株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおりグリーンローン評価結果を公表します。
2023.3.10
㈱xxx工所と 「グリーンローン」の契約を締結
静岡銀行(xx xx x)では、SDGs への取り組みの一環として、㈱xxx工所(代表取締役社長 xxx)と、静岡銀行初となる低炭素・循環型社会の実現を目的とした、「グリーンローン(※)」の契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
※資金使途がグリーンプロジェクト(地球温暖化対策や自然資本の劣化の防止等に資するプロジェクト)に限定されるローン。グリーンローンとしての適合性について、外部レビューの取得が推奨されている。
1.契約日 3 月 10 日(金)
2.融資金額 2 億円
3.㈱xxx工所の取り組み(詳細は㈱日本格付研究所の「評価書」をご参照ください)
〇同社は、1910 年(明治 43 年)の創業以来、舶用エンジンならびに舶用関連製品の製造を中心に事業を展開するとともに、経営理念に「顧客第一主義」を掲げ、高度な品質管理とスピーディなサービスの提供を実践されています。
〇今回、静岡銀行では、同社のxx工場で鋳造工程におけるキュポラ(※)から高周波誘導路に更新を行うための資金として、グリーンローンを実行しました。
※コークスの燃焼熱を利用して鉄を溶かすための装置でシャフト型の溶解炉
〇静岡銀行では、本ローンの組成を通じて、SDGs の目標達成に資する同社の事業活動を支援するとともに、今後も持続可能な社会づくりに向けて ESG 金融の推進に取り組む方針です。
<本グリーンローンの対象となるプロジェクトの概要>
総合評価 | Green1 |
x x | 鋳造工程におけるキュポラから高周波誘導炉への更新 |
目的・効果 | キュポラを高周波誘導炉に転換することで、従来は 1,713tCO2/年だった CO2 排出量が 967tCO2/年となり、年間 746tCO2/年(約 43.5% /年)の CO2 削減効果が見込まれている |
関連するSDGs |
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22 - D- XXX X
2023 年 3 月 10 日
JCR グリーンローン評価 by Japan Credit Rating Agency, Ltd.
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおりグリーンローン評価結果を公表します。
株式会社xxx工所
長期借入金 Green 1 を付与
借 | 入 | 人 | : | 株式会社xxx工所 | ||
評 | 価 | 対 | 象 | : | 株式会社xxx工所 長期借入金 | |
分 | 類 | : | 長期借入金 | |||
貸 | 付 | 人 | : | 株式会社静岡銀行 | ||
借 | 入 | 額 | : | 2 億円 | ||
貸 | x | x | 行 | 日 | : | 2023 年 3 月(予定) |
最 終 返 済 期 限 : 2029 年 12 月(予定)
資 金 使 途 : 鋳造工程におけるキュポラから高周波誘導炉への更新
<グリーンローン評価結果>
g1
グリーン性評価(資金使途)
Green 1
総合評価
管理・運営・透明性評価 m1
第 1 章:評価の概要
株式会社xxx工所は、創業者xxxxが静岡県焼津市で船舶用焼玉機関の修理を始めたことを起源としており、1910 年に創業された。現在は船舶用大型ディーゼルエンジンおよび周辺機器を主力とし、他に鋳造品・機械加工品・開発品等を製造している会社であり、2022 年 3 月期の売上高は 6,399 百万円である。
xxx工所は全 2 工場を有しており、いずれも静岡県焼津市内に位置する。
xxx工所は、経営理念として「顧客第一主義」を掲げ、「高度な品質管理とスピーディーなサービスをモットーに顧客第一主義を貫き、信頼される製品づくりにより社会貢献を果たします」と宣言している。また、社是「誠意・親切・感謝・xx・努力」、創業者遺訓「決して、船主や乗組員に迷惑をかけるような機械を造ってはならない」、経営ビジョン「人と地球環境に優しいエンジンシステムの提供」「事業の多柱化による成長分野での躍進」「社員の笑顔を育む次の 100 年」およびキーワード「挑む」「変える」「育てる」を
常に念頭に置き、業務を遂行している。xxx工所は、経営ビジョンのもと「SDGs アクション」を策定している。
今般の評価対象は、xxx工所がxx工場の鋳造工程で使用する高周波誘導炉(電気炉)を資金使途とする長期借入金(本借入金)である。本資金使途による環境改善効果として、CO2 排出量 746tCO2/年(削減率 43.5%/年)の削減が見込まれており、グリーンローン原則等で定められているグリーンプロジェクト分類における「エネルギー効率」に該当すると JCR は評価している。本資金使途である高周波誘導炉は、これまで使用してきたキュポラに代替して導入するものであること、および工場内の設備更新作業であることから外部に騒音・大気汚染等をもたらす大規模工事ではないことから、環境に対する負の影響について顕著なものはないと JCR は評価している。また、高周波誘導炉による周辺住民への影響も低いと想定されることを JCR はxxx工所へのヒアリングにより確認した。以上から、JCR は本評価対象の資金使途となるプロジェクトが環境改善効果を有すると評価している。
JCR は、本借入金の資金使途となるグリーンプロジェクトの管理・運営体制が確立されており、選定基準・プロセスおよび資金管理が妥当に管理されおり透明性が高いことを確認した。併せて、レポーティングについても適切に実施・計画されていることを確認した。また、xxx工所の経営陣が環境問題を重要度の高い優先課題として位置付けていることについても確認した。
この結果、JCR は本借入金について、JCR グリーンファイナンス評価手法に基づき、「グリーン性評価(資金使途)」の評価を“g1”、「管理・運営・透明性評価」の評価を“m1”とし、「JCR グリーンローン評価」を “Green 1”とした。本借入金は、「グリーンローン原則1」および「グリーンローンガイドライン2」において求められる項目について、基準を満たしていると考えられる。
1 LMA (Loan Market Association)、APLMA (Asia Pacific Loan Market Association)、Loan Syndications and Trading Association (LSTA) Green Loan Principles 2021
2 環境省 グリーンローンおよびサステナビリティ・xxx・xxxガイドライン 2022 年版
xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxxx/xxxxx/xx/000000.xxx (pp.48-89)
第 2 章:各評価項目おける対象事業の現状と JCR の評価
評価フェーズ1 : グリーン性評価
JCR は評価対象ついて、以下詳述する現状およびそれ 対する JCR の評価を踏まえ、本借入金の資金使途の 100%がグリーンプロジェクトであると評価し、評価フェーズ1:グリーン性評価は、最上位である 『g1』 とした。
(1) 評価の視点
本項では最初に、調達資金が明確な環境改善効果をもたらすグリーンプロジェクトに充当されているかを確認する。次に、資金使途において環境へのネガティブな影響が想定される場合に、その影響について社内の専門部署又は外部の第三者機関によって十分に検討され、必要な回避策・緩和策が取られているかについて確認する。最後に、持続可能な開発目標(SDGs)との整合性を確認する。
(2) 評価対象の現状とJCR の評価
a. プロジェクトの環境改善効果について
i. 資金使途の全額が「鋳造工程におけるキュポラから高周波誘導炉への更新費用」に充当され、省エネルギー・CO2 削減という観点から環境改善効果が高いプロジェクトである。本資金使途は、「グリーンローン原則」における「エネルギー効❹」、「グリーンローンガイドライン」に例示されている資金使途のうち「省エネルギーに関する事業」に該当する。
本借入金は、xxx工所が保有するxx工場の鋳造工程におけるキュポラから高周波誘導炉への更新費用に充当される。同更新費用の総額は 4.7 億円であり、環境省SHIFT 事業による補助金 1.0 億円、本借入金 2 億円、および自己資金等で 1.7 億円が充当される予定である。
キュポラとは、コークスの燃焼熱を利用して鉄を溶かすための装置でシャフト型の溶解炉である。
【図表 1:キュポラ】
キュポラの特性
1. 大量の鋳物の溶湯を連続溶解できる。
2. コークスで溶解するので、溶解コストが電炉に比べて低い。
3. 亜鉛など不純物を精錬する作用があるので、電炉で使用できない材料を使用することができる。
4. 熱交換器や集塵機など設備が大型で投資費用が大きい。
5. 粉塵や CO2 ガスの発生量が比較的多い。
(出典:公益財団法人 日本鋳造工学会)
高周波誘導炉は鋳造工程のうち溶解プロセスに関するものであり、鋳造工程のエネルギー使用量の過半を占めるものである。高周波誘導炉は電炉の一種であり、図表 2 に示した特性を持っている。キュポラではコークスを熱源とするのでコークス燃焼で生成した CO2 ガスが溶湯に SiO2 の形で酸素をもたらすが、電気炉ではそれが無いため、CO2 排出量を大幅に削減することができる。xxx工所
の試算では、キュポラを高周波誘導炉に転換することで、従来は 1,713tCO2/年だった CO2 排出量が導入後は 967tCO2/年となり、年間 746tCO2/年(約 43.5%/年)の CO2 削減効果が見込まれている。加えて、炎を出さないため、粉塵等の大気汚染物質が一切排出されない点もメリットとして挙げられる。
【図表 2:高周波誘導炉】
高周波誘導炉の特性
1.瞬間過熱を行うことで、酸化被膜の発生を防ぎ、金型損耗を防げる。
2. 局部加熱が可能なため、効率性が良い。
3. クリーン加熱が可能(炎、スス、排ガスが出ない)
4. 加熱温度範囲を自由に設定可能。
5. コイル自体は発熱しないため安全性が高い。
6. 一定の加熱温度に保つことが難しいガス炉に比して急速・安定加熱が可能であり、機械の予熱も不要である。
(出所:公益社団法人 日本電気技術者協会)
xxx工所の本プロジェクトは令和 4 年度の環境省SHIFT 事業に認定されている。xxx工所は、同認定に際し「脱炭素化計画」として「工場・事業場全体の CO2 排出量について 2022 年度比で 2030年度 50%削減」の目標を提出しており、同目標の達成に際し本プロジェクトは主要施策の一つと位置付けられている。
以上より、JCR は本借入金の資金使途の対象となるプロジェクトについて高い環境改善効果を有するものと評価している。
b. 環境に対する負の影響について
xxx工所では、以下のリスクを想定し、リスク緩和策を講じていることを JCR は確認した。
想定されるリスク | リスク緩和対応 | |
古い設備投資を廃棄する際に環境に与える負の影響 | 環境に配慮した廃棄の実施施工業者の安全確保 | |
電炉設置工事に際して想定される負の影響 | 労働者の安全管理 | |
電炉で使用する電力量の増加 | グリーン電力への切り替え | 等 |
現行のキュポラは、CO2 以外に低周波騒音、残渣、臭気等が発生していたが、高周波誘導炉を導入することで、これらの環境負荷の軽減が見込める。xxx工所が古い設備を廃棄する場合は、周辺環境に配慮したうえで、産業廃棄物処理業者に依頼し廃棄している。また、近隣住民(自治会)とは、定期的に工場の環境負荷を含めた報告会を開催している。
xxx工所は、本プロジェクトはxx工場内の鋳造工程の更新であることから、大きな負の影響が発生するとは想定していないが、EMS 等を通じて各種環境法令も遵守し、かつ周辺の地域住民とコミュニケーションすることで、負の影響の最小化に努めている。
c. SDGs との整合性について
JCR は、国際資本市場協会(ICMA)の SDGs マッピングを参考にしつつ、本借入金が以下の SDGs
の目標およびターゲットに貢献すると評価した。
目標 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに ターゲット 7.3. 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
目標 9:産業と技術革新の基礎をつくろう
ターゲット 9.4. 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術および環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
目標 12:つくる責任、つかう責任
ターゲット 12.4. 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
評価フェーズ2 : 管理・運営・透明性評価
JCR は評価対象ついて、以下詳述する現状およびそれ 対するJCR の評価を踏まえ、管理・運営体制がしっかり整備され、透明性も非常 高く、計画どおりの事業の実施、調達資金の充当が十分 期待できると評価し、評価フェーズ2:管理・運営・透明性評価は、最上位である 『m1』とした。
1. 資金使途の選定基準とそのプロセス係る妥当性および透明性
(1) 評価の視点
本項では、グリーンローンを通じて実現しようとする目標、グリーンプロジェクトの選定基準およびそのプロセスの妥当性、ならびに一連のプロセスが適切に投資家等に開示されているか否かについて確認する。
(2) 評価対象の現状とJCR の評価
a. 目標
xxx工所は、経営ビジョン「人と地球環境に優しいエンジンシステムの提供」のもと「SDGs アクション」を全社方針として定めている。また、xxx工所は、中期経営計画の重点施策の一つに製造工場改革を掲げ、なかでも脱炭素化に向けた製造体制構築を掲げている。気候変動・脱炭素に向けた数値目標として、工場・事業場全体の CO2 排出量について 2022 年度比で 2030 年度 50%削減を掲げている。
【図表 3 xxx工所 中期経営計画】
(出所:2021 年度xxx工所中期経営計画(2021 年 4 月 1 日~2026 年 3 月 31 日))
本借入金の資金使途の対象となる高周波誘導炉の導入は、上述した中期経営計画の重点施策の一つとして掲げられた製造工場改革のうち「脱炭素化に向けた製造体制構築」の主要な施策と位置付けられている。
以上より、xxx工所が本借入金の資金使途の対象とするプロジェクトは、上述のxxx工所の全社方針および中期経営計画重点施策と整合的であり、2030 年度CO2 排出量削減目標に資する取り組みであるとJCR は評価している。
b. 選定基準
xxx工所は、適格クライテリアとして、カーボンニュートラル推進に資する設備への投資として「高周波誘導炉(電気炉)切り替えに係る設備投資」と定めている。JCR では、本選定基準について、評価フェーズ 1 で詳述の通り環境改善効果の高いプロジェクトを対象とした基準であると評価している。
c. プロセス
xxx工所では、グリーンローンによる調達を行うことについて、環境推進体制担当部署によって環境改善効果が確認された後、総務部の担当者によって起案され、代表取締役社長によって承認される。同社の環境推進担当部署のなかに、エネルギー管理担当(エネルギー管理士)といった専門性が高いメンバーが存在する。
以上より、xxx工所では、資金使途に対するグリーン性の評価について、専門的知見を有する部署および経営陣が適切にプロジェクトの選定および決裁に関与しており、プロセスが明確であると JCR は評価している。
また、xxx工所の本借入金に関する選定基準およびプロセスは、貸付人に直接説明されるとともに、本レポートの公表を通じて一般に公開されることから、貸付人に対する透明性が確保されていると JCRは評価している。
2. 資金管理の妥当性および透明性
(1) 評価の視点
調達資金の管理方法は、借入人によって多種多様であることが通常想定されるが、本借入金により調達された資金が、確実にグリーンプロジェクトに充当されること、また、その充当状況が容易に追跡管理できるような仕組みと内部体制が整備されているか否かを確認する。また、本借入金により調達した資金が、早期にグリーンプロジェクトに充当される予定となっているか否か、加えて未充当資金の管理・運用方法の評価についても重視している。
(2) 評価対象の現状とJCR の評価
本借入金は、評価フェーズ 1 で記載したxx工場の鋳造工程におけるキュポラから高周波誘導炉への更新のための資金に即時充当予定であり、それ以外の目的に充当される予定はない。借入金額は、総額 2億円を予定している。
調達資金は、調達後速やかに充当され、未充当資金については発生しない予定である。万一未充当資金が発生した場合は現金同等物で管理される予定である。その状況は年次で充当した資金の額とともに貸付人に開示される。
調達資金の追跡管理について、xxx工所は営業日毎に経理日報を作成し、残高を確認する。同経理日報は、経理課長経由で総務本部長まで確認される。当該資金管理は定期的に内部監査・外部監査の対象となっている。本借入金に係る文書、資料、証憑書類については、本借入金の返済期限より長く保存される社内規定となっていることを JCR は確認した。
以上より、JCR では本借入金にかかる資金管理について適切であると評価している。
3. レポーティング
(1) 評価の視点
本項では、グリーンローン実行前後での貸付人等への開示体制が、詳細かつ実効性のある形で計画されているか否かを評価する。
(2) 評価対象の現状とJCR の評価
a. 資金の充当状況に係るレポーティング
資金の充当状況について、借入後に速やかに資金が新規投資として充当される予定のため、未充当資金は発生しない予定である。調達資金の全額が充当された後に大きな資金状況の変更が生じた場合、変更の内容について貸付人に対し速やかに通知すると共に、xxx工所のウェブサイト上で適時開示される予定である。
b. 環境改善効果に係るレポーティング
xxx工所は、CO2 排出削減量・削減率について、本借入金の返済が完了するまでの間、貸付人に対し年次で開示するとともに、ウェブサイトおよび有価証券報告書(2024 年 6 月発行)での開示も予定している。
以上より、xxx工所のレポーティング体制は適切である、とJCR は評価している。
4. 組織の環境への取り組み
(1) 評価の視点
本項では、経営陣が環境問題について、経営の優先度の高い重要課題と位置づけているか、環境分野を専門的に扱う部署の設置または外部機関との連携によって、グリーンローン実行方針・プロセス、グリーンプロジェクトの選定基準などが明確に位置づけられているか、等を評価する。
(2) 評価対象の現状とJCR の評価
xxx工所は、経営理念として「顧客第一主義」を掲げ、「高度な品質管理とスピーディーなサービスをモットーに顧客第一主義を貫き、信頼される製品づくりにより社会貢献を果たします」と宣言している。また、社是「誠意・親切・感謝・xx・努力」、創業者遺訓「決して、船主や乗組員に迷惑をかけるような機械を造ってはならない」、経営ビジョン「人と地球環境に優しいエンジンシステムの提供」「事業の多柱化による成長分野での躍進」「社員の笑顔を育む次の 100 年」およびキーワード「挑む」「変える」「育てる」を常に念頭に置き、業務を遂行している。
【図表 4 xxx工所 経営理念】
(出所:2021 年度xxx工所中期経営計画(2021 年 4 月 1 日~2026 年 3 月 31 日))
xxx工所は、経営ビジョン「人と地球環境に優しいエンジンシステムの提供」のもと、SDGs アクションを策定している。
【図表 5 xxx工所 SDGs アクション】
(出所:xxx工所ホームページ)
xxx工所は、同社の製造工程の CO2 削減だけでなく、提供する製品使用時の CO2 削減や NOx、 Sox、PM(煤塵)削減など、顧客の環境配慮に資する製品づくりのための技術開発を行っている。特に、主要顧客の海運業界においては、IMO(国際海事機関)から 2050 年までに 2008 年比 50%の GHG排出量削減、「国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップ」3では 2050 年にカーボンニュートラルに挑戦、といった目標が掲げられている。これらの目標に貢献するため、同社は、中小規模の船舶が LNG 燃料を使用し得るエンジン開発に取り組んでいる。また、航行の効率性と安全性を高めるための自動運航(AE-Dr.)の開発を行うなど、中長期的な顧客のニーズに応えるための技術開発も続けている。
3 国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップ
https:// xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/XXX_xxxxxxx.xxxx
【図表 6. 赤阪鐵工所の「国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップ」への取組み】
1. 短期目標 2030 年に 2008 年度比平均効率 40%改善に向けた取組み
①LNG ガスエンジンの開発
2023 年度に商用化を目指している。本エンジンの導入により約 20%の GHG 削減を行い、同時にハイブリッド化することで効率改善 40%以上を目指す。
②バイオディーゼル燃料対応
2022 年に、同社のディーゼルエンジンを使用して試験運転を実施しており、陸上運転では 100%バイオ、海上運転では A 重油 25%混合で運転可能であることを確認済である。バイオディーゼル燃料は種類が多様であるため、燃料毎の試験を継続中。
2. 2050 年 GHG 削減 50%以上に向けた取組み
①LNG 燃料へ水素混焼
企業・大学の協力のもと研究中。LNG ガスエンジン開発完了後、本格的に開始予定。
②アンモニア燃料エンジン開発
同社のディーゼル用試験エンジンを改造して、A重油燃料に 50%のアンモニア燃料を混焼させることで、GHG削減 50%を目指す。2026 年度より試験開始予定。
(出所:赤阪鐵工所 提出資料)
CO2 排出以外の環境貢献としては、環境性能に優れたエンジンを製造することに加え、NOx を無害な窒素と水に還元する SCR や、エンジンから排出される PM を捕集する DPF(排ガス脱塵装置)など、環境負荷を低減させることや、安全運航に寄与する周辺装置の開発にも取り組んでいる。
赤阪鐵工所は、中期経営計画の検討に際し、経営層での議論に加え、将来を担う若手社員も交えた
「10 年委員会」を組織して議論している、同委員会の内容は、年 1 回経営層に報告される。また、赤阪鐵工所は、代表取締役社長を責任者とするEMS(環境マネジメントシステム)を構築しており、環境方針、環境法令遵守状況および環境の個々の取組み状況について、社内・社外の両面で定期的にモニタリングしている。
赤阪鐵工所は、本借入金の資金使途の対象である豊田工場においても EMS を構築しており、環境に及ぼし得る負の影響について内部モニタリングを毎年実施するとともに、外部監査を毎年受けることで、一般社団法人エコステージ協会の「エコステージ認証」を取得している。併せて、工場周辺の地域住民とも定期的なコミュニケーションを実施している。
以上より、JCR はこれらの組織の環境への取り組みについて、経営陣が環境問題を重要度の高い優先課題として位置付けていると評価している。今後、サステナビリティや環境に関するガバナンス体制の強化、環境に関する方針・数値目標の明確化、外部専門家の関与等が実施されることを期待する。
■評価結果
本借入金について、JCR グリーンファイナンス評価手法に基づき、「グリーン性評価(資金使途)」の評価を“g1”、「管理・運営・透明性評価」の評価を“m1”とし、「JCR グリーンローン評価」を“Green 1”とした。本借入金は、「グリーンローン原則」および「グリーンローンガイドライン」において求められる項目について、基準を満たしていると考えられる。
【JCR グリーンローン評価マトリックス】
管理・運営・透明性評価 | ||||||
m1 | m2 | m3 | m4 | m5 | ||
グリーン性評 価 | g1 | Green 1 | Green 2 | Green 3 | Green 4 | Green 5 |
g2 | Green 2 | Green 2 | Green 3 | Green 4 | Green 5 | |
g3 | Green 3 | Green 3 | Green 4 | Green 5 | 評価対象外 | |
g4 | Green 4 | Green 4 | Green 5 | 評価対象外 | 評価対象外 | |
g5 | Green 5 | Green 5 | 評価対象外 | 評価対象外 | 評価対象外 |
(担当)梶原 敦子・佐藤 大介
本件グリーンローン評価に関する重要な説明
1. JCR グリーンファイナンス評価の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が付与し提供する JCR グリーンファイナンス評価は、評価対象であるグリーンファイナンスの実施により調達される資金が JCR の定義するグリーンプロジェクトに充当される程度ならびに当該グリーンファイナンスの資金使途等にかかる管理、運営および透明性確保の取り組みの程度に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該グリーンファイナンスで調達される資金の充当ならびに資金使途等にかかる管理、運営および透明性確保の取り組みの程度を完全に表示しているものではありません。
JCR グリーンファイナンス評価は、グリーンファイナンスの実施計画時点または実施時点における資金の充当等の計画又は状況を評価するものであり、将来における資金の充当等の状況を保証するものではありません。また、JCR グリーンファイナンス評価は、グリーンファイナンスが環境に及ぼす効果を証明するものではなく、環境に及ぼす効果について責任を負うものではありません。グリーンファイナンスの実施により調達される資金が環境に及ぼす効果について、JCR は発行体または発行体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本評価を実施するうえで使用した手法
本評価を実施するうえで使用した手法は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「サステナブルファイナンス・ESG」に、「JCR グリーンファイナンス評価手法」として掲載しています。
3. 信用格付業にかかる行為との関係
JCR グリーンファイナンス評価を付与し提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR グリーンファイナンス評価上の第三者性
本評価対象者とJCR の間に、利益相反を生じさせる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、借入人および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。JCR グリーンファイナンス評価は、評価の対象であるグリーンファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、JCR グリーンファイナンス評価は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の借入金、コマーシャル・ペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。JCR グリーンファイナンス評価は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。JCR グリーンファイナンス評価のデータを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR グリーンファイナンス評価のデータを含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
JCR グリーンファイナンス評価:グリーンファイナンスの実施により調達される資金が JCR の定義するグリーンプロジェクトに充当される程度ならびに当該グリーンファイナンスの資金使途等にかかる管理、運営および透明性確保の取り組みの程度を評価したものです。評価は 5 段階で、上位のものから順に、Green1、Green2、Green3、Green4、Green5 の評価記号を用いて表示されます。
■グリーンファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・ 環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録)
・ UNEP FI ポジティブインパクト金融原則 作業部会メンバー
・ Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■その他、信用格付業者としての登録状況等
・ 信用格付業者 金融庁長官(格付)第 1 号
・ EU Certified Credit Rating Agency
・ NRSRO:JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の
4 クラスに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則
17g-7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026