1 現況と課題(別記掲載頁 P44~P75) 40
平成16年2月4日
秋田県知事
x x x x x
包括外部監査人
公認会計士 x x x
xx15年4月1日付包括外部監査契約書7条に基づき外部監査の結果についての報告書を提出いたします。
平成 15 年度
包 括 外 部 監 査 の 結 果 報 告 書
試験研究機関の事業に係る財務事務
秋田県包括外部監査人
公認会計士 x x x
目 次
包括外部監査の結果報告書 1
第1 外部監査の概要 1
1 外部監査の種類 1
2 選定した特定の事件(監査テーマ) 1
3 特定の事件(監査テーマ)を選定した理由 1
4 外部監査の方法 2
5 外部監査の実施期間 3
6 外部監査人補助者の資格、人数及び氏名 3
7 利害関係 3
第2 試験研究機関の概要 4
Ⅰ xx県衛生科学研究所 4
1 概要 4
2 業務現況 4
Ⅱ xx県環境センター 7
1 概要 7
2 業務現況 7
Ⅲ xx県農業試験場 9
1 概要 9
2 業務現況 9
Ⅳ xx県果樹試験場 13
1 概要 13
2 業務現況 13
Ⅴ xx県畜産試験場 16
1 概要 16
2 業務現況 16
Ⅵ xx県水産振興センター 18
1 概要 18
2 業務現況 19
Ⅶ xx県森林技術センター 21
1 概要 21
2 業務現況 22
Ⅷ xx県総合食品研究所 23
1 概要 23
2 業務現況 24
Ⅸ xx県工業技術センター 27
1 概要 27
2 業務現況 28
Ⅹ xx県高度技術研究所 30
1 概要 30
2 業務現況 31
第3 外部監査の結果 34
Ⅰ 人事関係 34
1 退職時の昇給 34
2 時間外勤務の承認 36
3 勤続年数2年超の臨時職員 36
Ⅱ 契約関係 37
1 随意契約(大気汚染常時監視測定機器等保守管理業務委託の契約方法) 37
2 単価契約 38
3 契約内容と実施内容の乖離 39
包括外部監査の結果報告書に添えて提出する意見 40
Ⅰ 要 約 40
1 現況と課題(別記掲載頁 P44~P75) 40
2 個別事項(別記掲載頁 P76~P103) 41
Ⅱ 現況と課題 44
1 財務の状況 44
2 研究員の年代別状況 49
3 研究課題の評価 50
4 生産事業と原価計算 57
5 成果の把握(普及現況) 58
Ⅲ 成果目標の設定と責任の明確化 61
1 成果目標の設定 61
2 研究成果量の測定方法と研究の評価方法 62
3 責任の明確化 63
Ⅳ 今後の方向性についての提言 69
1 各試験研究機関の存在意義の見直し 69
2 試験研究機関の統合 71
3 業務コストの削減への取り組み 72
4 地方独立行政法人化の検討 73
Ⅴ 個別事項 76
1 固定資産の状況 76
2 固定資産の管理 89
3 契約関係 93
4 収入関係 98
5 研究課題(水産振興センター) 99
6 特許 101
7 その他(森林技術センター) 102
<添付資料> 104
Ⅰ 決算数値の推移 104
1 xx県衛生科学研究所 104
2 xx県環境センター 104
3 xx県農業試験場 105
4 xx県果樹試験場 105
5 xx県畜産試験場 106
6 xx県水産振興センター 107
7 xx県森林技術センター 107
8 秋田県総合食品研究所 108
9 xx県工業技術センター 108
10 xx県高度技術研究所 109
Ⅱ 行政コスト計算書 110
1 平成 13 年度要約1 110
2 平成 13 年度要約2 111
3 平成 14 年度要約1 112
4 平成 14 年度要約2 113
5 独立行政法人(平成 12 年度) 114
6 独立行政法人(平成 13 年度1) 115
7 独立行政法人(平成 13 年度2) 116
Ⅲ 人員の状況(年代別研究員の推移) 117
Ⅳ 生産高、販売高推移 123
1 xx県畜産試験場 123
2 xx県水産振興センター 123
Ⅴ 償却資産の状況 124
1 取得価額、簿価 124
2 耐用年数及び経過年数 125
3 独立行政法人の状況 125
Ⅵ 保有特許の状況 126
包括外部監査の結果報告書
第1 外部監査の概要
1 外部監査の種類
地方自治法第 252 条の 37 第 1 項の規定に基づく包括外部監査
2 選定した特定の事件(監査テーマ)
試験研究機関の事業に係る財務事務
(1) 外部監査の対象
次の 11 機関を対象とした。
xx県衛生科学研究所、秋田県環境センター、xx県農業試験場、xx県果樹試験場、xx県畜産試験場、xx県水産振興センター、xx県森林技術センター、
xx県総合食品研究所、xx県工業技術センター、xx県高度技術研究所、
秋田県立脳血管研究センター(以下、文中においては「秋田県」または「秋田県立」を省略して記載している。)
なお、脳血管研究センターにおける研究等に係る財務事務については、別冊「病院事業に係る財務事務及び経営管理」に含めて記載している。
(2) 監査対象期間
平成 14 年 4 月 1 日から平成 15 年 3 月 31 日まで
なお、必要に応じて、上記以外の期間も監査の対象に含めている。
3 特定の事件(監査テーマ)を選定した理由
秋田県には、現在 10 の試験研究機関(脳血管研究センターを除く)があり、総額約 413 億
円の投資を行った上、毎年約 50 億円の支出を行っている。
しかし、これらの試験研究機関の県民への貢献度に対する評価及びその公表が必ずしも十分に実施されているとはいえず、結果として、これらの試験研究機関がどれだけの貢献を行っているのかが不透明になっている。
このため、試験研究機関の財務事務が関係法令に準拠して遂行されているか、またその事
務が地方自治法第 2 条第 14 項及び第 15 項の趣旨(経済性、効率性、有効性)を達成していくように運営されているかどうか、につき監査する必要があると認め、当該テーマを選定した。
4 外部監査の方法
(1) 監査の要点(着眼点)
監査の要点は次のとおりである。
①各試験研究機関の財務事務が関係諸法令に基づき適正かつ効率的に行われているか。
②各試験研究機関がその設置目的に則した活動を行っているか。その活動は県の政策目的と整合しているか。また、活動の評価は適切に行われているか。
(2) 実施した主な監査手続
実施した主な監査手続は次のとおりである。なお、監査手続の適用にあたっては効率的な監査を実施するという観点から、重要と判断したものに限定し、原則として試査(注)により行った。
(注)試査とは、特定の監査手続の実施に際して監査対象となる母集団からその一部の項目
を抽出し、それに対して監査手続を実施することをいう。
①監査対象の全般的把握のために行った手続
・業務年報を閲覧した。
・監査資料を閲覧した。
・行政コスト計算書を閲覧した。
・研究課題評価調書を閲覧した。
・行政コスト計算書につき、類似独立行政法人の数値と比較・分析することにより現状の課題を明らかにした。
②監査対象の個々の事項について行った手続
・人件費の支出につき、法令との整合性を関係書類を閲覧することにより検討した。
・固定資産の取得・管理状況につき、関係書類を閲覧することにより検討した。
・契約事務につき、関係書類を閲覧することにより検討した。
・特許権の管理状況につき、関係書類を閲覧することにより検討した。
5 外部監査の実施期間
平成 15 年 4 月 1 日から平成 16 年 1 月 29 日まで
6 外部監査人補助者の資格、人数及び氏名
公認会計士 | 9 名 | |||
公認会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | |
xx会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | x |
公認会計士 | x | x | x | x |
7 利害関係
包括外部監査の対象とした事件につき、地方自治法第 252 条の 29 の規定により記載すべき利害関係はない。
第2 試験研究機関の概要
Ⅰ xx県衛生科学研究所
1 概要
(1) 業務内容
衛生科学研究所は、xxxxx組織規則(第 81 条~第 83 条)で、「県民の保健衛生の
向上に関する試験検査及び調査研究を行う機関とする」(第 81 条)とその設置目的等が規
定されている。一方、地域保健法第 4 条に基づき策定された厚生省告示「地域保健対策の
推進に関する基本的指針」(平成 6 年 12 月 1 日、平成 12 年 3 月 31 日改訂)の第四「地域保健に関する調査及び研究に関する基本的事項」にも定められているように、地方衛生研究所は地域における衛生行政における科学的・技術的中核機関として、法体系の中に位置づけられている。
これらを基に衛生科学研究所では、①調査研究、②試験検査、③情報収集・解析・提供、
④研修・技術支援業務を4本柱として、地域保健行政を科学的に支援し、行政判断の根拠となる科学的知見を提示し、また行政が判断するために必要な材料を提供することを基本理念として、地域保健に関する総合的な調査及び研究を行うことを主たる業務としている。
(2) 規模等
①人員
研究職 24 名、事務職 4 名、その他 1 名 合計 29 名(平成 14 年 5 月 10 日現在)
②年間予算等
年間予算 約 4 億円(人件費含む)
投下資本 12 億円(建物 10 億円、研究機器等 2 億円)
2 業務現況
平成 13 年度の検査等にかかる行政依頼・一般依頼業務の実績は次のとおりであり、行政
依頼がその大半を占めている(「xx県衛生科学研究所報 第 46 輯平成 13 年度」より)。
表 1-1 行政依頼の業務実績
項 目 | 件数 | 主な内容 |
細菌・ウィルス等の試験検査 | 5,719 | 3 類感染症に係わる病原微生物検査 2,660 件、 感染症発生動向調査 1,043 件 |
マススクリーニング | 17,023 | 先天代謝異常症 9,734 件、神経芽細胞種 7,288 件 |
食品監視指導業務に係る検査 | 178 | 残留合成抗菌剤検査 50 件、残留農薬実態検査 60 件 |
家庭用品試買検査 | 75 | 有害物質(4 成分) |
医薬品等監視指導業務に係る検査 | 13 | 薬品、医薬部外品、医療用具 |
飲料水関係検査 | 23 | 水道水、井戸水の農薬検査 21 件 |
地熱開発地域環境調査 | 45 | 温泉分析 |
環境放射能水準調査 | 568 | β-線、γ-線等の放射線量測定 |
その他の行政依頼検査 | 62 | 残留農薬検査等 |
栄養調査等に関する業務 | 334 | 県民栄養調査みそ汁塩分濃度測定 |
感染症発生動向調査依頼業務 | 2,026 | 患者・病原体情報の収集、報告、還元、解析 |
結核発生動向調査依頼業務 | 239 | 月報・年報の収集、報告、還元 |
花粉症予防対策依頼業務 | 661 | スギ花粉予報作成・提供 63 件、 花粉症患者調査 598 件、花粉症患者数 2,036 人 |
計 | 26,966 |
表 1-2 一般依頼の業務実績
項 目 | 件数 | 主な内容 |
細菌・ウィルス等の試験検査 | 512 | 感染症発生動向調査に係わる検査 294 件 SRSV 検査 102 件 |
食品の試験検査 | 56 | 残留農薬検査 25 件、貝毒検査 10 件 |
計 | 568 |
表 1-3 研究所利用者数推移
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
医学生実習 | 26 | 26 | 35 | 15 | 16 |
県立xxインターンシップ | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 |
(注)健康管理部、微生物部、理化学部で検査実習を実施している。
表 1-4 論文数推移
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
研究所外の機関発行の論文数 | 4 | 5 | 2 | 1 | 14 |
実用化数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(注)研究所外への論文発表は主に微生物部の研究者が日本ウィルス学会、感染症学会に発表したものである。
Ⅱ xx県環境センター
1 概要
(1) 業務内容
秋田xxx組織規則において、環境センターの業務内容は次のように規定されている。第 102 条の 2 環境センターは、次の事務を行う機関とする。
一 環境の保全に関する施策策定に必要な調査研究に関すること
二 環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適切に実施するために必要な監視等に関すること
三 環境の保全に関する情報の提供に関すること
これを受けて、環境センターは環境行政の技術的分野を担う試験研究機関として、環境大気質の常時監視をはじめ、工場の排ガスや排水に伴う大気汚染、水質汚濁などの公害問題、生活排水等の都市型・生活型公害、化学物質による環境汚染問題、さらには酸性雨やオゾン層の破壊等の地球環境問題などに関する各種の調査研究を進めている。また、環境問題への意識向上のため、環境教育に係る事業も積極的に推進している。
(2) 規模等
①人員
技術(研究)職 15 名、事務職 4 名、その他 1 名 合計 20 名(平成 15 年 5 月 12 日現在)
②年間予算等
年間予算 3.7 億円
投下資本 約 6 億円(建物 2 億円、研究機器等 3 億円他)
2 業務現況
(1) 研究内容
環境行政の技術的分野を担う機関であり、調査研究の主体は各種調査となっている。これらの調査を踏まえて、環境問題の原因・改善につながる研究課題を選定している。
(2) 研究成果
環境センターの調査研究は、人為的汚染のない清浄地域(バックグランド)を含む環境実態調査をはじめ特異な現象(挙動)解明調査、環境影響予測など地域の良好な環境の保全と環境改善を目的として行っているものであり、単純に研究成果の計数的把握や期待される成果量を把握することはできない。あえて成果という点であげるとすれば、調査研究結果に基づく環境改善につながる関連施策の実施とその結果による環境改善効果(環境濃度の低減等)ということになる。
Ⅲ xx県農業試験場
1 概要
(1) 業務内容
秋田xxx組織規則において、農業試験場の業務内容は次のように規定されている。 第 136 条 農業試験場は、農業生産の増大及び農業経営の改善を図るため、農業に関する
試験研究及び研究成果の普及を行う機関とする。
また同様に、xx県農業試験場条例第 1 条において、農業に関する知識及び技術の普及指導及び研修を行い、本県の農業の振興に資するため、xx県農業試験場をxxxxx町xx字源八沢に設置すると規定している。
xx県農業試験場ではこれを受け、県農業の振興を図るため、次の5つの柱をベースにして業務を行っている。
①生産現場を支援する
②生産現場に直結した技術を開発する
③マーケティング戦略を構築し、農家経営の将来像を描く
④将来の革新的技術の基礎を構築する
⑤生産者・消費者の求める情報ニーズに応える
(2) 規模等
①人員
研究職 67 名、事務職 10 名、技術職 5 名、専門技術員 9 名、技能職 20 名 定数内計
111 名、定数外 41 名 合計 152 名(平成 14 年 4 月 1 日現在)
②年間予算等
年間予算 12.2 億円
投下資本 約 135 億円(建物 70 億円、用地 28 億円、研究機器等 37 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容(xx県農業の現状・課題)
xx県の農業は、水稲作付面積及び水稲収穫量ともに全国 3 位(xx県「平成 14 年度 農林水産業及び農山漁村に関する年次報告」より)となっている。また、農業産出額 2,048
億円のうち、米の占める割合は 63%(同報告)であり、稲作が基幹作物となっている。その一方、収益性の高い野菜・花きに取り組む農業者が徐々に増加しつつある。
表 3-1 品種別農業産出額
金 額 ( 億 円 ) | 構 成 比 ( % ) | 全 国 順 位 | |
米 | 1,291 | 63.0 | 3 |
野 菜 | 278 | 13.6 | 28 |
果 実 | 92 | 4.5 | 27 |
花 き | 27 | 1.3 | 41 |
畜 産 | 267 | 13.0 | 31 |
そ の 他 | 93 | 4.5 | 26 |
農 業 算 出 額 合 計 | 2,048 | 100.0 | 19 |
(xx県「平成 14 年度 農林水産業及び農山漁村に関する年次報告」より)
xx県の農業は表 3-1 を見る限り、米以外では全国的な知名度は未だ低く、稲作に多く依存している生産構造である。したがって、高品質米・良食味米といった消費者ニーズに対応した売れる米づくりの他、戦略作物の拡大を図り、バランスのある農業生産を行っていくことが求められている。
xx県では平成 12 年 3 月に「xxxあきたの農業・農村ビジョン」を公表し、以下の7つの施策を示している。
①消費者に安心と満足を届ける生産・販売体系の構築
②地域農業との連携強化による秋田らしい食品産業の振興
③流通新時代を勝ち抜く市場戦略性の高い産地作りの推進
④新時代に躍動する多様な農業経営体の育成
⑤快適で生き生きとした農村作り
⑥農村空間とのふれあいの場の提供
⑦特色ある圏域として発展するxx間地域の創造
(2) 研究成果
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | ||
研究課題数 (うち、遺伝資源センター分) | 69 (15) | 64 (15) | 60 (15) | 59 | 60 | |
実用化できる成果数 (うち、遺伝資源センター分) | 28 (2) | 29 (5) | 32 (3) | 32 | 33 | |
普及事項 (うち、遺伝資源センター分) | 12 | 11 | 16 (2) | 8 | 9 | |
参考事項 (うち、遺伝資源センター分) | 16 (2) | 18 (5) | 16 (1) | 24 | 24 |
農業試験場の研究成果は以下のとおりである。表 3-2 研究成果
(注)1.各年度とも当初予算ベースの事業課題数
2.平成 13 年度に遺伝資源開発利用センター(現、生物工学部)と統合した。
また、農業試験場は技術普及部を有しており、同部の専門技術員が行う主な普及指導対象者及び対象者数は以下のとおりである。
対 象 者 人 数 農業改良普及員 : 153 名
パートナーシップ研修生
(農協営農指導員)
フロンティア農業者研修生
(農業後継者)
: 30 名
: 26 名
インターネットアグリスクール受講者 : 29 名認定農業者 : 7,308 名
農業士 男性 : 230 名
女性 : 138 名
生活研究グループその他関係機関・団体 : 2,114 名
確立された試験研究成果については、全県8カ所に配置されている農業改良普及センターや農協等に情報提供するとともに、特に現地において普及性が高い、あるいは参考にできると判断される技術については「実用化できる試験研究成果」としてとりまとめ、現場農業者等への積極的な普及を図っている。なお、農業試験場と同じく農林水産部に所属する果樹試験場、畜産試験場及び総合食品研究所の研究結果も同書に併せて掲載され、同様
の普及活動が行われている。
また、開発した新品種の普及など、農業振興を図るうえで特に重要度が高く、緊急性のあるものについては、補助事業として取り上げ、行政的な支援を行っている。
これらに関して論文発表、研究成果発表会開催、講演会・シンポジウム・品評会の開催、新聞・雑誌への寄稿及び書籍執筆を行い、研究成果の外部への公表を実施している。
表 3-3 論文等発表推移
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | ||
国 内 | 学会誌上発表 | 4 | 8 | 11 | 16 | 8 |
その他誌上発表 | 51 | 57 | 44 | 61 | 53 | |
学会口頭発表 | 4 | 14 | 7 | 13 | 17 | |
その他口頭発表 | 5 | 9 | 8 | 18 | 9 | |
海外 | 学会誌上発表 | 0 | 2 | 1 | 0 | 2 |
論文数合計 | 64 | 90 | 71 | 108 | 89 | |
研究成果発表会参加者数 (各年共、年 1 回開催) | 110 | 102 | 63 | 132 | 136 | |
講演会・シンポジウム・品評会の参加者数 (各年共、年 2 回) | 533 | 371 | 500 | 570 | 500 | |
新聞・雑誌への寄稿数合計 | 67 | 44 | 44 | 44 | 31 | |
著書数 | 9 | 5 | 4 | 3 | 4 |
Ⅳ xx県果樹試験場
1 概要
(1) 業務内容
果樹試験場は、「果樹の生産の増大及び果樹経営の改善を図るため、果樹に関する試験研究を行う機関とする」(xxxxx組織規則第 141 条)と規定されている。
これを受けて果樹試験場では以下の業務を行っている。
①消費者ニーズの多様化、高級化など消費構造の変化に即応できる樹種、品種などの選択や高品質果実の生産のため、栽培管理技術の構築と適正化に向けた技術開発。
②労働環境、特に担い手不足や高齢化による生産現場の現状を充分に理解し、高品質、省力化、低コスト化と環境に配慮した安全性の高い果実栽培技術の早期確立。このうち労働環境については、農業後継者育成の場として、また、栽培技術の早期普及のために、普及員及び農協の営農指導員などの技術向上を目的とし、これらの研修の場ともなっている。
③生産者サイドでは、オリジナル優良新品種の育成、生産性の向上と快適化、軽労化のための低樹高栽培技術、気象変動に対応した結実の安定技術、栽培管理マニュアルなど革新技術の開発研究を目標に、消費者サイドでは、嗜好変化に即応し、健康増進に役立つ機能性食品としての樹種の拡大と安定供給するための技術開発を目的としている。
(2) 規模等
①人員
研究職 19 名、事務職 3 名、技能職 10 名 定数内計 32 名、
臨時職 29 名 定数外 29 名 合計 61 名(平成 14 年 4 月 1 日現在)
②年間予算等
年間予算 3.7 億円
投下資本 約 12 億円(建物 4.5 億円、用地 3.5 億円、研究機器等 3.7 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
秋田県の平成 13 年度における果樹生産は、栽培面積 3,780ha、生産額 92 億円であり、主
要果樹としては、りんご、なし、ぶどう、おうとうが挙げられる。最近 3 ヵ年度の果樹栽培面積の推移は下表のとおりである。
表 4-1 品種別栽培面積推移
H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |||||||
栽培面積 | 全国比 | 全国順位 | 栽培面積 | 全国比 | 全国順位 | 栽培面積 | 全国比 | 全国順位 | |
りんご | ha 2,450 | % 5.2 | 5 | ha 2,350 | % 5.1 | 5 | ha 2,210 | % 4.9 | 5 |
西洋なし | 89 | 4.6 | 7 | 89 | 4.6 | 7 | 86 | 4.4 | 7 |
日本なし | 272 | 1.5 | 17 | 260 | 1.5 | 17 | 256 | 1.5 | 17 |
ぶどう | 321 | 1.5 | 18 | 321 | 1.5 | 19 | 289 | 1.4 | 19 |
おうとう | 83 | 2.3 | 7 | 82 | 1.8 | 7 | 83 | 1.8 | 7 |
担い手の高齢化、後継者不足により、栽培面積は総じて減少傾向にある。その対応として、優良品種の開発、高付加価値、省力化栽培が求められている。
「あきた21総合計画」及び平成 12 年 3 月に公表された「xxxあきたの農業・農村ビジョン」で示された7つの施策を受けて、果樹試験場では以下の5つの項目を策定し、重点的に取り組んでいる。
①自然循環機能を生かした持続的な農業生産方式の普及・定着
②環境負荷軽減技術の開発・普及
③果樹の高品質・省力生産体制の強化
④新技術の開発・新品種の普及
⑤気象・立地を生かした高付加価値型農業の確立
(2) 研究成果
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
研究論文数 | 13 | 13 | 16 | 16 | 9 |
実用化数(受託研究を除く) | 10 | 13 | 12 | 8 | 7 |
被引用件数 | 000 | 000 | 000 | 416 | 310 |
その他成果の公表数 | 109 | 106 | 98 | 98 | 110 |
果樹試験場の研究成果は以下のとおりである。表 4-2 論文数推移
(注)1.実用化数は、研究成果のうち実用化されたもの。
2.被引用件数には、県内普及活動にあたり、普及センター及び農協などがデータ
を引用しており、これを含んでいる。
3.その他成果の公表数には、専門新聞、技術書及び県の果樹協会で発行する果樹通信(月 3 回発刊)を含んでいる。
Ⅴ xx県畜産試験場
1 概要
(1) 業務内容
畜産試験場は、「家畜及び家きんの改良繁殖並びに畜産経営の改善を図るため、畜産に関する試験研究を行う機関とする」(xxxxx組織規則第 148 条)と定められ、次の3つを主業務として担っている。
①行政委託事業(業務量の約 20%)
②試験研究事業(業務量の約 60%)
③生産事業(業務量の約 20%)。
畜産試験場には、次の部がある。管理部、飼料・環境部、大家畜部、中小家畜部、家畜繁殖部(xxxxx組織規則第 148 条、第 149 条、第 150 条)
(2) 規模等
①人員
研究職 27 名、技能職 38 名、事務職 7 名、定数内計 72 名 定数外 10 名 合計 82 名
(平成 14 年 5 月 2 日現在)
②年間予算等
年間予算 8.5 億円
投下資本 約 29.1 億円(建物 10.3 億円、用地 10.7 億円、研究機器等 8.1 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
試験場の業務は平成 12 年 3 月に公表された「xxxあきたの農業・農村ビジョン」の4つの基本理念を指針として構想されている。4つの基本理念は次のとおりである。
①消費者ニーズに応える食料供給体制の構築
②資源を生かした総合的な食産業の創造
③作目のバランスが取れた発展性の高い農業の確立
④人々が共生し、潤いとやすらぎを提供する農村の創造この構想の下、本場は次のように研究目標を掲げている。
①酪農においては乳用牛の長命連産性や労力の低減を図ること、肉用牛では「秋田牛」としての評価の向上を確保するための技術を確立すること
また、受精卵移植の技術を確立・定着化すること
②養豚では、生産性が高く、高品質な豚の育種、生産技術を開発すること
比内地鶏では県の特産品として育成するため、原種鶏(比内鶏・ロードアイランドレッド種)の維持増殖により、増殖施設に安定供給するとともに食味性・産肉能力・飼料の利用性等に優れたものに改良すること
③xx・飼料生産では、土地基盤に立脚した自給率を向上するため、生産性と飼料価値の高い飼料作物品種の選定及び安定生産技術を確立すること
家畜排泄物については、自然環境に配慮した用途の拡大を図るため、耕種農業との連携による利用技術を確立すること
(2) 研究成果
研究課題は農畜産振興課等と連携を図り、県の行政施策の目的に合致することを確認しながら立案している。研究結果は、「xx県畜産試験場研究報告」に掲載するほか、外部機関では主に独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センターが発行する機関紙に掲載しており、その数及び実用化された論文の推移は表 5-1 のとおりである。また、毎年、県の各試験研究機関の研究成果として発行される「実用化できる試験研究成果」に研究論文を普及員・一般農家向けに、要約、ねらい、技術の内容・特徴、普及対象範囲、普及・参考上の留意事項にまとめ、掲載している。
試験研究の結果は、農業改良普及センターを通じて農家に指導・普及させることとなる。研究の結果については、研究を実施する際に研究終了時の研究目標を数値化することに
より定量的な評価ができるようにしており、その数値と比較することにより把握することとしている。
表 5-1 研究所外の機関発行誌への掲載論文数、実用化数
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
論文数 | 0 | 2 | 0 | 1 | 4 |
実用化数 | 3 | 3 | 2 | 7 | 6 |
Ⅵ xx県水産振興センター
1 概要
(1) 業務内容
秋田xxx組織規則において、水産振興センターの業務内容は次のように規定されている。
第 165 条 水産振興センターは、水産業の振興を図るため、次の事務を行う機関とする。一 水産に関する知識及び技術の普及指導及び研修に関すること。
二 水産に関する調査及び試験研究に関すること。三 水産種苗の生産及び供給に関すること。
xx県水産振興センターではこれを受け、県内水産業の技術力の向上と県産水産物の利用拡大のため、指導・相談、試験・研究、情報提供・研修を3つの柱として業務を行っている。
①指導・相談 水産業改良普及活動などを通じて、漁業関係者への漁業技術や養殖技術、加工・流通及び漁業経営指導の実施。
②試験・研究
ⅰ)海面漁業 本県沿岸のハタハタを主体とした水産資源を合理的、永続的に利用するための研究と、海域に適合した水産資源の増大を目的とした増養殖技術の開発に関する研究の実施。
ⅱ)内水面漁業 河川・湖沼における環境保全に関する研究と、有用水産資源の保護と増養殖に関する技術開発の実施。
③情報提供・研修、課題への個別対応
水産業や漁業技術に関する最新の情報を提供するとともに、漁業関係者からの要望などの収集を実施。また、漁業技術、増養殖技術、加工・流通などに関する研修や講習の実施。
(2) 規模等
①人員
研究職 22 名、普及職 4 名、船舶職 19 名、事務職 5 名、その他 2 名 定数内計 52 名
定数外 11 名 合計 63 名 (平成 14 年 3 月 31 日現在)
②年間予算等
年間予算 7.4 億円
投下資本 35.9 億円(建物 6.5 億円、用地 1.6 億円、工作物等 12.7 億円、
研究機器等 2.6 億円、船舶 12.5 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
平成 12 年 6 月に公表された「あきた21総合計画第2期実施計画」において、県内漁業就業者からの研究ニーズ、水産業の動向、県の施策等を踏まえ、県内水産業振興のための研究と技術開発の拠点として、秋田の県の魚である「ハタハタ」をはじめとする水産資源を守り生かす漁業の推進に寄与するため、次の3つの重点項目が定められ、これらを実現するための研究課題に取り組んでいる。
①水産資源の管理技術に関する研究
・xx県沿岸の海洋環境の特性解明と漁場環境の保全に関する研究
・重要水産資源の変動要因の解明と資源管理手法に関する研究
・人工魚礁・増殖場の機能と効果に関する研究
②水産資源の増養殖技術に関する研究
・マダイ、ヒラメ、ハタハタなどの種苗生産・放流技術の開発に関する研究
・ヒラメ、クロソイなどの種苗生産・養殖技術の開発に関する研究
・イワガキやホンダワラ類などの貝、海藻類の増養殖技術の開発に関する研究
③内水面水産資源の保護と増殖に関する研究
・種苗放流と資源管理によるサケ、サクラマス、アユなどの資源の造成に関する研究
・湖沼の漁場環境モニタリングとワカサギ、シジミの資源生態に関する研究
・渓流魚の増殖と渓畔林の機能に関する研究
(2) 研究成果
資源の管理や増養殖などに係る研究における最終的な研究成果の計数的把握や期待される成果量については、生産量、生産額、生産の効率性などにいかに反映されたかということになるが、自然環境に左右される面や、当該研究結果以外の他の要因の影響を受けるこ
ともあり、具体的に研究と成果を対応させることは困難である。また、広大な海面を対象とする漁場環境に関する研究などのように長期的なモニタリング研究課題の成果の把握は困難である。
普及事業による成果は、生産性の向上、経営の近代化及び漁業後継者の育成が挙げられ、漁業就業者(平成 14 年)1,330 人を対象に行っている。
Ⅶ xx県森林技術センター
1 概要
(1) 業務内容
「森林技術センターは、森林の有する公益的機能の維持増進及び林業の振興を図るため、次の事務を行う機関とする。
一 森林の保全及び林業に関する知識及び技術の普及指導及び研修に関すること二 森林の保全、林業及び森林資源の利用に関する試験研究に関すること
三 林木の育種事業に関すること」
と定められている(xxxxx組織規則第 180 条)。
森林技術センターでは、近年の森林に対するニーズの多様化や国内外の情勢の変化に伴い、森林の育成管理における課題を「持続可能な森林経営」を推進・実現することと位置づけている。そのため、従前の木材の生産性を重視した研究から、森林の生物多様性の保全や生態系の健全性を維持しながら、木材生産機能と環境保全機能を併せ持つ森林育成のための研究開発へと重点を移行させており、以下に掲げる研究分野に主に取り組んでいる。
①本県の主要な人工林であるスギの育成管理技術
②ブナ、ナラなどの広葉樹二次林の育成技術や優良品種の開発
③生態系の健全性を高める森林への誘導技術
④山腹荒廃地の樹林化や渓畔森林の保全技術
⑤海岸林をマツクイムシ被害から守る保全技術
⑥森林の優良な遺伝資源の活用技術やキノコ等の育種と栽培技術、及び優良林木の育種
(2) 規模等
①人員
研究職 15 名、技術職 3 名、事務職 5 名、技能職 2 名、定数内計 25 名、定数外 14 名
合計 39 名(平成 14 年 4 月 1 日現在)
②年間予算等
年間予算 3 億円
投下資本 約 12 億円(建物 11 億円、研究機器等 1 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
森林技術センターが取り組んでいる主な研究課題は、次のとおりである。
①長期育成循環施業に対応する森林管理技術の開発
スギ人工林の長伐期施業への指向が高まっていることから、高齢林の立地条件、成長特性、環境保全機能等を明らかにしながら、既存の林分を長伐期に移行させるための施業指針と収穫予測システムを確立する。
②海岸マツ林の健全化技術に関する研究
海岸林に期待される防災機能や保健・休養機能の高度発揮とマツクイムシ被害跡地の復旧を図るため、その目的・立地条件に対応した保育技術や機能の評価・判定手法を明らかにしながら、機能別保育管理技術の体系化と併せて広葉樹を導入した海岸マツ林の育種転換技術を確立する。
③ニュータイプきのこ資源の利用と生産技術の開発
農山村地域の振興に寄与する独自性の高いきのこ産業を育成するため、食用にとどまらず薬用成分の効用や観賞用など、新たな特性を活かしたきのこの育種と栽培技術を開発する。
(2) 研究成果
森林環境部門での研究成果は、スギや広葉樹の各種育林・間伐技術や、森林病虫獣害防除等について、公有林や個人等多くの森林所有者の各種施業や経営に活用されている。資源利用部門の研究成果では、特に、品種登録したハタケシメジやマイタケも県内生産者で栽培されており、生産経営面における栽培コストの低減化を果たしている。
Ⅷ xx県総合食品研究所
1 概要
(1) 業務内容
秋田xxx組織規則において、総合食品研究所の業務内容は次のように規定されている。第 125 条 総合食品研究所は、食品加工業及び酒類製造業の振興並びに農水産業の振興に
資するため、次の事務を行う機関とする。
x x水産物等の食品の加工及び酒類の製造に関する技術の研究開発に関すること二 民間企業等による前号の研究開発等に対する支援に関すること
三 農水産物等の食品の加工及び酒類の製造に関する知識及び技術の普及指導及び研修に関すること
総合食品研究所ではこれを受け、県内食品産業の技術力の向上と県産農水産物の利用拡大のため、研究、開放研究、技術指導、研修、情報提供を5つの柱として業務を行っている。
①研 究:食品及び酒類の総合的研究の実施
②開放研究:研究所内に企業専用の研究室、自由に使える研究機器を用意し、支援活動の実施
③技術指導:課題への個別対応
④研 修:講習会の開催、研修員の受入れ
⑤情報提供:食品情報のデータ提供、研究成果の公表
(2) 規模等
①人員
研究職 33 名、技術職 2 名、事務職 4 名、その他 10 名 合計 49 名
(平成 14 年 4 月 1 日現在)
②年間予算等
年間予算 5.4 億円
投下資本 約 69 億円(建物 41 億円、用地 10 億円、研究機器等 18 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
平成 12 年 6 月に公表された「第2期研究基本計画」において、県内食品企業や農業生産者からの研究ニーズ、食品産業の動向、県の施策等を踏まえ、県内食品産業振興のための研究と技術開発の拠点として、地域に根ざした秋田らしい食品開発に取り組み、食と農の連携による新たな産業の創造を強力に支援するため、次の6つの重点項目が定められ、これらを実現するための研究課題に取り組んでいる。
①県産農水産物の利用拡大に関する研究
・機能性成分の検索及び開発に取り組み健康増進機能食品の生産による県外・国外産との差別化を図る。
・産地、品質の特性を生かした最新の加工技術による「秋田ブランド食品」の開発。
②食品及び酒類の品質の高度化に関する研究
・味、香り等の風味、鮮度を保持するために、電気抵抗加熱等の新たな加工法の共同研究。
③微生物の利用に関する研究
・新たな酵母、乳酸菌、麹菌の収集、選抜、改良。
④食品成分の分析と評価技術に関する研究
・センサを用いた味、香りの基礎データの蓄積と解析に取り組み、食品全般の客観的品質評価法を確立する。
・食品の風味と成分との相関関係を明らかにし、理化学的特性と味覚評価とを関連付ける手法の開発。
⑤生物機能の解明と利用技術に関する研究
・あきたこまち等の県内奨励品種の DNA 鑑定技術の簡便化、迅速化を図るため、あきたこまちの遺伝子配列の解析。
・遺伝子破壊技術を応用した効率的な生産技術の開発。
⑥食品の安全性と環境対策に関する研究
・食品の衛生・品質管理を徹底するため県内版HACCP手法の開発。
・有害物の測定技術、評価手法を確立するとともに、調理・加工等による低減・除去技術の開発。
(2) 研究成果
外部の日本食品科学工学会、日本農芸化学会等の学会や専門誌等に発表・投稿された論文及び研究テーマは「第2期研究基本計画」の6本柱に即して実施されているものであり、部門検討会を経て、所内の検討会を経て申請されている。平成 10 年度から平成 14 年度の最近 5 カ年間における新規検討課題数は、9 件(H10 年度)、6 件(H11 年度)、19 件(H12年度)、8 件(H13 年度)、8 件(H14 年度)である。また、外部への発表論文数及びその実用化等されているものは表 8-1 のとおりである。
表 8-1 論文数推移
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
(1)研究所外の機関への発表数 | 20 | 18 | 20 | 20 | 25 |
外部発表再録 | 6 | 13 | 16 | 12 | 15 |
その他外部発表 | 14 | 5 | 4 | 8 | 10 |
(2)実用化数 (1)のうち | 0 | 6 | 1 | 3 | 5 |
特許化 | 0 | 4 | 0 | 2 | 4 |
商品化 | 0 | 2 | 1 | 1 | 1 |
(注)外部発表再録は、研究所の「xx県総合食品研究所報告」等に再録されたものである。
研究所の活動としては、研究のほか普及活動業務があり、共同研究、開放研究室の利用、機器利用、技術相談等があり、最近 5 年度における実績は表 8-2 のとおりである。
また、研究所は研修を主要業務として位置づけ、研究所または現場での研修を実施し、食品加工業界の底辺の拡大から技術レベルの向上、新技術の習得を進めている。
表 8-2 活動推移
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
共同研究数 | 8 件 | 10 件 | 11 件 | 12 件 | 27 件 |
開放研究室利用者数 | 5 件 | 5 件 | 5 件 | 5 件 | 5 件 |
機器利用件数 研究所 | 59 件 | 23 件 | 9 件 | 8 件 | 26 件 |
交流館(農業研修センター) | 11 件 | 14 件 | 16 件 | 12 件 | 9 件 |
技術相談件数(注)1 | 451 件 | 421 件 | 407 件 | 493 件 | 666 件 |
技術指導申請書に基づく技術指導数(注)2 | 17 件 | 18 件 | 21 件 | 14 件 | 24 件 |
巡回指導場数 味噌醤油巡回指導 | 12 場 | ||||
酒造巡回技術指導(延べ)(注)3 | 92 場 | 90 場 | 89 場 | 41 場 | 40 場 |
酒造技術実施指導(延べ) | 24 場 | 32 場 | 32 場 | 50 場 | 38 場 |
貯蔵出荷管理指導(醸造工場他) | 52 場 | 49 場 | 41 場 | 45 場 | 36 場 |
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
研修員数(注)4 | 5 名 | 4 名 | 1 名 | 0 名 | 10 名 |
短期研修受講者数 | 13 名 | 8 名 | 19 名 | 19 名 | 20 名 |
農産・食品加工研修受講者数 | 370 名 | 373 名 | 407 名 | 339 名 | 406 名 |
酒造講習会受講者数 | 612 名 | 689 名 | 615 名 | 636 名 | 1,350 名 |
視察者数 | 1,476 名 | 1,031 名 | 928 名 | 540 名 | 618 名 |
講師派遣数 | 47 人件 | 51 人件 | 37 人件 | 42 人件 | 42 人件 |
(注)1.平成 14 年度に技術相談件数が増加したのは、データ収集が徹底されたことにより、過年度において暗数であったものが顕在化したことによる。
2.技術相談のうち、課題解決に期間を要するもの、高度な技術が必要なもの等をいう。
3.平成 13 年度以降の指導場数の減少は、平成 12 年度まで年2回実施していた巡回指
導を平成 13 年度から年1回の巡回指導と技術相談に対する実地指導で対応するように変更したことによる。
4.各企業等から人材を長期的に受けいれ研修を実施するもの。
研究課題は「あきた21総合計画」における「豊かな自然と調和した個性あふれる農林水産業の振興」の政策下の施策「地域農業との連携強化による秋田らしい食品産業の振興」に基づき策定されており施策目標を成果指標としている。研究所では酒、味噌、醤油、米飯の製品出荷額については研究所の寄与率が約 95%と判断しており、食品加工では数パーセントの寄与率と見ている。
表 8-3 あきた21総合計画抜粋
施策目標 | 単位 | H13 年度 | H17 年度 | H22 年度 |
生産・加工・流通販売の連携・融合化の推進 (主要加工食品の県産原材料使用額) *米、大豆、豚肉の使用額 | 億円 | 39 | 57 | 70 |
地域に根ざした「秋田ブランド食品」の開発促進 (新製品開発累積件数) | 件 | 73 | 133 | 200 |
食品製造業の経営基盤の強化 (食品製造業の製造品出荷額) *食品には清酒等飲料・飼料を含む | 億円 | 1,469 | 1,622 | 2,500 |
Ⅸ xx県工業技術センター
1 概要
(1) 業務内容
秋田xxx組織規則において、工業技術センターの業務内容は次のように規定されている。
第 199 条 工業技術センターは、工業の振興を図るため、次の事務を行う機関とする。一 工業に関する知識及び技術の普及指導並びに技術者の研修に関すること
二 工業に関する試験研究に関すること三 工業所有権に関すること
また同様に、xx県工業技術センター条例第1条において、工業技術の研究開発を促進するとともに、工業に関する知識及び技術の普及指導及び研修を行い、本県の工業の振興に資するため、xx県工業技術センターをxx市xx町字砂奴寄四番地の十一に設置すると規定している。
xx県工業技術センターではこれを受け、xx県工業の技術力向上を図るため、試験研究、技術移転、技術人材育成、技術情報提供、施設・設備・図書利用及び技術研究会活動を
6つの柱として業務を行っている。
①試験研究:業界のニーズに対応した生産技術、新製品の開発及び工業技術に関する試験・研究
②技術支援:技術相談、研究成果の普及及び共同研究
③技術人材育成:技術者養成のための受託研修、研修会・講習会の実施
④技術情報提供:インターネット等による情報収集・提供、コンピュータによる文献検索
⑤施設・設備・図書利用:所内施設・設備・図書等を企業に開放
⑥技術研究会活動:産・学・官で構成する研究会を組織し、情報交換、人材育成及び共同研究
(2) 規模等
①人員
研究職 29 名、事務職 9 名、技能職 1 名 定数内計 39 名、定数外 12 名 合計 51 名
(定数内人員は平成 14 年度末、定数外人員は平成 14 年度当初現在)
②年間予算等
年間予算 6.7 億円
投下資本 約 46 億円(建物 11 億円、用地 6.5 億円、研究機器等 28.5 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
「あきた21総合計画」の「第2期実施計画」では、新技術・新産業の創出を図るために、県内企業に対して研究開発の技術移転・技術指導による支援を施策としている。工業技術 センターでは、企業ニーズ・地域ニーズに基づく研究開発を推進・普及させるべく、次の6 つの主要研究テーマを取り上げている。
①情報システムに関する研究
生産活動の効率化(人工知能、CIM、ネットワーク技術)
②医療・福祉介護機器に関する研究
高齢化社会支援及び人手不足対策(センサ技術、制御技術、ロボット技術)
③産業副産物などの有効利用に関する研究
化学反応技術、高分子材料複合化技術、窯業技術、建設技術
④生産工程の高度化に関する研究
生産技術の高度化(生産管理、CAD/CAM/CAE/CG 技術)
⑤メカトロニクスやエレクトロニクスに関する研究
産業基盤となる技術の強化(機械加工、鋳造、熱処理、溶接・接合、射出成形技術、計測・非破壊検査技術、めっき技術)
⑥新素材・新材料・複合材料に関する研究
無機・有機、複合材料の応用開発、利用技術評価技術の強化(セラミックス、粉体技術、高温技術、機能性材料、複合化技術、分析技術、物性評価技術)
地域資源の有効利用(シリカ資源の高機能化技術、合成技術)
(2) 研究成果
研究成果や普及指導については、蓄積された研究成果や各研究員の専門分野をもとに、日常の技術相談、指導、受託研修から共同研究による技術移転まで各種の形態で実施して
おり、平成 14 年度の実績は以下のとおりである。
①技術移転可能な技術のうち主なもの 10 件
②技術移転可能な技術のうち技術移転した主なもの 19 件
③共同研究により技術移転したもの 21 件
④研究成果普及指導事業(巡回指導) 74 社、114 日
⑤技術相談、指導 1,891 件
⑥受託研修により技術移転したもの 42 回、1,526 人日
⑦技術研究会活動 59 回、1,574 人
⑧ 施設・設備利用(件数) 1,360 件
⑨ 開放研究室利用(室数) 9 x
xx、過去 5 ヵ年度の実績は表 9-1 のとおりであり、年度により増減はあるものの技術移転件数、普及指導社数、技術相談指導件数は、5 年前と比較すると総じて増加している。
表 9-1 普及活動推移
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
①技術移転可能な技術(件数) | 12 | 18 | 1 | 14 | 10 |
②技術移転事例(件数) | 12 | 23 | 8 | 10 | 19 |
③共同研究で技術移転(件数) | 13 | 17 | 33 | 24 | 21 |
④研究成果普及指導事業 (上段;社数、下段:日数) | 33 133 | 62 103 | 51 93 | 85 150 | 74 114 |
⑤技術相談、指導(件数) | 1,208 | 1,559 | 1,482 | 1,659 | 1,891 |
⑥受託研修で技術移転 (上段:回数、下段;人日) | 24 79 | 20 533 | 16 644 | 29 1,024 | 42 1,526 |
⑦技術研究会活動 (上段:回数、下段;人数) | 89 3,681 | 70 1,788 | 80 2,319 | 77 2,262 | 59 1,574 |
⑧ 施設・設備利用(件数) | 715 | 1,014 | 1,174 | 1,172 | 1,360 |
⑨ 開放研究室利用(室数) | 8 | 8 | 9 | 9 | 9 |
Ⅹ xx県高度技術研究所
1 概要
(1) 業務内容
秋田xxx組織規則において、高度技術研究所の業務内容は次のように規定されている。第 202 条の 2 高度技術研究所は、工業の振興のための基盤となる高度技術(技術革新の
進展に即応した高度な工業技術をいう。)の発展に資するため、次の事務を行う機関とする。
一 エレクトロニクス、メカトロニクス及び新材料に関する高度技術の研究開発に関すること
二 民間企業等による前号の研究開発等に対する支援に関すること三 研修等による高度技術を有する人材の育成に関すること
県は「あきた21総合計画」において、「産業が力強く前進する秋田」を目指し、県内電気機械産業の振興策の一つとして情報記録技術の重点的な研究開発を通じ、関連産業の県内への集積化を構想している。そのため、試験研究機関の研究を活性化させるとともに、その研究成果を企業に技術移転して県内産業の技術力・競争力の強化を図り、新事業・高付加価値製品の創出が期待されている。高度技術研究所はこの政策の中心として位置づけられている。
高度技術研究所ではこれを受け、高度技術の研究開発を促進し、工業振興の基盤となる高度技術の発展に資するため、自主研究、研究支援、人材育成、研究開発促進を4つの柱として業務を行っている。
①自主研究 将来に大きな成長が望め、新規性・独自性があり、かつ県内企業への広い波及効果が期待できるテーマを県の研究テーマとして取り組む。当面、東北大学電気通信研究所との共同で、応用磁気工学の情報記録分野(高密度垂直磁気記録)の実用化研究を実施。
②研究支援 研究所内に企業専用の研究室、自由に使える研究機器を用意し、支援活動の実施
③人材育成 研究開発部門の充実を図る企業のため、研究所の研究機器利用及び専任研究員との研究を通じて研究者の養成支援をサポートし、また、時宜に応じたテーマで講習会・セミナーを開催。
④研究開発促進 研究成果の発表会や機関紙の発行など成果の普及や各種の情報提供
(2) 規模等
①人員
研究職 24 名、事務職 5 名、その他 4 名 合計 33 名(平成 15 年 5 月 12 日現在)
②年間予算等
年間予算 7.4 億円
投下資本 約 56 億円(建物 24.7 億円、用地 3.2 億円、研究機器等 28.1 億円)
2 業務現況
(1) 研究内容
高度技術研究所は、県議会高度技術産業・交通対策特別委員会から「xx県独自の技術基盤を構築するための高度な研究機関設置の必要性」の提言を受け、県内に高度な技術基盤を形成することを目的に開設されたものであるが、その際、開設の可否とともに研究テーマについても併せて県議会で議論され、選定されたものである。この点で、他の試験研究機関とは異なる特色を有している。
研究テーマは、将来に大きな成長が望め、新規性・独自性があり、かつ県内企業への広い波及効果が期待できるテーマに取り組んでいる。当面、東北大学電気通信研究所との共同で、応用磁気工学の情報記録分野(高密度垂直磁気記録)の実用化研究を実施している。
高密度磁気記録を支える要素技術は、新材料、エレクトロニクス、メカトロニクスの3つである。高密度垂直磁気記録は、これら3分野のハイテク技術の総合的産物として成り立っている。研究部門の組織は、それぞれの技術分野に対応して、3グループ(エレクトロニクス素子・メカトロニクス研究グループ、媒体・新材料研究グループ、エレクトロニクス研究グループ)体制とし、各グループ別の研究課題に取り組んでいる。
(2) 研究成果
研究成果を直接的及び客観的に把握するための評価の手法としては、論文等発表件数・特許件数・各種表彰等があり、研究所全体及び研究員個人として目標ともしている。
なお、研究論文に関してはその被引用件数が最も権威のある評価データであると言われ
ているが、現実的に困難であり現在は把握していない。また、特許に関しては実製品に近い分野や防衛的な企業の特許と異なり、将来、根幹技術となる可能性のある基本部分の発明に的を絞って出願しているため、単に量の多寡でなく高い内容レベルのものとなっている。
表 10-1 研究成果の論文発表数
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | ||
国内 | 学会誌上発表 | 3 | 10 | 10 | 2 | 2 |
学会等口頭発表 | 29 | 36 | 36 | 35 | 23 | |
国外 | 学会誌上発表 | 9 | 7 | 8 | 21 | 13 |
学会等口頭発表 | 18 | 7 | 34 | 23 | 24 | |
計 | 59 | 60 | 88 | 81 | 62 |
表 10-2 特許の出願活用状況
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
出願件数 | 3 | 5 | 5 | 3 | 8 |
登録件数 | 3 | 4 | 3 | 1 | 2 |
許諾件数 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
また、企業に対する研究開発協力については、研究指導契約・共同研究契約等の研究契約、共同研究会、機器利用、技術相談等の件数や企業数、また人材育成の観点において、オープンセミナー等の技術研修やインターンシップ等の件数や参加人数等で把握している。
これらの事業は、次のような成果が期待されるものである。
・技術・研究開発力のレベルアップ
・生産現場における品質と生産力の向上
・新製品・高付加価値製品の創出
・企業における研究開発マインドの醸成
・人的ネットワークの構築による企業間連携・異業種連携・産学官連携の契機創出
表 10-3 研究会設置数及び参加企業数
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
研究会設置(件) | 1 | 1 | 1 | 2 | 3 |
会員企業数 | 11 | 12 | 12 | 12 | 28 |
内、県内企業 | 11 | 11 | 11 | 11 | 26 |
(注)会員数のうち、学・官は除く。学・官を含めた研究会ごとの会員数は下記「研究会の概要」のとおりである。
表 10-4 研究会の概要(平成 15 年4月1日現在)
研 x x 名 | 設置年月日 | 会員数(機関数) | |||
産 | 学 | 官 | 計 | ||
オプトエレクトロメカニクス研究会 | H11. 1.18 | 12 | 5 | 0 | 17 |
秋田・精密機器研究会 | H14. 3.13 | 8 | 4 | 2 | 14 |
真空製膜研究会 | H14.10. 9 | 18 | 5 | 2 | 25 |
(注)公設試験研究機関は“学”に、産業振興機構は“官”に算入した。
表 10-5 企業研究支援・人材育成等の主な活動状況
活動内容 | 単位 | H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 |
研究指導契約 | 件 | 6 | 9 | 10 | 11 | 10 |
内、県内企業 | 件 | 5 | 7 | 9 | 8 | 7 |
共同研究契約 | 件 | 0 | 1 | 2 | 1 | 2 |
内、県内企業 | 件 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
技術相談件数 | 件 | 292 | 349 | 186 | 206 | 245 |
研修会・セミナー | 回 | 13 | 17 | 12 | 9 | 11 |
同参加者 | 人 | 301 | 307 | 413 | 251 | 517 |
講師派遣 | 回 | 27 | 23 | 19 | 8 | 33 |
見学 | 人 | 906 | 947 | 953 | 517 | 343 |
開放研究室利用状況 | ||||||
利用可能室数 | 室 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
利 用 数 | 室 | 2 | 3 | 5 | 5 | 4 |
内、県内企業 | 室 | 2 | 3 | 5 | 4 | 3 |
第3 外部監査の結果
Ⅰ 人事関係
1 退職時の昇給
平成 14 年度における各試験研究機関の退職者のうち、「初任給、昇格、昇給等の基準(人事委員会規則 7―0)」(以下「昇格基準」という。)第 42 条の規定に基づきxx県人事委員会委員長宛に特別昇給の承認申請が行われた人員は、10 名であり(表 1-1 参照)、全員につき一律 1 号給の昇給が承認されている。これは県職員が退職する場合、次のように取り扱われていることによる。
表 1-1 試験研究機関の定年退職者で人事委員会委員長宛に承認申請が行われた人数
人数 | 内研究員人数 | |
衛生科学研究所 | 2 | 2 |
果樹試験場 | 1 | 0 |
水産振興センター | 2 | 1 |
森林技術センター | 4 | 3 |
総合食品研究所 | 1 | 0 |
計 | 10 | 6 |
職員が退職する場合、定年退職者については、必要と認める場合人事委員会の承認を得て上位の号給に昇給させることができる(昇格基準第 42 条)旨の規定に基づき、全員 1 号給の特別昇給が行われている。また、20 年以上勤務した者については、勤務成績の特に良好な職員が 20 年以上勤続して退職する場合には直近上位の給料月額に昇給させることができる旨
の規定(同基準第 38 条第 1 項第 5 号)に基づき全員 1 号給の特別昇給が行われている。この取扱いを整理すると表 1-2 のようである。この結果、20 年以上勤務した定年退職者については、2 号給の特別昇給がなされ得ることとなる。
表 1-2 退職者の特別昇給の取扱い
区分 | 勤続年数 | 第 38 条 | 第 42 条 | 特昇合計 |
定年退職 | 20 年未満 | - | 1 号 | 1 号 |
20 年以上 | 1 号 | 1 号 | 2 号 | |
自己都合退職勧奨退職 | 20 年以上 | 1 号 | - | 1 号 |
現行の取扱いは 20 年以上の勤務をもって、勤務成績が特に良好と判定し、20 年以上の勤
務者全員について昇給の上、退職金を算定している。しかし、昇格基準第 38 条は人事院規則 9-8 に定める特別昇給制度に準じて制定されたものであり、成績主義の考えが反映された規定である。また、「勤務成績の特に良好な職員が 20 年以上勤続」の文言は、勤務成績が特に良好であったことと、20 年以上の勤務の2つの要件を要求する趣旨と解するのが文理上、自然である。現行の取り扱いは、勤務成績が特に良好か否かの判定を行わないまま、昇給を認めているものと判断する。県は「特に良好であった」ことにつき、例えば研究員であれば研究の成果が社会に対し特に多大な貢献をした等を示して、昇給を判定すべきである。
なお、定年まで勤務したことをもって第 42 条の「その他必要があると認められる場合」に該当するとして昇給を行っているが、規定上定年が該当するか否かが不明瞭であり、現行の取扱いを行うのであれば、規定において明瞭にすべきである。
(参考例規)
一般職の給与に関する条例
第 5 条第 6 項 職員が現に受けている号給を受けるに至った時から、十二月を下らない期間 を良好な成績で勤務したときは、一号給上位の号給に昇給させることができる。ただし、第三項又は第四項の規定により号給が決定された場合において、他の職員との権衡上必 要と認めるときは、人事委員会規則の定めるところにより、当該期間を短縮することが できる。
同条第 7 項 職員の勤務成績が特に良好である場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する期間を短縮し、若しくはその現に受ける号給より二号給以上上位の号給まで昇給させ、又はそのいずれをも併せ行うことができる。
同条第 12 項 第二項から前項までに規定するものを除くほか、初任給、昇格及び昇給等の基準に関し必要な事項は、人事委員会規則で定める。
初任給、昇格、昇給等の基準(人事委員会規則 7―0)
第 38 条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、条例第 5 条第 6 項若しくは第 9 項
本文又は第 35 条の規定にかかわらず、直近上位の給料月額(職務の級の最高の号給又は最高の号給を超える給料月額を受ける職員にあっては、同条の規定による直近上位の給料月額をいう。以下同じ。)に昇給させることができる。
五 勤務成績の特に良好な職員が 20 年以上勤続して退職する場合
第 42 条 勤務成績の特に良好な職員が生命をとして職務を遂行し、そのために危篤となり、又は著しい障害の状態となった場合その他特に必要があると認められる場合には、条例第 5 条第 6 項若しくは第 9 項本文又は第 35 条の規定にかかわらず、あらかじめ人事委員会の承認を得て、上位の号給(同条の規定の例により得られる職務の級の最高の号給を超える給料月額を含む。)に昇給させることができる。
2 時間外勤務の承認
畜産試験場において管理部管理班の班長は、時間外勤務等の承認を「時間外勤務・休日勤務命令(実績)簿」に、発議者及び承認者として自ら捺印しており、管理部長の承認印は同簿に押されていなかった。「xx県事務決裁規定」の(別表第3)「2内部組織を置く地方機関の場合」によれば、班を置く場合の班長の時間外勤務等の承認は、内部組織の長(畜産試験場の管理部においては、管理部長)の専決事項であり、管理部長の承認により時間外手当を支給すべきである。
3 勤続年数2年超の臨時職員
通常の臨時職員(事務補助・研究補助)の勤続年数は最長で通算 2 年として運用されている。しかし、果樹試験場の本場においては、2 年超の臨時職員が、研究補助者では 4 名、圃場業務補助については 3 名の他、鹿角分場では 2 年超の研究補助者が 2 名、圃場補助者が 8
名、天王分場では 2 年超の圃場補助者が 3 名存在する。
圃場補助者の作業は、剪定、草取り、摘果、葉摘み及び収穫作業のノウハウ、スキルを有する作業であること、及び外部業者に委託すると却ってコスト高であるとの理由により、『「臨時的任用職員任用管理要綱」の全部改正について』の第 3 条関係(4)但し書きによる、“特定業務で他に適当と認められる者の確保が困難な場合”に該当すると解釈し、2 年超の臨時職員を雇用している。
研究補助者についてはこのような特殊性がないことから、通常の運用に即した処理を行う必要がある。また、圃場補助者についても継続して雇用するにあたり、“特定業務で他に適当と認められる者の確保が困難な”旨を具体的に書面上、明らかにしておくべきである。
Ⅱ 契約関係
1 随意契約(大気汚染常時監視測定機器等保守管理業務委託の契約方法)
環境センターから株式会社xx県分析化学センター(以下、「分析化学センター」という。)に対しては、県内各地にある自動測定装置のメンテナンス(試薬補充やろ紙の回収も行う)業務を委託している。
当該業務委託は、年間契約額が 13,036,800 円(税込)であり、その内容は一般環境大気
測定局舎(県内 11 箇所)及び自動車排出ガス測定局(県内 4 箇所)の保守管理業務である。保守管理業務は通常保守、精密点検、緊急保守に区分されており、前二者の概要は以下の とおりである。
通常保守: 月に 3 回。消耗品類の交換、点検、調整、清掃、簡易な補修。
精密点検: 一般環境大気測定器は年 1 回、自動車排出ガス測定局の測定器は 6 ヶ月
に 1 回。二酸化硫黄測定器等の反応吸収管系統の交換は、これに伴う静的校正等
この契約は随意契約で締結されている。その理由は、契約内容の目的が競争入札に適さないというもの(地方自治法施行令 167 条の 2 第 1 項第 2 号)であり、見積書は分析化学
センターのみから徴収している(秋田県財務規則第 172 条第 1 項第 4 号:契約内容の特殊性)。分析化学センターの単独選定理由としては、①計量証明事業所の登録があること、
②県の産業廃棄物収集運搬業及び特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を有していること、
③環境省後援「環境大気常時監視測定器維持管理講習会」の過去5年以内受講者が在籍していること、④必要機器を保有していること、を挙げている。
このように契約金額が多額であるにもかかわらず随意契約とした理由は、現時点で、選定条件に合致する業者が 1 社であることを根拠としたものとなっている。しかし、当該契約の目的はアウトソーシングを行うことによる業務の効率化にあり、競争入札に適さないとは直ちに言えるものではない。単独見積りであるからといって随意契約によるのではなく、複数の業者が現実に競争入札に応じるかどうかは不明であるとしても、広く当該要件を示して一般競争入札を行う必要がある。
2 単価契約
灯油は単価契約で購入されており、この契約書には、物価の急激な変動があった場合について次の条項が記載されている。
「甲及び乙は、この契約の締結後、物価の急激な変動その他の理由により契約内容の変更を要すると認めたときは、この契約の条件の変更の申し入れをすることができる。」
この条項に基づき総合食品研究所の平成 14 年度においては、2回の単価の改訂が行われている。1回目の単価改訂は、物価変動が 1%に満たないにもかかわらず 7.9%の値上げを認めており、同条項が適切に執行されているとは言えない。また、2回目の単価改訂における物価変動は契約時点に比し 3.78%であり、これに対して 17.10%と単価の上昇を認めている(「表 2-1 単価改訂状況」)。物価の急激な変動が何%であるのか、具体的数値がなく裁量性が高
いといえる。
表 2-1 単価改訂状況
(単位:円)
契約時 (H14 年 6 月 25 日) | 第 1 回改訂 (H14 年 11 月 29 日) | 第 2 回改訂 (H15 年 3 月 13 日) | |
石油製品価格等需給動向調査 (注)1 | 44.39 (100.00) | 44.66 (100.61) | 46.35 (103.78) |
給油所石油製品市況週動向調査 (注)2 | 45.40 (100.00) | 45.55 (100.33) | 47.27 (103.78) |
契約単価 | 38.00 (100.00) | 41.00 (107.89) | 44.50 (117.10) |
契約期間 | H14/12/1 ~ H15/3/31 | H15/3/13 ~ H15/3/31 |
(注)1.県民文化政策課の作成による。
2.石油情報センターの作成による。
3.金額欄の( )は、契約時の価格を 100 としたときの比率である。
他の試験研究機関においては、市況変動と価格変更に乖離は認められないものの、同様にこの条項に基づき契約後、単価変更が実施されている。単価変更時点の市況変動は、10%にも満たないものであり、物価の急激な変動とは認められず、他の理由による変動であることも不明瞭なまま、市況の変動により変更していることが伺える。
入札をxxに実施するためには、入札時点において物価変動のリスク(将来の不確実性に
よる損益の発生)の負担を県と納入業者の間で明確にすべきである。そのためには、「急激な物価変動」という抽象的な文言ではなく、基準とする市況に対し、いつの時点で何円あるいは何%上昇あるいは下落した場合には、契約単価に何円あるいは何%増減するという具体的文言を契約書に記載すべきである。これにより、リスク分担が明確になり、xxな入札が実施されるとともに事務処理も簡便となることが期待される。
3 契約内容と実施内容の乖離
高度技術研究所は清掃業務を庁舎清掃委託契約に基づいて委託しており、委託業者から毎月の清掃作業について実績報告書を入手し、この報告書により依頼作業が実施されたことを確認している。
契約書と実績報告書とに記載された業務内容を比較すると、契約書記載の仕様と実績報告書の仕様の業務区分が異なるため、契約内容を実施したことを照合する報告書の要件を具備していない。また、詳細に検討すると、清掃頻度や清掃場所について整合していない部分がある。さらに、実績報告書は、1ヶ月間の作業内容を集約した報告書であり、日々の作業内容の報告書は入手していない。
コスト削減を念頭においたうえで、適正な業務量を委託し、かつ適正な金額で契約を締結するためには、契約内容を履行したことを明瞭に検収できるようにすべきであり、委託業務の内容と実施業務の内容とは、整合させる必要がある。また、実績報告書は、毎日の作業結果を集計した結果として 1 ヶ月間の作業内容を集約した報告書となっている必要がある。
包括外部監査の結果報告書に添えて提出する意見
「平成 16 年 2 月 4 日付け包括外部監査の結果報告書」に関わる包括外部監査の実施過程におい
て、地方自治法第 2 条第 14 項及び第 15 項の規定の趣旨から、私が重要であると思う諸点に付き検討したので、以下のとおり意見を申し述べる。
Ⅰ 要 約
詳細については別記するが、簡単に指摘事項を記述すれば次のとおりである。
1 現況と課題(別記掲載頁 P44 ~P75 )
試験研究機関の予算は逓減の傾向にあり、研究費予算そのものが管理費に比し相対的に減少している。各試験研究機関には、博士号、獣医師等各種の資格を有する者が多数おり、人件費の予算に占める割合が最も高くなっている。研究設備の老朽化、研究員の高齢化が見られる試験研究機関もあり、人員と研究費とのバランスに懸念を生じさせる状況にある。このような状況下、県では各研究課題について評価を開始したが、各試験研究機関の設置目的である産業の振興との関連性が明らかとされていない点が見受けられる。
試験研究機関が掲げる主な成果指標は、実用化できる研究成果数、発表論文数、技術移転数等、課題の件数である。県が設置する試験研究機関は、衛生科学研究所及び環境センターを除き各産業の振興を目的として設置されており、大学が学術研究の発展、水準向上に寄与するために研究を行うこととは異なっている。したがって、大学が専門学問分野において研究の発展、知識の蓄積にどれだけ貢献したかによって評価されるのとは異なり、産業振興にどのように寄与したかについての成果(試験研究結果がどれだけの受益者にどれだけの貢献をしたか)の把握が必須となる。
試験研究の課題設定にあたっては、成果指標を定めると共に目標達成についての責任の所在を明確にしていくことが必要となる。目標の設定、責任の明確化をワンパッケージで導入できる制度として、地方独立行政法人があり、課題を解決する一つの手段として検討することも必要である。
さらに試験研究機関は創設以来変遷を重ねているものの、変化の激しい現代においてその存在意義を見直し、統廃合やコスト削減に向けて受益者負担の徹底や人件費の削減等を検討することも求められている。
2 個別事項(別記掲載頁 P76 ~P103 )
(1) 固定資産の状況
①保有固定資産に耐用年数経過資産が、多数見受けられ、機器類について長期設備更新計画の策定が求められる。
②購入後に使用頻度が低い機器が認められる。事前の利用計画の検討を十分行うことが必要であるとともに有効利用策の検討が求められる。
③購入機器選定時に取得目的、機器の仕様等を検討した利用計画書が作成されていない機関がある。機器選定にあたっての利用計画書及び中長期計画に基づいた購入計画書を策定する必要がある。
④挿し木等取得価額が 0 円であるものにつき数量把握はしているものの金額評価はしていない。金額評価し、公有財産台帳に登載すべきである。
⑤工業技術センターの開放研究室(10 室)のうち1室は、最近 5 年間にわたり使用実績がない。積極的に利用策を講ずる必要がある。
⑥高度技術研究所の IT 研修ルームにあるパソコンは旧式であり、現状使用に耐えられるものではない。陳腐化した機器は廃棄するとともに空いたスペースを有効活用することが必要である。
⑦高度技術研究所の「設備機器使用簿」の記載に一部不備があった。使用実績を適切に把握できるよう記載項目を整備すべきである。
(2) 固定資産の管理
①各試験研究機関が保有する図書の貸出等の管理につき、精粗がある。共通の管理基準を設定すべきである。
②平成 14 年 3 月に購入したものの利用されていない機器があった。具体的使用計画を明らかにして、購入すべきである。
③森林技術センターの研修施設は、使用許可申請書の提出により利用できるよう規定されているが、平成 12 年度以降外部者の利用実績がない。研修施設の利用を広くアピールすべきである。
④物品の現物管理においては、台帳と現物を実地に照合(これを“棚卸”という)し、数量及び利用可能性を把握することが有効な手法である。試験研究機関では棚卸が行われ
ておらず、定期的に実施すべきである。
⑥高度技術研究所が保有する設備等の使用にあたっては、使用許可申請を 7 日前までに提出することとされているが、実際は使用日の前日または当日に申請が行われている。管理規程どおり運用する必要があるが、もし規程が実態に合わない場合には、規程の改定も検討する必要がある。また、使用者は設備使用記録書を提出することとなっているが、回収率は低く、規程に即して提出させるべきである。
(3) 契約関係
①エレベーター保守等、随意契約で行っている委託契約について、競争入札方式を検討すべきである。
②実質上、リース契約を締結する場合、購入する場合とリースにする場合の有利・不利を検討することが必要である。また、リース契約は複数のリース会社と競争入札手続を踏むべきである。
③購入資材につき設計金額を定価で算定し、値引き等を考慮して予定価格を設定しているもののその根拠資料が書面として作成されていないものがあった。設計金額は定価でなく、値引きを考慮して算定した上で、予定価格を設定すべきである。
④請負工事の段階確認にあたり、業者から提出された写真に基づき検収している事例がある。工事完了後、その内容を確認できなくなるものについては実地検収を実施すべきである。
⑤高度技術研究所では平成 15 年度途中から健康増進法の施行を機に、全館禁煙としたことにより、使用されなくなった空気清浄器の賃借契約がなお継続している。他の試験研究機関での使用の可能性を検討すべきである。
⑥業務委託契約のうち、初年度に入札を実施し、その落札業者が翌年度以降は随意契約で継続している契約がある。翌年度に多額の変更が認められるときは、その項目も含めて入札する等、もっとも有利となる方法を検討すべきである。
(4) 収入関係
①水産振興センターで長期にわたり回収されていない債権がある。与信管理のルール(極度額、担保・保証等)を定め、適切に対処する必要がある。
②高度技術研究所において共同開発者と開発した機器がある。開発完了後、使用料は徴求していないが、運転にあたって発生する電気料等の実費は請求すべきである。
(5) 研究課題(水産振興センター)
①漁業就業者確保総合対策事業において、学校訪問はxx市内の高校にのみ実施している。少なくとも県南沿岸地域の高校は対象とすべきである。
②効果の少ない事業からは撤退し、より効果的な研究に予算を投入すべきである。
③各事業で共通的に発生する費用は、各事業に配賦し事業ごとの費用を適切に把握する必要がある。
④種苗生産事業は赤字となっているため、当センターで実施する意義を再検討し、財団法人xx県栽培漁業協会への事業移転などを検討する必要がある。
(6) 特許
試験研究機関が保有する特許は県民共有の財産として、管理規程を整備し、また発明成果を県内企業に移転する等の方策を積極的に取っていく必要がある。
(7) その他
会議を開催したときは、開催日時、出席者、議決事項を記載した議事録を作成すべきである。
Ⅱ 現況と課題
1 財務の状況
(1) 推移
厳しい財政状況の中、各試験研究機関の予算もシーリング方策のもと毎年 5%の削減が行われている。添付資料の過去 5 年間の決算推移表では、予算削減が研究費予算にどの程度影響を及ぼしているかは、数値上必ずしも明確とはなっていない。これは試験研究費を一項目に計上している試験研究機関と他の項目にも含めて計上している試験研究機関があることによっている。試験研究費を一項目に計上している水産振興センター、森林技術センター、総合食品研究所の 5 年間の推移を見ると、管理運営費及び試験研究費が減少傾向にあることがわかる(「添付資料 Ⅰ決算数値の推移」参照)。
全体的傾向としては、一般財源では費用の大半を占める人件費には大きな変動はないものの、給与費に比し、管理運営費及び試験研究費が逓減している。また、管理運営費比率
(支出合計に対する管理運営費の割合)は、大きな施設・設備投資のなかった平成 13 年度
と平成 14 年度を比較すると合計額に対する支出割合が増加している。
表 2-1 決算支出合計推移
(単位:千円)
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
衛生科学研究所 | 361,931 | 372,268 | 364,861 | 375,148 | 360,464 |
環境センター | 279,180 | 254,158 | 266,813 | 302,921 | 331,174 |
農業試験場 | 5,041,556 | 9,048,977 | 2,018,858 | 1,245,531 | 1,210,455 |
果樹試験場 | 410,797 | 374,796 | 384,901 | 363,866 | 360,390 |
畜産試験場 | 910,827 | 882,751 | 878,320 | 870,292 | 853,070 |
水産振興センター | 775,735 | 740,798 | 710,401 | 699,667 | 735,707 |
森林技術センター | 328,011 | 307,033 | 302,229 | 307,120 | 301,611 |
総合食品研究所 | 610,475 | 606,916 | 610,465 | 545,626 | 533,932 |
工業技術センター | 980,735 | 714,854 | 716,013 | 707,957 | 660,193 |
高度技術研究所 | 831,929 | 676,840 | 622,693 | 551,229 | 739,911 |
合計 | 10,531,176 | 13,979,391 | 6,875,554 | 5,969,357 | 6,086,907 |
管理運営費 | 871,837 | 809,264 | 871,180 | 883,761 | 933,872 |
管理運営費比率 | 8.5% | 5.9% | 13.2% | 15.6% | 16.2% |
図 2-1 決算支出合計推移
1,200,000
千
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
H10年 度 H11年 度 H12年 度 H13年 度 H14年 度
年
x 生 科 学
環 境 セ ン
果 樹 試
畜 産 試
水 産 振 興 セ
森 林 技 術 セ
総 合 食 品
工 業 技 術 セ
高 度 技 術
(注)1.衛生科学研究所及び畜産試験場は、予算数値によっている。
2.環境センターは管理運営費を独立の項目として計上していないため、管理運営費比率の算定に当たっては、除外して計算している。
3.農業試験場の平成 10 年度、平成 11 年度及び平成 12 年度には、移転に伴う再編 整備支出がそれぞれ 4,026,446 千円、8,064,992 千円、910,007 千円含まれている。
4.水産振興センターの平成 14 年度には、船舶の修繕費 55,126 千円(定期検査の
ため平成 13 年度に比べ 32,859 千円増加)、アワビ種苗生産施設海底ろ過槽ろ
過材交換工事代 25,550 千円が含まれている。
5.農業試験場は、再編設備支出が多額であり、傾向を把握するのに適していないため、上図には含めていない。
表 2-2 9試験研究機関の一般財源推移
(単位:千円)
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
[金額] | |||||
給与費合計 | 3,539,216 | 3,521,938 | 3,541,862 | 3,604,634 | 3,500,469 |
管理運営費合計 | 745,467 | 685,730 | 765,411 | 786,051 | 831,279 |
試験研究費合計 | 649,527 | 552,539 | 582,778 | 583,921 | 635,637 |
指導普及費合計 | 44,593 | 46,628 | 46,662 | 45,867 | 47,995 |
計 | 4,978,803 | 4,806,835 | 4,936,713 | 5,020,473 | 5,015,380 |
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | |
[構成比] | |||||
給与費合計 | 71.1% | 73.3% | 71.7% | 71.8% | 69.8% |
管理運営費合計 | 15.0% | 14.3% | 15.5% | 15.7% | 16.6% |
試験研究費合計 | 13.0% | 11.5% | 11.8% | 11.6% | 12.7% |
指導普及費合計 | 0.9% | 1.0% | 0.9% | 0.9% | 1.0% |
計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
[趨勢比] | |||||
給与費合計 | 100.0% | 99.5% | 100.1% | 101.8% | 98.9% |
管理運営費合計 | 100.0% | 92.0% | 102.7% | 105.4% | 111.5% |
試験研究費合計 | 100.0% | 85.1% | 89.7% | 89.9% | 97.9% |
指導普及費合計 | 100.0% | 104.6% | 104.6% | 102.9% | 107.6% |
計 | 100.0% | 96.5% | 99.2% | 100.8% | 100.7% |
(注)1.衛生科学研究所は資料を一部入手し得なかったため、除外している。
2.指導普及費には森林技術センターにおける林木育種管理事業費を含めている。
3.平成 12 年度から管理運営費が増加したのは、農業試験場の新築移転によるものである。
4.試験研究費が平成 11 年度において急減しているのは、高度技術研究所において、
平成 10 年度の研究推進費の諸収入 241,273 千円(中小企業事業団から委託された「ものづくり試作開発支援センター整備事業」により、研究用機器等の購入に充当)が事業終了したことによる。
図 2-2 平成 14 年度一般財源の構成図
13%
1%
17%
69%
給 与 費
x x 運 営試 験 研 究
指 導 普 及
(2) 費用構成率の特徴
他県の試験研究機関の同種の資料が不明のため、類似の独立行政法人の損益計算書に試験研究機関との比較可能性をできる範囲で確保するため、修正を加えた上で比較した(添付資料参照)。各数値の計算内容、規模等が異なるため、必ずしも正確な比較とはならないものの、試験研究機関の費用構造の特徴は次の 2 点に集約できる。
①平成 14 年度の行政コスト計算書において 10 機関の人にかかるコストは 54.7%となっており、独立行政法人 9 機関(「添付資料 Ⅱ6 独立行政法人(平成 13 年度 1)、7 独立行政法人(平成 13 年度 2)」参照)の合計の 38.6%に比し、人にかかるコストの構成割合が高い。
②決算書による管理運営費の占める比率は、16.2%(「表 2-1 決算支出合計推移」参照)であり独立行政法人の一般管理費の比率 4.8%(「添付資料 Ⅱ7 独立行政法人平成 13年度 2」参照。なお、減価償却費を除く計に対する比率は 5.9%である。)に比して構成割合が高くなっている。
人にかかるコストが高いのは、試験研究機関が研究にとどまらず、実施指導・普及も含めた事業を行っていることが要因として挙げられる。また、研究者が使用する研究機器等の施設整備が相対的に劣っていることを示すものであり、研究テーマの制約につながるものである。
管理運営費が高い理由については、研究に係る光熱水費が独立行政法人においては研究業務費に計上される一方、試験研究機関では管理運営費に計上されること、独立行政法人の減価償却費が大きく、経費合計が多額になっていることも一因である。
このように独立行政法人は規模が大きいこと、比較する数値が正確には対応しないこと、業務内容も異なることを考慮すると人件費及び管理費の割合が業務量に比し、高いとは一概には言えないものの、単純比較での数値が高いことは否めない事実である。行政コスト計算書を有効に活用するためには、他県の同種機関の数値と比較して効率的か否かを判定することが必要である。判定にあたっては、同種機関の平均値あるいは最も良い数値をベンチマークとし、具体的に目標達成の指標となるように利用すべきである。
表 2-3 平成 14 年度行政コスト計算書構成率
区分 | 衛生科学研 究 所 | 環 境 センター | 農 業 試 験 場 | 果 樹 試 験 場 | 畜 産 試 験 場 | ||
Ⅰ人にかかるコスト | 77.3% | 46.4% | 47.1% | 72.6% | 65.1% | ||
人件費 | 68.0% | 50.4% | 45.7% | 69.7% | 83.4% | ||
退職給与引当金(注) | 9.3% | △4.0% | 1.4% | 2.9% | △18.4% | ||
Ⅱものにかかるコスト | 22.6% | 53.5% | 46.4% | 27.4% | 34.9% | ||
物件費 | 11.5% | 28.3% | 12.2% | 20.3% | 20.3% | ||
維持修繕費 | 0.4% | 0.5% | 1.1% | 0.7% | 4.8% | ||
減価償却費 | 9.4% | 15.8% | 29.0% | 4.9% | 7.3% | ||
委託費 | 1.3% | 8.9% | 4.0% | 1.6% | 2.5% | ||
Ⅲ移転的なコスト | 0.1% | 0.1% | 0.3% | 0.0% | 0.0% | ||
Ⅳ | その他 | 0.0% | 0.0% | 6.3% | 0.0% | 0.0% | |
公債費 | 0.0% | 0.0% | 6.3% | 0.0% | 0.0% | ||
その他 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | ||
A | 行政コスト計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | |
B | 収入計 | 1.6% | 3.3% | 4.5% | 10.2% | 17.0% | |
純行政コスト | 98.4% | 96.7% | 95.5% | 89.8% | 83.0% | ||
水産振興センター | 森林技術センター | 総合食品研究所 | 工業技術センター | 高度技術研究所 | 計 | ||
Ⅰ人にかかるコスト | 62.6% | 59.8% | 55.9% | 51.6% | 38.1% | 54.7% | |
人件費 | 55.1% | 57.9% | 53.8% | 43.8% | 38.5% | 53.5% | |
退職給与引当金 | 7.5% | 1.8% | 2.1% | 7.8% | △0.4% | 1.2% | |
Ⅱものにかかるコスト | 37.3% | 40.2% | 24.8% | 47.8% | 58.0% | 41.1% | |
物件費 | 18.2% | 18.3% | 15.3% | 11.0% | 23.6% | 16.3% | |
維持修繕費 | 12.0% | 1.2% | 1.3% | 9.2% | 1.8% | 3.7% | |
減価償却費 | 5.8% | 9.6% | 7.7% | 27.6% | 25.1% | 17.8% | |
委託費 | 1.4% | 11.1% | 0.5% | 0.0% | 7.5% | 3.4% | |
Ⅲ移転的なコスト | 0.2% | 0.1% | 0.2% | 0.5% | 0.3% | 0.2% | |
Ⅳ | その他 | 0.0% | 0.0% | 19.1% | 0.1% | 3.6% | 4.0% |
公債費 | 0.0% | 0.0% | 19.1% | 0.1% | 3.6% | 4.0% | |
その他 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
A | 行政コスト計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
B | 収入計 | 6.1% | 7.1% | 3.9% | 3.4% | 2.6% | 5.7% |
純行政コスト | 93.9% | 92.9% | 96.1% | 96.6% | 97.4% | 94.3% |
(注)退職給与引当金は県職員の退職xx支給額増加額を示すが、「作成対象前年度末所要額-作成対象年度xx支給額」で算出するため、マイナスとなる場合がある。
表 2-4 独立行政法人 費用構成率平成 12 年度(H12.4.1~H13.3.31)
酒類総合 研 究 所 | 産業安全 研 究 所 | 産 業 医 学 総合研究所 | 国立環境 研 究 所 | 計 | |
研究業務費 | 20.1% | 30.3% | 30.4% | 49.6% | 43.8% |
その他業務費 | 3.2% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.3% |
一般管理費 | 4.7% | 8.7% | 6.3% | 4.5% | 5.0% |
人件費 | 32.5% | 34.6% | 42.3% | 24.0% | 27.3% |
減価償却費 | 39.5% | 26.3% | 21.0% | 21.9% | 23.6% |
合計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
表 2-5 独立行政法人 費用構成率平成 13 年度(H13.4.1~H14.3.31)
物質・材料 研究機構 | 国立健康・ 栄養研究所 | 農業生産物 資源研究所 | 農業環境 技術研究所 | 農業工学 研究所 | |
研究業務費 | 31.0% | 34.7% | 51.5% | 33.4% | 26.5% |
その他業務費 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.1% |
一般管理費 | 6.2% | 4.1% | 3.7% | 4.7% | 2.4% |
人件費 | 31.7% | 54.5% | 30.0% | 48.8% | 44.0% |
減価償却費 | 31.0% | 6.7% | 14.8% | 13.2% | 27.1% |
計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
食品総合 研究所 | 森林総合 研究所 | 水産総合 研究センター | 計 | ||
研究業務費 | 36.9% | 23.2% | 39.3% | 36.1% | |
その他業務費 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
一般管理費 | 3.2% | 1.2% | 7.3% | 4.8% | |
人件費 | 43.7% | 54.2% | 38.9% | 38.6% | |
減価償却費 | 16.2% | 21.5% | 14.5% | 20.6% | |
計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
2 研究員の年代別状況
直近 5 年間の研究員数に大きな変動はないものの全体として平均年齢は上昇する傾向にある。衛生科学研究所、森林技術センター、総合食品研究所、工業技術センター、高度技術研究所においてこの傾向は顕著であり、特に衛生科学研究所では保健所等との人事交流があるとはいえ、40 代、50 代の研究員が全研究員の 87.5%を占め、20 代、30 代の研究員は 3 人と高齢化が進んでいる(「添付資料 Ⅲ人員の状況(年代別研究員の推移)」参照)。
表 2-6 研究員の年代別状況推移
(単位:人)
年代 | H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 |
20~ 29 30~ 39 40~ 49 50~ 59 | 43 77 74 61 | 37 89 72 62 | 36 84 68 68 | 29 88 71 71 | 30 86 72 69 |
合計 | 000 | 000 | 000 | 259 | 257 |
図 2-3 研究員の年代別状況推移
研 x x
H14年 度
H13年 度
H12年 度
H11年 度
H10年 度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
20~ 29
30~ 39
40~ 49
50~ 59
3 研究課題の評価
(1) 評価制度の概要
試験研究機関が行う研究(開発、試験、調査、分析を含む。)課題に対する評価は、xx県政策等の評価に関する条例に基づいて策定した「知事が行う政策等の評価に関する実施計画」に基づき、研究の着手前(事前評価)、実施途中(中間評価)及び終了後(事後評価)において、実施することとされている。研究課題については、平成 12 年度から評価制度が試行され、13 年度から事前評価制度が導入され、14 年度から中間評価が一部実施、事後評価が試行実施された。
表 2-7 評価導入状況
観 点 | 12 年度 | 13 年度 | 14 年度 | 15 年度 | 16 年度 | |
事 | 評価実施年度の翌年度予算に、新たに | 試行 | 実施 | 実施 | 実施 | 実施 |
前 | 予算計上しようとする研究課題につい | 9 機 関 | 9 機関 | |||
評 | て、予算要求前に、政策的な妥当性、 | 27 課題 | 26 課題 | |||
価 | 期待される効果、技術的な達成可能性 | |||||
等の観点から着手すべきかどうかを判 | ||||||
断する。 | ||||||
中 | 評価実施年度に予算計上して研究して | 試行 | 一部 | 実施 | 実施 | |
間 | いる継続研究課題について、これまで | 実施 | ||||
評 | の進捗状況や目標達成可能性、研究を | |||||
価 | 取り巻く状況の変化等の観点から、引 | |||||
き続き研究を続けることの適否を判断 | ||||||
する。 | ||||||
事 | 評価実施年度の前年度に研究期間が終 | 試行 | 実施 | 実施 | ||
後 | 了した研究課題について、政策への貢 | |||||
評 | 献度、目標の達成度、研究の成果等の | |||||
価 | 観点から研究結果を評価し、次期研究 | |||||
計画の策定等に活用する。 |
評価は、xx県試験研究開発評価チーム(以下「評価チーム」という。)によって行われ、その構成員は次のとおりである。
①内部の委員(学術振興課政策監、関係課xxx)
②試験研究機関の研究分野に関連する外部の有識者(一般ユーザー等)
③試験研究機関の研究分野に関連する外部の専門家(大学・独立行政法人の研究者等)なお、評価チームの事務局は学術振興課に置かれている。
評価は、大きく政策的妥当性、研究開発効果、技術的達成可能性について内部委員、外部有識者、外部専門家によってそれぞれ評価し得る項目について、主観的、定性的に評価を行ったうえで、点数化し、総合評価される。
表 2-8 各評価者の評価し得る項目
評価項目 | 内部委員 | 外部有識者 | 外部専門家 | |
政策的妥当性 | 政策への適合性 | ○ | ||
公共性・公益性 | ○ | ○ | ○ | |
民間セクターでの実現困難性 | ○ | ○ | ○ |
評価項目 | 内部委員 | 外部有識者 | 外部専門家 | |
研究開発効果 | 経済効果 | ○ | ○ | ○ |
県民生活上の効果 | ○ | ○ | ○ | |
費用対効果 | ○ | ○ | ○ | |
利用可能性、応用可能性 | ○ | ○ | ○ | |
技術の性能 | ○ | ○ | ||
新規性・革新性・独創性・先行性 | ○ | ○ | ||
技術移転・普及に関するリスク | ○ | ○ | ||
技術的達成可能性 | 到達技術水準に関するリスク | ○ | ||
周辺・援用技術に関するリスク | ○ | |||
目標設定とブレークスルーポイント | ○ | ○ |
(2) 平成 14 年度事前評価の評価結果
平成 14 年度に実施した事前評価の評価結果(表 2-9 参照)によれば、技術的達成可能性について、最大値 100、最小値 53 と他の項目に比し大きな幅が見られる。中間評価及び事後評価は、A、B、C、D による評価ではあるが、当初から困難な課題に挑戦したときの達成度と実現可能性の高い課題を実施したときの達成度に、差異は設けていない。今後、課題評価にあたって留意すべき項目といえる。
平成 14 年度に評価した課題として県のホームページで公表されている課題は 25 件であ
るが、評価は 26 件実施されている。公表された課題が 1 課題少ないのは、予算査定時に評価チームに実施と判定されたものの予算が付されなかったことから、試験研究機関が自ら課題を取り下げたことによるものである。事前評価は翌年度予算に新たに予算計上するものについて実施するものであるが、評価が実施と判定されたからといって、来年度の予算措置に結びつくものではない。
また、平成 16 年度から執行される予算は部局別となり、研究予算を一元化して管理する体制とはなっていないことから、評価時の予算要求が各部局の他の予算との関連で削減される可能性もある。
表 2-9 評価結果
政策的 妥当性 | 研究xx x 果 | 技術的達成 可 能 性 | 総合評価 | |
平均 | 74.32 | 69.88 | 73.92 | 72.44 |
中央値 (メジアン) ※ | 75 | 69 | 70 | 73 |
最頻値 (モード) | 75 | 77 | 67 | 73 |
最小 | 63 | 51 | 53 | 57 |
最大 | 90 | 83 | 100 | 83 |
※中央値(メジアン):データを小さい順(大きい順)に並べたときときの中央の値
(3) 研究成果との関連
事前評価にあたっては研究計画提案書が提出され、評価を受けることとなる。研究計画提案書では、県の施策との位置づけが明示され、研究計画と到達目標が記載されている。到達目標については具体的に成果を示しているものと示していないものとが認められる。県の施策目標が数値で示されているにもかかわらず、その関連性が明確でないものも認められる。また、試験研究機関の設置目的のほとんどは、業界の振興を目的としているものの研究成果がどのように業界に普及され(普及率が一指標となる)、業界の振興をもたらすかにつき因果関係を明らかにしたものは認められない。
研究成果の指標を設定する場合、数値の把握が容易なものを成果指標とすると研究課題との関係が薄くなりがちである。指標設定に当たっては、研究課題に十分に対応したものを創出する必要があるが、そのような指標も認められなかった。
具体例として、任意に 3 点を抽出して成果との関連性を見ると次のようである。
①成果の数値はあるものの達成困難と思われるもの
評価種類 | 事前評価 |
機関名 | 総合食品研究所 |
課題名 | 小規模食品工場向けの高度加工技術の開発 |
政策名 | 豊かな自然と調和した個性あふれる農林水産業の振興 |
施策名 | 地域農業との連携強化による秋田らしい食品産業の振興 |
施 策目標名 | 新製品開発累積件数 |
最終到達目 標 | 1)プログラム加熱法を導入したジュール加熱技術を完成させる。本技術により、玄米の早炊、豆腐のゲル強度増強、難消化性デンプン製品の製造が可能になる実用レベルの装置として処理量 100~300kg/hで 300 万円以下を想定する。 2)高機能発芽玄米製品を開発する。有効成分であるギャバ含量が従来品の 1.5 倍で 賞味期限は 2 倍以上を目標とする。 |
研究xxx 果 | ○経済効果、県民生活上の効果 普及導入先として、豆腐製造業(業界出荷額 30 億円)、製粉業(同 8 億円)、 総菜加工業(同)、乳製品製造業(同 70 億円)などが、見込まれる。このうち、当該技術の普及率として最小 5%、最大 15%と推定(根拠:豆腐用ジュール加熱技術の普及率が約 10%)すると、平均出荷額で 22.8 億円に相当する製品の製造加工にプログラム加熱技術が使用されるものと計算される。 従来法に替わり、プログラム加熱法によって導入することによって得られる利益 (製品売上増、工程合理化、エネルギーコスト削減)は約 3 億円/年と推計される(根拠:豆腐用ジュール装置導入の実績では粗付加率 14.5%、売上増、工程合理化、省エネ効果の合算が従来比 1.03 であるので、22.8×0.145×1.03=3.4 億円)。発芽玄米製品の本県での出荷額は過去数年の短期間内で約 2 億円(平成 13 年)に達するまでに成長している。 ○費用対効果 1)プログラム加熱技術の完成による効果 装置の耐用年数を 9 年とすれば、企業利益は 27 億円(3 億円×9 年)である。 2)高機能発芽玄米の完成による効果 本県における発芽玄米の出荷額伸長率は前年比約 50%である。従って、高機能発芽玄米が市場に出る平成 19 年の予想出荷額は約 22.5 億円であり、このうち高機能発芽玄米が 20%を占めるとすると約 4.5 億円の出荷額となる。 3)全体の費用対効果は、研究開発費が 3 ヵ年で 300 万円であるので、(27 億円+ 4.5 億円)÷300 万円=1050 倍。ただし高機能発芽玄米の出荷額は平成 19 年のみ計上。 |
予算 | 300 万円(総額) |
評価結果 | A:優先実施 |
(課題)
当研究課題については、研究開発効果として、定量的な経済効果を記載している点は高く評価できるものの、次の疑問が残る。
ア 経済開発効果としての数値は普及率 100%として計算している。最大理想数値である旨を記載しなければ、評価に誤解を生ずるおそれがある。
イ 粗付加率をもって利益を計算しているものの、粗付加率がどのような概念であるか不明である。
ウ 3%ポイント利益増に貢献するとあるが、売上増加は考慮されていない。
エ 費用対効果の検討でプログラム加熱法は利益、高機能発芽玄米は売上(=出荷額)を加算した上で、費用と対比している。利益と売上は概念が異なり、これを加算して費用と対比しても意味ある数値とはならない。
以上、研究完成後の普及活動を通じて経済的効果が生じたときも、比較すべき指標となっていない。今後、成果指標となり得る評価基準を整備する必要がある。
② 経済的効果をうたいながら、数値記載がないもの
評価種類 | 中間評価 |
機関名 | 森林技術センター |
課題名 | ニュータイプきのこ資源の利用と生産技術の開発 |
政策名 | 豊かな自然と調和した個性あふれる農林水産業の振興 |
施策名 | 豊富な森林資源の循環利用による林業の推進 |
施 策目標名 | 林業技術の開発促進 |
最終到達 目 標 | 山林農家の現金収入の増大を図ることを目的に、独自性の高い新しいキノコ品種 の作出とともに、コストの極力かからない栽培方法のxx |
x 果 | 全国に先駆けての栽培開発であり、高収益をあげる新規キノコの主産地になるこ とによって、農林所得の向上につながり経済的効果も大きい。 |
予算 | 一般 6,145 千円、国庫 5,812 千円、その他 17 千円 計 11,974 千円(総額) |
評価結果 | B:継続 |
(課題)
「あきた21総合計画」において戦略作目(きのこ類を含む)の総販売額の目標値が示されているが、この研究結果によりどの程度総販売額に寄与するかが示されていない。
さらに、きのこの生産は、国の補助事業として他県でも実施されている事業である。xx県においても県産きのこ生産振興対策事業として平成 14 年度において 195 百万円の補助が行われている。当研究によるきのこの生産も菌床栽培によるものもあり、研究目標が達成し得たとしても生産に結びつけるためには、菌床設備培養設備の整備及び選別設備の整備等について、さらなる補助金出費が予測される。
最終的な成果は特用林産物生産量、すなわち、きのこの生産量の増加であり、これによる林産農家の所得の向上のはずである。この研究計画提案書からは、どのようにしてきのこの生産量が増加するか、またその生産量の増加の数量が明示されていない。きのこについては輸入及び国内大手企業との厳しい競合が予測され、「安くておいしい」かまたは「高くて医事効果がある」に消費が二極化する中で、研究成果が価格競争、市場競争にどのように対処し得ているかの記述は見られない。「全国に先駆けての栽培開発」であることをもって「農林所得の向上につながり経済的効果も大きい」と言える根拠の記載はない。少
なくともウルグアイラウンド対策事業として行われたきのこ生産への補助事業が、現在どのような結果をもたらしているかの現況把握を踏まえたうえで、経済的効果を数値として示すべきである。
(参考) 平成 14 年度継続事業に係る事業評価
事業コード | 事業名 | 14 年度事業費 | 事業種類 | 施策名 | 施策目標名 |
N540604 | 県産きのこ生産振興対策事業 (特用林産振興 対策事業) | 195,944 千円 | 補助 | 豊富な森林資源の循環利用による林業の 推進 | 特用林産物生産量 |
評価:必要性 A、全体妥当性 A 有効性、効率性の記載は空白
(参考)あきた21総合計画
政策名 | 豊かな自然と調和した個性あふれる農林水産業の振興 | |||
施策名 | 消費者に安心と満足を届ける生産・販売体制の構築 | |||
施策目標 | 安全・安心を基軸とする県産農産物の流通・販売戦略の転換 | |||
戦略作目(きのこ類を含む)の総販売額 | 現状(13 年) | 平成 17 年 | 平成 22 年 | |
475 億円 | 680 億円 | 872 億円 |
③ 数値目標の記載はあるものの仮定であるもの
評価種類 | 中間評価 |
機関名 | 工業技術センター |
課題名 | インターフェースを考慮した歩行支援機器の開発と評価 |
政策名 | 産業の技術力・競争力の源となる科学技術基盤の形成 |
施策名 | 科学技術を支える産・学・官それぞれの機能強化 |
施 策 目標名 | 年間特許出願件数 |
最終到達目 標 | 超高齢社会に対応するためには、高齢者の自立が重要であり、自立を促すための機器が必要とされる。ただし、高齢者の自立支援用機器においては、何もかも機械が代わってくれるのではなく、機能低下した身体特性を配慮し、足りない部分だけを機械が補助するパワーアシストの考え方が重要となる。 本研究では、高齢者の自立と活動の場を拡張し、社会参加を円滑に実現するため の機器として歩行支援用機器の実用化を目指す。 |
研究xxx 果 | 経済産業省の福祉用具市場規模調査(全国)によると 1995 年度 8,641 億円、1997 年度 1 兆 409 億円、1998 年度 1 兆 785 億円(対前年度比 3.6%増)と、堅調な伸び を示している。3~4%/年の成長と仮定すると 5 年後の 2005 年度の福祉用具市場 規模は、約 1 兆 3,260 億円~1 兆 4,200 億円と推定される。本事業の中核研究において対象とする機器は、主として移動支援機器であることから、現状の高齢者福 |
祉施策を基盤として、3~4%/年の成長と仮定すると 5 年後の 2005 年度の移動新機器の市場規模(全国)は、390 億円~420 億円と推定される。よって、本事業成果が技術移転され、他県にさきがけて福祉関連製品が製品化、商品化された場合、全国市場規模の約 1%/社を占めるとすると、2005 年度の移動支援機器に関しては、約 3 億円~4 億円/社の市場が見込まれる。 | |
予算 | B::継続 |
(課題)
研究開発効果として、“商品化された場合、全国市場規模の約 1%/社を占めるとすると、2005 年度の移動支援器に関しては、約 3 億円~4 億円/社の市場が見込まれる”との記載がある。これはxx県の企業 1 社が約 3 億円~4 億円の販売高を占められるというものではなく、1 社の市場占有率が 1%としたときのまったくの仮定計算を示しているにすぎない。研究開発効果は仮定計算ではなく、この研究によってxx県の産業競争力が全国でどのような地位を占めることになるのか等を検討し、目標を設定すべきである。
4 生産事業と原価計算
畜産試験場は比内鶏、牛の精液等の生産・販売を、水産振興センターはマダイ、ヒラメ等 の稚魚の種苗生産・販売事業を実施している(「添付資料 Ⅴ生産高、販売高推移」参照)。研究費用と生産事業費用は、予算を策定する上では区分されているものの実際に発生した 費用につき、それぞれ分離して費用を把握することはしていない。県の総合計画では、比内鶏の生産増強、つくり育てる漁業の推進がうたわれており、生産量の増加に対応して賃金等の費用の増加が見込まれるが、生産事業費を区分して把握できないとシーリング予算のもとで、研究費等が圧迫されるおそれがある。また、自助努力としての成果を把握する上でも原
価計算は必要である。
表 2-10 畜産試験場 一般財源負担分試験研究費の推移(決算数値による)
(単位:千円)
H10 年度 | H11 年度 | H12 年度 | H13 年度 | H14 年度 | ||
試験研究費 | A | 104,161 | 93,098 | 92,471 | 91,402 | 94,302 |
収入 | B | |||||
畜産試験場手数料 | 375 | 0 | 0 | 324 | 138 | |
財産受払収入:畜産試験場分 | 79,480 | 80,294 | 76,861 | 76,681 | 79,410 | |
国庫補助事業 | C | 1,200 | 1,200 | 1,200 | 1,200 | 2,767 |
計 B+C=D | 81,056 | 81,494 | 78,061 | 78,206 | 82,315 | |
差引:県一般財源試験研究費分 A-D | 23,105 | 11,604 | 14,409 | 13,196 | 11,987 | |
趨勢比 | 100.0% | 50.2% | 62.4% | 57.1% | 51.9% |
(参考)あきた21総合計画施策:資源を守り生かす漁業の推進
施策目標 | 単位 | 年 | 現状 | 平成 17 年 | 平成 22 年 |
つくり育てる漁業の推進 (ハタハタ、マダイ、ヒラメ、アユの 4 種) | トン | 13 | 2,081 | 3,080 | 4,650 |
漁業生産基盤の計画的整備 (漁業就業者1人あたりの漁業収入) | 千円 | 13 | 3,743 | 4,135 | 4,586 |
図 2-4 マダイ、ヒラメ、アユ、ガザミ、クロソイの種苗生産量、販売量、販売金額の推移
水 産 振 興 セ ン タ ー
千
9,000
千
26,500
8,000
26,000
7,000
25,500
6,000
5,000
25,000
4,000
24,500
3,000
24,000
2,000
1,000
23,500
0 23,000
平 成1 0 年平 成1 1 年平 成1 2 年平 成1 3 年平 成1 4 年
生 産量
販 売量
販 売
5 成果の把握(普及現況)
農業関係では、「あきた21総合計画」、「xxxあきたの農業・農村ビジョン」が策定されており、これらの早期実現に向け、効率的・実用的な試験研究を目指している。個々の試験研究課題は研究目標達成のための具体的手法や、短期、中期、長期の各期間ごとの達成目標が明示される。
各試験研究機関では、確立された試験研究成果を実用化させるため、農業改良普及センター、農協、普及員、営農指導員、認定農業者等に情報提供や技術指導を実施したり、直接、農業者を対象とした講習会を開催することで、現場農業者に対して有用な技術を迅速に普及させている。
また、この一環として、農業試験場、果樹試験場、畜産試験場及び総合食品研究所においては、前年度の研究成果の中から、「農家へ普及できる事項」と、関係者が「参考として利
用できる事項」に分類し、「実用化できる試験研究成果」として毎年公表している。
県の試験研究機関は各々、担当する産業の振興を目的としており、研究の成果は単に研究結果の公表に止まらず、各業界に研究成果の移転及び普及によって初めてその成果が見られるものである。
畜産試験場では、発表された研究報告(成果)のうち、実践されている事例報告がなされており(表 2-11 参照)、その中には、アンケート結果、普及数、普及率等の各種数値を用いて成果の記載がされている例もあった。全ての研究課題について、普及の度合、それによる成果の把握が必要である。
表 2-11 実践された研究課題
分野 | 課 題 名 | 研究期間 | 普及の数値記載 有無 | 普及現況(数値)記載 | |
1 | 飼料 | 堆肥の施用量がサイレージ用トウモロコシの収量並びに硝酸体窒素含有量に 及ぼす影響 | H 元~H2 | 無 | 無 |
2 | 牧草及び飼料作物の品種選定試験 | H 元~H2 | 有 | アンケート結果に よる認知率 45% | |
3 | 重粘土状における牧草の高位生産体制 -施肥の施用効果- | H 元~H3 | 無 | 無 | |
4 | 乳牛 | 地域飼料をベースとした混合飼料によ る乳牛飼養試験 | S62~H2 | 有 | 普及率(規模別に 多数記載あり) |
5 | 高品質牛乳の生産管理技術の確立試験 | H3~H5 | 無 | 無 | |
6 | 乳成分向上のための飼料給与改善試験 | H7~H9 | 無 | 無 | |
7 | 屋外簡易施設での哺乳、哺育期におけ る混合飼料給与が発育に及ぼす影響 | H6 | 有 | 戸数 | |
8 | 肉用牛 | 低コスト牛肉生産技術システム確立試 験 | H 元~H5 | 無 | 無 |
9 | 肥育牛の出荷適期判明技術の開発試験 | H2~H3 | 無 | 無 | |
10 | 肉用牛における肥育期間短縮に関する 試験 | H4~H7 | 無 | 無 | |
11 | 基幹種雄牛の系統間交配と生産性に関 する試験 | H6~H10 | 無 | 無 | |
12 | 養豚 | 系統豚の組合せ試験 | H 元~H5 | 無 | 無 |
13 | 養鶏 | 比内交雑鶏の技術実証試験 | H 元~H4 | 無 | 無 |
14 | 秋田比内地鶏の冬季飼養試験 | H4 | 無 | 無 | |
15 | ヤマドリ増殖性向上試験 | H6~H7 | 無 | 無 | |
16 | 特用家禽等の特産的素材開発試験 | H9~H10 | 無 | 無 | |
17 | 秋田比内地鶏雄雛の有効活用技術の確 立 | H11 ~ H13 | 無 | 無 | |
18 | 受精卵 移植 | 牛受精卵移植の簡易化に関する試験 | H4~H8 | 無 | 無 |
19 | PCR法を用いた牛胚の雌雄生み分け | H9~H11 | 無 | 無 |
表 2-12 研究期間別実用化数
研究期間 | 実用数 | 研究期間 | 実用数 |
昭和 62 年 | 1 | 平成 7 年 | 5 |
昭和 63 年 | 1 | 平成 8 年 | 3 |
xxx年 | 7 | 平成 9 年 | 4 |
平成 2 年 | 8 | 平成 10 年 | 3 |
平成 3 年 | 6 | 平成 11 年 | 2 |
平成 4 年 | 7 | 平成 12 年 | 1 |
平成 5 年 | 5 | 平成 13 年 | 1 |
平成 6 年 | 5 | 計 | 59 |
Ⅲ 成果目標の設定と責任の明確化
1 成果目標の設定
あらゆる組織にはその目的があり、組織目的を達成するためには、組織の構成員が理解でき行動の規範となる具体的な組織目標を設定し、組織目標の達成に向けて効率的に業務を遂行する必要がある。xx県の公設試験研究機関の目的は、「表 3-2 各試験研究機関の主な目的」に記載したとおりであるが、これらの目的を達成するための個々の試験研究活動内容等については、その結果得られる成果とそのために要するコストを明確にし、県民に対する貢献度を自ら積極的に説明することが要求されてきており、県の総合計画に示されている施策及び施策目標指標値に整合する中長期的・具体的な組織目標を定め、当該組織目標達成のために短期的目標を設定し、試験研究活動等を計画的・効率的に遂行することが求められている。
試験研究活動についてはその数値目標の設定にあたり、発表論文数や技術移転数などを採用する機関が多いが(「表 3-4 各試験研究機関の研究成果の計数的把握方法及び研究によって期待される成果量」参照)、これらは①県の総合計画に示されている施策目標指標値と直接的に関連づけることが困難であり(「表 3-6 県の施策と研究あるいは普及活動における成果との関連づけ」参照)、また、②試験研究活動の結果を示すものであり、試験研究活動の結果得られた成果(その試験研究の成功によりどれだけの受益者に対してどれだけの貢献度があったか)を示すものではないため組織目標として適切とはいえない。各試験研究機関は県の総合計画に示されている施策と整合性のある成果目標値を設定し、その成果を獲得するためにはどれだけのコストが必要となるのかを対比して示し、試験研究の有用性(成果量の大きさ)と効率性(一定のコストでより大きな成果量)を説明する必要がある。
試験研究機関によっては県の総合計画に示されている施策目標指標値と直接的に関連づけられる成果目標値を設定することが困難な場合もあるが、その場合であっても施策目標指標値と整合する成果目標値を設定することが必要である。成果目標値を設定する際には、受益対象者とその数を明確にし、受益対象者全員に対してどれくらいの成果量が期待できるのかという観点から適切な目標値を選定し、試験研究活動等の有用性を成果量として測定可能な数値とする必要がある。なお、企業の売上・利益の増大、経済効果等、その数値の把握が困難なものについては、施策目標達成に密接に関連する活動に焦点を当て、その活動量を成果目標値とする等の工夫が求められる。
また、その成果量を達成するためにどれだけのコストが必要となるのかを予定行政コスト計算書によって明らかにし、試験研究活動等の効率性を測定することも必要である。試験研究活動等の有用性と効率性を測定することにより、試験研究活動等の順序づけが可能となり、試験研究テーマの選定を合理的に行うことができるようになると考えられる。
これにより、試験研究の重要度にかかわらず実施されがちであった一律的な研究経費の削減や試験研究期間の設定から、試験研究の重要度に応じた研究経費の割り当てや試験研究期間の設定が可能になり、県民への貢献度合いの高い試験研究分野に予算が重点的に配分されることが期待できる。
2 研究成果量の測定方法と研究の評価方法
研究成果量は試験研究機関の目的に応じて適切なものを設定する必要がある。したがって、一律的な成果量の測定方法を示すことはできないが、産業の振興を目的とする試験研究機関の成果量としては「県内純付加価値」を設定することが考えられる。「県内純付加価値」を成果量として設定した場合の研究の評価方法試案は以下のとおりである。
<前提>
研究の採択基準(事前の研究評価)は次の順位による。
①成果量(成果量 3 百万円以上の研究を採択する。)
②成果量率(成果量率 10%以上のものを採択する。)
③研究の成功確率(研究の成功確率 60%以上のものを採択する。)表 3-1 研究成果量による採択の可否
(単位:百万円)
項 目 | 研究 A | 研究 B | 研究 C | |
① | 研究が成功した場合に期待される県内純付加価値の現在価値 | 50 | 40 | 30 |
② | 研究が成功する確率(%) | 70 | 80 | 90 |
③ | 研究が成功する確率を考慮した県内純付加価値の現在価値 (③=①×②) | 35 | 32 | 27 |
④ | 研究費総額の現在価値 | 40 | 30 | 20 |
⑤ | 期待される成果量 (⑤=③-④) | △5 | 2 | 7 |
項 目 | 研究 A | 研究 B | 研究 C | |
⑥ | 成果量率(%) (⑥=⑤÷④×100) | △12.5 | 6.7 | 35 |
⑦ | 採択の可否 | 不可 | 不可 | 可 |
⑧ | ⑦の理由 | 期待される成果量がマイナスである。 | 期待される成果量が採択基準の 3 百万円を下回 っている。 | 採択基準の全てを 満 た し て い る。 |
項 目 | 研究 D | 研究 E | 研究 F | |
① | 研究が成功した場合に期待される県内純付加価値の現在価値 | 60 | 40 | 30 |
② | 研究が成功する確率(%) | 40 | 60 | 80 |
③ | 研究が成功する確率を考慮した県内純付加価値の現在価値 (③=①×②) | 24 | 24 | 24 |
④ | 研究費総額の現在価値 | 20 | 20 | 20 |
⑤ | 期待される成果量 (⑤=③-④) | 4 | 4 | 4 |
⑥ | 成果量率(%) (⑥=⑤÷④×100) | 20 | 20 | 20 |
⑦ | 採択の可否 | 不可 | 可 | 可 |
⑧ | ⑦の理由 | 研究の成功確率が 60%未満であ る。 | 採択基準の全てを 満 た し て い る。 | 採択基準の全てを 満 た し て い る。 |
研究 C の成果量が最も大きいため、「①成果量」の採択基準により研究 C を最優先し、研究 F の成功確率は研究 E の成功確率よりも高いため、「③研究の成功確率」の採択基準により研究 F を優先して採択する。
3 責任の明確化
試験研究機関の役職員は目標達成に対して責任を負っていることを明確にし、毎年度達成された成果と実際行政コスト計算を実施して目標値と比較し、その結果を役職員の評価に反映させることにより、役職員の行動を目標達成に向けて動機づけることが必要である。ただし、試験研究の結果が失敗に終わった場合には、その理由に関する合理的説明があれば適切な評価がなされるように手当てしておく必要がある。
表 3-2 各試験研究機関の主な目的
試験・検査 | 産業の振興 | 経営の改善 | 公益機能の維持 | |
衛生科学研究所 | ○ | |||
環境センター | ○ | |||
農業試験場 | ○ | ○ | ||
果樹試験場 | ○ | ○ | ||
畜産試験場 | ○ | ○ | ||
水産振興センター | ○ | |||
森林技術センター | ○ | ○ | ||
総合食品研究所 | ○ | |||
工業技術センター | ○ | |||
高度技術研究所 | ○ |
表 3-3 各試験研究機関の受益対象者及びその数
県民 | 産業従事者 | 産業団体 | 公共機関 | ||||
衛生科学研究所 | 116.7 万人 | ||||||
環境センター | 116.7 万人 | ||||||
農業試験場 | 総農家数 農業従事者 | 78,380 戸 199,200 人 | 農業団体 | 47 | 県内市町村 | 69 | |
果樹試験場 | 果樹栽培農家 約 4,500 戸 農業従事者 15,308 人 | 農業団体 | 24 | ||||
畜産試験場 | 畜産農家(注)2 2,407 戸 | ||||||
水産振興センター | 漁協等組合員 15,365 人 | ||||||
森林技術センター | 森林所有者 28,737 戸 林業等就業者(注)3 3,681 人 | 森林組合 | 16 | 県内市町村 | 69 | ||
総合食品研究所 | 飲・食料製造業者 554 事業所同従業者(注)4 10,098 人 | ||||||
工業技術センター | 製造業者(注)6 2,688 社 同従業者 77,554 人 | ||||||
高度技術研究所 | 対象事業所(注)5 691 社 同従業者 36,201 人 |
(注)1.各試験研究機関への質問に対する回答に基づき作成した。
2.畜産農家の内訳は、酪農 200 戸、肉用牛 1,900 戸、養豚 200 戸、養鶏 107 戸である。
3.林業等就業者の内訳は次のとおりである。
林業就業者 | 2,682 人 |
キノコ栽培者 | 685 人 |
山菜栽培者 | 314 人 |
4.「工業統計」(従業員 4 人以上)による。県内の食料・飲料等の製造業には従業員 4
人未満の小企業が多い。ちなみに広報誌の送付先は約 1,600 である。
5.主な対象業種は、金属製品・一般機械・電気機械・精密機械等であり、事業所数及び従業者数はxx県製造業全体のそれぞれ、25.7%、46.7%を占めている。
6.「製造業」のほか、「情報サービス業」や「デザイン・機械設計業」などの製造業に関連した産業も対象としている。
表 3-4 各試験研究機関の研究成果の計数的把握方法及び研究によって期待される成果量
研究課題数 | (実用化できる)研究成果数 | 発表論文数 | 技術移転可能な技術数等 | その他 (注)3 | |
衛生科学研究所 | ○ | ○ | |||
環境センター | ○ | ||||
農業試験場 | ○ | ○ | |||
果樹試験場 | ○ | ○ | |||
畜産試験場 | ○ | ||||
水産振興センター | ○ | ||||
森林技術センター | ○ | ||||
総合食品研究所 | ○ | ○ | |||
工業技術センター | ○(注)2 | ||||
高度技術研究所 | ○ | ○ |
(注)1.各試験研究機関への質問に対する回答に基づき作成した。
2.技術移転可能な技術には、共同研究により技術移転したものの数も成果指標として掲げられている。
3.その他の項目は次のとおりである。
環境センター | 調査研究結果に基づく環境改善につながる関連施策の実施とその 結果による環境改善効果 |
畜産試験場 | 研究終了時の研究目標を数値化 |
水産振興センター | 長期的なモニタリング研究活動については、成果の把握は難しい。 |
高度技術研究所 | 特許件数・各種表彰、研究指導、共同研究契約 |
試験研究機関 | 普及指導による成果の計数的把握方法及び普及指導によって期待される成果量 |
衛生科学研究所 | 保健所を通じて普及している。 年1回調査研究業務発表会開催 |
環境センター | 該当なし |
農業試験場 | 専門技術員の指導を受けた農業改良普及員は、各地域振興局において県の施策にそった普及計画を策定し、農業者等の指導にあたっている。 |
果樹試験場 | 各普及員は、試験場の特定課題研修、せん定等実技講習及び研究成果情報等を把握しながら、各品目にわたって、地域に密着した普及計画を立案し、農家指導に あたっている。 |
畜産試験場 | 農業改良普及員が各地域振興局において県の施策及び研究成果に基づき普及計画を策定し、農業者等の指導にあたっている。また、新技術等の普及にあたっては 研究員が農業改良普及員と共に現地に出向き農家等の指導にあたっている。 |
水産振興センター | 各年度毎、各地区毎に活動計画を樹立し、可能なものについては目標を数値化し、成果、課題などを随時把握しながら効果的な普及活動を展開している。 |
森林技術センター | 各普及指導員は、年度終了後活動内容を実績報告書として提出している。 |
総合食品研究所 | 共同研究数、開放研究室利用数、機器利用件数、技術相談件数、巡回指導場数、 研修受講者数など |
工業技術センター | 巡回指導数 技術相談・指導数 受託研修により技術移転したものの数技術研究会活動数 共同研究数 施設・設備利用件数開放研究室利用数 |
高度技術研究所 | 研究契約・共同研究会・技術相談・機器利用等における件数と企業数オープンセミナー等の技術研修の開催回数及び受講者数 インターンシップ等の受入数、講師の派遣数 |
表 3-5 各試験研究機関の普及指導による成果の計数的把握方法及び普及指導によって期待される成果量
(注)各試験研究機関への質問に対する回答に基づき作成した。
表 3-6 県の施策と研究あるいは普及活動における成果との関連づけ
普及指導による成果の計数的把握方法及び普及指導によって期待される成果量 | ||
設定なし(注)2 | その他 | |
衛生科学研究所 | ○ | |
環境センター | ○ | |
農業試験場 | ○ | |
果樹試験場 | ○ | |
畜産試験場 | ○ | |
水産振興センター | ○ | |
森林技術センター | ○ | |
総合食品研究所 | ○ | |
工業技術センター | 県の施策目標指標値として特許出願件数及び共同研究実施件数が掲げられている。一部を除きこれらと直接的に関連づけられた研究目標値あるいは普及目標値は設定されてい ない。 | |
高度技術研究所 | 県の施策目標指標値として特許出願件数及び共同研究実施 件数が掲げられている。 |
(注)1.各試験研究機関への質問に対する回答に基づき作成した。
2.「県の施策目標指標値と直接的に関連づけられた研究目標値は設定されていない。」との回答を受けた機関である。
表 3-7 各試験研究機関の実際行政コスト(平成 14 年度)
試験研究機関 | 行政コスト計 | 収入計 | 純行政コスト | 県民 1 人あたり 純行政コスト |
衛生科学研究所 | 千円 422,228 | 千円 6,728 | 千円 415,499 | 円 355 |
環境センター | 344,933 | 11,231 | 333,701 | 285 |
農業試験場 | 2,147,557 | 96,071 | 2,051,486 | 1,755 |
果樹試験場 | 401,828 | 40,944 | 360,884 | 308 |
畜産試験場 | 694,364 | 117,891 | 576,472 | 493 |
水産振興センター | 899,988 | 55,155 | 844,832 | 722 |
森林技術センター | 394,233 | 28,110 | 366,123 | 313 |
総合食品研究所 | 733,305 | 28,920 | 704,385 | 602 |
工業技術センター | 861,725 | 29,276 | 832,448 | 712 |
高度技術研究所 | 723,305 | 19,042 | 704,263 | 602 |
10 機関計 | 7,623,466 | 433,368 | 7,190,093 | 6,152 |
(注)1.各試験研究機関の行政コスト計算書に基づき作成した。
2.県民 1 人あたり純行政コストは、平成 15 年 4 月 1 日現在の人口 1,168,718 人で除して算出した。
Ⅳ 今後の方向性についての提言
近年、xx県の財政は、自己財源の減少などにより非常に厳しい状況におかれている。また、ここ数年において産業構造や経済情勢など事業者のおかれている立場も大きく変わってきている。このような状況を踏まえて考えると、xx県の試験研究機関についても過去の延長線上でこれを捉えるのではなく一度すべて白紙の状態に戻し、その上で当該試験研究機関が過去に果たしてきた成果、現在の受益者のニーズを考慮し、今後のあり方を見直していく必要がある。
1 各試験研究機関の存在意義の見直し
各試験研究機関については、設立時の目的に対し現在の経済環境等において、すでにその目的を達していると思われる試験研究機関、県民に対する貢献度が明確に説明できず存在意義が明確にされていない試験研究機関も見られる。
各試験研究機関については、まず現状において今後試験研究機関を存続させて研究を続ける必要性があるのかどうかの判断が必要であると思われる。
すなわち、すでに目的を達している試験研究機関、存在意義の低い試験研究機関については組織の縮小、あるいは廃止を検討することが必要である。
試験研究機関の存在意義を見直すにあたっては、次の 2 点に留意する必要がある。
①現時点における県内事業者など直接の受益者に対する貢献度を明確にすること。
ここで、貢献とは試験研究の成果、及び試験研究に関連して提供される物品、役務、技術が受益者に与える利益である。注意すべき点は、研究そのものの評価ではなく、その結果、受益者にどれだけの利益を与えているか、という点である。非常に高い研究成果をあげ、学会で大きな賞賛をあげたとしても、この成果が県内の事業者などに還元されなければ、地方自治体の試験研究機関としての使命を果たすことはできない。よく試験研究機関の評価に論文発表数が使われるが、これだけで当該試験研究機関の評価が高いとはいえない。
②県内の事業者、産業の現況を十分把握すること。
①とは別の視点になるが、現在の経営環境において県内の事業者、産業がどのような状況になっているかを十分にリサーチしておくことが必要である。そのうえで、県内の事業者など直接の受益者や県民が県の試験研究機関に何を求めているのか、すなわちそのニー
ズを、適時かつ正確に把握しておく必要がある。そして、そのニーズのうち、民間で実施できないもの及び民間に任せることが妥当ではないものを明確にしたうえで、県の試験研究機関が果たすべき役割を明確にしておくことが必要である。
今回の包括外部監査については、今後、県の試験研究機関における組織をどのように見直すべきかを目的として検討しているものではないため、具体的かつ網羅的に、提言することはできないが、外部監査の過程で気づいた点は次のとおりである。なお、試験研究機関の存在意義については、外部監査の一環として各試験研究機関が県民に対し、現在どのような具体的な貢献(試験研究の成果及びこれに関連して提供される物品、役務等が事業者を含む県民に与えている便益)をしているかを中心に検討したものであり、各試験研究機関における将来の貢献の可能性や試験研究の質の評価なども含めた総合的な評価を実施した結果ではない。
(1) xx県工業技術センター
当試験研究機関は昭和2年に工業試験場として作られたのがその始まりであり、工業技術の研究開発を促進するとともに、工業に関する知識及び技術の普及指導及び研修を行い、xx県の工業の振興に資するために設置された機関である。具体的には、県内企業を支援するための試験研究、県内企業のための技術相談などの支援、開放研究室の貸し出し、研究機械の貸し出しなどの業務を行っている。
しかし、ここ数年における県内の工業事業者の状況をみると、その業績は不況の影響もあるが低迷しており、当試験研究機関が果たしてきた貢献に疑問ももたれる。事実、当センターでは、技術移転件数、技術相談指導件数などその成果を県民に示す資料を作成しているが、試験研究、技術相談などにより、当該企業にどのような支援がなされ、その結果当該企業の業績、あるいは県民の雇用にどのように成果があがったかについての具体的な資料を持っていない。
(2) xx県高度技術研究所
当試験研究機関は平成4年に開設、工業の振興のための基盤となる高度技術の発展に資するため、エレクトロニクス、メカトロニクス及び新材料に関する高度技術の研究開発、
民間企業等に対する上記技術の研究開発支援、人材育成を目的として設立された機関である。
研究テーマとしては、主として応用磁気工学の情報記録分野(高密度垂直磁気記録)の実用化研究を実施している。
しかし、研究テーマとして取り組んでいる事項は、高度な情報記録分野の技術であり、研究そのものとしては非常に有意義なものと認められるものの、県内の企業でこのような高度な技術が直接生かせるのかどうかについては疑問な点もある。現在実施している研究が成功し、その結果将来、大企業の工場を県内に誘致できるといったことも考えうるが、不確実な面が多い。むしろ、高度な技術研究については、国の試験研究機関、あるいは大学の研究室に任せるべきとの考え方もできる。
また、この機関においてもその具体的な県民への貢献について、共同研究や研究指導を実施した件数、特許の取得件数など一定の説明資料を有しているが、その具体的な貢献度
(共同研究、研究指導を過去に実施した事業者等がその後その共同研究等を踏まえ、どのような業績をあげ、雇用拡大したのか)が示されていない。
以上を考えると、上記の2機関については、今後設立の趣旨と現在の環境を再認識し、県民への貢献をわかりやすく説明するとともにその成果を最大に発揮できるよう、事業内容や組織のあり方を検討していくことが望まれる。
2 試験研究機関の統合
前述したようなxx県における昨今の厳しい財政状況から考えると、事務部門の経費など間接経費の削減が必要である。このためには、現在 10 ある試験研究機関(脳血管センターを除く)について統合を進めることが必須である。以下は、外部監査の過程で気づいた、統合案の例示である。
(1) 農業試験場と果樹試験場との統合
果樹試験場の実施している事業は主として品種改良、栽培法開発及び病害虫対策であり、果樹圃場には機械が入りにくく省力化に制限があることから相対的に労働集約型の試験研究機関という性格を有している。
農業試験場で実施している「リンゴ有用遺伝子の検索と単離」事業は、対象物から判断
すると果樹試験場に関わる事業と考えられる。これは果樹試験場にバイオテクノロジー施設がないため農業試験場で実施しているものである。また、果樹試験場で実施している「リンゴ産地におけるモモの安定生産技術の開発」においては、細目課題として、消費者ニーズを把握するため、平成 15 年度から農業試験場と共同研究をしている。
このように両試験研究機関の研究事業には共同実施を行っている事業もあり、本来果樹試験場に関連する研究事業であっても、設備充実度の違いにより農業試験場で実施する事業もある。現状果樹試験場の設備には老朽化し更新が必要なものも多く見られるが、ここ数年の試験研究機関に対する予算の減少を考えると、今後設備の充実を図ることも困難な面があると思われる。研究事業の類似性や、果樹試験場での設備拡充・更新が将来的に困難である点等を考慮すれば、農業試験場と果樹試験場の両試験場を統合することにより、重複する管理面のコストの削減及び将来的な設備の充実が可能と思われる。
(2) 工業技術センターと高度技術研究所との統合
前述した工業技術センターと高度技術研究所とは、研究テーマは異なるものの、県内の工業振興のための技術指導、技術支援を行っている。したがって、その設立目的、実施業務について共通するものも見受けられる。これらの機関については統合し、管理部門の人員削減等により管理コストを削減し、効率的な機関運営をしていくことが必要であると思われる。
3 業務コストの削減への取り組み
県の財政負担をなるべく少なくするためには、試験研究機関においても業務コストの削減が急務であり、次の2点に留意してこれに取り組む必要がある。
(1) 受益者負担の徹底
各試験研究機関では企業など、直接の受益者(間接的な受益者は県民となる)に供給する物品、役務などに対して相応の負担を求めていない試験研究機関がある。たとえば、前述の高度技術研究所においては、企業等と共同研究、あるいは研究指導を行っているが、対象企業の負担となっているのは、研究室の賃借料や研究材料費のみであり、共同研究や研究指導にあたる研究員の人件費については対象企業の負担とはなっていない。なかには、共同研究の結果、当該企業と試験研究機関とで共同特許を取得し、これに対する特許xx
実施料を免除しているケースも見受けられる(共同研究契約及び共同指導契約においては、特許xx実施料を徴収すると定められている。なお、特許xx実施料については学術振興課所管の発明審査会で決定されている。)。
また、水産振興センターでは、年に約 20 件養殖事業者の水産物に対して疾病検査を実施しているがすべて無料で実施されている。疾病予防のための立入検査等を除き、サービスの受益者が特定されている場合も無料とする取扱いには、疑問を禁じえない。
県の試験研究機関は、民間企業とは違って収益拡大を目的とはしていない。しかし、xx性という観点も重要であり、試験研究機関に対する財政負担の削減とあわせて考えると、県の試験研究機関が提供する物品、役務については適正な対価を収受すべきものと考える。
(2) 人件費の削減
これは県全体、大きな単位でいえば地方公共団体全体の問題ともいえるが、硬直化した人件費の負担が、県の財政にとって大きな負担となっている。試験研究機関についても、研究員を主体とした人中心の組織であり、人件費の負担が大きくなっている(「Ⅱ 現況と課題」参照)。
現状、研究員についても県の職員である以上、県の給与規定の枠外で規定を作ることはできないが、後述する地方独立行政法人へ移行すること等により、能力給制度の導入、臨時職員の雇用拡大などを図り、トータルとしての人件費を削減していく必要がある。
また、正職員の人員削減を検討し、業務委託についてもさらに推進していく必要がある。
4 地方独立行政法人化の検討
平成 15 年度において、地方独立行政法人に関する法案が国会を通過し、平成 16 年 4 月より県の試験研究機関も地方独立行政法人に移行することが可能となった。
地方独立行政法人とは、住民の福祉の増進等の見地からその地域において確実に実施される必要のある事務・事業のうち地方公共団体自身が直接実施する必要はないものの、民間の主体にゆだねては確実な実施が確保できない恐れがあるものを効率的・効果的に行わせるため、地方公共団体が設立する法人である。その制度の柱は、目標による管理と適正な実績評価、業績主義に基づく人事管理と財務運営の弾力化、徹底した情報公開である。
県の試験研究機関を地方独立行政法人化することによる個々のメリットは次のとおりであ
り、これらのメリットをワンパッケージで導入できるところが地方独立行政法人の制度的特徴である。
① 管理体制の明確化
法人の長は、定員数管理や年度予算の作成により、より一層xxな権限を有し、業務執行をより柔軟に、また県とは独立して行うことが可能となる。この結果、組織的な管理体制が強固なものとなり、さらには経営責任の明確化が図られる。
② 中期目標、中期計画による計画的経営の推進
法人は、県が策定した中期目標に基づき中期計画(3 年から 5 年)を作成することとなる。このような計画を明確にすることにより中期的な視点に立った計画的な経営の実現が可能となる。また、経営方針、ビジョンの共有化により職員の意識改革を促進することが可能である。さらに、これらの中期計画の達成度については、第三者評価機関による評価が行われ、業績改善へのインセンティブが働くことが期待される。
③ 職員の身分の取り扱い
地方独立行政法人には、公務員の身分を付与する特別地方独立行政法人とそれ以外の法人とがあるが、いずれの場合であっても現在の職員の人事制度と異なる制度を作ることが可能となる。すなわち、新しく職員の人事評価制度を作成し、これに基づいた給与体系を採用することが可能となる。
④ 県民への適切なディスクロージャー
法人は、企業会計原則をベースとして、発生主義による決算報告が要求され、財務諸表の公表が必要とされる。また、財務諸表だけでなく中期目標、中期計画、業務の実績、評価結果、給与基準等xxな事項を積極的に公開することになる。
⑤ 予算執行における機動性
地方独立行政法人に対しては、毎年度の予算に対する議会の関与はなくなり、予算単年度主義が大幅に緩和されるため、予算執行における機動性、弾力性が増す。
一方、地方独立行政法人化により、現状と比較すると次の業務が新たに増加する。
① 従来は、県の一部門として、予算、決算を実施すればよかったが、企業会計を基礎とした決算、中期計画の作成が要求される。
② 地方独立行政法人として、県とは独立した機関になるため法人への移行作業、すなわち
資産及び職員の移動が必要となる。
③ 実績評価など評価委員会の設置が必要となる。
以上が、地方独立行政法人化によるメリット及び新たに増加する業務である。
xx県の試験研究機関が抱える課題を解決する手段を選択する場合には、地方独立行政法人化の是非を選択肢の1つとして検討することが求められると考える。なお、法人化にあたってはこれまで述べた各機関の統合も併せて検討することが必要である。
Ⅴ 個別事項
1 固定資産の状況
(1) 保有資産の経過年数
各試験研究機関が保有する研究用及び事務用機器並びに車両運搬具等の物品の平均耐用年数は、6 年 2 ヶ月であり、購入後平成 15 年 3 月 31 日までの平均経過年数は 8 年 0 ヶ月である(表 5-1)。農業試験場以外の試験研究機関では、すでに経過年数が平均耐用年数を上回っている。果樹試験場及び衛生科学研究所の平均経過年数は、14 年 10 ヶ月、14 年 5
ヶ月と平均耐用年数である 6 年 6 ヶ月、6 年 3 ヶ月の2倍以上経過している。耐用年数は法人税法において規定されたものであり、各試験研究機関が実際に使用し得る年数と必ずしも一致するものではないが、税法耐用年数を倍する年数を経過したものは、一般的に実際上の使用においてトラブルが発生し、使用に困難が生じる頻度が高くなり、また保守経費も増加する。
保有する資産の大半が減価償却を完了し、簿価が 0 円となっている割合は、総合食品研究所が最も高く保有資産総額に占める割合は 93.3%となっている(表 5-2)。総合食品研究所においては保有資産の大半を設立年度と翌年度に購入しており(表 5-3)、数年後に機器の更新時期を迎えることとなると推測される。
試験研究機関は長期にわたり試験研究を行うことに鑑みると、研究に必要な機器類について長期の設備更新計画の策定が求められる。
表 5-1 固定資産の状況(経過年数降順)
No | 試験研究機関名 | 平均耐用年数 | 平均経過年数 |
1 | 果樹試験場 | 6 年 6 ヶ月 | 14 年 10 ヶ月 |
2 | 衛生科学研究所 | 6 年 3 ヶ月 | 14 年 5 ヶ月 |
3 | 森林技術センター | 6 年 3 ヶ月 | 11 年 1 ヶ月 |
4 | 畜産試験場 | 5 年 11 ヶ月 | 10 年 7 ヶ月 |
5 | 水産振興センター | 5 年 9 ヶ月 | 10 年 6 ヶ月 |
6 | 工業技術センター | 6 年 1 ヶ月 | 9 年 7 ヶ月 |
7 | 環境センター | 5 年 10 ヶ月 | 8 年 7 ヶ月 |
8 | 高度技術研究所 | 6 年 9 ヶ月 | 8 年 0 ヶ月 |
9 | 総合食品研究所 | 5 年 8 ヶ月 | 7 年 4 ヶ月 |
10 | 農業試験場 | 6 年 3 ヶ月 | 4 年 7 ヶ月 |
計 | 6 年 2 ヶ月 | 8 年 0 ヶ月 |
表 5-2 固定資産の状況(減価償却累計率の高い順)
(単位:xx)
No | 試験研究機関名 | 取得価額 | 減価償却 累 計 額 | 簿価 | 減価償却 累 計 率 | 簿価 0 円の 取得価額 | 簿価 0 円 の 割 合 |
1 | 総合食品研究所 | 2,108,770 | 2,042,121 | 66,649 | 96.8% | 1,966,747 | 93.3% |
2 | 水産振興センター | 632,493 | 609,640 | 22,853 | 96.4% | 582,688 | 92.1% |
3 | 森林技術センター | 313,112 | 297,237 | 15,875 | 94.9% | 269,729 | 86.1% |
4 | 果樹試験場 | 249,709 | 236,675 | 13,034 | 94.8% | 222,911 | 89.3% |
5 | 高度技術研究所 | 3,127,967 | 2,865,228 | 262,739 | 91.6% | 2,651,417 | 84.8% |
6 | 衛生科学研究所 | 491,398 | 441,942 | 49,456 | 89.9% | 400,043 | 81.4% |
7 | 工業技術センター | 2,793,450 | 2,450,034 | 343,415 | 87.7% | 2,005,460 | 71.8% |
8 | 畜産試験場 | 535,763 | 469,310 | 66,452 | 87.6% | 423,176 | 79.0% |
9 | 環境センター | 613,154 | 485,196 | 127,958 | 79.1% | 402,323 | 65.6% |
10 | 農業試験場 | 2,944,002 | 2,159,388 | 784,614 | 73.3% | 656,875 | 22.3% |
計 | 13,809,818 | 12,056,772 | 1,753,046 | 87.3% | 9,581,369 | 69.4% |
(注)「簿価 0 円の取得価額」及び「簿価 0 円の割合」は、それぞれ「簿価 0 円となってい
るものの取得価額」及び「簿価 0 年となっているものの割合」の意味である。
表 5-3 総合食品研究所の購入年別資産の金額
(単位:xx)
自 | 至 | 期間 | 取得価額 | 比率 | 累計比率 |
S44.4.1 | H 6.3.31 | 25 年 | 267,509 | 12.7% | 12.7% |
H 6.4.1 | H 7.3.31 | 1 年 | 1,175,064 | 55.7% | 68.4% |
H 7.4.1 | H 8.3.31 | 1 年 | 502,296 | 23.8% | 92.2% |
H 8.4.1 | H10.3.31 | 2 年 | 17,101 | 0.8% | 93.0% |
H10.4.1 | H12.3.31 | 2 年 | 56,833 | 2.7% | 95.7% |
H12.4.1 | H13.3.31 | 1 年 | 56,186 | 2.7% | 98.4% |
H13.4.1 | H14.3.31 | 1 年 | 13,717 | 0.7% | 99.0% |
H14.4.1 | H15.3.31 | 1 年 | 20,062 | 1.0% | 100.0% |
2,108,770 |
(2) 低稼働物品の状況
廃棄すべき物品については、廃棄コストがかかることから、往々にして廃棄せずに保管し続けることが他の機関でも見受けられる。今後の使用可能性を検討し、また、保守管理のコストを考慮し、外部への売却処分、使用料を徴収する外部利用促進、他の研究所への移管などの活用方法を検討すべきである。検討の結果、廃棄すべきものは適時に廃棄して、
保管スペースの有効活用を図るべきである。
①衛生科学研究所
平成 14 年度において使用していない物品は、表 5-4 のとおりである。
表 5-4 使用されていない物品
(単位:xx)
品 名 | 取得年月 | 金額 | 摘 要 |
原子吸光炎光共用分光分析装置 | S52.8 | 6,565 | 長期未使用状況ではあるが、分析能力の高い唯一の機種であり、特殊な機能があり、基礎的分野で使用する予定で ある。26 年経過 |
液体シンチレーションカウンター | S55.3 | 14,400 | 廃棄処分する予定 25 年経過 |
酵素免疫測定システム | S59.9 | 3,434 | 廃棄処分する予定 21 年経過 |
②農業試験場
平成 14 年度に保有する 3 百万円以上の重要物品のうち、年間稼働日がゼロ若しくは 10
日以下のものは表 5-5 に示すとおりである。新規研究テーマに伴って取得する設備に際し、当初の計画がどのようなものであったかにつき、当初計画・購入時の計画書の写しを閲覧しようとしたが、計画時点での設備利用計画書は保存年数を経過しているため閲覧不能であった。以下の農業試験場作成資料によると、低稼働の理由については、以下の6つのパターンに分けられる。
低稼働の理由
類型 理 x
① | : | 他の機器の方が高性能のため、当該他の機器を利用。 |
② | : | 故障中であり、スペア部品がなかったため。 |
③ | : | 課題終了、もしくは、終了に近い状態のため使用頻度が低い。 |
④ | : | 時期により稼動状況が大きく変動するため。 |
⑤ | : | 進捗状況が遅れているため。 |
⑥ | : | 機器を使用する原因の発生が少ないため。 |
表 5-5 低稼働物品(農業試験場)
(単位:千円)
品名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況 (日) | 理由類型 | コメント |
重窒素分析装置 | S54.12 | 6,464 | 0 | ① | 機能的に勝る他の研究機器で試験実施のため使用せず。 |
原子吸光分光光度計 | S59.7 | 4,727 | 0 | ① | 同上 |
デンシトメーター | H3.8 | 5,021 | 0 | ② | 故障のため使用せず。交換部品は流通 していないため修理不能。 |
高速液体クロマトグラフィー | H3.8 | 5,946 | 5 | ③ | 研究課題終了が近いため使用頻度が低い。 |
カラムクロマトグラ フィー | H3.8 | 4,643 | 3 | ③ | 同上 |
超遠心機 | H3.8 | 13,342 | 0 | ③ | 導入当初はウイルスフリーニンニクの抗体検定技術の確立にあたり、かなりの頻度をもって使用されたが、技術確 立後、使用頻度が減少したため。 |
マイコン精密播種プ ラント | H12.1 | 8,127 | 10 | ④ | 使用時期が播種時に限られるため、使 用頻度が低くなっている。 |
携帯用光合成蒸散測定装置(稲・大豆兼用型) | H12.2 | 8,106 | 7 | ④⑤ | 本機を利用して測定を行える時期が夏期に限られること、及び課題の進捗状況から水稲以外で使用しなかったた め、使用頻度が低くなっている。 |
ブラベンダー式テストミル | H12.2 | 3,412 | 4 | ④ | 本機の利用時期と対象作物が限られているため、使用頻度が低くなっている。 |
植物体全窒素全リン酸分析装置 | H12.3 | 13,188 | 5 | ⑤ | 多数試料分析の場合には本機器を、少数試料分析の場合には他の機器を使用して分析をしている。課題の進捗状況から、分析点数が計画ほど伸びず、多数試料分析回数が計画を下回ったた め、使用頻度が低くなっている。 |
差圧式予冷庫 | H12.3 | 3,643 | 3 | ⑤ | 予冷・貯蔵比較試験のために同型機種を 3 台導入している。試験を行う前提として、高品質な野菜生産技術の確立が必須である。現在、前提となる試験に取り組んでいる最中であり、まだ本格的に予冷・貯蔵比較試験を行う時期に到達していないため、本機器につい ては使用頻度が低い。ただし、汎用的 |
品名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況 (日) | 理由類型 | コメント |
な機器であるため、一時貯留として 3 台合わせて年間 3,261 時間の使用実績がある。 | |||||
減圧冷蔵試験装置 | H12.3 | 22,575 | 3 | ⑤ | 予冷・貯蔵比較試験を行う前提として、高品質な野菜生産技術の確立が必須である。現在、前提となる試験に取り組んでいる最中であり、まだ、本格的に予冷・貯蔵比較試験を行う時期に到達していないため使用頻度が低い。 |
低温蒸気土壌消毒装置 | H12.11 | 3,360 | 4 | ⑥ | 施設内の地床消毒に用いる機器であるが、連作年数が少なく、土壌病害虫の発生が少ないため、使用頻度が低くな っている。 |
近赤外線多成分分析装置 | H13.3 | 8,430 | 5 | ④ | 測定時期が収穫後に限られているため、使用頻度が低くなっている。 |
(農業試験場調べ)
③果樹試験場
平成 14 年度に保有する 3 百万円以上の重要物品のうち、年間稼働日がゼロもしくは 10
日以下のものは次のとおりである。
表 5-6 低稼働物品(果樹試験場)
(単位:xx)
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況・今後の予定など |
高速液体クロマトグラフィ | S58.3 | 5,413 | 平成 6 年度頃までは使っていたが、平成 14 年度は使用するテーマの中に当該機器を使用する計画がないため使っていない。 ちなみに平成 14 年度から始まった県単試験(平 成 14 年度は苗を育成する段階であり、当該機器 を使用する計画はなかった。)では、平成 15 年度において肥料成分等土壌浸透量を調査するため、イオンクロマト装置を使用することになった。しかし、果樹試験場が有する当該機器には当該調査に必要な付属品がついていないため、月に 2 回県立大学の装置を借りている。 現在のシステムに付属品を整備すると約 4 百万 |
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況・今後の予定など |
かかり、新たに設備を導入すると約 7 百万かか る。 | |||
携帯式光合成蒸散測定装置 | H4.10 | 4,548 | 平成 12~13 年度は年 10 日程度使用。平成 14 年度は装置の故障により使用できず、製造元(海外)で修理。 ちなみに平成 15 年度は、当該修理の際にプログラムが全て消去されてしまったため、使用可能な状態まで準備するために時間がかかり、実測 できず。 |
高速画像解析システム | H4.12 | 3,151 | 現在では当該システムのデータ互換性に問題 (MS-DOS、5 インチ FD)があり、またパソコンも当時のもので高速ではないため、使用に耐えない状態である。耐用年数 8 年だが、10 年経過しており、所管課に対して不用処分申請の予定。 |
④水産振興センター
平成 14 年度に保有する 3 百万円以上の重要物品のうち、年間稼働日がゼロもしくは 10
日以下のものは次のとおりである。
表 5-7 低稼働物品(水産振興センター)
(単位:xx)
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況・今後の予定など |
水中カメラ放送システム | H 元.9 | 3,151 | 新技術養殖業普及対策事業で年 3 日利用している。使用対象とした水深 40~50m海域での調査がほぼ終了し、水深 0~40m では、潜水等で対 応できることから、使用頻度が低い。 |
原子吸光分光光度計 | S60.8 | 4,726 | 必要とする分析項目がないため、利用していない。今後の試験研究事業において使用の可能性があり、所管換えも含めた適切な使用のあり方 を検討する。 |
オゾン発生装置 | H8.2 | 3,028 | 必要とする分析項目がないため、利用していない。今後の試験研究事業において使用の可能性があり、所管換えも含めた適切な使用のあり方 を検討する。 |
⑤工業技術センター
平成 14 年度に保有する 3 百万円以上の重要物品のうち、年間稼働日がゼロもしくは 10日以下のものは次のとおりである。新規研究テーマに伴って取得する設備に際し、当初の計画がどのようなものであったかにつき、当初計画・購入時の計画書の写しを閲覧しようとしたが、計画時点での設備利用計画書は保存年数を経過しているため閲覧不能で
あった。
表 5-8 低稼働物品(工業技術センター)
(単位:千円)
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況 (日) | コ メ ン ト |
ラベリング試験機 | S57.3 | 11,817 | 0 | スパイクタイヤによる摩耗に耐性のあるアスファルトを開発するために導入したが、スパイクタイヤの製造中止により使用しなくなった。 |
めっき装置 | S57.9 | 8,000 | 0 | 機械・金属業界(特にめっき)の要望に応えるため導入。技術移転が進み、近年 では検定のみに使用している。 |
表面処理装置 | S57.9 | 19,400 | 2 | 機械・金属業界の要望に応えるため導入。しかし材料の高級化や処理技術の進展により使用しなくなった。 |
磨耗試験機 | S59.10 | 4,495 | 3 | 機械・金属業界の要望に応えるため導入。現在は後継機を導入したため使用し なくなった。 |
表示装置 | S59.11 | 4,343 | 0 | 昭和 59 年に実施した画像処理技術の研究用設備として導入。電子部品の外観検査に用いていたが、研究の終了とともに使用しなくなった。 |
ひずみ測定器 | S60.1 | 3,990 | 10 | 金属加工業界の要望に応えるために導入。リフトの応力等を測るために使用していたが、近年はデジタル化した後継機 が導入したため使用しなくなった。 |
炭素硫黄迅速分析計 | S62.11 | 11,380 | 0 | 機械・金属業界の要望に応えるため導入。近年は老朽化及び後継機の導入によ り使用しなくなった。 |
各種計測制御装置システム | H4.8 | 13,287 | 4 | 平成 4~6 年に実施した研究用設備として導入。近年はリモコンなどのデバイス 評価に使用されるのみとなっている。 |
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況 (日) | コ メ ン ト |
各種計測制御装置システム | H4.8 | 8,744 | 9 | 平成 4~5 年に実施した研究用設備として導入したものである。自動省力化支援のための機器であるがより効率的な機器が普及したこともあり使用しなくなった。 |
自動制御シミュレーター | H4.11 | 3,330 | 5 | 平成 4~5 年に実施した研究用設備として導入したものである。自動省力化支援のための機器であるがより効率的な機器が普及したこともあり使用しなくな った。 |
図形震動解析装置 | H5.9 | 12,514 | 8 | 平成 4~5 年に実施した研究用設備として導入したものである。自動省力化支援のための機器であるがより効率的な機器が普及したこともあり使用しなくな った。 |
引裂試験機 | H6.10 | 7,907 | 6 | 平成 6~9 年に実施した研究用設備として導入したものである。技術移転が済んだため使用しなくなった。 |
レーザー応用加工装置 | H6.10 | 40,561 | 0 | 平成 6~9 年に実施した研究用設備として導入したものである。現在より高機能な後継機が導入され、使用しなくなっ た。 |
成形機器 | H7.3 | 4,532 | 1 | 窯業業界の製品開発支援のために導入したが、現在は業界の景気低迷により企業の製品開発意欲が低下したことにより使用しなくなった。 |
画像処理装置 | H7.11 | 13,302 | 0 | 平成 7~11 年に実施した研究用設備として導入したものである。研究の終了と 共に使用しなくなった。 |
測距器 | H7.11 | 3,357 | 5 | 平成 7~9 年に実施した研究用設備として導入。現在は測定方式が新たな方式に変わっており、使用していない。 |
画像処理装置 | H7.11 | 11,399 | 0 | 歩行訓練器と同じ研究に設備として導入したものである。研究終了により使用 しなくなった。 |
溶解炉 | H8.2 | 33,495 | 5 | 機械・金属業界の要望に応えるため導 入。近年は老朽化及び後継機の導入によ |
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況 (日) | コ メ ン ト |
り使用しなくなった。 | ||||
ならい装置 | H8.3 | 21,500 | 0 | 平成 7~9 年まで実施した研究における実証試験装置として委託製作したものである。研究の終了とともに使用しなくなった。 |
流動層熱処理炉 | H8.10 | 6,798 | 3 | 超サブゼロ処理技術の開発用に導入したものである。現在は研究も終了し、使 用しなくなった。 |
精密鋳造鋳型作成装置 | H9.1 | 15,594 | 0 | 平成 10 年度まで実施していた精密鋳造技術研究用設備として導入。研究の終了 と共に使用されなくなった。 |
モータートルク計測システム | H9.3 | 16,902 | 2 | 平成 7~9 年に実施した研究用設備として導入した。研究の終了と、xxxxの制御方式の変動により使用しなくなった。 |
歩行訓練器 | H9.3 | 9,070 | 2 | 平成 7~9 年まで実施した研究における実証試験装置として委託製作したものである。研究の終了とともに使用しなくなった。 |
訓練用椅子 | H9.3 | 10,938 | 8 | 体圧分布制御ユニット機器と同じ研究に設備として導入したものである。研究 終了により使用しなくなった。 |
車椅子 | H9.3 | 4,353 | 3 | 平成 7~9 年まで実施した研究における実証試験装置として委託製作したものである。研究の終了とともに使用しなくなった。 |
ハイスピードビデオ | H9.11 | 13,807 | 9 | 一般機械製造業界からの要望により導入。キャッシュディスペンサー等のトラブル解析に使用するもので、性質上使用頻頻度は多くなかった。現在は研究に使 用しており、使用日数は増している。 |
体圧分布制御ユニット | H10.3 | 4,830 | 5 | 平成 7~9 年まで実施した研究における実証試験装置として委託製作したものである。研究の終了とともに使用しなく なった。 |
スプレードライヤ ー | H10.3 | 3,559 | 10 | 平成 7~11 年に実施した学官共同研究 用に導入したものである。大量の試薬を |
品 名 | 取得年月 | 金額 | 利用状況 (日) | コ メ ン ト |
粉末状にするものだが、研究の終了と共に使用しなくなった。 | ||||
訓練用椅子 | H10.3 | 9,522 | 10 | 平成 7~9 年まで実施した研究における実証試験装置として委託製作したものである。研究の終了とともに使用しなく なった。 |
白黒分別ロボット | H11.10 | 4,515 | 10 | リモート計測に関する研究の実証用に委託製作したものである。現在では研究成果の普及も終わり、デモ用としてのみ 使用している。 |
生産管理ソフトウエア | H13.2 | 11,550 | 3 | 平成 12 年まで実施したものづくり情報通信支援センター整備事業用に導入したものである。現在は研修、講習会等で 使用するのみとなっている。 |
(工業技術センター調べ)
(注)平成 14 年度途中の導入機器で利用日数が 10 日以下のものは除外した。
⑥高度技術研究所
重要物品とされている研究機器のうち、平成 14 年度の利用状況がまったくないものも見受けられる。
これは、平成 4 年 11 月に高度技術研究所が開設されて以来 10 年を経過するため、当初購入した機器が陳腐化したもの、研究の進展により利用可能性が少なくなったもの等の理由によるものである。利用実績がなかった機器の内容のうち、任意に抜粋すれば、以下のとおりである。
表 5-9 平成 14 年度の使用実績がなかったもの(8 件のうち 5 件を抜粋)の状況
(単位:xx)
品名/名称 | 規格 品質 | 購入年月 | 金額 | 備 考 |
デジタルオシロスコー プ | 54512B | H5.3 | 3,048 | 性能が旧式となり、使用なし。今後外部利用 機器として使用。 |
周波数タイムインタ | 5372A | H5.3 | 5,150 | 研究の進展により一時使われなくなった。今 |
ーバルアナライザー | 後の使用可能性は大(同様の機能は現在では | |||
オシロスコープに搭載されるようになって | ||||
きたが、専用機としてのアプリソフトが豊富 |
品名/名称 | 規格 品質 | 購入年月 | 金額 | 備 考 |
であり、この点で最新のオシロスコープにない機能 がある)。 | ||||
信号処理システム | PC31 | H7.3 | 3,964 | H12 年研究者退職により、引継者が一時的にいなくなっため、使用していない。今後外部 利用を含め使用予定。 |
テープ試験機 | BX - D3079 | H8.3 | 25,677 | 研究状況変化により、使用なし。今後外部利用を含め使用予定(現状テープ媒体に関する 研究なし)・ |
ビットエラーアナライ ザー | HP E500A | H9.9 | 4,949 | 研究の進展により一時使われなくなった。今後の使用の見込み(同様の機能は現在ではオシ ロスコープに搭載されるようになってきたが、専用機としてのアプリソフトが豊富であり、こ の点で最新のオシロスコープにない機能がある) |
(3) 利用計画を含めた購入計画の必要性(環境センター)
購入機器の選定時に、取得目的や機器の仕様等を検討しているものの利用計画書を作成していない。
購入された機器は、有効活用されているものが大半であるが、使用頻度の低いものや使用していない機器も散見される。これらについては使用見込みや転用の可否を検討し、不用なものは処分することが望まれるところであるが、そもそも使用頻度の低い機器や短期間の使用で終わるものがないように、利用計画を含めた購入計画を検討しておくことも重要である。
特に、高額機器については、中長期計画に基づいた購入計画を作成し、継続的な利用が見込まれるかどうかを充分に検討する必要がある。
(4) 挿し木など取得価額がゼロの公有財産(果樹試験場)
「公有財産事務取扱について」出納局長通知の「公有財産台帳に関する事項第3 公有財産台帳に登載するxxの取扱について」(昭和 50 年 2 月 13 日付け管-42)によれば、試験研究機関の施設において集団的に栽培している果樹類、またはこれらに準ずるものは、
「樹木」として公有財産台帳に登載される。
当該通達により、従来公有財産に登載されていないもので、新たに登載する場合は「新
規登載」、樹木を単独に購入し植栽した場合「新植」とする。
公有財産台帳整理は、原則5年毎に実地調査を行うことになっているが、果樹試験場の場合、毎年、新植、伐採等があり5年に1度では台帳と実際の植樹状況の差異が大きくなるため、3年に1度、実地調査を実施している。
「新規登載」として樹木の公有財産台帳に記載する価格は、時価により評価した額となる。「新植」の場合の価格は、購入価格とし、運搬費や植込み等の付随費用は含まない。挿し木等、購入価格がゼロの公有財産の評価は、現在、数量把握は行っているが、ゼロ評価となっている。しかし、公有財産であり、かつ本数も多いため、金額評価し、公有財産台帳に登載する必要があると考える。
(5) 開放研究室利用状況(工業技術センター)
開放研究室(10 室)のうち、A 棟 開放研究室(NO.9)の研究室は平成 10 年から 14年までの 5 年間使用実績がない。ホームページにより開放研究室利用の入居募集を行っているが、設備有効利用のため積極的に利用を呼びかけるなどの方策も必要と考える。
(6) 不用固定資産の処分・利用度について(高度技術研究所)
研究所 3 階にある実地研修室(収容人数 24 人)は、いわゆる IT 研修ルームとしてパソコンが設置してあり、外部利用に供しているものの利用実績はほとんどない。実地研修室のパソコンは旧式であり、現在の利用に耐えられるものではない。また、設備の更新はしていない。
このような研修室が、高度技術研究所として必要な設備であるか疑義が残る。実地研修室の設備(パソコン)の利用可能性は低いことから廃棄するとともに、研修室の今後の有効活用を検討していくことが必要である。
(7)「設備機器使用簿」の記載要件(高度技術研究所)
高度技術研究所の設備・機器を使用する場合には、職員・外部者を問わず、「設備機器使用簿」に使用実績を記録している。次の4つの項目が記載されていれば、各機器毎に「設備機器使用簿」の様式をアレンジして使用実績を記録することが許容されている。
・使用年月日、時間、使用者、備考
任意に「設備機器使用簿」を査閲した結果、「設備機器使用簿」の記載要件に、以下の問題点があった。
表 5-10 設備機器使用簿記載状況
室 名 | X 線解析室 | 走査型電子顕微鏡室 | 透視型電子顕微鏡室 | 表面分析室 | 表面分析室 |
機器名 (通称・略称) | X 線回折装置 (RINT2000H- U) | 走査型電子顕微鏡 (SEM) | 透視型電子顕微鏡 (TEM) | 光電子分光 装置 (ESCA) | 複合型表面分析装置 (オージェ) |
①機器名の記載欄がない | × | ||||
②年度の記載欄 がない | × | × | |||
③鉛筆書きが散見される | × | × | × | × | × |
④使用者の所属機関名の記載欄 がない | × | × | × | ||
⑤クリップ止めである | × | ||||
⑥入室時間帯の記載欄がない。 (△:入室開始時間しか記載されていない場合が 散見される) | △ | × | △ | × |
(表の補足説明)
①「設備機器使用簿」に機器名の記載欄がない。どの機器の「設備機器使用簿」か判別可能とするため、また、管理上他の機器の「設備機器使用簿」と混同しないために、機器名の記載欄を設けるべきである。
②月日欄のみの記載であるため、使用年が特定できない。年月日欄とするか、または、少なくとも冒頭には使用年を記載し、使用年月日を特定できるように改善すべきである。
③使用実績の記載に鉛筆書きが散見された。設備機器使用簿は、設備・機器の使用実績の統計基礎資料の役割も果たすため、ボールペン書きとすべきである。
④使用者の所属機関名の記載欄がない。使用者の氏名欄だけでは、使用者が職員なのか、外部者であるのか、客観的に区別できない。また、外部者が使用する場合には、原則として、使用料を徴収するため、使用者の所属機関名の記載欄を設けるべきである。
⑤設備機器使用簿が A4 用紙で作成されているが、クリップ止めのみである。バラバラになるおそれがあるため、ファイルに綴じて管理すべきである。
⑥入室時間帯の記載欄がない。また、「時間」欄としか記載がないため、入室時間しか記載されていない場合が散見される。使用簿であれば、入室時間欄と退室時間欄を設けるべきと考える。
上記記載項目欄を設けて使用実績を適切に把握すべきである。
なお、研究所の施設及び設備の外部使用者が提出する「高度技術研究所使用許可申請書」及び「AIT 設備使用記録」について、高度技術研究所との間に共同研究契約を締結している共同研究相手は提出を省略できる(「共同研究契約における設備機器の利用手続きについて」)。ところが、「設備機器使用簿」上、共同研究契約に基づく設備使用、または通常の設備使用につき、記載項目がなく同書類を提出する必要があるか否かについて客観的な区別ができなくなっている。
「高度技術研究所使用許可申請書」及び「AIT 設備使用記録」の提出義務があるか否かを客観的に区別できるよう「設備機器使用簿」に共同研究契約に基づく設備使用であることを明示すべきと考える。
2 固定資産の管理
(1) 保有図書の管理
試験研究機関が保有する図書については、コンピュータで管理している機関がある一方、背表紙に管理ラベルが貼られていない機関もあった。
図書は主に内部で利用されているものの外部からの要求に応じて貸出しも行っている。一企業では保有できない高額、あるいは通しナンバーがそろった雑誌類等についてはその保有状況を的確に把握する等、各試験研究機関において共通の守るべき管理基準を策定すべきである。
(2) 未使用資産に係る契約(環境センター)
環境センターで平成 13 年度に取得したダイオキシン類測定機器の本体(ガスクロマト質
量分析計)は平成 14 年度から利用されているものの、本体に取り付けて使用する附属システム(大量注入溶媒除去システム)は現時点では本体に取り付けられておらず、利用されていない。
品 名 | 物品分類 コード/記番号 | 取 得 年月日 | 金額 (円) | 利用 状況 (日) | 備 考 |
大量注入溶媒除 | 1-15-02-99-999 | H14/3/28 | 6,877,500 | 0 | (注)1 取得の背景 |
去システム | /000005 | (注)4 | (注)2 物品の内容 | ||
(注)3 同時取得理由 |
このダイオキシン類測定機器の附属システムの詳細内容は以下のとおりである。表 5-11 ダイオキシン測定機器附属システムの内容
(注)1.取得の背景
平成 13 年度(平成 14 年 3 月) 環境センターxx分室敷地内にダイオキシン類
分析棟が完成した。ダイオキシン類環境実態調査は、平成 14 年度より、本格的に開
始した。大量注入溶媒除去システムは、平成 13 年度のダイオキシン類分析に関連する予算(化学物質対策費)に含めて購入した重要物品である。
2.物品の内容
ダイオキシン類測定のための、最新鋭の分析装置であるガスクロマト質量分析計
(HRGC/HGMS)は、その性能を最大限に発揮できる状態で分析計を調整する必要があるが、xx県のようにダイオキシン類が低レベルの地域では、測定しきれない場合がある。大量注入溶媒除去システムは、ガスクロマト質量分析計(HRGC/HGMS)の付属システムで、この付属システムを用いて分析試料の大量注入及び溶媒除去を行うことにより、ダイオキシン類を高感度に、しかも高精度に測定が可能となる。
3.本体と同時取得をした理由
(1)整備機器計画に基づくものであった。
ダイオキシン類の測定に関する分析及び前処理機器は、平成 14 年度中にダイオキ
シン類の測定を可能とするために、平成 13 年度と平成 14 年度に整備する計画であ
った。この機器整備計画にもとづき、平成 13 年度はダイオキシン類の分析機器、平
成 14 年度は前処理機器を導入した。
(2)ガスクロマトグラフ質量分析計(物品分類コード 1-15-02-05-999 記番号 000007 取
得日 H14/3/28 金額 59,262,000 円)に付属するシステムであった。
大量注入溶媒除去システムの分析試料注入条件は、水、土壌、大気等の環境媒体中のダイオキシン類濃度だけでなく、ガスクロマト質量分析計(HRGC/HGMS)の特性にも左右される。したがって、大量注入溶媒除去システムは、ガスクロマト質量分析計(HRGC/HGMS)と合わせた一体の分析システムとして導入することが望ましく、そのためガスクロマト質量分析計(HRGC/HGMS)の購入に合わせて大量注入溶媒除去システムも購入した。
4.平成 14 年度の利用状況(年間使用日数)が 0 となっている理由
高感度に、しかも高精度に測定することができる反面、その使用条件の難度は非常に高い。また、一度このシステムを取り付けてしまうと、使用条件を変更することが難しい。
現状の測定は、このシステムが必要とならない濃度の土壌・底質試料が対象であり、現段階ではガスクロマト質量分析計(HRGC/HGMS)に取り付けていないが、平成 15 年度には必要となるものである。現在、最適な使用条件を検討中で、条件が決まり次第取り付ける予定となっている。
使用条件の検討は 12 月中に終了の予定で、機器の調整作業開始時期は、平成 16
年 1 月からの予定である。
大量注入溶媒除去システムは、使用条件の設定を慎重に行うべき精密機器ではあるが、少なくとも平成 14 年度の利用実績がゼロであったという点からみれば、ガスクロマト質量
分析計(HRGC/HGMS)と同時に平成 13 年度で取得する必要性に疑問が残る。ダイオキシン類の分析をしながら,最適な使用条件を決める試験に多くの時間が必要であったことは理解できるが、このシステムについて具体的使用計画に基づいて措置すべきであったと考える。
(3) 森林技術センター使用許可申請
秋田県森林技術センター規則第 2 条には、「森林の保全及び林業に関する知識及び技術を習得させることを目的として研修会等を行うため、センターを使用しようとする者は、研修計画書を添付した森林技術センター使用許可申請書をセンターの長に提出し、その許
可を受けなければなれない。」と規定されている。
当該森林技術センター使用許可申請書の査閲をしようとしたところ、少なくとも平成 12年度以降は、使用許可申請の実績がないため、使用許可申請書がないとのことであった。会議xxの研修施設の使用状況を聴取したところ、県民を対象としたイベント「森の学校」で年 2 日、施設見学時における使用、内部会議等による使用といった自主使用実績はあるが、使用許可申請書に基づく外部使用はないとのことである。
研修施設が使用許可申請書が整備されていながら、外部からの研修による使用実績がなく、県施設を有効利用しているとは言えない。森林技術センターの研修施設が使用できることをホームページ等で広く周知し、有効利用を図ることが必要と考える。
(4) 物品受払残高記録の管理(工業技術センター他)
工業技術センターの企画部署では、物品購入後、シリアルラベルを貼って台帳登録までを行い、それ以降の現物管理は供用者側が行っているのみであり、定期的な現物棚卸作業が実施されていない。物品の棚卸は数量の確認だけでなく、使用状況の把握や不用品認定の把握にも必要であるため、定期的に実施すべきである。なお、他の試験研究機関においても物品の棚卸しは実施されていないため、同様に実施すべきである。
(5) 設備機器の貸与(高度技術研究所)
①「高度技術研究所使用許可申請書」の申請日
研究所の施設及び設備の使用許可を受けようとする者は、「高度技術研究所使用許可申請書」を記載し、使用日の7日前までに高度技術研究所に申請しなければならないが
(「xx県高度技術研究所管理規程」第 2 条)、実際は、施設及び設備の外部使用者のほとんどが、使用日の前日または当日に申請し、使用している。
当該管理規程に従い、使用日の7日前までに当該申請書を使用者から入手するか、または使用日の7日前までに当該申請書をもって申請することが実態に合っていないならば、当該管理規程を実態に合わせて改定することが必要である。
②「設備使用記録書」の提出の網羅性
「研究所設備の使用者は、使用後において設備担当者に設備の異常等がないかの確認
を受け、設備使用記録簿を提出するものとする。」(「xx県高度技術研究所管理規程」第 11 条)との規定がある。
平成 15 年 3 月分の「高度技術研究所使用許可申請書」と「AIT 設備使用記録」(=設 備使用記録書)とを照合したところ、「高度技術研究所使用許可申請書」17 件に対して、
「AIT 設備使用記録」は 6 件(回収率 35.3%)しかなく、もれなく提出されていない。規程に従い「AIT 設備使用記録」を回収する必要がある。また、「AIT 設備使用記録」
提出の網羅性を確保するため、「高度技術研究所使用許可申請書」と照合することが必要と考える。
3 契約関係
(1) エレベータ保守管理委託契約(随意契約)について(各機関共通)
エレベータ保守管理委託契約は、エレベータ製造メーカーの系列保守点検業者と随意契約で締結されている。当該契約にあたり、「設置されているエレベータの保守点検技術を有するものは製造メーカーの系列保守点検業者のみであること」を業者の選定理由としているが、現在ではエレベータ製造メーカー系列の保守点検業者ではなくても保守点検が可能であり、当該随意契約に合理的な理由を見出すことはできない。したがって、より競争的で経済的な結果をもたらす契約方法(指名競争入札等)に変更する必要がある。
(2) サーバシステムの賃借契約について(衛生科学研究所)
衛生科学研究所において平成 14 年 3 月に旧サーバシステムを更新し、新システム(単年
度賃借額 5,898,060 円)を導入した。この新サーバシステムの賃借契約について以下の点で不備があった。
ⅰ) 購入した場合と賃借した場合の有利不利を検討した資料がない。また、賃借(リース)する場合に賃借額の妥当性を検証するために、取得価額に対する合理的なリース料率を勘案したうえでの賃借額を算出した資料もない。
ⅱ)賃借した場合においても、複数のリース会社からの見積書を入手すべきであるが、実施されていない。
上記の不備は主に賃借することが前提で予算措置されていたことによるものである。し