事業名 対象 活動内容 一部事務組合等負担金 東 京 二 十 三 区 清 掃 一 部事務組合 東 京 二 十 三 区 清 掃 協 議会 区が行っていないごみの中間処 理などを 23 区で共同処理する ほか、清掃車両雇上会社の配車 調整、23 区ごみ推奨袋の認定事 務、一般廃棄物処理業の許可に関する事務などを行うための経 費を各区が人口に応じて負担す る。 浄化槽維持管理 区 内 に 設 置 さ れ た 浄 化槽の管理者 区内の浄化槽の現況調査等によ る把握。苦情による浄化槽管理...
平成17年度
杉並区個別外部監査報告書
「ごみ収集事業」
杉並区個別外部監査人
田之倉 敦司
目次
第1 監査の概要 5
1. 外部監査の種類 5
2. 監査の対象とした事項名 5
3. 監査対象部 5
4. 契約期間 5
5. 監査を実施した期間 5
6. 外部監査の視点 5
7. 主な監査手続 6
8.個別外部監査人及び補助者の氏名 7
9.利害関係 7
第2 ごみ収集事業の概要 8
1.清掃政策の体系 8
2.清掃施策の内容 (「平成 16 年度杉並区施策評価表」 より) 12
3.清掃事務事業の内容 (「平 成 16 年杉並区事務事業評価表」より) 13
【施策名: 環境施策の枠組みづくり】 13
【施策名: ごみの発生抑制及びリサイクルの推進】 15
【施策名: ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上】 17
4.杉並区の清掃事業の特色 19
(1 )ごみ収集量の推移 22
(2 )清掃事業関連組織図(平成 17 年 4 月 1 日現在) 23
(3 )清掃部事業所別職員内訳( 推移) 23
①年度別推移 23
②事業所別内訳( 平成 16 年 4 月 1 日現在) 24
(4 )使用設備・器材等一覧表( 平成 17 年 4 月 1 日現在) 25
①事業所別内訳(平成 17 年 4 月 1 日現在) 26
②車種別内訳(平成 17 年 4 月 1 日現在) 26
5.清掃事業における歳入及び歳出の推移の状況 27
6.ごみ処理事業の行政コストの推移の状況 29
(1 ) 年度別の推移 29
(2 )ごみ種類別の行政コスト( 平成 15 年度) 30
第3 監査の結果 31
Ⅰ.ごみ収集事業の運営方式の違いによる効率性・経済性分析 31
1.ごみ収集事業に関する事務事業評価及び政策・施策評価の検証 31
2.資源回収事業と集団回収支援 33
3.ごみ収集事業の行政コスト、 経年比較分析 35
〔3-ⅰ 杉並区行政コスト 科目別比較〕 36
(分析結果-主な損益推移) 36
(損益推移から見た場合の経営課題) 37
〔3-ⅱ 杉並区行政コスト ごみ種類別経年比較〕 38
(分析結果-損益推移から見たごみ種類別の特徴) 39
(損益推移から見た場合の経営課題) 40
4.他特別区との比較分析 40
〔基礎データ〕 41
〔コスト比較データ〕 42
(分析結果) 42
5.杉並区ごみ収集事業における業務委託化の考察 42
(1)平成 18 年度、職員の身分移管 43
〔清掃派遣職員の身分移管に係る論点整理〕 43
①退職金の負担関係 43
②清掃派遣職員の移管後の業務配置 46
(2)平成 16 年度における契約事務について 46
①契約件数、契約金額の推移 48
②随意契約を締結する根拠について 49
③一者指定の妥当性について 53
④予定価格の妥当性 54
⑤その他の契約上の問題点 59
(3)業務の委託化についての検討課題 61
①平成 16 年度ごみ種別車両契約等の概要について 61
② 直 営 車 の コ ス ト の 内 訳 の 推 定 63
③直営車の保有台数の過大について 65
④収集作業員の人件費(都の派遣職員)について 65
⑤配車・ 配員計画のについて( 過剰配車・ 配員の可能性について) 66
⑥配員計画上の予備人数の算定方法について 67
⑦2 人乗車と 3 人乗車について 68
(4)業務の委託化を進めた場合のコストメリット試算 69
①古紙についての民間委託との比較 69
②民間に全面委託した場合のコスト比較 70
Ⅱ.家庭ごみ有料化を導入する場合の受益と負担の適正化の検討 72
(1)家庭ごみの有料化 72
①全国の家庭ごみ有料化の傾向 73
②特別区の傾向 73
③近隣自治体の傾向 74
④メリット・デメリット 75
④- 1 メリット 75
④- 2 デメリット 75
⑤家庭ごみ有料化の方法の検討 75
⑤- 1 料金体系 75
⑤- 2 徴収方法 76
⑤- 3 すぎなみ環境目的税(レジ袋税)との関係 79
⑥杉並区で家庭ごみ有料化を実施した場合のシミュレーション 80
ア) 〔 前提条件〕 収入に関する事項 80
イ)〔前提条件〕事業コストに関する事項 81
ウ)試算の各パターン 85
ウ‐1) 家庭ごみ有料化、戸別収集、収集業務は直営、ごみ量は可燃、不燃
2 割減 85
ウ‐ 2 ) 家庭ごみ有料化、戸別収集、収集業務は雇上以外の民間に委託、ご
み量は可燃、 不燃 2 割減 88
ウ‐3)家庭ごみ有料化実施に当たっての課題(シミュレーション結果を受
けて) 90
(2)ごみの戸別収集 92
①23 特別区の戸別収集の傾向 92
②近隣市町村の戸別収集の傾向 93
③メリット・デメリット 94
③- 1 メリット 94
③- 2 デメリット 94
④杉並区の検討状況 94
Ⅲ.現場作業の立会い 95
1.当日の収集体制 96
2.当日の収集作業概要 97
(1)本所 97
(2)方南支所 98
3.現場視察の状況 98
(1)本所 98
①全体的な印象 98
②収集車の待機時間の発生時の対応 99
③収集体制について 99
④ごみの分別状況と未分別時の対応 99
⑤戸別収集を実施すると仮定した場合の印象 100
⑥収集作業終了後の作業者の業務 100
(2)方南支所 10 0
①全体的な印象 100
②収集車の待機時間の発生時の対応 101
③収集体制について 101
④ごみの分別状況と未分別時の対応 101
⑤戸別収集を実施すると仮定した場合の印象 102
⑥地区割りと積載量について 102
第1 監査の概要
1. 外部監査の種類
地方自治法第 252 条の 41 第 1 項に規定する長からの要求に係る個別外部監査
2. 監査の対象とした事項名
ごみ収集事業
3. 監査対象部
環境清掃部
4. 契約期間
平成 17 年 6 月 21 日から平成 17 年 9 月 30 日
5. 監査を実施した期間
平成 17 年 6 月 30 日から平成 17 年 9 月 29 日まで
6. 外部監査の視点
ごみ収集事業に関して下記の内容について 、主 として経済性 、効率 性 、有効 性の観点から監査を行った。
( 1 ) ごみ収集事業に関する事務事業評価及び政策・施策評価の検証
( 2 ) ごみ収集のコスト分析とその効率性、サービス水準について
①可燃ごみ
②不燃ごみ
③粗大ごみ
( 3 ) 資源リサイクルの事業とコスト分析について
①古紙
②飲料用びん・缶
③プラスチック対策
( 4 ) 集団回収支援の費用対効果について
( 5 ) 今後のごみ収集事業について
①ごみ減量化
②家庭ごみの有料化
③民間活力の活用
7. 主な監査手続
( 1 ) ごみ収集事業の現状を分析するため、施策評価表及び事務事業評価表を閲覧した。
( 2 ) ごみ収集事業について経済性・効率性の観点から検証するために次の手続きを実施した。
①ごみ収集事業の行政コスト計算を分析し、 効率性の評価を行った。
②ごみ収集事業の各業務ごとの業務分析を実施し、効率性の検討を行っ た。
③ごみ収集事業の現場を視察し経済性・効率性の検討を行った。
④ごみ収集事業に関する契約関係書類を閲覧し契約事務の合規性を検討 するとともに契約金額の経済性・効率性の検討を行った。
⑤集団回収支援の費用対効果について関係書類を閲覧してその有効性を 検討した。
( 3 )ご み有料化を導入する場合の受益と負担の適正化について有効性の観点から検証するために、次の手続きを実施した。
①ごみ収集事業を有料化した場合の収支予測についてシミュレーション
を実施した。
②ごみ収集事業を有料化する場合のメリット・デメリットについて検討 を行った。
8.個別外部監査人及び補助者の氏名
個別外部監査人 | 田之倉 | 敦司 |
補 助 者 | 粕谷 | 義和 |
補 助 者 | 居関 | 剛一 |
補 助 者 | 河内 | 祐一 |
補 助 者 | 清水 | 正子 |
補 助 者 | 山崎 | 久美子 |
9.利害関係
個別外部監査の対象である事項につき、監査人及び補助者は地方自治法 第 252 条の 29 の規定により記載すべき利害関係はない。
第2 ごみ収集事業の概要
1.清掃政策の体系
杉並区では平成 17 年 3 月に「すぎなみ五つ星プラ ン(杉並 区基本計画・実施計 画 )」を策 定し平成 17 年~ 22 年の 5 カ年計画を示している。
この中で清掃関係の施策としては 「( 3 )環境に負荷を与えない持続的な成長が可能なまちをつくるために」として次の施策を示している。
「1 一般廃棄物処理計画の推進」 として清掃事業の指針である「杉並区一般廃棄物処理基本計画」を改定する。また、計画を具体化する行動計画である「杉 並ごみ半減プラン」の改定・普及啓発を行い、広く区民の協力を呼びかける。
「2 ごみ減量運動の推進」として区民・事業者・行政が意見交換を行う「 ごみ会議」の開催、事業者に対する過剰包装抑制の働きかけなど、ごみ減量に向け た取組みを行う。また区民主体のごみ減量活動を支援する区民発意事業を促進す る。
「3 資源の分別促進」では不燃ごみの約 5 割を占めるプラスチックのリサイ クルを促進するため 、廃 プラスチッ ク・ペットボ トルの分別回収率の向上を図る。また分別の徹底を図り杉並中継所への不燃ごみ搬入量の減量を進める。
「4 ごみ集積所カラス対策の推進」では、 集積所美化の推進のため、 商業地域で「容器出しモデル事業」を実施する。また、折りたたみ式ごみ収集ボックス のモデル設置、カラスネットの配布などのカラス対策を行う。
平成 15 年 3 月に策定された「 杉並区一般廃棄物処理基本計画」では平成 15 ~ 29 年度を計画期間として次の事項を定めている。
○計画理念
①区民・ 事業者・ 区との情報の共有化
②参画と協働による新たな取組みの創出
③区民発意による具体的な事業の展開
○計画目標
環境に配慮した生活行動を実践していく社会
○重点目標と重点事項
・重点目標
杉並中継所を不要なものとしていくための取組み
・重点事項
①目標達成のための各指標の把握・ 管理
②区民発意事業の創設と支援のための仕組みづくり
③リサイクル、適正処理のための基盤整備
④経費の最小化と区民満足度を高める仕組みづくり
○数値目標
指標 | 現状(平成 13 年度) | 10 年後の平成 24 年度 | 減量目標 | |
1 | 総排出量 | 年 189,187 トン | 年 170,269 トン | 現状の 10 %減 |
2 | 家庭系のごみの 排出量 | 区民 1 人 1 日あたり 715 グラム | 区民 1 人 1 日あた り 429 グラム | 現状の 40 %減 |
3 | 事業系のごみの 排出量 | 年 20,735 トン | 年 18,661 トン | 現状の 10 %減 |
4 | 最終処分(埋立)量 | 年 39,910 トン | 年 18,000 トン | 現状の 55 %減 |
○個別計画の構成
計画 | キーワード |
発生抑制計画 | マイバッグ持参の普及、量り売り・レンタルサービス等 の普及、 拡大生産者責任 |
循環利用計画 | 資源物の分別徹底、ペットボトルの効率的な回収、プラ スチックのリサイクル |
排出管理計画 | 集合住宅対策、事業系ごみ混入の防止、カラス対策の拡 充 |
分別収集計画 | プラ ス チ ック の 処 理方 法 の 見直 し に 伴う 分 別 体系 の 変 更、粗大ごみ収集サービスの見直し |
収集運搬計画 | 効率的な収集運搬体制の確立、まちの美観の確保、戸別 収集の検討 |
中間処理計画 | 中間 処 理 量の 減 量 、 処 理 施 設の あ り 方な ど に 関す る 検 討、プラスチック選別・加工施設の確保 |
最終処分計画 | 最終処分場の継続的利用、 最終処分量の減量 |
計画 | キーワード |
事業系ごみ管理計画 | 家庭ごみへの混入の防止、料金体系の見直し、事業者発 意に基づくリサイクルの促進 |
経費管理計画 | 経費情報の透明性の確保 、経 費を最小化するための仕組 みづくり |
情報管理計画 | 情報の収集、情報の提供、 区民へのフィードバック |
中 継 所 を 不 要 な も の とする計画 | 資源物の分別徹底 、プラスチ ックリサイクルと処理方法 の見直し |
その他 | 環境学習・環境教育、有害化学物質対策 |
また、区では平成 16 年 12 月に上記「 杉並区一般廃棄物処理基本計画」を達成するための具体的なアクションプランである「杉並ごみ半減プラン(一般廃棄物 処理基本計画目標達成プログラム )」 を策定しごみ減量に取り組んでいる。
なお、杉並ごみ半減プランの内容は以下のとおりである。
項目 | 施策等 | 行動計画・目標数値 |
目標と削減計画 | 平成 24 年度までの主な目標 ○不燃ごみの減量により 、杉 並中継所を不要なものにする。 ○家庭ごみを、 40 %削減する (平成 13 年度比・ 重量ベー ス) ○ごみの分別を徹底し 、リサ イクル率を高める 。( 目標リサ イクル率 43 %) | |
ごみの発生削減 | レジ袋削減運動等による発生抑 制 | ○マイバッグ推進運動 ○ごみ会議 ○レジ袋削減目標 平成 19 年 7 月までに 60 %削減 |
すぎなみ環境賞 | ||
区民発意事業 |
項目 | 施策等 | 行動計画・目標数値 |
リサイクルの促進 | 廃プラスチックのリサイクル (不燃ごみ・埋立てごみの減量) | ○廃プラスチックの分 別回収目標 平成 19 年度 1,313 トン |
ペットボトルの収集拡大 | ○ペットボトルの分別 回収目標 平成 19 年度 850 トン | |
集団回収の強化 | ○集団回収目標 平成 19 年度 5,999 トン | |
エコ商店街事業 | ○エコ商店街目標 平成 19 年度 198 トン | |
生ごみの減量 | ||
みどりのリサイクル | ||
事業系ごみの減量 | ||
ごみに関する情報 提供 | ごみ・資源の処理コストの明確 化 | |
新目標・ プランのキャンペーン と区民との共有 | ||
すぎなみ環境情報館等による情 報発信 | ||
指標等データに基づく事業の推 進 | ||
収集サービスの拡 充 | 資源収集の民間委託の拡大 | |
夜間収集と効果の検証 | ||
容器出しモデル事業 | ○現在 2 地区実施 | |
カラス対策(ネット・ボックス 配布等) | ||
午前中収集の強化 | ||
戸別収集モデル事業 | ||
し尿処理 | ||
在宅医療廃棄物回収支援 | ||
災害対策の充実( 粗大ごみ、し 尿処理、 体制等) |
項目 | 施策等 | 行動計画・目標数値 |
清掃事業を取り巻 く環境変化と今後 の課題 | 資源化施設の確保等の基盤整備 | |
清掃工場の建替え・更新に向け た調整 | ||
関係区や工場運営との連携 | ||
サーマルリサイクルの可能性の 検討 | ||
拡大生産者責任の強化等 | ||
杉並中継所不要化に向けた関係 区との調整 | ||
家庭ごみの有料化検討 |
2.清掃施策の内容 (「平成 16 年度杉並区施策評価表」より)
杉並区が策定している清掃施策の内容は以下のとおりである。
施策名 | 施策の対象 | 施策の目標 | 当面の成果目標 |
環境施策の | 区 民 ・ 区 内 | 環境施策を円滑に推進す | ・環境博覧会は 、毎年参加 |
枠組みづく り | 事 業 者 ・ 区内 公 共 公 益事 業 体 ・ 行政 ・ 環 境 審 議 会 は学 識 経験者 | るため 、また 、各施策を総 合 的・有機的に推進するた めの枠組みをつくり、区 民・事業者・行政が協働す ることで 、環境配慮行動を 広く地域に定着させる。 | 者が増え続けているが 、今後もより多くの区民等の 参加を目指し、16 年度においては 2 万人の参加者を目指す。 ・環境審議会は清掃審議会 |
との発展的な統合を図り、 | |||
統合後における活気ある | |||
スムーズな運営を築いていく。 ・環境ライブラリーは、16 年度からすぎなみ環境情 | |||
報館での利用を開始し 、環 | |||
境に関する情報提供を図っ ていく。 |
施策名 | 施策の対象 | 施策の目標 | 当面の成果目標 |
ごみの発生 抑制及びリ | 区民・事業 者 | 区民生活や事業活動を環 境負過の少ないものに変 | 平成 15 年 3 月に改定した 一般廃棄物処理基本計画 |
サイクルの | え 、ごみの発生抑制 、資源 | に掲げる家庭系ごみの | |
推進 | の再使用・リサイクル・適 | 40 %削減をチャレンジ目 | |
正処理などについて 、一般 | 標に掲げ 、その具体的なプ | ||
廃棄物処理基本計画に基 づき、区民・事業者・行政が 連携して実施していく。 | ログラムであ る「ごみ半減 プラン 」を策定する 。また、 容器リサイクル法等の法 | ||
令を睨みながらペットボ | |||
トル回収拠点の増設など | |||
によるリサイクル率の向 | |||
上や廃プラスチックのサ | |||
ーマルリサイクル等の検 | |||
討など具体的なごみ減量 | |||
を着実に推進する。 | |||
ごみ排出の 適正化及び 収集サービスの向上 | 個人・世帯・事業者 | 日々の排出指導により 、ごみと資源の分別の周 知・徹底を図る。それにより、ごみへの資源の混入を防止 し、リサイクル率の向上、ごみの減量による最終処分場の 延命化を図る。 | ごみの分別の周知徹 底(資 源物の拡充 )、ごみ収集・ 運搬の更なる効率化の推 進、 午前中収集の実現など収集サービスの向上。 |
3.清掃事務事業の内容(「平成 16 年杉並区事務事業評価表」より)
杉並区の清掃事務事業の内容は以下のとおりである。
【施策名:環境施策の枠組みづくり】
事業名 | 対象 | 活動内容 |
環境清掃部一般管理 | 環境清掃部職員 | 職務上必要な出張時の旅費等の 費用弁 償・業務上必要な事務用品 類の購入及び事務機器の保守 等・部内各課の連絡調整 |
事業名 | 対象 | 活動内容 |
環境博覧会の開催 | すべての区民、団体、 企業 | 高井戸地域区民センターを主な 会場として、毎年 10 月開催を基 本に、区民、関係団体、企業、行政が協働して 、環境についての理 解を深め 、日常生活や活動に結び つくような多彩な企画内容から なる環境イベントを開催する。 |
環境保全対策の推進 | 区民一人ひとりの環境 問題に対する関心度 | 環境施策の報告と問題提起とし ての環境白書の発行。 環境保全意識の普及啓発の手段 としての環境パネル展。 |
杉並環境ライブラリー | 環境調査結果、化学物 質などの環境情報を広 く提供するため、環境 ライブラリーを維持管 理する。 | 化学物質に関するものを中心に、 その他身近な環境問題に関する 情報を集め提供している 。内容と しては 、有害化学物質に関するデ ータベース 、書籍 、調査結果など、 年間を通して更新・収集してい る。 |
環境審議会運営 | ①区民②区議会議員③ 学識経験者から計 15 名以内 | 環境基本法(平成 5 年法律第 99 号)第 44 条の規定に基づく区長 の付属機関として 、区の環境保全 に関して必要な事項を調査審議 する。 |
杉並環境マップ | すべての区民及び国民 | 紙ベースで蓄積していた区の環 境情報を電子データ化し 、インタ ーネットで広く区民及び国民に 提供する。 |
【施策名:ごみの発生抑制及びリサイクルの推進】
事業名 | 対象 | 活動内容 |
コンポスト容器及び家 庭用生ごみ処理機購入 費助成 | 区が斡旋するコンポス ト容器購入者及び家庭 用生ごみ処理機購入者 | コンポスト購入者に対し、購入 価 格 の 半 額 を 助 成 金 と し て 交 付。また家庭用ごみ処理機購入 者に対し購入価格の半額( 上限 2 万円) を助成金として交付する。 |
リサイクルに向けた協 働推進 | 特定非営利活動法人す ぎなみ環境ネットワー ク | 集団回収関連事務、リサイクル ひろば高井戸にける家具販売・ 不用品情報コーナーの運営をは じめ、啓発講座・講習会の実施 などに対し、補助金を支給。集 団回収実施団体に対して支払う 報奨金についても補助金に含め て支給し、すぎなみ環境ネット ワークから支払った。 |
清掃審議会の運営 | 杉並区清掃審議会(区 民 、区議会議員 、学識経 験者から計 15 名以内で 組織) | 杉並区廃棄物の処理及び再利用 に関する条例に基づき、区長の 附属機関として設置され、廃棄 物の処理及び再利用の促進の基 本方針に関すること等を調査審 議する。 |
ごみ減量運動の普及・ 広報 | 区民・事業者・産業団体 など | マイバッグ製作教室・ コンテス ト・キャンペーン、過剰包装の 抑制及びごみ会議などによる普 及啓発をする 。「ごみの正しい分 け方・出し方」や「杉並区の清 掃事業」を作成するとともに、 東京二十三区清掃協議会作成の 「23 区清掃とリサイクル 」や「で きることからはじめよう」を対 象者に配布することにより、ご みの出し方や分別方法の啓発を する。 |
事業名 | 対象 | 活動内容 |
ペットボトル回収 | ペットボトル排出者 | 回収協力店の店頭及び区施設に 置いた回収ボックスからペットボ トルを回収し、中間処理施設に搬 入、容器包装リサイクル法に基 づく分別基準適合物になるよう に選別・圧縮処理を行う。その 後容器包装リサイクル法の指定 法 人 ル ー ト に よ る 資 源 化 を 行 う。また、 モデル事業として集 積所回収及び商店街回収を実施 する。 |
びん・缶・古紙回収 | 一般家庭及び事業者 | 飲食料用びん・缶及び古紙の資 源 を 区 内 の ご み 集 積 所 に お い て、週 1 回回収する。 |
一般廃棄物処理計画改 定、各種調査 | 今 後 の 清 掃 リ サ イ ク ル事業のあり方 | 一 般 廃 棄 物 処 理 基 本 計 画 は 15 年 3 月に改定が行われたが、現 在は同計画を具体的に実施する ため「ごみ半減プラン」の策定 に向け作業を進めている。 |
プラスチック分別回収 | 廃 プ ラ ス チ ッ ク 分 別 収集 モ デ ル 地 区 内 一 般 家庭 | 容 器 包 装 リ サ イ ク ル 法 対 象 の 「その他プラスチック製容器包 装(ペットボトルを除く )」の 回収モデル地区を選定し、 16 年 3月の 1 ヵ月間収集し、ケミカル リサイクルの方法で民間業者に 委託しリサイクルを行った。 |
指導管理( 事業用大規 模 建 築 物 へ の 立 入 指 導) | 事業用延べ床面積 1,000 ㎡ 以 上 の 大 規 模 建 築 物の所有者 、占有者 、管理 者 | 廃棄物の減量を図るため毎年度 「再利用計画書」の提出を求め るとともに、計画的に対象事業 所へ立ち入り指導を行う。 |
事業名 | 対象 | 活動内容 |
ごみ処理手数料徴収 | 区 民 並 び に 区 内 事 業 者及びごみ処理券取扱所 | ごみ処理手数料を徴収する。徴 収方法は、 原則として、有料シ ールによるものと納入通知書に よるものがある。 |
【施策名:ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上】
事業名 | 対象 | 活動内容 |
総務管理 | 清掃事業担当各課との連絡調整 事務。清掃関係情報の収集、提 供事務。ごみの搬入、搬出に関 するデータの集積を行い、出先 事業所と本庁においてごみ量を 把握する。清掃車運転手休憩室 の維持管理を行う。 | |
交通安全対策・安全管 理 | 清掃事務所 、清掃事業所 の職員 、正副安全運転管 理者、衛生管理者 | ①清掃職員を対象に交通安全講 習会(春・秋)を開催する。 ②正副安全運転管理者対象の講 習会に参加する。 ③自動車運転職員対象の安全運 転技術研修に参加する。 ④安全作業に関する職場内研修 の充実。 ⑤部及び所の安全衛生委員会の 定期的開催。 ⑥安全パトロールの実施。 ⑦保護具の支給及び適正な着用 の指導。 |
ごみの収集・運搬 | 区 内 一 般 家 庭 及 び 事 業 者(排出日量 50 ㎏未満) | 分別して排出された可燃ごみ、 不燃ごみ、 粗大ごみを集積所な どから収集し、杉並清掃工場等 へ搬入する。 |
事業名 | 対象 | 活動内容 |
一部事務組合等負担金 | 東 京 二 十 三 区 清 掃 一 部事務組合 東 京 二 十 三 区 清 掃 協 議会 | 区が行っていないごみの中間処 理などを 23 区で共同処理する ほか、清掃車両雇上会社の配車 調整、23 区ごみ推奨袋の認定事 務、一般廃棄物処理業の許可に関する事務などを行うための経 費を各区が人口に応じて負担す る。 |
浄化槽維持管理 | 区 内 に 設 置 さ れ た 浄 化槽の管理者 | 区内の浄化槽の現況調査等によ る把握。苦情による浄化槽管理 者に対する指導。下水道未普及 地域に設置された浄化槽の清掃 経費助成。 |
清掃協力会 | 杉並区西清掃協力 会・杉並 区 東 清 掃 協 力 会 へ の事 業 委 託 施 設 見 学 会 及び清掃懇談会の実 施:協 力会員対象 | 環境美化、 資源再利用の促進、 ごみの減量化及び排出ルールの 普及などの活動を行う地域団体 への側面からの支援。 |
ふれあい指導 | 区民及び区内事業者 | 集積所単位でごみの排出及び事 業系有料ごみ処理券貼付(受益 者負担)指導を計画的に実施す る。 |
清掃事務所維持運営 | 本所- 784.70 ㎡( S41.6 竣工) 方 南 支 所 - 1,875.64 ㎡ (S53.12 竣工) 下井草 分 室- 602.96 ㎡ ( S58.9 竣工) 杉 並 中 継 所 - 6,890 .31 ㎡( H8.3 竣工) | 各清掃事務所及び分室並びに杉 並中継所の庁舎等の維持管理と 運営を行う。方法は職員と業者 委託による遂行。 |
清掃事業所の施設、建 物の維持管理 | 清 掃 事 業 所 、 高 井 戸 分 室、高井戸分室車庫 | 各施設の建物、設備の維持管理 (点検保守委託、修理) |
事業名 | 対象 | 活動内容 |
清掃車 両( ごみ収集車) の運行及び維持管理 | 区所有清掃 車(ごみ収集 車) 28 台 | ①区所有清掃車(ごみ収集車) の運行②区所有清掃車の点検、 車検、修理③清掃車の購入④自 動車損害賠償責任保険への加入 ⑤自動車重量税の支払い |
不燃ごみ中継作業 | 杉並 区(全量 )及び中野 区、練馬区(一部)の不燃ごみ | 杉並、中野、練馬各区の不燃ご み収集車が収集した不燃ごみを 当中継所で大型コンテナに積替 え、大型コンテナ車で不燃ごみ 処理センター(中防) へ輸送す る。中継処理により中防への輸 送車両台数を約 7 分の 1 に減ら している。 |
し尿・粗大ごみ中継作 業 | 杉並区と周辺 9 区から収 集 し た し 尿 及 び 杉 並区と渋谷区 、中野区から 収集した粗大ごみ | し尿:小型車で収集したし尿を 一時貯留槽に受け入れ、大型車 で大井作業所へ搬出する中継所 の運営管理を行う。 粗大:小型ダンプ車で収集した 粗大ごみを圧縮機を備えた中型 プレス車に積替え、粗大ごみ破 砕センターへ搬出する中継所の 運営管理を行う。 |
4.杉並区の清掃事業の特色
23 区における清掃事業は地方自治法などの改正を受け、平成 12 年 4 月 1 日か ら東京都から各特別区に移管された。しかし中間処理については、当面は、各特 別区で設立した清掃一部事務組合で共同処理を行っており、また、最終処分につ いても東京都の最終処分場を使用するなど、 関係機関で役割分担をしながら運営 している。
23 区における清掃事業の運営形態と役割分担は以下のとおりである。
○ごみの収集運搬・・・各特別区が実施
○ごみの中間処理・・ ・「東 京二十三区清掃一部事務組合」が実施
(可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみの中間処理及びし尿 の下水道投入)
○最終処分・・・・・・東京都が設置・管理する最終処分場「新海面処分場・
中央防波堤外側埋立処分場」を使用
○連絡調整・・・・・・ 各特別区・ 一部事務組合間の調整は「 東京二十三区清
掃協議会」が行っている
特別区 | 東京都 | |
各特別区 | 東京 二 十三 区 清掃 一 部事 務 組合 | |
一般廃棄物処理計画の策定 ごみ、し尿の収集・運搬・中継作業 ごみの再利用 、資源 化の推進 分別収集計画の策定 容 器 包 装 廃 棄 物 の 分 別 収 集の実施 大 規 模 排 出 事 業 者 な ど に 対する排出指導 一 般 廃 棄 物 処 理 業 の 許 可 および指導 動物死体の処 理(飼 主などか らの依頼分) 浄 化 槽 の 設 置 の 届 け 出 お よび指導 浄 化 槽 清 掃 業 の 許 可 お よ び指導 浄化槽保守点検業者の指導 など | 清掃工場などの整備・ 管理・ 運営 不燃ごみ・粗大ごみ処理施設 の整備・ 管理・運用 し尿投入施設の整備・ 管理・ 運用 (上記 3 点には下記を含む) ・施設整備計画の策定 ・建設、建て替え、プラント 更新、設備の改造 ・焼却灰、 スラグなどの輸送 ・ 清掃工場運営協議会の運営 ・発電、 余熱利用 ・ 搬入調整 ・ あわせ産廃の処理 など | 循環型社会づくりの推進 区 市 町 村 の 廃 棄 物 処 理 に 関 する財政的・技術的支援 最 終 処 分 場 の 設 置 ・ 管 理 ・ 運営 産業廃棄物に関する事務 一 般 廃 棄 物 処 理 施 設 の 設 置 の許可・ 届出受理・ 指導 など |
東京二十三区清掃協議会 | ||
一 般 廃棄 物 処 理 業、 浄 化 槽 清掃 業 の 許 可に 関 わ る 事務 ( 管理執行事務) 雇い上げ車両関係事務(管理執行事務) 清掃協議会部長会・ 課長会など各種会議の開催各区などのごみ処理計画作成の調整 大規模排出事業者などに対する排出指導などの調整 など |
杉並区では、可燃ごみ、不燃ごみ・ 資源を集積所から収集し、収集した可燃ごみについては中間処理施設である杉並清掃工場に運搬し、不燃ごみについては杉 並中継所において圧縮し大型車で中間処理施設である中防不燃ごみ処理センター に運搬している。粗大ごみについては有料で戸別収集を行った後堀ノ内粗大中継 所に集積し、中間処理施設である粗大ごみ破砕処理施設に運搬している。
ペットボトル・ 布類・ 資源(びん・ 缶・ 古紙) については拠点回収及び集積所 回収を実施し問屋・資源化施設に売却する等リサイクルを行っている。
ごみの種類別収集方法をまとめると次のようになる( 集団回収を除く )。
ごみの種類 | 収集回数 | 収集方式 | 収集形態 | |
収 集 | 車両 | |||
可燃ごみ | 週 2 回 | 集積所回収 | 直 営 | 雇上車 44 台 直営車 20 台 |
不燃ごみ | 週 1 回 | 集積所回収 | ||
資源 | 缶 | 週 1 回 | 集積所回収 | 直営 30 % ・委託 70 % |
びん | 週 1 回 | 集積所回収 | 直営 30 % ・委託 70 % | |
古紙 | 週 1 回 | 集積所回収 | 直営 70 % ・委託 30 % | |
古布 | 拠点回収 | |||
ペットボトル | 週 3 回 | 拠点回収 | 業務委託 100 % |
(1 )ごみ収集量の推移
杉並区の過去 3 年間のごみ収集量の推移は以下のとおりである。
(単位: t)
平成 13 年度 | 平成 14 年度 | 平成 15 年度 | |||
数量 | 数量 | 数量 | |||
収集人口(人) | 519,561 | 522,155 | 524,012 | ||
世帯数( 世帯) | 273,666 | 277,005 | 279,493 | ||
集積所 | 可燃ごみ・不燃ごみ | 20,700 | 20,750 | 22,100 | |
資源 | 19,000 | 19,500 | 20,000 | ||
収集量 | 可燃ごみ | 106,165 | 103,881 | 102,694 | |
不燃ごみ | 25,443 | 25,926 | 26,312 | ||
粗大ごみ | 3,889 | 3,462 | 3,581 | ||
計 | 135,497 | 133,269 | 132,587 | ||
資源 | 古紙 | 24,952 | 22,977 | 24,080 | |
古布 | 195 | 198 | 202 | ||
缶 | 2,271 | 2,202 | 2,045 | ||
びん | 5,057 | 4,915 | 4,907 | ||
ペットボト ル等 | 481 | 556 | 607 | ||
計 | 32,956 | 30,848 | 31,841 | ||
合計 | 168,453 | 164,117 | 164,428 | ||
資源 | 行政回収 | 28,765 | 26,636 | 27,289 | |
集団回収 | 4,166 | 4,186 | 4,534 | ||
拠点回収 | 25 | 26 | 18 | ||
計 | 32,956 | 30,848 | 31,841 | ||
(原単位g/人・日(収 集量÷収集人口÷365日または 366 日 )) | 可燃ごみ | 560 | 545 | 537 | |
不燃ごみ | 134 | 136 | 138 | ||
粗大ごみ | 21 | 18 | 19 | ||
資源 | 174 | 162 | 166 | ||
計 | 889 | 861 | 860 |
(注)人口、世帯数、集積所数は年度末現在の数値。
(2 )清掃事業関連組織図(平成 17 年 4 月 1 日現在)
杉並区の清掃事業関連の組織図は以下のとおりである。
環境清掃部
清掃管理課
ごみ減量担当課長
杉並清掃事務所
杉並中継所
( 下井 草 分室 を含 む )
方南支所
杉並清掃事業所
( 堀ノ 内 粗大 ・ し 尿 中
継所 を 含む )
(3 )清掃部事業所別職員内訳(推移)
杉並区における清掃部関連職員数の過去 3 年間の推移及び平成 16 年度末の事業所別職員の内訳は以下のとおりである。
①年度別推移
(単位: 人)
平成 14 年度 | 平成 15 年度 | 平成 16 年度 | |
事務 | 54 | 50 | 46 |
一般技術系 | 1 | 1 | 1 |
技能系 | 310 | 295 | 282 |
再任用職員 | 9 | 11 | 6 |
嘱託員 | 59 | 59 | 30 |
合計 | 433 | 416 | 365 |
②事業所別内訳( 平成 16 年 4 月 1 日現在)
(単位: 人)
事務 | 一 般 技 術 | 技 能 系 | 小 計 | 再任 用 職員 | 嘱託員 | 合計 | |||||
技 術 Ⅰ | 技 能 Ⅱ | 計 | |||||||||
機 械 | 自 動 車 運 転 | 自 動 車 整 備 | 作 業 Ⅰ | ||||||||
杉 並 清 掃 事 務 所 | 13 | 1 | 3 | - | 142 | 145 | 159 | 5 | 15 | 179 | |
内訳 | 事務所 | 12 | - | 3 | - | 69 | 72 | 84 | 5 | 7 | 96 |
下井草分室 | 0 | - | - | - | 63 | 63 | 63 | - | 6 | 69 | |
杉並中継所 | 1 | 1 | - | - | 10 | 10 | 12 | - | 2 | 14 | |
方南支所 | 9 | - | 2 | - | 94 | 96 | 105 | 1 | 11 | 117 | |
車庫係 | 2 | - | 35 | 4 | 2 | 41 | 43 | - | 4 | 47 | |
内訳 | 高円寺車庫 | 2 | - | 15 | 2 | 1 | 18 | 20 | - | 3 | 23 |
高井戸車庫 | - | - | 20 | 2 | 1 | 23 | 23 | - | 1 | 24 | |
所合計 | 24 | 1 | 40 | 4 | 238 | 282 | 307 | 6 | 30 | 343 | |
清掃管理課 | 15 | - | - | - | - | - | 15 | - | - | 15 | |
ごみ減量担当課 | 7 | - | - | - | - | - | 7 | - | - | 7 | |
合計 | 46 | 1 | 40 | 4 | 238 | 282 | 329 | 6 | 30 | 365 |
(4 )使用設備・器材等一覧表(平成 17 年 4 月 1 日現在)
杉並区の清掃事業関連で使用している設備及び機材等は以下のとおりである。
【土地・建物】
所在地 | 敷地面積 (㎡) | 延床面積 (㎡) | 構造 | 用途 | |
杉並清掃事 務所 | 成田東 5- 15 - 20 | 902. 58 | 784. 70 | 鉄筋コンクリート造地上 3 階建 | |
下井草分室 | 下井草 3- 7 - 5 | 1 , 372 .88 | 602 .96 | 鉄筋コンクリート造 地上 2 階地下 1 階建 | |
杉並中継所 | 井草 4- 15 - 18 | 9 , 500 .21 | 6 , 890 .31 | 管理棟: 鉄筋コンクリート造地上 1 階地下 1階建 中継棟: プレストレスコンクリート造地上 1階地下 2 階建 | |
方南支所 | 方南 1- 3-4 | 2 , 894 .70 ( 内緑地部 分 1, 250. 00 ) | 1 , 875 .00 | 鉄筋コンクリート造 地上 3 階地下 1 階建 | あすなろ作業所、シルバー人材 センター方南分室と併設施設 緑地部分は公 園として開放 |
杉並清掃事業所 | 高円寺南 2- 36 - 31 | 1 , 660 .02 | 2 ,461 .73 | 鉄筋コンクリート造 地上 3 階地下 1 階建 | 高円寺体育館との併合施設 |
高井戸東 3- 26 - 10 | 530. 39 | 749. 10 | 鉄筋コンクリート造 地上 3 階建 |
【杉並中継所】
中継規模 :計画日量 180 t (最大日量 270 t) 中継方式 :コンパクター・コンテナ方式
主な設備 :計量機/ ロードセル方式 ホッパー/60 ㎥×3 基コンパクター/ 処理能力 90 ㎥/ h ×3 基
コンテナ移動装置/ スライド 3 基 移動台車 3 基
ストック台 34 基
脱臭設備等:集塵装置、脱臭装置、 ホッパー散水装置、汚水処理設備、 エア・カーテン、 給気装置、吸音壁、消音器
中継車両 :アームロール車 18 台( 最大 20 台) コンテナ : 18 ㎥、 40 個
【清掃作業車】
①事業所別内訳(平成 17 年 4 月 1 日現在)
[直営車] (単位:台)
小型プレス車 | 軽四輪 貨物車 | 合計 | ||
稼動車 | 予備車 | |||
杉並清掃事務所 | - | - | 6 | 6 |
杉並清掃事務所方南支所 | - | 1 | 8 | 9 |
杉並清掃事業所 | 20 | 9 | - | 29 |
計 | 20 | 10 | 14 | 44 |
②車種別内訳(平成 17 年 4 月 1 日現在)
[計画車両数] (単位:台)
プレス車 | 特殊車 | 普通貨物車 | 軽四 輪 貨物 車 | 小 型 ダ ン プ 車 | 大 型吸 上車 | 合計 | |||||||
中型 | 小型 | 計 | 大型 | 新大型 | 小型 | 新小型 | 計 | ||||||
可燃ごみ | - | 54 | 54 | 2 | 8 | - | 10 | - | - | - | 64 | ||
不燃ごみ | |||||||||||||
資源(古紙等) | - | 2 | 2 | - | - | 3 | 3 | 14 | - | 9 | - | 39 | |
資源( ペットボトル) | - | - | - | - | - | 3 | 3 | - | - | - | 3 | ||
粗大ごみ | - | - | - | - | - | - | - | - | 20 | - | 9 | ||
中継所 | 16.5 | 16.5 | 16.5 | ||||||||||
粗大中継 | 3.5 | - | 3.5 | - | - | - | - | - | - | - | 3.5 | ||
し尿中継 | 1 | 1 | |||||||||||
予備車 | - | 9 | 9 | - | - | - | - | - | - | - | 9 | ||
合計 | 3.5 | 65 | 68.5 | 16.5 | 2 | 8 | 6 | 32.5 | 14 | 20 | 9 | 1 | 145 |
(注 1 ) 上表には区直接保有車両のほか雇上車両・民間委託車両を含んでいる。
(注 2 )曜日により、配車台数が異なるため、平均台数を用いている。
5.清掃事業における歳入及び歳出の推移の状況
杉並区の過去 3 年間の歳入及び歳出の推移は以下のとおりである。
( 単 位: 千 円)
平 成 13 年 度 | 平 成 14 年 度 | 平 成 15 年 度 | ||
歳 入 | 敷 地 使 用 料 | 23 | 23 | 12 |
廃棄 物 処理 手 数料 | 438 , 4 89 | 396 , 0 51 | 382 , 9 03 | |
動物 死 体処 理 手数 料 | 1,851 | 1,737 | 1,594 | |
一般 廃 棄物 処 理業 許 可手 数 料 | 168 | 226 | 233 | |
浄化 槽 清掃 業 許可 手 数料 | - | - | 6 | |
動物 死 体処 理 委託 金 | 462 | 513 | 598 | |
不用 品 売払 収 入( 車 両) | 3,795 | 3,994 | 5,345 | |
不用 品 売払 収 入( 資 源回 収 ) | 40 , 222 | 59 , 036 | 110, 996 | |
健康 被 害予 防 事業 費 助成 金 | 730 | 935 | - | |
低公 害 燃料 転 換促 進 事業 費 助成 金 | - | 1,060 | - | |
宝く じ 助成 金 | - | - | 40 , 91 2 | |
指 定 寄 付 金 | - | 72 | - | |
地域 新エ ネルキ ゙ー 導入 促 進事 業 助成 金 | - | - | 4,956 | |
光熱 水 費使 用 者負 担 金 | 3,058 | 2,220 | 2,132 | |
雑 収 入 | 350 | 636 | 496 | |
歳入 合 計( A ) | 489 , 1 48 | 466 , 5 03 | 550 , 1 83 | |
歳 出 | 環境 配 慮行 動 の拡 充 | - | - | 251 |
リサ イ クル 清 掃管 理 | 17 , 73 7 | 35 , 66 9 | 13 , 67 4 | |
普及 啓 発 | 14 , 95 6 | 6,841 | 7,710 | |
指導 業 務 | 20 , 00 3 | - | - | |
ごみ 収 集管 理 | - | - | 2,289 ,008 | |
ごみ 収 集作 業 等 | 2,712 ,712 | 2,729 ,552 | 328 , 6 03 | |
リサ イ クル の 推進 | 91 , 56 2 | 96 , 09 8 | 91 , 38 6 | |
一部 事 務組 合 等負 担 金 | 2,610 ,083 | 2,442 ,154 | 2,418 ,856 | |
西清 掃 事務 所 維持 運 営 | 72 , 27 3 | 67 , 88 9 | 69 , 98 1 | |
東清 掃 事務 所 維持 運 営 | 46 , 02 1 | 35 , 311 | 37 , 25 8 | |
清掃 事 業所 維 持運 営 | 131 , 7 18 | 135 , 9 04 | 107 , 5 86 | |
環境 リ サイ ク ルセ ン ター の 建設 | 28 , 36 5 | 22 , 05 8 | 30 , 39 9 | |
歳出 合 計( B ) | 5,745 ,430 | 5,571 ,476 | 5,394 ,712 |
平 成 13 年 度 | 平 成 14 年 度 | 平 成 15 年 度 | ||
歳出- 歳入 | ( B ) - (A ) | 5,256 ,282 | 5,104 ,973 | 4,844 ,527 |
区民 一 人あ た り | 10 , 07 7 | 9,777 | 9,425 | |
一世 帯 あた り | 19 , 20 6 | 18 , 42 9 | 17 , 33 3 | |
人 口 ( 人 ) | 519 , 5 61 | 522 , 1 55 | 524 , 0 12 | |
世帯 数 ( 人 ) | 273 , 6 66 | 277 , 0 05 | 279 , 4 93 | |
歳出 | 歳 出 前 年 比 | - | 97 . 0 % | 96 . 8 % |
一般 会 計歳 出 額 | 146 , 2 85 , 3 46 | 132 , 9 01 , 1 06 | 124 , 0 79 , 5 17 | |
清掃 費 の一 般 会計 歳 出に 占 める 割 合 | 3.9% | 4.2% | 4.3% | |
区民 一 人あ た りの 一 般会 計 歳出 額 ( 円 ) | 281 , 5 56 | 254 , 5 24 | 236 , 7 88 | |
区民 一 人あ た りの 清 掃費 歳 出額 ( 円) | 11 ,05 8 | 10 ,67 0 | 10 ,29 5 | |
一世 帯 あた り の一 般 会計 歳 出額 ( 円) | 534 , 5 40 | 479 , 7 79 | 443 , 9 45 | |
一世 帯 あた り の清 掃 費歳 出 額( 円 ) | 20 , 99 4 | 20 , 11 3 | 19 , 30 2 |
(注) 人口、世帯数は年度末の数値を使用している。
6.ごみ処理事業の行政コストの推移の状況
杉並区が作成した行政コスト計算書による過去 3 年間のごみ処理事業の行政コ ストの推移及び平成 15 年度のごみ種類別行政コストは以下のとおりである。
(1 ) 年度別の推移
( 単 位 : 千 円 )
平成 13 年 度 | 平成 14 年 度 | 平成 15 年 度 | |
事 業 コ ス ト | |||
人件 費 ( 職 員 費等 ) | 3,046,360 | 3,382,968 | 3,187,141 |
人件 費 ( 退 職 給与 引 当金 繰 入) | 30,121 | 45,806 | 16,757 |
減価 償 却費 | 168, 829 | 215, 008 | 201, 675 |
経費 | 4,788,891 | 4,645,326 | 4,503,811 |
コス ト 合計 | 8,034,201 | 8,289,108 | 7,909,383 |
収 入 | |||
廃棄 物 処理 手 数料 | 438, 489 | 396, 051 | 382, 903 |
不用 品 売払 収 入 | 3,795 | 3,994 | 5,345 |
資源 売 却収 入 等 | 40,222 | - | - |
健康 被 害予 防 事業 費 助成 金 | - | 935 | - |
低公 害 燃料 転 換促 進 事業 費 助成 金 | - | 1,060 | - |
地域 新 エネ ル ギー 導 入助 成 金 | - | - | 4,956 |
指 定 寄 付 金 | - | 72 | - |
宝く じ 助成 金 | - | 36,497 | 40,912 |
その 他 雑収 入 | 730 | 59,046 | 111, 038 |
収入 合 計 | 483, 236 | 497, 655 | 545, 153 |
差引 行 政コス ト 純額 | 7,550,965 | 7,791,453 | 7,364,230 |
(2 )ごみ種類別の行政コスト(平成 15 年度)
( 単 位 : 千 円 )
可燃 ご み | 不燃 ご み | 資源 | 粗大 ご み | ペット ボト ル | 合計 | |
事 業 コ ス ト | ||||||
人件 費 ( 職 員 費等 ) | 1,668 ,084 | 923 , 5 28 | 324 , 7 29 | 259 , 9 79 | 10 , 82 0 | 3,187 ,141 |
人件 費 ( 退 職 給与 引 当 金繰 入 ) | 6,074 | 6,020 | 2,924 | 1,340 | 398 | 16 , 75 7 |
減 価 償 却 費 | 79 , 53 1 | 103 , 4 07 | 9,177 | 8,498 | 1,063 | 201 , 6 75 |
経 費 | 2,443 ,606 | 875 , 5 16 | 747 , 9 72 | 348 , 8 25 | 87 , 89 2 | 4,503 ,811 |
コ ス ト 合 計 | 4,197 ,295 | 1,908 ,471 | 1,084 ,802 | 618 , 6 42 | 100 , 1 73 | 7,909 ,383 |
収 入 | ||||||
廃棄 物 処理 手 数料 | 180 , 8 53 | 46 , 33 8 | 46 , 98 9 | 108 , 7 23 | - | 382 , 9 03 |
不用 品 売払 収 入 | 3,639 | 1,706 | - | - | - | 5,345 |
地域 新 エネ ル ギー 導 入 助 成 金 | 3,375 | 1,581 | - | - | - | 4,956 |
宝く じ 助成 金 | 40 , 91 2 | - | - | - | - | 40 , 91 2 |
その 他 雑収 入 | 28 | 13 | 110 , 9 97 | - | - | 111 , 0 38 |
収入 合 計 | 228 , 8 07 | 49 , 63 8 | 157 , 9 86 | 108 , 7 23 | - | 545 , 1 53 |
差 引 行 政コス ト 純 額 | 3,968 ,488 | 1,858 ,833 | 926 , 8 16 | 509 , 9 19 | 100 , 1 73 | 7,364 ,230 |
年間 ご み量 ( ト ン) | 102 , 6 94 | 26 , 31 2 | 26 , 68 2 | 3,532 | 607 | |
1 トン あ たり の 行政 コスト 純 額 ( 円 ) | 38 , 64 4 | 70 , 64 6 | 34 , 73 6 | 144 , 3 71 | 165 , 0 30 | |
1 トンあ た りの 収入 ( 円 ) | 2,228 | 1,887 | 5,921 | 30 , 78 2 | - | |
1 世 帯 あた り 行政 コスト 純 額 ( 円 ) | 13 , 90 5 | 6,513 | 3,247 | 1,787 | 351 |
(注 1 ) 世帯数は平成 16 年 4 月 1 日現在の数値( 285,396 世帯)を使用している。
(注 2 ) 年間ごみ量は速報値を使用している。
第3 監査の結果
Ⅰ.ごみ収集事業の運営方式の違いによる効率性・経済性分析
1.ごみ収集事業に関する事務事業評価及び政策・施策評価の検証
杉並区では、平成 11 年度から行政評価(注)を開始し、 14 年度からは政策、施策及び事務事業の全てについて評価を実施してきた。杉並区のごみ収集事業に 係る行政評価の妥当性を検証するとともに、 個別外部監査を実施するうえで当該 事業の現状を分析する意味から 、「平 成 16 年度 杉並区施策評価表」及び「平成 16 年度 杉並区事務事業評価表」を閲覧することとした。
なお、予め申し述べておくが、下記の「施策番号 20 / 施策名: ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上」には、今後の施策のあり方の中で、家庭ごみの有料 化、戸別収集等を検討すべきことが示されているが、具体性のある検討までは現 在至っていない。これらについては、触れるべき点が多岐にわたることから、後 述するⅡ .( 1 )家庭ごみの有料化 、( 2 )ごみの戸別収集において検討する。
(注 )行政評価は 、区の行政活動の進捗状況や達成度を把握して施策や事務事業の選 択を行うとともに、行政活動の成果について区民に周知を図ることを目的とし た制度である。
〔平成 16 年度 ごみ収集事業に係る行政評価項目〕
(1 )施策番号 16 / 施策名:環境施策の枠組みづくり
評価番号 | 評価対象事業名 | 担当部課名 | |
1 | 680 | 環境清掃部一般管理 | 環境課 |
2 | 681 | 環境博覧会の開催 | 〃 |
3 | 682 | 環境保全対策の推進 | 〃 |
4 | 686 | 杉並環境ライブラリー | 〃 |
5 | 691 | 環境審議会運営 | 〃 |
6 | 709 | 杉並環境マップ | 〃 |
(2 )施策番号 17 / 施策名:ごみの発生抑制及びリサイクルの推進
評価番号 | 評価対象事業名 | 担当部課名 | |
1 | 711 | コンポスト容器及び家庭用生ごみ処理機 購入費助成 | 清掃管理課 |
2 | 712 | リサイクルに向けた協働推進 | 〃 |
3 | 714 | 清掃審議会の運営 | 〃 |
4 | 715 | ごみ減量運動の普及・広報 | 〃 |
5 | 718 | ペットボトル回収 | 〃 |
6 | 719 | びん・缶・古紙回収 | 〃 |
7 | 722 | 一般廃棄物処理計画改定・ 各種調査 | 〃 |
8 | 723 | プラスチック分別回収 | 〃 |
9 | 727 | 指導管理(事業用大規模建築物への立ち 入指導) | 杉並清掃事務所 |
10 | 733 | ごみ処理手数料徴収 | 〃 |
(3 )施策番号 20 / 施策名:ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上
評価番号 | 評価対象事業名 | 担当部課名 | |
1 | 713 | 総務管理 | 清掃管理課 |
2 | 717 | 交通安全対策・安全管理 | 〃 |
3 | 720 | ごみの収集・運搬 | 〃 |
4 | 721 | 一部事務組合等負担金 | 〃 |
5 | 724 | 浄化槽維持管理 | 〃 |
6 | 726 | 清掃協力会 | 杉並清掃事務所 |
7 | 728 | ふれあい指導 | 〃 |
8 | 729 | 清掃事務所維持運営 | 〃 |
9 | 730 | 清掃事業所の施設、建物の維持管理 | 〃 |
10 | 731 | 清掃車 両(ごみ収集車 )の運行及び維持管 理 | 〃 |
11 | 732 | 不燃ごみ中継所 | 〃 |
12 | 735 | し尿・粗大ごみ中継作業 | 〃 |
(意見)
施策番号 20 / 施策名:ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上 評価番号 717 、「交通安全対策・安全管理」
現業部門職員の研修として、清掃管理課は清掃協議会主催による自動車運転職員研修の参加を推進している。しかし、その研修会が年 1 回のみの開催であるため、職員のローテーションを工夫しても全員が参加するのに 5 年程度の期間を要する状況にある。その研修では大型車両を使用した専門的な研修を受講でき、安 全運転のための技能向上を図るよい機会になっているため、 1 年に 1 度は全員が受講することが望ましい。ただし、当該研修が清掃協議会主催であるため、杉並 区として可能な努力としては、協議会に年複数回の開催を要望するべきではない かと考える。
(指摘事項)
施策番号 20 / 施策名:ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上 評価番号 720 、「ごみの収集・運搬」
杉並区では、ごみの分別を徹底し資源化を促進するために、資源化施設の確保が最大の課題であるとの認識がある。廃プラスチックやペットボトルを資源化す るため、現在は民間業者に搬出しているが、 受入先のキャパシティの問題から当 該施設の必要性が認識されている。しかし、 区内に準工業地帯がない等の事情か ら具体的な検討が進んでいない状況にある。
これについては、 主な選択肢として、①他の民間事業者の受入先候補を選定する、②民間とタイアップし共同施設を所有する(杉並区内で対応するか否かも要 検討)等がある。それらの方針をできるだけ早期に定め、資源化施設を迅速に確 保されることを望む。
2.資源回収事業と集団回収支援
杉並区では 、平 成 12 年度の清掃事業の移管後 、循 環型社会への転換を志向してごみの発生抑制、 リサイクル率の向上に取り組んでいるところである。
その行動指針として 、「杉並 区一般廃棄物処理基本計画 」(平成 15 ~ 29 年度)を定め、個別計画の循環利用計画の項目の中で資源の分別徹底、ペットボトルの効 率的な回収、プラスチックのリサイクルに触れている。また、このような取り組 みは、杉並中継所を不要化する目標の実現にも重要な意味をもつものである。
ごみ減量化、リサイクルの推進の一環として 、「すぎな み環境目的税 」(いわゆ るレジ袋税)についても具体的に検討しているが、それについては後述するⅡ.
( 1 ) 家庭ごみの有料化、⑤ ‐ 3 すぎなみ環境目的税(レジ袋税) との関係において触れることにする。
また、資源化の促進のためには集団回収への支援も課題になる。杉並区では、これについても重要な課題と考えており 、循環 利用計画の項目の中で触れている。その中で、活動の励みになる経済的動機付けのある制度の導入検討、制度に対す る区民認知度の向上を課題として挙げている。
集団回収団体に対する報奨金は現在、キログラム当たり 6 円、 それは他の特別 区と同レベルの水準であり、 16 年度支給総額は約 28 百万円である。
(注) 集団回収支援とは、自治会、町内会、子供会、老人クラブ、婦人会、PTA 等の 団体が 、地域の自主的活動として 、資源の回収日を決めて一定の場所に集め、 資源回収業者に引き渡すことをいう。集団回収支援制度は、集団回収を実施すると資源が支援団体から直接業者に搬入されるため区の回収作業が不要となり、区の経済的負担が少なくなる。またリサイクル率の向上効果を期待できる制度である。
〔資源 内訳別データ〕
平成 13 年度 | 平成 14 年度 | 平成 15 年度 | |
古紙(t ) | 24,952 | 22,977 | 24,080 |
古布(t ) | 195 | 198 | 202 |
缶(t) | 2,271 | 2,202 | 2,045 |
びん(t ) | 5,057 | 4,915 | 4,907 |
ペットボトル等( t) | 481 | 556 | 607 |
資源回収集量合計( t ) | 32,956 | 30,848 | 31,841 |
上 記 の う ち 集 団 回 収 に よ る 資源回収量(t) | 4,166 | 4,186 | 4,534 |
資 源 回 収 量 に 占 め る 集 団 回 収による資源回収量 | 12.6% | 13.6% | 14.2 % |
集団回収支援団体数 | 224 | 205 | 227 |
リサイクル率 | 19.6% | 18.8% | 19.4% |
(注)杉並区提出資料による。
(指摘事項)
現在は、 廃プラスチックを優先課題と捉え取り組んでいる状況であるが、 資源の対象として、小さな金属(なべやフライパン)等、現在不燃ごみとして選定し ている品目につき、リサイクル率の向上のため資源に選定できるものはないかを 再度検討すべきである。今後明確な品目の検討、分別実施年度を立案されること を望む。
(指摘事項)
集団回収支援活動の励みになる経済的動機付けのある制度の導入の検討が進んでいない。対応としては、①支援団体への報奨金の増額、②搬入業者に報奨金を 与える(古紙等の市況を勘案し、回収支援を促進する範囲内での支給にとどめる 必要性はあるが) 等が考えられるが、具体的な検討を進め、実施すべきである。
3.ごみ収集事業の行政コスト、経年比較分析
現在の収集業務は、大まかに言えば、収集車・運転手の手配の約 8 割を雇上業 者との請負契約により賄っているが、ごみの収集作業は区の直営により賄ってい る 。具体 的には 、雇上 業者に収集車と運転手の手配を依頼する請負契約を締結し、杉並区の全収集車のうち約 8 割を雇上業者が手配している。これに対して、ごみの収集を行う収集作業者は東京都の清掃派遣職 員( 平成 18 年 4 月以降 、区 への身分移管を予定)が担当している。
このような運営形態のもとで、現状の業務から発生するコストは過去どのように推移してきたか、特に改善余地の大きい業務には何があるのかを把握する。そ のために過去 3 年間の行政コスト( 注)推移を分析することにする。
(注) 行政コストとは 、地方公共団体が行政サービスの提供のため要したコストの ことであり 、「人 にかかるコスト 」、「 物にかかるコスト 」、「 移転支出的なコス ト 」、「そ の他のコスト」に区分される。 企業会計における区分とは異なるが、企業会計上の費用に該当するものである。
杉並区では、平成 14 年度から可燃ごみ、不燃ごみ、資源、粗大ごみ、ペッ トボトルの収集、運搬、中間処理、最終処分に係るごみ処理事業の行政コスト 計算書を作成し、区民に公表してきた。中間処理は、23 区が共同設置した東京 二十三区清掃一部事務組合( 以下、一部事務組合という)が行っているため、清掃処理施設は杉並区単独の所有ではないが、杉並区は一部事務組合に対して 分担金を負担していることから、それが行政コスト計算に反映されている。
〔3-ⅰ 杉並区行政コスト 科目別比較〕
(単位: 千円)
平成 13 年度 | 平成 14 年度 | 平成 15 年度 | |
事業コスト | 8,034,201 | 8,289,108 | 7,909,383 |
人件費( 職員費等) | 3,046,360 | 3,382,968 | 3,187,141 |
人件 費(退 職給与引当金繰入) | 30,121 | 45,806 | 16,757 |
減価償却費 | 168,829 | 215,008 | 201,675 |
経費 | 4,788,891 | 4,645,326 | 4,503,811 |
(内訳) | |||
一部事務組合負担金 | 2,282,095 | 2,135,346 | 2,158,288 |
廃棄物運搬請負契約に基づく費用 | 1,506,429 | 1,517,016 | 1,412,581 |
その他 | 1,000,367 | 992,964 | 932,942 |
収入 | 483,236 | 497,655 | 545,153 |
廃棄物処理手数料 | 438,489 | 396,051 | 382,903 |
不用品売却収入 | 3,795 | 3,994 | 5,345 |
助成金等 | 730 | 38,564 | 45,868 |
その他雑収 | 40,222 | 59,046 | 111,038 |
差引行政コスト純額 | 7,550,965 | 7,791,453 | 7,364,230 |
(注)出典 :「ざいせい 2002 、 2003 、 2004 」(杉並区)
(分析結果-主な損益推移)
⚫ 全体として 、顕著 に大きく変動している項目は見受けられない 。こ れは清 掃事業が平成 12 年 4 月より東京都の事務事業から特別区の事務事業に移管されたが 、移管 後、特段大きな運営方式等の変更がなかったことに起因 している。
⚫ 事業コストのうち人件費が約 4 割( 約 32 億円 )、一部事 務組合負担金が約
3 割( 約 22 億円 )、廃棄物運 搬請負契約による費用( 雇上費用) が約 2 割
(約 13 億円)となっており、この 3 項目でコスト全体の約 9 割( 約 67 億円)を占めている。
⚫ 事業コストのうち人件費が多いのは 、ごみの収 集が労働集約的な側面が強いことを反映している。
⚫ 減価償却費は、その多くを清掃事業関連施設(清掃管理課事務室、杉並中 継所、杉並清掃事務所ほか)の償却が占めている。償却額が総コストに締
める割合が相対的に低いのは 、中間処 理が一部事務組合の所有施設であること 、最 終処分は東京都の管轄であり、杉並区単独で施設を所有していな いためである。杉並区所有施設は今後 10 年、 大規模修繕を予定しておらず、現時点では、 当面、大幅な償却負担は生じないと予想される。
⚫ 収入を見ると 、各 年度約 5 億円程度で推移している 。収 入全体で見ても事 業コストの 1 割も賄うことができていない。
上記の( 分析結果-主な損益推移) からは、 以下の事項がごみ収集事業の経営課題であることがわかる。
(損益推移から見た場合の経営課題)
⚫ 各費目を区にとって管理可能か管理不能かという視点から見ると 、人 件費以外、コスト削減効果を早期に見込める管理可能な費目が見当たらない。 このため、人件費の抑制が重要な経営課題である。しかし、労働組合対策 等の問題から人件費の抜本的な改 革( 包括的な業務委託の推進等)が実質 的に困難な状況にある。
⚫ 経費のうち 、一部 事務組合への負担金は金額が多額であり 、特別 区全体で およそ 387 億円にのぼる 。現 在は杉並区だけでなく 、各区 は一部事務組合 に対し各区の人口割りで負担金を負担している 。ごみの 持込量に応じて一部事務組合が所有する清掃工場の維持管理コスト等が生じることを考えると 、ごみ 量に応じた負担が各区に求められるべきであること等を理由として 、現在 区長会にて負担金の計算方法の変更について検討がなされている。今後、ごみの持込量に応じた負担金の徴収となれば、杉並区のごみ量の削減努力が経費削減に結びつき区にとって管理可能なコストとなってくる。
⚫ 経費のうち 、廃棄 物運搬請負契約に基づく費用は現在 、杉 並区単独の契約 ではなく清掃協議会が契約事務を行っている(平成 18 年 4 月以降は、 特別区全体の契約から区の契約事務となることが検討されているが 、契 約形態や契約内容の大幅な変更の目途は明確には立っていない )。ま た、現状 の契約は走行距離に応じた単価契約となっている 。こ のため 、契 約方式や 契約単価の決定に区は直接関与することができない 。ま た走行距離数に応じた単価契約ではごみ量が減少しても収集回 数(走行距 離は収集回数に比例する )が 減らない限りコスト削減につながらない 。将 来的に雇上会社と の契約事務が杉並区に移管になれば 、ごみ量の 削減がコスト減に結びつく契約形態に変更することも可能になり区にとって管理可能なコストとな
ってくる。
⚫ 収入面を見ると、 事業コストに対する収入が僅少であり、約 80 億円にも のぼる事業コストは区民にとって大きな負担になっている 。ごみ 排出量の削減が基本的解決策であるが 、それを 促すための施策としてごみ有料化についても検討対象といえる状況にある。
(意見)
主な経費である一部事務組合への負担金、廃棄物運搬請負契約に基づく費用は現状では杉並区のごみ削減努力が必ずしも経費削減に結びつかない仕組みになっ ている。行政コストの削減という観点から見た場合、まず杉並区単独で管理可能 な費目、かつ、経済的効果が期待できる人件費の管理をいかに進めるかが重要な 課題になる。そのための方策としての業務委託化の具体的な検討が欠かせないと 考えられる。
また、将来的な課題としては一部事務組合の負担金の負担方法の見直しや、 雇上会社との契約事務を区に移管することにより現在の契約形態をごみ削減努力が 経費削減に結びつく方式に変更することができれば清掃事業コストの削減につな がるものと考えられる。
なお、排出者負担の観点から考えると家庭ごみの有料化も検討課題となってきている。
〔3-ⅱ 杉並区行政コスト ごみ種類別経年比較〕
(単位: 千円)
平成 13 年度 | 平成 14 年度 | 平成 15 年度 | |
事業コスト | 8,034,201 | 8,289,108 | 7,909,383 |
可燃ごみ | 4,169,473 | 4,292,281 | 4,197,295 |
不燃ごみ | 1,866,019 | 2,007,733 | 1,908,471 |
資源 | 1,217,395 | 1,249,291 | 1,084,802 |
粗大ごみ | 686,639 | 635,623 | 618,642 |
ペットボトル | 94,675 | 104,179 | 100,173 |
収入 | 483,236 | 497,655 | 545,153 |
可燃ごみ | 225,217 | 239,238 | 228,807 |
不燃ごみ | 54,553 | 51,343 | 49,638 |
資源 | 99,376 | 108,865 | 157,986 |
粗大ごみ | 104,091 | 98,209 | 108,723 |
ペットボトル | 0 | 0 | 0 |
差引行政コスト純額 | 7,550,965 | 7,791,453 | 7,364,230 |
可燃ごみ | 3,944,256 | 4,053,043 | 3,968,488 |
回収率 | 5.4 % | 5.6 % | 5.5 % |
不燃ごみ | 1,811,466 | 1,956,390 | 1,858,833 |
回収率 | 2.9 % | 2.6 % | 2.6 % |
資源 | 1,118,019 | 1,140,426 | 926,816 |
回収率 | 8.2 % | 8.7 % | 14.6 % |
粗大ごみ | 582,548 | 537,414 | 509,919 |
回収率 | 15.2 % | 15.5 % | 17.6 % |
ペットボトル | 94,675 | 104,179 | 100,173 |
回収率 | 0.0 % | 0.0 % | 0.0 % |
1トン当たり行政コスト純額( 円) | |||
可燃ごみ | 37,152 | 39,016 | 38,644 |
不燃ごみ | 71,197 | 75,461 | 70,646 |
資源 | 39,527 | 43,370 | 34,736 |
粗大ごみ | 149,794 | 155,232 | 144,371 |
ペットボトル | 197,240 | 187,372 | 165,030 |
1世帯当たり行政コスト純額( 円) | |||
可燃ごみ | 14,136 | 14,341 | 13,905 |
不燃ごみ | 6,492 | 6,922 | 6,513 |
資源 | 4,007 | 4,035 | 3,247 |
粗大ごみ | 2,088 | 1,902 | 1,787 |
ペットボトル | 339 | 369 | 351 |
(注 1 )出典 :「ざいせい 2002 、 2003 、 2004 」(杉並区)
(注 2 ) 世帯数については平成 14 年 4 月 1 日現在(平成 13 年度 )、平 成 15 年 4 月 1
日現在(平成 14 年度 )、平成 16 年 4 月 1 日現在(平成 15 年度)の数値を 使用している。
(注 3 )ごみ量は各年度の速報値を使用している。
(分析結果-損益推移から見たごみ種類別の特徴)
⚫ 事 業 コ ス ト に 対 す る 収 入 の 割 合 を 回 収 率 と し て 見 た 場 合 、 可 燃 ご み
( 5.5 % )、不燃ごみ の回収 率( 2.6 % )が 、資 源( 14 .6 % )、粗 大ご み( 17 .6 %) に比較して低い。
⚫ 粗大ごみ、ペットボトルの 1 トン当たり行政コスト( 純額)はそれぞれ 144,371 円、165,030 円と、可燃ごみ( 38,644 円 )、不 燃ごみ( 70 ,646 円 )、資源( 34,736 円) に比べて割高である。これは、粗大ごみ、ペットボトル の容積の問題から処理、搬送にコストがかかることが原因と考えられる
(注 )。
(注)粗大ごみは物自体が大きいため、回収作業に 3 名で対応し、搬送の効率 化のため、中継所で圧縮してから搬送している。ペットボトルは中身が空 気で物としてかさばり、多量を新小型特殊車にて搬送できず、搬送に手間 を要する。
(損益推移から見た場合の経営課題)
⚫ 約 80 億円という事業コストを区民にとっての重い負担と考えるならば、受益者負担の適正化とごみ減量対策の面から家庭ごみの有料化を検討する時期に来ているといえる。
⚫ 粗 大 ご みの 廃 棄 物手 数 料 の値 上 げ も受 益 者 負担 と い う意 味 で 検討 事 項となる。ペットボトルについて製造者負担を求めることも検討事項であるが、これについては法改正に向けた動きがあり、杉並区として はそれを受けての対応となる(注 )。
(注) 現行の容器包装リサイクル法では、発生抑制や再使用が進まないという問題があり、分別収集及び再商品化は容器包装利用事業者等(製造者)の 責任で行うよう法改正に向け検討されているところである。
4.他特別区との比較分析
杉並区のごみ処理事業を他特別区と比較した場合、杉並区の運営方式に何らかの特徴があるのか、特に改善余地のある事項はあるかの検討資料として、以下に 記載の比較資料を作成した。比較資料は、比較前提となる基礎的なデータを〔基 礎データ 〕、それ以外 のコストに関する情報 を〔コ スト比較データ 〕と してまとめている。なお、ここでは杉並区のごみ処理事業を大きく捉えることを目的として いるため、データは基礎的なものに留めている。
比較対象特別区としては、 区内の道幅が狭く、収集スペースの確保が困難である等の地理的条件が比較的近い近隣の特別区を選定した。
〔基礎データ〕
杉並区 | A 区 | B 区 | C 区 | ||
1 | 面積( k ㎡) | 34.02 | 15.59 | 48.16 | 32.17 |
2 | 総人口( 人)注 2 | 522,155 | 308,420 | 675,336 | 521,615 |
3 | 世帯数( 戸)注 3 | 277,005 | 170,737 | 299,391 | 249,368 |
4 | 事業所数 注 4 | 22,175 | 15,163 | 23,478 | 22,547 |
5 | 行 政 収 集 ご み 量 (t) | 133,269 | 83,493 | 170,965 | 131,577 |
6 | 住民一人当たり行 政収集ごみ量 | 255kg | 270kg | 253kg | 252kg |
7 | 資源回収量(t) | 30,848 | 19,823 | 35,463 | 34,288 |
8 | 運営方式(直営、委託の別) 注 5 | 区の全収集車のうち約 8 割は雇上業者が手配してい る。収集作業者は東京都の派遣職員が担 当している。 | 同左 | 同左 | 同左 |
9 | 有料化実施の有無 | 未実施 | 同左 | 同左 | 同左 |
10 | 戸別収集実施の有 無 | 未実施 | 同左 | 同左 | 同左 |
(注 1 )上記データは平成 14 年度のデータを記載している。
(注 2 )東京都総務局統計 部「住民基本台帳による世帯と人 口( 含・外国人登録人口 )」
(平成 15 年 4 月 1 日現在 )。
(注 3 )東京都総務局統計部「東京都の人口(推計 )」(平成 15 年 4 月 1 日現在 )。
(注 4 )東京都総務局統計部「事業所・企業統計調査報告(東京都)平成 13 年 」(平
成 13 年 10 月 1 日現在 )。
(注 5 )中間処理は一部事務組合が行い、最終処分は東京都の管轄である点は各区とも共通している。
〔コスト比較データ〕
(単位: 千円)
杉並区 | A 区 | B 区 | C 区 | ||
1 | 一般会計歳出 | 124,079 ,517 | 87,861 ,028 | 183,314 ,535 | 151,560 ,935 |
2 | 清掃費 | 8,659,411 | 5 ,128,070 | 9,477,991 | 9,815,494 |
3 | 清掃に係る人件費 | 3,171,757 | 1,880,392 | 3,619,177 | 3,111 ,090 |
4 | 一 般 会 計 歳 出 に 占 め る 清掃費の割合(= 2/1 ) | 7.0% | 5.8% | 5.2% | 6.5% |
5 | 清 掃 費 に 占 め る 人 件 費 の割合( = 3/2 ) | 36.6% | 36.7% | 38.2% | 31.7% |
6 | 住民 1 人当たり清掃 費(= 2/ 総人口(注 3 )) | 16,583 円 | 16,626 円 | 14,034 円 | 18,817 円 |
(注 1 )上記データは平成 15 年度のデータを記載している。
(注 2 )一般会計歳出、清掃費は総務省データに基づく。
(注 3 )総人口は 、〔基礎データ〕 2. 総人口(人)を採用している。
(分析結果)
⚫ 清掃費に占める人件費の割合が杉並区の場合 36 . 6 % と比較的高いが 、近 隣特別区でも同様の傾向が見られ、杉並区のみの特徴とはなっていない。
⚫ 一般会計歳出に占める清掃費の割合が 7.0% と近隣特別区よりも若干高い比率であるが、特記すべきほどの比率とはなっていない。
⚫ 住民 1 人当たり清掃費も近隣特別区と比べて特別高い水準にはない。
5.杉並区ごみ収集事業における業務委託化の考察
行政改革の視点からごみ収集事業の効率性・ 経済性を検討する場合、業務の民間委託化についての検討が不可欠の事項と考えられている。確かにごみ収集業務 には安定的な事業実施が求められることは十分理解できるが、安定的な事業実施
=高コストであってはならない。平成 12 年4月に地方自治経営学会が発行した
「地方行革への手引 公立と民間とのコストとサービス比較( 全国延 316 自治体からの報告とその分析 )」に よれば「 ごみ収集事業」について、民間委託化した場合直営に比べ可燃ごみで 44 .6%、不燃ごみで 54 .2% のコストで済むとの記載があ る。杉並区においてもごみ収集事業について民間委託化の検討をすることは意義 があると考えられる。なお、民間委託化にあたっては業務の安定的な実施が確保 されるよう十分配慮する必要がある。
(1)平成 18 年度、職員の身分移管
現在 、ごみ 収集業務に従事している東京都派遣職員は平成 18 年 4 月以降 、区 の職員として身分移管される。ごみ収集事業の民間委託化についての検討の前に、 民間委託化への制約条件と考えられる、身分移管の問題を整理しておく。
身分移管の問題は杉並区だけの問題ではなく特別区に共通したものであり、 清掃関連経費という大きな枠組みの中のひとつの問題として、現在も都区調整会議 にて審議が続いている状況にある。東京都派遣職員の区への身分移管の条件いか んでは、移管後の杉並区の財政負担が実質的に増減する可能性も否定できないこ とから、 ここでは特に重要と考えられる点を整理した。
〔清掃派遣職員の身分移管に係る論点整理〕
①退職金の負担関係
問題の所在 | 現状 | 検討課題 |
東 京 都 と 特 別 区 の 費 用 負 担 を 明 確 に す る 意味で 、移 管に当たって 退 職 金 の 一 時 精 算 をするのか。 | 一時清算は行わないことで 妥結している。 | ― |
移 管 前 の 在 籍 年 数 相 当額は東京都の負担、 移 管 後 の 在 籍 年 数 相 当 額 は 特 別 区 の 負 担 となるのか。 | 現状の都区調整会議におけ る議論の中では、杉並区で 勤務している東京都の清掃 派遣職員の将来退職金支払 いの財源は、東京都から特 別区に交付される見込みで はある。しかし、具体的な 交付金額、交付時期等は審 議 中 で あ り 確 定 し て い な い。 | 将来の東京都からの杉並区 に対する財源措置が実費を 下回れば、将来の杉並区の 財政負担が増加するおそれ がある。身分移管時の条件 が確定していないため試算 ではあるが 、平 成 18 年 3 月 31 日 時 点 で 清 掃 派 遣 職 員 277 名全員が会社都合退職 した場合の要支給総額は約 27 億 円( 注)である。また、 277 名全員が将来の定 年( 60 歳)まで勤めて退職したと 仮定した場合の要支給総額 は約 57 億円(注) である。 |
(注)金額試算の前提条件をまとめれば以下のようになる。
項目 | 内容 |
規則 | 「職員の退職手当に関する条例」及び「職員の退職手当に関する規則」に基づく。 特別区への身分移管を予定しているが、現在は東京都の職員であり、特別区への移管の条件が現在不確定であるため、試算では東京都の規則 に基づいて計算を行った。 |
平均年齢 | 平成 18 年 3 月 31 日時点で 42 歳。 |
平均勤続年数 | 平成 18 年 3 月 31 日時点で 15 .99 年。 |
【試算①】 平成 18 年 3 月 31 日時点で清掃派遣職員 277 名全員が会社都合退職し た場合の要支給総額 | |
計算方法 | 試算は、 清掃派遣職員 277 名の個人の退職金を積み上げ 計算したものである。 |
昇給 | 清掃派遣職員の職務の性質から、特別昇給は考慮せず普 通昇給のみを考慮している(注 )。 |
給与の調整額 | 調整額 37 ,900 円は東京都の職員に支給される。杉並区に はその制度がないが、ここでは清掃派遣職員の将来の退職手当を当該調整額を見込んで計算することにした 。(清 掃派遣職員の給与調整額は、区移管後、どのように取り扱われるか現在確定していないが、 ここでは保守的に金 額の試算が過小になることを避けるため) |
【試算②】 277 名全員が将来の定年( 60 歳)まで勤めて退職したと仮定した場合 の要支給総額 | |
計算方法 | 平均年齢が 42 歳であることから 、それ を基準として 、給与月額、 勤続年数を基に概算計算を行った。 ① 42 歳の方の定年時の給与月額= 397 ,500 円 ② 現職の 42 歳の方の平均勤続年数は 12 年であり 、60 歳定年までの支給対象期間は 16 年( 58 歳昇給停止 を考えると 18 年ではなく 16 年となる )。 ③ 勤続 28 年( 12 年+ 16 年 )を 支給計算月数にすると 51.5 ヶ月となる。 この結果、平均 1 人当たり退職給付相当額は、 397,500 円×51.5 ヶ月=20,471,250 円となり、 277 名に係る退職給付相当額は、 20,471 ,250 円×277 名= 5,670 ,536 ,250 円となる。 |
項目 | 内容 |
昇給 | 【計算方法①】に同じ。 |
給与の調整額 | 【計算方法①】に同じ。 |
(注)昇給の種類としては、普通昇給と特別昇給の二つがある。 普通昇給とは、 職員が現に受けている号給を受けてから通常 1 年間 、良 好な成績で勤務した場合に 1 号給上位に昇給させるものである 。特 別昇給とは 、職 員の勤務成績が特に良好な場合において、昇給期間を短縮し昇進させるものである 。(以 上、東京都総務局ホームページから)
(意見)
将来の東京都からの杉並区に対する財源措置が実費を下回れば、将来の杉並区の財政負担が増加するおそれがある。しかし、都区調整会議は特別区全体の調整 をなすことを主眼としており杉並区の事情のみを検討する会議ではない。このた め、杉並区単独の働きかけが直接反映される訳ではない。また、特別区に対する 交付金の考え方や計算方法が複雑なうえ、特定事業の個々の費目を論じる制度体 系になっていない、という制約もある。
そこで、 将来の過大な財政負担を回避するために杉並区が現実的にとりうる方策としては、将来的に財政面で大きな影響を与えると考えられる退職金の問題に ついて検討する必要がある。退職金の負担方法には退職時に移管前後の勤続期間 や移管時・退職時の要支給額の比率で按分する方法や移管時に一時金として精算 する方法が考えられる。いずれにしても退職金の実費相当額が確実に精算される よう、都区調整会議の交渉の窓口となっている特別区長会事務局に働きかけを行 うことが考えられる。そのためには清掃派遣職員の将来の退職時の退職金総額の 概算を提示する等、その財政負担の大きさを指し示すことが望ましい姿勢である と考える。
②清掃派遣職員の移管後の業務配置
問題の所在 | 現状 | 検討課題 |
ご み 収 集 業 務 に 従 事 す る 現 業 部 門 の 職 員 は 、移管 後は区の職員となる 。移 管後は 、区の 意 向 で 職 員 の 配 置 転 換 が 可 能 に な る の か 。収集 業務の委託を仮 に 実 施 し た 場 合 に 余 剰 人 員 の 配 置 転 換 ができるか。 | ⚫ 清 掃 以 外 の 他 の 現 業 部 門 ( 土 木 事 業 の 作 業 、 学 校 用 務 、 給 食 等 ) に は 人 員 不 足 は な く 、 受 入 先 の 確 保 が 事 実 上 困 難な状況にある。 ⚫ 現 業 部 門 の 年 齢 構 成は、 30 歳代の職員が多 い。 | ⚫ ご み 収 集 業 務 を 委 託 化 し た ほ う が コ ス ト メ リ ッ ト が あ る と し て も 、 余 剰 人 員 の 配 置 転 換 が 困 難 な た め 、 委 託 化 が 進まない懸念がある。 ⚫ 現 状 の 運 営 の 基 で 、 現 業 職 員 の 自 然 減 に 長 期 を 要 す る こ と も 委 託 化 推進の制約になる。 |
(意見)
将来的な検討課題である戸別収集の実施等により収集職員の余剰自体が発生しない可能性もあるが、ごみ収集業務の民間委託化を進めた場合に発生すると予想 される清掃派遣職員の余剰人員の配置換え、 その受入先部門の検討をすべきであ る。また、場合によっては早期退職制度の導入をも見据えた制度改革もひとつの 検討課題にはなると考えられる。
(2)平成 16 年度における契約事務について
清掃事業の民間委託化について検討を行う場合、民間委託に伴う契約事務が経済性・効率性の観点から適正に執行されなければ期待する効果は得られない。そ こで現在の契約事務が経済性・効率性の観点から有効に執行されているかについ て検討する必要がある。
このため清掃事業に関する契約関係の見積書、仕様書、契約書等の関係資料を入手し、 閲覧検討を行うとともに、 担当所管から説明聴取を受けた。
契約の締結に当たっては、コストメリットがより強く働く一般競争入札( 注 1 )が地方自治法の原則であり、随意契約(注 2 )は一般競争入札が実施できない場 合や随意契約を締結するほうが有利な場合等に限り締結できる例外的な契約方式 だと解釈されている。
今回の外部監査において契約事務が経済性・ 効率性を考慮して実施されているかについて、清掃事業部所管の契約のうち、 500 万円以上のものを対象に監査した。
(注 1 ) 一般競争入札とは、契約締結に必要な条件を一般に公告し、一定の資格を有 する不特定多数の者を誘引して、入札によって申込みをさせる方法により競 争させ、入札した者のうち、地方公共団体に最も有利な条件で入札した者を 選定して、その者と契約する方法である。
(注 2 ) 随意契約とは、地方公共団体が競争の方法によることなく、適当と認める特 定の者を選定してその者と契約を締結する方法である。なお、杉並区の清掃 事業の契約事務においては、随意契約は全て一者指定契約となっている。
〔平成 16 年度の契約のうち、500 万円以上のもの〕
内容 | 契約額 | 契約方式 | 備考 |
カ ラ ス 対 策 ご み 集 積 所 実態調査委託 | 7,770 千円 | 指 名競 争 入札 | A社 |
廃棄物運搬請負契約 | 1,646,444 千円 | 随意契約 | 雇上会社 52 社 |
同上(夜間収集) | 56,943 千円 | 随意契約 | B社、C 社 |
資 源 回 収 事 業 に 係 る 普通貨物車の雇上委 託(単 価契約) | 25,009 千円 | 随意契約 | 杉並リサイクル事業協同組合 |
廃 棄 物 処 理 手 数 料 徴 収 事務委託 | 11 ,262 千円 | 随意契約 | コンビニエンスストア 9 社・ スーパー 3 社 |
杉 並 区 清 掃 事 業 に 係 る 職員の人材派 遣(単価 契約) | 123,186 千円 | 条 件付 一 般 競争 入 札 | D社 |
杉 並 中 継 所 排 水 処 理 装 置点検業務委託 | 5,642 千円 | 随意契約 | E社 |
杉 並 中 継 所 施 設 点 検 業 務委託 | 36,222 千円 | 随意契約 | F社 |
粗大ごみ中継業務委託 | 22,268 千円 | 随意契約 | B社 |
オ ゾ ン 式 脱 臭 装 置 及 び自 動 制 御 装 置 保 守 点 検業務委託 | 6,577 千円 | 随意契約 | G社 |
資 源 回 収 事 業 に 係 る 古 紙回収業務委託 | 27,857 千円 | 随意契約 | 杉並リサイクル事業協同組合 |
内容 | 契約額 | 契約方式 | 備考 |
資 源 回 収 事 業 に 係 る び ん・缶回収業務委託 | 189,555 千円 | 随意契約 | 杉並リサイクル事業協同組合 |
資 源 回 収 事 業 に 係 る 古 紙資源化業務委 託(単 価契約) | 54,885 千円 | 随意契約 | 杉並リサイクル事業協同組合 |
資 源 回 収 事 業 に 係 る 缶 資源化業務委 託(単価 契約) | 43,915 千円 | 随意契約 | 杉並リサイクル事業協同組合 |
資 源 回 収 事 業 に 係 る びん 資 源 化 お よ び コ ン テ ナ洗浄委託(単価契約) | 117,170 千円 | 随意契約 | 杉並リサイクル事業協同組合 |
ペ ッ ト ボ ト ル 中 継 業 務 委託(単価契約) | 33,050 千円 | 随意契約 | B社 |
杉 並 区 粗 大 ご み 受 付 セ ンター運営委託 | 26,264 千円 | 随意契約 | H社 |
粗 大 ご み 受 付 シ ス テ ム 運営委託 | 5,831 千円 | 随意契約 | I社 |
リ サ イ ク ル ひ ろ ば 高 井 戸賃貸借 | 34,322 千円 | 随意契約 | 甲(個人) |
杉 並 区 集 団 回 収 事 業 委 託 | 7,425 千円 | 随意契約 | NPO 法人すぎなみ環境ネッ トワーク |
杉 並 区 リ サ イ ク ル ひ ろ ば 高 井 戸 普 及 啓 発 事 業委託 | 7,980 千円 | 随意契約 | NPO 法人すぎなみ環境ネッ トワーク |
(注)単価契約の契約額は支払済金額。
①契約件数、契約金額の推移
平成 14 年度から 16 年度までの清掃事業に係る委託及び工事の契約件数、 契約金額及び随意契約の契約総件数、契約総金額数に占める割合は以下のとおりであ る。
〔随意契約の状況〕
( 単位:件・千円)
全契約 | 随意契約 | 同左割合 | ||||
契約件数 | 契約金額 | 契約件数 | 契約金額 | 契約件数 | 契約金額 | |
平成 14 年度 | 95 | 2,619,379 | 79 | 2 ,506,060 | 83.2% | 95.7% |
平成 15 年度 | 86 | 2,479,828 | 68 | 2,366,383 | 79. 1% | 95.4% |
平成 16 年度 | 105 | 2,623,874 | 77 | 2,397,472 | 73 . 3 % | 91 . 4 % |
過去 3 年分の契約に関しては、随意契約が件数、金額ともに圧倒的に多く、本 来採用されるべき一般競争入札の割合が極端に少ない。清掃事業の場合、公法上 の契約が多いため廃棄物処理基本計画に従った随意契約が認められている特殊事 情はあるものの、地方自治法では例外とされる随意契約をなぜ多く採用している のか、競争入札を採用する余地はないのか等の観点から以下検討する。
②随意契約を締結する根拠について
随意契約に関して、サンプルとして抽出した業者の選定理由となる自治法上の根拠条文は 、地方自 治法施行令 167 条の 2 第 1 項第 2 号である 。当 該条項は 、「不 動産の買入れ又は借入れ、普通地方自治体が必要とする物品の製造、修理、加工 又は納入に使用させるために必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目 的が競争入札に適しないものをするとき」随意契約をすることができると規定し ている。
平成 16 年度の契約書綴りを閲覧したところ 、随 意契約を締結する法的根拠としては「業者指定依頼書」と「 回議用紙」の中で根拠条文の「 地方自治法施行令 167条の 2 第 1 項第 2 号」のみが記載されていた。 随意契約は例外的に採用される契約形態である以上、その根拠条文だけでなく該当する具体的理由を明示する必要 があると考えられる。なお、杉並区では随意契約ができる具体的理由のガイドラ インとして経理課が平成 17 年 1 月 に「 随意契約の指針 」を 作成し 、こ の指針に基づき随意契約の可否を判断するよう各所管に指示している。上記指針に示された 具体的な理由( 19 項目) につき、根拠条文と併記するとしたことは、評価できると考える。
また、随意契約を採用する具体的理由について質問を行ったところ区側の回答は以下のとおりであった。
ア )「杉並 中継所施設点検業務委託」他
「 杉並中継所施設点検業務委託 」は 、プ ラント設置以来 、設 置業者であるF 社三菱重工業㈱に地方自治法施行令第 167 条の 2 第 1 項第 2 号により随意契約で発注 している。随意契約を採用する具体的理由として「業者の指定について(依頼 )」では、
( 1 )コンテナ・コンパクタ方式を採用している当該施設のプラントの設計・施行は上記業者が請け負っている。そのため、 当該施設の使用部品は本プラント設備に合致し、その能力を最大限発揮できるよう考案・製作されており、数多くの部品に特許権を有している。
( 2 )当 該施設の円滑な運転及び効率的な維持管理をするためには 、各 装置の構造、操作及び点検方法を熟知していることが必要である。
( 3 )上記業者は、他自治体における「ごみ輸送中継システム」等の製作・保守管理に実績があり、経験が豊富で高い信頼性を有している。
以上のことから、 当該施設の点検業務は指定業者以外に安全かつ効率的な履行を行うことができないためと記載されている。
また、同施設についてはプラントメ-カ-独自のノウハウがあり、一旦、 プラントを設置してしまうと、他のプラントメ- カ-には点検業務につき代替が難し いので随意契約を結んでいるとの回答を得た。また、プラント設置以来、他の業 者への発注を検討したことはないとの回答を得た。
(指摘事項)
点検業務の全てを安易にプラント設置業者に随意契約するのではなく、 プラント設置業者以外に発注可能な業者はいないのか、部分的に競争入札が可能な業務 がないのか、区の職員で実施可能な部分がないのか等の検討を行う必要がある。 また「杉並中継所排水処理装置点検業務委託 」、「 オゾン式脱臭装置及び自動制御装置保守点検業務委託」についても、E社、 G社と随意契約を結んでいるが、こ れらも、装置の設置業者と継続的に随意契約を締結しているが随意契約以外の契 約方法の可能性について検討がなされていない点については 、「 杉並中継所施設点検業務委託」と同様である。
イ )「資源 回収事業にかかる普通貨物車の雇上委託(単価契約 )」
「資源回収事業にかかる普通貨物車の雇上委託(単価契約 )」は 、杉並リサイクル事業協同組合に随意契約により発注している。随意契約を採用する具体的理由 として「 特命理由書」では、
「本件契約は、区が実施する資源回収事業において、 資源を回収する際に必要な車両の一部について供給をうけるものである。
資源回収事業は 、「週 1 回の資源回収の日」を設定し 、「 可燃ごみの収集回数を週 3 回から 2 回に変更」したうえで、既存のごみ集積所を利用して資源を回収しているものである。このことから、通常ごみ収集作業にも影響を及ぼすため、住 民の生活環境を害することのないよう 、安定的な車両の供給を受ける必要がある。
上記団体は、長年にわたり杉並区内で資源回収を実施している回収業者の団体であり、区内のほぼすべての資源回収業者が属している。資源回収事業の安定的 な履行のための一翼を担いうる団体である。
以上の理由から、 上記業者を特命する 。」と記 載されている。
また、担当所管からは、杉並リサイクル事業協同組合は、区内業者育成という趣旨の下に区側主導で設立した組織であり、 当初の設立趣旨を踏襲し、随意契約 を結んでいると回答を得た。
なお、契約単価については、雇上会社との間で契約している「 廃棄物運搬請負契約」の単価表をそのまま使用している。
(指摘事項)
安定的な業務の履行は随意契約の理由としてある程度理解できる。他方、 区内零細業者の育成という理由は区の政策としてなら十分理解できるが随意契約の理 由としては問題がある。なお、組合には新規加入も可能でありまた過去において その実績もあることから参入障害があるとは考えられないが、区の契約である以 上育成と同時に競争性の確保も求められる。 なお、組合の構成員の中にはすでに 自立した事業者も存在する。こうした自立した事業者は組合から独立させ、業務 の一部について競争入札を採用することにより競争性を確保する等の方法を検討 すべきである。
また、契約単価に雇上会社と同じ単価表を用いている点に関しても、安易に同様な契約の契約単価をそのまま使用するのでなく、その業務に適した契約単価に ついて検討する等の手続き行うべきである。
ウ )「杉並 区粗大ごみ受付センター運営委託 」、「粗大ごみ受付システム運営委託」
「杉並区粗大ごみ受付センター運営委託 」はH 社に 、「 粗大ごみ受付システム運営委託」はI社にそれぞれ随意契約により発注している。随意契約を採用する具 体的理由として「 業者の指定について」では前者は、
( 1 )「上 記業者は、粗大ごみ受付センター開設準備段階から業務に携わっているため、 本業務に精通している。
( 2 )本 業務は清掃事業に関する知識が必要不可欠であり 、そ の知識を短期間で習得することは非常に困難である 。そ のため 、上 記業者は業務開始前に様々な研修を実施した。また、 粗大ごみ受付センターへの区民からの問い合わせは多岐に渡っており 、問い 合わせに対応できる水準には容易に達しない。
( 3 )粗大ごみ受付センターで受け付けたデー タに基づき粗大ごみを収集する杉 並清掃事務所及び杉並清掃事務所方南支所との連携が図れており、 受付から収集まで円滑に運営することができる。
( 4 )上 記業者は本業務に精通しているため 、法 令の改正による粗大ごみの取扱いの変更にも柔軟に対応することが可能であり、粗大ごみ受付センターの業務の効率化とさらなるサービスの向上を図ることができる。
( 5 )本 業務開始後 2 年が経過し 、粗 大ごみ受付センターの電話番号及びファックス番号は区民に定着している。そのため電話番号及びファックス番号の変更は区民の混乱を招くとともに区民サービスの低下につながる。
また後者は、
( 1 )粗 大ごみ受付センター及び清掃管理課 、杉 並清掃事務所及び杉並清掃事務所方南支所の職員は、すでに上記業者が製作した当該システムの操作に習熟している。
( 2 )受 付センター開設当初と比較して受付所要時間は短縮しており 、区民 サービスの向上が図られている。
( 3 )当 該システムの安定的な供給を行っており 、シ ステムの更新などの要望に迅速に対応できる。
と記載されている。
なお、担当所管からの説明によると、当初のシステム設計時に見積競争により業者を選定しその後 5 年間は随意契約で同一業者に発注しているとのことであった。
(意見)
上記随意契約の具体的理由を検討すると、設置当初から業務を行っていれば他
業者に比べ業務に精通することは当然であり、また、業務を受注するにはその業 務の知識を習得するのは当然のことであり地方自治法に規定する随意契約の要件 や業者指定の理由とはならないと考えられる。他方、区の職員等が操作に習熟し ていることが随意契約の理由となるのであればシステムを受注した業者はその後 そのシステムを使用しなくなる時まで競争もなく受注できることになる。いわん や電話番号等の変更は当初の契約事務に問題があったと言わざるを得ない。
システムの運営委託は当初設計した業者にその後の運営を委託するケースが多い。このためシステム設計時にその設計費用を基準としてで契約先を選定するだ けでなく、その後の運用費用を含めたトータルコストの提示を受け契約先を選定 する必要がある。この場合、複数年度の契約となるので支出負担行為(地方自治 法第 232 条の 3 )を組む必要がある。 また、運営や保守業務についても発注先の倒産等のリスクを考えるとできるだけ代替可能な業務内容となるようなシステム 設計が求められる。
③一者指定の妥当性について
杉並区の場合、清掃事業の随意契約は全て一者指定となっている。一者指定の場合「指定理由書」を作成し指定理由を記載することとなっているが検討した契 約について「 指定理由書」 に記載されている指定理由としては以下のようなものがあった。
ア)特殊機器等に関して、 十分な管理ノウハウを習得している。イ)杉並区の事業者を育成するため
(この理由を指定理由として挙げるのは、適切ではない) ウ)安定的な業務の履行ができる
エ)長年の付き合いの上に成り立った信頼関係がある
担当所管としては、ア) からエ) 等の理由を総合的に判断して決定しているとい う回答を得たが、今回監査対象とした契約の指定理由書の多くに安定的な業務の 履行と長年による信頼度が高いことが上げられている。
(指摘事項)
指定理由書の中には指定理由を簡略化して記載しているものもあり総合的に判断していることを読み取るのが難しいものもあった。
上記指定理由のうち、ウ・ エで「長年の実績のある業者」を契約先として指定することが多いが 、契約履行 の安全性確保の観点からは十分理解しえる 。しか し、 馴れ合いにより契約金額の経済性・効率性確保が阻害される危険も孕んでいるこ
とは否定し難いし、そもそも履行の確保は担当所管の責務であることも忘れては ならない。その 2 点をどう調和させるかが課題となる。地方自治法の原則が一般競争入札である以上、安易に公法上の契約で廃棄物処理基本計画に従った契約で あることを理由に一者指定による随意契約とせず可能な契約についてはできるだ け一般競争入札とし、地元業者育成については入札資格において地元企業に制限 する条件付一般競争入札の採用を検討すべきである。これにより地元企業の新規 参入の機会も確保できると考えられる。
④予定価格の妥当性
ア)予定価格の基礎となる積算見積りについて
随意契約の大多数において、積算見積りは、 区独自に行わず、 契約相手である事業者の見積りを予算要求の根拠或いは基礎としている。
なお雇上契約に関しては、 契約の特殊性(東京二十三区清掃協議会が区に変わって雇上会社との契約事務を行っている等) から、杉並区独自の予定価格を設定 することができないものである(3.ごみ収集事業の行政コスト、経年比較分析
3-ⅰ 杉並区行政コスト 科目別比較 損益推移から見た場合の経営課題(P
37 )参照 )。
事業者の見積りを予定価格の基礎とする理由として、 区独自の積算見積りは多大な時間と費用を要するので費用対効果の観点から業者の見積りを採用せざるを 得ないとの回答を得た。
(指摘事項)
見積書の精査に調査会社等を使えば多大な費用を要するであろうが、本来、 区独自で調査した積算見積りをすべきである。 現に「資源回収事業に係る古紙・び ん・缶回収業務委託、資源回収事業に係る古紙・缶・びん資源化業務委託」に関 し、予定価格の基礎となる積算見積りについては、東京都の積算基準を参考にし て杉並区が積算見積りを行っている。また 、「 杉並区集団回収事業委託」と「 杉並 区リサイクルひろば高井戸普及啓発事業委託」に関しては、杉並区独自の積算見 積りを行っている。仮に事業者の見積りに依拠せざるを得ない場合であっても、 複数社の資料を入手し比較し積算見積りを行うか、見積書の内容を精査すべきで ある。
イ)予定価格の妥当性について
今回 、監査 対象として検討した平成 16 年度の契約は全て契約金額が予定価格の 90 %以上となっている。予定価格と契約金額との比率の要約結果は以下のとおり である。
〔予定価格と契約金額との比率の要約(監査対象契約数 21 件 )〕
<競争入札-合計契約数 2 件>
総価契約(契約数-1 件) | ||
比率 | 契約数 | 契約額 |
93.6 % | 1 | 7,770 千円 |
単価契約(契約数-1 件) | ||
比率 | 契約数 | 契約単価 |
94.8 % | 1 | 13,440 円 |
<随意契約-合計契約数 19 件>
総価契約(契約数-10 件) | ||
比率 | 契約数 | 契約額 |
100 % | 8 | 304,876 千円 |
99.9 % | 1 | 6,577 千円 |
93.3 % | 1 | 36,222 千円 |
合計 | 10 | 347,675 千円 |
単価契約(契約数-9 件) | ||
比率 | 契約数 | 契約単価 |
100 % | 7 | 2 円 835 銭~ 95,256 円 |
- | 2 | (注 1 ) |
合計 | 9 |
(注 1 )雇 上会社との契約で東京二十三区清掃協議会が契約事務を行っているため杉並区では予定価格を把握していないので記載を省略した。
予定価格と契約金額との比率が 100 % になっている契約の過去 3 年間の契約金額を比較すると以下のとおりである。
〔過去 3 年間の契約金額の推移〕
契約名 | 平成 14 年度 | 平成 15 年度 | 平成 16 年度 |
A (総価契約) | 31,241 千円 ( 100.0 ) | 28,073 千円 ( 89.9 ) | 27,857 千円 ( 89.2 ) |
B (総価契約) | 211,528 千円 ( 100.0 ) | 196,228 千円 ( 92.8 ) | 189,555 千円 ( 89.6 ) |
C (単価契約) | 3.045 円 ( 100.0 ) | 2.887 円 ( 94.8 ) | 2.835 円 ( 93.1 ) |
D (単価契約) | 22.375 円 ( 100.0 ) | 22.323 円 ( 99.8 ) | 22.239 円 ( 99.4 ) |
E (単価契約) | 24.990 円 ( 100.0 ) 105 円 ( 100.0 ) | 24.066 円 ( 96.3 ) 105 円 ( 100.0 ) | 23.436 円 ( 93.8 ) 105 円 ( 100.0 ) |
F (単価契約) | 27,877 円 ( 100.0) 30,859 円 ( 100.0) | 27,111 円 ( 97.3) 30,019 円 ( 97.3) | 26,743 円 ( 95.9) 29,610 円 ( 96.0) |
G (単価契約) | 8.4 円 ( 100.0 ) 78.75 円 ( 100.0 ) | 8.4 円 ( 100.0 ) 78.75 円 ( 100.0 ) | 8.4 円 ( 100.0 ) 78.75 円 ( 100.0 ) |
H (総価契約) | 5,642 千円 ( 100.0 ) | 5,642 千円 ( 100.0 ) | 5,642 千円 ( 100.0 ) |
I (単価契約) | 70,560 円 ( 100.0 ) 95,256 円 ( 100.0 ) | 70,560 円 ( 100.0 ) 95,256 円 ( 100.0 ) | 70,560 円 ( 100.0 ) 95,256 円 ( 100.0 ) |
J (単価契約) | 48.3 円 ( 100.0 ) | 48.3 円 ( 100.0 ) | 48.3 円 ( 100.0 ) |
契約名 | 平成 14 年度 | 平成 15 年度 | 平成 16 年度 |
K (総価契約) | 25,499 千円 ( 100.0 ) | 26,264 千円 ( 103.0 ) | 26,264 千円 ( 103.0 ) |
L (総価契約) | 4,577 千円 ( 100.0) | 5,453 千円 ( 119.1) | 5,831 千円 ( 127.4) |
M (総価契約) | 34,322 千円 ( 100.0 ) | 34,322 千円 ( 100.0 ) | 34,322 千円 ( 100.0 ) |
N (総価契約) | - | - | 7,425 千円 (-) |
O (総価契約) | - | 1,341 千円 ( 100.0 ) | 7,980 千円 ( 595.1 ) |
(注 1 )括弧内の数字は平成 14 年度を 100 としたときの指数である。
(注 2 )単価契約の場合単価による比較である。
(注 3 )Mは賃貸借契約。
(注 4 )Nは平成 16 年度からOは平成 15 年度からの委託事業である。
AからE までの契約( 5 件分)は杉並区が予定価格の積算見積りしている契約であるが、予定価格を決める前に業者に対して値下げ交渉を行い、前もって決め た交渉価格を予定価格とするためであるとの回答を得た。従って自ずと予定価格 と契約価格は一致するということである。確かに、過去 3 年間の契約金額を比較すると、 値下げ交渉の努力のあとが伺える。
(指摘事項)
予定価格決定前に指定予定業者と契約金額の交渉を行うことには問題がある。あくまでも予定価格設定のための積算見積を行う範囲内での情報収集に止め、契 約金額は随意契約の契約時に決定すべきである。
上記以外の契約では過去 3 年間、契約金額・ 契約単価に変動のない契約が 5 件あり、なかには契約金額・契約単価が前年より増加又は年々増加している契約の ものが 3 件ある。 他の 2 件は区独自の積算見積りを行っている契約ではあるが、平成 15 年度中及び平成 16 年度に委託事業を開始した契約のため過去3年間の比較ができないものである。
(意見)
過去 3 年間、金額・単価等に変動がないということは、予定価格設定時の積算見積が適正であったかについて疑問が残る。 また、金額等の増加がある契約につ いては、業務内容の変更があったため金額等の増額があったとの担当所管からの 回答を得たが、業務内容の変更を踏まえた予定価格設定時の積算見積が適正であ ったのか、又複数者からの見積を入手し検討する等の措置はなされていたのかと いう点で疑問が残る。過去 3 年間の契約金額・ 契約単価に変動のない契約については特に注意して頂きたい。
競争入札は指名競争入札 1 件と条件付一般競争入札の 1 件であり、落札率は 93.6 %、94. 8 %となっている。なお、平成 16 年度における杉並区全体の一般競争 入札の落札率は 91 .23 %であった。これに対し、 随意契約の場合は予定価格と契約価格にあまり差異がなく、中には、予定価格と契約価格がまったく同額のもの も見られた。
(指摘事項)
随意契約の場合予定価格と契約価格にあまり差異がない理由としては、 指定予定の業者からの見積書を参考に予定価格を設定しているため指定予定業者がある 程度予定価格を推測できることが原因と考えられる。今回サンプルとして検討し た随意契約は全て一者指定のため、契約価格は競争による経済性が反映されてお らず、また予定価格の積算方法にも問題がある。
積算見積りの段階で、区独自の積算ないしは複数者からの見積入手と見積内容の精査等を実施すべきである。指定予定業者からの見積りを予定価格の基礎とし ている現状では 、設定される予定価格が妥当な ものであるかについて疑問が残る。
ウ)単価契約と総価契約について
契約価格の決め方として単価契約と総価契約がある 。杉並区も契約形態として、 両方の形態を採用しているが 、どちら の契約方法を採用するかの判断については、一年間予定数量の見込みが立てられないものにつき単価契約をしているとの回答 を得た。
(意見)
予定数量につき増加傾向にあるものは、積算内容の中には固定費部分もあることを考えると、全て単価契約にするのではなく固定費部分を考慮し固定金額と単
価契約を併用した契約方法についても検討すべきと思われる。
⑤その他の契約上の問題点
ア)リサイクルひろば高井戸賃貸借契約(随意契約)について
・賃貸人 甲( 個人)
・賃借物件 リサイクルひろば高井戸(建物)杉並区高井戸東 3- 7- 4
鉄筋コンクリート 4 階建一部 5 階建 750 . 80 ㎡
・契約条件 賃貸料 34 ,322 千円( 年額)
契約期間 20 年
本賃借物件は建設当初より建物の所有者である個人から上記賃貸条件にて賃借を受け、NPO法人すぎなみ環境ネットワークに使用貸借(無償貸付但し水道光 熱費は実費負担)している。NPO法人すぎなみ環境ネットワークは本件建物を リサイクルひろば高井戸として家具等の修理販売事 業( 自主事業 )、及 び各種リサ イクル啓発事業( 委託事業)の実施に使用している。
なお、すぎなみ環境ネットワークは杉並リサイクル協会がNP O法人に改組したものであり、杉並区のリサイクル活動を推進していくため、杉並区より補助金 及び委託を受けて活動している営利を目的としない団体である。
(指摘事項)
N P O 法人(旧杉並リサイクル協会) に対する使用貸借は「財産の交換、 譲与、無償貸付等に関する条例」 第 4 条により認められるものである。
担当所管の説明によれば本件については第 4 条第 2 項の「特に必要があると認 めるとき」に該当するため使用料を免除したとのことであるが、契約関係書類で は「財産の交換、 譲渡、無償貸与等に関する条例第 4 条に基づき、無償とする 。」としか記載されておらず第 2 項に該当する旨及び第 2 項の「特に必要と認められ るとき」に該当する具体的な理由が記載されていなかった。使用料免除の根拠規 定及びその具体的理由について契約関係書類上も明確に記載しておく必要がある。
N P O 法人は無償貸与を受けたリサイクルひろば高井戸の建物を区が委託した普及啓発事業以外の自主事業(中古品再生販売)に使用している。自主事業に使 用している部分が公共用・公益事業の用に供しているかについては疑問が残る。 自主事業に供している部分に対しても無償貸与の対象とすることには問題がある
と考えられる。本来であれば自主事業で使用している部分については正規の使用 料を徴収し、その事業内容が補助金等の支給要件を満たすのであれば補助金等を 支給し事業の育成をはかるべきであると考える。また、現状の使用料免除は実質 的な補助金であると考えられるがその金額が区民に情報開示されない点からも問 題がある。
(意見)
将来キャッシュ・ フロ-の観点から考えると、今後も賃貸借契約を継続し賃借料を払い続ける場合と区が建物を買い取った場合とどちらが区の財政面から有利 となるかについて検討する必要があると考えられる。
イ)資源回収事業にかかる普通貨物車の雇上委託(随意契約)について
杉並リサイクル事業協同組合との「 資源回収事業にかかる普通貨物車の雇上委託」に関する契約は杉並清掃事務所本所及び方南支所がそれぞれ契約事務を行っ ている。このうち本所の契約書及び仕様書の記載内容に一部契約実態では必要と 考えられない条項が記載されている等不備が見受けられた。なおこの条項は契約 の履行には直接関係なく、委託費の計算も契約実態どおりに行われており、結果 的に財務上の影響はなかった。
(指摘事項)
契約書作成時に契約内容を十分吟味せず作成したために発生したミスである。契約書作成時には契約内容を十分吟味して不要な支出負担が発生しないよう実態 に即した内容の契約書を作成する必要がある。
(3)業務の委託化についての検討課題
ごみ収集・運搬業務の民間委託化を検討するために、 収集作業の現状について担当所管にヒアリングを実施するとともに関係書類の提出を受け閲覧し、民間委 託化にあたっての検討課題をピックアップした。
①平成 16 年度ごみ種別車両契約等の概要について
平成 16 年度のごみ種別の雇上契約( 雇上 52 社)の実績及び車両の配車状況は以下のとおりである。
ご み 種 等 | 車 両 種 | 直 営 | 雇 上 契 約 | 合 計 | |||||||
台数 | 台数 | 週台数 | 支出 済 額( 千 円) | 台数 | |||||||
平均 基 本単 価 ( 注 1 ) ( 円 ) | 年 | 1 台あ たり (注 6) | |||||||||
ごみ | 可 燃 不 燃 | 収集 | 小型 特 殊車 | - | 8 | 48 | 50 k m | 47, 550 | 700 , 8 92 | 16 , 29 9 | 8 |
60 k m | 49, 440 | ||||||||||
小型 プ レス 車 | 21 | 33 | 198 | 50 k m | 49, 550 | 54 | |||||
60 k m | 51, 510 | ||||||||||
70k m | 51, 870 | ||||||||||
新大 型 特殊 車 | - | 2 | 12 | 40k m | 55, 800 | 2 | |||||
中 継 | 大 型 特 殊 車 | - | 16 . 5 ( 注 2) | 99 | 130k m | 77, 930 | 452 , 5 02 | 27 , 42 4 | 16 . 5 | ||
粗 大 | 収 集 | 小型 ダ ンプ 車 | - | 9 | 54 | 30k m | 42, 790 | 129 , 5 52 | 14 , 39 4 | 9 | |
50k m | 46, 530 | ||||||||||
中 継 | 中型 プ レス 車 | - | 3.5 ( 注 2) | 21 | 100k m | 65, 120 | 79 , 62 9 | 22 , 75 1 | 3.5 | ||
150k m | 70, 170 | ||||||||||
資源 | 古紙 | 収集 | 普通 貨 物車 ( 注 3 ) | - | 11 | 66 | 80k m ま で | 25, 470 | 106 , 5 96 | 9,690 | 11 |
び ん | 普 通 貨 物 車 | - | 3 | 18 | 80k m ま で | 25, 470 | 39 , 48 6 | 13 , 16 2 | 3 | ||
缶 | 新 小 型 特 殊 車 ( 注 3 ) | - | 3 | 18 | 40k m | 69, 838 | 80 , 13 9 | 26 , 71 3 | 3 |
資源 | 混 合 | 収集 | 軽 四 輪 貨 物 自 動 車 (注 4 ) | 14 | 6 | 36 | 50k m ま で | 22, 050 | 各 資 源 に 按 分 し て 参 入 | - | 20 |
ペ ッ ト ボ ト ル | 新小 型 特殊 車 ( 注 3 ) | - | 3 | 18 | 20k m | 54, 719 | 54 , 16 3 | 18 , 05 4 | 3 | ||
40k m | 58, 709 | ||||||||||
プ ラ ス チ ッ ク | 小型 プ レス 車 ( 注 5 ) | - | 2 | 4 | 80k m | 53, 760 | 8,710 | 13 , 06 5 | 2 | ||
し 尿 | 中 継 | 大 型 吸 上 車 | - | 1 | 6 | 70k m | 63, 320 | 19 , 77 9 | 19 , 77 9 | 1 | |
計 | 35 | 101 | - | - | - | 1,671 ,453 | - | 136 | |||
予備 車 ( 小 型 プレ ス 車) | 9 | - | - | - | - | - | - | 9 | |||
合 計 | 44 | 101 | - | - | - | - | - | 145 |
上記表には、夜間収集( 56 ,943 千円) を含まず、古紙の中に民間業者(杉並リサイクル事業協同組合、1 日 3 台配車、週 6 日稼動、契約単価は雇上 52 社単価と 同一)の金額( 25 ,009 千円) を含めている。
(注 1 )消費税別。祝日単価は、基本的に表中の単価に 15 %を乗じた金額。
(注 2 )曜日により、配車台数が異なるため、平均台数を用いている。
(注 3 )収集作業員付きの配車。缶は 2 人/ 台、ペットボトルは 1 人/ 台。単価には、 作業員付加金を加算。
(注 4 )狭小路対策、ふれあい収集用に軽小型車両を雇い上げている。
(注 5 ) プラスチックは、年度の前半は週 4 台、後半は事業拡大に伴い週 8 台配車を 行っている。
(注 6 )年間支出予定額を 1 日あたり台数(プラスチックについては他と条件を同じ にするため、週 6 日稼動に換算)で除して算出している。
上の表のとおり、 平成 16 年度現在収集車両は 145 台あり、その内訳は直営車 44 台( うち予備車 9 台)、雇上車 101 台(うち雇上会社以外の民間業者 3 台) であり、雇上車が全体の約 80 % ( 予備車を除いた車両数量ベース)を占めている。
雇上契約については、東京二十三区清掃協議会で契約事務を行っている。実際 の契約事務は東京二十三区清掃協議会が雇上会社 52 社との間で契約条件の交渉 を行い、その結果に基づき各雇上会社と東京二十三区清掃協議会が杉並区の名に 基づき特命随意契約によ り「 廃棄物運搬請負契 約(単価 契約 )」を締 結している。 このため杉並区が直接契約事務を行っていない状況にある。なお雇上会社にはこ れまでの間、新規参入は事実としてない状態となっている。
表のうち可燃・不燃ごみの小型プレス車についてみてみると、 雇上契約 1 台当 たり年間コスト( 支払額)は約 16 百万円となっており、これを含め、雇上契約金額(単価)が高額なものになっているのではないかという疑義が生じたが、業者 からの見積書を区として入手しておらず 、また 、杉並区と して独自に契約金 額( 単価)の妥当性について十分な検討を行っていない状況にある。
(意見)
清掃事業が区に完全に移管される平成 18 年 4 月以降は 、杉並区が 直接契約事務を行うことも想定される。この場合、雇上会社以外の民間事業者を含め杉並区が 直接契約を行うことも考えられ、契約方式も一般競争入札が原則となり一定の条 件を満たす場合に随意契約が可能となると考えられる。 よって、 現在の雇上 52社以外の一般民間業者が参入する機会を作ることができれば 、競 争性が確保され、それに伴うコスト削減効果が期待できると考えられる。
また 、契 約形態についても現在の運転手付き車両の雇上契 約(単 価契約 )か ら、収集作業を含めた委託契約に変更することが可能となり、単価契約から総価契約 に変更することも可能となる。委託先に効率的な業務執行が求めえる契約形態に 変更することによりコスト削減効果が期待できると考えられる。
②直営車のコストの内訳の推定
現在、区が直接保有する清掃車両は 44 台(うち予備車 10 台)である。区が収集車を直接保有することが適当であるかを検討するには、まずは、区直営車のコ ストと雇上契約金額との比較を行う必要があり、以下の表において、区直営車の コスト(運転手人件費含む)の推定を行った。なお、ここでは区で保有台数が多 い小型プレス車( 可燃・不燃ごみ収集)について検討する事とする。
〔平成 16 年度実績〕
費目 | 金額 (千円) | 計算式 | 備考 |
減価償却費 | 1,200 | ( 平 均 7, 000 千 円- 売却 実績平均 1,000 千円 )÷ 5 年 | |
燃料費 | 445 | 11, 133 千円÷25 台 | 平成 16 年度実費を 25 台(予備車は 10 台×0. 5 台換算=5 台)で除して算出 |
費目 | 金額 (千円) | 計算式 | 備考 |
登録費 | 159 | 4 , 781 千円÷30 台 | 平成 16 年度実費(車検その他) |
修繕費 | 313 | 9 , 416 千円÷30 台 | 平成 16 年度実費 |
運転手人件費 (区職員が主) | 10,022 | 平 均 年 収 720 万 円 ×1. 16÷5 日×週 6 日稼働 | 1.16 =社会保険料区負担平均 |
整備職員 人件費 | 760 | 平 均 年 収 720 万 円 ×1. 16×4 名÷44 台 | 小型プレス 30 台+軽ダンプ等 14 台 = 44 台 |
高円寺車庫 減価償却費 | 855 | 25, 662 千円÷30 台 | 高 井 戸 車庫は 清 掃 工場内 の た め、 償却 費 0 |
高円寺車庫 維持管理費 | 1,001 | 30, 032 千円÷30 台 | 駐車状況( 高円寺 14 台、高井戸 16 台) |
高井戸車庫 維持管理費 | 472 | 14, 187 千円÷30 台 | |
小 計(直接 費) | 15,227 | ||
その他 間接諸経費 | 1,522 ~ 3,045 | 上 記 直 接 経 費 ×10 % ~ 20 % | 概算 |
合計 | 16,749 ~ 18,272 |
短時間による概算計算であるが上記によると、区直営車のコストは年間 16 ~ 18 百万円程度となり、雇上契 約( 小型プレス車 1 台で年間約 16 百万円)の方が安い結果となった。ただし収集運搬業務を民間委託化した場合のコスト削減は過去の 調査によると半額程度の額となっているとの調査結果がある。直営車とのコスト 比較の結果は 2.7 %~ 10.8 %の削減率となっている 。これ は結果として雇上契約に おける人件費が公務員並みに算定されているためと考えられる。
なお 、区は 現在 、退職 による自然減分を雇上契約に切り替えている状況である。
(指摘事項)
上記試算は短時間による概算でもあるので、 直営車を雇上契約に切り替えて本 当にコスト削減になるのかについてのより詳細な検討を区として独自に実施する 必要がある。
③直営車の保有台数の過大について
杉並区では清掃車両の予備車を現在 10 台保有しているが、最近の 4 ~ 7 月の稼 動実績を調査したところ、 稼動車両は平均 2 台、最大 6 台であった。
(意見)
予備車の保有台数が多すぎると考えられる。なお、区としては、平成 17 年度に車庫を統合したための余剰と考えており、今後計画的に適正台数まで減らすとの ことである。
④収集作業員の人件費(都の派遣職員)について
平成 17 年 4 月 1 日現在、環境清掃部職員(常勤) は 347 人在籍しているが、うち都の派遣職員( 常勤)が 277 人を占めている。またこのうち収集作業員(常勤)が 256 人とそのほとんどを占めている。なお、 ここでいう収集作業員とは、 事務系職員及び技能長を除いた技能系職員(収集車運転手、苦情窓口、自動車整備を 含む)である。
(単位: 千円)
区分 | 都の派遣職員 | うち収集担当 | ||||||||
給与 総額 | 1 人当たり給与 | 人数 | 給与 総額 | 1 人当たり給与 | 人数 | |||||
平均 | 最大 | 最低 | H17. 3. 31 (H 17 .4 .1 ) | 平均 | 最大 | 最低 | H17. 3. 31 (H 17 .4 .1 ) | |||
常勤 | 2,019 ,960 | 7,060 | 10 , 45 0 | 4,120 | 286 人 ( 277 人 ) | 1,809 ,620 | 6,910 | 9,970 | 4,120 | 262 人 ( 256 人 ) |
再任 用 | 22 , 73 0 | 3,790 | 3,810 | 3,750 | 6 人 ( 10 人 ) | 22 , 71 0 | 3,790 | 3,810 | 3,750 | 6 人 ( 10 人 ) |
嘱託 員 | 70 , 71 0 | 2,360 | 2,440 | 2,390 | 30 人 ( 22 人 ) | 70 , 71 0 | 2,360 | 2,440 | 2,390 | 30 人 ( 22 人 ) |
計 | 2,113 , 400 | - | - | - | 322 人 ( 309 人 ) | 1,903 ,040 | - | - | - | 298 人 ( 288 人 ) |
(注 1 )常勤職員は平成 16 年源泉徴収票の支払総額。
(注 2 ) 再任用職員、嘱託員は、4 月から任用させるため、4 ~ 3 月分までの支払総額 を集計
(注 3 )給与総額は、平成 17 年 3 月 31 日現在の人数に見合った金額であり期中退職 者等を含まないため、決算額とは異なる。
(意見)
上記表からもわかるとおり、収集職員の給与が平均で約 700 万円であり、民間 に比べ高い水準にあると考えられる。なお、 現在区と契約している業者の収集作 業員の外注金額は以下のとおりである。
・雇上業者----------------------1 日あたり 11 ,129 円
・その他民間業者(T社)--------1 日当たり 11 ,500 円
上記を年間に直すと 300 万円弱( 250 日稼動で計算)であり、これを民間委託金額(世間相場) と考えると、現在区は 2 倍以上の人件費を負担していることになる。よって、経済性・効率性の観点からは直営から民間への業務委託化をより 進めていくことが望まれる。
⑤配車・配員計画のについて(過剰配車・配員の可能性について)
(年間配車計画の方法)
収集車両については以下の方法により、年間配車計画台数を算出しており、こ の配車計画台数に基づき雇上会社との間で 1 年間契約を締結している。
① 翌年度のごみ量( 日量)を推計する
以下の算式により、年間のごみ量を算出する
(ア)当年 4 ~ 6 月実績総量
(イ)当年 7 月以降総量推計
=前年以前 2 年間 7 月以降平均日量÷前年以前 2 年間 4 ~ 6 月平均日量
×当年 4 ~ 6 月実績日量×当年 7 月以降作業日数
(ウ)当年総量推計=(ア)+(イ)
(エ)当年日量推計=(ウ)÷当年作業日数±区独自の日量の増減
② ①÷0.93 とし、日量下限を決める。
③ 日量下限÷清掃車両の基準積載量= 1 日あたり必要延べ台数
④ 配車確保台数=③ ÷1 台あたり収集可能回数
⑤ 車検時や事故時の代替車両として予備車を一定台数確保する。
(意見)
・ 上記①の計算結果は当年の推計になっており 、翌年の推 計になっていない。結果としてごみ量の減少傾向が続くと 、配車台数 及び収集作業員の配員数が過剰になっている可能性がある。
・ ②の「 0. 93 で割り戻す」ということは、上記と同様に、 約 7.5 %(= 1 ÷0.93 )の過剰配車・過剰配員を導いている可能性がある。そもそもこの計算は、季節
変動要因その他を総合的に勘案してごみの収集漏れがないような安全な配車計画をするための数値であるということであるが 、労 使交渉の結果でもあるとの事であり 、この 数値の適正性をデータ分析して判断する資料が存在しなかった 。「 0.93 で割り戻す」を使用するのであればその根拠について明確にする必要がある。
・ 上記 2 つの結果、 最大約 10 %の過剰があると仮定すると配車の約 80 %を占める雇上車(総額約 17 億円) の費用のうちの 10 % にあたる約 1.7 億円が過剰と なってくる。また、 収集作業員の人数も同様に最大で約 10 %が過剰となってくる。
⑥配員計画上の予備人数の算定方法について
配員計画上収集作業員(運転手、狭小路地対策作業員等を除く作業員) の「予 備人数」 の算定方法は、以下のとおりとなっている。
本所 | 方南支所 | 計 | 備考 | |
必要人数 | 87 人 | 57 人 | 144 人 | |
週休代替要員 | 18 人 | 12 人 | 30 人 | 週休 2 日制を週 6 日稼動に修正 |
小計 | 105 人 | 69 人 | 174 人 | |
予備人数 | 13 人 | 8 人 | 21 人 | 12 %増 |
計 | 118 人 | 77 人 | 195 人 |
上記のうち 、「 予備人数」の算定方法についてであるが、これは、有給休暇( 年間 20 日完全消化を予定 )及び 事故時の代替要 員( 待機要員)をその内容の主としているとのことであり 、労使 協定の結果 、従前 から 12 %増として計算されている。
(意見)
例えば有給休暇を 20 日間完全消化すると仮定しても、
・ 必要人日= 174 人×261 日勤務= 45,414 人日
・ 必要職員数= 45,414 人日÷241 日(有給 休暇 20 日消化後実際勤務日数 )= 188.4
人
であり、 6.6 人(195 人- 188.4 人)の過剰人員が生じることとなる。
実際に、収集担当職員の中には、 いわゆる待機状態の員数が常時、本所・方南 支所の各所で各 2 ~ 3 人、合わせると 5 ~ 6 人程度はいるとのことであり、予備人数が過剰であった事の結果である。
なお、非常時の代替要員が必要であることは十分理解できるが、別の業務をし
ている職員でも十分代替でき 、「予 備人数 」とし て常時一定数確保して待機させておく必要はないと考えられる。
⑦2 人乗車と 3 人乗車について
現在区では 、収集 車 1 台につき 3 人乗 車( 収集作業員 2 人 )体制 をとっている。他の自治体や民間業者では 2 人乗車体制をとっているケースも少なくない。例えば三鷹市では全面民間委託し、ほぼ 2 人乗車体制をとっている。
そこで、 杉並区でも 2 人乗車体制はとれないか検討するとともに、その場合の コスト(収集作業延べ時間の減、収集車両台数の増とこれに伴う雇上契約車両台 数の増等)増減について試算することとした。
・ 運転手が収集作業をしていない理由(区よりの回答)
圧縮板及び回転板がエンジン稼動中でないと作動せず 、エンジン 稼動中に運転手が運転席を離れるのは道路交通法違反となる 。よ って運転手が収集作業をする場合はいったんエンジンを切って収集作業を補助し 、そ の後運転席に戻っ てエンジンを稼動させて圧縮板等を動かす… という作業の流れになり 、狭小道 路が多い(特に環状 7 号線沿線、JR 駅周辺、 神田川周辺)杉並区では、 それが交通渋滞を招く可能性がある。
(指摘事項)
運転手が収集作業をできないケースが多いとしてもそれは全ての車両において 3 人乗車しなければならない積極的な理由とはならない。少なくとも 2 人乗車を 検討することに関しては障害とはならない。 狭小道路は杉並区の全地域ではない ので一部 2 人乗車が可能な地域について実施したり、また夜間等一部時間帯について 2 人乗車を実施することは不可能ではないと考えられる。 また近隣の自治体では 2 人乗車を実施しているのも事実である。しかし区は、労使協定で 3 人乗車が前提となっており、さらに労働安全衛生確保の観点から、 2 人乗車制は検討さ れておらず、 2 人乗車制導入時のコスト計算に必要な基礎データが入手できない ことから今回コストを試算することができなかった。
少なくとも 2 人乗車の可能性について近隣自治体の状況等調査研究を行い可能 性を検討する必要がある。
(4)業務の委託化を進めた場合のコストメリット試算
①古紙についての民間委託との比較
現在、民間業者に収集作業を委託しているのは、資源のうちの一部のみである
(民間委託率は、 びん 70 % 、古紙 30 %、缶 100 % )。委託 していない資源については、雇上車に作業員 2 名(主として都の派遣職員 1 名と人材派遣 1 名)で区が 回収している。
このうち、以下において、 古紙について、雇上車両による区の収集コストと民間委託金額の比較を行なった。
〔平成 16 年度〕
区の収集(雇上契約) | 民間委託 | ||
収集作業員 | 2 名 | 0 名がほとんど (運転手が収集も行う) | |
直接 コスト (千円) | 外部支払実績 | 106,596 千円 (日当による雇上契約) | 27,857 千円 (地域単位の年間契約) |
人件費 (職員 1 名) | 収集職員平均 6,910 千円 ×1.16 ×11 台÷5 日×週 6 日稼動= 105,805 千円 | ||
人材派遣実額 | 41,175 千円 (≒日当 12 千円×11 台× 310 日) | ||
計 | 253,576 千円 | 27,857 千円 | |
回収量 | 16,739 t | 2,620 t | |
t当たり価額 | 15,149 円 | 10,632 円 | |
比率 | 100 % | 70 % |
(注 )上記は間接経費を考慮していないが 、考慮すればさらに両者の格差は広がるこ ととなる。
(現状)
現在のところ区として資源の全面委託化についての検討は行われていないが、
「杉並区民営化・民間委託の方針」に基づき、早急に資源の全面委託化について その可能性を検討したいとの回答であった。
(指摘事項)
区は、民間委託化の方が経済性・効率性があるとの認識がありながらも、 上記のようなコスト比較を行っていない。経済性・効率性の観点からごみ収集事業の 民間委託化についてより詳細に検討する必要がある。
②民間に全面委託した場合のコスト比較
民間に全面委託した場合のコストを試算することとする。
〔前提条件〕
⚫ 試算のベースとして、平成 15 年度( H15.4.1 ~H16.3.31 )の行政コストデー タを使用する。
⚫ 一部事務組合負担金について 、今後人 口割りで負担する方向で見直しが行われているが、今回の試算では現状の人口割を前提に算定している。
⚫ 収集運搬職員(職員 311 人) を全て民間に委託すると仮定する。なお、職員の異動先が問題となるが 、ここでは 全員が別部門に異動できると仮定する。
⚫ 民間委託金額は、 近隣自治体の最近の実績値(全ごみ種 1 日当たり 90 千円/台、夜間は 117 千円) を基とする。ただし、この金額が妥当なものか 否かについては、 検討していない。
〔試算結果〕
平成 15 年度 (A) | 試算結果 (B) | 差額 =(B )-(A) | |
事業コスト | 7,909,383 | 6,543,331 | ▲ 1,366 ,052 |
人件費( 職員費等) | 3,187,141 | 735,082 | ▲ 2,452,058 |
人件 費(退 職給与引当金繰入) | 16,757 | 15,558 | ▲ 1,199 |
減価償却費 | 201,675 | 75,539 | ▲ 126 ,136 |
経費 | 4,503,811 | 5,717,152 | 1,213,341 |
(内訳) | |||
一部事務組合負担金 | 2,158,288 | 2,158,288 | - |
廃棄物運搬請負契約に基づく費用 | 1,412,581 | 275,600 | ▲ 1,136 ,981 |
委託費 | - | 2,506,504 | 2,506,504 |
その他 | 932,942 | 776,760 | ▲ 156,182 |
(注 1 )出典 :「ざい せい 2004 」(杉並区 )
(注 2 )上記試算結果の中の一部事務組合負担金は、現状の人口割りを前提に算 定 し て い る が 、 ご み 排 出 量 割 り で 算 定 す る と 693,271 千 円 減 少 し
1,465,017 千円になる。
〔試算結果の説明〕
項目 | 試算内容 | |
① | 人件費( 職員費 等) | 収集作業の民間委託により 、現状の直 営による現業部門の 人件費が大きく減少する 。結 果として、行政コスト上の人 件費は、 主に管理部門の在籍者相当分となる。 |
② | 減価償却費 | 民間委託により 、清 掃事業所及び分室に関連する償却費は 試算上除外する 。主 要施設である 2 つの事務所から生じる償却費は現状のままとする。 |
③ | 廃棄物運搬請負 契約に基づく費 用 | 今回の試算では 、雇 上業者以外の民間業者に収集業務を委託した場合を想定しているため 、こ こでは中継業 務(杉 並中継所・粗大ごみ中継 )に係 る雇上費用を除き発生コスト をゼロと置く。 |
④ | 経費その他 | 収集運搬業務に関係する費用(車両維持費・事務所維持費 等)が減少する。 |
〔参考 〕「 地方行革への手引、公立と民間とのコストとサービス比較、全国延べ
316 自治体からの報告とその分析」より
地方自治経営学会が、平成 10 年度決算に基づいて、公立つまり自治体直営を 100 とした場合の民間のコスト 14 項目について分析した報告書であ る「地方 行革への手引、公立と民間とのコストとサービス比較、全国延べ 316 自治体からの報告とその分析」から、以下、ごみ収集事業に関する部分の要点を引用することと する。
(イ) コスト比較
・ 可燃ごみの収集についての直営と委託のトン当たり経費の比較 直営 18 ,389 円 委託 8,208 円 委託÷直営= 44 . 6 %
・ 不燃ごみの収集についての直営と委託のトン当たり経費の比較 直営 40 ,299 円 委託 21,825 円 委託÷直営= 54 . 2 %
(ロ) コスト高の要因
コスト高の要因は「働き量」に大きな差があるためと思われる。
・働き量(収集職員 1 人当たり年間ごみ収集量)についての直営と委託の比較
直営 477 t 委託 957 t 委託÷直営= 2.0 倍
・働き量(収集量)に差がある原因
1 車当たり乗車人員の差(民間は平均 2. 1 人、直営は平均 2. 7 人) 稼働時間の差
積載量の差
この報告によると、ごみ収集業務を民間委託化してもサービスの低下があった と回答した自治体はないとのことである。
(指摘事項)
民間委託すると、① の古紙についてのみの試算では約 30 %有利となり、② の全て民間委託した場合の試算でも約 13 .7 億円( 17 .2 %) 有利となったが、余剰とな る収集職員全員の受け入れ部門がない事もあり 、一度に実行できるものではない。
しかしながら、ごみ収集業務の民間委託化について区としてさらに詳細な試算を実施する必要がある。また民間委託化が種々の制約から一度に実施できない場 合でも、民間委託化可能な部分を探し段階的に実施することを検討する必要があ る。この際もっとも大きな制約条件である余剰人員の受け入れ先を確保する等の 最善の対策を十分検討する必要がある。
Ⅱ.家庭ごみ有料化を導入する場合の受益と負担の適正化の検討
ごみ減量施策のひとつとして「家庭ごみの有料化」が全国的に多くの自治体で導入または検討されている。ごみの排出者に対して適正な負担を求めることによ って、排出者の当事者意識を高め、また減量努力を経済的利益として享受できる ため、費用負担の公平性を促すことにもつながる。しかしながら、その実施過程 においては負担者である住民との合意形成をはじめ、 多くの課題がある。
(1)家庭ごみの有料化
ごみの有料化は自治体が収集、運搬、処分するごみのうち、日常的に排出されるごみに対し、その手数料を排出者から徴収する制度と定義される(粗大ごみ、 一時多量排出された臨時ごみの有料化は除かれる )。
ごみの減量及び資源化に効果的な施策として家庭ごみの有料化が提言され、 各自治体が導入を始めているところである。
家庭ごみの有料化導入に際して以下のような課題が考えられている。
⚫ 有料化実施の方向性と体制整備
⚫ 有料化の目的及び住民との合意形成
⚫ 有料化の手法(料金体系、 手数料額の設定、 徴収方法等)
⚫ 有料化に伴うその他の課題(戸別収集、不法投棄対策等)
①全国の家庭ごみ有料化の傾向
全国都市清掃会議の調査結果「家庭系ごみの有料化の状況」によると、 有効回答のあった 1,270 自治体のうち 533 自治体( 42 . 0 %) が家庭系一般ごみの有料化をすでに実施しており、有料化を実施していない自治体でも 223 自治体( 17 .6 %) が家庭系一般ごみの有料化を検討ないし予定している。当面有料化を実施しない と回答があったのは 428 自治体( 33 .7 %)であったが、 有料化を実施しない主な理由としては住民の理解を得がたいこと、不法投棄の増加が懸念されることであ った。また、環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成 13 年実績 )」に よると、 全国の 3,264 自治体のうち、 粗大ごみを除く生活系ごみ(一時多量排出されたごみを含む)を有料化している自治体は 2,375 自治体( 72 . 8 % )となって いる。
② 特別区の傾向
平成 17 年 9 月現在 、特別区で 粗大ごみ以外を有料化している事例はない 。こ れは、平成 12 年 4 月に清掃事業が東京都の事務事業から 23 特別区の事務事業に移 管されるまで、長きにわたり同事業が東京都の管轄であったことや、中間処理は 特別区が共同で設立した東京二十三区清掃一部事務組合が行い、また、最終処分 は東京都の管轄であり、特別区は共同で分担金を負担する等、主要な施設が一部 事務組合あるいは東京都の所有物であり、特別区全体の調整を図る必要があった こと等を主な理由としているものである。
今後は、 ごみ量の削減、費用負担の公平性、 循環型社会の形成、最終処分場の 延命といった社会的な要請が益々強くなることが予想されるところであり、清掃 事業に対する各区長の意向等がより鮮明に反映されるようになれば、各区ごとに ごみ処理事業に対する対応が変わってくることが予想される。その結果、各区に おいて家庭ごみ有料化の検討が具体化することも十分に考えられる状況下にある。
(意見)
家庭ごみの有料化は、過去の経緯より各区が単独で実施した場合の他区への影
響を考慮して 23 区全体の問題として捉えるべきという意見も多いが 、各 区が自区 の実情をふまえた政策判断として具体的な検討を行うことことが原則である。
③近隣自治体の傾向
近隣自治体を見ると 、多摩 地区での家庭ごみ有料化実施が主だった動向であり、家庭ごみ有料化の先行事例となっている。
〔有料化実施済みの自治体〕
自治体名 | 実施年月 | 有料化 | 戸別収集 | |
対象 | 対象外 | |||
青梅市 | 平成 10 年 10 月 | 可燃、不燃 | 資源ごみ | 実施 |
日野市 | 平成 12 年 10 月 | 〃 | 〃 | 実施 |
清瀬市 | 平成 13 年 6 月 | 〃 | 〃 | ス テ ー シ ョ ン 収 集 |
福生市、 昭島市 | 平成 14 年 4 月 | 〃 | 〃 | 実施 |
東村山市、羽村市 | 平成 14 年 10 月 | 〃 | 〃 | 実施 |
調布市、あきる野市 | 平成 16 年 4 月 | 〃 | 〃 | 実施 |
八 王 子 市 、 武 蔵 野 市、稲城市 | 平成 16 年 10 月 | 〃 | 〃 | 実施 |
(注)出典:杉並区提出資料による。
自治体名 | 有料化の方法 | ごみの減量効果(実施年度) | ||
可燃ごみ | 不燃ごみ | 資源ごみ | ||
青梅市 | 均 一 従 量 制 ・ 有 料 指 定袋 | 87.1 % | 125.6 % | 314.4 % |
日野市 | 〃 | 86.0 % | 86.6 % | 217.5 % |
清瀬市 | 〃 | 94.2 % | 104.1 % | 107.1 % |
福生市 | 〃 | 89.6 % | 82.0 % | 111 . 8 % |
昭島市 | 〃 | 90.3 % | 66.1 % | 104.6 % |
東村山市 | 〃 | 94.9 % | 102.4 % | 100.8 % |
羽村市 | 〃 | 93.4 % | 94.0 % | 109.3 % |
調布市 | 〃 | 86.8 % | 44.8 % | 146.1 % |
あき る 野市 | 〃 | 82.2% | 81.0 % | 99.2 % |
自治体名 | 有料化の方法 | ごみの減量効果(実施年度) | ||
可燃ごみ | 不燃ごみ | 資源ごみ | ||
八王子市 | 〃 | 66.9 % | 70.5 % | 179.9 % |
武蔵野市 | 〃 | 87.2 % | 33.5 % | 169.9 % |
稲城市 | 〃 | 83.8 % | 74.2 % | 125.2 % |
(注)出典:杉並区提出資料及び各自治体よりの聴取。
④メリット・デメリット
④- 1 メリット
⚫ 上記の先行事例の家庭ごみ有料化実施後の状況を見ると 、程度の 差はあるものの、 概ねごみ減量の効果が見られたこと。
⚫ 費用負担の公平性に資すること。
⚫ 収入増により財政が安定化すること。
④- 2 デメリット
⚫ ごみ排出者が負担する費用が増加する。
⚫ 不法投棄対策の充実、強化が求められること。
(意見)
先行事例を見ると程度の差はあるものの家庭ごみ有料化はごみ減量効果がある ことが伺える。将来的なごみ減量対策として家庭ごみ有料化を検討する価値は十 分あると考えられる。
⑤家庭ごみ有料化の方法の検討
⑤- 1 料金体系
清掃管理課の説明によると、主な料金体系としては、 均一料金制、一定量以下無料制、累進従量制がある。すでに家庭ごみ有料化を実施済みの自治体は、その 大半が均一料金制を採用している。一定量以下無料制、累進従量制は、細かな料 金設定であり、ごみ排出者の排出量が増加すると費用負担も増加するため、ごみ 減量の効果を期待できる。 その反面、料金体系が複雑である。
(意見)
家庭ごみ有料化自体が住民の理解浸透があって初めて実現できることを考える
と、世帯数が多数にのぼる特別区の実施には、均一料金制が適しているものと判 断できる。料金の徴収事務を見ても、複雑な料金体系を採用した場合に生じる、 徴収事務コストの増加は避けるべきであると考えられる。
また、料金水準そのものも近隣の自治体の水準を考慮しなければならない。そ のためにも正確なごみ収集運搬経費の算定と今後の経費削減目標を定め、ごみ排 出者としての住民負担割合の算定にも理解を求める努力が必要になると考える。
⑤- 2 徴収方法
家庭ごみ有料化を実施する場合、手数料をどのような方法で徴収するかを決める必要がある。手数料の徴収方法としては有料指定袋と有料シールを課金媒体と して使用するのが代表的な方法となっている。
1 . 手数料徴収方法( 課金媒体)
住民の利便性を考慮し、扱いが容易で購入のし易いものでなければならない。また媒体の容量は、減量努力を反映し易くするため、適正な大きさのものを複数用意する必要がある 。あ わせて公平性の担保のために 、偽 造できず、料金不足を招き難いものであることが重要である。
2 . 課金媒体( 有料指定袋と有料シール) の比較
【有料指定袋制】
(メリット)
⚫ 取り扱いが容易である。
⚫ 料金不足が発生しない。
⚫ 収集時の確認作業が比較的容易。
(デメリット)
⚫ 既存の事業系ごみの有料シールとの関係を整理する必要がある。
⚫ 販売時の保管が難しい。
【有料シール方式】
(メリット)
⚫ 有料シール導入時のノウハウや 、既存 のシステムを活用することができる。
⚫ 現在排出用のごみ袋を使用できる。
⚫ 保管がし易い。
(デメリット)
⚫ 料金不足が発生する可能性がある。
⚫ 正しいシールが貼付されているのかの確認作業が必要。
⚫ 排出者は別途袋を購入する必要がある。
⚫ シールの台紙がそのままごみとなる。
全国都市清掃会議の調査結果では 、家 庭ごみ有料化を実施している 12 市の全てが「有料指定袋」を採用しており、有料化の予定があるとした自治体についても 全て同様であった。また、 均一従量制を採用する自治体では、 最小 5 リットルか ら最大 45 リットルの範囲で 3 から 4 種類の有料指定袋を設定している。
(意見)
住民にとって扱いが容易で、公平性が担保される仕組みが求められる。 具体的には有料指定袋制 、シール方 式が考えられるが 、杉並区の 場合従来からの 23 区推 奨袋制度、事業系ごみのシール方式等との整合性をも考慮する必要がある。
3 . 手数料収納方法と課金媒体の流通方法
ごみの有料化を実施した場合、手数料の収納方法をどのような仕組みにするかにより、手数料収納の確実性、 自治体の事務量等に大きく影響を及ぼすこととなる。
特別区の場合には、課金媒体の流通量が膨大になることから、 住民の利便性を考慮すると、 民間の取扱店の協力を得た上で課金媒体製造メーカー、 配送 業 者 等 を 活 用 し た 流 通 ・ 在 庫 管 理 の 仕 組 み を 構 築 す る 必 要 が あ る 。
〔手数料の収納方法・課金媒体流通方法の例〕
手数料収納方法例
【メーカー前納】
メーカーが納入実績により支払う
【販売店前納】
取扱店が仕入れ実績により支払う
【販売店後納】
販売店が販売実績により支払う
自治体
取扱店
メーカー
多摩地域の手数料収納・媒体流通方法の概要(全て有料指定袋制で、取扱店への委託方式)
生産・配送・在庫管理
袋納品
納品実績報告書
手数料払込
(販売実績の場合は、販売実績報告)
袋の発注
販売
納付書送付委託料支払
住民
自治体
取扱店
メーカー
媒体の流れ 連絡の流れ 手数料・委託料の流れ
※他に、配送業務を別途配送業者に委託しているケース、発注や手数料収納などの管理事務を商工会へ委託しているケース、メーカーと市の間に代理店をおいているケースなどがある。
4 . 23 区が連携した基本的な手法
有 料 化 の 手 法 に 関 し て は 、 各 区 が 各 々 の 事 情 に 応 じ て 各 項 目 に つ い て比較・検討した上で最も適した方法を選択することになる。
ただし、23 区が一定の範囲内で連携した場合には、効率的な仕組みの構築 と、取扱店の負担軽減等が期待できると考えられる。
基本的な手法としては以下が挙げられる。
( 1 )料金体系:均一従量制
特別区の世帯数、住民の転出入の頻度を考慮すると、制度管理の容易性で優る「均一従量制」が基本となると考えられる。
( 2 )手数料徴収方法(課金媒体 ):有 料指定袋制
住民にとって分かりやすく、 料金不足が発生せず、収集時の確認作業が容易なこと等から多くの自治体において採用されている。
( 3 )手数料収納方法及び課金媒体の流通方法:取扱店を用いた委託方式 特別区においては、区が直接課金媒体を交付し、手数料を徴収することは
困難であると考えられるため 、取扱店 への委託が基本形になると考えられる。
(注)出典:杉並区提出資料による。
(意見)
家庭ごみ有料化の導入に際して各種方法論の慎重な検討はもちろん重要である。しかし最も重要なことは、住民の有料化に対する理解と合意形成を得る過程にお いて住民が主体的にごみ減量やリサイクルの必要性を理解し取り組んでもらえる ような啓発活動の推進を積極的に行うことである。有料化の成否は実施の検討を 含めて住民のごみ排出に対する理解とモラルの向上といった住民マインドの高ま りによって、杉並ごみ半減プランにも掲げてある区民と行政の協働を具体的に進 めることにあると考える。
⑤- 3 すぎなみ環境目的税(レジ袋税)との関係
杉並区での家庭ごみ有料化の検討に当たっては、他の特別区とは異なる事情として「すぎなみ環境目的税 」(いわゆ るレジ袋税)の問題がある。本税の概要は、以下のとおりである。
〔すぎなみ環境目的税の概要〕
⚫ 平成 14 年 3 月に条例化された地方税法に定める法定外目的税である。
⚫ 目的は、 環境に負荷を与えるレジ袋の使用抑制を図る。
⚫ 課税標準は、事業者から譲渡されたレジ袋の枚数。
⚫ 税率は、 レジ袋 1 枚につき 5 円。
⚫ 杉並区による税収の見込みは、年度約 4 億円(平成 12 年度における環境課試算、想定レジ袋使用枚数 1 億 9 千万枚×0. 4(有 税化による削減効果 ))である。
⚫ 徴収後の使途は 、廃 棄物の減量 、リサ イクルの推進その他環境の保全に係 る施策に要する費用に充当する。
⚫ 施行時期は現在未定。
(意見)
本税が施行になり、仮にごみ有料化が実施された場合には、住民は事業者からレジ袋の供給を受けた時点で税を課され、その後、ごみ排出においても費用負担 を強いられる結果になる。レジ袋税の課税と家庭ごみ有料化の問題は本来それぞ れが別の問題ではあるが、区民感情として二重の負担と受け止められる懸念があ る。杉並区における家庭ごみ有料化の検討に当たっては、本税と家庭ごみ有料化 の関係を明確に整理されることを望む。
⑥杉並区で家庭ごみ有料化を実施した場合のシミュレーション
仮に杉並区で家庭ごみ有料化を実施した場合、清掃事業に係る損益(定量的側面)はどのように変化するのか、を分析するためシミュレーションを試みる。シ ミュレーションは 、一定の仮 定 、前 提条件を設定して試算を行うものであるため、家庭ごみ有料化を実施した場合、試算とおりの結果が得られるとは限らない。ま た、仮定、前提条件の置き方いかんで、求められる結果(金額)が異なる。
杉並区では、家庭ごみ有料化、戸別収集、収集業務の委託化がひとつの検討課題となっていることから、それらを実施した場合のシミュレーションを行ってみ る。
ア)〔前提条件〕収入に関する事項
種類 | 内容 |
可燃ごみ | • 「杉並区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」 に定める廃棄物処理手数料に従って k g 当たり 28 .5 円を基に手数料収入を求める。 • 手数料収入は均一料金とする。 |
不燃ごみ | 同上 |
資源 | • 現状のままとする。 |
イ)〔前提条件〕事業コストに関する事項
1 . 試算のベースとして、平成 15 年度( H15.4.1 - H16.3.31 ) の行政コストデー タを使用する。
2 . ごみ量は、可燃ごみ、不燃ごみとも平成 15 年度のデータの 20 %減とする
(有料化の効果として 20 % 減量を見込む、以下〔減量効果の前提根拠〕参照のこと )。
3 . 20 %の減少の影響として 、資 源の増加分を見込み 、過去 のごみ量組成デー タを基に当該増加量を計算する。
4 . 戸別収集を行う場合の対象は、家庭系可燃ごみ、不燃ごみとし、資源は現 状の集積所又は拠点回収とする。
5 . 戸別収集による収集作業量の増加分は、集積所収集の場合の 1.5 倍と仮定 し、車両、作業員の増加を見込む。当該増加分は、収集車両は雇上車、収 集作業者は雇上車の車付人員で補充すると仮定する。 1.5 倍の根拠は、 先 行事例における収集車両数の増加を参考に 、あくまで仮定として設定した。
6 . 廃プラスチックについては 、容器包装 リサイクル法によるプラスチック製容器包装を資源とみな す(平 成 20 年度 、資源分別を目標としているため )。
7 . コスト面で清掃一部事務組合負担金の減少を見込む 。現 在は人口割りで負担金を計算しているが 、試 算上はごみ量割とする(その方向で見直しが検 討されているため )。
8. ウ‐ 2 )に示す「家庭ごみ有料化、戸別収集、 収集業務は雇上以外の民間 に委託 、ご み量は可燃 、不燃 2 割減 」の試算において採用した委託単価は、 先行事例G市を参考に設定した。運転手及び収集作業員 1 名、車両 1 日 1台当たりの委託単価で原則として 90 ,000 円として計算した。
〔減量効果の前提根拠〕
有料化によるごみ量の減量効果をシミュレーションで見込む必要があるが、 そのためのデータとして、先行事例である三多摩地区を参考にデータ整理を行う。 三多摩地区 3 市の過去データを基に有料化前後のごみ量の推移を見ると、可燃ごみ、不燃ごみともに 3 市平均で約 20 % の減量効果が見られた。 これを受け、 今回の試算では、有料化の減量効果を 20 % と仮定することにした。
9年度 | 10年度 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 減量効果 | ||
A市 | 可燃 | 36,277 | 31,592 | 26,604 | 28,189 | 29,459 | 22.6% | |
不燃 | 6,402 | 8,039 | 5,487 | 5,790 | 5,987 | 10.1% | ||
B市 | 可燃 | 45,714 | 39,330 | 30,060 | 34.2% | |||
不燃 | 11,641 | 10,086 | 5,622 | 51.7% | ||||
C市 | 可燃 | 14,511 | 13,669 | 13,573 | 6.5% | |||
不燃 | 2,288 | 2,382 | 2,348 | -2.6% |
(注 1 ) 家庭ごみ有料化実施年度を色枠で表示している。
(注 2 ) A 市は家庭ごみ有料化実施後、ごみ量の増加傾向が見られたため、家 庭ごみ有料化後 3 年間の平均値を用いて減量効果を把握した。
● 3 市平均減量効果
可燃ごみ・・・ 21.1 % | ⇒( 22.6%+34.2 % +6 .5%) ÷3 | 結論⇒ 20 % と仮定する |
不燃ごみ・・・ 19.7 % | ⇒( 10.1%+51.7 %- 2. 6 %) ÷3 | 結論⇒ 20 % と仮定する |
なお 、実際 にごみ減量化対策として家庭ごみ有料化の検討を行うためコストシミュレーションを実施するには他の自治体で実施した方法を参考に再計算する必 要があると考えられる。参考として平成 16 年 10 月より家庭ごみ有料化を実施したD市の事前収支シミュレーションの事例を紹介しておくので参考とされたい。 また、種々の基礎データについては同時期にごみ有料化を実施した隣接する武蔵 野市のデータを入手し使用するのが有効であると考えられる。
〔D市の事例〕
区分 | 想定方法 |
ごみ減量見込み量の算出 | 平成 13 年度の原単位 666g/ 人から平成 17 年 度 の 原 単 位 目 標 で あ る 500g / 人 を 基 に 25 %を削減目標とした 。実際 のシミュレーションにおいては 25 %と 30 % のケースを試算 した。 |
D市では平成 16 年 10 月からの家庭ごみ有料化に先立ち、家庭ごみ有料化を実施した場合の財政に与える影響をシミュレーションしている。D市で実施したシ ミュレーションの方法は以下のとおりである。
区分 | 想定方法 |
可 燃・不 燃ごみ→資源へのシ フト見込み | 組成分析(委託) のデータを基に算出した。 |
(収入見込額) | |
①ごみ袋売却収入 | 近隣自治体(E市)の有料化実施年度の各袋 ごとの販売実績を基に人口比で補正を行っ た数量に売却単価を乗じて計算した。 |
②資源売却収入 | 不 燃ご みか ら資 源へ のシ フト 予測 数量 を重量換算した数量に最近の売却実績単価を乗 じて計算した。 |
③料金設定方法 | 新 規発 生コ スト を住 民に 負担 して もら うこと及び他の近隣自治体での設定価格と減量 効果を勘案して設定した 。結 果的には減量実績のあるE市の事例 80 円を参考に 75 円とし た。 清 掃工 場持 込で ある 事業 系ご みの 処理 手数 料との関係は考慮していない。 |
収集コストの増減見込み | (戸別収集実施前)戸建住宅 52 % 集合住宅 48 %( 実施後も集積所収集) 戸建住宅については原則個別収集とする。但し、減量できること、不法投棄対策を地域で実施できることなど適切に集積所管理が で き る こ と を 条 件 に 集 積 所 収 集 を 認 め た。 |
①可燃ごみ(直営) | 戸別収集により収集ポイントが 1 万箇所から 10 万箇所に増加する事を想定し、E市の実績から約 30 %の作業量増加を見込んだ。増 加分については委託化することを前提とし た。 |
②不燃ごみ(委託) | 作業量の増加見込みは可燃ごみと同じ 。増 加分は増車数を見込 み(現 状 25 台が 8 台増車) 実績の 1 台あたり委託単価を乗じて計算し た。 |
区分 | 想定方法 |
③資 源( 古紙のみ直営・他は委託) | 不 燃ご みか ら資 源へ のシ フト 予測 数量 を基に容積換算した数量から増車数を見込み実 績の 1 台あたり委託単価を乗じて計算した。古紙のうち、新聞、ダンボールの回収はごみ収集のない曜日に入れることによりコスト の増加は見込まなかった。 |
(処理コストの増減見込み) | |
①中間処理 | 可燃・不燃ごみは固定費が大部分のためコ ストの減少は見込まなかった。 資源は不燃ごみから資源へのシフト予測数 量を容積換算した数量に実績単価を乗じて 計算した。 |
②最終処分 | 搬 入実 績に 比例 する 最終 処分 場の 負担 金の減少が考えられるが試算では見込まなかっ た。 |
(その他のコスト) | 広報費用の他ごみ袋の作成費用 、販売 手数料 ( 6 %)等を想定した。 |
ウ)試算の各パターン
ウ‐1)家庭ごみ有料化、戸別収集、収集業務は直営、ごみ量は可燃、不燃 2 割減
まず、 現在の運営形態である直営方式のもとで、前述の〔前提条件〕 に即して家庭ごみ有料化後の損益シミュレーションを試みる 。大 前提は 、家 庭系可燃ごみ、不燃ごみの有料化 、戸別収集 の実施であり 、この試算結果は以下のとおりである。
〔試算結果〕
(単位: 千円)
平成 15 年度 ( A) | 試算結果 ( B) | 差額 = (B)-(A) | ||
●事業コスト | 7,909,383 | 8,472,265 | 562,882 | |
人件費( 職員費等) | 3,187,141 | 3,187,141 | 0 | |
人件費 ( 退職給 与 引当 金繰入) | 16,757 | 16,757 | 0 | |
減価償却費 | 201,675 | 201,675 | 0 | |
経費 | 4,503,811 | 5,066,692 | 562,881 | |
(内訳) | ||||
一部事務組合負担金 | 2,158,288 | 1,217,941 | ▲ 940,347 | ① |
廃 棄 物 運 搬 請 負 契 約 に 基 づく費用 | 1,412,581 | 2,158,108 | 745,527 | ② |
その他 | 932,942 | 1,690,643 | 757,701 | ③ |
●収入 | 545,153 | 3,514,481 | 2,969,328 | |
廃棄物処理手数料 | 382,903 | 3,324,245 | 2,941,342 | ④ |
不用品売却収入 | 5,345 | 5,345 | 0 | |
助成金等 | 45,868 | 45,868 | 0 | |
その他雑収 | 111,038 | 139,023 | 27,986 | ⑤ |
差引行政コスト純額 | 7,364,230 | 4,957,783 | ▲ 2,406 ,447 |
(注)平成 15 年度(A)の出典 :「ざ いせい 2004 」(杉並 区)
〔試算結果の説明〕
項目 | 試算内容 | |
●事業コスト | ||
① | 一部事務組合負 担金 | 仮に 、ご み量割で負担金を徴収されるようになれば 、杉 並区は約 940 百万円( うちごみ量の減少による効果は約 247 百万円) のコスト削減が見込まれる。 |
② | 廃棄物運搬請負 契約に基づく費 用 | 戸別収集を実施したと仮定し 、増加 車両経費 、増 加作業員 経費を概算すると約 745 百万円のコスト増加が見込まれる 。(家 庭ごみ有料化に伴うごみ排出量の減少及び資源回 収の増加の効果を考慮した 。) |
③ | 経費(その他) | 現状と比べた主な増加要因は、以下のとおりである。 ⚫ プラスチック製容器包装の圧縮、梱包・ 保管・ 再商品化委託費及びその他資源の圧縮、梱包・ 保管等処理委 託費の発生、約 282 百万円。 ⚫ 指定袋製作経費及び販売手数料の発生 、約 475 百万円。 |
●収入 | ||
④ | 廃棄物処理手数 料 | 仮に 、有 料化すると杉並区は手数料収入を得る。当該収入 の概算は以下のとおりである。 (注 )「杉 並区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」 に定める廃棄物処理手数 料( 事業系一般廃棄物処理手数料等 )に従 って、1kg 当たり 28.5 円を基に手数料収入を求め る。 |
⑤ | その他雑収 | 資源売却益の増加により、 27 百万円の収入増が見込まれ る。 |
平成 15 年度・ 実 績 ご み 量 (トン) | 有 料 化 後 ・ 見込 ご み 量 ( ト ン) | 収 入 見 込 み (千円) | |
可燃ごみ | 102,694 | 82,155 | 2,341,417 |
不燃ごみ | 26,312 | 21,050 | 599,925 |
計 | 129,006 | 103,205 | 2,941,342 |
〔分析コメント〕
1. 行政コスト純額は、約 24 億円減少する。家庭ごみの有料化による収入増
約 29.4 億円、一部事務組合負担金減少による支出減約 9. 4 億 円(うち ごみ 量の減少による効果は約 2. 5 億円)が行政コスト純額の削減に大きく寄与する。
2. 戸別収集実施によるコスト増として 、現状の直 営の下では雇上業者への支払増が発生し、廃棄物運搬請負契約に基づく費用が約 7.5 億円増加する。また、プラスチック製容器包装の圧縮、梱包・保管・再商品化委託費、その他資源の圧縮、梱包・保管等処理委託費の発生、指定袋製作経費及び販 売手数料の発生として、約 7. 6 億円コストが増加すると見込まれる。
ウ‐2)家庭ごみ有料化、戸別収集、 収集業務は雇上以外の民間に委託、 ごみ量は可燃、不燃 2 割減
次に、現在の運営形態である直営方式を改め、収集業務を雇上以外の民間に委託した場合の損益シミュレーションを試みる。家庭系可燃ごみ、不燃ごみの有料 化 、戸別収 集の実施まではウ‐ 1 )の試算と同様であるが、直営ではなく民間委託で収集業務を実施する点が大きく異なる。このため、既存の人件費が大きく減少 するが、 代わりに民間委託費が発生する。この試算結果は以下のとおりである。
〔試算結果〕
(単位: 千円)
平成 15 年度 ( A) | 試算結果 ( B) | 差額 = (B)-(A) | ||
●事業コスト | 7,909,383 | 7,276,766 | ▲ 632,617 | |
人件費( 職員費等) | 3,187,141 | 735,082 | ▲ 2,452,059 | ① |
人件費 ( 退職給 与 引当 金繰入) | 16,757 | 15,559 | ▲ 1,198 | |
減価償却費 | 201,675 | 75,539 | ▲ 126 ,136 | ② |
経費 | 4,503,811 | 6,450,586 | 1,946,775 | |
(内訳) | ||||
一部事務組合負担金 | 2,158,288 | 1,217,941 | ▲ 940,347 | ③ |
廃 棄 物 運 搬 請 負 契 約 に 基 づく費用 | 1,412,581 | 275,600 | ▲ 1,356 ,981 | ④ |
民間委託費(可燃・不燃) | - | 3,407,989 | 3,407,989 | ⑤ |
その他 | 932,942 | 1,549,056 | 616,114 | ⑥ |
●収入 | 545,153 | 3,514,481 | 2,969,328 | |
廃棄物処理手数料 | 382,903 | 3,324,245 | 2,941,342 | ⑦ |
不用品売却収入 | 5,345 | 5,345 | 0 | |
助成金等 | 45,868 | 45,868 | 0 | |
その他雑収 | 111,038 | 139,023 | 27,986 | ⑧ |
差引行政コスト純額 | 7,364,230 | 3,762,285 | ▲ 3,601 ,945 |
(注)平成 15 年度(A)の出典 :「ざ いせい 2004 」(杉並 区)
〔試算結果の説明〕
項目 | 試算内容 | |
●事業コスト | ||
① | 人件費( 職員費 等) | 収集作業の民間委託により 、現状の直 営による現業部門の人件費が大きく減少する 。結 果として、行政コスト上の人 件費は、 管理部門の在籍者相当分及び杉並中継所の運用、 管理に携わる職員相当分となる。 |
② | 減価償却費 | 民間委託により 、清 掃事業所及び分室に関連する償却費は試算上除外する 。主 要施設である 2 つの事務所から生じる 償却費は現状のままとする。 |
③ | 一部事務組合負 担金 | ウ‐ 1 )の場合と同様。 |
④ | 廃棄物運搬請負 契約に基づく費 用 | 今回の試算では 、雇 上業者以外の民間業者に収集業務を委託した場合を想定している。なお 、中 継業務については現 状どおり雇上車両による搬出とする。 |
⑤ | 民 間 委 託 費 ( 可 燃・不燃) | 委託単価は 、先行 事例G市を参考に設定した 。運 転手及び 収集作業員 1 名 、車 両 1 日 1 台当たりの委託単価で原則として 90,000 円として計算した。 車両数は、 15 年度作業計画を基に家庭系可燃・不燃ごみの減量効果 20% 削減及びそれに伴う資源の増量効果の他、戸別収集にともなう作業負担を現状の 1.5 倍と仮定して試 算した。 |
⑥ | 経費(その他) | 現状と比べた主な増加要因は、ウ‐ 1 )の場合と同様であ る 。減少 要因としては 、清掃 事業所及び分室の関連経費を 見込んでいる。 |
●収入 | ||
⑦ | 廃棄物処理手数 料 | ウ‐ 1 )の場合と同様。 |
⑧ | その他雑収 | ウ‐ 1 )の場合と同様。 |
〔分析コメント〕
1. 行政コスト純額は、約 36 億円減少する。家庭ごみ有料化による収入増約 29. 4億円 、一部 事務組合負担金削減による支出減約 9. 4 億 円(う ちごみ量の減少による効果は約 2.5 億円 )が 行政コスト純額の削減に大きく寄与する 。これらは 、
ウ‐ 1 )の場合と同様である。
2. ウ‐ 1 )の場合と異なる点を述べれば、民間委託の効果を指摘でき、約 12 億円のコスト削減効果を期待できる試算結果となった( 12 億円は、ウ‐ 1 、ウ‐ 2 の「差引行政コスト純額」 の差額として計算 )。
ウ‐3) 家庭ごみ有料化実施に当たっての課題(シミュレーション結果を受けて)
家庭ごみ有料化について、 杉並区は「杉並区一般廃棄物処理基本計画 」(平 成 15 ~ 29 年度)に重要な課題として掲げている。また、 行政評価を見ると 、「施 策番号 20 / 施策名: ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上」には、今後の施策のあり方において、家庭ごみの有料化を検討すべきことが示されているが、具体 性のある検討までは現在至っていない。
有料化に係る重要な検討課題と、ウ‐ 1 )、ウ ‐ 2 )の結果を受けて、 定量的デ ータをまとめれば以下のようになる。
〔定性的事項まとめ〕
検討課題 | 懸念事項 | |
1 | 家庭ごみ有料化により 、ご み排出者が 負担する費用が増加する。 | • 家庭ご み 有料化 の 目的、 収 入の使途等 に ついて 区 民の理 解 を求める必要がある。 • 可能な 限 りの経 営 努力を し た後でなけ れ ば、 区 民 の負担 増 となる安易 な 有料化 を 実施す べ きでない。 • 中期的 な 計画立 て 、 家庭 ご みを有料化 す ると仮 定 した場 合 の具体的な 方 策、 実 施 年度等 を 検討 しておく必要がある。 |
2 | 家 庭 ご み 有 料 化 と と も に 戸 別 収 集 も 実施するか。 | • 家庭ご み 有料化 に よる収 入 増以上に戸 別 収集に よ るコス ト 増と なる可能性がある。 |
3 | 料金体系はどのようにするか。 | • 先行事 例 を分析 し 、 損益 シ ミュレーションを行う必要がある。 |
• コスト 回 収率を ど の程度 の 水準 に 置 く か を 検 討 す る 必 要 が あ る。 | ||
4 | 不法投棄対策の充実、強化。 | • 家庭ご み 有料化 、 戸別収 集 の実施とあ わ せて検 討 する必 要 があ る。 |
〔試算結果まとめ〕
(単位: 千円)
平成 15 年度 (A) | 試算結果 ウ‐ 1 ) 有料化・ 直営 | 試算結果 ウ‐ 2 ) 有料化・ 委託 | |
●事業コスト | 7,909,383 | 8,472,265 | 7,276,766 |
人件費( 職員費等) | 3,187,141 | 3,187,141 | 735,082 |
人件費 ( 退職給 与 引当 金繰入) | 16,757 | 16,757 | 15,559 |
減価償却費 | 201,675 | 201,675 | 75,539 |
経費 | 4,503,811 | 5,066,692 | 6,450,586 |
(内訳) | |||
一部事務組合負担金 | 2,158,288 | 1,217,941 | 1,217,941 |
廃 棄 物 運 搬 請 負 契 約 に 基 づく費用 | 1,412,581 | 2,158,108 | 275,600 |
民間委託費(可燃・不燃) | - | - | 3,407,989 |
その他 | 932,942 | 1,690,643 | 1,549,056 |
●収入 | 545,153 | 3,514,481 | 3,514,481 |
廃棄物処理手数料 | 382,903 | 3,324,245 | 3,324,245 |
不用品売却収入 | 5,345 | 5,345 | 5,345 |
助成金等 | 45,868 | 45,868 | 45,868 |
その他雑収 | 111,038 | 139,023 | 139,023 |
差引行政コスト純額 | 7,364,230 | 4,957,783 | 3,762,285 |
(注)平成 15 年度(A)の出典 :「ざ いせい 2004 」(杉並 区)
(指摘事項)
「杉並区一般廃棄物処理基本計画 」(平 成 15 ~ 29 年度 )及 び 、行 政評価で の「 施 策番号 20 / 施策 名:ごみ排出 の適正化及び収集サービスの向上 」に 掲げたとおり、具体的な家庭系ごみ有料化についての検討を行う必要がある。実施するか否かは 最終的には区民の判断となるが、杉並区が目標とするごみの削減達成のための施 策のひとつとして、検討する意義は十分あると考えられる。検討を行うに際して は区民に対する情報公開の観点からより杉並区の実情に合わせたより精度の高い 収支シミュレーションを実施し区民に対し情報提供する必要があると考えられる。
また、区民にとって負担の増加を伴う家庭ごみの有料化実施には、まず行政がコスト削減等の可能な限りの経営努力をした後でなければ、区民の理解は得られ ないはずであり、なしうる努力を事前にすべきことは言うまでもない。努力のあ り方については 、こ のたび の「 平成 17 年度 杉並区個別外部監査報告書 」で 示した諸策が参考になれば幸いである。
(2)ごみの戸別収集
戸別収集とは、各エリアごとの集積所ではなく、各家庭等を収集作業員が戸別に回りごみの回収を行うことである。特別区はこれまで、集積所回収によるごみ の回収を実施してきた。ふれあい収集その他詳細を除けば、現在も集積所回収が 原則的手法になっている。 杉並区でもそれは同様である。
家庭ごみの有料化に際し排出者責任の明確化の観点から、同時に戸別収集に移行する自治体が多い。
先行的な事例として 、多摩地区では多くの市町村で戸別収集が実施されており、 特別区では品川区が実施している状況である(特別区の状況は下記に記載のとお り )。多摩 地区では家庭ごみ有料化の実施と同時に多くの自治体が戸別収集に移行してきたようであるが 、品川区では有料化を実施していない点に相違が見られる。
①23 特別区の戸別収集の傾向
高齢者や障害者等についてのみ実施するふれあい収集を除き、 特別区では戸別収集を全面区域にわたって実施している例は極めて少ないと思われる。
そのような特別区における戸別収集の実施状況のなか、特に実施が進んでいるのが品川区である 。平成 17 年 7 月現在 、区域全域 にわたり 、全面実施 されている。 監査人が独自に調査したところ、同区はごみ量の削減等を目的として 5 カ年計画 を策定し、平成 13 年度から戸別収集を実施してきた。 そして、 平成 17 年 7 月を
もち区全域にわたり実施が完了している。この結果、ごみの収集作業に時間がか かるようになったが、その分は一部委託化の推進や他部門からの配置転換等によ り収集作業員を増加させることにより対処し、新たなコスト増は収集車の手配に とどめたと聞いている。そのようなコスト抑制の努力により、戸別収集の実施に かかわらず、家庭ごみの有料化は実施していない。
②近隣市町村の戸別収集の傾向
近隣市町村では有料化に伴い、一部の自治体を除き、 戸別収集へと移行している。
有料化実施と同時に戸別収集に移行した場合は、概ね収集作業の時間延長や人員、機材を増強するといった対応がとられている。
〔近隣自治体の有料化に伴う収集方法の変更状況〕
自治体名 | 可燃ごみ | 不燃ごみ | 資源ごみ |
青梅市 | ダストボックス→ 戸別収集 | ダストボックス→ 戸別収集 | ステーション→ 戸別収集 |
日野市 | 〃 | 〃 | 〃 |
清瀬市 | ステーションのまま | ステーションのまま | ステーションのまま |
福生市 | 従来より戸別収集 | 従来より戸別収集 | 従 来 よ り ヘ ゚ ッ ト ホ ゙ ト ル ・ 紙 パック等を除き戸別収集 |
昭島市 | ステーション→ 戸別収集 | ステーション→ 戸別収集 | ステーション→ 戸別収集 |
東村山市 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 | ステーションのまま |
羽村市 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 | ペットボトル、白 色 トレイ、 牛 乳パッ クの み ステーション ・ その他は戸別収集 |
調布市 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 |
あきる野市 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 |
八王子市 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所のまま |
武蔵野 市(注 ) | 集積所→ 戸別収集 | 集積所→ 戸別収集 | 集積所のまま |
稲城市 | 従来より戸別収集 | 従来より戸別収集 | 従 来 よ り 有 害 物 等 を 除 き集積所 |
(注)有料化導入前から段階的に戸別収集に移行していた。
③メリット・デメリット
清掃管理課でのヒアリング、及び監査人自身の調査の結果、戸別収集の実施には、以下のようなメリットがあると思われる。ただし、その実施には収集作業の 負荷が増すなど、 一定のデメリットがあるのも事実である。
③- 1 メリット
⚫ 集積所から戸別収集への移行により、排出者の責任意識が向上する。
⚫ 集積所収集に比べて分別指導の徹底が可能になり 、ごみ と資源の分別徹底化によりごみ量の減少、リサイクル率の向上に寄与する。
⚫ 不法投棄の防止に寄与する。
⚫ 高齢者、 障害者等のごみ排出に係る搬出負荷が軽減される。
⚫ カラス被害の軽減に寄与する。
⚫ 街の美観形成に寄与する。
③- 2 デメリット
⚫ ごみ収集の手数が増加し、 集積所収集に比べて手間と時間がかかる。
⚫ 収集車、 作業者の増加が必要になる。増加の結果、コストも増加する。
④杉並区の検討状況
「杉並区一般廃棄物処理基本計画 」(平 成 15 ~ 29 年度)において、 個別計画の収集運搬計画の項目の中で戸別収集に触れている。これによると戸別収集の有用 性を認めたうえで、収集時間の増加等を考慮して検討を行う旨言及している。
〔戸別収集の検討〕
他自治体の事例からは 、家庭 ごみ有料化の導入に伴い 、排 出者責任の明確化や収集サービスの向上を目的に 、各家 庭が自宅の前にごみを置く戸別収集を実施しているところもある 。し かし 、戸別 収集の実施は 、経費 の増加の要因になる可能性もある。
戸別収集は 、住民サ ービスの向上の他、ごみ減量、カラス対策等にも有益な
ことから、経費や収集時間の増加といった点も踏まえつつ、検討を行う。
また 、杉並 区では平成 16 年度杉並区政策評価において 、施 策名「ごみ排出の適正化及び収集サービスの向上」の今後の施策のあり方には戸別収集の検討を挙げ
ている。しかし、以下の理由から具体的な検討はしておらず、区民実態調査も実 施していない。
1 . 午前中収集の強化施策など優先しなければならない課題がある。
2 . 一度実施すると、 元に戻すことが極めて難しい。
3 . 戸別収集は家庭系ごみ有料化と関連付けて実施することが効果的であり、 家庭系ごみ有料化の検討を踏まえて検討したい。
(指摘事項)
杉並区は戸別収集を「杉並区一般廃棄物処理基本計画 」(平 成 15 ~ 29 年度)に 重要な課題として掲げていることから、実施するか否かは別にして戸別収集導入 についての検討自体は行う必要がある。
(意見)
また、杉並区ではごみの減量化に向けた高い目標設定をしていることを考えれば、一歩突っ込んだ具体的な取り組みが求められる。戸別収集を実施した場合の 作業負担、経費の増加の把握に努めるほか、 モデル地区の選定、テスト試行、モ デル地区住民の実態調査を行うことが有用と考える。
なお、杉並区で実施しているふれあい収集( 65 歳以上の一人暮らしの方や障害者のみの世帯に戸別収集を実施)をもう一歩踏み込んだ形で戸別収集時に高齢者 の安否確認を実施している自治体もある。ごみ収集事業と直接関連するものでは ないが、 戸別収集の実施に際しては検討されたい。
Ⅲ.現場作業の立会い
ごみ収集事業が経済性・効率性の観点から適正に執行されているかを検討する場合、現在のごみ収集・運搬業務が経済性・ 効率性の観点から有効に執行されて いるかについて検討する必要がある。このため、実際のごみ収集・運搬業務につ いて現場作業の立会いを実施した。
7 月 20 日、監査チームのメンバー 2 名を 1 グループとし、本所、 方南支所に分 かれて、ごみ収集業務の追跡調査を実施した。通常行っている作業を従来とおり に実施してもらい、監査チームの追跡メンバーは、作業に支障がないよう配慮し つつ、収集業務を 1 日視察した。杉並区の当日の収集体制をまとめれば以下のとおりであり、これは従前から実施されてきたものである。
1.当日の収集体制
⚫ 勤務形態は 3 名体制である(運転手 1 名、収集作業員 2 名 )。
⚫ 収集の体制は、本所と方南支所とで異なっている。方南支所では、不燃現 場でダブル作業と言われる収集方法が採用されている。これは 、収 集作業 員の待ち時間がないように、1 チームにつき 2 台の収集車が集積所から中 継所間を往復するという作業方法であり、経済性・効率性はあるが、逆に収集作業員にとっては清掃工場往復時の手待ち時間がないため負荷の多い作業方法である。これに対し、本所では基本的に、エリアごとの収集終 了後に清掃工場に収集したごみの搬出を行う作業方法を採用している。
⚫ 収集車については、本所は、直営車( 収集車は区の所有、運転手が東京都派遣職員 )、方南支 所は雇上車(収集車は業者の所有、 運転手も業者の派 遣)について立ち会った。
⚫ 収集作業を担う 2 名は 、本所 、方南支所いずれも東京都の派遣職員である。
⚫ 運転手は収集業務を行わない(注 )。
(注)杉並区では、 3 人乗車の理由を以下のように整理している。
道路交通法第 71 条第 5 号では 、「車両を離れる時は、その原動機を止め、 完 全 にブレ ー キをか け る等当 該 車両が 停 止の状 態 を保つ た め必要 な 措置を講ずること」とされている。仮に 2 人乗車で収集作業を行うと、収集の 度にエンジンを止める必要があるため、作業に支障が生じる。このため運 転手は専任の必要があり、安全衛生上からも 3 人乗車が妥当である。
2.当日の収集作業概要
(1)本所
エリア | 1 エリアの 集積所数 | 対象 | 作業時間 | 待機時間 (注 2 ) | 収集車の処理 量(基準比) |
午前 1 回目 | 23 | 可燃 | 7:50 ~ 8: 13 ( 23 分) | - | 1.86 t ( 116.3 %) |
午前 2 回目 | 27 | 可燃 | 8:53 ~ 9: 05 ( 12 分) | 39 分(注 3 ) | 0.9 t ( 56.3 %) |
午前 3 回目 | 19 | 可燃 | 9:42 ~ 10 :00 ( 18 分) | - | 1.66 t ( 103.8 %) |
午前 4 回目 | 38 | 不燃 | 10:20 ~ 10 :45 ( 35 分) | - | 0.71 t ( 83.5 %) |
午前 5 回目 | 24 | 不燃 | 11 : 15 ~ 11 :50 ( 35 分) | 昼休憩 | 0.49 t ( 57.6 %) |
午後 1 回目 | 9 | 可燃 | 13:20 ~ 13 :55 ( 35 分) | - | 0.82 t ( 51.3 %) |
(注 1 ) 東京都においては、小型プレス車は、不燃ゴミ 0.85 t 、可燃ごみ 1.6 tが基準処理量と定められている。この基準処理量に対する実際の処理量 が基準比と言われている。
(注 2 ) 本所では基本的に、エリアごとの収集終了後に清掃工場に収集したごみの搬出を行う作業方法を採用している。
(注 3 )清掃工場の混雑により、清掃工場への収集車の往来時間が通常時よりも 長く 39 分を要した。収集作業担当者の説明では、通常は 20 分程度とのことである。
(2)方南支所
エリア | 1 エリアの 集積所数 | 対象 | 作業時間 | 待機 時間 | 収集車の処理 量(基準比) |
午前 1 回目 | 約 28 | 不燃 | 7 : 45 ~ 8 : 19 ( 34 分) | 0 分 | 0.83 t ( 97.6 %) |
午前 2 回目 | 約 43 | 不燃 | 8 : 19 ~ 8 : 57 ( 38 分) | 26 分 | 0.85 t ( 100.0 %) |
午前 3 回目 | 約 66 | 不燃 | 9 : 23 ~ 10 : 05 ( 42 分) | 0 分 (注 2 ) | 0.83 t ( 97.6 %) |
午前 4 回目 | 約 50 | 不燃 | 1 0:12 ~ 1 0:49 ( 37 分) | 19 分 | 0.99 t ( 116.5 %) (注 3 ) |
午前 5 回目 | 約 35 | 不燃 | 11: 08 ~ 11: 45 ( 37 分) | 8 分 | 0.76 t ( 89.4 %) |
午前 6 回目 | 約 21 | 不燃 | 11: 53 ~ 12: 11 ( 18 分) | 昼休憩 | 0.53 t ( 62.4 %) |
午後 1 回目 | 約 23 | 可燃 | 1 3:30 ~ 1 3:53 ( 23 分) | - | 0.85 t ( 53.1 %) |
(注 1 ) 東京都においては、小型プレス車は、不燃ゴミ 0. 85 t、可燃ごみ 1. 6 tが 基準処理量と定められている 。この基 準処理量に対する実際の処理量が基準比と言われている。
(注 2 )実際のロスタイムは無かったが、監査人からの要請による休憩が 7 分程 度あった。
(注 3 )基準比 116.5 %となっているが、実際の現場でも、積載量が満杯となり取 り残しが発生し 、次 エリアの回収車が取り残し発生場所から 、回収 作業を開始した。
3.現場視察の状況
(1)本所
①全体的な印象
本所の現場収集作業に立会った率直な感想として、作業には特に無駄はなく、