I/V、輸入貨物
輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会
買手が第三者に支払う業務手数料の取扱いについて
x 会 | ||
照会内容等 | ① 輸入貨物の品名 | 電子機器部品(税表分類:第 85 類) |
② 照会の趣旨 | 「業務委託契約」に基づき支払われる手数料が輸入貨物の課税価格に算入されるか否かについて照会するものです。 | |
③ 取引の概要及びx x評価に関する照会者の見解とその理由 | 別紙1のとおり。 | |
④ 関係する法令条項等 | 関税定率法第4条第1項第2号イ | |
⑤ 添付書類 | 照会の趣旨及びその理由等の照会事項に関する参考資料 |
回 答 | |||
回答年月日 | 令和 2 年 5 月 29 日 | 回答者 | 神戸税関業務部首席関税評価官 |
回答内容 | 別紙2のとおり。 ただし、次のことを申し添えます。 (1) 回答内容は、あくまで照会に係る事実関係を前提としたものであり、具体的な事例において異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には、回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。 (2) 回答内容は、税関としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありませんのでご留意ください。 |
内容
貨物代金(T/T)
同
業務委託契約
業務委託手数料
業務委託先 Q社他1者
(A国)
輸出者・売手 S社他1者
(A国他)
輸入者・買手 B社
(本邦)
売買契約
I/V、輸入貨物
業務委託先の他1者:R社(A国)
※輸入者と特殊関係にはない
(1) 本邦所在の輸入者(買手)であるB社(以下「輸入者」という。)は、A国他所在の輸出者(売手)である S社他1者(以下「輸出者」という。)と売買契約書を交わし、電子機器部品(以下「輸入貨物」という。)を FOB 又は FCA 条件で輸入(購入)しています。なお、輸入者と輸出者の間に特殊関係はありません。
(2) 輸入貨物の発注手順は、輸入者が輸出者に対して、購入を希望する貨物の仕様及び数量を電子メール又は自社のシステムで連絡を行います。輸出者は、当該連絡に基づき見積書を作成し輸入者に貨物に係る価格等の取引内容を電子メール又はシステムで連絡します。輸入者は輸出者から送付された見積書の内容に問題がなければ、見積り内容をシステムに登録し発注書を作成し、輸出者に送付するとともに、購入予定貨物の納期確認を行います。輸出者は発注書を受領したら、売買契約書に定められた営業日以内に受諾通知書又は書面若しくは電子的方法で受諾の意思を伝え、受諾の通知を行った時点で、発注が確定します。また、売買契約書に定められた営業日以内に輸出者から通知がない場合も、受諾されたものとみなし、発注が確定します。
(3) 輸入者は、個々の輸入取引において、輸入貨物の量産発注前に、上記2.(2)の手順に従い、輸出者に試作品の発注を行います。輸入者は、輸出者が製造した試作品を現地で又は輸入し本邦で、外観・サイズ・色等を含む品質確認を行います。品質確認の結果、輸入者が、試作品の品質について合格と判断すると、上記2.(2)の手順に従い、輸出者に対して量産の発注を行います。
輸出者は、当該発注に基づき貨物を量産し、出荷できる状態となった時点で、輸入者に対して輸出者名義のINVOICE、PACKING & WEIGHT LIST、BILL OF LADING(以下「輸入関係書類」という。)を輸入者に送付し、貨物を出荷します。輸入者は輸出者から送付された輸入関係書類に基づき輸入(納税)申告を行い、貨物を引き取ります。
(4) 輸入者は、当該輸入取引において、A国所在の子会社であるQ社及び同国所在のR社との間で、業務委託契約を締結し、下記2.(5)及び(6)の業務をそれぞれ委託しています。
(5) 輸入者は、Q社と業務委託契約に基づき、輸入貨物の量産前後の以下の業務を委託しています。
①新製品の立ち上げ
②取引先(輸出者)及び輸出者の下請会社のモニタリング/パトロール
③トラブルシューティング
④新たな技術及びローコスト部材/取引先のソーシング
⑤取引先(輸出者)との関係構築、維持及び強化
⑥日本からの関連する出張者のサポート
具体的には、Q社は、本件輸入取引において、輸出者及び輸出者の下請け会社の貨物生産体制の確認((5)②)、輸出者及び輸出者の下請け会社が生産した試作品の品質確認を、輸入者と又は輸入者に代わり行い((5)①)、契約の仕様内容と異なる点やバリ(樹脂を金型に流し込み金型のパーティングから漏れる樹脂が固まってできたもの)及び歪み等を確認した際には、輸出者及び輸出者の下請け会社に原因を確認させるとともに、必要に応じて、輸入者より製造工程の見直しや生産に使用されている金型等の再調整の改善指導の依頼を受け、輸出者及び輸出者の下請け会社に指示を行います((5)
③)。また、新規取引先の開拓((5)④)及び輸入者に代わり輸入取引に関する納期や価格交渉等の業務を行います((5)⑤)。さらに、輸入者が輸出者及び輸出者の下請け会社の工場に製品の確認に行く際のサポートも行います((5)⑥)。
上記業務について、Q社は本件業務実xxの翌月の月初めに、「月次報告書」を作成し、輸入者に業務内容の報告を行っています。輸入者は、当該月次報告書で委託業務の実施状況の確認を行い、Q社から送付される「INVOICE」に基づき、月定額の業務委託料を支払います。
(6) 次に、輸入者は、R社との業務委託契約に基づき、輸入貨物の量産前後の業務として、以下の業務を委託しています。
①輸入者とA国ベンダー(輸出者)間の連絡サポート
②製造工場(輸出者及び輸出者の下請会社)での製品品質確認
③次世代製品開発計画に必要な情報提供
④主要な部品ベンダー(輸出者)との関係確立及び強化
具体的には、R社は、本件輸入取引において、量産段階での輸入貨物の品質確認を行い、問題点を確認した際には、輸入者に報告するとともに、輸入者の依頼に基づき、輸出者及び輸出者の下請け会社に生産方法の見直し指示を行います((6)②)。また、輸入者が輸出者及び輸出者の下請け会社の工場に製品の確認に行く際のサポート((6)①)、さらに、必要に応じて、現地での新規取引先(輸出者)の開拓を行います((6)③及び④)。
上記業務について、R社は本件業務実xxの翌月の月初めに、「Monthly Report」を作成し、輸入者に業務内容の報告を行っています。輸入者は、当該レポートで委託業務の実施状況の確認を行い、R社から送付される「INVOICE」に基づき、Monthly Report に記載された就業日数から算出した業務委託の対価を支払います。
(7) 輸入者は、Q社及びR社の輸入取引上の立場として、下記のとおり説明しています。
(ア)Q社及びR社は、輸出者及び輸出者の下請け会社の工場において試作品及び量産品の出荷前検査における品質確認を行うが、最終的な品質の合否判断は必ず輸入者が行い、Q社及びR社が合否判断を行うことはありません。
(イ)輸出者は2者存在しますが、輸入貨物の完成後本邦向けに出荷する際、Q社及びR社は輸入貨物の取りまとめ等は行わず、輸出者が売買契約による引き渡し指定場所までの責任及び危険を負担 しており、輸入者指定の運送人に貨物を渡した時点で、輸出者から輸入者に危険負担が移行します。
(ウ)Q社及びR社は、輸入貨物に瑕疵、欠陥、その他の品質不良が発生した際には、自らが当該瑕疵、欠陥、その他の品質不良に対して責任を負うことはありません。
(エ)輸入取引は輸出入者の計算と危険負担により行われており、Q社及びR社は当該輸入取引に関して自己の計算で売買を行うことはありません。また、輸出者とQ社及びR社との間に輸入貨物の販売に係る業務委託関係及び代理関係等はなく、両者が輸出者から手数料を受領している事実もありません。
(オ)輸入者は、Q社及びR社に業務委託しなくても輸出者との輸入取引を行うことは可能ですが、輸入取引の利便性を考慮しQ社及びR社に業務委託しています。
(8) なお、輸入者は、本件輸入取引におけるQ社とR社に対して委託する業務内容について、明確な切り分けは行っていないが、Q社に対しては、主に輸入貨物の量産前の生産体制の確認及び試作品の仕上がりの確認を委託し、R社に対しては、主に量産後の輸入貨物の品質に関する確認を依頼していますが、必要に応じて、Q社に対して量産後の業務を、R社に対して量産前の業務、例えば、輸入者と輸出者が行う製品開発を行う会議の手配を行い、その結果を報告する業務も委託すると説明しています。
輸入者と輸出者は、輸入取引における輸入貨物の品質、数量、価格等について取り決め、瑕疵、数量不足、事故、不良債権等の危険を負担する者であることから、輸入者と輸出者との売買が輸入取引であり、輸入者が買手、輸出者が売手となる。
本取引において、Q社とR社は、輸入者と締結した業務委託契約に基づき、輸入者の指示により輸入者 と共に又は輸入者に代わって、輸出者の生産体制及び輸入貨物の品質の確認業務等を行っている者であることから、輸入者がQ社とR社に支払う「業務委託手数料」は、関税定率法第4条第1項第2号イに加算要素として規定される「仲介料その他の手数料」から除外される「買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるもの」に該当し、課税価格に算入する必要はない。
輸入者がQ社及びR社に支払う業務委託手数料は、関税定率法第4条第1項第2号イに規定する「買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるもの」に該当することから、輸入貨物の課税価格に算入されません。
関税定率法(以下「法」という。)第4条第1項本文において、輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」という。)は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格とすると規定されています。
上記「運賃等の額」として、同項第2号イにおいて、輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料のうち、仲介料その他の手数料(買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるものを除く)は課税価格に算入するとされています。
法基本通達(以下「通達」という。)4-1(1)において、「輸入取引」とは、本邦に拠点を有する者が買手として貨物を本邦に到着させることを目的として売手との間で行った売買であって、現実に当該貨物が本邦に到着することとなったものをいい、通常、現実に貨物を輸入することとなる売買がこれに該当するとされています。また、同(3)において、輸入取引における「買手」「売手」とは、実質的に自己の計算と危険負担の下に輸入貨物に係る輸入取引をする者であるとされています。
通達4-9(1)において、仲介料その他の手数料とは、輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払う手数料をいい、このうち、「買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として買手により支払われる手数料(買付手数料)」以外のものは、課税価格に算入するとされています。
さらに、同(3)において、買付手数料に該当するか否かの判断は、契約書等における名称のみによるものではなく、手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行うものとし、具体的には以下のイからハまでによるとされています。
イ 手数料を受領する者が「買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を行う者」であることが、買付委託契約書等の文書により明らかであること
この場合において、「買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を行う者」とは、買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により(イ)から(ニ)までのような業務を行う者をいう。ただし、当該手数料を受領する者が一の輸入取引に関し売手と買手の双方を代理している場合には、当該手数料は買付手数料には該当せず、課税価格に算入する手数料となる。
(イ) 契約の成立までの業務(例えば、供給者を探し、買手の要求を売手に通知し、見本を集める業務)
(ロ) 商品の引渡しに関する業務(例えば、貨物を検査し、貨物についてのxx、運送、保管、引渡しを手配する業務)
(ハ) 決済の代行に関する業務(ただし、手数料を受領する者が自己の資金により輸入貨物代金の支払を行う場合には、自己の計算と危険負担の下で活動し荷主としての損失を被っていたり又は利益を得ていたりする可能性があることに留意する。)
(ニ) その他(例えば、クレーム処理に関する交渉を行う業務)
ロ 手数料を受領する者が買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を実際に行っているという実態の存在が文書や記録その他の資料により確認できること
ハ 税関の要請がある場合には、売手と買手との間の売買契約書、輸入貨物の売手(製造者等)が買手にあて作成した仕入書等を提示することが可能であること
また、同(3)なお書きにおいて、
手数料を受領する者が、上記イに掲げるような輸入貨物の買付けに関し買手を代理して行う当該買付けに係る業務に加えてその他の役務(例えば、当該輸入貨物を工場から輸出港又は輸出場所へ輸送することについて手配するのではなく、自ら貨物を輸送する等)を提供し、当該役務の対価を含む手数料を買手が支払う場合、当該手数料の総額を買付手数料に該当するものとして取り扱うことはできない。ただ
し、当該手数料のうち、輸入貨物の買付けに関し買手を代理して行う買付けに係る業務の対価に相当する額を買手が証明した場合は、当該相当する額は買付手数料に該当するものとして取り扱うものとする。
とされています。
本件取引において、本邦所在の輸入者は、A国他所在の輸出者2者と売買契約書を交わし、以下(1)から(2)のように輸入貨物を FOB 又は FCA 条件で本邦に輸入(購入)しています。
(1)貨物の仕様、数量、価格、納期等の合意、発注及び売買契約の成立
輸入者は、輸出者と貨物の仕様、数量、価格、納期等を自ら取り決め、輸出者に発注書を送付することにより売買契約を成立させています。また、輸出者は、輸入者からの発注を受諾することで売買契約に合意し、貨物の製造を行います。以上のことから、輸入者と輸出者が輸入貨物の売買の当事者であると言えます。
(2)貨物の品質確認、出荷、引渡し及び危険負担
輸入者及び輸出者は、試作品及び量産品の出荷に際し、輸出者及び輸出者の下請け会社の工場において輸入者が業務を委託しているQ社及びR社が出荷前の品質確認を行うことに合意しています。当該品質確認で問題がなければ、輸入貨物を輸出者が輸入者指定の運送人に引き渡しますが、引渡し後に輸入貨物に係る毀損、滅失等の危険を負担するのはあくまで輸入者とされています。このため、輸入者は輸入貨物の引渡し後、本邦までの輸送に係る保険を自ら付しています。以上のことから、輸入者と輸出者が貨物を本邦に到着させることを目的として FOB 又はFCA 条件で売買を行い、当該売買における貨物の瑕疵、数量不足、事故等の危険を負担していると言えます。
以上の取引に係る具体的事実から、貨物を本邦に到着させることを目的として、実質的に自己の計算と危険負担の下に取引を行っているのは輸入者と輸出者であり、両者の間の売買により実際に貨物が本邦に到着することになったと認められます。したがって、輸入者と輸出者の間の売買が法第4条第1項に規定する「輸入取引」となり、輸入者が買手、輸出者が売手であると認められます。
(1)輸入者がQ社に支払う手数料について
輸入者は、業務委託契約に基づきQ社が行う業務の対価として、月定額の手数料を支払っています。輸入者はQ社に対して主に輸入貨物の量産前の生産体制の確認及び試作品の仕上がりの確認を委託していますが、当該手数料が買付手数料に該当するか否か、当該手数料を受領するQ社が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して、通達4-9(3)イからハに沿って検討します。
① 価格交渉、発注及び売買の成立における役割
価格交渉の段階から売買の成立に至るまでにおいて、Q社は輸入者の指示に従って、貨物を製造できる供給者を探し、試作品の製造を依頼します。輸入者が取引相手として決めた輸出者に対し輸入者に代わって要望を伝え、価格、納期、製品の規格等の取引条件に係る交渉を行い、最終的には輸入者が発注書を輸出者に送付することで、輸入者と輸出者の売買契約を成立させています。
Q社はこれらの業務を輸入者の指示に従って行っている実態が提出書類から確認できます。以上のことから、Q社は通達4-9(3)イ(イ) 契約の成立までの業務(例えば、供給者を探し、買手の要求を売手に通知し、見本を集める業務)を買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により行っていると認められます。
② 貨物の品質確認、出荷、引渡しにおける役割
貨物の品質確認及び引渡しに係る検査に関して、輸入者は輸出者及び輸出者の下請け会社の工場において出荷前検査をQ社に委託しています。Q社は輸入者と又は輸入者に代わり品質確認を行い、輸入者より製造工程の見直しや生産に使用されている金型等の再調整の改善指導の依頼を受け、輸出者及び輸出者の下請け会社に改善指示を行います。輸入者が同行しない場合は、検査結果を輸入者に報告していることが提出された「月次報告書」から確認できます。
以上のことから、通達同(ロ) 商品の引渡しに関する業務(例えば、貨物を検査し、貨物についてのxx、運送、保管、引渡しを手配する業務)について、Q社は、買手の管理の下で、買手の計算と危険負担によ り、貨物の引渡しに係る検査を行っていると認められます。
以上のような業務内容が業務委託契約書に規定されており、輸入者が要求する仕様どおりの貨物を輸入するためにQ社が当該業務を輸入者の指示の下に行っていることが具体的な資料から確認できます。
また、輸入者は、Q社が輸出者の計算と危険負担により輸入貨物の売買に関与せず、輸出者との間に輸入貨物の販売に係る業務委託関係及び代理関係等はなく、輸出者から手数料を受理している事実はないと説明しています。
よって、Q社は輸入貨物の買付けに関し、通達4-9(3)イに規定する買手である輸入者を代理して業務を行う者であると認められます。さらに業務委託契約書の内容に沿ってQ社が業務を行っている実態が他の提出書類により具体的に確認できることから、通達同(3)ロの要件を満たします。また、輸出者が輸入者に宛てた仕入書等も提示されており、通達同(3)ハの要件も満たしています。
(2)輸入者がR社に支払う手数料について
輸入者は、業務委託契約に基づきR社が行う業務の対価として、R社から報告される「Monthly Report」に記載された就業日数から算出した手数料を支払っています。当該手数料が買付手数料に該当するか否か、当該手数料を受領するR社が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して、通達4-9(3)イからハに沿って検討します。
① 売買の成立における役割
輸入者の説明によれば、売買の成立に至るまでにおいて、R社は輸入者の指示に従って、貨物を製造できる供給者を探し、輸入者が取引相手として決めた輸出者と製品開発を行う会議を手配し、その結果を報告します。最終的には輸入者が発注書を輸出者に送付することで、輸入者と輸出者の売買契約を成立させています。
R社はこれらの業務を輸入者の指示に従って行っている実態が提出書類から確認できます。以上のことから、R社は通達4-9(3)イ(イ) 契約の成立までの業務(例えば、供給者を探し、買手の要求を売手に通知し、見本を集める業務)を買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により行っていると認められます。
② 貨物の品質確認、出荷、引渡しにおける役割
貨物の品質確認及び引渡しに係る検査に関して、輸入者は輸出者及び輸出者の下請け会社の工場において出荷前検査をR社に委託しています。R社は輸入者と又は輸入者に代わり品質確認を行い、問題点を確認した際には輸入者より生産方法の見直し指示を受け、輸出者及び輸出者の下請け会社に改善指示を行います。輸入者が同行しない場合は検査結果を輸入者に報告していることが提出された
「Monthly Report」から確認できます。以上のことから、通達4-9(3)イ(ロ) 商品の引渡しに関する業務
(例えば、貨物を検査し、貨物についてのxx、運送、保管、引渡しを手配する業務)について、R社は、買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により、貨物の引渡しに係る検査を行っていると認められます。
上記の業務内容は業務委託契約書に規定されており、R社が当該業務を輸入者の指示の下に行っていることが具体的な資料から確認できます。
また、輸入者は、R社が輸出者の計算と危険負担により輸入貨物の売買に関与せず、輸出者との間に輸入貨物の販売に係る業務委託関係及び代理関係等はなく、輸出者から手数料を受理している事実はないと説明しています。
よって、R社は輸入貨物の買付けに関し、通達4-9(3)イに規定する買手である輸入者を代理して業務を行う者であると認められます。さらに業務委託契約書の内容に沿ってR社が業務を行っている実態が他の提出書類により具体的に確認できることから、通達同(3)ロの要件を満たします。また、輸出者が輸入者に宛てた仕入書等も提示されており、通達同(3)ハの要件も満たしています。
Q社及びR社が輸入取引において果たしている役割及び提供している役割の性質を考慮すると、輸入者がQ社及びR社に支払う業務委託手数料は、法第4条第1項第2号イに規定する「買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるもの」に該当することから、輸入貨物の課税価格に算入されません。