Contract
1 目 的
この事業は、道内外の医療関係機関・団体の協力を得て、医師確保の困難な医療機関に緊急・臨時的に医師を派遣し、医師不足が深刻な地域の医療を確保することを目的とする。
2 定 義
(1) 「派遣先医療機関」とは、地域の医療を確保するために、緊急性が高く優先的に医師派遣を行う必要があると認めた医療機関をいう。
(2) 「派遣元医療機関」とは、地域の医療を確保するための医師派遣の趣旨を了承し、緊急臨時的医師派遣事業において登録を受けて医師を派遣する医療機関をいう。
ただし、次の医師派遣については、本事業の対象外とする。
ア へき地医療を行う社会医療法人の認定を受けた派遣元医療機関からのへき地診療所への医師派遣
イ 労働者派遣法に基づく労働者派遣事業としての医師派遣
ウ 在籍型出向による派遣先の医療機関との雇用契約に基づく医師派遣
(3) 「登録医」とは、地域の医療を確保するための派遣の趣旨を了承し、緊急臨時的医師派遣事業において登録を受けた医師をいう。
(4) 「派遣元医療機関等」とは、派遣元医療機関及び登録医をいう。
3 実施主体
(1) 実施主体は、北海道、社団法人北海道医師会及び特定非営利活動法人北海道病院協会(以下「実施主体」という)とする。
(2) 実施主体に運営委員会をおき、11名以内の委員で組織する。
(3) 運営委員会では、次の事項について協議する。ア 医師派遣の要否
イ 派遣期間
ウ 派遣元医療機関等
エ その他派遣を決定するために必要な事項
(4) 委員は次の各号に掲げる者のうちから、実施主体の代表が任命する。ア 医療関係者
イ 関係機関・団体の者ウ 行政関係者
(5) 運営委員会には、委員の互選により、会務を総理する委員長及びそれを補佐する副委員長を置く。委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代理する。
(6) 運営委員会の会議は委員長が招集する。
(7) 本事業の事務局は、特定非営利活動法人北海道病院協会に置く。
4 派遣期間
派遣期間は、原則として6か月以内とする。
ただし、運営委員会において派遣延長が必要と認める場合には、別紙1に定める期間まで延長可能とする。
5 医師派遣の手続
(1) 地域の医療機関から実施主体に対し医師の派遣の要請があり、医師派遣依頼書を受理した場合、又は北海道医療対策協議会から医師派遣依頼に関する情報提供を受けた場合、実施主体は、速やかに運営委員会を開催する。
(2) 運営委員会は、医師派遣依頼のあった医療機関に対する派遣の可否について、別紙2「緊急に医師を派遣する必要性の判断基準」に基づき協議し決定する。
(3) 実施主体は、運営委員会において派遣が必要と認めた場合には、速やかに派遣先医療機関及び派遣元医療機関に対し、派遣内容を通知する。(別紙3「派遣の手続き」参照)
(4) 運営委員会において派遣の必要を認めなかった場合、実施主体は、派遣依頼のあった医療機関に対し結果を通知するとともに、必要な助言等を行うことができる。
(5) 派遣元医療機関は、医療法等関係法令の規定について留意し、医師の派遣を行うものとする。
6 派遣元医療機関に対するxx
xは、運営委員会が決定した派遣先医療機関に対する医師派遣について、派遣元医療機関に対し次に掲げる額の謝金を支払う。
ただし、2年を超えて派遣することが必要となる場合は、道と派遣先医療機関が、派遣元医療機関に対して、それぞれ次に掲げる額の謝金を支払うこととする。
区 分 | 報酬額(1日あたり) | ||
道支出額 | 派遣先医療機関支出額 | ||
① 医師少数区域への派遣 | 累計2 年以下 | 100,000円 | - |
累計2 年超 | 75,000円 | 25,000円 | |
② ①以外の派遣 | 累計2 年以下 | 50,000円 | - |
累計2 年超 | 25,000円 | 25,000円 |
7 派遣の覚書等の作成等
(1) 実施主体からの通知に基づき、派遣先医療機関及び派遣元医療機関は、派遣開始前に、派遣に関して必要な事項を記載した覚書等(別紙4「覚書等の標準様式」参照)を作成するものとする。
(2) 派遣先医療機関は、覚書等作成後、速やかにその写しを実施主体へ送付する。
(3) 登録医による医師派遣においても、派遣先医療機関及び派遣される登録医は、上記(1)(2)に準じ、覚書等の作成等を行う。
8 派遣期間における医療事故等の責任
運営委員会が決定した派遣先医療機関に対する医師派遣に係る医療事故等の責任は、次のとおりとする。
(1) 医療事故に関する責任
派遣期間における派遣先医療機関での医療事故については、派遣先医療機関が責任を負う。
(2) 医師の移動等における事故に関する責任
派遣期間(赴任及び帰任に係る移動を含む)における事故については、派遣先医療機関が責任を負う。
なお、派遣医師が、業務上の事由により災害を受けた場合の補償に係る保険料については、実施主体が負担する。
9 道費補助
道は、実施主体がこの実施要綱に基づき実施する事業に要する経費に対し、別に定めるところにより、予算の範囲内で補助を行う。
附 則
この要綱は、平成20年4月1日から施行する。この要綱は、平成22年9月1日から施行する。この要綱は、平成23年7月1日から施行する。この要綱は、平成25年4月1日から施行する。この要綱は、平成26年4月1日から施行する。
この要綱は、平成28年4月1日から施行する。この要綱は、平成30年4月1日から施行する。
この要綱は、令和2年(2020年)4月1日から施行する。この要綱は、令和4年(2022年)4月1日から施行する。
別紙1
派遣延長が可能な期間
運営委員会において派遣延長が必要と認める場合には、6か月毎に協議の上、最長2年まで延長可能とする。
ただし、地域センター病院、原子力災害医療協力機関及び医師少数区域(※)の医療機関については、2年を超える派遣期間の延長を可能とする。
なお、この取扱いは、同一の派遣先医療機関における同一の診療科への派遣に対するものであり、派遣元医療機関が変更になった場合も同様とする。
※北海道医師確保計画に定める医師少数区域をいう。
別紙2
緊急に医師を派遣する必要性の判断基準
派遣先医療機関に対する医師派遣の要否を決定するに当たっては、次の点から緊急に医師を派遣する必要性について検討する。
1 緊急臨時的医師派遣事業の対象としての妥当性
次の要件のいずれかに該当すると認められること。
(1) 派遣要請のあった診療科における医師数の状況
当該診療科に勤務する医師数が、過去6か月以内に減少し、若しくは今後6か月以内に減少することが確実な状況にある医療機関、又はそれらに準じた状況にあると認められる医療機関であること。
(2) 代替医師の派遣要請
代替医師の派遣要請においては、次の状況にあると認められること。ア 医師不足から過重な勤務環境にある医師の出張、有給休暇取得等
イ その他、地域医療提供体制の維持のために最低限必要と認められる派遣要請であること。
2 地域における医療を確保するための医師派遣の必要性
1に該当する医療機関のうち、医師多数区域(※)以外の2次医療圏に所在する医療機関であって、原則として、次のいずれかの点が認められるものとする。
(※)北海道医師確保計画に定める医師多数区域をいう。
(1) 北海道医療対策協議会からの医師派遣に関する情報提供北海道医療対策協議会からの情報提供があった医療機関
(2) 医療機関の地域における位置づけ
次のいずれかの特性を有する医療機関ア 自治体立病院又は診療所
イ 公的医療機関(アを除く)
ウ 地域における唯一の診療科を有する医療機関 エ 地域における唯一の入院病床を有する医療機関
(3) 現在の医療提供体制の維持の困難性
過去6か月以内に次のいずれかの状況が発生したか、又は今後6か月以内に発生するおそれがある医療機関
ア 地域における唯一の診療科の休診
イ 救急医療の提供体制の維持が困難な状況
ウ 医師の不在が、現在の医療提供体制や医師の勤務環境に重大な影響を与えると認められる状況
3 開設者の努力のみで緊急に医師を確保することの困難性
1及び2に該当する医療機関のうち、原則として、次の点が認められるものを優先する。
(1) 医師確保のための取り組み状況
過去6か月以内に、北海道医療対策協議会、医育大学、地域医療振興財団若しくは他の法人等が開設する医療機関に対する医師派遣の要請、又は求人広告による医師の募集等、医師確保のための取り組みを実施している医療機関
(2) その他の取り組み状況
現在の医療提供体制を維持するため、勤務ローテーションの見直しや地域の医療機関との調整等、医師確保以外の対応について、開設者としての努力が尽くされていると認められる医療機関
4 その他
上記の基準により難い場合にあっては、運営委員会において厳正に審査を行い、特に必要と認める場合には派遣を行う。
別紙3
派 遣 の 手 x
x 営 委 員 会
・北海道医師会
・北海道病院協会
・北海道
② 医師派遣に係る協議・決定
事
務
局
⑥ xx
x x x 体
北
登録
【派遣元】
補
助
海 ・事務局運営費
・派遣元医療機関
③ 調整 ・登録医
道
連 携
※1
⑤派
遣
④
覚書等
【派遣先】
地域の医師確保が困難な医療機関
(派遣先医療機関等)
北海道医療対策協議会
医師派遣連絡調整分科会
① 申請
※1 実施主体と北海道医療対策協議会(医師派遣連絡調整分科会)との連携の主なもの
・ 北海道医療対策協議会において調整が整わなかった事案のうち、申請者が短期間の派遣を望む事案について、実施主体に情報提供。
・ 派遣実績及び医療機関の医師充足状況等についての情報の共有 等
別紙4 【覚書等の標準様式】
緊急臨時的医師派遣に関する覚書
○○病院の診療業務に従事させるため、緊急臨時的に派遣する医師(以下「派遣医師」という)の取扱について、医師を派遣する△△病院開設者(以下「甲」という)と派遣を受ける○○病院開設者(以下「乙」という)は、緊急臨時的医師派遣事業実施要綱(以下「実施要綱」という)に定めるもののほか、次の事項に関して合意した。
第1 医師の派遣
(1) 甲は、乙の要請に基づき、甲の医師を乙に派遣する。
(2) 医師派遣の業務内容、人数、派遣期間、就業場所、指揮命令者、派遣元責任者及び派遣先責任者は、次のとおりとする。
① 業務内容 A業務 □□□□
B業務 ■■■■
② 人 数 A業務 ○名
B業務 ○名
③ 派遣期間 年 月 日 ~ 年 月 日
④ 就業場所 ○○病院 ○○科(○階 内線○○○)
⑤ 指揮命令者 ○○病院長 ○○○○
⑥ 派遣元責任者 △△病院△△部長 △△△△ 電話番号 △(△)△△
⑦ 派遣先責任者 ○○病院○○課長 ○○○○ 電話番号 ○(○)○○
(3) 就業日、就業時間、休憩時間、時間外労働及び宿日直は、次のとおりとする。
① | 就業日 | 土曜、日曜、祝日を除く毎日 |
② | 就業時間 | ○時から○時まで |
③ | 休憩時間 | ○時から○時まで |
④ | 時間外 | 就業時間外の労働は、1日○時間、週○時間の範囲で命ずることができるも |
のとする。
⑤ 宿日直 宿直は週○回、日直は月○回命ずることができるものとする。
第2 給与等
(1) 乙が甲に対して支払う費用は、次の合計の範囲内とする。
① 甲が派遣医師に支給する給与(社会保険料及び労働保険料の事業主負担分を含む)の額
② その他、甲と乙が協議し合意した額
(2) 派遣期間に1か月未満の期間が生じる場合には、その日数に応じ按分して支払う。
(3) xは、派遣医師に係る時間外勤務、宿日直等を含む勤務状況を把握し、毎月定期的に甲に報告する。
(4) 乙の業務に必要な出張旅費、現物貸与する宿舎等については、乙の規程等に基づき、乙から派遣医師に支給する。
第3 謝金
乙は、実施要綱第6のただし書きに該当する場合は、その金額を甲に支払う。
第4 福利厚生
乙は、乙が雇用する職員が利用する給食施設、レクレーション施設等の施設または設備について、派遣医師が利用することができるよう便宜を図る。
第5 派遣医師の移動等における事故に関する責任等
(1) 派遣先医療機関への赴任から派遣元医療機関への帰任までの間の事故については、派遣先医療機関が責任を負う(保険料負担を除く)ものとする。
なお、保険料は、実施主体が負担する。
(2) 派遣医師が労働災害に被災した場合は、乙は遅滞なく甲の派遣元責任者に連絡するとともに、労働者死傷病報告の写しを甲に送付する。
第6 医事紛争
(1) 乙の病院で発生した医事紛争の処理及び補償その他の措置はすべて乙が行う。
(2) 派遣医師に故意又は重大な過失がある場合は、乙は甲に求償権を有する。
(3) 乙は、あらかじめ派遣医師を医師賠償責任保険に加入させる等、医事紛争の処理及び補償等の体制の確立を図ること。
第7 | 派遣医師からの苦情 | |
(1) | 苦情の申し出を受ける者 | |
甲においては、△△病院△△係長 △△△△ | 電話番号 △(△)△△ | |
乙においては、○○病院○○係長 ○○○○ | 電話番号 ○(○)○○ | |
(2) | 苦情処理方法、連携体制等 |
① 甲における(1)記載の者が苦情の申し出を受けたときは、ただちに派遣元責任者の△△部長へ連絡することとし、当該派遣元責任者が中心となり、誠意をもって、遅滞なく、当該苦情の適切な処理を図ることとし、その結果について必ず派遣医師に説明すること。
② 乙における(1)記載の者が苦情の申し出を受けたときは、ただちに派遣先責任者の○○課長へ連絡することとし、当該派遣元責任者が中心となり、誠意をもって、遅滞なく、当該苦情の適切な処理を図ることとし、その結果について必ず派遣医師に説明すること。
③ 甲及び乙は、自らでその解決が容易であり、即時に処理した苦情の他は、相互に遅滞なく通知するなど、密接に連絡調整を行い、その解決を図ることとする。
第8 覚書の解除に当たって講ずる派遣医師の雇用の安定を図るための措置
(1) 事前の申し入れ
乙は、専ら乙に起因する事由により、覚書の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、甲の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって甲に解除の申し入れを行うこととする。
(2) 就業機会の確保
甲及び乙は、覚書の契約期間が満了する前に派遣医師の責に帰すべき事由によらない覚書の解除を行った場合には、派遣医師の新たな就業機会の確保を図ることとする。
第9 協議等
(1) この覚書に定める事項に疑義が生じたとき、又はこの覚書に定めのない事項については、必要に応じ甲乙協議の上決定する。
(2) 派遣医師の診療内容等、覚書上明らかでないものについては、必要に応じて甲が乙に対して意見を述べることができる。
以上を合意した証として本書面2通を作成し、甲乙署名捺印の上、各々1通を所持する。
年 月 日
甲 △△△△
乙 ○○○○