Contract
(参考)令和 5 年 8 月発刊予定「わかりやすい賃貸借契約書の書き方」解説抜粋事業用定期借地権設定契約に係るxx業法 37 条書面
〇事業用定期借地権及び定期借地権(事業用)と 37 条書面
事業用定期借地権(借地借家法第 23 条第 1 項)及び定期借地権(事業用)(同法同条第 2
項)(以下「事業用定期借地xx」といいます)は、「前 2 項に規定する借地権設定の契約は、
xx証書によってしなければならない」と規定され(同法同条第 3 項)、事業用定期借地xxの設定契約(以下「事業用定期借地契約」といいます)は、契約内容に係る当事者間の合意に加え、当該合意内容をxx証書にすることが求められています。
一方、宅地建物取引業法第 37 条第 2 項は、「その媒介により契約が成立したときは当該契約の当事者に対し、遅滞なく、・・書面を交付しなければならない。」とし、同法の解釈運用の考え方では、当該書面(以下「37 条書面」といいます)につき、「本条の規定に基づき交付すべき書面は、同条に掲げる事項が記載された契約書であれば、当該契約書をもってこの書面とすることができる」とされているところです。
事業用定期借地契約においていかなる書面が 37 条書面に該当するかは、これまで明確な見解が示されておりませんでした。37 条書面の法定記載事項(当事者の氏名・住所、宅地の所在等、宅地の引渡し時期等)は、宅地建物取引業者の媒介により当事者間で合意し、xx証書に記載すべ内容として取り交わした事業用定期借地xx設定合意書(以下「合意書」といいます)において基本的に確定していること、xx証書化は事業用定期借地xxとしての効力要件と解されていることなどからすれば、合意書をもって 37 条書面とすることは必
ずしも否定されないとも考えられます。そこで本書式集では、これまでは合意書をもって 37
条書面を兼ねるとしてきました。
しかし最近、国土交通省から、事業用定期借地契約はxx証書とされた時点が「契約が成立したとき」であり、合意書の交付では宅地建物取引業法第 37 条第 2 項の要件を満たしていないと考えられるとの見解が新たに示されました。
そこで、本書式集においても、上記国土交通省の見解に基づき、事業用定期借地契約については、xx証書とされて以降に改めて 37 条書面を交付するという取扱いとし、合意書とは
別に、新たに 37 条書面の書式を用意したところです。なお、上記のとおり、xx業者はxx証書の作成には直接関与しませんので、xx証書(またはその案文)が完成した段階で委託者から速やかにその写しを交付してもらうなどして、契約内容を確認することが必要となります(なおこの点をあらかじめ媒介契約中で取り決めておくことも考えられるでしょう)。
(参考)媒介報酬との関係
xx業者の委託者に対する報酬請求権は、xx業者の媒介によって売買等の契約が成立したときに限り発生すると解されています。
国土交通省からは、事業用定期借地契約はxx証書とすることによって契約が成立するのであり、合意書の段階では、契約の成立という要件を満たしていないことから報酬請求権は
発生しないと考えられるとの見解が示されました。
したがって、事業用定期借地契約の媒介の場合、xx証書により契約が成立して以降に報酬請求をすべきであることにご留意ください。