Contract
資料3-1
公開意見募集の意見等について(契約)
平成15年6月23日
以下は、公開意見募集において提出された意見等を一覧できるよう事務当局で整理したものである。
まえがき
・ 管理者等は、実施方針公表時に契約書案を公表、特定事業の評価(VFM評価)時に民間に移転したリスクを定量化しPSCに反映、その後、民間事業者意見に基づき、リスク分担を変更した場合は、VFMの再評価あるいは予定価格の見直し・公表を行うべきことを明記すべき。さらに可能であれば、プロセスガイドラインとVFMガイドラインにもこれを反映する必要がある。民間に移転するリスクの定量化、VFM評価や契約時の積算への盛り込みがなされないならば、管理者等によるPFI事業の回避や選定事業者による過度のリスク負担が懸念されるため。
・ 本ガイドラインの提示により、公共が自ら判断しなくなって、契約のパターン化、契約協議の硬直化が進むことが懸念される。「管理者等は、本解説を参考にしつつ、自らの判断で、(中略)PFI事業契約の規定内容等を定める必要がある。」を「管理者等は、本解説を参考にしつつ、民間事業者(市場)の意見を踏まえた上で、(中略)PFI事業契約の規定内容等を定める必要がある。」にxxすべき。
・ PFI事業の円滑な実施のために優れた提案であっても、当該提案を拒否する便法に本ガイドラインが使用される惧れがあるので、「特に、民間事業者あるいは融資金融機関から具体的なPFI案件に関して有益な契約内容の提案があった場合には、仮に本ガイドラインの内容と異なるものであっても、当該PFI案件の円滑な実施のために優れた提案である場合には、当該提案を積極的に取り上げるものとする。」と「まえがき」に加筆すべき。
・ 契約構造の記述が理解しにくい。少なくとも分類すべき。
・ 債権者間契約は優先貸出人間の契約であり、劣後貸出人との合意事項は記載されない。両契約が別々に締結されることを明示するため、「また、出資者による(中略)定めることがある。このような場合には、優先貸出人のみの債権者間契約とは別に、「貸出人間契約」等の異なる契約名称を用いて、契約書を作成する。その際には、劣後貸出人の劣後性につき相対劣後・絶対劣後等、どのような定めをするかについて、倒産時の配当のあ
り方を念頭にして交渉を通じて検討が行われるのが通例である。」と記述してはどうか。
1. 事業全体にかかる事項
1-6 規定の適用関係
・ 事業契約、入札説明書等及び入札参加者提案の内容に相違がある場合の適用順序について、それぞれの文書が修正された場合の適用関係の基準について定めることが有益。
1-7 選定事業者の資金調達
・ 管理者等による増加費用の支払いは、原則、速やかに一括払いとする規定が必要。増加費用が速やかに支払われない場合、選定事業者は資金不足に陥ることもある。
・ 「管理者等が選定事業者に対して支払う金利相当の対価の取り決めにあたっては」を「金利相当の対価の算定のための基準日」を取り決める旨、表現を明確化すべき。
・ 金融機関による貸出金利は、金融機関が独自に決定するのではなく、金融市場の動向に従って確定されるものであることを明記すべき。
・ 金融機関による貸出金利確定日が、融資実行日であることを明記すべき。
・ 支払い金利の基準日を、貸出金利を確定させる日に近接した日とする考え方について、より積極的な表現振りにすべき。
・ 補助金交付等支援措置:本ガイドラインでは、補助金と金融支援措置による金利減少分とが、「サービス対価」の反映の点で同列に取り扱われている。しかしながら、金融支援リスクは民間負担とされており、当該リスクに対するリターンである、融資可能となった場合の民間の金融費用の減少分は、選定事業者への帰属が当然である。管理者等が入札説明書等に敢えて提示する必要のある支援リスクは補助金に限られるのが適当。また、リスクを負担した者がリターンを得るという原則を明記すべき。
・ 補助金交付額の変動は選定事業者の金融費用に大きな影響を与えるので、公募時に金額算定方法の明示や、管理者等によるリスクの分担の明確化を。
・ 税制関連法令の適用:管理者等が入札説明書等に示した税制関連法令の適用の前提が実現しなかった場合には、その税目による増加費用は管理者等負担とすべき。
・ 税法の適用について管理者等が一定の前提を置いたとしても、実現しなかった場合のリスク分担を併せて明示しなければ、参加者間の競争条件が確定されたとはいえない。
・ 入札前の税法適用にかかる前提が実現しなかった場合の税負担の増加分については、選定事業者が想定し得ない事項であるので、管理者等が負担すべき。
1-9 許認可の取得
・ 許認可の取得については、一律に選定事業者のリスク分担とされているが、選定事業者の許認可申請に過失ある場合にだけ選定事業者のリスク分担とする等すべき。
・ 公共が従来どおりの方法で事業を実施する場合には、「届け出」であったものが、PFI手法の場合には、「許可申請」を必要とするなど、PFIは、公共が自ら実施する場合と比べて、許認可取得に多くの時間と費用を要する場合があるので、「PFIで実施することにより、従来の公共事業とは異なる手続きが必要となる場合があり、従来以上に手続期間、費用等の負担があり得ることに留意する必要がある。」と明記すべき。
・ 管理者等と選定事業者との許認可取得にかかる責任分担を明確にするとともに、管理者等が所管行政機関と調整して、選定事業者が通常の作業により許認可を取得できる期間等を条件として明示しておく措置を望む。
・ 許認可取得遅延があった場合は、「引渡し(又は運営開始)予定日の遅延等」だけではなく、「それに関わる追加費用の補填」も明記する必要がある。
1-10 近隣説明
・ 住民説明は、選定事業者ではなく管理者等がすべき。
・ 「選定事業者の義務となる近隣対策の範囲については、合理的に要求される範囲等と限定する旨規定されることが通例である」とあるが、この記述をもって、管理者等が選定事業者に対し過度なリスク分担を求めないように、「合理的に要求される範囲」を具体的
に明記してほしい。
・ 本ガイドライン中の「合理的に要求される範囲」について、なるべく具体的に記述する必要がある。施設の設置自体にかかる事項、入札説明書等で建築規則が触れていない事項は管理者等の責任とすべき。住民協議による変更の可能性が高い場合には、あらかじめ負担について契約に定めることで合理的に変更が行えるルールづくりを明示する必要がある。
2. 施設の設計、及び建設工事にかかる事項
2-1-1 施設の設計、設計図書の提出
・ 性能発注工事における管理者等の関与の範囲を明確にすべき。設計の詳細まで管理者等が関与するのでは、性能発注の効果が削減される。
・ 実施設計が完成してから建設工程に着手するのではスケジュール面のメリットが現れない。
・ 入札参加者提案については、管理者等が提案書の詳細を確認していない場合が十分に想定されるので、入札参加者提案と仕様書との間に齟齬が生じた場合の変更の権利を規定すべき。
・ 設計段階で管理者等の帰責によって事業日程が遅延する可能性について明記すべき。
・ 選定事業者が設計業務に関して一切の責めを負っているのだから、設計業務の委託先を管理者等の承認対象とすることは不適切である。
・ 管理者等が施設の基本設計図書及び実施設計図書を提示し、選定事業者にVE提案を求めるような事業の可能性を記述するのは不適当。
・ 「上述のPFI事業契約締結後の選定事業者のVE提案は」を「上述に加え、PFI事業契約締結後の(中略)」にxxすべき。第二パラグラフに記述のVEは、通常、事業者選定前に行われるものであるため。
・ 第二パラグラフの「しかしながら、(中略)」は、事業者選定前のVEについての記述であり、削除すべき。
・ 選定事業者によるVE提案の記述中の、選定事業者に対するインセンティブは是非実施してほしい。
2-1-2 設計の変更、法令変更による設計変更
・ 「管理者等の求めによる設計変更に起因して、選定事業者が負担すべき施設整備にかかる費用が減少した場合は、合理的な範囲内において当該費用の減少分を「サービス対価」から減額することが考えられる。」に加えて「サービス対価」の減少により発生する合理的な費用(金融費用等)については管理者等負担と明記すべき。増加費用の支払方法が割賦払いの場合には、選定事業者のキャッシュフローに重大な影響を与える可能性があるので、一括払いとすべき。
・ 設計変更が工期の変更を伴わず、その増加費用を管理者等が負担する場合においても、設計変更につき選定事業者の承諾が必要。運営を前提とした事業である限り、運営業務を担う選定事業者の意向を踏まえる必要がある。
・ 選定事業者による設計変更については、制限を設けるべき
・ 「帰責に応じて費用分担する」旨の記述は、「選定事業者の求めによる設計変更」の場合ではなく、「双方協議による設計変更」の場合ではないか。
2-2-3 建設工事に伴う各種調査
・ 管理者等が事業用地の調査をできる限り実施して、その情報を選定事業者に開示することを事業の前提にすべき。
・ 埋蔵文化財の発見、土壌汚染は頻発することが予想される土地の瑕疵であり、かつ、対応の調整に時間を要すると想定される。本ガイドラインにおいて、これらに起因するリスクは管理者等が負担する旨明記すべき。
2-2-4 建設工事に伴う各種調査
・ 選定事業者に対して週間工程表まで提出させる義務を負わせることは、管理業務の省力化の観点からみて不適切。
2-2-5 第三者による実施(建設工事)
・ 選定事業者が、スポンサー企業に建設工事を発注するのが通例とする記述は不適切。
・ 建設請負契約の一括下請負の例外として、「発注者の書面による承諾」だけで認められている状況は法的基盤が脆弱なので、法的措置を望む。
2-2-6 工事監理者の監理報告
・ 「工事監理者から随時に報告を求めることができる旨規定される」とあるが、PFI事業契約は管理者等と選定事業者との間で締結されるものであって、管理者等が工事監理者等に随時報告を求めることに直接に報告を求めることによって契約関係があいまいになる。
2-2-7 工期の変更
・ 工期の変更の管理者等の帰責事由としては、「許認可取得の遅れ、事業そのものに対する住民の反対」など、具体的な事由を例示するのが望ましい。
・ 「工期の変更について協議が不調に終わった場合には、管理者等が合理的な工期を定め、選定事業者はこれに従う」とされているが、この際の条件変更についても明記すべき。
2-2-8 第三者に与える損害(設計・建設段階)
・ 「選定事業者が行う施設の建設工事(維持・管理、運営)による第三者に損害等については、選定事業者が負担する旨規定される。但し、当該損害のうち、管理者等の責めに帰すべき事由により生じた損害については、管理者等がこれを負担する旨規定される。」という表現を、帰責事由により管理者等と選定事業者が負担する等の表現とするのが適切。
・ 建設工事に伴い通常避けることのできない第三者に対する損害につき、選定事業者が善管注意義務を果たしていた場合、当該負担は管理者等負担とすべき。
・ 管理者等が規定して条件で問題が生じれば管理者等が責任をとる旨明快に規定すべき。
・ 「PFI事業においては、性能発注方式をとり、かつ、管理者等にとっては契約の相手方である選定事業者が発注者の立場になって、請負人である建設企業の間で施設の工事請負契約等が締結されるため、選定事業者が負担することも考えられる。」とあるが、P FI事業は公共事業の一形態であり、建設工事の直接の発注者が選定事業者であることをもって、建設工事に伴い避けることのできない理由による第三者への損害を選定事業者に負担させる理由とはならないので、当該記述を削除すべき。
2-3-1 現場立会い
・ 管理者等が施工状況について説明を求めることや、自ら現場に立ち会い確認するとの記述があるが、これらの管理者等の求めはPFIの趣旨に反する。
2-3-2 完工検査
・ BOTの完工検査は事業者の裁量に委ねることとし、BTOの完工検査に比べて相対的に簡便であるべきと考える。
・ 完工確認書の交付:
「完工確認書の交付条件(提出書類の様式を含む。)について具体的かつ明確に規定する必要がある。」とあるが、契約において完工確認書交付の期日を具体的に明記する必要があることを明記すべき。
2-4-1 施設の引渡し(BTO方式)
・ 「施設の引渡しをもって、建設工事に関して瑕疵担保責任を負う場合を除き、履行義務が完了した」とあるが、この表記は不適切。性能保証を課すこともあり、事業者にはサービス提供義務があるため。
2-4-2 引渡しの遅延
・ 管理者等の帰責事由による引渡遅延時に、管理者等が支払う選定事業者への損害額を「個別の実損害ではなく、遅延日数に応じた額の違約金の支払いを定める考えもある」とあるが、管理者等の責任に一定の制限を設けることは不当である。
2-4-3 施設の瑕疵担保
・ 「瑕疵が重要ではなく、その修補に過分の費用を要するときに、管理者等は選定事業者に対して施設の瑕疵修補を求めないとする」規定を事業契約に置くことは、事業の安定的な継続の観点から有用である。
・ 「BOT方式の場合、この瑕疵担保権の行使期間と関連して、施設の所有権移転後一定期間が経過するまで、選定事業者は解散してはならない旨規定することも考えられる。」とあるが、契約上、選定事業者に対しこのような要求をすることは、事業費に影響が及ぶことについて言及してほしい。
・ BOT方式の場合、契約期間終了前検査により判明した、選定事業者の帰責事由による瑕疵につき、選定事業者が修復するまでの間を瑕疵担保権の行使期間とすべき。
3. 施設の維持・管理、運営にかかる事項
3-5 第三者に与える損害(維持・管理、運営段階)
・ 住民運動が生じた場合の対応につき、原則は管理者責任とし、選定事業者に不作為、過失等が立証される場合には、選定事業者負担とすべき。
4. 「サービス対価」の支払
・ PFIに期待されている民間の創意工夫を引き出すために、管理者等による「サービス対価」の減額や支払留保だけではなく、インセンティブについても記述してほしい。
・ 建設工事費相当の「サービス対価」については、支払留保の対象とならないようにしてほしい。
・ BTO方式に限らずBOT方式の場合においても、選定事業者の瑕疵担保責任やファイナンス面の支障等をかんがみ、建設工事費相当の「サービス対価」については減額を行うべきではない旨明記すべき。
・ 「サービス対価」の支払いは、選定事業者が負担するリスクと対応したものとして考えられるべきという観点からも議論されるべき
・ 記述のとおり、物価の変動による「サービス対価」の改定について対象費用項目ごと(特に、水道料金等の消費者物価指数と関係なく変動する費用等)ごとに、適用する指数を吟味する必要がある。
・ 「金利の変動による「サービス対価」の改定はかかる費用を考慮すると、融資額が比較的少額の場合は、総体として費用増となる可能性がある。」とあるが、文意の明確化を。
・ 「金利変動リスクを「サービス対価」の改定に反映しない場合は、そのリスクは選定事業者が負うことになるが」を削除してほしい。
・ 契約期間中の技術進歩を踏まえ、「サービス対価」の減額改定には、選定事業者にインセンティブを付与する必要がある、一方、契約時よりも高度な維持管理・運営水準を要求する場合には、増加費用を管理者等負担とすべき。
5. 契約の終了
5-1 公共施設等の管理者等の解除権
・ 本ガイドライン中の「催告を行っても、債務不履行の是正が図られる見込みがない場合、管理者等は無催告で契約を解除しうる」や「法定解除事由である債務不履行の成立を必要としない約定解除事由を規定する場合も多い」は、一方の当事者の主観的判断で、かつ、無催告で契約解除できるとの誤解を招く。
・ 管理者等は、金融機関が事業を継承する第三者を見出す十分な猶予期間を設定し、かかる事業を継承する第三者が不適切な事業者でない場合は、管理者等は当該第三者による事業継続を原則として承諾すべき。
・ 管理者等の任意解除権の取得については一定の要件を設けるべき。
・ 「管理者等は、一定期間前にPFI事業契約を解除する旨選定事業者に通知することにより、任意にPFI事業契約を解除できる旨規定されることが通例である。」とあるが、
「(中略)解除できる旨規定することも可能である。」としてほしい。
・ 管理者等がPFI事業契約を解除する場合の損害賠償の範囲には、逸失利益を含めるべ
き。損害賠償の範囲に、出資金、融資残高、スワップ解約コストを含めるべき。
5-4 解除の効力
・ 「消費税率の変更による増加費用の分担は管理者等とするのが通例であり」とあるが、消費税の増税リスクを選定事業者負担とする事例もある。この際、本ガイドラインで管理者等の負担である旨明記してほしい。
・ 解除後の施設(出来形)の買受対価の支払い方法について、「管理者等が一括払い又は割賦払いとするかを選択する」とあるが、融資契約上の第三債務者たる管理者等が、独立に選択権を有するかのような表記は不適切。直接協定に基づいた協議によって、金融機関を含んだ当事者間の合意のもとで選択されることを強調すべき。
・ 解除後の施設(出来形)の買受対価の支払い方法について、「管理者等は、割賦払いを選択することにより財政支出を平準化できる」とあるが、一括払いは否定されるべきものとの誤解を与えるので、削除すべき。
・ 「PFI事業契約の解除後であるため施設の買受対価につき改めて予算措置が必要となり、割賦払いにより複数年度に亘りかかる債務を負担するには、国庫債務負担行為の設定を要する。」を削除すべき。解除後の施設(出来形)の買受対価の支払いは、事業契約上の清算行為であり、事業契約上の債務負担にあたる。新たに国庫債務負担行為の設定を要するとの表記は不適切。
・ 管理者等の事由による契約解除の場合の損害賠償に含める逸失利益の具体的範囲についての「解除時以降に管理者等が支払う予定であったサービス対価の数ヶ月分」との例示は不要。
5-5 違約金
・ 施設の完工後の違約金の額についての例示を削除して、「第三者を交えた機関でのxx妥当な協議結果による」とでもするべき。
・ 金銭債務と違約金とを相殺決済する規定を置くことが必要かつ当然と、管理者等が読むことのできる記述を削除し、民法の規定どおり決済するとの規定は削除すべき。
6. その他事項
6-3 遅延損害金
・ 支払遅延防止法に基づく3.6%の遅延損害金の料率は、金融市場の実勢に鑑みると低すぎる。市場の実勢を踏まえた表記に修正すべき。
不可抗力、法令変更
・ 不可抗力事由による契約解除について、一定期間内で協議不調の場合は、管理者等が一方的に契約解除を決定して、選定事業者がこれに従うとする記述は、契約のあり方として妥当ではない。
・ 不可抗力による損害には、「積極損害」のみならず、増加費用一般を含める必要がある。
・ 保険金の不可抗力による損害金の分担額からの控除につき、選定事業者が事業契約上の義務を超えて任意に加入していた保険金については、一律に控除すべきではない。
・ 国民的視点に立てば、警察、消防、自衛隊を含む公共が、天災等不可抗力に対して積極的な役割を果たすことが期待されている。PFIにおいても、公共が不可抗力に対する主たる役割を果たすべきだと思う。
・ 不可抗力リスクは管理者等が負担するべき。そもそものPFIの趣旨に鑑みると、民間に移転することによって、より効率的に管理できるリスクだけを民間に移転すべきだから。
・ 「広く民間企業一般に影響を及ぼすような法令変更に基づく設計変更についての費用負担は選定事業者とする考え方がある。」とあるが、法令変更リスクについて、選定事業者は予想できず、かつ、耐え得ない可能性があるので、事業者負担の制限をすべき。
・ 民間事業では法令変更の増加費用を価格に転嫁するか、価格への転嫁が不可能な場合には事業範囲の変更、あるいは最終的には事業から撤退する等の選択肢があるが、選定事業者にはその選択肢がないので、民間企業一般に影響を及ぼすような法令変更であっても、選定事業者の負担増につながる変更の場合は管理者等負担とするか、少なくとも双
方協議の対象とすべき。
・ 法令変更リスクと税制変更リスクは、選定事業者に管理できるリスクではない。適用法令の如何にかかわらず管理者等負担と明記すべき。
・ 「あらかじめ特定された法令以外の広く民間企業一般に影響を与える法令の変更に基づく増加費用は選定事業者の負担とすることが通例」とあるが、法令変更リスク負担は選定事業者にとって過大な負担と成り得ることから、「あらかじめ特定された法令以外の広く民間企業一般に影響を与える法令の変更に基づく増加費用についても管理者等負担とするか、少なくとも協議の対象とすべきである。」にxxしてほしい。
別紙 「基本協定」
・ 管理者等の帰責事由により事業契約の締結が不調に終わる場合に、選定事業者の投じた費用を管理者等が補償すべき。
・ 選定事業者として株式会社以外の形態も認める余地を残すべき
・ 金融機関からは、SPCからコンソーシアム構成企業等業務を実施する企業に対してリスク移転をすることが要請される。一方、管理者等からは、SPCが業務実施人員を直接に雇用又は出向受けするなど会社の実体化が求められる。本ガイドラインが、事業内容、会社形態、事業方式間の整合性を示すことを望む。
ガイドライン全般について
・ 本ガイドライン全般にわたって、選定事業者のリスク分担が極めて大きい。本ガイドラインによって選定事業者の過度なリスク分担が是認されるとなれば、プロジェクトファイナンスによる融資が難しくなる虞がある。
・ PFI事業は、当事者間の対等性という旧来の官民意識には沿わない考え方が基本となる。本ガイドラインにおいて、契約上の規定につき従来型の官民間の契約との相違を極力整理してほしい。
・ 本ガイドラインでは、「~が通例」との表現が多い。PFIは新しい事業方式なのだから、
これまでの「通例」に影響されずに、今後、ガイドラインに更なる工夫がなされることを強く望む。
・ 損害賠償の範囲に選定事業者の「得べかりし利益」が含まれるのか、本ガイドラインで明らかにしてほしい。
・ 工期の短縮や早期供用へのインセンティブについて、本ガイドラインに記述するべき
・ 事業そのものの必要性にかかわる合意形成の扱いについて、本ガイドラインに記述する必要がある。
今後、継続して契約ガイドラインの検討を望む分野
・ (想定される事業)
PFIの効果が期待される運営業務の比重の重い事業が本来のPFIの趣旨に沿うものである旨、本ガイドラインに明記すべき。今後は、運営業務の比重の重いBOT事業、民間収益施設との合築事業、廃棄物処理事業(プラント型事業)その他の事業を想定したガイドラインの整備が必要である。
・ (取り上げる契約の条項)
環境影響評価に係る手続き、用地確保、レストランや売店等の付設施設の需要リスク等の分担について、本ガイドラインに明記、または引き続きの検討を望む。
・ (事業者選定方式)
本ガイドラインでは、総合評価一般競争入札方式を前提としたものであるが、地方自治体で採用されている公募プロポーザル方式についても検討することを望む。
・ (資金調達の多様化)
機動的かつ円滑な資金調達に向けて、スポンサーが選定事業者の株式を他のスポンサー又は第三者に譲渡するメリットとその方法について明記すべき。
取り扱い対象外事項
・ PFI施設と民間収益施設の合築の場合、民間収益施設を使用する事業者に行政財産の
使用許可を認めるように。