Contract
現 行 法 | 改 正 試 案 |
2 消費者は,消費者契約を締結するに際しては,事業者から提供された情報を活用し,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。 | ただし,当該消費者が理解することが困難であると認められる事情があり,かつ,当該事 業者が当該消費者契約締結時に当該事情を知り,又は知ることができる場合には,当該事業者は,当該消費者が理解することができる方法及び程度で,情報を提供し,説明しなければならない。 (削除) |
(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し) 第4条 消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤 認 二 物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し,将来におけるその価額,将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認 2 消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ,かつ,当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより,当該事実が存在しないとの誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。ただし,当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず,当該消費者がこれを拒んだときは,この限りでない。 | (誤認惹起行為)第4条 消費者は,事業者が消費者契約の締結に先立 ち又は締結の際に,当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容がxxであるとの誤認 二 物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し,不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認 2 消費者は,事業者が消費者契約の締結に先立ち,又は締結の際に,当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ,かつ,当該重要事項について当該消費者の不利益となる事項(当該告知により当該事項が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を告げなかったことにより,当該事項が存在しないとの誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。ただし,当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず,当該消費者がこれを拒んだときは,この限りでない。 |
【 現行の消費者契約法と消費者契約法日弁連改正試案(2014年版)の条文対照表 】
現行の消費者契約法 | 消費者契約法日弁連改正試案(2014年版) |
(目的)第1条 この法律は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,事業者の一定の行為により消費者が誤認し,又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに,事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか,消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 | (目的)第1条 この法律は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ,事業者の一定の行為により消費者が誤認し,又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができること,事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすること等のほか,消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 |
(定義)第2条 この法律において「消費者」とは,個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。 2 この法律( 第43条第2項第2号を除く。)において「事業者」とは,法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。 3 この法律において「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいう。 4(省略) | (定義)第2条 この法律において「消費者」とは,個人(事 業に直接関連する取引をするために契約の当事者となる場合における個人を除く。)をいう。 2 この法律(第43条第2項第2号を除く。)において「事業者」とは,法人その他の団体及び事業に直接関連する取引をするために契約の当事者となる場合における個人をいう。 3 この法律において「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいう。 4(省略) |
(事業者及び消費者の努力)第3条 事業者は,消費者契約の条項を定めるに当たっては,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに,消費者契約の締結について勧誘をするに際しては,消費者の理解を深めるために,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。 | (情報提供義務・説明義務)第3条 事業者は,消費者契約の締結に先立ち,又は 締結の際に,消費者に対し,当該契約に関する事項であって,次の各号に掲げるものについて,その情報を提供し,説明しなければならない。 一 当該消費者契約を締結するか否かに関し て消費者の判断に通常影響を及ぼすべきもの 二 当該消費者契約を締結するか否かに関し て当該消費者の判断に特に影響を及ぼすもの(当該消費者の当該判断に特に影響を及ぼすものであることを当該事業者が当該消費者契約時に知り,又は知ることができる場合に限る。) 2 前項の場合には,事業者は,消費者が通常理解することができる方法及び程度で,情報を提供し,説明をしなければならない。 |
1 2
現 行 法 | 改 正 試 案 |
4 第1項第1号及び第2項の「重要事項」とは,消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。 一 物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質,用途その他の内容 二 物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件 5 第1項から第3項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは,これをもって善意の第三者に対抗することができない。 | 3 第1項第1号及び前項の「重要事項」とは,消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。 4 第1項及び第2項の規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは,これをもって善意で,かつ,過失がない第三者に対抗することができない。 |
第4条 3 消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。 一 当該事業者に対し,当該消費者が,その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず,それらの場所から退去しないこと。 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず,その場所から当該消費者を退去させないこと。 5 第1項から第3項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは,これをもって善意の第三者に対抗することができない。 | (困惑惹起行為) 第5条 消費者は,事業者が消費者契約の締結に先立ち,又は締結の際に,当該消費者に対して次の 各号に掲げる行為をしたことにより困惑し,それによって当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。 一 当該事業者に対し,当該消費者が,その住居又は業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず,それらの場所から退去しないこと。 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず,その場所から当該消費者を退去させないこと。 三 当該事業者が,当該消費者に対して,威迫す る言動,不安にさせる言動,迷惑を覚えさせるような仕方その他心理的な負担を与える方法で勧誘すること。 2 前条第4項の規定は前項の場合に準用する。 |
(新設) | (つけ込み型不当勧誘) 第6条 |
消費者は,事業者が,当該消費者の困窮, 経験の不足,知識の不足,判断力の不足その他の当該消費者が消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない事情があることを不当に利用して,当該消費者に消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をさせたときは,これを取り消すことができる。 | |
2 第4条第4項の規定は前項の場合に準用 する。 |
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) | (不当勧誘行為と損害賠償義務) 第7条 事業者が,消費者契約の締結に先立ち,又は締 結の際に,次の各号に掲げる行為その他の消費者の権利又は利益を侵害する勧誘行為(以下「不当勧誘行為」という。)を行った場合,当該消費者は,当該事業者に対し,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし,当該事業者に故意又は過失がない場合は,この限りではない。 一 第3条第1項又は第3条第2項の規定に反 する行為を行うこと。 二 当該消費者契約の締結の勧誘の要請をして いない消費者に対し,訪問,電話,ファクシミリ装置を用いた送信又は電子メール等の送信により,当該消費者契約の締結について勧誘すること。 三 当該消費者契約を締結しない旨の意思を表 示した消費者に対し,当該消費者契約の締結について勧誘すること。 四 当該消費者の契約締結の目的,当該契約の 必要性,知識,経験,理解力,財産の状況等に照らして不適当な契約を勧誘する行為 五 第4条第1項,第4条第2項,第5条第1 項又は第6条第1項に該当する行為を行うこと。 |
(新設) | (消費者公序) 第8条 消費者契約が公の秩序又は善良の風俗に反 するか否かを判断するに当たっては,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差の存在,当該消費者契約の目的及び内容並びに締結に至る経緯その他一切の事情を考慮するものとする。 2 事業者に過大な利益を得させ,又は,消費者 |
に過大な不利益を与える法律行為が,当該事業者が当該消費者に対して不当勧誘行為を行っ たことによってなされたものであるときは,公の秩序又は善良の風俗に反し無効とする。 |
3 4
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(媒介の委託を受けた第三者及び代理人)第5条 1 前条の規定は,事業者が第三者に対し,当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし,当該委託を受けた第三者(その第三者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「受託者等」という。)が消費者に対して同条第1項から第3項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において,同条第2項ただし書中「当該事業者」とあるのは,「当該事業者又は次条第1項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。 2 消費者契約の締結に係る消費者の代理人 (復代理人(二以上の段階にわたり復代理人として選任された者を含む。)を含む。以下同じ。),事業者の代理人及び受託者等の代理人は,前条第1項から第3項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第7条において同じ。)の規定の適用については,それぞれ消費者,事業者及び受託者等とみなす。 (解釈規定)第6条 第4条第1項から第3項までの規定は,これらの項に規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治29年法律第89号)第96条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。 | (媒介の委託を受けた第三者及び代理人)第9条 第4条から第6条までの規定及び民法(明治29年法律第89号)第96条第1項の規 定のうち詐欺による意思表示の取消しの規定は,事業者が第三者に対し,当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし,当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(二以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して第4条から第6条までに規定する行為及び民法第96条第1項に規定する詐欺行為をした場合について準用する。 2 消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人(二以上の段階にわたり復代理人として選任された者を含む)を含む。以下同じ。),事業者の代理人及び受託者等の代理人は第4条 から第6条までの規定及び民法第96条第1項(前項において準用する場合を含む。次条及び第11条において同じ。)の適用については,それぞれ消費者,事業者及び受託者等とみなす。 3 第4条から第6条までの規定及び民法第 96条第1項の規定のうち詐欺による意思 表示の取消しの規定は,第三者が消費者に対して第4条から第6条までに規定する行為又は民法第96条第1項に規定する詐欺行為を行い,当該消費者が当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をした場合において,当該第三者が第4条から第6条までに規定する行為又は民法第96条第1項に規定する詐欺行為をしたことを当該事業者が知っていたとき又は知ることができたときについて準用する。 (解釈規定)第10条 第4条から第6条までの規定は,これらに規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法第96条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。 |
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(取消権の行使期間等)第7条 第4条第1項から第3項までの規定による取消権は,追認をすることができる時から6箇月間行わないときは,時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から 5年を経過したときも,同様とする。 2 会社法 (平成17年法律第86号)その他の法律により詐欺又は強迫を理由として取消しをすることができないものとされている株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出が消費者契約としてされた場合には,当該株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出に係る意思表示については,第4条第 1項から第3項まで(第5条第1項において準用する場合を含む。)の規定によりその取消しをすることができない。 | (取消権の行使期間等)第11条 この法律の規定による取消権は,取消しの原因となっていた状況(心理的な影響を含む。)が消滅した時から3年間これを行使しないときは,時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から10年を経過したときも,同様とする。 2 会社法(平成17年法律第86号)その他の法律により詐欺又は強迫を理由として取消しをすることができないものとされている株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出が消費者契約としてされた場合には,当該株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出に係る意思表示については,第4条第1項及び第2項,第5条第1項並びに第6条第1項(第9条各項において準用する場合を含む。)の規定によりその取消しをすることができない。 |
(新設) | (追認及び法定追認の排除) 第12条 民法第122条から第125条までの規定は, この法律の規定による意思表示の取消しについては適用しない。 |
(新設) | (消費者契約約款)第13条 この法律において,「消費者契約約款」とは, 名称や形態のいかんを問わず,事業者が多数の消費者契約に用いるためにあらかじめ定式化した契約条項の総体をいう。 2 消費者契約約款は,事業者が契約締結時まで に消費者にその消費者契約約款を提示して(以下「開示」という。),当事者の双方がその消費者契約約款を当該消費者契約に用いることに合意したときは,当該消費者契約の内容となる。 3 消費者契約の性質上,契約締結時までに消費者契約約款を開示することが著しく困難な場 合において,事業者が,消費者に対し契約締結時に消費者契約約款を用いる旨の表示をし,かつ,契約締結時までに,消費者契約約款を消費者が知ることができる状態に置いたときは,当該消費者契約約款は当該契約締結時に開示されたものとみなす。 |
5 6
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) (事業者及び消費者の努力) | 4 消費者契約の類型及び交渉の経緯等に照 らし,消費者にとって予測することができない消費者契約約款の条項は契約の内容とならない。 5 消費者契約約款が第2項又は第3項の規定 によって消費者契約の内容となっている場合において,次の各号に掲げる要件の全てを満たす場合には,事業者は,消費者の個別の同意を得ることなく,契約内容の変更をすることができる。 一 当該消費者契約約款の内容を画一的に変 更すべき合理的な必要性があること。 二 当該消費者契約約款を使用した消費者契約が現に多数あり,全ての消費者から契約x xの変更についての同意を得ることが著しく困難であること。 三 第一号の必要性に照らして,当該消費者契 約約款の変更の内容が合理的であり,かつ,変更の範囲及び程度が相当なものであること。 四 当該消費者契約約款の変更の内容が消費 者に不利益なものである場合にあっては,その不利益の程度に応じて適切な措置が講じられていること。 6 前項の消費者契約約款の変更は,事業者が, 消費者に対し,約款を変更する旨及び変更後の約款の内容を約款変更時までに提示することにより効力を生ずるものとする。ただし,契約の性質上,変更後の約款を提示することが困難な場合にあっては,事業者が,消費者において,変更後の約款を容易に知ることができる状態に置き,かつ,変更後の約款を知るための方法を消費者に通知することにより,効力を生ずるものとする。 |
第3条 事業者は,消費者契約の条項を定めるに当たっては,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに,消費者契約の締結について勧誘をするに際しては,消費者の理解を深めるために,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない | (契約条項の明確化・平易化)第14条 事業者は,消費者契約の条項を定めるにあたっては,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について消費者にとって明確かつ平易な表現を用いなければならない。 |
(契約条項の解釈準則) | |
(新設) | 第15条 消費者契約の条項が不明確であるため,その条項につき複数の解釈が可能である場合は, |
消費者にとって最も有利に解釈しなければな | |
らない。 |
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)第10条 民法 ,商法 (明治32年法律第48号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。 | (不当条項の効力に関する一般規定)第16条 消費者契約の条項であって,当該条項が存在 しない場合と比較して,消費者の利益を信義誠実の原則に反する程度に害するもの(以下「不当条項」という。)は無効とする。 2 消費者契約の条項が消費者の利益を信義 誠実の原則に反する程度に害しているかどうかの判断にあたっては,当該契約条項の目的及び内容,当該契約の性質及び契約全体の趣旨,同種の契約に関する任意規定が存在する場合にはその内容等を総合考慮して,消費者契約法の目的に照らし判断する。 |
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効) 第8条 次に掲げる消費者契約の条項は,無効とする。一 事業者の債務不履行により消費者に生じた 損害を賠償する責任の全部を免除する条項 二 事業者の債務不履行(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項 四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項 五 消費者契約が有償契約である場合において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には,当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に,当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項 2 前項第5号に掲げる条項については,次に掲げる場合に該当するときは,同項の規定は,適用しない。 一 当該消費者契約において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合 | (不当条項とみなす条項)第17条 次に掲げる消費者契約の条項は,不当条項とみ なす。 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項 二 事業者の債務不履行(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項 四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項 五 消費者契約が有償契約である場合において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には,当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。以下同じ。)に,当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項。ただし,次に掲げる場合を除く。 イ 当該消費者契約において,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合で,当該責任に基づく義務が履行さ れた場合 |
7 8
現 行 法 | 改 正 試 案 |
二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で,当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該他の事業者が,当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い,瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い,又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合 (消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効) 第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は,当該各号に定める部分について,無効とする。一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の 額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分 二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年 14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分 (新設) (新設) (新設) (新設) | ロ 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で,当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて,当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに,当該他の事業者が,当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い,瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い,又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合で,当該責任に基づく義 務が履行された場合 六 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項。ただし, これらを合算した額が,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えない部分を除く。 七 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に民法が定める法定利率の2倍の割合を乗じ て計算した額を超えるものについて,当該超える部分。 八 契約文言の解釈,事業者の消費者に対する権利の発生若しくは行使の要件に関する判断,又は事業者が消費者に対して負担する責任若しくは責任免除に関する判断について事業者のみが行うものとする条項 九 法令に基づく消費者の解除権を認めない条 項 十〇 事業者が消費者に対して役務の提供を約する契約において,当該消費者の事前の同意な く,事業者が第三者に当該契約上の地位を承継させることができるものとする条項 十一 事業者が契約上,消費者に対して有する債 権を第三者に譲渡する場合に,消費者があらかじめ異議を留めない承諾をするものとする条項 十二 事業者が任意に債務を履行しないこと を許容する条項 |
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) (新設) | 十三 民法その他の法令の規定により無効とされることがない限りという旨の文言を付記して,最大限に事業者の権利を拡張し又は事業者の義務を減免することを定める条項 第18条(不当条項と推定する条項) 次に掲げる消費者契約の条項は,不当条項と 推定する。 一 消費者の一定の作為又は不作為により,消費者の意思表示がなされたもの又はなされなかったものとみなす条項 二 一定の事実があるときは,事業者の意思表示 が消費者に到達したものとみなす条項 三 事業者に対し,契約上の給付内容又は契約条件を一方的に決定又は変更する権限を付与する条項 四 消費者が事業者からの一方的な追加担保の 要求に応じなければならないとする条項 五 事業者の保証人に対する担保保存義務を免 除する条項 六 消費者の利益のために定められた期限の利益を喪失させる事由(民法第137条各号に掲げる事由その他消費者に信用不安が生じたと客観的に認められるような事由を除く。)を定めた条項 七 事業者の消費者に対する消費者契約上の債務の履行責任その他法令上の責任を制限する条項(第17条第1号から第5号までの規定に該当する場合を除く。 八 事業者が契約の締結又は債務の履行のた |
めに使用する第三者の行為について事業者の責任を制限し又は免除する条項(第17条第1号から第5号までの規定に該当する場 合を除く。) 九 消費者の権利行使又は意思表示について,事 業者の同意,対価の支払,その他要式又は要件を付加する条項 十〇 消費者契約が終了した場合における事業 者の消費者に対する原状回復義務,清算義務を減免する条項 十一 消費者に債務不履行があった場合に,事業者に通常生ずべき損害の金額を超える損害賠償の予定又は違約金を定める条項 十二 民法第295条,第505条又は第533 条に基づく消費者の権利を制限する条項。ただし,民法その他の法令の規定により制限される場合を除く。 |
9 10
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) (新設) (新設) (新設) (新設) | 十三 法令に基づく消費者の解除権を制限する 条項 十四 期間の定めのない継続的な消費者契約に おいて,事業者に対し,解約申し入れにより直ちに消費者契約を終了させる権限を付与する条項 十五 事業者の証明責任を軽減し,又は消費者の 証明責任を加重する条項 十六 管轄裁判所を事業者の住所地又は営業所 所在地に限定する条項,法律上の管轄と異なる裁判所を専属管轄とする条項その他消費者の裁判を受ける権利を制限する条項 十七 他の法形式を利用して,この法律又は 公の秩序若しくは良俗に関する法令の規定の適用を回避する条項 |
(新設) | (不当条項の効果)第19条 不当条項に該当する消費者契約の条項は,当 該条項全体を無効とする。ただし,この法律その他の法令に特別の定めがある場合又は当該条項全体を無効とすることが消費者の利益に反することとなる場合は,この限りではない。 2 前項の場合においても,当該消費者契約 の他の条項は効力を妨げられない。ただし,当該条項が無効であった場合には当該消費者が当該消費者契約を締結しなかったものと認められる場合,当該消費者契約は無効とする。 |
(新設) | (不当条項使用行為と損害賠償義務) 第20条 事業者が,不当条項を含む消費者契約の申込み 又はその承諾の意思表示を行ったことによって消費者の権利又は利益を侵害した場合には,当該消費者は,当該事業者に対し,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし,当該事業者に故意又は過失がない場合は,この限りでない。 |
(新設) | (消費者契約の取消し及び無効の効果) 第21条 この法律の規定により消費者契約が取り消 され,又は無効となる場合は,消費者は,その契約によって現に利益を受けている限度において,返還の義務を負う。 2 前項の場合において,事業者が行った行為の 態様,消費者が受けた不利益の内容及び程度,当該消費者契約の性質及び内容等を総合考慮して信義誠実の原則に反すると認められるときには,当該事業者は,当該消費者に対し,利益の全部又は一部について返還を請求することができない。 |
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) | (複数契約の取消し,無効及び解除) 第22条 一の消費者が締結した複数の消費者契約に ついて,各契約の目的が相互に密接に関連しており,社会通念上いずれかの契約が存在するだけでは契約を締結した目的が全体として達成することができない場合であって,各契約の相手方である事業者がそれを知っているときは,消費者は一の消費者契約の取消原因又は無効原因に基づき,複数の消費者契約全部の取消し又は無効を主張することができる。 2 一の消費者が締結した複数の消費者契約に ついて,各契約の目的が相互に密接に関連しており,社会通念上いずれかの契約が履行されただけでは契約を締結した目的が全体として達成することができない場合であって,各契約の相手方である事業者がそれを知っているときは,消費者は一の消費者契約の解除原因に基づき,複数の消費者契約全部の解除を主張することができる。 |
(新設) | (継続的契約の中途解約権) 第23条 消費者は,次の各号に該当する消費者契約 を,事業者に対し相当な期間を定めて通知することによって,将来に向かって解約することができる。 一 事業者が消費者に対し,有償で2か月以上 の期間にわたり継続して役務を提供し,消費者がこれを受領する契約 二 事業者が消費者に対し,有償で2か月以上 の期間にわたり継続して役務を提供する権利を販売し,消費者が当該権利を購入する契約三 事業者が消費者に対し,有償で2か月以上の期間にわたり継続して物品等を販売し,消費者が当該物品等を購入する契約 四 事業者が消費者に対し,有償で2か月以上 の期間にわたり物品を賃貸し,消費者が当該物品を借り受ける契約 |
11 12
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) | 2 事業者は,前項の規定による中途解約がされ た場合,消費者に対し,その名目を問わず,解約手続に必要な事務手数料及び契約期間1か月分の対価(当該消費者契約の性格に照らして合理的に考えられる最小区分の契約期間が1か月未満の場合には,その最小区分の契約期間の対価とする。)を上回る金銭の支払を請求することはできない。 3 第1項に規定する中途解約権を認めない消 費者契約の条項は不当条項とみなす。 4 第1項に規定する中途解約権を制限する消費者契約の条項及び中途解約時に第2項に規定する金額を上回る金銭の支払を定める消費者契約の条項は,不当条項と推定する。 |
(新設) | (目的物交付前解除権) 第24条 消費貸借契約の貸主が事業者であり,借主が 消費者である場合には,借主は,消費貸借の目的物の交付を受けるまでは,契約の解除をすることができる。 2 貸主は,前項の規定による解除がなされた場 合,消費者である借主に対し,これに基づく損害賠償請求をすることができない。 3 前2項の規定に反する消費者契約の条項は 不当条項と推定する。 |
(新設) | (期限前弁済)第25条 貸主が事業者で借主が消費者である消費貸 借契約においては,当事者が返還の時期を定めた場合であっても,借主はいつでも返還をすることができる。 2 前項の規定により,借主から返還時期の前に 返還がなされた場合であっても,貸主は借主に対し,これに基づく損害賠償請求をすることができない。 3 前2項の規定に反する消費者契約の条項は 不当条項と推定する。 |
現 行 法 | 改 正 試 案 |
(新設) | (抗弁権の接続) 第26条 消費者が事業者との間で有償の契約を締結 するに伴い,当該消費者がその対価の全部又は一部の支払いに充てるため,当該事業者とは異なる事業者(以下「貸主」という。)との間で金銭消費貸借契約を締結する場合であって,当該有償契約と当該金銭消費貸借契約の目的及び締結の過程に牽連性が認められるときは,当該消費者は,当該有償契約において事業者に対して生じている事由をもって貸主に対する債務の弁済を拒むことができる。 2 前項の規定に反する消費者契約の条項は無 効とする。 3 前2項の規定は,金銭消費貸借契約と実質的 に同一の機能を有する与信契約に準用する。 |
(新設) | (賃貸借契約における原状回復義務を加重する条項の無効) 第27条 賃借人が消費者で賃貸人が事業者である賃 貸借契約において,賃貸借契約の終了に伴う目的物の返還に際して,自然損耗又は通常損耗によって目的物に生じた変化について消費者に補修義務を負わせる契約条項は,無効とする。 |
(他の法律の適用)第11条 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力については,この法律の規定によるほか,民法及び商法 の規定による。 2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは,その定めるところによる。 | (他の法律の適用)第28条 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力については,この法律の規定によるほか,民法及び商法の規定による。 2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の法律に別段の定めがあるときは,その定めるところによる。 |
(新設) | (事業者間契約への準用) 第29条 事業者間の契約であっても,事業の規模,事 業の内容と契約の目的との関連性,契約締結の経緯その他の事情から判断して,一方の事業者の情報の質及び量並びに交渉力が実質的に消費者と同程度である場合には,当該契約においては当該事業者を第2条第1項の消費者とみなし,この法律の規定を準用する。 |
13 14