Contract
工事請負契約に係る
設計・契約変更ガイドライン
【土木工事版】
平成27年10月
(令和2年10月改訂)xx県土木建築部
目次
1 工事請負契約に係る設計・契約変更ガイドライン【土木工事版】策定の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 設計・契約変更の基本事項 ・・・・・・・・・・・・・・・1
(1) 設計変更及び契約変更の基本原則
(2) 設計変更と契約変更
(3) 契約変更の留意事項
(4) 設計変更の留意事項
(5) 設計変更の取扱い
(6) 発注者・受注者の留意事項
(7) 指定・任意の考え方
(8) 施工条件の明示
(9) 設計・契約変更の対象となる項目
3 設計・契約変更の手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・9
(1) 設計図書に誤りがある場合等
(2) 設計図書の表示が明確でない場合
(3) 設計図書と現場の不一致がある場合等
(4) 発注者が必要と認める場合
(5) 工事中止の場合
(6) 工期変更の場合
(7) 契約金額の変更に代えて設計図書を変更する場合
(8) 照査の範囲を超える作業を指示した場合
(9) 変更内容の決定方法
①工期の変更
②請負代金額の変更
③契約金額の変更に代える設計図書の変更
1 工事請負契約に係る設計・契約変更ガイドライン【土木工事版】策定の目的
公共事業における土木工事は、道路、河川、港湾等の様々な社会資本整備を目的に実施されており、多岐にわたる目的物について個別に設計を行い、多種多様な自然条件・施工条件の下で構築される特殊性を有しています。
このため、当初設計積算時に予見できない事態が発生し、工事内容の変更や工事の一時中止が避けられない場合もあります。
こうした場合、発注者は適切な対応を行う必要がありますが、平成
26年に改正された品確法では基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負代金で締結」が示されているとともに、また、発注者の責務として「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されたところです。
本ガイドラインは、公共事業における土木工事について、改正品確法の基本理念や発注者責務にのっとり、工事請負契約書(以下「契約書」という。)に基づき、設計・契約変更を行うにあたっての発注者、受注者双方の役割を明確化するとともに、契約事務の透明性向上を図り、もって設計・契約変更等の手続きの円滑化・適正化を図ることを目的としています。
2 設計・契約変更の基本事項
(1) 設計変更及び契約変更の基本原則
工事の施工は、設計図書に基づいて施工するものですが、自然的及び人為的条件等により、設計図書と実際の工事施工条件に差異が生じた場合には、設計変更及び契約変更を行います。
設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合、その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うことが必要です。
(2) 設計変更と契約変更
ア)設計変更とは、工事の施工にあたり設計図書の内容を変更する
もの。
イ)契約変更とは、以下の変更の決定に基づき、契約の変更を行うもの。
①請負代金額の変更
②工期の変更
③請負代金額の変更に代える設計図書の変更
(3) 契約変更の留意事項
ア)変更見込金額が請負代金の30%を超える工事は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き、原則として別途契約することとしています。
なお、30%以内の変更であっても、契約書に基づいて適正な契約変更を行うことが必要です。
イ)変更契約後の請負代金額が3,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)となった場合はxx技術者、監理技術者の専任が必要となり、また、下請け金額の合計額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)となった場合は特定建設業の許可及び監理技術者の配置が必要となることに注意すること。
ウ)変更契約により請負契約額が2分の1以上減少したとき又は、工事の施工の中止期間が工期の2分の1(工期の2分の1が6月超えるときは6月)を超えるとき、受注者はこの契約を解除することができます。(契約書第46条)
(4) 設計変更の留意事項
ア)当初設計の考え方、設計条件等を再確認の上、変更協議を行います。
イ)変更協議や指示は、変更内容及びその内容に伴う増減額の概算金額を記載した工事打合せ簿により行うことが必要であり、以下のようなことのないよう注意すること。
○ 設計図書に明示のない事項において、発注者と「協議」を行わない受注者独自の判断による施工
○ 発注者と「協議」しているが、協議の回答がない時点での施工
○ 書面によらない(口答のみ)指示・協議等
ウ)設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとします。
(5) 設計変更の取扱い
【設計変更を行うケース】
以下のような事例で所定の手続きを経た場合は設計変更の対象となります。
○ 仮設(任意を含む)において、条件明示の有無にかかわらず発注時点で予期し得なかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。
○ 発注者の指示による場合。
○ 受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を受注者が行う場合。
(設計図書の照査の基本的考え方についてはP.16参照)
〇 受注者の責めに帰すことができない事由により工期の延長や一時中止(以下「工期延長等」という。)が必要な場合。ただし、契約書第19条に基づく直接工事費の変更により、設計図書の変更を伴う工期延長等を行う場合及び契約後準備工着手前に工期延長等を行う場合、工期延長等に伴う増加費用は対象外。
(一時中止の詳細は「一時中止ガイドライン」参照。)
【設計変更を行わないケース】
以下のような場合は、設計変更による対応はできません。
○ 「承諾」で施工した場合
○ 設計表示単位に満たない数量の変更の場合
○ 契約書・xx工事共通仕様書に定められている所定の手続き(書面による協議等)を経ていない場合
(契約書第18条~24条、共通仕様書1-1-13~1-1-15)
○ 発注時点で工程への影響が想定され、施工条件書に制限を受ける期間や工種、影響範囲等を明示している場合、工事契約後に当初の条件の変更が生じない限り、請負代金額及び工期は原則として変更の対象としない。
(6) 発注者・受注者の留意事項
ア)発注者の留意事項
○ 受注者が適切に施工できるよう、設計図書には工事の施工に係る制約事項について必要な条件を明示しなければならない。
○ 当該事業(工事)での対応の必要性を明確にすること。
(変更する仕様の妥当性、別途発注すべきではないか、等)
○ 変更の必要がある場合は、受注者に対して以下の内容を記載した書面により指示を行わなければならない。
・変更指示する工事の具体的な作業内容
・変更指示する工事を設計変更とすること及び変更契約時期
・変更指示する工事の概算金額
○ 受注者が実施した設計図書の照査の結果、受注者から確認の請求があった場合は調査を行う。その結果を受注者に通知し、必要があると認められる時は設計変更又は契約変更を行う。
○ 受注者からの協議の回答はワンデイレスポンスを基本とし、早急に行うこと。
イ)受注者の留意事項
受注者は工事の目的が達せられるよう施工する義務があり、以下に留意のうえ工事に係る発注者の意図、設計図書、現場条件等を確認(設計図書の照査)する必要があります。
○ 設計図書に不明瞭な事項がある場合は質問にて確認のうえ、入札書を提出する。
○ 工事着手時点で設計図書を照査し疑義を明確にする。
○ 施工中疑義が生じた場合は、発注者と書面による協議を行い、発注者からの書面での指示に従い施工する。
〇 工期延長等に伴う増加費用等の負担は、受注者から請求があった場合に受発注者が協議して定めるものとする。
(7) 指定・任意の考え方
「仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める」(契約書第1条第3項)とされており、適切に扱う必要があります。
ア)指定とは、工事目的物を施工するにあたり、設計図書で指定 したとおり施工を行わなければならないもの。
イ)任意とは、工事目的物を施工するにあたり、設計図書では指定せず、受注者の責任において施工を行うことができるもの。
発注者(監督員)は、任意の趣旨をふまえ、適切な対応をする必要があり、下記のような対応は不適切。
・積算している「○○工法」以外の施工方法を認めない。
・標準歩掛の施工機械以外の機種の使用を認めない。
・新技術の活用申し出があったが、積算上の工法とするよう指示。など。
指定・任意の考え方
x x | 任 意 | |
設計図書での取扱い | 施工方法等について具体的に指定 (契約条件として位置付け) | 施工方法について具体的に指定しない (契約条件ではないが、参考図として標準的工法等を示すことがある) |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 発注者の承諾は不要 (但し施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更が生じた場合の設計変更 | 対象とする (但し受注者の責による場合を除く) | 対象としない (但し受注者の責によらない場合を除く) |
当初明示した条件の変更が生じた場合の設計変更 | 対象とする (但し受注者の責による場合を除く) | 対象とする (但し受注者の責による場合を除く) |
【参考】指定すべき事項
公共工事の施工方法や仮設備は、契約書の原則からすれば受注者の責任において施工する「任意施工・任意仮設」が基本であると考えられていますが、公共工事においては、工事中における公衆災害の防止及び施工に伴う重大な労働災害防止についても特に留意する必要があります。
このため、工事の発注にあたって発注者が特に必要と判断したものは、契約条件として施工機械や施工工法、仮設工の規模、構造等についてあらかじめ発注者が指定することとしています。指定を行うべき施工条件の例は次のとおり。
≪指定すべき施工条件の例≫
・河川堤防と同等の機能を有する仮締切の場合
・仮設構造物を一般交通に供する場合
(仮設橋等)
・関係官公署との協議により制約条件のある場合
(xx・xx・XXとの協議による制約条件等)
・特許工法又は特殊工法を採用する場合
・他工事に使用するため、工事完成後も存置される仮設備の場合
・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合
(近接家屋に対する危害の可能性がある等)
(8) 施工条件の明示
ア)施工条件は契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとします。明示された条件に変更が生じた場合は、契約約款の関連する条項に基づいて対応します。
イ)原則として、指定をしたものが変更設計の対象となるので、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要があります。
ウ)指定事項については「施工条件書」によることとしています。施工上の制約や留意すべき事項について、漏れなく記載することが必要です。
エ)受注者としても、設計図書に不明瞭な事項がある場合は、質問や協議により確認することが必要です。
(9) 設計・契約変更の対象となる項目
契約書における設計・契約変更に関して定めのある項目は以下のとおり。
契約書 | 対象となる場合 | 工期 | 請負代金 の額 |
8条 | 特許xxに係る工法等を指定しながら、対象である旨の明示が無く、かつ受注者が存在を 知らなかった場合。 | ○ | |
15条 | 支給・貸与品の数量性能等に変更があった場 合。 | ○ | ○ |
17条 | 施工部分が設計図書と不整合のため修繕改 造を指示し、発注者にその責がある場合。 | ○ | ○ |
18条 | 設計図書の施工条件等との相違が確認され た場合。(詳細は次ページの「受注者から確認を求める事項一覧表」参照) | ○ | ○ |
19条 | 発注者の発議により設計図書を変更する場 合。 | ○ | ○ |
20条 | 工事を一時中止する場合。 | ○ | ○ |
21条 | 受注者の請求により工期を延長する場合。 | ○ | ○ |
22条 | 発注者の請求により工期を短縮する場合。 | ○ | ○ |
25条 | 賃金又は物価変動に伴い請負金額を変更す る場合。(いわゆる物価スライド条項) | ○ | |
26条 | 臨機の措置を執った場合。(受注者が負担す べきでない部分) | ○ | |
27条 | 工事の施工に関して損害が発生した場合。 (発注者の責に帰すべきもの) | ○ | |
29条 | 災害等不可抗力により損害が発生した場合。 (請負代金の1%を超える損害額) | ○ | |
30条 | 請負代金額の変更に代えて、設計図書を変更 する場合。(設計図書の内容変更) | ||
33条 | 引渡前に目的物を使用して発注者が受注者 に損害を与えた場合。 | ○ |
受注者から確認を求める事項一覧表(契約書第18条)
契約書条項 | x x |
第18条第1項第 1号 | 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合。(これらの優先順位が定められて場合を除く) |
第18条第1項第 2号 | 設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合。 |
第18条第1項第 3号 | 設計図書の表示が明確でない場合。 |
第18条第1項第 4号 | 工事現場の形状、地質、ゆう水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合。 |
第18条第1項第 5号 | 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合。 |
3 設計・契約変更の手続き
(1) 設計図書に誤りがある場合等
◆設計図書が一致しない場合(契約書第18条第1項第1号)
◆設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合(〃第18条第1項第2号)
受注者は、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認し、発注者は、それが本当に誤っている場合には、設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合、受注者は自分で勝手に補って施工を続けるのではなく、発注者に確認して脱漏を訂正してもらう必要がある。
【事例】
○設計図書が一致しない。(第1号)
・図面と設計書(金抜き)の材料の寸法、規格、数量等の記載が一致しない。
○設計図書に誤びゅうがある。(第2号)
・図面に記載されている寸法や材料の規格が間違っている。
○設計図書に脱漏がある。(第2号)
・図面に使用材料の規格が記載されていない。
・一式工事について、図面、仕様書又は現場説明書に設計条件又は施工方法に係る必要事項が記載されていない。
発注者
受注者
設計図書の照査結果を発注者に通知し確認を請求【第18条第1項第1号、第2号】
発注者は、受注者立会いの上、調査を実施【第 18 条第 2 項】
意見
受注者の意見を聴いて結果(指示)をとりまとめ、
受注者に通知【第18条第3項】
結果(指示)の通知
必要がある場合、 設計図書の訂正又は変更
【第 18 条第 4 項】
必要がある場合、工期及び請負代金額を変更。【第 18 条第 5 項】
(2) 設計図書の表示が明確でない場合(契約書第18条第1項第3号)
設計図書の表示が明確でないとは、表示が不十分、不正確、不明確で、実際の工事施工にあたってどのように施工して良いか判断がつかない場合等である。この場合においても受注者が勝手に判断して施工することは不適当である。
【事例】
○設計図書の表示が不十分
・測点間に不連続な地形がある。
○設計図書の表示が不正確
・既設構造物への取付けができない。
○設計図書の表示が不明確
・土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確。
発注者
受注者
設計図書の照査結果を発注者に通知し確認を請求【第18条第1項第3号】
発注者は、受注者立会いの上、調査を実施【第 18 条第 2 項】
受注者の意見を聴いて結果(指示)をとりまとめ、
受注者に通知【第18条第3項】
意見
結果(指示)の通知
必要がある場合、 設計図書の訂正又は変更
【第 18 条第 4 項】
必要がある場合、工期及び請負代金額を変更。【第 18 条第 5 項】
(3) 設計図書と現場の不一致がある場合等
◆設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合(契約書第18条第1項第4号)
◆予期することのできない特別な状態が生じた場合
(〃第18条第1項第5号)
自然的条件とは、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、ゆう水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無など。
人為的な条件等は、地下埋設物、土捨場、工事用道路、通行道路、工事に関する法令等が挙げられる。
【事例】
○設計図書に明示された条件との不一致(第4号)
・地盤高が実際の工事現場と一致しない。
・土質や地下水位が実際の工事現場と一致しない。
・地下埋設物の位置が実際の工事現場と一致しない。
○予期することのできない特別な状況(第5号)
・施工中に埋蔵文化財が発見され、調査が必要となった。
・工事範囲の一部に軟弱地盤が有り、地盤改良が必要となった。
発注者
受注者
発注者は、受注者立会いの上、調査を実施【第 18 条第 2 項】
必要がある場合、工期及び請負代金額を変更。【第 18 条第 5 項】
結果(指示)の通知
意見
不一致又は特別の状況を発注者に通知し確認を請求【第18条第1項第4号、第5号】
必要がある場合、 設計図書の訂正又は変更
【第 18 条第 4 項】
受注者の意見を聴いて結果(指示)をとりまとめ、受注者に通知【第18条第3項】
(4) 発注者が、必要があると認める場合(契約書第19条)
発注者は、工事の施工途中において、設計図書の内容を変更せざるを得ない事態が生じた場合、自らの意思で設計変更を行うことができる。
【事例】
○地元調整、関係機関(関係官公署、架空線管理者等)協議の結果、施工範囲、施工内容、施工日・時間等の変更を行う。
○新たに施工する必要のある工種が判明し、その工種を追加する。
(一体不可分なものに限る)
(3) 契約約款第20条に係る例
○関連する工事の影響に伴う施工条件の変更により、施工内容の変更を行う。
発注者
受注者
必要がある場合、工期及び請負代金額を変更。【第 19 条】
発注者が設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更【第19条】
設計変更の必要があると判断
変更内容の通知
(5) 工事中止の場合(※詳細は一時中止ガイドライン参照)
受注者に工事施工の意思があっても施工できない状況となった場合、発注者が工事を中止させなければ中止に伴い必要とされる工期又は請負代金額の変更は行われず、受注者が負担を負うこととなるため、発注者には工事を中止させる義務がある。
また、発注者は一時中止に伴う工期変更や増加費用等の変更を適切に行う必要がある。
◆受注者の責めに帰すことができないものにより工事を一時中止させなければならない場合(契約書第20条)
【事例】
○工事用地等の確保ができない場合
・支障物件撤去の遅延等により施工上必要な用地の確保ができない場合。
○自然的若しくは人為的な事象により工事を施工できない場合
・暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、争乱、暴動、反対運動等の妨害活動、埋蔵文化財の発掘又は調査等により工事を施工できない場合。
○関連工事の遅延により工事を施工できない場合
・先行工事が遅延したため、工事着手が相当期間困難となった。
発注者
受注者
受注者の責に帰することができないもののため、受注者が工事を施工することができない事態が発
生した場合、又は発注者が必要であると認める場合【第 20 条第 1·2 項】
発注者は、必要があると認められるときは、工期又は請負代金額を変更【第20 条第3項】
発注者は、必要があると認められるときは、工期の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない【第20条第1·2項】
工事の一時中止に伴い現場維持等に係る増加費用等が発生した場合、発注者に請求できる。
通知された内容の工事を一時中止
(6) 工期変更の場合
◆受注者の請求による工期の延長(契約書第21条)
受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、その理由を明示した書面により、発注者へ工期延長変更を請求することができる。
【事例】
○自然的もしくは人為的な事象により工期を延長する場合。
○設計図書に明示された関連工事との調整に変更が生じた場合。
発注者
受注者
受注者の責に帰することができない事由により、工事を工期内に完成することができない場合、工期の延長請求ができる。【第 21 条第 1 項】
●工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由によらない場合
工期及び請負代金の額の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。【第 23 条、第 24
条】
●工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合
請負代金について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない【第 21 条第 2 項】
発注者は、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。【第 21 条第 2項】
◆発注者の請求による工期の短縮等(契約書第22条)
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を請求することができる。また、他の条項において規定される工期を延長すべき場合において、通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。
【事例】
○特別な理由
・公共用施設の供用開始日を繰り上げる場合
・
(7) 契約金額の変更に代える設計変更
・関連工事の調整に伴い、工期の短縮が必要な場合
発注者
受注者
発注者は、特別の理由により工期の短縮を行う必要があるときは工期の短縮変更を請求できる【第22条第1項】
発注者は、必要があると認められる場合は請負代金額を変更【第22条第2項】
受注者は発注者からの請求に基づき施工計画書を発注者へ提出し、承諾を求める。
(7) 契約金額の変更に代えて設計図書を変更する場合
請負代金額の増額が発生する場合、発注者は予算を確保しておかなければならないが、特別な理由により予算の確保ができない場合、設計図書を変更し、当初の請負代金額又は発注者の負担しうる範囲内の増額等に相応する工事量とすることができる。
◆請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別な理由があるときは、請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。(契約書30条)
(8) 照査の範囲を超える作業を指示した場合
◆設計図書の照査に必要な資料の作成(契約書第18条第1項)
受注者は、工事の施工に当たり第18条第1項第1号から第5号に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
これらの資料作成に必要な費用は契約変更の対象としない。
◆設計変更に必要な資料の作成(契約書第18条第4項)
発注者は「設計図書の照査」に基づく調査の結果、第18条第1項の各号に該当する事実が確認された場合、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
この設計図書の変更に必要な作業は発注者が行う。
○発注者は受注者へ変更に必要な資料の作成を依頼する場合は、以下の手続きにより指示を行い、必要な費用を負担するものとする。
・設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、発注者・受注者間で確認する。
・設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
・発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
・発注者は書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。(P.18(参考2)参照)
(参考1) 設計図書の照査の基本的考え方
共通仕様書1-1-3において、受注者は、施工前及び施工途中において、自らの負担により契約書第18条第1項1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、その事実が確認できる資料を提出するよう定められています。
なお、確認できる資料とは現地地形図、設計図との対比図、取合図、施工図等とし、監督職員から更に詳細な説明または書面※の追加の要求があった場合は従わなければなりません。
(※数量計算書・展開図・伝票・マニフェスト等を含む)
<契約書第18条第1項>
(1)図面、仕様書、現場説明書に対する質問回答書が一致しないこと。
(2)設計図書に誤びゅう又は脱漏があること。
(3)設計図書の表示が明確でないこと。
(4)工事現場の形状・地質・ゆう水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5)設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別の状態が生じたこと。
※設計照査で確認すべき内容
○当該工事の条件明示内容の確認
○関連資料・貸与資料の内容確認
○現地踏査による設計図書・施工条件書・報告書等と現地の整合確認
(測量結果・地質・ゆう水状況・その他の施工条件等)
○設計図面の確認
(現地測量結果と図面の整合・各図面間相互の整合・設計計算書と図面の整合等)
○数量計算書の確認
(図面と数量計算書の整合等)
○設計計算書の確認
(設計計算書の入力条件と現地の整合等)
(参考2) 設計図書の照査の範囲を超えるものの事例
○現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの、又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
○施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要になるもの。(当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計照査」に含まれる。)
○現地調査の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
○構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造物の再計算が必要となるもの。
○構造物の載荷高さが変更となった際の構造計算の再計算。
○現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲を超えるとして扱う)
○構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
○試験杭等により変更が生じた場合の基礎杭の構造計算及び図面作成。
○土留め等の構造計算において、現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
○「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
○設計根拠まで遡る設計図書の見直し、必要とする工事費の算出。
○舗装修繕工事の縦横断設計。
(当初設計において縦横断図面が示されており、その修正を行う場合。なお設計図書で縦横断設計が示されておらず、路面切削工、切削オーバーレイ工等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる。)
上記のような設計図書の変更に関する作業については、発注者が行うべきものであり、受注者へ作業を依頼する場合は、必要な手続きを経て設計変更の対象とする必要があります。
適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図の作成については、受注者の費用負担によるものとします。
(9) 変更内容の決定方法
① 工期の変更(契約書第23条)
ア)工期の変更は、契約書第23条に基づき行うものであり、発注者・受注者の協議による。(契約書第23条第1項)
○協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め、受注者に通知します。
イ)協議の開始については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する。(契約書第23条第2項)
○発注者が工期の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができます。
② 請負代金額の変更(契約書第24条)
ア)請負代金額の変更は、契約書第24条に基づき行うものであり、発注者・受注者の協議による。(契約書第24条第1項)
※協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め、受注者に通知します。
イ)協議の開始については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する。(契約書第24条第2項)
※発注者が請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができます。
ウ)受注者が増加費用を必要とした場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者・受注者の協議による。
(契約書第24条第3項)
③ 契約金額の変更に代える設計図書の変更(契約書第30条)
ア)契約金額の変更に代える設計図書の変更は、契約書第30条に基づき行うものであり、発注者・受注者の協議による。
(契約書第30条第1項)
※協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め、受注者に通知します。
イ)協議の開始については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する。(契約書第30条第2項)
※発注者が請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができます。