M29年 M31年 戦後 H16年 H25年 1896年 1896年 まもなく 2004年 2013年3月 成立 施行 親族相続全面改正 平仮名口語体 中間試案公表
一般社団法人大阪ビルディング協会平成25年10月度・経営セミナー
解説-オフィスビル標準賃貸借契約書
平成25年3月改訂標準賃貸借契約書の解説
―改訂ポイントと最近の判例や民法改正xxxxをにらんで―
平成25年10月29日
山下・xx法律事務所弁護士 xx x
第1 改正の経緯(暴力団対策に関する動向)
1992年(平成4年)3月 暴力団対策法 施行
山口組、xxx、住吉会など22の暴力団が、指定暴力団に指定
→その後も、暴力団関係企業や共生者を利用するなどの活動継続 2005年(平成17年)3月 オフィスビル標準賃貸借契約書作成
2007 年(平成19年)4月 xxxxx市立てこもり事件
都営住宅で暴力団員が自室に立てこもり銃を乱射した事件
2007 年(平成19年)6月
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」
(犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせ)の取りまとめ
2009年(平成21年)3月30日
不動産取引からの反社会的勢力の排除のあり方検討会
-とりまとめ- 発表
2010年(平成22年)4月 福岡県暴力団排除条例施行
暴力団への利益供与禁止,暴力団事務所に使用されることを知ったうえでの不動産取引禁止
2010年(平成22年)12月
「企業活動からの暴力団排除の取組について」
(暴力団取締り等総合対策WT)の取りまとめ
2011年(平成23年)10月までに
全都道府県において、暴力団排除条例が施行
2011年(平成23年)10月26日
第1回不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会開催
「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」を採択
反社会的勢力を恐れない/反社会的勢力を利用しない
反社会的勢力に資金を提供しない/反社会的勢力と交際しない反社会的勢力と取引しない
2011年(平成25年)4月 オフィスビル標準賃貸借契約書(改訂版)作成
第2 各条項について
第1条(賃貸借の目的物)
甲は、契約要項記載の建物(以下「本建物」という。)の契約要項記載の目的物(以下「本物件」という。)を乙に賃貸し、乙はこれを賃借する。
☆ 最高裁平成25年4月9日判決
ビルの譲受人からの,地下1階そば屋への看板撤去請求権利濫用として否定
第2条(使用目的)
使用目的は、契約要項記載のとおりとする。
☆ 東京地裁平成22年12月1日判決:参考判例02-1
モデルルームとして使用する目的であった賃貸借の錯誤無効
第3条(契約期間・契約の更新)
契約期間は、契約要項記載のとおりとする。
2 甲又は乙が本契約の契約期間満了の日の6か月前までに、それぞれ相手方に対し、書面による特段の意思表示をしない限り、本契約は、期間満了の日の翌日から更に○年間継続するものとし、以後も同様とする。
定期建物賃貸借としての効力が認められるためには、賃貸人は、契約締結前に、賃借人に対して、書面をもって、契約には更新がなく期間の満了により終了するという説明をしておかなければならない(借地借家法38条2項)。
☆ 最高裁平成24年9月13日判決:参考判例03-2
事前説明のための書面は、賃貸借契約書の案文とは別個独立の書面であることが必要
第4条(賃 料)
賃料の額並びにその支払方法は、契約要項記載のとおりとする。
ただし、1か月未満の賃料は、日割計算とする。
2 賃料に賦課される消費税及び地方消費税は、乙の負担とし、その支払方法は、賃料の支払方法に準ずるものとする。なお、契約期間中に税制改正があった場合は、改正後の税額によるものとする。
第5条(共益費)
共益費の額並びにその支払方法は、契約要項記載のとおりとする。ただし、
1か月未満の共益費は、日割計算とする。
2 共益費をもって充当する費用は、甲が提供する空調及び本建物の共用部分の維持管理に要する費用等とする。
3 共益費に賦課される消費税及び地方消費税は、乙の負担とし、その支払方法は、共益費の支払方法に準ずるものとする。なお、契約期間中に税制改正があった場合は、改正後の税額によるも のとする。
第6条(賃料の改定)
甲及び乙は、本契約が更新されるときに、賃料を改定することが
できる。
2 前項の規定に拘らず、諸物価の高騰、近隣土地建物の賃料、公租公課の著しい増加その他経済状況に変動あるときは、甲は乙と協議の上、賃料を改定することができる。
借地借家法により,不増額特約(賃料増額請求をしない特約)は有効だが,不減額特約(賃料減額請求をしない特約)は無効。ただし,定期建物賃貸借では,不増額特約も不減額特約も有効(同法38条7項)
第7条(共益費の改定)
甲及び乙は、本契約が更新されるときに、共益費を改定すること
ができる。
2 前項の規定に拘らず、諸物価の高騰等、経済状況の変動により共益費の額が不相当となったときは、甲は乙と協議の上、共益費を改定することができる。
第8条(敷 金)
敷金の額は、契約要項記載のとおりとし、乙は、契約締結と同時に、甲に
預託するものとする。
2 敷金には、利息を付さない。
3 賃料に増額があった場合には、賃料の増額に応じて敷金も増額されるものとする。敷金増加額は従前の敷金に賃料の増額割合を乗じた金額とし、乙は、遅滞なく、不足額を甲に追加預託するものとする。
4 契約の期間中は、乙は、敷金をもって賃料その他の甲に対する一切の債務との相殺を主張することができない。
5 乙に賃料その他本契約に基づく債務の不履行又は甲に対する損害賠償
債務があるときは、甲は、敷金をこれに充当することができる。
6 前項の規定により甲が敷金を乙の債務に充当したときは、乙は、遅滞なく敷金の不足額を補填しなければならない。
7 本契約が終了したときは、乙が本契約に基づく原状回復義務を履行し本物件の明渡しを完了した後、乙の甲に対する本契約に基づく債務その他の一切の債務に充当した後の敷金の残額を、甲は乙に返還するものとする。
8 乙は、敷金に関する債権を第三者に譲渡し、又は債務の担保に供しては
ならない。
第9条(賃料及び共益費以外の費用の負担)次の各号に掲げる費用は、乙の負担とする。
一 本物件内の照明灯及びその他の機器の電気料並びにそれらの機器の維持に要する費用
二 乙が甲の承諾を得て設置した設備に係る水道光熱費等及び保守点検費用
三 本物件の時間外空調に係る費用
x x物件(乙の諸造作、設備等を含む。)の清掃、手入れ等の費用
五 本物件内のねずみ、害虫等の駆除の費用
2 乙は前項の費用を甲の指定する方法により支払うものとする。
第10条(債務延滞損害金)
乙が賃料、共益費その他の債務の支払いを遅延したときは、甲は、延滞金額に対し、日歩4銭(年利14.6パーセント相当)の割合による損害金を乙に請求することができる。
2 前項の損害金の支払いは、本契約に基づく甲の契約解除権の行使を妨げるものではない。
第11条(反社会的勢力の排除)
条例による,賃貸人の責務
①契約をしない義務
: 暴力団事務所の用に供されることを知って賃貸してはならない
②確認の努力義務
: 契約締結の前に、暴力団事務所の用に供するものでないことを
確認するよう努めなければならない
③明文化の努力義務
: 賃貸借契約において、暴力団事務所の用に要してはならないこと、及び、暴力団事務所の用に供されることが判明したときは,催告をす ることなく契約を解除できることを定めるよう努めなければならない
④解除の努力義務
: 暴力団事務所の用に供されることが判明した場合は、速やかに賃貸借契約を解除しなければならない
第11条(反社会的勢力の排除)
乙は、次の各号の事項を確約する。
x x、乙の役員又は使用人(役員とは取締役・監査役・執行役若しくはこれらに準ずる者をいい、使用人にはこれに準ずる者を含む。以下「乙又は乙の役員等」とい
う。)が暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はそれらの構成員(以下「反社会的勢力」という。)ではないこと
二 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約の締結及び履行をするものではないこと
条例に沿った考え方を明文化している
第12条(登記事項の変更等、反社会的勢力の排除) 乙は、住所、商号、代表者、営業目的その他商業登記
事項又は相続その他身分上の事項に重要な変更があっ
たときは、書面をもって、遅滞なく、甲に通知するものとする。
2 乙は、合併、会社分割等により資本構成に重大な変
更が生じるときは、あらかじめ甲に届出なければならない。
3 前項の場合において、乙は、反社会的勢力との間で合併、会社分割等の行為を行ってはならない。
企業再編によって,暴力団によって利用されることになる事態を防止するねらいがある
第13条(賃借権の譲渡等の禁止、反社会的勢力の排除)
乙は、営業譲渡による場合その他形式の如何を問わず、本契約にもとづく一切の権利を他人に譲渡し、又は担保に供してはならない。
2 乙は、有償無償に拘らず、本物件を他人に転貸してはならない。
3 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく本物件内に他人を同居させ、又は乙以外の在室名義を表示してはならない。
4 前項の承諾を求める場合、同居人又は在室名義人は反社会的勢力であってはならない。
5 乙は本物件を反社会的勢力に使用させ、或いは出入りさせてはならない。
賃借権の譲渡・転貸を禁止する原則がとられているが,仮にそれらを認める場合には、特約として、例えば、「契約書第13条第2項の規定に拘わらず、丙への転貸借を認める」旨の定めをすることになるが、この特約条項の定めの中で丙が反社会的勢力ではないことの確認を行う必要がある。
第14条(善管注意義務)
乙は、本物件及び本建物を善良な管理者の注意をもって使用するものとする。
第15条(管理規則の遵守)
乙は、本物件及び本建物の使用に当たり、甲の定める管理規則
(甲が管理規則を変更した場合の変更後の管理規則を含む。)を
遵守するものとする。
xxxxには,約款の条項案が規定されている。
「約款とは,多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって,それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいうものとする。」(xxxx30-1)
約款の定めが明文化されると,管理規則の変更などに,制約を受ける可能性がある
民法(債権関係)改正について
M29年 | M31年 | 戦後 | H16年 | H25年 |
1896年 | 1896年 | まもなく | 2004年 | 2013年3月 |
成立 | 施行 | 親族相続 全面改正 | 平仮名 口語体 | xxxx 公表 |
\___________________/約120年近く経過
H25年5月~6月 パブリックコメント
(今後の予定)
H26年8月ころ 要綱仮案
H27年2月ころ 要綱案
改正理由
① 社会・経済の変化への対応を図る
② 国民一般に分かりやすいものとする
現行民法の条文数は1044条
→ 改正によって、現在の条文数の2倍を超える大きな法律になるというイメージ
*欧州諸国の民法の条文の数は、
2000条から4000条超
改正内容
① 従来、明文化されず,当然とされていた法理や概念を条文によって定める
契約自由の原則敷金の意義
原状回復義務 など
② 基本的な用語や考え方を見直す瑕疵担保責任という用語の廃止
債務不履行の3分類の考え方の変更危険負担の概念の廃止
③ 新たなルール策定建物賃貸借の保証約款 など
約款についてのxxxx〔xxxx30-1~5〕
1 約款の定義 約款とは,多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって,それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいうものとする。
2 約款の組入要件の内容 契約の当事者がその契約に約款
を用いることを合意し,かつ,その約款を準備した者(以下「約款使用者」という。)によって,契約締結時までに,相手方が合理的な行動を取れば約款の内容を知ることができる機会が確保されている場合には,約款は,その契約の内容となるものとする。
3 不意打ち条項 約款に含まれている契約条項であって,他の契約条項の内容,約款使用者の説明,相手方の知識及び経験その他の当該契約に関する一切の事情に照らし,相手方が約款に含まれていることを合理的に予測することができないものは,上記2によっては契約の内容とはならないものとする。
4 約款の変更
(1) 約款が前記2によって契約内容となっている場合において,次のいずれも該当するときは,約款使用者は,当該約款を変更することにより,相手方の同意を得ることなく契約内容の変更をすることができるものとする。
ア当該約款の内容を画一的に変更すべき合理的な必要性があること。イ当該約款を使用した契約が現に多数あり,その全ての相手方から契約内容の変更についての同意を得ることが著しく困難であること。
ウ上記アの必要性に照らして,当該約款の変更の内容が合理的であり,かつ,変更の範囲及び程度が相当なものであること。
エ当該約款の変更の内容が相手方に不利益なものである場合にあっては,
その不利益の程度に応じて適切な措置が講じられていること。
(2) 上記(1)の約款の変更は,約款使用者が,当該約款を使用した契約の相手方に,約款を変更する旨及び変更後の約款の内容を合理的な方法により周知することにより,効力を生ずるものとする。
5 不当条項規制
前記2によって契約の内容となった契約条項は,当該条項が存在しない場合に比し,約款使用者の相手方の権利を制限し,又は相手方の義務を加重するものであって,その制限又は加重の内容,契約内容の全体,契約締結時の状況その他一切の事情を考慮して相手方に過大な不利益を与える場合には,無効とする。
第16条(損害賠償責任)
乙又はその代理人、使用人、請負人(以下「乙等」という。)の故意又は過失により、本物件、本建物及び甲所有の諸造作、設備等に生じた一切の損害は、乙が賠償する。
2 本建物において、乙等が故意又は過失により第三者に損害を与えた場合には、乙は、その損害を賠償する責を負う。
第17条(諸造作、設備工事等)
乙は、諸造作、設備等の新設、付加、除去、改造、修繕その他本物件の原状の変更を希望する場合、事前に、甲の承諾を得なければならない。
2 前項の場合において、その工事の施工者は甲が指定するものとする。
3 第1項の工事に要する費用は、乙の負担とする。
4 乙の費用により新設又は付加した諸造作、設備等に賦課され
る公租公課は、宛名名義の如何に拘らず乙の負担とする。
第18条(修 繕)
本物件の維持保全に必要な修繕箇所が生じたときは、乙は速やかにその旨を甲に通知しなければならない。
2 前項の通知により甲が必要と認めた修繕については、甲がその費用を負担して実施するものとする。ただし、乙の責に帰すべき事由により必要となった修繕若しくは乙所有の諸造作、設備等(リースによる場合も含む。以下同じ。)に対する修繕は、乙が費用を負担するものとする。
xxxx(38-8)では,賃借人の修繕の権利の明文化
「賃借物が修繕を要する場合において,賃借人がその旨を賃貸人に通知し,又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは,賃借人は,自ら賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとする。ただし,急迫の事情があるときは,賃借人は,直ちに賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとする。」
第19条(立入り、点検等)
甲又は甲の指定する者は、本物件又は本建物の維持管理その他業務運営上必要があるときは、事前に乙に通知した上で、本物件に立ち入り、点検を行い、適宜の措置を講ずることができる。ただし、緊急を要する場合において事前に乙に通知することができないときは、乙に通知することを要せず本物件内に立ち入ることができるものとする。なお、この場合甲は事後速やかに乙に対してその旨を報告するものとする。
2 前項の立入り、点検等について、乙は、甲に協力するものとする。
第20条(免 責)
甲が必要と認める本物件及び本建物の諸造作・設備等の新設・改造、
修繕及び他維持管理業務を行うことにより乙に損害が生じても、甲
はその損
害賠償の責を負わないものとする。ただし、甲の故意又は過失による損害に
ついてはこの限りではない。
2 地震・火災・風水害等の事由、停電・漏水事故等の事由及び盗難・紛失等の事由により、乙所有の造作、サーバ・パソコン等の
ハードウエア及びソフトウエア等の全部又は一部が滅失若しくは破損し、これにより乙に損害が生じた場合は、甲は故意又は重過失がない限りその責を負わないものとする。
3 甲の重過失により乙に前項に定める損害が生じた場合は、甲 は賃料の○か月相当額を上限としてその損害を賠償する責を負う。
(契約期間内の解約禁止)
第21条 甲及び乙は、本契約期間中は本契約を解約することはできないものとする
☆ 東京地裁平成23年5月24日判決:参考判例21-1期間の定めのある契約では,特約がなければ, 期間内解約はできない
第22条(契約の解除)
甲は、乙が次の各号の一に該当する場合には、何等の催告なしに、本契約を解除することができる。
一 賃料、共益費又は第9条の諸費用を約定どおり支払わなかっ
たとき
二 第11条の規定に違反し、乙又は乙の役員等が反社会的勢力と判明したとき又は反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約の締結及び履行させたことが判明したとき
三 乙又は乙の役員等が反社会的勢力であると甲が判断したときx x契約又は管理規則若しくはこれらに付随して締結した契約の各条の一に違反したとき
・第12条第3項又は第13条第4項若しくは同条第5項に違反した場合は、第22条第1項第4号に該当することにより無催告解除事由となる。
・第22条第1項第3号は、乙又は乙の役員等が契約当初は反社会的勢
力ではなかったが契約途中で反社会的勢力となった場合にも対処するための規定
第22条(契約の解除)
甲は、乙が次の各号の一に該当する場合には、何等の催告なしに、本契約を解除することができる。
(続き)
五 解散、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、会社整理手続開始、又は特別清算手続開始その他の倒産手続きの申立てがあったとき
六 強制執行、保全処分、又は滞納処分を受けたとき七 甲の信用を著しく失墜させる行為をしたとき
八 乙又は乙の役員等が本建物において、暴行、脅迫、暴言,騒乱、粗暴な行為その他本建物の秩序及び風紀を乱す行為を行ったとき
2 前項の理由により本契約が解除された場合、乙は第24条第2項に定める金銭を支払うほか、違約金として、賃料及び共益費の合計額の○か月相当額を甲に支払うのもとする。ただし、契約解除により甲が被った損害について、甲が乙に対し損害賠償を請求することを妨げないものとする
第23条(本建物の滅失等による本契約の終了)
天災その他当事者の責によらない事由により、本建物の全部又は一部が滅失し、又は破損し、本契約の目的を達することが不可能となったときは、本契約は当然に終了する。
xxxx(38-11)で全部滅失の場合の取扱いが明文化
「賃借物の全部が滅失した場合その他の賃借人が賃借物の全部の使用及び収益をすることができなくなった場合には,賃貸借は,終了するものとする」
第24条(明渡し)
賃貸借期間の満了、解約、解除その他の事由により、本契約が終了したときは、乙は、次の各号の定めるところにより、本物件を明渡すものとする。
一 乙は、乙の費用により新設又は付加した諸造作、設備等及び乙所有の備品等を乙の費用負担により撤去するとともに、乙による本物件の変更箇所及び汚損,損傷個所を修復し、壁・天井・床仕上材の塗装、貼替を行った上で本物件を引渡当初の原状に復して甲に明渡す。ただし、本契約の終了日前に、原状回復の方法に関し、甲乙間に合意がなされたときは、その合意に従う。
二 前号の原状回復工事は、甲又は甲の指定する者が実施し、その費用は乙
が負担する。
三 本契約終了時に、本物件内又は本建物内に残置された乙の所有物があるときは、乙がその時点でこれを放棄したものとみなし、甲は、これを任意に処分し、その処分に要した費用を乙に請求することができる。
2 本契約終了と同時に、乙が本物件を明渡さないときは、乙は、本契約終了の翌日から明渡しが完了するまでの賃料及び共益費相当額の合計額の倍額を甲に支払い、かつ、明渡し遅延により甲が被った損害を賠償しなければなら
ない。
3 乙は、本物件の明渡しに際し、その事由、名目の如何を問わず、本物件、諸造作、設備等に支出した費用の償還又は立退料、移転料、権利金等一切の金銭の請求を行わない。又、乙が新設又は付加した諸造作、設備等の買取請求を行わない。
原状回復3原則と通常損耗補修特約
<原則1>通常損耗は賃貸人負担(賃借人負担ではない)
<原則2>通常損耗を超える汚損,損傷は,賃借人負担
<原則3>賃借人負担となる修理,交換の範囲と負担割合には合理性が必要
通常損耗補修特約
: 原状回復3原則による負担区分と異なる合意
最高裁平成17年12月16日判決
(通常損耗補修特約に関する最高裁の判断)
『建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約
(通常損耗補修特約)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である』
原状回復に関し,事業用賃貸借では,居住用賃貸借とは異なるルールが適用になるのか
裁判所の取り扱い
<1>原状回復の考え方は,異ならない
東京地裁平成21年6月22日判決 『かかる法理は,その賃貸物件が,居住用の建物であろうと,本件のような店舗であろうと,基本的に変わるところではない』
東京地裁平成22年1月26日判決 『オフィスビルの賃貸借において,原状回復費用を賃料に含めないで,賃借人の退去時に賃貸借契約開始当時の状態に服させる内容の合意をすることにも,一定の合理性があることは否定し得ないが,本件賃貸借契約がオフィスビルの賃貸借であるとの一事をもって,本件賃貸借契約の賃料額に通常損耗分が含まれていないと推認することもできない。』
<2>特約の成立・効力については,居住用と比較し,効力が肯定されることが多い
原状回復関係
xxxx(38 -13)では,原状回復の判例法理の明文化
(1) 賃借人は,賃借物を受け取った後にこれに附属させた物があ
る場合において,賃貸借が終了したときは,その附属させた物を収去する権利を有し,義務を負うものとする。ただし,賃借物から分離することができない物又は賃借物から分離するのに過分の費用を要する物については,この限りでないものとする。
(2) 賃借人は,賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある
場合において,賃貸借が終了したときは,その損傷を原状に復する義務を負うものとする。この場合において,その損傷が契約の趣旨に照らして賃借人の責めに帰することができない事由によって生じたものであるときは,賃借人は,その損傷を原状に復する義務を負わないものとする。
(3) 賃借人は,賃借物の通常の使用及び収益をしたことにより生じた賃借物の劣化又は価値の 減少については,これを原状に復する義務を負わないものとする。
(連帯保証人)
第25条 連帯保証人は、期間満了後の更新を含め、本契約が存続する限り、賃貸借条件や内容に変動がある場合であっても、乙が甲に対し負担する賃貸借契約上の一切の債務につき、連帯保証の責を負うものとする。
2 連帯保証人の住所、氏名、商号、代表者等商業登記事項又は身分上の事項に重要な変更があったときは、乙及び連帯保証人は、書面をもって、遅滞なく、甲に通知するものとする。
3 甲が連帯保証人を変更する必要があると判断して乙に通知し たとき、又は死亡,解散等により連帯保証人が欠けたときは、乙は、直ちに、他の連帯保証人を選任し、甲の承諾を得なければならな い。
xxxxにおける保証の仕組に関する提案
【根保証の規定】
(現在)貸金等債務を担保するための根保証について、
①極度額(465条の2、債務の上限)
②元本確定(465条の4、主たる債務者の死亡・破産手続開始によって担保する債務が確定)
③元本確定期日(465条の3、保証債務は最長5年))の定めこれらの規定は、建物賃貸借の保証には適用されない)
(試案) 建物の保証にも拡張して適用になる
① 極度額---→保証契約において保証額の上限設定必要
② 元本確定--→賃借人の死亡等によって保証額が確定
③ 元本確定期日→保証期間は原則3年
特約を定めても5年が最長
【保証人保護の方策:新設】
① 契約締結時の説明義務,情報提供義務
② 主たる債務の履行状況に関する情報提供義務
③ 保証債務の減免の制度
第27条(合意管轄)
甲、乙(及び連帯保証人)は、本契約及び本物件に関する訴訟については、○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とすることに同意する。
(守秘義務)
第26条 甲、乙(及び連帯保証人)は、本契約期間中だけでなく終了後においても、すでに公開されている情報を除き、本契約の内容、並びに本契約の締結及び履行に当たって知り得た相手方の秘密を第三者に漏洩してはならない。ただし、法令上公開又は開示する必要がある場合及び官公庁より照会を受けた場合等正当な事由があるときは、この限りでない。
第28条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行及び解釈については、日本国法に準拠する。
第29条(xxx)
甲、乙(及び連帯保証人)は、本契約の各条項を誠実に履行するものとし、本契約に規定のない事項及び本契約の条項について疑義が生じた事項に関しては、民法その他の法令及び慣習に従い、誠意をもって協議し、その解決に当たるものとする。