Contract
くらしの法律 第 68 回
金銭消費貸借
利息、返済期限など合意で
民法は物の貸し借りについて消費貸借、使用貸借、賃貸借の三つの類型の契約の規定を置いています。
使用貸借とは、無償で物を借りて使用収益した後にそのものを返す契約であり(民法 593条)、賃貸借とは、アパートの一室を借りるとか、レンタカーを借りるように、賃料を払って物を借りて使用収益した後にその物を返す契約です(同 601 条)。物を借りるにつき無償であるか有償であるかの違いはありますが、いずれも借主は借りた物その物を返還することになります。
消費貸借とは、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取る契約をいいます(同 587 条)。消費貸借は、借りた物を自由に費消することを前提に同種、同質、同量の物を返還する点で、使用貸借や賃貸借と異なります。
友人間のお金の貸し借りや貸金業者からの借入れ、銀行借入の住宅ローンなど、いずれも金銭消費貸借になります。
民法には消費貸借につき利息の支払を契約の内容とする規定がないので原則は無利息とされますが、現実には合意により利息支払の条項が盛り込まれるのが一般的です。
利息支払の合意がなされた場合の利率は、本来は契約自由の原則のもと借主と貸主の協議により自由に設定されてよいものですが、自由にまかせると一般的に経済的に強い立場にある貸主により経済的に弱い立場にある借主からの収奪が起こる危険性があるため、利息制限法や出資法、貸金業法といった特別法により借主を保護する趣旨の規定が設けられています。
返済期限は当事者間で協議のうえ契約の中で決めておくのが一般的ですが、期限を定めなかったときは、貸主は相当の期間を定めて返還の催告をすることができ(同 591 条①)、相当の期間を経過すれば借主は返還しなければなりません。
金銭消費貸借において、貸主の最大の関心事は契約どおりに元金及び利息の支払がなされるかということにあり、貸主は契約どおりに支払われないときに備えて担保を求めることがあります。担保には、借主以外の人に借主が負う義務と同じ内容の履行を約束させる方法(人的担保)と、借主または第三者の所有物を換価して、その代金から貸主が優先的に返済を得ることができる権利を設定する方法(物的担保)の 2 種類があります。