Contract
サイバーモールに関するモデル契約の検討
目次
2.3.1 契約当事者
2.3.2 消費者-モール運営者/利用規約
2.3.3 出店者-モール運営者/出店契約
2.3.4 モール運営者-モール運営者/クロスリンク契約
3.1.1 利用規約試案作成の基本方針
3.1.2 入会手続・モールの利用
3.1.3 利用規約作成上の留意点
3.2.1 条項目次
3.2.2 利用規約(試案)
3.2.3 利用規約(試案)逐条解説
4.1.1 出店契約試案作成の基本方針
4.1.2 出店手続
4.1.3 出店契約作成上の留意点
4.2.1 条項目次
4.2.2 出店契約(試案)
4.2.3 出店契約(試案)逐条解説
5.1.1 クロスリンク契約作成の基本方針
5.1.2 モールとモール間の提携の理論的な可能性
5.1.3 ハイパーリンク
5.2.1 条項目次
5.2.2 クロスリンク契約(試案)
6.2.1 利用規約条項別サンプル
6.3 出店契約書条項別サンプル
6.3.1 出店契約書条項別サンプル
7 巻末(名簿)
近年の通信販売の成長、消費者の購買行動の国際化、及び家庭におけるインターネット並びにパソコンの急速な普及をうけ、今後消費者が参加する本格的な国際電子市場が形成されると予想される。この様な対消費者国際電子商取引の拡大のためには、消費者が安心して国際取引を行い、かつ事業者の円滑な参入を促進し得る国際電子商取引の仕組形成に向けた諸課題の検討が必要とされる。これに当っては取引の実態や技術の変化に弾力的に対応することが必要とされ、民間のボランティアな活動をベースとした取引の慣行的ルールの形成が期待されるところである。電子商取引実証推進協議会ではこうした観点で電子商取引に関連する標準約款或いはガイドライン等の整備を試みている。
この中で国際取引ワーキンググループ(モデル約款チーム)は、国際電子商取引におけるサ
イバーモール(以下単に「モール」という)に焦点をあて、平成8年度から9年度の期間を目処に関連するモデル契約の検討を行っており、本報告書は、実証実験プロジェクト関係者、その他国内及び海外関係者、及び読者各位のご意見・ご指摘を願うべく、平成8年度の検討状況を中心に中間的に報告するものである。
平成8年度から9年度初においては、モールに関連する契約関係について国内外の事例調 査、その過程で収集した契約・約款等の分析に基づく典型的な取引形態すなわちビジネスモデルの検討、およびモデル契約試案の作成からなる作業を行っており、本報告書において、それらの結果を消費者-モール運営者/利用規約、出店者-モール運営者/出店契約、モール間クロスリンク契約の各試案、逐条解説、条項別サンプル集としてまとめた。なお中間報告に鑑み利用規約については国内取引を前提とし、国際取引としての必要条項は平成9年度の作業としている。
末筆ながら、本書作成までにご協力頂いた各位に対し、深く感謝の意を表する。特に外立法律事務所弁護士xxxxには、本書作成に当って第三者的立場から貴重なご意見を頂い
た。
本書が国際電子商取引の更なる発展に寄与すれば幸いである。平成9年5月
モールに焦点をあてた契約関係を分類するにあたっては、現実の取引関係にほぼ対応する バーチャルな世界での様々な取引関係が想定されることから、その範囲があまりに広くなりすぎ、限られた時間と紙数では論じきれない。そこで当WG(ワーキンググループ)では、契約関係を網羅的に分類することよりも、インターネット上のモールを通して行われる取引
(契約)の典型的なパターンを抽出し類型化(下記2.2参照)してみることから作業を開始した。
なお、消費者とモールへの出店者との間で行われる商品・サービスの提供に関する契約(下記2.2の図 1の④参照)は、電子商取引実証推進協議会(以下ECOMという)内の他のワーキンググループである消費者取引検討WGが検討対象としているので、当WGの対象外とした。
2.2 契約の類型化
一般の消費者が家庭からパソコンを起動してインターネットにアクセスし、ネットサーフィンをしている姿をイメージしてほしい。まずお気に入りのホームページ(モール)に入り、ハ
イパーリンクをたどっているうちに商品・サービスを提供しているショップを見つけたとしよう。その商品・サービスは書籍等のいわゆる有形の物だったり無形の情報だったりするであろう。またそのショップは、地方の地酒を販売している個人商店が独自に店を開いている場合もあれば、百貨店のように大きなモールの中でテナントとして入居している店子だったりするであろう。
図 1は、これら一連の流れの概要を図示したものであり、当WGは、このうち①②③を対象とした。
図 1
①消費者-モール運営者/利用規約(本書第3項)
②モール運営者-出店者/出店契約(本書第4項)
③モール運営者-モール運営者/クロスリンク契約(本書第5項)
④消費者-出店者/商品・サービス提供契約(当WG対象外)
2.3 モデル契約全体の概要
契約の当事者は、「消費者」、「出店者」、「モール運営者」の三者とした。決済手段にクレジットカード等を使えばそれに応じて契約のパターンも増えてくるとともにクレジット会社や銀行が新たに契約当事者として登場してくるであろう。また、商品によっては納入のた
めに運送会社等を使う場合も考えられ、その場合は運送会社等もこの契約当事者に含めなければならないであろう。
ただし、本書においては、最も基本的な「消費者」・「出店者」・「モール運営者」の三者の関係に限定して検討してみた。
なお、「消費者」のうち、本書第3項の試案においては、実際に想定したモール上のショップで取引ができる者は、○○モールに入会を認められた者すなわち「会員」であり、契約当事者が誰かといわれると「会員」であるという方が法的には正確であろう。できるだけ用語を正確に使い分けしようと努力したが、時間の制約の中で不十分なところも多々あることを前もってお詫びしておきたい。この検討も次年度の課題である。
(1) モール
「モール」とは、本書においてはインターネットのWEBサイト上において商品またはサービスを提供するために必要な機能(オンラインによる受注、会員管理の機能等)を持ったシステム全体(ハードウェアおよびソフトウェアを含む)をいうものとし、モールのシステム全体を運営する主体(法人および個人の場合を含む)である「モール運営者」とは区別し た。
ほとんどの場合、前後の文脈からいずれの意味か判断可能なので問題になることはあまりないと考えられるが、日常的に「モール運営者」を単に「モール」という用語に含めて(混同して)使っていることが往々にしてあるので、本書では厳密に区別することにした。
特に電子商取引の分野においては、一般の消費者にとって耳慣れない用語が多く、一部専門家の間でも必ずしもxx的に解釈されていないのが現状である。したがって、インターネットに関わる方は、お互いのコミュニケーションに齟齬を生じさせないためにも、用語の意味を厳密に考えて使っていく努力が必要であるとともに、難解な専門用語は、できるだけ回避すべきであろう。
(2) ショップ
「ショップ」とは、本書においては、出店者がインターネットのWEBサイト上でモールの提供する機能を利用して、商品またはサービスを消費者(会員を含む)に提供するために構築した仮想の店舗をいうものとし、ショップをモールに出店する主体(法人および個人を含む)である「出店者」とは区別した。
ここにおいても、上記(1)同様、ほとんどの場合、前後の文脈からいずれの意味か判断可能なので問題になることはあまりないと考えられるが、日常的に「出店者」を単に「ショッ プ」という用語に含めて(混同して)使っていることが往々にしてあるので、本書では厳密に区別することにした。
(3) 「商品」、「サービス」
本書においては、インターネット上のモールに開設されたショップにおいて取引きされる
(提供される)対象を「商品」と「サービス」に分類した。
また、「商品」には、「物品」と「ソフトウェア」を含むものとした。「物品」の場合は、衣料品や情報機器等の有形の「もの」の販売・購入を想定しており、「ソフトウェア」の場合は、いわゆる使用許諾ということになる。
ただし、CD-ROM等のパッケージソフトの場合は、実際のデリバリーの手段という観点からいうと通常の「物品」の販売・購入と同様なので、本書では前者の「商品」の販売・購入に含めることにした。したがって、後者の「ソフトウェア」という場合は、もっぱらオンライン・ダウンロード販売による使用許諾を指すこととなる。
「サービス」には、チケットの予約・発券、遠隔医療等の役務の提供が含まれよう。
2.3.2消費者-モール運営者/利用規約
日本の大きなモールの中には会員制をとって運営しているところが散見されるものの、インターネットを利用した電子商取引を行っているモールの数からいうと少数派であろう。欧米でもモールが会員制をとることについて疑問を持つ方が多かった。これはできるだけ多くの消費者にアクセスしてもらいたいという単純な理由からであるが、会員制のメリット(入会時に登録された会員の属性情報を把握してマーケティングに利用できるとか固定ユーザー (リピーター)を見込める等)もある。また、平成8年度に収集した契約・約款等の多くは会員制を前提としたものが多かった。そこで、本書では、会員制を採用するモールを想定してモデル契約試案を作成したが、会員制にも様々なものがあり、その分類・整理を本来行うべきところ、時間の関係でできなかった。次年度においては、その分類・整理を行うととも に、分類・整理されたパターンに応じた数種類の利用規約をモデル試案として提供するこ と、および圧倒的多数の会員制をとらない利用規約のモデル試案を提供することも検討したい。
2.3.3 出店者-モール運営者/出店契約
出店契約は、法人または個人が、モール運営者のモール上に自己の仮想店舗であるショップを出店し、対価として出店料を支払う場合を想定した。
出店者がモールという百貨店にテナントとしてショップを出店する場合を想像してみてほしい。出店契約にどういう項目を入れないといけないかが多少イメージできよう。
本書においては、出店契約に盛り込むべき事項をできるだけ網羅的に指摘しつつ一般的な解説を付した。電子商取引に特有な論点についてもできるだけ触れようとしたが、紙数の関係で完全にフォローできなかったことを予めお断りしておくとともに、モデル契約に必要十分な条項の検討は、引き続き次年度の課題としたい。
2.3.4 モール運営者-モール運営者/クロスリンク契約
モール間の提携の一つとして、互いにリンクを張り合う関係を想定した。A国に開設された
WEBサーバー上に設けられたモールとB国に設置されたWEBサーバー上のモールがどのような提携関係を持つかについて、この1年間具体的な事例の調査も含めて当WG内で検討してきた。その結果、理論的には様々なパターンが可能性として浮かび上がってきたが、そのほとんどはネットワークを利用しない現実の提携関係と同様に考えれば足り、特に本書で採り上げる必要のないものであった。
したがって、本書でネットワークを利用した電子商取引の「モデル契約」とか「モデル約 款」という形で提供することはふさわしくないだけでなく、読者に誤解を招きかねない。しかしながら、当初、当WGに与えられた主要なミッションが国際間電子商取引における
「モール間のモデル約款」の検討・作成ということなので、本書においては、ネットワークを利用した電子商取引において最もポピュラーな形での提携パターンとして、単にリンクを相互に張り合う提携関係を紹介するに止めた。
3.1.1 利用規約試案作成の基本方針
1. 消費者とモール運営者間の利用規約試案(3.2.2、以下「本利用規約試案」という)とその解説(3.2.3)を紹介する前に、基本的な枠組みとして入会手続からモールの利用方法までの概要(3.1.2)を紹介し、次に利用規約作成上の基本的留意点(3.1.3)を説明することとする。
2. これからモールを立ちあげることを決定した者(即ち、モール運営者)にとって、今後、モールを円滑に運営し、モール運営者、消費者(会員)及び出店者との間の法的関係並びに責任関係を明確にするために、最低限モール上に掲載する利用規約には何を定めておかなければならないかが容易にわかるようにした。
3. 上記2.3.2の概要でも説明したとおり、本書3.2.2で紹介する利用規約試案は、会員制を前提とした。モールビジネスがまだ成熟していない中で、モールの運営を行うにあたって、出店者が安心してこのビジネスに参加することができる体制にすることが重要である。その観点からは、上記2.3.2で記載した以外にも会員制の採用は、モールの運営者にとって審査、入会拒否等を行うことによって、不適切な消費者を排除できる可能性があること、かつ、会員の購買情報等の分析検討から消費者の動向や嗜好を把握することが可能となること、といった利点もあげられよう。しかし、できるだけ多くの消費者にモールを訪問(アクセス)してもらうという意味では、閉鎖的な会員制は必ずしも適切でないであろう。そこで、以下には、会員制をとらない場合に修正すべき条項のうち重要な点について、言及することとした。
4. 本利用規約試案では、モール運営者がモール上で提供するサービスは、①モールにお
いて出店者が提供する商品またはサービスに関する情報の提供、及び② 会員から出店者に対する商品またはサービスの提供の申込情報の転送であることを前提とした。しかし、モール運営者の中には、これらのサービスと併せて、電子会議室の利用を認める等の追加的なサービスを提供するものもある。この場合、利用規約において、消
費者がこれらの追加的なサービスを利用する際に遵守すべき義務(例えば、公序良俗に反する表現や選挙運動に関する表現を行ってはならない等)を定める必要があ
る。
5. 本利用規約試案では、基本的な取引の枠組みとして、モール運営者は、本人として、あるいは出店者の代理店として、直接、商品またはサービスを消費者に提供するものでなく、あくまで、対消費者の関係では出店者が商品またはサービスを提供することを前提とした。すなわち、商品またはサービスの提供に係る契約は、あくまで出店者と消費者との間で成立し、モール運営者は、当該契約の当事者とはならない。
6. 本利用規約試案では、モール運営者、消費者及び出店者がすべて日本国内に居住することを前提とした。消費者または出店者が日本国外に居住する場合、モール運営者または出店者と消費者との間の取引はクロスボーダーの取引となり、様々な法的問題や税務上の問題が生ずる。例えば、消費者が国外に居住する者の場合、それらの者が居住する国の法律によって、出店者による商品またはサービスの提供が禁止あるいは制限されることがある。また、当該法律によって、出店者による商品またはサービスの提供(広告を含む)について、モール運営者が製造物責任等何らかの法的責任を負担する可能性がある。そこで、モール運営者が、日本国外に居住する消費者が出店者から商品またはサービスの提供を受けることを認めるためには、それらの法律を十分に検討したうえ、モール運営者が被る可能性のあるリスクを把握し、そのリスクを回避するための方法を検討する必要がある。これらを踏まえたうえで適切な利用規約及び出店契約を作成しなければならない。この点は、次年度の課題である。
3.1.2 入会手続・モールの利用
以下の手順で入会手続とモールの利用が進められることを想定した。
1. 消費者は、ショップの商品またはサービスの提供を受けることを希望する場合、インターネットでモールのホームページにアクセスして、ホームページ上に掲載された入会申込書のフォーマットに必要事項を記入(入力)し、利用規約の内容を確認した上で、「送信」ボタンをクリックすることによって入会申込を行う。
2. 「送信」ボタンをクリックしたことにより、消費者は、利用規約の内容を承認したものとみなされることとする。モール運営者は、入会申込を行った消費者が会員として欠格事由を有しないか否かを審査することになるが、申込画面上では、受け付けた旨の表示をするに止められる。モール運営者は、消費者の入会を可とする場合、当該消費者の登録された会員としてのID及びパスワードを当該消費者宛送付する。
3. 入会を認められた消費者は、モールの「会員」としてモールの有する機能を利用し、出店者の開設したショップにおいて商品またはサービスの提供を受ける(購入する)ことができることになる。なお、一般の消費者のうち、入会を認められた者を、以下本書において「会員」ということにする。
3.1.3 利用規約作成上の留意点
利用規約は、モール運営者がモールを開設し、消費者にモールの利用を認めるにあたって、当該消費者が従う条件を主として定めるものであり、モールの円滑な運営を行うための基礎となる契約である。そこで、以下には、モールを運営しようとする者が利用規約を作成する場合に留意すべき点について整理した。ただし、本書は論点を網羅的に指摘することを目的
とするものでなく、基本的に問題と思われる事項を整理したにすぎないことを予めお断りしておきたい。
(1) 定義(第1条)
利用規約は対消費者の契約であるため、利用規約で使用されている用語が一般消費者にとって十分理解されるものでなければならない。
(2) 規約の範囲及び変更(第2条)
会員(利用者)によるモールの利用一切に利用規約が適用されることを明確にしておくことは必要不可欠である。また、モールの提供するサービスの変更等の理由によっては、利用規約を変更せざるを得なくなるため、利用規約は変更され得る旨明確にしておく必要があ
る。
(3) 入会手続及び会員資格(第3条ないし第5条)
会員制をとる場合、どのような手続を経て、どのような条件の下で会員資格を取得できるか利用規約で規定しておく必要がある。なお、会員制をとらない場合は、入会手続に係る規定は不要であるが、モールを利用するため最低限度の資格を規定することが考えられる。
(4) 会員情報の取扱(第6条)
モールの適切且つ効果的な運営のためには、会員(利用者)に係る情報を整理、分析し、出店者等に提供することが必要であるが、プライバシーの問題があるので、第三者への開示の認められることを明確にしておく必要がある。
(5) 会員設備等の設置及び維持(第7条)
会員制を採用し、モール運営者が利用料金を徴収する場合、会員が当然にモールのサービスを受けられると誤解される余地がある。モールを利用するために必要な設備は会員自らの費用と責任で設置、維持することを明確化する必要がある。
(6) モール運営者から会員への通知方法(第8条)
会員が多数に亘ることを考慮し、モール運営者として最も効率的な通知方法をとることができるようにしておくべきである。
(7) ID及びパスワードの管理(第9条)
モール運営者としては、ID及びパスワードの有する同一性の確認機能を確保するためには、会員にこれらの管理責任を課すことが必要不可欠である。
(8) サービスの利用料金(第10条)
会員制を採用し、利用料金を徴収する場合、どの期間についていくらの利用料金を徴収し、どのような方法によって支払わなければならないか明確に規定しておく必要がある。
(9) 会員の責任(第11条)
モールの円滑な運営を確保するために、会員(利用者)に遵守させるべき作為、不作為の義務について定める必要がある。
(10) 退会及び会員資格の抹消等(第12条及び第13条)
会員制を採用する場合、入会申込に対応する退会申込の手続、及び会員資格承認に対応する会員資格の抹消(強制退会)の手続を規定することが必要である。
(11) サービスの内容、変更およびサービスの中断、停止(第14条ないし第16条)
モールがどのようなサービスを提供するのか、サービスの内容は変更できるか、サービスの中断、停止はどのような場合に行うことができるか、それぞれについて明確に規定しておく必要がある。
(12) 出店者との取引(第17条)
会員がモールを通じて出店者から商品またはサービスの提供を受けた場合、モール運営者、出店者及び会員との間の法的関係はどうなるか明確に規定しておくべきである。会員は、 モール運営者に対し、商品またはサービス提供の申込を送付し、モール運営者は当該申込を出店者に転送するという機能を有するが法的にはどのような意味か。当該提供の契約はいつ成立するか。
(13) 責任及び損害賠償(第18条及び第19条)
モール運営者が負担する責任の限度を明確にすることが必要である。
(14) 合意管轄(第20条)
会員は様々な場所に居住するので、合意による裁判管轄を定めておくべきである。
3.2 利用規約(試案)
第1条(定義)
第2条(規約の範囲及び変更)
第3条(入会申込)
第4条(会員資格)
第5条(届出事項の変更等)第6条(会員情報の取扱)
第7条(会員設備等の設置及び維持)第8条(当社から会員への通知方法)第9条(ID及びパスワードの管理)第10条(サービスの利用料金)
第11条(会員の責任)第12条(退会)
第13条(会員資格の停止・抹消)
第14条(モールにより提供する本サービス)第15条(本サービスの変更)
第16条(本サービスの中断、停止)第17条(出店者との取引)
第18条(責任の範囲)第19条(損害賠償) 第20条(合意管轄)
3.2.2 利用規約(試案)
○○モール利用規約
○○株式会社(以下「当社」という)は、当社が運営する「○○モール」の利用について、以下のとおり本規約を定めます。
第1条(定義)
本規約においては、次の各号記載の用語はそれぞれ次の意味で使用します。
(1)「モール」とは、商品またはサービスの提供に係る情報の掲載、オンラインによる商品またはサービス提供の申込の転送等のサービスを提供する機能を持ったシステムで、当社が本規約に基づいてインターネット上で運営する「○○モール」をいう。
(2)「会員」とは、本規約に基づき、モールにアクセスし、モールの提供するサービスを受けることのできる者として、当社が会員登録を認めた者をいう。
(3)「本サービス」とは、当社が本規約に基づき会員に対し提供するサービスをいう。
(4)「出店者」とは、モール上で商品またはサービスを会員に提供する目的で、モールの WEBサーバー上に仮想店舗を出店している者をいう。
(5)「ショップ」とは、出店者がモールのWEBサーバー上で運営する仮想店舗をいう。
第2条(規約の範囲及び変更)
1.本規約は、本サービスの利用に関し、当社及びに会員に適用するものとし、会員は本モールを利用するにあたり、本規約を誠実に遵守するものとします。
2.当社が別途本モール上における掲示またはその他の方法により規定する個別規定及び当社が随時会員に対し通知する追加規定は、本規約の一部を構成します。本規約と個別規定及び追加規定が異なる場合には、個別規定及び追加規定が優先するものとします。
3.当社は、会員の承諾なく、本規約を変更できるものとし、当該変更は、本規約で別途定める場合を除き、当社から会員へ通知した時に有効となるものとします。
第3条(入会申込)
1.入会を希望する者(以下「入会希望者」という)は、以下に定める手続その他当社が定める手続に従って、入会を申し込みます。ただし、入会希望者が20歳未満の場合、入会希望者は、当社が別途指定する入会申込書を用い、親権者等法定代理人の同意を得ることが必要です。
(1)本規約を熟読し、その内容を理解し、その内容に拘束されることを承諾したうえで、当社が別途指定するオンラインサインアップの方法により、入会の申込を行うこと。
(2)当社が定める決済方法により利用料金を支払うための約定を行うこと。
(3)氏名、年齢、住所、電話番号、電子メールアドレス等その他会員登録のために必要なものとして入会登録画面において当社が定める必要事項をすべて当社に届出ること。
2.会員登録手続は、前項の申込に対する当社の承諾をもって完了するものとします。ただし、当社は、入会希望者が以下に定める事由の何れかに該当することが判明した場合、入会希望者の入会を認めないことがあります。
(1)入会希望者が実在しないこと。
(2)入会希望者が○○歳未満の場合。
(3)入会希望者が日本国外に居住する場合。
(4)入会希望者がすでに会員になっている場合。
(5)入会希望者が過去に本規約違反等により、会員資格の停止処分中であり、または、過去に本規約違反等で会員資格の抹消が行われている場合。
(6)申込の際に当社に届け出た事項に虚偽、誤記又は記入もれがあった場合。
(7)入会希望者の指定したクレジットカードまたは支払口座につき、クレジットカード会社、収納代行会社、金融機関等により、利用停止処分等が行われている場合。
(8)入会希望者が再入会の場合、モールの利用料金の支払を過去に怠ったことがある場合。
(9)入会希望者が未xx者、準禁治産者、禁治産者の何れかであり、入会申込の際に法定代理人または補佐人の同意等を得ていない場合。
(10)その他、入会希望者が第13条に定める会員資格の停止、抹消の事由の何れかに該当する場合。
(11)その他、入会希望者を会員とすることを不適切と当社が判断した場合。第4条(会員資格)
1.本サービスは、会員のみが利用することができるものとします。入会希望者が第3条に従って、入会の申込をし、会員として登録された時点をもって会員資格を取得します。ただし、20歳未満の会員については、本サービスの一部の利用が制限されることがありま
す。
2.前項にもかかわらず、当社が申込の承諾をした会員が前条第2項に定める何れかの事由に該当することが判明した場合、当該承諾を取り消すことがあります。
第5条(届出事項の変更等)
1.会員は、入会申込の際に当社に届出た事項に変更のあった場合は、当社あてに遅滞なく所定の様式により届出るものとします。なお、婚姻による姓の変更など、当社が承認した場合を除き、登録された氏名の変更を行うことはできません。
2.会員は、前項の届出を怠った場合に、当社からの通知が不到達となっても、通常到達すべきときに到達したとみなされることを予め異議なく承認するものとします。
第6条(会員情報の取扱)
1.会員が入会申込の際に当社に届出た事項およびモール上での会員に対し提供するサービスに関する事項は、当社のデータベースに登録されます。当該登録情報は当社の所有するものとします。
2.当社は、登録された情報について、個人識別が可能な状態で第三者に提供しないものとします。ただし、次の各号記載の場合、出店者に対しては、会員情報として、住所、氏名、自宅および勤務先の電話番号を開示することができます。
(1)会員の同意が得られた場合
(2)法令により開示が求められた場合
(3)出店者に対して申込の確認等のために提供する場合第7条(会員設備等の設置及び維持)
1.会員は、自らの費用で、モールのサービスを受けるために必要となる通信機器(電話利用契約を含む)、コンピュータその他の機器、ソフトウェア等(以下「会員設備等」とい う)を設置するものとします。
2.会員は、モールのサービスを受けるにあたって支障をきたさないよう、自らの費用と責任をもって、会員設備等を正常に稼動させるように維持し、その選択したプロバイダーを経由してモールにアクセスするものとします。
第8条(当社から会員への通知方法)
1.当社から会員に対する通知は、本規約に別段の定めのある場合を除き、会員が第3条に基づき予め当社に通知したアドレス宛の電子メール、モール上の一般掲示またはその他当社が適当と認めるその他の方法により送付されるものとします。
2.前項の通知が電子メールで行われる場合、当社は、会員の加盟するサーバー宛に電子 メールを発信し、当該サーバーに到着したことをもって会員への通知が完了したものとみなします。会員は、当社の発信するモールの利用に関する電子メールを遅滞なく閲覧する義務
を負うものとします。なお、電子メールの閲覧とは、会員がその加盟するサーバーに配置された電子メールを画面上に開示し、内容を熟読して、確認することをいいます。
3.第1項の通知がモール上の掲示により行われる場合、当該通知がモール上に掲示され、会員がモールにアクセスすれば当該通知を閲覧することが可能となったときをもって会員への通知が完了したものとみなします。
第9条(ID及びパスワードの管理)
1.会員は、モール上のサービスの提供を受けるためには、入会申込時に当社からお知らせするIDと会員が設定するパスワードを使用するものとします。会員は、パスワードのついてのみ、会員情報の変更手続によって変更することができます。
2.会員は、入会申込後、当社が会員に付与するID及び会員が設定するパスワードの管理責任を負うものとします。
3.会員は、ID及びパスワードを第三者に利用させたり、貸与、譲渡、名義変更、売買、質入等いかなる処分をしてはならないものとします。
4.ID及びパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等による損害の責任は、会員が負うものとし、当社は一切責任を負いません。
5.会員は、ID及びパスワードが盗まれたり、第三者に使用されていることを知った場合には、直ちに当社にその旨を、直接的即時的手段により、連絡するとともに、当社からの指示がある場合には、これに従うものとします。
第10条(サービスの利用料金)
1.サービスの利用料金、算定方法およびその支払方法などは別途定める内容に従うものとします。なお、個別に支払い方法が規定されている場合には、その条件に従うものとしま す。
2.会員は利用料金に係わる消費税およびその他賦課される税を負担するものとします。
3.サービスの利用料金の支払いに関しては、下記の外、各会員ごとに当社が承認した一つによるものとします。また、利用料金の支払いは、毎月行うものとしますが、クレジット カード会社、収納代行会社、金融機関などで別途利用条件、支払い条件、利用限度額の設定などの規定がある場合には、それらに従うものとします。会員と当該クレジットカード会 社、収納代行会社、金融機関などの間で紛争が発生した場合は、当該当事者双方で解決するものとし当社には一切責任がないものとします。
(1)モールの指定する金融機関の口座に振り込む方法
(2)当社が承認したクレジットカード会社の発行するクレジットカードにより、クレジッ
トカード会社の規約にもとづき支払う方法
(3)会員が、当社が別途定める「預金口座振込による会員登録申込書」を当社宛届出たうえで、当該申込書に記載されたところに従って行われる口座振替による方法。
4.利用料金の支払いは、毎月行うものとし、支払い期日を過ぎても支払いが行われない場合は、会員は支払い期日の翌日から支払いの日の前日までの日数に、年○○%の割合で計算される金額を延滞利息として、利用料金と一括して、当社が指定した日までに支払うものとします。
5.当社は、会員に対する○○日前の通知によって、利用料金の改定を行うことができます。
6.会員が当社に対し支払った利用料金は、理由の如何を問わず返還されないものとします。
第11条(会員の責任)
会員は、本規約に定める事項を遵守するほか、下記の事項を遵守するものとします。
(1)会員は、当社がモール上提供するサービスを不正の目的をもって利用しないものとします。
(2)会員は、当社がモール上提供するサービスに含まれる情報に関する、当社、出店者または第三者の著作権、商標権その他の権利を侵害する行為、またはそのおそれのある行為を行わないものとします。
(3)会員は、出店者に対する商品またはサービスの提供の申込情報(以下「申込情報」といいます)を当社に伝送するにあたって、当社の定める手順・セキュリティ手段を遵守するものとします。この遵守を怠った場合、当社はその結果について一切の責任を負担しませ ん。
(4)会員は、モールの会員として有する権利を第三者に譲渡もしくは使用させたり、売 買、名義変更、質権の設定その他の担保に供するなどの処分を行わってはならないものとします。
第12条(退会)
1.会員が退会を希望する場合には、月末をもって退会するものとし、退会希望月の○○日前までに当社所定の書式にて当社に届け出るものとし、当社に対する債務の全額を直ちに支払うものとします。
2.会員が退会する場合、当社は、既に会員から支払われた料金等の払戻義務を一切負担しません。また、会員は、退会したときは、モールの利用に関する一切の権利、特典を失うも
のとし、また、退会に伴って、当社に対して、何らの請求権を取得するものではありません。
3.会員が死亡または解散した場合、その時点で退会したものとみなします。第13条(会員資格の停止・抹消)
1.会員が以下の事由の何れかに該当する場合、当社は、会員に何ら事前の通知または催告をすることなく、会員資格を一時停止し、または抹消することができます。
(1)第3条第2項に定める事由のいずれかに該当することが判明した場合。
(2)IDまたはパスワードを不正に使用しまたは使用させた場合。
(3)当社がモール上で提供する情報を当社の承諾を得ることなく改変した場合。
(4)不正の目的をもって当社のモールにより提供するサービスを利用した場合。
(5)手段を問わず、本サービスの運営を妨害した場合。
(6)その他、本規約のいずれかの条項に違反した場合。
(7)会員について、差押、仮差押、仮処分、強制執行、破産、和議、会社整理、特別清算、会社更正の申し立てがなされた場合。
(8)その他、会員として不適格と当社が判断した場合。
2.会員資格を抹消された場合、当該会員は、当社に対する債務の全額を直ちに支払うものとします。また、当社は、既に支払われた料金等の払戻義務を一切負わないものとしま
す。
第14条(モールにより提供する本サービス)
1.当社がモールにより提供する本サービスは次のとおりです。
(1)モールにおいて出店者が提供する商品またはサービスについてのオンライン電子カタログによる情報の提供
(2)会員から出店者に対する商品またはサービスに関する申込情報の転送
(3)以上のほか、当社が定めるサービス
2.会員は、本サービスを私的にのみ利用するものとし、本サービスを用いて営業を行わないものとします。
第15条(本サービスの変更)
1.当社は、会員に事前に通知することなく、本サービスの内容を変更することがあります。
2.このような事態に伴い、会員に不利益、損害が発生した場合、当社はその責任を負わないものとします。
第16条(本サービスの中断、停止)
1.当社は、以下の何れかの事由に該当する場合、会員に事前に通知することなく本サービスの一部もしくは全部を一時中断、または停止することがあります。
(1)本サービスの提供のための装置、システムの保守点検、更新を定期的にまたは緊急に行う場合。
(2)火災、停電、天災などの不可抗力により、本サービスの提供が困難な場合。
(3)第一種電気通信事業者の役務が提供されない場合。
(4)その他、運用上あるいは技術上当社が本サービスの一時中断、もしくは停止が必要であるか、または不測の事態により当社が本サービスの提供が困難と判断した場合。
2.当社は、本サービスの提供の一時中断、停止等の発生により、会員または第三者が被ったいかなる不利益、損害について、理由を問わず一切の責任を負わないものとします。
第17条(出店者との取引)
1.ショップは、それぞれ運営する出店者が自己の責任において運営しており、特に明示している場合を除いて、当社およびその関連会社が管理または運営しているものではありません。会員がモール内のショップで出店者において商品またはサービスの提供の取引等を行うものとし、当該商品に関する質問、クレーム等は会員が各ショップに対して直接行うものとします。
2.会員がショップを利用される場合には、ショップにおいて提示される条件等十分に確認のうえ利用するものとします。
3.当社は、ショップの提供する商品またはサービスについて保証いたしません。また、当社は、当該商品またはサービスに関する情報の正確性、完全性、目的適合性、有用性などについても一切保証もいたしません。
4.出店者に対する商品またはサービスの申込は、注文画面の記載事項のすべてを当社のコンピュータシステムが受領することにより行うものとします。当社は、受領した注文を出店
者と当社が定める方法により出店者に転送します。
第18条(責任の範囲)
1.当社は、会員から受領した申込情報を出店者と定める方法により出店者に転送することを除き、提供される商品またはサービスに係る情報内容、これに関する取引契約の成否およびその履行については一切の責任を負担しません。
2.当社は、会員が送信した申込情報が当社のコンピュータシステムに到着するかどうか、および当社のコンピュータシステムに到着した申込情報が会員の送信した申込情報と同一内容であるかについては、一切の責任を負担しません。
3.当社の責に帰すべき事由により会員から当社のコンピュータシステムに到着した申込情報を出店者に転送できない場合は、当社に故意または重大な過失がある場合に限り、申込情報を伝達できないことにより会員に発生した現在かつ直接の通常損害に限り、年額利用料金の範囲内においてのみ、損害を賠償するものとします。
第19条(損害賠償)
1.本サービスの提供、遅滞、変更、中断、中止、停止、もしくは廃止、本サービスを通じて登録、提供される情報等の流失もしくは消失等、又はその他本サービスに関連して発生した会員又は第三者の損害について、別途定めがある場合を除いて、当社は一切の責任を負わないものとします。
2.会員が本サービス利用によって第三者に対して損害を与えた場合、会員は自己の責任と費用をもって解決し、当社に損害を与えることのないものとします。会員が本規約に反した行為、または不正もしくは違法な行為によって当社に損害を与えた場合、当社は当該会員に対して相応の損害賠償の請求ができるものとします。
第20条(合意管轄)
本規約に関して紛争が生じた場合、当社本店所在地を管轄する○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とします。
3.2.3 利用規約(試案)逐条解説
3.2.3.1 定義
第1条(定義)
本規約においては、次の各号記載の用語はそれぞれ次の意味で使用します。
(1)「モール」とは、商品またはサービスの提供に係る情報の掲載、オンラインによる商品またはサービス提供の申込の転送等のサービスを提供する機能
を持ったシステムで、当社が本規約に基づいてインターネット上で運営する
「○○モール」をいう。
(2)「会員」とは、本規約に基づき、モールにアクセスし、モールの提供するサービスを受けることのできる者として、当社が会員登録を認めた者をい う。
(3)「本サービス」とは、当社が本規約に基づき会員に対し提供するサービスをいう。
(4)「出店者」とは、モール上で商品またはサービスを会員に提供する目的で、モールのWEBサーバー上に仮想店舗を出店している者をいう。
(5)「ショップ」とは、出店者がモールのWEBサーバー上で運営する仮想店舗をいう。
【解説】
利用規約は多数の一般消費者を対象とする契約であり、必ずしもパソコンの知識等に詳しくない人の参加が今後とも予測されるので、利用規約で使用される用語は一般消費者にとって十分理解されるものでなければならない。従って、多少とも疑義、誤解を生じるおそれのある用語については定義しておくことが妥当である。例えば、「モール」はモール運営者である「当社」と明確に区別し、また、「ショップ」はそこで商品またはサービスを提供する当事者である「出店者」と明確に区別しておくべきであろう。また、本利用規約は、会員制をとっているので、本利用規約試案では、「会員」と入会を希望する者との区別を明確にすべきであろう。さらに、提供される「商品」や「サービス」、「電子掲示板」等についても定義が必要かもしれない。
定義条項を設けるべきかどうかについて当WGの中でも議論があったが、現時点で可能な限りでの定義を試みたのが本条項である。
3.2.3.2 規約の範囲及び変更
第2条(規約の範囲及び変更)
1.本規約は、本サービスの利用に関し、当社及びに会員に適用するものと し、会員は本モールを利用するにあたり、本規約を誠実に遵守するものとします。
2.当社が別途本モール上における掲示またはその他の方法により規定する個別規定及び当社が随時会員に対し通知する追加規定は、本規約の一部を構成します。本規約と個別規定及び追加規定が異なる場合には、個別規定及び追加規定が優先するものとします。
3.当社は、会員の承諾なく、本規約を変更できるものとし、当該変更は、本
規約で別途定める場合を除き、当社から会員へ通知した時に有効となるものとします。
【解説】
第1項は、本サービスは本規約に基づいて提供されることを定めるものである。なお、会員制を採用しない場合、本サービスを利用する「お客様」「利用者」に適用がある旨規定することとなる。
第2項では、本規約において本サービスの利用に係るすべての事項について網羅的に定めることはできないため、その詳細については個別規定または追加規定を定めることとしたものである。
通知の方法としては、電子メールの同報通信による場合や、電子掲示板を設けてそこに掲載する方法、その他従来の郵送によるといった方法が考えられる。これらの方法を適宜組み合わせて運用しているというのが現状であろう。今後の技術の進歩により安全確実かつ迅速な通知方法が確立されることを期待したい。
第3項では、本規約の変更の手続を規定した。モールビジネスは現在、発展途上にあり、 モール運営者としては利用規約の変更の余地を認めておく必要があり、且つ、今後、電子認証制度の採用等法的整備が行われることも考えられ、利用規約の変更が必要となると思われる。そこで、本規約は多数の会員との間の法的関係を規定するものであるため、会員から同意を要することなく、モール運営者から会員への一方的な通知によって本規約を変更できる旨定めた。なお、会則のような団体の定める規定では、会員の多数決による改正が主な方法である。しかし、モールの利用に係る利用規約は、会則のように団体における各構成員間の権利関係を定めるものではなく、モール運営者と各会員間の権利関係を定める契約という性質を有するものであるので、モールの運営者が本規約を変更する一方的な権利を有することを当該利用規約中で予め約することも可能であると考えられる。また、このような利用規約の一方的な変更権の有効性について、判例は、附合契約の一種である生命保険約款の一方的変更について否定的な立場を取っている。しかし、モールの会員規約の場合、会員側にはいつでも退会する権利があり、長期間に亘る生命保険契約の場合とは同一に論じることができないと思われる。但し、利用料金を徴収する場合、サービスと利用料金は対価関係にあるので、利用料金の改定や基本的なサービス内容の変更については、相当な予告期間(例えば、
1週間とか1ヶ月)を置いて変更の効力が発生するようにするのが妥当と思われる。
3.2.3.3 入会申込
第3条(入会申込)
1.入会を希望する者(以下「入会希望者」という)は、以下に定める手続その他当社が定める手続に従って、入会を申し込みます。ただし、入会希望者が
20歳未満の場合、入会希望者は、当社が別途指定する入会申込書を用い、親権者等法定代理人の同意を得ることが必要です。
(1)本規約を熟読し、その内容を理解し、その内容に拘束されることを承諾したうえで、当社が別途指定するオンラインサインアップの方法により、入会
の申込を行うこと。
(2)当社が定める決済方法により利用料金を支払うための約定を行うこと。
(3)氏名、年齢、住所、電話番号、電子メールアドレス等その他会員登録のために必要なものとして入会登録画面において当社が定める必要事項をすべて当社に届出ること。
2.会員登録手続は、前項の申込に対する当社の承諾をもって完了するものとします。ただし、当社は、入会希望者が以下に定める事由の何れかに該当することが判明した場合、入会希望者の入会を認めないことがあります。
(1)入会希望者が実在しないこと。
(2)入会希望者が○○歳未満の場合。
(3)入会希望者が日本国外に居住する場合。
(4)入会希望者がすでに会員になっている場合。
(5)入会希望者が過去に本規約違反等により、会員資格の停止処分中であり、または、過去に本規約違反等で会員資格の抹消が行われている場合。
(6)申込の際に当社に届け出た事項に虚偽、誤記又は記入もれがあった場合
(7)入会希望者の指定したクレジットカードまたは支払口座につき、クレ ジットカード会社、収納代行会社、金融機関等により、利用停止処分等が行われている場合。
(8)入会希望者が再入会の場合、モールの利用料金の支払を過去に怠ったことがある場合。
(9)入会希望者が未xx者、準禁治産者、禁治産者の何れかであり、入会申込の際に法定代理人または補佐人の同意等を得ていない場合。
(10)その他、入会希望者が第13条に定める会員資格の停止、抹消の事由の何れかに該当する場合。
(11)その他、入会希望者を会員とすることを不適切と当社が判断した場合。
【解説】
第1項は、入会申込の手続を定める。利用規約は端末画面上に表示され、それに対し、入会希望者が「accept」のボタンをクリックすること等により、利用規約を承諾したものとみなされる。本項で規定する手続では、入会希望者本人の同一性を確認する手段は導入されていない。将来、電子認証制度等電子ネットワーク上での本人確認手段が整備されれば、それによることとなる。また、入会希望者が未xx者の場合、親権者等法定代理人の同意を明確にするために、同意の存在を文書化しておく必要があると考えられ、別途モール運営者が指定する申込書によることとした。
「本利用規約を熟読し」と書いたのは、多少注意的な意味である。自由心証主義をとる日本の法体系のもとではどのような形であれ、契約当事者の意思が確認されればよいのであっ て、法理論的に問題はない。
第2項では、モール運営者による入会承認の手続について規定する。会員制を採用する理由の一つは、モール運営者が入会希望者の情報を得て、会員として不適格である者を排除することができる余地を残すことによって、多数の出店者が安心してモールに参加することができるようにすることであると考えられる。
なお、会員制をとらない場合には入会申込の手続は不要である。しかし、その場合でも、
「お客様」「利用者」がモールを利用する場合、端末画面上に表示された利用規約を承諾したとみなされる旨利用規約中で明確にしておく必要がある。また、モールを利用することを希望する「お客様」「利用者」が本条第2項及び第13条に規定される事由と類似の事由に該当する場合、モール運営者がサービスの提供を拒否することがある旨利用規約中に定めることも考えられる。
申込に対する当社の承諾の方法については、上記3.2.3.2の第2項の解説をご参照下さい。
3.2.3.4 会員資格
第4条(会員資格)
1.本サービスは、会員のみが利用することができるものとします。入会希望者が第3条に従って、入会の申込をし、会員として登録された時点をもって会員資格を取得します。ただし、20歳未満の会員については、本サービスの一部の利用が制限されることがあります。
2.前項にもかかわらず、当社が申込の承諾をした会員が前条第2項に定める何れかの事由に該当することが判明した場合、当該承諾を取り消すことがあります。
【解説】
第1項では、会員制を採用することを明確にしたものである。なお、会員と同居する家族がモールのサービスを容易に利用することができるようにするために、「家族会員」という制度を設けることも考えられる。家族会員の制度は、未だ一般的ではないため、利用料金や本人との差別化等は、個々のモールで更に検討の余地があろう。家族会員登録を認める場合、会員の家族がモールを利用することができる一方で、家族会員の利用及び行為については、会員が連帯してその責任を負担する旨定めることが必要である。
また、本サービスの内容如何によっては、法令等で20歳未満の者に提供できないものがあることを明記した
第2項では、会員として一旦登録した場合にも、会員資格が取り消されることがあり得ることを定めたものである。
なお、会員制を採用しない場合、サービスを利用できる適格事由を定めることとなる。例えば、「日本国内に居住する者に限る」、「○○歳以上の者に限る」等が考えられる。
3.2.3.5 届出事項の変更等
第5条(届出事項の変更等)
1.会員は、入会申込の際に当社に届出た事項に変更のあった場合は、当社あてに遅滞なく所定の様式により届出るものとします。なお、婚姻による姓の変更など、当社が承認した場合を除き、登録された氏名の変更を行うことはできません。
2.会員は、前項の届出を怠った場合に、当社からの通知が不到達となって も、通常到達すべきときに到達したとみなされることを予め異議なく承認するものとします。
【解説】
モール運営者は、本規約を変更する等の場合、会員に対し通知しなければならないことがあり、会員の所在等につき常に正確な情報を得ておく必要がある。
3.2.3.6 会員情報の取扱
第6条(会員情報の取扱)
1.会員が入会申込の際に当社に届出た事項およびモール上での会員に対し提供するサービスに関する事項は、当社のデータベースに登録されます。当該登録情報は当社の所有するものとします。
2.当社は、登録された情報について、個人識別が可能な状態で第三者に提供しないものとします。ただし、次の各号記載の場合、出店者に対しては、会員情報として、住所、氏名、自宅および勤務先の電話番号を開示することができます。
(1)会員の同意が得られた場合
(2)法令により開示が求められた場合
(3)出店者に対して申込の確認等のために提供する場合
【解説】
モールビジネスにおいて、その運営過程において蓄積される情報は、モールにとって有益な無形財産である。モール運営者は、会員がアクセスするショップの種類等を分析、整理することによって、消費動向を把握し、マーケティング・コンサルティングを行うことができ る。このような情報は当然、価値のあるものとしてビジネスの対象となると考えられる。第
1項はそのために情報がモール運営者の所有するところとなることに会員が同意する旨の規定である。
第2項は、プライバシーに配慮する規定である。
なお、会員制を採用しない場合にも、モール運営者が受ける顧客情報について、同様の取扱規定を設けるべきである。
3.2.3.7 会員設備等の設置及び維持
第7条(会員設備等の設置及び維持)
1.会員は、自らの費用で、モールのサービスを受けるために必要となる通信機器(電話利用契約を含む)、コンピュータその他の機器、ソフトウェア等
(以下「会員設備等」という)を設置するものとします。
2.会員は、モールのサービスを受けるにあたって支障をきたさないよう、自らの費用と責任をもって、会員設備等を正常に稼動させるように維持し、その選択したプロバイダーを経由してモールにアクセスするものとします。
【解説】
モールは電子ネットワークを介したシステムとして構成されるので、その要素である端末等通信機器を設置する他モールの利用に際して必要となる環境を会員自身が整備することを明確にしたものである。また、自明のことであるが、会員に利用料金の支払が課されている場合にも、接続料金等の会員設備等の費用は会員の負担とすることを明確にした。
なお、モール運営者が会員に対してアクセス用のソフトウェアを提供する場合も考えられ る。その場合、xxxに、モール運営者が会員に対しアクセス用ソフトウェアの使用を許諾する旨のライセンス条項を追加することが必要である。
3.2.3.8 当社から会員への通知方法
第8条(当社から会員への通知方法)
1.当社から会員に対する通知は、本規約に別段の定めのある場合を除き、会員が第3条に基づき予め当社に通知したアドレス宛の電子メール、モール上の一般掲示またはその他当社が適当と認めるその他の方法により送付されるものとします。
2.前項の通知が電子メールで行われる場合、当社は、会員の加盟するサー バー宛に電子メールを発信し、当該サーバーに到着したことをもって会員への通知が完了したものとみなします。会員は、当社の発信するモールの利用に関する電子メールを遅滞なく閲覧する義務を負うものとします。なお、電子メールの閲覧とは、会員がその加盟するサーバーに配置された電子メールを画面上に開示し、内容を熟読して、確認することをいいます。
3.第1項の通知がモール上の掲示により行われる場合、当該通知がモール上に掲示され、会員がモールにアクセスすれば当該通知を閲覧することが可能となったときをもって会員への通知が完了したものとみなします。
【解説】
会員は多数に亘るため、電子メールまたはモール上の一般掲示の方法によることが便宜である。しかし、電子メールによる通知方法及びモール上の掲示による場合、何時の時点で通知が到達したとみなすかを明確にしておく必要がある。なお、モール上の掲示による場合、会
員においてモールにアクセスしなければその通知内容を知ることができない。その意味で は、電子メールによる通知が民法で定める意思表示の到達主義の原則に従っているということができる。そこで、モール上に掲示する方法による場合、通知の効力の発生を初めて掲示してから相当期間(例えば、1週間とか1ヶ月間)経過後とすることも考えられる。
3.2.3.9 ID及びパスワードの管理
第9条(ID及びパスワードの管理)
1.会員は、モール上のサービスの提供を受けるためには、入会申込時に当社からお知らせするIDと会員が設定するパスワードを使用するものとします。会員は、パスワードのついてのみ、会員情報の変更手続によって変更することができます。
2.会員は、入会申込後、当社が会員に付与するID及び会員が設定するパスワードの管理責任を負うものとします。
3.会員は、ID及びパスワードを第三者に利用させたり、貸与、譲渡、名義変更、売買、質入等いかなる処分をしてはならないものとします。
4.ID及びパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等による損害の責任は、会員が負うものとし、当社は一切責任を負いません。
5.会員は、ID及びパスワードが盗まれたり、第三者に使用されていることを知った場合には、直ちに当社にその旨を、直接的即時的手段により、連絡するとともに、当社からの指示がある場合には、これに従うものとします。
【解説】
IDおよびパスワードは、会員であるか否か確認するための重要な手段である。モール運営者としては、たとえ、第三者が会員のIDおよびパスワードを使ってモールにアクセスしたとしても、その結果について、当該会員に責任を問うことができるようにしておかなければならない。そのため、IDおよびパスワードの管理責任を会員に課すことが必要不可欠である。
3.2.3.10 サービスの利用料金
第10条(サービスの利用料金)
1.サービスの利用料金、算定方法およびその支払方法などは別途定める内容に従うものとします。なお、個別に支払い方法が規定されている場合には、その条件に従うものとします。
2.会員は利用料金に係わる消費税およびその他賦課される税を負担するものとします。
3.サービスの利用料金の支払いに関しては、下記の外、各会員ごとに当社が
承認した一つによるものとします。また、利用料金の支払いは、毎月行うものとしますが、クレジットカード会社、収納代行会社、金融機関などで別途利用条件、支払い条件、利用限度額の設定などの規定がある場合には、それらに従うものとします。会員と当該クレジットカード会社、収納代行会社、金融機関などの間で紛争が発生した場合は、当該当事者双方で解決するものとし当社には一切責任がないものとします。
(1)モールの指定する金融機関の口座に振り込む方法
(2)当社が承認したクレジットカード会社の発行するクレジットカードにより、クレジットカード会社の規約にもとづき支払う方法
(3)会員が、当社が別途定める「預金口座振込による会員登録申込書」を当社宛届出たうえで、当該申込書に記載されたところに従って行われる口座振替による方法。
4.利用料金の支払いは、毎月行うものとし、支払い期日を過ぎても支払いが行われない場合は、会員は支払い期日の翌日から支払いの日の前日までの日数に、年○○%の割合で計算される金額を延滞利息として、利用料金と一括し て、当社が指定した日までに支払うものとします。
5.当社は、会員に対する○○日前の通知によって、利用料金の改定を行うことができます。
6.会員が当社に対し支払った利用料金は理由の如何を問わず、返還されないものとします。
【解説】
モール運営者にとって、その収入源は出店者よりの出店料およびモールにアクセスする会員よりの利用料金である。現在のところ、インターネットを利用するモールビジネスは完全に定着したものとはいえないからであろうか、一般的に、モールにおいて提供されるサービスがショップで提供される商品またはサービスの情報の提供および会員からの商品またはサービス提供の申込に係る情報の出店者への転送に限る場合、会員から手数料を徴収していないようである。
利用料金の算定については、年払もしくは月払による定額利用料、または、アクセス回数、利用時間、提供される商品またはサービスの購入価格等を考慮した変額利用料が考えられ る。しかし、多数の会員を募るためにも、高額の利用料金を徴収することは期待できないことから、定額利用料によることが現実的であると考える。また、定額利用料を徴収した場合には、中途解約(退会)による一部利用料払戻を認めることも考えられるが、その利用料が少額であることから、払戻は認めないこととした。
3.2.3.11 会員の責任
第11条(会員の責任)
会員は、本規約に定める事項を遵守するほか、下記の事項を遵守するものとします。
(1)会員は、当社がモール上提供するサービスを不正の目的をもって利用しないものとします。
(2)会員は、当社がモール上提供するサービスに含まれる情報に関する、当社、出店者または第三者の著作権、商標権その他の権利を侵害する行為、またはそのおそれのある行為を行わないものとします。
(3)会員は、出店者に対する商品またはサービスの提供の申込情報(以下
「申込情報」といいます)を当社に伝送するにあたって、当社の定める手順・セキュリティ手段を遵守するものとします。この遵守を怠った場合、当社はその結果について一切の責任を負担しません。
(4)会員は、モールの会員として有する権利を第三者に譲渡もしくは使用させたり、売買、名義変更、質権の設定その他の担保に供するなどの処分を行 わってはならないものとします。
【解説】
本条では、本規約のその他の条項で規定される義務以外に、会員に遵守させるべき義務を規定した。本規約では、モール運営者が提供するサービスがショップで提供される商品またはサービスに関する情報の提供および会員からの商品またはサービス提供の申込に係る情報の出店者への転送に限ることを前提としているが、これらに加えて、電子会議室の利用を認めるとすれば、会員に対し以下にあげる行為を制限する必要がある。また、その場合、モール運営者は、不適切と思われる掲示内容の削除を行う権利を確保しておくべきである。
(1)公序良俗に反する行為、またはそのおそれのある行為
(2)犯罪的行為、または犯罪的行為に結びつく行為もしくはそのおそれのある行為
(3)他の会員または第三者の財産、プライバシーを侵害する行為、またはそのおそれのある行為
(4)他の会員または第三者の著作権その他の権利を侵害する行為、またはそのおそれのある行為
(5)他の会員または第三者を誹謗中傷する行為
(6)法令に違反する行為、またはそのおそれのある行為
(7)選挙の事前運動、選挙運動もしくはこれらに類似する行為または公職選挙法に抵触する行為
(8)モールの運営を妨げ、あるいは当社の信頼を毀損するような行為
3.2.3.12 退会
第12条(退会)
1.会員が退会を希望する場合には、月末をもって退会するものとし、退会希望月の○○日前までに当社所定の書式にて当社に届け出るものとし、当社に対する債務の全額を直ちに支払うものとします。
2.会員が退会する場合、当社は、既に会員から支払われた料金等の払戻義務を一切負担しません。また、会員は、退会したときは、モールの利用に関する一切の権利、特典を失うものとし、また、退会に伴って、当社に対して、何らの請求権を取得するものではありません。
3.会員が死亡または解散した場合、その時点で退会したものとみなします。
【解説】
会員がいつでも退会できることとしたのは、モール運営者がいつでも利用規約を変更できることとしたことととしたこととパラレルの関係にある。つまり、モール運営者が行う利用規約の変更に不満な会員は退会という対抗手段をとることにより、バランスが取れると考えられる。なお、利用料金が年払いの場合には、一部払戻ということも考えられるが、利用料金が低額であることが一般的であると考えられるので、払戻不可とした。
3.2.3.13 会員資格の停止・抹消
第13条(会員資格の停止・抹消)
1.会員が以下の事由の何れかに該当する場合、当社は、会員に何ら事前の通知または催告をすることなく、会員資格を一時停止し、または抹消することができます。
(1)第3条第2項に定める事由のいずれかに該当することが判明した場合。
(2)IDまたはパスワードを不正に使用しまたは使用させた場合。
(3)当社がモール上で提供する情報を当社の承諾を得ることなく改変した場合。
(4)不正の目的をもって当社のモールにより提供するサービスを利用した場合。
(5)手段を問わず、本サービスの運営を妨害した場合
(6)その他、本規約のいずれかの条項に違反した場合。
(7)会員について、差押、仮差押、仮処分、強制執行、破産、和議、会社整理、特別清算、会社更正の申し立てがなされた場合。
(8)その他、会員として不適格と当社が判断した場合。
2.会員資格を抹消された場合、当該会員は、当社に対する債務の全額を直ちに支払うものとします。また、当社は、既に支払われた料金等の払戻義務を一切負わないものとします。
【解説】
本条は、会員において、「会員」として不適格と判断される事態が発生したときに、当該会員との関係で利用規約を解約する規定である。民法上、契約を解除する場合、契約違反につ
き催告を要する旨定められているが、本条では、当該催告を要することなく解除することができる旨定めた。モール運営者は、会員資格抹消を決定した場合、その事実(即ち、解除の通知)を電子メール等で会員に通知することが必要である。
なお、会員制を採用しない場合にも、モール運営者としては、モールの利用を希望する者に一定の事由が存在する場合、モールの利用を拒むことができる旨利用規約中に明確にしておくのが妥当である。
3.2.3.14 モールにより提供する本サービス
第14条(モールにより提供する本サービス)
1.当社がモールにより提供する本サービスは次のとおりです。
(1)モールにおいて出店者が提供する商品またはサービスについてのオンライン電子カタログによる情報の提供
(2)会員から出店者に対する商品またはサービスに関する申込情報の転送
(3)以上のほか、当社が定めるサービス2.会員は、本サービスを私的にのみ利用するものとし、本サービスを用いて営業を行わないものとします。
2.会員は、本サービスを私的にのみ利用するものとし、本サービスを用いて営業を行わないものとします。
【解説】
本条では、本モールが提供するサービスとして、一般的にサイバーモールが消費者(会員)に対し提供するサービスをあげた。
(1) 商品情報の提供
会員の利便性を高めるため、モール内の複数のショップや商品を一覧にして検索できるサービスの提供である。このシステムにより会員は容易に提供を受けることを希望する商品またはサービス、および興味のあるショップを見つけ出すことができ、ワンストップショッピングを実現することができるようになる。
(2) 申込情報の転送
上記(1)のシステムを利用し、容易に提供を受けたい商品またはサービスを見つけ出すことができても、個々の商品またはサービスの提供の注文を行う場合、その都度各出店者に対して申込を行わなければならないのであれば、会員にとっての利便性も不充分である。
そこで、会員から各出店者への申込情報は全て、一旦モール運営者宛に集められ、モール運営者が各出店者に対して申込情報を転送するサービスを提供することにした。このように異なるショップでの買物であっても、一度に纏めて注文ができる、ショッピングバスケット形式を採用しているモールは現在でも主流である。なお、本モールでは、消費者が入会時に会員情報を登録するので、各ショップで個別に買物をする際にその都度詳細な個人情報を入力
する手間も省けることとなる。
(3) その他
その他のサービスとして、電子掲示板、電子会議室の利用を認めることが考えられる。モールが消費者に提供するサービスが、単なる出店者との間の売買等をサポートするのみでは消費者にとって充分魅力のあるものといえるか疑問であろう。そこで、会員に商品またはサービスの提供を受ける意思がなくても、モールに積極的にアクセスしてくるようにするため に、追加的なサービスとして、電子掲示板、電子会議室の利用を認めるのも一案であろうと思う。
この場合には次のような条項を追加するのが適当であろう。オプションとして参考までにここに掲載する。
第○○条(電子会議室の利用)
1.会員はモールの利用に際して、もしくはモールの電子会議室を利用し、つぎの行為を行なってはならないものとします。
(1)他人を誹謗中傷する発言
(2)法規範にふれる発言
(3)第三者の著作権その他の権利を侵害する発言
(4)公序良俗に反する発言
(5)第三者の財産、プライバシーを侵害する発言
(6)選挙運動に関する発言
(7)当社が不適切と認める発言
2.当社は電子会議室に掲示された情報が前項各号の何れかに該当する場合、その情報を削除することができるものとします。
3.会員は電子会議室に掲示された情報を、その提供者の事前の了解なく複 製、改ざん、第三者への配布、商業的利用を行ってはならないものとします。
4.電子会議室に情報を掲示した会員は、その情報を他の会員が商業目的以外に利用することを承諾するものとします。
5.当社は電子会議室の利用による会員相互間の関係・会員の損害等について、一切責任を負わないものとします。
モールがサービスの一環として電子会議室を提供するときの規定である。この場合、著作権に関しては会員相互間でその侵害が発生しないような注意が必要である。
3.2.3.15 本サービスの変更
第15条(本サービスの変更)
1.当社は、会員に事前に通知することなく、本サービスの内容を変更することがあります。
2.このような事態に伴い、会員に不利益、損害が発生した場合、当社はその責任を負わないものとします。
【解説】
モール運営者は出店者との間の契約を修正し、解約し、新規に締結したりしており、提供するサービスは常に変更しているということができる。例えば、専門性のあるモールがデパート的なモールになったり、デパート的なモールが専門店街的なモールになったりすると、その提供するサービスの内容に変更が生ずることとなる。これらの変更が容易に行うことができるように、会員の事前の通知を要することなく変更を行えるようにした。但し、本サービスの基本的な内容に変更がある(例えば、申込情報の転送を行わないこととする等)場合、相当な期間を置いて当該変更を行うのが妥当と考えられる。
3.2.3.16 本サービスの中断、停止
第16条(本サービスの中断、停止)
1.当社は、以下の何れかの事由に該当する場合、会員に事前に通知することなく本サービスの一部もしくは全部を一時中断、または停止することがあります
(1)本サービスの提供のための装置、システムの保守点検、更新を定期的にまたは緊急に行う場合。
(2)火災、停電、天災などの不可抗力により、本サービスの提供が困難な場合。
(3)第一種電気通信事業者の役務が提供されない場合。
(4)その他、運用上あるいは技術上当社が本サービスの一時中断、もしくは停止が必要であるか、または不測の事態により当社が本サービスの提供が困難と判断した場合。
2.当社は、本サービスの提供の一時中断、停止等の発生により、会員または第三者が被ったいかなる不利益、損害について、理由を問わず一切の責任を負わないものとします。
【解説】
システムの保守点検等はモールを運営するために必要不可欠なものであるため、それに伴って発生する本サービスの提供を一時中断、停止することができる旨規定した。このことに よって、会員は利用料金を払っていても、一年間(365日)のサービスを受けることはできない。しかし、会員としては、これらの必要な一時中断、停止があることを前提として、その中断、停止日を除いた実質的なサービス期間に対する利用料金を支払っていると考えるのが合理的である。但し、モール運営者としては、会員からのクレームを回避するためにも、予定される保守点検等に伴うサービスの中断停止については、予め会員に対し相当期間を置いて通知するのが妥当であろう。
3.2.3.17 出店者との取引
第17条(出店者との取引)
1.ショップは、それぞれ運営する出店者が自己の責任において運営してお り、特に明示している場合を除いて、当社およびその関連会社が管理または運営しているものではありません。会員がモール内のショップで出店者において商品またはサービスの提供の取引等を行うものとし、当該商品に関する質問、クレーム等は会員が各ショップに対して直接行うものとします。
2.会員がショップを利用される場合には、ショップにおいて提示される条件等十分に確認のうえ利用するものとします。
3.当社は、ショップの提供する商品またはサービスについて保証いたしません。また、当社は、当該商品またはサービスに関する情報の正確性、完全性、目的適合性、有用性などについても一切保証もいたしません。
4.出店者に対する商品またはサービスの申込は、注文画面の記載事項のすべてを当社のコンピュータシステムが受領することにより行うものとします。当社は、受領した注文を出店者と当社が定める方法により出店者に転送します。
【解説】
本条第1項ないし第3項では、モールを通じて会員が出店者から商品またはサービスの提供を受ける場合に、どのような法的関係となるかを明確に規定したものである。即ち、モール内での商取引の当事者は、会員と出店者であり、モール運営者は、瑕疵担保責任、保証等一切の責任を負担しないこととしている。
本条第4項では、モール運営者が申込情報を転送する機能を果たすことの意味を明確にし た。なお、会員と出店者との契約がいつ成立するかについては、会員に誤解を生じさせるおそれもあるので、出店者が、会員に対して、モール上の注文画面に表示することが重要である。
3.2.3.18 責任の範囲
第18条(責任の範囲)
1.当社は、会員から受領した申込情報を出店者と定める方法により出店者に転送することを除き、提供される商品またはサービスに係る情報内容、これに関する取引契約の成否およびその履行については一切の責任を負担しません。
2.当社は、会員が送信した申込情報が当社のコンピュータシステムに到着するかどうか、および当社のコンピュータシステムに到着した申込情報が会員の送信した申込情報と同一内容であるかについては、一切の責任を負担しませ ん。
3.当社の責に帰すべき事由により会員から当社のコンピュータシステムに到着した申込情報を出店者に転送できない場合は、当社に故意または重大な過失がある場合に限り、申込情報を伝達できないことにより会員に発生した現在かつ直接の通常損害に限り、年額利用料金の範囲内においてのみ、損害を賠償するものとします。
【解説】
モールの形態として、会員に対し一定範囲の責任を負うモールと、全く情報提供に徹しその内容あるいはその結果の取引について責任を負わないモールの形態がある。モールが、いわば店舗に対する貸しビル業になるか、デパートになるかの選択である。本利用規約試案で は、いわば貸しビル業型のモールを想定した。但し、申込情報の転送を行うという限度において、モール運営者が責任を負担することとした。もし、デパート型のモールを運営する場合には、そこに出店するショップとの責任分担について相当詳細な取引めが必要である。
申込情報の転送に係る責任については、モール運営者に重大な過失があることを条件とし、かつ、損害賠償の範囲について、特別損害または間接損害を除外し、損害賠償限度額を明確に規定することとした。
3.2.3.19 損害賠償
第19条(損害賠償)
1.本サービスの提供、遅滞、変更、中断、中止、停止、もしくは廃止、本 サービスを通じて登録、提供される情報等の流失もしくは消失等、又はその他本サービスに関連して発生した会員又は第三者の損害について、別途定めがある場合を除いて、当社は一切の責任を負わないものとします。
2.会員が本サービス利用によって第三者に対して損害を与えた場合、会員は自己の責任と費用をもって解決し、当社に損害を与えることのないものとします。会員が本規約に反した行為、または不正もしくは違法な行為によって当社に損害を与えた場合、当社は当該会員に対して相応の損害賠償の請求ができるものとします。
【解説】
本条は、モール運営者および会員それぞれの相手方が被った損害に対する賠償責任についての一般的規定である。
3.2.3.20 合意管轄
第20条(合意管轄)
本規約に関して紛争が生じた場合、当社本店所在地を管轄する○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とします。
【解説】
モール運営者の便宜のための規定である。しかし、会員は全国に散らばっており、モール運営者から会員に対する訴訟をモールの所在地で提起する場合、会員は著しい不利益を被ることとなる。このような規定の有効性については疑問視する見解も多い。
4.1 はじめに
4.1.1 出店契約試案作成の基本方針
1. 出店者とモール運営者間の出店契約試案(4.2.2.、以下「本出店契約試案」という)とその解説(4.2.3)を紹介する前に、まず基本的な枠組みとして出店手続きの概要
(4.1.2)を紹介し、次に出店契約作成上の基本的留意点(4.1.3)を説明することとする。
2. モール運営者が、そのモール上にショップを構築して出店者を募る場合に、モールを円滑に運営するとともに、出店者がショップをモール上に構築し、消費者に対して商品・サービスを提供していくことに関する法的関係及び責任関係を明確にするために最低限出店契約には何を定めないといけないかが容易にわかるようにした。
3. 具体的な契約書の調査収集に際しては、利用規約の場合、モール上に公開されているのが一般的で収集および引用の承諾を得るのが比較的容易であったのに対して、出店契約の場合はどうしても個々の出店者との交渉で出店契約の条項が変わり得るという特殊性もあってか、収集自体も困難であった。そのことは逆に本書の存在価値を高めることにもなるので、できるだけ丁寧に論点を整理したつもりである。もちろん時間的な制約の中で整理したものであるから、この機会に読者の皆さんの意見を伺い、改訂を加えて、次年度においてはさらにいいものを提供出来るようにしたい。
4. モール上へショップを出店する形態は、現在発展途上にあり、今後も実証実験が繰り返されていくであろう。したがって、現時点では、既存の出店契約のフォーマットをベースに、できるだけ契約当事者や契約に規定されるべき権利・義務の基礎となる事実関係や法律関係を明確に浮かび上がらせるべく努力した。
4.1.2 出店手続
以下の手順で出店の手続きが進められることを想定した
(1) モール運営者は、まず自己のモールのホームページ上に出店者募集要領を掲載
募集要項の参考例
a) インターネット上で商品またはサービスを提供したいと思っている者
b) モール運営者と出店契約を締結する者
c) インターネット上でデータの受け渡しができる環境を有している者
d) 消費者に対する商品またはサービスの提供に対し、アフターサービスの体制が整っている者
e) 法人名または個人名での銀行口座を有している者
f) 現実の取引でクレジットカードの加盟店になっている者
(2) 申込み
出店しようと思う者は、モール上に掲載されている出店者募集要項を見て、モール運営者にコンタクトをとり、出店契約書を郵送等で取り寄せ、その内容に同意すれば、モール運営者に対して出店の申し込みをオフラインで行うことになる。実際、この過程をオンラインで 行っている例はなかった。
(3) モール運営者による審査
商品またはサービスが、モール運営者の想定しているモールにふさわしくないものであった場合等、モール運営者が「不適当である」と判断した場合は、出店契約の締結に至らないことがある。
(4) 契約締結
この過程もオフラインでの契約締結となる。
(5) 必要なソフトウェアのインストール
モールの有する決済手段等を利用する場合、モール運営者の提供するソフトウェアを自己のパソコン等にインストールすることになる。
4.1.3 出店契約作成上の留意点
出店契約は、モール運営者が開設したモール上に出店者がショップを構築するにあたっての諸条件を定めるものであり、通常モール運営者の側で事前に準備されることが多いであろ う。そこで、以下には、モール運営者が出店契約を作成する場合に留意すべき点について整理した。ただし、本書は、論点を網羅的に指摘することを目的とするものでなく、基本的に問題と思われる事項を整理したにすぎないことを予めお断りしておきたい。
なお、「出店契約書(試案)」の条文だけではこの試案の使用者に作成意図が正しく伝わり
にくい点があることは否めないので一般的な解説(4.2.3)を付したので参考にしてほし
い。また、本出店契約試案は各種モールに共通して必要な事項を最低限備えるよう作成したが、実際に使用する際には、それぞれのモールの運用形態に合った内容に修正する必要があることは当然である。電子商取引がどこまで進んでもやはり実際のビジネススキームをまず十分に検討することが「基本」であり、試案だけで完結すると安易に誤解しないように注意願いたい。
(1) 定義(第1条)
定義しておかないと当事者間で誤解のおそれのある用語はないか。「モール」「ショップ」
「会員」「商品またはサービス」等の意義はxx的に明確になっているか。
(2) 契約の目的(第2条)契約の目的は明確か。
(3) 契約の対象(第3条)
契約の対象は何か。モール運営者が提供する(できる)ものと提供しない(できない)ものが明確に区別されているか。
(4) 提供する商品またはサービス(第4条)
出店者が提供する商品またはサービスは、どういう条件をクリアしないといけないか。
(5) モールの使用(第5条)
出店者がモールを使用できる範囲は明確になっているか。また、モールをめぐる権利関係は明確になっているか。
(6) 出店者の義務(第6条)
出店者が遵守しなければならない事項は何か。特に出店者が会員と直接コンタクトする際に留意しないといけない事項は何か。
(7) 資料提供等(第7条)
モール運営者は、モールを円滑に運営するために出店者に対して何を要求できるか。
(8) 禁止事項(第8条)
出店者がモールを使用する際に行ってはならない事項は何か。それに違反した場合に対処することのできる方法は明確か。
(9) モール運営者の義務(第9条)
モール運営者はモールをどこまで管理しなければならないか。モールの管理にあたって費用が発生する場合、誰がどこまで負担するか明確になっているか。
(10) コンテンツの管理(第10条)
ショップを構成するコンテンツの管理は、誰がどこまでやるか。
(11) 責任・保証(第11条)
ショップで提供される商品・サービスに対する保証・責任は、誰がどこまで負うか。
(12) 出店者と会員との関係(第12条)
会員情報は誰が管理し、誰がどこまで利用することができるか。出店者と会員との間のトラブルは、誰が責任をもって対応するか。
(13) 広告・宣伝(第13条)
広告・宣伝は、誰の責任で行うか。広告・宣伝の対価はどうするか。
(14) 出店料(第14条)
モール運営者は、料金をどういう名目で受領するか。
(15) 支払方法(第15条)
出店料の支払い方法はどうするか。
(16) 権利の帰属(第16条)
出店者の権利は、どこまで及ぶか。モール運営者の権利はどこまで及ぶか。
(17) 通知(第17条)
通知の方法はどうするか。電子メールでいいか。到達しなかった場合どうなるか。
(18) 権利譲渡禁止(第18条)
第三者が契約関係に入ってくることを制限する必要はないか。
(19) 機密保持(第19条)
本契約に基づき知りえた機密情報の機密保持義務の範囲はどこまでか。いつまで保持しなければならないか。
(20) 契約の効力(第20条)
本契約によって出店者がモール運営者から与えられた権限の範囲はどこまでか。
(21) 契約の変更(第21条)
環境の変化等で契約内容を変更しなければならなくなったときどうするか。
(22) 有効期間(第22条)
契約期間はいつからいつまでか。契約更新する場合の条件は、どうするか。
(23) 賠償責任(第23条)
モール運営者は、出店者に対して、どういう場合に、どこまで損害賠償請求ができるか。
(24) 中途解約(第24条)
モール運営者は、営業不振等様々な原因でモールを閉鎖したいと考えたとき、いつでも閉鎖できるか。
(25) 解除(第25条)
一方的に本契約を解除することができる場合の条件は何か。
(26) 契約終了時の措置(第26条)
契約が終了したときにどういう措置をしなければならないか。
(27) 準拠法(第27条)
紛争が生じた場合、どこの国の法律が適用されるべきか。
(28) 合意管轄(第28条)
紛争が生じた場合、どこの裁判所に訴えたらよいか。
(29) 協議(第29条)
契約書で定めた以外の対応をどうするか。その他、重要な事項は抜けていないか。
4.2.1 条項目次
第xx 総則
第1条(定義)第二章 目的
第2条(契約の目的)第3条(契約の対象)
第三章 出店
第4条(提供する商品またはサービス)第5条(モールの使用)
第四章 出店者の義務
第6条(出店者の義務)第7条(資料提供等) 第8条(禁止事項)
第五章 モール運営者の義務
第9条(モール運営者の義務)第六章 コンテンツの管理
第10条(コンテンツの管理)第七章 責任・保証
第11条(責任・保証)第八章 会員
第12条(出店者と会員との関係)
第九章 広告・宣伝
第13条(広告・宣伝)第十章 出店料
第14条(出店料) 第15条(支払方法)
第十一章 権利の帰属
第16条(権利の帰属)第十二章 一般条項
第17条(通知)
第18条(権利譲渡禁止)第19条(機密保持)
第20条(契約の効力)第21条(契約の変更)第22条(有効期間) 第23条(賠償責任) 第24条(中途解約) 第25条(解除)
第26条(契約終了時の措置)第27条(準拠法)
第28条(合意管轄)第29条(協議)
4.2.2 出店契約(試案)
○○モール出店契約書
_________(以下「甲」という)と________(以下「乙」という)とは、乙の運営する○○モール(以下「モール」という)内において、商品またはサービスを会員に提供するため、モール上にショップを出店することについて、次の通り○○モール出店契約(以下「本契約」という)を締結する。
第xx 総則
第1条(定義)
本契約において、次の各号記載の用語は、それぞれ次の意味で使用するものとする。
1.「モール」とは、乙がインターネットのWEBサイト上において商品またはサービスを提供するために必要な機能(オンラインにより受注し、会員管理を行う機能等)を持ったシステム全体(ハードウェアおよびソフトウェアを含む)をいう。
2.「ショップ」とは、乙のモール上で甲が商品またはサービスを会員に対して提供することを目的として作成された仮想の店舗をいう。
3.「会員」とは、モールにアクセスし、ショップで商品またはサービスの提供を受けることを乙より承認された、個人または法人をいう。
4.「商品またはサービス」とは、甲がショップで会員に提供する「物品」、「ソフトウェア」および「役務」で、第4条1項に規定の出店申込書に記載されたものをいう。
第二章 目的
第2条(契約の目的)
本契約は、甲が乙の運営するモールにショップを出店し、乙の会員に対して商品またはサービスを提供する場合の甲と乙との間の契約関係につき定めるものとする。
第3条(契約の対象)
乙が甲に提供するモールの機能は、次の通りとする。
(1)商品検索
会員が容易に希望商品を見つけることができる商品検索機能を提供する。
(2)オンラインによる受注
会員からの甲に対する商品またはサービスの提供の申込情報の転送を行う。
(3)会員管理
モール内で商品を提供した会員をデータベースで管理を行う。
(4)情報提供
ショップへのアクセス数、ショップにおける売上データ等の情報を提供する。
第三章 出店第4条(提供する商品またはサービス)
1.甲が乙のモールにショップを出店するにあたって、甲は、各号記載の事項を保証し、契約するものとする。
(1)甲がショップで提供し、または提供する予定の商品またはサービスは、別途甲が乙の提供した出店申込書、または今後甲が乙に提供し、乙が承認した修正申込書に記載したものに限ること。
(2)インターネット上で乙との間で本契約の遂行に必要な諸データの受け渡しができるシステム環境を有しており、同体制を維持すること。
(3)インターネット上で提供した商品もしくはサービスに関する配送およびアフターサービスの体制が整っており、同体制を維持すること。
(4)商品またはサービスの提供の対象である会員につき日本国内に居住する者に限る等の限定が必要である場合、その旨予め乙に通知すること。
2.甲は、本契約に従って、商品またはサービスを会員に提供することができるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当するものは除くものとする。
(1)違法であるもの
(2)犯罪行為を惹起するおそれがあるもの
(3)生命または身体に危険をおよぼすおそれがあるもの
(4)猥褻性のあるものまたは通常人に嫌悪感をおぼえさせるもの
(5)通常人の射幸心をあおるもの
(6)事実誤認を生じさせるものまたは虚偽であるもの
(7)他のショップ、会員その他第三者の著作権、商標権、意匠権および特許xx知的財産権を侵害するもの
(8)他のショップ、会員その他第三者の財産またはプライバシーを侵害するもの
(9)その他公序良俗に反するものまたは会員に提供する商品またはサービスとして不適当であると乙が判断するもの
第5条(モールの使用)
1.甲は、モールを本契約の目的の範囲内でかつ本契約に違反しない範囲で使用することができるものとする。
2.甲は、別途乙から使用を許諾されたプログラム、ソフトウェア等の利用もしくは使用を乙の事前の書面による承諾なく第三者に許諾してはならず、それらの権利を第三者に譲渡 し、担保に供し、またはどの他処分してはならないものとする。
3.本契約は、本条第1項の場合を除き、乙が権利を有する著作権、商標権、意匠権、特許権およびその他の知的財産権に関する利用もしくは使用の権利を、甲に許諾するものではない。
第四章 出店者の義務
第6条(出店者の義務)
1.甲は、本契約を理解しこれらを遵守し、会員を欺いてこれら会員の利益を害することがあってはならないものとする。
2.甲は本契約に基づく取引によって知ることのできた会員に関する情報を、会員への商品もしくはサービスの提供以外の目的のために利用してはならないものとする。
3.甲は、会員から商品もしくはサービスの提供申し込みを受け付けるにあたっては、提供する商品もしくはサービスの内容、提供価格、支払条件、商品引渡期日、サービス提供期 日、その他の提供条件を明確に会員に示すものとし、会員に錯誤を生じさせてはならないものとする。
4.甲は、モール内において事業活動を行うにあたり、乙の指示に従いショップの主体が甲である旨をショップ内に明記するものとし、本ショップ内に乙の名称を表示するなど当該事
業に乙が関わっていると第三者が誤解するおそれのある表示を一切行ってはならないものとする。
5.甲が商品またはサービスの提供をしうる対象とする会員につき、法律上またはその他合理的な理由により、日本国内に居住する者に限る等の制限を加える場合、ショップ内にその旨明記するものとする。
第7条(資料提供等)
1.甲は、乙からモールまたはショップの運用に必要な情報、資料の提供を求められた場合、これに応じるものとする。
2.乙は、必要に応じて甲の事業所内に立ち入り、甲の本規約の遵守状況を確認することができるものとする。
第8条(禁止事項)
1.甲は、モールを利用するにあたり、次の行為を行わないものとする。
(1)本サービスにより利用しうる情報を改ざんする行為
(2)有害なコンピュータプログラムなどを送信または書き込む行為
(3)乙または第三者(会員を含む。以下同じ)の著作xx知的財産権を侵害しまたは侵害するおそれのある行為
(4)乙または第三者を誹謗し、中傷しまたは名誉を傷つけるような行為
(5)乙または第三者の財産、プライバシーを侵害しまたは侵害するおそれのある行為
(6)本契約の他の規定に反する行為
(7)その他法令に違反しまたは違反するおそれのある行為
2.乙は、甲が前項各号に該当する行為を行っているか、または当該行為を行うおそれがあると判断した場合、甲に事前の通知をすることなく、モール内に掲載されているショップのコンテンツの全部もしくは一部を削除し、または商品またはサービスの全部もしくは一部の提供を停止させることができるものとする。
第五章 モールの義務
第9条(モール運営者の義務)
1.乙は、モールを本契約の各条項の定めに従い、甲の使用に供するものとする。ただし、乙は、甲に対して、モールを使用するために必要なコンピュータ、通信機器その他の機器を提供するものではない。
2.甲がモールを利用してコンテンツの登録・更新・削除を行う場合に要する通信費等の費用は、すべて甲の負担とし、乙は一切を負担するものではない。
3.乙は、次の各号の何れかに該当する場合には、甲に事前に通知することなく、一時的にモールの使用の一部又は全部を中断・変更することができるものとする。
(1)モールの保守点検を定期的または緊急に行う場合
(2)火災、停電などによりモールの運営ができなくなった場合
(3)天災地変などによりモールの運営ができなくなった場合
(4)その他、乙が一時的な中断を必要と判断した場合
第六章 コンテンツの管理
第10条(コンテンツの管理)
甲は、モール上の自己のショップを構成するコンテンツの管理について、責任をもって行うものとする。
第七章 責任・保証
第11条(責任・保証)
1.甲は、モールにおいて商品またはサービスを会員に対して提供(配送を含む)した場 合、甲の責任において商品またはサービスを提供し、料金を回収するとともに、コンテンツの内容全体について責任を負うものとする。
2.甲が会員に提供する商品またはサービスの品質については、すべて甲が責任を負担するものとする。
3.甲は、会員に提供した商品またはサービスの保守、修理、アフターサービス、欠陥、知的財産権侵害等に関して、乙にいかなる損失、費用、その他の負担も負わせてはならないものとする。
4.甲は商品またはサービスの提供に関し、会員から甲または乙にクレームがあった場合、もしくは甲と会員との間で紛争が発生した場合は、全て自己の責任により誠実に、かつ遅滞なく解決を図り、乙には一切の負担、迷惑をかけてはならないものとし、乙が損害を被った
場合、乙を補償するものとする。
5.乙は、回線または甲の機器等に起因する通信不良、遅延、誤送等モールの運営障害について責を負わないものとする。
第八章 出店者と会員との関係第12条(出店者と会員との関係)
1.甲は、商品またはサービスの提供に関して知り得た会員の氏名、住所等の情報あるいは会員の購入した商品等の情報について、乙が自らこれを利用することを認めるものとす
る。
2.甲は、会員に対して提供した商品またはサービスの品質不良、暇疵、運送中の破損、数量不足、品違いその他販売した商品またはサービスに関し、会員からクレームを受け、または会員との紛争が生じた場合、直ちに乙に対し、その旨通知し、当該クレームについては、遅滞なくこれを解決し、その解決につき報告するものとする。そのクレーム、紛争の内容により、乙から商品またはサービスの変更、販売方法、運送方法等について改善の申し入れを受けたときは、甲はこれによる改善を行うものとする。
3.甲は、前項のクレーム、紛争に際して会員から商品またはサービスの返品の申し出があった場含には、速やかにこれに応じて適切な処置をとるものとする。
第九章 広告・宣伝
第13条(広告・宣伝)
1.甲と乙とは、互いに協力してモールおよびショップに関する広告・宣伝を行うものとする。
2.甲および乙は、広告・宣伝をするにあたっては、適用される法令に違反しないように最善の注意をするものとする。ただし、ショップのコンテンツについては、専ら甲が責任を負うものとする。
3.甲がショップ内において第三者の広告を掲載する場合は、広告掲載料を乙に支払うものとする。
第十章 出店料
第14条(出店料)
甲は、ショップを乙のモールに出店するにあたり、その対価として下記の費用を乙に支払うものとする。
初 期 費 用 : 円
x x 料 : 円 / 月 x x 掲 載 料 : 円 / 月
第15条(支払方法)
1.甲は、前条における初期費用を、出店時に消費税相当額とともに、乙の指定する銀行口座に振り込む方法により、乙に対し支払うものとする。
2.乙は、前条における管理料および広告掲載料について、毎月○○日までに前月に係わる金額を書面により甲に対し請求するものとする。これに対し、甲は、乙からの請求書受領月の翌月未日までに当該請求書に係わる月額管理料および広告掲載料、並びにそれらに係わる消費税相当額を、乙の指定する銀行口座に振り込む方法により支払うものとする。
3.甲が本契約に従い乙に支払うべき金額につき、乙に消費税以外の課税または費用負担が生じた場合、甲は当該課税または費用につき乙を補償するものとする。
第十一章 権利の帰属
第16条(権利の帰属)
1.商品およびサービスに関する著作権その他一切の権利は、甲に帰属するものとし、乙は、モールにおいてショップの主体が甲である旨を表示する。
2.甲は、商品およびサービスに第三者の著作権その他の権利が合まれている場合は、何ら支障のないように必要な手続きを甲が行なった上で、商品およびサービスの提供を遂行するものとする。
3.第1項の場合を除き、モールに関する一切の権利は、乙に帰属するものとする。
第十二章 一般条項
第17条(通知)
1.乙から甲に対する通知は、本契約に別段の定めのある場合を除き、甲が予め乙に通知したアドレス宛の電子メールにより行うものとする。但し、通信障害等やむをえない事態が発生した場合は他の適当な方法で行うものとする。
2.乙から甲への電子メールは、甲のサーバーヘの到着をもって甲に通知されたものとする。但し、本契約中に別段の定めがある場合、および前項但書の場合を除くものとする。
3.甲は、乙からの通知の有無およびその内容を確認するため甲宛ての電子メールを毎営業日1回は閲覧するものとする。
4.甲は、本契約に基づき乙ヘ届け出た氏名、名称、商号、所在地、支払先預金口座、もしくはその他の重要な事項を変更する場合は、事前に乙に対して乙所定の様式をもって通知するものとする。
5.甲は、モール上にショップを出店する場所、コンテンツ、またはメールアドレスを変更する場合、事前に乙に通知し、その承諾を得なければならないものとする。これらの通知および承諾は、電子メールもしくは書面によるものとする。
6.甲が第4項の通知もしくは第5項の承諾取得を怠ったことにより生じた甲の損失その他の負担について、乙はその責めを負わない。
第18条(権利譲渡禁止)
甲および乙は、事前に相手方の書面による承諾を得ることなく、本契約に関する契約上の地位または乙に対する個々の債権の全部または一部を第三者に譲渡してはならないものとす る。
第19条(機密保持)
1.甲および乙は、本契約に関連して相手方から開示を受けた相手方の秘密情報を第三者に開示・漏洩しないものとする。
2.前項の規定に拘わらず、次の各号の一に該当する情報は、秘密情報には含まれないものとする。
(1)開示のときに、既に公知であった情報または既に被開示者が保有していた情報
(2)開示後、被開示者の責によらず、公知となった情報
(3)正当な権限を有する第三者から適法に入手した情報
(4)裁判所からの命令またはこれに類する官公庁からの開示要求その他法令に基づき開示を要求される情報
3.本条の効力は、本契約終了後も有効に存続するものとする。第20条(契約の効力)
本契約は、乙を代理する権限を甲に付与するものではないとともに、乙の商号・モールの名称等を使用して営業をなすことを甲に許諾するものではない。
第21条(契約の変更)
本契約に定める事項を変更する場合は、甲乙両者が誠意をもって協議し書面にて定めるものとする。
第22条(有効期間)
本契約の有効期間は、199― 年 月 日より 年間とし、期間満了の1カ月前までに 甲・乙いずれかが書面による更新拒絶の意思表示をしない限り、本契約は同一条件にてさらに1年間を延長するものとし、以後も同様とする。
第23条(賠償責任)
1.甲は、本契約に違反することにより、また、コンテンツをモールに登録、更新、削除等を行うことに関して乙に損害を与えた場合、その損害を賠償するものとする。
2.甲は、本契約に違反することにより、または、コンテンツをモールに登録、更新、削除等を行うことに関して、第三者との間でトラブルが発生した場合には、甲の責任で解決するものとし、乙に損害を与えないものとする。
3.乙は、モールの変更、中止、中断及びモールにコンテンツをモールに登録、更新、削除等を行うことに関して、甲が損害を被った場合、一切の責任を負わないものとする。
第24条(中途解約)
乙は、本契約期間中といえどもモールの運営を継続することが困難とする事情が生じたと判断した場合、3カ月以上の予告期間を設けて、本契約を解約することができるものとす
る。
第25条(解除)
1.甲および乙は、相手方が本契約の条項の一に違反し、書面により30日以上の期間を定めた催告を行った後なお当該違反が是正されないときは、ただちに本契約を解除できるものとする。
2.前項の規定にかかわらず、甲および乙は、相手方が次の各号の一に該当する場合、何らの催告をすることなく本契約を解除することができる。
(1)差押、仮差押、仮処分、租税滞納処分その他これに準ずる処分を受け、会社整理x x、会社更正手続きの開始、破産もしくは競売の申し立てを受け、または自ら整埋、和議、会社更正手続きの開始もしくは破産の申し立てをしたとき
(2)自ら振り出しまたは引き受けた手形または小切手につき、不渡処分を受ける等、支払い停止状態に至ったとき
(3)前2号のほか、その財産状態が悪化し、またはその信用状態に著しい変化が生じたとき
(4)法令に違反し、または公序良俗に反する行為を行ったとき
(5)その他ショップとして不適当と乙が判断したとき第26条(契約終了時の措置)
甲は、本契約終了時において、本契約に基づき乙から引き渡されたもの(複製を含む)すべてを返還ないし廃棄するものとする。
第27条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとする。第28条(合意管轄)
本契約に関連して生じた甲乙間の紛争については、日本国の○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
第29条(協議)
本契約に定めのない事項および本契約の各条項について疑義が生じた場合、甲乙両者が誠意をもって協議し解決するものとする。
以上、本契約締結の証として本証書2通を作成し、甲・乙それぞれが各1通を保管するものとする。
199_ 年 月 日 甲 :
乙:
4.2.3 出店契約(試案)逐条解説
4.2.3.1 契約書の表題
○○モール出店契約書
【解説】
(1) 表題の性格
契約書の表題(タイトル)は、一応の契約の目的を示す効果があるが、契約の実際の内容や効果は契約全体から判断すべきである。従って、契約書の表題が即契約当事者間の法律関係を規定するということはなく、具体的な権利義務の関係は契約書本文の各条項において規定されることになる。
ただし、契約書の表題としては、その契約の基本的性格が何かすぐわかるものを採用した方が、理解しやすいし、整理分類上からも適当である。
本書では、出店者がモール上でショップを開設して商品またはサービスを、消費者(会員)に対して提供するための契約なので、「○○モール出店契約書」とした。「○○」部分に は、モール固有の名称が付けられることが多いであろう。
4.2.3.2 前文
_________(以下「甲」という)と________(以下「乙」という)とは、乙の運営する○○モール(以下「モール」という)内において、商品またはサービスを会員に提供するため、モール上にショップを出店することについて、次の通り○○モール出店契約(以下「本契約」という)を締結する。
【解説】
(1) 前文の効力
前文も表題と同じく、それが即契約当事者間に法的な効力を及ぼすことはないが、通常前文には次のような意義があるといわれている。
①契約当事者 A.契約当事者の確定
前文においては、本契約の当事者が誰であるかを明確にする。本試案では、甲:出店者、乙:モール運営者とした。
なお、甲、乙、丙、丁という略符号を前文で定めるのは、双方の名称が契約書本文に何度も出てくる手間を省くためである。
B.契約当事者の確認
当事者の名称、住所、契約締結権限(資格)は、個人の場合、IDカード等の身分証明、法人の場合は資格証明書等の文書で確認される。日本では法人の資格証明書等で契約締結権限を確認するのは容易だが、外国の当事者の権限については、当該国際契約が代表権者でない者により締結される場合にはその者に対する委任権限を明らかにした取締役会または株主総会の議事録を交付させるのが望ましい。公証人により個人もしくは法人の身分、正式名称、登録住所、法人国籍、署名者の権限を認証させるのも、当事者確認の一方法である。
②契約の種類・法的性格の明確化
前文においては、契約がいかなる種類のものか大枠を明確にすればよい。この契約で定めようとしている具体的な取引の内容は契約書上できるだけ具体的に詳しく特定させる必要があるが、それは通常契約書本文の各条項等で行うこととして、前文では簡単にこの契約の法的な種類・法的性格を明らかにすれば足りるであろう。
(2) 英文契約書
英文契約書の場合は、一般に表題、頭書、前文、本文、末尾文言により構成される。表題に続く頭書は前文の一部とされることもあるが、契約の締結年月日、当事者の名称、登録上の住所、設立準拠法等が記載される。
Whereasで始まる説明条項が設けられるのが一般だが、これを含めて前文という場合もあり、契約条項本文の導入部といえる。
4.2.2.3 定義
第1条(定義)
本契約において、次の各号記載の用語は、それぞれ次の意味で使用するものとする。
1.「モール」とは、乙がインターネットのWEBサイト上において商品またはサービスを提供するために必要な機能(オンラインにより受注し、会員管理を行う機能等)を持ったシステム全体(ハードウェアおよびソフトウェアを含む)をいう。
2.「ショップ」とは、乙のモール上で甲が商品またはサービスを会員に対して提供することを目的として作成された仮想の店舗をいう。
3.「会員」とは、モールにアクセスし、ショップで商品またはサービスの提供を受けることを乙より承認された、個人または法人をいう。
4.「商品またはサービス」とは、甲がショップで会員に提供する「物品」、
「ソフトウェア」および「役務」で、第4条1項に規定の出店申込書に記載されたものをいう。
【解説】
(1) 定義規定の機能
定義規定は以下の機能を持っている。
①契約書内で使用される用語の意義を明確にし、用語の解釈を巡る紛争を未然に防止する。
②契約本文中で使用頻度の多い用語、名称、商品等の長い用語や複雑な概念を簡単な言葉・短い略称に置き換えて、それを本文で使用することにより、契約書を簡潔にする。
③同一の用語の使用により、契約書全体に首尾一貫性を与える。
出店契約書で使用されている用語は、事柄の性質上、技術的な要素が強いものが多くなると考えられるので、使用されている主要な用語の意味を明確にし、解釈上、疑義が生じないようにするため、「定義規定」を設けるべきである。
特に「モール」の定義は、各人イメージするものが異なっていることが多く、議論が噛み合わないことも予想されるので、明確に規定する必要がある。
(2) 英文契約書
英文の契約書においても、通常、それぞれの契約で使用されている主要な用語や、その契約書で一般の用法とは多少違った意味で用いられている用語の定義を定めた「定義規定」 (Definitions)が置かれてる。
(3) 定義の効力
本文中の重要事項で詳細な説明を要する場合に、便宜上本文の最初の部分でまとめて定義しておくことも一般に行われるが、定義条項も本文の一部であるから見落としのないよう慎重にチェックすることが必要である。
(4) 定義の対象
定義の対象は、契約上で重要な用語、誤解を生じやすい用語、頻繁に使用する用語を中心に必要最小限の用語にとどめた。
(5) 「モール」の定義の参考例
モールとは、①商用サーバーに関するデータベースを構築し、事業としてユーザーに対し利便性を提供し、②販売業者の提供する商品情報を流布、伝達を行う媒体であり、③さらにその商品を発注する手段に関する情報を伝達し、場合によっては発注書式を提示して契約締結プロセスを媒介することを目的として、④オンライン上のあたかも現実のモールや商店街の
ような商業集積地の形成を事業としているものをいう。
4.2.3.4 契約の目的
第2条(契約の目的)
本契約は、甲が乙の運営するモールにショップを出店し、乙の会員に対して商品またはサービスを提供する場合の甲と乙との間の契約関係につき定めるものとする。
【解説】
(1) 基本的合意
本条は、契約当事者間の基本的な合意の枠組を示している。
(2) 甲乙間の関係
本契約を締結することで、①モール運営者は、出店者にモール上にショップを出店することを許諾し、出店者は、モールの機能を利用することができるという関係と、②出店者が、 ショップ出店の対価としてモール運営者に出店料をに支払うという関係が発生することになる。
(3) 出店契約の法的性格
モールへの出店契約の法的性格は、システムの利用(使用許諾)という問題だけでなく、出店者が作成したホームページをモール上に掲載することの委託・引受という側面があれば、委任契約とも考えられる。
また、ホームページの作成・取次をモール運営者が引受ける場合は、請負契約の性格が強くなる。
4.2.3.5 契約の対象
第3条(契約の対象)
乙が甲に提供するモールの機能は、次の通りとする。
(1)商品検索
会員が容易に希望商品を見つけることができる商品検索機能を提供する。
(2)オンラインによる受注
会員からの甲に対する商品またはサービスの提供の申込情報の転送を行う。
(3)会員管理
モール内で商品を提供した会員をデータベースで管理を行う。
(4)情報提供
ショップへのアクセス数、ショップにおける売上データ等の情報を提供する。
【解説】
(1) 趣旨
オンラインでの受注機能を持ったモールを一つのモデルととらえて、通常どのような機能を備えているかという観点から機能(サービス)を整理し列挙したものである。
4.2.3.6 提供する商品またはサービス
第4条(提供する商品またはサービス)
1.甲が乙のモールにショップを出店するにあたって、甲は、各号記載の事項を保証し、契約するものとする。
(1)甲がショップで提供し、または提供する予定の商品またはサービスは、別途甲が乙に提供した出店申込書、または今後甲が乙に提供し、乙が承認した修正申込書に記載したものに限ること。
(2)インターネット上で乙との間で本契約の遂行に必要な諸データの受け渡しができるシステム環境を有しており、同体制を維持すること。
(3)インターネット上で提供した商品もしくはサービスに関する配送およびアフターサービスの体制が整っており、同体制を維持すること。
(4)商品またはサービスの提供の対象である会員につき日本国内に居住する者に限る等の限定が必要である場合、その旨予め乙に通知すること。
2.甲は、本契約に従って、商品またはサービスを会員に提供することができるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当するものは除くものとす る。
(1)違法であるもの
(2)犯罪行為を惹起するおそれがあるもの
(3)生命または身体に危険をおよぼすおそれがあるもの
(4)猥褻性のあるものまたは通常人に嫌悪感をおぼえさせるもの
(5)通常人の射幸心をあおるもの
(6)事実誤認を生じさせるものまたは虚偽であるもの
(7)他のショップ、会員その他第三者の著作権、商標権、意匠権および特許xx知的財産権を侵害するもの
(8)他のショップ、会員その他第三者の財産またはプライバシーを侵害するもの
(9)その他公序良俗に反するものまたは会員に提供する商品またはサービスとして不適当であると乙が判断するもの
【解説】
(1) 趣旨
健全なショップを維持するために、出店者が提供する商品またはサービスについて定めた規定である。
①出店希望者の多様性
ネットワークを利用してモールにショップの出店申込みをする場合、海外からの申込も予想される。また、電子商取引は比較的出店コストがかからないとされていることから、個人事業主からの申込みも予想される。さらに、通信販売ではクレジット会社は物品販売以外を認めていないが、情報やソフトウェアの取扱業者からの申込みも考えられる。
以上のようなこれまでクレジットの加盟店契約の対象となっていなかったような業者からの出店申込みをどのように扱い、対応して行くかが今後実務的には重要な課題になってくるであろう。
②アフターサービス体制の充実
電子商取引により、国際的な非対面取引が増加することが予想されることから、これらの取引に対応した問合わせ相談体制(相談窓口の設置等)の充実が望まれる。これらは、時間とコストがかかり人員体制が整っていないとかけ声倒れになるのが通常であり、従って、出店の際の重要なファクターといえる。
(2) 第2項
出店者がショップをモールに出店し、そのショップで商品やサービスを消費者に提供して行く際、複数のショップの集合体であるモール上でどんな商品・サービスでも提供できるという訳ではない。第2項では、消費者に提供することを禁止される商品・サービスを列挙している。
4.2.3.7 モールの使用
第5条(モールの使用)
1.甲は、モールを本契約の目的の範囲内でかつ本契約に違反しない範囲で使用することができるものとする。
2.甲は、別途乙から使用を許諾されたプログラム、ソフトウェア等の利用もしくは使用を乙の事前の書面による承諾なく第三者に許諾してはならず、それらの権利を第三者に譲渡し、担保に供し、またはその他処分してはならないものとする。
3.本契約は、本条第1項の場合を除き、乙が権利を有する著作権、商標権、意匠権、特許権およびその他の知的財産権に関する利用もしくは使用の権利 を、甲に許諾するものではない。
【解説】
(1) 趣旨
甲が乙のモールをどこまで、どのように使用することができるかを定めたものである。
(2) サブライセンス
甲が使用許諾されたソフトウェアやプログラム等を乙の承諾なく第三者に再使用許諾(サブライセンス)等その他処分してはならない。これは、甲が乙から第1項に基づき許諾された権利は、甲自らが乙のモール上で甲のショップを運営する目的のみに関して与えられたものであり、第三者に又貸し(転貸)することまで認められたものではないからである。
(3) 権利の帰属
第1項で甲に許諾された権利の範囲を明確にするため、権利の帰属関係を明記することにより後日の紛争の種となることを排除したものである。
4.2.3.8 出店者の義務
第6条(出店者の義務)
1.xは、本契約を理解しこれらを遵守し、会員を欺いてこれら会員の利益を害することがあってはならないものとする。
2.甲は本契約に基づく取引によって知ることのできた会員に関する情報を、会員への商品もしくはサービスの提供以外の目的のために利用してはならないものとする。
3.甲は、会員から商品もしくはサービスの提供申し込みを受け付けるにあ たっては、提供する商品もしくはサービスの内容、提供価格、支払条件、商品引渡期日、サービス提供期日、その他の提供条件を明確に会員に示すものと し、会員に錯誤を生じさせてはならないものとする。
4.甲は、モール内において事業活動を行うにあたり、乙の指示に従いショップの主体が甲である旨をショップ内に明記するものとし、本ショップ内に乙の名称を表示するなど当該事業に乙が関わっていると第三者が誤解するおそれのある表示を一切行ってはならないものとする。
5.甲が商品またはサービスの提供しうる対象とする会員につき、法律上またはその他合理的な理由により、日本国内に居住する者に限る等の制限を加える場合、ショップ内にその旨明記するものとする。
【解説】
(1) 趣旨
第5章で定めるモール運営者の義務に対応した出店者の義務をここで定める。出店者であるxは、このモールを独占的に占有するのではなく、他のショップとの調和のために遵守しなければならない事項を定めたものである。
特に、サイバースペース上における取引が健全に機能するためには、そのサイバースペース上の情報に対する消費者の信頼が必要である。そこで、本項において、ショップの顧客である会員の利益を侵害してはいけないことを明記した(第1項)。
(2) 会員情報
会員が乙のモール上で会員登録をする際に登録される情報は、まず乙の管理下に入るが、会員が個々のショップで商品やサービスを購入する際には当然個々のショップ(出店者)にも会員に関する個人情報が伝えられることとなる。それら会員情報を甲が乙との契約で定めた販売目的以外での利用を禁じた(第2項)。
(3) 情報開示
会員の保護、ひいては消費者一般の保護のために、甲に対して、会員に対する一定の情報公開義務を負わせる必要がある。
これは、訪問販売法第3条にも同様の趣旨の規定があるが、訪問販売法は売り手側からの執拗なセールス活動から消費者を保護する目的で規定されたものであり、本契約でカバーする範囲とは異なっていると解せられるが、例えば、ホームページ上に表示されている商品の仕様も現在では各種様々で、消費者が誤解しかねないものである。
後日消費者のクレームが原因で紛争が生じることのないよう、これらの項目を会員に対して明確に表示するよう明記した(第3項)。
また、会員の対象を日本国内に居住する者に限る等の制限を加える場合(第5項)は、ショップ内にその旨明記するものとしたが、英語表記を義務づけることも検討に値しよう。
(4) 情報の主体
会員から見た場合、誰が契約の相手方であるかを明確にした(第4項)。
ホームページを利用したショッピングを行う場合、消費者は実際に商品やサービスを誰が提供しているのか、相手方を判断することが困難な(誤解する)ことがある。現実の対面販売の場合でも、看板や店構えの表示方法によってはトラブルが生じることが多々ある。特にサイバーモールを利用した商取引では信用力の足りない中小の出店者がモールの知名度を利用してあたかもモールが自社の商品を提供しているかのように装うことが容易であり、それが原因で消費者やモール運営者が被ると予想されるリスクを避けることが重要である。
4.2.3.9 資料提供等
第7条(資料提供等)
1.甲は、乙からモールまたはショップの運用に必要な情報、資料の提供を求められた場合、これに応じるものとする。
2.乙は、必要に応じて甲の事業所内に立ち入り、甲の本規約の遵守状況を確認することができるものとする。
【解説】
(1) 趣旨
前条同様乙がモールを円滑に運用して行くに当たっては、出店者が持っている情報や資料が必要となってくる場合が多いであろうし、場合によっては甲の事業所に立ち入って調査をしないと確認できないものもあるであろう。そのため、甲は、乙から要請があった場合、これらの要請に速やかに従わなければならない旨を明記した。
4.2.3.10 禁止事項
第8条(禁止事項)
1.甲は、モールを利用するにあたり、次の行為を行わないものとする。
(1)本サービスにより利用しうる情報を改ざんする行為
(2)有害なコンピュータプログラムなどを送信または書き込む行為
(3)乙または第三者(会員を含む。以下同じ)の著作xx知的財産権を侵害しまたは侵害するおそれのある行為
(4)乙または第三者を誹謗し、中傷しまたは名誉を傷つけるような行為
(5)乙または第三者の財産、プライバシーを侵害しまたは侵害するおそれのある行為
(6)本契約の他の規定に反する行為
(7)その他法令に違反しまたは違反するおそれのある行為
2.乙は、甲が前項各号に該当する行為を行っているか、または当該行為を行うおそれがあると判断した場合、甲に事前の通知をすることなく、モール内に掲載されているショップのコンテンツの全部もしくは一部を削除し、または商品またはサービスの全部もしくは一部の提供を停止させることができるものとする。
【解説】
(1) 趣旨
出店者による消費者やモールの運営に障害を及ぼしかねない行為のうち、特に不法性・不当性が強い行為を禁止した条項である。
本条では、通常の通信販売等でも禁止されていると思われる商品やサービスの販売に関して禁止する旨を記載したが、本条項で禁止されている項目は、電子商取引という新しい分野での通信販売に関して、特に出店者が行う恐れのある不法性・不当性が強いと思われる行為である。
(2) コンテンツの削除等
出店者が1項に定めた禁止事項を行った場合、または引き続き行うことが予想される場合、そのような出店者を放置しておくことは、モールにとっても消費者にとっても大きな被害の拡大を招くこととなる。そのため、本条項によってコンテンツの削除、商品・サービスの提供を停止する権利をモール運営者に持たせることとした。
4.2.3.11 モール運営者の義務
第9条(モール運営者の義務)
1.乙は、モールを本契約の各条項の定めに従い、甲の使用に供するものとする。ただし、乙は、甲に対して、モールを使用するために必要なコンピュー タ、通信機器その他の機器を提供するものではない。
2.甲がモールを利用してコンテンツの登録・更新・削除を行う場合に要する通信費等の費用は、すべて甲の負担とし、乙は、一切負担するものではない。
3.乙は、次の各号の何れかに該当する場合には、甲に事前に通知することなく、一時的にモールの使用の一部又は全部を中断・変更することができるものとする。
(1)モールの保守点検を定期的または緊急に行う場合
(2)火災、停電などによりモールの運営ができなくなった場合
(3)天災地変などによりモールの運営ができなくなった場合
(4)その他、乙が一時的な中断を必要と判断した場合
【解説】
(1) 趣旨
本条は、前章に対応してモールが出店者に対して負う義務及びその範囲につき定めたものである。
乙は、甲に対して、本契約で使用を許諾した範囲内で、甲にモールを利用させる義務を持つという基本的な事項を定める(第1項)とともに、ショップのコンテンツの登録・更新・削除に要する費用は、出店者自身が負担するという原則を定めた(第2項)。なお、申込情報の転送義務について特に明記しなかったが、どういう情報をいつまでに、どういう方法で送るかについては、十分な検討が必要である。
(2) モールの使用中断等
モール運営者は、出店者がモールを使用してショップでビジネスを行うために、モールのシステムを日々管理・運営していく義務があるが、モールのシステムに異常事態が発生した場合には、速やかに対応策を取らなければならない。その際、モールの運営を一時的に中止・中断せざるを得ない場合もあろう。この場合、モール運営の中止・中断に係る責任は、モール側には発生しない旨を定めた。
4.2.3.12 コンテンツの管理
第10条(コンテンツの管理)
甲は、モール上の自己のショップを構成するコンテンツの管理について、責任をもって行うものとする。
【解説】
(1) 趣旨
本契約で想定したxxxは、出店者自身が自己のショップを構成するコンテンツを作成する形態のモールである。従って、出店者に自己のショップのコンテンツをいつでも変更・削除する権利を明記した。
(注)前項の定めに拘わらず、実際にはショップのコンテンツが違法であった場合に、そのショップのコンテンツを掲載していたモール側の法的責任を問われる可能性がない訳ではない。又、厳格な意味での法的責任を問われることがなくても、消費者に害を与えるようなコンテンツをモール上に掲載したということで、モール運営者のxx的責任が問われることも十分あり得よう。
4.2.3.13 責任・保証
第11条(責任・保証)
1.甲は、モールにおいて商品またはサービスを会員に対して提供(配送を含む)した場合、甲の責任において商品またはサービスを提供し、料金を回収するとともに、コンテンツの内容全体について責任を負うものとする。
2.甲が会員に提供する商品またはサービスの品質については、すべて甲が責任を負担するものとする。
3.甲は、会員に提供した商品またはサービスの保守、修理、アフターサービス、欠陥、知的財産権侵害等に関して、乙にいかなる損失、費用、その他の負担も負わせてはならないものとする。
4.甲は商品またはサービスの提供に関し、会員から甲または乙にクレームがあった場合、もしくは甲と会員との間で紛争が発生した場合は、全て自己の責
任により誠実に、かつ遅滞なく解決を図り、乙には一切の負担、迷惑をかけてはならないものとし、乙が損害を被った場合、乙を補償するものとする。
5.乙は、回線または甲の機器等に起因する通信不良、遅延、誤送等モールの運営障害について責を負わないものとする。
【解説】
(1) 趣旨
本契約に基づいた業務の実施に伴い、何等かのトラブルが発生し、被害が生じたときの両当事者間の責任の分担(誰が、どこまで負うか)を定めたものである。
(2) 甲の責任
本モールでは、商品・サービスの提供およびショップのコンテンツの作成・管理に関して、出店者が自己の責任で実施することとなっているので、商品・サービス自体の品質・欠陥及び商品・サービスの会員への提供に関して発生した損害に関する責任・保証、並びにショップのコンテンツに関して発生した損害に関しての責任・保証は全て出店者が負わなければならない。
(3) 乙の責任
上記(2)に対して、乙が責任をもって運営しなければならないものはモールのシステムである。しかし、モールのシステムの停止・中断といった運営障害は、モール運営者の責によらず、不測の事態によって発生することもある。そのような場合にまでモール運営者に責任を問うことは適当ではない。ここではそのような不測の事態による損害に対してはモールの責任は問わないこととした。
ただし、契約書で出店者に損害補償の義務を課した場合でも、出店者に補償金を支払う能力がない場合は何の意味もなくなってしまう。このような場合の対応策として、モール側は出店者から出店時に一定額の保証金を支払わせるか、保険で損害をカバーするといった方法でリスクを回避することになろう。
3.2.3.14 出店者と会員との関係
第12条(出店者と会員との関係)
1.甲は、商品またはサービスの提供に関して知り得た会員の氏名、住所等の情報あるいは会員の購入した商品等の情報について、乙が自らこれを利用することを認めるものとする。
2.甲は、会員に対して販売した商品またはサービスの品質不良、暇疵、運送中の破損、数量不足、品違いその他提供した商品またはサービスに関し、会員からクレームを受け、または会員との紛争が生じた場合、直ちに乙に対し、そ
の旨通知し、当該クレームについては、遅滞なくこれを解決し、その解決につき報告するものとする。そのクレーム、紛争の内容により、乙から商品またはサービスの変更、販売方法、運送方法等について改善の申し入れを受けたときは、甲はこれによる改善を行うものとする。
3.甲は、前項のクレーム、紛争に際して会員から商品またはサービスの返品の申し出があった場合には、速やかにこれに応じて適切な処置をとるものとする。
【解説】
(1) 趣旨
本契約は、モール運営者と出店者間の契約であるが、そこには当然にモールにアクセスし、ショップで商品・サービスの提供を受ける会員の存在が前提となる。x条は、その会員に対する出店者の責任を明記したものである。
(2) 取引情報の利用
商品またはサービスの提供に関して直接取引関係に立つのは、第1次的には出店者であり、出店者が当該取引関係から得られた情報をモール運営者も利用できることを定めたものである。会員からみると、会員登録の際に開示した情報以外の情報なので、出店者は予めモール運営者に利用させることについて会員から了承を得ておく必要があろう。
(3) 会員との紛争解決
会員と出店者との間で行われる取引は、出店者が責任を持って実施しなければならないという原則を明記したものである。
また、ショップ内での商品・サービスの提供は、会員・出店者間の責任で行われるが、会員は、同時にモール運営者にとっても重要な利害関係者である。従って、会員と出店者との間で紛争が起きた場合には、モール運営者が出店者に対して業務の運営方法を改善させる権利を持つことを定めた。
4.2.3.15 広告・宣伝
第13条(広告・宣伝)
1.甲と乙とは、互いに協力してモールおよびショップに関する広告・宣伝を行うものとする。
2.甲および乙は、広告・宣伝をするにあたっては、適用される法令に違反しないように最善の注意をするものとする。ただし、ショップのコンテンツについては、専ら甲が責任を負うものとする。
3.甲がショップ内において第三者の広告を掲載する場合は、広告掲載料を乙に支払うものとする。
【解説】
(1) 趣旨
モールやショップがその存在を世間に広く周知させるためには様々な方法が考えられる。単にインターネット上にモールやショップを開設しても、アクセスしてくる消費者が増加するとは限らない。そこで必要に応じて、モール運営者や出店者は、ネット上に限らず、新聞、雑誌、TV等の様々なメディアを用いて広告・宣伝を行うことになる。モールの知名度が上がれば、出店しているショップへアクセスしてくる会員が増え、取引高の増加が見込まれ る。また、ショップの知名度が上がれば、そのショップが出店しているモールへ入会する会員の増加も見込まれる。そのため、両者が互いに協力して、広告・宣伝を行う旨を定め
た。
又、モール運営者や出店者が自己の広告・宣伝を行う際には、同時に相手方の名称やロゴ、トレードマーク等を使用する場合もあるので、その際には事前に協議し、相手方の承諾を 取っておくことが重要である。
なお、モール運営者としては広告の内容についてどこまで責任を負うか(モール運営者が ショップのコンテンツ作成をしない場合は、免責という場合が多いであろう)契約に明記することはもちろん、一般の消費者に対しても後日クレームが直接こないようにするためホームページ上に、その旨表示することが必要である。
(2) 広告掲載料
出店者が自己のショップ上に第三者の広告を掲載する行為は、商品やサービスの提供の範囲外であるため、通常の出店料とは異なる、広告掲載料を徴収することにした。
なお、モールの中には、企業戦略なのか、料金の表示がないものが多かった。数多くショップを出店してもらうためにも、後日の紛争を避けるためにも出店料は明記した方がいいのではないだろうか。
また、料金の種類に応じてかかる税金が変わってくる場合があること、およびサーバーがどこに設置されているか特に海外にあるとどこで課税されるかという難しい問題がある。
4.2.3.16 出店料
第14条(出店料)
甲は、ショップを乙のモールに出店するにあたり、その対価として下記の費用を乙に支払うものとする。
初 期 費 用 : 円 x x 料 : 円 / 月
広告掲載料: 円/月
【解説】
(1) 趣旨
以下のような料金体系を定めたものである。
①初期費用
契約締結時に1回だけ支払われる料金(出店に必要なコンテンツの作成、ソフトウェアのインストール等、モール上に新規ショップを開設するために必要な費用)である。
②管理料
月額。月々のモール運営に要する費用である。
③広告掲載料
月額。モール上のどの場所に広告が掲載されるか、使用されるロゴのサイズや位置により異なってこよう。
試案は一つの例であり以下に述べるような、異なるタイプの出店料を組み合わせて利用するといった方法も考えられる。(例:出店料を低額におさえ、取引高に応じた一定のコミッ ションを取る等)
(2) 収入源
モール運営者がモール上でビジネスを行うためには、収入源は一つではなく、複合的な収入源が必要だと考えられるが、モール運営ビジネスの収入源としては、下記のようなものが考えられる。
1. 出店者から:出店料、売買手数料(コミッション)、広告収入、店舗所在地案内(ロケーターサービス)等
2. アクセスしてきた消費者から:通信トラフィック使用料(回線接続、利用料等)
このうちアクセスしてきた消費者からは、あまり高額な収入は見込めないので、必然的に出店者からの収入源を中心に考えていかねばならない。
出店者からモールへの出店に対して支払われる出店料としては、下記のタイプのものが考えられる。
①定額料金
年間とか月間でいくらといった定額の料金体系。
この場合、出店者に対して割当てられるモール上のディスク容量、モールのどのページのどの位置に掲載されるのか、ショップのロゴのサイズ、何点の商品が掲載可能か、といった諸条件に応じて決められてくることになる。このタイプの利点は、モール運営者側が一定数の出店者を集めることができれば、一定の利益を確保できることである。しかし、出店者側としては最初からコストがかかるので、出店しにくくなるという欠点もある。
②売買手数料
ショップの売上げに応じて、その何%といった料金体系。
このタイプの利点は初期の出店料が無料或いは低額なので、出店希望者は出店しやすくなるし、多数の出店者が集まれば消費者へのモールの魅力も高まり、結果として売上げが上がってモール側の利益も上がる可能性があるということがあげられる。しかし、この場合モールはショップの売上げを正確に把握する必要があり、技術的に高度な決済システムもモールが持っていなければならないということが問題となる。また、そのようなシステムを持っていても、会員がモール上でショップを見たが、注文はオフライン(電話、FAX等)でモールを通さず注文することも考えられるので、正確な取引金額をモールが把握するのは困難である。
③トランザクションフィー
モールを通じてショップにどれだけのアクセスがあったかという、件数に応じた料金体系。
このタイプを採用するモールは、初期のころ多かったようであるが、現在ではあまり見当たらない。アクセス数は時期によって多かったり少なかったりとシフトが激しいので、モール運営者側は事前に収入を予測できない。また、アクセス数と販売額は必ずしも比例しないため、単価の低い商品を大量に販売する出店者にとっては、売上げに比して出店料が割高に なってしまうという問題がある。
4.2.3.17 支払方法
第15条(支払方法)
1.甲は、前条における初期費用を、出店時に消費税相当額とともに、乙の指定する銀行口座に振り込む方法により、乙に対し支払うものとする。
2.乙は、前条における管理料および広告掲載料について、毎月○○日までに前月に係わる金額を書面により甲に対し請求するものとする。これに対し、xは、乙からの請求書受領月の翌月未日までに当該請求書に係わる月額管理料および広告掲載料、並びにそれらに係わる消費税相当額を、乙の指定する銀行口座に振り込む方法により支払うものとする。
3.甲が本契約に従い乙に支払うべき金額につき、乙に消費税以外の課税または費用負担が生じた場合、甲は当該課税または費用につき乙を補償するものとする。
【解説】
(1) 趣旨
料金の支払方法、期日を定めたものである。日本の消費税については、海外の出店者に対しては課税されないと考えられる。
(2) 書面性
料金の請求を「書面」で行うということにしたのは、現時点では企業間での請求・支払手続きといったものが、税法上の問題もあり書面を要求するからであり、今後制度的、商習慣的な手続きがクリアできれば、電子的手段による支払方法も考えられる。
(3) 課税
消費税以外の課税負担又は費用負担が生じた場合も、甲の責任とすべきである。
4.2.3.18 権利の帰属
第16条(権利の帰属)
1.商品およびサービスに関する著作権その他一切の権利は、甲に帰属するものとし、乙は、モールにおいてショップの主体が甲である旨を表示する。
2.甲は、商品およびサービスに第三者の著作権その他の権利が合まれている場合は、何ら支障のないように必要な手続きを甲が行なった上で、商品およびサービスの提供を遂行するものとする。3.第1項の場合を除き、モールに関する一切の権利は、乙に帰属するものとする。
【解説】
(1) 商品およびサービスに関する権利関係
モール運営者が出店者に対して、モール上のスペース及びシステムの使用を許諾するのみであり、その他の権利特に出店者が開設するショップに掲載する商品およびサービスはすべてショップの自己責任の下でおこなわれることを確認したものである。
また、モールにアクセスしてくる会員に対してもその旨を適切に知らせるために、モール上に表示することを明記した。
(2) 一切の権利
「一切の権利」とあるのは今後、著作権や工業所有権以外にもどのような新しい権利が現われてくるかわからないので、そういった場合に誰に帰属するか明確でないと困るので、その権利はモール運営者に帰属するとした。
4.2.3.19 通知
第17条(通知)
1.乙から甲に対する通知は、本契約に別段の定めのある場合を除き、甲が予め乙に通知したアドレス宛の電子メールにより行うものとする。但し、通信障害等やむをえない事態が発生した場合は他の適当な方法で行うものとする。
2.乙から甲への電子メールは、甲のサーバーヘの到着をもって甲に通知されたものとする。但し、本契約中に別段の定めがある場合、および前項但書の場合を除くものとする。
3.甲は、乙からの通知の有無およびその内容を確認するため甲宛ての電子メールを毎営業日1回は閲覧するものとする。
4.甲は、本契約に基づき乙ヘ届け出た氏名、名称、商号、所在地、支払先預金口座、もしくはその他の重要な事項を変更する場合は、事前に乙に対して乙所定の様式をもって通知するものとする。
5.甲は、モール上にショップを出店する場所、コンテンツ、またはメールアドレスを変更する場合、事前に乙に通知し、その承諾を得なければならないものとする。これらの通知および承諾は、電子メールもしくは書面によるものとする。
6.甲が第4項の通知もしくは第5項の承諾取得を怠ったことにより生じた甲の損失その他の負担について、乙はその責めを負わない。
【解説】
(1) 趣旨
国際間契約では文書による通知の方法を契約書に規定するのが通常である。電子商取引の利点の一つはその即時性にあるといえ、ここでは甲乙間の両者が電子メールを利用できる環境下にあるという前提をふまえ、通信手段として電子メールを採用することを定めたものである。
(2) 法的効力
国内法及び国際的な各種法的文書や書類のもとで、通信の法的効力は、それが伝送された時、受信された時、あるいは当然受信されているはずの時のいずれかの時点に生じる。
日本の場合、データが到着するということを前提とすれば、法理論上の多くの問題が解消されるので、データの到達を持って、通知がなされたこととなる旨を定めた。
4.2.3.20 権利譲渡禁止
第18条(権利譲渡禁止)
甲および乙は、事前に相手方の書面による承諾を得ることなく、本契約に関する契約上の地位または乙に対する個々の債権の全部または一部を第三者に譲渡してはならないものとする。
【解説】
(1) 趣旨
当事者の一方が相手方に対して有する権利を第三者に譲渡したり、他の債権の担保に供したりすると、第三者が両当事者間の権利関係に関与することになり、権利義務関係が複雑になる。たとえば、モール運営者の立場に立つと、モールの重要な機能の一つとして挙げられるのは消費者に対する信頼担保機能であり、その信頼を維持するために出店するショップの審査を行い、厳しく管理を行っている。同時に出店者に対しては、会員の管理を行うことにより、優良顧客がアクセスをしてくる環境を提供している。このような関係が樹立されたならば、その関係を継続して行きたいと思うことが必然であり、勝手に第三者に対して契約上の地位や権利を譲渡することを禁止したものである。
4.2.3.21 機密保持
第19条(機密保持)
1.甲および乙は、本契約に関連して相手方から開示を受けた相手方の秘密情報を第三者に開示・漏洩しないものとする。
2.前項の規定に拘わらず、次の各号の一に該当する情報は、秘密情報には含まれないものとする。
(1)開示のときに、既に公知であった情報または既に被開示者が保有していた情報
(2)開示後、被開示者の責によらず、公知となった情報
(3)正当な権限を有する第三者から適法に入手した情報
(4)裁判所からの命令またはこれに類する官公庁からの開示要求その他法令に基づき開示を要求される情報
3.本条の効力は、本契約終了後も有効に存続するものとする。
【解説】
(1) 趣旨
契約当事者が本契約に基づき知りえた相手方当事者の業務上の秘密や情報等をそれぞれ第三者に開示・漏洩しない旨の条項である。
(2) 存続期間
契約終了後の特約として、終了後一定期間この義務を課する場合もあるが、これが長期間の場合は不当拘束条件にあたり、独占禁止法上問題となり、xx取引委員会による排除命令が出される場合(独占禁止法7条)があるので、関係当事国の独占禁止法による規制に注意する必要がある。
4.2.3.22 契約の効力
第20条(契約の効力)
本契約は、乙を代理する権限を甲に付与するものではないとともに、乙の商 号・モールの名称等を使用して営業をなすことを甲に許諾するものではない。
【解説】
(1) 趣旨
モール運営者から与えられた出店者の権限がどこまでか確認をするため定めたものである。
4.2.3.23 契約の変更
第21条(契約の変更)
本契約に定める事項を変更する場合は、甲乙両者が誠意をもって協議し書面にて定めるものとする。
【解説】
(1) 趣旨
通常の企業間契約では、契約条項の変更、修正、追加等は両当事者の代表権限のある者の署名による変更合意書、修正覚書等の文書をもって行われるのが通常であるので、本試案においても書面を要求したものである。
4.2.3.24 有効期間
第22条(有効期間)
本契約の有効期間は、199― 年○月○日より 年間とし、期間満了の1カ月前までに甲・乙いずれかが書面による更新拒絶の意思表示をしない限り、本
契約は同一条件にてさらに1年間を延長するものとし、以後も同様とする。
【解説】
(1) 趣旨
契約の発行日については、本文中に発行日につき特に規定を置かない限り、契約書の日付または契約締結日から効力を生ずるというのが原則である。本契約書ではビジネスの性質上、隔地者間(国際間を含む)契約になる可能性が高いため、各当事者が署名する日が異なる場合を想定し、本文中で発行日を明記することとした。
(2) 許認可を要する契約
諸官庁の許認可を要する契約については、許認可日を効力発生日とする場合もあり、当事者の権利義務の発生、存続、終了を確定する上で重要な事項であるため、相手国の祝祭日等をチェックすることも必要である。
(3) 更新
本契約のような継続的契約に関しては、契約期間が終了してもさらに期間を延長することが予想されるため自動延長の条項を設けた。
(4) 予告期間
更新拒絶の予告期間として1ヶ月という期間を定めたのは、モール上のショップのコンテンツを削除するために必要なシステム等の変更処理に要する期間を配慮すると共に、消費者に対してもあるショップが閉店した後に、何等かのフォローアップが必要になることを考慮したためである。もちろん、具体的な状況において、この予告期間の延長あるいは短縮は可能である。
4.2.3.25 賠償責任
第23条(賠償責任)
1.甲は、本契約に違反することにより、または、コンテンツをモールに登 録、更新、削除等を行うことに関して乙に損害を与えた場合、その損害を賠償するものとする。
2.甲は、本契約に違反することにより、または、コンテンツをモールに登 録、更新、削除等を行うことに関して、第三者との間でトラブルが発生した場合には、甲の責任で解決するものとし、乙に損害を与えないものとする。
3.乙は、モールの変更、中止、中断及びモールにコンテンツをモールに登 録、更新、削除等を行うことに関して、甲が損害を被った場合、一切の責任を負わないものとする。
【解説】
(1) 趣旨
前述した両当事者間の責任(第11条参照)の範囲に従い、損害が発生した場合に本条に基づき損害賠償を支払う旨を定めたものである。
(2) 賠償責任一般
損害賠償とは、一定の場合に他人の被った損害を補填し損害がないのと同じ状態にすることをいう。通常損害賠償は金銭給付をもって行われる。損害賠償の義務が発生する最も代表的な場合は、債務不履行(民法415条以下)及び不法行為(同第709条以下)に基づく場合である。これらの場合には、通常、行為者の故意、過失その他の責めに帰すべき事由の存在を要件とする。
4.2.3.26 中途解約
第24条(中途解約)
乙は、本契約期間中といえどもモールの運営を継続することが困難とする事情が生じたと判断した場合、3カ月以上の予告期間を設けて、本契約を解約することができるものとする。
【解説】
(1) 趣旨
契約を将来にわたって失効させることを解約という。解約するには、法律の規定によって解約する権利があるか、当事者間に解約する権利の特約がある場合でなければならない。したがって、本契約においてはあらかじめ当事者が解約できる権利を認め、当事者間で取り決めた手順によってのみ解約されるよう本条項を規定したものである。
(2) 予告期間
3ヶ月という予告期間を定めたのは、出店者がモールへの出店に変わる代替手段を確立するために必要な期間が保証されるべきと考えたからである。一般的な商慣習から十分な期間であろうが、もちろんビジネスの内容によってケースバイケースで判断されるべきものであ る。したがって、この期間の長短に関しては、当事者間の合意に基づき調整することにな る。
出店者は、ショップの閉店手続きをこの猶予期間内にしなければならない。一般の消費者に対するアナウンスは最低限必要である。また、モール運営者にとっても、会員向けに電子 メール等でショップの閉店をアナウンスすべきである。
本条によって、モール運営者は3カ月以上の予告期間を設けさえすれば、モールをいつでも閉鎖することができることになる。
4.2.3.27 解除
第25条(解除)
1.甲および乙は、相手方が本契約の条項の一に違反し、書面により30日以上の期間を定めた催告を行った後なお当該違反が是正されないときは、ただちに本契約を解除できるものとする。
2.前項の規定にかかわらず、甲および乙は、相手方が次の各号の一に該当する場合、何らの催告をすることなく本契約を解除することができる。
(1)差押、仮差押、仮処分、租税滞納処分その他これに準ずる処分を受け、会社整理開始、会社更正手続きの開始、破産もしくは競売の申し立てを受け、または自ら整埋、和議、会社更正手続きの開始もしくは破産の申し立てをしたとき
(2)自ら振り出しまたは引き受けた手形または小切手につき、不渡処分を受ける等、支払い停止状態に至ったとき
(3)前2号のほか、その財産状態が悪化し、またはその信用状態に著しい変化が生じたとき
(4)法令に違反し、または公序良俗に反する行為を行ったとき
(5)その他ショップとして不適当と乙が判断したとき
【解説】
(1) 趣旨
本契約の両当事者が、一方的に本契約を解除することができる場合の条件を定めたものである。
特に複数の出店者及び会員を保有するモール運営者側の視点から考慮すると、自己のモール内で商品・サービスの提供を行うショップの運営者が本条で定めた条件に該当しているような場合、自己のモールの運営の障害となるだけでなく、他の出店者及び会員に対してもモールの信頼性を失う可能性が大きい。
本試案では、特に消費者(会員)対して、xxxが信頼性を与えることができるための諸条件を考慮し、出店者に対して様々な遵守事項を定めてきた。しかし、これらの規定の遵守を怠った場合、将来にわたって本契約の定めを遵守することを怠る可能性のある出店者に対して、モール運営者が実行することができる最終手段を定めたものが本条である。
4.2.3.28 契約終了時の措置
第26条(契約終了時の措置)
甲は、本契約終了時において、本契約に基づき乙から引き渡されたもの(複製を含む)すべてを返還ないし廃棄するものとする。
【解説】
(1) 趣旨
契約は、契約期間満了により終了する場合(第22条)と、契約期間中に中途解約を認める事由が発生し(第24条)、または契約解除事由が発生した場合(第25条)に解約または解除される特約に基づき終了する場合がある。
本契約が終了するということは、乙の甲に対するモールの使用関係が終了するということである。モールの使用に際しては、甲は乙からモールを使用するに必要なソフトウェアの使用許諾を含むので、乙はそれらを甲から引き上げ、甲がその後使用できないようにする必要がある。ただし、それがプログラムの場合、返却を求めても甲の側でコピーを取られてしまえば意味がないので、そのコピーも含めて、「返還ないし破棄する」と定めたものである。
出店契約が、ライセンス供与、特許等の工業所有権、著作権の許諾等を含む場合は、契約終了時において、ライセンス等の実施を中止するだけでなく、実施によって製造、制作された商品や著作物の回収、処分等の措置についても詳細な取決めをしておくことが必要であ
る。
(2) 申込情報の転送
契約が終了する前後に受信した申込情報の転送についてどう取扱うか本条に規定することが考えられる。
4.2.3.29 準拠法
第27条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとする。
【解説】
(1) 趣旨
電子商取引においては、海外の出店者希望者と出店契約を結ぶといった国際的な契約が今後とも増加することが予想される。したがって、当事者の国籍、営業所の所在地、法律行為の行われた地、目的物の所在地、履行地等の法律関係を構成する諸要素が複数の国に点在するという状況が多くなり、いずれの国の法律が適用されるかが重要な問題になってくる。
契約で準拠法を規定しない場合も見られるが、準拠法の選択をめぐる当事者間の紛争を招 き、相手方による仲裁手続きの引き延ばしを招く結果にもなりかねないので、準拠法は契約
書上あらかじめ規定しておく方が望ましい。
どこの国の法律を準拠法にするのかは、当事者間の合意の問題であり、各々の国の法律の長所、短所を理解した上で選択するのが望ましいが、本契約ではモール運営者は日本国内の企業を対象としているため、日本国法を準拠法として規定したものである。
4.2.3.30 合意管轄
第28条(合意管轄)
本契約に関連して生じた甲乙間の紛争については、日本国の○○地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
【解説】
(1) 趣旨
どこの裁判所に訴えたらよいかという裁判管轄の問題は、国内では一般的に被告の所在地を管轄する裁判所ということになっている(民事訴訟法第1条、2条、4条)。金銭的な訴えについては義務履行地にも裁判管轄がある(民事訴訟法第5条)。
電子商取引を利用したビジネスを検討している者(法人および個人を含む)は、新しいイン ターネット関連の技術が提供するスピードと効率という点に魅力を感じているのではないだろうか。そうであれば、紛争の解決にあたっても迅速な処理を望んでいることが想定され る。
本条でも前条と同じくモール運営者の所在地日本の○○裁判所を管轄裁判所に定めることにより、迅速且つ、費用負担の少ない裁判をすることを定めたものである。
4.2.3.31 協議
第29条(協議)
本契約に定めのない事項および本契約の各条項について疑義が生じた場合、甲乙両者が誠意をもって協議し解決するものとする。
【解説】
(1) 趣旨
実務上契約書にすべての合意事項を盛り込むことは困難であり、特にモールを利用したビジネスは新しいビジネスであるため定めのない事項や解釈の難しい場面が生じることが多いと考えられる。本条項はこのような場合に、当事者双方ともに誠意をもって協議して解決することを定めるものである。
(2) 効力
表現上は協議義務を定めているが、協議手続きや協議拒否または不調の場合の効果を具体的に定めていないので、法的にはあまり意味のない日本特有の慣用的条項である。したがっ て、本条項は日本国内企業間においては当事者双方の理解を得ることができるであろうが、言語や習慣の異なる国の企業との間ではあまり意味がない条項であろう。しかし、いきなり法的手段をとらないで、まず協議から始めるという作用を当事者に事実上及ぼすという点では訓示的な意味のある規定である。
5.1 はじめに
5.1.1 クロスリンク契約作成の基本方針
1. モール運営者とモール運営者間の具体的な提携パターンの一つをクロスリンク契約試案(5.2.2、以下「クロスリンク契約」という)として紹介する前に、まずモールと モール間の提携関係の可能性全般について紹介(5.1.2)し、次にクロスリンク契約の主題であるハイパーリンクに関する問題(5.1.3)を説明する。
2. ハイパーリンクを一方的(相手の承諾なく)にではなく、相互に張り合っている例は散見されたが、具体的に「契約書」を締結したという例は確認できなかった。そこ で、モール運営者がこれから自己のモールと他のモールとの間にハイパーリンクを互いに張り合うというレベルの提携関係をもちたいと考えたときに、何を定めないといけないかという観点からクロスリンク契約試案を作成した。
3. 国際的な提携という視点が十分に反映出来ていない点は、次年度の課題と考えている。
5.1.2 モールとモール間の提携の理論的な可能性
当WGでは、モールとモール間の提携の可能性について何度となく議論するとともに、当W G外の専門家・有識者の方々にもこのテーマを投げかけてきた。その結果、理論的には下記のような提携の可能性が浮かび上がってきた。本書はその議論を要約したものである。
すなわち、AモールとBモールが提携する場合を想定すると、AモールはBモールと提携することによって何等かのメリットがあるゆえに提携を考えるのであり、BモールもAモールと提携することによって何等かのメリットがあると考えて提携に踏み切ると考えるのが通常であろう。その場合、BモールはAモールに対して、AモールはBモールに対して、何等かの役割なり機能を持つことになる。その役割・機能とは、具体的には次の事項にまとめられよう。
● 5.1.2.1 姉妹都市関係
● 5.1.2.2 信用担保
● 5.1.2.3 商品の補完
● 5.1.2.4 検索エンジンのライセンス
● 5.1.2.5 オンライン注文システムのライセンス
● 5.1.2.6 決済システムのライセンス
● 5.1.2.7 業務委託
● 5.1.2.8 物流機能
以下、具体的に説明する。
5.1.2.1 姉妹都市
AモールもBモールも知名度がそれなりにあって、ショップ数もある程度かかえている中規模以上のモールの場合、AモールがBモールの傘下に入る(出店と同様の関係になる)と か、その逆を考えるよりは、「姉妹都市」提携といったゆるやかな友好関係によって、互いのモールの集客度(アクセス数)を高め合っていく提携関係が考えられよう。
具体例として、最近プレスリリースされた、リクルートの「あちゃら」とニフティを紹介したい。
リクルートとニフティ、オンライン・サービスで協力
リクルートとニフティは、オンライン・サービスの相互利用を促進していくことで合意し た。1月末日現在221万人のユーザーを抱えるNIFTY-Serveは、会員専用のホーム・ページからリクルートの提供するコンテントを簡単に利用できるようにする。また、リクルートはインターネット情報誌「あちゃら」と連動したディレクトリ・サービス「あちゃらNAVI」からニフティのホーム・ページにアクセスできるようにする。
(出典:INTERNET USER 97年5月号 P.224)
では、ここでいう姉妹都市関係の具体的内容は何か、まず思い付くのは、モールとモールの間で互いにハイパーリンクを張り合い、消費者がそのリンクをたどってリンク先の他のモール(ショップ)にアクセスするという関係である。この場合の契約関係を一つのモデルとして、「クロスリンク契約」という形で試案を作成してみた。なお、同試案は、対等な当事者間の場合を想定したので、対価のやり取りが発生しない無償の契約を想定した。
また、アクセスした人数やアクセスした人の利用金額の多寡によりチャージされるといった関係も考えられるが、その場合の課金方法、責任の分担をどういうふうにしていくか等については、広告宣伝との関係で今後の検討課題である。
5.1.2.2 信用担保
知名度の高いモールAから知名度のあまり高くないモールBにリンクが張られた場合、消費者は、モールAをゲートウェイにしてモールBにアクセスすることになる。消費者は、
「モールAと何らかの提携関係にあるモールだから確かであろう」という漠然とした信頼感や安心感が得られるのではないだろうか。その結果、モールBへのアクセス数が増加し、商品・サービスの取引高が増加することが期待できよう。
又、モールAが会員制を採っていて、例えば成人でクレジットカード保有者でなければ会員になれない場合(こうした例は日本で特に散見される)、モールBから見るとモールAを ゲートウェイにしてアクセスしてくる消費者は、一応信用のある人といってもよく、優良な消費者がモールBにアクセスしてくる確率が高くなるというメリットがあろう。
このメリットは現状取るに足らないレベルかもしれないが、このままインターネットのユーザー数が増加すると、信用担保の機能を一定のレベルで備えたモールと数多く提携したいと思う新興のモールが出てくるかもしれない。この場合は、上記5.1.2.1と違って、リンクを張ることを契約上認める、いわば一方向の「シングルリンク契約」というものであり、上記 5.1.2.1以上に対価関係の取決めが必要となってこよう。
5.1.2.3 商品の補完
モールAとモールBが、異なった業種の特徴あるモールを構成している場合、互いに強みを持った業種の商品・サービスを互いに提供し合い、弱点を補完しあう関係が考えられる。本書において、モールは、自ら商品・サービスの提供を行わないという前提なので、この場合の商品・サービスとはテナント(ショップ)の品揃えということになる。
具体的には、ハイパーリンクの絶対パスを使って、Aモールのショップの商品をBモールのショップの商品の陳列棚に表示するという方法が考えられる。
従って、この場合も、上記5.1.2.1、5.1.2.2と同様、ハイパーリンクをどのように張り合うかを契約書で定めることになるが、決済手段や保証・責任を誰がどこまで負うことになるかといった重要な問題が出てくることになる。
なお、ここで出店者の業種と取扱商品の実態について概観してみる。資料は、NRIサイバービジネス・ケースバンク(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/),サイバー社会基盤研究推進セン ター,1997.4.18より引用した。
(1) 出店者の業種
2912の店のうち、卸売・小売(1113件)を筆頭に情報サービス(418件)、その他サービス(372件)と続いている。メーカーからの出店は少ない。
A.専門店出店者の業種
Each mark(#) represents 50 cases.
1. 水産・農林 71: ##
2. 鉱業 0:
3. 建設 12: #
4. 食料品 283: ######
5. 繊維製品 46: #
6. パルプ・紙 8: #
7. 化学・医薬品 18: #
8. 石油・ゴム製品等 3: #
9. 鉄鋼 0:
10. 非鉄金属・金属製品 10: #
11. 機械 8: #
12. 電気機器 43: #
13. 輸送用機器 4: #
14. 精密機器 19: #
15. その他製品 147: ###
16. 電力・ガス 0:
17. 運輸・倉庫 7: #
18. 卸売・小売 1113: #######################
19. 金融・保険 8: #
20. 不動産 7: #
21. マスコミ・通信 97: ##
22. 情報サービス 418: #########
23. その他サービス 372: ########
24. 個人 120: ###
25. その他 82: ##
26. 不明 16: #
専門店合計 2912
(2) 取扱商品のカテゴリー
フード&ドリンク(658件)、カルチャー&ホビー(645件)、各種サービス(524件)と続いている。
B.専門店の取扱商品・サービス Each mark(#) represents 20 cases.
1. コンピューター&ソフト 259: #############
2. オフィス用品&ステーショナリー 98: #####
3. ファッション&アクセサリー 322: #################
4. フード&ドリンク 658: #################################
5. 日用雑貨&トイレタリー 197: ##########
6. カルチャー&ホビー 645: #################################
7. 各種サービス 524: ###########################
8. バラエティ 114: ######
9. その他 95: #####
専門店合計 2912
5.1.2.4 検索エンジンのライセンス
商品・サービスの種類や数を充実させたモールは、巨大なデータベースを必要とするのではないだろうか。なぜならば、消費者は、個々の商品を一つ一つアクセスして購入するかどうか決めるという行動パターンはとりにくいからである。そこで、商品の種類や数が一定の規模以上になったモールは、消費者が購入しようと希望する商品・サービスに関する情報を探索するための検索エンジンを搭載しようとするであろう。YAHOO等に代表されるディレクトリーサービスが、モールの所在を検索するのに非常に重要な役割を演じているが、モールが自己のモール上に大量の商品の検索エンジンを独自に搭載すれば、消費者は、より高速に目指す商品にたどり着くことができ、このモール上での商品の購入を促進する契機になるであろう。
インターネットでアクセスできる情報の量(商品の種類や数)が今後とも拡大して行くであろうことを考えると、強力な検索エンジン機能を持ったモールの優位性はますます高くなるであろう。
一方、そうした検索エンジンを開発するだけの資力や人材を持たないモールは、検索エンジンを搭載しているモールからライセンスを受けるなり、その検索エンジンの傘下に自己の モールを入れる等して、消費者にとってもっと使い勝手の良いモールを提供することを検討するのではないだろうか。
5.1.2.5 オンライン注文システムのライセンス
上記5.1.2.4と同様に、モールAがオンライン注文システムを備えており、モールBが備えていない場合は、ライセンス契約を締結して、モールBもそのオンライン注文システムを共同利用できるようにするという提携関係も考えられよう。
5.1.2.6 決済システムのライセンス
決済方法についても、上記5.1.2.5と同様のことが考えられる。参考までに、インターネット上のモールの決済方法の実態を概観してみると、日本では、銀行振込(1383件)、代金引換(1008件)、郵便振込(846件)の3種類の決済方法で全体(4429件)の73%を占めており、クレジットカード決済(326件)は、全体から見ると7%強に過ぎないことがわか
る。
下記の資料は、NRIサイバービジネス・ケースバンク(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/),サイバー社会基盤研究推進センター,1997.4.18より引用した。
(1) 決済方法
Each mark(#) represents 50 cases.
1. 現金書留 492: ##########
2. 郵便振替 846: #################
3. 銀行振込 1383: ############################
4. 代金引換 1008: #####################
5. クレジットカード決済 326: #######
6. プリペイド 3: #
7. 電子決済 8: # 8. その他 123: ###
9. 不明 240: #####
合計 4429
(注)複数の決済方法が可能な店舗があるため,和は専門店合計と一致しない。
「5.クレジットカード決済」は,店舗側がカード番号を受け取った後,従来のクレジット決済を行うもの。
「7.電子決済」は決済用のクライアントソフトを使用するもの。
(2) 決済方法でみたサイバービジネスのレベル Each mark(&) represents 20 cases.
1. 「現金書留」レベル 12: #
2. 「郵便振替」レベル 242: #####
3. 「銀行振込」レベル 740: ###############
4. 「代金引換」レベル 896: ##################
5. 「クレジットカード決済」レベル 324: #######
6. 「プリペイド」レベル 3: #
7. 「電子決済」レベル 8: # 8. その他 72: ##
9. 不明 243: #####
専門店合計 2540
(注)「決済方法でみたサイバービジネスのレベル」とは,「1.現金書留」から
「7.電子決済」がこの順によりxxの決済方法と仮定し,その店舗が採用している最もxxな決済方法を表すものである。
(3) クレジットカード決済におけるセキュリティ確保の方法
クレジットカード決済を取り入れている326件のモールではどのようなセキュリティ確保の手段が取り入れられているか興味深いところである。特に今後の電子商取引の発展の鍵は、いかに消費者に安全と安心感を与えることができるかにかかっている。「カード番号は毎回オフラインで取得」する場合が全体の57%(187件)を占め、「暗号化通信のできるサー バーソフトを使用」しているのがわずかに45件(14%に満たない)であるところを見る
と、技術的には安全なレベルであっても、今のところまだ消費者に安心感を与えるところまでには至っていないようである。ECOMのホームページに消費者の視点から調査した「E Cに関する意識調査」(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/xxxxxxx/xxxx.xxxx)xxxxxxxxxxxxxxx。
特筆すべきは、「特に手段を講じていない」モールが36件(全体の11%)もあることであろう。これらのモールではどのくらいのボリュームの取引きが実際に行われているのか興味深いところでもある。
Each mark(#) represents 10 cases.
1. 特に手段を講じていない 36: ####
2. カード番号は毎回オフラインで取得 187: ###################
3. 会員番号付与 38: ####
4. 暗号化通信のできるサーバソフト使用 45: #####
5. その他 5: # 6. 不明 15: ##
合計 326
電子商取引は、従来の商取引と異なる非対面販売であるため、消費者、出店者の双方にとり商品やサービスの提供の対価が確実に支払われるという保証を取り付けるのが困難である。そのため、現在では世界各国でインターネット上でも確実に決済を行うことができる電子決済システムの開発が進められている。
しかし、これら最新の技術を自社で開発し運用するためのコスト負担や必要なノウハウを考慮すると、特に中小企業や新規参入企業にとっては、既にそれらの安全で確実な電子決済システムを有する他のモールと提携し、そのシステムを利用させてもらうことは有効な方法であろう。
又、ネットワークを利用した電子商取引が開始されたのは、ここ数年のことである。誰でも容易に参入できるというサイバービジネスの特性から、中小企業や個人も容易に展開できるようになったとはいえ、クレジットカードの加盟店となるための障壁が高く、クレジット カードによる決済方法を取れない事業者も当然出てくる。
そこでその参入障壁をモール間でライセンスすることによって低くすることができるのではないだろうか。
5.1.2.7 業務委託の関係
モールAがファックス、電話等による注文の受付、発注の代行業務や問合わせ応答等の窓口業務やヘルプデスク業務を行っていて、モールBがこれからモールを立ち上げようという場合、モールBは、これらの業務をゼロから立ち上げるよりも、モールAに対して、業務委託をすることによりコスト削減を図ることが可能となる。
委託業務の内容は、ケースバイケースで契約で定められることになるが、例えば、消費者からのクレームの受付窓口業務の場合、単なるクレームの取り次ぎ・仲介をするだけの場合もあろうし、トラブルの解決までサポートする場合も考えられる。
又、注文の受付業務の場合、他のモールの代行窓口となって、注文を受け付けるのが通常と考えられるが、消費者の代理人の立場で他のモールに発注するといった場合も考えられよ う。
この関係は特にモールが国際間にまたがる場合(例:モールAが日本で、モールBが米国)有効に機能するであろう。言語の違いが障害となり、消費者は購入したいものがモールBにあっても、注文画面が英語であるため注文することを躊躇したり、注文画面にインプットしても注文が確実にできたかどうかについて不安感を持つかもしれない。そうした場合に、その不安感を多少とも解消してくれることになろう。
さらに、米国のモールBから商品・サービスの提供を受けた消費者が、その商品・サービスに対してクレームを付けたいとき、Aモールで日本語で対応してもらえれば、消費者は、やはり安心して今後もモールAから商品・サービスの提供を受けたいと思うであろう。このことは、結果的にリピーターが増えることを意味し、モールBの日本のマーケットにおける電子商取引の取引高を増加させることになろう。
5.1.2.8 物流機能
消費者にとっての電子商取引の大きなメリットは、現実の店舗を持たないですむことからコストの削減となり、結局それが商品・サービスの価格を減額させる要因となることである。ところが、商品・サービスの価格が下がってもさらにクリアされなければならない問題として、商品等の配送を伴う場合のコストをどうするかということがある。
そこで、既存の物流システムを有している国際的な企業がモールを立ち上げた場合を想定すると、その物流機能を持ったモールはA、上記の問題についての一つの大きなソリューションを提供してくれるのではないだろうか。
すなわち、他の物流機能を持たないモールBは、モールAと提携して配送コストの削減を図らなければ世界的規模での競争(メガコンペティション)に生き残れなくなってしまいかねないのである。
さらに、ある地域やある国では強力なシェアを握っている物流業者も数多くいるであろう。彼らが互いに強い地域、弱い地域を補完し合うことが、既存の現実の商取引では困難であった提携が、バーチャルな電子商取引においては大同団結できることを意味する。この場合 は、ショップで提供された商品・サービスを互いのモール経由で消費者に配達するといったことが考えられよう。
5.1.3 ハイパーリンク
(1) ハイパーリンクを張ることとは?
水平分散によって広がるネットワークは、物理的には繋がっており、それをハイパーテキスト上で複数のサーバーに結び付けるのは、簡単な記述(つなげたい相手先のネットワーク 名、ドメイン名、パス名等アクセスする場所を示すURLを書くこと)を文書ファイル上に
書き込むだけで可能である。従って、「リンクを張る」ということは、自己のサーバー内のテキストファイルの記述を変更することを意味する。
逆に解約の場合は、その記述を一方的に削除し、もし相互にリンクされていれば相手方に対し、モールへのリンクの記述を削除するように要求することである。
(2) 他人のサーバーやWEB上のホームページにリンクを張る際にリンク先の相手方の承諾が必要か
インターネット利用者間のルールとして、リンク先の相手方には事前に了解を得た上で行うということが、1つのネチケット(ネットワーク上のエチケット)として認識されているようであるが、今後はより明確なルールが要請されるのではないだろうか。
(3) リンクを張ることには何も問題がないか。
例えば無断複製物がたくさん載っているホームページであることを知りながら、どんどんリンクを張っているというようなことを行えば、リンクを張った者は著作権侵害の幇助をしていると評価を受ける可能性がある。また、xxx先の情報が誤解されるような態様でリンクを張った場合には、一般の不法行為の観点から、そのような態様でリンクを張った者に対して損害賠償が認められるケースも出てくるのではないだろうか。
(4) ホームページにリンクを張ると著作権法上何か問題が生じるか。
インターネットは、ハイパーリンクという著作物の従来とは異なった利用形態を生み出している。そこでは、自分の作品中に他人の作品の内容を直截に引用するのではなく、その所在を示す情報だけが記載される。従来の利用形態と異なるのは、利用者は直ちにその所在情報を使ってその作品にアクセスできることであり、利用者の目から見れば、その内容が直接引用されているのと同じような効果を持つことになる。これは、従来の著作xxが予定していない利用形態であり、原著作者の意図と異なる文脈での引用をされた場合をどう扱うか(著作人格権の問題)などの問題が生じることになる。
具体例として、インターネットのリンクを差し止めた事件(Shetland Times Ltd v. Xxxxxxxx Xxxxx and Another)を下記に紹介する。
1996年10月24日、英エジンバラ民事裁判所第xx部は、WEBサイトによって記事を提供する新聞社の訴えを認め、ニュース報道サービスを提供する別のWEBサイトに対して、原告新聞社の記事へのハイパーリンクを暫定的に差し止める命令を出した。以下はその概要である。
A.事実関係
原告:Shetland Times Ltd.
(新聞「Shetland Times紙」を所有、発行)
被告:ニュース報道サービス「Shetland News」の提供者
原告は、インターネット上にWEBサイトを開設し、Shetland Times紙の印刷版に出ている記事を写真入りで利用できるようにしている(xxxx://xxx.xxxxxxxx-xxxxx.xx.xx/)。各記事は、印刷版の記事ヘッドラインを索引としてWEBサイトに電子的に蓄積されており、利用者は、ヘッドラインをクリックすることで記事本文にアクセスできる。
被告の運営するWEBサイト(xxxx://xxx.xxxxxxxx-xxxx.xx.xx/)では、いくつかの広告が表示され、その下にいくつかのニュース・ヘッドラインがある。
被告は、1996年10月14日以降、Shetland Time紙の最新号に出たヘッドラインで、原告のW EBサイトに登録されたものを、逐語的に複製し、自己のWEBサイトのフロントページのヘッドラインに含めた。これにより、被告のWEBサイトの利用者はこのヘッドラインをクリックすることで、原告のWEBサイトにある記事本文にアクセスできた。
原告は、著作権侵害を理由に、被告がWEBサイトで原告のヘッドラインを使用することを暫定的に差し止める命令を求めた。
B.判示
裁判所は、原告の以下の主張により、原告に一応有利な事件が疎明されたとして、暫定差止め命令を発付した。
1.)原告の「ケーブル・プログラム」(有線放送番組)を、被告が自己の「ケーブル・プログラム・サービス」に挿入したことは、著作xx20条における侵害を構成する。原告が自己のWEBサイトで利用できるようにしたxxxxxxは、著作xx第7条にいう「ケーブル・プログラム」であり、被告が自己のWEBサイト上で利用できるようにしているもの
(facility)は、同条にいう「ケーブル・プログラム・サービス」である。従って、原告のヘッドラインを、被告が自己のサービスに挿入することは、著作権侵害を構成する。
<参考>
英著作xxでは、有線放送番組を著作権で保護しており(日本の、隣接権保護に相当)、有線放送番組サービスに他者の有線放送番組を無許諾で組み入れることは、著作権侵害とな る。
2.)xxxxxxは、原告の保有する言語著作物である。被告の行為は、電子的手段による著作物の蓄積であり、著作xx第17条によって侵害を構成する。
<参考>
英著作xxでは、著作物を電子的手段によりいずれかの媒体に蓄積する行為が、複製行為であることが明定されている。
また、英では、伝統的に労力や投資が投入されたか否かを著作物性(オリジナリティ)の判断基準にしており、この点で日本とは異なる。
C.コメント
現在のところ、暫定的差止め命令の請求に対する判断だけであるために、裁判所は深い分析をしている訳ではなく、勿論、所謂リンクの法的評価が一般的に導き出されるものではないが、リンクの仕方によっては著作権法上の問題が生ずる可能性があることを示す事件であ る。
5.2 クロスリンク契約(試案)
5.2.1 条項目次
第1条(定義)第2条(目的)
第3条(名称等の使用許諾) 第4条(リンクの変更・削除)第5条(協力関係)
第6条(権利の帰属)第7条(権利不侵害)
第8条(xxxxxxの成果の取扱い)第9条(責任)
第10条(機密保持)第11条(有効期間)
第12条(契約終了時の措置)第13条(準拠法)
第14条(合意管轄)第15条(協議)
5.2.2 クロスリンク契約(試案)
クロスリンク契約書
_______(以下「甲」という)と_______(以下「乙」という)は、甲の運営するインターネット上のAモール(以下「Aモール」という)と乙の運営するインターネット上のBモール(以下「Bモール」という)とが互いにハイパーリンクを各々のモール上に非独占的に設定し合うこと(以下「クロスリンク」という)に関して、以下の通り契約(以下「本契約」という)を締結する。
第1条(定義)
本契約において、次の各号記載の用語は、それぞれ次の意味で使用するものとする。
(1)「モール」とは、インターネット上で運営する商品・サービスの提供、オンラインによる受注、会員管理等の機能を持ったシステムをいう。
(2)「ハイパーリンク」とは、インターネット上のWEBサーバーに登録されたファイルとファイルを相互に連結することをいう。
第2条(目的)
本契約は、甲のAモールと乙のBモールが互いにハイパーリンクで電子的につながることによって、各々のモールが互いに協力して、互いのモールの活性化、健全化、信用担保機能の強化を積極的に追求し、友好的な提携関係を構築し、電子商取引の推進に資することを目的とする。
第3条(名称等の使用許諾)
1.甲は、乙に対して、乙が、Bモール上にハイパーリンクを張るに際して甲が権利を有する別紙1(省略)記載の名称等をBモール上に使用することを許諾する。使用方法の詳細 は、別途定める。
2.乙は、甲に対して、甲が、Aモール上にハイパーリンクを張るに際して乙が権利を有する別紙2(省略)記載の名称等をAモール上に使用することを許諾する。使用方法の詳細 は、別途定める。
3.甲および乙は、前2項の名称等を、本契約で許諾された以外の印刷物、ソフトウェア製品その他のいかなる物にも使用しないものとする。
第4条(リンクの変更・削除)
1.甲および乙は、自己のモール上のハイパーリンクの位置、大きさ等を変更する場合は、
事前に書面または電子メールで相手方に通知するとともに、相手方から要請があれば、合理的範囲で、その要請を尊重する。
2.甲および乙は、相手方のハイパーリンクおよび名称等の使用方法が本契約の目的に反すると判断し、その判断に合理的な理由がある場合は、相手方は直ちに、ハイパーリンクの削除または名称等の使用を中止しなければならない。
第5条(協力関係)
1.甲および乙は、電子商取引が今後xxなマーケットになることを認識した上で、互いに協力して行くことを確認する。
2.甲および乙は、相手方から要請があれば、相手方モールの広告・宣伝等に積極的に協力し、集客効果を高めるよう努める。
3.甲および乙は、ハイパーリンクを自己のモールに設定するにあたっては、相手方の名誉、名声および信用を損なわないよう最善の努力をする。
4.甲乙間の友好的な提携関係構築の詳細については、別途甲乙で協議し、定めるものとする。
第6条(権利の帰属)
1.乙は、別紙1(省略)記載の名称等が甲の権利に帰属することを確認する。
2.甲は、別紙2(省略)記載の名称等が乙の権利に帰属することを確認する。第7条(権利不侵害)
甲および乙は、互いに相手方に使用許諾した、各々自己の名称等が第三者の権利を侵害していないこと、および相手方に対して有効に使用許諾する権利を有することを保証する。
第8条(クロスリンクの成果の取扱い)
1.甲および乙は、クロスリンクの結果得られた成果で相手方の権利に属するものを、相手方が自由に無償で使用することを許諾する。
2.前項は、本契約の有効期間終了後も有効に存続する。第9条(責任)
1.甲および乙は、クロスリンクに関して生じた相手方の損害に対して、自己の責任に帰すべき場合を除き、相手方に損害賠償の責任を負わない。
2.甲および乙は、自己のモールに関して、第三者からクレームを受けた場合は、責任を 持って処理するとともに、相手方のモールに関して、第三者からクレームを受けた場合は、速やかに相手方に通知するものとする。
第10条(機密保持)
1.甲および乙は、本契約に関連して相手方から開示を受けた相手方の秘密情報を第三者に開示・漏洩しないものとする。
2.前項の規定に拘わらず、次の各号の一に該当する情報は、秘密情報には含まれないものとする。
(1)開示のときに、既に公知であった情報または既に被開示者が保有していた情報
(2)開示後、被開示者の責によらず、公知となった情報
(3)正当な権限を有する第三者から適法に入手した情報
(4)裁判所からの命令またはこれに類する官公庁からの開示要求その他法令に基づき開示を要求される情報
3.本条の効力は、本契約終了後も有効に存続する。第11条(有効期間)
本契約の有効期間は、199_年__月__日から1年間とし、期間満了の1ヶ月前まで に、甲乙いずれかが書面による更新拒絶の意思表示をしない限り、同一条件にてさらに1年間延長するものとし、以後も同様とする。
第12条(契約終了時の措置)
甲および乙は、本契約が終了した場合、速やかに自己のモールからハイパーリンクの設定を消去するとともに、相手方に通知し、相手方の確認を求めるものとする。
第13条(準拠法)
本契約の成立、効力、履行および解釈に関しては日本国法が適用されるものとする。第14条(合意管轄)
本契約に関連して生じた甲乙間の紛争については、日本国の東京地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
第15条(協議)
本契約に定めのない事項および本契約の各条項について疑義が生じた場合、甲乙両者が誠意をもって協議し解決するものとする。
以上、本契約締結の証として、本証書2通を作成し、甲乙それぞれが各1通を保管するものとする。
1997年__月__日甲:
6.1 条項別サンプル集使用にあたっての注意点
本サンプル集はモデル契約試案作成に当たって参考とした、複数の利用規約、出店契約書等から各試案と関連する条項を横断的に抜粋し、整理したものである。各サンプル条項に付されたアルファベットと数字の組み合わせ(例:A-1)は、参考にした、契約書サンプルと条項番号を示すものである。
本サンプルの作成に当たり、下記の規約を参考とした。
● A. Aネット会員規約-国内のパソコン通信会社(会員制)
● B. Bシステム会員規約-国内のインターネット専用決済システム(会員制)
● C. Cモール会員規約-国内のサーバーモール(会員制)
● D. Dショップ会員規約-国内のサイバーショップ(会員制)
● E. Eモール会員規約-国内のサイバーモール(会員制)
● F. Fネット会員規約-米国のパソコン通信会社(会員制)
● G. Gモール利用規約-国内のサイバーモール(オープン)
● H. Hモールメンバー規約-国内のサイバーモール(会員制)
● I. Iモール利用規約-国内のサイバーモール(オープン)
● J. J-Net Terms of Service-米国のパソコン通信会社(会員制)
● K. K-Net Agreement Terms-米国のサイバーショップ(会員制)
● L. Internet Legal Page-米国のWEBサイト利用規約(オープン)
6.2.1 利用規約条項別サンプル
<目次>
試案該当条項
● 6.2.1.1 前文 前文
● 6.2.1.2定義 第1条
● 6.2.1.3規約の範囲及び変更 第2条
● 6.2.1.4入会申込 第3条
● 6.2.1.5会員資格 第4条
● 6.2.1.6届出事項の変更等 第5条
● 6.2.1.7会員情報の取扱 第6条
● 6.2.1.8 会員設備等の設置及び維持 第7条
● 6.2.1.9 会員への通知方法 第8条
● 6.2.1.10ID及びパスワードの管理 第9条
● 6.2.1.11サービスの利用料金 第10条
● 6.2.1.12 会員の責任 第11条
● 6.2.1.13退会 第12条
● 6.2.1.14 会員資格の停止・抹消 第13条
● 6.2.1.15モールにより提供するサービス 第14条
● 6.2.1.16サービスの変更 第15条
● 6.2.1.17サービスの中断・停止 第16条
● 6.2.1.18 出店者との取引 第17条
● 6.2.1.19 責任の範囲 第18条
● 6.2.1.20損害賠償 第19条
● 6.2.1.21合意管轄 第20条
6.2.1.1 前文 C―前文
C株式会社(以下「C社」という)は、C社の提供するマルチメディアネットワークサービス「Cモール」(以下「本サービス」という)に関し、本サービスの利用者(以下「会員」という)に対し、以下のとおり会員規約を定めます。
F―前文
本規約は、米国F社(以下Fネットという)が提供するパソコン通信サービスFネット Information Service(以下サービスという)の利用のために、A株式会社(以下Aネットという)がFネットの代理店としてFネットの承認のもとに、サービスの利用のための会員登録方法及び利用料金徴収などに関して取り決めるものです。
L-前文
[Site Owner] maintains this site (the "Site") for your personal entertainment, information, education, and communication. Please feel free to browse the Site. You may download material displayed on the Site for non-commercial, personal use only provided you also retain all copyright and other proprietary notices contained on the materials. You may
not, however, distribute, modify, transmit, reuse, re-post, or use the content of the Site for public or commercial purposes, including the text, images, audio, and video without [Site Owner]'s written permission.
Your access to and use of the Site is also subject to the following terms and conditions ("Terms and Conditions") and all applicable laws. By accessing and browsing the Site, you accept, without limitation or qualification, the Terms and Conditions and acknowledge that any other agreements between you and [Site Owner] are superseded and of no force or effect.
6.2.1.2 定義 A-5
1.会員とは、A社に Aネットへの入会を申し込み、A社がこれを承認した者、又はA社が別途定める方法(ビジネスアカウント、ファミリーアカウント等)により会員資格を授与した者を言います。
2.会員は入会の時点で本規約の内容を承諾しているものとみなします。 B-1
会員とは、本規約を承認の上、インターネットを使ってB抹式会社(以下B社という)が運営するオンライン決済システム(以下Bシステムという)利用のためにBシステム会員として入会を申込みB社が入会を認め、第2条により会員確認番号(以下lDという)を貸与された個人または法人をいいます。
D-3
この会員規約においては、次の用語はそれぞれ次の意味で使用します。
(1)Dショップサービス
当社が提供する別表記載のサービス
(2)会員
当社に対して会員登録した者 F-2
会員には、A社の指定する手続きにもとづき、本規約およびFネットが規定する「F-NET ONLINE INFORMATION SERVICE AGREEMENT TERMS(以下Fネット AGREEMENTとい
う)」を承諾のうえ、A社にサービスの利用を申し込み、A社がFネットの了承のもとに、
入会の承認をした一般会員およびビジネスアカウント会員があります。
H―1
当センターの定める「メンバー」とは本規約を承諾の上、規定の入会手続きを完了後、センターで承認した方とします。
6.2.1.3 規約の範囲及び変更 A-1
本規約はA株式会社(以下A社といいます)が提供するパソコン通信サービス(以下Aネットといいます)を第5条所定の会員(以下会員といいます)が利用するについての一切に適用します。
A-2
1.A社がAネットのオンラインを通じ随時会員に対して発表する諸規定は本規約の一部を構成するものとし、会員はこれを承諾します。
2.A社がAネット上で提供する各サービスのご案内コーナー等で規定する当該サービスの利用上の決まりも、名目の如何に拘わらず本規約の一部を構成するものとし、会員はこれを承諾します。
A-3
1.A社は会員の了承を得ることなく本規約を随時変更することができるものとし会員はこれを承諾します。
2.前項変更については、Aネット上に1ヶ月表示した時点で、全ての会員が了承したものとみなします。
A-37
A社は、会員への事前の通知なくして、Aネットの内容を変更することがあり、会員はこれを承諾します。
B-26
会員は、B社が本規約の変更内容を電子メールで通知した後に、利用の申込みを行ったと き、またはB社からの電子メールによろ通知後1ケ月を経過したときのいずれか早いほうの時点で、変更後の規約に同意したものとします。
C-1
1.本規約は、本サービスの利用に関し、C社及び会員に適用します。第○条及び第○条で規定する入会契約が成立後、会員は誠実に本規約を遵守する責務が発生します。
2.C社が別途規定する個別規定及びC社が随時、会員に対し通知する追加規定は、本規約の一部を構成します。本規約と個別規定及び追加規定が異なる場合には、個別規定及び追加規定が優先するものとします。
3.C社は、会員の承諾を得ることなく、本規約を変更でき、会員はC社からの通知をもって、これを承諾するものとします。
D-1
株式会社D(以下「当社」という)は、この会員規約に基づきDモール・サービス(以下
「Dモール・サービス」という)を提供します。
D―2
1.当社は、会員の承諾を得ることなく、この会員規約を変更することがあります。
この場合には、Dショップサービス料金その他の販売条件などは、変更後のDショップ会員規約によるものとします。
2.前項における会員規約の変更は、オンラインまたは当社が別途定める方法で、変更の1か月前までに、会員に通知します。
E-1
本会のサービスは、この規約に基づいて提供されます。 E-19
本会は、その決定によりこの規約、及び本会の名称を変更することができるものとします。この規約を変更する場合、本会はお知らせコーナーに変更内容を掲載し、この掲載をもっ て、規約変更の通知が完了したものとします。
F-1
サービスまたはA社が提供するパソコン通信サービスAネット(以下Aネットという)のオンラインなどを通じ随時、会員に対して発表される諸規定は本規約の一部を構成し、会員 は、これを承諾します。また、FネットおよびA社は、会員の了承を得ることなく本規約を変更することがあり、会員はこれを承諾します。この変更はサービスもしくはAネットのオンラインまたはFネットもしくはA社が提供する手段を通じて発表します。
G―11
当社は、本規約を変更することができるものとします。本規約を変更する場合、当社は当社の所有するインターネットWWWサーバー上に掲載し、この掲載をもって、規約変更の通知が完了したものとします。
I-1
1.この規約は、お客様がI株式会社(以下「当社」といいます)の運営するIモールを利用するにあたり、お客様が行う一切の行為に適用されるものとし、お客様はこの規約に同意のうえIモールを利用するものとします。
2.当社がIモール上において提示する諸規定は、それぞれこの規約の一部を構成するものとします。
3.当社は、お客様がIモールにアクセスされたことをもってこの規約に同意いただいたものとみなします。
I-2
当社は、お客様の承諾を得ることなくこの注意事項を変更することがあります。 J-1
1. Terms of Service Agreement and Rules of the Road.
The J-Network" service (J-Net) is provided by J-Network Inc. ("J-Network, J-Net Inc. or We) to you ("Member" or "you"), subject to the terms of this Agreement and J-Net Inc.'s operating policy, which is incorporated herein and referred to as the "Rules of the Road" or ROR" and shall be collectively referred to as "TOS." (The TOS may be accessed using KEYWORD TOS.) The TOS comprises the entire agreement between J-Net Inc. and you, and supersedes any prior agreements between you and J-Net Inc. with respect to the subject matter of the TOS; provided, however, that you shall be subject to any additional terms and conditions which you are notified of and which may apply when using third party content, software or services. J-Net Inc. may revise the TOS at any time, and such revision shall be effective thirty (30) days upon posting the revised TOS in the Terms of Service section of the Member Services Area (KEYWORD TOS), which will include notice of the date of the last TOS modification ("Notice"). You agree to review the TOS periodically to be aware of such revisions. If any such revision is unacceptable to you, you may terminate your membership as provided in Section 9 below. Your continued use of J-Net following notice of any such revision to the TOS shall be conclusively deemed acceptance of all such revisions.
K-1
1. The K Net Service ( "K Net" ) is a part of the F-Net Information Service ( "CIS", and together with K Net, the "Services " ). The Services consist of computing and information services and software, information and other content provided respectively by K Publishing Company ( "K" ) and F-Net Incorporated ( "F-Net" ) ; (collectively, "Providers" ), as well as access to services, software, information and other content provided by third parties (collectively, "Third Party Content" ). These terms and any Operating Rules published over the Services constitute the entire and only agreement (collectively, the "Service Agreement" ) among Providers and any individual who has an account with Providers for either or both of the Services, including such individual's designated users (a "member" ) with respect to the Services and supersede all other communications and agreements with regard to the subject matter hereof.
K-2
2. Upon notice published over the Services, Providers may modify this Service Agreement, (including the Operating Rules) or prices, and may discontinue or revise any or all other aspects of the Services in their sole discretion and without prior notice.
K-13
13. Notwithstanding any acknowledgment of a member purchase order by Providers, any provision or condition in any purchase order, voucher, or other memorandum of member which is in any way Inconsistent with, or adds to, the provisions of this Service Agreement is null and void. Neither the course of conduct among parties nor trade practice shall act to modify the provisions of this Service Agreement. Providers may authorize or allow their respective contractors and other third parties to provide to Providers and/or to member services necessary or related to making the Services available and to perform obligations and exercise rights of Providers under this Service Agreement, and may collect payment on their behalf, if applicable. If any provision of this Service Agreement is determined to be invalid, all other provisions shall remain in full force and effect. The provisions of paragraphs 4, 7, 9 , and 13 and all obligations of and restrictions on member and its designated users shall survive any termination of this Service Agreement .
L-10
[Site Owner] may at any time revise these Terms and Conditions by updating this posting. You are bound by any such revisions and should therefore periodically visit this page to review the then current Terms and Conditions to which you are bound.
6.2.1.4 入会申込 A-6
1.A社は別途定める方法にて入会申込を受け付け、必要な審査・手続等を経た後に入会を承認します。