Contract
モザンビーク共和国に係るバイオコールブリケット小規模実証試験のフォローアップ業務仕様書
1. 適用範囲
本仕様書は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構( 以下「機構」という)が実施するモザンビーク共和国に係るバイオコールブリケット小規模実証試験のフォローアップ業務(以下「本業務」という)の業務仕様を規定するものである。
本業務の受託者は、本業務のすべてを本仕様書及び委託契約書に基づいて実施しなければならない。
2. 背景と目的
2019 年3 月に鉱物資源エネルギー省企画協力局( MIREME-DPC)と署名交換されたMOUに 基づき、2019 年度以降4年間を掛けてバイオコールブリケット(BCB) 小規模実証試験(SSPT) をモザンビーク側のカウンターパートである鉱物資源エネルギー省企画協力局( MIREME- DPC) と共同で実施してきた。当初はモザンビーク鉱物資源公社( EMEM)をSSPTのモザン ビーク操業パートナー(MOP)として、その後2021年5 月31日付けでEMEMの清算がモザンビー ク政府の閣議で決議されたことを受けて、MIREME傘下の地質鉱山局( 以下DNGM)がMOPに 選定され、更に、2022年4 月13日付けでMIREME大臣がMOPをDNGMから国家鉱山機構( INAMI)に変更する決定がくだされ、最終的に2022 年6 月8 日付けMIREME-DPCレターでMIREME傘下 のFUNAE( FUNDO DE ENERGIA)がMOPに指名され本SSPT事業を実施してきた。
本SSPT 事業はMOP がEMEM よりDNGM に変更となったことに伴う遅延や 2020 年度以降の COVID-19(新型コロナウイルス) の影響による現地作業の大幅な遅延を鑑み、本事業を予定通り2022 年度中に完了すべく、MIREME-DPC側が充足すべき各前提条件の達成状況に応じて本事業の実施計画を3 代替案に変更する「Amendment Agreement( 変更契約書)」の署名交換をMIREME-DPCと2022 年1 月に行い、更に、時間制約の中、上記MOU、変更契約書等既に署名交換済の諸契約で規定された権利義務をDNGMからFUNAEに譲渡することを確認する
「Assignment Agreement(譲渡契約書)」の署名交換を機構、MIR EME-DPC、FUNAEの三者間で2022年8月に行った。
上記譲渡契約書に基づき FUNAE が変更契約書で規定したプラン B(日本で製作した主要機器を Tete 州迄輸送する代替計画) の前提条件を充足したことにより、主要機器をプラント立地となる Tete 州迄輸送し、2023 年 1 月に無事に FUNAE が手配した Tete 州の保管倉庫への搬入が完了し、2023 年 2 月に機構職員による現地検品を行い全ての輸送機器が安全に保管されていることが確認され、プラン B での本 SSPT 事業を完了した。
一方、FUNAEがプランBの前提条件を充足すること、更に当該年度予算が確保されることを条件に機構は2023 年度以降SSPTの建設・試運転・操業期間中に技術支援を行うことを規定した上記譲渡契約書に基づき、2023 年度~ 2024 年度を対象とした技術支援に関するフォローアップ事業の覚書の署名交換を2023 年3 月にJOGMEC、FUNAEの二者間で取り交わし、その覚書に基づいて実施するものである。
SSPT 事業は、モザンビークの石炭資源の有効活用と環境負荷に配慮しつつ、モデルとなる炭鉱地域を中心として、BCB の商業化・ 普及を目指して、2023 年度以降 FUNAE が主体的に小規模実証事業を行うものであり、同国の森林破壊抑止・同国炭鉱会社の CSR 活動・ 炭鉱事業の事業性改善に寄与し、その結果同国の石炭産業の発展に資するとともに、同国内におけるエネルギー需給バランスの向上により、我が国への石炭資源、 特に希少な一級原料炭の安定供給に貢献するものである。
3. 業務内容
本フォローアップ事業では、上記 2023 年 3 月に署名交換した覚書に基づき、FUNAE が実施する SSPT 事業に対して FUNAE が所定の前提条件を充足することを条件に、令和 5 年度は以下の業務内容を実施する。
SSPT 事業の概要(プラントプロセス、プラント能力等) 及び FUNAE と覚書で合意した業務・費用分担表を別紙 1 及び別紙 2 に示す。
(1)FUNAE との Technical Support Agreement(TSA)に係る署名交換
1) FUNAE との TSA に係る署名交換
機構と FUNAE 間で 2023 年 3 月に署名交換を行った覚書を踏まえた詳細な TSA について
FUNAE と協議を実施し、署名交換を行う。
(2)FUNAE に対するブリケット成型機・ミキサー等に対するメンテナンス方法指導他の実施 1) 2022 年度に日本より輸送し、Tete 州倉庫に保管されているブリケット成型機・ミキサー等に対して機器メーカより提供されたメンテナンスマニュアルに基づき現地で FUNAE に指導を行う。
2) 上記 Tete 州倉庫に保管されている日本より輸送された機器の保管体制の確認をメール・
TV 会議等を通じて FUNAE に実施する。
(3)SSPT のスケジュール管理
1)EPC コントラクター選定手続き、現地機器調達、原料調達等の SSPT スケジュールの進捗確認をメール・TV 会議等を通じて FUNAE に実施し、適宜機構に報告する。
2) 大幅な遅延、トラブル等が発生した場合はその背景・理由・対策等をメール・TV 会議等を通じて FUNAE に確認し遅滞なく機構に報告する。
(4)許認可手続きの進捗確認
1) SSPT プラント建設に必要な全ての許認可手続きの進捗確認をメール・TV 会議等を通じて
FUNAE に実施し、適宜機構に報告する。
2) SSPT プラント操業に必要な全ての許認可手続きの進捗確認をメール・TV 会議等を通じて
FUNAE に実施し、適宜機構に報告する。
3) 大幅な遅延、トラブル等が発生した場合はその背景・理由・対策等をメール・TV 会議等を通じて FUNAE に確認し遅滞なく機構に報告する。
(5)最終プラント設計・エンジニアリング作業の支援
1)FUNAE による EPC コントラクターとのコントラクター契約の締結を確認した上でプラントエンジニアリング会社の専門家を現地に派遣し、現地立地に即した最終プラントエンジニアリング作業、最終設計の見直し及び確定を当該コントラクターと協議・協力の上、支援する。
2) 上記専門家派遣業務の適切な管理
3)FUNAE が契約したコントラクターより追加の最終エンジニアリング・設計作業に関する問合せに対する対応。
(6)プラント建設支援
1)FUNAE による①EPC コントラクターとのコントラクター契約の締結、②日本より輸送した機器の適切な保管管理の構築、③プラント建設に必要な全ての許認可取得の完了、④プラント建設に必要な全ての現地調達機材の調達を確認した上でプラントエンジニアリング会社と機器メーカーの専門家を現地に派遣し、プラント建設に関して当該コントラクターと協議・協力の上、技術指導を行い支援する。
2) 上記専門家派遣業務の適切な管理
3)現地派遣後に必要に応じてメール・TV 会議等を通じたプラント建設に関するフォローアップを実施する。
(7 )報告書作成
1) 上記項目(2)-1) に関する取り纏め
2) 上記項目(5)-1)、3) に関する取り纏め
3) 上記項目(6)-1)、3) に関する取り纏め
4. スケジュール
本業務の令和 5 年度の全体計画は以下のとおりである。また、日本国政府の予算又は政策・方針の変更等により、実施内容、実施期間、予算額の変更があり得る。
項目 | 令和 5 年度 |
(1) TSA 及び AIP 署名交換 1 ) TS A 署名交換 | |
(2) ブリケット成型機・ミキサー等のメンテナンス方法指導 1) メンテナンスマニュアル指導 2 ) 保管体制の確認 | |
(3) SSPT スケジュール管理 1 ) スケジュール進捗確認 2 ) 遅延・トラブル対応の報告 | |
(4) 許認可手続き進捗確認 1 ) プラント建設許認可確認 2 ) プラント操業許認可確認 3 ) 遅延・トラブル対応の報告 | |
(5) プラントエンジニアリング・設計支援 1 ) 専門家派遣 2 ) 派遣業務管理 3 ) 追加対応 | |
(6 ) プラント建設支援 1 ) 専門家派遣 2 ) 派遣業務管理 3 ) 派遣後フォローアップ | |
(7 ) 報告書作成 1 ) 項目( 2 )- 1) の取り纏め 2 ) 項目( 5 )- 1) 、3) の取り纏め 3 ) 項目( 6 )- 1) 、3) の取り纏め |
現地出張業務
国内管理・支援業務
5.その他
(1) 現地業務を行う場合には、業務計画( 出張計画)を出発日の前日から起算して 5 日以前に機構に提出するとともに、帰国後には機構に対し速やかに業務内容の報告及び出張報告書の提出を行うものとする。
(2) 上記の業務項目は、最低限必要とされるものであるが、内容をより充実させるために提案者の知見を基に業務項目を追加して提案することを妨げない。
(3) 機構と FUNAE が設置する運営委員会などにオブザーバーとして参加すること。その際、機構から資料の作成要請を行う場合がある。
6. 業務実施期間
契約締結日から令和6年3月22日までとする。
7. 成果物
報告書は A4 サイズとし、電子媒体での提出とする。
(1) 提出期限
成果報告書ドラフト( xx) は令和 6 年 1 月末日までに、FUNAE 提出用報告書(英文) は同年 2 月末日までに提出する。最終成果物は同年年 3 月 15 日までに提出とする。
(2) 提出する成果物
① 報告書( 日本語版):電子ファイル
※ 表紙、まえがき、目次、要約、本文、まとめ、添付資料の構成とする。なお、要約は全角 1,500 文字を上限とする。
※ フォントサイズは統一し、「M S 明朝」「 MS ゴシック」等の標準的な文字フォントを使用する。
② 報告書(英語版):電子ファイル
※ 表紙、まえがき、目次、要約、本文、まとめ、添付資料の構成とする。なお、要約は半角 3 ,000 文字を上限とする。
※ フォントサイズは統一し、「M S 明朝」」「MS ゴシック」等の標準的な文字フォントを使用する。
③ 上記報告書の電子媒体1式
※ 電子媒体は CD-ROM、DVD-ROM 又は USB メモリ等とし、マイクロソフト社ワード及び PDF 形式 の電子ファイルを入れること。
(3) 報告書作成に当たっての注意事項
報告書作成に当たっては、受託者は以下事項に留意すること。
① 使用したデータ等に関しては、その出所を明確にすること。また、データ使用に関する 著作権・知的財産xxに対しては、適切に対応すること。
② 報告書中のグラフは、グラフ中又は別表にて数値を記載すること。
③ 報告書の作成に当たっては、機構と密に連絡を取り、機構の指示、判断を受けるものとすること。
8. 進捗状況の報告及び報告会の開催
本業務の進捗を確認する観点から、受託者は、適宜、業務の進捗状況及び調査内容に関し、機構に対して報告するものとする。
9. 仕様書の解釈
本仕様書の条項について解釈上疑義が生じた場合又は定めのない事項等については、機構と受託者が協議の上定めるものとする。
以上
別紙 1
1. SSPTプラント基本プロセス
2. SSPTプラント仕様
項目 | 条件 |
プラント消費電力(k W) | 120 |
BCB プラント生産能力 | 1.0 dry-㌧/時間 |
一日当りの運転時間 | 8 時間/日 |
年間運転日数 | 200 日/年 |
設備稼働率 | 80 % |
BCB 製品歩留り | 86 % |
原料供給量 | 115.2 dry-㌧/月 |
月間 BCB 生産量 | 125.1 wet-㌧/月 |
試運転期間 | 4 カ月 |
本格運転期間 | 10 カ月 |
3. SSPTプラント立地予定地
モザンビーク共和国テテ州、 Benga村テテ州所有地
別紙2
項目 | 日本 | モザンビーク |
1.SSPT EPC (a) SSPT プラント立地の提供 (b)SSPT プラント基本設計・エンジニアリング、 SSPT プラント基本設備計画 (1)プラント基本設計・エンジニアリング (2)プラント基本設備計画 (3)プラント基礎・土木工事基本計画 (4)最終プラント設計・エンジニアリング、設備計画、基礎土木工事計画の見直し・変更 (c)モザンビーク現地で調達可能な資機材の調達 (d)日本が供給した主要機器の倉庫での適切な保管・管理 (e)プラント立地予定地での基礎・土木工事及びプラント建設工事 (f)SSPT プラント建設工事期間中のブリケット成型機専門 家の派遣 | * * * △ * | * * * * * |
2.SSPT プラントの試運転・本格運転 (a)SSPT プラント操業の運営管理 (b)SSPT プラント操業に供する原材料・ユティリティーの調達・確保 (c)SSPT プラント操業に供する人材(エンジニア・オペレター等)の確保・雇用 (d)SSPT プラント資産の保全管理 (e) SSPT プラント試運転・本格運転期間中のブリケット成型機専門家の派遣 | * | * * * * |
3. 許認可 (a)SSPT プラント建設・運転に関わる許認可取得 (b)円滑な SSPT プラント建設・運転の為の地元対策 | * * | |
4.BCB の市場調査・試験販売 (a)テテ州での BCB 試験販売 | * | |
5.結果の取り纏め・成果報告書作成 (a)結果の取り纏め・成果報告書作成 | * |
* 業務・費用担当者、 △補助業務