Asia Recovery Fund L.P.(以下「甲」という)及び株式会社幸福銀行(以下「乙」という)は、以下のとおり基本合意する。
営業譲渡に関する基本合意書
Asia Recovery Fund L.P.(以下「甲」という)及び株式会社幸福銀行(以下「乙」という)は、以下のとおり基本合意する。
第 1 条(定義規定)
本合意書において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
①デューデリジェンス 乙の営業譲渡の準備のため、平成12年1月から2月にかけて行われた一連の、乙の営業内容の開示、質問・回答及び検討をいう。
②追加的デューデリジェンス 本合意書締結後、甲の要請に基づいて行われる乙の営業内容に関する開示、質問・回答及び検討をいう。これには、評価基準日以降の開示、質問・回答及び検討を含む。
③承継与信資産 乙から甲に譲渡される別紙記載の乙の与信資産(与信枠を含む)の総称をいう。
④新銀行 甲が直接または間接的に出資し、かつ設立手続の中心となって乙の営業の譲受けのために設立する銀行法上の銀行をいう。
⑤評価基準日 平成11年10月31日をいう。同日現在の乙の営業内容がデューデリジェンスの対象となったことによる。
⑥資金援助計算基準日 預金保険法第59条に基づく資金援助の申込を行うに当っての計算基準日をいう。
⑦譲渡基準日 甲が承継する個別資産を最終的に確定する日で、別途定める日をいう。
⑧営業譲渡日 乙から新銀行に対する営業譲渡が効力を発生する日をいう。
⑨調整期間 評価基準日の翌日から営業譲渡日までの期間をいう。
第 2 条(新銀行)
1. xは、他の共同出資者とともに、乙の営業譲渡を受ける目的を持った特別目的ファンドを設立の上、当該特別目的ファンドの出資により、銀行業を目的とする新法人(以下「新法人」という)を設立するとともに、その新法人をして銀行業の免許の取得を申請させる。
2. 新銀行の資本金は300億円以上とする。
3. 新銀行は、本件営業譲渡が、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」に基づくものであることを理解し、同法の趣旨に則り、資産内容の健全化を図り、善意かつ健全な借手との取引を堅持し、金融仲介機能の維持に努め、中長期的に業務の運営を図るものとする。
第3条(地位の承継)
1. 甲は、乙と Rothschild Recovery Fund Limited Partnership (以下「RRF」という)及びxx証券エスビーキャピタルマーケッツ株式会社との間の平成11年10月
29日付秘密保持協定書においてRRFが有し、また負担したと同様の権利と義務を、乙に対して有し、また負担する。
2. 乙がデューデリジェンスに関連してRRF(RRFの代理人または補助者を含む)に対して開示または交付した資料は、甲に対しても開示または交付されたものとみなす。
3. RRFが前項に定める資料に基づいてなした乙の営業譲受けの申し込みは、甲がなしたものとみなす。
4. 甲は、新銀行設立後ただちに、本合意書上の甲の地位を新銀行に移転させ、乙はこれに同意する。
第 4 条(営業譲渡)
1. 甲乙は、平成12年7月末日を目処に、乙と甲または新銀行との間で、乙の営業譲渡に関する契約(以下「営業譲渡契約」という)を締結するよう誠実に努力する。
2. 営業譲渡日については、平成12年12月末日を目処として、甲乙協議の上決定する 。
第 5 条(譲渡される営業)
1. 営業譲渡契約において譲渡が予定されている乙の営業は下記の資産および負債からなる。
①資産
(a)別紙記載の承継与信資産のすべて
うち①から③までの評価基準日現在の残高合計は732,976百万円である。
(b)甲が追加的デューデリジェンスに基づき今後選択する81店舗以上の店舗および当該店舗に関する一切の権利・義務
(c)両当事者が今後合意する上記(a)(b)以外の動産、不動産、有価証券その他資産 (d)のれん
②負債
(a)営業譲渡日時点における預金負債(雑益処理済の休眠預金を含む) (b)営業譲渡日時点におけるその他の負債
③その他
(a) 銀行法第10条2項記載の業務のうち、乙が営業譲渡日現在行っている付随業務のすべて
(b)承継される資産・負債に起因する継続中の争訟
2. 承継される資産の譲受価格またはその算定方法は、第7条(後発事象の調整)に定める場合を除き、以下の方法による。
①別紙記載の承継与信資産のうち①から③ 別紙記載の方法により算定した額とする。
評価基準日現在の譲受価格合計は、626,146百万円である。
②別紙記載の承継与信資産のうち④から⑩ 別紙記載の方法により算出した額とする。
③承継される店舗を含む動産、不動産、有価証券その他の資産
譲受価格は、両当事者が今後合意する方法によるが、原則として、不動産については両当事者が合意して選定する不動産鑑定士の鑑定評価額により、市場性のある有価証券については市場価格、市場性のない有価証券については両当事者が合意した基準によるxxな評価額、動産については簿価を基準とし、その他資産の評価基準は両当事者が 協議して定める。
④のれん代
100百万円とする。
3. 従業員については、甲が追加デューデリジェンスに基づき今後選択するxx員
1,027名以上、嘱託・パート職員210名以上を再雇用する。
第6条 (表明と保証)
乙は、デューデリジェンスにおいて乙が開示した評価基準日時点における与信について、乙の金融整理管財人が通常の注意義務を尽くして調査した限りにおいて完全かつ正確な開示をしたこと、およびその後本合意書の締結時点まで当該与信に関し、通常の営業の過程で生じる変化以外に何ら重大な変化が生じていないことを表明し保証する。
第7条(後発事象の調整)
1. 乙は、調整期間中に、承継与信資産につき以下の事情が発生もしくは判明した場合に限り、甲の要請に基づき、当該承継与信資産に対する債権譲渡損失引当金額を調整し、または当該承継与信資産を承継与信資産から除外することができる。乙は、合理的な理由なくして甲の要請を拒否できない。
ただし、譲渡基準日以降にこれらの事情が発生もしくは判明した場合には、営業譲渡日を基準として、当該承継与信資産に対する債権譲渡損失引当金額の調整のみを行うことができる。
① 乙が行なった当該承継与信資産に関する契約(金銭消費貸借契約・支払承諾契約・保証契約・担保権設定契約・手形貸付契約)の不備その他担保評価に重大な影響を与える権利関係の存在等、当該契約に基づく与信資産の評価額に重大な影響を与える事実が判明した場合。
② 当該承継与信資産の債務者または保証人から、債務(または保証債務)不存在確 認訴訟など当該承継与信資産の評価額に影響を与える裁判上の申立がなされた場合。
③ 承継与信資産の債務者が、調整期間中に、破産・特別清算・和議・民事再生・会社整理もしくは会社更生の申立を受けまたは自ら申し立てた場合、解散した場合、もしくは手形交換所により取引停止処分を受けた場合。
2. 乙は、調整期間中に、当該承継与信資産に関連して新たに乙の現もしくは旧役職員または第三者に対する損害賠償請求、もしくは刑事告訴が可能と考えられる場合は、当該承継与信資産を譲渡基準日における乙の選択により、承継与信資産から除外することができる。
ただし、譲渡基準日以降にこれらの事情が判明した場合には、乙は、営業譲渡日を基準として、当該承継与信資産に対する債権譲渡損失引当金額の調整のみを行うものとする。
3. 甲及び乙は、営業譲渡日を基準とした調整完了後は、一切の調整を行わないことを確認する。
第8条(資金援助)
1. 新銀行は、乙の営業を譲り受ける前提として、本合意書及び預金保険法その他関係法令に基づき認められる範囲で、預金保険機構に対し、資金援助計算基準日を基準として、預金保険法第59条に基づく資金援助を申し込むこととする。
2. 前項の資金援助の申込に際し、以下の費用は第5条の譲受条件の評価額算定に際し加味しているので、前項の資金援助申込対象としない。
① 債権移転費用(抵当権移転費用、印紙税等)
② 預金移管費用(顧客通知費用、証書貼付印紙代、通帳発行費用等)
③ 制服費用
④ 看板取替費用
⑤ システム開発費用
⑥ その他上記に係らず、営業譲受けに係る費用
第9条(追加的デューデリジェンス)
1. 乙は、本合意書締結後甲又は甲の指定する第三者が乙(本店、支店、各店舗)に立ち入り、帳簿・書類等の調査、担当者への質問等の追加的デューデリジェンスをすることを承認する。
2. 前項の調査の時期・期間・方法については、別途甲乙協議の上決定する。
3. 乙は、前2項に基づく調査につき合理的な範囲で協力する。
第10条 (乙のその他の協力)
1. 新銀行の、株式の引受け等、「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」第4条に基づく措置(以下、「資本注入」という)の申請に関し、乙は、必要な資料の提供等の協力を行うものとする。
2. 乙は、本合意書締結後営業譲渡契約書締結までの間に、第14条1項の事由が存在しないかぎり、乙が他の第三者との間で本契約と同程度の拘束力を有する乙の営業の譲渡に関する何らかの書面による取り決め(レターオブインテント、合意書、覚書、契約書等名称は問わない)を締結してはならない。
第11条(特殊な調整事項)
1. 株式会社幸福カードが保証し、同社が求償権担保を取得している承継与信資産の取扱については、追加的デューデリジェンスに基づき、別途合意する。
2. 追加的デューデリジェンスに基づき特定され合意された、乙が他社より受託している業務(電算システム、手形交換、現金輸送、メール便の輸送 等)の第三者への移行に際しては、甲乙協力するものとする。
第12条(費用及び作業負担)
本合意書に定める事項を実施するために各当事者が要した費用は、甲乙協議の上定める。
ただし、第8条及び第9条に定める費用及び作業負担はすべて甲の負担とする。
第13条(補償)
乙は本件営業譲渡について、本合意書に定める他、一切の瑕疵担保責任及び営業譲渡日以降判明する一切の損失の補填の責任を負わない。
第14条(解除条項)
1. 次の各号の場合、甲及び乙はその後の対応について誠実に協議を行い、その協議が整わないときは、甲または乙は本合意書を解除できる。
① 新法人が銀行業の免許を取得できないことが確実となった場合。
② 甲または新銀行と乙が平成12年7月末日までに営業譲渡契約の締結に至らなかった場合。
③ 本合意が企図する営業譲渡が銀行法に定める認可を受けられないことが確定した場合。
④ 乙が本合意書第6条の表明と保証に違反した場合。
⑤ 新銀行が第8条に定める資金援助を受けることができないことが確実となった場合。
2. 本条第1項各号記載の事実が発生した場合、甲及び乙は相手方に対して損害賠償その他の金銭的請求権を有しない。
第15条 (公表)
1. 甲乙は、本合意書の締結、本件営業譲渡に関する公表および記者発表に当たっては、本合意書の趣旨を尊重して行うものとする。
2. 第3条第1項の秘密保持協定書の規定にかかわらず、甲または乙は、前項の公表または記者発表その他本件営業譲渡に関し誤った情報や不確かな情報があることに気がついたときは、情報の正確性を図るよう他方に通知し、訂正することができる。
第16条(規定外事項の協議)
甲乙は、本合意書の内容について変更の必要が生じた場合、または本合意書に定めのない事項もしくは本合意書の解釈に関して疑義が生じた場合については、甲乙間で取り交わした第3条2項に定める資料及び本合意書の趣旨並びにxxxxの原則に従い甲乙協議の上決定する。
第17条(準拠法)
本合意書及び営業譲渡契約は、日本国法に準拠し日本国法に従い解釈される。
第18条(言語)
本合意書及び営業譲渡契約は日本語と英語で作成されるものとする。ただし、日本語 版と英語版の間に齟齬がある場合は、日本文による合意書及び契約書をもってxxとする。
第 19条(裁判管轄)
本合意書及び営業譲渡契約に関する紛争は、大阪地方裁判所を第xxの管轄とする。
以上の合意を証するために本書面を作成し、甲乙が署名、または記名のうえ捺印し、各一通を保有する。
平成12年 5月 18日
甲: ASIA RECOVERY FUND L.P.
署名:
記名: Xxxxxx X.Xxxx,X x.
肩書:
乙: 株式会社 幸福銀行
金融整理管財人 xx x金融整理管財人 xxxx
金融整理管財人 預金保険機構
理事長 xx x
別紙
承継与信資産 | 算定方法 | |
① | 提供資料添付・別紙1№3記載の与信のうち、甲より平成 12 年2 月 18 日付で承継意向表明(以下「承継意向表明」という)のあった与信の営業譲渡日における残高 | 営業譲渡日における与信残高に甲乙が合意する引当率を乗じた額を、営業譲渡日における与信残高 から控除した額 |
② | 提供資料添付・別紙1№4記載の与信のうち、承継意向表明のあ った与信の営業譲渡日における残高 | ①に同じ |
③ | 提供資料添付・別紙1№5記載の与信のうち、承継意向表明のあ った与信の営業譲渡日における残高 | ①に同じ |
④ | 提供資料添付・別紙1№3記載の与信先のうち、承継意向表明のあった与信先に対する評価基準日現在存在した与信枠内で、評価基準日以降行われた与信の営業譲渡日における残高(与信枠を含 む) | ①に同じ |
⑤ | 提供資料添付・別紙1№4記載の与信先のうち、承継意向表明のあった与信先、及び評価基準日現在残高 0 のため開示がなかった同種の与信枠のある先、に対する評価基準日現在存在した与信枠内で、評価基準日以降行われた与信の営業譲渡日における残高(x x枠を含む) | ①に同じ |
⑥ | 提供資料添付・別紙1№5 記載の与信先のうち、承継意向表明のあった与信先、及び評価基準日現在残高 0 のため開示がなかった同種の与信枠のある先、に対する評価基準日現在存在した与信枠内で、評価基準日以降行われた与信の営業譲渡日における残高(x x枠を含む) | ①に同じ |
⑦ | 提供資料添付・別紙1№3№4№5 記載の与信先のうち、承継意向表明のあった与信先に対して評価基準日以降実行した、下記のいずれかの種類の与信の営業譲渡日における残高(与信枠を含む) 記 乙に対する預金債権を担保とする貸付信用保証協会保証付き貸付 畿内総合信用保証株式会社の保証付貸付総合口座取引規定に基づく当座貸越 国民生活金融公庫進学ローン | ①に同じ |
⑧ | 純新規先(評価基準日時点で与信取引がなかった先)に対して評価基準日以降実行した、下記のいずれかの種類の与信の営業譲渡日における残高(与信枠を含む) 記 乙に対する預金債権を担保とする貸付信用保証協会保証付き貸付 畿内総合信用保証株式会社の保証付貸付総合口座取引規定に基づく当座貸越 国民生活金融公庫進学ローン | ①に同じ |
⑨ | ①から⑧の規定にかかわらず、評価基準日以降甲の同意のもとに 実行した与信の営業譲渡日現在の残高(与信枠を含む) | 営業譲渡日における与信残高(引 当は行わない) |
⑩ | 評価基準日において乙が甲に開示した与信のうち、承継意向表明のなかった与信で、今後、甲乙が譲渡対象とすることに同意した与信の営業譲渡日における残高(与信枠を含む) | 営業譲渡日における与信残高に今後甲乙が合意する引当率を乗じた額を、営業譲渡日における与信残 高から控除した額 |