設計図書の訂正又は変更
↓
【第 18 条第 4 項】
第 18 条第 1 項第 4 号又は第 5 号に該当し,工事目的物の変更を伴わない場合は受注者と協議
第 18 条第 1 項
(4)工事現場の形状,地質,湧水等の状態,施工上の制約等設計図書に示された自然的若しくは人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5)設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
↓
設計図書の訂正又は変更の内容根拠等を受発注者間の協議により明確にし,概算金額や施工日数等について協議
↓
【第 18 条第 5 項】
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額の変更
↓
【第 23 条】「工期の変更方法」により協議,承諾
又は
【第 24 条】「請負代金額の変更」により協議,承諾
↓
契約変更の締結
注)本フローの条項は契約約款による。
3-2-1 発注者が必要と認め変更する場合[契約約款第 19 条]
発注者は,工事の施工途中において,当初発注の内容を変更せざるを得ない事態が生じた場合,必要があると認めるときは,設計図書の変更内容を受注者に通知し,設計図書の変更を行う。
「必要があると認める」とは,発注者の判断であり,その理由を受注者に示す必要はない。
この場合,必要があると認められるときは,工期又は請負代金額の変更を行う。
(事例)
地元調整,関係機関協議の結果,施工範囲,施工内容,施工日・時間の変更を行う。
新たに施工する必要のある工種が判明し,その工種を追加する。
関連する工事の影響による施工条件の変更により,施工内容の変更を行う。
工事現場の安全管理上,フェンス等の防護施設(共通仮設費の率分以外)を必要と判断し,追加する。
[設計図書の変更フロー] | |
発注者 | 受注者 |
【第 19 条】 設計変更の必要があると判断 | |
↓ | |
【第 19 条】 発注者が設計図書の変更を行い,受注者にその内容を通知 | 通知 → |
← 受理 | |
↓ | |
【第 23 条】「工期の変更方法」により協議,xx xx 【第 24 条】「請負代金額の変更」により協議,承諾 | |
↓ | |
契約変更の締結 |
注)本フローの条項は契約約款による。
3-3-1 工事を一時中止する必要がある場合[契約約款第 20 条]
受注者の責に帰することができないものにより,工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため,受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き。
詳細については「工事一時中止に係るガイドライン(案)」参照。
(事例)
設計図書に工事着工時期が定められた場合,その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
警察,河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
管理者間協議の結果,施工できない期間が設定された場合
受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため,施工できない場合
予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
工事用地の確保が出来ないた等のため工事を施工できない場合
設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
埋蔵文化財の発掘又は調査,その他の事由により工事を施工できない場合
[条件変更等(設計図書の照査)のフロー] | ||
発注者 | 受注者 | |
地元調整や予期しない現場条件等のため,受注者が工事を施工することができない | ||
↓ | ||
【第 20 条第 1 項,第 2 項】 発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。 (契約上一時中止を掛けることは発注者の責務) | 指示 → | [土木工事共通仕様書] 受注者は,土木工事共通仕様書に基づき,基本計画書を作成し,発注者の承諾を得る。 不承諾の場合は,基本計画書を修正し,再度承諾を得る。 |
↓ | ||
[土木工事共通仕様書] 発注者は,現場管理上,最低限必要な施設・人数等を精査し,基本計画書を承諾 | ← 承諾 | |
承諾 → | 基本計画書に基づいた施工の実施 | |
↓ | ||
【第 20 条第 3 項】 承諾した基本計画書に基づき,施工状況の確認及び設計変更の実施 | ||
↓ | ||
【第 23 条】「工期の変更方法」により協議,xx xx 【第 24 条】「請負代金額の変更」により協議,承諾 | ||
↓ | ||
契約変更の締結 |
注)本フローの条項は契約約款による。
3-4-1 受注者の責に帰することができない事由によって工期内に工事を完成することができない
場合[契約約款第 21 条]
受注者は,天候の不良,関連工事の調整協力,その他受注者の責に帰することができない事由により工期内に工事を完成させることができない場合は,発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
(事例)
天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき,工期の延長が生じた場合
設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり,工期の延長が生じた場合
暴風,豪雨,洪水,高潮,地震,地すべり,落盤,火災,騒乱,暴動,反対運動党の妨害活動,埋蔵文化財の発掘又は調査等
その他の自然的若しくは人為的な事象であって受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じた若しくは工事現場の状態が変動したため受注者が工事を施工できないと認められる場合
その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
[条件変更等(設計図書の照査)のフロー] | ||
発注者 | 受注者 | |
【第 21 条第 2 項】 発注者は必要があると認められるときは,工期を延長しなければならない。 | ← 申請 | 【第 21 条第 1 項】 受注者は,第 21 条第 1 項により,その理由を明示した書面により,発注者に工期の延長を請求 |
↓ | ||
【第 23 条】「工期の変更方法」により協議,xx xx 【第 24 条】「請負代金額の変更」により協議,承諾 | ||
↓ | ||
契約変更の締結 |
注)本フローの条項は契約約款による。
3-5-1 発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合[契約約款大 22 条]
発注者は,特別な理由により工期を短縮する必要があるときは,工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
(事例)
関連工事等の影響により,工期短縮が必要な場合
道路の供用開始時期について,当初予定していた時期を繰り上げて行うなど行政運営上必要となる場合
その他の事由(地元調整,関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
[条件変更等(設計図書の照査)のフロー] | ||
発注者 | 受注者 | |
【第 22 条第 1 項】 発注者は,特別な理由により工期を短縮する必要があるときは,工期の短縮変更を書面により受注者に請求。 | 申請 → | 【第 21 条第 1 項】 受注者は,請求に基づき,工期短縮を図るための施工計画書を発注者に提出し,承諾を得る。 |
← 承諾 | ||
↓ | ||
【第 23 条】「工期の変更方法」により協議,xx xx 【第 24 条】「請負代金額の変更」により協議,承諾 | ||
↓ | ||
契約変更の締結 |
注)本フローの条項は契約約款による。
受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える事項としては次の事項が想定される。
1. 現地測量の結果,横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
2. 現地調査の結果,排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
3. 構造物の位置や計画高さ,延長が変更となり構造物の再計算が必要となるもの。
4. 構造物の載荷高さが変更となり,構造計算の再計算が必要となるもの。
5. 現地測量の結果,構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの。
6. 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
7. 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
8. 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
9. 「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
10.構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
11.設計根拠まで遡る設計図書の見直し。
12.舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断図面が示されており,その修正を行う場合とする。なお,設計図書で縦横断図が示されておらず,共通仕様書第 10 編
10-16-5-3 路面切削工,10-16-5-5 切削オーバーレイ工等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる)。
なお,適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については,受注者の費用負担によるものとする。
請負工事の契約
↓ ↓ ↓
設計図書の変更 (発注者が設計図書の変更を必要と認めたとき) | |
必要な場合は第 20 条により工事中止を行う |
工事の中止 | |
中止期間に要し た費用 | |
再開以降の工事 にかかる増加費用 | |
【第 18 条第 1 項】 【第 19 条】 【第 20 条】
条件変更等 | ||
共通仕様書 1-1-1-3 | 共通仕様書,特記仕様書 | |
設計図書の照査等 (受注者) | 設計図書の協議事項 (受注者) |
↓ ↓
照査結果の提出
(受注者)
協議
(受注者)
↓ ↓
事実の確認及び内容の協議(発注者) | |||
必要な場合は第 20 条により工事中止を行う | |||
・工事目的物の変更を伴うが受注者の都合によるもの ・任意仮設の変更 | ・工事目的物の変更を伴うもの ・指定仮設の変更 |
↓ ↓ ↓ ↓
設計図書の変更は行わない
設計図書の訂正又は修正
(発注者)
↓
【第 23 条】「工期の変更方法」により協議,承諾又は
【第 24 条】「請負代金額の変更方法」により協議,承諾
↓
契約変更の締結
軽微な設計変更の場合は,設計変更内容を指示し,概算金額,延長必要日数等を受注者と協議し,工期末までに契約変更を行う。
注)本フローの条項は契約約款による。
受注者は,当初設計等に対して契約約款第 18 条第 1 項に該当する事実が発見された場合,監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し,確認を求めなければならない。なお,これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
契約約款第 18 条第 1 項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については,契約約
款第 18 条第 4 項に基づき発注者が行うものであるが,受注者に行わせる場合は,次の手続きによるものとする。
1. 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
2. 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し,合意を図った後,発注者が具体的な指示を行うものとする。
3. 発注者は,書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
4. 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については,契約変更の対象とする。
5. 増加費用の算定は,設計業務等標準積算基準書による。
施工条件は,契約条件となるものであることから,設計図書の中で明示するものとする。また,明示された条件に変更が生じた場合は,契約図書の関連する条項に基づき,適切に対応するもの とする。
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1. 他の工事の開始又は完了の時期により,当該工事の施工時期,全体工事等に影響がある場合は,影響箇所及び他の工事の内容,開始又は完了の時期。 2. 施工時期,施工時間及び施工方法が制限される場合は,制限される施工内容,施工時期,施工時間及び施工方法。 3. 当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は,制約を受ける内容及びその協議内容,成立見込み時期。 4. 関係機関,自治体等との協議の結果,特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は,その項目及び影響範囲。 5. 余裕工期を設定して発注する工事については,工事の着手時期。 6. 工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は,その項目及び調査期間。又,地下埋設物等の移設が予定されている場合は,その移設期間。 7. 設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数。 |
用地関係 | 1. 工事用地等に未処理部分がある場合は,その場所,範囲及び処理の見込み時期。 2. 工事用地等の使用終了後における復旧内容。 3. 工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合,その場所,範囲,時期,期間,使用条件,復旧方法等。 4. 施工者に,消波ブロック,桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は,その場所,範囲,時期,期間,使用条件,復旧方法等。 |
公害関係 | 1. 工事に伴う公害防止(騒音,振動,粉塵,排出ガス等)のため,施工方法,建設機械・設備,作業時間等を指定する必要がある場合は,その内容。 2. 水替・流入防止施設が必要な場合は,その内容,期間。 3. 濁水,湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は,その内容(処理施設,処理条件等)。 4. 工事の施工に伴って発生する騒音,振動,地盤沈下,地下水の枯渇等,電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は,事前・事後調査の区分とその調査時期,未然に防止する ために必要な調査方法,範囲等。 |
安全対策関係 | 1. 交通安全施設等を指定する場合は,その内容,期間。 2. 鉄道,ガス,電気,電話,水道等の施設と近接する工事での施工方法,作業時間等に制限がある場合は,その内容。 3. 落石,雪崩,土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は,その内容。 4. 交通誘導員,警戒船及び発破作業等の保全設備,保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は,その内容。 5. 有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として,換気設備等が必要な場合は,その内容。 |
工事用道路関係 | 1. 一般道路を搬入路として使用する場合 (1) 工事用資機材等の搬入経路,使用期間,使用時間帯等に制限がある場合は,その経路,期間,時間帯等。 (2) 搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は,その処置内容。 2. 仮道路を設置する場合 (1) 仮道路に関する安全施設等が必要である場合は,その内容,期間。 (2) 仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 (3) 仮道路の維持補修が必要である場合は,その内容。 |
仮設備関係 | 1. 仮土留,仮橋,足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は,その内容,期間,条件等。 2. 仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は,その構造及びその施工方法。 3. 仮設備の設計条件を指定する場合は,その内容。 |
明示項目 | 明示事項 |
建設副産物関係 | 1. 建設発生土が発生する場合は,残土の受入場所及び仮置き場所までの距離,時間等の処分及び保管条件。 2. 建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は,その内容。 3. 建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は,その処理方法,処理場等の処理条件。な お,再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は,その受入場所,距離,時間等の処 分条件。 |
工事支障物件等 | 1. 地上,地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は,支障物件名,管理者,位置,移設時期,工事方法,防護等。 2. 地上,地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は,その工事内容及び期間等。 |
薬液注入関係 | 1. 薬液注入を行う場合は,設計条件,工法区分,材料種類,施工範囲,削孔数量,削孔延長及び注入量,注入圧等。 2. 周辺環境への調査が必要な場合は,その内容。 |
その他 | 1. 工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は,その保管及び仮置き場所,期間,保管方法等。 2. 工事現場発生品がある場合は,その品名,数量,現場内での再使用の有無,引き渡し場所等。 3. 支給材料及び貸与品がある場合は,その品名,数量,品質,規格又は性能,引渡場所,引渡期間等。 4. 関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 5. 架設工法を指定する場合は,その施工方法及び施工条件。 6. 工事用電力等を指定する場合は,その内容。 7. 新技術・新工法・特許工法を指定する場合は,その内容。 8. 部分使用を行う必要がある場合は,その箇所及び使用時期。 9. 給水の必要のある場合は,取水箇所・方法等。 |
【基本事項】
指定・任意については,契約約款第 1 条第 3 項に定められているとおり,適切に扱う必要がある。
1.任意については,その仮設,施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2.任意については,その仮設,施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
3.ただし,当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
指定・任意の使い分けにおいては次の事項に留意する。
1.仮設,施工方法等には,指定と任意があり,発注においては,指定と任意の部分を明確にする必要がある。
2.発注者(監督職員)は,任意の趣旨を踏まえ,適切な対応をするように注意が必要。
※任意における次のような対応は不適切
○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
標準歩掛かりではバックホウで施工となっているので,「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
新技術の活用について受注者から申し出があった場合に,「積算上の工法で施工」するよう対応。
ただし,任意であっても,当初積算時の条件と現地条件に変更がある場合は,設計変更を行う。
【自主施工の原則】
契約約款第 1 条第 3 項により,設計図書に指定されていなければ,工事実施の手段,仮設物等は受注者の裁量の範囲。
【建設工事請負契約約款第 1 条第 3 項】
仮設,施工方法その他の工事目的物を完成するために必要な一切の手段については,契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き,受注者がその責任において定める。
[指定と任意の考え方]
指定 | 任意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定 (契約条件として位置付け) | 施工方法について具体的に指定しない (契約条件ではないが,参考図として標準的工法等を示すことがある) |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意 (施工計画書等の修正,提出は必要) |
施工方法の変更がある 場合の設計変更 | 対象とする (ただし,受注者の責によらない場合) | 対象としない (ただし,受注者の責による場合) |
条件明示の変更に対応した設計変更 | 対象とする (ただし,受注者の責によらない場合) | 対象とする (ただし,受注者の責によらない場合) |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他,第三者に特に配慮する必要がある場合 ・他工事等に使用するため,工事完成後も存知される必要のある架設 |
第 15 条(支給材料及び貸与品)
(工期,請負代金額)
品名,数量,品質又は規格若しくは性能が設計図書の定めと異なり,又は使用に適当でないと認めた場合
第 17 条(設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等)
(工期,請負代金額)
発注者の責めに帰すべき場合
第 18 条(条件変更等)
(工期,請負代金額)
条件変更等により設計図書の訂正又は変更が行われた場合
第 19 条(設計図書の変更)
(工期,請負代金額)
発注者から設計図書を変更する場合
第 20 条(工事の中止)
(工期,請負代金額)
受注者の責めに帰すことができないものにより,受注者が工事を施工出来ないと認められる場合
第 21 条(受注者の請求による工期の延長)
(工期)
天候不良や,発注者が行う関連工事の調整等,受注者の責めによらない場合
(請負代金額)
その工期の延長が発注者の責めに帰すべき場合
第 22 条(発注者の請求による工期の短縮等)
(工期,請負代金額)
通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求する場合
第 25 条(賃金又は物価変動に基づく請負代金額の変更)
賃金水準又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めた場合
急激なインフレーション又はデフレーションその他の予期することのできない特別の事情の発生により,請負代金額が著しく不適当となった場合
第 30 条(請負代金額の変更に代える設計図書の変更)
特別の理由があるときは請負代金額の増加額又は費用の負担額の全部又は一部に代えて設計図書の変更をする場合
受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額について,発注者と受注者とが協議により定める請負代金額の変更は次のとおり。
第 8 条(特許xxの使用)
工事材料,施工方法等を指定した場合において,設計図書に特許xxの対象である旨の明示がなく,かつ,受注者がその存在を知らなかった場合
第 26 条(臨機の措置)
措置に要した費用のうち,請負代金額の範囲において負担することが適当でないと認められる場合
第 27 条(一般的損害)
工事目的物の引渡し前における損害が発注者の責めに帰する場合
第 29 条(不可抗力による損害)
工事目的物の引渡し前における天災等の不可抗力による損額がある場合
第 33 条(部分使用)
発注者が工事目的物を使用したことにより損害を及ぼした場合
第 40 条(前払金等の不払に対する工事中止)
発注者が前払金,部分払金又は部分引渡しに係る請負代金を支払わない場合に受注者が工事中止をした場合
9-1-1 [契約約款第 23 条]工期の変更
工期の変更については,発注者・受注者協議。
協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合は,発注者が定め受注者に通知。協議の開始日については,発注者が受注者の意見を聴いて定め,受注者に通知。
発注者が工期の変更事由が生じた日から 7 日以内に協議開始日を通知しない場合,受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができる。
9-1-2 [契約約款第 24 条]請負代金額の変更
請負代金額の変更については,発注者・受注者協議。
協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合は,発注者が定め受注者に通知。協議の開始日については,発注者が受注者の意見を聴いて定め,受注者に通知。
発注者が請負代金額の変更事由が生じた日から 7 日以内に協議開始日を通知しない場合,受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができる。
受注者が増加費用を必要した場合に発注者が負担する必要な費用の額については,発注者・受注者協議。
9-2 [契約約款第 25 条]賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更
請負代金額の変更については,発注者・受注者協議。
協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合は,発注者が定め受注者に通知。協議の開始日については,発注者が受注者の意見を聴いて定め,受注者に通知。
発注者が請求を行った日又は受けた日から 7 日以内に協議開始日を通知しない場合,受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができる。
9-3 [契約約款第 30 条]契約金額の変更に代える設計図書の変更
請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において,特別な理由があるときは,請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。
設計図書の変更内容は,発注者・受注者協議して定める。
協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合は,発注者が定め受注者に通知。協議の開始日については,発注者が受注者の意見を聴いて定め,受注者に通知。
発注者が請負代金額の増額すべき事由又は費用を負担すべき事由が生じた日から 7 日以内に協議開始日を通知しない場合,受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができる。