一般競争契約(入札)、WTO政府調達
デジタル庁調達手続マニュアル概要
令和4年7月
デジタル庁会計契約担当・調達支援改革担当
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本マニュアルの構成
○ 支出負担行為・契約の定義・契約方式
○ 一般競争契約(一般競争入札、入札公告期間、競争参加資格)
○ WTO政府調達(対象、基準額、意見招請、公告期間等)
○ 随意契約(留意事項、随xxx調書、WTO事前公示、事務手続等)
○ 契約の締結
○ 監督及び検査
○ 単価契約、概算契約、技術的対話による調達等
○ 再委託及びインフラサービス等のための措置
○ 秘密保持契約(NDA)・協定書等
○ 入札制限ルール
○ 一般競争入札の総合評価落札方式(広報・調査・研究開発、情報システム)
○ 公募・企画競争
○ 調達の適正化等
○ その他(入札談合、入札説明書、契約書雛形)
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一般競争契約(入札)、WTO政府調達
○ 国の調達手続は、会計法令等に基づき、一般競争契約(入札)が原則。
10万SDR以上(現在は1500万円以上)の案件はWTO政府調達協定を遵守。
【一般競争入札の対象】 ※予定価格とは、国が行う契約の契約金額を決定するためにあらかじめ契約担当者が作成する見積価格。
•予定価格が250万円を超える場合(製造契約など)
•予定価格が160万円を超える場合(物品購入)
•予定賃借料の年額又は総額が80万円を超える場合(賃貸借契約)
•役務などの契約で100万円を超える場合(役務契約、調査研究、情報システム開発など) 等
【公告期間】
•政府調達(WTO対象) ⇒ 官報公告:令和4年度現在1500万円以上の調達 ••••••••••50日間以上
•政府調達(WTO対象)以外 ⇒ デジタル庁WEB公告:1500万円未満 ••••••••••••※10日間以上
※法的には10日間以上であるが、機会均等及びxx性、経済性の観点からも可能な限り長く公告期間を確保すること。
○ 資料提供招請、意見招請 ※入札公告の前に実施するもの。
【対象】※80万SDR(現在1億2000万円以上)
※意見招請について、単価500SDR以下の既製品を大量購入する場合、行政サービスの継続性の観点から既存の仕様を繰り返す場合、急を要する場合、随意契約の場合は除く。
•1億2000万円以上のWTO対象となる調達案件
•資料提供招請は、仕様書作成に際し、必要に応じて実施。
•意見招請は、対象となる調達案件すべてを対象として実施。
【公示期間】
•資料提供招請 ⇒ 官報公示:令和4年度現在1億2000万円以上の調達 •••••••••30日間以上
•意見招請 ⇒ 官報公示: 同上 •••••••••20日間以上
★各府省庁の調達情報は、デジタル庁の調達情報の「調達ポータル」から閲覧が可能。 調達情報の検索 (x-xxxxxx.xx.xx)
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随意契約
○ 契約の相手方とすべき者が一者に限られる場合、緊急に契約を行う必要があって競争に付することができない場合、少額案件など随意契約が認められている。
○ 契約の性質又は目的が競争を許さない場合(会計法第29条の3第4項)の随意契約は、国の調達が競争を原則としているため、その運用は厳格に行われる。
○ デジタル庁では、随意契約を行う場合は、事前に「随意契約審査委員会」の承認を得なければならない。
【随意契約審査委員会の対象】
•本来、一般競争入札の対象となる調達案件を随意契約として調達する場合、原則、随意契約審査委員会の対象。
【随意契約審査委員会への付議】
•あらかじめ、「随意契約希望調書」を作成し契約担当に送付。
•随意契約審査委員会の日程等を契約担当と調整し、随意契約審査委員会でPJ担当者が説明、質疑応答を得て委員会で了解が得られた場合のみ、随意契約の承認済み案件として調達起案が可能。
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○ 特定政府調達(WTO政府調達)の案件について、随意契約を行おうとする場合、「政府調達に関する協定」及び「国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令」の要件に該当する場合のみ、随意契約が可能。
◎政府調達に関する協定
第十三条 限定入札(抄)
1(a)次に掲げるいずれかの場合。ただし、入札説明書に定める要件が実質的に変更されないこと条件とする。
(ⅰ)入札書が提出されなかった場合又は供給者が参加申請を行わなかった場合
(ⅱ)入札説明書に定める基本的要件に合致する入札書が提出されなかった場合
(ⅲ)参加のための条件を満たす供給者がいなかった場合
(ⅳ)行われた入札がなれ合いによるものであった場合
(b)次のいずれかの理由により、物品又はサービスが特定の供給者によってのみ供給されることが可能であり、かつ、他に合理的に選択される物品若しくはサービス又は他の合理的な代替の物品若しくはサービスがない場合
(ⅰ)必要とされるものが美術品であること
(ⅱ)特許権、著作権その他排他的権利が保護されていること。
(ⅲ)技術的な理由により競争が存在しないこと。
(c) 次のいずれかの理由により、当初の調達には含まれていない物品又はサービスの追加の納入又は提供を当初の供給者から受ける場合
(ⅰ)当初の調達により購入された既存の機材、ソフトウエア、サービス又は設備との互換性又は相互運用性の要件その他の経済的又は技術的な理由により、追加の物品又はサービスについて供給者を変更することができないこと
(ⅱ)追加の物品又はサービスについて供給者を変更する場合には、調達機関に著しい不都合が生じ、又は調達機関が実質的に二重に費用を負担することとなること
(d)調達機関の予見することができない事態によりもたらされた極めて緊急な理由のため、公開入札又は選択入札によっては必要な期間内に物品又はサービスを入手することができない場合において、真に必要なとき
◎国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令
(随意契約によることができる場合)
第十一条 特定調達契約につき会計法第二十九条の三第五項の規定により随意契約によることができる場合は、予決令第九十九条第十八号に掲げる場合並びに予決令第九十九条の二及び第九十九条の三並びに予決令臨時特例第四条の八(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により随意契約がによることができるものとされる場合に限るものとする。
2 予決令第九十九条の四の規定は、特定調達契約に関する事務については、適用しない。
(随意契約によろうとする場合の財務大臣への協議)第十二条 (抄)
注) WTO政府調達による限定入札(随意契約)において、当該事業者(現契約事業者)でなければ技術的に不可能という理由が必要であり、単に、政策的に事業の継続性の観点から実績のある当該事業者でなければならないという理由は不可であることに留意。
また、(b)(ⅲ)による技術的な理由により競争が存在しないこと。を理由とする場合は、財務大臣協議が必要。(特例政令第12条)
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情報システム機器、サービス調達基本フロー
情報システム機器、サービス調達手続の基本フロー
x x 対 象 物品、役務サービス
予定価格が1,500万円以上(10万SDR以上) (平成26年申合せ1) | |||||
NO | YES |
予定価格が 160万円以下(物品)
100万以下(役務サービス)
(会計法29の3⑤・予決令99)
又は
競争に付することが不利となる特段の事業がある
NO
(会計法29の3④)
YES
予定価格が 12,000xx
(80万SDR以上)
(総合評価導入)
予定価格が 12,000万円以上
(80万SDR以上)
(平成26年申合せ4)
NO
YES NO
競争に付することが不利となる特段の事情がある
(会計法29の3④・協定13)
YES
NO
YES
1,500万円以上
12,000万円未満
12,000万円
※ 入札公告10日間以上
(再度公告入札の場合、5日間以上)
※ 入札公告50日間以上
(特別の事情がある場合40日間以上)
12,000万円超
※ 意見招請公示期間20日間以上入札公告期間50日間以上
(特別の事情がある場合40日間以上)
随意契約
【特命(少額)又は少額(見積合せ)
一般競争 (会計法29の3①)
随意契約
限定入札
(協定13)
※契約締結日の20日前に
意見招請不要公開入札
一般競争入札
意見招請必要
公開入札
公開入札
(会計法29の3④、⑤)
官報公告が必要
(平成26年申合せ8)
(協定7)
最低価格落札方式
(協定7)
最低価格落札方式
ガイドライン
(総合評価落札方式)
会計法に基づく契約
特定調達契約
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契約の締結
〇 一般競争入札や随意契約によって、契約の相手方を決定したときは、契約書の作成を基本としている。(会計法第29条の8)
〇 会計法では、落札者が決定したときが、契約の承諾(部分的成立)とされており、契約の相手方と支出負担行為担当官が契約書に記名押印することをもって最終的に契約の完全成立(確定行為)とされる。
〇 ただし、契約金額が150万円を超えない契約の場合は、契約書を省略することができる(予決令第100条の2)が、必要に応じて契約書を作成することは可能、また、下表のとおり契約書に代わり「請書」を作成する場合もある。
一般的な調達案件 (物品購入・役務等) | 情報システム調達案件 | |
0~50万円以下 | ・請書なし ・仕様書あり(簡易なもので可) | ・請書なし ・仕様書あり(ガイドライン等遵守) |
50万円超~150万円以下 | ・請書あり ・仕様書あり(簡易なもので可) | ・請書あり ・仕様書あり(ガイドライン等遵守) |
150万円を超える額 | ・契約書 ・仕様書あり | ・契約書 ・仕様書あり(xxxxxx等遵守) |
★ 共同提案(コンソーシアム)による場合
共同提案による入札等の場合、代表者と契約することを基本とするが、別途、共同提案事業者間で責任分解や経費負担等について、記載した協定書が必要となる。
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監督及び検査
〇 国の契約においては、契約の適正な履行を確認するために必要な「監督」をしなければならない。また、その給付を確認するために必要な「検査」を行わなければならない。
〇 国の支出の原因となる契約については、相手方の履行完了の確認後でなければ対価の支払いをしないのが原則。(※前金払いなど一部例外あり)
〇 監督職員や検査職員は、支出負担行為担当官から命ぜられた補助者。
〇 監督職員や検査職員は、予算執行職員等の責任に関する法律における補助者として重い責任を負うものであり、監督•検査に当たっては、慎重かつ厳正に行わなければならない。
【監督職員•検査職員の根拠法令】
•会計法第29条の11、予決令第101条の3、第101条の4、第101条の7
【予算執行職員等の責任に関する法律(抄)】
第3条 予算執行職員は、法令に準拠し、且つ、予算で定めるところに従い、それぞれの職分に応じ、支出等の行為をしなければならない。
2 予算執行職員は、故意又は重大な過失に因り前項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。
※会計検査院は、上記の違反行為に対して国に損害を与えたと認めたときは、懲戒処分を要求することができる。
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例外となる契約形態(単価契約•概算契約)
〇 国の契約は、歳出予算等の制限を前提とするため、原則、「総価契約」。
〇 例外として、一定期間継続してする製造、修理、加工、売買、供給、使用等の契約の場合、
「単価契約」が認められている。
※単価契約は、確定数量が見込めない場合に、契約期間における予定数量に単価を乗じた金額として落札者を決定するものであり、契約書上は、単価をもって契約することになる。なお、案件によっては単価による入札もあり。
【単価契約として認められているもの】
•文具等、燃料費、消耗機器材費、飼育費、新聞、雑誌その他定期刊行物の購入費、印刷製本費、送料、修繕料、その他雑役務費の類、光熱及び水料、電話料、運搬料、保管料、借料及び損料、食糧費及び会議。
〇 更に、例外として、仕様内容が流動的である等の理由から、契約締結時には契約金額が確定できない場合に概算額をもって契約を締結し、履行が完了した段階で精算により額を確定する「概算契約」がある。
※概算契約は、会計法の規定に基づくものではないが、特例的に行われる契約方式。
なお、概算契約は、単価契約とは異なり、数量の確定以外に以下のような内容について精算行為によって、検査を行う必要がある。
【概算契約における検査例】
•人件費単価の証明、諸謝金、旅費等の領収書、製品試験棟に要する費用の領収書、事務費(会場借料、会議費、備品、消耗品当の購入費等)の領収書、賃金職員雇用費(雇用の事実を証明する書類)、印刷製本費、外注費等の領収書、一般管理費等
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情報システム関連の新たな調達方法(技術的対話による調達)
〇 政府における一般的な情報システム等の調達においては、予算要求の段階から仕様を確定させることが困難な場合もあるため、行政と事業者がxxとなって政策課題を共有し、対話を通じて相互理解を深めた上で契約する仕組みとして、令和2年度から技術的対話による調達を試行運用として実施。
〇 技術的対話による調達では、新規で大規模な案件、機微情報を扱う案件、一者応札が続いている案件等を要件として、本調達方法を試行的に運用中。
〇 技術的対話による調達は、現行会計法のスキームの中で、より柔軟な調達方法の一つとして、一般競争入札、企画競争の2種類の調達方法を用意。
【実績】
〇令和2年度実績
•「有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDNET)の次期システムの構築業務(金融庁)
•「企業保有情報の新しい提出方法に係るインターフェイスシステムの構築•評価•保守、ユースケースの調査及び導入支援(内閣府(現デジタル庁))
•「政府共通プラットフォームでのクラウド移行検討支援のための技術的支援業務」(総務省(現デジタル庁))
〇令和4年度実施(※令和4年6月時点)
•「デジタルツイン構築に関する調査研究」(デジタル庁)
•「デジタルツイン構築に向けた3D都市モデルの整備に関する調査研究」(デジタル庁)
•「デジタルツイン構築に向けた3D都市モデルの更新に関する調査研究」(デジタル庁)
•「デジタルツイン構築に向けた3D都市モデルとBIM連携に関する調査研究(デジタル庁)
•「次期人事給与等関係業務システム用ソフトウエア賃貸借及び設計•構築等業務」(外務省) ※6月現在実施中
•「国土交通省手続業務一貫処理システム(eMLIT)の設計•開発•運用業務の請負」(国土交通省) ※6月現在実施中
※具体的な手続等については、「情報システムに係る新たな調達•契約方法に関する試行運用の手引」を参照。
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IT調達に関する国等の物品又は役務の調達方針及び調達手続
〇 複雑化•巧妙化しているサイバー攻撃対して、政府機関等におけるサイバーセキュリティ対策を一層向上させるために、より一層サプライチェーン•リスクに対応する取組として、「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手 続に関する申合せ (関係省庁申合せ)平成30年12月10日、令和3年9月1日一部改正」(以下「IT調達申合せ」という。)により、各府省庁庁等における重要業務に係る情報システム•機器•役務等の調達において、必要な措置を講ずることと された。
〇 各府省庁等は、IT調達申合せに掲げる情報システム等のうち、重要性の観点から、より一層のサプライチェーン•リスクに対応することが必要と判断されるものについては、内閣サイバーセキュリティ―センター(NISC)及びデジタル庁(セキュリティ危機管理担当)に、講ずべき必要な措置について助言を求める。
<重要性の観点>
•国家安全保障及び治安関係の業務を行うシステム
•機密性の高い情報を取り扱うシステム並びに情報の漏洩及び情報の改ざんによる社会的•経済的混乱を招くおそれのある情報を取り扱うシステム
•番号制度関係の業務を行うシステム等、個人情報を極めて大量に取り扱う業務を行うシステム
•機能停止等の場合、各政府機関等における業務遂行に著しい影響を及ぼす基幹業務システム、LAN等の基盤システム
•運営経費が極めて大きいシステム
〇 IT調達申合せの対象となるシステム等の調達を行う場合は、仕様条件の決定や、製品及び役務を提供する事業者の選定のために必要な情報をRFI及びRFPなどにより取得し、いわゆる「機器等リスト」を入手しNISCに対して照会。
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再委託とインフラサービス等のための措置
〇 デジタル庁の調達案件では、再委託に関して、一括再委託(いわゆる丸投げ)は禁止。ただし、一部再委託する場合は、支出負担行為担当官の承認を得て再委託が可能。(※事業者から再委託書承認申請書を提出の上、XX担当による審査後承認。)
•再委託が認められないケース:事業全体の企画及び立案並びに根幹(執行管理など)に係る業務
○ 情報システムに関する調達では、技術上又は要員上等の理由により下請負事業者を活用する場合も多いことから、再委託に関しての金額などの制限は設けていないが、要員配置や品質、情報管理等に関する責任の所在が不明確とならないようPJ担当者は、調達案件の性質を踏まえ再委託の可否を判断し適切に対応するものとする。
○ デジタル庁では、情報システムを調達するための手段として利用する※インフラサービス等について、利用するサービスの内容によって、事業者から届出を行ってもらう。
※インフラサービス:クラウドサービス、ソフトウエア、NW、LAN、DB、OSなどシステム運用のための手段となるもの。
【再委託の判断例】
データの保存•管理のためにクラウドを利用する場合であっても、事業者がデータの管理まで行う場合は、再委託の申請が必要。他方、データ保存エリアのみを提供し、その管理は利用者に任せるような場合は再委託承認は必要とせず、利用届出を行うものとするが、情報管理などの義務の軽減が免除されるものではないため、利用するサービスの選定は慎重に行う必要があることに留意する。
○ 再委託の具体的な措置
•再委託の承認:再委託を行う合理的理由の審査、再委託先の業務履行能力の審査
•履行体制の把握及び報告徴収:再々委託の把握及び履行能力の審査
○ 再委託の省略基準
•再委託金額が50万円を超えない場合
•契約の主体部分でなく、再委託することが合理的で以下に示す軽微な委託
軽微なものの例:翻訳、通訳、速記、報告などの印刷物、PCなど機器レンタル、会議室借り上げ、調査研究に必要な情報収集等
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秘密保持契約や協定書等について
〇 情報システムの調達の調達において事業者から見積書を取得する場合は、実現したい業務•機能の内容、規模、サービスレベル、スケジュール等、事業者が見積りをするための必要な情報を提供する必要がある。
○ この際、見積りを依頼する事業者に対し、「秘密保持契約(NDA)」を締結し、各種設計書等の閲覧を行わせることが必要とされている。(デジタル庁•ガバメント推進標準ガイドライン解説書参照)
※秘密保持契約(Non-Disclosure Agreement)
事業者(デジタル庁も含む)が持つ秘密の情報を他の事業者に提供する際に他に洩らしたり不正に利用されたりすること防止するために結ぶ契約のこと。
○ この他、デジタル庁では、契約の締結前に、例えば、回線契約に先立ち申込書への署名やプロジェクトを進めるに当たって、協定書など必要な場合があるので、そのような場合の手続については以下のとおりの運用としている。
【留意事項】
•秘密保持契約書の内容については、デジタル庁のPJ担当者と事業者のどちらかが、一方的に作成するものではなく、双方で協議しながら作成するものであること。
•秘密保持契約書や協定書などの支払請求や契約金額に関するなど、支出負担行為担当官が行う契約に関する事項とは異なるため、契約担当官(支出を伴わない契約を行う人)が締結するものとなる。
<契約を伴う調達決裁>•••••••支出負担行為担当官あての調達決裁となる。
<支出を伴わない契約決裁>•••••契約担当官あての調達決裁となる。
※デジタル庁の場合、支出負担行為担当官と契約担当は、いずれも会計担当参事官となる。また、デジタル庁における契約行為(支出を伴うか否かにかかわらず)ができる者は、会計担当参事官となる。
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入札制限ルールについて
〇 デジタル庁では、民間企業等から登用した人材の知見を積極的に活用しているため、情報システム等の調達分野においては、兼業先企業等に便宜供与を行うなどの利益相反行為が発生しないよう、より高い透明性•xx性の確保が求めている。
○ こうした透明性•xx性の確保に当たって、デジタル庁では、「デジタル庁における入札制限等に関する規定」及び「デジタル庁における入札制限等の運用について」に基づき、調達手続に関して厳格に運用されている。
【デジタル庁における入札制限等に関する規定(令和3年9月1日会計担当参事官決定)】
調達対象:10万SDR以上(WTO政府調達)の調達案件。
対象職員:入札制限規定第2条第1号に規定する関係職員。
(第2条第1号 入札に付する事項又は随意契約によろうとする事項の仕様書を作成する事務に従事する職員、当該事項の審査及び評価をする事務に従事する職員及びそれらの職員の管理又は監督の地位にある職員(幹部職員を含む。)をいう。)
【デジタル庁における入札制限等の運用について(令和3年9月1日会計担当参事官決定)】
調達実施時(制限フォルダ申請•作成段階、仕様書作成開始、兼業先企業への入札制限通告、兼業先企業の親会社•子会社への入札制限通告、審査•評価職員の利益相反確認、開札段階)、契約締結後
※入札制限に関するルールについての運用の問い合わせについては、戦略組織G会計担当「入札制限制度担当」までお問い合わせください。
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総合評価落札方式について
=
+
○「価格と同等に評価できる技術項目」(実施体制、過去の実績、技術資格、女性活躍推進等の認定等)
+
○「価格と同等に評価できない技術項目」(提案内容の創造性、新規性等)
〇 総合評価落札方式は、国の契約方式(入札)の基本である自動落札方式(※価格が最も有利となる競争方式)と異なり、「価格」と「価格以外の要素(技術提案)」を総合的に評価する落札方式。
○ 総合評価落札方式は、自動落札方式の例外の方式であるため、総合評価落札方式を適用しようとする場合は、財務大臣協議が必要。
⇒ 総合評価落札方式を適用できる分野としては、「公共工事」、「情報システム」、「広報事業」、「調査事業」、「研究開発事業」が財務大臣協議が整っているものとして、これらの分野の調達に当たっては、総合評価落札方式の運用が可能。
★情報システムにおける1:3の利用要件(下記の要件をすべて満たす場合)
・システム化対象の業務の実施方法や内容が複雑かつ多岐にわたるもの
・技術的構造の異なる複数の情報システムと連携するもの
・制度・業務の見直し等に伴う頻繁な機能改修を伴うもの
・大規模なプロジェクトで多人数の要因への高度な統制力が必要なもの
・連携、統合等を行う情報システムや関係組織が多く存在するもの
【総合評価の配分割合】
①情報システム ⇒ 価格点1:技術点1又は価格点1:技術点3以内
②広報事業 ⇒ 価格点1:技術点2以内(価格点の割合は1/3以上)
③調査事業 ⇒ 価格点1:技術点2以内(価格点の割合は1/3以上)
④研究開発事業 ⇒ 価格点1:技術点3以内(価格点の割合は1/4以上)
○ 総合評価落札方式の留意点
仕様書は、事業の内容、目的、履行期限、作業の範囲、作業手順等のほか、入札者に求める技術的要求要件が明記され、技術的要求要件は、総合評価基準書に記載される「必須項目」と「必須項目以外」に対応することとなる。
必須項目は、1つでも満たしていない技術提案書は、不合格となることから、仕様書に記載される要求要件は、審査結果後、提案事業者との紛争とならないように明確に記載しなければならないことの留意。
○ 総合評価点の算出方法(落札者の決定方法)
価格以外の要素に係る評価点(技術点)と入札価格に係る評価点(価格点)を計算した上で、合計した得点が総合評価点となり、入札価格が予定価格の範囲内であれば、総合評価点の最も高い者が落札者となる。
総合評価点
価格以外の要素に係る評価点<技術点>
入札価格に係る評価点<価格点>
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総合評価落札方式 標準的調達フロー(技術的対話は除く。)
項 目 の x x
(会計担当契約班)
(公告期間)
(会計担当契約班・PJ担当者)
10日間以上
50日以上
(会計担当契約班)
(PJ担当者)
(審査期間)
原則15日間程度
入札書提出(開札前日)
(会計担当契約班)
(手続期間)
0日~5日間程度
(落札者・会計担当契約班)
入札結果の公表
契約締結
開札(落札決定)
入札公告
技術審査
技術提案書提出〆切
(※契約担当へ下見積書提出)
入札説明会
デジタル庁HPに公告。ただし、WTO政府調達案件は、官報にも公告掲載。
・入札手続関係
・評価項目一覧、評価基準書等を提示・説明
WTO政府調達の案件は、50日以上公告期間を要す。
●応札者は、技術提案書
・技術提案書は、事業者から会計担当契約班へ提出→審査
・技術提案書は、PJ担当者で保管。
●専門性の高い事業については外部審査等を活用
注1 ・応札者から提出された提案書の内容を審査し、技術点を採点。審査結果を開札日の3営業日前に会計担当契約班へ通知。
・審査の必要に応じて、プレゼンテーション等を実施。
・審査期間は、内容、応札者数により適宜設定。
入札書を開封し、入札価格より「価格点」を算出し、事前
注2 に決定(採点)された「技術点」との合計の総合評価点に
注3 より、落札者を決定
契約書の締結(仕様書・実施計画書等を添付)
注意点
注1 技術審査の結果、合否の結果を開札の前日までに会計担当契約班から事業者に通知。
注2 総合評価点が同点の場合について
総合評価点(価格点+技術点)が同点の場合は、その場で入札者によるくじ引きで落札者を決定する。
注3 低入札価格調査制度について
予定価格が、1000万円を超える請負契約において、応札者の提示した入札価格が、国の作成した予定価格の6割を下回った場は、落札者を「保留」する。この場合、デジタル庁が調査を実施し、契約の履行ができないと認められる場合には、その者との契約を締結せず、次点の者と契約を結ぶことができる。また、調査した結果、契約の履行が確保されると判断した場合は、その者を落札者とすることができる。
注4 入札結果の公表について
総合評価落札方式で実施した一般競争入札案件は、落札者の以下の項目をHPに公表。
①入札案件名、②商号又は名称、③契約金額
注4
(会計担当契約班)
デジタル庁HPで契約結果公表(契約に係る情報の公表
「公共調達の適正化」(平成18年8月25日財計第2017号)
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【一般競争入札(総合評価落札方式)に関係する各種ガイドライン等】
〇 女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について(令和2年7月1日)
〇 女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する実施要領(令和2年3月3日)
〇 広報の業務委託に関する入札に係る総合評価落札方式について(通知)(平成18年7月27日財計第1954号)
〇 調査の業務委託に関する入札に係る総合評価落札方式について(通知)(平成18年7月27日財計第1953号)
〇 研究開発の業務委託に関する入札に係る総合評価落札方式について(通知)(平成18年7月27日財計第1952号)
〇 コンピューター製品及びサービスの調達にかかる総合評価落札方式の標準ガイド
(平成7年3月28日調達関係省庁申合せ)
〇 電気通信機器及びサービスの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド(平成7年3月28日調達関係省庁申合せ)
〇 情報システムの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド(平成14年7月12日調達関係省庁申合せ)
〇 スーパーコンピューター等に関する一般競争入札に係る総合評価落札方式について(通知)
(令和4年1月6日財計第53号)
〇 研究開発の業務委託等に関する入札に係る総合評価落札方式について(通知)(令和4年1月6日財計第54号)
〇 「工事に関する入札に係る総合評価落札方式について」等に関する一般競争入札に係る総合評価落札方式について
(通知)(令和4年1月6日財計第55号)
〇 総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置について(令和3年12月17日財計第4803号)
〇 総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置について(令和3年12月17日財計第4803号)第2(1)及び(2)に定める率について令和3年12月17日財計第4804号)
〇 総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置に係る賃上げ実績の確認の運用等について
(令和4年2月8日財計第452号)
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公募•企画競争
【公 募】
公募とは、あらかじめ行政目的達成のための条件等を公表し、請負相手方が唯一であるのか複数者存在しているのかどうかの不確定な場合において実施するもの。
これまで、「契約の性質又は目的が競争を許さない」として随意契約を実施していたものは、公募を行うことにより、透明性•xx性を確保することが可能。
○ 公募は、応募者が一の場合は、随意契約の締結が可能。(※一者応札が複数年続いているような場合は、公募の選択肢もあり)
○ 公募により、複数者存在することがあきらかになった場合は、一般競争又は企画競争に移行。
○ 公募方法は、デジタル庁のWEBサイトの調達情報に公表し、一般競争入札の公告期間に準じて最低10日間以上の公告とするが、仕様内容等により可能限り長期間公告(20日間以上が理想)することが重要。
【企画競争】
企画競争とは、公募の方法により複数の者に企画書等の募集を行い、内容を審査した結果、国にとって最も優れた企画提案を選定する方式。企画競争は、公募と同様に会計法規上は、特に規定されているものではなく、会計手続の準備行為の位置づけとなる。
特に、企画競争は、新規性•創造性を重視するため、広報などの分野で多く活用されている。
○ 企画競争の公募に際しては、予算上限額を提示し、評価項目及び得点配分をその重要度に応じてあらかじめ明示して実施。
○ 企画競争では、提案者から提出された企画書等の審査が恣意的にならないよう透明性やxx性の確保に努めることが重要であり。審査に当たっては、3者以上の者で、最低1者はPJ担当者の管理者とすることや1者をPJ担当者以外の管理者とすることが望ましいとしている。
○ 公示は、公募と同様に、デジタル庁WEBサイトの調達情報で行うが企画提案型であることを考慮し、30日間以上は公示することとが望ましい。
※公募(随契)・企画競争は、会計法令上の随意契約であり、デジタル庁では、「随意契約審査委員会」の承認を得ることが必要。
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調達適正化等
【契約に係る情報の公表】
○ 「公共調達の適正化について」(平成18年8月25日財計第2017号)に基づき、デジタル庁WEBサイトの「調達情報」に公表。
⇒ 調達件名等、契約日、相手方の名称、調達方法、契約金額、予定価格(一部非公表)、落札率、随意契約根拠等
【調達適正化等の推進】
○ デジタル庁では、調達審査部門として契約監視業務(入札等監視委員会)、入札制限業務、内部監査業務、随意契約審査業務(随意契約審査委員会)
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