Contract
xx市業務委託契約に係る設計変更ガイドライン
令和2年11月xx市
目 次
1 本ガイドライン策定の背景と目的
土木関係の公共工事に関する測量・調査・設計業務等(以下「設計業務等」という。)は、多岐にわたる専門分野の成果品を自然条件及び地元や関係機関との協議等を経て作成するものである。業務実施にあたっては、発注者が業務の基本的な方針を示し、受注者 は、技術力を駆使して行うものである。適正な業務履行を確保するためには、発注者の適切な条件明示と設計変更が重要となる。
令和元年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成17年法律第18号)の第7条第7項では、「設計図書に適切に施工条件又は調査等の実施の条件を明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場 合、設計図書に示されていない施工条件又は調査等の実施の条件について予期することができない特別な状態が生じた場合その他の場合において必要が認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期等の変更を行うこと」と明記され、設計変更が「発注者の責務」として位置づけられている。
このような背景のもと、本市では、業務委託においても発注者と受注者のそれぞれの責務や手続、事例等を示すことにより、双方が共通認識を持ち、設計変更や契約変更が適切かつ円滑に行われるよう、本ガイドラインを作成しました。
本ガイドラインは、本市が発注する設計業務等に適用する。
【改正品確法】(抜粋) (平成17年法律第18号・令和元年6月14日一部改正)
(発注者の責務)
第七条 発注者は、基本理念にのっとり、現在及び将来の公共工事の品質が確保されるよう、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約相手先の決 定、工事等の監督及び検査並びに工事等の実施中及び完成時の施工状況又は調査等の状況の確認及び評価その他の事務を、次に定めるところによる等適切に実施しなければならない。
(1号~6号、8号、9号省略)
七 設計図書(仕様書、設計書及び図面をいう。)に適切に施工条件又は調査等の実施の条件を明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に示されていない施工条件又は調査等の実施の条件について予期することができない特別な状態が生じた場合その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期等の変更を行うこと。この場合において、工期等が翌年度にわたることとなったときは、繰越明許費の活用その他必要な措置を適切に講じること。
2 用語の定義
本ガイドラインで使用する用語は、以下のとおりである。
■「契約図書」とは、契約書及び設計図書をいう。
■「設計図書」とは、仕様書、図面、数量総括表、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。
■「設計変更」とは、契約約款第18条及び第19条の規定により図面等の設計図書を変更する場合、契約手続き前に当該変更の内容をあらかじめ受注者に指示することをい う。
■「契約変更」とは、契約約款第25条及び第26条の規定により協議し、工期の変更又は請負代金額の変更の契約を締結することをいう。
■「軽易な設計変更」とは、次のものをいう。
・構造、工法、位置、断面等の変更で重要でないもの
・新工種でないもの
■「指示」とは、監督員が受注者に対し、設計業務等の遂行上必要な事項について書面をもって示し、実施させることをいう。
■「承諾」とは、受注者が監督員に対し、書面で申し出た設計業務等の遂行上必要な事項について、監督員が書面により業務上の行為に同意することをいう。
■「協議」とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者又は監督員と受注者が対等の立場で合議することをいう。
■「提出」とは、受注者が監督員に対し、設計業務等に係わる書面又はその他の資料を説明し、差し出すことをいう。
■「書面」とは、手書き、印刷等の伝達物をいい、発行年月日を記録し、署名又は捺印したものを有効とする。
3 設計点検
3-1 設計図書の点検とは
受注者は、共通仕様書に基づき設計図書の内容を十分点検し、契約約款第18条第1項第1号から第5号に該当する場合は、速やかに発注者に報告しなければならない。
また、発注者は、必ず受注者の設計図書の点検結果を確認する必要がある。
【設計業務委託仕様書】(抜粋)
第1105条 設計図書の支給及び点検
1 .受注者からの要求があった場合で、監督員が必要と認めたときは、受注者に図面の原図若しくは電子データを貸与する。ただし、共通仕様書、各種基準、参考図書等市販されているものについては、受注者の負担において備えるものとする。
2 .受注者は、設計図書の内容を十分点検し、疑義のある場合は、監督員に報告し、そ
の指示を受けなければならない。
3 .監督員は、必要と認めるときは、受注者に対し、図面又は詳細図面等を追加支給するものとする。
3-2 設計図書の点検の範囲
受注者が行うべき「設計図書の点検」の範囲は、以下のとおりである。
(1)設計図書の内容に係る整合性の確認
① 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書の内容の整合確認
(2)設計図書記載の作業現場の状態、履行条件と実際の作業現場の状態、履行条件が一致しているか等の確認
① 適用すべき諸基準と整合した業務内容になっているか。
② 設計図書と現地が整合しているか。
③ 既存業務の成果、適用すべき諸基準の取り違いの不備はないか。
④ 既存業務の調査結果等が適切か。調査不足は生じていないか。
⑤ 関係機関協議は実施済みか。協議済内容が明示されているか。
3-3 設計図書の点検の範囲を超えるもの
設計図書の点検の範囲を超えるものとしては、以下のものなどが想定され、このような場合は、発注者がその費用を負担する。なお、受注者は点検の範囲を超える事象と判断した場合、その対応について発注者と協議する。
(1)提示された過去の調査報告書に誤り又は検討不足があり、追加調査や再検討が必要となった場合
(2)詳細設計時において、貸与された予備設計等の成果品が古い基準に基づくものであり、新しい基準に基づく再検討が必要となった場合
(3)過年度の関係機関協議結果について、関係機関に改めて確認する場合
4 設計変更の基本事項
4-1 設計変更の対象とならないケース
次の場合は、原則として、契約約款第25条及び第26条の変更ができない。ただし、契約約款第27条(臨機の措置)の場合はこの限りではない。
(1)設計図書に条件明示のない事項について、発注者との「協議」を行う前に、又は発注者からの「指示」等の通知がなく、受注者が独自の判断で業務を実施した場合
(2)発注者と「協議」をしているが、回答がない時点で業務を実施した場合
(3)「承諾」で業務を実施した場合
(4)契約約款及び共通仕様書に定められた所定の手続を経ていない場合
(5)正式な書面によらないで業務を実施した場合(口頭のみの指示、協議等)
4-2 設計変更の対象となるケース
次の場合は、設計変更が可能である。
(1)当初発注時点で予期しえなかった関係機関への手続の遅延など、受注者の責に帰さない事項が確認された場合
(2)当初発注時点で想定している業務の着手時期に、受注者の責によらず、業務に着手できない場合
(3)所定の手続(契約約款第18条から第26条まで)を行い、発注者が設計図書の訂正又は変更が必要であると認めた場合
(4)設計の基準となる、示方書、指針等が改訂になった場合(改訂に伴い新たな検討項目の追加により費用増となる場合は、変更協議の対象)
(5)受注者の責によらない履行期間の延長、短縮を行う際に、協議により必要があると認められる場合
4-3 設計変更に関する留意事項
設計図書の変更、指示にあたっては下記の事項に留意する。
(1)受発注者は、当初契約の考え方や設計条件を再確認して、設計図書の変更の「協議」にあたる。
(2)受発注者は、当該業務での設計図書の変更の必要性を明確にし、設計図書の変更は書面で行う。
(3)設計変更に伴う増減額については、委託金の10%以内になるように特に留意するように努めること。
(4)設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。なお、軽易な設計変更は、工期の末(原則、完成期日の7営業日前)に行うことをもって足りるとする。ただし、軽易な設計変更による合計額が委託金の20%を超えると見込まれる場合や変更工種を部分払いの対象とする場合は、その時点で契約変更を行うことが望ましい。
(5)技術提案の内容が設計図書に反映された場合は、その内容の確認を行うこと。(プロポーザル方式の場合)
(6)緊急やむを得ない場合には、受発注者ともに指示、協議等を口頭で行うことができるが、7日以内に書面で交付しなければならない。(契約約款第2条第2項)
(7)変更見込金額が、委託金の30%を超える場合は、現に委託中の業務と分離して実施することが著しく困難なものに限り設計変更及び契約変更とすることができる。
(8)変更見込金額が、委託金の30%を超えると判明した時点で、業務に着手していないなど分離発注が可能な部分は、原則として、その業務を分離し、別途、競争入札により実施する。ただし、対象となる先行業務が履行中であることを前提に、工期短 縮、経費節減の確保等有利と認められ、地方自治法施行令第167条の2第1項第6号の規定に合致する場合には随意契約とすることができる。
(9)発注者の指示のもとで各種検討を行った場合は、最終の成果の費用だけでなく各種検討に要した費用も適切に計上する必要がある。
5 設計変更の手続き
5-1 契約約款第18条第1項に該当する場合
(1)事例
① 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと。
(第18条第1項第1号)
② 設計図書に誤びゅう又は脱漏があること。(第18条第1項第2号)
ア 貸与された資料を確認したところ、設計書に明示されている数量に誤りがある。イ 設計計上されている工種の設計について、設計図書に明示がない。
ウ 条件明示する必要がある場合にもかかわらず、設計を進める上で必要な関係機関協議資料に関する条件明示がない。
エ ある工種について、特記仕様書に明示されているが、設計計上されていない。
③ 設計図書の表示が明確でないこと。(第18条第1項第3号)
ア 既設計で記載されているはずの座標値が設計図に未記入である。
イ 同時進行の調査結果を用いて検討することは明記されているが貸与時期が明記されていない。
ウ 関連する他の業務等との業務範囲が明確ではない。
エ 設計図書において、付属物を設計することは記載されているが、条件等が不明確であった。
④ 履行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違すること。(第18条第1項第4号)
ア 現地の地形や地質条件が既往成果や発注者が想定していたものと異なっており、検討するべき項目が増えた。
イ 詳細な地質調査の結果や、詳細な構造計算の結果、構造物の形式そのものを変更することが必要となった。
⑤ 設計図書で明示されていない履行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。(第18条第1項第5号)
ア 業務履行中に業務対象範囲が災害で被災し、契約時の業務内容による履行が困難となった。
イ 予定していた関係機関との行政手続時期を過ぎても手続が完了せず、業務の続行ができなくなった。
ウ 関連する他の業務等の進捗が遅れたため、業務の続行ができなくなった。
エ 業務を進めるにあたって、関係機関協議を同時並行した際、協議相手からの要望により設計が変更になった。
オ その他、新たな制約等が発生した場合
(2)変更手続きフロー
受 注 者
発 注 者
契約約款第18条第1項第1号~第5号に該当する事実を発見
確認の請求
受注者の立会いの上、調査を行う。【第18条第2項】
意 見
受 理
【第18条第3項】
受注者の意見を聴いて調査結果をとりまとめ、通知する。※調査終了後14日以内
【第18条第3項】
必要があると認められるときは、設計図書の訂正又は変更
【第18条第4項】
必要があると認められるときは、履行期間もしくは委託金額の変更
【第18条第5項】
協議 ①履行期間の変更 【第25条】 ②委託金額の変更 【第26条】
契 約 変 更
※設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担する。
5-2 発注者が必要と認める場合
発注者は、業務の履行途中において、設計図書の内容を変更せざるを得ない事態が生じた場合、自らの意思で設計変更を行うことができる。(契約約款第19条)
(1)事例
① 地元調整の結果、履行範囲、履行時間、履行期間を変更する場合
② 関係機関との協議により、業務内容の変更、業務の追加をする場合
③ 同時に履行する必要がある調査が判明し、その業務を追加する場合(一体不可分な物に限る。)
(2)変更手続きフロー
受 注 者 | 発 | 注 者 | |||
設計変更の必要があると判断 | |||||
指示内容を確認 必要に応じて概略業務量等の資料を作成、提出 | 設計図書又は業務に関する指示の変更内容を受注者に通知し、設計図書を変更 【第19条】 | ||||
必要があると認められるときは、履行期間もしくは委託金額の変更 【第19条】 | |||||
協議 | ①履行期間の変更 | 【第25条】 | ②委託金額の変更 | 【第26条】 | |
契 約 変 | 更 |
※設計図書等の変更を行った場合において、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担する。
5-3 業務中止の場合
受注者の責めに帰すことができないものにより作業現場の状態が著しく変動したため、受注者が業務を行うことができないと認められる場合(契約約款第20条)
(1)事例
① 第三者の土地への立入り許可が得られない場合
② 環境問題等の発生により設計業務等の続行が不適当又は不可能となった場合
③ 関連する他の設計業務等の進捗が遅れたため、設計業務等の続行を不適当と認めた場合
④ 天災等により設計業務等の対象箇所の状態が変動した場合
⑤ 第三者及びその財産、受注者、使用並びに監督員の安全確保のため必要があると認めた場合
⑥ 埋蔵文化財の調査及び処理を行う必要が生じた場合
⑦ 災害協定等による出動により、業務の続行が不可能となった場合
(2)変更手続きフロー
受 注 者 | 発 | 注 者 | |||
天災等のため、受注者が業務を行うことができない状態が発生 | |||||
| |||||
※受注者からの発議も可能 | 業務中止の必要があると判断 | ||||
必要に応じて変更工程xxを提出 【仕様書第1112条】 | 発注者は、業務の中止内容を受注者に通知し、業務の全部又は一部を中止させなければならない。【第20条第1項】 ※一時中止の指示は発注者の義務 | ||||
必要があると認められるときは、履行期間又は委託金額を変更する。 【第20条第3項】 | |||||
協議 | ①履行期間の変更 | 【第25条】 | ②委託金額の変更 | 【第26条】 | |
契 約 変 | 更 |
※業務続行に備えるための増加費用、一時中止により受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担する。
5-4 受注者から提案があった場合
受注者は、業務にあたり技術的又は経済的に優れた代替方法やその他改良事項を発見し、又は発案したときは、発注者に対して、その内容に基づき設計図書等の変更を提案することができる。発注者は提案を受けた場合、必要と認められるときは設計図書の変更を行うこととする。(契約約款第22条)
(1)事例
① 技術的又は経済的に優れた代替方法がある場合
② 当該業務における改良事項を発見又は発案した場合
③ 設計図書に含まれない構造物の検討、設計が必要と判断された場合
(2)変更手続きフロー
受 注 者 | 発 | 注 者 | |||
設計図書等について、技術的、経済的に優れた代替方法、改良事項を発注者 に提出【第22条第1項】 | 必要があると認めるときは、設計図書等の変更を受注者に通知する。 【第22条第2項】 | ||||
設計図書の変更 | |||||
必要があると認めるときは、履行期間又 は委託金額を変更【第22条第3項】 | |||||
協議 | ①履行期間の変更 | 【第25条】 | ②委託金額の変更 | 【第26条】 | |
契 約 変 | 更 |
5-5 受注者の請求による履行期間の延長の場合
受注者の責めに帰することができない事由により、履行期間内に業務を完了できない場合があげられる。受注者は、必要な場合には、発注者に書面により履行期間の延長を請求し、発注者は、請求された内容を確認し、必要に応じ履行期間の延長を行う。
(契約約款第23条)
(1)事例
① 第三者の土地への立入り許可に時間を要した場合。
② 関係機関との協議が未了または協議遅延により方針の決定が遅れたことにより履行期間に影響を与えた場合
③ 他の関連業務の遅れなどにより履行期間に影響を与えた場合
④ 既往成果(設計や調査データ等)に不備があり発注者による見直しにより業務開始までに時間を要した場合
⑤ 天災等により業務の履行に支障が生じた場合。
(2)変更手続きフロー
受 注 者 | 発 | 注 者 | |||
受注者の責めに帰すことができない事由により、履行期間内に業務を完成できな い事態が発生 | |||||
契約約款第23条第1項に基づき、 ・履行期間の延長理由 ・必要とする延長日数の算定根拠 ・変更工程x xを提出 【仕様書第1123条】 | 必要があると認めるときは、履行期間を延長【第23条第2項】 | ||||
履行期間の延長が発注者の責によると認めるときは、委託金額を変更 【第23条第2項】 | |||||
協議 | ①履行期間の変更 | 【第25条】 | ②委託金額の変更 | 【第26条】 | |
契 約 変 更 |
※履行期間の延長により、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担する。
5-6 発注者の請求による履行期間の短縮の場合
発注者は、特別な理由により履行期間を短縮する必要があるときは、履行期間の短縮変更を受注者に請求することができる。(契約約款第24条第1項、第2項)
(1)事例
① 何らかの理由により一部業務の取りやめが必要となり、必要最低限の履行期間に見直す必要がある場合
② 早期に工事を発注する必要が生じ、当初履行期限よりも前倒しで成果品が必要となった場合
③ 工事着手期日が早まり、履行期間の短縮が必要となった場合。
(2)変更手続き
受 注 者 | 発 | 注 者 | |||
特別の理由により履行期間を短縮すべき 事態が発生 | |||||
発注者の請求に基づき、履行期間の短縮を図るため、業務計画書を作成して発注者に提出し承諾を得る 【仕様書第1123条】 | 履行期間の短縮を書面により受注者に請 求【第24条第1項、第2項】 | ||||
必要があると認められるときは委託金額 の変更【第24条第3項】 | |||||
協議 | ①履行期間の変更 | 【第25条】 | ②委託金額の変更 | 【第26条】 | |
契 約 変 | 更 |
※履行期間の短縮により、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担する。
5-7 設計図書の点検の範囲を超えるもの
受注者が行うべき「設計図書の点検」の範囲を超える作業を実施する場合
(1)事例
① 提示された過去の調査報告書に誤り又は検討不足があり、追加調査や再検討が必要となった場合
② 詳細設計時において、貸与された予備設計等の成果物が古い基準に基づくものであり、新しい基準に基づく再検討が必要となった場合
③ 過年度の関係機関協議結果について、関係機関に改めて確認する場合
(2)変更手続きフロー
受 注 者
発 注 者
設計図書の点検の範囲を超える作業が必
要と判断
確認の請求
受注者の立会いの上、調査を行う。【第18条第2項】
※事実確認ができる資料の提出
意 見
受 理
【第18条第3項】
受注者の意見を聴いて調査結果をとりまとめ、通知する。※調査終了後14日以内
【第18条第3項】
必要があると認められるときは、設計図書の訂正又は変更
【第18条第4項】
必要があると認められるときは、履行期間もしくは委託金額の変更
【第18条第5項】
協議 ①履行期間の変更 【第25条】 ②委託金額の変更 【第26条】
契 約 変 更
※設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担する。
6 その他関連事項
6-1 履行条件明示
履行条件は、契約条件となるものであることから、発注時点で判明している事項については設計図書の中で明示するものとする。
履行条件の明示項目は、具体的な設計条件、隣接又は関連する設計業務等、関係機関との協議、貸与資料の取扱い、部分引渡し及び部分使用の時期等とし、表6-1を参考に記載するものとする。
また、発注者は、明示された履行条件に変更が生じた場合は、契約約款に基づき適切に対応するものとする。
<表6-1> | |
明示項目 | 明示事項 |
具体的な設計条件 | ○道路詳細設計の場合 設計基本条件(道路規格、設計速度等)、その他設計条件(主要構造物の種類及び条件等、河川水路等)、交差点設計、暫定計画の有無及び内容、緑 地、その他制約条件 ○橋梁詳細設計の場合 設計基本条件(道路規格、設計荷重、建築限界 等)、その他設計条件(河川改修計画、河川管理条件、仮設構造物・橋梁付属物の種類及び条件等、取付道路、護岸設計の有無等)その他制約条件 |
隣接又は関連する設計業務等 | 業務名、履行期間、受注者、発注機関名 |
関係機関との協議 | ○関係機関との協議が必要な場合 協議が必要な施設名、施設の管理者、協議内容、協議の実施状況及び協議完了予定時期 ○地元関係者との交渉が必要な場合 交渉先名、交渉が必要な内容、交渉の実施状況及び交渉完了予定時期 |
貸与資料の取扱い | 貸与予定期間貸与する資料名、貸与予定期間 |
部分引渡し及び部分使用の時期 | ○業務の完了に先立って引渡しを受けるべきことを指定した部分がある場合 部分引渡しの指定部分、引渡し時期、引渡し理由 ○成果物の引渡し前において、成果物の全部又は一部を使用する場合 使用する部分、使用する時期、使用する理由 |
6-2 指定と任意
「指定」とは、設計図書のとおり作業を行うもの。
「任意」とは、業務の完了するために必要な一切の手段を受注者の責任において選択し作業を行うもの。
発注者は、指定・任意にかかわらず当初明示した条件が変更となった場合は、契約約款に基づき適切に対応するものとする。
「指定と任意の考え方」
x x | 任 意 | |
設計図書 (履行方法等の条件) | 履行方法等について具体的 に指定 | 履行方法等について具体的 には指定しない。 |
履行方法の変更 | 発注者の指示または承諾が必要 | 受注者の任意で変更可能 業務計画書の修正、提出等は必要 |
履行方法の変更がある場合 の設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象としない。 |
当初明示した条件の変更に 対応した設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象としない。 |
6-3 既存設計等の誤りに関する取扱い
(1)設計図書の点検において、既存業務の成果品に誤り等があることが発見された場合、受注者は速やかにその事実を発注者に報告しなければならない。
(2)上記報告を受けた場合に発注者は,既存業務の受注者に対して成果品の欠陥及びその原因について調査を指示し、事実関係の確認を行うものとする。
その結果、誤りが先発受注者の責にある場合は,契約約款に基づく「契約不適合」による目的物の修補又は履行の追完を請求するものとし、速やかに修正させ、修正後の成果品を後発受注者へ提示することとする。
(3)誤りの原因が発注者の責による場合は、その費用は発注者が負担するものとする。また、その場合の修正を先発・後発どちらの受注者に行わせるかは、修正の内容及 び効率的な業務の推進等を考慮のうえ、適切に判断するものとし、責任の所在を明確
にしないまま費用負担も行わずに、安易に後発業務の受注者に修正を行わせることは、厳に慎まなければならない。
xx市業務委託契約約款(抜粋)
(条件変更等)
第18条 受注者は、業務を行うに当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
(1) 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 設計図書に誤びゅう又は脱漏があること。
(3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 履行上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違すること。
(5) 設計図書で明示されていない履行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 発注者は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)を取りまとめ、調査の終了後14日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果により第1項各号に掲げる事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、発注者は、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
5 前項の規定により、設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは履行期間若しくは委託金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第19条 発注者は、前条第4項に規定する場合のほか、必要があると認めるときは、設計図書又は業務に関する指示(以下この条及び第22条において「設計図書等」という。)の変更内容を受注者に通知して、設計図書等を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは履行期間若しくは委託金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(業務の中止)
第20条 第三者の所有する土地への立入りについて当該土地の所有者等の承諾を得ることができないため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって、受注者の責めに帰すことができないものにより作業現場の状態が著しく変動したため、受注者が業務を行うことができないと認められるときは、発注者は、業務の中止内容を直ちに受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定による場合のほか、必要があると認めるときは、業務の中止内容を受注者に通知して、業務の全部又は一部を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により業務を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは履行期間若しくは委託金額を変更し、又は受注者が業務の続行に備え業務の一時中止に伴う増加費用を必要とし、若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(業務に係る受注者の提案)
第22条 受注者は、設計図書等について、技術的又は経済的に優れた代替方法その他改良事項を発見し、又は発案したときは、発注者に対して、当該発見又は発案に基づき設計図書等の変更を提案することができる。
2 発注者は、前項に規定する受注者の提案を受けた場合において、必要があると認めるときは、設計図書等の変更を受注者に通知するものとする。
3 発注者は、前項の規定により設計図書等が変更された場合において、必要があると認められるときは、履行期間又は委託金額を変更しなければならない。
(受注者の請求による履行期間の延長)
第23条 受注者は、その責めに帰すことができない事由により履行期間内に業務を完了することができないときは、その理由を明示した書面により発注者に履行期間の延長の変更を請求することができる。
2 発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、履行期間を延長しなければならない。発注者は、その履行期間の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、委託金額について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(発注者の請求による履行期間の短縮等)
第24条 発注者は、特別の理由により履行期間を短縮する必要があるときは、履行期間の短縮の変更を受注者に請求することができる。
2 発注者は、この約款の他の条項の規定により履行期間を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、延長する履行期間について、受注者に通常必要とされる履行期間に満たない履行期間への変更を請求することができる。
3 発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは委託金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(履行期間の変更方法)
第25条 履行期間の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が履行期間の変更事由が生じた日(第23条の場合にあっては発注者が履行期間の変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては受注者が履行期間の変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(委託金額の変更方法等)
第26条 委託金額の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、委託金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
3 この約款の規定により、受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者と受注者が協議して定める。
(臨機の措置)
第27条 受注者は、災害防止等のため必要があると認めるときは、臨機の措置をとらなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、受注者は、あらかじめ発注者の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、受注者は、そのとった措置の内容を発注者に直ちに通知しなければならない。
3 発注者は、災害防止その他業務を行う上で特に必要があると認めるときは、受注者に対して臨機の措置をとることを請求することができる。
4 受注者が第1項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において、当該措置に要した費用のうち、受注者が委託金額の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については、発注者が負担する。
設計業務委託仕様書(抜粋)
第 1105 条 設計図書の支給及び点検
1.受注者からの要求があった場合で、監督員が必要と認めたときは、受注者に図面の原図若しくは電子データを貸与する。ただし、共通仕様書、各種基準、参考図書等市販されているものについては、受注者の負担において備えるものとする。
2.受注者は、設計図書の内容を十分点検し、疑義のある場合は、監督員に報告し、その指示を受けなければならない。
3.監督員は、必要と認めるときは、受注者に対し、図面又は詳細図面等を追加支給するものとする。
第 1112 条 業務計画書
1.受注者は、契約締結後、14日(休日等を含む)以内に業務計画書を作成し、監督員に提出しなければならない。
2.業務計画書には、契約図書に基づき下記事項を記載するものとする。
(1)業務概要 (2)実施方針
(3)業務工程 (4)業務組織計画
(5)打合せ計画 (6)成果物の品質を確保するための計画
(7)成果物の内容、部数 (8)使用する主な図書及び基準
(9)連絡体制(緊急時含む) (10)使用する主な機器
(11)その他
(2)実施方針又は(11)その他には、第1131条個人情報の取扱い、第1132条安全等の確保及び第1137条行政情報流出防止対策の強化に関する事項も含めるものとする。
また、土地への立ち入り等を実施する場合には、地元関係者等から業務に関する質疑等の応答を求められた時の対応及び連絡体制を記載するものとする。
なお、受注者は設計図書において照査技術者による照査が定められている場合は、業務計画書に照査技術者及び照査計画について記載するものとする。
3.受注者は、業務計画書の重要な内容を変更する場合は、理由を明確にしたうえ、その都度監督員に変更業務計画書を提出しなければならない。
4.監督員が指示した事項については、受注者は更に詳細な業務計画に係る資料を提出しなければならない。
第 1121 条 条件変更等
1.契約書第 18 条第1項第5号に規定する「予期することのできない特別な状態」と
は、契約書第 29 条第1項に規定する天災その他の不可抗力による場合のほか、発注者と受注者が協議し当該規定に適合すると判断した場合とする。
2.監督員が、受注者に対して契約書第 18 条、第 19 条及び第 21 条の規定に基づく設計図書の変更又は訂正の指示を行う場合は、指示書によるものとする。
第 1122 条 契約変更
1.発注者は、次の各号に掲げる場合において、設計業務等委託契約の変更を行うものとする。
(1)業務内容の変更により業務委託料に変更を生じる場合
(2)履行期間の変更を行う場合
(3)監督員と受注者が協議し、設計業務等施行上必要があると認められる場合
(4)契約書第 30 条の規定に基づき委託料の変更に代える設計図書の変更を行った場合
2.発注者は、前項の場合において、変更する契約図書を次の各号に基づき作成するものとする。
(1)第 1121 条の規定に基づき監督員が受注者に指示した事項
(2)設計業務等の一時中止に伴う増加費用及び履行期間の変更等決定済の事項
(3)その他発注者又は監督員と受注者との協議で決定された事項
第 1123 条 履行期間の変更
1.発注者は、受注者に対して設計業務等の変更の指示を行う場合において履行期間変更協議の対象であるか否かを合わせて事前に通知しなければならない。
2.発注者は、履行期間変更協議の対象であると確認された事項及び設計業務等の一時中止を指示した事項であっても残履行期間及び残業務量等から履行期間の変更が必要でないと判断した場合は、履行期間の変更を行わない旨の協議に代えることができるものとする。
3.受注者は、契約書第 22 条の規定に基づき、履行期間の延長が必要と判断した場合には、履行期間の延長理由、必要とする延長日数の算定根拠、変更工程表その他必要な資料を発注者に提出しなければならない。
4.契約書第 23 条に基づき、発注者の請求により履行期限を短縮した場合には、受注者は、速やかに業務工程表を修正し提出しなければならない。
第 1124 条 一時中止
1.契約書第 20 条第1 項の規定により、次の各号に該当する場合において、発注者 は、受注者に通知し、必要と認める期間、設計業務等の全部又は一部を一時中止させるものとする。
なお、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)による設計業務等の中断については、第 1133 条臨機の措置により、受注者は、適切に対応しなければならない。
(1)第三者の土地への立ち入り許可が得られない場合
(2)関連する他の業務等の進捗が遅れたため、設計業務等の続行を不適当と認めた場合
(3)環境問題等の発生により設計業務等の続行が不適当又は不可能となった場合
(4)天災等により設計業務等の対象箇所の状態が変動した場合
(5)第三者及びその財産、受注者、使用人等並びに監督員の安全確保のため必要があると認めた場合
(6)前各号に掲げるもののほか、発注者が必要と認めた場合
2.発注者は、受注者が契約図書に違反し、又は監督員の指示に従わない場合等、監督員が必要と認めた場合には、設計業務等の全部又は一部の一時中止をさせることができるものとする。
3.前2項の場合において、受注者は屋外で行う設計業務等の現場の保全については、監督員の指示に従わなければならない。