Contract
資料1-2
民法(債権関係)第96回会議(平成26年8月26日)において使用した部会資料83-1からの抜粋
定型約款の定義について、次のような規律を設けるものとする。
定型約款とは、相手方が不特定多数であって給付の内容が均一である取引そ の他の取引の内容の全部又は一部が画一的であることが当事者双方にとって合 理的な取引(以下「定型取引」という。)において、契約の内容を補充すること を目的として当該定型取引の当事者の一方により準備された条項の総体をいう。
定型約款によって契約の内容が補充されるための要件等について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 定型取引の当事者は、定型約款によって契約の内容を補充することを合意した場合のほか、定型約款を準備した者(以下この第28において「定型約款準備者」という。)があらかじめ当該定型約款によって契約の内容が補充される旨を相手方に表示した場合において、定型取引合意(定型取引を行うことの合意をいう。以下同じ。)をしたときは、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
(注)旅客鉄道事業に係る旅客運送の取引その他の一定の取引については、定型約款準備者が当該定型約款によって契約の内容が補充されることをあらかじめ公表していたときも、当事者がその定型約款の個別の条項について合意をしたものとみなす旨の規律を民法とは別途に設けるものとする。【P】
(2) (1)の条項には、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、当該定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして民法第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、含まないものとする。
定型約款の内容の開示義務について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法で当該定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
(2) 定型約款準備者が、定型取引合意の前において、(1)の請求を拒んだときは、
2の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
定型約款の変更について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 定型約款準備者は、次のいずれかに該当するときは、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意をしたものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。ただし、定型約款にこの4の規定による定型約款の変更をすることができる旨が定められているときに限る。
ア 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
イ 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款に変更に関する定めがある場合にはその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
(2) 定型約款準備者は、(1)の規定による定型約款の変更をするときは、その効力の発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びに当該発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
(3) 定型約款準備者は、(1)イの規定による定型約款の変更をするときは、(2)の時期が到来するまでに(2)による周知をしなければ、定型約款の変更は、その効力を生じない。