Contract
【法人番号 4021005002918】
報道発表資料
平成 28 年 5 月 19 日独立行政法人国民生活センター
ご存じですか? 電気通信事業法が改正されました
-光回線やスマートフォン等の契約書面はしっかり確認しましょう!-
電気通信事業法が平成27年5月22日に改正され、消費者保護ルール1が充実・強化されました。具体的には、契約後の書面の交付義務、初期契約解除制度、不実告知等の禁止、勧誘継続行為の禁止、代理店に対する指導等の措置義務が新たに導入されます。改正法は平成28年5月21日から施行になります。このうち、特に消費者自身にとって関係がある「契約後の書面の交付義務」、「初期契約解除制度」について概要を説明します。改正法施行後の契約において必要なポイントを理解しておきましょう。
1.改正法施行後の電気通信事業法のポイント
(1)契約後の書面の交付義務
【書面記載事項の概要】
・契約先事業者の名称及び連絡先等
・契約した電気通信役務の内容
(電気通信サービスの名称、種類、品質、対応エリア、緊急通報の制限、青少年フィルタリングサービスの有無、その他の通信制限 (帯域制御等)等 )
・契約した電気通信役務の料金と、その他の費用(工事費や機器レンタル料等)
・期間限定の割引の条件
(他の契約を条件とする期間限定割引は、割引のイメージを図示)
・契約変更・解約の際の連絡先および方法
電気通信事業者は、電気通信サービス 2の契約が成立したときには遅滞なく、消費者に個別の契約内容を明らかにした書面(契約書面)を交付しなければなりません 3。契約書面では、以下の内容が記載されます 4。特に、複雑な料金割引の仕組みを図示することや、付随する有料オプションサービスについての記載が義務付けられています。
1 総務省(法人番号 2000012020001)電気通信消費者情報コーナー内 電気通信事業分野における消費者保護施策
xxxx://xxx.xxxxx.xx.xx/xxxx_xxxxxx/xxxx_xxxxxx/x_xxxxx/xxxxx.xxx
2 移動通信サービス(携帯電話会社等が提供する携帯電話端末サービスおよび、無線インターネット専用サービス等)や、固定通信サービス(インターネット接続サービスおよび、固定電話等)のこと
3 電気通信事業法第 26 条の 2、電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン(平成 28 年 3 月)(以下、「ガイドライン」とする)第 3 章 35 頁-52 頁
4 ガイドライン第 3 章第 2 節、第 3 節 37 頁-46 頁
・契約変更・解約の条件等(違約金等)
・初期契約解除制度の詳細(制度適用の場合のみ)
→初期契約解除の申し出が可能な期間、利用方法等
・代替的取組(確認措置)の詳細(認定を受けた場合のみ)
→確認措置が適用される条件、申し出が可能な期間、利用方法等
・契約を特定するに足りる事項(契約者の氏名、住所、契約者番号等)
・料金支払いの時期・方法
・サービス提供開始の予定時期
・付随する有料オプションサービス(一時的に提供するだけのものを除く。)の内容 (名称・料金・解約条件等)
・経済上の利益の提供に関する事項(キャッシュバックや特典ポイント等)
(2)契約から一定期間内に利用できる契約解除制度(初期契約解除制度・確認措置)
「初期契約解除制度」または「確認措置」の対象である場合は、契約書面にその旨の記載があります。
1)初期契約解除制度 5について
初期契約解除制度とは、契約書面の受領日(一部例外的な場合あり6)を初日とした8日が経過するまでの間は、契約先である電気通信事業者の合意なく、消費者の申し出により電気通信サービスを契約解除できるとする制度です(図1)。対象7は、固定通信サービスや移動通信サービス(光回線サービスや主な携帯電話サービス等。後述の確認措置の対象となるサービスを除く)です(図2、図3)。
初期契約解除制度は、どんな販売購入形態でも利用できます。通常、電気通信サービスの契約解除には違約金がかかりますが、初期契約解除制度では、違約金なしで契約解除できます。ただし、電気通信サービスと一緒に購入した端末8・サービス等の契約は対象ではないため、携帯電話等の端末費用は消費者が負担します。また、事業者は契約解除までの期間のサービス利用料・工事費・事務手数料を消費者に請求することが可能で、工事費・事務手数料については請求できる上限額が決まっています。
図1.契約解除可能期間(イメージ)
書面受領日
8日間
8日間
契約解除可能期間
5 電気通信事業法第 26 条の 3、ガイドライン第 4 章 53 頁-67 頁
6 携帯電話等の移動通信サービスの契約で、サービスの提供開始日が書面受領日よりも遅いときは、サービス提供開始日を初日とした 8 日間が対象期間
7 ガイドライン第 1 章 8 頁-11 頁
8 訪問販売や電話勧誘販売等の不意打ち性の高い販売形態で端末を購入した場合は、特定商取引法の対象
2)確認措置 9について
確認措置では、電波のつながり具合が不十分な場合と、事業者による説明等が不十分な場合は、消費者の申し出により、携帯電話等の端末も含めて電気通信サービスが違約金なしで契約解除できます。消費者は端末費用を負担する必要はありません。申し出が可能な期間は最低 8日で、事業者が定めます。なお、本措置の対象サービスは店舗販売および通信販売で契約した移動通信サービスで、総務大臣が認定します。また、事業者は、契約解除までの期間のサービス利用料・付随する有料オプションサービスの利用料を消費者に請求することが可能です(図 2、図 3)。
図 2.初期契約解除制度と確認措置の対象範囲(イメージ)
初期契約解除制度
販売形態問わず
光回線サービス 等
主な携帯電話サービス 等
・ADSL回線サービス
・電話サービス 等
・PHSサービス
・プリペイドサービス 等
確認措置
店頭販売・通信販売
総務大臣の認定を受けたサービス
移動通信サービス
固定通信サービス
電気通信サービス
9 ガイドライン第 4 章第 7 節 61 頁-65 頁
図 3.初期契約解除制度と確認措置の概要
初期契約解除制度 | 確認措置 | |
対象サービス (◆) | ・主な固定通信サービス(光回線サービス等) ・主な移動通信サービス(主な携帯電話サービス等。ただし、確認措置の対象となるサービスを除く) | ・初期契約解除制度対象の移動通信サービスのうち、総務大臣の認定を受けたサービス |
販売購入形態 | ・全ての販売購入形態 | ・店舗販売・通信販売 |
利用条件 | なし | 以下のいずれかが認められた場合 ・電波状況が不十分 ・説明義務等の法令遵守がなされていない |
事業者への申し出期間 | ・契約書面の受領日を初日とした8日間(※) ※携帯電話等の移動通信サービスの契約で、 サービス提供開始日が書面受領日より遅い場合、サービス提供開始日を初日とする8日間 | ・サービス提供開始日を初日とした8日以上の期間(※) ※契約書面の受領日がサービス提供開始日より遅い場合、書面受領日を初日とする 8日以上の期間 ※期間は事業者が定める |
違約金なく契約解除が可能な範囲 | ・電気通信サービス(端末は含まない) | ・電気通信サービス ・携帯電話等の端末(契約解除後も端末を利用する場合は、端末費用の支払いが必要) ・付随する有料オプションサービス |
事業者が 請求可能な費用 | ・契約解除までの期間のサービス利用料 ・付随する有料オプションサービスの利用料 ・工事費用(固定通信サービスの場合)(※) ・事務手数料(※) ※上限額あり | ・契約解除までの期間のサービス利用料 ・付随する有料オプションサービスの利用料 |
◆ 固定電話サービスのうち、ADSL回線サービスや電話サービス等、移動通信サービスのうち、
PHSサービスやプリペイドサービス等は初期契約解除制度等の対象外
2.消費者へのアドバイス
(1)契約書面の交付形式、契約内容を確認しましょう
契約書面は原則紙媒体での交付になりますが、消費者が承諾すれば、代替手段としてSMS(ショートメッセージサービス)を含む電子メールやウェブページ上での掲載、CD-ROM等の記録媒体の形式で電子的な交付をすることも可能です。契約書面には、初期契約解除制度等の利用方法も含めた詳細な契約内容が記載されているので、交付の形式に関わらず、書面の内容は必ず目を通しましょう。
なお、勧誘を受けたサービスの契約を希望しない場合や、今後の勧誘も希望しない場合は、事業者へ申し出ましょう 10。
(2)電気通信サービスの契約に問題があったときは、早めに契約先の事業者へ申し出ましょう契約書面には、自分の契約が初期契約解除制度または確認措置の対象である場合、その旨が契 約書面に記載されることになっているため、契約書面を確認しましょう。初期契約解除制度の対象サービスである場合、原則書面受領日を初日とした 8 日が経過するまでの間であれば、違約金なしで電気通信サービスの契約解除ができます(契約解除までの期間のサービス利用料・工事費・事務手数料は発生します)。契約内容について疑問や気になる点がある場合は、早めに契約先の事
業者へ申し出ましょう。
10 電気通信事業法第 27 条の 2 第 2 号、ガイドライン第 6 章第 2 節 72 頁-75 頁
(3)不安に思うことや、トラブルになった場合には消費生活センターへ相談しましょう
電気通信サービス契約において、不安に思うことやトラブルが生じた場合には、消費生活センター等に相談しましょう。
3.情報提供先
・消費者庁消費者政策課 (法人番号 5000012010024)
・内閣府消費者委員会事務局 (法人番号 2000012010019)
・総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課(法人番号 2000012020001)
参考.相談事例にみる改正電気通信事業法施行後の考え方
【事例 1】詳細な契約内容を記した契約書面が送付されなかった事例
2 カ月前自宅に電話があり、「全く手続きはしなくてよい。料金がお得になる。キャッシュバックもある」と光回線の契約の変更を勧誘された。何もしなくて料金だけが安くなるならよい話だと思い、変更を承諾した。その後、何の連絡もなかったが、1 カ月前に「契約ありがとうございました」とのはがきが届いたが、契約内容などの記載はなく、お問い合わせ電話番号が書いてあるだけだった。3 日前に以前契約していたプロバイダー事業者から「契約終了のお知らせ」とのはがきが届いたが何のことかわからず、1 カ月前に届いたはがきに記載された電話番号に連絡したが、契約内容についてもあいまいな回答しかなく、不信感を持った。今自分が一体何の契約をしているのか、何の契約が終わってしまうのかわからず不安だ。
(2016 年 1 月受付、60 歳代、男性、給与生活者)
施行後は、新たな契約の内容は書面で送付されるため、有料オプション等も含めて消費者がどの会社と何を契約したのか、どこに連絡すればよいのか等がわかるようになります。
【事例 2】初期契約解除制度(もしくは確認措置)が適用される期間の携帯電話の事例
3 日前、スマートフォンの機種変更をした。使い始めると、電話は問題なくつながるが、インターネットにつながりにくく、とても時間がかかる。Wi-Fi環境でも、LTEでもつながりにくい。インターネットで調べると、端末特有のもののようで、携帯電話ショップの店員に聞いても同様のことを言っていた。クーリング・オフできないのだろうか。スマートフォンの契約は 12 カ月以内に解約する場合は、2 万 6000 円の違約金が発生すると説明されている。
(2016 年 3 月受付、50 歳代、男性、給与生活者)
施行後は、契約したサービスが初期契約解除制度の対象なのか、確認措置の対象なのか契約書面に記載されます。それぞれに定められた期間内に手続きをすれば、違約金なしで通信サービス等の契約解除ができます。
初期契約解除制度では、携帯電話の端末は対象外になるため、端末費用は消費者が負担します。一方、契約したサービスが確認措置の対象であり、確認措置の要件を満たした場合は、携帯電
話の端末も含めた通信サービスを契約解除でき、消費者は端末費用も負担する必要はありません。なお、初期契約解除制度と確認措置のいずれも、契約解除までの期間のサービス利用料等は請
求されます。
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