Key words: arbitrary guardian contract, judgment ability, mental capacity, cognitive function, higher brain dys- function
40:409
◆ 総 説 ◆
脳卒中 40: 409–413, 2018
任意後見契約に必要な判断能力と診療上の問題点
大供 孝1)
要旨:任意後見契約は,本人に十分な判断能力があるうちに,自らが選んだ代理人(任意後見人)に,生活,療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約を結んでおく,委任契約である.任意後見契約締結には診断書は必須でないため,判断能力が確認されないまま契約締結がなされることがある.任意後見契約締結に必要な判断能力については議論があり,公表された判例では意思能力の判断基準は示されていない.裁判所における意思能力判定は,診断書等の医学的評価のみならず,契約内容,生活状況,公証人の判断,一般社会通念,公序良俗,等を証拠として,裁判官が,総合的に判断するものと考えられる.よって,医学的見地から判断される任意後見契約締結に必要な判断能力と,裁判所の判断には差が生じうると考えられた.臨床医が,任意後見契約に必要な判断能力と制度の問題点を認識することは,制度の健全な運用や紛争の回避においても有意義である.
Key words: arbitrary guardian contract, judgment ability, mental capacity, cognitive function, higher brain dys- function
はじめに
脳卒中診療において,xx脳機能障害患者は少なくない.また,その評価は診療上重要である1).xx脳機能障害により判断能力が低下した方々にはxx後見制度が有用な場合があり,その際には,医師は診断書や,鑑定書を依頼されることがある.また,認知機能,判断能力が争点となった裁判では,医学的見地が重視される2).筆者は,任意後見契約無効請求訴訟での証人尋問を契機に,任意後見制度における判断能力に関し,診療上留意すべき点があると考え報告した3, 4).また,複数の関連法人から,任意後見契約における判断能力の評価に関する問題点の指摘とそれらに対する提言がなされてきた5–7).渉猟しえた範囲では,任意後見契約および,それに必要な判断能力に関する医学的文献は少ない.本稿では,実際に関わった臨床医の立場から,任意後見契約に必要な判断能力について,文献等にて検討,考察した.その結果,医学的見地から判断される任意後見契約に必要な判断能力と,裁判所が判断する,契約に必要な判断能力には乖離が生じうるものと考えられた.
1)xxxxx総合リハビリテーション病院内科
(2017 年 9 月 26 日受付,2017 年 10 月 30 日受理) doi: 10.3995/jstroke.10591
xx後見制度について
xx後見制度は判断能力が不十分な方々を保護し,支援する制度で8),法定後見制度と任意後見制度がある.法定後見制度では,医師の診断書,または,鑑定書に基づき,本人の判断能力に応じて,補助,保佐,後見,のいずれかの制度を選び,裁判所の審判により,後見人等が選任される.その際に,診断書,鑑定書の依頼を受けることは,脳卒中診療において,稀ではないと思われる.一方,任意後見制度では任意後見契約の締結が必要となる.任意後見契約は,本人が十分な判断能力があるうちに,将来,判断能力が不十分な状態になった場合に備えて,あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に,生活,療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約を公証人の作成するxx証書で結んでおく8),委任契約である.これにより,本人の判断能力が低下した後,裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと,任意後見人が,本人を代理して契約などをすることで,適切な保護・支援をすることが可能となる.任意後見制度は任意後見契約に関する法律9() 任意後見法)に定められている.
法定後見制度と任意後見制度の違い
法定後見制度は,民法により定められており,後見人は家庭裁判所により選任される.この点は,委任者が自ら選んだ任意の後見人(受任者)と契約する,任意後見制度と大きく異なる.法務省ウェブサイトでは,任意後見契約は,本人が十分な判断能力があるうちに自ら選んだ代理人と任意後見契約を結ぶもので,法定後見制度は,判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べる8),と説明されている.xx後見制度における診断書作成の手引き10() 最高裁判所事務総局家庭局)では,その中のガイドラインの中で,以下の通り判断能力判定基準が示されている.
a 「自己の財産を管理・処分することができない」日
常的に必要な買い物も自分ではできず,誰かに代わってやってもらう必要があるという程度(後見に相当する). b 「自己の財産を管理・処分するには,常に援助が必 要である」日常の買い物程度は単独でできるが,重要な財産行為は自分ではできないという程度(保佐に相当す
る).
c 「自己の財産を管理・処分するには,援助が必要な場合がある」重要な財産行為について,自分でできるかもしれないが,できるかどうか危惧があるという程度
(補助に相当する).
これらの説明からすると,法定後見制度では,判断能力に応じて,制度,類型が適応されるものと考えられる.これに対し,上述の通り,任意後見制度では,任意後見委任者が十分な判断能力があるうちに契約を結ぶとされているので,任意後見契約締結には十分な判断能力が必要と考えられる.任意後見契約は,法律上の根拠が法定後見制度とは異なり,委任者が受任者に対し,生活,療養看護,財産の管理に関する事務を委託し,委託に関わる事務について代理権を付与する委任契約9)である.委任契約である以上は,契約に必要な判断能力が求められる.しかしながら,任意後見契約は公証人の作成するxx証書により締結され,契約に診断書は必須ではない(任意契約締結後,任意後見開始には診断書が必要である).この点,診断書または,鑑定書が必要な法定後見制度とは大きく異なり,必要とされる判断能力についても,議論が生じる.
任意後見契約締結に必要な判断能力
ここで,用語について整理しておく.民法の領域でいう判断能力とは,精神的判断能力であり,通常は法律行為を有効になしうるための要件である.その意味での判
断能力は意思能力とも呼ばれている11).任意後見契約の当事者も意思能力を有しなければならないが,意思能力概念は民法上必ずしも明確ではなく,意思能力と行為能力の関係を含めて解釈に委ねられている点が少なくない11).それ故に,意思能力を争点とした訴訟が起こりうる.参考とした資料において,意思能力,判断能力,事理弁識能力,の用語が用いられているが,本稿は臨床医を対象としており,法学的議論は避けたいので,ほぼ同様の意味として引用する.
法定後見制度の類型(後見,保佐,補助)ごとに必要な判断能力は前述したxx後見制度診断書ガイドラインにてわかりやすく明記されており,臨床医による各類型の選択は困難ではないと思われる.また,任意後見契約締結後,任意後見の開始時に必要な診断書は,法定後見制度と同一であり,任意後見開始に必要な判断能力は少なくとも補助に該当する以上に不十分であることが要件とされる10)ので,法定後見制度同様に判断能力判定は困難ではないと考えられる.
次に,任意後見契約締結に関しては,裁判所の関与しない委任契約であり,かつ,任意後見契約xx証書作成に際し,法律上,診断書の提出が必須とされていないので,必要な意思能力が確認されないまま契約締結がなされる場合がある.しかし,契約締結に必要な意思能力を欠いていると判断される状況でなされた契約は無効である11),と解されていることから,意思能力を主な争点とした,契約無効確認請求訴訟が起こりうる3, 11).つまり,契約締結に必要な意思能力がなければ,契約が無効とされる可能性がある.ここでの意思能力とは,契約内容について理解し,その締結の是非について判断することのできる精神的能力である11).それでは,任意後見契約締結に必要な意思能力(判断能力)とはどの程度なのか以下考察した.
まず,法務省ウェブサイトにある通り,任意後見契約
は本人が十分な判断能力があるうちに契約し,判断能力が低下した後に任意後見人が保護,支援をする8),との説明から判断すると,任意後見契約に必要な判断能力とは,低下していない状態,つまり,正常な判断能力と受け止められる.また,上述したxx後見診断書作成手引きにある通り,判断能力が低下した後,任意後見開始に必要な判断能力は「補助」に該当する程度に低下とされているので,制度の趣旨からすれば,「補助」に該当する程度まで判断能力が低下する前に任意後見契約を締結しておく必要があると解釈するのが自然である.「補助」の程度が,自己の財産を管理・処分するには,援助が必要な場合がある,重要な財産行為について,自分でできるか
もしれないが,できるかどうか危惧がある,という程度なので,これに該当しない程度となると,自己の財産管理・処分に援助を必要としない程度の能力,つまり,自己の財産管理が単独でできる程度の能力,となる.
しかし,任意後見契約について他の資料を調べると,必ずしも判断能力が十分でなくとも,契約締結ができる場合がある.すなわち,任意後見制度の実務上の形態には,将来型,移行型,即効型,の 3 タイプがある.即効型では,すでに事理を弁識する能力(判断能力)が不十分な状況であるが,任意後見契約の内容を理解することはできると思われる場合に,xx証書作成手続の終了とともに任意後見人選任申請が行われる11).つまり,この形態では,すでに判断能力が不十分でも任意後見契約締結に必要な判断能力があれば認められるとの解釈が前提とされている.このことから,実務上は,認知機能の低下があっても,任意後見契約締結に必要な程度であれば,認められるとされている.すると,前段にて考察した,自己の財産管理が単独でできる程度の能力は,必ずしも,契約締結に必要な判断能力とは同一でないとも考えられる.実際に任意後見法では任意後見契約締結に必要な判断能力には触れられておらず,本人の事理を弁識する能力が不十分なときに任意後見監督人が選任される9),となっている.また,法務省ウェブサイト以外の
資料では,事理を弁識する能力が不十分な状況である
が,任意後見契約の内容を理解することはできると思われる場合11),さらには,補助や保佐の対象となりうる者であっても,判断能力の衰えの程度が軽く,まだ契約締結の能力があると判断されれば,任意後見契約を締結することができる12),と記されている.このことから,自己の財産管理が単独でできる程度の能力がなくても,契約締結能力があればよいと考えられる.それでは,契約締結能力とはどの程度の判断能力であろうか.
前述したが,法学学説(以下,学説)では,意思能力を欠く状況でなされた契約は無効である11)と解されている.従来の学説では,意思能力の判断を,あるかないかの二者択一的問題として理解してきた13).7 歳程度の判断能力がミニマムの意思能力との関連で引用されることがあり11),また,遺言に必要な意思能力は 15 歳の者が通常有する判断能力を基準として,それを有効とする規範設定がなされている11).意思能力のあるなしの二者択一的判断ではこれらの基準が用いられてきたと思われる.しかし,近年の学説では,意思能力の有無は,満 7歳程度の通常人の知能を有するかどうかで判断される一方で,問題となる法律行為(意思表示)の内容によって,必要とされる意思能力は異なるとしている13).これは意
思能力の相対性とも呼ばれ14),契約内容の複雑性や,金額により必要な能力に差が生じると考えられる.
医学的見地からの資料では,認知症疾患治療ガイドライン15)に引用されているxxxの論文16)で詳細に解説されているので以下に要約する.まず,意思能力判定を,
①機能的能力,②キャパシティ(capacity),③コンピタンス(competence),の 3 つのレベルに分ける有益性を指摘した.
機能的能力の中核をなすのは,①意思決定に関連する情報の理解,②情報を論理的に操作する,論理的思考,
③意思決定の行われる状況や意思決定の結果の認識,④意思決定の結果を他者へ伝達する(選択の表明),の 4 つの能力と考えられる17, 18).
キャパシティは臨床的な状態像であり,特定の人がある意思決定に関して,その人がおかれている状況下で意義のある意思決定を行うことができるかどうかの評価を指す.キャパシティの判断は,本人の精神医学的状態像,思考や行動,経済状態等,および社会的関係等の背景を総合的に判断して,閾値を設定し,能力の有無を判定する15).
コンピタンスは裁判官によって判定される法的な身分であり,法律行為を行うために必要な能力の評価とされる.コンピタンスの評価は,医師によるキャパシティの判定を資料として,裁判官が法律や判例を考慮して判定する.
以上の解説から,意思能力判定は医学的見地の評価を参考とし,裁判官が総合的に判断するものと理解できる.また,同ガイドラインでは,xx後見制度で用いられる事理弁識能力は,財産管理能力や身上監護に関する契約締結能力と理解され,受ける内容によって変化する医療同意能力に比べると,より安定的であり,状況により変化しにくいものが求められる可能性15)が指摘されているが,具体的基準は示されていない.
任意後見契約に関し公表された裁判例は少なく19),意思能力を問われた事案は自験例以外で渉猟しえたのは 1
例のみである14).また,その 1 例と自験例においても,任意後見契約締結能力の判断基準は示されていない14).任意後見契約ではないが,売買契約時の意思能力等が争点となった不当利得金返還等請求事件20)では,争点に対する裁判所判断の中で,「意思能力の有無は,個別の契約ごとに検討すべきものである」,とされている.このことは任意後見契約にもあてはまると考えられる.一部の学説では,任意後見契約に必要な意思能力の程度は,身分行為や遺言よりもやや高い意思能力が制度上求められている14)とされるが,個別の契約ごとに検討するので
あれば,一概には言えないであろう.自験例の裁判所判断でも,「任意後見契約締結に必要な判断能力は通常の有償契約より高度のものが必要とされるべき」,との原告主張に対し,「一般的に言われているわけではない」と否定している.また,同例において,xxx式簡易知能評価スケールにおいて,重度の記憶,見当識,計算の障害を認めたにも関わらず,他の医療記録や公証人記録,介護記録などから,「xxx式簡易知能評価スケールの結果が低い点数だとしても,この結果は直ちに意思無能力であったことの根拠にならない」と判断している.
以上から,裁判所における意思能力判定は,契約内容,診断書等の医学的評価,生活状況,公証人の判断,一般社会通念,公序良俗,等を証拠として,裁判官が,総合的に判断するものと考えられる.
診療上の問題点と留意点
任意後見制度で診療上問題となるのは,主に判断能力の評価と考えられる.契約無効請求の民事訴訟等で,契約締結時の判断能力が争点となりうるからである.しかし,契約無効請求は,契約後,時間が経過してから請求され,また,契約時の診断書が必須でないため,契約の際に医師へ診断書が依頼されることは少ないと考えられ,これは制度上の問題でもある.そのため,後で判断能力が問題とされる可能性があり,診療上留意すべきと思われる.契約時,判断能力が十分であれば問題ないが,判断能力が低下している患者の診療では,適切な評価と,記録,および,ご家族への説明が重要と考えられる.すでに認知症の症状が出てきた場合には,むしろ,法定後見の制度を利用した方が無難である12).ご家族から相談された際には,任意後見制度の適応・問題点について説明・助言することで,後日,無効請求等の問題を避けられる可能性がある.いずれにしろ,現行制度では,契約時の医師の診断書は必須でないため,契約時に公証人が委任者の判断能力に疑問を抱いた場合は,後のトラブル防止のために医師診断書の提出を求めることが
望ましい.しかし,そのような場合であっても,公証人
の審査権限は制限的であり,公証人が説明を求めても,相手方は応じる義務はなく,無効等の疑いがあるものの,確証が持てないときは,xx証書を作成する義務があるものと解されている5).よって,任意後見法において,公証人は本人に契約締結能力があることが疑わしいときは任意後見契約書の作成を拒絶することができる旨の規定を設けるべきである5),との提言がなされている.しかしながら,この提言通りの法改正はなされておらず,現状は公証人の審査権限は制限的なままである.
しかし,これでは任意後見契約締結の判断能力が疑わしい人でも,任意後見契約が締結できてしまうという問題が残るのであるから,少なくとも公証人が必要と判断した場合の医師の診断書提出義務が課されなければ,判断能力の落ちた方々の保護にならないのではないかと考える.また,任意後見制度に関与する可能性のある医師が,契約に必要な判断能力と制度の問題点を認識することは,制度の健全な運用や紛争の回避の観点からも,有意義であると考えられる.
おわりに
自験例では,争点である意思能力について,認知症評価スケール等に基づく医学的判断と,裁判所判断との間に乖離が生じたが,前述したxxxの説16)では,コンピタンスの判断は医学的評価を参考にして,総合的に裁判所が判断するので,その結果と考えられる.同様に,判断能力について,xxは以下のように説明している.
「こうした能力(自己の財産を管理・処分する能力)の有無・程度の判断が,そもそも誰の仕事であるかは今日でも明快に答えられているわけではない.(中略)最高裁判所は心理学的要素を鑑定人と裁判所との共同作業の場と認めている.そうすると実際には,『専門家の判断する弁識能力』と『裁判所の判断する弁識能力』の 2 つが存在することになる.(中略)裁判所は,『専門家の判断する弁識能力』を参考にしつつ,『裁判所が判断する弁識能力』を独自に確保しなければならない」13).これは,医学と法律実務の接点領域の問題を浮き彫りにする解説11)である.
最後に,民事訴訟の主目的,形式的xx主義,裁判官
の自由心証主義,について触れておく.医療訴訟とガイドラインに関して報告した,xxxによれば,民事訴訟の主たる目的は紛争解決にあり,民事裁判においてxx発見は副次的な目的にすぎず,また,自然科学的意味でのxx発見とは意味合いを異にする21).このことは,民事訴訟でのxxは必ずしも,科学的,客観的xxとは一致しないとされる,形式的xx主義と呼ばれる.したがって,形式的xx主義に基づき,裁判官の自由な判断に委ねられる(自由心証主義)判決は,医学的評価との間に差が生じうる.これらの法学的問題を認識することは,一般臨床医が医療訴訟を理解するうえで重要と考える.
謝 辞
本論文作成にあたり,xxxxxに有益なご助言をいただくとともに,貴重な資料を提供していただいた.こ
こに深謝の意を表する.
著者は日本脳卒中学会への COI 自己申告を完了しており,本論文の発表に関して,開示すべき COI はない.
参考文献
1)日本脳卒中学会・脳卒中ガイドライン委員会:脳卒中治療ガイドライン 2015.東京,協和企画,2015, pp309
2)xxxxx:高齢者の意思能力の有無・程度の判断基準:遺言能力、任意後見契約締結能力をめぐる裁判例を素材として.横浜法学 22: 263–285, 2014
3)大供 孝:任意後見契約無効請求の一例.Jpn J Rehabil Med 52(Suppl): S422, 2015
4)大供 孝:任意後見制度における判断能力判定と診療上の問題点.Jpn J Rehabil Med 52: 778–779, 2015
5)日本弁護士連合会:意見書等:任意後見制度に関する改善提言(中間まとめ).xxxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/ ja/opinion/report/data/20080820-2.pd(f 2017 年 8 月 15 日 access)
6)日本司法書士会連合会:意見書等 任意後見制度の改善提言と司法書士の任意後見執務に関する提案.https://www. shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/opinion/5009/
(2017 年 8 月 15 日 access)
7)民事法務協会:民事法務協会の主な事業「成年後見制度研究会」による研究調査 成年後見制度研究会・報告書(平成 22 年 7 月 12 日) 研究報告 成年後見制度の現状の分析と課題の検討 ~成年後見制度の更なる円滑な利用に向けて~.http://www.minji-houmu.jp/download/seinen_kenkyu houkoku.pd(f 2017 年 8 月 15 日 access)
8)法務省:成年後見制度~成年後見登記制度~.http:// www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a1(2017 年 7 月 6 日 access)
9)電子政府の総合窓口 e-Gov:任意後見契約に関する法律. http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO150.htm(l 2017 年 7 月 20 日 access)
10)最高裁判所事務総局家庭局:成年後見制度 成年後見制度における診断書作成の手引き.http://www.courts.go.jp/ vcms_lf/H2512sindan.pd(f 2017 年 7 月 10 日 access)
11)田山輝明:成年後見読本 第 2 版.東京,三省堂,2016 12)日本公証人連合会:任意後見契約.http://www.koshonin.
gr.jp/business/b02(2017 年 7 月 20 日 access)
13)新井 誠,西山 詮編:成年後見と意思能力─法学と医学のインターフェース.東京,日本評論社,2002
14)三輪まどか:高齢者の財産管理と意思能力:後見をめぐる裁判[東京地判 H18.7.6 判時 1965 号 75 頁]を契機として.横浜国際経済法学 18: 139–168, 2009
15)認知症疾患治療ガイドライン作成合同委員会編:認知症疾患治療ガイドライン 2010.東京,医学書院,2010, pp155–156
16)五十嵐禎人:意思能力の判定方法.成年後見法研究 5: 23–
29, 2008
17)Appelbaum PS, Grisso T: Assessing patientsʼ capacities to con- sent to treatment. N Engl J Med 319: 1635–1638, 1988
18)Grisso T, Appelbaum P: Assessing competence to consent to treatment: a guide for physicians and other health professionals. New York, Oxford University Press, 1988
19)最高裁判所:裁判例情報 任意後見 意思能力で検索. http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1(2017 年 8 月 14日 access)
20)最高裁判所:裁判例情報 平成 16(ワ)12777 不当利得金返還等請求事件 平成 18 年 9 月 29 日 大阪地方裁判所. http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1(2017 年 7 月 24日 access)
21)大平雅之,桑原博道,小原克之:脳卒中診療が争点となった医療訴訟における診療ガイドラインの取扱い.脳卒中 36: 10–15, 2014
Abstract
The mental capacity for a contract to be under the guardianship
Takashi Otomo, M.D., Ph.D.1)
1)Department of Internal Medicine, Saitama-Misato Rehabilitation Hospital
In the arbitrary guardianship system in Japan, we will contract with guardians if the judgment ability declines in the future. There is no clear standard for judgment ability necessary for the arbitrary guardian contract. We examined the judgment ability necessary for the arbitrary guardian contract. Even if the judgment ability is declining, the arbi- trary guardian agreement will be effective if there is will ability necessary for concluding a contract. A judge evalu- ates the will ability necessary for concluding a contract with reference to medical evaluation, personal circumstances, etc. Therefore, the medical assessment and the judgment of the court may not necessarily agree.
Key words: arbitrary guardian contract, judgment ability, mental capacity, cognitive function, higher brain dys- function
(Jpn J Stroke 40: 409–413, 2018)