Contract
保証委託契約書
[ ](以下「保証人」という。)及び[ ](以下「保証委託者」という。)は、以下のとおり、保証委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
<解 説>
本契約は、指定資金移動業者たる保証委託者が金融機関等の保証機関たる保証人に対して、保証人が保証委託者の資金移動サービスを利用する者の口座残高を保証することを委託する旨の契約である。
本契約においては、指定要件の一部に関するガイドラインの基準を満たすための規定や実務上一般的な規定(最低限のもの)を置いている。本契約はあくまで様式例として提供するものであり、実際に契約するに当たっては、指定要件やガイドラインの事項を満たす範囲において、個別に契約内容を調整されたい。
なお、本契約は書面による締結を念頭においた様式例となっているが、電磁的記録による締結も可能である。また、本契約は、保証人が法人であることを前提に作成しているが、保証人が個人の場合、民法上の取扱いが大きく異なり、契約内容もそれを踏まえなければならないため、留意されたい。
(定義)
本契約において「大臣指定」とは、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に基づく厚生労働大臣の指定をいう。
本契約において「本サービス」とは、大臣指定を受けた保証委託者が提供する為替取引に係るサービス[ ]であって、債権者を雇用する者(当該者が複数存在する場合はいずれの者も含む。以下同じ。)の債権者に対する労働基準法第24条第1項に基づく賃金支払いの方法として利用されるものをいう。
本契約において「本口座」とは、本サービスを利用する者が保有する口座[ ]であって、債権者を雇用する者の債権者に対する労働基準法第24条第1項に基づく賃金支払いの方法として利用されるものをいう。
<解 説>
本条は、本契約における一定の用語の定義を定めるものである。括弧内には、各指定資金移動業者の資金移動サービスの名称(第2項)やその口座の名称(第3項)を記載することを想定している。
本契約においては、資金移動業者による資金移動サービスやその口座について、大臣指定を受けた資金移動業者によるもので、かつ労働基準法第24条第1項に基づく賃金支払いの方法として利用されるものに限定している。
なお、債権者を雇用する者が複数存在する場合であっても、本口座内に送金された後における債権者と資金移動業者間の債権債務関係(主債務)は一つであることから、第2条第1項に定める主債務の内容との関係で「債権者を雇用する者」にはいずれの者も含むものとしている。
(保証委託)
保証委託者は、保証人に対し、保証委託者が本口座を有する各債権者に対してそれぞれ負っている債務であって、下表の「主債務の内容」欄に定める債務(当該債務に関する違約金、損害賠償その他当該債務に従たるすべてのものを除く。以下「主債務」という。)について、下表の「元本確定事由」欄に定める元本確定事由発生時点の主債務額を保証すること(以下「本保証」という。)を委託する。
本契約締結時、保証人は、保証委託者に対し、厚生労働省の報告要請に対応する旨の誓約書(保証委託者が指定する様式に限る。)を差し入れることとし、保証委託者は、当該誓約書を受領後、厚生労働省に提出することとする。
保証委託者は、保証人に対し、別途締結する合意書に基づき、本保証に係る保証委託料を保証人が別途指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は保証委託者の負担とする。
主債務の内容 |
指定資金移動業者が本口座を保有する債権者に対し、それぞれ本保証時及び将来負担する債権者名義の本口座の残高全額(債権者を雇用する者より支払われた賃金相当額に係る部分か否かを問わない。以下同じ。)に係る債務 |
元本確定事由 |
指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、更生手続開始の申立て、特別清算開始の申立て若しくは外国倒産処理手続の承認の申立て又は資金決済法第59条第2項第1号に規定する権利の実行の申立て(以下総称して「破産手続開始の申立て等」という。) |
<解 説>
本条は、保証委託の内容等を定める規定である。
第1項は、保証人による保証対象である主債務の内容を定めるものである。指定資金移動業者の本サービスの仕組みによって、本口座が①賃金専用口座でない場合と②賃金専用口座である場合とに分かれることになるため、両者の違いに即してそれぞれ規定を定めることが考えられる。①の場合、賃金相当額に係る部分か否かを問わない旨を定める必要があるが(ガイドライン第2の2(1)イ参照)、②の場合はその必要はない(ガイドライン第2柱書参照)。実際に契約するに当たっては、各指定資金移動業者の資金移動サービスに応じて、①又は②を選択されたい(本契約では①を前提としている。)。なお、民法上の保証債務の範囲には、主債務のほか、当該債務に関する利息、違約金、損害賠償その他当該債務に従たるすべてのものが含まれるが(民法第447条第1項)、指定要件の「労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額」(労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号ロ)の保証という観点からは、口座残高全額が保証されていれば足りるため、本契約においても保証債務の範囲を主債務に限定することとした(主債務に従たる債務を含めるか否かは個別に調整されたい。なお、資金移動業という性質上、利息の発生は想定されないことから、規定上特に明示していない。)。また、第5条で定めるとおり、保証債務の履行は、指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等があった場合において行われるものであることから、元本確定事由もその時点としている。
第2項は、保証人の誓約書の差し入れについて定めるものである。指定要件として、保証機関が必要な事項を厚生労働省に報告できる体制を整備していることが必要であり、それを証するため誓約書の差し入れが求められていることから(ガイドライン第2の7参照)、本項を置いている。
第3項は、保証委託料について定めるものである。保証委託料は保証委託者と保証人の協議によって決定されるものであり、固定額とする場合や保証額に一定割合を乗じた額とする場合もあるため、様式例という性質上、別途合意書を締結する形としたが、保証委託契約書の中で定めることでも差し支えない。
(保証契約の締結)
本保証は、保証委託者が労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に基づき厚生労働大臣の指定の効力が発生した日以降、保証人及び債権者間において書面又は電磁的記録によって保証契約(以下「本保証契約」という。)を締結することによって行う。
保証人は、債権者と本保証契約を締結するに当たって、次の各号に定める事項を定めることとする。
主債務(本契約に定めるもの)及び保証債務(本保証に基づく保証人の債権者に対する債務をいう。以下、単に「保証債務」という。)の内容
破産手続開始の申立て等があったときは、保証人は債権者に対し、債権者が保証人に保証債務の履行を請求してから6営業日以内に保証債務を履行すること
保証委託者に係る破産手続開始の申立て等があったときは、保証人は債権者に対し、直ちに、保証債務の履行に必要な手順を通知するとともに、保証債務の履行請求を勧奨すること
前各号に定めるもののほか本保証に関して必要な事項
<解 説>
本条は、保証契約の締結に関する規定である。
第1項は、大臣指定を受けた以降に労働基準法上の賃金支払いとして認められることとなるため、それ以降に保証契約を締結する旨を定めるものである。また、保証契約は書面又は電磁的記録によって締結しなければならないという要式行為であるため(民法第446条第1項・第2項)、その旨を定めている。
第2項は、一定の事項を保証契約で定めることを求める規定である(指定要件を満たすことを保証委託者と保証人間の契約上の義務として担保するためのものである。)。第1号は主債務(本契約に定めるもの)及び保証債務の内容、第2号は破産手続開始の申立て等があったときに債権者の請求から6営業日以内に保証債務を履行すること(ガイドライン第2の2(1)ア・ウ参照)、第3号は破産手続開始の申立て等があったときに保証人は債権者に対し、直ちに保証債務の履行請求を勧奨すること(ガイドライン第2の2(4)参照)、第4号はその他本保証に関して必要な事項である。なお、債権者からの請求を要さずに弁済を行うこととする場合には、第2号については保証委託者に係る破産手続開始の申立て等が行われてから6営業日以内と定めることとなり(ガイドライン第2の2(1)ア・ウ参照)、第3号については、債権者に履行請求の勧奨をすることは必須でないため削除されたい。
(保証契約の契約数等の通知)
保証人は、保証委託者に対し、毎月[ ]日までに、前月末日時点で有効な本保証契約の全契約数その他保証委託者が求めた事項を通知することとする。
<解 説>
x条は、保証人が保証委託者に対し、毎月一定期日に、前月末日時点で有効な本保証契約の全契約数その他保証委託者が求めた事項を通知することを定めるものである。主に保証委託料の算定や保証上限額を定めた場合の当該保証上限額の変更等に用いられることを想定している。
(保証債務の履行等)
保証委託者に係る破産手続開始の申立て等があり、保証人が債権者から保証債務の履行を請求されたときは、保証人は、保証委託者に対して、事前の通知なく、本保証契約に基づき保証債務を履行するものとする。
保証人が債権者に対して保証債務を履行したときは、保証人は、保証債務を履行した範囲において、債権者に代位して、債権者の有する一切の権利を代位行使することができる。
保証委託者に係る破産手続開始の申立て等があったときは、保証委託者は、保証人に対し、直ちに、保証委託者の破産手続開始の申立て等があった旨、債権者の連絡先、保証債務の履行に必要な手順その他必要な情報を通知することとする。
<解 説>
本条は、保証債務の履行等について定めたものである。
第1項は、保証委託者に破産手続開始の申立て等があり、保証人が債権者から保証債務の履行を請求されたときは、保証委託者に対し事前通知なく保証履行をする旨を定めるものである。民法上、委託を受けた保証人は、主債務者に事前通知をせずに債務の消滅行為をしたときは、主債務者は、債権者に対抗できた事由をもってその保証人に対抗することができるが(民法第463条第1項)、保証人は破産手続開始の申立て等があったときに債権者の請求から6営業日以内に保証債務を履行することが必要であるため(ガイドライン第2の2(1)ア・ウ参照)、迅速に保証債務を履行できるよう、本項によって事前通知を排除することとしている。なお、本契約においては、保証人による保証債務履行後の事後通知(民法第463条第3項)を排除していないため、留意されたい。また、債権者からの請求を要さずに弁済を行うこととする場合には、そのような形で規定を修正されたい。
第2項は、弁済による代位を定めるものである。保証人が債権者に対して弁済したときは、保証人は求償権を取得するとともに、債権者に代位し、代位の効果として、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができるため(民法第501条第1項)、これを定めたものである。
第3項は、ガイドラインにおいて、保証委託者に係る破産手続開始の申立て等があったときは、保証委託者は、保証人に対し、その旨と今後の手順を伝えることが必要であり、その内容を保証委託契約の契約事項に含めることが必要であるとされているため(ガイドライン第2の2(4)第1段落)、その事項等を定めたものである。
(求償権)
前条第1項に基づき、保証人が保証債務を履行したときは、保証人は、保証委託者に対して、次の各号に定める金員を求償することができる。
保証人が保証債務の履行として支払った金員
かかる支払に要した費用その他保証委託者に対する権利の行使又は保全のために要した一切の費用
前各号の金員に対して、各支払日から保証委託者が保証人に支払済みに至るまで年[ ]%(1年を365日とする日割計算)の割合による遅延損害金
保証委託者が次のいずれかに該当した場合、保証人は、保証委託者に対し、保証債務の履行前に前項各号に定める金員を求償することができる。
仮差押、差押又は競売の申立てがあったとき
破産手続開始の申立て等があったとき
租税公課の督促を受けたとき
手形交換所又は電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき
前各号のほか求償権の保全を必要とする相当の事由が生じたとき
<解 説>
本条は、保証人の保証委託者に対する求償権を定めるものである。
第1項は事後求償権、第2項は事前求償権を定めるものであり、いずれも実務上一般的な内容としているが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
(反社会的勢力の排除)
保証委託者及び保証人は、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等その他これらに準ずる者(以下、総称して「暴力団員等」という。)に該当しないこと及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること
暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること
自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること
暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること
役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること
保証委託者及び保証人は、自ら又は第三者を利用して次の各号の一にでも該当する行為を行わないことを確約する。
暴力的な要求行為
法的な責任を超えた不当な要求行為
取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて保証人の信用を毀損し、又は保証人の業務を妨害する行為
その他前各号に準ずる行為
<解 説>
本条は、反社会的勢力の排除について定めるものである。実務上一般的な内容としてあるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
(有効期間等)
本契約の有効期間は令和[ ]年[ ]月[ ]日から令和[ ]年[ ]月[ ]日とする。ただし、有効期間満了日の[ ]か月前までに、保証人又は保証委託者のいずれからも書面による終了の申入れがない場合は、同一条件で更新されるものとし、以降も同様とする。
前項にかかわらず、本サービスが終了し、全ての債権者に関し、保証委託者によって各債権者名義の本口座の残高全額がそれぞれ払い戻されたときは、本契約は終了するものとする。
<解 説>
本条は、本契約の有効期間を定めるものである。実務上一般的な内容であるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
なお、保証契約において、本契約の終了によって当該保証契約も終了する旨を定めた場合は、本契約の終了により保証契約も終了することになるが、指定資金移動業者に対する指定がなされている状況において、保証契約が終了した場合、指定の取消事由に当たるため(労働基準法施行規則第7条の6第1項第2号)、留意されたい。
(変更届)
保証委託者及び保証人は、印章、名称、住所その他届け出た事項に変更があったときは、書面又は電磁的方法により、速やかに届け出ることとする。
(協議)
本契約に定めのない事項又は本契約の規定に関して生じた疑義については、保証人及び保証委託者間で協議の上決定する。
<解 説>
本条は、契約当事者間の協議について定めるものである。実務上一般的な内容であるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
(準拠法及び合意管轄)
本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関して生じる一切の紛争については、[ ]地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
<解 説>
本条は、準拠法及び合意管轄について定めるものである。実務上一般的な内容であるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
(以下余白)
保証人及び保証委託者は、本契約締結の証として、本書2通を作成し、各自記名押印の上、各1通を保有する。
令和 年 月 日
[保 証 人]
[保証委託者]