1. 基本情報 (1)案件名 農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援(2年次) (2)進捗状況 (ア) ほぼ計画どおり進捗している(イ) 計画より進捗している(ウ) 計画どおり進捗していない (3)贈与契約締結日及び事業期間 ・贈与契約締結日:2019 年 11 月 29 日・事業期間:2019 年 11 月 29 日~2020 年 11 月 28 日 (4)供与限度額及び執行実績 ・供与限度額: 439,261 米ドル・実績: 198,693 米ドル...
(様式3)
日本NGO連携無償資金協力 中間報告書
1. 基本情報 | |
(1)案件名 | 農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援(2年 次) |
(2)進捗状況 | (ア) ほぼ計画どおり進捗している (イ) 計画より進捗している (ウ) 計画どおり進捗していない |
(3)贈与契約締結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2019 年 11 月 29 日 ・事業期間:2019 年 11 月 29 日~2020 年 11 月 28 日 |
(4)供与限度額 及び執行実績 | ・供与限度額: 439,261 米ドル ・実績: 198,693 米ドル |
(5)団体名・連絡先、事業担当者名 | (ア) 団体名: (イ) 電話: (ウ) FAX: (エ) E-mail: (オ) 事業担当者名: 事業申請書記載から変更なし |
(6)事業変更の有無 | 事業変更承認の有無:無 事業変更報告書の有無:有 (ア) 報告日:2020 年 2 月 25 日 内容:乾燥場設置予定の農協を変更 (イ) 報告日:2020 年 5 月 7 日 内容:現地スタッフの変更、追加 |
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2.事業の概要と成果 | |
(1)上位目標 | プレアビヒア州において有機カシューナッツの契約栽培が定着し、小農家の生計が向上する。プレアビヒア州の小農家におけるカシューナッツの有機栽培を奨励し、国際有機認定取得による高付加価値化、及び農協を通した契約栽培を通して小農家の生計を向上させる。 |
(2)事業内容 | (グレーの字は今後実施予定) 2 年次: 1 年次有機認証取得、2 年次更新対象 4 農協:クーレン郡 Tbaeng Pi 農協 ロヴィアン郡 Rohas 農協、Rung Roeng 農協、Kasekor 農協 新規認証対象 6 農協: チョンクサー郡 Choam Ksant 農協、 Toek Kraham 農協、 Romdoh Srae 農協、Kantuot 農協 チェイセン郡 Putrea 農協、Chrach 農協 1. カシューナッツ有機栽培の技術指導を行う。 1.1. 有機栽培の技術研修を行う(モデル農家訪問含む)。 1.1.1. 混植、混作等の技術研修をモデル農家で行う。(9 月実施予定) 1.1.2. 剪定と果樹管理、肥料やり、堆肥づくり技術研修を行う。(6月実施予定) 1.1.3. 技術研修効果の調査を行う。(11 月実施予定) 1.2. 混植・混作のための苗木支援 1.2.1. 1 年次に建設した苗床で混植用の苗木を育成する。(xxx、xxxx、ニームそれぞれ 1350 本前後)(実施中) 1.2.2. 4050 本の苗木を新規購入し、上記の苗木と合わせて圃場拡大農家に配布する。(7 月開始予定) 1.3. 外部講師による有機栽培モデル農家育成指導、及び 1 年次対象郡のモデル農家視察 1.3.1. モデル農家候補者を選び、コンポントム州の先進農家による集中技術研修を行う。(6 月予定) 1.3.2. 6 農協の農協ごとに選ばれたモデル農家の圃場にモデル農園を設立する。 実施中 1.3.3. アグロフォレストリーに基づく農園デザインの研修を行う。(8月実施予定) 1.3.4. 耕地拡大農家が 1 年次対象農協のモデル農家を訪問し、農園を視察する。(10 月実施予定) 1.4. 生産者対象収穫後取り扱い研修(11 月実施予定) 1.5. 小型xxxを供与し、農協リーダーと貸し出しの規則を決める。 (6 農協対象、計 12 機) 6 農協ごとにリーダーに集まってもらい、貸し出しの規則を決め、 |
各 2 台の供与を行った。 2. 生産行程管理を構築し、有機認定の取得を支援する。 2.1. 新規登録希望農家に有機基準の研修を行う。 登録者の内 366 名が研修に参加した。 2.2. 農協リーダーを招集し、登録者の中から農場査定員 15 名を選出、及び生産行程管理担当者 2 名を一般公募する。 農場査定員 15 名が選出された。生産行程管理担当者を公募し、 1 名を採用。合計 2 名で 4 郡を担当することとした。 2.3. 農場査定員、及び生産行程管理担当者に対して記録管理の研修を行う。 2.3.1. 農場査定員に生産行程管理の研修を行う。 15 名の査定員に 3 日間の研修を実施した。 2.3.2. 生産行程管理担当者に対して記録管理の研修を行う。 生産行程管理担当者 2 名(農協が 2 名を雇用できなかった ため 4 名から減員)に実施済 2.3.3. 生産工程管理担当者にパソコンを供与し、パソコン講座(30日)を受講してもらう。 実施済 2.4. 生産行程管理ソフトウェアによる記録管理を生産工程管理担当者に指導し、有機認定登録者リストと管理記録を作成する。 2.4.1. 生産者グループの生産行程管理ソフトウェアを使用し、登録者の管理記録を作成する。 管理記録作成は実施中。登録記録に基づき、認定登録者 (見込み 450 名)の ID カード発行は 7~8 月実施予定。 2.4.2. 登録者の圃場情報を収集し、認定登録者リストと管理記録を作成する。 対象:農協リーダー48 名、農場査定員 15 名 実施済み。認証監査に向けて精査の必要あり。 2.4.3. 生産行程管理担当者に生産行程管理ソフトウェアへの管理記録情報の入力を指導する。(9 月以降実施予定) 対象者:管理担当者 4 名 2.5. 生産行程管理ガイドラインを校正し、第二稿を作成する。 注意事項を書いたバナーを作成し、農協の集会所に掲示した。生産工程管理振り返りワークショップ後に全ガイドライン最終完成予定(8月)、製本は11月予定。 2.6. 生産行程管理者が行う有機認定の必要書類の作成、査定、及び監査機関からの改善要請対応をサポートする。 2.6.1. 生産行程管理の文書管理を指導する。 前回の監査で指摘のあった文書管理を改善するため、各農協にバインダーを支給し、認証に必要な書類を作成した。 2.6.2. 国際認定監査の訪問のロジ関係を支援し、監査に同行する。 認証申請の窓口となり、計 8 日間の監査のロジの調整を行 |
った。 2.7. 有機認定専門家から管理体制の評価を受ける。(計 20 日)(15 日から変更) 2.7.1. 監査前に更新した生産行程管理ガイドラインを、1 年次及び 2 年次対象農協リーダーと共有する。(2.5 と重複しているため「内部管理手引きを更新し、」から変更) 有機認証専門家に収穫後のハンドリングに必要な面積計算、作業のフローや敷地内での配置を確認してもらった。 2.7.2. 出荷後専門家指導のもと内部管理手引きを確定し、1 年次及び 2 年次の農場査定員と共有する。 有機認証専門家に出荷の記録確認による違反の疑いxxxの見つけ方、また見つかったケースへの指導をしてもらった。また監査後に監査報告への対応への指導をしてもらった。 2.7.3. 専門家監修のもと収穫後取り扱い管理手引きを確定し、1 年次及び 2 年次対象農協リーダーと共有する。 対象者:1 年次対象農協リーダー40 名、2 年次対象農協リーダー48 名、計 11 農協のリーダー88 名、及び各ゾーンの生産工程管理担当者計 4 名、計 92 名。各ゾーンごと。 (7 月実施予定) 2.8. 生産工程管理担当者、農協リーダーを対象に収穫後の工程管理、及び記録管理の指導を行う。(「品質管理」と言う言葉を「収穫後の工程管理、及び記録管理」に変更。) 記録様式の変更があったため、1 年次対象農協において、農協リーダー対象に記録管理の指導、及びモニタリングを行った。2 年次対象農協には 11 月実施予定。 2.9. ゾーンごとに集荷用倉庫各1棟、合計 2 棟を建設し、農協による集荷時の品質管理をモニタリングする。 2.9.1. 同じゾーン内の農協間で、倉庫建設をする農協の選択への同意を取る。(農協リーダー48 名、1 回) 3.2.1「農協リーダーを召集し、郡ごとに出荷ゾーンを形成し、運営委員を選出する」と同時に実施した。 2.9.2. 倉庫供与の同意書を農協と交わす署名式を開催する。 倉庫を授与した 2 農協のメンバー計 80 名を招待する。 (6 月に実施予定。署名式の是非は農協と相談。) 3. 契約栽培の契約締結、及び共同出荷を支援する。 3.1. 事業、及び契約栽培を説明する説明会を行う。 3.1.1. 各農協にて説明会を行い、関心がある農家の登録を呼びかける。 6 農協において実施。計 449 名の参加があった。1 年次対象の農協から経験談を説明してもらった。 3.1.2. 農協リーダーと相談し、生産者グループを形成する。 実施済 3.1.3. 登録生産者の圃場の情報に関する調査を行う。 実施済 3.2. ゾーンごとの組織体制、出荷体制を構築し、共同出荷の運営管理能力を強化する。 3.2.1. 農協リーダーを召集し、郡ごとに出荷ゾーンを形成し、運営 |
委員を選出する。 実施済 3.2.2. 各農協の会計 1 名にパソコン教室でパソコンの基本動作を学んでもらう。(「出荷ゾーンの会計 2 名」から変更) 実施中 3.2.3. 上記会計担当者及び農協リーダー1 名にパソコンを使った事業の財務管理を指導する。 1 年次対象農協については各農協会計担当 2 名対象に開始済、2 年次対象農協については 6 月開始予定 3.2.4. 農協リーダーにカシューナッツ共同出荷の収支計画作成をコーチングする。 1 年次対象農協については開始済、2 年次対象農協につい ては 10 月開始予定 3.2.5. 農協リーダーに選別、乾燥、品質管理を指導。対象:6 農協の農協リーダー各 8 名、計 48 名 (10 月実施予定) 3.3. 契約内容の原案を作成し、交渉を支援する。 3.3.1. ゾーンの運営委員がタイの農協及びその生産者を訪問し、農協が運営しているカシューナッツ加工工場を視察する。(対象:1 年次対象ゾーンも含めたゾーン運営委員の内 8 名 (事業後半に実施予定。入出国規制状況を見極めて判断) 3.3.2. ゾーンの運営委員を招集し、バイヤーの選択、提案する条件について話し合う。 実施済。来シーズンに向けて 11 月に再度実施予定。 3.3.3. ゾーン運営委員とバイヤー候補の間の契約条件に関する話し合いを取り持つ。(同上) 実施済。来シーズンに向けて 11 月に再度実施予定。 3.3.4. 農協代表を招き契約署名式を行う。(同上) 実施済。 3.3.5. カシューナッツのサンプルテストを行う。(同上) 各農協から集めたサンプルの実を割って、産出高率を計算、乾燥の方法等様々なサンプルテストを行った。 3.4. 共同出荷が契約に沿って実施されているかモニタリングする。 バイヤーが農協への相談なしに支払い方法を変更したりするなどの行動があったため、地方農業局を交えながら窓口となり交渉を行った。 3.5. 出荷後ゾーンの運営委員間でふりかえりを行う。 対象:1 年次対象も含めたゾーン運営委員 16 名、生産工程管理担当者 4 名計 20 名(11 名から変更) (7 月実施予定) 3.6. 農協リーダーがバイヤーの等級検査に立ち会う。 加工工場におけるバイヤーの等級検査は農協の立ち合いなしに実施されたため、加工工場に直接依頼し、品質基準について担当者から農協リーダーが指導を受けた。 4. 農協の共同事業のマネージメントを強化する。(事業後半実施予定) 4.1. 契約栽培の基本原則を学ぶ研修を行う。 |
対象者:6 農協の農協リーダー48 名(「農協リーダー64 名、1 年次対象地域含む)」から変更) (9 月実施予定) 4.2. 農協運営の基本原則を学ぶ研修を行う。 4.2.1. 農協運営の基本原則の座学研修を行う。対象者:6 農協の農協リーダー48 名。 (6 月実施予定) 4.2.2. 隣州のカシューナッツ加工業を営む農協を視察し、農協ビジネスの先進事例を学ぶ。 対象:6 農協代表の農協リーダー12 名 (6 月実施予定) 4.3. ゾーンの代表者が東南アジア有機農産物物産展にカシューナッツを出展する。(物産展は来年に延期されたため検討中) 対象:ゾーン運営委員の内 4 名 | |
(3)達成された成果 | 2 年次(グレーの字は今後評価予定) 1. 契約栽培農家のカシューナッツの有機栽培技術が向上する。 <指標> • 研修に参加した農家がこれまで行っていなかった技法(接木、剪定、根覆い、水源保全、苗木育成、煙防除、混植、混栽、カバークロップ等)を一つ以上取り入れる。→11 月調査予定 • 苗木を受け取った 150 名前後の全ての農家がxxx型・複雑系のカシューナッツ農園づくりを開始する。→11 月調査予定 • 前年次のモデル農家全員が、新たに導入した栽培技術を、継続していることが当団体によって確認される。→モデル農家において液肥の散布が収量増加につながるなどの効果が確認され、自然農薬散布、水源保全、剪定等の技術も根付いている様子が確認された。また、1名のモデル農家は研修で学んだ接木苗の育成に興味を持ち、自ら接木苗を育成し、自家用もしくは販売用に供している。また圃場においては、取木を行うなど多くの技術を実践している。 2. 有機基準に沿ったカシューナッツ栽培の生産行程管理のシステム、及び品質管理システムがより強化され、新規 6 農協のメンバーの約 2割の 360 名前後が有機認証のための準備が整い、内 4 割の 140 名前後の生産者の有機認証が農協を通して取得される。 <指標> • 生産行程管理担当者 2 名と農場査定員 15 名が生産行程管理の記録、及び内部査定の記録をマニュアルに沿ってつける。→当初内部査定の記録用紙が配布されなかった等のミスが起こり、また農場査定員が実際に農場を訪問していないケースがあるのが判明したが、記録は概ねマニュアルに沿ってつけられていた。 • 認証団体の査定報告による改善要請項目が前年次より減り、是正処置が全てなされたと確認され、申請した全ての農協の認定が、申請登録者を外すことなくおりる。→5 月4 日に終了した認証監査の現在査定報告待ち。今回の監査対象となった申請登録者はロヴィアン郡及びクーレーン郡の 4 農協から 314 名。 • 集荷用倉庫及び加工施設における有機基準に沿った選定、保管、加工、取り扱いといった品質管理マニュアルに認証監査や有機認定専門家からの指摘があった部分について改善点が加筆され、マニュア ルに沿った業務の実施が確認される。→認証監査では大きな違反は |
なく、農協側でのデータ入力も含めほぼマニュアルに沿って行われ、集荷後についての品質管理は強化されている。マニュアルの更新や専門家の最終評価は 8 月以降予定。 3. 契約栽培の同意が取り付けられ、出荷が契約通りに行われる。 <指標> • 一般市場の慣行農業の作物の価格(仲買人の買取価格)と比較して 15%以上高いプレミアム価格で買い取ることが契約に盛り込まれる。 →契約に 2 段階の等級が設定され、15%と 10%のプレミアム価格が盛り込まれた。また出荷されたカシューナッツの 8 割が 15%の等級だった。 • 契約に農家側の意志が反映され、両者が責任を持って契約内容を執行する。→農協側は契約内容をよく理解しており、契約の重要さを理解した上で執行していた。一方バイヤー側は農協側との交渉なしに一方的に一部後払いに変更しようとするなど信用関係を損なう言動が見られたが、最終的に当団体の説得に応じた。 4. 農協リーダーが農協の理念、目標、戦略をしっかりと持ち、有機農産物市場について学び、企業にとって農協が対等なビジネスパートナーになる。 <指標> • 農協基本原則の研修において、48 名の農協リーダーが農協の組織的特徴や基本原則を理解していることが、事業計画案の評価によって確認される。(研修実施時に確認)→一部の農協リーダーは雇用創出のために、農協におけるカシューナッツの加工工場建設を希望したり、将来のために更に高度なパソコンの知識を学ぶことを希望するなど、農協ビジネスの事業家としての意識が高いことが確認された。 • 農協リーダーが契約栽培のしくみについて理解を深め、次回の契約交渉に向けて建設的な提案を計画していることが事業のふりかえりにおいて確認される。(ふりかえり時に確認)→農協リーダーは契約締結後のバイヤーの一方的な要求に関して理に叶うものについては要求を呑み、理に叶わないものは納得できる説明を求めるなど、対等なビジネスパートナーとして成長している様子が確認された。 | |
(4)今後の見通し | 現在の認証監査で指摘された違反や改善点についての是正処置が終了し、承認された時点で認証がおりる予定。 次シーズンは収穫前に監査を受けるべきとの指摘を監査団体から受けたため、12 月に有機認証監査を設定し、ロヴィアン郡、クーレン郡、チョンクサー郡、チェイセン郡の農場査定も含めた監査に向けた準備を進める。 同時に農協が有機認証の申請者となり、よりよい条件で取引きできるバイヤーを選べるよう、全農協の意思を確認しながら準備を進める。 |
有機農業基準研修(プレアビヒア州) | |
認定検査前の有機認証専門家の訪問(プレアビヒア 州) | |
倉庫の建設が開始された敷地(プレアビヒア州) |
契約農業同意書に署名する農協とバイヤーの代表(コンポントム州) | |
1 年次に建設された倉庫からのカシューナッツの出荷 (プレアビヒア州ロヴィアン地区) |