現在、電子カルテシステムを中心とした第二次医療情報システムが構築されて5年を経過し部門システム(産科、手術、ICU、生体情報管理システム)との連携が進展してい る中で、電子カルテシステムの重要性が更に増大しており、保守・運用の最適化及び障害発生リスクの低減などが重要な課題となっています。また、高額なコストが発生してお り財政運営が厳しい状況のなか、より効率的・効果的な予算執行が求められており、トータルコストの適正化が必要となっています。
2019年1月
地方独立行政法人 宮城県立こども病院
目次
第1章 調達概要
1.目的
2.本業務の基本方針
3.契約方法等
4.履行場所
5.参加資格
6.委託範囲の概要
7.システム対象業務の概要
第2章 プロジェクト管理・作業体制・導入作業
1.プロジェクト管理
2.作業体制
3.導入作業・作業支援
4.納入成果物
第3章 第三次医療情報システム構築要件
1.設計・構築
2.テスト要件
第4章 教育計画/総合リハーサル
1.操作教育
2.総合リハーサル
第5章 データ移行要件
1.データ移行要件
2.データ移行の実施
第6章 システム移行・稼働対応
1.システム移行
2.業務移行
3.システム稼働対応
4.システム監視
第7章 保守業務要件
1.共通要件
2.通常時保守業務
3.バージョンアップ対応
4.障害時保守業務
第8章 機能要件
1.前提条件
2.システム基本要件
第9章 ハード要件
1.基本要件
2.サーバ要件
3.クライアント要件
4.セキュリティ要件
5.端末管理
第 10 章 可用性・信頼性
第 11 章 情報セキュリティ要件
1.基本要件
2.利用者認証
3.ログ管理
4.ウイルス対策
別紙一覧
別紙1 機能要件一覧
別紙2 新医療情報システム概要図別紙3 システム接続一覧
別紙4 接続医療機器一覧別紙5 移行データ一覧 別紙6 端末一覧
第1章
本業務の概要
1.目的
宮城県立こども病院(以下「当院」という。)は,東北唯一の小児周産期・高度専門医療施設として2003年に開院し、2016年には小児リハビリテーション施設の中核であるxx医療療育センター機能を引き継ぎ,在宅医療までを一貫して担う施設として展開しています。また、医療情報システム等の整備について、費用対効果,県民の医療・療育需要,医療技術の進展等を総合的に勘案し,財源を含め投資計画を策定し、計画的な更新・整備を行うとともに、その効果的な活用を図ることとしています。
現在、電子カルテシステムを中心とした第二次医療情報システムが構築されて5年を経過し部門システム(産科、手術、ICU、生体情報管理システム)との連携が進展している中で、電子カルテシステムの重要性が更に増大しており、保守・運用の最適化及び障害発生リスクの低減などが重要な課題となっています。また、高額なコストが発生しており財政運営が厳しい状況のなか、より効率的・効果的な予算執行が求められており、トータルコストの適正化が必要となっています。
今回構築する第三次医療情報システム(以下「次期システム」という。)では、これら課題を解決するとともに、構築から運用まで一貫性がある効率的なシステムを実現するものとします。また、次期システムの移行にあたっては、業務システムへの影響を可能なかぎり低減し、迅速に実施するものとします。
2.本業務の基本方針ア.現場課題の改善
現行システムの課題および要望について、2018年度に実施した現場ヒアリングでは35回を超えるものとなり、システム操作・画面表示の課題、小児医療現場での機能不足、システム間連携の不足など様々な課題が挙げられた。第三次医療情報システムでは、現場課題のボトムアップによる機能改善・業務効率化を図る。
イ.情報共有の推進
第三次医療情報システムの構築にあたって、医療現場での使い勝手を優先したうえ、最新デバイスの利用、クラウド・仮想化技術の採用といった最新技術を用いて、情報共有や利活用を推進する。また、将来的に医療スタッフがスマートフォンやタブレット端末等を活用して、効率良く作業できる環境を整備する。
ウ.医療安全への対応
医療安全面の確保として、患者基本情報の視認性向上、引継ぎ事項等の情報集約による見落とし防止、部門システムとの密なアレルギー情報共有、医師指示の確実な伝達、認証業務の範囲拡大などを検討する。
エ.小児医療電子カルテへの対応
当院のような小児専門病院において、汎用的な電子カルテでは対応が難しい部分において、医療安全や業務改善に大きく関連する部分に関しては、メーカに対してはパッケージ機能への組み込みを 要望していくものである。なお、今回の調達範囲は、機能一覧に記載の範囲である。
オ.災害対策の強化
災害時においても診療機能を維持するため、外部のデータセンター等を活用して災害・障害に強い
「医療情報システム」を構築する。具体的には、災害等の万一の事態も想定し、企業が有するデータセンター等へのバックアップを含めて検討する。
カ.電子カルテ情報のデータ移行
本調達でのデータ移行は、電子カルテ情報の移行となる。
・電子保存の三原則(真正性、見読性、保存性)およびカルテ開示への対応
・稼働前後の診療継続を担保するための対応の側面からデータ移行を検討し、稼働後の運用継続を実現する。
キ.各ベンダーによる運用業務の推進
運用時にて、日々発生するトラブル・軽微な改修要望・不具合対応・QA 対応について、構築メーカの強力なサポートのうえ、作業推進する環境を実現する。
・保守業務における十分なメーカサポート(利用者満足度の向上)
・メーカサポートのもと、部門システムを含めた運用体制の確立
<当院が本調達で期待している重要事項について>
下記の項番1~8は現状の課題を踏まえたうえで、次期医療情報システム更新時に期待する項目である。下記内容について文書にて説明・提案すること。
1 プロジェクト管理(業務の推進体制)
(1)プロジェクト体制
(2)プ口ジェクトマネージャーの実績(経歴および実績医療機関名など)
(3)プロジェクト管理手法(管理手法、管理組織など)
2 データ移行の手法等
(1)データ移行方法の概要
※手順、期間、受託者の移行作業体制
(2)データ移行による当院業務等へ与える影響
※業務への影響、既存システム接続変更時の影響、当院が行う作業量、移行データ検証方法など
(3)移行実施時の障害発生への対応
※テスト体制、確認及び切り戻し、検証体制など
(4)同等規模以上の移行実績
(5)データ移行抽出費用の削減への提案
※当院が提供するデータを用いたデータ移行の調査・提案例:当院データベース(三次サーバ)からのデータ移行
例:各システムのデータ出力機能で提供するデータの活用
3 設計・構築手法
(1)設計・構築手法
※導入スケジュール、構築手法、各工程の成果物、教育訓練の体制やマニュアル作成支援など
※現場に即したワンポイントマニュアルの作成支援
(2)部門システム連携の構築手法
※既存接続範囲の実現、テスト・検証方法
4 医療情報システムの機能
(1)医療情報システム機能による業務改善の取り組み・提案
※小児専門病院、小児医療として必要となる機能への対応方針
(機能改善への取り組み)
※医療安全(認証強化等)や業務効率化への取り組み
※データセンターへの基幹システム(電子カルテ、医事)データのバックアップ
※効率的なサーバ機器構成(サーバ仮想化など)
※監視システム機能(監視対象機器の強化、障害判別・対応の迅速化等)
5 医療情報システムの品質
(1)パッケージの品質管理手法
(2)構築作業時のテスト・検証方法
※テスト項目による検証およびエラー抽出など
(3)セキュリティ・障害等対策の強化
※OA系と医療情報系の分離
※将来的な二要素認証への対応
※端末からの情報持ち出し制限と監視方法、個人情報の保護対策
※サーバ等機器の監視体制・監視ツールの導入(CPU、メモリ、トラフィック他・自動通報(予兆含む)含めた運用保守サポート環境)
6 メーカ保守体制
(1)ハード保守・要望保守(予備機による対応範囲と24時間365日保守範囲など)
(2)メーカ保守体制
※障害時の駆け付け体制
※運用過程で発生する課題管理、修正管理、作業依頼への対応
(3)本調達で行うレベルアップ、診療報酬改定等への対応
※診療報酬改定、DPC 影響率調査、レベルアップ、病名マスタ更新等の標準マスタ適用などは本業務の保守対応範囲として迅速な対応
※システム設計構造の根幹に影響を及ぼす大規模な改修は別途協議
(4)長期継続して運用する場合(システム更新時)の必要経費の考え方
7 上記以外の提案
(1)事業者の自由提案
※次期医療情報システムを活用し、院内の業務改善への提案をすること。
3.契約方法等 ア.契約方法等
・本調達の構築費用(2019年度予算)は一括請負契約とする。
・稼働後以降の各年度の保守契約は、当院と協議のうえ別途契約とする。また、保守開始予定月に関しては当院へ説明し、了承を得ること。
イ.構築業務の委託期間
契約締結の日から 2020年3月31日 までとする。
2020年1月1日より運用開始できる状態であること。
但し、電子カルテの運用開始日については、当院と協議のうえ決定すること。
4.履行場所
当院の指定した場所とする。
5.参加資格
ISO27001(ISMS)の認証、又はプライバシーマーク制度の認定を受けていること。
6.委託範囲の概要
本調達にあたって、下図の構築体制を予定している。
当院と連携して、ネットワーク調達側と十分に連携をとること。
区分 | 作業項目 |
プロジェクト管理 | 本調達に関わる電子カルテ設計・構築、部門システム設計・構築、既存部門システムとの接続、クライアント端末・プリンタ導入、テスト及び移行等のプロジェクト全体管理を行うこと。なお、プロジェクト管理の業務範囲に、各工程実施方針の作成、成果物等の検証、別調達であるネットワーク構築受託事業者との作 業調整を含む。 |
設計及び構築 | 現場要件を確認し、再度要件を定義すること。また、運用基本 設計、詳細設計において、業務改善を図るため要件の再確認の支援を行うこと。 |
クライアント端末及びプリンタ導入 | クライアント端末及びプリンタに係る導入計画を、当院と調整のうえ作成し、導入後に接続を確認する。なお、既存端末の撤去については、当院の指示に従い、指定の場所まで集積を行うこ と。 |
データ移行 | 現行システムのデータ分析、データ移行設計を行い、必要な場合はデータ変換ツール(例:新旧コード変換)を作成し変換作業 を実施すること。 |
運用・保守 | 新医療情報システムの運用・問い合わせ対応、監視及び保守と して、診療報酬改定・DPC 影響率調査対応・年 1 回以上のレベルアップ標準マスタ最新化(病名マスタなど)を含む。 |
7.システム対象業務の概要
本仕様書に示すシステム対象業務の概要は、下記のとおりである。各システムのソフトウェア及びハードウェア、運用及び保守を含むものとする。
ア.第三次医療情報システム一式
No | システム名 | 区分 | 機能概要 |
A B | 電子カルテシステムオーダリング含む | 更新 | カルテ記載、オーダ機能、結果・サポート参照文書作成、カルテ印刷、チーム医療、パスプロファイル機能、メッセージ機能外来業務、病棟業務、承認機能、統合ビューア障害時カ ルテ参照機能など |
C | 看護支援システム | 更新 | アナムネ、看護計画、看護指示、経過表、看護記録、看護実施、指示受け、ワークシート業務分担、管理日誌、看護必要 度など |
D | 看護勤務管理システム | 更新 | 勤務表編集、希望入力、勤務表チェック代休管理、集計機能 など |
E | 医事会計システム | 更新 | 会計業務、統計業務、債権管理 レセプトチェック、未収金管理など |
F | 検体部門システム | 更新 | 検査結果入力、データチェック、分析装置接続 外注検査、検査報告、統計業務など |
G | 病理検査システム | 更新 | 病理検査一覧、受付機能、実施機能、ラベル印刷 レポート報告機能など |
H | 手術部門システム | 更新 | 麻酔・手術申込、手術申込一覧、予約調整 手術実施、術前・術後回診、スタッフ割振など |
I | 栄養管理システム | 更新 | 献立管理、食数管理、発注・納品業務、在庫管理 日次・週次業務、統計業務など |
J | リハビリ部門システム | 更新 | リハビリ処方管理、受付機能、評価・報告医機能 スケジュール管理、統計機能など |
K | 歯科カルテシステム | 更新 | 歯科処置、歯科再診、歯周チャート 衛生実施指導、文書連携など |
L | 眼科カルテシステム | 更新 | 眼科検査管理、再診予約、進捗管理機能 結果取り込み機能など |
M | 紹介状作成管理システ ム | 更新 | 紹介管理、返書管理、ラベル出力 予約表印刷、統計機能など |
N | 診断書作成システム | 更新 | 診断書作成機能、診断書管理機能、 一覧機能、検索機能など |
O | 自科検査画像管理システム | 更新 | 検査結果取り込み(画像、血液分析など)データ編集機能、データ出力機能など ※接続機器は「別紙4 接続医療機器一覧」を参照 |
P | 病歴管理システム | 更新 | データ取込(入退院、病名、手術、投薬、病理等) 病歴管理機能、統計機能など |
Q | 物品管理システム | 更新 | 物品請求機能、在庫管理、消費情報管理 請求承認機能、発注管理、納品管理など |
R | インシデント管理シス テム | 更新 | 報告書作成機能、報告書管理機能、集計業務 分析・対策機能など |
S | データウェアハウス | 更新 | カルテ検索、医事データ検索、統計機能など |
T | スキャンシステム | 新規 | スキャン機能、同意書管理など |
U | 外来予約参照システム | 新規 | 院外診察予約参照、診察予約事前通知機能など |
V | 感染症管理システム | 更新 | 検出菌一覧、ラウンド管理、アウトブレイク監視検出菌マップ、サーベイランス支援など |
W | データセンターバックアップ | 新規 | 外部へのバックアップ |
X | ワークフローシステム (事務系) | 新規 | 申請機能、承認機能、フォーム作成など |
Y | SS-MIX2 ストレージ (MMWIN 連携) | 更新 | みんなのみやぎネット(MMWIN)への接続 標準化ストレージ、拡張ストレージのアップロード |
SS-MIX2 ストレージ (小児医療情報) | 更新 | 小児医療連携への接続 標準化ストレージ、拡張ストレージのアップロード | |
ファイル共有サーバ | 更新 | 医療情報システムネットワークのファイルサーバ | |
新ファイルメーカサーバ | 更新 | 最新ファイルメーカ環境の構築 | |
ウイルスサーバ | 更新 | 医療情報端末・サーバのウイルスサーバ |
イ.接続するシステム
No | システム名 | メーカ名 |
1 | 輸血部門システム | メーカ選定中(同時稼働予定) |
2 | 薬剤部門システム | メーカ選定中(同時稼働予定) |
医薬品情報検索システム | メーカ選定中(同時稼働予定) | |
服薬指導支援システム | メーカ選定中(同時稼働予定) | |
注射配置薬管理システム | メーカ選定中(同時稼働予定) | |
麻薬管理・製剤管理システム | メーカ選定中(同時稼働予定) | |
3 | DPC コーディング | ニッセイ情報テクノロジー |
4 | DPC 分析 | ニッセイ情報テクノロジー |
5 | 会計表示板(1 台) ※本館用 | アルメックス |
6 | 窓口精算機 POS(1 台) ※本館用 | アルメックス |
7 | 自動精算機(1 台) ※本館用 | アルメックス |
8 | 自動精算機(1 台) ※xx館 | アルメックス |
9 | カルテ棚管理システム | 日本ファイリング |
10 | 細菌検査システム | ベックマンコールター |
11 | 採血管準備装置(ブランチラボ:BML) | テクノメディカ |
12 | 放射線部門システム(RIS)・レポートシステム ※ハード 更新 | メディア株式会社 |
13 | 放射線画像管理システム(PACS) | H30 年度更新予定 |
14 | 周産期部門システム | FINDEX |
15 | xx期部門システム | フィリップス |
16 | 重症部門システム(ICU) | フィリップス |
17 | 生体モニタ接続 ※電子化カルテへの接続 (本館 3 階病棟、産科病棟、xx 2 階病棟、x x 3 階病棟、救急) | 日本光電 |
18 | 術野カメラシステム | カリーナシステム |
19 | 病院経営情報システム | BSN アイネット |
20 | 財務・資産管理システム | 富士通マーケティング |
21 | 実績管理システム | インテック |
22 | 人事給与システム | サイエンティア |
23 | 整形計測システム | インフォコム |
第2章
プロジェクト管理・作業体制・導入作業
1.プロジェクト管理ア.プロジェクト管理
・管理業務の遂行にあたり、プロジェクト管理体系を考慮したプロジェクト管理を行うこと。
・業務スケジュールや進捗状況等を確認するための会議を、当院の指示のもと定期的に開催し、プロジェクト全体を統括する責任者(以下、プロジェクトマネージャという)は必ず参加する こと。また、受託者は会議終了後、一週間以内に当該会議内容を書面で当院へ報告し、その了承を得ること。
イ.品質管理
・品質管理担当者による品質レビューを定期的に実施すること。ウ.進捗管理
・作業計画に基づき、各タスクの状況把握及びスケジュール管理を行うこと。
・各タスクの進捗状況に関するプロジェクト会議を開催し、当院に作業状況を報告すること。
・プロジェクト会議では、対象とする作業期間に予定していた全タスクについて作業進捗を報告すること。
・計画から遅れが生じた場合は原因を調査し、要員の追加及び担当者の変更等の体制の見直しを含む改善策を提出し、当院の承認を得たうえでこれを実施すること。
エ.会議体の管理
・作業工程ごとに会議体の計画(設計ワーキング、進捗会議など)、を策定し当院の承認を受けること。なお、会議体の目的、開催頻度及び対象者等を明確にすること。
・策定した会議体の計画に基づき、設計工程における各種作業に関する打合せ、成果物等のレビュー、進捗確認及び課題共有等を行うために、当院職員が出席するプロジェクト会議を開催すること。
・各会議が開催される都度、受注者が議事録を作成し、原則 5 営業日以内に提出のうえで当院の承認を受けること。なお、議事録にはワーキングで意思決定を行った当院担当者を明記し、システム稼動後に仕様の検討経緯や決定者の遡及確認が行えるように留意すること。
オ.課題管理
・プロジェクト遂行上様々な局面で発生する各種課題について、課題の認識、対応案の検討、解決及び報告のプロセスを明確にすること。
・課題管理にあたり以下の内容をxx管理することとし、その他必要と考えられる項目についても管理する仕組みとすること。
◦ 課題内容 ◦ 影響 ◦ 優先度 ◦ 発生日 ◦ 担当者 ◦ 対応状況 ◦ 対応策 ◦ 対応結果
◦ 解決日
・積極的に課題の早期発見に努め、迅速にその解決に取り組むこと。
・本業務の推進に影響を与えるような重大な課題が発生した場合は、速やかに当院に報告し、対応策について協議すること。
カ.リスク管理
・技術的観点、進捗的観点、人員的観点や、本システムと類似する案件で発生した問題等から、プロジェクトの遂行に影響を与えるリスクを識別し、その発生要因、発生確率及び影響度等を整理すること。また、発生確率及び影響度に基づき、リスクの優先度を決定し、それに応じた対策を行うこと。
・上記で整理したリスク及び各内容について定期的に監視・評価し、その結果を反映・報告すること。
・リスクを顕在化させないための対応策(対応手順、体制等)を策定すること。
2.作業体制
・受注者との契約後、1 か月以内には導入を開始できる体制とすること。構築時のシステムベンダーの人員体制は、当院の稼動を十分にサポートできるようにすること。
仮に当院がサポートが不十分と判断した場合は、相談により人員体制を強化すること。
・契約後 2 週間以内に、詳細なスケジュールとシステム概要の説明を行うこと。別日程で、院内向けに再度全体のスケジュールの説明を受注者が行うこと。
・本委託を遂行できるプロジェクトチームを編成し、効率的に業務を進めること。
・プロジェクトチームは、医療情報システムの開発・導入経験のある SE で構成し、新医療情報システムが確実に稼働できるための必要な人員を配置すること。
・プロジェクトマネージャは小児医療の専門病院または大規模病院等の実績のある者を選任すること。
・プロジェクトチームのメンバーは、本システムが安定稼働するまでの全工程において、極力入れ替えがないよう配慮すること。やむなき理由により、入れ替えが発生する場合は、当院へ事前報告を行い、十分な引継を行うこと。また、安定稼働後も、当院からの要請に応じて協力援助が可能なこと。
・当院から受託者に対して行う指示や協議は、すべてプロジェクトマネージャを通じて行う。
・プロジェクトマネージャ又はグループリーダは、勤務時間内において、当院からの連絡を受けられる環境であるとともに、連絡を受けて速やかにプロジェクトチームの各メンバーに指示できる状態にあること。
・プロジェクトチームのメンバーは、当院施設内の出入りに際し、身分証の提示、又は名札を常時着用すること。
・受託者の責任において、当院内の行動に関する倫理・道徳・社会常識的指導をプロジェクトチームのメンバー全員に行うこと。
・不適切なソフトウェアによる情報の破壊等を発生させないために、ソフトウェア、機器、媒体の管理を適切に行うこと。
・プロジェクトチームのメンバーは、公共交通機関を使用して来院することを基本とし、荷物があるなど車で来院する場合には駐車場所について、事前に当院と調整すること。
3.導入作業・作業支援ア.作業支援
・本システムが稼働するまで、基幹システムについてはデモ環境を施したシステムを当院が指定する場所(院内)に常設し、打ち合わせ等で当該画面を見ながら会議ができる環境を整えること。
・本委託に係る各種会議への出席や資料の作成、議事録作成等、当院から要請があった場合は適宜対応すること。
・当院職員のほか、関係する他の業者とも連携・協力し、業務の円滑な遂行に努めること。
・マスタ登録について、当院が行うマスタの登録作業を支援すること。イ.進捗管理
・進捗管理を行うにあたって、プロジェクト工程ごとの作業項目、期間、担当者、作業時間等を明確にした WBS(Work Breakdown Structure)を作成し、それをベースに進捗管理を行うこ と。
・WBS とは別に各種マスタ作成の進捗管理を行うために、当院が行う作業も含めマスタ項目ごとの作成状況を管理すること。進捗状況をすくなくとも 2 週間に 1 回当院へ報告すること。また、業務を進めるうえでの課題等がある場合に関しては適宜報告を行い、課題解決を行うこ と。
・本委託に含まれるシステムと接続などが発生する他社システムの進捗・課題管理についても、当院の医療情報システムにおける中心的なベンダーとしてとりまとめを行い、主体的な支援を行うこと。
・別途調達のネットワークに関しても、ネットワーク業者と密な連絡・協力体制をとり、当院の医療情報システムにおける中心的なベンダーとしてとりまとめを行い、主体的な支援を行うこと。
・当院にて承認すべき事項は、プロジェクト開始時に当院と合意したルールに従い、受託者にてxxをもった検討スケジュールの提案を行うこと。なお、承認ルールの詳細は、契約締結後に当院より説明を行う。
ウ.機器設置作業
・機器の搬送、搬入、設置、及び組み立てについては、当院の希望する日時に合わせること。
・サーバ機器等の設置の際に、2 次側のブレーカ以降の電源配線、サーバスイッチ以降のネットワーク配線部材の費用は、本調達に含めること。また、当院が用意すべき分電盤(1 次側)の必要工事内容を示すこと。
・端末機器等とネットワークとの間は、情報コンセントから、UTP ケーブルを用いて接続すること。ネットワーク配線部材の費用は、本調達に含めること。
但し、既存 UTP ケーブルが利用できる場合には、その利用も可とする。
・機器は当院の指示する場所に受託者が設置し、動作確認作業も受託者にて行うこと。なお、設置の下見を行う場合は当院職員同行のうえ、確認すること。
・各機器の設置後、受託者は各種ケーブル類の整理を行うこと。
・機器の配置管理をするため、各機器に対して当院の指定する備品シールを作成し、貼り付けること。また、機器配置に関する台帳作成・配置図の管理も行うこと。
・受託者が設置する機器には、地震などによる転倒防止対策を施すこと。エ.各検討会議の運営・推進支援業務
会議体(案) | 開催期間 | 頻度 |
医療情報システム管理委員会 (システム構築・運用管理・調整事項等を審議) | プロジェクト開始~ システム稼働後 1 か月 | 月1回(予定) |
プロジェクト進捗会議 (システム管理室との進捗会議) | プロジェクト開始~ システム稼働後 1 か月 | 月2回 (隔週) |
運用検討 WG (部門単位の検討会議) | プロジェクト開始~ 設計フェーズ | 別途日程調整 |
プロジェクト運営上、次に示す会議体を開催すること。また、必要な資料及び議事録を作成すること。なお、以下の会議体は想定であり、受託者決定後、協議のうえ決定する。
※状況に応じて、会議体および頻度を調整するオ.機器撤去作業
本システムの稼働に伴い、不要となる現在院内に設置している以下の機器の撤去を行うこと。なお、廃棄は当院で行うものとする。
・クライアント端末(デスクトップ型 PC、ノート型 PC、PDA、プリンタ、付属品等)
4.納入成果物
納入成果物は、当院と受託者双方で協議・合意のうえ、決定することとする。
導入フェーズ | 名称 | 最終版提出期限 |
プロジェクト開始 | プロジェクト構築体制図 | 契約後 2 週間以内 |
導入スケジュール | ||
プロジェクト管理 | 進捗管理報告書 | 随時 |
課題管理表 | 随時 | |
設計フェーズ | 運用フロー図 | 設計フェーズの完了時 |
システム全体概念図 | ||
インターフェイス一覧 | ||
インターフェイス仕様書 | ||
カスタマイズ仕様書(※実施した 場合のみ) | ||
端末管理台帳、サーバ室ラック 配置図 | ||
構築フェーズ | マスタ項目一覧 | 構築フェーズの 完了時 |
データ移行計画書 | ||
テスト | 接続テスト報告書 | テストフェーズの完了時 |
操作研修計画書 | ||
操作研修・総合リハーサル | 操作研修用教材(職種別) | 操作研修・総合リハーサル実施後 |
操作研修出席者名簿 | ||
総合リハーサルシナリオ | ||
システム移行・稼働準備 | 本稼動立ち会い計画書 | 稼働前 |
稼働判定会議用資料 | ||
システム移行計画書 | ||
データ移行実施報告書 | ||
ユーザ操作マニュアル | ||
保守への引継ぎ | 障害時対応マニュアル | システム稼働後 |
システム管理者マニュアル | ||
マスタメンテナンス手順書 | ||
その他 | 機能要件一覧 (稼働確認を追記したもの) | 稼働後 1 ヶ月以内 |
議事録 | 開催後 5 営業日以内 |
第3章
第三次医療情報システム構築要件
受託者は別紙:機能要件一覧(必須項目および加点項目で受託者が可としたもの)に定める機能を実現すること。実現にあたって、設計・構築段階で受注者に十分に説明し了承を得ること。
1.設計・構築
ア.運用及び詳細設計業務
調達範囲に含まれるハードウェア、ソフトウェアの導入に伴い必要となる運用及び詳細設計は、受託者がリーダーシップをとり当院と協議しながら進めること。
・運用の検討にあたっては、当院職員参加型のワーキンググループ形式の検討会を企画/運営すること。
・検討会の内容を基にシステム運用フローを作成すること。
・導入するシステムのデモシステムを院内に常設し、打ち合わせ等では、画面を見ながら、効率的にフィット&ギャップ分析ができる環境を整えること。
イ.設計業務
・電子カルテシステムと各部門システムとの連携については最低限「別紙3.システム接続一覧」にある接続を想定しているが、各システムの機能要求仕様書の内容等も踏まえ適切な連携仕様を提案し、各システム間の接続仕様書を作成すること。
ウ.構築作業
本仕様書に記載された内容に基づき、システムの構築作業、各部門システムとの接続作業を実施すること。
・操作研修がシステム開発に影響をおよぼさないよう、研修環境を構築すること。
・運用設計の内容をパッケージシステムに設定すること。
・パッケージの標準雛形のほか、他医療施設の事例を適宜提案すること。なお、余裕を持ったスケジュールで作成できるよう十分な支援を行うこと。
・パッケージ標準帳票についてその内容を提示すること。必要に応じて、現病院の帳票を整理する支援を行うこと。そのうえで同等のものを医療情報システムで利用できるか協議すること。
・本番系システム停止中であっても直前までの診療情報が参照可能な参照サーバを稼働させること。
・MMWIN、小児医療連携について、SS-MIXⅡ標準化ストレージ及び拡張ストレージを現在の公開種別と同環境を構築すること。新システムへの移行時に、受信側の問題が発生しないように十分に注意すること。
・制度改正や関連法規の改定、元号の変更、診療科追加などは稼働前の作業については本調達内で行うこと。
エ.操作研修、総合リハーサル実施
本仕様書に記載された内容に基づき、稼動後の運用に支障をきたさないよう、操作研修等の利用者教育を行うこと。また、システム管理者に対しては、システム管理に必要なハードウェア・ソフトウェアに関する留意事項、操作方法、障害時の一次対応方法等の充分な教育及び訓練を行うと共に関連するマニュアル等を整備し提供すること。さらに、総合リハーサルに向けたシステム接続テスト、総合リハーサル計画の策定支援及び実施支援を行うこと。詳細は、第4章を参照すること。
オ.データ移行作業
本仕様書に記載された内容に基づき、現在運用中のシステムからのデータ移行作業を実施すること。なお、当該作業は、業務の停止を最小限に抑え、適切なフェーズ分けのもと行うこと。
詳細は、第5章を参照すること。カ.運用周知、業務マニュアルの作成
運用及び詳細設計で決定した内容を、当院が業務マニュアルとして整備する作業支援を行うこと。また院内周知についても支援すること。
キ.各検討会議の運営・推進支援
本仕様書に含まれるハードウェア、ソフトウェアの導入に伴い必要となる各検討会議は、受託者がリーダーシップをとり、当院と協議しながら進めること。また、当該会議における資料および議事録等の作成も行うこと。
ク.保守
仕様書に記載された内容に基づき、保守の管理を実施すること。保守業務については十分にサポートすること。詳細は、第7章を参照すること。
2.テスト要件
各システムの正常稼働を保証するためのテストとして、次にあげるテスト要件を範囲とする。
・システムテスト(システム単体、システム間接続、機器との接続等)
・総合テスト
・総合リハーサル(運用テスト:当院業務が円滑に遂行できることを確認するもの)
・稼働直前の現行システムとの切換テスト
ア.テスト計画・実施
・受託者は、各テスト実施計画書を作成し、スケジュール、テスト内容を明確にし、当院に進捗報告すること。
・当院の既存システムの環境を用いてテストを実施する場合には、事前に当院と協議し、その指示に従うこと。
・総合テストまでに見つかった不具合修正は、総合リハーサル開始までに完了させること。イ.運用テスト
・システムテスト工程終了後に、当院が実施主体となり行うが、受託者は作業支援を行うこと。
・運用テスト期間中は、当院職員からの問合せを受けられるよう、受託者は立ち会いをすること。
・受付けた問合せは管理表を作成して管理し、必要な場合はシステムの修正を行うこと。修正にあたってはデグレードしないよう細心の注意を払うこと。
ウ.テストデータ
・病院にて実施するテストに使用するテストデータについても、受託者が支援すること。
・テスト時に使用した不要なデータ、ユーザ ID、テスト患者 ID、システム連携サービス等は、テスト完了時にシステムから削除すること。
第4章
教育計画/総合リハーサル
1.操作教育
ア.研修実施計画
・受託者は、研修体制と役割、詳細な作業及びスケジュール、研修環境、研修方法について記述した操作研修計画書を作成すること。
・総合リハーサル開催までに、システム操作に留まらず当院業務運用について職員が習熟を高められる計画とすること。また、職員が参加しやすいように十分な回数を実施すること。
・院内の業務を円滑にシステム移行に対応させるため、操作研修に加えて、職種に応じて業務運用に沿ったカリキュラムで研修を行うこと。特に現行業務からの業務上の変更点がある場合には、必ずカリキュラムを組むこと。
・当院のシステム管理者、システム運用業務要員向けの研修を計画すること。イ.研修の実施
・受託者は研修資料を事前作成し、当院の承認を得ること。
・研修等に必要なマニュアル、教材等を必要部数準備すること。
・研修期間中は受講者からの問合せに対応するため、講師または問合せ窓口を確保すること。
・欠席した職員や補講が必要な職員に対して自習ができるような研修用教材を提供すること。ウ.研修用システム環境
・研修を行う際に必要となる仮設ネットワーク等の研修環境を準備すること。
・研修環境は原則として当院内に準備すること。
・研修用端末は、電子カルテ端末を計画に応じた必要台数を用意すること。また、各部門システムについても、必要台数を用意すること。
・研修の際には、可能な限り実際の運用に使用できるレベルのデータを準備すること。
・研修環境は、研修実施時間以外の時間にも病院職員が操作練習をできるよう自習環境を設置すること。
エ.研修資料等の作成
・研修に必要なマニュアル類は、部門システムを含め全て受託者が作成して準備すること。
・各システムの操作マニュアルを作成すること。
・マスタ操作マニュアルを作成すること。
・システム運用設計の結果を当院が業務マニュアルとして作成する支援を行うこと。
・システム管理者用のマニュアルとして、システム管理者マニュアルを作成すること。
・障害発生時の対応手順や代替策、障害時の運用に関する障害時対応マニュアルの作成を支援すること。
・各システム操作マニュアルや障害時マニュアルが参照できること。オ.操作研修等の利用者教育の規模としては、下表を参考すること。
但し、既存システムと大きく操作性が変わらない場合には、この限りではなく、操作変更部分のみを説明するなど、研修計画内容を当院と合意のうえ進めること。
No | 対象者 | 想定人数 | 研修範囲(案) |
1 | 医師(全員) | 80 | 電子カルテ |
2 | 看護部(リーダ教育) | 50 | 電子カルテ、看護支援など |
3 | コメディカル(全員) | 40 | 電子カルテ、関連部門システム |
4 | 事務職員(全員) | 40 | 電子カルテ、医事会計、病歴など |
5 | 医事委託職員(全員) | 40 | 電子カルテ、医事会計など |
・想定人数、研修範囲は現時点での想定であり、今後、変動する可能性がある。
・医療情報システム管理職員に対しては、全システムの操作研修を実施すること。臨時職員・委託職員についても適宜研修を実施すること。
2.総合リハーサル
ア.総合リハーサル計画
・当院と協議のうえ、総合リハーサル実施内容を計画すること。
・必要な部署については、各部門内での部門リハーサルを計画すること。
・システム障害発生時のリハーサルの方法も計画すること。イ.総合リハーサル準備
・総合リハーサルに利用するシナリオを作成し、事前データを入力すること。
・リハーサル環境を構築すること。原則として本番用マスタを利用し、各システム連携を可能とすること。制限事項については、事前に当院に報告すること。
・各部門の運用マニュアル(案)、各システム操作マニュアルを作成し、リハーサル当日が操作説明にならないよう部門リハーサルを事前に実施すること。
・リハーサル説明書を作成し、事前に実施する院内オリエンテーションを支援すること。ウ.総合リハーサル実施
・システム稼働時に混乱をきたさないように、当院と協力して、実運用(通常運用及び障害時の運用)に則した、システム全体を通じてのリハーサルを行うこと。
・リハーサル当日は、各部署に立ち会い要員を配置し、支援すること。
・リハーサルにて発生した問合せ、課題等を集約・管理し、課題解決の対応を図ること。
・リハーサル時に使用した不要なデータ、ユーザ ID、テスト患者 ID、テスト用連携サービス等は、本稼働に影響を与えないようにすること。
エ.リハーサルに関連する作業区分は下表の通りとすること。
(●は確認・承認、◎は主担当、○は支援を示す。)
リハーサル | 作業項目 | 当 院 | 受託者 |
部門リハーサル | リハーサル計画 | ● | ◎ |
事前データ入力 | ● | ◎ | |
リハーサル当日進行 | ○ | ◎ | |
リハーサル実施 | ◎ | ○ | |
課題管理台帳作成・管理 | ● | ◎ | |
課題抽出・解決(運用面) | ◎ | ○ | |
課題抽出・解決(システム面) | ● | ◎ | |
総合リハーサル | リハーサル計画 | ● | ◎ |
リハーサルシナリオ作成 | ○/● | ◎ | |
事前データ入力 | ○/● | ◎ | |
帳票、印刷用紙、診察券等の事前準備 | ○/● | ◎ | |
リハーサル当日進行 | ◎ | ○ | |
リハーサル実施 | ◎ | ○ |
課題管理台帳作成・管理 | ● | ◎ | |
課題抽出・解決(運用面) | ◎ | ○ | |
課題抽出・解決(システム面) | ● | ◎ |
第5章
データ移行要件
現行のシステムから移行するデータの対象は、「別紙5.移行データ一覧」のとおりである。基幹システム(電子カルテ、オーダ、医事、看護)の移行データは、当院にてデータ抽出した後、受託者へデータを渡し、受託者が新システムへデータ移行を行う。データ移行の具体的な内容・方法に関する詳細計画については、契約締結後に協議する。
1.データ移行要件
・基幹システム(電子カルテ・オーダリング・看護支援・医事会計システムとする。)からのデータ移行は、システム更新に伴い当院の運用に支障がないように対応すること。また、移行対象とするデータは当院と十分に協議するとともに、当院の指示に従うこと。なお、現行基幹システムからのデータ抽出費用は今回調達に含めず、新システムへの移行費用のみを含めること。
・部門システムのデータ移行は、システム更新に伴い当院の運用に支障がないように対応するこ と。また、移行対象とするデータは当院と十分に協議するとともに、当院の指示に従うこと。なお、機能要件一覧の各部門システム仕様書に特別な記載がないかぎり、既存システムからのデータ抽出及び移行に係る全ての費用を本調達に含めること。
・現行システムからのデータ抽出について、現行システム側のデータ出力機能や、当院が提供するデータ出力機能を用いる場合も予想される。その場合は、費用削減のため当院とともにデータ抽出作業に最大限協力すること。
・現行マスタ(各オーダマスタなど)の移行については、新システムに単純移行するのではなく、新電子カルテ機能や、当院運用にあわせてマスタを再構築が必要である。当職員のマスタ構築支援を十分に行うこと。
・受託者は、移行作業責任者を設置し、移行実施体制と役割、移行作業及びスケジュール、データ移行開始・終了条件、移行実施手順、運用サポート(保守工程)への引き継ぎ、緊急時対応計画についてをデータ移行計画書として作成し、当院承認を得ること。
・データ移行については、「別紙5.移行データ一覧」に従い進めること。なお、データ抽出作業についての契約は別途現行事業者と行うため、データ移行の実施時期については別途協議とする。
・既存の患者 ID は変更しないこと。桁数等を変更する場合(8 桁→10 桁)は、その方法を提案し、当院の承認を得ること。
・患者基本情報の移行においては、アレルギー(食物アレルギー、薬物アレルギー等)や禁忌薬情報は、新システムでの各種チェックに活用できる状態で移行できるよう進めること。但し、対応が難しい場合には当院に事前に報告し、了承を得ること。
・診療データやマスタ等の各種データは、新システムで活用できる状態で移行すること。
なお、活用できる状態とは、例えばシステム内での引用ができる状態、処方オーダでの Do 処方ができる状態等のことを指す。活用できないデータがある場合にはデータ移行計画書に記載し、当院の了解を得ること。
・データ移行の方法として、プログラム移行や手入力での移行といった方法は問わないため、受託者にて適切に移行すること。
・本番稼動までの操作研修等の期間も含め、データ移行時において、操作者である医療従事者に誤認や混乱を与えぬように配慮するとともに、診療業務に支障をきたさないよう十分な対策をとること。
2.データ移行の実施
・移行データ検証のために必要なツール等に関しては、受託者の負担と責任において準備すること。
・移行後のデータが、新システムで正しく登録できていること、また正常に動作することを確認すること。
・機種依存文字や外字、ユーザ定義文字のほか、自由文字列中に存在する半角・全角の空白文字、記号文字等を含む文字列の移行について、事前に移行対象データを調査のうえ、その移行方針について当院と十分に協議を行い、移行計画を立てること。
・新システムの次のシステムへのデータ移行を見据えたデータ及びマスタの標準化(その時点での医療分野で主に利用されているデータの形式や標準マスタの採用)を実施すること。
・データ移行リハーサルを実施し、移行方法、移行スケジュールの妥当性を確認すること。また、データの移行漏れが発生しないようにすること。
・データ件数等、正常性の検証を行い、移行の結果を当院へ提出すること。
・本システム契約終了時には、システムデータ(マスタを含む)について、新規システムへのデータ移行作業に対して協力すること。
第6章
システム移行・稼働対応
1.システム移行
ア.システム移行要件
新医療情報システムへの移行については、スケジュールについて当院の承認を得ること。イ.システム移行の実施
・新規及び既存の部門システムとのデータの整合性が図れているか十分な確認作業を行うこと。
・システム移行リハーサルを実施し、移行方法、移行スケジュールの妥当性を確認すること。
2.業務移行
ア.業務移行要件
・マニュアル整備、マスタ設定進捗管理、研修の実施、リハーサルの実施等の進捗を管理すること。
・業務移行がシステム本稼働までに確実に終了できるよう、実現可能性について十分検討すること。
・システム本稼働後 1 か月間は、移行後に発生した問題に速やかに対応できるような人員確保をすること。
3.システム稼働対応
・立ち会いに先立ち本稼働立会い予定を事前に提出すること。
・稼動後の立会いについては、最低でも 5 営業日は診療現場での立会いをすること。
なお、立会いは、稼働状況を踏まえて当院と協議のうえ、体制・期間の変更は可能とする。
・外来時間帯の立ち会い体制については、当院施設を現地確認したうえで、適切な要員配置を計画すること。
・初回の保険請求時に立ち会いを行うこと。
・立ち会い実施期間中は、報告会を開催し、課題事項の共有や今後の対応等について協議すること。
・電子カルテシステムの運用管理規程の改版を支援すること。
・システム管理を担当する当院職員等に対し、システム運用に関するすべての事項(操作、保守、運用、バックアップ等)について指導すること。
4.システム監視
・サーバの稼働状況監視を行うための環境を構築すること。エラーや障害を検知した場合、病院職員が容易にそれを把握できること。
・今回調達するシステムに、リモート接続でメンテナンスや閲覧ができる仕組みを導入すること。
・基幹システムについては、業務アプリケーションの監視(具体的には、サーバプロセス起動・稼働監視、定期業務実行監視等)を行うための環境を構築すること。
・基幹システムについては、サーバパフォーマンスの監視を行うための環境を構築すること。
・監視は、24 時間 365 日行うための環境設備を導入すること。
・障害等の早期対応が可能なよう、院外からのリモートメンテナンスを可能とする環境設備を導入すること。
第7章
保守業務要件
1.共通要件
・保守範囲は、基本的に今回調達するハードウェア・ソフトウェアすべてを対象とできること。保守対象機器を明確にし、当院へ報告すること。
・当院からの問い合わせ窓口(サポートセンター)があること。
・サポートセンターは迅速に電話がとれる体制であること。対応者不在で取り次ぎできない事がないこと。
・サーバは、24 時間・365 日・5 年間のオンサイト保守とすること。なお、クライアント・プリンタ・周辺機器は、本仕様書に特別な指示がない限り、メーカー保証期間の修理以外はスポット保守を原則とする。
・24 時間 365 日の障害対応ができること。
・当院と協議のうえ、策定・合意した保守サービスを提供できること。
・ハードウェア/ソフトウェア共に、医療情報システム稼働時点から、5年間の保守が可能であること。5年目以降の保守に関しては別途協議するものとする。
・システムの保守は、対象となるハードウェア及びソフトウェアのすべてに対して責任を持ち、システム障害の受付窓口を一本化し、障害の切り分けを行うこと。
・リモート保守は当院が準備する保守回線を利用すること。受注者はリモート保守の運用ルールを策定し、当院の承認を得ること。なお、各部門システムベンダーへの周知は受注者が行うこと。
・リモート保守を行った場合は、作業記録を残すと共に、当院からアクセスログ開示請求があった場合は、速やかに提出すること。
・当院が開催する定例会議(1回/月)へは、当院の出席要請があった場合は、極力出席すること。また、不具合のとりまとめ及び状況報告、改善要望に係る回答・提案、定期点検の結果報告等を実施すること。また、議事録を作成し提出すること。
・今回、導入する基幹システムと同等システムで起きた他病院のトラブル事例を管理し、当院へ遅滞なく通知する体制を有していること。
2.通常時保守業務
・医療情報システムの操作手順や機能仕様、マスタ設定手順など、当院からの問合せ対応を行うこと。
・保守対応窓口は、24 時間 365 日の対応ができること。
・他施設での障害改修状況・事例やソフトウェア・ハードウェアのアップデート情報を提供するこ と。特に障害に関する情報は当院へ速やかに報告したうえで、改修スケジュールや改修までの暫定対処手順について当院と協議し対応すること。
・ソフトウェアやハードウェアのアップデートや、バージョンアップに伴う資源管理を適切に行い、上記作業に伴うデグレードの発生を防止すること。
・サーバ機に関しては、24 時間 365 日の自動監視を行うこと。
・定期点検や自動監視において動作異常の兆候が見られた場合は、当院に報告のうえ、予防保守対策を実施すること。当院への報告は文書にて行うこと。
3.バージョンアップ対応
下記の作業は運用保守費用の範囲内で行うこと。
・医療情報システムのバージョンアップ対応をxx回以上行うこと。
・システムバージョンアップ等を行う場合は、事前に作業計画を提出し当院の了承を得ること。
・バージョンアップの内容を当院に確認し、運用に支障がないように準備を行うこと。
・システムに関わる法令改定(診療報酬改定、DPC 影響率調査、薬価改定等)や元号改定の対応は、当該法令の施行前にシステムの変更を完了し、運用に支障を来たさないこと。
・診療報酬改定対応について、問合せ窓口を設置し、迅速に当院からの問い合わせに対応すること。
4.障害時保守業務
・定期点検や自動監視において障害が発見された場合は、直ちに当院に報告のうえ、対応作業を実施すること。
・当院から障害の報告を受けた場合、直ちに原因調査等対応を開始すること。複数システムに跨る障害や、ソフトウェア・ハードウェア起因の切り分けができない場合でも、各システム保守担当者と協力して迅速な復旧に努めること。
・原因調査の結果、及び復旧方針案は遅滞なく当院に報告のうえ、復旧作業を実施すること。即時の原因究明や復旧対応が困難な場合、代替運用の検討を支援すること。
・障害による欠損データの復旧や、システム間連携データの再送等の事後対応も行うこと。
・調査の結果、障害の原因が当院のシステム操作やマスタ設定等に起因したものであっても、復旧作業に協力すること。
・障害時の迅速な原因調査や復旧作業のために、リモートメンテナンス環境を利用すること。
・障害の原因を究明したうえで、再発防止策を当院に報告のうえ、実施すること。
・当院への報告は文書にて行うこと。第8章
機能要件
1.前提条件
・応札回答で、対応可能と回答した機能要件を満たすための費用は、全て本調達に含めること。
・医療情報システムとしての稼動実績を有するパッケージシステムで提案を行うこと。
・法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録を電子媒体に保存する場合の三条件を満たすシステムとして、既に運用実績を有するシステムであること。
また、当院の病床規模を考慮し、基幹システムについては、200 床以上の医療機関での稼動実績を有し、実績を客観的に証明すること。
・仕様書に記載されていない機能を最新標準パッケージ機能として搭載している場合は、その利用を前提として機能を提供すること。
・受注者又は実作業者の責めに帰すべき理由により、当院と協議により決定した稼動期日に対して遅延が発生した場合は、遅延期間の現行システム継続利用に係る費用について、協議を行うこ と。
・受注者の自社製品だけで機能仕様を満たさない場合は、他社製品を使って機能仕様を満たしてもよい。ただし、受注者は、他社製品を用いて満たす要件も含めて、本仕様書の全要件の内容を把握し、他社製品導入者との役割・業務分担や機能範囲を明確にすること。
・本調達システムに接続が必要な既存システム及び機器は、「1章 7.システム対象業務の概要」記載のシステムと接続すること。なお、既存システムや機器側の接続費用は、本調達に含めること。
2.システム基本要件
・デファクトスタンダードを追求したシステム構築を基本とし、システムの OS・通信プロトコル等は国際標準・業界標準を積極的に採用すること。
・汎用性とシステムの安定性を考慮し、サーバ及びクライアントの OS は最新又は同等以上の性能・機能を有すること。
・「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第 5 版」及び厚生労働省標準規格の最新版に準拠していること。
・厚生労働省からの通達「診療録等の電子媒体による保存について」に記載された電子保存に関する三原則を満たすシステムであること。真正性、見読性、保存性を遵守するためにどのような技術的対策を行っているか回答すること。
・基幹システムを構成するハードウェア・ソフトウェアは、稼動実績のあるプロダクトを採用し、部門システムはシステム全体の整合性と保守性を考慮し、受注者が提供する基幹システムと接続実績を有する製品で構成すること。
・当院の病院規模・運用の要件等を正確に理解し、効率的な業務を行うのに最適なシステム構成を提案すること。本システムの構成が理解できるように、ハードウェア/ソフトウェア等の構成図を提出すること。
・本調達の全てのシステムは、稼動後7年間、常に安定したレスポンスで稼動できるだけのシステム構成・容量であること。また、診療データや画像データを稼動後7年間保存できる環境を用意すること。
・レスポンスタイム(処理応答時間)は、ピーク時においても支障がないようにすること。また、データ容量が増えても、継続して初期のレスポンスタイムを維持できる機能を有すること。
・提案システムは、24 時間・365 日稼動可能なシステムであること。ただし、システムのメンテナンス時は除く。
・基幹システム(電子カルテもしくは医事)から、患者属性情報を全ての部門で共通利用できる仕組みを構築すること。
・システムで利用する各種マスタのうち、当院のスタッフが継続的な保守を行う必要のあるものについては、使いやすいメンテナンスツールを提供すること。
・できる限り電子カルテシステムの認証を用いて、各部門システムにログインできること。
・電子カルテから部門システムを起動する場合は、できる限り利用者 ID を部門システムに渡すことで部門システムにログインした状態で参照できること。
・職員情報(ID・パスワード・職制・所属・その他)は、電子カルテに基となる情報を登録し、職員情報を他部門システムでもできる限り共通利用できること。
・システム稼動後のメンテナンスや動作確認用に、可能な限り運用環境とは別にテスト環境を設けること。
第9章
ハード要件
1.基本要件
・最新の機種で構成することを基本とすること。なお契約時及び導入時に、更に新しい機種が販売されている場合は、当院と協議のうえ、要件を満たすことを条件に新機種を納入すること。
・DB のライセンスや CAL 等のシステム上で必要なソフトウェアは、全て本調達に含めること。
・サーバと端末の OS は、導入後5年間はメーカーのサポートが受けられる製品を提案すること。
・サーバ室に設置する全ての機器の諸元表を提出すること。
・サーバ機器等の設置の際に、2 次側のブレーカ以降の電源配線の費用は、本調達に含めること。また、当院が用意すべき 2 次側のブレーカを示すこと。
2.サーバ要件
・サーバのスペックは、稼動後7年間の当院の業務に支障を来さない、機器・ソフトウェアを提案すること。また、稼動後の容量不足による機器等の追加費用は、当院と協議のうえ対応を決定すること。
・使用するハードウェアの CPU・メモリ・ハードディスク容量は、各システムの処理 の規模に応じて用意し、十分にスペックを満たしていること。また、将来的な拡張性を考慮した構成とすること。
・システムは、常に安定したレスポンスで稼動できるだけのシステム資源・構成であること。
・サーバはメンテナンス時を除き、24 時間・365 日連続運転ができること。
・ディスク容量は、稼動後7年間の業務に必要なデータ及び既存システムからの移行データを格納できる十分な容量を確保すること。
・システム構成は、仮想化技術(サーバやストレージの仮想化)を用いて、複数システムを 1 台のサーバに集約する等スペース、ランニングコストの削減とリソースの有効利用を考慮した提案をすること。
・サーバ間で実稼動率に極端に差が出ないように、各サーバの負荷のバランスを考慮したシステム構成とすること。
・システムの電源投入、自動立ち上げ、自動オペレーション、自動停止等の業務スケジュールに沿った、自動運転を行える機能を有すること。
・DB 利用率のシステム稼動状況を監視し、事前に設定した閾値を超えた場合を通知する機能を有すること。
・サービス稼動状況・他システムとの接続状況を監視し、障害を検知する機能を有すること。
・ディスク装置は、ディスク障害による業務の停止を防止する構成であること。
・ディスク障害等によりディスク交換が必要な場合もサーバを停止することなく、システム運転中でも故障ディスクを交換できること。
・ディスク障害時には、データが直前(1 日以内のバックアップ)の状態まで復旧できること。
・サーバに用いるハードディスクは、十分な冗長性を確保し、データの保護を考慮すること。サーバの仮想化、クラスタリングやレプリケーションといった冗長化、堅牢性の高い機器の採用等 で、より高い可用性を維持できるシステム構成とすること。
・テープ装置の場合は、保管場所を取らないコンパクトなカートリッジテープであること。なお、初期運用時に必要なテープ等の消耗品は、本調達に含めること。ただし、テープ装置を使用しない提案も可とする。
・ネットワークカードは、ギガビットイーサネットに対応し、1000BASE-T 等のインターフェイスを 2 ポート以上有すること。
・インターフェイスは、接続機器追加等の将来の拡張に十分対応可能なスロットを有すること。
・データベースは、システムの安定性・拡張性・標準化への対応等を考慮した、各社最良の製品を採用すること。
・基幹システムのサーバ構成は、ディスク・電源・ファン・電源入力系統の冗長構成を行うこと。複数のサーバを同一筐体で構成する場合は、筐体としてこれらの冗長化がなされていること。 なお、システムに最適な製品を採用すること。
・複数のサーバ間で、ディスプレイ・キーボード・マウス・DVD ドライブ等を共用できること。
・瞬断等に対応できるように無停電電源装置を有し、長時間の停電対策として、UPS からサーバに対して自動シャットダウンが行われること。
・保守期間内は、無停電電源装置の経年劣化によるバッテーリー交換を保証すること。
・本稼動後もサーバ機器等を安定稼動させるためのメンテナンス機能を有すること。
・リモート通報機能、障害発生時の LED 点滅、管理者による遠隔からのネットワーク経由によるハードウェア資源の操作・状態確認等の障害の識別を行える機能を有すること。
・サーバは、本システム稼動後の 5 年間は、24 時間・365 日・オンサイト保守とすること。なお、クライアント・プリンタ・周辺機器は、メーカー保証期間の修理以外はスポット修理を原則とするが、価格が変わらなければ、3 年間のオンサイト保守等の対応でも構わないこととする。
・サーバは全てラックマウント型とし、EIA 規格に準じた 37U 以上の 19 インチラックで全てサーバ室に設置すること。なお、ラックは連結し、架台を設置して固定すること。
・原則として、サーバ・ラックコンソール・無停電電源装置は全てサーバラックへ格納すること。なお、サーバラックに格納できない機器がある場合は、その理由を当院へ申入れし、当院の許可を得ること。
ア.メインサーバ構成(電子カルテ・オーダリング・看護支援システム)
・2 台以上の構成によるクラスタリングやレプリケーション等の冗長化を行うこと。
・システム障害に備えて、同一システムを 2 重化したホットスタンバイ構成とする等、短時間でシステムの切替運用が可能なシステムとすること。または、システム障害時でも継続して運用が可能なシステムとすること。なお、正・副サーバともにその他のサーバと同一筐体のサーバを論理分割することで提供することも可とする。
イ.参照サーバ構成
・メインサーバとは別筐体とすること。または、他サーバと同一の筐体のサーバを論理分割することで提供することも可とする。ただし、その場合も、当サーバ用の区画に割り当てられたプロセッサコア数、主記憶容量、磁気ディスク容量の各計算機資源・機能は当仕様で要求している内容を満たすこと。
ウ.部門システムサーバ・I/F サーバ等
・部門システムサーバ、I/F サーバのほか、複数のサーバ要件を記載するが、台数や細かなスペックについては規定しない。レスポンス・保存期間・その他、仕様書に記載された性能要件を満たす最適なサーバ構成で提供すること。
エ.バックアップサーバ構成
・全てのサーバでバックアップを行うこと。
・外部メディアもしくは NAS へバックアップする機能を有すること。
・データの外部メディアもしくは NAS へのバックアップ機能を提供できる構成とすること。
・消耗品が必要となるテープ装置等を用いる場合は、初期運用時に必要となるテープ等を本調達に含めること。
オ.システム管理系サーバ群構成
・当院での電子カルテの運用に必要な各種サーバ機能を有すること。なお、サーバ機能内訳は、 以下に列挙するがこの限りではない。また、複数のサーバ要件を記載するが、台数や細かなスペックについては規定しない。レスポンス・保存期間、ほかに仕様書に記載された機能要件を満たす最適なサーバ構成で提供すること。
・サーバ機能内訳
ドメインサーバ機能院内配信サーバ機能
ウイルス対策サーバ機能カ.タイムサーバ(NTP サーバ)
・本項目の目的は、医療情報システムの三原則に沿って本調達の医療情報システムを正確に自動で時刻同期を行うことである。本調達の医療情報システムは原則インターネットと接続しないが、自動で時刻同期が可能なシステムであること。なお時刻同期は、本調達の全システムで 1 日 1 回以上行えること。
3.クライアント要件
・全てのクライアントは、機能的に構成された高速ネットワーク(LAN)に接続され、入出力業務の応答速度は病院業務を円滑に遂行し、且つ、その作業能率の向上を実現できる水準を有すること。
・クライアントのハードディスク障害等によりリカバリが必要な場合は、容易に短時間でリカバリできるツールを用意すること。
・マスターデータよりクライアント端末をクローニングできる仕組みを提供すること。
マスターデータを作成する場合には、当院(放射線部門含む)に事前に相談し、承認を得ること。必要に応じて当院で必要なアプリをマスタデータに組み込めること。
また、アプリに関しては、検証方法などは当院と協議すること。
・端末にインストールするソフトウェア(別途調達するソフトを含む。)は、当院と協議し、端末へのインストール作業を支援すること。
・クライアント端末は当院の判断で追加でき、業務システムを利用するための追加費用が発生しないよう、「別紙6 端末配置一覧」に示すとおり予備ライセンス、予備機を納入すること。
なお、本要件は電子カルテ・オーダリング・看護支援の範囲とする。仮に、予備ライセンス数を超えて費用が発生する場合の 1 台当たりのライセンス費用を明記すること。その費用には、ウイルス対策ソフト、文書作成ソフト、表計算ソフト等の業務システムを利用するために必要なソフト類は全て含めること。
・プリントスクリーン(画面をキャプチャして印刷する。)機能を有すること。
・調達するハードウェアは、ベンダーの開発用端末として利用することも可とする。ただし、開発終了後に当院が利用できる端末として整備して返品すること。
開発用端末として利用する場合は、その数量と期間を事前に申請して当院の承認を得ること。
・納入時期までにコストパフォーマンスの優れた新製品や CPU を始めとした部品が出荷された場合は、当院と協議のうえで変更できること。
4.セキュリティ要件ア.ウイルス対策
・導入するシステムは、ウイルス対策を行い5年間の更新費用を本調達に含めること。対象は本調達のサーバと端末の全てとし、集中管理できること。
・ウイルス対策ソフトの導入では、ソフトウェアの管理に必要なポートの開閉等は、当院の指示に従うこと。
・ウイルス対策に必要なハードウェアは、全て本調達に含めること。
・サーバで管理する機能を有し、各端末のアップデートの状況や接続していない端末を一覧表示できること。
イ.USB ポート管理
・情報漏えいを防ぐために、クライアントに附属した各デバイスの遮断及び許可の制御(以下「ポリシー」という。)をユーザ操作により、GUI で設定・変更できること。
・以下のデバイスのポリシーを設定・変更できること。
◦ CD/DVD ドライブ ◦ フロッピーディスクドライブ ◦ USB メモリ
・USB 機器はメーカー名・製品名に加えて、特定のデバイスのみを限定して利用を許可/読み取りを許可にできること。
・USB 接続するマウス及びキーボード等は、ヒューマンインターフェイスデバイスとして USB のポリシー設定に影響されず利用できること。
・クライアントの機種に依存することなくデバイスの遮断及び許可の操作ができること。
・ネットワークに接続された各クライアントのポリシーを集中管理できること。
・サーバから各クライアントのポリシーの追加・変更・削除を一括で操作できること。
・集中管理されるクライアントは、コンピュータ名で画面に表示されること。
5.端末管理
ア.資源配布機能
・アプリケーション、パッチを複数インストールする場合は、管理者が決めた順番で適用できること。
・特定の端末に対して資源の配布を行えること。
・資源配布の前後にバッチ実行ができること。
・配布した資源のインベントリ管理ができること。
・インベントリ管理の観点から、資源適用が完了していないクライアントを検索できること。イ.リモート管理機能
・リモート端末からクライアントの各種情報(コンピュータ名・IP アドレス・MAC アドレス・ログインユーザ名・OS 名・OS パッチ適用状況・復元ソフトのバージョン・ウイルスパターンファイルのバージョンレベル)を参照できること。
・リモート端末からグループ指定または任意クライアント指定で、電源の ON/OFF、再起動操作、ユーザのログオン・ログオフ操作、メッセージ送信ができること。
・リモート端末から任意のクライアントの画面確認・操作ができること。
・リモートモニタリング上に格納されているファイルやフォルダを回収できること。
・クライアントの利用ログ(OS の起動・終了、ユーザのログオン・ログオフ情報)、インストールソフト名の一覧情報、CPU・メモリ・ドライブのハードウェア情報を収集できること。
・収集したクライアント情報から、利用状況を分析・表示できること。
第 10 章
可用性・信頼性ア.前提条件
・本システムにおいては、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」(厚生労働省)(以下、「ガイドライン」という。)に対応したシステムであること。
・本システムにおいては、法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録を電子媒体に保存する場合の三原則を満たすシステムとして、動作を保障できるシステムを整備すること。
イ.処理性能要件
・業務に支障が出る処理遅滞を発生させた場合は、無償で対策を講じること。
・当院が指定するアプリケーションソフトを電子カルテシステム端末上で相乗りさせること。
・ア.に示す処理速度を維持するために、必要な場合には、当院と協議を行い、サーバ及びデータベースのチューニングを実施すること。また、これらの作業は運用・保守費用内で行うこと。
ウ.データ保存要件
・診療録及び診療情報等のデータについては、医師法、医療法、保険医療養担当規則で定められている保存期間分を HDD 上に保存できること。また、それ以上の期間分については、HDD または別の記憶媒体上に保存でき、電子カルテシステムから参照できること。
エ.拡張性
・本システムは、稼動後の医療機器等の追加にも対応可能な拡張性を有すること。
・データ量増加によるサーバ機器類の増設に対応可能な拡張性を有すること。
・本システムは、稼動後において端末・プリンタ等の追加にも対応可能な拡張性を有すること。オ.可用性
・本システムのサービス提供時間は、計画停止を除いて 24 時間 365 日とすること。
・ハードウェアの故障等によるシステムの停止を防止するため、電子カルテシステム、看護支援システム、医事会計システム及び他の部門システムサーバを冗長化構成とすること。また、サーバに用いるハードディスクは、RAID5 相当の冗長性を備えた構造であること。
・システムの故障や停電等の障害発生時においても、当院業務の遂行に支障を及ぼす影響を極小化し、復旧時の保守管理操作も容易なシステムを提供すること。
・原則として、提案する各システムにおいて連携する他システムが停止しても、当該他システムと関係しない機能はサービスが継続されること。
・本システムが停止した場合に、現時点の診療情報を参照するための診療情報参照用システムを備えていること。なお、この参照用システム内の情報は常に最新の状態になるよう、平常時はリアルタイムで情報の更新が行われること。
・参照用システムのデータベースは、テーブルリンクを行って活用できること。カ.時間設定
部門システムを含めネットワークに接続している各サーバおよび各端末の時計を、定時更新する機能を有すること。
キ.データ保護
電子カルテのデータ保存三原則に則り、利用者の過失や故意などによる誤入力・書き換え等のほか、ソフトウェアや使用機器に起因する消去等に対する防止策及び復旧策が講じられているこ
と。 ク.標準化
・本システムを構成するハードウェア及びソフトウェアは、将来において最新の技術や製品群の採用が可能となるよう、汎用性とオープン性を有する技術を採用すること。
・本システムのハードウェア、基本ソフト、データベースシステム、通信プロトコル等について、国際標準、業界標準のものを採用すること。
・システムで使用する用語やコードについては、医療情報システム開発センター (MEDIS-DC)の公開している標準マスタも使用でき、当院の独自マスタも使用できること。
・本システムを更新する場合や受託者の事情により本委託業務を継続できなくなった場合には、その時点でのデータを出力し、当院へ提供すること。
・十分なセキュリティ機能を搭載することを条件に、外部ネットワークを通じて異なる医療施設間でも患者診療情報を交換できるような「標準形式による診療データ格納(SS-MIX2 によるデータ格納)」を実現できること。
第 11 章
情報セキュリティ要件
1.基本要件
・受注者は、本調達仕様書の内容を踏まえたうえで、納入するシステムのセキュリティ設計、環境構築等にかかる作業を主体的に実施すること。本調達において、以下の要件を満たすセキュリティ管理を実施すること。その他、環境設計するうえで必要な要件は契約締結後に当院と協議すること。
・受注者は、情報セキュリティ管理体制を有し、セキュリティ管理責任者を設けること。
・当院が提供する情報(資料等)は、情報セキュリティ管理体制の下、第三者への漏えいや目的外利用が行われないよう、適切に管理すること。なお、原則として貸出しによるものとし、本契約終了時までに担当職員の指示に従い、当院に返却すること。また、当該資料の複写はしないこと。
・当院が提供した情報の第三者への漏えいや目的外利用、委託業務以外の情報への不正アクセス等、情報セキュリティに問題が生じたときは、直ちに当院へ報告し、必要な対策を講じるこ と。
・システム導入の各工程において、当院の意図しない変更や機密情報の窃取等が行われないことを保証する管理が、一貫した品質保証体制の下でなされること。
・情報システムに当院の意図しない変更が行われるなどの不正が見つかったときに、追跡調査や立入検査等、当院と連携して原因を調査し、排除するための手順及び体制(例えば、運用・保守業務におけるシステムの操作ログや作業履歴等を記録し、要求された場合には提出できるなど)を整備していること。
・システム導入進捗報告会や運用開始後の定例報告会等を用いて、情報セキュリティ対策の履行状況(例えば、情報の受渡しや返却の実績及び受け渡した情報の管理状況等)を報告するこ と。情報セキュリティ対策の履行が不十分と当院が指摘した場合には、是正計画を当院へ報告し、当院が了承した後に是正処置を行うこと。
・情報システムのサーバや端末の OS、その他の端末上で稼動させるソフトウェアは、本稼動時点で最新の修正プログラムやセキュリティパッチを適用の上でシステム動作試験を行い、正常に動作することを検証すること。
2.基本機能・利用者認証
・情報システムは、データのセキュリティ保護と、患者のプライバシー保護のための対策が講られていること。
・すべての業務システムは、特段の指定がない限り、利用者 ID と利用者パスワード入力で利用者を認証できること。
・利用者 ID・パスワード認証方式により、アクセス管理ができること。また、職種に応じてデータ参照範囲・データ入力範囲に関するセキュリティレベルを設定できること。なお、ログインパスワードは、「大文字・小文字・数字・記号」の 4 種類のうち、3 種類以上を用いて 8 文字以上で作成でき、また、定期的に変更メッセージが表示されることが望ましい。提案システムでの実装状況を資料として提出すること。
・利用者認証は当院の設定でリトライ回数の設定が行え、リトライ回数以上入力を間違えるとそれ以上のパスワード入力を一時的に制限することができること。
・利用者 ID のパスワードについてはセキュリティを考慮してパスワード有効期限を設定でき、有効期限が切れた場合はパスワード変更を利用者に促し、利用者側で更新ができること。
・パスワードは利用者以外に知られないようにするため、暗号化してサーバに送信されること。
3.ログ管理
・情報システムへのアクセスログや操作履歴の管理ができ、必要に応じて閲覧やデータ出力ができること。
・サーバへのアクセス状況や認証失敗などのセキュリティ事象をサーバ側でログとして記録し、出力できること。
・保管データに対する操作状況(いつ、誰が、どのデータを、どうしたのか)をログファイルに記録し、出力できること。
4.ウイルス対策
・本システムが動作するすべての端末及びサーバに、ウイルス対策ソフトを導入すること。
(自動でも手動でもパターンファイルを更新できること。)
・ウイルス対策ソフトは、リアルタイムで不正ソフトを検出する機能が具備されていること。
・外部記憶媒体からのウイルス侵入を防ぐために、特定の外部記憶媒体のみ認識して端末への接続を管理できるソフトウェアを導入すること。
以上