Contract
Ⅱ 育児・介護休業等に関する規則の規定例
第1章 目的
(目的)第 1 条
本規則は、従業員の育児・介護休業(出生時育児休業含む。以下同じ。)、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限並びに育児・介護短時間勤務等に関する取扱いについて定めるものである。
第2章 育児休業制度
1 育児休業
ケース① 《有期雇用労働者のすべてを育児休業の対象とする例》
(育児休業の対象者)第 2 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1 歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。
ケース② 《法に基づき一定範囲の有期雇用労働者を育児休業の対象から除外する例》
(育児休業の対象者)第 2 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1 歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、子が 1 歳 6 か月(本条第5項又は第6項の申出にあっては
2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り、育児休業をすることができる。
xxx③ 《法に基づき一定範囲の有期雇用労働者と労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
(育児休業の対象者)第 2 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1 歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、子が 1 歳 6 か月(本条第 6 項又は第 7 項の申出にあって
は 2 歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り育児休業をすることができる。
2 本条第 1 項、第 3 項から第 7 項にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒むことができる。
一 入社 1 年未満の従業員
二 申出の日から 1 年(本条第 4 項から第 7 項の申出にあっては 6 か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
三 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
解
説
① 法に基づく育児休業は、期間を定めて雇用される者(有期雇用労働者)には要件を課して適用されています。しかしながら、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、その要件を満たしているか否かにかかわらず、育児休業の対象となります(指針)。
対象となりうる有期雇用労働者が多く在籍する事業所においては、有期雇用労働者全員を対象とするケース①のような規定を設けることが考えられるでしょう。
なお、パートタイマーなどの名称で働いていたり、1日の労働時間が他の正社員よりも短い者であっても、期間の定めのない労働契約の下で働いている場合は、法に基づく育児休業の対象となるため、「パートタイマーは育児休業をすることはできない」等の定めをすることはできません。
育児休業の対象となる有期雇用労働者とは、申出時点において、子が1歳6か月(法第5条第4項の申出にあっては2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない労働者です(育児・介護休業法(以下「法」という。)第5条第1項、第5項)。左のケース②の規定例はこれに対応しています。
上記に該当する有期雇用労働者は育児休業をすることができるので、有期雇用労働者が在籍する事業所においては、このことについて、あらかじめ明らかにしておきましょう。また、育児休業中の有期雇用労働者が労働契約を更新する際、労働者が引き続き休業することを希望する場合には、再度の申出が必要となります。
② 育児休業等の対象となる「子」の範囲は、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のほか、特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子、養子縁組里親に委託されている子、当該労働者を養子縁組里親として委託することが適当と認められているにもかかわらず、実親等が反対したことにより、当該労働者を養育里親として委託された子も含みます。
③ 育児休業をすることができないこととする労使協定があれば、以下の労働者については、対象から除外することができます(法第6条第1項、則第8条)。左のケース③の規定例はこれに対応しています。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から1年(法第5条第3項及び第4項の申出にあっては6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
④ 労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定をいいます。
★特別養子縁組制度とは→ xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/0000000000.xxxx
★養子縁組里親とは→ xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/xxxxxx/xxxxxx_xxxxxxxx/xxxxxxxxxx_xxxxx/00.xxxx
第 2 条(続き)
2 配偶者が従業員と同じ日から又は従業員より先に育児休業又は出生時育児休業をしている場合、従業員は、子が 1 歳 2 か月に達するまでの間で、出生日以後の産前・産後休業期間、育児休業期
間及び出生時育児休業期間との合計が 1 年を限度として、育児休業をすることができる。
3 次のいずれにも該当する従業員は、子が 1 歳 6 か月に達するまでの間で必要な日数について育児
休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、原則として子の 1 歳の誕生日に
限るものとする。ただし、配偶者が育児・介護休業法第 5 条第 3 項(本項)に基づく休業を子の 1歳の誕生日から開始する場合は、配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前の日を開始日とすることができる。
イ 従業員又は配偶者が原則として子の 1 歳の誕生日の前日に育児休業をしていることロ 次のいずれかの事情があること
(ア) 保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
(イ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1 歳以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
ハ 子の 1 歳の誕生日以降に本項の休業をしたことがないこと
4 前項にかかわらず、産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業が始まったことにより本条第 1 項又は第 3 項に基づく休業(配偶者の死亡等特別な事情による 3 回目以降の休業を含む)が終了し、終了事由である産前・産後休業等に係る子又は介護休業に係る対象家族が死亡等した従業員は、子が 1 歳 6 か月に達するまでの間で必要な日数について育児休業をすることができる。
5 次のいずれにも該当する従業員は、子が 2 歳に達するまでの間で必要な日数について育児休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、原則として子の 1 歳 6 か月の誕生日応
当日に限るものとする。ただし、配偶者が育児・介護休業法第 5 条第 4 項(本項)に基づく休業を
子の 1 歳 6 か月の誕生日応当日から開始する場合は、配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前の日を開始日とすることができる。
イ 従業員又は配偶者が子の 1 歳 6 か月の誕生日応当日の前日に育児休業をしていることロ 次のいずれかの事情があること
(ア) 保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
(イ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1 歳 6 か月以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
ハ 子の 1 歳 6 か月の誕生日応当日以降に本項の休業をしたことがないこと
6 前項にかかわらず、産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業が始まったことにより本条第 1 項、第 3 項、第 4 項又は第 5 項に基づく休業が終了し、終了事由である産前・
産後休業等に係る子又は介護休業に係る対象家族が死亡等した従業員は、子が 2 歳に達するまでの間で必要な日数について育児休業をすることができる。
※ケース③により規定する場合は、上記、「第 2 条(続き)2~6」は、「第 2 条(続き)3~7」となります。
解
説
⑤ 2は、パパ・ママ育休プラスの規定です。配偶者が、xが1歳に達する日以前のいずれかの日において育児休業(出生時育児休業含む)をしている場合、労働者は、子が1歳2か月に達するまで育児休業をすることができます(法第9条の6第1項による読み替え後の法第5条第1項)。ただし、(1)本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日の翌日以降である場合及び(2)本人の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業(出生時育児休業含む)の初日前である場合には、この限りではありません(法第9条の6第2項)。
「配偶者」には、法律上の配偶者のみならず、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。
⑥ 2により育児休業が取得できる期間は、出生日以後の産前・産後休業期間と育児休業(出生時育児休業含む)期間との合計が、1年間(子の出生日から1歳に達する日までの日数)になるまでとなり、この合計期間が1年間を超える場合には、その超えた日に育児休業は終了します(法第9条の6第1項による読み替え後の法第9条第1項)。
⑦ 3及び4は、1歳6か月までの育児休業の規定です。
子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が1歳6か月に達するまでの間、育児休業をすることができます(法第5条第3項、則第6条)。
1歳6か月まで育児休業ができるのは、次の(1)、(2)のいずれかの事情がある場合又は⑧の特別な事情がある場合です。
(1) 保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
(2) 子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
「原則として」とは、2により子が1歳に達する日を超えて育児休業をする場合を考慮したものであり、この場合、育児休業終了予定日の翌日が1歳6か月までの育児休業の開始日となります。
⑧ 4について、産前・産後休業等の開始により1歳又は1歳6か月までの育児休業が終了した場合で、開始した休業の対象となる子等が死亡等したとき、1歳6か月まで育児休業をすることができます(法第5条第3項、則第5条の2、則第6条)。この場合は、3と異なり、「本人又は配偶者が原則として子の1歳の誕生日の前日に育児休業をしていること」及び「当該子の1歳6か月までの育児休業をしたことがないこと」という要件はありません。例えば、第1子の1歳の誕生日前日をまたいで死産した第2子の産後休業期間があるため、第1子の1歳の誕生日前日に育児休業を取得できない場合がこれに該当します。
⑨ 5及び6は、2歳までの育児休業の規定です。
子が1歳6か月を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が2歳に達するまでの間、育児休業をすることができます(法第5条第4項、則第6条の2)。
2歳まで育児休業ができるのは、次の(1)、(2)のいずれかの事情がある場合又は⑩の特別な事情がある場合です。
(1) 保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
(2) 子の養育を行っている配偶者であって、1歳6か月以降子を養育する予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
⑩ 6について、産前・産後休業等の開始により1歳、1歳6か月又は2歳までの育児休業が終了した場合で、開始した休業の対象となる子等が死亡等したとき、2歳まで育児休業をすることができます(法第5条第4項、則第6条の2)。この場合は、5と異なり、「本人又は配偶者が原則として子の1歳6か月の誕生日応当日の前日に育児休業をしていること」及び「当該子の2歳までの育児休業をしたことがないこと」という要件はありません。例えば、第1子の1歳6か月の誕生日応当日前日をまたいで死産した第2子の産後休業期間があるため、第1子の1歳6か月の誕生日応当日前日に育児休業を取得できない場合がこれに該当します。
⑪ 3及び5のただし書について、育児休業中の労働者が継続して休業するほか、子が1歳(1歳6か月)まで育児休業をしていた配偶者に替わって休業することもできます。また、1歳6か月(2歳)までの育児休業の途中で配偶者に替わって休業することもできます。本人と配偶者の休業期間が重複することも可能です。
⑫ 1歳6か月までの休業及び2歳までの休業についても、育児休業をすることができないこととする労使協定があれば、以下の労働者については、対象から除外することができます(法第6条第1項、則第8条)。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から6か月以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
(育児休業の申出の手続等)第 3 条
1 育児休業をすることを希望する従業員は、原則として育児休業を開始しようとする日(以下「育児休業開始予定日」という。)の 1 か月前(第 2 条第 3 項から第 6 項(ケース③の場合は、第 4 項か
ら第 7 項)に基づく 1 歳及び 1 歳 6 か月を超える休業の場合は、2 週間前)までに育児休業申出書
(社内様式 1)を人事部労務課に提出することにより申し出るものとする。なお、育児休業中の有期雇用従業員が労働契約を更新するに当たり、引き続き休業を希望する場合には、更新された労働契約期間の初日を育児休業開始予定日として、育児休業申出書により再度の申出を行うものとする。
2 第 2 条第 1 項に基づく休業の申出は、次のいずれかに該当する場合を除き、xxにつき 2 回までとする。
(1)第 2 条第 1 項に基づく休業をした者が本条第 1 項後段の申出をしようとする場合
(2)配偶者の死亡等特別の事情がある場合
3 第 2 条第 3 項(ケース③の場合は、第 4 項)に基づく休業の申出は、次のいずれかに該当する場合
を除き、xxにつき 1 回限りとする。
(1)第 2 条第 3 項又は第 4 項(ケース③の場合は、第 4 項又は第 5 項)に基づく休業をした者が本条
第 1 項後段の申出をしようとする場合
(2)産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業が始まったことにより第 2 条第
1 項、第 3 項又は第 4 項(ケース③の場合は、第 1 項、第 4 項又は第 5 項)に基づく育児休業が終了したが、終了事由である産前・産後休業等に係る子又は介護休業に係る対象家族が死亡等した場合
4 第 2 条第 5 項(ケース③の場合は、第 6 項)に基づく休業の申出は、次のいずれかに該当する場合
を除き、xxにつき 1 回限りとする。
(1)第 2 条第 5 項又は第 6 項(ケース③の場合は、第 6 項又は第 7 項)に基づく休業をした者が本条
第 1 項後段の申出をしようとする場合
(2)産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業が始まったことにより第 2 条第
1 項、第 3 項、第 4 項、第 5 項又は第 6 項(ケース③の場合は、第 1 項、第 4 項、第 5 項、第 6
項又は第 7 項)に基づく育児休業が終了したが、終了事由である産前・産後休業等に係る子又は介護休業に係る対象家族が死亡等した場合
5 会社は、育児休業申出書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
6 育児休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該育児休業申出書を提出した者(以下この章において「育休申出者」という。)に対し、育児休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
7 申出の日後に申出に係る子が出生したときは、育休申出者は、出生後 2 週間以内に人事部労務課に育児休業対象児出生届(社内様式 3)を提出しなければならない。
解
説
① 1の「原則として」は、出産予定日よりも早く子が出生したこと及び配偶者の死亡等、1週間前に申し出れば希望どおり休めることとなる一定の事由があること等を考慮したものです(法第6条第3項)。
② 1歳(又は1歳6か月)を超える休業は、1歳(又は1歳6か月)到達日(パパ・ママ育休プラスの場合は終了予定日)以前に申出があった場合で、育児休業開始予定日が2週間を切っている場合は、事業主は労働者が申し出た育児休業開始予定日から2週間経過日までの間のいずれかの日を育児休業開始予定日として指定することができます。1歳(又は1歳6か月)到達日(パパ・ママ育休プラスの場合は終了予定日)後に申出があった場合で、育児休業開始予定日が1か月を切って
いる場合は、事業主は労働者が申し出た育児休業開始予定日から1か月経過日までの間のいずれかの日を育児休業開始予定日として指定することができます。
したがって、1歳の誕生日(又は1歳6か月の誕生日応当日)から1歳(又は1歳6か月)と2週間までの間で育児休業を開始したい場合は2週間前、それより後から1歳1か月(又は1歳7か月)到達日までに育児休業を開始したい場合は1歳の誕生日前日(又は1歳6か月到達日)、1歳1か月(又は1歳7か月)到達日後に休業を開始したい場合は1か月前を申出期限とすることもできます。(パパ・ママ育休プラスの場合は、それぞれ読み替えること。)
③ 育児休業申出は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、ファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です(則第7条第2項)。
④ 「人事部労務課」と提出先を明記したのは、「申出」の日を特定するのに争いが起こることのないように配慮したものです。事務所が数多くある大企業などは、労働者の便宜のため文書の提出先を各事業所ごとに決めることが望ましいと考えられます。
⑤ 1のなお書は、有期雇用労働者が労働契約の更新に伴い更新後の期間について、引き続き育児休業をしようとする場合には、再度の育児休業の申出が必要であることに対応しています。また、この場合、申出の回数制限等の対象とはされないことになっています(法第5条第7項)。なお、この場合については、労使協定で除外される労働者となっていても、事業主は申出を拒むことはできません(法第6条第4項)。
⑥ 2は3回目以降、3~4は1歳以降の再度の育児休業の規定です。
2(2)の「特別の事情」は、産前・産後休業又は新たな育児休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、産前・産後休業又は新たな育児休業の対象となった子が死亡したとき又は他人の養子になったこと等の理由により労働者と同居しなくなったとき、配偶者が死亡したとき、子が負傷、疾病、障害により2週間以上にわたり世話を必要とするとき、保育所等への入所を希望しているが入所できないとき等(則第5条)を想定していますが、具体的に明記することも可能であり、これらの事情のほか更に3回目以降の休業を認める事情を加えることもできます。
⑦ 3(2)及び4(2)は、産前・産後休業等の開始により1歳、1歳6か月(2歳)までの育児休業が終了した場合で、開始した休業の対象となる子等が死亡等したときに、再度の休業の申出ができることに対応しています(法第5条第3項、第4項、則第5条の2、則第6条、則第6条の2)。
⑧ 5の「各種証明書」は、申出書記載事項に係る事実を証明できるもので労働者が提出できるもので足りることとすべきでしょう。なお、証明書の提出がないことを理由に休業を認めないとすることはできません。
⑨ 6の「育児休業取扱通知書」は、事業主が、育児休業申出に対し、以下のイ~ハの事項を通知しなければならないこととされていることに対応したものです(則第7条第4項)。「育児休業取扱通知書」にこれらの事項のみを盛り込むことでも差し支えありません。
イ 育児休業申出を受けた旨
ロ 育児休業開始予定日(法第6条第3項の規定により事業主が開始日の指定をする場合には、その指定日)及び終了予定日
ハ 育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由
また、事業主は、労働者が育児休業申出をしたときは、労働者に対し、休業中における待遇に関する事項、休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項等に関する取扱いを明示するよう努めなければならない、とされています(法第 21 条の2第2項、社内様式2参照)。
★ 労働者の希望どおりの日から育児休業をするための申出期限について、法律では最低基準として
1か月前(一定の場合は2週間前)までとしていますが、会社の規定で申出期限を「1週間前」と定めることや、1か月(2週間)を切ってからの申請でも希望どおりの日から育児休業を取得させるなど、労働者に有利な取扱いとすることは、法律を上回る措置として差し支えありません。
(育児休業の申出の撤回等)第 4 条
1 育休申出者は、育児休業開始予定日の前日までは、育児休業申出撤回届(社内様式 4)を人事部労務課に提出することにより、育児休業の申出を撤回することができる。
2 育児休業申出撤回届が提出されたときは、会社は速やかに当該育児休業申出撤回届を提出した者に対し、育児休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
3 第 2 条第 1 項に基づく休業の申出の撤回は、撤回 1 回につき 1 回休業したものとみなす。第 2 条第 3
項又は第 4 項(ケース③の場合は、第 4 項又は第 5 項)及び第 5 項又は第 6 項(ケース③の場合は、第 6
項又は第 7 項)に基づく休業の申出を撤回した者は、特別の事情がない限り同一の子については再度申出
をすることができない。ただし、第 2 条第 1 項に基づく休業の申出を撤回した者であっても、同条第 3 項
又は第 4 項(ケース③の場合は、第 4 項又は第 5 項)及び第 5 項又は第 6 項(ケース③の場合は、第
6 項又は第 7 項)に基づく休業の申出をすることができ、第 2 条第 3 項又は第 4 項(ケース③の場合は、
第 4 項又は第 5 項)に基づく休業の申出を撤回した者であっても、同条第 5 項又は第 6 項(ケース③の場
合は、第 6 項又は第 7 項)に基づく休業の申出をすることができる。
4 育児休業開始予定日の前日までに、子の死亡等により育休申出者が休業申出に係る子を養育しないこととなった場合には、育児休業の申出はされなかったものとみなす。この場合において、育休申出者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
(育児休業の期間等)第 5 条
1 育児休業の期間は、原則として、子が 1 歳に達するまで(第 2 条第 2 項から第 6 項(ケース③の場合
は、第 3 項から第 7 項)に基づく休業の場合は、それぞれ定められた時期まで)を限度として育児休業
申出書(社内様式 1)に記載された期間とする。
2 本条第 1 項にかかわらず、会社は、育児・介護休業法の定めるところにより育児休業開始予定日の指定を行うことができる。
3 従業員は、育児休業期間変更申出書(社内様式 5)により人事部労務課に、育児休業開始予定日の 1週間前までに申し出ることにより、育児休業開始予定日の繰り上げ変更を、また、育児休業を終了しようとする日(以下「育児休業終了予定日」という。)の 1 か月前(第 2 条第 3 項から第 6 項(ケース③の場
合は、第 4 項から第 7 項)に基づく休業をしている場合は、2 週間前)までに申し出ることにより、育児休
業終了予定日の繰り下げ変更を行うことができる。
育児休業開始予定日の繰り上げ変更及び育児休業終了予定日の繰り下げ変更とも、原則として第 2 条
第 1 項に基づく休業 1 回につき 1 回に限り行うことができるが、第 2 条第 3 項から第 6 項(ケース③の場
合は、第 4 項から第 7 項)に基づく休業の場合には、第 2 条第 1 項に基づく休業とは別に、子が 1 歳か
ら 1 歳 6 か月に達するまで及び 1 歳 6 か月から 2 歳に達するまでの期間内で、それぞれ 1 回、育児休業終了予定日の繰り下げ変更を行うことができる。
4 育児休業期間変更申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該育児休業期間変更申出書を提出した者に対し、育児休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
5 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、育児休業は終了するものとし、当該育児休業の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)子の死亡等育児休業に係る子を養育しないこととなった場合
当該事由が発生した日(なお、この場合において本人が出勤する日は、事由発生の日から 2 週間以内であって、会社と本人が話し合いの上決定した日とする。)
(2)育児休業に係る子が 1 歳に達した場合x
xが 1 歳に達した日(第 2 条第 2 項(ケース③の場合は、第 3 項)に基づく休業の場合を除く。第
2 条第 3 項又は第 4 項(ケース③の場合は、第 4 項又は第 5 項)に基づく休業の場合は、子が 1
歳 6 か月に達した日。第 2 条第 5 項又は第 6 項(ケース③の場合は、第 6 項又は第 7 項)に基づく
休業の場合は、子が 2 歳に達した日。)
(3)育休申出者について、産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業期間が始まった場合
産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業の開始日の前日
(4) 第 2 条第 2 項(ケース③の場合は、第 3 項)に基づく休業において、出生日以後の産前・産後休
業期間と育児休業(出生時育児休業含む)期間との合計が 1 年に達した場合
当該 1 年に達した日
6 本条第 5 項第 1 号の事由が生じた場合には、育休申出者は原則として当該事由が生じた日に人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
解
説
① 2については、事業主は、育児休業の撤回の申出に対し、育児休業の撤回の申出を受けた旨を通知しなければならないこととされています(則第 18 条第2項)。
② 3の「特別の事情」は、配偶者の死亡等(則第 19 条)を想定していますが、このほか更に再度の申出を認める事情を加えることも可能です。
③ 4の「子を養育しないこととなった場合」とは、子の死亡のほか、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 20 条)を想定しています。
① 1の「原則として」は、2以降で期間の変更の可能性があることに配慮したものです。
② 2は、労働者が希望どおりの日から休業するためには、原則として「育児休業を開始しようとする日の1か月前」までに申し出ることが必要ですが、これより遅れた場合、事業主は一定の範囲で休業を開始する日を指定することができることに対応しています。
指定することのできる日は、労働者が休業を開始しようとする日以後、申出の日の翌日から起算して1か月を経過する日までの間のいずれかの日です(法第6条第3項、則第 11 条、第 12 条第1項)。
なお、1歳以降の育児休業については、1歳(又は1歳6か月)到達日以前に申し出た場合は2週間、1歳(又は 1 歳6か月)到達日後に申し出た場合は1か月です(8頁解説②参照)。
③ 3は、育児・介護休業法では、労働者は出産予定日より早く子が出生した場合及び配偶者の死亡、病気等特別の事情がある場合、1歳までの育児休業1回につき1回は育児休業を開始する日を繰上げ変更することができることに対応しています。1歳までの育児休業を2回分割する場合は、各1回繰上げ変更できます。
また、労働者は、事由を問わず、育児休業1回につき、育児休業を終了する日を1回は繰下げ変更することができることとなっています(法第7条第3項、則第 13 条~17 条)。 1歳までの育児休業を2回分割する場合は、各1回繰下げ変更できます。
④ 4については、事業主は、育児休業期間変更の申出に対し、以下のイ及びロの事項を通知しなければならないこととされています(則第 13 条第2項、則第 17 条第2項)。
イ 育児休業期間変更の申出を受けた旨
ロ 育児休業開始予定日(法第7条第2項の規定により事業主が開始日の指定をする場合には、その指定日)及び終了予定日
⑤ 5(1)の「子を養育しないこととなった場合」は、子の死亡のほか、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 21 条)を想定しています。また、 5(1)~(4)のほか、労働者の意思によらず休業を終了することとする事項を加えることは、原則としてできません。
★ 育児休業の開始日の繰上げ及び終了日の繰下げ変更は、法律では最低基準として各1回を限度と
していますが、会社の規定で2回以上の変更ができるように定めることは法律を上回る措置として差し支えありません。また、開始日又は終了日の変更の申出が、法律で最低基準として定められている申出期限(※)を切っても労働者の希望どおりに変更する等、労働者にとって有利になるよう
に取り扱うことは差し支えありません。
(※)開始日の繰上げ変更:1週間前
終了日の繰下げ変更:1か月前 1歳6か月又は2歳までの
育児休業の場合は2週間前
★ 育児・介護休業法では、育児休業を開始する日の繰下げ変更や育児休業を終了する日の繰上げ変
更のような休業期間の短縮等は、労働者の申出だけでは当然にはできません。このような場合は、短縮等を希望する労働者と事業主とでよく話し合ってどうするかを決めることになります。労働者が希望した場合には休業期間を変更できる旨の取決めやその手続等をあらかじめ就業規則等で明記
しておくことが望ましいと考えられます。
2 出生時育児休業(産後パパ育休)
xxx① 《有期雇用労働者のすべてを出生時育児休業の対象とする例》
(出生時育児休業の対象者)第 6 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、産後休業をしておらず、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から 8 週間以内の子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより出生時育児休業をすることができる。
ケース② 《法に基づき一定範囲の有期雇用労働者を出生時育児休業の対象から除外する例》
(出生時育児休業の対象者)第 6 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、産後休業をしておらず、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から 8 週間以内の子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより出生時育児休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から起算して 8 週間を経過する日の翌日から 6 か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り、出生時育児休業をすることができる。
xxx③ 《法に基づき一定範囲の有期雇用労働者と労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
(出生時育児休業の対象者)第 6 条
1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、産後休業をしておらず、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から 8 週間以内の子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより出生時育児休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から 8 週間を経過する日の翌日から 6 か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り、出生時育児休業をすることができる。
2 前項にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒むことができる。一 入社 1 年未満の従業員
二 申出の日から 8 週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
解
説
① 法に基づく出生時育児休業(通称「産後パパ育休」)は、期間を定めて雇用される者(有期雇用労働者)には要件を課して適用されています。しかしながら、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、その要件を満たしているか否かにかかわらず、出生時育児休業を含む育児休業の対象となります(指針)。
対象となりうる有期雇用労働者が多く在籍する事業所においては、有期雇用労働者全員を対象とするケース①のような規定を設けることが考えられるでしょう。
なお、パートタイマーなどの名称で働いていたり、1日の労働時間が他の正社員よりも短い者であっても、期間の定めのない労働契約の下で働いている場合は、法に基づく出生時育児休業の対象となるため、「パートタイマーは出生時育児休業をすることはできない」等の定めをすることはできません。
出生時育児休業の対象となる有期雇用労働者とは、申出時点において、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない労働者です(法第9条の2第1項)。左のケース②の規定例はこれに対応しています。
上記に該当する有期雇用労働者は出生時育児休業をすることができるので、有期雇用労働者が在籍する事業所においては、このことについて、あらかじめ明らかにしておきましょう。また、出生時育児休業中の有期雇用労働者が労働契約を更新する際、労働者が引き続き休業することを希望する場合には、再度の申出が必要となります。
産後休業をしていない従業員とは、主に男性が対象になりますが、養子等の場合は女性も対象となります。
② 出生時育児休業等の対象となる「子」の範囲は、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のほか、特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子、養子縁組里親に委託されている子、当該労働者を養子縁組里親として委託することが適当と認められているにもかかわらず、実親等が反対したことにより、当該労働者を養育里親として委託された子も含みます。
③ 出生時育児休業をすることができないこととする労使協定があれば、以下の労働者については、対象から除外することができます(法第9条の3第2項、則第 21 条の3)。左のケース③の規定例はこれに対応しています。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
(出生時育児休業の申出の手続等)第 7 条
1 出生時育児休業をすることを希望する従業員は、原則として出生時育児休業を開始しようとする日
(以下「出生時育児休業開始予定日」という。)の 2 週間前【雇用環境整備の取組実施について労
使協定を締結している場合は 2 週間超 1 か月以内で、労使協定で定める期限を記載してください】までに出生時育児休業申出書(社内様式 1)を人事部労務課に提出することにより申し出るものとする。なお、出生時育児休業中の有期雇用従業員が労働契約を更新するに当たり、引き続き休業を希望する場合には、更新された労働契約期間の初日を出生時育児休業開始予定日として、出生時育児休業申出書により再度の申出を行うものとする。
2 第 6 条第 1 項に基づく休業の申出は、xxにつき 2 回に分割できる。ただし、2 回に分割する場合
は 2 回分まとめて申し出ることとし、まとめて申し出なかった場合は後の申出を拒む場合がある。
3 会社は、出生時育児休業申出書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4 出生時育児休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該出生時育児休業申出書を提出した者(以下この章において「出生時育休申出者」という。)に対し、出生時育児休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
5 申出の日後に申出に係る子が出生したときは、出生時育休申出者は、出生後 2 週間以内に人事部労務課に出生時育児休業対象児出生届(社内様式 3)を提出しなければならない。
解
説
① 1の「原則として」は、出産予定日よりも早く子が出生したこと及び配偶者の死亡等、1週間前に申し出れば希望どおり休めることとなる一定の事由があること等を考慮したものです(法第9条の3第3項)。
② 申出期限は原則2週間前ですが、出生時育児休業の申出が円滑に行われるようにするための雇用環境整備を措置することを労使協定で定めた場合に限り、申出期限を2週間超から1か月以内の範囲内で労使協定で定める期限とすることができます(法第9条の3第4項)。定める措置は、次の1
~3すべて(則第 21 条の7)。
1 以下イ~ホのうち、2つ以上の措置を講じること。
イ その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施ロ 育児休業に関する相談体制の整備
ハ その雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及びその雇用する労働者に対する当該事例の提供
ニ その雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知
ホ 育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置
2 育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること。
3 育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと。
③ 出生時育児休業申出は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、ファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です
(則第 21 条の2第2項)。
④ 「人事部労務課」と提出先を明記したのは、「申出」の日を特定するのに争いが起こることのないように配慮したものです。事務所が数多くある大企業などは、労働者の便宜のため文書の提出先を各事業所ごとに決めることが望ましいと考えられます。
⑤ 1のなお書は、有期雇用労働者が労働契約の更新に伴い更新後の期間について、引き続き出生時育児休業をしようとする場合には、再度の出生時育児休業の申出が必要であることに対応しています。また、この場合、申出の回数制限等の対象とはされないことになっています(法第9条の2第
4項)。なお、この場合については、労使協定で除外される労働者となっていても、事業主は申出を拒むことはできません(法第9条の3第5項)。
⑥ 出生時育児休業を2回に分割して取得する際にまとめて申し出ない場合は、事業主は後からなされた申出を拒むことができますが(法第9条の3第1項ただし書)、2回に分けての申出を可能としても差し支えありません。
⑦ 出生時育児休業は育児休業と異なり、法令では再度の休業の規定はありません(上記⑤を除く)。
⑧ 3の「各種証明書」は、申出書記載事項に係る事実を証明できるもので労働者が提出できるもので足りることとすべきでしょう。なお、証明書の提出がないことを理由に休業を認めないとすることはできません。
⑨ 4の「出生時育児休業取扱通知書」は、事業主が、出生時育児休業申出に対し、以下のイ~ハの事項を通知しなければならないこととされていることに対応したものです(則第 21 条の2第2項)。
「出生時育児休業取扱通知書」にこれらの事項のみを盛り込むことでも差し支えありません。イ 出生時育児休業申出を受けた旨
ロ 出生時育児休業開始予定日(法第9条の3第3項の規定により事業主が開始日の指定をする場合には、その指定日)及び終了予定日
ハ 出生時育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由
また、事業主は、労働者が出生時育児休業申出をしたときは、労働者に対し、休業中における待遇に関する事項、休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項等に関する取扱いを明示するよう努めなければならない、とされています(法第 21 条の2第2項、社内様式2参照)。
★ 労働者の希望どおりの日から出生時育児休業をするための申出期限について、法律では最低基準として2週間前までとしていますが、会社の規定で申出期限を「1週間前」と定めることや、2週間を切ってからの申請でも希望どおりの日から出生時育児休業を取得させるなど、労働者に有利な取扱いとすることは、法律を上回る措置として差し支えありません。
(出生時育児休業の申出の撤回等)第 8 条
1 出生時育休申出者は、出生時育児休業開始予定日の前日までは、出生時育児休業申出撤回届(社内様式 4)を人事部労務課に提出することにより、出生時育児休業の申出を撤回することができる。
2 出生時育児休業申出撤回届が提出されたときは、会社は速やかに当該出生時育児休業申出撤回届を提出した者に対し、出生時育児休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
3 第 6 条第 1 項に基づく休業の申出の撤回は、撤回 1 回につき 1 回休業したものとみなし、みなし含め 2
回休業した場合は同一の子について再度申出をすることができない。
4 出生時育児休業開始予定日の前日までに、子の死亡等により出生時育休申出者が休業申出に係る子を養育しないこととなった場合には、出生時育児休業の申出はされなかったものとみなす。この場合において、出生時育休申出者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
(出生時育児休業の期間等)第 9 条
1 出生時育児休業の期間は、原則として、子の出生後 8 週間以内のうち 4 週間(28 日)を限度として出生時育児休業申出書(社内様式1)に記載された期間とする。
2 本条第 1 項にかかわらず、会社は、育児・介護休業法の定めるところにより出生時育児休業開始予定日の指定を行うことができる。
3 従業員は、出生時育児休業期間変更申出書(社内様式 5)により人事部労務課に、出生時育児休業開始予定日の 1 週間前までに申し出ることにより、出生時育児休業開始予定日の繰り上げ変更を休業 1 回に
つき 1 回、また、出生時育児休業を終了しようとする日(以下「出生時育児休業終了予定日」という。)
の 2 週間前までに申し出ることにより、出生時育児休業終了予定日の繰り下げ変更を休業 1 回につき 1 回行うことができる。
4 出生時育児休業期間変更申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該出生時育児休業期間変更申出書を提出した者に対し、出生時育児休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
5 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、出生時育児休業は終了するものとし、当該出生時育児休業の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)子の死亡等出生時育児休業に係る子を養育しないこととなった場合
当該事由が発生した日(なお、この場合において本人が出勤する日は、事由発生の日から 2 週間以内であって、会社と本人が話し合いの上決定した日とする。)
(2)子の出生日の翌日又は出産予定日の翌日のいずれか遅い方から 8 週間を経過する場合
子の出生日の翌日又は出産予定日の翌日のいずれか遅い方から 8 週間を経過する日
(3)子の出生日(出産予定日後に出生した場合は、出産予定日)以後に出生時育児休業の日数が
28 日に達したxx
xの出生日(出産予定日後に出生した場合は、出産予定日)以後に出生時育児休業の日数が
28 日に達した日
(4)出生時育休申出者について、産前・産後休業、育児休業、介護休業又は新たな出生時育児休業期間が始まった場合
産前・産後休業、育児休業、介護休業又は新たな出生時育児休業の開始日の前日
6 本条第 5 項第 1 号の事由が生じた場合には、出生時育休申出者は原則として当該事由が生じた日に人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
解
説
① 2については、事業主は、出生時育児休業の撤回の申出に対し、出生時育児休業の撤回の申出を受けた旨を通知しなければならないこととされています(則第 21 条の 13)。
② 4の「子を養育しないこととなった場合」とは、子の死亡のほか、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 21 条の 14)を想定しています。
① 1の「原則として」は、2以降で期間の変更の可能性があることに配慮したものです。
② 子の出生後8週間以内とは、原則として出生日から8週間後までの間となりますが、出産予定日前に子が生まれた場合は出生日から出産予定日の8週間後まで、出産予定日後に子が生まれた場合は出産予定日から出生日の8週間後まで、となります。
③ 2は、労働者が希望どおりの日から休業するためには、原則として「出生時育児休業を開始しようとする日の2週間前」(出生時育児休業の申出を円滑に行える職場環境の整備等について労使協定で締結する場合は、2週間超から1か月の間で労使協定で定める日)までに申し出ることが必要ですが、これより遅れた場合、事業主は一定の範囲で休業を開始する日を指定することができることに対応しています。
指定することのできる日は、労働者が休業を開始しようとする日以後、申出の日の翌日から起算して2週間(前述のとおり労使協定で定める場合は定める日)を経過する日までの間のいずれかの日です(法第9条の3第3項、則第 21 条の5)。
④ 3は、育児・介護休業法では、労働者は出産予定日より早く子が出生した場合及び配偶者の死亡、病気等特別の事情がある場合、休業ごとに1回は出生時育児休業を開始する日を繰上げ変更することができることに対応しています。出生時育児休業を2回分割する場合は、各1回繰上げ変更できます。
また、労働者は、事由を問わず、出生時育児休業を終了する日を1回は繰下げ変更することができます(法第9条の4)。 出生時育児休業を2回分割する場合は、各1回繰下げ変更できます。
⑤ 4については、事業主は、出生時育児休業期間変更の申出に対し、以下のイ及びロの事項を通知しなければならないこととされています(則第 21 条の8、則第 21 条の 12)。
イ 出生時育児休業期間変更の申出を受けた旨
ロ 出生時育児休業開始予定日(法第9条の4の規定により事業主が開始日の指定をする場合には、その指定日)及び終了予定日
⑥ 5(1)の「子を養育しないこととなった場合」は、子の死亡のほか、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 21 条の 20)を想定しています。また、 5(1)~(4)のほか、労働者の意思によらず休業を終了することとする事項を加えることは、原則としてできません。
★ 出生時育児休業の開始日の繰上げ及び終了日の繰下げ変更は、法律では最低基準として各1回を限度としていますが、会社の規定で2回以上の変更ができるように定めることは法律を上回る措置として差し支えありません。また、開始日又は終了日の変更の申出が、法律で最低基準として定められている申出期限(※)を切っても労働者の希望どおりに変更する等、労働者にとって有利にな
るように取り扱うことは差し支えありません。 (※)開始日の繰上げ変更:1週間前
終了日の繰下げ変更:2週間前
★ 育児・介護休業法では、出生時育児休業を開始する日の繰下げ変更や出生時育児休業を終了する日の繰上げ変更のような休業期間の短縮等は、労働者の申出だけでは当然にはできません。このような場合は、短縮等を希望する労働者と事業主とでよく話し合ってどうするかを決めることになります。労働者が希望した場合には休業期間を変更できる旨の取決めやその手続等をあらかじめ就業規則等で明記しておくことが望ましいと考えられます。
xxx 《出生時育児休業中の就業を可能とする例》
(出生時育児休業中の就業)第 9 条の 2
1 出生時育児休業中に就業することを希望する従業員は、出生時育児休業中の就業可能日等申出書
(社内様式 15)を休業開始予定日の1週間前までに人事部労務課に提出すること。なお、1 週間を切っても休業前日までは提出を受け付ける。
2 会社は、前項の申出があった場合は、申出の範囲内の就業日等を申出書を提出した従業員に対して提示する(社内様式 17)。就業日がない場合もその旨通知する。従業員は提示された就業日等について、出生時育児休業中の就業日等の同意・不同意書(社内様式 18)を人事部労務課に提出すること。休業前日までに同意した場合に限り、休業中に就業することができる。会社と従業員の双方が就業日等に合意したときは、会社は速やかに出生時育児休業中の就業日等通知書(社内様式 20)を交付する。
3 出生時育児休業中の就業上限は、次のとおりとする。
一 就業日数の合計は、出生時育児休業期間の所定労働日数の半分以下(一日未満の端数切り捨て)
二 就業日の労働時間の合計は、出生時育児休業期間の所定労働時間の合計の半分以下
三 出生時育児休業開始予定日又は出生時育児休業終了予定日に就業する場合は、当該日の所定労働時間数に満たない時間
4 本条第 1 項の申出を変更する場合は出生時育児休業中の就業可能日等変更申出書(社内様式 15)を、撤回する場合は出生時育児休業中の就業可能日等申出撤回届(社内様式 16)を休業前日までに人事部労務課に提出すること。就業可能日等申出撤回届が提出された場合は、会社は速やかに申出が撤回されたことを通知する(社内様式 17)。
5 本条第 2 項で同意した就業日等を全部又は一部撤回する場合は、出生時育児休業中の就業日等撤回届(社内様式 19)を休業前日までに人事部労務課に提出すること。出生時育児休業開始後は、次に該当する場合に限り、同意した就業日等の全部又は一部を撤回することができる。出生時育児休業中の就業日等撤回届が提出されたときは、会社は速やかに出生時育児休業中の就業日等通知書(社内様式 20)を交付する。
一 出生時育児休業申出に係る子の親である配偶者の死亡
二 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害その他これらに準ずる心身の状況により出生時育児休業申出に係る子を養育することが困難な状態になったこと
三 婚姻の解消その他の事情により配偶者が出生時育児休業申出に係る子と同居しないこととなったこと
四 出生時育児休業申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害その他これらに準ずる心身の状況により、2 週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき
解
説
① 出生時育児休業中の就業を可能とするには、出生時育児休業中に就業させることができる労働者について労使協定を締結しなければなりません(法第9条の5第2項)。事業主が出生時育児休業中の就業を認めない場合は、労使協定の締結も、左記第9条の2の規定も不要です。
② 1について、就業日の調整時間を考慮して、例では1週間前までの提出としていますが、法律では休業前日まで申出できることになっているため、後段で前日まで申出を受け付けることを記載しています。なお、労働者から申出があれば、必ず就業させなければならないものではありません。
③ 休業中は就業しないことが原則であり、出生時育児休業期間中の就業について、事業主から労働者に対して就業可能日等の申出を一方的に求めることや、労働者の意に反するような取扱いを行ってはいけません(指針)。休業中の就業希望を申し出なかったこと、就業日等の提示に対して同意しなかったこと等を理由として解雇その他不利益な取扱いを行うことは禁止されています(法第 10
条、則第 22 条の2)。
④ 就業可能日等の申出は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、ファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です
(則第 21 条の 15 第2項)。
⑤ 2は、就業可能日等の申出があった場合は事業主は速やかに就業日等の提示をしなければならないこと、提示した就業日等に労働者が同意した場合は事業主は速やかに就業させることとした日等を通知しなければならないことに対応しています(則第 21 条の 15 第4項、則第 21 条の 16 第3項)。
⑥ 出生時育児休業中の就業には就業日数等の上限があります(則第 21 条の 17)。
⑦ 労働者からの就業可能日等の申出変更・撤回、一度同意した就業日等の全部又は一部撤回は、事由を問わず出生時育児休業開始前日まで行えます。休業開始後は、特別な事情がなければ撤回できませんが、事業主が厚生労働省令(則第 21 条の 19)で定める事由よりも幅広く撤回を認めることは差し支えありません。特別な事情がない撤回については、事業主と労働者で話し合ってください。
第3章 介護休業制度
ケース① 《有期雇用労働者のすべてを介護休業の対象とする例》
(介護休業の対象者)第 10 条
1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、この規則に定めるところにより介護休業をすることができる。
ケース② 《法に基づき一定範囲の有期雇用労働者を介護休業の対象から除外する例》
(介護休業の対象者)第 10 条
1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、この規則に定めるところにより介護休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、介護休業を開始しようとする日(以下、「介護休業開始予定日」という。)から 93 日経過日から 6 か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り、介護休業をすることができる。
xxx③ 《法に基づき一定範囲の有期雇用労働者と労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
(介護休業の対象者)第 10 条
1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、この規則に定めるところにより介護休業をすることができる。ただし、有期雇用従業員にあっては、申出時点において、介護休業を開始しようとする日(以下、「介護休業開始予定日」という。)から 93 日経過日から 6 か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限り介護休業をすることができる。
2 本条第 1 項にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒むことができる。
一 入社 1 年未満の従業員
ニ 申出の日から 93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
第 10 条(続き)
2 この要介護状態にある家族とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2 週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある次の者をいう。
(1)配偶者
(2)父母
(3)子
(4)配偶者の父母
(5)祖父母、兄弟姉妹又はx
(6)上記以外の家族で会社が認めた者
※ケース③により規定する場合は、上記、「第 10 条(続き)2」は、「第 10 条(続き)3」となります。
解
説
① 法に基づく介護休業は、期間を定めて雇用される者(有期雇用労働者)には要件を課して適用されています。しかしながら、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、その要件を満たしているか否かにかかわらず、介護休業の対象となります(指針。5頁解説①参照)。
対象となりうる有期雇用労働者が多く在籍する事務所においては、有期雇用労働者全員を対象とするケース①のような規定を設けることが考えられるでしょう。
介護休業の対象となる有期雇用労働者とは、申出時点において、介護休業開始予定日から 93 日経過日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない労働者です(法第 11 条第1項)。左のケース②の規定例はこれに対応しています。
有期雇用労働者については上記に該当すれば、介護休業をすることができるので、有期雇用労働者が在籍する事務所においては、このことについて、あらかじめ明らかにしておきましょう。また、介護休業中の有期雇用労働者が労働契約を更新する際、労働者が引き続き休業することを希望する場合には、再度の申出が必要となります。
② 介護休業をすることができないこととする労使協定があれば、以下の労働者については、対象から除外することができます(法第 12 条第2項、則第 24 条)。左のケース③の規定例はこれに対応しています。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から 93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
③ 第2条の育児休業制度の解説(5頁解説④参照)でも述べたように、労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定をいいます。
④ 第 10 条2(3)は、育児休業等の「子」の範囲(5頁解説②参照)と異なり、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のみです。
⑤ 第 10 条2(6)は、育児・介護休業法に定める最低基準を上回る部分です。
<重要>
★ 法に基づく介護休業制度の「要介護状態」とは、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」のこと指します。「常時介護が必要な状態」の判断基準は、下記の判断基準を参照してください。
なお、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を制度利用の条件とすることはできませんのでご注意ください。
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/000000000.xxxx
(「介護休業制度」をご覧ください。)
(介護休業の申出の手続等)第 11 条
1 介護休業をすることを希望する従業員は、原則として介護休業開始予定日の 2 週間前までに、介護休業申出書(社内様式 6)を人事部労務課に提出することにより申し出るものとする。なお、介護休業中の有期雇用従業員が労働契約を更新するに当たり、引き続き休業を希望する場合には、更新された労働契約期間の初日を介護休業開始予定日として、介護休業申出書により再度の申出を行うものとする。
2 申出は、対象家族 1 人につき 3 回までとする。ただし、本条第1項の後段の申出をしようとする場合にあっては、この限りでない。
3 会社は、介護休業申出書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4 介護休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該介護休業申出書を提出した者(以下この章において「申出者」という。)に対し、介護休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
解
説
① 従業員は、介護休業を開始しようとする日の2週間前までに申し出れば希望どおり休めます。
② 介護休業申出は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望によりファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です(則第 23 条第2項)。
③ 第3条の育児休業制度の解説(9頁)でも述べたように、「人事部労務課」と提出先を明記したのは、「申出」の日を特定するのに争いが起こることのないように配慮したものです。事務所が数多くある大企業などは、労働者の便宜のため文書の提出先を各事業所ごとに決めることが望ましいと考えられます。
④ 1のなお書は、有期雇用労働者が労働契約の更新に伴い更新後の期間について、引き続き介護休業をしようとする場合には、再度の介護休業の申出が必要であることに対応しています。また、この場合、申出の回数制限等の対象とはされないことになっています(法第 11 条第4項)。なお、この場合については、労使協定で除外される労働者となっていても、事業主は申出を拒むことはできません(法第 12 条第4項)。
⑤ 3の「各種証明書」は、申出書記載事項に係る事実を証明できるもので労働者が提出できるもので足りることとすべきでしょう。なお、証明書の提出がないことを理由に休業を認めないとすることはできません。
⑥ 4の「介護休業取扱通知書」は、事業主が、介護休業申出に対し、以下のイ~ハの事項を通知しなければならないこととされていることに対応したものです(則第 23 条第2項)。「介護休業取扱通知書」にこれらの事項のみを盛り込むことでも差し支えありません。
イ 介護休業申出を受けた旨
ロ 介護休業開始予定日(法第12 条第3項の規定により事業主が開始日の指定をする場合には、その指定日)及び終了予定日
ハ 介護休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由
また事業主は、労働者が介護休業申出をしたときは、労働者に対し、休業中における待遇に関する事項、休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項等に関する取扱いを明示するよう努めなければならない、とされています(法第 21 条の2第2項、社内様式2参照)。
★ 労働者の希望どおりの日から介護休業をするための申出期限について、法律では最低基準として2週間前までとしていますが、会社の規定で申出期限を「1週間前」と定めることや、2週間を切ってからの申請でも希望どおりの日から介護休業を取得させるなど、労働者に有利な取扱いとすることは、法律を上回る措置として差し支えありません。
(介護休業の申出の撤回等)第 12 条
1 申出者は、介護休業開始予定日の前日までは、介護休業申出撤回届(社内様式 4)を人事部労務課に提出することにより、介護休業の申出を撤回することができる。
2 介護休業申出撤回届が提出されたときは、会社は速やかに当該介護休業申出撤回届を提出した者に対し、介護休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
3 同一対象家族について 2 回連続して介護休業の申出を撤回した者について、当該家族について再
度の申出はすることができない。ただし、会社がこれを適当と認めた場合には、申し出ることができるものとする。
4 介護休業開始予定日の前日までに、申出に係る家族の死亡等により申出者が家族を介護しないこととなった場合には、介護休業の申出はされなかったものとみなす。この場合において、申出者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
(介護休業の期間等)第 13 条
1 介護休業の期間は、対象家族 1 人につき、原則として、通算 93 日の範囲内で、介護休業申出書
(社内様式 6)に記載された期間とする。
2 本条第 1 項にかかわらず、会社は、育児・介護休業法の定めるところにより介護休業開始予定日の指定を行うことができる。
3 従業員は、介護休業期間変更申出書(社内様式 5)により、介護休業を終了しようとする日(以下
「介護休業終了予定日」という。)の 2 週間前までに人事部労務課に申し出ることにより、介護休業終了予定日の繰下げ変更を行うことができる。
この場合において、介護休業開始予定日から変更後の介護休業終了予定日までの期間は通算 93
日の範囲を超えないことを原則とする。
4 介護休業期間変更申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該介護休業期間変更申出書を提出した者に対し、介護休業取扱通知書(社内様式 2)を交付する。
5 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、介護休業は終了するものとし、当該介護休業の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)家族の死亡等介護休業に係る家族を介護しないこととなった場合
当該事由が発生した日(なお、この場合において本人が出勤する日は、事由発生の日から 2 週間以内であって、会社と本人が話し合いの上決定した日とする。)
(2)申出者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は新たな介護休業が始まった場合
産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は新たな介護休業の開始日の前日
6 本条第 5 項第 1 号の事由が生じた場合には、申出者は原則として当該事由が生じた日に人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
解
説
① 2については、事業主は、介護休業の撤回の申出に対し、介護休業の撤回の申出を受けた旨を通知しなければならないこととされています(則第 29 条)。
② 3について、同一対象家族について2回連続して申出を撤回した場合、事業主はその後の当該家族についての申出を拒むことができますが(法第 14 条第2項)、会社が適当と認めた場合に申し出ることができるとすることは、育児・介護休業法に定める最低基準を上回る部分です。
③ 4の「申出者が家族を介護しないこととなった場合」とは、対象家族の死亡のほか、離婚、婚姻の解消、離縁等により対象家族と労働者との親族関係の消滅等(則第 30 条)を想定しています。
① 休業できる回数は、対象家族1人につき3回まで、また、休業できる日数は、対象家族1人につき通算して 93 日までです。
なお、1及び3において「原則」という文言を入れたのは、要介護状態にある家族の状態、施設入所の見込み、労働者の困窮度、職場の状態等を総合的に勘案して更に期間を延長する可能性や、
2以降で期間の変更の可能性があることに配慮したものです。
② 2は、労働者が希望どおりの日から休業するためには、原則として「介護休業を開始しようとする日の2週間前」までに申し出ることが必要ですが、これより遅れた場合、事業主は一定の範囲で休業を開始する日を指定することができることに対応しています。
指定することのできる日は、労働者が休業を開始しようとする日以後、申出の日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間のいずれかの日です(法第 12 条第3項、則第 26 条)。
③ 3については、育児・介護休業法では、労働者は事由を問わず、介護休業を終了する日を1回は繰下げ変更できることとなっています(法第 13 条、則第 27 条)。
④ 4については、事業主は、介護休業期間変更の申出に対し、以下のイ及びロの事項を通知しなければならないこととされています(則第 28 条)。
イ 介護休業期間変更の申出を受けた旨ロ 介護休業開始予定日及び終了予定日
⑤ 5(1)の「介護休業に係る家族を介護しないこととなった場合」とは、対象家族の死亡のほか、離婚、婚姻の解消、離縁等による対象家族と労働者との親族関係の消滅等(則第 31 条)を想定していますが、具体的に明記することも可能です。
★ 介護休業の終了日の繰下げ変更は、法律では最低基準として介護休業1回につき1回の変更を限度としていますが、会社の規定で2回以上の変更ができるように定めることは法律を上回る措置として差し支えありません。また、終了日の変更の申出が2週間を切っても労働者の希望どおりに変更する等、労働者にとって有利になるように取り扱うことは差し支えありません。
★ 育児・介護休業法では、介護休業を開始する日の繰上げ・繰下げ変更や介護休業を終了する日の繰上げ変更は、労働者の申出だけでは当然にはできません。このような場合は、変更を希望する労働者と事業主とでよく話し合ってどうするかを決めることになります。労働者が希望した場合には休業期間を変更できる旨の取決めやその手続等をあらかじめ就業規則等で明記しておくことが望ましいと考えられます。
第4x xの看護休暇
ケース①《労働者のすべてを対象とする例》
(子の看護休暇)第 14 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき 5 日、2 人以
上の場合は 1 年間につき 10 日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の 1
年間とは、4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。
2 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。
3 取得しようとする者は、原則として、子の看護休暇申出書(社内様式 7)を事前に人事部労務課に申し出るものとする。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。※
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、労務提
供のなかった時間に対応する賞与は支給しない。※
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間を通常の勤務をしているものとみなす。※
※次頁の⑨参照
ケース②《労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
(子の看護休暇)第 14 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が 1 人の場合は 1 年間につき 5 日、2 人
以上の場合は 1 年間につき 10 日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の
1 年間とは、4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。ただし、事業主は労使協定によって除外された次の従業員からの子の看護休暇の申出は拒むことができる。
一 入社 6 か月未満の従業員
ニ 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
2~6(略)
xxx③《入社 6 か月未満の従業員が一定の日数を取得できるようにする例》
(子の看護休暇)第 14 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇い従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が 1 人の場合は1 年間につき 5 日、2 人
以上の場合は 1 年間につき 10 日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の
1 年間とは、4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。ただし、事業主は労使協定によって除外された次の従業員からの看護休暇の申出を拒むことができる。
一 入社 6 か月未満の従業員
二 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
2 前項ただし書の入社 6 か月未満の従業員について、事業主は 6 か月を経過するまでの間において
○日の子の看護休暇を付与する。先に付与した日数分は、6 か月経過時後に取得できる当該子の人数に応じた日数から差し引くことができる。
3~7 (略)
◎ケース③により規定する場合は、上記、「第 14 条 2~6 」は、「第 14 条 3~7 」となります。
解
説
① 小学校就学前の子を養育する労働者が申し出た場合、事業主は、労働者1人につき、子が1人の場合は1年度に5日まで、2人以上の場合は1年度に 10 日まで、病気・けがをした子の看護のために、又は子に予防接種や健康診断を受けさせるために休暇を取得させる必要があり、業務の繁忙等を理由に拒むことはできません(法第 16 条の2第1項、第 16 条の3)。
② 子の看護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます。左のケース①の規定例はこれに対応しています。ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者として、労使協定の締結により除外された者については、時間単位での取得はできません(法第 16 条の3第
2項、則第 34 条)。
③ 法令で求められているのは、いわゆる「中抜け」なしの時間単位休暇です。既に「中抜け」できる看護休暇を導入している企業が「中抜け」なしの休暇とすることは、労働者にとって不利益な変更になります。また、これまで半日単位での休暇が認められていた労働者を改正後に日単位での取得しか認めないとすることも不利益な労働条件の変更になります。
④ 子の看護休暇の申出ができないものとする労使協定があれば、勤続6か月未満の労働者及び週の所定労働日数が2日以下の労働者については対象外とすることができます(法第 16 条の3第2項)。前頁のケース②の規定例は、これに対応しています。
なお、子の看護休暇について、労使協定の締結をする場合であっても、事業主の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、勤続年数期間の短い労働者であっても一定の日数については、取得ができるようにすることが望ましいものとして、配慮することとなっています(指針)。前頁のケース③の規定例は、これに対応しています。
また、除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
この他の労働者(例えば、配偶者が専業主婦(夫)である労働者、有期雇用労働者、夫婦とも同じ会社に勤めている場合等)を対象外とすることはできません。
⑤ 「1年度」とは、事業主が特に定めをしない場合には、毎年4月1日から翌年3月 31 日までとなります。事業所の実情にあわせて「1月1日~12 月 31 日」のような定めをしても差し支えありません。
子の看護休暇の付与日数は、申出時点の子の人数で判断されます。
対象となる子が2人以上いる場合には、子1人につき5日間までしか取得できないものではなく、同一の子について 10 日間取得することも可能とする必要があります。
⑥ 事業主は、労働者の子の症状、労働者の勤務の状況等が様々であることに対応し、始業の時刻から連続せず、かつ、終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇の取得(いわゆる「中抜け」)を認めること、時間単位での休暇の取得が困難と認められる業務に従事する労働者であっても半日単位での休暇の取得を認めること等制度の弾力的な利用が可能となるように配慮してください(指針)。
⑦ 子どもが急に熱を出したとき等突発的な事態に対応できるよう、休暇取得当日の申出も認められます。また、文書等でなく口頭での申出も認めなければなりません。
⑧ 子の看護休暇申出書(社内様式7)の様式を定め、提出を求める場合には、事後となっても差し支えないこととする必要があります。
⑨ 前頁のケース①の4~6については、様々な内容が考えられます。勤務しなかった時間について賃金を支払わないことは差し支えありませんが、勤務しなかった時間数を超えて賃金を減額したり、賞与、昇給等で不利益な算定を行うことは禁止されています(法第 16 条の4)。
<労働基準法に基づく年次有給休暇の時間単位付与について>
★ 年次有給休暇は、週所定労働日数や週所定労働時間数に応じて付与され、どのように利用するかは労働者の自由です。年次有給休暇の取得は原則1日単位ですが、会社と労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)が協定を結ぶことで、年5日の範囲内で時間単位での取得が可能となります。子育て、介護など様々な事情に応じて柔軟な休暇制度として導入・利用をご検討ください。
第5章 介護休暇
ケース①《労働者のすべてを対象とする例》
(介護休暇)第 15 条
1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が 1 人の場合は 1 年間につき 5 日、2 人以上の場合
は 1 年間につき 10 日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の 1 年間とは、4
月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。
2 介護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。
3 取得しようとする者は、原則として、介護休暇申出書(社内様式 7)を事前に人事部労務課に申し出るものとする。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。※
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、労務提供のなかった時間に対応する賞与は支給しない。※
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間を通常の勤務をしているも
のとみなす。※
※次頁の⑨参照
ケース②《労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
(介護休暇)第 15 条
1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が 1 人の場合は 1 年間につき 5 日、2 人以上の場合
は 1 年間につき 10 日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の 1 年間とは、4
月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。ただし、事業主は労使協定によって除外された次の従業員からの介護休暇の申出は拒むことができる。
一 入社 6 か月未満の従業員
ニ 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
2~6 (略)
xxx③《入社 6 か月未満の従業員が一定の日数を取得できるようにする例》
(介護休暇)第 15 条
1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が 1 人の場合は 1 年間につき 5 日、2 人以上の場合
は 1 年間につき 10 日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の 1 年間とは、4
月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。ただし、事業主は労使協定によって除外された次の従業員からの介護休暇の申出を拒むことができる。
一 入社 6 か月未満の従業員
二 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
2 前項ただし書の入社 6 か月未満の従業員について、事業主は 6 か月を経過するまでの間において
○日の介護休暇を付与する。先に付与した日数分は、6 か月経過時後に取得できる当該家族の人数に応じた日数から差し引くことができる。
3~7 (略)
◎ケース③により規定する場合は、上記、「第 15 条 2~6 」は、「第 15 条 3~7 」となります。
解
説
① 要介護状態にある家族の介護その他の世話を行う労働者が申し出た場合、事業主は、労働者1人につき、対象家族が1人の場合は1年度に5日まで、2人以上の場合は1年度に 10 日まで、当該世話を行うための休暇を取得させる必要があり、業務の繁忙等を理由に拒むことはできません(法第 16 条の5第1項、第 16 条の6)。
※ 要介護状態の考え方は介護休業と同じです。詳しくは 21 頁を参照してください。
② 介護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます。左のケース①の規定例はこれに対応しています。ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者として、労使協定の締結により除外された者については、時間単位での取得はできません(法第 16 条の6第2
項、則第 40 条)。
③ 法令で求められているのは、いわゆる「中抜け」なしの時間単位休暇です。既に「中抜け」できる介護休暇を導入している企業が「中抜け」なしの休暇とすることは、労働者にとって不利益な変更になります。また、これまで半日単位での休暇が認められていた労働者を改正後に日単位での取得しか認めないとすることも不利益な労働条件の変更になります。
④ 介護休暇の申出をできないものとする労使協定があれば、勤続6か月未満の労働者及び週の所定労働日数が2日以下の労働者については対象外とすることができます(法第 16 条の6第2項)。前頁のケース②の規定例は、これに対応しています。
なお、介護休暇について、労使協定の締結をする場合であっても、事業主の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、勤続年数期間の短い労働者であっても一定の日数については、取得ができるようにすることが望ましいものとして、配慮することとなっています(指針)。前頁のケース③の規定例は、これに対応しています。
また、除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
この他の労働者(例えば、配偶者が専業主婦(夫)である労働者や有期雇用労働者、夫婦とも同じ会社に勤めている場合等)を対象外とすることはできません。
⑤ 「1年度」とは、事業主が特に定めをしない場合には、毎年4月1日から翌年3月 31 日までとなります。事業所の実情にあわせて「1月1日~12 月 31 日」のような定めをしても差し支えありません。
介護休暇の付与日数は、申出時点の要介護状態にある家族の人数で判断されます。
対象となる家族が2人以上いる場合には、家族一人につき5日間までしか取得できないものではなく、同一の家族について 10 日間取得することも可能とする必要があります。
⑥ 事業主は、要介護状態にある対象家族の介護の状況、労働者の勤務の状況等が様々であることに対応し、始業の時刻から連続せず、かつ、終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇の取得(いわゆる「中抜け」)を認めること、時間単位での休暇の取得が困難と認められる業務に従事する労働者であっても半日単位での休暇の取得を認めること等制度の弾力的な利用が可能となるように配慮してください(指針)。
⑦ 突発的な事態に対応できるよう、休暇取得当日の申出も認められます。また、文書等でなく口頭での申出も認めなければなりません。
⑧ 介護休暇申出書(社内様式7)の様式を定め、提出を求める場合には、事後となっても差し支えないこととする必要があります。
⑨ 前頁のケース①の4~6については、様々な内容が考えられます。なお、勤務しなかった時間について賃金を支払わないことは差し支えありませんが、勤務しなかった時間数を超えて賃金を減額したり、賞与、昇給等で不利益な算定を行うことは禁止されています(法第 16 条の7)。
⑩ 子の看護休暇と介護休暇とを合わせて「子の看護・介護休暇」として制度を定める方法も考えられます。
<労働基準法に基づく年次有給休暇の時間単位付与について>
★ 年次有給休暇は、週所定労働日数や週所定労働時間数に応じて付与され、どのように利用するかは労働者の自由です。年次有給休暇の取得は原則1日単位ですが、会社と労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)が協定を結ぶことで、年5日の範囲内で時間単位での取得が可能となります。子育て、介護など様々な事情に応じて柔軟な休暇制度として導入・利用をご検討ください。
第6章 所定外労働の制限
(育児・介護のための所定外労働の制限)第 16 条
1 3 歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するため、又は要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)が当該家族を介護するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2 請求をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上 1 年以内の期間(以下この条において「制限期間」という。)について、制限を開始しようとする日(以下この条において「制限開始予定日」という。)及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の 1 か月前までに、育児・介護のための所定外労働制限請求書(社内様式 8)を人事部労務課に提出するものとする。この場合において、制限期間は、次条第 3 項に規定する制限期間と重複しないようにしなければならない。
3 会社は、所定外労働制限請求書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4 請求の日後に請求に係る子が出生したときは、所定外労働制限請求書を提出した者(以下この条において「請求者」という。)は、出生後 2 週間以内に人事部労務課に所定外労働制限対象児出生届
(社内様式 3)を提出しなければならない。
5 制限開始予定日の前日までに、請求に係る子又は家族の死亡等により請求者が子を養育又は家族を介護しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、請求者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
6 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、制限期間は終了するものとし、当該制限期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)子又は家族の死亡等制限に係る子を養育又は家族を介護しないこととなった場合当該事由が発生した日
(2)制限に係る子が 3 歳に達した場合
当該 3 歳に達した日
(3)請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は介護休業の開始日の前日
7 本条第 6 項第 1 号の事由が生じた場合には、請求者は原則として当該事由が生じた日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
《労使協定の締結により除外可能な者をすべて除外する例》
2 本条第 1 項にかかわらず、労使協定によって除外された次の従業員からの所定外労働の制限の請求は拒むことができる。
(1)入社 1 年未満の従業員
(2)1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
(3 以降xx繰り下げ)
解
説
① 所定外労働の制限の請求は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、ファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です(則第 45 条第2項、則第 49 条第2項)。
② 2の「原則として」は、制限開始予定日の1か月前までの請求を規定した育児・介護休業法に定める最低基準を上回るものです。
③ 3の「各種証明書」は、請求書記載事項に関わる事実を証明できるもので労働者が提出できるもので足りることとすべきでしょう。
④ 5及び6の「子を養育しないこととなった場合」とは、子の死亡、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 46 条、第 47 条)を、「家族の介護をしないこととなった場合」とは、対象家族
の死亡、請求した労働者と対象家族との親族関係の消滅等(則第 50 条、第 51 条)を想定していますが、具体的に明記することも可能です。
⑤ 所定外労働の制限の請求をできないものとする労使協定があれば、入社1年未満の従業員及び1週間の所定労働日数が2日以下の従業員については対象者から除外することができます(法第 16
条の8第1項、第 16 条の9第1項、則第 44 条、則第 48 条)。したがって、除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、請求があれば当該労働者は対象となります。
第7章 時間外労働の制限
(育児・介護のための時間外労働の制限)第 17 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために請求した場合には、就業規則第◯条の規定及び時間外労働に関する協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1 か月について 24 時間、1 年について 150 時間を超えて時間外労働をさせることはない。
2 本条第 1 項にかかわらず、次の一から三のいずれかに該当する従業員からの時間外労働の制限の請求は拒むことができる。
一 日雇従業員
二 入社 1 年未満の従業員
三 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
3 請求をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上 1 年以内の期間(以下この条において「制限期間」という。)について、制限を開始しようとする日(以下この条において「制限開始予定日」という。)及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の 1 か月前までに、育児・介護のための時間外労働制限請求書(社内様式 9)を人事部労務課に提出するものとする。 この場合において、制限期間は、前条第 2 項に規定する制限期間と重複しないようにしなければならない。
4 会社は、時間外労働制限請求書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5 請求の日後に請求に係る子が出生したときは、時間外労働制限請求書を提出した者(以下この条において「請求者」という。)は、出生後 2 週間以内に人事部労務課に時間外労働制限対象児出生届
(社内様式 3)を提出しなければならない。
6 制限開始予定日の前日までに、請求に係る子又は家族の死亡等により請求者が子を養育又は家族を介護しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、請求者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
7 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、制限期間は終了するものとし、当該制限期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)子又は家族の死亡等制限に係る子を養育又は家族を介護しないこととなった場合当該事由が発生した日
(2)制限に係る子が小学校就学の始期に達した場合子が 6 歳に達する日の属する年度の 3 月 31 日
(3)請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は介護休業の開始日の前日
8 本条第 7 項第 1 号の事由が生じた場合には、請求者は原則として当該事由が生じた日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
解
説
① 本条の「時間外労働」とは、法定労働時間を超える労働のことを想定していますが、所定労働時間を超える労働とすることも可能です。
② 2の時間外労働の制限の請求を拒むことができる労働者は、法第 17 条第1項及び第 18 条第1項
並びに則第 52 条及び第 56 条で定められているものであり、これより広げることは許されません。有期雇用労働者も対象となります。これより狭くして、対象となる労働者の範囲を拡大することも考えられます。
③ 時間外労働の制限の請求は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、ファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です(則第 53 条第2項、第 57 条第2項)。
④ 3の「原則として」は、制限開始予定日の1か月前までの請求を規定した育児・介護休業法に定める最低基準を上回るものです。
⑤ 4の「各種証明書」は、請求書記載事項に関わる事実を証明できるもので労働者が提出できるもので足りることとすべきでしょう。
⑥ 6及び7の「子を養育しないこととなった場合」とは、子の死亡、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 54 条、第 55 条)を、「家族の介護しないこととなった場合」とは、対象家族
の死亡、請求した労働者と対象家族との親族関係の消滅等(則第 58 条、第 59 条)を想定していますが、具体的に明記することも可能です。
第8章 深夜業の制限
(育児・介護のための深夜業の制限)第 18 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために請求した場合には、就業規則第◯条の規定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後 10 時から午前 5 時までの間(以下「深夜」という。)に労働させることはない。
2 本条第1項にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの深夜業の制限の請求は拒むことができる。
一 日雇従業員
二 入社 1 年未満の従業員
三 請求に係る家族の 16 歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する従業員
イ 深夜において就業していない者(1か月について深夜における就業が 3 日以下の者を含む。)であること。
ロ 心身の状況が請求に係る子の保育又は家族の介護をすることができる者であること。
ハ 6 週間(多胎妊娠の場合にあっては、14 週間)以内に出産予定でなく、かつ産後 8 週間以内でない者であること。
四 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員五 所定労働時間の全部が深夜にある従業員
3 請求をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上 6 か月以内の期間(以下この条において「制限期間」という。)について、制限を開始しようとする日(以下この条において「制限開始予定日」という。)及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の 1 か月前までに、育児・介護のための深夜業制限請求書(社内様式 10)を人事部労務課に提出するものとする。
4 会社は、深夜業制限請求書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5 請求の日後に請求に係る子が出生したときは、深夜業制限請求書を提出した者(以下この条において「請求者」という。)は、出生後 2 週間以内に人事部労務課に深夜業制限対象児出生届(社内様式 3)を提出しなければならない。
6 制限開始予定日の前日までに、請求に係る子又は家族の死亡等により請求者が子を養育又は家族を介護しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、請求者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
7 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、制限期間は終了するものとし、当該制限期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)子又は家族の死亡等制限に係る子を養育又は家族を介護しないこととなった場合当該事由が発生した日
(2)制限に係る子が小学校就学の始期に達した場合子が 6 歳に達する日の属する年度の 3 月 31 日
(3)請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は介護休業の開始日の前日
8 本条第 7 項第 1 号の事由が生じた場合には、請求者は原則として当該事由が生じた日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
9 制限期間中の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。
10 深夜業の制限を受ける従業員に対して、会社は必要に応じて昼間勤務ヘ転換させることがある。
解
説
① 2の深夜業の制限の請求を拒むことができる労働者は、法第 19 条第1項及び第 20 条第1項並
びに則第 60 条、第 61 条、第 65 条及び第 66 条で定められているものであり、これより広げることは許されません。有期雇用労働者も対象となります。これより狭くして、対象となる労働者の範囲を拡大することも考えられます。
② 深夜業の制限の請求は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、労働者の希望により、ファックス、電子メール(web メール)、SNS(LINE、Facebook 等)又はイントラネットを経由した専用のブラウザによる申出も可能(ただし、後三者については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る。)とされており、これを具体的に明記することも可能です(則第 62 条第2項、第 67 条第2項)。
③ 3の「原則として」は、制限開始予定日の1か月前までの請求を規定した育児・介護休業法に定める最低基準を上回るものです。
④ 4の「各種証明書」は、請求書記載事項に関わる事実を証明できるもので労働者が提出できるもので足りることとすべきでしょう。
⑤ 6及び7の「子を養育しないこととなった場合」とは、子の死亡、子が養子の場合の離縁や養子縁組の取消等(則第 63 条、第 64 条)を、「家族を介護しないこととなった場合」とは、対象家
族の死亡、請求した労働者と対象家族との親族関係の消滅等(則第 68 条、第 69 条)を想定していますが、具体的に明記することも可能です。
第9章 所定労働時間の短縮措置等
(育児短時間勤務)第 19 条
1 3 歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、就業規則第◯条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。
所定労働時間を午前 9 時から午後 4 時まで(うち休憩時間は、午前 12 時から午後 1 時までの 1
時間とする。)の 6 時間とする(1 歳に満たない子を育てる女性従業員は更に別途 30 分ずつ 2 回の育児時間を請求することができる。)。
2 本条第 1 項にかかわらず、日雇従業員及び 1 日の所定労働時間が 6 時間以下である従業員からの育児短時間勤務の申出は拒むことができる。
3 申出をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上 1 年以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮開始予定日の 1 か月前までに、育児短時間勤務申出書(社内様式 11)により人事部労務課に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、育児短時間勤務取扱通知書(社内様式 13)を交付する。その他適用のための手続等については、第 3 条から第 5 条までの規定(第 3 条第 2 項、第 3 項、
第 4 項及び第 4 条第 3 項を除く。)を準用する。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応する賞与は支給しない。
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。
《労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
2 本条第1項にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申出は拒むことができる。
一 日雇従業員
二 1 日の所定労働時間が 6 時間以下である従業員三 労使協定によって除外された次の従業員
(ア) 入社 1 年未満の従業員
(イ) 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
3~6 (略)
解
説
① 事業主は、3歳までの子を養育する労働者であって現に育児休業(出生時育児休業含む)をしていないものに関して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含む所定労働時間の短縮措置を講じなければなりません(法第 23 条第1項及び則第 74 条第1項)。
ただし、1日の所定労働時間が6時間以下の労働者(変形労働時間制の適用される労働者については、すべての労働日における所定労働時間が6時間以下の労働者)は除きます(則第 72 条)。また、勤続1年未満の労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者及び業務の性質又は業務の実施体制に照らして所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます(法第 23 条第1項、則第 73 条)。
② また、以下の労働者の区分に応じて定める制度又は措置に準じて、必要ないずれかの措置を講じることが事業主の努力義務となっています(法第 24 条第1項)。1の「3歳に満たない子」を「小学校就学の始期に達するまでの子」とすることで努力義務を満たすことができます。
(1) 1歳に満たない子を養育する労働者で育児休業をしていないもの始業時刻変更等の措置(※)
(※)〔1〕フレックスタイム制、〔2〕始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、〔3〕保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与のうちいずれかの措置をいいます。
(2) 1歳から3歳に達するまでの子を養育する労働者
育児休業に関する制度又は始業時刻変更等の措置
なお、1歳6か月までの育児休業ができる場合には、1歳を1歳6か月として、1歳6か月以降の育児休業ができる場合には、1歳6か月を2歳として考える必要があります。
(3) 3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置
③ 4の給与については、次のような規定も考えられます。(所定労働時間8時間を2時間短縮して6時間とする場合)
・ 本制度の適用を受ける間の給与については、給与規定に基づく基本給から 25%を減額した額と諸手当の全額を支給する。
・ 本制度の適用を受ける間の給与については、給与規定に基づく基本給及び○○手当からその
25%を減額した額と○○手当を除く諸手当の全額を支給する。
④ 5の賞与については、次のような規定も考えられます。
・ 賞与は、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、前項に基づき支給される給与を基礎として算定する。(※給与が勤務時間比例で減額されている場合、賞与はその給与を基礎として通常の算定方法で算定すれば勤務時間比例で減額されていることとなる場合が多い。)
・ 賞与は、本制度の適用を理由に減額することはしない。(※成果に基づく賞与の場合、時間比例で減額する必要はない場合も考えられる。)
⑤ 4~6については、育児休業に関する労働条件の取扱いと同様、様々な内容が考えられます。
⑥ 《労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》については、就業規則等に除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該従業員は対象となります。
《労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》のほか、実際に所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する従業員がいる場合には、労使協定を締結することにより、対象から除外することができます。
対象から除外される従業員について、事業主は、代替措置として、(1)育児休業、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、(4)保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、のうちのいずれかの措置を講じなければなりません(法第 23 条第2項、則第 74 条第2項)。
40 頁に、代替措置を講じた場合の規定例を紹介しています。
(介護短時間勤務)第 20 条
1 要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出ることにより、当該家族 1 人当たり利用開始の日から 3 年の間で 2 回までの範囲内で、就業規則第◯条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。
所定労働時間を午前 9 時から午後 4 時まで(うち休憩時間は、午前 12 時から午後 1 時までの 1
時間とする。)の 6 時間とする。
2 本条第 1 項にかかわらず、日雇従業員からの介護短時間勤務の申出は拒むことができる。
3 申出をしようとする者は、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮開始予定日の 2 週間前までに、介護短時間勤務申出書(社内様式 12)により人事部労務課に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、介護短時間勤務取扱通知書(社内様式 13)を交付する。その他適用のための手続等については、第 11 条から第 13 条までの規定を準用する。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応する賞与は支給しない。
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。
《労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
2 本条第 1 項にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの介護短時間勤務の申出は拒むことができる。
一 日雇従業員
二 労使協定によって除外された次の従業員
(ア) 入社1年未満の従業員
(イ) 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の従業員
3~6 (略)
解
説
① 事業主は、(1)短時間勤務の制度、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、(4)労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度のうちのいずれかを講じなければなりません。
介護のための勤務時間短縮等の措置は、介護休業とは別に対象家族1人につき利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上利用できる措置としなければなりません。ただし、①(4)の制度を導入する場合には2回以上の利用ができることは要しません(法第 23 条第3項、則第 74 条第3項)。
ここでは1日の所定労働時間を短縮する短時間勤務制度を導入する例としていますが、次頁以降にその他の制度の規定例を紹介しています。
② 短時間勤務の制度の場合、労働者が就業しつつその家族を介護することを実質的に容易にする内容であることが望ましいものであることに配慮し(指針)、事業所における所定労働時間が8時間の場合は2時間以上、7時間の場合は1時間以上の短縮となるような制度を設けることが望まれます。
③ 勤続1年未満の労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます(法第 23 条第3項、則第 75 条)。したがって、除外する旨を明記していたとしても、実際に労使協定を締結していない場合は、締結するまでは除外できないため、申出があれば当該労働者は対象となります。
④ 4の給与については、次のような規定も考えられます。(所定労働時間8時間を2時間短縮して6時間とする場合)
・ 本制度の適用を受ける間の給与については、給与規定に基づく基本給からその 25%を減額した額と諸手当の全額を支給する。
・ 本制度の適用を受ける間の給与については、給与規定に基づく基本給及び○○手当からその
25%を減額した額と○○手当を除く諸手当の全額を支給する。
⑤ 5の賞与については、次のような規定も考えられます。
・ 賞与は、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、前項に基づき支給される給与を基礎として算定する。(※給与が勤務時間比例で減額されている場合、賞与はその給与を基礎として通常の算定方法で算定すれば勤務時間比例で減額されていることとなる場合が多い。)
・ 賞与は、本制度の適用を理由に減額することはしない。(※成果に基づく賞与の場合、時間比例で減額する必要はない場合も考えられる。)
⑥ 4~6については、介護休業に関する労働条件の取扱いと同様、様々な内容が考えられます。
◯ 育児短時間勤務が困難な業務に従事する従業員を労使協定により対象外とする場合には、その旨就業規則に規定するとともに、その代替措置を規定する必要があります。例えば、次のような規定ぶりが考えられます。これらの規定は、努力義務となっている小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する始業時刻変更等の措置としても利用できます。
《始業・終業時刻の繰上げ・繰下げの例》
(育児のための時差出勤の制度)第 19 条の 2
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員は、申し出ることにより、就業規則第◯条の始業及び終業の時刻について、以下のように変更することができる。
・通常勤務=午前 8 時 30 分始業、午後 5 時 30 分終業
・時差出勤 A=午前 8 時始業、午後 5 時終業
・時差出勤 B=午前 9 時始業、午後 6 時終業
・時差出勤 C=午前 10 時始業、午後 7 時終業
2 本条第 1 項にかかわらず、日雇従業員からの育児のための時差出勤の制度の申出は拒むことができる。
3 申出をしようとする者は、1 回につき、1 年以内の期間について、制度の適用を開始しようとする日及び終了しようとする日並びに時差出勤 A から時差出勤 C のいずれに変更するかを明らかにして、原則として適用開始予定日の 1 か月前までに、育児時差出勤申出書(社内様式◯)により人事部労務課に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、育児時差出勤取扱通知書(社内様式◯)を交付する。その他適用のための手続等については、第 3 条から第 5 条ま
での規定(第 3 条第 2 項、第 3 項、第 4 項及び第 4 条第 3 項を除く。)を準用する。
4 本制度の適用を受ける間の給与及び賞与については、通常の勤務をしているものとし減額しない。
5 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。
《保育施設の設置運営の例》
(事業所内保育施設)第 19 条の 2
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員は、会社が設置する社内保育室を利用することができる。ただし、既に定員に達しているときは、この限りでない。
2 本条第 1 項にかかわらず、日雇従業員は、社内保育室を利用することができない。
3 利用者は、会社に対し食費(実費)を各月◯円支払うものとし、これ以外の社内保育室に関する費用は原則として会社が負担する。
4 社内保育室の利用時間は、原則として平日の午前◯時◯分から午後◯時◯分まで及び土曜日の午前◯時◯分から午後◯時◯分までとし、日曜、祝日及び会社が定めた休日は、閉室とする。
◯ 介護のための勤務時間の短縮等の措置として、1 日の所定労働時間を短縮する「短時間勤務制度」以外に次のような規定ぶりも考えられます。
《始業・終業時刻の繰上げ・繰下げの例》
(介護のための時差出勤の制度)第 20 条
1 要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出ることにより、当該家族 1 人当たり利用開始の日
-40-
から 3 年の間で 2 回までの範囲を原則として、就業規則第◯条の始業及び終業の時刻について、以下のように変更することができる。
・通常勤務=午前 8 時 30 分始業、午後 5 時 30 分終業
・時差出勤 A=午前 8 時始業、午後 5 時終業
・時差出勤 B=午前 9 時始業、午後 6 時終業
・時差出勤 C=午前 10 時始業、午後 7 時終業
2 本条第 1 項にかかわらず、日雇従業員からの介護のための時差出勤の制度の申出は拒むことができる。
3 申出をしようとする者は、制度の適用を開始しようとする日及び終了しようとする日並びに時差出勤 Aから時差出勤 C のいずれに変更するかを明らかにして、原則として、適用開始予定日の 2 週間前までに、介護時差出勤申出書(社内様式◯)により人事部労務課に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、介護時差出勤取扱通知書(社内様式◯)を交付する。その他適用のための手続等については、第 11 条から第 13 条までの規定を準用する。
4 本制度の適用を受ける間の給与及び賞与については、通常の勤務をしているものとし減額しない。
5 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。
《介護サービスの費用の助成の例》
(介護サービス利用の費用助成)第 20 条
1 要介護状態にある家族を介護する従業員は、会社が締結した契約に基づく介護サービス会社による当該家族に係る介護サービス(以下「介護サービス」という。)を利用した際に要した費用について、当該サービスの利用開始の日から 3 年間、会社から助成を受けることができる。
2 本条第 1 項にかかわらず、日雇従業員は、介護サービス利用の費用助成を受けることができない。
3 助成額は、従業員が介護サービスの利用に当たり支払った額の◯分の◯に相当する額とする。助成対象となる介護サービスの利用日数の限度は、年間◯日とする。
4 助成のための申請手続等は、次によるものとする。
(1)助成を希望する者は、原則として助成を希望する介護サービスの利用を開始しようとする日の◯日前までに、介護サービス利用費用助成申請書(社内様式◯)により人事部労務課に申し出なければならない。
(2)介護サービス利用費用助成申請書(社内様式◯)が提出されたときは、会社は、速やかに当該介護サービス利用費用助成申請書を提出した者に対する介護サービス利用費用助成の可否を決定し、通知する。
(3)その他助成のための申請手続き等については、第 11 条から第 13 条までの規定を準用する。
5 助成金の支給は、次によるものとする。
(1)前項により介護サービス利用費用助成を受けることができる旨の通知を受け、介護サービスを利用した者は、利用した当該サービスに係る当月の支払分について、介護サービス利用報告書(社内様式◯)に領収書を添付の上、翌月◯日までに人事部労務課に提出するものとする。
(2)人事部労務課は、前号の介護サービス利用報告書及び領収書を審査の上、当該利用額に係る助
成金を口座振込又は現金にて支払うものとする。
-41-
第 10 ø 育児休業・介護休業等に関する»ラスメࣥࢺ等の㜵£
⦾育児休業・介護休業・その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用について、労働者が事業主に対して相談を行ったこと等を理由とする不利┈取扱いの⚗£及び»ラスメࣥࢺ㜵£のための労働者・事業主の㈐務規定が定められており、»ラスメࣥࢺ㜵£対⟇が義務とな っています。
※セクシ➦アル»ラスメࣥࢺ・パワー»ラスメࣥࢺについても、男女雇用ᶵ会均等法及び労働施⟇⥲合᥎ xxにおいて同様に㜵£対⟇が義務となっています。
※ࢣース①及び③は、育児休業・介護休業等に関する»ラスメࣥࢺにຍえて、ዷፎ・出産に関する»ラス メࣥࢺ、セクシ➦アル»ラスメࣥࢺ及びパワー»ラスメࣥࢺに関する内容も含めた周知例を⤂介してい ます。育児休業・介護休業等に関する»ラスメࣥࢺのみを規定する場合は、ࢣース②をά用ください。
xxxḧ 《就業規則に委任規定を設けた上で、詳細を育児・介護休業等に関する規則に定める例》
(禁止行為)第 21 条
1 すべての従業員は、他の従業員を業務遂行上の対等なパートナーとして認め、職場における健全な秩序ならびに協力関係を保持する義務を負うとともに、職場内において次の第 2 項から第 5 項に掲げる行為をしてはならない。また、自社の従業員以外の者に対しても、これに類する行為を行ってはならない。
2 パワーハラスメント
ḧ殴打、足蹴りするなどの身体的攻撃
➁人格を否定するような言動をするなどの精神的な攻撃
➂自身の意に沿わない従業員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離するなどの人間関係からの切り離し
Ḫ長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で、勤務に直接関係ない作業を命ずるなどの過大な要求
ḫ管理職である部下を退職させるため誰でも遂行可能な業務を行わせるなどの過小な要求
⑥他の従業員の性的指向・性自認や病歴などの機敏な個人情報についての本人の了解を得ずに他の従業員に暴露するなどの個の侵害
3 セクシュアルハラスメント
ḧ性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問・発言
➁わいせつ図画の閲覧、配付、掲示
➂うわさの流布
Ḫ不必要な身体への接触
ḫ性的な言動により、他の従業員の就業意欲を低下せしめ、能力の発揮を阻害する行為
⑥交際・性的関係の強要
⑦性的な言動への抗議又は拒否等を行った従業員に対して、解雇、不当な人事考課、配置転換等の不利益を与える行為
Ḯその他、相手方及び他の従業員に不快感を与える性的な言動
4 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント
ḧ部下の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他不利益な取扱いを示唆する言動
➁部下又は同僚の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用を阻害する言動
➂部下又は同僚が妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置を利用したことによる嫌がらせ等 Ḫ部下が妊娠・出産等したことにより、解雇その他の不利益な取扱いを示唆する言動
ḫ部下又は同僚が妊娠・出産等したことに対する嫌がらせ等
-42-
5 部下である従業員が職場におけるハラスメントを受けている事実を認めながら、これを黙認する上司の行為
(懲戒)
第 22 条 次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める懲戒処分を行う。
①第 21 条第 2 項(①を除く)、第 3 項①~⑤、⑧、第 4 項又は第 5 項の行為を行った場合
就業規則第▽条第 1 項①から④までに定めるけん責、減給、出勤停止又は降格
②前号の行為が再度に及んだ場合、その情状が悪質と認められる場合、第 21 条第 2 項①又は第 21
条第 3 項⑥、⑦の行為を行った場合 就業規則第▽条⑤に定める懲戒解雇
(相談及び苦情への対応)第 23 条
1 職場におけるハラスメントに関する相談窓口は本社及び各事業場で設けることとし、その責任者は人事部長とする。人事部長は、窓口担当者の名前を人事異動等の変更の都度、周知するとともに、担当者に対する対応マニュアルの作成及び対応に必要な研修を行うものとする。
2 職場におけるハラスメントの被害者に限らず、すべての従業員は、パワーハラスメントや性的な言動、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関する就業環境を害する言動に関する相談を相談窓口の担当者に申し出ることができる。
3 対応マニュアルに沿い、相談窓口担当者は相談者からの事実確認の後、本社においては人事部長へ、各事業場においては所属長へ報告する。報告に基づき、人事部長又は所属長は相談者のプライバシーに配慮した上で、必要に応じて行為者、被害者、上司その他の従業員等に事実関係を聴取する。
4 前項の聴取を求められた従業員は、正当な理由なくこれを拒むことはできない。
5 対応マニュアルに沿い、所属長は人事部長に事実関係を報告し、人事部長は、問題解決のための措置として、第 22 条による懲戒の他、行為者の異動等被害者の労働条件及び就業環境を改善するために必要な措置を講じる。
6 相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシーは保護されるとともに、相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いは行わない。
(再発防止の義務)
第 24 条 人事部長は職場におけるハラスメント事案が生じた時は、xxの再徹底及び研修の実施、事案発生の原因の分析等、適切な再発防止策を講じなければならない。
(その他)
第 25 条 性別役割分担意識に基づく言動は、セクシュアルハラスメントの発生の原因や要因になり得ること、また、妊娠・出産・育児休業等に関する否定的な言動は、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景となり得ることから、このような言動を行わないよう注意すること。
<就業規則>
第□条 職場におけるハラスメントの禁止
職場におけるハラスメントについては、第○条(服務規律)及び第△条(懲戒)のほか、詳細は「育児・介護休業等に関する規則」により別に定める。
※就業規則に定めた事項以外にも、相談窓口を設置し、相談窓口の担当者について周知するとともに、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関する制度の利用ができることについて、別途定めた上で周知する必要があります。また、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関する否定的な言動や性別役割分担意識
に基づく言動はハラスメントの発生の原因や背景となり得ることがあることから、このような言動を行わないようにすることについても、周知する必要があります(ケース②でも同様です)。
xxx➁ 《就業規則に委任規定を設けた上で、詳細を育児・介護休業等に関する規則に定める例》
(禁止行為)
第 21 条 すべての従業員は、他の従業員を業務遂行上の対等なパートナーとして認め、職場における健全な秩序ならびに協力関係を保持する義務を負うとともに、職場内において次の各号に掲げる行為をしてはならない。また、自社の従業員以外の者に対しても、これに類する行為を行ってはならない。
ḧ部下の育児・介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他不利益な取扱いを示唆する言動
➁部下又は同僚の育児・介護に関する制度や措置の利用を阻害する言動
➂部下又は同僚が育児・介護に関する制度や措置を利用したことによる嫌がらせ等
Ḫ部下である従業員がḧ—➂の行為を受けている事実を認めながら、これを黙認する上司の行為
(懲戒)
第 22 条 次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める懲戒処分を行う。
ḧ第 21 条ḧ—Ḫの行為を行った場合
就業規則第∇条第1項ḧȞɜḪまでに定めるけん責、減給、出勤停止又は降格
➁前号の行為が再度に及んだ場合、その情状が悪質と認められる場合就業規則第∇条ḫに定める懲戒解雇
(相談及び苦情への対応)第 23 条
1 育児休業・介護休業等に関するハラスメントの相談窓口は本社及び各事業場で設けることとし、その責任者は人事部長とする。人事部長は、窓口担当者の名前を人事異動等の変更の都度、周知するとともに、担当者に対する対応マニュアルの作成及び対応に必要な研修を行うものとする。
2 育児休業・介護休業等に関するハラスメントの被害者に限らず、すべての従業員は育児休業・介護休業等に関する就業環境を害する言動に関する相談を相談窓口の担当者に申し出ることができる。
3 対応マニュアルに沿い、相談窓口担当者は相談者からの事実確認の後、本社においては人事部長へ、各事業場においては所属長へ報告する。報告に基づき、人事部長又は所属長は相談者のプライバシーに配慮した上で、必要に応じて行為者、被害者、上司その他の従業員等に事実関係を聴取する。
4 前項の聴取を求められた従業員は、正当な理由なくこれを拒むことはできない。
5 対応マニュアルに沿い、所属長は人事部長に事実関係を報告し、人事部長は、問題解決のための措置として、第 22 条による懲戒の他、行為者の異動等被害者の労働条件及び就業環境を改善するために必要な措置を講じる。
6 相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシーは保護されるとともに、相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いは行わない。
(再発防止の義務)
第 24 条 人事部長は、育児休業・介護休業等に関するハラスメント事案が生じた時は、xxの再徹底及び研修の実施、事案発生の原因の分析と再発防止等、適切な再発防止策を講じなければならない。
<就業規則>
第☐条 育児休業・介護休業等に関するハラスメントの禁止
育児休業・介護休業等に関するハラスメントについては、第O条(服務規律)及び第Δ条(懲戒)のほか、詳細は「育児・介護休業等に関する規則」により別に定める。
<就業規則>
第O章 服務規律
第O条 従業員は、次のような行為を行ってはならない。
ḧ 他人に不快な思いをさせ、会社の秩序、風紀を乱す行為
➁ 他人の人権を侵害したり、業務を妨害したり、退職を強要する行為
➂ 暴行、脅迫、傷害、賭博又はこれに類する行為及び恥辱等の行為第Δ章 懲戒
(懲戒の事由)
第Δ条 従業員が次のいずれかに該当するときは、その情状により、けん責、減給、出勤停止又は降格とする。
ḧ—ḫ 略
⑥ 第O条(服務規律)ḧ又は➁により風紀を乱したとき
2 従業員が次のいずれかに該当するときは、その情状により、諭旨解雇又は懲戒解雇とする。
ḧ—Ḱ 略
④ 前項⑥により数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず改善の見込みがない場合、又は第O条(服務規律)➂により風紀を乱したとき
ケース➂ 《育児・介護休業等に関する規則に明記するとともに、詳細についてをパンフレットなどで周知する例》
(妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、セクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントの禁止)
第 21 条
1 すべての従業員は妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、セクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントを行ってはならない。
2 本条第1項の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則第O条及び第Δ条に基づき、厳正に対処する。
※パンフレットなどでの周知例は次頁参照
○ ዷፎ・出⏘・育児休業・介護休業等に㛵する\ࣛࢫ࣓ࣥࢺ、kPࢩࣗЫ\ࣛࢫ࣓ࣥࢺ@ࡧ
¾࣡—\ࣛࢫ࣓ࣥࢺに㛵する࿘▱例
ハラスメントは許しません! !
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ಊ式⑤łOOO ͍M፻vłᩋOOO
1 職場におけるハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、労働者の能力の有効な発揮を妨げ、また、会社にとっても職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題です。
性別役割分担意識に基づく言動は、セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景となることがあり、また、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関する否定的な言動は、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景になることがあります。このような言動を行わないよう注意しましょう。また、パワーハラスメントの発生の原因や背景には、労働者同士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題があると考えられますので、職場環境の改善に努めましょう。
2 我が社は下記のハラスメント行為を許しません。また、我が社の従業員以外の者に対しても、これに類する行為を行ってはなりません。(なお、以下のパワーハラスメントについては、優越的な関係を背景として行われたものであることが前提です。)
「就業規則第O条ḧ他人に不快な思いをさせ、会社の秩序、風紀を乱す行為」とは、次のとおりです。
<パワーハラスメント>
ḧ隔離・仲間外し・無視等人間関係からの切り離しを行うこと
➁私的なことに過度に立ち入ること
<セクシュアルハラスメント>
➂性的な冗談、からかい、質問
Ḫわいせつ図画の閲覧、配付、掲示
ḫその他、他人に不快感を与える性的な言動
< 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント>
⑥部下又は同僚が妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置を利用することを阻害する言動
⑦部下又は同僚が妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置を利用したことによる嫌がらせ等
Ḯ部下又は同僚が妊娠・出産等したことによる嫌がらせ等
「就業規則第Oస➁他人の人権を侵害したり、業務を妨害したり、退職を強要する行為」とは次のとおりです。
<パワーハラスメント>
⑨業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害を行うこと
Ḱ業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
<セクシュアルハラスメント>
④性的な噂の流布
④身体への不必要な接触
④性的な言動により社員等の就業意欲を低下させ、能力発揮を阻害する行為
< 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント> Ḵ部下の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他不利益な取扱いを示唆す
る行為
④部下が妊娠・出産等したことにより、解雇その他の不利益な取扱いを示唆する行為
「就業規則第Oస➂暴行、脅迫、傷害、賭博又はこれに類する行為及び恥辱等の行為」とは次のとおりです。
<パワーハラスメント>
Ḷ暴行・傷害等身体的な攻撃
④脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言等精神的な攻撃を行うこと
<セクシュアルハラスメント>
Ḹ交際、性的な関係の強要
ḹ性的な言動に対して拒否等を行った部下等従業員に対する不利益取扱い など
-46-
3 この方針の対象は、正社員、派遣社員、xxx・xxxxx等当社において働いているすべての労働者です。
セクシュアルハラスメントについては、上司、同僚、顧客、取引先の社員の方等が行為者になり得るものであり、異性に対する行為だけでなく、同性に対する行為も対象となります。また、被害者の性的指向又は性自認にかかわらず、性的な言動であればセクシュアルハラスメントに該当します。
妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントについては、妊娠・出産等をした女性労働者及び育児休業等の制度を利用する男女労働者の上司及び同僚が行為者となり得ます。
相手の立場に立って、普段の言動を振り返り、ハラスメントのない、快適な職場を作っていきましょう。
4 社員がハラスメントを行った場合、就業規則第△条
「懲戒の事由」第1項、第2項に当たることとなり、処分されることがあります。その場合、次の要素を総合的に判断し、処分を決定します。
ḧ行為の具体的態様(時間・場所(職場か否か)・内容・程度)
➁当事者同士の関係(職位等)
➂被害者の対応(告訴等)・心情等
5 相談窓口
職場におけるハラスメントに関する相談(苦情を含む)窓口担当者は次の者です。電話、メールでの相談も受け付けますので、一人で悩まずにご相談ください。
また、実際にハラスメントが起こっている場合だけでなく、その可能性がある場合や放置すれば就業環境が悪化するおそれがある場合、ハラスメントに当たるかどうか微妙な場合も含め、広く相談に対応し、事案に対処します。
OOᝥ OOO(内線OO、メールアドレスOOO)(女性) ΔΔᝥ ΔΔΔ(内線ΔΔ、メールアドレスΔΔΔ)(男性)
××外部相談窓口 (電話××、メールアドレス×××)
相談にはxxに、相談者だけでなく行為者についても、プライバシーを守って対応しますので安心してご相談ください。
6 相談者はもちろん、事実関係の確認に協力した方に不利益な取扱いは行いません。
7 相談を受けた場合には、事実関係を迅速かつ正確に確認し、事実が確認できた場合には、被害者に対する配慮のための措置及び行為者に対する措置を講じます。また、再発防止策を講じる等適切に対処します。
8 当社には、妊娠・出産、育児や介護を行う労働者が利用できる様々な制度があります。派遣社員の方については、派遣元企業においても利用できる制度が整備されています。どのような制度や措置が利用できるのかを就業規則等により確認しましょう。制度や措置の利用をためらう必要はありませんが、制度や措置を利用する場合には、必要に応じて業務配分の見直しなどを行うことにより、職場に何らかの影響を与えることがありますので、早めに上司や人事部に相談してください。また気持ちよく制度を利用するためにも、利用者は日頃から業務に関わる方々とのコミュニケーションを図ることを大切にしましょう。
所属長は妊娠・出産、育児や介護を行う労働者が安心して制度を利用し、仕事との両立ができるようにするため、所属における業務配分の見直し等を行ってください。対応に困ることがあれば、本社人事部OO
課、ΔΔに相談してください。
9 職場におけるハラスメント防止研修・講習を実施する際は、積極的に参加してください。
解
説
① 事業主は、育児休業(出生時育児休業含む)、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等の申出・利用に関するハラスメント(以下「育児休業等に関するハラスメント」という。)を防止するため、雇用管理上の措置を講じなければなりません(法第 25 条、則第 76 条)。事業主が適切かつ有効な措置を実施するために必要な事項については、厚生労働大臣の指針により定められています。
② 育児休業等に関するハラスメント対策は、制度を作っただけで完成するものではありません。また、有効な対策は会社ごとに異なるものであり、法律の内容に沿って、会社の実情を踏まえて対策を充実させる努力をし続けましょう。
③ 周知・啓発は、一度行えばよいというものではありません。
・管理職層を中心に階層別に分けて研修を実施する
・xx雇用労働者だけでなく、パート、アルバイト、派遣労働者などの非xx雇用労働者も対象に含めて研修を実施する
・新入社員の入社時期、異動の多い時期に合わせて研修を実施するなどにより、全ての労働者に対して周知を図る工夫をしましょう。
④ 社内ネットワーク上に周知文書を掲載する例も見られますが、掲載されていることを労働者が知らないということであれば、周知しているとは言えません。掲載や更新の都度、その旨をメール等で全労働者に周知することが必要です。
⑤ ケース③は、就業規則に懲戒規定が定められており、その中で、育児休業等に関するハラスメントに該当するような行為が行われた場合の対処方針・内容などが既に読み込めるものとなっている場合において、育児休業等に関するハラスメントが懲戒規定の適用の対象となることを育児・介護休業等に関する規則に定め、その詳細については、パンフレット、リーフレット、社内報、社内ホームページなどで周知することで措置を講じている例です。
第 11 章 その他の事項
(給与等の取扱い)第 25 条
1 育児・介護休業の期間については、基本給その他の月毎に支払われる給与は支給しない。
2 賞与については、その算定対象期間に育児・介護休業をした期間が含まれる場合には、出勤日数により日割りで計算した額を支給する。
3 定期昇給は、育児・介護休業の期間中は行わないものとし、育児・介護休業期間中に定期昇給日が到来した者については、復職後に昇給させるものとする。
4 退職金の算定に当たっては、育児・介護休業をした期間を勤務したものとして勤続年数を計算するものとする。
※第 10 章のケース③に続く場合は、第 22 条となり、以下xx繰り下げとなります。
(介護休業期間中の社会保険料の取扱い)第 26 条
介護休業により給与が支払われない月における社会保険料の被保険者負担分は、各月に会社が納付した額を翌月○日までに従業員に請求するものとし、従業員は会社が指定する日までに支払うものとする。
解
説
① 賃金、退職金又は賞与の算定に当たり、休業等により労務を提供しなかった期間を働かなかったものとして取り扱うこと(※)は不利益な取扱いに該当しません。
※ 育児・介護休業や子の看護休暇・介護休暇を取得した日、時間を無給とすること、所定労働時間の短縮措置により短縮された時間分を減給すること、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業をした期間を日割りで算定対象期間から控除すること、などがこれに当たります。
一方、休業等により労務を提供しなかった期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことは、不利益取扱いとして禁止されています(法第 10 条、第 16 条、第 16 条の4、第 16 条の7、
第 16 条の 10、第 18 条の2、第 20 条の2及び第 23 条の2)。
② 1の育児・介護休業の期間中の給与の支給については、次のような規定も考えられます。
・ 育児・介護休業の期間中は、基本給の◯%を給与として支給する。
・ 育児・介護休業の期間中は、月額◯円を給与として支給する(ただし、その算定期間中に育児・介護休業をした期間とそうでない期間がある場合は、日割り計算によって算出した額とする。)。
③ 2の賞与については、次のような規定も考えられます。
・ 算定対象期間の全期間育児・介護休業をした者に対しては、基本給の◯か月分を賞与として支給する。算定対象期間の途中で育児・介護休業を開始し、又は終了した者の賞与は、出勤日数により日割り計算によって算出した額を支給する。ただし、最低額は基本給の◯か月分とする。
④ 3の定期昇給については、次のような規定も考えられます。
・ 定期昇給は、育児・介護休業の期間中であっても行うものとする。
・ 定期昇給は、育児・介護休業の期間中は行わないものとし、復職後の昇給において休業前の勤務実積を加味し調整する。
⑤ 4の退職金の算定については、次のような規定も考えられます。
・ 退職金の算定に当たっては、育児・介護休業の期間の2分の1(1か月未満の期間は切り捨てる。)を勤務したものとみなして勤続年数を計算するものとする。
・ 育児・介護休業前と後の勤続期間は通算するが、育児・介護休業の期間は勤続期間に算入しない。
◯ 育児休業(出生時育児休業含む)を取得した場合、一定の要件を満たせば、健康保険、厚生年金保険の被保険者負担分、事業主負担分ともに保険料が免除されますが、介護休業については、免除はされません。
(円滑な取得及び職場復帰支援)第 27 条
会社は、従業員から本人又は配偶者が妊娠・出産等したこと又は本人が対象家族を介護していることの申出があった場合は、当該従業員に対して、円滑な休業取得及び職場復帰を支援するために、以下(1)
(2)の措置を実施する。また、育児休業及び出生時育児休業の申出が円滑に行われるようにするため、
(3)の措置を実施する。
(1)当該従業員に個別に育児休業に関する制度等(育児休業、出生時育児休業、パパ・ママ育休プラス、その他の両立支援制度、育児休業等の申出先、育児・介護休業給付に関すること、休業期間中の社会保険料の取扱い、育児・介護休業中及び休業後の待遇や労働条件など)の周知及び制度利用の意向確認を実施する。
(2)当該従業員ごとに育休復帰支援プラン又は介護支援プランを作成し、同プランに基づく措置を実施する。なお、同プランに基づく措置は、業務の整理・引継ぎに係る支援、育児休業中又は介護休業中の職場に関する情報及び資料の提供など、育児休業又は介護休業等を取得する従業員との面談により把握したニーズに合わせて定め、これを実施する。
(3)従業員に対して育児休業(出生時育児休業含む)に係る研修を実施する。
(復職後の勤務)第 28 条
1 育児・介護休業後の勤務は、原則として、休業直前の部署及び職務とする。
2 本条第 1 項にかかわらず、本人の希望がある場合及び組織の変更等やむを得ない事情がある場合には、部署及び職務の変更を行うことがある。この場合は、育児休業終了予定日の 1 か月前、介
護休業終了予定日の 2 週間前までに正式に決定し通知する。
(育児目的休暇)第 29 条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、養育のために就業
規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が 1 人の場合は 1 年間につき○日、2 人以上の
場合は 1 年間につき○日を限度として、育児目的休暇を取得することができる。この場合の 1 年間とは、
4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの期間とする。
2 取得しようとする者は、原則として、育児目的休暇申出書(社内様式 14)を事前に人事部労務課に申し出るものとする。
解
説
① 左記第 27 条(1)は、法第 21 条第1項の措置義務及び第 21 条の2の努力義務に関する内容です。 事業主は、本人又は配偶者の妊娠・出産等の申出があったときは、育児休業及び出生時育児休業に 関する制度等を個別に周知し、育児休業及び出生時育児休業の取得意向を確認する義務があります。妊娠・出産等したことの「等」は、特別養子縁組の監護期間にある子を養育していること等、則第 69 条の2の内容を想定しています。
(1)のうち、育児休業制度、出生時育児休業制度、育児休業等の申出先、育児休業給付に関すること、育児休業期間中の社会保険料の取扱いを個別に周知することは事業主の義務です。従業員から対象家族を介護していることの申出があった時の介護休業制度等の周知や、育児・介護休業中及び休業後の待遇や労働条件の周知等は努力義務ですが、併せて実施するとよいでしょう。
個別に制度を周知するための措置は、労働者のプライバシーを保護する観点から、労働者が自発的に知らせることを前提としたものである必要があります。そのためには、労働者が自発的に知らせやすい職場環境が重要であり、育児休業等に関するハラスメントの防止措置を事業主が講じている必要があります(指針)。
② (3)は、法第 22 条第1項の措置義務を規定する場合の例です。講じる措置は、①育児休業(出生時育児休業含む。以下この項において同じ。)に係る研修の実施、②育児休業に関する相談体制の整備、③自社の従業員の育児休業取得事例の収集及び事例の提供、④育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知の中から1つ以上実施してください。(2)は、法第 22 条第2項の努力義務に関する内容です。
◯ 育児・介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させるよう配慮してください(指針)。
① 法第 24 条の努力義務である「労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇」に関する内容です。
② 典型例として、以下のような休暇が考えられますが、企業の規模や職場の状況に応じ、適切と考えられる措置を事業主が講ずることが求められます。
・ 配偶者の出産に伴い取得することができるいわゆる配偶者出産休暇
例1 配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)が出産するために病院に入院する等のために付き添い等が必要な場合
病院に入院する日から○日の範囲内
例2 配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)が分娩するとき配偶者の産前6週(多胎の場合 14 週)産後8週の間で○日以内
・ 入園式、卒園式等の行事参加も含めた育児にも利用できる多目的休暇
※ いわゆる失効年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として育児目的で措置することを含みます。
この場合は、育児を目的とするものであることが明らかにされている必要があることに留意してください。
(年次有給休暇)第 30 条
年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定に当たっては、育児・介護休業をした日は出勤したものとみなす。
(法令との関係)第 31 条
育児・介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働の制限、育児・介護のための時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措置等に関して、この規則に定めのないことについては、育児・介護休業法その他の法令の定めるところによる。
(附則)
本規則は、◯年◯月◯日から適用する。
解
説
◯ 年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定については、法第2条第1号及び第2号に基づく育児・介護休業(出生時育児休業含む)をした期間については、出勤したものとみなさなければなりません(労働基準法第 39 条第 10 項)。
なお、法を上回る育児・介護休業期間や子の看護休暇及び介護休暇についても同様に出勤したものとみなす取扱いをすることは差し支えありません。