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平成 10 年 3 月
電子商取引実証推進協議会(ECOM)
本報告書の著述内容に係わる著作権は電子商取引実証推進協議会(ECOM)および原著作者に帰属します。引用・転載等についてはECOMおよび原著作者の承諾を必要としますので、 xxxx@xxxx.xx.xx までご連絡を願います。
サイバーモールに関するモデル契約
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目次
1 はじめに 3
2 サイバーモールビジネスの状況 5
2.1 最近の動向 5
2.1.1 電子ショッピングとサイバーモールの形態 5
2.1.2 取引アイテム 5
2.1.3 電子ショッピングビジネス構築のポイントと現状の課題 5
2.1.4 実証実験アンケート 6
3 サイバーモールに関するモデル契約のECOM における位置付け 8
4 中間報告モデル契約試案の検討状況 9
4.1 中間報告モデル契約試案への対応 9
4.2 モデル契約の国際適用に関する問題 9
4.2.1 利用規約における準拠法の指定 9
4.2.2 裁判管轄に関する問題 10
4.3 海外への投げかけの状況 11
4.4 ホームページ間のリンク(連結) 11
4.4.1 リンクの形態 11
4.4.2 紛争事例 12
4.5 海外有識者の一般的見解 13
4.6 各モデル契約試案に対する海外有識者の見解 14
4.6.1 利用規約 14
4.6.2 出店契約 16
4.6.3 クロスリンク契約 19
4.7 実証実験適用契約との対比 22
4.7.1 利用規約 22
4.7.2 出店契約 24
4.8 商用モール適用契約との対比 26
4.8.1 利用規約 26
4.8.2 出店契約 28
4.9 国内EC 関連機関の見解 30
4.9.1 ECOM のモデル契約とその評価 30
4.9.2 テナントの行為に関するモールの責任を限定することの可否 30
5 モデル契約 31
5.1 利用規約モデル 31
5.1.1 利用規約モデル(邦文) 31
5.1.2 (参考)利用規約モデル英訳(Mall-Member Agreement ) 37
5.2 出店契約モデル 43
5.2.1 出店契約モデル(邦文) 43
5.2.2 ( 参考)出店契約モデル英訳(Mall-Shop Agreement ) 51
5.3 クロスリンク契約モデル 58
5.3.1 クロスリンク契約モデル(邦文) 58
5.3.2 ( 参考)クロスリンク契約モデル英訳 ( Cross Link Agreement ) 61
6 特別論考 64
6.1は じ め に 64
6.2 法的論点 64
6.2.1 データメッセージの有効性について 64
6.2.2 ペーパーレス取引に対する法規制 66
6.2.3 現在ある法規制と契約類型 68
6.2.4 裁判管轄の合意 70
6.2.5 電子商取引に関する法律的なアイディア 71
6.3 「消費者-モール運営者/利用規約」-新たな試案- 72
6.3.1 新たな試案における論点 72
6.3.2 「消費者-モール運営者/利用規約」-新たな試案- 76
6.3.3 利用規約逐条解説 79
7 巻末(WG 委員名簿) 87
1 はじめに
国内ではインターネット・ユーザーのうちのショッピング経験者は平成 8 年 12 月の 24%から平成 9 年 12 月には 41%と増加し(日経マルチメディア誌 1998 年 1/2 月号)、着実に対消費者 EC の拡大が見られる。また米国を中心とした海外モール・ショップへアクセスし自らのライフスタイルに合った物品・サービスを「サーチ」する消費者の行動が活発化している。一方国内では海外対応も行う新たなモール・ショップビジネスの登場の例が見られ、また米国では‘証券モール’が現われる等、対消費者 EC は国際取引を含め‘深化’しつつ拡大の様相である。
国際取引ワーキンググループ(モデル約款チーム)は、平成 8 年度から 9 年度の期間に国際取引を考慮した「サイバーモール(以下単に「モール」という)に 関するモデル契約」の検討を行ってきた。平成 8 年度においては 消費者-モール運営者/利用規約、出店者-モール運営者/出店契約、モール間クロスリンク契約の各モデル試案、逐条解説、および条項別サンプル集からなる中間報告書を公表した。
平成 9 年度においては同中間報告書の内容を国内においては実証実験プロジェクト関係者、実際のモールビジネス企業、EC 関連機関等に、海外においては米国を中心に有識者、 EC 関連機関・企業に投げかけ、一方 WG 内での議論を進め、これらの結果を本報告書にまとめた。国際取引を背景としたサイバーモールに関するモデル契約は、法的側面としてはモールの法的位置付け、準拠法、裁判管轄の問題等、ビジネスの側面としてはモールビジネスの変化への対応等の課題があり、対消費者国際 EC 市場におけるさらなる経験を重ねる必要がある。
末筆ながら、本書の作成および平成 8・9 両年度の当 WG の活動にご協力頂いた国内、海外の関係各位に対し、厚く御礼を申し上げる。
平成 10 年 3 月
電子商取引実証推進協議会 国際取引ワーキンググループモデル約款チーム
(注)
1.本書と平成 8 年度中間報告書Ⅱの関連
本書では平成 9 年度における調査・検討内容を報告している。従って本書とともに、中間報告書を併せて活用されたい。
2.本書とともに、今回の平成 9 年度報告書Ⅰ「電子商取引のダイナミズムと制度的課
題-国際取引を背景として-」および平成 8 年度中間報告書Ⅰ「国際電子商取引の制度的課題」を併せて参照されたい。
3.当 WG 平成 8 年度中間報告成果 URL日本語(報告書本文、同要約)
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx_xx/xx00/xxxxxx-0.xxx xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx_xx/xx00/xxx0-xxxxxxx.xxx xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx_xx/xx00/xxxxxx-0.xxx xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx_xx/xx00/xxxxx/x-xxxxxxx.xxx Summary reports in English
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxx/xx00/xx00x-xxxxxx-xxxxxxx.xxx xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxx/xx00/xxxxx_xxxxxxxx_xx_ cybermall.htm
2 サイバーモールビジネスの状況
2.1 最近の動向
当報告書では、企業と一般の消費者との間の商取引を中心にとらえている。先行している米国を始め、さまざまな業種で一般の消費者を対象とした電子(オンライン)ショッピングが立ち上がり、現実のものとしての新しい流通業態を示す兆候があらわれている。一方、ショップ(テナント)の集合体としてのサイバー(オンライン)モールの中で、大企業が運営するものも含め、閉鎖されるものが出てきていることも現実である。
2.1.1 電子ショッピングとサイバーモールの形態
電子ショッピングにおけるショップの集合体を、広い意味でのサイバーモールと呼ぶと、クローズ型に加えオープン型とでも呼べるリンクによる新しいショップの集合体が出現・ 増加している。
(1)クローズ型のモール(一般的なモール)
複数のショップが集まって(一般的には、物理的にサーバ配下の集まり)、
1つのモールを形成するもの。
(2)オープン型のモール(リンクによるショップの集合体)
インデクス型のように、複数のショップをリンク方式により集合するもの。インタネット上のショップを、柔軟に広くまとめることができる。
今後は、これらと共に、一般的モールとインデクス型を組合せた形態も拡大していくものと考える。
2.1.2 取引アイテム
一般の消費者を対象としたオンラインショッピング(インタネット通販)で、商品は、検索が容易、取扱い商品の品質が店によって変わりが少ないものを中心に、以下が良く取り扱われている。
航空券を始めとする旅行予約、ソフトウェア、図書・雑誌、CD・ビデオソフト、パソコン、文房具。女性を中心に食料品、衣料品の取扱いも多い。
2.1.3 電子ショッピングビジネス構築のポイントと現状の課題
サイバーモールを中心とした電子ショッピングは、「一般の消費者にとって利用したくなり」、「ショップにとって参加したくなる」ためには、解決すべき課題があるのが実態である。
(1)専門特化
一般のサイバーモールは、消費者にとって「特徴が見えない」「何がどこにあるか判らない」ことも多い。これに対して、本、花、PC 、のように、取扱い商品は一種類でも、その分野での専門性に強く、品揃えも豊富な場合、リピータの獲得も容易になる。
(2)商品/サービスのインデクス機能
多くのテナント/商品を揃えていることをサイバーモールのメリットの
一つとすると、消費者にとっては、ショップの壁を越えて取り扱っている商品情報を、素早く検索し、選択できることは重要である。目的を先に絞っている人は直接ショップや専門のサイトへ行くと考えられる。
サイバーモールのあり方がウィンドウショッピングによる衝動買いを起こさせるように、欲しい商品に素早くたどりつける機能の対応が必要になる。曖昧なキーワードからの検索まで耐えられるような考慮と、検索の結果により変化する消費者の購買心理・判断基準に対応できることが求められる。
(3)サイバーモール自身の集客力
ショップが提供する商品の魅力で集客することに加え、サイバーモール自身の集客力によりショップも増えるプラスの循環が必要である。現在はセキュリティ面を含めた「信用力」がサイバーモールのメリットの一つであるが、ビジネスサイドからみて一般の消費者・ショップにどのような魅力を提案できるかの戦略も重要である。
見る人をひきつけ、繰り返し訪問したいという気持ちを起こさせること、話題性・魅力を積極的に広告していくなど、ショップとサイバーモールの両者の努力の組合せが発展のポイントにつながる。
(4)出店費用の低料金化
オンラインビジネスを成功させるには、出店や運用サービスを低料金で提供できることもショップにとっての魅力となる。また来店客を増やすことによりトランザクションあたりのコストを下げる方法もある。
サイバーモールが、返品や受注情報の修正の代行や各種の問い合わせの代行サービスを提供したり、コンテンツ作成作業を代行するなどによる、サービス提供を行うこともこのための努力の一環となる。
さらに、物流業者、銀行・カード会社などの決済機関、電話会社、卸売業者など、オンラインネット上で注文をしてから、物を受け取ったり、支払いをするまでに関わりを持つサービス提供会社が代行サービスを提供することで、ショップがより専門特化することも可能になる。
(5)マーケティング機能
会員制、或いは登録制を前提として、事前登録情報や消費者の利用履歴等を使い、消費者とショップのコミュニケーション窓口としてのマーケティング機能を提供する。
より効果の期待できる消費者に対する DM 発送の代行機能、消費者のライフスタイルに基づく消費者ニーズに合った商品・サービスの提案機能、など、ショップ、消費者の双方に魅力を与える機能が期待される。
2.1.4 実証実験アンケート
平成 9 年年 11 月~12 月の間、当 WG は実証実験プロジェクトの協力を得て「対消費者 ECの展望」と「制度的課題」に関するアンケートを実施した。下記はその内の「対消費者 ECの展望」に関するものである。(詳細は報告書Ⅰ「電子商取引のダイナミズムと制度的課題-国際取引を背景として-」を参照)
2.1.4.1 今後のビジネスとしての可能性
実証実験プロジェクトは実ビジネスに取組む企業等により組成されたコンソ-シアムであるが、その全回答者がビジネスとしてのサイバーショップの将来的可能性を認めている。
2.1.4.2 可能性の内容
🞎 今後の発展の方向としては、
・EC に適した専門的な商品・サービス領域で消費者 EC が展開していく
(93%)。
・EC におけるマーケティング・ノウハウの開発力により事業者間で差が出る段階になりつつある(67%)。
・ショッピング・センター的サイバー・モールは消費者の利便、集客効果があるので今後も独自に発展していく(60%)。
🞎 今後可能性があると思われる商品分野について主なものは、
・情報サービス、金融サービス(含む保険、電子マネー)
・アミューズメント、教育、書籍、PC ソフトなどコンテンツ
・ハイテク商品
🞎 事業の採算については
・EC 単独でみると難しいが、一つの販売手段(チャネル)として他の販売手段と合わせて採算を見るだろう(73%)、
としており、EC を単独に見ず企業の販売戦略全体の中に位置付けている。
2.1.4.3 国際取引について
対消費者国際 EC のトランザクションの現状は米国から日本への輸入が圧倒的である。こうした背景下、
・日本からの輸出については、今後拡大すると思う、または、拡大して行きたいが約半数(47%)、
であり、実証実験参加企業の EC における海外展開への積極性が窺える。
********** 参考:サイバーモールのビジネス トピックス
①市場全般
国内インターネットショッピング経験者の動向(日経マルチメディア誌 1998年1月号) 1996 年 12 月 23.8% → 1997 年 12 月 40.7%
③モールビジネス事例(*印国際取引):
[日本] メディア*
フジサンケイ・グループと電通:スーパー・モールを1997年8月オープン
海外顧客も対象。
流通
家電、カメラ量販店8社:仮想秋葉原のモール形成(1997年8月報道)
[米国]モール*
バーゲンアメリカ(米国の日本向けモール)
1995年10月創業。利用者数が1年前の5倍以上増加(1997年11月6日 日経産業)株式ブローカー・モール、投資信託モールの登場
3 サイバーモールに関するモデル契約のECOM における位置付け
ECOM では電子商取引における私的自治の意義と重要性に鑑み、対消費者取引に関する約款・ガイドラインの体系的な形成を図り、内外に提言している。当 WG の検討モデル契約もその一環であり、下図の如く位置付けられる。
モデル約款等のスキーム
国内又は海外
①
国内
モール運営企業
国際取引WG
シ
プライバーシーョ
国内又は海外
③
モール運営企業
消費者WG ガイドライン ッ
プ
②
消費者
決済
WG
出店者
発行機関
(クレジットカード、電子マネー)
約款、ガイドライン
当WG作成の「サイバーモールに関するモデル契約」
①消費者-モール運営者/利用規約
②モール運営者-出店者/出店契約
③モール運営者-モール運営者/クロスリンク契約
4 中間報告モデル契約試案の検討状況
4.1 中間報告モデル契約試案への対応
平成 8 年度中間報告書で報告したモデル契約試案の内容について、実証実験プロジェクト適用契約および実際のモールビジネス適用契約との比較、国内 EC 関連機関との議論、海外有識者の見解取得、ならびに WG 内での議論を行った。これらの検討結果の状況および中間報告モデル契約試案への対応は次の通りである。
・実証実験および実ビジネスとの関係
中間報告のモデル契約試案と実証実験で適用された契約との比較を行ったが、当 WGモデル試案の修正が必要との結論に至らなかった。もとより実証実験側は ECOM モデル契約を参照し、あるいは独自の検討により夫々のビジネスに合わせて契約を形成しているが、しかしそれらの内容が必ずしも ECOM のモデル契約の修正を必要とするものではなかった。また実際の商用化されたモールビジネスでの適用契約と比較したが、同様の結論であった。
一方契約のモデル化の選択的アプローチが必要と考え、実証実験および実ビジネスにおける適用契約を起点としたモデル化の試みを当 WG 有識者委員の「特別論考」として提供願った。しかしこの試みが中間報告のモデル試案を否定するものではない。
・海外(米国)有識者の見解の対応
海外有識者の具体的指摘は米国有識者から得られた。国際取引のビジネスの形態によって契約はバラエティが有り得ること、取引関係国夫々の法制度・商慣行があること等、を勘案すると国際取引に対し汎用性のあるモデル化は困難が伴う。従って、今回の米国有識者のコメントを直ちに取り入れることはむしろ読者をミスリードする結果となりかねない。一方米国有識者コメントは一定の一貫性があるので、まとめて示すことで本モデル約款利用者の判断に供することとした。
・本報告書提示のモデル契約と今後の改訂について
以上の検討の結果を踏まえて、極一部の改訂を加えた外は、本書においては改めて中間報告のモデル契約試案を提示する。
契約のモデル化は雛形の市場における適用の蓄積、あるいは実ビジネスにおける契約の実態の変化を踏まえた経験を反映することでモデルの一般性がより高まり、ユーザーの支持が得られると考える。従って本書に提示のモデル契約の改訂のためには、サイバービジネスに関する市場のさらなる経験を待つ必要が有る。
4.2 モデル契約の国際適用に関する問題
4.2.1 利用規約における準拠法の指定
4.2.1.1 モール利用規約の国際取引への適用
消費者または出店者が日本国外に居住する場合、モール運営者または出店者と消費者との間の取引はクロスボーダーの取引となり、様々な法的問題や税務上の問題が生ずる。例えば、消費者が国外に居住する者の場合、それらの者が居住する国の法律によって、出店者による商品またはサービスの提供が禁止あるいは制限されることがある。また、当該法律によって、出店者による商品またはサービスの提供(広告を含む)について、モール運
営者が製造物責任等何らかの法的責任を負担する可能性がある。そこで、モール運営者が、日本国外に居住する消費者が出店者から商品またはサービスの提供を受けることを認めるためには、それらの法律を十分に検討したうえ、モール運営者が被る可能性のあるリスクを把握し、そのリスクを回避するための方法を検討する必要がある。米国内であれば消費者保護の問題に関しては、多数の州および地域の行政区はオンラインサービスについての条項を規制する法律を法制化しているか、またはその法制化を検討している。従って、実ビジネスにおいてはこれらを踏まえたうえで適切な利用規約を作成しなければならない。
(参考)米国各州の司法長官(StateAttorneyGeneral)の中には、各州の消費者保護法に違反するオンライン行為に対する積極的な摘発活動を進める者もある。
ミネソタ州司法長官は「インターネットを通じて、それがミネソタ州に行き渡ることを知って」情報を発信した者は、その居住地の如何を問わず、ミネソタ州法の違反を理由にミネソタ州の裁判所において裁判を提起される、と警告。(国際取引 WG 中間報告書Ⅰ第 3編の xx、xxxx著述部分より)
4.2.1.2 モール利用規約における準拠法規定
中間報告ではモール利用規約の適用を国内に限定していたが、本報告書においてはモデル契約に準拠法規定を設けた。しかし実取引においては前記および下記解説における指摘事項に十分留意が必要である。
第 20 条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとする。
【解説】
国際電子商取引においては、当事者の国籍、営業所の所在地、法律行為の行われた地、目的物の所在地、履行地等の法律関係を構成する諸要素が複数の国に点在するという状況が多くなり、いずれの国の法律が適用されるかが重要な問題になってくる。どこの国の法律を準拠法にするのかは、当事者間の合意の問題であり、各々の国の法律の長所、短所を理解した上で選択するのが望ましいが、対消費者契約である本規約においてはモール運営者側が提示せざるを得ない。本規約ではモール運営者は日本国内の企業を対象としているため、日本国法を準拠法として規定したものである。しかしこの様な規定が消費者に不利益となる場合には、当事者間の準拠法の定めの有効性が否定される可能性があるとの見解があり、留意が必要である。
4.2.2 裁判管轄に関する問題
利用契約においては会員の居住する国と異なる国の管轄裁判所が規定される場合、会員が契約に基づきその権利を実行することは実際問題として出来ないであろう。この様な場合、裁判管轄規定の有効性を疑問視する見解も多い(参照、4.5項、6.3.1.2(11)、 6.3.3
第 15 条)。また出店契約においても、例えば米国の管轄裁判所が規定される場合、日本の出店者が契約に基づきその権利を実行することは困難が伴う。サイバーモールに関する国際取引において、裁判管轄規定はこの様な実際的問題を孕む。
また、裁判管轄に関する合意については書面要件の問題があり、本書6.2.4裁判管轄の合意の項を参照されたい。
4.3 海外への投げかけの状況
当 WG の平成 8 年度中間報告「サイバーモールに関するモデル契約の検討」については、平成 9 年度の間に、国内での検討に加え、米、欧、亜の関係機関に投げかけ、それらの機関の多くとは人的交流も行なった。以下に関係先をリストする
(*印:先方を訪問面談、**印:日本で面談、無印:ドキュメント送付)。
○米国
○欧州
• AEA *
• BBB *
• Commerce Net*
• BARGAIN AMERICA *
• Netscape Communications Corporation *
• Pillsbury Madison & Sutro LLP(法律事務所) 他 5 件*
•
• Electronic Commerce Europe Association (ECE)*
• Federation of European Direct Marketing *
• AFCEE
• Electronic Commerce Forum*
• Global Electronic Finance Management S.A **
• INFOPARTNERS S.A **
• ETNOTEAM Solutions from ICT **
• University College London
•
○アジア
• Consumers Association of Singapore *
• Korea CALS/EC Association *
4.4 ホームページ間のリンク(連結)
4.4.1 リンクの形態
中間報告ではホームページ間の連結の形態を一括してハイパーリンクと称したが、実態としては連結の形態は以下の 3 形態がある。クロスリンク契約モデルは下記の定義によるハイパーリンク以外の連結形態にも適用可能であるが、その場合の留意点については本章
4.6 「各モデル試案に対する海外有識者のコメント」の 4.6.3項「クロスリンク契約」に指摘されている。
連結の形態
1. ハイパーリンク
連結サイトの利用者が、そのサイト上に表示されている文章または図画のうち強調されている項目を選択することにより被連結サイトに連結されるハイパーテキスト リファレンス(HREF)リンクをいう。
2. ハイパーテキストマークアップ(HTML)
連結サイト上に被連結サイトの図画を表示する能力を提供する。利用者は、被連結サイトの図画を見ている間、被連結サイトに移ることなく連結サイトに接続したま
までいることが出来る。それらのリンクは、しばしば“インライン”イメージと称されている。
3. フレイミング
ウェブページを相互に独立して動く複数の領域及びウィンドウに分割することも 可能である。これは、通常“フレイミング”と称されている。図画に限定される“イ ンライン”イメージと違って、フレームは、ハイパーテキストリンクのような文、 図画またはその他の HTML 要素を含めることが可能である。フレームは、連結サイ トが被連結サイト全体を併合すること及び利用者が連結サイトとの接続を切るこ となく連結サイトを“通して”被連結サイトを見ることが出来る。このような方法 で、連結サイトは、被連結サイト全体を併合するフレームを用いることが出来、ま た、連結サイト自身の社標や広告で被連結サイトを取り巻くことが出来る。例えば、ニュース提供を行っている連結サイトは、ニュース仲介業者の運営する被連結サイ トからコンテントを提供できるが、それを自らの広告で取り巻くことが可能である。
上記定義はxxxxxx・xxxxx&スートロ法律事務所 弁護士xxxxxxxx氏の協力による。
4.4.2 紛争事例
中間報告での紛争事例に続き、ここではフレイミングの紛争事例を示す。
事例:ワシントンポスト対トータルニュース事件(1997 年 2 月訴え)
(本事例は当 WG 報告書Ⅰにおける外国法事務弁護士 垣貫ジョン / 弁護士 xxxx両氏の著述事例の要約である。)
原告 ワシントン・ポスト、ダウジョーズ(ウオール・ストリート紙)、 CNN、タイム・ワーナー(タイム、フォーチュン誌)
xxxx・xxx(ロスアンゼルス・タイムス紙)
被告 TotalNews社
事実関係 被告はそのウエブ・サイトの「フレーム」内に原告のウエブ・サイトのコンテンツが表示されるようにした。
原告の主張 フレームには被告独自のロゴや広告が表示されており、それは原告の意図とは異なる状態での表示である。商標権侵害、詐欺的広告、著作権侵害、営業妨害等を構成。
和解(1997年6月)被告は原告のコンテンツを被告又は第三者のxxxxxとともに表示し ないこと。原告は被告は一定の条件下で原告サイトへのリンクを認める。
尚、日本の全国紙5紙はTotalNews社に対し記事無断転載等の不正行為中止を求める抗議をしている(1997年12月16日報道)。5紙抗議根拠は下記の「ネットワーク上の著作権について」の日本新聞協会見解である。
・電子メディア上で新聞・通信社が発信する情報についても、紙と同様に著作権を有する
尚、報告書Ⅰ「電子商取引のダイナミズムと制度的課題-国際取引を背景として-」の紛争事例の項において上記事例を含めリンクに関する紛争事例を詳述している。
4.5 海外有識者の一般的見解
米国における複数の法律事務所におけるデスカッション・ポイントを示す。( )は ECOM 側の考慮内容である。
・(スタチュードオブフロードは、一定の取引について書面要求があり、電子商取引について、その取引をディスプレイ上に表示されたメッセージで完結できるか否かについては、国際的ハーモナイゼーションの観点から大いに関心のあったところである。)この点について、ディスプレイ上のメッセージがスタチュードオブフロードの書面要求を満たすとの見解があった。
・デジタルシグナチャーは、暗号を含む概念と考えられるが、より単純にディスプレイ上の署名についても有効であるとの考えがある。
・裁判管轄については、一般消費者に対する合意管轄条項については否定的な見解がある。
・デジタルメッセージは、現時点において、有効な意思表示の伝達手段である。ディスプレイ上の契約については有効である。この点については、裁判管轄もディスプレイ上で合意することができる。
・デジタルメッセージの有効性については、問題ないと考えている。UNCITRAL のモデル法のような規定は創設的規定ではなく、確認的規定である。(デジタルメッセージの有効性については、それを否定することはできないとのダブルネガティブの意見表明であって、完全に有効かどうかについては、明確な見解の表明を避けている。)
・ディスプレイ上の契約は有効であると考える。また、エレクトコニックシグナチャーは、署名として有効であり、スタチュードオブフロードの要件を満たす。テープレコーダー により、署名したと宣言することは署名ではないとの判例があり、対比して考えること ができるかもしれない。インターネットを利用して、ショッピングを行ったものは、そ の有効性にチャレンジしたケースはない。一般的には、その効力を承認していると考え てよいかもしれない。
・モール間のリンクについては、特に考慮すべきことはない。リンクを繁ぐことは自由であり、そのリンクを切断する方が法律家として興味の対象である。技術的にはリンクを即座に自力救済的に切断できるが、再度リンクを繁げられるので、そのような相手については、司法手段を通して将来の危惧がないようにしている。
・税務
その主眼とするところは、顧客先企業の取引がどこで課税されるかよりは、どこかで課税されないようにすることに注意している。その時、考慮するファクターは、企業施設の所在地、スタッフの所在地、消費者の所在地、取引発生場所である。税務は、ケースバイケースの要素が強く、一般論をもって電子商取引の課税について論ずることはできない。(xxx所在地とオペレーター所在地が異なる場合について、ECOM で議論したことがあるが、)相当理念的であり、そのような議論をしたことはない。
4.6 各モデル契約試案に対する海外有識者の見解
本項は米国加州ピルスベリー・マディソン&スートロ法律事務所 弁護士xxxxxxxxxx協力による。
4.6.1 利用規約
4.6.1.1 全般
この契約は、一般的にモール運営者が要望する条項を含むものである。勿論、モール運営者は、メンバーがモールに参加することを妨げるのは契約のどの範囲かを考える必要がある。ほとんどの米国におけるモール運営者は、出来る限り多くの消費者を獲得することに関心を持っている。そのようなモールは、消費者からの収入を当てにしない。その代わりに、モール出店者及び/または広告の収入を当てにする。このように、そのモールは、消費者がモールを利用する要件を特段定めていない。いくつかのモールは、消費者が名前、住所及びメールアドレスのような個人を特定する情報を提供するだけで、メンバーになってもらおうとしている。このように、消費者がモールメンバー規約を締結することはモール運営者にとっては、望ましいことではあるけれども、実際問題としてそれは大変困難なことである。ほとんどの米国のオンライン上の消費者は、商人が直接運営している仮想店舗もしくはウェブサイトに自由かつ無制限にアクセスすることが出来る時代に、そのような契約を結ぶメリットがないと思うだろう。モール運営者は、消費者が喜んで会費を支払い、会員規約に同意するようなある種特別のもしくは他にないようなサービスを提供する必要があるだろう。
4.6.1.2 第 1 条(定義)(1)
“モール”が、“オンラインによる商品またはサービスの提供の申し込みの転送”を含むシステムとして定義されている。モールが申し込みの転送に係ることが必要な理由が何かあるだろうか?購入者とモール出店者間で直接売買の取引を取り扱うことが可能であるように思われる。モールは、売買取引に関与したくないだろうと、私は思う。モールは、売買取引に関与するメリットはなく、モールの手違いによっては消費者または出店者の何れかに責任を負う可能性がある。更に、売買取引に関与することで欠陥商品または不適切なサービスについての消費者クレームより生ずる問題に対してモールが責任を否認することはより困難となる可能性がある。
4.6.1.3 第 2 条(規約の範囲及び変更)第3 項
本項は、次のような条文が追加されるべきである: “会員が当該変更に同意しない場合、その会員は、モールが会員資格の抹消手続を開始できるようにモールに速やかに通知するものとします。モールへの通知先は、 (メールアドレス)とします。会員がモールからの当該変更の通知から 以内に異議を述べない場合には、会員は、当該変更に同意したものと見做すものとします。”
4.6.1.4 第 3 条(入会申込)第2 項(11)
この条項を実行するには、モールは、人種、出身国、性別、年齢、身体障害等により差別することのないように留意しなければならない。
4.6.1.5 第 6 条(会員情報の取扱)第2 項
米国におけるプライバシー保護法では、業務上収集された情報に関して現在でも十分な保護が与えられていない。モール運営者が策定する米国における契約では、会員の個人情報の使用を制限しないか、または、モールが会員の個人情報を利用する際には(例えば、顧客リストの販売)、明示的に会員の同意を得ることを規定するだろう。
4.6.1.6 第 11 条(会員の責任)
(1) この規定は、次のように修正されるべきである: “会員は、当社がモール上提供するサービスを如何なる違法、公序良俗違反または不正
の目的をもって利用しないものとします。”
(2) この規定は、次の条文を追加するべきである: “会員は、モールには、当社、出店者または第三者の著作権で保護されている情報、図
画及びその他の物(「コンテンツ」)があるということを認めるものとします。会員は、会員の個人使用及び非営利目的のためにのみ「コンテンツ」をダウンロードまたはコピーすることができるものとします。但し、会員は、当該「コンテンツ」に含まれる全ての著作権及びその他の注意の表示をそのまま維持するものとします。著作権法上明示的に許容されている場合を除き、当社または当社以外の場合には「コンテンツ」の所有者の明示的許可なく、会員は如何なる「コンテンツ」のコピー、保存、再分配または公表を行ってはならないものとします。”
4.6.1.7 第 13 条(会員の資格の停止・抹消)
第 1 項(4)
この条項は次の通り修正されるべきである: “違法、公序良俗違反または不正の目的をもって当社のモールにより提供するサービス
を利用した場合。”
第 3 項 この条項は次の条文が追加されるべきである: “該当する法律及び官庁の要請に応じるため、このシステムを適切に運用するため、ま
たは当社自身、出店者もしくは他の会員を保護するために、当社はあらゆる情報を捜索及び開示する権利を有するものとします。当該開示には、会員の個人情報または会員の口座の動きを含むものとします。当社は、捜査当局の法律違反容疑の捜査に全面協力し、及び当社の知ることとなった疑わしい違法行為を当局に報告する権利を有するものとします。”
4.6.1.8 第 15 条(本サービスの変更)
この規定は、会員に事前に通知することなく、本サービスの内容を変更することが出来るというものである。モールは、その内容を変更することが出来るとするべきであるが、規定された内容の重大な変更がある場合は、会員はその会員資格を終了することが出来るとするべきだろう。
4.6.1.9 第 18 条(責任の範囲)第4 項
この規定は次の条文が追加されるべきである:
“当社は、本規約または会員による当社のサービスの使用もしくは使用不能に起因もしくは関連して生じる如何なる間接、結果、懲罰またはその他の結果損害についても責めを負わないものとします。当社の唯一の義務(会員にとっては唯一の救済)は、今月のサービスに対する利用料金を返還することに限定されるものとします。”
4.6.1.10 国際取引
(1) モールが日本にあり、その会員が米国に居る場合
次の課題を追加して考慮するべきである。
第 3 条(入会申込)第 2 項(11)
米国において差別は非常に重大な問題である。この条項を米国の会員に実行するには、モールは、その実行が人種、出身国、性別、年齢、身体障害等により差別していないこ とを確実にする為に極めて慎重に注意を払わなければならない。
第 4 条(会員資格)第 1 項
xxの年齢は、米国では州によって異なる。全ての州をカバーする為には、モールは会員資格を 21 歳以上に制限するべきである。
第 10 条(サービスの利用料金)第 2 項
この規定は、次の様に修正されるべきである: “会員は本契約に基づきモールが提供するサービスに国内、国際、州もしくは地方を問わず徴収もしくは賦課される、販売、使用、移転、免許、消費およびその他一切の税および関税(どのように呼ばれる税であれ)についてモールに対して支払いまたは弁償するものとします。”
第 20 条(準拠法)
管轄裁判所に加えて、準拠法について次の通り契約上規定するべきである: “本規約は日本法により統治されかつ解釈されるものとします。”
(2) モールが米国にあり、その会員が日本に居る場合、
次の課題を追加して考慮するべきである:
第 21 条(合意管轄)
契約上米国における管轄裁判所が規定されている場合、日本の会員が契約に基づきその権利を実行することは実際問題として出来ないだろう。米国において訴訟を開始し維持する経費は、紛争で予想される金額を遥かに超える可能性がある。
4.6.2 出店契約
4.6.2.1 全体
この契約案は、全体としてモールの適切な保護を規定している。
4.6.2.2 第 4 条(提供する商品またはサービス)
第 1 項(2) この条文は、甲がインターネット上で乙との間で本契約の遂行に必要な諸データの受け渡しが出来るシステム環境を有しており、同体制を維持することを規定している。モールショップを構成するスクリーンを誰が作成及び更新していくのか不明瞭である。違う言い方をすれば、それはモールのサーバー上のモールショップまたはモールショップの運営するサーバー上のモールショップが行うのか?モールショップがモールのサーバー上にある場合、モールはそのコンテンツを管理する。その場合、契約上モールショッ
プのウェブサイトデザイン(そのコンテンツ、図画、スクリーンマップ等)について規定する条項が含まれる必要がある。モールは、ウェブサイトデザインをモールショップに提供し、モールショップの検討及び承認を得るのか、または、モールショップがウェブサイトデザインをモールに提供し、モールの検討及び承認を得るのか? ウェブサイトデザインの完成後、モールショップを修正するための手続はどうなるか? モールショップがモールショップのサーバー上にある場合、当該モールショップがそのウェブサイトデザインを提供するだろう。その場合、モールがモールショップのコンテンツ、図画等を検討し承認を与えるための方法が必要である。また、モールはモールショップの如何なる修正に対しても検討し承認を与えることが出来るようにする必要もある。
第 1 項(5) 次の規定が追加されるべきである:
“甲は、本契約に基づく商品の販売またはサービスの提供に必要な全ての許認可を保持しかつ維持するものとする。”
4.6.2.3 第 6 条(出店者の義務)第3 項
モールショップによる支払はある種類の支払方法だけを利用するよう要請することが望ましい。支払いがオンラインで為される場合、その取引は暗号化するように要請することが望ましい。
4.6.2.4 第 9 条(モール運営者の義務)第4 項
次の規定が追加されるべきである: “甲は、乙が甲と同様のもしくは類似の商品またはサービスを提示しているまたは甲と
競合関係にある他の仮想店舗と同様の契約を締結することが出来ることを認めかつ合意するものとする。”
4.6.2.5 第 10 条(コンテンツの管理)
この条文は、甲がモール上の自己のショップを構成するコンテンツの管理について、自らの責任で行う旨規定している。モールがモールショップのコンテンツを検討し承認する手続が必要である。
4.6.2.6 第 11 条(責任・保証)
第 3 項 この条文は、次のようにするべきである: “甲は、会員に提供する商品またはサービスの販売、引き渡し、品質、保守、修理、ア
フターサービス、欠陥、知的財産権侵害等に関して如何なる損失、費用、その他の負担から乙を補償し、防御し、かつ免責するものとする。”
第 4 項 この条文は、次のようにするべきである: “甲は商品またはサービスの提供に関し、会員から甲または乙にクレームがあった場合、
もしくは甲と会員との間で紛争が発生した場合は、全て自己の責任により誠実に、かつ遅滞なく解決を図るものとし、並びに、当該会員からのクレームまたは当該会員に対する責務より乙を補償し、防御し、かつ免責するものとする。”
第 5 項 次のようにこの条項を追加するべきである:
“乙は、本契約または甲による当社のサービスの使用もしくは使用不能に起因もしくは関連して生じる如何なる間接、結果、懲罰またはその他の結果損害についても責めを負わないものとする。乙の唯一の義務は、初期費用並びに今月のサービスに対して支払われた管理料及び広告掲載料を返還することに限定されるものとする。”
4.6.2.7 第 14 条(出店料)
ある事態が発生した場合(例えば、消費者物価指数の上昇)または甲への 日の事前通告で、乙が管理料または広告掲載料を値上げ出来るような条文を入れるべきである。
4.6.2.8 第 23 条(賠償責任)第2 項
この条文は次のように修正するべきである: “甲は、本契約に違反することにより、または、コンテンツをモールに登録、更新、削
除等を行うことに関して、第三者との間でトラブルが発生した場合には、甲はそのトラブ ルより生じるあらゆるクレーム、責務または損害について乙を補償し、防御し、かつ免責するものとする。”
4.6.2.9 第 28 条(合意管轄)
裁判所による解決の代わりに、両当事者は仲裁による紛争解決を考慮するよう要望することが可能である。これは両当事者が異なる国の出身の場合、特に良い解決策となるだろう。
4.6.2.10 第 30 条(法律費用)
米国においては次のような条項がなければ、契約当事者は法律費用を取り戻す請求をすることが出来ない:
“本契約の履行もしくは解釈に関する如何なる訴訟またはその他の手続に勝訴した当事者は、その訴訟費用及び経費、裁判所費用並びに本契約に基づく当該当事者の権利の防御に要したその他相当の経費を取り戻す権限を有するものとする。”
4.6.2.11 国際取引
(1) 取引が日本のモールと米国の出店者間の場合
次の課題を追加して考慮するべきである。
第 11 条(責任・保証)
出店者とモール間の関係として、出店者は会員に対する商品またはサービスの販売に賦課される如何なる関税、税金もしくはその他の経費を徴収し支払う責任を負うべきであり、また、次の通りそのような経費に対してモールを補償し、かつ免責するするべきである:
“甲は乙システムを通じて販売される一切の商品またはサービスの販売者であるものとし、また甲は当該商品またはサービスの販売に関連する販売、使用、移転、免許もしくは消費についての税金を含みかつそれらに限定されない一切の税金または関税に対して責任を負うものとする。甲は一切の当該税金より乙を補償し、防御し、かつ免責するものとする。”
第 15 条(支払方法)第 3 項
この条文は、次の様に修正するべきである: “日本の消費税を除き、甲は本契約に基づく乙の履行により国内、国際、州もしくは地方を問わず徴収または賦課される、販売、使用、移転、免許、消費およびその他一切の税および関税(どのように呼ばれる税であれ)について支払うものとする。甲は一切の当該税金より乙を補償し、防御し、かつ免責するものとする。”
(2) 取引が米国のモールと日本の出店者の場合
次の課題を追加して考慮するべきである。
第 12 条 (出店者と会員との関係)
日本の出店者は、日本より米国への商品の輸入に賦課される一切の関税および米国のある州で徴収し支払うことが要求される可能性のある販売または使用に関する税金を考慮する必要がある。
第 27 条(準拠法)および第 28 条(合意管轄)
契約上米国における管轄裁判所が規定されている場合、日本の出店者が契約に基づきその権利を実行することは実際問題として出来ないだろう。米国において訴訟を開始し維持する経費は、紛争で予想される金額を遥かに超える可能性がある。出店者は国際仲裁による紛争解決を規定する次の様な条項を求めるべきである: “本契約の説明または解釈より生じる論争を解決する為に提起される一切の訴は、一人の仲裁人による国際商工会議所の仲裁規則に基づく両者を拘束する仲裁によって解決されるものとする。仲裁は において開催されるものとし、また 語によって行われるものとする。勝訴当事者は、勝訴当事者が権限を有する他の救済に加えて、当該訴の遂行または防御において発生した相当の弁護士費用および経費を敗訴当事者より取り戻す権限を有するものとする。仲裁人により為された仲裁判断の判決は該当する管轄裁判所において実行することができるものとする。”
4.6.3 クロスリンク契約
4.6.3.1 全体
この契約は、二つのモールが相手方に対してハイパーテキスト リファレンスを張ることを相互に認めることを規定している。それは、被連結サイトに連結する為にその被連結サイトの名前を使用することを連結サイトに認めている。しかし、当事者が含めることを要望するかもしれない連結に関するその他の条項があるかもしれない。
4.6.3.2 第 1 条(定義)(2)
少なくとも三つの通常使用される連結の形態がある。“ハイパーリンク”の定義は、より明確に修正されるべきである。次のような定義を薦める:
“「ハイパーリンク」とは、連結サイトの利用者が、そのサイト上に表示されている文章または図画のうち強調されている項目を選択することにより被連結サイトに連結されるハイパーテキスト リファレンス(HREF )リンクをいう。”
4.6.3.3 第 3 条(名称等の使用許諾)第1 項及び第2 項
これらの条項は、連結サイトがリンクを張る為にある特定の名称を使用することについて規定している。このように、これらの規定は、被連結サイトに利用者を移す為に“クリック”される強調された( 色、下線、フォント、大きさ等で区別される)名称の使用を管理している。しかし、その強調された名称を取り巻く文や図画を管理することも重要である。他の言い方をするならば、どのように被連結サイトが連結サイト上に紹介されるかを管理することが重要である。例えば、オリジナルサイトが“乙モールは高級品を持っているが、品揃えが少ない”ということが出来るだろう。被連結サイトは、そのサイトが連結サイト上に紹介される方法を検討し、了承を与えることが重要である。試案は次のように
することも出来るだろう:
“被連結サイトを紹介、説明または照会する連結サイト上に表示される如何なる文や図画も被連結サイトの事前の検討及び書面の承認を条件とする。”
更に、被連結サイト上にどのスクリーンが連結し得るのかについて明示することが重要である。連結サイトがホームページにだけ連結することが出来るか、または、連結サイトがそのサイト内の他のページに連結することが出来るか?もしホームページ以外のページに連結することが許されるならば、利用者は混乱し、違うモールに移ったことに気がつかないかもしれない。その利用者は、依然として連結モールにいると思うかもしれない。もう一つの理由は、連結はホームページに広告を含められるホームページに限定するということを被連結サイトが要求することが出来るということである。ホームページ以外のスクリーンに直接連結することにより、利用者は広告を飛び越えることが許されるかもしれない。多くのモールが広告から収入を得ていて、その収入がホームページに“ヒット”する数を基準にしている可能性があるので、被連結サイトは、被連結サイトのホームページのみの連結に制限することを要望する可能性がある。被連結サイト上の特定のページへの連結に制限する提案条項は次の通りである:
“被連結サイトに連結するサイトが張るリンクは、被連結サイトのホームページへの連結に制限されるものとする。当該ホームページ以外の如何なるページへの連結も許されないものとする。”または、
“被連結サイトに連結するサイトが張るリンクは、被連結サイトの次のページ:への連結に制限されるものとする。それ以外の如何なるページへの連結も許されないものとする。”
“インライン”イメージと“フレーミング”について規定する為に、次のような条項を契約に入れるべきである:
“連結サイトは、ハイパーテキストレファレンスリンク以外に被連結サイトに如何なるリンクも張らないものとする。被連結サイトに接続したまま被連結サイトから利用者がコンテントを見ることが出来るような、“インライン”イメージまたは“フレーミング”を含みかつそれらに限定されない如何なるリンクも行ってはならないものとする。”または、 “連結サイトは、ハイパーテキストレファレンスリンク以外に被連結サイトに如何なるリンクも張らないものとする。但し、別表 に定められているものは除くものとする。”[別表は、各リンク、リンクの形態、連結サイト上のページの詳細な記述及びコピー並びに被連結サイトのページの詳細な記述及びコピーを表示することになるだろう。
4.6.3.4 第 5 条(協力関係)第2 項
この規定は、広告・宣伝等への協力義務をかなり幅広く規定しているように思える。米国の契約法の観点からは、義務を余り負わない文を使用することを薦める。例えば、“両当事者は、相手方モールを協力的に広告宣伝する活動について協議することに同意するものとする。”
4.6.3.5 第 7 条(権利不侵入)
その名称が登録商標で、そのサイトが一カ国のみで運営されるのであれば、この相互の補償は、合理的である。しかし、その名称が登録商標ではない場合、被連結サイトがそのような補償を行うことを望まないかもしれない。更に、サイトがその他の国の顧客を引き付ける場合、海外商標の侵害クレームが起きるかもしれない。そのような事例の為に、クレームが名称に対して提起された場合には、その名称の“所有者”が相手方モールを補償
するか相手方モールに他の名称の使用を指示するかの選択権を有するということを両当事者は合意することがより望ましいだろう。
4.6.3.6 国際取引
(1) 全体
連結に関する法律は発展の初期段階にある。更に、技術の進歩が新規かつより洗練 された連結方法を創造している。連結は商標、著作権、不正競争、プライバシー保護 法等の多くの法律と相互に関係している。従って、技術の急速な進歩およびその関連 する法律に遅れることのないようにこの契約を定期的に検討し、更新するべきである。
(2) 紛争解決
この契約を国際的に用いる為に、紛争の場合における勝訴当事者の弁護士費用についての規定を含めるべきである。両当事者は国際仲裁による紛争解決の規定を含めることを要望することが可能である。
4.7 実証実験適用契約との対比
A-プロジェクトにおける適用契約と当 WG モデル契約を対比する。両契約間で差は見られるが、
①実証実験であるが故の条項
②固有の営業方針に基づく条項が主な要因である。
4.7.1 利用規約
ECOMモール利用規約試案 | A-プロジェクト会員規約 | 解説(特記なき場合は A-プロジェ クト会員規約に関する解説である) |
第1条(定義) | ||
第2条(規約の範囲及び 変更) | 第1条(会員資格) | |
第3条(入会申込) | 第1条(会員資格) | ショップとの代金決済について、モール運営者の指定する決済方法 が利用できること。 |
第4条(会員資格) | ||
第5条(届出事項の変更等) | 第 10 条(届出事項の変更) | |
第6条(会員情報の取扱) | ||
第7条(会員設備等の設置 及び維持) | 第1条(会員資格)第2条(接続環境) | モール運営者の定める接続環境を備えることを会員資格の条件とし ている。 |
第8条(当社から会員への 通知方法) | 第 9 条(通知手段) | ECOM:会員の加盟するサーバーへの到着をもって通知の完了とする。(会員の合意が必要な通知内容の場合はその手続き方法を通知の意) A:発信後10日以内に異議申立て が無い場合、了承したとみなす。 |
第9条(ID及びパスワー ドの管理) | 第 7 条(ID・暗証番号の 管理) | |
第10条(サービスの利用 料金) | 第 11 条(年会費) | |
第11条(会員の責任) | 第 6 条(禁止事項) 第 14 条(譲渡禁止) | |
第12条(退会) | 第 12 条(退会および会員資 格の喪失等) | |
第13条(会員資格の停止・抹消) | 第 6 条(禁止事項) 第 12 条(退会および会員資格の喪失等) |
第14条(モールにより提 供する本サービス) | 第3条(サービスの利用) | ショップとの代金決済について は、モール運営者の指定する方法に従う。 |
第15条(本サービスの変更) | 第 15 条(本規約の改訂等) | ECOM案:事前通知なく変更することがある。 A:変更通知がなされた後、会員がモールを利用したとき 、若しくは通知後7日を経過したときのいづ れか早い方の時点で有効になる。 |
第16条(本サービスの中 断、停止) | 第 5 条(サービスの中断) | ECOM案:事前通知なく中断・停止がある。 A:稼動不良を除き事前通知。 |
第17条(出店者との取引) | 第3条(サービスの利用) 第4条(モール運営者の役割) | |
第18条(責任の範囲) | 第 13 条(免責事項、損害賠 償等) | |
第19条(損害賠償) | 第 13 条(免責事項、損害賠 償等) | |
第20条(合意管轄) | 第17条(管轄裁判所) | |
第 8 条(ソフトウエア等の貸与) | モール運営者が会員に対してモールを使用するためのソフトウエアを有償で貸与すること、およびそ の条件を定めている。 | |
第16条(準拠法) | ECOM案:中間報告試案は日本国外居住者は会員資格がないため準拠法の定めがない。(平成 9 年度報告(今回)では条件付き設定をした。) A:会員は日本国内在住または主た る事務所を有することとしてい る。 |
4.7.2 出店契約
ECOM規約出店契約書試 案 | A-プロジェクト加盟店契 約書 | 解説(特記なき場合は A-プロジェ クト契約書に関する解説である) |
第1条(定義) | ||
第2条(契約の目的) | 第1条(目的) | |
第3条(契約の対象) | ||
第4条(提供する商品また はサービス) | 第 2 条(出店および運営方 法)(公序良俗定め) | |
第5条(モールの使用) | ||
第6条(出店者の義務) | 第 2 条(出店および運営方 法)(出店者の会員の誤認防止義務の定め) | |
第7条(資料提供等) | ||
第8条(禁止事項) | 第 2 条(出店および運営方 法) | |
第9条(モール運営者のx x) | ||
第10条(コンテンツのx x) | ||
第11条(責任・保証) | 第 8 条(乙の責任) 第15条(免責) | ・モール運営者は出店者へ通知する注文内容の正確性について保証しない。 ・出店者の成功を保証するものではない。 ・出店者と会員とのトラブルの際 の採用データについて規定。 |
第12条(出店者と会員と の関係) | ||
第13条(広告・宣伝) | ||
第14条(出店料) | 第 6 条(料金) | |
第15条(支払方法) | 第 6 条(料金) | |
第16条(権利の帰属) | ||
第17条(通知) | 第 16 条(通知手段) | ECOM:出店者のサーバーへの到着をもって通知されたものとする。(出店者の合意が必要な通知内容の場合はその手続き方法を通知の意) A:発信後10日以内に異議申立て が無い場合、了承したとみなす。 |
第18条(権利譲渡保持) | 第 17 条(譲渡禁止) | |
第19条(機密保持) | 第 9 条(秘密保持義務) | |
第20条(契約の効力) | ||
第21条(契約の変更) | 第 18 条(変更契約) | |
第22条(有効期限) | 第 13 条(契約期間) | 平成 10 年 3 月末日 |
第23条(賠償責任) | 第12条(損害賠償) | 賠償限度額を定めている。(出店 料金、基本料金の 1 ヶ月分) |
第24条(中途解約) | ||
第25条(解除) | 第 11 条(契約の解除) | 契約違反について ECOM:30 日以上の期間を定めた催告 A:相当の期間を定めた催告 |
第26条(契約終了時の措 置) | ||
第27条(準拠法) | 第 19 条(準拠法) | |
第28条(合意管轄) | 第20条(管轄裁判所) | |
第29条(協議) | 第 21 条(協議) | |
第 2 条(出店および運営方法) | ・仕様と出店日期日の定め。 ・会員の取引記録義務の定め。 ・モール運営者によるショップの運営停止の定め。 ・取引の進行状態の確認。 | |
第 3 条(A- MALLの運 営) | ・モール運営仕様。 | |
第 4 条(IDの付与) | ・出店者に対するIDの付与条 件。 | |
第 5 条(販売代金の決済方法) | ・モール運営者指定の決済方法の採用。 ・出店者は必要なシステムの調達 義務がある。 | |
第 7 条(消費税の算定) | ・出店料金に係わる消費税の算定 方法の定め。 | |
第 10 条(支払遅延損害禁) | ・延滞金利の定め。 | |
第 14 条(契約終了の効果) | ・金銭債務、ソフトの処置 |
4.8 商用モール適用契約との対比
商用モール適用契約と当 WG モデル契約を対比する。商用モールの適用契約については
「V-Mall」サービスを提供する(株)住友クレジットサービス殿の協力を得た。両者の差は、
①商用モールがモデル試案に比しより簡略な約定としていること、
②独自の営業方針上の判断が主な要因である。
4.8.1 利用規約
ECOM モデル契約 (中間報告) | V-Mall 会員規約 | V-Mall 会員規約に関する解説 |
第 1 条(定義) | ||
第 2 条(規約の範囲及 び変更) | 第 1 条(本規約の適用及び 変更) | |
第 3 条(入会申込) | 第 3 条(会員登録) | 当社の場合、購入するためには会員登録が必要であるが、単にモールを閲覧することは非会員であっても可能。 会員でないとモールに入れない(閲覧すらできない)というのは、インターネットの性格上不適切であり、ある程度オープンにすべき。 当社規約では「会員のみが本モールが提供する全ての サービスを利用できる」という表現をしている。 |
第 4 条(会員資格) | ||
第 5 条(届出事項の変 更等) | 第 5 条(変更の届出) | |
第 6 条(会員情報の取 扱) | 第 10 条(会員情報等の取 扱い) | |
第 7 条(会員設備等の設置及び維持) | 当社の場合、会員規約はモールを利用する(つまりモールにアクセスした後の次元)にあたってのことのみを規定しており、アクセスするまでの内容にはふれて いない。 | |
第 8 条(当社から会員 への通知方法) | 第 12 条(通知) | 会員の責めによるメール不着の場合は、発信時点を持 って到達したとみなす内容を盛り込んでいる。 |
第 9 条(ID 及びパスワ ードの管理) | 第 4 条(ユーザーID 及び パスワード) | |
第 10 条(サービスの 利用料金) | ||
第 11 条(会員の責任) | 第 7 条(会員の責任) | 当社の場合、禁止行為を細かく具体的に表記。 又、モール運営者側に情報を削除する権利を留保させている。 |
第 12 条(退会) | 第 6 条(退会) | 退会しても、出店者との間の債務がすべてなくなるま では、本規約が適用される旨を表記 |
第 13 条(会員資格の 停止・抹消) | 第 8 条(会員登録の抹消) |
第 14 条(モールによ り提供する本サービス) | 第 2 条(本モールの提供するサービス) | |
第 15 条(本サービス の変更) | ||
第 16 条(本サービス の中断、停止) | 第 9 条(本モールの一時中 断、中止) | モール運営者の都合で、モールを廃止できる条項を盛 り込んでいる。 |
第 17 条(出店者との 取引) | 第 13 条(免責事項) | 当社の場合、会員から利用料金をとらないこともあり、モール運営者と会員と の間の損害賠償は記述せず。 会員に対しては、基本的に会員登録の抹消権行使のみを保有。 |
第 18 条(責任の範囲) | ||
第 19 条(損害賠償) | 本条項は、あえて独立させず各項目の条文に盛り込んだ。 但し、損害賠償(金額)については記述せず。 | |
第 20 条(合意管轄) | 第 14 条(合意管轄) | |
第 11 条(著作xxの尊重) | モール運営者の著作権保護を前面に出した。 |
4.8.2 出店契約
ECOM モデル契約 (中間報告) | V-Mall 出店規約 | V-Mall 出店規約に関する解説 |
第 1 条(定義) | 第 1 条(本規約の適用及び 変更) | |
第 2 条(契約の目的) | ||
第 3 条(契約の対象) | 第 3 条(モールにおけるサービス等) 第 4 条(ショップでの取引の決済手段) | 第 3 条:モールの提供するサービスについて運営者側でいつでも変更ができるように、具体的サービス内容の記述は避けた。 第 4 条:カード会社が運営するモールであるためクレジットカード決済(SET)を義務づけた。(但し リンク先に関しては、最低 SSL を義務づけ) |
第 4 条(提供する商品またはサービス) | ||
第 5 条(モールの使用) | 第 9 条(出店企業の義務等) 第 10 条(出店企業の保証) | |
第 6 条(出店者の義務) | ||
第 7 条(資料提供等) | ||
第 8 条(禁止事項) | ||
第 9 条(モール運営者の義務) | 第 6 条(本モールの一時中断、中止) | モールを廃止する場合の対応を明記することで、モールの継続・廃止の判断に関して、モール運営者側 に全権を持たせている。 |
第 10 条(コンテンツの 管理) | 第 10 条(出店企業の保証) 第 11 条(免責) | |
第 11 条(責任・保証) | ||
第 12 条(出店者と会員 との関係) | ||
第 13 条(広告・宣伝) | ||
第 14 条(出店料) | 第2条(出店申込、出店形態 等) | |
第 15 条(支払方法) | ||
第 16 条(権利の帰属) | 第 5 条(コンテンツの制作、 著作xx) | モール運営者側のサーバー内に出店する場合(コン テンツ作成は運営者側)とリンク型を区別。 |
第 17 条(通知) | 第 13 条(通知) | 電子メールが、unknown 等でエラーとなった場合の対応を明記。 最終届出のアドレスにメールを発信したことをもって到達とみなすことで、モール運営者側の責任の範 囲を限定した。 |
第 18 条(権利譲渡保持) | ||
第 19 条(機密保持) | 第 7 条(情報利用) | |
第 20 条(契約の効力) | 第 1 条(本規約の適用及び 変更) | |
第 21 条(契約の変更) | ||
第 22 条(有効期限) | ||
第 23 条(賠償責任) | 第 12 条(損害賠償の制限) | 明らかにモール運営者側に責のある場合は、運営者にも一定の責任負担を課すこととするが、その損害賠償金額の上限を設けることで責任の有限化を図っ た |
第 24 条(中途解約) | 第 14 条(出店企業の解除) | |
第 25 条(解除) |
第 26 条(契約終了時の 措置) | ||
第 27 条(準拠法) | 第 15 条(準拠法) | |
第 28 条(合意管轄) | 第 16 条(合意管轄) | |
第 29 条(協議) | ||
第 8 条(取引情報の保管、提供) | モール運営者側のサーバーに出店する場合のデジタルデータの保管義務に関して記述した。これによりサーバーの不必要なデータを削除し、サーバーを効 率的に使用できる環境を整備することにした。 |
4.9 国内EC 関連機関の見解
コマースネット・ジャパンが平成 10 年 3 月発表の「オンライン・ショッピングの法制度面に関する手引書」において当 WG のモデル契約試案への評価と関連する見解が述べられている。尚コマースネット・ジャパンとは当 WG が平成 8 年度の成果および平成 9 年度の検討内容を紹介することで交流している(平成 9 年 12 月)。
(以下出所:上記手引書、第 5 章 62 頁~67 頁、弁護士xxxxxx)
4.9.1 ECOM のモデル契約とその評価
4.9.1.1 消費者に対する責任限定
モール会員規約第 17 条は、モールがショッピング・センター型モールとして名板貸人の責任を負うことがないよう定めたものである。しかし、この条項が存在するだけで裁判所でこれが争われた場合に、その有効性が常に支持されるわけではない。消費者が個々の商品購入の申込をなす都度、消費者に明白に理解されることが必要である。このため「ショップの主体が出店者である旨をショップに明記する」と定めた出店契約第 6 条は、この点を意識したものである。
4.9.1.2 テナントに関する指揮監督と消費者に対する誓約
出店契約第 4、6、7、8、条では、テナントのあらゆる違法行為が禁じられ、必要に応じモールがテナントの行為を監視できる。さらに、モールがテナントに違法行為があると判断した場合は、モールが一方的にテナントのサービスを停止が出来る定めとしている。
一般に、モールの提供するサービス、機能が多くなればなる程第三者からみても、テナントの行為に対するモールの責任は大きくなると言わざるを得ない。従ってこのような条項の必要性はより高まっている。
4.9.2 テナントの行為に関するモールの責任を限定することの可否
テナントの行為に関するモールの責任を限定することは、ECOM のモデル契約で提案されているような条項を用いることにより、一応実現可能のことのようではある。しかしショッピング・センター型モールであるからといって、裁判においてかかる責任が常に否定されるとは限らない。消費者のモールに対する信用を保護するため、一定の範囲でテナントの行為に対してモールの責任を認めていくという方向に判例が動いていくことは、十分に予想されるであろう。その傾向は、代金決済等モールの提供するサービスが多くなればなるほど、強まっていくのではないかと予想される。
5 モデル契約
5.1 利用規約モデル
5.1.1 利用規約モデル(邦文)
○○モール利用規約
○○株式会社(以下「当社」という)は、当社が運営する「○○モール」の利用について、以下のとおり本規約を定めます。
第 1 条(定義)
本規約においては、次の各号記載の用語はそれぞれ次の意味で使用します。
(1)「モール」とは、商品またはサービスの提供に係る情報の掲載、オンラインによる商品またはサービス提供の申込の転送等のサービスを提供する機能を持ったシステムで、当社が本規約に基づいてインターネット上で運営する「○○モール」をいう。
(2)「会員」とは、本規約に基づき、モールにアクセスし、モールの提供するサービスを受けることのできる者として、当社が会員登録を認めた者をいう。
(3)「本サービス」とは、当社が本規約に基づき会員に対し提供するサービスをいう。
(4)「出店者」とは、モール上で商品またはサービスを会員に提供する目的で、モールの WEB サーバー上に仮想店舗を出店している者をいう。
(5)「ショップ」とは、出店者がモールの WEB サーバー上で運営する仮想店舗をいう。
第 2 条(規約の範囲及び変更) 1.本規約は、本サービスの利用に関し、当社及びに会員に適用するものとし、会員は
本モールを利用するにあたり、本規約を誠実に遵守するものとします。 2.当社が別途本モール上における掲示またはその他の方法により規定する個別規定及
び当社が随時会員に対し通知する追加規定は、本規約の一部を構成します。本規約と個別規定及び追加規定が異なる場合には、個別規定及び追加規定が優先するものとします。
3.当社は、会員の承諾なく、本規約を変更できるものとし、当該変更は、本規約で別途定める場合を除き、当社から会員へ通知した時に有効となるものとします。
第 3 条(入会申込)
1.入会を希望する者(以下「入会希望者」という)は、以下に定める手続その他当社が定める手続に従って、入会を申し込みます。ただし、入会希望者が 20 歳未満の場合、入会希望者は、当社が別途指定する入会申込書を用い、親権者等法定代理人の同意を得ることが必要です。
(1)本規約を熟読し、その内容を理解し、その内容に拘束されることを承諾したうえで、当社が別途指定するオンラインサインアップの方法により、入会の申込を行うこと。
(2)当社が定める決済方法により利用料金を支払うための約定を行うこと。
(3)氏名、年齢、住所、電話番号、電子メールアドレス等その他会員登録のために必要なものとして入会登録画面において当社が定める必要事項をすべて当社に届出ること。
2.会員登録手続は、前項の申込に対する当社の承諾をもって完了するものとします。ただし、当社は、入会希望者が以下に定める事由の何れかに該当することが判明した場合、入会希望者の入会を認めないことがあります。
(1)入会希望者が実在しないこと。
(2)入会希望者が○○歳未満の場合。
(3)入会希望者が日本国外に居住する場合。
(4)入会希望者がすでに会員になっている場合。
(5)入会希望者が過去に本規約違反等により、会員資格の停止処分中であり、または、過去に本規約違反等で会員資格の抹消が行われている場合。
(6)申込の際に当社に届け出た事項に虚偽、誤記又は記入もれがあった場合。
(7)入会希望者の指定したクレジットカードまたは支払口座につき、クレジットカード会社、収納代行会社、金融機関等により、利用停止処分等が行われている場合。
(8)入会希望者が再入会の場合、モールの利用料金の支払を過去に怠ったことがある場合。
(9)入会希望者が未xx者、準禁治産者、禁治産者の何れかであり、入会申込の際に法定代理人または保佐人の同意等を得ていない場合。
(10)その他、入会希望者が第 13 条に定める会員資格の停止、抹消の事由の何れかに該当する場合。
(11)その他、入会希望者を会員とすることを不適切と当社が判断した場合。
第 4 条(会員資格) 1.本サービスは、会員のみが利用することができるものとします。入会希望者が第3
条に従って、入会の申込をし、会員として登録された時点をもって会員資格を取得します。ただし、20 歳未満の会員については、本サービスの一部の利用が制限されることがあります。
2.前項にもかかわらず、当社が申込の承諾をした会員が前条第2項に定める何れかの事由に該当することが判明した場合、当該承諾を取り消すことがあります。
第 5 条(届出事項の変更等) 1.会員は、入会申込の際に当社に届出た事項に変更のあった場合は、当社あてに遅滞
なく所定の様式により届出るものとします。なお、婚姻による姓の変更など、当社が承認した場合を除き、登録された氏名の変更を行うことはできません。
2.会員は、前項の届出を怠った場合に、当社からの通知が不到達となっても、通常到達すべきときに到達したとみなされることを予め異議なく承認するものとします。
第 6 条(会員情報の取扱) 1.会員が入会申込の際に当社に届出た事項およびモール上での会員に対し提供するサ
ービスに関する事項は、当社のデータベースに登録されます。当該登録情報は当社の所有するものとします。
2.当社は、登録された情報について、個人識別が可能な状態で第三者に提供しないものとします。ただし、次の各号記載の場合、出店者に対しては、会員情報として、
住所、氏名、自宅および勤務先の電話番号を開示することができます。
(1)会員の同意が得られた場合
(2)法令により開示が求められた場合
(3)出店者に対して申込の確認等のために提供する場合
第 7 条(会員設備等の設置及び維持) 1.会員は、自らの費用で、モールのサービスを受けるために必要となる通信機器(電
話利用契約を含む)、コンピュータその他の機器、ソフトウェア等(以下「会員設備等」という)を設置するものとします。
2.会員は、モールのサービスを受けるにあたって支障をきたさないよう、自らの費用と責任をもって、会員設備等を正常に稼動させるように維持し、その選択したプロバイダーを経由してモールにアクセスするものとします。
第 8 条(当社から会員への通知方法) 1.当社から会員に対する通知は、本規約に別段の定めのある場合を除き、会員が第3
条に基づき予め当社に通知したアドレス宛の電子メール、モール上の一般掲示またはその他当社が適当と認めるその他の方法により送付されるものとします。
2.前項の通知が電子メールで行われる場合、当社は、会員の加盟するサーバー宛に電子メールを発信し、当該サーバーに到着したことをもって会員への通知が完了したものとみなします。会員は、当社の発信するモールの利用に関する電子メールを遅滞なく閲覧する義務を負うものとします。なお、電子メールの閲覧とは、会員がその加盟するサーバーに配置された電子メールを画面上に開示し、内容を熟読して、確認することをいいます。
3.第 1 項の通知がモール上の掲示により行われる場合、当該通知がモール上に掲示され、会員がモールにアクセスすれば当該通知を閲覧することが可能となったときをもって会員への通知が完了したものとみなします。
第 9 条(ID 及びパスワードの管理) 1.会員は、モール上のサービスの提供を受けるためには、入会申込時に当社からお知
らせする ID と会員が設定するパスワードを使用するものとします。会員は、パスワードのついてのみ、会員情報の変更手続によって変更することができます。
2.会員は、入会申込後、当社が会員に付与する ID 及び会員が設定するパスワードの管理責任を負うものとします。
3.会員は、ID 及びパスワードを第三者に利用させたり、貸与、譲渡、名義変更、売買、質入等いかなる処分をしてはならないものとします。
4.ID 及びパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等による損害の責任は、会員が負うものとし、当社は一切責任を負いません。
5.会員は、ID 及びパスワードが盗まれたり、第三者に使用されていることを知った場合には、直ちに当社にその旨を、直接的即時的手段により、連絡するとともに、当社からの指示がある場合には、これに従うものとします。
第 10 条(サービスの利用料金) 1.サービスの利用料金、算定方法およびその支払方法などは別途定める内容に従うも
のとします。なお、個別に支払い方法が規定されている場合には、その条件に従うものとします。
2.会員は利用料金に係わる消費税およびその他賦課される税を負担するものとします。
3.サービスの利用料金の支払いに関しては、下記の外、各会員ごとに当社が承認した一つによるものとします。また、利用料金の支払いは、毎月行うものとしますが、クレジットカード会社、収納代行会社、金融機関などで別途利用条件、支払い条件、利用限度額の設定などの規定がある場合には、それらに従うものとします。会員と当該クレジットカード会社、収納代行会社、金融機関などの間で紛争が発生した場合は、当該当事者双方で解決するものとし当社には一切責任がないものとします。
(1)モールの指定する金融機関の口座に振り込む方法
(2)当社が承認したクレジットカード会社の発行するクレジットカードにより、クレジットカード会社の規約にもとづき支払う方法
(3)会員が、当社が別途定める「預金口座振込による会員登録申込書」を当社宛届出たうえで、当該申込書に記載されたところに従って行われる口座振替による方法。
4.利用料金の支払いは、毎月行うものとし、支払い期日を過ぎても支払いが行われない場合は、会員は支払い期日の翌日から支払いの日の前日までの日数に、年○○%の割合で計算される金額を延滞利息として、利用料金と一括して、当社が指定した日までに支払うものとします。
5.当社は、会員に対する○○日前の通知によって、利用料金の改定を行うことができます。
6.会員が当社に対し支払った利用料金は、理由の如何を問わず返還されないものとします。
第 11 条(会員の責任)
会員は、本規約に定める事項を遵守するほか、下記の事項を遵守するものとします。
(1)会員は、当社がモール上提供するサービスを不正の目的をもって利用しないものとします。
(2)会員は、当社がモール上提供するサービスに含まれる情報に関する、当社、出店者または第三者の著作権、商標権その他の権利を侵害する行為、またはそのおそれのある行為を行わないものとします。
(3)会員は、出店者に対する商品またはサービスの提供の申込情報(以下「申込情報」といいます)を当社に伝送するにあたって、当社の定める手順・セキュリティ手段を遵守するものとします。この遵守を怠った場合、当社はその結果について一切の責任を負担しません。
(4)会員は、モールの会員として有する権利を第三者に譲渡もしくは使用させたり、売買、名義変更、質権の設定その他の担保に供するなどの処分を行わってはならないものとします。
第 12 条(退会) 1.会員が退会を希望する場合には、月末をもって退会するものとし、退会希望月の○
○日前までに当社所定の書式にて当社に届け出るものとし、当社に対する債務の全額を直ちに支払うものとします。
2.会員が退会する場合、当社は、既に会員から支払われた料金等の払戻義務を一切負担しません。また、会員は、退会したときは、モールの利用に関する一切の権利、特典を失うものとし、また、退会に伴って、当社に対して、何らの請求権を取得するものではありません。
3.会員が死亡または解散した場合、その時点で退会したものとみなします。
第 13 条(会員資格の停止・抹消) 1.会員が以下の事由の何れかに該当する場合、当社は、会員に何ら事前の通知または
催告をすることなく、会員資格を一時停止し、または抹消することができます。
(1)第 3 条第 2 項に定める事由のいずれかに該当することが判明した場合。
(2)ID またはパスワードを不正に使用しまたは使用させた場合。
(3)当社がモール上で提供する情報を当社の承諾を得ることなく改変した場合。
(4)不正の目的をもって当社のモールにより提供するサービスを利用した場合。
(5)手段を問わず、本サービスの運営を妨害した場合。
(6)その他、本規約のいずれかの条項に違反した場合。
(7)会員について、差押、仮差押、仮処分、強制執行、破産、和議、会社整理、特別清算、会社更正の申し立てがなされた場合。
(8)その他、会員として不適格と当社が判断した場合。
2.会員資格を抹消された場合、当該会員は、当社に対する債務の全額を直ちに支払うものとします。また、当社は、既に支払われた料金等の払戻義務を一切負わないものとします。
第 14 条(モールにより提供する本サービス) 1.当社がモールにより提供する本サービスは次のとおりです。
(1)モールにおいて出店者が提供する商品またはサービスについてのオンライン電子カタログによる情報の提供
(2)会員から出店者に対する商品またはサービスに関する申込情報の転送
(3)以上のほか、当社が定めるサービス
2.会員は、本サービスを私的にのみ利用するものとし、本サービスを用いて営業を行わないものとします。
第 15 条(本サービスの変更) 1.当社は、会員に事前に通知することなく、本サービスの内容を変更することがあり
ます。
2.このような事態に伴い、会員に不利益、損害が発生した場合、当社はその責任を負わないものとします。
第 16 条(本サービスの中断、停止) 1.当社は、以下の何れかの事由に該当する場合、会員に事前に通知することなく本サ
ービスの一部もしくは全部を一時中断、または停止することがあります。
(1)本サービスの提供のための装置、システムの保守点検、更新を定期的にまたは緊急に行う場合。
(2)火災、停電、天災などの不可抗力により、本サービスの提供が困難な場合。
(3)第一種電気通信事業者の役務が提供されない場合。
(4)その他、運用上あるいは技術上当社が本サービスの一時中断、もしくは停止が必要であるか、または不測の事態により当社が本サービスの提供が困難と判断した場合。
2.当社は、本サービスの提供の一時中断、停止等の発生により、会員または第三者が被ったいかなる不利益、損害について、理由を問わず一切の責任を負わないものとします。
第 17 条(出店者との取引) 1.ショップは、それぞれ運営する出店者が自己の責任において運営しており、特に明
示している場合を除いて、当社およびその関連会社が管理または運営しているものではありません。会員がモール内のショップで出店者において商品またはサービスの提供の取引等を行うものとし、当該商品に関する質問、クレーム等は会員が各ショップに対して直接行うものとします。
2.会員がショップを利用される場合には、ショップにおいて提示される条件等十分に確認のうえ利用するものとします。
3.当社は、ショップの提供する商品またはサービスについて保証いたしません。また、当社は、当該商品またはサービスに関する情報の正確性、完全性、目的適合性、有用性などについても一切保証もいたしません。
4.出店者に対する商品またはサービスの申込は、注文画面の記載事項のすべてを当社のコンピュータシステムが受領することにより行うものとします。当社は、受領した注文を出店者と当社が定める方法により出店者に転送します。
第 18 条(責任の範囲) 1.当社は、会員から受領した申込情報を出店者と定める方法により出店者に転送する
ことを除き、提供される商品またはサービスに係る情報内容、これに関する取引契約の成否およびその履行については一切の責任を負担しません。
2.当社は、会員が送信した申込情報が当社のコンピュータシステムに到着するかどうか、および当社のコンピュータシステムに到着した申込情報が会員の送信した申込情報と同一内容であるかについては、一切の責任を負担しません。
3.当社の責に帰すべき事由により会員から当社のコンピュータシステムに到着した申込情報を出店者に転送できない場合は、当社に故意または重大な過失がある場合に限り、申込情報を伝達できないことにより会員に発生した現在かつ直接の通常損害に限り、年額利用料金の範囲内においてのみ、損害を賠償するものとします。
第 19 条(損害賠償) 1.本サービスの提供、遅滞、変更、中断、中止、停止、もしくは廃止、本サービスを
通じて登録、提供される情報等の流失もしくは消失等、又はその他本サービスに関連して発生した会員又は第三者の損害について、別途定めがある場合を除いて、当社は一切の責任を負わないものとします。
2.会員が本サービス利用によって第三者に対して損害を与えた場合、会員は自己の責任と費用をもって解決し、当社に損害を与えることのないものとします。会員が本規約に反した行為、または不正もしくは違法な行為によって当社に損害を与えた場合、当社は当該会員に対して相応の損害賠償の請求ができるものとします。
第 20 条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとします。
第 21 条(合意管轄)
本規約に関して紛争が生じた場合、当社本店所在地を管轄する○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とします。
5.1.2 (参考)利用規約モデル英訳(Mall-Member Agreement)
MALL-MEMBER AGREEMENT
XX Kabushiki Kaisha (hereinafter referred to as the "Company") hereby establishes this Mall-Member Agreement with respect to use of the "XX Mall" operated by the Company, as follows:
Article 1 (Definition)
In this Regulation, the terms set forth in the following Subparagraphs shall be used as those with their respective meanings;
(1)"Mall" shall mean a system capable to provide service including but not limited to publication of information on provision of products or service and transfer of offers for provision of products or service on line, which is operated by the Company on the Internet under this Regulation;
(2)"Member" shall mean a person entitled to access to the Mall and service provided by the Mall under this Regulation, who is admitted for membership registration by the Company;
(3)"Service" shall mean any service to be provided by the Company to the Members under this Regulation;
(4)"Shop Owner" shall mean a person who opens a virtual shop on the WEB server of the Mall for the purpose of providing any products or service to the Members on the Mall; and
(5)"Shop" shall mean a virtual shop operated by a Shop Owner on the WEB server of the Mall.
Article 2 (Applicability and Amendment of Regulation)
1. This Regulation shall apply to the Company and Members with respect to use of the Service, and the Members shall faithfully comply with this Regulation in using the Mall.
2. Any individual provision which may be established by the Company through separate publication thereof on the Mall or in any other manners and any additional provision which may be from time to time notified by the Company to the Members shall form a part of this Regulation. If any conflict exists between this Regulation and such individual provision or additional provision, such individual provision or additional provision shall prevail.
3. The Company may amend this Regulation without the approval of the Members, and such amendment shall come into effect when the Company have notified the Members thereof unless otherwise provided in this Regulation.
Article 3 (Application for Membership)
1.A person who is desirous of obtaining the membership (hereinafter referred to as "Membership Applicant") shall apply for the membership in accordance with the procedure described below and any other procedures prescribed by the Company. However, if a Membership Applicant is less than 20 years old, such Membership Applicant shall use a written application for membership separately designated by the Company and shall be required to obtain the approval of his or her legal representative such as person having parental power:
(1)The Membership Applicant shall carefully read this Regulation to understand the provisions herein and acknowledge that it shall be bound by the provisions herein, and shall apply for membership by means of on-line sign up separately designated by the Company;
(2)The Membership Applicant shall make a covenant to pay any using charges through a manner of payment prescribed by the Company; and
(3)The Membership Applicant shall notify the Company of all necessary matters required by the Company on a membership registration screen for membership registration including but not limited to its name, age, address, telephone number, e-mail address and others.
2. The membership registration procedure shall be completed when the Company has accepted the application referred to in the preceding Paragraph. However, if it is found that a Membership Applicant has any of the causes provided below, the Company may refuse to accept the application for membership by the Membership Applicant:
(1) If the Membership Applicant does not exist;
(2) If the Membership Applicant is less than xx years old;
(3) If the Membership Applicant is resident in a country other than Japan;
(4) If the Membership Applicant was already a Member;
(5) If the Membership Applicant is under a disposition for suspension of membership by reason of, for example, a breach of this Regulation committed in the past, or if the membership was revoked for the Membership Applicant by reason of a breach of this Regulation committed in the past;
(6) If any false statement, misstatement or omission exist in any of the matters notified to the Company at the time of application;
(7) If a disposition for suspension of use or other disposition is made by a credit card company, collection agency company, financial institution or other company against such credit card or account for payment as designated by the Membership Applicant;
(8) In case of re-application for membership, if the Membership Applicant has a record that it failed to pay any charges for use of the Mall in the past;
(9) If the Membership Applicant is a minor, quasi-incompetent person or incompetent person, and he or she did not obtain the consent or other approval of his or her legal representative or curator at the time of application for membership;
(10)If the Membership Applicant otherwise has any of the causes resulting in suspension and revocation of membership as provided in Article 13; or
(11)If the Company otherwise finds that the Membership Applicant is inadequate to be a Member.
Article 4 (Membership)
1. The Service may be used only by the Members. A Membership Applicant shall obtain the membership when it has applied for membership and has been registered as a Member in accordance with Article 3. However, for a Member of less than
20 years old, use of a part of the Service may be restricted.
2. Notwithstanding the preceding Paragraph, if it is found that a Member for whom the Company accepted its application has any of the causes referred to in Paragraph 2 of the preceding Article, the Company may revoke such acceptance.
Article 5 (Change, etc. of Notified Matters)
1. If any change occurs in any of the matters notified by a Member to the Company at the time of application for membership, the Member shall notify the Company thereof in a form prescribed without delay. Furthermore, the name registered may not be changed except such cases including but not limited to change of the last name by reason of marriage as approved by the Company.
2.A Member xxxxxx previously acknowledges without any objection that if any notice does not arrive at the Member as a result of failure of the Member to make notification referred to in the preceding Paragraph, such notice shall be deemed to have arrived at it when such notice should have normally arrived at it.
Article 6 (Handling of Member’s Information)
1. Any matters notified by a Member to the Company at the time of application for membership and any matters relating to any service provided to the Members on the Mall shall be registered in the database of the Company. Such registered information shall be owned by the Company.
2. The Company shall not provide any registered information to a third party in condition in which a relevant individual may be identified. However, in cases referred to in the following Subparagraphs, the Company may disclose to a Shop Owner an address, name, home and business telephone numbers of a Member as Member’s information:
(1) If the consent has been obtained from the Member;
(2) If such disclosure is required by any of the laws and ordinances; or
(3) If such disclosure is made to the Shop Owner for the purpose of confirmation of application and others.
Article 7(Installation and Maintenance of Member’s Equipment, etc.)
1.A Member shall, at its own expenses, install any communication equipment (including a telephone use agreement), computer and other equipment, software and other items (hereinafter referred to as "Member’s Equipment, etc.") necessary to receive any service in the Mall.
2.A Member shall, at its own responsibility and expenses, maintain the Member
´s Equipment, etc. so that they can operate properly in order to ensure that any obstruction shall not occur in receiving any service in the Mall and the Member shall obtain access to the Mall through a service provider selected by it.
Article 8 (Manner of Notice to Members from the Company)
1. Unless otherwise provided in this Regulation, any notice from this Company to a Member shall be sent either by e-mail at an address previously notified by the Member to the Company under Article 3, through general publication on the Mall or by other means deemed adequate by the Company.
2. If the notice referred to in the preceding Paragraph is given by e-mail, the Company shall deem the notice completely given to a Member when the Company has transmitted an e-mail to a server subscribed by the Member and it has arrived at such server. A Member shall be obligated to without delay peruse such any e-mails concerning use of the Mall as transmitted by the Company. Furthermore, the perusal of e-mails shall mean that a Member displays an e-mail placed in a server subscribed by it and carefully read and confirm the description thereof.
3. If the notice referred to in Paragraph 1 is given through publication on the Mall, the Company shall deem the notice completely given to a Member when such notice has been placed on the Mall and if the Member gained access to the Mall, it would be possible for the Member to peruse such notice.
Article 9 (Management of IDs and Passwords)
1.A Member shall use an ID advised from the Company at the time of application for membership and a password established by the Member in order to receive provision of any service in the Mall. A Member may only change its own password by conforming to the procedure for change of the Member’s information.
2.A Member shall be liable for management of an ID granted by the Company and a password established by the Member after application for membership.
3.A Member shall not permit a third party to use its own ID and password and shall not make any disposition including but not limited to lease, assignment, change of names, sale and pledge of its own ID and password.
4. Any liability for damage due to, for example, insufficient management, mistake in use or use by a third party of an ID and password shall be assumed by a relevant Member and any liability shall not be in any way assumed by the Company.
5. If a Member becomes aware that its own ID and password are stolen or they are used by a third party, the Member shall forthwith give notice thereof by direct and immediate means and if any instructions are given by the Company, the Member shall conform to such instructions.
Article 10 (Using Charges for Service)
1. Any using charges for service, calculation method and payment method thereof shall be governed by the terms and conditions separately prescribed. Furthermore, if any payment method is specifically provided, the terms and conditions thereof shall govern.
2.A Member shall pay any consumption tax and any other taxes imposed against any using charges.
3. Payment of any using charges for service shall be made through any of the methods authorized by the Company for each Member in addition to those described below. Payment of the using charges shall be made on a monthly basis, provided that if any separate provisions such as using conditions, payment conditions and use limits are established by a credit card company, collection agency company, financial institution or other company, such provisions shall govern. If any dispute arises between a Member and such credit card company, collection agency company, financial institution or other company, such relevant parties shall settle the dispute, and the Company shall not be in any way liable for the dispute: (1)Method in which they shall be paid by transfer to an account of a bank
designated by the Mall;
(2)Method in which they shall be paid by a credit card issued by a credit card company authorized by the Company under the regulations of the credit card company; or
(3)Method in which they shall be paid by account conversion to be made pursuant to an "Application for Membership Registration by Deposit Account Conversion" separately prescribed by the Company after a Member filing such Application with the Company.
4. Payment of any using charges shall be made on a monthly basis, and if the
payment is not made by a Member even after a due day, the Member shall in a lump pay the using charges, plus interest for delay in the amount calculated at the rate of xx% annum for days from a next day of the due day to a preceding day of a day of actual payment on or before a day designated by the Company.
5. The Company may revise any using charges by giving xx day prior notice to the Members.
6. Any using charges paid by a Member to the Company shall not be refunded for any reason whatsoever.
Article 11 (Liability of Members)
In addition to compliance with the provisions set forth in this Regulation, a Member shall comply with the following provisions:
(1)A Member shall not use any service provided by the Company on the Mall for any improper purpose;
(2)A Member shall not make any conduct which infringe or may infringe any of the copyrights, trademark rights and other rights of the Company, Shop Owners or third parties in relation to any information contained in any service provided by the Company on the Mall;
(3)A Member shall comply with the procedure and security prescribed by the Company in transmitting to the Company any offering information (hereinafter referred to as "Offering Information") to provide any products or service for the Shop Owners. If the Member fails to comply with the same, the Company shall not be in any way liable for any results arising therefrom.
(4)A Member shall not assign to a third party or permit a third party to use any of its rights held in its capacity as Member of the Mall, or the Member shall not make any disposition thereof including but not limited to sale, change of names, creation of a pledge and making available for other security.
Article 12 (Withdrawal)
1. If a Member is desirous to withdraw from its membership, such withdrawal shall be effective at the end of a month, and the Member shall notify the Company thereof in the form prescribed by the Company at least xx days prior to the month in which the Member is desirous to withdraw from its membership, and the Member shall forthwith pay to the Company the full amount of its obligations owing to the Company.
2. If a Member withdraws from its membership, the Company shall not in any way assume any obligation to refund any charges already paid by the Member. Also, when the Member has withdrawn from its membership, the Member shall lose any and all rights and privileges to use of the Mall, and the Member shall not obtain any claim to the Company in connection with its withdrawal.
3. If a Member dies or is dissolved, the Member shall be deemed to have withdrawn from its membership at such time.
Article 13 (Suspension and Revocation of Membership)
1. If a Member has any of the following causes, the Company may temporarily suspend or revoke the membership without any prior notice or demand to the Member:
(1) If it is found that the Member has any of the causes provided in Paragraph
2 of Article 3;
(2) If the Member improperly uses or permits a third party to use its own ID or password;
(3) If the Member alters any information provided by the Company on the Mall without the approval of the Company;
(4) If the Member uses any service provided by the Company through the Mall for any improper purpose;
(5) If the Member hinders operation of the Service by any means whatsoever;
(6) If the Member otherwise commits a breach of any provision of this Regulation;
(7) If a petition for seizure, provisional seizure, provisional disposition, forcible execution, bankruptcy, composition, corporate arrangement, special liquidation or corporate reorganization is instituted against the Member; or
(8) If the Company otherwise finds that the Member is inadequate to be a Member.
2. If the membership is revoked, such Member shall forthwith pay the full amount of its obligations owing to the Company. Also, the Company shall not in any way assume any obligation to refund any charges already paid.
Article 14 (The Service provided through the Mall)
1. The Service to be provided by the Company through the Mall shall be as follows:
(1)Provision of any information by means of on-line electronic catalogue with respect to any products or service provided by the Shop Owners in the Mall;
(2)Transfer of any Offering Information on any products or service from a Member to a Shop Owner; and
(3)In addition to the above, any service determined by the Company.
2.A Member shall use the Service for its personal purpose, and the Member shall not carry out any business using the Service.
Article 15 (Amendment of the Service)
1. The Company may amend any of the contents of the Service without any prior notice to the Members.
2. If any disadvantage or damage occurs in a Member in connection with such event, the Company shall not be liable for the same.
Article 16 (Discontinuance and Suspension of the Service)
1. If any of the following events occurs, the Company may temporarily discontinue or suspend any or all of the Service without any prior notice to the Members:
(1) If the Company periodically or in emergency makes maintenance, inspection or renewal of any equipment or systems necessary to provide the Service;
(2) If it is difficult to provide the Service by reason of force majeure including but not limited to fire, disruption of electricity and natural disaster;
(3) If any service is not provided from a first class telecommunication entrepreneur; or
(4) If the Company otherwise finds that it is operationally or technically required to temporarily discontinue or suspend the Service, or that it is difficult to provide the Service due to any unforeseeable event.
2. The Company shall not be in any way liable for any disadvantage or damage incurred by the Members or third parties by reason of occurrence of temporary discontinuance, suspension or other failure to provide the Service for any reason whatsoever.
Article 17 (Transactions with Shop Owners)
1. Each Shop shall be operated by a Shop Owner who operates the Shop at its own responsibility, and unless specially expressed, the Shops are not managed or operated by the Company and its affiliates. A Member shall carry out any transactions such as provision of any products or service with a Shop Owner at a Shop in the Mall, and any question, claim or the like with respect to such products shall be brought by the Member directly against each Shop.
2. If a Member uses a Shop, the Member shall use the Shop after fully confirming the terms and conditions and other matters presented by the Shop.
3. The Company makes no warranty for any products or service provided by a Shop. Also, the Company makes no warranty for correctness, completeness, fitness for particular purpose and usefulness of any information on such products or service.
4. Any offer for any products or service with a Shop Owner shall be placed through the computer system of the Company receiving all of the matters to be filled in on an ordering screen. The Company shall transfer the order received to a relevant Shop Owner in a manner determined between the Shop Owner and the Company.
Article 18 (Scope of Liability)
1. The Company shall not in any way assume any liability for any contents of information on any products or service provided, success or failure of any contracts for transactions in connection therewith and performance thereof, except transfer of any Offering Information received from a Member to a relevant Shop Owner in a manner determined with the relevant Shop Owner.
2. The Company shall not in any way assume any liability as to whether any Offering Information transmitted by a Member arrives at the computer system of the Company and as to whether the Offering Information arriving at the computer system of the Company has the same contents of the Offering Information transmitted by a Member.
3. If the Company is unable to transfer to a Shop Owner any Offering Information arriving at the computer system of the Company from a Member for any reason for which the Company shall be liable, the Company shall compensate the Member for damage only if any willful conduct or gross negligence exists in the Company and only to the extent of present and direct ordinary damage incurred by the Member by reason of disability to transfer the Offering Information, which does not exceed
the limit of relevant annual using charges.
Article 19 (Compensation for Damages)
1. Unless otherwise provided, the Company shall not be in any way liable for any damages incurred by the Members or third parties in connection with provision, delay, amendment, discontinuance, cessation, suspension or abolition of the Service, diversion or loss of any information or other material registered or provided through the Service or any other matters.
2. If a Member gives any damage to a third party due to use of the Service, the Member shall, at its own responsibility and expenses, settle the same and hold the Company harmless from the same. If a Member gives any damage to the Company due to any conduct in violation of this Regulation, or due to any improper or illegal conduct, the Company may demand from such Member reasonable compensation for damages.
Article 20 (Governing Law)
The establishment, validity, performance and interpretation of this Agreement shall be governed by the laws of Japan.
Article 21 (Jurisdiction by Agreement)
If any dispute arises with respect to this Regulation, XX District Court having jurisdiction over the location of the principal office of the Company shall be appointed as a court for the first instance having exclusive jurisdiction by agreement.
5.2 出店契約モデル
5.2.1 出店契約モデル(邦文)
○○モール出店契約書
_________(以下「甲」という)と________(以下「乙」という)とは、乙の運営する○○モール(以下「モール」という)内において、商品またはサービスを会員に提供するため、モール上にショップを出店することについて、次の通り○○モール出店契約(以下「本契約」という)を締結する。
第xx 総則
第 1 条(定義)
本契約において、次の各号記載の用語は、それぞれ次の意味で使用するものとする。 1.「モール」とは、乙がインターネットの WEB サイト上において商品またはサービス
を提供するために必要な機能(オンラインにより受注し、会員管理を行う機能等)を持ったシステム全体(ハードウェアおよびソフトウェアを含む)をいう。
2.「ショップ」とは、乙のモール上で甲が商品またはサービスを会員に対して提供することを目的として作成された仮想の店舗をいう。
3.「会員」とは、モールにアクセスし、ショップで商品またはサービスの提供を受けることを乙より承認された、個人または法人をいう。
4.「商品またはサービス」とは、甲がショップで会員に提供する「物品」、「ソフトウェア」および「役務」で、第4条1項に規定の出店申込書に記載されたものをいう。
第二章 目的
第 2 条(契約の目的)
本契約は、甲が乙の運営するモールにショップを出店し、乙の会員に対して商品またはサービスを提供する場合の甲と乙との間の契約関係につき定めるものとする。
第 3 条(契約の対象)
乙が甲に提供するモールの機能は、次の通りとする。
(1)商品検索
会員が容易に希望商品を見つけることができる商品検索機能を提供する。
(2)オンラインによる受注
会員からの甲に対する商品またはサービスの提供の申込情報の転送を行う。
(3)会員管理
モール内で商品を提供した会員をデータベースで管理を行う。
(4)情報提供
ショップへのアクセス数、ショップにおける売上データ等の情報を提供する。
第三章 出店
第 4 条(提供する商品またはサービス) 1.甲が乙のモールにショップを出店するにあたって、甲は、各号記載の事項を保証し、
契約するものとする。
(1)甲がショップで提供し、または提供する予定の商品またはサービスは、別途甲が乙の提供した出店申込書、または今後甲が乙に提供し、乙が承認した修正申込書に記載したものに限ること。
(2)インターネット上で乙との間で本契約の遂行に必要な諸データの受け渡しができるシステム環境を有しており、同体制を維持すること。
(3)インターネット上で提供した商品もしくはサービスに関する配送およびアフターサービスの体制が整っており、同体制を維持すること。
(4)商品またはサービスの提供の対象である会員につき日本国内に居住する者に限る等の限定が必要である場合、その旨予め乙に通知すること。
2.甲は、本契約に従って、商品またはサービスを会員に提供することができるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当するものは除くものとする。
(1)違法であるもの
(2)犯罪行為を惹起するおそれがあるもの
(3)生命または身体に危険をおよぼすおそれがあるもの
(4)猥褻性のあるものまたは通常人に嫌悪感をおぼえさせるもの
(5)通常人の射幸心をあおるもの
(6)事実誤認を生じさせるものまたは虚偽であるもの
(7)他のショップ、会員その他第三者の著作権、商標権、意匠権および特許xx知的財産権を侵害するもの
(8)他のショップ、会員その他第三者の財産またはプライバシーを侵害するもの
(9)その他公序良俗に反するものまたは会員に提供する商品またはサービスとして不適当であると乙が判断するもの
第 5 条(モールの使用) 1.甲は、モールを本契約の目的の範囲内でかつ本契約に違反しない範囲で使用するこ
とができるものとする。 2.甲は、別途乙から使用を許諾されたプログラム、ソフトウェア等の利用もしくは使
用を乙の事前の書面による承諾なく第三者に許諾してはならず、それらの権利を第三者に譲渡し、担保に供し、またはどの他処分してはならないものとする。
3.本契約は、本条第1項の場合を除き、乙が権利を有する著作権、商標権、意匠権、特許権およびその他の知的財産権に関する利用もしくは使用の権利を、甲に許諾するものではない。
第四章 出店者の義務
第 6 条(出店者の義務) 1.xは、本契約を理解しこれらを遵守し、会員を欺いてこれら会員の利益を害するこ
とがあってはならないものとする。 2.甲は本契約に基づく取引によって知ることのできた会員に関する情報を、会員への
商品もしくはサービスの提供以外の目的のために利用してはならないものとする。 3.甲は、会員から商品もしくはサービスの提供申し込みを受け付けるにあたっては、
提供する商品もしくはサービスの内容、提供価格、支払条件、商品引渡期日、サービス提供期日、その他の提供条件を明確に会員に示すものとし、会員に錯誤を生じさせてはならないものとする。
4.甲は、モール内において事業活動を行うにあたり、乙の指示に従いショップの主体が甲である旨をショップ内に明記するものとし、本ショップ内に乙の名称を表示するなど当該事業に乙が関わっていると第三者が誤解するおそれのある表示を一切行ってはならないものとする。
5.甲が商品またはサービスの提供をしうる対象とする会員につき、法律上またはその他合理的な理由により、日本国内に居住する者に限る等の制限を加える場合、ショップ内にその旨明記するものとする。
第 7 条(資料提供等) 1.甲は、乙からモールまたはショップの運用に必要な情報、資料の提供を求められた
場合、これに応じるものとする。
2.乙は、必要に応じて甲の事業所内に立ち入り、甲の本規約の遵守状況を確認することができるものとする。
第 8 条(禁止事項) 1.甲は、モールを利用するにあたり、次の行為を行わないものとする。
(1)本サービスにより利用しうる情報を改ざんする行為
(2)有害なコンピュータプログラムなどを送信または書き込む行為
(3)乙または第三者(会員を含む。以下同じ)の著作xx知的財産権を侵害しまたは侵害するおそれのある行為
(4)乙または第三者を誹謗し、中傷しまたは名誉を傷つけるような行為
(5)乙または第三者の財産、プライバシーを侵害しまたは侵害するおそれのある行為
(6)本契約の他の規定に反する行為
(7)その他法令に違反しまたは違反するおそれのある行為
2. 乙は、甲が前項各号に該当する行為を行っているか、または当該行為を行うおそれがあると判断した場合、甲に事前の通知をすることなく、モール内に掲載されているショップのコンテンツの全部もしくは一部を削除し、または商品またはサービスの全部もしくは一部の提供を停止させることができるものとする。
第五章 モールの義務
第 9 条(モール運営者の義務) 1.乙は、モールを本契約の各条項の定めに従い、甲の使用に供するものとする。ただ
し、乙は、甲に対して、モールを使用するために必要なコンピュータ、通信機器その他の機器を提供するものではない。
2.甲がモールを利用してコンテンツの登録・更新・削除を行う場合に要する通信費等の費用は、すべて甲の負担とし、乙は一切を負担するものではない。
3.乙は、次の各号の何れかに該当する場合には、甲に事前に通知することなく、一時的にモールの使用の一部又は全部を中断・変更することができるものとする。
(1)モールの保守点検を定期的または緊急に行う場合
(2)火災、停電などによりモールの運営ができなくなった場合
(3)天災地変などによりモールの運営ができなくなった場合
(4)その他、乙が一時的な中断を必要と判断した場合
第六章 コンテンツの管理
第 10 条(コンテンツの管理)
甲は、モール上の自己のショップを構成するコンテンツの管理について、責任をもって行うものとする。
第七章 責任・保証
第 11 条(責任・保証) 1.甲は、モールにおいて商品またはサービスを会員に対して提供(配送を含む)した
場合、甲の責任において商品またはサービスを提供し、料金を回収するとともに、コンテンツの内容全体について責任を負うものとする。
2.甲が会員に提供する商品またはサービスの品質については、すべて甲が責任を負担するものとする。
3.甲は、会員に提供した商品またはサービスの保守、修理、アフターサービス、欠陥、知的財産権侵害等に関して、乙にいかなる損失、費用、その他の負担も負わせてはならないものとする。
4.甲は商品またはサービスの提供に関し、会員から甲または乙にクレームがあった場合、もしくは甲と会員との間で紛争が発生した場合は、全て自己の責任により誠実に、かつ遅滞なく解決を図り、乙には一切の負担、迷惑をかけてはならないものとし、乙が損害を被った場合、乙を補償するものとする。
5.乙は、回線または甲の機器等に起因する通信不良、遅延、誤送等モールの運営障害について責を負わないものとする。
第八章 出店者と会員との関係第 12 条(出店者と会員との関係)
1.甲は、商品またはサービスの提供に関して知り得た会員の氏名、住所等の情報ある
いは会員の購入した商品等の情報について、乙が自らこれを利用することを認めるものとする。
2.甲は、会員に対して提供した商品またはサービスの品質不良、暇疵、運送中の破損、数量不足、品違いその他販売した商品またはサービスに関し、会員からクレームを受け、または会員との紛争が生じた場合、直ちに乙に対し、その旨通知し、当該クレームについては、遅滞なくこれを解決し、その解決につき報告するものとする。そのクレーム、紛争の内容により、乙から商品またはサービスの変更、販売方法、運送方法等について改善の申し入れを受けたときは、甲はこれによる改善を行うものとする。
3.甲は、前項のクレーム、紛争に際して会員から商品またはサービスの返品の申し出があった場含には、速やかにこれに応じて適切な処置をとるものとする。
第九章 広告・宣伝
第 13 条(広告・宣伝) 1.甲と乙とは、互いに協力してモールおよびショップに関する広告・宣伝を行うもの
とする。
2.甲および乙は、広告・宣伝をするにあたっては、適用される法令に違反しないように最善の注意をするものとする。ただし、ショップのコンテンツについては、専ら甲が責任を負うものとする。
3.甲がショップ内において第三者の広告を掲載する場合は、広告掲載料を乙に支払うものとする。
第十章 出店料
第 14 条(出店料)
甲は、ショップを乙のモールに出店するにあたり、その対価として下記の費用を乙に支払うものとする。
初期費用: 円
管理料: 円/月
広告掲載料: 円/月
第 15 条(支払方法) 1.甲は、前条における初期費用を、出店時に消費税相当額とともに、乙の指定する銀
行口座に振り込む方法により、乙に対し支払うものとする。 2.乙は、前条における管理料および広告掲載料について、毎月○○日までに前月に係
わる金額を書面により甲に対し請求するものとする。これに対し、xは、乙からの請求書受領月の翌月未日までに当該請求書に係わる月額管理料および広告掲載料、並びにそれらに係わる消費税相当額を、乙の指定する銀行口座に振り込む方法により支払うものとする。
3.甲が本契約に従い乙に支払うべき金額につき、乙に消費税以外の課税または費用負担が生じた場合、甲は当該課税または費用につき乙を補償するものとする。
第十一章 権利の帰属
第 16 条(権利の帰属) 1.商品およびサービスに関する著作権その他一切の権利は、甲に帰属するものとし、
乙は、モールにおいてショップの主体が甲である旨を表示する。 2.甲は、商品およびサービスに第三者の著作権その他の権利が合まれている場合は、
何ら支障のないように必要な手続きを甲が行なった上で、商品およびサービスの提供を遂行するものとする。
3.第1項の場合を除き、モールに関する一切の権利は、乙に帰属するものとする。
第十二章 一般条項
第 17 条(通知) 1.乙から甲に対する通知は、本契約に別段の定めのある場合を除き、甲が予め乙に通
知したアドレス宛の電子メールにより行うものとする。但し、通信障害等やむをえ
ない事態が発生した場合は他の適当な方法で行うものとする。 2.乙から甲への電子メールは、甲のサーバーヘの到着をもって甲に通知されたものと
する。但し、本契約中に別段の定めがある場合、および前項但書の場合を除くものとする。
3.甲は、乙からの通知の有無およびその内容を確認するため甲宛ての電子メールを毎営業日 1 回は閲覧するものとする。
4.甲は、本契約に基づき乙ヘ届け出た氏名、名称、商号、所在地、支払先預金口座、もしくはその他の重要な事項を変更する場合は、事前に乙に対して乙所定の様式をもって通知するものとする。
5.甲は、モール上にショップを出店する場所、コンテンツ、またはメールアドレスを変更する場合、事前に乙に通知し、その承諾を得なければならないものとする。これらの通知および承諾は、電子メールもしくは書面によるものとする。
6.甲が第 4 項の通知もしくは第5項の承諾取得を怠ったことにより生じた甲の損失その他の負担について、乙はその責めを負わない。
第 18 条(権利譲渡禁止)
甲および乙は、事前に相手方の書面による承諾を得ることなく、本契約に関する契約上の地位または乙に対する個々の債権の全部または一部を第三者に譲渡してはならないものとする。
第 19 条(機密保持) 1.甲および乙は、本契約に関連して相手方から開示を受けた相手方の秘密情報を第三
者に開示・漏洩しないものとする。 2.前項の規定に拘わらず、次の各号の一に該当する情報は、秘密情報には含まれない
ものとする。
(1)開示のときに、既に公知であった情報または既に被開示者が保有していた情報
(2)開示後、被開示者の責によらず、公知となった情報
(3)正当な権限を有する第三者から適法に入手した情報
(4)裁判所からの命令またはこれに類する官公庁からの開示要求その他法令に基づき開示を要求される情報
3.本条の効力は、本契約終了後も有効に存続するものとする。
第 20 条(契約の効力)
本契約は、乙を代理する権限を甲に付与するものではないとともに、乙の商号・モールの名称等を使用して営業をなすことを甲に許諾するものではない。
第 21 条(契約の変更)
本契約に定める事項を変更する場合は、甲乙両者が誠意をもって協議し書面にて定めるものとする。
第 22 条(有効期間)
本契約の有効期間は、199― 年 月 日より 年間とし、期間満了の1カ月前までに甲・乙いずれかが書面による更新拒絶の意思表示をしない限り、本契約は同一条件にてさらに 1 年間を延長するものとし、以後も同様とする。
第 23 条(賠償責任) 1.甲は、本契約に違反することにより、また、コンテンツをモールに登録、更新、削
除等を行うことに関して乙に損害を与えた場合、その損害を賠償するものとする。 2.甲は、本契約に違反することにより、または、コンテンツをモールに登録、更新、
削除等を行うことに関して、第三者との間でトラブルが発生した場合には、甲の責任で解決するものとし、乙に損害を与えないものとする。
3.乙は、モールの変更、中止、中断及びモールにコンテンツをモールに登録、更新、削除等を行うことに関して、甲が損害を被った場合、一切の責任を負わないものとする。
第 24 条(中途解約)
乙は、本契約期間中といえどもモールの運営を継続することが困難とする事情が生じたと判断した場合、3 カ月以上の予告期間を設けて、本契約を解約することができるものとする。
第 25 条(解除)
1.甲および乙は、相手方が本契約の条項の一に違反し、書面により 30 日以上の期間を定めた催告を行った後なお当該違反が是正されないときは、ただちに本契約を解除できるものとする。
2.前項の規定にかかわらず、甲および乙は、相手方が次の各号の一に該当する場合、何らの催告をすることなく本契約を解除することができる。
(1)差押、仮差押、仮処分、租税滞納処分その他これに準ずる処分を受け、会社整理開始、会社更正手続きの開始、破産もしくは競売の申し立てを受け、または自ら整埋、和議、会社更正手続きの開始もしくは破産の申し立てをしたとき
(2)自ら振り出しまたは引き受けた手形または小切手につき、不渡処分を受ける等、支払い停止状態に至ったとき
(3)前 2 号のほか、その財産状態が悪化し、またはその信用状態に著しい変化が生じたとき
(4)法令に違反し、または公序良俗に反する行為を行ったとき
(5)その他ショップとして不適当と乙が判断したとき
第 26 条(契約終了時の措置)
甲は、本契約終了時において、本契約に基づき乙から引き渡されたもの(複製を含む)すべてを返還ないし廃棄するものとする。
第 27 条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとする。
第 28 条(合意管轄)
本契約に関連して生じた甲乙間の紛争については、日本国の○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
第 29 条(協議)
本契約に定めのない事項および本契約の各条項について疑義が生じた場合、甲乙両者が誠意をもって協議し解決するものとする。
以上、本契約締結の証として本証書 2 通を作成し、甲・乙それぞれが各 1 通を保管するものとする。
199_ 年 月 日
甲:
乙:
5.2.2 (参考)出店契約モデル英訳(Mall-Shop Agreement)
Mall-SHOP AGREEMENT
(hereinafter referred to as "ABC") and
(hereinafter referred to as "XYZ") hereby enter into this Mall-Shop Agreement(hereinafter referred to as "this Agreement") with respect to the opening of a Shop on the XX Mall operated by XYZ (hereinafter referred to as the "Mall") in order to provide any Products or Service to the Members in the Mall, as follows:
Chapter 1. General Provisions
Article 1 (Definition)
In this Agreement, the terms set forth in the following Subparagraphs shall be used as those with their respective meanings:
1. "Mall" shall mean an entire system (including hardware and software) with any capability (such as capability to receive orders on-line and manage the Members) necessary for XYZ to provide the Products or Service on a WEB site of the Internet;
2. "Shop" shall mean a virtual shop prepared in order for ABC to provide the Products or Service to the Members on the Mall of XYZ;
3. "Member" shall mean a person or corporation authorized by XYZ to have access to the Mall and receive provision of the Products or Service at the Shop; and
4. "Products or Service" shall mean any "goods", "software" and "service" provided by ABC to the Members at the Shop, which are listed in a written application for shop opening as provided in Paragraph 1 of Article 4.
Chapter 2. Purpose Article 2 (Purpose of Agreement)
This Agreement provides for the contractual relation between ABC and XYZ under which ABC may open the Shop in the Mall operated by XYZ and provide the Products and Service to the Members of XYZ.
Article 3 (Subject Matter of Agreement)
The capability of the Mall to be provided by XYZ to ABC shall be as follows: (1)Retrieval of Products;
XYZ shall provide the capability for retrieval of products to enable the Members to easily find their desirable products;
(2)Receipt of Orders On-Line;
XYZ shall transfer any Offering Information on provision of the Products or Service from the Members to ABC;
(3)Management of Members;
XYZ shall manage the Members who provide any products in the Mall through database; and
(4)Provision of Information;
XYZ shall provide any information including but not limited to a number of access to the Shop and sales data at the Shop.
Chapter 3. Opening of Shop Article 4 (Products or Service provided)
1. ABC hereby warrants and agrees upon the matters set forth in the following Subparagraphs for ABC to open the Shop in the Mall:
(1)The Products or Service which are provided or may be provided by ABC at the Shop shall be limited to those listed in a written application for shop opening
separately submitted by ABC to XYZ, or a written application for modification which may be hereafter submitted by ABC to XYZ and approved by XYZ;
(2)ABC has had the system environment in which ABC may receive or deliver any necessary data to perform this Agreement with XYZ on the Internet and shall maintain such system;
(3)ABC has prepared a system for distribution and after-sales service with respect to the Products or Service provided on the Internet and shall maintain such system; and
(4)If it is required, for example, to limit the Members to whom the Products or Service may be provided to those resident in Japan, ABC shall give prior notice thereof to XYZ.
2. ABC may provide the Products or Service to the Members in accordance with this Agreement. However, this shall not apply if they come under those referred to in any of the following Subparagraphs:
(1)Those which are illegal;
(2)Those which may results in a crime;
(3)Those which may give a risk to life or body;
(4)Those which are obscene or which cause hateful feeling to normal persons; (5)Those which incite a speculative spirit in normal persons;
(6)Those which result in misunderstanding of facts or which are false; (7)Those which infringe any of intellectual property rights such as copyright,
trademark right, design right and patent right of other Shops, Members and other third parties;
(8)Those which infringe the property or privacy of other Shops, Members and other third parties; and
(9)Those which otherwise violate any public policy or which XYZ finds those inadequate for the Products or Service to be provided to the Members.
Article 5 (Use of Mall)
1. ABC may use the Mall to the extent of the purpose of this Agreement and as far as it does not violate this Agreement.
2. ABC shall not grant to any third party a right to utilize or use any programs, software and other materials, use of which is separately granted by XYZ without the prior written approval of XYZ, and ABC shall not assign, make available for security to any third party or otherwise dispose of these rights.
3. Unless provided in Paragraph 1 of this Article, nothing in this Agreement grants to ABC any right to utilize or use any of the copyrights, trademark rights, design rights, patent rights and other intellectual property rights, to which XYZ has certain right.
Chapter 4. Obligations of Shop Owner Article 6 (Obligations of Shop Owner)
1. ABC shall understand and comply with this Agreement and shall not deceive the Members to impair the benefits of the Members.
2. ABC shall not use any information of the Members which may be known in any transactions under this Agreement for any purpose other than providing the Products or Service to the Members.
3. ABC shall expressly show to the Members any particulars, price for provision, payment conditions, date of delivery of products, date of provision of service and other terms and conditions for provision of the Products or Service to be provided in receiving any offer for provision of the Products or Service from the Members and shall not mislead the Members.
4. ABC shall identify itself as a principal of the Shop in the Shop in accordance with the instructions of XYZ in carrying out the business activities in the Mall,
and ABC shall not make any representation which may results in misunderstanding by a third party that XYZ is involved in such business by, for example, representing the name of XYZ in the Shop.
5. If any restriction such as the Members to whom ABC may provide the Products or Service limited to those resident in Japan as a matter of law or for any proper reason should be imposed, ABC shall expressly indicate to that effect.
Article 7 (Provision, etc. of Material)
1. If ABC is required by XYZ to provide any information and material necessary to operate the Mall or the Shop, ABC shall respond to such requirement.
2. XYZ may enter the business places of ABC as required to verify the circumstances of compliance with this Regulation by ABC.
Article 8 (Prohibited Matters)
1. ABC shall not make the following conduct in using the Mall: (1)Conduct which alters any information able to be used by the service;
(2)Conduct which transmits or writes any harmful computer program and the like; (3)Conduct which infringes or may infringe any of the intellectual property rights such as copyright of XYZ or any third party (including Members, and the
same shall apply hereafter);
(4)Conduct which slanders or calumniate XYZ or any third party or impairs honor of XYZ or any third party;
(5)Conduct which infringes or may infringe the property or privacy of XYZ or any third party;
(6)Conduct which violates any of other provisions of this Agreement; or (7)Conduct which otherwise violates or may violate any of the laws and
ordinances.
2. If XYZ finds that ABC makes or may make any conduct coming under the Subparagraphs referred to in the preceding Paragraph, XYZ may delete all or any of the contents of the Shop placed in the Mall or may cause ABC to suspend all or any of the Products or Service without any prior notice to ABC.
Chapter 5. Obligations of Mall Article 9 (Obligations of Mall Operator)
1. XYZ shall make the Mall available to ABC in accordance with the provisions of this Agreement. However, this shall not mean that XYZ shall provide ABC with any necessary computers, communication equipment and other equipment required to use the Mall.
2. Any expenses such as communication charges necessary to register, renew and delete the contents by using the Mall shall be fully borne by ABC, not by XYZ.
3. If any of the events set forth in the following Subparagraphs occurs, XYZ may temporarily discontinue or change any or all of use of the Mall without any prior notice to ABC:
(1)If XYZ periodically or in emergency makes maintenance or inspection of the Mall;
(2)If XYZ becomes unable to operate the Mall by reason of fire, disruption of electricity and other events;
(3)If XYZ becomes unable to operate the Mall by reason of act of God and other events; or
(4)If XYZ otherwise finds it necessary to temporarily discontinue the Mall.
Chapter 6. Management of Contents Article 10 (Management of Contents)
ABC shall, at its own responsibility, manage the contents which make up its own
Shop on the Mall.
Chapter 7. Liability and Warranty Article 11 (Liability and Warranty)
1. If ABC provides (including distribution) the Products or Service to the Members in the Mall, ABC shall, at its own responsibility, provide the Products or Service and collect the prices therefor, and ABC shall be liable for entire description of the contents.
2. ABC shall be fully liable for quality of the Products or Service provided by ABC to the Members.
3. ABC shall hold XYZ harmless from any losses, expenses and other liabilities in connection with maintenance, repair, after-sales service, defects, infringement of intellectual property rights and other matters of the Products or Service provided to the Members.
4. If a Member brings a claim against ABC or XYZ or if any dispute arises between ABC and a Member with respect to provision of the Products or Service, ABC shall, at its full responsibility, faithfully and without delay settle it and hold XYZ fully harmless from any liabilities and troubles, and if any damage is incurred by XYZ, ABC shall indemnify XYZ for such damage.
5. XYZ shall not be liable for operational failure of the Mall including but not limited to bad condition, delay, transmission mistake of communication, which is attributable to lines, ABC’s equipment or the like.
Chapter 8. Relation between Shop Owner and Member Article 12 (Relation between Shop Owner and Member)
1. ABC hereby acknowledges that XYZ may use for itself any information such as a name and address of a Member which may be known in connection with provision of the Products or Service or any information on the products and the like purchased by a Member.
2. If ABC receives a claim from a Member or if any dispute arises with a Member, alleging bad quality, defects, damage in transit, shortage, discrepancy in description or other matters of the Products or Service provided to the Member, ABC shall forthwith give notice thereof to XYZ and ABC shall without delay settle such claim and report on the settlement thereof. When ABC receives from XYZ any request for change or improvement of sales method, transport method and the like of the Products or Service, based on the particulars of such claim or dispute, ABC shall make improvement pursuant to such request.
3. If any demand to return the Products or Service from a Member in connection of the claim or dispute referred to in the preceding Paragraph, ABC shall promptly take adequate measures in response thereto.
Chapter 9. Publicity and Advertising Article 13 (Publicity and Advertising)
1. ABC and XYZ shall cooperate with each other to publicize and advertise the Mall and the Shop.
2. ABC and XYZ shall pay their best attention to ensure that they shall not violate any applicable laws and ordinances in making any publicity and advertising. However, ABC shall be solely liable for any contents of the Shop.
3. If ABC places any publicity of a third party in the Shop, ABC shall pay the charges for placement of publicity to XYZ.
Chapter 10. Shop Opening Fee Article 14 (Shop Opening Fee)
In consideration of opening of the Shop in the Mall of XYZ, ABC shall pay the
following fees to XYZ: Initial fee: ¥ ;
Management fee: ¥ / month; and
Charges for placement of publicity: ¥ / month.
Article 15 (Payment Method)
1. ABC shall pay to XYZ the initial fee referred to in the preceding Article as well as the amount equal to the consumption tax thereon at the time of opening of the Shop by means of transfer thereof to a bank account designated by XYZ.
2. XYZ shall charge ABC in an invoice for the amount for a preceding month of the management fee and charges for placement of publicity referred to in the preceding Article on or before xx th day of each month. ABC shall, in response thereto, pay the monthly management fee and charges for placement of publicity covered by such invoice, and the amount equal to the consumption tax thereon on or before the end of a next month of a month when such invoice was received from XYZ by means of transfer thereof to a bank account designated by XYZ.
3. If any taxes other than consumption tax are imposed on or any expenses are incurred by XYZ against any amount payable from ABC to XYZ under this Agreement, ABC shall indemnify XYZ for such taxes or expenses.
Chapter 11. Vesting of Rights Article 16 (Vesting of Rights)
1. The copyright and any other rights to the Products and Service shall vest in ABC, and XYZ shall identify ABC as a principal of the Shop in the Mall.
2. If the copyright and any other rights of a third party are contained in the Products and Service, ABC shall take any necessary procedures to ensure that no obstruction exist and then accomplish provision of the Products and Service.
3. Unless provided in Paragraph 1, all rights to the Mall shall vest in XYZ.
Chapter 12. Miscellaneous Provisions
Article 17 (Notice)
1. Unless otherwise provided in this Agreement, any notices from XYZ to ABC shall be given by e-mail at the address previously notified by ABC to XYZ. However, if any unavoidable event such as communication failure occurs, notice shall be given by other adequate means.
2. Any e-mail from XYZ to ABC shall be deemed to have been given when it has arrived at the server of ABC. However, this shall not apply if otherwise provided in this Agreement and if provided in the proviso clause of the preceding Paragraph.
3. ABC shall once a business day read the e-mails addressed to ABC in order to verify whether any notice is given by XYZ and the description thereof, if any.
4. If ABC changes its name, corporate name, trade name, address, deposit account of destination of payment or any other material items which are notified to XYZ under this Agreement, ABC shall give prior notice thereof to XYZ in the form prescribed by XYZ.
5. If ABC changes a location of opening of the Shop on the Mall, its contents, or mail address, ABC shall give prior notice thereof to XYZ and obtain the approval of XYZ. Such notice and approval shall be through e-mail or in writing.
6. XYZ shall not be liable for any losses and other debts arising from failure of ABC to give notice as provided in paragraph 4 or to obtain the approval as provided in Paragraph 5.
Article 18 (Prohibition of Assignment of Rights)
Each of ABC and XYZ shall not assign to any third party its contractual status in connection with this Agreement or all or any of the individual claims to XYZ
without the prior written approval of the other party.
Article 19 (Confidentiality)
1. ABC and XYZ shall not disclose or divulge to any third party any confidential information of the other party, which is disclosed from the other party in connection with this Agreement.
2. Notwithstanding the provisions of the preceding Paragraph, any information which comes under any of the following Subparagraphs shall not be included in the confidential information:
(1)Information which was already in public knowledge or information which was already held by the disclosed party, at the time of disclosure;
(2)Information which becomes public knowledge through no fault of the disclosed party after disclosure;
(3)Information which is lawfully obtained from a third party properly authorized; or
(4)Information which is required to be disclosed by order from a court, by requirement for disclosure from the similar authorities or otherwise under the laws and ordinances.
3. The validity of this Article shall remain even after termination of this Agreement.
Article 20 (Effect of Agreement)
Nothing in this Agreement grants to ABC any authority to represent XYZ, and nothing in this Agreement grants to ABC a right to carry out any business by using any trade names of XYZ, names of the Mall and the like.
Article 21 (Amendment of Agreement)
If any provision set forth in this Agreement is amended, it shall be faithfully discussed and set forth in writing between both ABC and XYZ.
Article 22 (Term)
The term of this Agreement shall be for years from , 199 , and unless either ABC or XYZ declares its intention to refuse the renewal in writing at least 1 month prior to expiration of the term, this Agreement shall be extended for further
1 year under the same terms and conditions as before, and the same shall apply hereafter.
Article 23 (Liability for Compensation)
1. If ABC gives any damage to XYZ by reason of committing a breach of this Agreement or in connection with making registration, renewal, deletion and otherwise of any contents in the Mall, ABC shall compensate XYZ for such damage.
2. If any trouble arises between ABC and a third party by reason of committing a breach of this Agreement or in connection with making registration, renewal, deletion and otherwise of any contents in the Mall, ABC shall, at its own responsibility, settle it, and shall hold XYZ harmless from it.
3. If any damage is incurred by ABC in connection with amendment, cessation and discontinuance of the Mall and making registration, renewal, deletion and otherwise of any contents in the Mall, XYZ shall not be in any way liable for such damage.
Article 24 (Premature Termination)
If XYZ finds that any circumstances under which it is difficult to continue operation of the Mall arises even during the term of this Agreement, XYZ may terminate this Agreement by giving 3 month prior notice.
Article 25 (Cancellation)
1. ABC and XYZ may forthwith cancel this Agreement when the other party commits a breach of any of the provisions of this Agreement and receives written notice for demand to cure such breach specifying a period not less than 30 days, but still fails to cure such breach.
2. Notwithstanding the provisions of the preceding Paragraph, ABC and XYZ may forthwith cancel this Agreement without any notice if the other party has any of the causes set forth in the following Subparagraphs:
(1)When the other party sustains seizure, provisional seizure, provisional disposition, disposition for non-payment of taxes or other disposition similar thereto, or when the other party receives a petition for institution of corporate arrangement, institution of corporate reorganization procedure, bankruptcy or public auction, or when the other party files a petition for arrangement, composition, institution of corporate reorganization procedure or bankruptcy for itself;
(2)When the other party falls into insolvency by reason of, for example, sustaining a disposition for non-payment with respect to any note or check drawn or accepted by it;
(3)In addition to the causes referred to in the preceding two Subparagraphs, when its financial condition deteriorates or any material change occurs in its credit condition;
(4)When the other party commits a breach of any of the laws and ordinances or takes any conduct contrary to the public policy; or
(5)When XYZ otherwise finds that the other party is inadequate for a Shop.
Article 26 (Measures upon Termination of Agreement)
ABC shall, upon termination of this Agreement, return or destroy all materials (including reproductions) delivered by XYZ under this Agreement.
Article 27 (Governing Law)
The establishment, validity, performance and interpretation of this Agreement shall be governed by the laws of Japan.
Article 28 (Jurisdiction by Agreement)
For any dispute arising between ABC and XYZ in connection with this Agreement, XX District Court in Japan shall be appointed as a court for the first instance having exclusive jurisdiction by agreement.
Article 29 (Discussion)
Any matter not contained in this Agreement and any question arising with respect to any provision of this Agreement shall be faithfully discussed and settled between both ABC and XYZ.
In Witness Whereof, ABC and XYZ have executed this instrument in duplicate, and each shall retain 1 original.
, 199
ABC:
XYZ:
5.3 クロスリンク契約モデル
5.3.1 クロスリンク契約モデル(邦文)
クロスリンク契約書
_______(以下「甲」という)と_______(以下「乙」という)は、甲の運営するインターネット上の A モール(以下「A モール」という)と乙の運営するインターネット上の B モール(以下「B モール」という)とが互いにハイパーリンクを各々のモール上に非独占的に設定し合うこと(以下「クロスリンク」という)に関して、以下の通り契約(以下「本契約」という)を締結する。
第 1 条(定義)
本契約において、次の各号記載の用語は、それぞれ次の意味で使用するものとする。
(1)「モール」とは、インターネット上で運営する商品・サービスの提供、オンラインによる受注、会員管理等の機能を持ったシステムをいう。
(2)「ハイパーリンク」とは、インターネット上の WEB サーバーに登録されたファイルとファイルを相互に連結することをいう。
第 2 条(目的)
本契約は、甲の A モールと乙の B モールが互いにハイパーリンクで電子的につながることによって、各々のモールが互いに協力して、互いのモールの活性化、健全化、信用担保機能の強化を積極的に追求し、友好的な提携関係を構築し、電子商取引の推進に資することを目的とする。
第 3 条(名称等の使用許諾)
1.甲は、乙に対して、乙が、B モール上にハイパーリンクを張るに際して甲が権利を有する別紙1(省略)記載の名称等を B モール上に使用することを許諾する。使用方法の詳細は、別途定める。
2.乙は、甲に対して、甲が、A モール上にハイパーリンクを張るに際して乙が権利を有する別紙 2(省略)記載の名称等を A モール上に使用することを許諾する。使用方法の詳細は、別途定める。
3.甲および乙は、前 2 項の名称等を、本契約で許諾された以外の印刷物、ソフトウェア製品その他のいかなる物にも使用しないものとする。
第 4 条(リンクの変更・削除) 1.甲および乙は、自己のモール上のハイパーリンクの位置、大きさ等を変更する場合
は、事前に書面または電子メールで相手方に通知するとともに、相手方から要請があれば、合理的範囲で、その要請を尊重する。
2.甲および乙は、相手方のハイパーリンクおよび名称等の使用方法が本契約の目的に反すると判断し、その判断に合理的な理由がある場合は、相手方は直ちに、ハイパーリンクの削除または名称等の使用を中止しなければならない。
第 5 条(協力関係) 1.甲および乙は、電子商取引が今後xxなマーケットになることを認識した上で、互
いに協力して行くことを確認する。 2.甲および乙は、相手方から要請があれば、相手方モールの広告・宣伝等に積極的に
協力し、集客効果を高めるよう努める。 3.甲および乙は、ハイパーリンクを自己のモールに設定するにあたっては、相手方の
名誉、名声および信用を損なわないよう最善の努力をする。
4.甲乙間の友好的な提携関係構築の詳細については、別途甲乙で協議し、定めるものとする。
第 6 条(権利の帰属)
1.乙は、別紙 1(省略)記載の名称等が甲の権利に帰属することを確認する。
2.甲は、別紙 2(省略)記載の名称等が乙の権利に帰属することを確認する。
第 7 条(権利不侵害)
甲および乙は、互いに相手方に使用許諾した、各々自己の名称等が第三者の権利を侵害していないこと、および相手方に対して有効に使用許諾する権利を有することを保証する。
第 8 条(xxxxxxの成果の取扱い) 1.甲および乙は、クロスリンクの結果得られた成果で相手方の権利に属するものを、
相手方が自由に無償で使用することを許諾する。 2.前項は、本契約の有効期間終了後も有効に存続する。
第 9 条(責任) 1.甲および乙は、クロスリンクに関して生じた相手方の損害に対して、自己の責任に
帰すべき場合を除き、相手方に損害賠償の責任を負わない。
2.甲および乙は、自己のモールに関して、第三者からクレームを受けた場合は、責任を持って処理するとともに、相手方のモールに関して、第三者からクレームを受けた場合は、速やかに相手方に通知するものとする。
第 10 条(機密保持) 1.甲および乙は、本契約に関連して相手方から開示を受けた相手方の秘密情報を第三
者に開示・漏洩しないものとする。 2.前項の規定に拘わらず、次の各号の一に該当する情報は、秘密情報には含まれない
ものとする。
(1)開示のときに、既に公知であった情報または既に被開示者が保有していた情報
(2)開示後、被開示者の責によらず、公知となった情報
(3)正当な権限を有する第三者から適法に入手した情報
(4)裁判所からの命令またはこれに類する官公庁からの開示要求その他法令に基づき開示を要求される情報
3.本条の効力は、本契約終了後も有効に存続する。
第 11 条(有効期間)
本契約の有効期間は、199_年__月__日から 1 年間とし、期間満了の 1 ヶ月前まで
に、甲乙いずれかが書面による更新拒絶の意思表示をしない限り、同一条件にてさらに 1 年間延長するものとし、以後も同様とする。
第 12 条(契約終了時の措置)
甲および乙は、本契約が終了した場合、速やかに自己のモールからハイパーリンクの設定を消去するとともに、相手方に通知し、相手方の確認を求めるものとする。
第 13 条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとする。
第 14 条(合意管轄)
本契約に関連して生じた甲乙間の紛争については、日本国の東京地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
第 15 条(協議)
本契約に定めのない事項および本契約の各条項について疑義が生じた場合、甲乙両者が誠意をもって協議し解決するものとする。
以上、本契約締結の証として、本証書 2 通を作成し、甲乙それぞれが各 1 通を保管するものとする。
1997 年__月__日
甲:
乙:
5.3.2 (参考)クロスリンク契約モデル英訳 ( Cross Link Agreement )
CROSS LINK AGREEMENT
(hereinafter referred to as "ABC") and
(hereinafter referred to as "XYZ") hereby enter into this Cross Link Agreement (hereinafter referred to as "this Agreement") under which an A Mall operated by ABC on the Internet (hereinafter referred to as "A Mall") and a B Mall operated by XYZ on the Internet (hereinafter referred to as "B Mall") shall mutually establish a Hyper Link on the Mall of the other (hereinafter referred to as "Cross Link") on an non-exclusive basis, as follows:
Article 1 (Definition)
In this Agreement, the terms set forth in the following Subparagraphs shall be used as those with their respective meanings:
(1)"Mall" shall mean a system with capability for provision of products and service, receipt of orders on line, management of members and other functions, which is operated on the Internet; and
(2)"Hyper Link" shall mean the mutual linkage between files and files which are registered in WEB servers on the Internet.
Article 2 (Purpose)
The purpose of this Agreement shall be to establish the mutual and electronic linkage through Hyper Link between the A Mall of ABC and the B Mall of XYZ, whereby the Malls cooperate with each other to positively seek activation, integrity and enhancement of credit security features of respective Malls and to establish amicable collaborating relation, thereby helping promote electronic commerce.
Article 3 (Grant of Use of Names, etc.)
1. ABC hereby grants to XYZ a right to use such names, etc. listed in the Schedule 1 attached hereto (omitted), to which ABC owns certain rights, on the B Mall for XYZ to establish the Hyper Link on the B Mall. Any particulars for a using method shall be separately provided.
2. XYZ hereby grants to ABC a right to use such names, etc. listed in the Schedule 2 attached hereto (omitted), to which XYZ owns certain rights, on the A Mall for ABC to establish the Hyper Link on the A Mall. Any particulars for a using method shall be separately provided.
3. ABC and XYZ shall not use the names, etc. referred to in the preceding two Paragraphs in any printed matter, software products and any other items except those granted under this Agreement.
Article 4 (Change and Deletion of Link)
1. If either ABC or XYZ changes a location, size and other matters of the Hyper Link on its own Mall, ABC or XYZ, as the case may be, shall give notice thereof to the other party in writing or by e-mail and if requested by the other party, ABC or XYZ, as the case may be, shall respond to such request to the reasonable extent.
2. If either ABC or XYZ determines that a using method of the Hyper Link and the names, etc. by the other party is contrary to the purpose of this Agreement and there is any proper reason in such determination, the other party shall forthwith delete the Hyper Link or cease using the names, etc.
Article 5 (Cooperating Relation)
1. ABC and XYZ, recognizing that electronic commerce will hereafter form a
potential market, hereby acknowledge that they shall cooperate with each other.
2. Each of ABC and XYZ shall, upon request of the other party, positively cooperate in publicity, advertising and other activity of the Mall of the other party and endeavor to enhance the effect of solicitation of customers.
3. Each of ABC and XYZ shall make its best effort to ensure that it shall not impair the honor, reputation and credit of the other party in establishing the Hyper Link on its own Mall.
4. Any particulars to establish amicable collaborating relation between ABC and XYZ shall be separately discussed and determined between ABC and XYZ.
Article 6 (Vesting of Rights)
1. XYZ hereby acknowledges that the names, etc. listed in the Schedule 1 attached hereto (omitted) shall vest in the rights of ABC.
2. ABC hereby acknowledges that the names, etc. listed in the Schedule 2 attached hereto (omitted) shall vest in the rights of XYZ.
Article 7 (No Infringement of Rights)
Each of ABC and XYZ hereby warrants that its own names, etc. mutually granted to the other party do not infringe any rights of third parties, and it has a right to lawfully grant to the other party a right to use the same.
Article 8 (Handling of Results of Cross Link)
1. Each of ABC and XYZ hereby agrees that the other party may freely and free of charge use any results obtained from the Cross Link, to which the other party has certain right.
2. The preceding Paragraph shall survive any termination of the term of this Agreement.
Article 9 (Liability)
1. Each of ABC and XYZ shall not be liable to the other party for compensation for damages incurred by the other party arising in connection with the Cross link except the case for which it shall be liable.
2. If either ABC or XYZ receives a claim from a third party in connection with its own Mall, ABC or XYZ, as the case may be, shall, at its own responsibility, settle the claim, and if either ABC or XYZ receives a claim from a third party in connection with the Mall of the other party, ABC or XYZ, as the case may be, shall promptly give notice to the other party.
Article 10 (Confidentiality)
1. ABC and XYZ shall not disclose or divulge to any third party any confidential information of the other party, which is disclosed from the other party in connection with this Agreement.
2. Notwithstanding the provisions of the preceding Paragraph, any information which comes under any of the following Subparagraphs shall not be included in the confidential information:
(1)Information which was already in public knowledge or information which was already held by the disclosed party, at the time of disclosure;
(2)Information which becomes public knowledge through no fault of the disclosed party after disclosure;
(3)Information which is lawfully obtained from a third party properly authorized; or
(4)Information which is required to be disclosed by order from a court, by requirement for disclosure from the similar authorities or otherwise under the laws and ordinances.
3. The validity of this Article shall remain even after termination of this Agreement.
Article 11 (Term)
The term of this Agreement shall be for 1 year from , 199 , and unless either ABC or XYZ declares its intention to refuse the renewal in writing at least 1 month prior to expiration of the term, this Agreement shall be extended for further
1 year under the same terms and conditions as before, and the same shall apply hereafter.
Article 12 (Measures upon Termination of Agreement)
Each of ABC and XYZ shall, upon termination of this Agreement, promptly delete setting of the Hyper Link from its own Mall and give notice thereof to the other party to seek verification thereof from the other party.
Article 13 (Governing Law)
The establishment, validity, performance and interpretation of this Agreement shall be governed by the laws of Japan.
Article 14 (Jurisdiction by Agreement)
For any dispute arising between ABC and XYZ in connection with this Agreement, the Tokyo District Court in Japan shall be appointed as a court for the first instance having exclusive jurisdiction by agreement.
Article 15 (Discussion)
Any matter not contained in this Agreement and any question arising with respect to any provision of this Agreement shall be faithfully discussed and settled between both ABC and XYZ.
In Witness Whereof, ABC and XYZ have executed this instrument in duplicate, and each shall retain 1 original.
, 1997
ABC:
XYZ:
6 特別論考
本稿は、当 WG 有識者委員 xx法律事務所弁護士 xxxxxの著述による(1998 年 3月 27 日付)。
6.1 は じ め に
我々は、平成 9 年 5 月、国際取引 WG 中間報告書Ⅱ「サイバーモールに関するモデル契約の検討」を公表したが、モールビジネスにおいて利用される通信手段としてのデータメッセージの有効性の検討及びペーパーレス取引を目指して、ディスプレイ上の表示を書面に置き換えることができるか否かについての検討が、不十分であったことを認めざるを得ない。以下に、その後の調査結果と WG 内での検討結果を踏まえて、その考察をする。取り上げる主題は、下記 1~4 の通りであり、ペーパーレス取引実現に向けてのバックグラウンドを提供しようとするものである。しかしながら、この分野において立法による手当ては不十分であり、我々のペーパーレス社会に向けての意見と考察が完全に支持されると、我々自身早急に判断しているものではない。この問題提起を通じて、より議論が深められれば幸いである。
1. データメッセージの有効性について
2. ペーパーレス取引に対する法規制・商取引の書面化要請
3. 現在ある法規制と契約類型
4. 裁判管轄の合意
なお、議論の終わりに、電子商取引に関して、それを実現するためのいろいろな法律的なアイディアが提案されているので、紹介する。
6.2 法的論点
6.2.1 データメッセージの有効性について
インターネットを利用したモールビジネスにおいて、当事者間の通信手段は主として、通信回線を経由したデータメッセージが利用される。UNCITRAL・United Nations Commission
on International Trade Law 商取引モデル草案第 2 条において『データ・メッセージとは、電子的、光学的もしくは類似の手段(EDI・電子メール・電報・テレックス・テレコピーを 含む)により作出され、送信され、受信され、蓄積される情報をいう。』と定義されてい る。データメッセージを利用した通信手段の有効性について特に国内法上の規定は存在し ない。以下に引用する実定法上の規定はほとんどがデータメッセージの記録に関する規定 である。
刑法第 7 条の 2 には、『この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。』との規定があるが、データメッセージの有効性について何も言及していない。また、次に引用する刑法規定にもデータメッセージの有効性について、触れるところがない。
刑法第 234 条の 2(電子計算機損壊等業務妨害)『人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽
の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、5年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する。』、
刑法第 246 条の 2(電子計算機使用詐欺)『前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、 10 年以下の懲役に処する。』
不動産登記法第 151 条の 2(電子情報処理組織による事務の取扱い)『法務大臣の指定する登記所(以下指定登記所と称す)に於ては法務省令の定むるところに依り登記事務の全部又は一部を電子情報処理組織に依りて取扱うことを得。此場合に於ては登記簿は磁気ディスク(之に準ずる方法に依り一定の事項を確実に記録し得る物を含む)を以て之を調整す』、商業登記法第 113 条の 2 にも全く同様の規定がある。
これらの規定は全て、電磁的記録(データメッセージの記録)に関する規定であって、データメッセージの伝達に関する規定ではない。
電気的あるいは電子的通信手段の有効性については、我が国の制定法上特にその有効性を宣言した規定はないが、国際条約あるいは諸外国の制定法にはその有効性を宣言したものがある。それを例示すると、
国際物品売買条約(1980 年)第 11 条において、『売買契約は書面により立証する必要はなく、その形式上の制限はない。契約は承認を含むどのような手段においても立証することができる。』、更に第 13 条は、『本条約において書面は電報およびテレックスを含む。』米国統一商法典(UCC)4A-103 支払指図の定義条項において、『支払指図とは、発信人 の受取銀行に対する指図であって、口頭、電子的もしくは書面により、確定金額もしくは
確定できる金額の支払もしくは他の銀行に対する支払指図』
国際連合電子商取引モデル法草案第 5 条(データ・メッセージの法的承認)において、
『情報はその形態がデータ・メッセージであるとの理由のみによりその法的効果、有効性、強制力を否定されてはならない。』、同草案第 2 条(定義)において、『データ・メッセージとは、電子的、光学的もしくは類似の手段(EDI・電子メール・電報・テレックス・テレコピーを含む)により作出され、送信され、受信され、蓄積される情報をいう。』
として、データメッセージの有効性について制度的保証を与えようとしている。我が国においては行政分野における電磁的記録を従来の書面による記録手段の代替手段とすることができる旨の規定があるのみであって、取引法の分野においてそのような規定はないし、国際物品売買条約に加入しなかった経緯からも、国連の電子商取引に関するモデル法を採用する可能性はほとんどなく、実体的取引分野におけるデータメッセージの利用の事実のみが先行しているのが現状といえよう。
なお、商取引分野における帳票類の電磁的記録による置き換えについては、内閣法制局は、「行政法上、書面と電磁的記録の証拠性等の特性を等価と見なすか否かは、行政上と当事者の手続きに重大な変更をもたらすことなく、かつ閲覧検討の第三者の権利に悪影響を及ぼさない限りにおいて、個々の法律の立法趣旨に従い判断されるべきであり、証拠性の差異のみを理由に一律に「書類」などの解釈に電磁的記録を排除できない」との見解を示し、法務省民事局は、商法上の帳簿保存義務に関し、「商法は、商業帳簿等を 10 年間保存すべきことを規定しているが、書面によって、商業帳簿等を保存しなければならないとする規定はない。したがって、現行商法の下でも、債権者、株主等の閲覧等の請求に応じ
て合理的期間内に商業帳簿等を見読可能なものとすることができるのであれば、商業帳簿を電磁的記録によって保存することは可能である」との見解であり、大蔵省は、税法上の帳簿書類の電子データによる保存について、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律案を発表している。そしてその提案理由として、つぎのように述べている。
「情報化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減する等のため、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等について、所得税法、法人税法その他の国税に関する法律の特例を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」
通産省においては、平成 7 年 3 月に「通商産業省行政情報化推進計画」を策定し、平成
7年3月には許認可制度については電子化可能な制度の基準を発表したところであり、民間における書類保存義務については原則全ての電子化を目指し、現在取組みを実施しているところである。具体的には、日本語または英語の使用、JIS 等に定める標準情報交換フォーマットとの互換性の確保、使用ソフトウェアの媒体への明記等及び保存すべき書類の重要性に応じた安全対策を講じるなどの一定の技術的要件を満たした電子データについては、通商産業省所管法律における書類の保存と見なし、これを紙と同等に取扱うこととしているところであり、現在技術的要件について検討を進めているところである。
6.2.2 ペーパーレス取引に対する法規制
モールビジネスにおいては、モールを利用して行われる商取引について、できるだけ、あるいは完全にペーパーレスの取引を目指している。しかしながら、コンピュータ・ネットワークを利用した電子商取引が新しい取引形態であり、従来の取引形態の規制している諸法規の中には、取引の過程、取引の完結時点においてその取引の書面化を義務づける規制がいくつか存在している。モールビジネスはその取引条件がディスプレイに表示されるとはいえ、その表示のみをもって書面化要求にこたえていると言い切るには今までの議論が成熟しているとは思われない。以下の議論はディスプレイ上の表示が書面化要請を満たすか否かの問題点を提供しようとするものである。書面化要求の目的が情報・内容の視覚機能による伝達が主な目的であり、保存機能が従たる目的であるとすれば、ディスプレイ上の表示も諸法規の要求する書面化要求を満たしていると考える可能性があるかもしれない。しかしながら、それらの諸法規は書面の交付までも要求しており、若干議論に無理があるように思われる。一定の契約関係(取引金額が一定額を超え、あるいは支払条件が分割等になるもの)について、書面化を要請するxx法のもとで、書面化要求の目的が視覚性にあるのか、記録性にあるのかが争われた事件がある。つまり、テープレコーダーによる契約内容の記録が書面化要求を満たすかどうかが争われたものである。裁判所はテープレコーダーによる記録は書面化要求を満たさないと判示しており、少なくとも視覚性の要件を満たさない場合には、書面化要求の要件を満たさないと判定するものと思われる。我が国においてそのような議論はなされたことはないと思うが、例えばホワイトボードに書いた契約条件をビデオレコーダーに記録した場合に書面化要求を満たしているかどうかは十分検討に値すると思う。同様に、ディスプレイ上に表示された契約条件が何らかの記録媒体により保存されている場合、書面化要求を満たしているのかどうか、検討をする価値は十分ありそうである。
ディスプレイの表示が書面化要請に耐えるかどうかをもう少し具体的に検討する。書面化の要請が、情報を視覚性のある形で伝えることと情報の記録をすることが主な機能であるとすれば、ディスプレイの表示は視覚情報の伝達機能は十分に果たしている。重要な情
報をより大きく表示し、あるいは色付けして表示することも十分技術的に対応可能である。記録性の機能についても、E-メールで情報を伝達した場合、消去の作業をしない限り、一応ストックされると考えてよいだろう。
思考方法のアプローチとして、パーソナル・コンピュータ間で送受信される FAX と E-メールの共通点を考えてみる。送信情報の創出は FAX も E-メールもキーボードの操作により入力される(この場合画像情報については一応除外して考える)。送信のためキャリアがどのような情報を伝えているか、つまり FAX と E-メールの情報伝達に情報処理上のフォーマットに差があるかどうかは、その利用者として考える必要はないだろう。受信側では FAXも E-メールもその情報を呼び出すことにより、ディスプレイ上に表示され、また、必要なときはキーボードによる命令操作により、プリントすることができる。このように FAX と E-メールではパーソナル・コンピュータを使って送信され受信された場合、利用者側から見て全くその差を見出すことができない。E-メールは受信後、その情報をもとに加工し、新たな情報を受信側で創出できるけれども、この差異は受信時点では FAX と E-メールの違いとはならない。
ここで興味あることは、情報の送信者が従来の FAX マシンを使っている場合であり、一方が FAX 情報をパーソナル・コンピュータで受信している場合である。この場合には送信側は送信情報を書面化し、光学リーダーで読み取って送信している。受信側でも同じような書面がプリントされると考えるであろう。しかしながら現実には受信側ではパソコンにデータとして蓄積されるだけである。明らかに技術的進歩により、当事者の意図、つまり FAX による書面の送信がデータの送信になっているのである。
従来型の光学式 FAX で送受信された情報については、書面化要請に応えているとの意見が大勢だと思う。ここに挙げた例のように、送信側が光学式 FAX で、受信側がパーソナル・コンピュータによるネットワークの場合は、どのように判断されるのであろうか。送信側は当然書面を送ったと考えている。パーソナル・コンピュータで FAX 情報の受信が一般化しなかった頃はまさしくそのとおりであった。しかし技術の進歩が送信側の期待を裏切ってしまったのである。
行政法規上(訪問販売法、宅地建物取引業法等)の書面化要請は情報の発信者側に消費者保護の観点から課されたものである。とすれば、受信者側でその情報をプリントすることなく、あるいは光学式 FAX で読み出すことなく、ディスプレイ上の画像情報として受信したとしても、行政法規上の発信者に対する書面化要請は満たしていると考えるべきではないだろうか。
それでは、パーソナル・コンピュータ間の FAX 情報の送受信が書面化要請に耐えるであろうか。同じ FAX であれば、当然書面化要請に応えているとの議論はかなり説得力がありそうである。既に検討したように E-メールとパーソナル・コンピュータ間で送受信される FAX 情報に本質的な差はないのであるから、E-メールによる情報伝達も書面化要請に応えていると結論できるのではないかと思う。いずれにしろ、あとほんの少しである。xxをもってジャンプしよう。
次に、UNCITRAL が提案する機能的アプローチ(Functional-equivalent Approach)を検討してみる。
そこでは、書面は ①誰でも読むことができる ②長期の保存に耐える ③複製可能であり、複数当事者が同じ情報を共有できる ④書面上にサインすることにより、その真正を保証することができる ⑤官公署あるいは裁判所へ複製を提出することができる。これらの機能が書面の機能として認められるものである。もし、これと同等の機能がデータメッセージに認められれば、データメッセージはディスプレイへの表示およびメモリへの保
存により書面に代替し得るであろう。各項目毎に個別に検討する。
「①誰でも読むことができる」のは、書面上でもディスプレイ上も同じ事である。本質的な差はないであろう。技術的にある程度のコンピュータを操作する知識が必要ではあるが、コンピュータを設置しネットワークに接続した者に対して、その程度の基礎的な知識を要請し、前提することは許されると思う。
「②長期の保存に耐える」との要件についてどのように考えるべきであろうか。書面情報は書面が物理的に存在する限り、保存される。硫酸紙の経年劣化の問題があり、書面にも一定の耐用年数があるが、考古学を扱わない現在の商取引の分野では、問題とする必要はない。コンピュータの記憶素子の耐用年数については、技術的な事項であり、私には判断をする能力はない。聞き取り調査をした範囲内では、問題提起はされなかった。
「③複製可能であり、複数当事者が同じ情報を共有できる」要件は、データ化された情報の方が複製の能力はより高いといえるし、情報を多数の当事者間で送受信するのはE-メールの得意技である。
「④書面上にサインすることにより、その真正を保証することができる」 サインの機能は、サインされた書面を作成したのはサインをした者であるとの同一性の機能と、サインされた文書をサインした者が理解したとの確認機能がある。デジタル署名は技術的に同一性の機能は十分に担保しており、確認機能についてもほぼ同様である。
「⑤官公署あるいは裁判所へ複製を提出することができる」 現在のデータ・メッセージの裁判上の扱いは、データ・メッセージを直接提出するのではなく、一度プリントし、その過程をその操作に携わった者が確認する文書を添付して提出している(ニュージーランドではデータを記憶媒体の形で提出できるとの情報を聞いている)。この場合、提出される文書がオリジナルか複製かの問題が証拠法上残るが、大きな問題ではない。
このように検討してみると、ディスプレイ上の表示、コンピュータ・ネットワークを介したデータ・メッセージの伝達、記憶媒体への記録をシステムとして総合すると、データ・メッセージのディスプレイでの表示は書面化要請を十分果たしていると思う。
データメッセージの有効性について、電子商取引あるいはインターネット・ビジネスの先進国である米国において、10 人程度のこの分野の法律専門家に行ったインタビューの結果では、契約の成立について完全にディスプレイ上で行われ得ると回答した者が 1 名であり、他の弁護士は書面のバックアップを依頼者に勧めていると答えた者、あるいはディスプレイ上の契約について、無効とは思わないが、完全に有効と断言するxxもない、とい
ったところが集約点のように見受けられた。xx法系においては、「Statute of Fraud」
により一定の売買契約、つまり売買代金が一定金額を超えあるいは分割支払となるものや履行期間が一定期間を超えるあるいは分割払等の契約につき、書面化要請があり、ディスプレイ上の表示がこの書面化要請を満たすかどうかの議論に帰着する。ディスプレイ上で契約が完結するとした弁護士は、ディスプレイ上の表示が書面化要請を満たすとの見解に立つものである。つまり、情報の表示手段として視覚的なものが書面化要請の趣旨を満たすと考えるのであろう。その場合には、書面による記録的要素は考慮されていないようである。そのような流れの判例として前掲したが、音声を記録したテープは書面化要請を満たさないとしたものがある。つまり、書面化要請は人間の視覚機能に重きを置いているのであって、保存性に重きを置いていないと考えるべきかもしれない。
6.2.3 現在ある法規制と契約類型
契約関係はいろいろな分類法がある。身分契約、要物契約、諾成契約、物件契約、債権
契約等に分類される。これらの契約がネットワーク上で可能であろうか。身分契約は行政上の届出が必要とされ、未だその条件整備がなされているとは思われない。米国では税務申告が電子化されているが、その他の官公署への届出は電子化されていない。我が国においても登記関係、特許関係等の書類はその保存が電子化されているが、届出については電子化されていない。婚姻、養子縁組等の届出も電子化されていない。インターネット結婚届出が有効になれば、楽しいかもしれないけれど。
要物契約は当事者の意思表示の合致(合意)の他に目的物の引渡、その他の給付を効力発生要件とする契約であり、消費貸借、使用貸借、寄託がこれにあたる。これらの取引が電子商取引に馴染まないのは当然である。物件契約は物件の設定・移転・消滅を直接目的とする契約である。その目的の性格上、履行過程が重要であって、そのためには登記あるいは占有関係の変更を伴い、ディスプレイ上で全てを完結させようとする電子商取引に馴染むものではない。このような観点からすれば、電子商取引に馴染むのは諾成契約であり、債権契約であり、一般的には商品・サービスの取引である。
このように電子商取引に馴染む契約類型に対する諸規制を一応検討する。
① 割賦販売法、訪問販売法、宅地建物取引業法等には取引完結後、取引内容を記載した書面の交付義務がある。これはクーリング・オフと密接に関連する。訪問販売法は販売業者が営業所以外の場所において売買契約の申込を受ける契約類型を訪問販売と定義しており、モールビジネスにおいて出店者が営業所以外の場所で、例えばモールのサーバーの所在地等で契約の申込を受け付けると、訪問販売法の規制に服し、書面交付義務が生じるので、注意しなければならない。
② 商法第 546 条仲立営業に関する規定
モールビジネスは会員あるいは利用者と出店者間の取引の締結に協力する 行為であり、いわゆる媒介である。商法は媒介を業とするものを仲立営業 と位置付け、それに対し第 546 条「当事者間において行為が成立したると きは、仲立人は遅滞なく各当事者の氏名または商号、行為の年月日および その要領を記載したる書面を作り、署名の後、これを各当事者に交付する ことを要す」と規定し、モールによる取引が商行為として成立した場合に は、結約書の作成交付を要求している。この規制は上記に検討した一定の 取引分野に対する規制よりはxxxにxxであって、モールビジネスを行 う者は十分注意しなければならない。最近公表された保険ブローカーに関 する標準契約において、保険ブローカーの活動により保険会社と契約者の 間に保険契約が成立した場合に結約書の作成交付を義務づけた条項がある。モールビジネスの開始にあたっては、是非参照されたい。
商法第 546 条 当事者間において行為が成立したるときは仲立人は遅滞なく各当事者の氏名又は商号、行為の年月日及びその要領を記載したる書面を作り署名の後これを各当事者に交付することを要す。
②当事者が直ちに履行を為すべき場合を除く外仲立人は各当事者をして前項の書面に署名せしめたる後これをその相手方に交付することを要す。
③前 2 項の場合において当事者の一方が書面を受領せす又はこれに署名せさるときは仲立人は遅滞なく相手方に対してその通知を発することを要す。
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日付:(年月日)
顧 客 ( 保 険 契 約 者 ) 殿引 受 保 険 会 社 殿
(保険仲立人)
商号、名称又は氏名:(捺印)住 所:
登録番号:
結 約 書(No.○○○○○)
当社による保険契約の締結の媒介の結果、下記の契約が成立いたしましたので、ここに本書の交付をもってその内容・条件をご通知申し上げます。
つきましては、本書記載事項の全てについて、貴社のご依頼内容と合致しているか検証のほどお願い申し上げます。また、修正すべき事項がある場合は、直ちに、当社までご連絡下さるようお願い申し上げます。
記
1. 保険契約者及び被保険者並びに保険金額を受け取るべき者の商号、名称又は氏名及び住所
2. 引受保険者の商号又は名称及び住所
3. 保険契約締結の年月日
4. 保険契約の種類及びその内容
5. 保険の目的
6. 保険価額を定めたときはその価額
7. 保険金額及び複数の保険者が共同して引き受けるときは各保険者の引受割合
8. 保険料およびその支払方法
9. 保険期間を定めたときはその始期及び終期
以 上
上記のとおりの内容で相違ありません。
保 険 契 約 者 名 印
引受保険会社名 印
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6.2.4 裁判管轄の合意
このような検討の結果だと思われるが、明らかに文書による合意の成立を要求する裁判管轄の合意(民事訴訟法第 11 条第 2 項「管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。」)を、ディスプレイ上で行うモール会員規約が散見される。すなわちディスプレイの表示と入会申込み時のクリックのみにより、つまりペーパーレスで会員規約が成立するとした規約の中に合意管轄条項を組み入れた例がいくつかある。我々が前回発表した標準契約も、そのように提案している。我々は、書面要求はその内容の視認性と記録性にあると考え、その両要件を満たすディスプレイ上の表示とメモリへの蓄積機能を書面に代替しうるものと考え、その提案をしたのである。我々が調査したいくつかのサンプルの起草者もそのような考えに立っているものと思う。
以上、我々はディスプレイ表示は商法の要求する書面性を充足するとする考えを支持する論点を挙げた。但し、多少保守的傾向のある個々の裁判官がモールビジネスより関連して発生した紛争について、ディスプレイ表示が書面要求を満たすと考えるか否かは、現時点では未知数と言わざるを得ない。
ネットワークを利用したモールビジネスと現行法上のせめぎあいともいえる書面交付要請については上述のとおりであるが、たとえその要請がクリアされたとしても、ディス
プレイ上の表示はできる限り簡潔であることが望ましい。相当数のモールにアクセスしたものが会員になろうとしても、会員規約を詳細に読むかどうかは不明である。少なくとも、読みうる範囲の分量であることが望ましい。保険ビジネス・運送ビジネス等においては、詳細な約款により、契約条件が規定されている。これらのビジネスにおいてはそれなりの歴史もあり、その利用するものは、契約条件が約款により詳細に規定されていることを了解している。しかしながら、モールビジネスの会員規約は、そのレベルまで一般化し普及しているということは到底できないであろう。そうであれば、会員規約が有効であるためには、会員が読んだことが必要であり、読まなかったことに対して、伝統的な約款理論(当事者が一定の取引分野においては約款によるとの意思を推定しあるいは約款によるとの慣習法の存在を認める)を援用することは困難かもしれない。この点について、ネットワークビジネスがxxxに普及している米国において、ディスプレイ上の表示に対し、「読むことのできたことに対する責任」との概念を導入しようとしていることは、興味深い。約款理論は、どうしてもその有効性を認めるためには、事実と違った擬制をせざるを得ないのであって、その擬制をすることなく実態に迫ろうとする実務的なアプローチと言える。
6.2.5 電子商取引に関する法律的なアイディア
電子商取引に関して、それを実現するためのいろいろな法律的なアイディアが提案されているので、紹介する。
自動取引、コンピュータ・エージェント、コンピュータ・プログラム
電子商取引においてはPOS システム等の自動受発注システムを利用して行われることが多い。この場合において、伝統的な意思表示を構成する「意思」の存在について、疑問がないわけではない。意思をxxに解釈して受動受発注システムによるシグナルを意思表示に取り込むことも可能であり、そのような議論が主流であると思う。私自身も「流通とシステム」第 93 号にそのように提案したことがある。しかしながら、このような意思の拡大解釈はやはり擬制の域を出ないのであって、法制度的にこのような自動受発注システムを利用したシグナルを契約上の意思表示と端的に認める方がよいと思う。現段階では当事者間の契約により明言するしか方法がない。
ディスプレイ表示の効力
電子商取引の取引条件は、定型的にディスプレイに表示され、申込をする者はその条件を承諾すればクリックをして、次の条件を表示させるようにプログラムされている。しかしながら、現実的にはディスプレイに表示された取引条件を読むことなく、クリックしているのが圧倒的だと思う。であれば、その取引条件を強制しようとする場合に、「読まなかった」との抗弁に対抗できるかどうかが問題である。書面化されてはいるが、取引約款
(生命保険約款、損害保険約款、運送約款等)にも同じような問題があって、それらの重要事項について活字の大きさを一定の大きさ以上にするような表示方法の規制が行われたことがある。このときの議論は約款の内容が大量であり、かつ読みにくいとのことであった。今回の議論は、大部分のユーザーはディスプレイに表示された取引条件を読まないでクリックして先に進むであろうとの事実を前提とし、読む機会があったことに対して一定の責任を認めようとするものである。伝統的な法概念が、申込の意思表示と、それを了解した上での承諾により、契約が成立するとしているのに対し、相当xxある提案である。しかし、現実を見据えた場合には、検討しなければならないかもしれない。ただし、この取引条件が一方的になることを防ぐ何らかの第三者的レビューは必要になるだろう。
意思表示の到達時期
意思表示の到達時期については、郵便が主要な伝達手段であったときにはその時期は重要であった。発信主義・到達主義等の法概念が形成されたのも、意思表示の発信と受信に時間差があること、およびその到達過程、例えば太平洋を船でメールを運ぶような場合の危険負担の意味があった。電子商取引においては時間的要素は大幅に軽減された。相当大容量の受発注を行う商品取引、例えばスーパーマーケット対流通業者間の取引においては、受発注情報の伝達に一定時間を要することを考慮しなければならない。流通システム開発センターが提案する「EDI 標準契約」(流通業における電子化取引標準化調査研究報告書平成 9 年 3 月 財団法人流通システム開発センター)では、「本システムを利用して伝達される甲乙間の取引関係情報は、その種類、性質により、それを伝達する当事者が当該取引関係情報を自己または甲乙の承認したコンピュータ・ファイルに記憶させ、書き込み終了時刻より後に設定された読み出し開始時刻から、読み出しに通常必要とされる時間および運用規約により定める猶予時間が経過した時に、相手方に到達する。」と定め、情報伝達の所要時間を見込んでいる。同様の規定は「韓国 貿易業務自動化促進に関する法律(制定 1991 年 12 月 31 日 法律第 4479 号)」第 15 条(電子文書の到達時間)第 2 項に、「第
1 項の規定による申請等および承認等は、事業者または指定事業者のコンピュータ・ファイルに記録された後、通常電送に所要される時間が経過した時に、相手方のコンピュータ・ファイルに記録されたものと推定する。」と規定し、情報伝達所要時間を見込んでいる。また、その到達について UNCITRAL は、電子情報が情報システムに情報処理ができる形 態で到達(Enter)したとき、との規定を提案している。。電子情報の到達については、その到達確認(Acknowledgement)を要求する例もあり、インターネットのノイズの問題と絡
めて、より充実した議論が望まれる。
情報システム
情報システムを UNCITRAL モデルは、情報を創造し、発信し、受信し、蓄積し、加工するシステムと定義し、キャリアを除いている。当然といえば当然であるが、VAN 業者等が介在する場合、その責任範囲をどのように確定するかについても、つめておく必要がある。
6.3 「消費者-モール運営者/利用規約」-新たな試案-
6.3.1 新たな試案における論点
6.3.1.1 モールビジネスの法律的性格
我々は、平成 9 年 5 月「国際取引 WG 中間報告書Ⅱ サイバーモールに関するモデル契約の検討」を公表したが、その後の市場動向の変化、海外事情の調査、WG 内での検討の結果等を踏まえて、新たなサイバーモールに関する標準契約を提案する。
標準契約の検討に当たって、我々は、モールビジネスの法律的性格をどのように位置づけるかの検討を行った。モールビジネスは、モールが会員とショップ(モールと出店契約を結んだショップ)との仲介をし、取引契約は会員とショップとの間に成立する。そして、xxxが会員とxxxxとの間に成立した契約について、会員に対しショップと同じような責任を負う有責方のタイプと、会員とxxxxとの取引契約に関しては一切の責任を負わない無責任型に類別される。我々が検討したのは、このうちの無責任型モールである。有責任型は、モールが会員に対しショップと同様の責任を負うので、モールとメンバー間
の会員規約により律せられる法律関係も、会員とショップとの間の取引関係を主として律する法律関係に従属し、伝統的な取引契約法の延長線上で考えられるからである。
無責任型モールが行う事業活動は、オンラインによるショップからの商品・サービス情報の会員への提供と、会員からのショップが提供する商品・サービスの購入もしくはライセンス(デジタルコンテンツの場合)の申込情報の転送である。それに対する対価としてモールが受領するのは、会員の会費及びショップよりのモールを介して成約した取引に対する手数料である。経済的にはそのように言えるであろうが、モールビジネスが定着する過程にあっては必ずしも経済原則にのっとってはおらず、会費を徴収しない、あるいはショップよりの手数料を徴収しない例もある。これらもクレジットカード等の組み合わせにより、直接ではないにしろ、何らかのモールビジネスとしての経済的対価を得ているものといえる。この経済的対価を得ているか否かは、モールビジネスに対する商法典の適用があるかどうかの決定に重要なメルクマールである。
6.3.1.2 定めるべき事項
モール利用契約では何を定めるべきかを、次に検討する。上述したように、ディスプレイ上の表示が書面要件を満たすと考えるにしても、その表示はできるだけ簡潔かつ判りやすいことが望まれる。モールビジネスは契約類型としては仲立営業を基礎として、その発展上にあるものであり、制定法としては商法第 3 編 商行為第 5 章仲立営業の規定の適用を受ける。他に取引規制法規として、訪問販売法がモールビジネスの遵守すべきフレームに関係している。
モールビジネスにおいて、上記の枠組み以外に個別に決定するべき事項は、 1.当事者・モール運営業者の名称・住所・営業所・連絡方法等
これは、バーチャルなビジネスであるので、クレーム処理その他損害賠償等の要因が発生した場合にリアルの商号、リアルの当事者名、本店営業所所在地、ネットワーク以外の連絡方法が明らかにされなければならない。通信販売業に関する自主基準も、この点は厳格に要請している。
2.モールの提供するサービスの内容
モールの提供するサービスは、出店者、その提供する商品・サービスに関する情報の 提供と、会員からのその購入申込み情報を出店者に転送を行うのが主としたサービス である。そのサービスの結果、会員と出店者間の契約の成立を図り、その成立した契 約についてコミッションをとり、あるいはカード利用料の収益増を目指すものである。
3.会費に関する定め
会費を徴収するか、あるいは会員に対しては無料でサービスを提供するか(実質的にはカード手数料あるいはショップからの手数料を収益源とする)については、モールビジネスが定着していないことを反映して、どちらが主流ともいえないようである。
4.会員資格要件
通信販売、クレジット販売等では未xx者に対する販売には親権者の同意を取り付け ている。我々も前回のモデル契約では、未xx者に関する規定をおいた。しかし、現 実を直視すれば、会員希望者よりモール運営業者にネットワークを通じてアクセスさ れた場合モール運営業者として知り得るのは、パーソナル・コンピュータの E-mail アドレス程度であろう。そのオペレーターがパーソナル・コンピュータの所有者に成 り代わってパスワードを利用して操作したとしても、それを発見することはできない。未xx者が同居親族のパーソナル・コンピュータを操作してモールにアクセスしても、もちろんそれを発見することはできない。海外からのアクセスについては、行為能力
者としての成人年齢の規定も異なり、未xxに関する日本法の規定を世界レベルで適用できるかどうかについても疑問がある。このような意味で、事実上効果のない資格要件審査に関する規定は、今回採用しないこととした。民法第4条(未xx者の行為能力)は、つぎのように定める。
未xx者が法律行為を為すにはその法定代理人の同意を得ることを要す。但し単に権利を得または義務を免るべき行為はこの限りに在らず。
②前項の規定に反する行為はこれを取消すことを得
すなわち、民法第4条は、未xx者が法定代理人の同意を得ずに契約をした場合、本設例では、未xx者がモール契約を承認してその申込をしたが法定代理人の同意がない場合、その申込(申込と同時にモール会員となる契約が成立)を取消すことができる。モールビジネスの場合、その申込が、たとえ後に取消されても、十分個別対応をすることが可能であって、そのためにする資格要件審査を行う煩雑さを考えると、かえって事後の個別対応が経済的かもしれない。カードビジネスと関連してモールが運営される場合、すなわち決裁にクレジットカードが利用される場合には、クレジットカード会員となる場合に資格審査が行われており、モール運営業者がその資格審査を利用しているケースが多い。無責任型モールの場合は、取引契約はショップと会員との間に成立するのであって、実質的な会員資格あるいは会員の行為能力は、ショップが決裁に関連してチェックするべきポイントであると思われる。かえって前回我々が提案したように、資格審査条項を会員規約に掲げると、ショップの審査が甘くなる可能性があり、より実質的な混乱を招く。また、ショップよりモールの資格審査を信用したとするクレームについて、対抗できないであろう。
5.会員登録方法
会員登録に際しては、会員の特定に必要な事項、氏名、年齢(前記資格要件と関連して未xxでないことを申告させる)、住所、使用機器の種類、E-mail アドレス、等を申告させる。これは資格要件と関連し、もし虚偽申告があった場合に、会員から排除することができるようにする必要があるので、各モールにより資格要件との関連で登録に際しての申告事項を決定するべきである。
6.ユーザーID、パスワード
7.会員のモール利用に関する禁止規定
ネットワークが一定の広がりを持っており、インフラストラクチャーとして公共性を 持っていることにより、会員のモール利用に関して一定の制約が課せられる。公序良 俗による制限及び会員による不法行為の制限と考えて良いであろう。一般的に見られ る会員のモールの利用方法の制限項目としては、①本人の同一性担保のために虚偽x xの禁止 ②利用し得る情報の改竄禁止 ③モールビジネスを円滑にするためのコ ンピュータプログラムの保護に関する規定 ④念のためではあるが、著作権侵害禁止 に関する規定 ⑤他人を中傷することの禁止規定 ⑥わいせつ図画の掲載禁止に関 する規定 ⑥その他、公序良俗違反の一般禁止規定 等である。近時、わいせつ図画 のネットワーク上への掲載に関連して、サーバー運営業者の責任を認めた判例もあり、注意する必要がある。
8.モールによる会員情報利用に関する承諾規定
モールビジネスのひとつの目的として、会員の発注行動を監視・集計して消費者動向を調査することが挙げられる。そのため、会員より予めそのような情報をモール運営業者が利用することができることの承諾を取り付けるのが一般的である。プライバシーとの関係で、会員の特定に関する情報を除いている。
9.通知に関する規定
契約の成立に関わる意思表示の伝達(通知)に対して民法典の採用する基本的立場は、到達主義である。これに対して、大量の団体的処理を必要とする会社法の分野では、 発信主義が採用される例もある(株主総会招集通知等)。モールビジネスにおいては 会員への通知の通信手段として E-mail、ファックス、電話、郵便、の順にプライオリ ティがつけられるであろう。E-mail のみを通信手段として採用する規約も見られる。 この場合には、民法典の採用する到達主義との関係で、E-mail による通信手段を評価 する必要がある。UNCITRAL の採用するモデルコードは、データメッセージの到達に関 して、到達を相手方の情報機器に入ること(Enter)と定義した。このような制度的 なバックグラウンドが未整備であり、電子的な通信手段について規定のない現段階に おいては、完全に E-mail のみを通信手段とすることなく、他のバックアップも考慮 しておくべきであろう。
10.会員登録の抹消
規約違反、主として登録時の虚偽申告・会費未納・ネットワークの不正利用等が登録抹消原因となるであろう。入会登録時の審査が実質上なされないので、この登録抹消に関する規定は慎重にドラフトしなければならない。登録抹消は契約違反に対する一種の自力救済(司法手続きを経ないで強制的効果を実現する手続き)である。会員登録のような、その抹消による利害が大きくない場合には、自力救済により会員登録を抹消してもさしたる問題は生じないと思われるが、ショップのような場合では、登録抹消あるいは画面からの削除による被害も大きく、簡単に自力救済が可能かどうか、議論の余地がある。米国で調査した結果は、契約違反をしたショップ、例えばわいせつ物・法禁物販売等の業者を自力救済的に抹消することはできるが、違反したショップが繰返しネットワークを利用することも比較的容易に可能であるので、そのような再度の違法行為を防止するため、並行的に司法手続きを経ているとの見解であった。
11.合意管轄
合意管轄条項は一般的に採用されている。管轄の合意は民事訴訟法により書面によることが要請されているので、ディスプレイ上の表示のみで申込みを完結させる会員規約がの中に合意管轄条項が一般化していることは、ディスプレイ上の表示が書面性を満たすとの認識が広まりつつあるのではないかと考えられる。ただし、対消費者取引において、専属的裁判管轄を設定することは司法救済の機会を奪うものとして否定されることが多い。であるから、裁判合意管轄の規定は気休め程度に考えるのが良い。国外居住者がメンバーのときには、日本の裁判所を指定する意味はあるので、合意管轄条項が有効と判定されれば、それなりの効果が期待できる。
6.3.2 「消費者-モール運営者/利用規約」-新たな試案-
ECOM モール利用規約
ECOM は、ECOM が運営する ECOM モールの利用について、次のとおり利用規約(本規約)を定める。
第 1 条(規約の範囲及び変更)
1. 本規約は、モールの利用について適用される。会員は、本規約に基づいてモールを利用しなければならない。
2. ECOM は、随時本規約を変更することができる。本規約の変更があったときは、その変更と変更後の規約を、モール上に掲示する。変更された本規約は、掲示された後 3 日間を経過したときから、変更前の会員に対しても効力を生ずる。
第 2 条(入会申込み)
1. モールを利用しようとする者は、以下に定める事項を会員が使用するパーソナル・コンピュータの画面により指示される以下の方法により、ECOM モール会員(会員)の登録申込みをする。会員は、登録が行われた後、モールを利用することができる。
(1) 本規約を熟読し、その内容を理解し、その内容に拘束されることを承諾する。
(2) ECOM が定める決済方法により、利用料金の支払方法を取り決める。
(3) 氏名、年齢、住所、電話番号、FAX 番号、E-mail アドレスの登録をする。
(4) パスワードの設定と登録をする。
2. ECOM は、適当と認めた申込者を会員として登録する。
第 3 条(ID・パスワード)
1. 会員は、モールを利用するときには、ID 及びパスワードを使用する。ID は、
ECOM が設定したものを使用し、パスワードは会員が設定し登録する。
2. 会員は、入会申込み後、ECOM が会員に設定した ID、及び会員が設定するパスワードの管理責任を負う。
3. 会員は、ID 及びパスワードを第三者に利用させてはならない。
4. ID 及びパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等による損害の責任は、会員が負う。
5. 会員は、ID 及びパスワードが盗まれたり、第三者に使用されていることを知った場合には、直ちに ECOM あて連絡し、ECOM の指示がある場合にはそれに従う。
第 4 条(登録事項の変更)
1. 会員は、登録事項に変更があったときは、速やかに ECOM あてE-mailにより届け出る。
第 5 条(会員の責任)
1. 会員は、次の行為を行ってはならない。
(1) 申込み、あるいはその変更の際の、虚偽内容の登録
(2) モールに掲示された情報の改ざん
(3) ECOM が定めた情報以外の情報(コンピュータプログラム等)の送信、あるいは書き込み
(4) ECOM 、出店者、あるいは第三者の著作xxの知的財産権の侵害
(5) モール運営の妨害
(6) ECOM 、出店者、あるいは第三者の名誉を傷つけ、あるいは業務を妨害する行為
(7) 猥褻あるいは暴力的なメッセージ・グラフィックス・音声等、公序良俗に反する情報をモール上に公開、掲示する行為
(8) ECOM が定めた情報伝達手段以外の方法による情報伝達
(9) その他 ECOM が不適当、不適切と判断する行為
2. 前項各号の情報、その他 ECOM がモールの運営上不適当と判断した情報がモールに書込まれ、もしくはモールからのリンク先に書込まれた場合、ECOM は会員その他情報の書込みを行った者の承諾なしに、モールに掲載された当該情報を削除し、又はモールに張られたリンクを切断することができる。但し、 ECOM はこれらの情報の削除・リンクの切断等をする義務、及びモール内の各ショップにこれらの情報が掲載されているかどうかを監視する義務を負わない。
第 6 条(会員への通知)
1. ECOM から会員への通知は、会員が ECOM へ届け出た E-mail アドレスへの通知をもって、行う。E-mail は、ECOM から会員が利用するサーバーあてに発信された時に、会員に到達するものとする。
2. ECOM は、会員への通知(特定の会員に対する通知を除く)を、モール上の掲示板に掲示することができる。会員への通知は、モール上に掲示された後、 3 日間の経過をもって会員に通知されたものと見なす。
第 7 条(会員情報の取扱い)
1. 会員が、モールに登録した情報およびモールの利用に関する情報は、ECOM のデータベースに登録され、ECOM の所有とし、ECOM が利用できることを会員は承諾する。
2. 登録されもしくはモールの利用による会員の情報は、個人情報として管理され、下記の場合を除き、個人の識別が可能な情報(氏名、年齢、性別、職業、住所、電話番号)について ECOM は第三者に提供しない。
(1) 会員が同意した場合
(2) 法令により開示が求められた場合
(3) 出店者に対して、会員の注文に関連して開示される場合
第 8 条(利用料金の支払い)
1. 会員はモール利用のために ECOM が定めた利用料金を支払う。
2. 利用料金の支払いはつぎのいずれかの方法による。
(1)ECOM の指定する銀行口座に振り込む。
(2)ECOM が承認するクレジットカードによる支払い
(3)銀行口座振替
3. 利用料金は○○月○○日、○○月○○日、○○月○○日、の年○○回払いとする。
4. ECOM は会員に通知していつでも利用料金を改訂することができる。
5. 支払済みの利用料金は理由の如何を問わず返還されない。
第 9 条(退会)
1. 会員が退会を希望するときは、ECOM 所定のフォームによりパーソナル・コンピュータ画面により指示される方法でその届出を行う。
2. 会員が退会したときは、ECOM は支払済みの利用料金の返戻を行わない。会員はそのときまでに ECOM に対し何らかの債務があるときは、その支払いをしなければならない。
3. 会員が死亡したときは退会したものとし、会員資格の承継を行わない。
第 10 条(会員資格の抹消)
1. 会員が以下のいずれかの事由に該当したときは、ECOM は会員資格の抹消をすることができる。
(1)登録申込の時に虚偽の事項を登録した場合
(2)利用料金やモールを利用して購入した商品・サービス等の対価、その他モール利用に関連して会員が負担する債務を期日に支払わないとき
(3)モールの運営を妨害したとき・モール上に提供される情報を改変したとき
(4)本規約に違反したとき
(5)ECOM が会員として不適切と認めたとき
2. 会員資格の抹消がされたときは、第9条に関する規定を適用する。
第 11 条(モールが提供するサービス)
1. ECOM はモール上につぎのサービスを提供する。
(1)モールにおいて出店者が提供する商品またはサービスについてのオンライン電子カタログによる情報の提供
(2)会員から出店者に対する商品またはサービスに関する申込情報の転送
(3)以上のほか、ECOM が定めるサービス
2. ECOM はモール上に提供するサービスの内容をいつでも変更する事ができる。その変更により会員に不利益が生じても ECOM はその補償を行わない。
第 12 条(結約書の作成)
1. ECOM は会員と出店者との間に契約が成立したときは、必要に応じて商法第 546 条に定める結約書を作成し、会員及び出店者に対し署名または記名押印を求めた後、これをそれぞれの相手方に交付する。
2. ECOM は会員または出店者が結約書を受領しない場合、署名もしくは記名押印をしない場合には、それぞれの相手方に対し、その事実を通知する。
第 13 条(サービスの中断)
1. ECOM は装置・システムの保守点検・更新等、火災・停電・天災、システムの故障、通信回線の中断、等の事由によりサービスの提供を一時的に中断することがある。
2. ECOM はサービスの提供の一時的な中断により会員あるいは第三者に損害が発生し
ても、その補償を行なわない。
第 14 条(出店者とモールの関係)
1. モールに出店する各出店者は独自にショップを運営しており、ECOM は特に ECOM
ショップと表示される場合を除き、何らの関係を持たない。
2. 出店者が取り扱う商品、サービスについて、ECOM は保証責任を負わない。
3. ECOM はモールの利用を通じて出店者と会員との間で行われた取引について、一切の責任を負わない。
第 15 条(合意管轄)
1. モールの利用に関連して ECOM と会員との間に紛争が生じたときは、○○地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。
6.3.3 利用規約逐条解説
第 1 条(規約の範囲及び変更)
1. 本規約は、モールの利用について適用される。会員は、本規約に基づいてモールを利用しなければならない。
2. ECOM は、随時本規約を変更することができる。本規約の変更があったときは、その変更と変更後の規約を、モール上に掲示する。変更された本規約は、掲示された後 3 日間を経過したときから、変更前の会員に対しても効力を生ずる。
第 1 項は、本サービスは本規約に基づいて提供されることを定めるものである。なお、会員制を採用しない場合、本サービスを利用する「お客様」「利用者」に適用がある旨規定することとなる。
第 2 項では、本規約の変更の手続を規定した。モールビジネスは現在、発展途上にある。モール運営者としては利用規約の変更の余地を残しておく必要があり、且つ、今後、電子 認証制度の採用等法的整備が行われることも考えられ、利用規約の変更が必要となると思 われる。そこで、本規約は多数の会員との間の法的関係を規定するものであるため、会員 から同意を要することなく、モール運営者から会員への一方的な通知によって本規約を変 更できる旨定めた。なお、会則のような団体の定める規定では、会員の多数決による改正 が主な方法である。しかし、モールの利用に係る利用規約は、会則のように団体における 各構成員間の権利関係を定めるものではなく、モール運営者と各会員間の権利関係を定め る契約という性質を有するものであるので、モールの運営者が本規約を変更する一方的な 権利を有することを利用規約中で予め約することも可能であると考えられる。このような 利用規約の一方的な変更権の有効性について、判例は、附合契約の一種である生命保険約 款の一方的変更について否定的な立場を取っている。しかし、モールの会員規約の場合、 会員側にはいつでも退会する権利があり、長期間に亘る生命保険契約の場合とは同一に論 じることができないと思われる。但し、利用料金を徴収する場合、サービスと利用料金は 対価関係にあるので、利用料金の改定や基本的なサービス内容の変更については、相当な 予告期間(例えば、1 週間とか 1 ヶ月)を置いて変更の効力が発生するようにするのが妥 当と思われる。
変更の通知の方法としては、E-mail の同時発信による場合や、電子掲示板を設けてそこに掲載する方法、その他従来の郵送によるといった方法が考えられる。これらの方法を適
宜組み合わせて運用しているというのが現状であろう。今後の技術の進歩により安全確実かつ迅速な通知方法が確立されることを期待したい。なお、本条項案では変更の効力発生時期を掲示板掲示後 3 日としたのは第 6 条との整合性を取ったためである。
第 2 条(入会申込み)
1. モールを利用しようとする者は、以下に定める事項を会員が使用するパーソナル・コンピュータの画面により指示される以下の方法により、ECOM モール会員(会員)の登録申込みをする。会員は、登録が行われた後、モールを利用することができる。
(1) 本規約を熟読し、その内容を理解し、その内容に拘束されることを承諾する。
(2) ECOM が定める決済方法により、利用料金の支払方法を取り決める。
(3) 氏名、年齢、住所、電話番号、FAX 番号、E-mail アドレスの登録をする。
(4) パスワードの設定と登録をする。
2. ECOM は、適当と認めた申込者を会員として登録する。
第 1 項は、入会申込の手続を定める。利用規約はディスプレイに表示され、それに対し、入会希望者が「accept」のボタンをクリックすること等により、利用規約を承諾したもの とみなされる。本項で規定する手続では、入会希望者本人の同一性を確認する手段は導入 されていない。将来、電子認証制度等電子ネットワーク上での本人確認手段が整備されれ ば、それによることとなる。また、入会希望者が未xx者の場合についても区別をしてい ない。
「本利用規約を熟読し」と書いたのは、多少注意的な意味である。自由心証主義をとる日本の法体系のもとではどのような形であれ、契約当事者の意思が確認されればよいのであって、法理論的な問題ではない。
第 2 項では、モール運営者による入会承認の手続について規定する。会員制を採用する理由の一つは、モール運営者が入会希望者の情報を得て、会員として不適格である者を排除することができる余地を残すことによって、多数の出店者が安心してモールに参加することができるようにすることであると考えられる。但し現実問題としては、事後審査とならざるを得ない。
なお、会員制をとらない場合には入会申込の手続は不要である。しかし、その場合でも、
「お客様」「利用者」がモールを利用する場合、ディスプレイに表示された利用規約を承諾したとみなされる旨利用規約中で明確にしておく必要がある。また、モールを利用することを希望する「お客様」「利用者」が第 10 条に規定される事由と類似の事由に該当する場合、モール運営者がサービスの提供を拒否することがある旨利用規約中に定めることも考えられる。
第 3 条(ID・パスワード)
1. 会員は、モールを利用するときには、ID 及びパスワードを使用する。ID は、
ECOM が設定したものを使用し、パスワードは会員が設定し登録する。
2. 会員は、入会申込み後、ECOM が会員に設定した ID、及び会員が設定するパスワードの管理責任を負う。
3. 会員は、ID 及びパスワードを第三者に利用させてはならない。
4. ID 及びパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等による損害の責任は、会員が負う。
5. 会員は、ID 及びパスワードが盗まれたり、第三者に使用されていることを知
った場合には、直ちに ECOM あて連絡し、ECOM の指示がある場合にはそれに従う。
ID およびパスワードは、会員であるか否か確認するための重要な手段である。モール運営者としては、たとえ、第三者が会員の ID およびパスワードを使ってモールにアクセスしたとしても、その結果について、当該会員に責任を問うことができるようにしておかなければならない。そのため、ID およびパスワードの管理責任を会員に課すことが必要不可欠である。
第 4 条(登録事項の変更)
1. 会員は、登録事項に変更があったときは、速やかに ECOM あて E-mail により届け出る。
モール運営者は、本規約を変更する等の場合、会員に対し通知しなければならないことがあり、会員の所在等につき常に正確な情報を得ておく必要がある。
第5条(会員の責任)
1. 会員は、次の行為を行ってはならない。
(1) 申込み、あるいはその変更の際の、虚偽内容の登録
(2) モールに掲示された情報の改ざん
(3) ECOM が定めた情報以外の情報(コンピュータプログラム等)の送信、あるいは書き込み
(4) ECOM 、出店者、あるいは第三者の著作xxの知的財産権の侵害
(5) モール運営の妨害
(6) ECOM 、出店者、あるいは第三者の名誉を傷つけ、あるいは業務を妨害する行為
(7) 猥褻あるいは暴力的なメッセージ・グラフィックス・音声等、公序良俗に反する情報をモール上に公開、掲示する行為
(8) ECOM が定めた情報伝達手段以外の方法による情報伝達
(9) その他 ECOM が不適当、不適切と判断する行為
2. 前項各号の情報、その他 ECOM がモールの運営上不適当と判断した情報がモ ールに書込まれ、もしくはモールからのリンク先に書込まれた場合、ECOM は 会員その他情報の書込みを行った者の承諾なしに、モールに掲載された当該情 報を削除し、又はモールに張られたリンクを切断することができる。但し、 ECOM はこれらの情報の削除・リンクの切断等をする義務、及びモール内の各 ショップにこれらの情報が掲載されているかどうかを監視する義務を負わない。
本条では、本規約の他の条項で規定される義務以外に、会員に遵守させるべき義務を規定した。本規約では、モール運営者が提供するサービスが①ショップで提供される商品またはサービスに関する情報の提供、および②会員からの商品またはサービス提供の申込に係る情報の出店者への転送に限ることを前提としているが、これらに加えて、電子会議室の利用を認めるとすれば、会員に対し一定の行為を制限する必要がある。その規定については第 11 条の解説を参照されたい。
第 6 条(会員への通知)
1. ECOM から会員への通知は、会員が ECOM へ届け出た E-mail アドレスへの通知をもって、行う。E-mail は、ECOM から会員が利用するサーバーあてに発信された時に、会員に到達するものとする。
2. ECOM は、会員への通知(特定の会員に対する通知を除く)を、モール上の掲示板に掲示することができる。会員への通知は、モール上に掲示された後、 3 日間の経過をもって会員に通知されたものと見なす。
会員は多数に亘るため、E-mail またはモール上の一般掲示の方法によることが便宜である。しかし、E-mail による通知方法及びモール上の掲示による場合、何時の時点で通知が到達したとみなすかを明確にしておく必要がある。なお、モール上の掲示による場合、会員においてモールにアクセスしなければその通知内容を知ることができない。その意味では、E-mail による通知が民法で定める意思表示の到達主義の原則に従っているということができる。そこで、モール上に掲示する方法による場合、通知の効力の発生を掲示してから相当期間(例えば、本例のように 3 日間)経過後とすることも考えられる。
第 7 条(会員情報の取扱い)
1. 会員が、モールに登録した情報およびモールの利用に関する情報は、ECOM のデータベースに登録され、ECOM の所有とし、ECOM が利用できることを会員は承諾する。
2. 登録されもしくはモールの利用による会員の情報は、個人情報として管理され、下記の場合を除き、個人の識別が可能な情報(氏名、年齢、性別、職業、住所、電話番号)について ECOM は第三者に提供しない。
(1) 会員が同意した場合
(2) 法令により開示が求められた場合
(3) 出店者に対して、会員の注文に関連して開示される場合
モールビジネスにおいて、その運営過程において蓄積される情報は、モールにとって有益な無形財産である。モール運営者は、会員がアクセスするショップの種類等を分析、整理することによって、消費動向を把握し、マーケット・リサーチを行うことができる。このような情報は当然、価値のあるものとしてビジネスの対象となると考えられる。第 1 項はそのために情報がモール運営者の所有するところとなることに会員が同意する旨の規定である。
第 2 項は、プライバシーに配慮する規定である。
なお、会員制を採用しない場合にも、モール運営者が受ける顧客情報について、同様の取扱規定を設けるべきである。
第 8 条(利用料金の支払い)
1. 会員はモール利用のために ECOM が定めた利用料金を支払う。
2. 利用料金の支払いはつぎのいずれかの方法による。
(1)ECOM の指定する銀行口座に振り込む。
(2)ECOM が承認するクレジットカードによる支払い
(3)銀行口座振替
3. 利用料金は○○月○○日、○○月○○日、○○月○○日、の年○○回払いとする。
4. ECOM は会員に通知していつでも利用料金を改訂することができる。
5. 支払済みの利用料金は理由の如何を問わず返還されない。
モール運営者にとって、その収入源は出店者よりの出店料およびモールにアクセスする会員よりの利用料金である。現在のところ、インターネットを利用するモールビジネスは完全に定着したものとはいえないからであろうか、一般的に、モールにおいて提供されるサービスがショップで提供される商品またはサービス情報の提供および会員からの商品またはサービスの購入申込に係る情報の出店者への転送に限る場合、会員から手数料を徴収していないようである。
利用料金の算定については、年払もしくは月払による定額利用料、または、アクセス回数、利用時間、提供される商品またはサービスの購入価格等を考慮した変額利用料が考えられる。しかし、多数の会員を募るためにも、高額の利用料金を徴収することは期待できないことから、定額利用料によることが現実的であると考える。また、定額利用料を徴収した場合には、中途解約(退会)による一部利用料払戻を認めることも考えられるが、その利用料が少額であることから、払戻は認めないこととした。
第 9 条(退会)
1. 会員が退会を希望するときは、ECOM 所定のフォームによりパーソナル・コンピュータ画面により指示される方法でその届出を行う。
2. 会員が退会したときは、ECOM は支払済みの利用料金の返戻を行わない。会員はそのときまでに ECOM に対し何らかの債務があるときは、その支払いをしなければならない。
3. 会員が死亡したときは退会したものとし、会員資格の承継を行わない。
会員がいつでも退会できることとしたのは、モール運営者がいつでも利用規約を変更できることとしたことととしたこととパラレルの関係にある。つまり、モール運営者が行う利用規約の変更に不満な会員は退会という対抗手段をとることにより、バランスが取れると考えられる。なお、利用料金が年払いの場合には、一部払戻ということも考えられるが、利用料金が低額であることが一般的であると考えられるので、払戻不可とした。
第 10 条(会員資格の抹消)
1. 会員が以下のいずれかの事由に該当したときは、ECOM は会員資格の抹消をすることができる。
(1)登録申込の時に虚偽の事項を登録した場合
(2)利用料金やモールを利用して購入した商品・サービス等の対価、その他モール利用に関連して会員が負担する債務を期日に支払わないとき
(3)モールの運営を妨害したとき・モール上に提供される情報を改変したとき
(4)本規約に違反したとき
(5)ECOM が会員として不適切と認めたとき
2. 会員資格の抹消がされたときは、第9条に関する規定を適用する。
本条は、会員において、「会員」として不適格と判断される事態が発生したときに、その会員との関係で利用規約を解約する規定である。民法上、契約を解除する場合、契約違反につき催告を要する旨定められているが、本条では、催告を要することなく解除することができる旨定めた。モール運営者は、会員資格抹消を決定した場合、その事実(即ち、解除の通知)を E-mail 等で会員に通知することが必要である。
なお、会員制を採用しない場合にも、モール運営者としては、モールの利用を希望する者に一定の事由が存在する場合、モールの利用を拒むことができる旨利用規約中に明確にしておくのが妥当である。
第 11 条(モールが提供するサービス)
1. ECOM はモール上につぎのサービスを提供する。
(1)モールにおいて出店者が提供する商品またはサービスについてのオンライン電子カタログによる情報の提供
(2)会員から出店者に対する商品またはサービスに関する申込情報の転送
(3)以上のほか、ECOM が定めるサービス
2. ECOM はモール上に提供するサービスの内容をいつでも変更する事ができる。その変更により会員に不利益が生じても ECOM はその補償を行わない。
本条では、本モールが提供するサービスとして、一般的にサイバーモールが会員に対し提供するサービスをあげた。
商品情報の提供
会員の利便性を高めるため、モール内の複数のショップや商品を一覧にして検索できるサービスの提供である。このシステムにより会員は容易に提供を受けることを希望する商品またはサービス、および興味のあるショップを見つけ出すことができ、ワンストップショッピングを実現することができるようになる。
(1) 申込情報の転送
上記(1)のシステムを利用し、容易に提供を受けたい商品またはサービスを見つけ出すことができても、個々の商品またはサービスの提供の注文を行う場合、その都度各出店者に対して申込を行わなければならないのであれば、会員にとっての利便性も不充分である。
そこで、会員から各出店者への申込情報は全て、一旦モール運営者宛に集められ、モール運営者が各出店者に対して申込情報を転送するサービスを提供することにした。このように異なるショップでの買物であっても、一度に纏めて注文ができる、ショッピングバスケット形式を採用しているモールは現在でも主流である。なお、本モールでは、消費者が入会時に会員情報を登録するので、各ショップで個別に買物をする際にその都度詳細な個人情報を入力する手間も省けることとなる。
(2) その他
その他のサービスとして、電子掲示板、電子会議室の利用を認めることが考えられる。モールが消費者に提供するサービスが、単なる出店者との間の売買等をサポートするの みでは消費者にとって充分魅力のあるものといえるか疑問であろう。そこで、会員に商 品またはサービスの提供を受ける意思がなくても、モールに積極的にアクセスしてくる ようにするために、追加的なサービスとして、電子掲示板、電子会議室の利用を認める のも一案であろうと思う。
この場合には次のような条項を追加するのが適当であろう。オプションとして参考までにここに掲載する。
第○○条(電子会議室の利用) 1.会員はモールの利用に際して、もしくはモールの電子会議室を利用し、つぎの
行為を行なってはならない。
(1)他人を誹謗中傷する発言
(2)法規範にふれる発言
(3)第三者の著作権その他の権利を侵害する発言
(4)公序良俗に反する発言
(5)第三者の財産、プライバシーを侵害する発言
(6)選挙運動に関する発言
(7)当社が不適切と認める発言 2.当社は電子会議室に掲示された情報が前項各号の何れかに該当する場合、その
情報を削除することができる。 3.会員は電子会議室に掲示された情報を、その提供者の事前の了解なく複製、改
ざん、第三者への配布、商業的利用を行ってはならない。 4.電子会議室に情報を掲示した会員は、その情報を他の会員が商業目的以外に利
用することを承諾する。 5.当社は電子会議室の利用による会員相互間の関係・会員の損害等について、一
切責任を負わない。
モールがサービスの一環として電子会議室を提供するときの規定である。この場合、著作権に関しては会員相互間でその侵害が発生しないような注意が必要である。
モール運営者は出店者との間の契約を修正し、解約し、新規に締結したりしており、提供するサービスは常に変更しているということができる。例えば、専門性のあるモールがデパート的なモールになったり、デパート的なモールが専門店街的なモールになったりすると、その提供するサービスの内容に変更が生ずることとなる。第 2 項でこれらの変更が容易に行うことができるように、会員の事前の通知を要することなく変更を行えるようにした。但し、本サービスの基本的な内容に変更がある場合(例えば、申込情報の転送を行わないこととする等)、相当な周知期間を置いて変更を行うのが妥当と考えられる。
第 12 条(結約書の作成)
1. ECOM は会員と出店者との間に契約が成立したときは、必要に応じて商法第 546 条に定める結約書を作成し、会員及び出店者に対し署名または記名押印を求めた後、これをそれぞれの相手方に交付する。
2. ECOM は会員または出店者が結約書を受領しない場合、署名もしくは記名押印をしない場合には、それぞれの相手方に対し、その事実を通知する。
モールビジネスは会員とショップとの間の契約を媒介するのが主なビジネスであり、仲立人に該当すると思われる。商法は媒介を業とするものを仲立営業と位置付け、それに対し第 546 条「当事者間において行為が成立したるときは、仲立人は遅滞なく各当事者の氏名または商号、行為の年月日およびその要領を記載したる書面を作り、署名の後、これを各当事者に交付することを要す」と規定し、モールによる取引が商行為として成立した場合には、結約書の作成交付を要求している。この規制は上記に検討した一定の取引分野に対する規制よりはxxxにxxであって、モールビジネスを行う者は十分注意しなければならない。公表されている保険ブローカーに関するモデル結約書は前掲しているので、各モールにおいて検討の上、結約書を用意されたい。なお、結約書には押印が要求されているので、全てをディスプレイ上で完結することは困難かもしれない。予め会員とショップの同意を得ておいて、押印を省略し、商法第 546 条第 3 項の規定により処理することは考えられる。
我々が調査したモール規約の中に、結約書に関する規定をおいたものは存在しなかった。商法により結約書の作成が要求されているので、わざわざモール規約に規定しなくても当然作成すると考えているのか、あるいはモールビジネスが仲立営業にあたらないと考えているのか、判断することはできない。ご意見を寄せられたい。
第 13 条(サービスの中断)
1. ECOM は装置・システムの保守点検・更新等、火災・停電・天災、システムの故障、通信回線の中断、等の事由によりサービスの提供を一時的に中断することがある。
2. ECOM はサービスの提供の一時的な中断により会員あるいは第三者に損害が発生しても、その補償の責めを負わない。
システムの保守点検等はモールを運営するために必要不可欠なものであるため、それに伴って発生する本サービスの提供を一時中断、停止することができる旨規定した。このことによって、会員は利用料金を払っていても、一年間(365 日)のサービスを受けることはできない。しかし、会員としては、これらの必要な一時中断、停止があることを前提として、その中断、停止日を除いた実質的なサービス期間に対する利用料金を支払っていると考えるのが合理的である。但し、モール運営者としては、会員からのクレームを回避するためにも、予定される保守点検等に伴うサービスの中断停止については、予め会員に対し相当期間を置いて通知するのが妥当であろう。
第 14 条(出店者とモールの関係)
1. モールに出店する各出店者は独自にショップを運営しており、ECOM は特に ECOM
ショップと表示される場合を除き、何らの関係を持たない。
2. 出店者が取り扱う商品、サービスについて、ECOM は保証責任を負わない。
3. ECOM はモールの利用を通じて出店者と会員との間で行われた取引について、一切の責任を負わない。
モールの形態として、会員に対し一定範囲の責任を負うモールと、全く情報提供に徹しその内容あるいはその結果の取引について責任を負わないモールの形態がある。モールが、いわば店舗に対する貸しビル業になるか、デパートになるかの選択である。
本条第 1 項ないし第 3 項では、モールを通じて会員が出店者から商品またはサービスの提供を受ける場合に、どのような法的関係となるかを明確に規定したものである。即ち、モール内での商取引の当事者は、会員と出店者であり、モール運営者は、瑕疵担保責任、保証等一切の責任を負担しないこととしている。
第 15 条(合意管轄)
1. モールの利用に関連して ECOM と会員との間に紛争が生じたときは、○○地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。
モール運営者の便宜のための規定である。しかし、会員は全国に散らばっており、モール運営者から会員に対する訴訟をモールの所在地で提起する場合、会員は著しい不利益を被ることとなる。このような規定の有効性については疑問視する見解も多い。
なお裁判管轄の合意には書面の作成が要求されている。ディスプレイの表示が書面要件を満たすか否かについては前に詳論したので参照されたい。
7 巻末(WG 委員名簿)
国際取引ワーキンググループ
主査 | 長 博 連 | 電子商取引実証推進協議会 主席研究員 |
有識者 | xx xx | xx法律事務所 弁護士 |
モデル約款チーム(社名五十xx)
リーダー (主査兼務)
サブ・リーダー xx x x式会社住友クレジットサービス
マルチメディア推進部 次長
xx x xコム株式会社 ネットワークビジネス営業部営業チームリーダー
xx x x限会社グローバルフレンドシップ 代表取締役社長
xx xxxx xxxx xx
社団法人日本クレジット産業協会 会員部 xx株式会社xx総合研究所 広報部次席
富士通株式会社 第一システム事業部 担当部長