Contract
長期優良住宅対応定期借地権設定契約約款
(一般定期借地権・原則無償譲渡方式)
2010.1 試作版
注)本約款を用いた事業に問題が生じても、当センターは一切の責任を追いません
第1章 土地賃貸借契約
第1条 土地賃貸借契約
(1) 甲は甲、乙及び他の賃借人(以下、「乙ら」という)に対し、本件土地に建物所有を目的とする賃借権(以下、「本件土地賃借権」という)を設定する(以下、
「本件土地賃貸借契約」という)。
(2) 甲及び乙は、本件土地賃借権を本件建物部分の敷地利用権割合に応じて準共有する(以下、「本件土地賃借権持分」という)。
(3) 本件土地賃借権については、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、また、乙は建物の買取りを請求することはできないものとする。
(4) 本件土地賃借権については、借地借家法第4条乃至第8条、第 13 条及び第 18条並びに民法第 619 条の適用はないものとする。
第2条 使用目的
(1) 乙は本件土地を造成のうえ、本件建物部分を建築し所有する。
(2) 乙は前項の目的に反して、本件土地を使用してはならない。
第3条 建物の維持管理
(1) 乙は、本件土地賃貸借契約の存続期間中、本件建物部分を良好な状態で保全するよう努めなければならない。
(2) 乙らは、xxxxx等の長期修繕計画を建物竣工後3年以内に策定し、これを管理組合の総会で決議し遵守しなければならない。
第4条 定期借地権の登記
甲と乙は、本件土地について、乙の請求があるときは乙を権利者として賃借権の設定登記をする。この場合、登記費用は乙の負担とする。
第5条 土地賃貸借契約の期間
本件土地賃貸借契約の期間は満51年間以上とし、甲及び乙らが別途協議して定め
る。
第6条 賃料の支払
乙は甲に対し、本件土地賃借権持分に応じた賃料を、毎月 25 日限り翌月分を甲の指定する銀行口座に送金して支払う(なお、乙は甲に対し、他の賃借人の賃料の支払義務を負わない)。
第7条 賃料の改定
改定額=(従前の賃料-従前の賃料決定時の公租公課)×変動率
+賃料改定時の公租公課
(1) 賃料は、別途定める時期に下記に定める方式により改定するものとする。記
公租公課:本件土地に係る固定資産税、都市計画税その他の公租公課。
変 動 率:総務庁統計局の消費者物価指数(全国平均・総合指数)とする。
(2) 前項の改定時期及び改定割合によることが著しく不xxとなったときは、甲及び乙は別途協議するものとする。
(3) 甲は乙に対し、改定後の賃料の支払期間の1ケ月前までに改定額を通知するものとする。なお、通知時から賃料改定時までに公租公課等に変動があっても改定額は変更しないものとする。
(4) 前項の通知をする場合は、甲は次の資料を乙に示すものとする。
① 従前の賃料決定時及び賃料改定時の公租公課の額を示す資料
② 従前の賃料決定時及び賃料改定時の本条第1項の消費者物価指数を示す資料
第8条 土地の引渡
甲は乙に対し、本件土地を抵当権・質権・地上権・地役権・先取特権・賃借xxの所有権以外の権利及び差押・仮差押・仮処分等の負担がなく、かつ、占有者のない状態で引き渡さなければならない。
第9条 権利金等
本件土地賃貸借契約における権利金その他これに類する一時金の授受については、本契約に定める。
第 10 条の1 敷 金
(1) 乙は甲に対し、本件土地賃貸借契約に基づいて生ずる乙の債務を担保するため、本件土地賃貸借契約に際し、敷金を預託する。敷金の額は賃料の2年分に相当する
額を限度として本契約で定める。
(2) 乙は甲に対し、賃料が増額されたときは遅滞なく敷金として前項に従って計算した差額分を追加して預託し、また、甲は乙に対し、賃料が減額されたときは遅滞なく同項に従って計算した差額分を返還しなければならない。
(3) 乙に賃料その他本件土地賃貸借契約に関して発生する債務の支払遅滞が生じたときは、甲は、催告なしに敷金をこれらの債務の弁済に充当することができる。この場合、乙は甲に対し、速やかに敷金の不足額を追加して預託しなければな
らない。
(4) 甲は乙に対し、本件土地賃貸借契約の期間の満了、第 17 条の無償返還又は第 18条の期中解約により本件土地賃貸借契約が終了し、乙の甲に対する一切の債務が履行されたときは、速やかに預託を受けた敷金を返還しなければならない。この場合、返還すべき敷金には利息を付さないものとする。
(5) 乙は、敷金返還請求権をもって甲に対する賃料その他の債務と相殺することができない。
(6) 乙は、敷金返還請求権を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならない。但し、第 15 条に規定する場合については、この限りではない。
第 10 条の2 保証金
(1) 乙は甲に対し、本件土地賃貸借契約に基づいて生ずる乙の債務を担保するため、本件土地賃貸借契約に際し、保証金を預託する。保証金の額は本契約で定める。
(2) 乙に賃料その他本件土地賃貸借契約に関して発生する債務の支払遅滞が生じた ときは、甲は、催告なしに保証金をこれらの債務の弁済に充当することができる。
この場合、乙は甲に対し、速やかに保証金の不足額を追加して預託しなければならない。
(3) 甲は乙に対し、本件土地賃貸借契約の期間の満了、第 17 条の無償返還又は第 18条の期中解約により本件土地賃貸借契約が終了し、乙の甲に対する一切の債務が 履行されたときは、速やかに預託を受けた保証金を返還しなければならない。但 し、第 17 条の無償返還のときは保証金の50%を返還すれば足りるものとする。なお、返還すべき保証金には利息を付さないものとする。
(4) 甲は乙に対し、第1項の保証金の返還請求権を担保するため、本件土地に抵当権を設定しなければならない。但し、抵当権の設定費用は、乙の負担とする。
(5) 乙は、保証金返還請求権をもって甲に対する賃料その他の債務と相殺することができない。
(6) 乙は、保証金返還請求権を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならない。但し、第 16 条に規定する場合については、この限りではない。
(7) 甲は、第1項の保証金の返還義務を本件土地の所有権と分離して処分することができない。
乙は、第1項の保証金の返還請求権を本件建物部分の所有権と分離して処分することができない。
第 11 条 承諾書の交付
(1) 甲は乙に対し、乙が本件建物に抵当権を設定する場合にその旨の承諾書を求めたときは、これを交付しなければならない。
(2) 前項の場合、甲は乙に対し、書面の交付と引き換えに金銭その他の請求をすることは一切できない。
第 12 条 公租公課の負担
甲は、本件土地賃貸借契約期間中の本件土地に対する固定資産税・都市計画税その他の公租公課を支払う。
第 13 条 建物の増改築
(1) 乙らは、予め甲の書面による承諾を得なければ、本件建物部分のスケルトンを増築・改築又は再築することができない。
(2) 甲は乙らに対し、前項の増築・改築が本件土地賃貸借契約の使用目的に反するときは、これを拒むことができる。
第 14 条 建物の賃貸
(1) 乙は、本件建物部分を第三者に賃貸する場合には、当該第三者との建物賃貸借契約において以下の事項を定めなければならない。
① 借地借家法第 22 条・第 35 条に基づき、当該第三者との建物賃貸借契約が第5条に定める期間の満了によって終了し、当該第三者が本件建物部分を明け渡さなければならない旨
② ①を担保するために定期建物賃貸借契約(借地借家法第 38 条)とする旨
③ 本件建物部分を転貸することができない旨
(2) 乙は、乙が前項に違反したため甲に損害が生じた場合には、甲に対してその損害を賠償しなければならない。
第 15 条 土地の譲渡
(1) 甲は乙に対し、本件土地を第三者に譲渡するときは、事前に通知しなければならない。
(2) 甲が前項の譲渡をする場合、xは譲受人に対し、本件土地賃貸借契約に基づく甲の乙に対する債務を承継させるものとし、乙はこれを予め承諾する。
第 16 条 譲渡・転貸等
(1) 乙は甲に対し、乙が本件土地賃借権持分及び本件建物部分を第三者に譲渡すると
きは、事前に通知し、書面による甲の承諾を得なければならない。
(2) 甲が前項の譲渡に対する通知を受けたときは、甲は乙に対し、本件土地賃借権持分及び本件建物部分を優先的に買い受けることができる。この場合、売買価格は実勢価格(乙が第三者に譲渡する時の価格)とする。
(3) 乙は甲に対し、第1項の場合、譲渡承諾料として賃料の6ケ月分に相当する金額を支払う。
(4) 乙が第1項の譲渡をする場合、甲はこれを予め承諾する。ただし、乙は譲受人に対し、本件土地賃貸借契約に基づく乙の甲に対する債務を承継させるものとし、第 22 条の仮登記の設定の存在についても承認を得なければならない。
(5) 乙は、本件土地賃借権持分を第三者に転貸することはできない。
第 17 条 無償返還
(1) 甲は乙に対し、乙が次の場合の一つに該当したときは、催告をしないで直ちに、本件土地賃借権持分の無償返還を請求することができる。
① 賃料の支払を6ケ月以上怠ったとき。
② 賃料の支払をしばしば遅延し、その遅延が本件土地賃貸借契約における甲と乙との間の信頼関係を著しく害すると認められるとき。
③ その他本件土地賃貸借契約に違反したとき。
(2) 甲が乙に対し、前項に基づき、本件土地賃借権持分の無償返還を請求したときは、本件建物部分の敷地利用権である本件土地賃借権持分は消滅することなく当然に 甲に無償で返還されるものとする。
(3) 前項の場合、本件建物部分の所有権は当然に甲に移転するものとする。但し、甲は乙に対し、実勢価格(甲が委託した不動産鑑定士による本件建物部分の査定価額とする)より借地権評価額及びインフィル査定額を控除した価額の50%を償還しなければならない。なお、甲の請求があるときに限り、建物竣工時より満
30年以内の場合に限り下記に定める方式で算出した金額を実勢価格とする。
記
実勢価格=借地権評価額+スケルトン査定額+インフィル査定額
スケルトン査定額=スケルトン再建築費×40%+スケルトン建築費×60%の残存率+修繕状態による減額
・スケルトン再建築費=スケルトン建築費×消費者物価変動率
・60%の残存率=0.6×(30-n) /30 年
・修繕状態による減額:甲が委託した一級建築士の査定に基づく修繕相当額を減額する。但し、長期修繕計画に沿った建物修繕の適正な実施及び長期修繕計画の遂行に十分な額の修繕積立金の支払がなされ、かつ長期修繕計画外の瑕疵・老朽化・破損がない場合は減額しない。
・消費者物価変動率:建物竣工時より売買時までの消費者物価変動率(全国平均・総合指数)
・n:建物竣工時より無償返還時までの経過年数
(4) 前項の場合、以下の各号に掲げる費用は乙の負担とする。この場合、甲は乙に代わって当該費用を支払い、その同額を前項に定める本件建物部分の償還額より控除することができる。
①管理組合に対する乙の債務(管理費又は修繕積立金の滞納額等)
②第3項に定める不動産鑑定士又は第4項に定める一級建築士の委託費用
③本件建物部分の所有権移転に係る公租公課及び諸費用
④本件建物部分の動産類の収去及び清掃に要する費用
⑤本件建物部分の抵当権その他一切の負担の抹消に要する費用
第 18 条 期中解約
(1) 乙は甲に対し、本件建物が地震等の災害によって滅失したときは、本件土地賃貸借契約を終了させることができる。
(2) 乙が甲に対し、前項に基づき本件土地賃貸借契約を終了させたときは、本件土地賃貸借契約の敷地利用権である本件土地賃借権持分は消滅することなく当然に甲に無償で返還されるものとする。
(3) 第1項の場合、乙は甲に対し、他の賃借人とともに自己の費用をもって本件土地に存する本件建物の残滓を収去し、本件土地を原状に復して、更地で返還しなければならない。但し、基礎杭については地表から1メートルの範囲で収去すれば足りるものとする。
第 19 条 無償譲渡
(1) 本件土地賃借権の存続期間が満了する場合、本件建物部分の所有権は当然に乙から甲に無償で移転するものとする。
(2) 前項の場合、乙は甲に対し、本件建物部分を良好に維持するとともに抵当権その他一切の負担のない状態(建物賃借人の退去を含む)で明渡さなければならない。
(3) 乙は甲に対し、本件土地賃借権の存続期間の満了日6ケ月前までに本件建物部分の賃借を申し入れることができる。この場合、満了日までに、甲・乙間に賃貸条件についての合意が成立しないときは、乙は本件建物部分から退去しなければな
らない。
(4) 第1項に定める本件建物部分の所有権移転にかかる登録免許税、登記費用その他の費用は、甲の負担とする。
(5) 第1項及び第 17 条第 3 項に定める本件建物部分の明渡しが遅延した場合は、乙は甲に対し、遅延期間に応じ本件土地の賃料の3倍に相当する額の遅延損害金を支払うとともに、本件建物部分の家賃相当損害金及び甲の本件土地・建物の新規事業計画の遅延に伴う損害も賠償しなければならない。
第 20 条 有償譲渡の申出
(1) 甲は乙らに対し、乙らが本件建物の修繕等を実施することを条件として、借地期間満了時に本件建物を有償で譲受ける旨を申し出ることができる。
(2) 前項の申し出は、乙らから甲に対しても行うことができる。
(3) 第1項、第2項の申し出があった場合、甲・乙らは、建物修繕の内容と実施時期、及び建物対価の額等について協議するものとする。
(4) 前項の協議が合意に至った場合、甲・乙らは合意事項を文書にして各自署名する。なお、乙らによる合意は、乙らが管理組合規約において定める当該建物修繕の議 決要件を満たした総会決議の成立のときに成立し、乙らの署名の有無によらない。
(5) 甲及び乙は、前項の合意事項を遵守する義務を負う。
(6) 第 3 項の協議が合意に至らない場合、第 19 条1項がそのまま適用される。
第 21 条 合意解除・変更
(1) 第 20 条 4 項の合意成立後に本件建物が地震・火災等によって損傷又は滅失した場合、当該合意は解除されるものとする。
(2) その他の合意解除・変更に関する事項は、甲乙らが協議して定め、第 20 条 4 項に定める合意文書に記載するものとする。
第 22 条 所有権移転の仮登記
(1) 甲・乙は、第 19 条に定める本件建物所有権の甲への移転を担保するために、本件建物部分につき、甲のために始期付き所有権移転予約を登記原因とする所有権移転請求権保全の仮登記手続をする。
(2) 前項の仮登記手続きは、甲の請求があった時にすみやかに行うものとする。この場合、乙は甲に対して、何らの対価を請求することなく仮登記手続きに必要な書類を3ケ月以内に提供しなければならない。なお、仮登記手続きに要する費用は、甲の負担とする。
第2章 雑 則
第 23 条 遅延損害x
x・乙は、相手方に対する賃料・家賃及び本件土地賃貸借契約に基づく金銭債務の支払を遅延したときは支払期日の翌日から完済に至るまで、年率 14.6%の割合による遅延損害金を支払わなければならない。
但し、公定歩合の3倍が年率 14.6%を上回る場合は、公定歩合の3倍の利率による遅延損害金を支払わなければならない。
第 24 条 通知義務
乙又は乙の相続人は甲に対し、次の場合直ちに通知しなければならない。
① 乙の住所又は氏名に変更があったとき
② 本件建物部分のスケルトンが毀損し、又は毀損するおそれが生じたとき
③ 乙が死亡したとき
第 25 条 立 退 料
乙は甲に対し、本件土地又は本件建物部分の引渡し又は退去に際し、立退料その他名目の如何を問わず、これに類する金銭の要求を一切しないものとする。
第 26 条 費用償還請求権の放棄
乙は甲に対し、本件土地又は本件建物部分について必要費又は有益費を支出した場合においても、その償還を請求することはできない。また、乙は甲に対し、造作の買取を請求することはできない。
第 27 条 土地賃貸借期間の変更
乙らは甲に対し、本件建物の建設が近隣問題その他不可抗力によって著しく遅延すると予想される場合は、本件土地賃貸借期間の変更を申し入れることができる。この場合、甲は乙らに対し、特段の事情のない限り本件土地賃貸借契約期間の変更を拒むことができない。
第 28 条 土地賃貸借期間の延長
(1) 甲又は乙らは、本件土地賃貸借契約満了の1年前までに本件土地賃貸借契約の延長を協議することができる。
(2) 甲・乙らが本件土地賃貸借契約の延長に合意したときは、本件土地賃貸借契約はその期間延長されるものとする。
第 29 条 契約の失効
公用徴収その他の行政処分により、本件土地が収用又は使用制限され、本件土地賃貸借契約又は本件建物賃貸借契約を継続することが困難になったとき、本件契約は当然終了するものとする。
第 30 条 合意管轄
本件契約に関する紛争については、本件土地の所在地を管轄する地方裁判所を第x
xの管轄裁判所とすることに甲・乙は合意する。
第 31 条 規定のない事項
本件契約に規定のない事項については、甲及び乙は誠意を以て協議によりこれを決定する。