Contract
データに関する取引の推進を目的とした契約ガイドライン
‐データ駆動型イノベーションの創出に向けて‐
平成 27 年 10 月
経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
目次
近年のネットワーク技術、情報処理技術等の IT の進歩・発展により、多種多様なデータを大量に集め、蓄積し、それらを適切かつ効果的に分析し、マーケティングをはじめとするビジネス活動の高度化や新商品の開発等のイノベーションにつなげることが可能となっている。
すでに国内外では、自社が保有するデータに加え、他社が保有するデータやオープンデータを利活用することで新規性のあるビジネスモデルを構築し、新たな価値を創出しながら、競争力の強化を図る事例が出現してきており、今後は、さらなる分野・組織の壁を超えたデータの利活用によるデータ駆動型イノベーションの創出が期待される。
分野・組織を超えたデータの取引にあたっては、データを提供する事業者(以下「データ提供者」という)と当該データを利活用する事業者(以下「データ受領者」という)で交渉すべき内容は多岐にわたるが、現在はまだデータに関する取引の先行事例が少なくその判断材料となる指標等も少ない。そこで、本ガイドラインで、データ取 引の際の契約における検討ポイントを提示することとした。これにより、事業者間の契約合意に至る労力を減らし、予期せぬトラブルを抑止することを目指している。
なお、個々の契約内容はあくまでも当事者間の自由意志に基づき決定されるべきものであるため、本ガイドラインは、その内容を検討すること及び契約に定めることを当事者に強制するものではない。
本ガイドラインは、あくまで、当事者が十分な検討を行った上で、自らが権利を行使 し、過度な負担を負わない条件で取引を実施できるか、その可能性を探る上での一助となることを目的とするもの である。本ガイドラインがスムーズな合意形成を助けるための参考に資するものとなれば幸いである。
本ガイドラインが適用対象とする取引及び契約形態は以下のとおりである。
本ガイドラインは、あらゆる業種や規模の組織が行うデータに関する取引を対象としており、ここでいう「データに関する取引」とは、いわゆるビッグデータを利活用した商品開発やサービスの付加価値向上、組織の課題解決等を目的とした取引を想定している。画像データや音楽データのライセンス取引のようないわゆるコンテンツビジネスは対象としていない。
具体的な取引イメージを持てるよう、本ガイドラインが想定するデータに関する 取引の一例として 、以下に、Web サイト運営事業者がデータ提供者として当該 Web サイトのユーザーから取得したデータを第三者に提供する場合の事例を示す。
取引対象になるデータについては、主に、消費者がサービスを利用する際に、当該サービスを提供する事業者によって取得される、商品の購入履歴や利用日時、 Web サイトや当該サイト上に掲載された広告の閲覧履歴等を想定しているが、特に制限は設けず、ありとあらゆるデータを対象としている。
※留意事項※
本ガイドラインは、汎用的なガイドラインとして活用いただくことを想定し作成されたものであるため、例えば個人情報を取り扱う際の検討事項といった、特定の法令の適用を受けるデータに特化した検討項目まで網羅したものではない。
そのため、それらのデータについて取引をする事業者は、本ガイドラインの他に、別途法令上の義務やそれらのデータ特有の留意事項についても検討した上で取引を実施する必要がある。
本ガイドラインが想定する契約形態については、当事者それぞれが条件交渉の上書面合意する契約や、サービス利用規約のようにデータ提供者が提示した条件にデータ受領者が同意することによって契約が成立する約款取引等、あらゆる契約を想定している。なお、本ガイドラインでは、これらのデータに関する取引に係る契約条件が記載された文書等を、便宜上、以下まとめて「契約書」と称する。
相対取引を行う場合に、データ提供者、データ受領者それぞれが、契約書への記載を検討することが望ましい事項を整理した。
検討項目は以下の内容で構成されている。データの内容や利用範囲、対価条件等、データ取引契約において特に留意することが望ましい項目については詳細に検討事項を記載している。
各検討項目は以下の要素で構成されており、各要素についての解説は以下のとおりである。
データ取引に当たって検討することが望ましい具体的な項目を以下に示す。
データの内容・提供方法・仕様 |
本項では、まず、データ取引の契約において最も重要である、取引対象となるデータの内容についての検討項目を整理している。 例えば、データの使用許諾において、対象となるデータが契約上で正確に定められ ていないことで、データ提供者は提供可能な範囲を超えたデータの提供を求められ、データ受領者は本来提供を受けるべきデータの提供が受けられないおそれがある。そのため、対象となるデータの内容や量については正確に定めることが望ましい。 また、安定的な取引の継続及びデータの利用においては、あらかじめ合意した提供手段やフォーマットでの安定したデータの授受がなされることが望ましい。 データ提供者、データ受領者は、いずれも、データの授受のために必要な環境の追加開発コストが発生しない方法で合意できるよう交渉することが望ましい。そのために、データ提供者は、一律の方法や仕様でデータを納入できる条件とするのが望ましく、データ受領者は、データの受領環境の追加開発や、利用にあたってのデー タの変換コストが生じない条件とすることが望ましい。 |
データの内容 | A |
□ 提供、許諾の対象となるデータの内容、量、項目は網羅されているか □ データの粒度、更新頻度等は適切に定められているか | |
データの提供方法 | A |
□ 紙、電子ファイル(ファイル形式の指定を含む)等、データの適切な提供形式は特定されているか。 □ 電子メールや API 等、データの適切な提供方法は特定されているか □ データを継続的に提供する場合、データの納入先や適切な提供頻度は定められているか □ データ受領者によるデータの利用に必要な範囲での加工、編集、整形等に対する データ提供者からの適切な技術的サポートの提供に関する定めはあるか | |
データの仕様 | A |
□ データ提供者によるデータの提供形式や仕様の変更は随時可能か(可能な場合 は、データ受領者への事前通知を必須にする等その条件は定められているか) | |
提供機能の性能・品質 | B |
□ データを提供する機能の性能・品質(リアルタイム性、サービス稼働率等)レベ ルが、適切なレベルを満たす旨定められているか |
利用範囲・取扱条件 |
本項では、データの利用範囲や利用目的、データの取扱条件についての検討項目を整理している。これらを正確に定めることにより、データ提供者は自身の意に反する態様でデータが利用されることを防止することができ、データ受領者は本来の目 的、態様でのデータの利用が可能になる。 |
利用範囲 | A |
□ データの提供形態が、データの使用許諾か、データの売買か、共同利用(相互の使用許諾)かといった形で、明確に定められているか □ データの使用許諾の場合、許諾対象となるデータを使用できる者は適切な範囲に特定されているか(データにアクセスできるデータ受領者側の関係者に制限はあるか、第三者への再許諾を認めるのか等) □ データの利用目的は適切な内容に定められているか(必要に応じて目的を制限できているか) □ データ受領者に対し第三者から使用許諾を受けたデータを提供する場合、データ受領者への提供条件(利用目的や利用範囲等)が、当該使用許諾の範囲を超えた条件となっていないか □ データ受領者に提供するデータに消費者からの同意によって取得したデータが 含まれる場合、事前に消費者から同意を得た範囲内での提供条件となっているか | |
データの取扱条件 | B |
□ 契約に基づく義務の履行又は権利の行使に必要な範囲でのデータの複製、データ の改変、加工、データの解析、分析(データの生成に関するアルゴリズムの解析等)等が認められているか | |
データの利用期間 | A |
□ データの提供期間と利用可能期間(利用可能期間終了後の処分の要・不要等)、契約期間は整理された上でそれぞれ適切な期間が定められているか | |
独占・非独占 | B |
□ データ提供者からデータ受領者へのデータの提供条件が、独占的な提供か非独占 的な提供のいずれかが必要に応じて明確に定められているか |
データに知的財産権が認められる場合の権利帰属x |
x項では、データ提供者が提供するデータ(以下「元データ」という)及びそれを元にデータ受領者が作成した派生データや加工データ、成果物(合わせて以下「派生データ等」という)についての知的財産権の帰属に関する検討項目を整理する。元データ及び派生データ等が、データベースの著作物のように 知的財産権が認めら れるものの場合 、取引内容に応じて権利の帰属先を検討することが望ましい。本項では、想定される基本的な権利の帰属パターンを記載する。なお、ここで記載するパターンはあくまで参考例として提示しているものであり、記載されたパターンで合意することを強制するものではない。権利帰属の条件についても、他の検討項目 同様、取引内容に応じて当事者間で自由に決定されるものである。 |
帰属パターン | 元データの 権利帰属先 | 派生物の権利帰属先 |
権利がそれぞれに帰属する場合 | データ提供者に留保 | データ受領者に帰属 ※派生データ等に含まれる元データの権利はデータ提供者に留保しているため、データ受領者による派生データ等の処分可能範囲について検討することが望ましい |
権利が全てデータ提供者に 帰属する場合 | データ提供者に 留保 | 作成と同時にデータ提供者 に帰属 |
権利が全てデータ受領者に 帰属する場合 | 提供時にデータ 受領者に移転 | 作成と同時にデータ受領者 に帰属 |
対価 |
本項では、データ取引における対価条件に関する検討事項を整理する。 なお、データの価値は、データビジネスの市場状況や、データを利活用するサービス内容の変化に伴い契約締結時から変化(増減いずれも)する可能性がある。そのため、データや取引内容に応じて、契約更改時に対価条件を見直せるよう定める必要があるか検討することも有効である。 |
支払条件 ※ | A |
□ 金額又は算出方法は明確に定められているか □ 金銭以外の対価を求める場合はその内容は定められているか(無償の場合、無償である旨が明記されているか) |
※ データに関する取引において考えられる対価の支払条件について基本的な類型を以下に例示する。
類型 | 具体例 | 留意点 |
固定料金 | 「金○○○万円/一括」 「金○○○万円/月額」 等 | 月額固定といった期間固定料金を支払う場合、期間途中で契約が終了した際の対価の日割計算に関する規定を 必要に応じて検討する。 |
従量課金 | 「単価×数量*に応じて額を決定」 *「数量」に用いる数値としては、以下のようなものが考えられる。 アカウント数/ソフトウェアのライセンス数/API のコール数 等 | データ受領者は、対価算出の根拠となる数値が客観的に明らかではないデータ提供者しか知り得ないものの場合、金額確定の際、データ提供者に対して金額算出の根拠を求められるよう定める ことが望ましい。 |
売上の配分 | 「データを利用して提供したサービスによってデータ受領者が獲得した売上の○○%」等 データの利用に起因してデータ受領者に何らかの金銭的メリットが発生した場合に、その一定割合を配分する。 | データ提供者は、以下の点等に留意する必要がある ・配分対象となる収益の定義 ・支払いを受ける際に、その金額の算出根拠の提出を求めること ・提出された金額の算出根拠に疑義が生じた場合、データ提供者に対する監査が可能 旨契約に定めること |
無償 | データを提供し利用してもらうことで、データ提供者になんらかのメリットが発生することから、金銭による対価の支払いは受けない場合 | 無償取引の場合は無償であることを明記し、金銭の代わりに何らかのメリット(データ提供者であれば、データ受領者からデータを元に作成した成果物の納品を受ける等)の提供を受ける場合につ いてはその旨を定める |
データ提供者の義務 |
本項では、データの内容に関する保証やデータ提供不能時の責任範囲等、データ提供者に義務として課すことが望ましい項目を整理している。 データ提供者は、提供するデータの内容や取引内容によって、データ品質の保証範囲や損害賠償の範囲等を制限する旨の規定を設けることが望ましい。 他方、データ受領者は、データの内容やデータ提供機能について一定の品質が保証されないと、当該データを利活用した安定的な事業活動の継続が困難な場合がある。 そこで、データ提供者の立場からは自己の責任範囲の制限を検討することが望ましい項目を、データ受領者の立場からは安定的な事業の実施の観点から検討することが望ましい項目を、それぞれ記載している。 また、パーソナルデータの取扱いについては消費者の関心も高いため、事業者が、消費者に対し十分な説明を行わずにパーソナルデータを取得、利用した場合や、消費者からの同意の範囲を超えてパーソナルデータを利用した場合、当該事業者は、信頼やブランド価値の低下により思わぬ損害を被ることがある。また、契約条件に反しない方法で利用していた場合であっても、消費者からの問合せ、クレーム等が発生する場合もある。よって、それらの問合せ、紛争等が発生した場合の対応責任の所在を明確 に定めることが重要になる。 |
保証 | B |
□ データに関する第三者の権利非侵害の保証やセキュリティ面での安全性(ウィルス混入等)は保証されているか(無保証の場合はその旨が明記されているか) □ データの正確性、完全性、安全性は保証されているか(無保証の場合はその旨が明記されているか) □ データの有効性、特定の目的への適合性は保証されているか(無保証の場合はその旨が明記されているか) □ データ提供に当たって必要なデータの権利者からの承諾は、データ提供者にて取得すべき旨の定めはあるか □ データ提供に当たって必要な消費者からの同意は、データ提供者にて取得すべき旨の定めはあるか □ データが保管されたサーバー等、データ提供者の環境へアクセスしたこと等によって、データ受領者の環境へのウィルス混入等の不具合が発生しないよう、データの 提供環境の安全性は保証されているか | |
提供機能に関する責任 | B |
□ データを提供する機能の性能・品質(リアルタイム性、サービス稼働率等)が、x xの要求レベルを満たさない場合のデータ提供者の責任範囲は適切に定められているか(免責される場合はその旨が明記されているか) | |
提供不能の時の責任 | A |
□ データを提供できない場合の責任範囲(損害に対する補償の有無、損害賠償の範囲、 上限等)は適切に定められているか |
対応責任 | A |
□ 例えば、以下の事項に関して生じた第三者からの問合せ、xxxx、その他第三者との間で生じた紛争に関するデータ提供者による対応責任は適切に定められているか ・データ受領者によるデータの利用 (データ提供者との契約条件に反しない態様での利用に限る) ・データ提供者による、第三者からの承諾の範囲(データの権利者からの許諾の範囲や消費者からの同意の範囲等)を超えたデータ受領者へのデータの提供 |
データ受領者の義務 |
本項では、データの管理責任やデータ漏えい時の対応責任等、データ受領者に義務として課すことが望ましい項目を整理している。 データ提供者は、データ受領者に対しデータが漏えいしないよう一定の機密レベルでの管理を求め、データ提供者はデータ受領者による漏えいが発覚した場合、それによる被害が最小限度に止められるため対応を講じるよう求めることが望ましい。そのため、ここでは、データ受領者によるデータの管理、取扱条件等について検討することが望ましい点を記載している。 また、データの利用に基づく第三者との紛争対応責任について、データ受領者が負う 責任範囲を可能な限り明確になるよう検討することが重要になる。 |
データの管理 | B |
□ データ受領者によるデータの適切な管理方法(データ保存期限や善管注意義務等)によって管理される旨定められているか □ データ提供者による、データ受領者のデータ管理、利用状況を監査できる権利は担保されているか □ 契約終了時の義務(廃棄及び廃棄証明の提出)、返却、データを元に作成した派生 データ等の取扱い等)の内容は適切に定められているか | |
データの漏えい | A |
□ データの漏えいや目的外利用の恐れがある場合等にデータ提供者がデータ受領者に対し是正を求めることができる権利は担保されているか □ データ受領者によるデータの漏えい又は目的外利用等が発覚した場合に、データ提供者に対し通知を行う旨定められているか □ データが漏えいした場合のデータ受領者の責任(損害に対する補償の有無、損害賠 償の範囲、上限等)は適切に定められているか | |
対応責任 | A |
□ 例えば、以下の事項に関して生じた第三者からの問合せ、クレーム、その他第三者との間で生じた紛争に関するデータ受領者の対応責任は適切に定められているか ・データ受領者によるデータ提供者との契約条件に反する態様でのデータ利用 ・データを利用するサービス(データ受領者が主体として提供するサービス)に関する問合せ対応 |
遵守事項 | B |
□ 例えば以下の行為を行った場合に、サービスの停止措置や契約解除が可能なよう遵守事項の内容は適切に定められているか。 併せて「データの取扱条件」の項についても検討することが望ましい ※以下の項目はあくまで参考例であり、取引条件に応じて項目を検討すること データの改変、加工/データの解析、分析(データの生成に関するアルゴリズムの解析等)/法令等に違反する目的又は第三者の権利を侵害する目的での利用/データ提供者の承諾なく第三者にデータをサブライセンスすること/データ提 供者が不適当と判断する目的、態様での利用 |
不可抗力免責 | B |
□ 例えば以下のような事由が発生し、契約上の義務の履行が困難になった場合に、契約上の義務を免れる旨定められているか。 ※以下の項目はあくまで参考例であり、取引条件に応じて項目を検討すること 天災地変/戦争/内乱/暴動/停電/通信設備の事故/サービス提供の停止又は緊急メンテナンスの実施等 |
契約解除、期限の利益喪失 | B |
□ 相手方が以下のいずれかに該当した場合、サービスや支払停止等、義務の履行を一時停止する、又は契約を解除する権利は担保されているか 債務不履行/手形、小切手を不渡としたとき/倒産手続開始の申し立てがなされた とき/倒産手続開始・資産の差押えの申し立てがなされたとき/反社会的勢力との関係が明らかになったとき等 |
秘密保持義務 | B |
□ データ取引の対象となるデータと、取引実施の過程で開示する自社の秘密情報(システムの仕様や事業計画、取引実施の事実等、開示する側が秘密情報として管理することを希望するもの)の取扱条件を異なるものにする場合、その条件は明確 に定められているか。 |
ここでは、3.3 の検討項目の検討結果を具体的に契約書に反映した際の記載内容等についてイメージが持てるよう、3.3 の検討項目の一部について、契約書に反映した場合の具体例を提示する。なお、3.3 の検討項目の検討結果を反映した規定については、該当する条項に注記をし、検討項目に記載がされていない条項についてはグレーアウトで表記している。
※利用にあたっての注意事項※
本ひな形は、検討項目の一部の検討結果を反映した場合の参考例であるため、全ての取引においてそのまま利用いただけるものではありません。個々の取引毎に必ず必要な契約条件の検討を行った上で、契約書を作成ください。
○○○データの提供に関する契約書
○○○株式会社(以下「甲」という)及び○○○株式会社(以下「乙」という)とは、甲から乙への○○○データの提供に関し、以下のとおり契約(以下「本契約」という)を締結する。
第○条(定義)→ 検討項目:「データの内容」・「利用範囲」
本契約において用いる語句の定義は、以下のとおりとする。
(1) 「○○○データ」とは、甲が保有するデータで別紙に詳細を定めるものをいう。ただし、個人を識別できる情報は含まない。
(2) 「本目的」とは、[乙が、 こと]を
いう。
第○条(○○○データの提供)→ 検討項目:「データの提供方法」・「データの仕様」
甲は、本契約期間中、毎月○日までに乙に対し、以下の提供方法及びデータ形式により、
○○○データを提供する。
(1) 提供方法
[記載例:電子メール添付 ]
(2) データ形式
[記載例:Excel ファイル ]
第○条(○○○データの利用許諾)
1. 乙は、甲から提供を受けた○○○データを、本契約期間中、本目的の範囲でのみ利用することができる。→ 検討項目:「利用範囲」
2. 乙は、甲の書面による事前の承諾のない限り、○○○データを第三者に開示、提供、漏えいし、また本目的外に利用してはならない。→ 検討項目:「利用範囲」
3. 乙は、○○○データを秘密に保持するため、○○○データを他の情報と明確に区別して保管しなければならず、所管官庁のガイドラインに従うとともに、その他秘密保持のため
13
に合理的な措置を講じ、善良な管理者の注意をもって取り扱うものとし、不正アクセス、不正利用などの防止に努めるものとする。→ 検討項目:「データの管理」
→ 検討項目:「保証」
第○条(保証)
甲は、乙に対し、○○○データが第三者の知的財産権、その他一切の権利を侵害するものでないことを保証する。
→ 検討項目:データ提供者の義務「対応責任」/データ受領者の義務
第○条(対応責任)
「対応責任」
1. 甲は、乙による○○○データの利用に関連して生じたクレームや請求について、甲の費用と責任で解決するものとする。また、当該クレームや請求への対応に関連して乙に費用が発生した場合又は賠償金等の支払いを行った場合、甲は当該費用及び賠償金等を負担するものとする。
2. 前項の定めにかかわらず、乙は、乙による本契約に違反する態様での○○○データの利用に起因もしくは関連して生じたクレームや請求について、乙の費用と責任で解決するものとする。また、当該クレームや請求への対応に関連して甲に費用が発生した場合又は賠償金等の支払いを行った場合、乙は当該費用及び賠償金等を負担するものとする。
第○条(利用状況)→ 検討項目:「データの管理」
1. 甲は、乙に対し、乙による○○○データの利用が本契約の条件に適合しているか否か検証するために必要な利用状況の報告を求めることができるものとする。
2. 甲は、合理的な基準により、前項に基づく報告が○○○データの利用状況を検証するのに十分ではないと判断した場合、○○営業日前に書面による事前通知をすることを条件に、 1 年に 1 回を限度として、乙の営業所において、乙による○○○データの利用状況の監査を実施することができるものとする。この場合、甲は、乙の情報セキュリティーに関する規程その他の乙が別途定める社内規程を遵守するものとする。
3. 前項による監査の結果、乙が本契約に違反して○○○データを利用していたことが発覚した場合、乙は甲に対し監査に要した費用及びデータ利用に係る追加の対価を支払うものとする。
第○条(管理状況)→ 検討項目:「データの管理」「データの漏えい」
1. 甲は、○○○データの管理状況について、乙に対して何時でも書面による報告を求めることができる。この場合において、○○○データの漏えい等のおそれがあると甲が判断した場合、甲は、乙に対して○○○データの管理方法の是正を求めることができる。
2. 前項の報告又は是正の要求がなされた場合、乙は速やかにこれに応じなければならない。
第○条(損害軽減義務)→ 検討項目:「データの漏えい」
1. 乙は、○○○データの漏えい等を発見した場合、直ちに甲にその旨を通知しなければなら
14
ない。
2. 乙の故意又は過失により、○○○データの漏えい等が生じた場合、乙は、甲の損害を最小限にとどめるために必要な措置を自己の費用と責任で講じなければならない。
第○条(○○○データの廃棄)→ 検討項目:「データの利用期間」
乙は、甲から請求のあったときは、直ちに○○○データを廃棄又は消去しなければならない。
第○条(対価)→ 検討項目:「支払条件」
1. 乙は、第○条に基づく○○○データ提供の対価として、甲に対し、[記載例:月額金 円(税別)]を支払うものとする。
2. 乙は、本契約期間中、前項に定める金額に消費税及び地方消費税相当額を加算した金額を、[記載例:データ受領月の翌月 日]までに、甲指定の銀行口座へ振り込み支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。
第○条(残存条項)
本契約終了後も、第○条(対応責任)、xx、第○条(xxxx等の譲渡禁止)、第○条
(秘密保持義務)、第○条(別途協議)、第○条(合意管轄)は有効に存続する。
第○条(権利義務等の譲渡禁止)
甲または乙は、相手方の書面による事前の承諾のない限り、本契約上の地位及び本契約によって生じる権利義務の全部又は一部を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならない。
第○条(秘密保持義務)
1. 甲及び乙は、本契約を通じて知りえた、相手方が開示にあたり、書面・口頭・その他方法を問わず,秘密情報であることを表明した上で開示した情報(以下「秘密情報」という)を、本契約の有効期間中及び本契約終了後○年間厳に秘密として保持し、相手方の書面による事前の承諾なしに第三者に開示、提供、漏えいし、また本契約の履行以外の目的に使用してはならない。ただし、法令上の強制力を伴う開示請求が公的機関よりなされた場合は、その請求に応じる限りにおいて、開示者への速やかな通知を行うことを条件として開示することができる。
2. 前項の規定にかかわらず、次の各号の一に該当する情報は、秘密情報に当たらないものとする。
(1) 開示の時点で既に被開示者が保有していた情報
(2) 秘密情報によらず被開示者が独自に生成した情報
(3) 開示の時点で公知の情報
(4) 開示後に被開示者の責に帰すべき事由xxxxに公知となった情報
(5) 正当な権利を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく開示された情報
15
第○条(有効期間)→ 検討項目:「データの利用期間」本契約の有効期間は、20 年 月 日から 20
年 月 日までとする。
前項の定めにかかわらず、期間満了の○ヶ月前までに、いずれかの当事者より期間満了日をもって本契約を終了する旨の書面による通知がなされない限り本契約は自動的に
○ヶ月間更新するものとし、以後も同様とする。
第○条(解除、期限の利益喪失等)→ 検討項目:「契約解除、期限の利益喪失」
甲又は乙は、相手方が次の各号の一に該当する場合、何らの通知、催告なしに、直ちに本契約の全部又は一部につき、何らの責任を負うことなく、その債務の履行を停止し、又は解除することができる。
(1) 本契約に定める義務の全部又は一部に違反したとき
(2) 財産又は信用状態の悪化等により、差押え、仮差押え、仮処分、強制執行もしくは競売の申立てがなされ、又は租税公課を滞納し督促を受けたとき
(3) 破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始その他法的倒産手続開始の申立てがあったとき、解散(又は法令に基づく解散も含む)、清算もしくは私的整理の手続に入ったとき
(4) 手形もしくは小切手を不渡とし、その他支払不能又は支払停止となったとき
(5) 自ら又は自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋もしくはこれらに準ずる者又はその構成員であることが判明したとき
第○条(別途協議)
本契約に定めがない事項又は本契約に生じた疑義について、甲及び乙は、誠実に協議して解決を図る。
第○条(合意管轄)
本契約に関して甲乙間に生じる裁判上の紛争については、○○地方裁判所を専属的管轄裁判所とする。
以上、本契約締結の証として本書 2 通を作成し、甲乙記名押印のうえ各 1 通を保有する。
20 年 月 日
甲: 乙:
16
別紙 ○○○データ
記載例 甲が保有する(記載例:「甲が運営するサービス「○○○○」の利用者に関する情報」 /「「○○○」の全国各店舗の POS データ」)で、詳細は以下のとおりとする。 | |
データの項目 | 記載例① 「甲が運営するサービス「○○○○」の利用者に関する情報」の場合: クッキーID/タイムスタンプ/IP アドレス/利用の端末情報 記載例② 「「○○○」の全国各店舗の POS データ」の場合: 顧客 ID/購買日付/購買時間/商品大カテゴリー/商品小カテゴリー/客層区分/商品名/数量/税込価格/税抜価格/決済区分 |
データの集計対象期間 | 毎月○日から○日まで |
以上
17