Contract
平成29年12月21日津市条例第22号
(目的)
第1条 この条例は、公契約における事業者間の競争の激化、落札価格の下落 等による労働者の賃金その他の労働環境の悪化が懸念されることに鑑み、公 契約に係る基本方針並びに本市及び受注者等の責務を定め、並びにこれらに 基づく施策を実施することにより、労働者の労働環境の確保、優良な事業者 の育成及び地域経済の健全な発展を図り、もって労働者が労働意欲にあふれ、かつ、住民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを 目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑴ 公契約 本市が発注する工事、製造その他の請負及び業務委託の契約をいう。
⑵ 労働者 公契約に係る業務等に従事する労働基準法(昭和22年法律第
49号)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
⑶ 受注者等 受注者及び受注関係者をいう。
⑷ 受注者 本市と公契約を締結する者をいう。
⑸ 受注関係者 次に掲げる者をいう。
ア 下請契約、再委託契約等(以下「下請契約等」という。)により、公契約に係る業務等の一部に携わる事業者
イ 公契約に係る業務等に労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第1号に規定する労働者派遣を行う者
(基本方針)
第3条 公契約に係る基本方針は、次のとおりとする。
⑴ 労働者の適正な労働環境を確保すること。
⑵ 品質及び適正な履行を確保すること。
⑶ 入札及び契約のxx性、透明性及び競争性を確保すること。
⑷ 不正行為を防止すること。
⑸ 地域経済及び地域社会の健全な発展を図ること。
(本市の責務)
第4条 本市は、前条に定める基本方針に基づき、この条例の目的を達成するために必要な施策を講じなければならない。
2 本市は、労働報酬下限額(受注者等が労働者に支払う報酬の下限とすべき額をいう。附則第2項において同じ。)を定めることについて検討しなければならない。この場合において、市長は、第15条第1項に規定する津市公契約審議会(以下「審議会」という。)その他市長が必要と認める者の意見を聴かなければならない。
3 本市は、受注者等が労働者の適正な労働環境を確保し、及び公契約を適正に履行するために必要な措置を講じなければならない。
4 本市は、公契約に関し説明責任を果たすとともに、不正行為を未然に防止し、並びに適正な契約行為及び履行が行われていることを明らかにするために、公契約に関する情報の公表に努めなければならない。
5 本市は、公契約の性質及び目的を踏まえた適正な契約方法を選択しなければならない。
6 本市は、公契約の適正な履行及び良好な品質を確保するため、取引の実例価格、需給の状況等を考慮し、予定価格、納期その他の契約条件が適切なものとなるよう努めなければならない。
7 本市は、予算の適正かつ合理的な執行に留意するとともに、地域経済の健 全な発展のため、公契約に係る業務等の重要性、緊急性及び効率性を考慮し、公契約の適正な発注に努めなければならない。
(受注者等の責務)
第5条 受注者等は、関係法令及びこの条例の規定を遵守しなければならない。
2 受注者等は、労働者の適正な労働環境の確保に努めなければならない。
3 受注者等は、労働者と対等な労使関係を構築するとともに、下請契約等を締結しようとするときは、下請契約等の相手方と対等な立場における合意に基づいた適正な契約を行わなければならない。
4 受注者等は、下請契約等の相手方を選定するとき、又は資材等を調達するときは、地域経済の発展に配慮し、本市の区域内に主たる事務所を有する事業者又は本市の区域内で生産された資材等を活用するよう努めなければならない。
5 受注者等は、公契約に携わる者として、社会的な責任を自覚し、公契約を適正に履行しなければならない。
6 受注者等は、第7条第1項の規定に基づき市長又は上下水道事業管理者
(以下「市長等」という。)が行う報告の求め及び立入検査その他本市が実施する公契約に関する施策に協力しなければならない。
(誓約)
第6条 受注者等は、自らが締結し、又は携わる公契約が規則で定める契約
(以下「特定公契約」という。)に該当するときは、市長等に対し、労働者
の適正な労働環境の確保に関し規則で定める事項(以下「誓約事項」という。)について誓約しなければならない。
(報告及び立入検査)
第7条 市長等は、この条例の規定又は誓約事項の遵守状況を確認するために必要があると認めるときは、受注者等に必要な報告を求め、又はその職員に当該受注者等の事務所、事業所等に立ち入り、関係書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(是正措置)
第8条 市長等は、受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反していると認めるときは、当該違反を速やかに是正するために必要な措置を講ずることを命じなければならない。
2 受注者等は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられたときは、速やかに是正の措置を講じ、市長等に当該措置の内容を報告しなければならない。
(労働者の申出等)
第9条 特定公契約に係る労働者は、受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反している疑いがあると思料するときは、市長等にその旨を申し出ることができる。
2 市長等は、前項の規定による申出(以下「違反申出」という。)の内容が、規則で定める関係法令に関する違反情報であるときは、必要に応じて関係機 関へ通報するものとする。
(相談窓口の設置)
第10条 市長等は、違反申出に応じるため、相談窓口を設置するものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第11条 受注者等は、労働者が違反申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
(労働者への周知)
第12条 受注者等は、特定公契約に係る労働者に対し、次に掲げる事項を業務等が実施される現場の見やすい場所に掲示し、又は書面を交付する方法により周知しなければならない。
⑴ 当該特定公契約の名称
⑵ 受注者等の責務及び誓約事項
⑶ 違反申出に係る制度の概要及び第10条に規定する相談窓口の連絡先
(公契約の解除等)
第13条 市長等は、受注者等が次の各号のいずれかに該当するときは、当該公契約の解除、受注者等の指名停止等必要な措置を採ることができる。
⑴ 第7条第1項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して応答せず、若しくは虚偽の回答をしたとき。
⑵ 第8条第1項の規定による命令に従わないとき。
⑶ 第8条第2項の規定による報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。
⑷ 前3号に掲げるもののほか、この条例の規定に違反したとき。
⑸ 誓約事項に違反したとき。
2 前項の規定により公契約を解除した場合において、受注者等に損害が生じても、本市はその損害を賠償する責任を負わない。
(損害賠償)
第14条 受注者等は、前条第1項の規定による公契約の解除によって本市に損害が生じたときは、その損害を賠償しなければならない。ただし、市長等がやむを得ない事由があると認めるときは、この限りでない。
(審議会の設置等)
第15条 公契約の適切な運用を図るため、地方自治法(昭和22年法律第6
7号)第138条の4第3項の規定に基づき、審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
⑴ この条例の施行状況に関する事項
⑵ この条例の目的を達成するための施策に関する事項
⑶ その他市長が必要と認める事項
3 審議会は、前項の規定による調査審議を行うほか、同項に規定する事項について、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第16条 審議会は、委員6人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
⑴ 事業者団体関係者
⑵ 労働者団体関係者
⑶ 識見を有する者
(委員の任期)
第17条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(会長及び副会長)
第18条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議等)
第19条 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 審議会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
5 審議会の庶務は、総務部において処理する。
6 第15条から前項までに定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。附 則
1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。
2 労働報酬下限額については、第4条第2項の規定による検討を行い、その結果に基づいて、この条例の施行後5年以内に、必要な措置を講ずるものと
する。