この協定により世界貿易機関(WTO)を設立する。
4 WTO
11-130 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(抄)
1994(平成 6 )年12月28日
(条約第15号)
世界貿易機関を設立するマラケシュ協定をここに公布する。
世界貿易機関を設立するマラケシュ協定
この協定の締約国は、
貿易及び経済の分野における締約国間の関係 が、生活水準を高め、完全雇用並びに高水準 の実質所得及び有効需要並びにこれらの着実 な増加を確保し並びに物品及びサービスの生 産及び貿易を拡大する方向に向けられるべき であることを認め、他方において、経済開発 の水準が異なるそれぞれの締約国のニーズ及 び関心に沿って環境を保護し及び保全し並び にそのための手段を拡充することに努めつつ、持続可能な開発の目的に従って世界の資源を 最も適当な形で利用することを考慮し、
更に、成長する国際貿易において開発途上国 特に後発開発途上国がその経済開発のニーズ に応じた貿易量を確保することを保証するた め、積極的に努力する必要があることを認め、
関税その他の貿易障害を実質的に軽減し及び国際貿易関係における差別待遇を廃止するための相互的かつ互恵的な取極を締結することにより、前記の目的の達成に寄与することを希望し、
よって、関税及び貿易に関する一般協定、過去の貿易自由化の努力の結果及びウルグアイ・ラウンドの多角的貿易交渉のすべての結果に立脚する統合された一層永続性のある多角的貿易体制を発展させることを決意し、
この多角的貿易体制の基礎を成す基本原則を維持し及び同体制の基本目的を達成することを決意して、
次のとおり協定する。
第 1 条 機関の設立
この協定により世界貿易機関(WTO)を設立する。
(出所)経済産業省ウェブ・ページ
11-131 第 1 回世界貿易機関(WTO)閣僚会議 シンガポール閣僚宣言(仮訳()抄)
1996(平成 8 )年12月 9 -13日
シンガポール
目的
1 .我々閣僚は、世界貿易機関(WTO)を
設立する協定の第 4 条に定められているとおり、最初の通常の二年毎のWTO閣僚会議のために1996年12月 9 日から13日までシンガポールにおいて会合した。本会合の目的は、交渉、ルールに基づいた体制の中での貿易の継続的な自由化並びに貿易政策の多数国間での検討及び評価のためのフォーラムとしてのWTOを更に強化すること、特に、
・WTO協定及び決定の下での我々のコミットメントの実施を評価すること、
・継続交渉及び作業計画を見直すこと、
・世界貿易の進展を検討すること、及び、
・発展しつつある世界経済の課題に対処すること
であった。
貿易と経済の成長
2 .50年近くにわたり、WTO加盟国は、最初はガットにおいて、そして現在はWTOにおいて、貿易関係が世界的に生活水準を高める方向に向けられるべきであるとの WTO協定の前文に反映されている目的の
達成を追求してきた。ルールに基づいた体制の下で貿易自由化によって促進された世界貿易の増大は、多くの国においてより多くの、より高い賃金の雇用を生み出してきた。最初の二年間のWTOの業績は、多角的体制が国際関係において安定的で安全な環境づくりに貢献し、持続可能な成長及び開発を促進する可能性を最大限に活用するために協力したいとの我々の希望を物語るものである。
各国経済の統合、機会と課題
3 .我々は、サービス貿易及び直接投資の成 長を含む国際経済の変化の範囲及び速度並 びに各国経済の一層の統合は、成長の向上、雇用創出及び発展のための未曾有の機会を 提供するものと信ずる。これらの進展は、 各国の経済及び社会における調整を必要と する。これらは、貿易体制に対する課題も 提示する。我々は、これらの課題に取り組 む決意である。
〔4. ~ 5. 略〕
WTOの役割
6 .共通の利益となる持続可能な成長及び開発という目的を追求して、我々は、貿易が自由に行われる世界を思い描く。このために、我々は、以下に対する決意を新たにする。
・xx、xxかつより開かれた、ルールに基づく体制、
・物品の貿易に対する関税及び非関税障壁の漸進的な自由化及び撤廃、
・サービス貿易の漸進的な自由化、
・あらゆる形態の保護主義の拒否、
・国際貿易関係における差別的待遇の撤廃、
・開発途上国、後発開発途上国及び移行経済国の多角的体制への統合、及び、
・可能な限り最も高い水準の透明性。
地域協定
7 .我々は、WTO加盟国の貿易関係が、その数、対象分野及び範囲が大きく拡大している地域貿易協定によって益々影響を受けていることに留意する。これらのイニシアティブは、一層の自由化の促進を可能にするものであり、後発開発途上国、開発途上国及び移行経済国の国際貿易体制への統合に資するかもしれない。この関連で、我々
は、開発途上国及び後発開発途上国を含む 既存の地域取極の重要性に留意する。地域 貿易協定の範囲及びその拡大は、地域貿易 協定に関連するWTOの権利及び義務の制 度を更に明確化する必要があるか否かにつ いての分析を重要なものとする。我々は、 地域貿易協定の発展のための枠組みを含む 多角的貿易体制の優位性を再確認し、地域 貿易協定が多角的貿易体制に補完的であり、かつ、そのルールに整合的であることを確 保する決意を新たにする。この関係で、 我々は、地域貿易協定に関する委員会が新 たに設置されたことを歓迎し、その活動を 支持する。我々は、マラケシュで採択され たWTO協定及び決定においてコミットし ているとおり、WTOにおける漸進的な自 由化を通じ引き続き努力し、そうすること により、世界及び地域の貿易自由化の相互 補完的なプロセスを促進する。
〔8. ~ 17. 略〕 ITA(情報技術合意)と医薬品 18.情報技術製品の貿易に関するシンガポー
ル閣僚宣言に留意し、我々は、最恵国待遇での関税撤廃に合意した多くのWTO加盟国及びWTOへの加盟を申請した国又は独立の関税地域がとったイニシアティブ並びに多くの加盟国が無税となる医薬品のリストに400以上の産品を追加したことを歓迎する。
作業計画と既に組み込まれている作業課題
(ビルトイン・アジェンダ)
19.WTOの活動の重要な側面の一つは、諸 協定の実施を継続的につかさどることであ ることに留意し、WTOの作業計画の定期 的な検討及び更新は、WTOがその目的を 達成することを可能にする上での一つの伴 である。この関連で、我々は、WTOの諸 機関の報告書を是認する。作業計画の大半 は、マラケシュで採択されたWTO協定及 び決定に由来する。WTOの協定及び決定 の一部として、我々は、農業、サービス及 び一部のTRIPsについて将来の交渉を求め る多くの規定に合意し、ダンピング防止、 関税評価、紛争解決了解、輸入許可手続、 船積み前検査、原産地規則、衛生植物検疫 措置、セーフガード、補助金及び相殺措置、
貿易の技術的障害、繊維製品等、貿易政策 検討制度、知的所有権の貿易に関する側面、貿易に関連する投資措置に関する見直し並 びにその他の作業を求める多くの規定に合 意した。我々は、合意された交渉及び見直 しを行う前に加盟国が内在する問題をより 良く理解し、自らの利害を特定することが できるようビルトイン・アジェンダの分野 について、WTOの関連機関の結論及び勧 告に規定されている場合には、分析及び情 報交換のプロセスに合意する。我々は、以 下に合意する。
・WTO協定において設定された時間的枠組みは、それぞれの場合において尊重されること、
・将来の交渉が定められている場合には、行われる作業はかかる将来の交渉の範囲を予断しないこと、及び、
・行われる作業は、合意された活動(すなわち、交渉又は見直し)の性質を損なわないこと。
投資と競争
20.投資及び競争政策に関する問題についての現行のWTO協定の規定並びにこれらの分野での、特に貿易に関連する投資措置に関する協定の下でのビルトイン・アジェンダに考慮し、また、行われる作業が交渉が将来開始されるか否かを予断してはならないとの理解の下で、我々は、また、以下に合意する。
・貿易と投資の関係を検討する作業部会を設置すること、及び、
・WTOの枠組みにおいて一段の検討に値し得る分野を特定するため、反競争的慣行を含め、貿易と競争政策の間の相互作用について加盟国が提起する問題を検討するための作業部会を設置すること。
これらの作業部会は、必要な場合には互いの作業を参考とし、また、UNCTAD及び他の適当な政府間のフォーラムにおける作業を参考とし、それらフォーラムの作業に影響を及ぼさない。UNCTADに関しては、xxxxxx宣言に述べられた作業、及びこの作業が問題の理解に対しなし得る貢献を歓迎する。作業部会の作業を行うに際して、我々は、利用可
能な資源を最大限有効に活用し開発の側 面が十分に考慮されることを確保するた め、上記の機関との協力を奨励する。一 般理事会は、各作業部会の作業を検討し、二年後に各作業部会の作業をどのように 進めるかを決定する。この分野における 多数国間の規律に関する交渉を将来行う としても、交渉についての明示的なコン センサスによる決定がWTO加盟国間で なされて初めて行うことを明確に理解す る。
政府調達の透明性、貿易の円滑化
21.我々は、また、以下に合意する。
・国内の政策を考慮に入れて政府調達慣行の透明性について検討を行い、この検討に基づいて適当な合意に含めるべき要素を作成するための作業部会を設置すること、及び、
・ 貿易の円滑化の分野におけるWTOのルールの範囲を評価するため、貿易の手続の簡素化について、他の関連する国際機関の作業を参考にして調査及び分析の作業を行うよう物品の貿易に関する理事会に指示すること。
22.パラ20及び21で言及された作業の計画にあたっては、各代表団、特に資源がより限られた代表団に対する負担を最小化し、 UNCTADの関連機関の会合とWTOの会合との調整を行うことに十分な注意が払われる。開発途上加盟国、特に後発開発途上加盟国のこれらの作業への参加を促進するために、事務局の技術協力計画が利用に供される。
23.1998年初めに多角的貿易体制が50周年を迎えることに留意し、我々は、この歴史的行事をどのように記念するのが最善であるかにつき検討するよう一般理事会に指示する。
〔略〕
(出所)外務省xxx・xxx
11-132 第 2 回世界貿易機関(WTO) 閣僚会議 閣僚宣言(仮訳)
1998(平成10)年 5 月20日採択
ジュネーブ
1 .今次第 2 回WTO閣僚会議は、多角的貿易体制の設立50周年記念式が開催されているという同体制にとって特に意義深い時期に開催されている。我々は、この機会に、貿易及び関税に関する一般協定及び世界貿易機関協定の前文に具現化された目的に従って、多角的貿易体制が、貿易の自由化及び拡大を促進し、国際貿易関係の実施のための枠組みを提供することにより、過去半世紀に亘り成長、雇用及び安定に重要な貢献を行ってきたことに敬意を表する。しかしながら、これらの成果を全世界の人々が十分かつ平等に共有できるようになるために、更に為すべきことがあることにつき我々の意見は一致している。
2 .我々は、多角的な規則に基づく貿易体制が極めて重要であることを確認する。我々は、我々がシンガポールで行ったコミットメント及び評価を再確認し、また同会議以来、既存の協定及び決定に基づく作業が重要かつ新たな進展をもたらしていることに留意する。特に、我々は、基本電気通信及び金融サービス交渉が成功裡に終結したことを歓迎し、情報技術合意が実施されたことに留意する。我々は、モノとサービスの貿易の漸進的な自由化を達成するための我々のコミットメントを新たにする。
3 .この50周年は、多くのWTO加盟国の経 済が金融市場の混乱がもたらした困難を経 験している時期に到来している。我々は、 この機会に、全ての市場を開放的に維持す ることが、これらの困難に対する持続的な 解決策の重要な要素の 1 つでなければなら ないことを強調する。右を念頭に、我々は、如何なる保護主義的措置の使用も拒否し、 IMF及び世界銀行におけると同様に、 WTOにおいても、開放的で規則に基づく 貿易体制が、あらゆる開発段階の経済にお いて安定した成長をもたらすための貢献を 最大限にするという観点から、国際的な経 済政策立案の一貫性を高めるために共に作
業を行うことに合意する。
4 .我々は、多角的貿易体制に対する支持を 高めるために、多角的貿易体制の恩恵につ いての一般の理解を高めることの重要性を 認識し、この目的に向けて努力することに 合意する。この関連で、我々は、WTOの 活動の透明性の向上の方途につき検討する。我々は、更に、持続的経済成長及び持続可 能な開発の目的に向けて努力の強化を継続 する。
5 .我々は、多角的貿易体制の恩恵が可能な限りxxに行きわたることを確保するとのコミットメントを新たにする。我々は、多角的貿易体制が開発途上国加盟国の特定の貿易関連の関心及び開発のニーズに応じた貢献を行う必要があることを認識する。我々は、多角的貿易協定及び関連の閣僚決定における開発途上加盟国、とりわけ後発開発途上国を優遇するための特別規定の適用を見直すため、貿易と開発に関する委員会において既に進行中の作業を歓迎する。 6 .我々は、後発開発途上国及び経済規模の小さないくつかの国の疎外化を引き続き深く懸念しており、これらの国の多くが直面している慢性的な対外債務問題により複雑化されているこの問題に迅速に取り組む必要性があることを認識する。この関連で、我々は、シンガポールで合意した、後発開発途上国のための行動計画を包括的に実施するために、WTOが他の国際機関と協力してとったイニシアチブ、特に1997年10月にジュネーブにて開催された後発開発途上国に関するハイレベル会合を通じたイニシアチブを歓迎する。我々は、また、右イニシアチブを極めて重視しており、そのフォローアップに関する事務局長の報告を歓迎する。我々は、後発開発途上国が輸出する産品に対する市場アクセス条件を、可能な限りxxかつ自由化された形で引き続き改善することを約束する。我々は、加盟国に対し、各国がハイレベル会合で約束した市場アクセスに関するコミットメントを実施
するよう求める。
7 .我々は、また、シンガポール閣僚会議以降に加入したWTO加盟国、すなわち、コンゴー共和国、コンゴー民主共和国、モン
ゴル、ニジェール及びパナマを歓迎する。我々は、現在加入交渉中の31の申請国・地域についての進展を歓迎しまた、加入手続きが可能な限り迅速に進展することを確保する決意を新たにする。我々は、WTOへの加入に当たっては、加入申請国・地域側において、WTOの諸規則及び諸原則を十分に尊重すること、並びに意味のある市場アクセスについてのコミットメントが必要であることを想起する。
8 .WTO協定及び閣僚決定の完全かつ誠実 な実施は、多角的貿易体制の信頼性のため に絶対必要であり、また世界のあらゆる地 域においてグローバルな世界貿易の拡大、 雇用創出の促進及び生活基準の向上のモメ ンタムを維持するため不可欠である。我々 が第 3 回閣僚会議を開催する際、我々は、 個別の協定の実施と協定の目的の実現につ いての評価を更に追求する。その評価にお いては、特に、実施に当たって生じた問題 及びその結果として加盟国の貿易及び開発 の見通しに及ぼす影響がその対象となろう。我々は、我々が既に合意した、見直し、交 渉及びその他の作業のための既存のスケ ジュールを尊重するコミットメントを再確 認する。
9 .我々は、世界貿易機関を設立するマラケ シュ協定は、WTOは同協定の付属書に含 まれている協定で取り扱われる事項に係る 多角的貿易関係に関する加盟国間の交渉の ための場を提供する旨、及びWTOは、また、閣僚会議の決定するところに従い、多角的 貿易関係に関する加盟国間の追加的な交渉 のための場及びこれらの交渉の結果を実施 するための枠組みを提供することができる 旨規定していることを想起する。上記第 1
項から第 8 項に鑑み、我々は、既存の協定
の完全かつ誠実な実施を確保し、第 3 回閣僚会議への準備を行うため、一般理事会の指示の下、 1 つの過程が開始されることを
決定した。この過程は、我々が第 3 回閣僚 会議において決定を行えるように、一般理 事会がWTOの作業計画(全加盟国の様々 な関心及び懸念に応えるために十分xxで、 WTOの枠組みの下で行われる更なる自由 化を含む)に関する勧告を提供することを
可能とする。この観点から、一般理事会は、コンセンサスによる意思決定の原則を十分 に尊重しつつ、一般理事会の作業が完全か つ時宜を得た形で完了することを確保する ため、1998年 9 月に特別会合を開催し、さ らにその後は定期的に会合する。一般理事 会の作業計画は、以下を含むものとする。
⒜ 次の事項に関する勧告
ⅰ 加盟国によって提起されるものを含む、既存の協定及び決定の実施に関する問題
ⅱ 既にマラケシュにおいてマンデートが与えられた交渉の予定通りの開始を確保すること
ⅲ その他の既存の協定及びマラケシュにおいて採択された決定で既に規定されている将来の作業
⒝ シンガポールにおいて開始された作業計画に基づくその他のあり得べき将来の作業に関する勧告
⒞ 後発開発途上国に関するハイレベル会合のフォローアップに関する勧告
⒟ 加盟国間の多角的貿易関係に関して加盟国から提案され、合意されるその他の事項の検討の結果による勧告
10.一般理事会は、また、上記の勧告から生じる更なる作業計画の組織及び運営(作業の範囲、構成及び時間的枠組みを含む)に関する決定のための勧告をコンセンサスに基づき第 3 回閣僚会議に提出する。右勧告はその作業計画が速やかに開始され、終了することを確保するものである。
11.以上の作業計画は、全ての加盟国間の利益の全体的な均衡の達成を目指すものとする。
(出所)「第 2 回WTO閣僚会議とガット/
WTO 50周年行事」、『貿易と関税』 1998年 7 月号、12-13ページ
11-133 第 2 回世界貿易機関(WTO) 閣僚会議 グローバルな電子商取引に関する宣言(仮訳)
1998(平成10)年 5 月20日採択
ジュネーブ
閣僚は、
グローバルな電子商取引が増大しつつあり、貿易の新たな機会を創出しつつあることを認識し、以下の通り宣言する。
一般理事会は、次回特別会合までに、加盟国によって特定された問題を含む、グローバルな電子商取引に関する全ての貿易関連事項を検討する包括的な作業計画を設定する。作業計画は、関連する世界貿易機関(WTO)の委員会を関与させ、開発途上国の経済、財政及び開発に関するニーズを考慮し、及び作業が他の国際的な場においてもまた行われていることを認識する。一般理事会は第 3 回閣僚会議に提出すべく作業計画の進展に関する
報告書及び行動のための何らかの勧告を作成すべきである。我々は、また、作業計画の結果又はWTO諸協定に基づく加盟国の権利義務に影響を及ぼすことなく、加盟国が電子送信に関税を賦課しないという現在の慣行を継続することを宣言する。一般理事会は、第 3回閣僚会議に報告を行う際、この宣言を見直す。宣言の延長については、作業計画の進展を踏まえつつ、コンセンサスにより決定される。
(出所)「第 2 回WTO閣僚会議とガット/ WTO 50周年行事」、『貿易と関税』 1998年 7 月号、22ページ
11-134 第 3 回世界貿易機関(WTO)閣僚会議 xxxxxxxxUSTR議長のリマークス
1999(平成11)年12月 3 日 シアトル
Let me begin by offering my sincere thanks to Difector-General Xxxxx, to our Working Group Chairs and Co-Chairs, the WTO Secretariat, and to each of the delegations representing their governments here at this Ministerial, for their very hard and productive work over the past week. I would also like to thank our hosts in the Seattle community for their hospitality and patience during a sometimes very difficult week.
Over the past four days, we engaged in intense discussion and negotiations on one of the core questions facing the world today: the creation of a global trading economy for the next century. The delegates have taken up some of the most profound and important issues and policy decisions imaginable, including issues that previous Rounds could not resolve, and matters that have not come before the trading system in the past. They took up these issues with good will and mutual respect, and made progress on many of them.
However, the issues before us are diverse, complex and often novel. And together with this, we found that the WTO has outgrown the processes appropriate to an earlier time. An increasing and necessary view, generally shared among the members, was that we needed a process which had a greater degree of internal transparency and inclusion to accommodate a larger and more diverse membership.
This is a very difficult combination to manage. It stretched both the substantive and procedural capacity of the Ministerial, and we found as time passed that divergences of opinion remained that would not be overcome rapidly. Our collective judgment, shared by the Director-General, the Working Group Chairs and Co-Chairs, and the membership generally, was that it would be best to take a time out, consult with one another and find creative means to finish job.
Therore, Ministers have agreed to suspend the work of the Ministerial. During this time, the Director-General can consult with delegations and discuss creative ways in which we might bridge the remaining areas in which consensus does not yet exist, develop an
improved process which is both efficient and fully inclusive, and prepare the way for successful conclusion. The Ministerial will then resume its work.
Again, I wish to thank Director-General Xxxxx, the Seattle community, and all our delegations for their hard work and their participation in these talks. Our work together has been a honor and a privilege for me, and I look forward to its continuation in the weeks and months ahead.
(出所)「WTO第 3 回閣僚会議について」、『貿易と関税』2000年 2 月号、15ページ
11-135 第 3 回世界貿易機関(WTO) 閣僚会議 xxxx大臣演説 1999(平成11)年12月 2 日 シアトル
議長、ムーア事務局長、各国閣僚並びに代表団、御列席の皆様、
私は、日本政府を代表して、この会議に臨 む我が国の決意について述べたいと思います。まず、閣僚会議開催にあたって、多大なる努 力を払って来られた、米国政府、WTO事務局、シアトル市、シアトル・ホスト委員会他、関 係者の方々に、厚く御礼申し上げます。
(多角的自由貿易体制へのコミットメント)
議長、
我々は、今世紀前半の二つの大戦と世界大不況からの教訓を得て、その後50年余りにわたり、自由と民主主義を基礎とする平和と繁栄を追求してきました。多角的自由貿易体制は、そのような我々の努力の重要な礎石でありました。
ガットは、誕生以来、国際貿易のルールの強化や自由化の推進を通じ、多角的自由貿易体制の守護神としての役割を果たしてきました。ガット発足以来今日までの間、世界の貿易量は20倍近くにも拡大してきております。さらに、1995年初めのWTO発足により、サービス貿易や知的所有権といった新しい分野にも取り組むこととなり、また、紛争処理機能が改善される等、多角的貿易体制は、一層強化されることとなりました。
21世紀を目前に控え、我々は、ガット、
WTOが果たしてきた多大なる役割を再認識 し、激しく変動する国際経済の中で、WTOに、より効果的な機能を与えるよう、不断の努力 を重ねる必要があります。そのためには、今 回の閣僚会議により、WTOとして初めての ラウンド交渉の開始を宣言することが、何よ りも重要です。
自由貿易の恩恵を受け、経済発展を遂げた我が国は、多角的自由貿易体制の維持、強化に、深くコミットしております。今回の閣僚会議には、私だけでなく、農林水産大臣及び通商産業大臣も出席しており、三閣僚が力を合わせ、今回会議の成功に全力で貢献したいと思います。
(WTOが直面する課題)
議長、
発足して五年になるWTOは、現在早急に取り組まなければならない二つの課題に直面しています。
WTO加盟国のうち 4 分の 3 を占める途上 国の中には、WTO協定の義務履行に困難を 抱えている国もあります。WTOの第一の課 題は、このような途上国の関与の問題であり、いわゆる「実施」問題であります。次期ラウ ンド開始にあたり、この課題に正面から取り組む必要があります。 そして、 途上国が WTOから十分な利益を受けるためにも、既 存のルールの必要な見直しが行われることが 重要です。この関連で我が国は、次期交渉で、特にダンピング防止措置に対する規律の見直 しを重視しています。さらに、後発途上国に 対してはとりわけ配慮が必要です。我が国と しても、これらの諸国からの実質的に全ての
産品について関税を無税化すべく真剣に取り組みたいと思います。
また、一方で、人々は、貿易の更なる自由 化が、環境の保護、食品の安全、農村社会の 維持、文化・伝統の保全等にどのような影響 を与えるかについて懸念を表明しています。 WTOは、これらの問題提起に答えていかな ければなりません。これが、WTOに課せら れた第二の課題です。特に、持続可能な開発 を含めた環境問題、GMO(遺伝子組換え体)、林産物・水産物等の有限天然資源の保存管理 等に適切に対処すべきです。また、農業につ いては、食料安全保障、輸出入国間の権利x xのバランスの回復に加え、農業の多面的機 能への配慮が重要です。我が国は、来年以降、農業協定第20条に基づき、他の国と協力して 交渉する用意があります。しかし、これから 交渉に入ろうとする時に、交渉のスタートラ インを変更したり交渉結果の先取りをせんと する一部の国々の主張は、建設的とは思われ ません。
さらに、我々は、21世紀を見据えてWTOのあるべき姿を追い求めていかなければなりません。そのためにも、次期ラウンドでは、これまで述べた点に加え、投資、電子商取引等、新たな課題への対応も重要です。また、 WTOが真に普遍的な国際機関となるため、現在加盟作業中の31カ国の早期加盟の実現を期待し、引き続き努力していきたいと思います。
(おわりに)
議長、
我々は、今まで以上に、解決の道筋をつけ にくい数々の問題に取り組むことが必要と なっています。今回の会議に出席している閣 僚は、多角的自由貿易体制のxxに強くコ ミットし、この会議の成功に積極的なイニシ アティブを発揮していかなければなりません。それぞれの抱える問題、関心事項は異なるか もしれませんが、各国、各国民が新しいラウ ンドを開始することの歴史的重要性を認識し、
協力と協調の精神をもって、努力することが重要であります。今回の会議が、WTOの輝かしい一ページとなるよう、我が国としても全力を尽くすことを約束したいと思います。
御清聴有り難うございました。
(出所)外務省ウェブ・ページ
11-136 沖縄サミット G8 コミュニケ・沖縄2000(仮訳)(抄)
2000(平成12)年 7 月23日 沖縄
貿易
35.WTOによって具現された多角的貿易体制は、ルールに基づく自由貿易を実現するための国際社会による半世紀にわたる不屈の努力の成果の表われであり、先進国及び開発途上国双方の加盟国に対し、経済成長を刺激し社会発展を推進しつつ、多大な貿易の機会を提供してきた。これらの利益をより目に見える方法でより多くの諸国に拡大するために、体制は、開発途上加盟国、特に後発開発途上国の正当な関心により良く取り組む必要がある。ウルグアイ・ラウンド合意の実施、後発開発途上国に対する市場アクセスの改善、キャパシティ・ビルディングの強化のための技術支援、及び WTOの透明性の向上に関するジュネーブにおける短期的パッケージの採択は、この方向に向けた重要な第一歩であり、迅速に追求されなければならない。我々は、この分野において一層の緊急性をもって更に前進する必要性を認識する。そして、我々はそのように行動する。特に、開発途上国の発展における貿易の決定的な重要性の観点から、貿易関連のキャパシティ・ビルディングは大幅に拡大されるべきであり、そのことが、開発途上国による体制へのより効果的な参加と、特に、これら諸国の利益となる市場アクセスの改善のより十分な活用につながり得る。我々は、また、この関連の二国間及び地域的なイニシアティブを賞賛する。我々は、開発途上加盟国に対して個々のニーズに沿ったキャパシティ・ビルディングのための支援を強化することにより、主導的な役割を果たすことにコミットする。我々は、また、WTO、世界銀行、
IMF、 国 際 連 合 開 発 計 画(UNDP)、 UNCTADを含む国際機関に対し、この目的のために我々とともに共同して行動をとるよう要請する。
36.我々は、多角的貿易体制が強化され、世 界経済において極めて重要な役割を果たし 続けることを確保しなければならない。 我々は、この責任を認識しつつ、すべての WTO加盟国の関心を反映する、野心的で均衡がとれかつ幅広いアジェンダによる WTO貿易交渉の新たなラウンドについて 強力にコミットしている。我々は、このよ うな交渉の目的が、市場アクセスを促進し、 WTOのルール及び規律を発展させかつ強 化し、開発途上国が経済成長と世界的な貿 易体制への統合を達成することを支援し、 貿易政策と社会政策とが、また、貿易政策 と環境政策とが両立し相互に支援的である ことを確保するものであるべきということ に合意する。我々は、今年中にそのような ラウンドを立ち上げるよう、他のWTO加 盟国と共に努力するため、我々の間の緊密 で実り多い協力を強化することに合意する。
37.我々は、グローバリゼーションに関する課題への取組を助けるためにより包括的なパートナーシップが築かれなければならないことを認識する。この点に関し、国際的及び国内的な政策の一貫性を向上しなければならず、また、国際機関の間の協力を改善しなければならない。我々は、また、貿易自由化の利益及び課題に関する建設的な対話を築くために一般国民との関わりを持つことの重要性を強調する。
38.すべての経済を多角的貿易体制に統合することは、我々に共通の利益である。従って、我々は、中国のWTOへの加盟に関する進展を歓迎し、他の申請国の早期加盟に向けた努力を支持する。
(出所)外務省ウェブ・ページ
11-137 APEC2000首脳宣言(仮訳)(抄)
2000(平成12)年11月15日 ブルネイ・ダルサラーム国、バンダル・スリ・ブガワン
多角的貿易体制の強化
22.グローバル化のこの時代においては、x xかつルールに基づいた多角的貿易体制は、我々の成功と繁栄のために、これまでにも 増して決定的な重要性を持つ。この体制は 21世紀の課題に応えるべきである。
23.我々は、全てのWTO加盟国、特に、後 発途上メンバー及び途上メンバーの利益と なるように、WTOの新ラウンドを迅速に 立ち上げる必要があることを再度表明する。我々は、全てのWTO加盟国の関心及び懸 念に応えるような、バランスが取れ、かつ 十分にxxなアジェンダを2001年の出来る だけ早い時期に策定し、かつ決定して、 2001年にラウンドを立ち上げることで意見 が一致する。オークランドで我々が合意し た要素及び目的は、現在においても適切な ものである。
24.我々は、閣僚に対し、現在行われている 農業及びサービス交渉において意味のある 進展をとげるよう指示する。我々は、また、閣僚に対し、交渉のアジェンダ全体を予断 することなく、新ラウンド準備の一環とし て鉱工業品関税や他の関連分野についての 準備作業を継続するよう指示する。我々は、次回WTO閣僚会議までの間の電子商取引 への関税賦課に関するモラトリアムに対す るコミットメントを再確認し、電子商取引 の利用及び開発を制限するような不必要な 措置を回避することの重要性を認識する。 我々は、電子商取引の進化に対してWTO のルールがどれほど適切であるかを検討す る特別の分析タスク・フォースをWTO内 に設立することを求める閣僚の要請を承認 する。
25.我々は、後発途上メンバーのための市場 アクセスに関する措置やWTO協定の実施 の側面に関する懸念に対処する措置を含め、 WTOにおいて採択された信頼醸成措置を 賞賛する。我々は、後発途上メンバー向け の市場アクセス・イニシアティブが効果的
に実施され、より多くのメンバーが同イニシアティブに参加するよう求める。
26.新ラウンド立ち上げに向けた勢いを高めるため、我々は、WTO協定実施のためのキャパシティー・ビルディングに関する戦略的なAPEC計画の策定における進展を歓迎する。我々は、示された戦略計画を承認し、閣僚によるその早期実施の決定を支持する。
27.我々は、この一年間に中国のWTO加盟交渉において達成された実質的進展を歓迎するとともに、 中国が出来る限り早く WTOに加盟出来るようにするため、これらの交渉の迅速な妥結を求める。我々は、また、チャイニーズ・タイペイの速やかな WTO加盟、並びに、ロシア及びヴィエト
ナムの加盟プロセスの前進を支持する。 28.我々は、アジア太平洋地域における地域
貿易取極の最近の進展に留意する。我々は、地域貿易協定や二国間貿易協定がWTOに おける多角的自由化のための踏み台(ビル ディング・ブロック)として役立つもので あることで意見が一致する。したがって、 我々は、既存の地域貿易協定及びこれから出来つつある地域貿易協定が、WTOのルール及び規律に整合的であるべきことを 確認する。我々は、また、これらの地域貿易取極はAPECの構想に沿い、 また、 APECの目標及びその諸原則に資するもの と考える。
(出所)外務省ウェブ・ページ